説明

自動車用ウエザストリップ

【課題】装着が容易で、フランジの先端の寸法がばらついても、フランジからの騒音を確実に防止することができる自動車用ウエザストリップを提供する。
【解決手段】自動車のウエザストリップは、フランジ7に取付けられる取付基部と、取付基部に一体的に設けられ車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールするシール部とを有する。取付基部は少なくとも底壁23及び車外側側壁21から形成される。車外側側壁21の車内側面には両面接着テープ25が貼着される。底壁23は硬質部材で形成され、底壁23の内面に中空遮音部26が形成されろ。中空遮音部26は、軟質部材で断面略三角形状に形成されるとともに、その断面略三角形状はフランジ7の当接する面が底壁23の先端が高く根元側が低い斜面状に形成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドア、ラッゲージ、スライディングルーフ等の車体開口部を開閉する車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールする自動車用ウエザストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、本発明について、図4に示すように、自動車のドア2と車体開口部周縁6の間をシールするオープニングトリムウエザストリップ10(110)を例に取り説明する。
従来、自動車のドア2と車体開口部周縁6との間のシールは、図6に示すように、ドア2におけるドアフレーム等の外周のリテーナー4に取付けられるドアウエザストリップ160と、ドアフレーム等の内周のチャンネル3に取付けられるガラスラン150と、車体開口部周縁6のフランジ7に取付けられるオープニングトリムウエザストリップ110とによりなされる。
なお、フランジ7は、車体開口部周縁6を規定しているアウターパネル6aと車内側のインナーパネル8等のパネルが接合されて形成されている。
【0003】
ガラスラン150は、車外側側壁151、底壁152と車外側側壁153からなる断面略コ字形の本体部の内部にドアガラス5の端部を摺動自在に収納し、その端部を車外側側壁151と車外側側壁153の先端から延設した車外側シールリップ154と車内側シールリップ155により保持して、シールしている。
【0004】
ドア2の外周に取付けられたドアウエザストリップ160は、取付基部161とその上部に一体に形成された中空シール部164とシールリップ部166から構成される。取付基部161は、ドアフレームの外周に設けられたリテーナー4に嵌め込まれてドアフレームに固定される。そして、ドア2閉時にシールリップ部166が車体開口部周縁(アウターパネル6a)6の最も車外側の側端に当接し、ドア2と車体開口部周縁6の車外側側端との間をシールする。そのとき、中空シール部164は、車体開口部周縁6のシールリップ部166が当接する部分よりも車内側の膨出部分に当接して、ドア2と車体開口部周縁6との間をシールしている。
【0005】
車体開口部周縁6には、フランジ7に取付けられたオープニングトリムウエザストリップ110があり、ドアウエザストリップ160が車体開口部周縁6をシールする部分よりもさらに車内側でドア2と車体開口部周縁6との間をシールしている。オープニングトリムウエザストリップ110は、断面略U字形の取付基部としてのトリム部120により上記のフランジ7に取付けられ、その中空シール部130がドアフレーム膨出部2aに当接してシールする。トリム部120には、フランジ7を把持するために、金属インサート等の芯材124が埋設され、その断面略U字形の内部にフランジ保持リップを備えている。
【0006】
しかしながら、フランジ7は車体開口部周縁6を規定しているアウターパネル6aの一端部と車内側のインナーパネル8等のパネルの端部が溶接等により接合されて形成されており、アウターパネル6aとインナーパネル8はフランジ7の近傍で空洞を形成している。この空洞を通って、風切り音、タイヤノイズや路面反射音等の騒音が車体開口部周縁6の全周に亘り伝達される。フランジ7はスポット溶接による凹凸や、フランジ7端部の板金の凹凸によりトリム部120の内部との間に隙間が生じる場合もあり、この隙間から上記の騒音が洩れて、車内に伝達されることとなる。
【0007】
このため、図7に示すように、オープニングトリムウエザストリップ110において、フランジ7の先端でトリム部120との間のシール性を向上するために、そのトリム部120の内部の底壁123の内面に、スポンジ材等の軟質材から形成される複数のシール部材126を形成して、この複数のシール部材126によりフランジ7の先端を包むようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
この場合は、シール部材126の柔軟性が大きいが、フランジ7の先端がシール部材126の中央に正しく位置する必要があり、また、フランジ7の厚さが変化すると、その厚さの変化に対応してシール部材126がフランジ7の先端を完全に包むことができず、十分なシール性を得ることができなかった。
【0008】
さらに、図8に示すように、オープニングトリムウエザストリップ110において、フランジ7の先端でのシール性を向上させるために、トリム部120の内部に、粘性を有するシール部材126やスポンジ材等の軟質材から形成されるシール部材126を装着して、そのシール部材126の中にフランジ7の先端を挿入するものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【0009】
この場合は、別に成形されたシール部材126を断面略U字形のトリム部120内に挿入する手間がかかる。また、粘性を有するシール部材126を使用すると、修理等でトリム部120をフランジ7から外す場合に、フランジ7やトリム部120の開口部にシール部材126が付着して美観を損なうことがある。スポンジ材等の軟質材から形成されるシール部材126を使用すると、図7に示すものと同様に、フランジ7の厚さが変化すると、その厚さの変化に対応してシール部材126がフランジ7の先端を完全に包むことができず、十分なシール性を得ることができなかった。
【0010】
なお、上記のオープニングトリムウエザストリップ110は、上記のように、車体のドア2の開口である車体開口部周縁6の全周に装着される場合が多く、車体開口部周縁6のフランジ7は、その部位によって厚さが異なる。即ち、フランジ7は、車体を構成するパネルの先端が接合されて、形成されるが、接合されるパネルの数は、部位によって1枚から5枚程度まで変化し、その厚さは2mmから8mm程度まで変化する。
【0011】
このため、トリム部120が、フランジ7を挟持するための補強用の金属インサート等を芯材124として埋設された断面略U字形である場合、部位によって挿入力が大きくなったり、フランジ7の把持力が小さくなったりする場合があった。
また、金属インサートによりトリム部120の重量が増加し、車両の軽量化の要請を満足しなくなっていた。
【0012】
そのため、図9に示すように、トリム部120の金属インサート等の芯材124を無くし、柔軟性を増加させ、両面接着テープ125を使用してフランジ7に装着することも行なわれている(例えば、特許文献3参照。)。
この場合は、オープニングトリムウエザストリップ110のトリム部(取付基部)120において、車外側側壁122の内面に両面接着テープ125を取付けて、トリム部120内にフランジ7を挿入するとともにフランジ7の車外側の側面に両面接着テープ125を圧着させることができる。
【0013】
フランジ7の肉厚が大きく変化する場合は、トリム部(取付基部)120の形状を断面略U字形に形成せずに、断面略L字形に形成して、車内側側壁を省略して、車内側にフランジ7が自由に張り出せるようにすることも行なわれている。
しかしながら、このようにトリム部120を断面略L字形に形成して、金属インサートを廃止した場合に、トリム部120の剛性が低下して底壁123が若干変形する場合があり、フランジ7の先端が底壁123のシール部材126から離れてシール性が低下する恐れがあった。特に、フランジ7の車内側側端がシール部材126から離れると、フランジ7の先端から車室内に騒音が進入することとなる。そのため、トリム部120を断面略L字形に形成した場合には、シール部材126を底壁123の先端にいくほど厚肉に形成するものもあるが、そのシール性は十分ではなかった。
さらに、フランジ7を構成するパネルの数が複数枚になると、そのパネルの先端の寸法がばらついて、底壁123が変形すると、底壁123のシール部材126からパネルの先端が外れる場合もある。
【0014】
また、フランジ7に両面接着テープ125でオープニングトリムウエザストリップ110を接着するときは、両面接着テープ125の保護テープを引き剥がして、フランジ7をトリム部120内に挿入し、フランジ7の側面に両面接着テープ125を圧着する。このとき、フランジ7の先端が両面接着テープ125に接触して、両面接着テープ125が剥離したり、フランジ7がトリム部120の奥まで挿入されずに途中で両面接着テープ125に接着してしまう場合もあった。
【特許文献1】実開昭55−65209号公報
【特許文献2】実開昭54−31622号公報
【特許文献3】特開2001−151035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
このため、本発明は、装着が容易で、フランジの先端の寸法がばらついても、フランジからの騒音を確実に防止することができる自動車用ウエザストリップを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車の車体開口部開閉部材と自動車の車体開口部周縁との間をシールするウエザストリップにおいて、
ウエザストリップは、車体開口部開閉部材又は車体開口部周縁のいずれか一方の部材に設けられているフランジに取付けられる取付基部と、取付基部に一体的に設けられ、他方の部材である車体開口部周縁又は車体開口部開閉部材に当接して車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールするシール部を有し、
取付基部は、少なくとも底壁及び車外側側壁から形成され、車外側側壁の車内側面に両面接着テープが貼着され、底壁は硬質部材で形成され、底壁の内面に中空遮音部が形成され、中空遮音部は、軟質部材で断面略三角形状に形成されるとともに、フランジの当接する面が底壁の先端が高く根元側が低い斜面状に形成した自動車用ウエザストリップである。
【0017】
請求項1の本発明では、取付基部は、少なくとも底壁及び車外側側壁から形成されているため、フランジの厚さが変化しても車外側側壁にフランジの側面を密着させて、底壁によりフランジの先端を確実に、保持してシールすることができる。フランジの先端を底壁に当接させることにより、車外側側壁を所定の位置に位置決めすることができる。
また、車外側側壁の車内側面に両面接着テープが貼着されているため、フランジの厚さにかかわり無く取付基部をフランジに装着することができ、両面接着テープを貼着する面積も大きく、強固に取付基部を接着することができる。
【0018】
底壁は硬質部材で形成され、底壁の内面に中空遮音部が形成されたため、底壁の剛性が大きく、底壁にフランジの先端が当接しても、底壁が大きく変形することがない。そのため、ウエザストリップがフランジに装着されたときに、フランジの先端に当接して、フランジと底壁の間をシールすることができる。
中空遮音部は、軟質部材で形成されるとともに、フランジの当接する面が斜面状に底壁の先端が高く根元側が低い断面略三角形状で形成したため、中空遮音部は、フランジの先端を柔軟に包むことができ、遮音性が高い。また、取付基部の底壁がフランジの先端に当接した後に装着後に、車外側側壁との連絡部を中心に若干回動して、フランジの先端から離れる方向に変形しても、底壁の変形寸法より中空遮音部の方が高く形成されているため、フランジの先端と離れることが無く、シール性を確保することができる。
【0019】
さらに、中空形状のため、フランジを構成する複数のパネルの先端がばらついても、中空遮音部の変形可能量が大きく、パネルの先端が中空遮音部から離れることがない。
また、中空遮音部の車内側側端が最も高く形成されているので、フランジの側端部と中空遮音部が密着して車室内に騒音等が進入することが無い。そして、中空遮音部が柔軟性を有するため、車体開口部周縁のコーナー部に取付基部を取付けても、取付基部がそのコーナー部に追従して変形して取り付けることができる。
【0020】
請求項2の本発明は、中空遮音部は、底壁の根元側の遮音部根元接続部と、底壁の先端側の遮音部先端接続部とで底壁と接続され、遮音部根元接続部はフランジのアウターパネルの先端が底壁に当接可能に底壁の根元から若干先端側にズレて接続されている自動車用ウエザストリップである。
【0021】
請求項2の本発明では、中空遮音部は、底壁の根元側の遮音部根元接続部と、底壁の先端側の遮音部先端接続部とで底壁と接続されているため、底壁の内面を広く覆って、フランジが厚肉になっても、フランジの先端を確実に覆うことができる。
遮音部根元接続部はフランジのアウターパネルの先端が底壁に当接可能に底壁の根元から若干先端側にズレて接続されているため、中空遮音部に邪魔されることなく、底壁の根元にフランジの先端が直接係止されて、フランジの先端を保持することができ、ウエザストリップがフランジに装着される位置を確実に定めることができる。また、フランジのアウターパネルの先端の位置が底壁の根元で決まるため、アウターパネルの先端を基準として、ウエザストリップの取付基部のフランジへの装着位置が定められるので、装着位置がばらつくことがない。
【0022】
請求項3の本発明は、車外側側壁は、ソリッドゴム又はスポンジゴムで形成された自動車用ウエザストリップである。
【0023】
請求項3の本発明では、車外側側壁は、ソリッドゴム又はスポンジゴムで形成されたため、フランジに装着されたときに、車体開口部周縁のフランジの形状に沿って変形して、接着されることができ、中空シール部を所定の位置に保持して、ドア等に確実に当接させることができ、シール性を確保することができる。
【0024】
請求項4の本発明は、底壁の外面に底壁を覆うようにカバーリップを形成した自動車用ウエザストリップである。
【0025】
請求項4の本発明では、底壁の外面に底壁を覆うようにカバーリップを形成したため、ガーニッシュと取付基部との間の隙間を覆い、車内側からフランジと取付基部を見えなくすることができ、美観を向上させることができる。
【0026】
請求項5の本発明は、カバーリップの外面に装飾層を設けたウエザストリップである。
【0027】
請求項5の本発明では、カバーリップの外面に装飾層を設けたため、車室内の色彩や装飾に合わせてウエザストリップを装飾することができ、デザインの自由度を上げて、車内側から見た美観を向上させることができる。
【0028】
請求項6の本発明は、装飾層は、不織布、織布、植毛、着色熱可塑性エラストマー又は着色合成樹脂のいずれかで形成された自動車用ウエザストリップである。
【0029】
請求項6の本発明では、装飾層は、不織布、織布、植毛、着色熱可塑性エラストマー又は着色合成樹脂のいずれかで形成されたため、車室内の装飾の色彩や感触に適合した装飾体を選択することができる。
【0030】
請求項7の本発明は、車体開口部開閉部材はドアであり、ウエザストリップは、オープニングトリムウエザストリップである自動車用ウエザストリップである。
【0031】
請求項7の本発明では、車体開口部開閉部材はドアであり、ウエザストリップは、オープニングトリムウエザストリップであるため、車体開口部周縁とドアとの間を確実にシールすることができるとともに、ドアとフランジの隙間から車内に侵入する騒音を取付基部により包み込み、確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明では、車外側側壁の車内側面に両面接着テープが貼着されているため、フランジの厚さにかかわり無く取付基部をフランジに装着することができ、両面接着テープを貼着する面積も大きく、強固に取付基部を接着することができる。
中空遮音部は、軟質部材で形成されるとともに、フランジの当接する面が斜面状に底壁の先端が高く根元側が低い断面略三角形状で形成したため、中空遮音部は、フランジの先端を柔軟に包むことができ、遮音性が高く、シール性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の実施の形態を、オープニングトリムウエザストリップ10を例にとり説明する。本発明は、オープニングトリムウエザストリップ10以外にも、スライディングルーフウエザストリップ、ラッゲージウエザストリップ、バックドアウエザストリップ等の自動車の車体開口部と、その開口部を閉じて車体開口部周縁6との間をシールする開閉部材に使用されるシール部と取付基部20を有するウエザストリップに使用することができる。
【0034】
本発明の実施の形態を、図1〜図5に基づき説明する。
図1は、本発明の第1に実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップ10が図4に示す車体開口部周縁6に装着される前の状態の、図5におけるA−A線に沿った部分の断面図である。図2は、オープニングトリムウエザストリップ10が図4に示す車体開口部周縁6に装着された状態の同様の断面図である。図3は同様に、インナーパネル8が3枚の板金で形成されたフランジ7からなる車体開口部周縁6に装着された状態の断面図である。
【0035】
図4は自動車のドア2を開いた状態において、オープニングトリムウエザストリップ10の車体開口部周縁6への取付状態を示す斜視図である。図5は、車体開口部周縁6に装着されるオープニングトリムウエザストリップ10の全体の正面図である。
図4に示すように、自動車の車体1は、車体開口部を有し、その車体開口部は、車体開口部開閉部材であるドア2により開閉される。車体開口部の周囲は、車体開口部周縁6を形成し、車体開口部周縁6は車体1を構成するアウターパネル6aやインナーパネル8等のパネル部材の端部が溶接されて、フランジ7(図1〜図3参照)を形成している。このフランジ7に車体開口部周縁6とドア2との間をシールする本発明のウエザストリップとしてのオープニングトリムウエザストリップ10が装着される。
フランジ7は、車体1の車体開口部周縁6の部位により溶接されるパネルの数が1枚〜5枚程度まで変化するためその厚さが車体1の部位により変化する。
【0036】
オープニングトリムウエザストリップ10は、押出成形により直線状に成形される。この直線状に形成された1本のオープニングトリムウエザストリップ10は、図5に示すように、車体開口部周縁6の形状に沿って、環状となるようにフランジ7に装着される。装着は、オープニングトリムウエザストリップ10の一方の端末から順次、フランジ7に装着され、装着が完了すると、他方の端末が一方の端末と接合することとなる。この端末は、図5に示すように、接続部11により型接合されて環状に形成されていてもよい。
また、オープニングトリムウエザストリップ10の端末同士を装着前に接着剤で接着して環状にしてもよい。
環状に形成すると、装着することが容易となる。
【0037】
次に、図1に基づき、本発明の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップ10の断面形状について説明する。
オープニングトリムウエザストリップ10は、フランジ7に取付けられる、断面略L字形の取付基部としてのトリム部20と、トリム部20に一体的に形成され、ドア2のドアフレーム膨出部2aに当接して、ドア2と車体開口部周縁6との間をシールする中空状のシール部としての中空シール部30を有する。
【0038】
トリム部20は、車外側側壁21、底壁23からなる断面略L字形をなしている。フランジ7の肉厚の変化の柔軟に対応できるため、底壁23は所定の幅を有している。トリム部20の車外側側壁21と底壁23は一体的に連続して形成され、後述のように硬質部材で形成されている。車外側側壁21と底壁23との連絡部分にフランジ7を挟持する挟持力や底壁23がフランジ7に当接する力を補強する金属板や硬質合成樹脂等で形成されたインサート(芯材)を埋設しない場合は、オープニングトリムウエザストリップ10を軽量化することができる。
【0039】
車外側側壁21は断面が略平板状に形成され、車外側側壁21の車内側面には両面接着テープ25が貼着されている。オープニングトリムウエザストリップ10は、両面接着テープ25によりフランジ7の側面に接着される。
両面接着テープ25を使用すると、フランジ7の車外側の面に接着するのみであるため、フランジ7の厚さが変化しても装着方法は同じであり、フランジ7への接着力は同様であり、装着が容易である。また、車外側側壁21に両面接着テープ25を貼着すると、貼着面積も大きく、強固にトリム部20を接着することができる。
両面接着テープ25をスポンジ材で形成し、肉厚を厚くしたり、車外側側壁21において両面接着テープ25が接着される面の接着部21fをスポンジ材で形成すると、両面接着テープ25が車外側側壁21に密着するとともに、フランジ7の側面に形成されたスポット痕等の凹凸に合わせて変形して車外側側壁21と密着させることができる。
【0040】
車外側側壁21の車内側面の底壁23寄りの部分には突部21cを設けてもよい。この突部21cに沿って両面接着テープ25の側端を貼着すると両面接着テープ25の位置決めをすることができる。
車外側側壁21の底壁23との連絡部21d及びその付近は、底壁23と一体に硬質の材料で形成することができる。この場合は、連絡部21dの剛性が増加して、オープニングトリムウエザストリップ10をフランジ7に装着したときに、フランジ7の先端に押されて、底壁23が連絡部21dを中心にフランジ7の先端から離れる方向に、即ち、図1における下方に大きく回動することを防止することができる。
【0041】
車外側側壁21の先端には、スポンジ材から形成された先端部21bが一体的に形成されている。先端部21bは、車外側側壁21がフランジ7に装着されると、アウターパネル6aの屈曲した部分に当接して、アウターパネル6aとオープニングトリムウエザストリップ10の間をシールすることができる。
先端部21bのスポンジ材は、先端部21bから車外側側壁21の両面接着テープ25が貼着される接着部21fまで延長して形成することができる。この場合は、上記したように、両面接着テープ25と車外側側壁21が密着するとともにフランジ7の側面に形成されたスポット痕等の凹凸をより一層吸収することができる。
【0042】
底壁23は、略平板状に形成され、硬質の材料が車外側側壁21の連絡部21dから底壁23の車内側の先端まで連続して一体的に形成されている。
底壁23が全体として硬質の材料で形成されているため、フランジ7の先端が底壁23に当接して押しても、底壁23が変形することが少なく、車外側側壁21がフランジ7に接着される位置を定めることができ、フランジ7を確実に係止することができるとともに、後述するシール材としての中空遮音部26にフランジ7の先端を確実に当接させることができる。
【0043】
硬質の材料としては、硬質ゴムまたは硬質合成樹脂を使用することができ、硬質ゴムとしては、JIS硬度HA85°〜95°の硬質のEPDMゴム等を使用することができ、硬質合成樹脂としては、硬質のポリエチレン、ポリプロピレン等を使用することができる。さらに、JIS硬度HA85°〜95°の硬質のオレフィン系熱可塑性エラストマーも使用することができる。硬質の材料として上記の硬度を有するものを使用するため、インサートが無くてもトリム部20の変形を防止することができる。
【0044】
また、これらの硬質の材料は伸縮性が小さく、オープニングトリムウエザストリップ10をフランジ7に装着するときに、フランジ7に対して伸びが少なく、オープニングトリムウエザストリップ10の一部がフランジ7から浮上がったり、オープニングトリムウエザストリップ10にシワが寄ったりすることが無い。
オープニングトリムウエザストリップ10を成形するときに、上記のように硬質の材料を硬質のEPDMゴム、硬質のポリエチレン、ポリプロピレン等を使用して、他の部分を軟質のEPDMゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマーで形成する場合は、押出成形機を使用して、硬質と軟質の材料を同時に押出成形により成形することができる。
【0045】
トリム部20のスポンジ材以外の他の部分はJIS硬度HA60°〜85°の軟質のEPDMゴムやオレフィン系熱可塑性エラストマーで形成することができる。このため、フランジ7を保持するに十分な強度とフランジ7のコーナー部等の形状の変化に追従することが可能な十分な柔軟性を併せ持つことができる。
【0046】
底壁23の内面は、後述するように中空遮音部26が形成されているが、車外側側壁21との連絡部21dの付近の内面に、中空遮音部26が形成されていない部分であるフランジ当接部23bがある。即ち、中空遮音部26の根元側の先端(遮音部根元接続部26b)は底壁23の根元から若干先端側にズレた部分に接続されているため、底壁23の内面が露出しているフランジ当接部23bがある。
【0047】
図1に示すように、中空遮音部26の先端の側面と底壁23の内面とでフランジ7の先端を保持するフランジ当接部23bを形成してもよく、あるいは、フランジ当接部23bは、底壁23に断面がL字形の階段状又は凹溝状に形成されてもよい。
底壁23のフランジ当接部23bの部分にフランジ7の先端、本実施の形態ではアウターパネル6aの先端が当接して、フランジ当接部23bの側面の部分に、アウターパネル6aの先端部分の側面が当接して、アウターパネル6aの先端が保持される。これによって、オープニングトリムウエザストリップ10がフランジ7に装着される位置を確実に定めることができる。
このフランジ当接部23bを含む底壁23を硬質ゴムで形成した場合は、アウターパネル6aの先端がフランジ当接部23bに当接しても十分な硬度を有しているため底壁23の変形が少ない。
【0048】
底壁23の内面には、シール部材である中空遮音部26が設けられている。シール部材としては、スポンジ材以外でも柔軟性があり、フランジ7の先端を包み込んでシールすることができるものであればよいが、スポンジ部材が柔軟性に富み好ましい。中空遮音部26は底壁23の先端からフランジ当接部23bまで設けられており、フランジ7のインナーパネル8の先端が中空遮音部26に確実に当接することができるように形成されている。
【0049】
中空遮音部26は、断面略三角形状に中空状に形成されている。底壁23の先端の内面から図1の紙面において上方向に略垂直あるいは若干、車外側側壁21方向に湾曲して遮音部立壁26fが形成され、遮音部立壁26fの先端から底壁23の車外側側壁21との連結部分よりも若干先端側にズレた部分(フランジ当接部23b)の付近まで斜面状に延設されて遮音部斜面26dが形成されている。
【0050】
このため、トリム部20をフランジ7に装着した後に、フランジ7の先端に底壁23が押されて、底壁23が車外側側壁21との連絡部を中心にフランジ7の先端から離れる方向(下方)に回動して変形しても、中空遮音部26は、その遮音部立壁26fが高く形成されており、フランジ7の先端と離れることが無く、フランジ7の先端から騒音や雨水が洩れることが無く、シール性を確保することができる。
【0051】
また、フランジ7は、通常最も車外側のアウターパネル6aの先端を最も長く形成し、インナーパネル8は、そのアウターパネル6aの先端よりも短く形成されている。しかしながら、アウターパネル6aの先端は、フランジ7において複数枚を溶接されているのでその先端の寸法がばらつくことがある。しかしながら、中空遮音部26が中空状に大きく形成されるため、そのばらつきを吸収して、確実にフランジ7の先端を包むことができる。
【0052】
また、中空遮音部26の遮音部立壁26fが高く形成されているので、図2に示すように、遮音部立壁26fの先端がフランジ7に押されて湾曲して、この部分でフランジ7の側面と当接し、フランジ7の側端から車室内に騒音が進入することがない。また、中空遮音部26は中空であるため柔軟性が増加して、フランジ7の車内側の先端をより一層、中空遮音部26内に進入させて包み込むことができ、シール性を向上させることができる。
【0053】
なお、フランジ7が、アウターパネル6aとインナーパネル8の2枚が溶接されて形成された場合は、図5に示すように、アウターパネル6a先端は底壁23のフランジ当接部23bの中に当接して、インナーパネル8の先端は中空遮音部26の先端に当接する。このため、アウターパネル6aとインナーパネル8の間にスポット溶接痕等により隙間があっても、遮音部立壁26fがその隙間を塞いでシール性を確保することができる。
【0054】
フランジ7が肉厚で、アウターパネル6aとインナーパネル8を含めて数枚が溶接された場合は、図6に示すように、アウターパネル6a先端は底壁23のフランジ当接部23bの中に当接して、その他の複数枚のフランジ7の先端は中空遮音部26の遮音部斜面26dの全体に当接する。このとき、中空遮音部26は、底壁23との間に空間部を有するため、柔軟に変形して、フランジ7の先端をシールすることができる。フランジ7が複数枚の場合も上記と同様にそのパネルの間にスポット溶接痕等により隙間があっても、中空遮音部26がその隙間を埋めるようにして当接してシール性を確保することができる。
また、中空遮音部26は車内側の空間部26cが大きいため、フランジ7の車内側側端が中空遮音部26の遮音部斜面26dと強く弾力的に当接して、騒音等が車室内に進入することがなく、シール性を確保することができる。
【0055】
底壁23の根元の外面から底壁23を覆うようにカバーリップ27が円弧状に形成されている。カバーリップ27の先端にはガーニッシュ40が当接されている。このカバーリップ27とガーニッシュ40を設けたために、ガーニッシュ40とトリム部20との間の隙間を覆い、車内側からフランジ7とトリム部20の底壁23を見えなくすることができ、美観を向上させることができる。
【0056】
なお、カバーリップ27の外面に装飾層を設けることができる。この装飾層は、車室内の色彩や装飾に合わせて形成することができ、オープニングトリムウエザストリップ10デザインの自由度を上げて、車内側から見た美観を向上させることができる。
この装飾層は、不織布、織布、植毛、着色熱可塑性エラストマー又は着色合成樹脂等の中から自由に選択することができる。このため、車室内の装飾の色彩や感触に適合した装飾体を選択することができる。
【0057】
車外側側壁21の外面にはシール部としての中空シール部30が一体的に設けられている。中空シール部30は、車外側側壁21の外面に断面形状が略楕円形の中空状のスポンジ材で形成される。スポンジ材はスポンジゴム、スポンジ熱可塑性エラストマー等を使用する。中空シール部30は、ドア閉時に例えば、ドア2のドアフレーム膨出部2aに当接してドア2と車体開口部周縁6の間をシールする。ドアフレーム膨出部2aには美観を向上させるためにガーニッシュを取付けてもよく、その場合は、中空シール部30はガーニッシュに当接する。中空シール部30は、当接する相手部材の位置に応じて、底壁23の外面に形成することができる。
シール部としては、中空シール部30の代わりに中空状ではなく、リップ状のシール部を車外側側壁21の外面に設けてもよい。
【0058】
フランジ7に本発明の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップ10を装着するときは、まず、オープニングトリムウエザストリップ10のトリム部20をフランジ7に対して斜めに位置させて、フランジ7のアウターパネル6aの先端を底壁23に当接させる。この場合は、トリム部20に車内側側壁22が存在しないため、フランジ7をトリム部20に対して斜めに倒して挿入することができる。
このとき、フランジ7の最も車外側のアウターパネル6aが他のパネルよりも若干長いためその先端を底壁23のフランジ当接部23bに当接させる。そのとき、車外側側壁21の突部21cにアウターパネル6aの側面が当接するとともに、両面接着テープ25がアウターパネル6aの側面に接着する。
【0059】
図2に示すように、フランジ7にオープニングトリムウエザストリップ10を装着すると、上述のようにアウターパネル6aの先端がフランジ当接部23bに当接するとともに、インナーパネル8の先端が中空遮音部26に当接して、インナーパネル8の先端を包むことができる。これによりフランジ7の先端をシールすることができる。
また、図3に示すように、インナーパネル8が3枚の板金から形成されているように、厚肉に形成されている場合でも、中空形状であり、中空遮音部26の遮音部斜面26dが柔軟に変形することができ、インナーパネル8の先端を確実に包み込むことができ、シール性を確保することができる。
【0060】
オープニングトリムウエザストリップ10において、本発明の実施の形態は、中空シール部30は、EPDMゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーのスポンジ材で形成され、トリム部(取付基部)20の硬質の材料以外の部分は、EPDMゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーのソリッド材または微発泡材で形成され、トリム部20の硬質の材料の部分は、EPDMゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーのソリッド材で形成されると、耐候性のよい製品を得ることができる。また、この場合は、オープニングトリムウエザストリップ10は全体としてオレフィン系でありそのまま一緒に粉砕等を行い、リサイクルして使用することができる。
【0061】
次に、オープニングトリムウエザストリップ10の製造方法を説明する。
このオープニングトリムウエザストリップ10は、押出成形により成形され、トリム部20を構成するソリッドゴムと中空シール部30及び中空遮音部26を構成するスポンジゴムを押出成形機で一体に押出すことができる。
インサート部材をトリム部20に埋設するときは、トリム部20等と同時に押出成形する。その後、通常の方法で加硫、あるいは裁断等が行なわれる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップが図5におけるA−A線に沿った部分の車体開口部周縁に装着さる前の状態の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップが図5におけるA−A線に沿った部分の車体開口部周縁に装着された状態の断面図である。
【図3】本発明の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップが図5におけるA−A線に沿った部分の厚肉のフランジの車体開口部周縁に装着された状態の断面図である。
【図4】自動車の側面の斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態であるドアオープニングトリムウエザストリップの正面図である。
【図6】従来のドアと車体開口部周縁との間のシール構造を示す断面図である。
【図7】従来の他のドアオープニングトリムウエザストリップを自動車の開口縁に取付けた状態における一部断面図である。
【図8】従来の他のドアオープニングトリムウエザストリップを自動車の開口縁に取付けた状態における一部断面図である。
【図9】従来の他のドアオープニングトリムウエザストリップを自動車の開口縁に取付けた状態における一部断面図である。
【符号の説明】
【0063】
6 車体開口部周縁
6a アウターパネル
7 フランジ
10 オープニングトリムウエザストリップ(ウエザストリップ)
20 トリム部(取付基部)
21 車外側側壁
23 底壁
23b フランジ当接部
25 両面接着テープ
26 中空遮音部
26b 遮音部根元接続部
26d 遮音部斜面
30 中空シール部(シール部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車体開口部開閉部材と自動車の車体開口部周縁との間をシールするウエザストリップにおいて、
該ウエザストリップは、上記車体開口部開閉部材又は車体開口部周縁のいずれか一方の部材に設けられているフランジに取付けられる取付基部と、該取付基部に一体的に設けられ、他方の部材である車体開口部周縁又は車体開口部開閉部材に当接して上記車体開口部開閉部材と上記車体開口部周縁との間をシールするシール部を有し、
上記取付基部は、少なくとも底壁及び車外側側壁から形成され、
該車外側側壁の車内側面に両面接着テープが貼着され、上記底壁は硬質部材で形成され、上記底壁の内面に中空遮音部が形成され、該中空遮音部は、軟質部材で断面略三角形状に形成されるとともに、上記フランジの当接する面が上記底壁の先端が高く根元側が低い斜面状に形成したことを特徴とする自動車用ウエザストリップ。
【請求項2】
上記中空遮音部は、上記底壁の根元側の遮音部根元接続部と、上記底壁の先端側の遮音部先端接続部とで上記底壁と接続され、上記遮音部根元接続部は上記フランジのアウターパネルの先端が上記底壁に当接可能に上記底壁の根元から若干先端側にズレて接続されている請求項1に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項3】
上記車外側側壁は、ソリッドゴム又はスポンジゴムで形成された請求項1又は請求項2に記載された自動車用ウエザストリップ。
【請求項4】
上記底壁の外面に上記底壁を覆うようにカバーリップを形成した請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された自動車用ウエザストリップ。
【請求項5】
上記カバーリップの外面に装飾層を設けた請求項4に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項6】
上記装飾層は、不織布、織布、植毛、着色熱可塑性エラストマー又は着色合成樹脂のいずれかで形成された請求項5に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項7】
上記車体開口部開閉部材はドアであり、上記ウエザストリップは、オープニングトリムウエザストリップである請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の自動車用ウエザストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−152977(P2007−152977A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−346478(P2005−346478)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】