説明

自動車用ウエザストリップ

【課題】トリム部とフランジとの間のシール性にすぐれて、フランジに錆びの発生しない自動車ウエザストリップを提供する。
【解決手段】自動車用ウエザストリップ10は、車体開口部周縁又は開口部開閉部材のフランジ7に取付けられウエザストリップ10を保持し車外側側壁21、車内側側壁22及び底壁23を有する断面略U字形又は断面略J字形のトリム部20と、トリム部20の車外側側壁21の外面に一体的に形成され上記開口部開閉部材又は開口部周縁に当接してシールするシール部30を有する。車外側側壁21の先端部21bの端面及び端面と連続する車外側側壁21の先端部の内面に撥水層35を形成した自動車用ウエザストリップである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ドア、ラッゲージ、スライディングルーフ等の車体開口部を開閉する車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールする自動車用ウエザストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、本発明について、図2に示すように、自動車のドア2と車体開口部周縁6のシールに使用されるオープニングトリムウエザストリップを例に取り説明するが、バックドア、ラッゲージ、スライディングルーフ等の車体開口部を開閉する車体開口部開閉部材のシールに使用されるウエザストリップに対しても同様に使用することができる。
【0003】
従来、ドア2と車体開口部周縁6との間のシールは、図4に示すように、ドア2におけるドアフレーム等の外周のリテーナーに取付けられるドアウエザストリップ160と、ドアフレーム等の内周のチャンネル3に取付けられるガラスラン150と、車体開口部周縁6のフランジ7に取付けられるオープニングトリムウエザストリップ110とによりなされる。
なお、上記フランジ7は車体開口部周縁6を規定しているアウターパネル9と車内側のインナーパネル8等の先端部が溶接等により接合されて形成されている。
【0004】
車体の開口部には、上記のフランジ7に取付けられたオープニングトリムウエザストリップ110があり、ドアウエザストリップ160が車体開口部周縁6をシールする部分よりもさらに車内側でドア2と車体開口部周縁6との間をシールしている。オープニングトリムウエザストリップ110は、断面略U字形のトリム部120により上記のフランジ7に取付けられ、中空シール部130がドアフレームの膨出部2aに当接してシールする。このトリム部120は、フランジ7を把持するために、金属インサート等のインサート部材124が埋設され、保持リップ125を備えている。
【0005】
上記のように、車体開口部周縁6とドア2の間には、ドアウエザストリップ160が取付けられてシールしているが、ドアウエザストリップ160と車体開口部周縁6の隙間を通って雨水や洗車水が進入する場合がある。そのとき、雨水や洗車水がオープニングトリムウエザストリップ110のシール部130とアウターパネル9との間を通ってトリム部120内に進入することとなる。トリム部120内には、スポンジ材170が取付けられているが、スポンジ材170は、低剛性が必要とされるため、発泡した泡が連通している度合いが高く、進入した雨水や洗車水がスポンジ材170の泡の中に吸収されて、フランジ7を形成するアウターパネル9と車内側のインナーパネル8等の先端部が錆びる可能性がある。
【0006】
そこで、図5に示すように、オープニングトリムウエザストリップ210のトリム部220の車外側側壁221と車内側側壁222の先端にスポンジゴム層225を形成し、トリム部220をフランジ7に挿入したときに、車外側のアウターパネル9と車内側のインナーパネル8に当接させるものがある(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この場合でも、スポンジゴム層225とアウターパネル9及び車内側のインナーパネル8との当接が確実ではなく、シール性も不充分であった。
【0007】
また、図6に示すように、オープニングトリムウエザストリップ310のトリム部320の車外側側壁321に中空シール部330を形成し、中空シール部330の相手部材であるドア2と当接する部分に磁気コーティング層331を形成し、シール性を向上させるものがある(例えば、特許文献2参照。)。しかし、この場合でも、ドア2と磁気コーティング層331とのシール性は向上するが、トリム部320とフランジ7との間のシール性は不充分であった。
【特許文献1】特開2002−120663号公報
【特許文献2】特開2001−12612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このため、本発明は、トリム部とフランジとの間のシール性にすぐれて、フランジに錆びの発生しない自動車ウエザストリップを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車の車体の車体開口部周縁に取付けられ、車体開口部周縁と開口部開閉部材との間をシールする自動車用ウエザストリップにおいて、 車体開口部周縁又は開口部開閉部材のフランジに取付けられ、車外側側壁、車内側側壁及び底壁を有する断面略U字形又は断面略J字形のトリム部と、トリム部の車外側側壁の外面に一体的に形成され開口部開閉部材又は開口部周縁に当接してシールするシール部を有し、 車外側側壁の先端部の端面又は端面と連続する車外側側壁の先端部の内面に撥水層を形成したことを特徴とする自動車用ウエザストリップである。
【0010】
請求項1の本発明では、自動車用ウエザストリップは、車体開口部周縁又は開口部開閉部材のフランジに取付けられウエザストリップを保持し車外側側壁、車内側側壁及び底壁を有する断面略U字形又は断面略J字形のトリム部と、トリム部の車外側側壁の外面に一体的に形成され上記開口部開閉部材又は開口部周縁に当接してシールするシール部を有している。このため、車体開口部周縁又は開口部開閉部材のフランジにトリム部が確実に取付けられ、トリム部を取付けると、車体開口部開閉部材の閉時にシール部が車体開口部周縁又は車体開口部開閉部材に当接して、車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールすることができる。
【0011】
車外側側壁の先端部の端面又は端面と連続する車外側側壁の先端部の内面に撥水層を形成したため、車外側側壁の先端部とアウターパネルの間に進入した雨水や洗車水が、アウターパネルと車外側側壁の先端部の端面又は、先端部の内面の撥水層によりはじかれて止まり、トリム部の内部に進入することがなく、フランジの先端に錆が発生することがない。先端部の端面とアウターパネルとの距離が、端面と連続する車外側側壁の先端部の内面とフランジとの距離よりも小さい場合には、車外側側壁の先端部の端面に撥水層が形成されていればよく、その逆の場合には、先端部の内面に撥水層が形成されていればよい。また、先端部の端面及び先端部の内面の両方に撥水層を形成することにより、より効果的に撥水効果を得ることができる。
【0012】
請求項2の本発明は、撥水層は、車外側側壁の先端部の端面から連続してシール部の外面の車外側側壁と連結する部分及びシール部のフランジ部と連続するパネルと対向する部分まで連続して形成された自動車用ウエザストリップである。
【0013】
請求項2の本発明では、撥水層は、車外側側壁の先端部の端面から連続してシール部のフランジ部と連続するパネルと対向する部分まで連続して形成されたため、撥水層の幅が広くなり、シール部とアウターパネルの間に進入した雨水や洗車水が、シール部の撥水層の部分で一層確実に止まることができ、シール性が向上する。
【0014】
請求項3の本発明は、撥水層は、シリコーン塗膜又はフッ素塗膜である自動車用ウエザストリップである。
【0015】
請求項3の本発明では、撥水層は、シリコーン塗膜又はフッ素塗膜であるため、撥水性が高く、確実に水の浸入を防止できるとともに、シリコーン又はフッ素を塗布することで撥水層の形成ができ、製造が容易である。
【0016】
請求項4の本発明は、トリム部の内部には、止水スポンジ又はシーラント部材が挿入された自動車用ウエザストリップである。
【0017】
請求項4の本発明では、トリム部の内部には、止水スポンジ又はシーラント部材が挿入されたため、止水スポンジ又はシーラント部材で車外からの騒音や埃の進入を防止することができ、フランジの先端を止水スポンジ又はシーラント部材の内部に進入させて錆の発生も防止することができる。
【0018】
請求項5の本発明は、シール部は、中空形状であり、その外面は被覆層が形成された自動車用ウエザストリップである。
【0019】
請求項5の本発明では、シール部は、中空形状であり、その外面は被覆層が形成されたため、中空部がドアフレームに対して、柔軟に当接して、シール性を確保し、被覆層が車外側から見たシール部の表面を円滑にして、美観を向上させるとともに、耐摩耗性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
ウエザストリップのトリム部において、車外側側壁の先端部の端面及び端面と連続する車外側側壁の先端部の内面に撥水層を形成したため、車外から車外側側壁の先端部とフランジ及びアウターパネルの間に進入した雨水や洗車水が、フランジと車外側側壁の開口部の内面の撥水層で止まり、トリム部の内部に進入することがなく、フランジの先端に錆が発生することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態を、オープニングトリムウエザストリップ10を例にとり説明する。本発明は、オープニングトリムウエザストリップ10以外にも、前述のとおり、自動車の車体開口部とその開口部を閉じる車体開口部開閉部材に使用されるウエザストリップにも使用することができる。
【0022】
本発明に実施の形態について、オープニングトリムウエザストリップ10を例にとり、図1〜図3に基づき説明する。
図1は、本発明のオープニングトリムウエザストリップ10が図2における車体開口部周縁6に装着された状態の図3におけるA−A線に沿った部分の断面図である。
図2は自動車のドア2を開いた状態において、オープニングトリムウエザストリップ10の車体開口部周縁6への取付状態を示す斜視図である。図3は、上記車体開口部周縁6に装着されるオープニングトリムウエザストリップ10の正面図である。
【0023】
図2に示すように、自動車の車体1は、車体開口部を有し、その車体開口部は、車体開口部の開閉部材であるドア2により開閉される。車体開口部の周囲は、車体開口部周縁6を形成し、車体開口部周縁6では、先端が車体1を構成する車体開口部周縁6を規定しているアウターパネル9とインナーパネル8の先端が合体されて、溶接されて、フランジ7(図1参照)となっている。このフランジ7に車体開口部周縁6とドア2との間をシールするオープニングトリムウエザストリップ10が装着される。
【0024】
オープニングトリムウエザストリップ10は、押出成形により直線状に成形される。この直線状に形成された1本のオープニングトリムウエザストリップ10は、図3に示すように、車体開口部周縁6の形状に沿って、環状となるようにフランジ7に装着される。装着は、オープニングトリムウエザストリップ10の一方の端末から順次、フランジ7に装着され、装着が完了すると、他方の端末が一方の端末と接合することとなる。この端末は、接続部11により型接合されて、環状に形成されていてもよい。
また、オープニングトリムウエザストリップ10の端末同士を装着前に接着して環状にしてもよい。
【0025】
次に、図1に基づき、本発明の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップ10の断面形状について説明する。
オープニングトリムウエザストリップ10は、フランジ7に取付けられる、断面略U字形又は断面略J字形のトリム部20と、ドア2のドアフレームの膨出部2aに当接して、ドア2と車体開口部周縁6との間をシールする中空状のシール部(中空シール部)30を有する。まず、本発明の実施の形態では、断面略U字形のトリム部20について説明し、断面略J字形のトリム部20については後述する。
【0026】
トリム部20は、車外側側壁21、車内側側壁22と底壁23からなる断面略U字形をなし、トリム部20がフランジ7を挟持する力を強くするため、その内部に、インサート部材24を埋設している
インサート部材24は、板金、針金または硬質合成樹脂で形成される。板金または硬質合成樹脂の場合は、短冊状の骨片を幅方向に平行に多数配列し、その短冊状の骨片を長手方向に梯子状あるいは魚骨状に連結したものや、短冊状の骨片をジグザグ状に連続したものが使用される。トリム部20の柔軟性を増大させるために、インサート部材24を埋設後に、短冊状の骨片の連結部分を、1個毎あるいは複数個毎に分離するものも使用することができる。短冊状の骨片をジグザグ状に連続したものは、長手方向にも伸縮性があり、柔軟性を有する。
針金のインサート部材24は、針金をジグザグ状に折り曲げて、長手方向に複数の糸で保持した、いわゆるワイヤーキャリアタイプのものが使用される。
【0027】
トリム部20の内面には、車外側側壁21と車内側側壁22からそれぞれ斜め底壁23方向に複数の車外側保持リップ25と車内側保持リップ26が延設されている。車体開口部周縁6のフランジ7がトリム部20の断面略U字形の内部に挿入されたときに、車外側保持リップ25と車内側保持リップ26がフランジ7の側面を挟持して、オープニングトリムウエザストリップ10をフランジ7に保持させることができる。
【0028】
本実施の形態では、車外側保持リップ25は短く複数本形成され、車内側保持リップ26は長く一本形成されている。車体開口部周縁6の各部分でフランジ7を構成する板金の枚数が異なるため、フランジ7は、その厚さが変化する。車内側保持リップ26は、フランジ7の厚さの変化につれて柔軟に屈曲し、いずれの厚さにおいても確実にフランジ7を保持することができる。
【0029】
なお、トリム部20の形状を断面略J字形にすることもできる。この場合は、車内側側壁22が短く形成され、車外側側壁21が長く形成される。車外側側壁21の外面には後述する中空シール部30が断面略U字形と同様に形成される。そのため、車外側側壁21の先端部21bがアウターパネル9に近接することができる。車外側側壁21の先端部21bには、断面略U字形の場合も断面略J字形の場合も、同様に撥水層35が形成されている。
【0030】
シール部は、本実施の形態では中空状の中空シール部30として形成されている。
中空シール部30は、車外側側壁21の外面に一体的に形成されている。中空シール部30の一方の端部31は、車外側側壁21の先端部付近の外面から延設されている。中空シール部30の他方の端部32は、車外側側壁21の底壁23との連続する部分よりも若干開口側に寄った部分に接続している。本実施の形態では、他方の端部32は、外方(図1における下方)に屈曲し、車外側側壁21から連続したソリッド材で形成されている。これによって、中空シール部30を大きく形成し、シール性を向上させている。
【0031】
中空シール部30はドア閉時にドア2の膨出部2aに当接して、ドア2と車体開口部周縁6の間をシールする。中空シール部30ではなく、リップ状のシールリップを設けてもよい。
中空シール部30の他方の端部32以外は、スポンジ材で形成されている。スポンジ材の表面には、ソリッド材から構成される被覆層33が形成されている。このため、ドアフレームに対して、中空シール部30は、ドア2の膨出部2aに柔軟に当接して、シール性を確保する。また、被覆層33により中空シール部30の表面を円滑にして、車外側から見て、美観を向上させるとともに、耐摩耗性を向上させることができる。
【0032】
中空シール部30は、EPDMゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーのスポンジ材で形成され、トリム部20は、EPDMゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーのソリッド材又は微発泡材で形成されると、耐候性のよい製品を得ることができる。また、この場合は、オープニングトリムウエザストリップ10は全体としてオレフィン系であり、そのまま一緒に粉砕等を行い、リサイクルして使用することができる。
【0033】
車外側側壁21の先端部21bのアウターパネル9と対抗する面である端面、及びその端面と連続する車外側側壁21の先端部21bの内面に撥水層35を形成した。車外側側壁21の先端部21bの内面の撥水層35は、先端部21bの内側の部分に形成され、車外側保持リップ25の付け根部分までは至っていない。
【0034】
車外側側壁21の先端部21bに撥水層35を設けたため、ドアウエザストリップ160と車体開口部周縁6との間を通過して、中空シール部30のアウターパネル9と対向する面とアウターパネル9の間に進入した雨水や洗車水が、端面の撥水層35により撥水されて、車外側側壁21の先端部21bとアウターパネル9との間に侵入することが防止される。さらに、万一、車外側側壁21の先端部21bの端面とアウターパネル9との間に雨水や洗車水が浸入しても、車外側側壁21の先端部21bの内面に形成された撥水層35により撥水されて、トリム部20内への侵入が防止される。このようにして、トリム部20の内部に雨水や洗車水が進入することがなく、フランジ7の先端に錆が発生することがない。
【0035】
撥水層35は、車外側側壁21の先端部21bの端面から連続して、中空シール部30の外面において、中空シール部30のアウターパネル9と対向するトリム部20の開口側の一部まで連続して形成されている。撥水層35の端末は、上記の中空シール部30の被覆層33の端末部を覆って形成されている。このため、中空シール部30のアウターパネル9と対向する面とアウターパネル9の間に進入した雨水や洗車水が、中空シール部30の一部まで延設された撥水層35の部分で止まることができ、シール性が向上する。
【0036】
撥水層35は、シリコーン系塗料又はフッ素系塗料を塗布して形成される。シリコーン系塗料は、シリコーンオイル系又はシリコーンレジン系塗料を使用することができ、フッ素系塗料は、フッ素オイル系又はフッ素レジン系塗料を使用することができる。
さらには、撥水層35は、シリコーン系樹脂又は、フッ素系樹脂のテープ材を貼付して形成するか、あるいはシリコーン系樹脂又は、フッ素系樹脂を押出成形して形成することもできる。
【0037】
これ等の撥水層35は、シリコーン系あるいはフッ素系の撥水層35であるため、撥水性が高く、確実に水の浸入を防止できる。シリコーン系塗料又はフッ素系塗料を塗布した場合は、シリコーン系塗料又はフッ素系塗料を所定位置に塗布することで撥水層35の形成ができ、製造が容易である。
【0038】
トリム部20の底壁23の外面から、車内方向にカバーリップ29が円弧状に延設されている。カバーリップ29の先端は、車内に装着されたガーニッシュ40等の内装部品の先端をカバーして、美観を向上させている。カバーリップ29の表面には装飾層が形成され、ガーニッシュ40と色彩、模様等を調和させることができる。
【0039】
図1に示すように、トリム部20の内部に止水スポンジ又はシーラント部材70を挿入することが好ましい。止水スポンジは、発泡スポンジの長尺状のものが使用される。シーラント部材70は、粘着材がベースとなり、適宜、充填剤や防錆剤等が混入されている。
粘着剤としては、ガラス転移点が−10℃以下であることが好ましい。ガラス転移点が−10℃以下であると、シーラント部材70が充分な粘着力を有し、フランジ7を強固に保持することができる。
【0040】
この粘着剤から構成される止水スポンジ又はシーラント部材70は、図1に示すようにトリム部20の内面の底壁23に密着して挿入されて、フランジ7の先端がシーラント部材70に挿入されて、シーラント部材70がフランジ7の先端を保持している。このため、フランジ7の先端が錆びるのを防止できる。
【0041】
また、粘着性の高いシーラント部材70でフランジ7の先端を保持する場合は、車外側保持リップ25と車内側保持リップ26と合わせてより強くフランジ7を保持することができる。フランジ7の先端がシーラント部材70で包まれるため、より一層、フランジ7が錆びるのを防止できるとともに、車外からの騒音の進入防止と、雨水や埃のシールをすることができる。
【0042】
トリム部20が、断面略J字形をなしている場合は、内部の底壁23密着した部分にシーラント部材70を有し、車内側側壁22は短く形成されているが、シーラント部材70を保持できる長さに形成されている。また、断面略U字形をなしている場合は、車外側側壁21の車外側保持リップ25と車内側側壁22の車内側保持リップ26がシーラント部材70を保持している。
【0043】
次に、オープニングトリムウエザストリップ10の製造方法を説明する。
このオープニングトリムウエザストリップ10は、押出成形により成形され、トリム部20に金属または硬質合成樹脂製のインサート部材24を埋設する場合においても、インサート部材24とトリム部20を構成するソリッドゴムと中空シール部30を構成するスポンジゴムを押出成形機で一体に押出すことができる。
【0044】
オープニングトリムウエザストリップ10の成形においては、成形材料は、合成ゴム、熱可塑性エラストマーが使用され、例えば合成ゴムでは、EPDMゴム、熱可塑性エラストマーでは、ポリオレフィン系エラストマー等が使用される。スポンジ材としてとしては、上記EPDMゴム、熱可塑性エラストマーを発泡させて使用する。
【0045】
合成ゴムの場合は、押出成形後に加硫槽に搬送されて、熱風や高周波等により加熱されて加硫、発泡が行われる。熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂の場合は、押出成形と同時にあるいは押出成形の後に加熱されて発泡して、冷却され固化される。
この押出成形後、ゴムの場合は加硫後においては、トリム部20はハ字形に開いており、撥水層35を塗布するかあるいは、撥水層35を形成するテープ材を接着する。さらに、シーラント部材70をトリム部20内に連続的に挿入し、底壁23に圧着する。これによってシーラント部材70をトリム部20内に接着する。その後、必要な場合には、トリム部20のインサート部材24を分離した後に、断面略U字形に曲げる。
その後所定の長さに切断されて、押出成形部分は製造される。
【0046】
このようにして製造したオープニングトリムウエザストリップ10は、所定寸法に切断されて、自動車の車体開口縁のフランジ7に取付けられる。
オープニングトリムウエザストリップ10をフランジ7に取付ける場合は、そのままフランジ7にトリム部20を挿入する場合や、トリム部20の断面略U字状の開口が若干開いた状態で仮固定して、フランジ7の先端をシーラント部材70内に挿入し、ロールフォーミング方式で取付けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップが図3におけるA−A線に沿った部分の車体開口部周縁に装着された状態の断面図である。
【図2】自動車の側面の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップの正面図である。
【図4】従来のオープニングトリムウエザストリップを自動車の開口縁に取付けた状態における一部断面図である。
【図5】従来の他のオープニングトリムウエザストリップの断面図である。
【図6】従来の他のオープニングトリムウエザストリップの断面図である。
【符号の説明】
【0048】
6 車体開口部周縁
10 オープニングトリムウエザストリップ
20 取付基部(トリム部)
21 車外側側壁
21b 先端部
22 車内側側壁
23 底壁
30 中空シール部
35 撥水層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車体の車体開口部周縁に取付けられ、車体開口部周縁と開口部開閉部材との間をシールする自動車用ウエザストリップにおいて、
上記車体開口部周縁又は開口部開閉部材のフランジ部に取付けられ、車外側側壁、車内側側壁及び底壁を有する断面略U字形又は断面略J字形のトリム部と、該トリム部の車外側側壁の外面に一体的に形成され上記開口部開閉部材又は開口部周縁に当接してシールするシール部を有し、
上記車外側側壁の先端部の端面又は該端面と連続する上記車外側側壁の先端部の内面に撥水層を形成したことを特徴とする自動車用ウエザストリップ。
【請求項2】
上記撥水層は、上記車外側側壁の先端部の端面から連続して上記シール部の上記フランジ部と連続するパネルと対向する部分まで連続して形成された請求項1に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項3】
上記撥水層は、シリコーン塗膜又はフッ素塗膜である請求項1又は請求項2に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項4】
上記トリム部の内部には、止水スポンジ又はシーラント部材が挿入された請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項5】
上記シール部は、中空形状であり、その外面は被覆層が形成された請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の自動車用ウエザストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−155515(P2010−155515A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334367(P2008−334367)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】