説明

自動車用プラスチックグレージングのための加飾用インク系

本発明は、自動車用グレージングパネルのためのインク系を含む。この系は、プラスチック基材に付着し、ハードコート系と適合性があるインクを含む。このインクは、プラスチック基材上に印刷され、ハードコート系がインク上に適用される。このインクは、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂又はこれらの混合物である合成樹脂を有する。このハードコート系は、(10)重量パーセント超の水を有する溶媒を含み、且つ、グリコールエーテル、ケトン、アルコール又は酢酸エステルを含む。このインクは、基材の表面への付着に適応性があり、ハードコート系と適合性がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明プラスチック基材に付着し、下塗り/ハードコート系と適合性がある印刷されたインクを有する自動車用グレージングパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック材料は、車両のスタイルを向上させるために、自動車工学の多くの用途に使用される。例えば、プラスチック材料は、Bピラー、ヘッドランプ、及びサンルーフなどの部品及び構成要素の製造に一般に使用される。透明プラスチック材料に対して登場している用途は、自動車用窓システムである。透明プラスチック材料が自動車用窓を製造するのに使用される場合、このような窓が識別表示を有することが製造の必要条件である。取付けた窓の外観を良くするために、窓の周辺を不透明な次第にぼやける縁取りで表示しなければならないことが多い。更に、窓を耐ひっかき性にするためにコートすることも製造の必要条件である。
【0003】
このようなプラスチック窓の表面を情報及び次第にぼやける縁取りで表示するために、使用されるインクは、窓表面に付着しなければならないのみならず、磨耗及び紫外線(UV)保護用に窓の表面に適用される任意の下塗り/コーティング系に適合性がなければならない。プラスチック窓の表面に表示するのに使用される任意のインクは、保護用コーティング系を適用する間に、軟化したり、損傷を受けたり、剥がれてはならない。このインクはまた、自動車業界により製品を認定するために必要な過酷な試験に耐えることが可能でなければならない。
【0004】
したがって、この業界には、プラスチック窓表面に付着するのみならず、プラスチック窓表面を保護するために使用される任意の下塗り/コーティング系と適合性があるインクを配合することが必要である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明は、自動車用グレージングパネルのためのインク系を提供する。この系は、合成樹脂を有し、プラスチック基材上に印刷されるインクを含む。この合成樹脂は、ポリカーボネート樹脂、又はポリエステル樹脂、又はこれらの混合物を含む。この系は、インク及びプラスチック基材上に適用されるハードコートを更に含む。このハードコートは、第1溶媒及び第2溶媒を含む混合溶媒を含み、但し、第1溶媒は水であり、ハードコートの約10重量パーセント超を構成する。第2溶媒は、グリコールエーテル、ケトン、アルコール、及び酢酸エステルからなる群より選択される。このインクは、基材の表面への付着に適応性があり、ハードコートと適合性があるように調整可能である。
【0006】
発明の詳細な説明
以下の好ましい実施形態の説明は、事実上単に例示的であり、決して、本発明又はこの適用又は使用を限定するものではない。
【0007】
本発明は、透明プラスチック基材及びこのプラスチック基材の表面上に印刷されたインクを含む自動車用グレージングパネルを提供する。本発明の透明プラスチック基材は、下記に限定されるわけではないが、ポリカーボネート、アクリル系、ポリアリレート、ポリエステル、及びポリスルホン樹脂、並びにこれらのコポリマー及び混合物からなってよい。好ましくは、透明プラスチック基材には、ビスフェノールAポリカーボネート及び他のあらゆる樹脂グレード(例えば、分岐又は置換の)、並びに他のポリマー、例えば、PBT、ABS又はポリエチレンとの共重合又はブレンドされたものが含まれる。この透明プラスチック基材は更に、種々の添加剤、例えば、とりわけ着色剤、離型剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤(UVA)からなってよい。
【0008】
透明プラスチック基材の表面上に印刷されたインクは、インクがプラスチック基材の表面に付着するような合成樹脂群を含む。好ましくは、このような合成樹脂群はポリエステル系樹脂又はポリカーボネート系樹脂である。このインクは、透明プラスチック基材の表面上にスクリーン印刷により適用することができるが、当業者には既知の他の印刷方法、例えば、下記に限定されるわけではないが、マスク/スプレー及びタンポン印刷が受け入れられる。
【0009】
このようなインクを透明プラスチック基材に適用し、特に自動車用途に使用する場合は、インクを伴うプラスチック基材は、代表的には、コーティング系、好ましくは、下塗り/ハードコート系でコートされる。このコーティング系は、好ましくは、アクリル系下塗り及びシリコーンハードコートを含む。或いは、他の下塗り/コーティング系を使用してよい。したがって、自動車用途に使用するために選択されるインクは、透明プラスチック基材に付着するのみならず、コーティング系中に使用される下塗りにも付着する。このような下塗りの例としては、Exatec LLC社(Wixom、ミシガン州)から市販され、及びGeneral Electric Silicones社(Waterford、ニューヨーク州)によって流通されるExatec(登録商標)SHP 9Xがある。好ましい一実施形態では、下塗りを透明プラスチック基材上にコートし、空気乾燥し、次いで、約80℃と130℃の間で約20〜80分間、より好ましくは約120℃で約60分間熱により硬化する。次いで、ハードコートを下塗り層上に適用し、空気乾燥した後、好ましくは約80℃と130℃の間で約20〜80分間、より好ましくは約100℃で約30分間硬化する。本発明で使用される好ましいシリコーンハードコートは、Exatec(登録商標)SHXとしてExatec LLC社から入手可能であり、General Electric Silicones社によって流通されている。
【0010】
本発明の好ましい実施形態では、下塗り/ハードコート系中の下塗りは、第1溶媒として水を、第2共溶媒として有機液体を含む水性下塗りである。第1溶媒の水は、好ましくは水性下塗りの10重量パーセント超、より好ましくは水性下塗りの約50重量パーセント超、最も好ましくは水性下塗りの少なくとも80重量パーセントを超えて含まれる。下塗り/ハードコート系中に存在する第2共溶媒に関する一般的な化学的分類としては、グリコールエーテル、ケトン、アルコール及び酢酸エステルがあり、この共溶媒は、水性下塗りの90重量パーセント未満、より好ましくは水性下塗りの約50重量パーセント未満、最も好ましくは水性下塗りの約20重量パーセント未満で存在する。例えば、Exatec(登録商標)SHP 9X下塗り中に存在する第2共溶媒は、2−ブトキシエタノール(エチレングリコールモノブチルエーテルとも呼ばれる)である。このアクリル系下塗り中の樹脂含有量は、代表的には下塗りの約2〜7重量パーセントであり、下塗りの残りは、第1溶媒及び第2共溶媒から構成されている。好ましくは、この下塗り中のアクリル系樹脂はポリメタクリル酸メチルである。このアクリル系樹脂は、水溶性、分散性、又は還元性の樹脂として存在し得る。下塗り用の溶媒系が上記のものと類似している限り、他のポリマーを下塗り中に使用してもよい。この下塗りは、他の添加剤、例えば下記に限定されるわけではないが、とりわけ界面活性剤、酸化防止剤、殺生物剤、及び乾燥剤を含んでよい。
【0011】
或いは、下塗りなしハードコート用の溶媒系が水性下塗りに対して上に記載のものに類似している限りは、この下塗りなしハードコートを使用してよい。この実施形態では、選択されるインクは、透明プラスチック基材に付着するのみならず、下塗りなしハードコートにも付着する。好ましくは、下塗りなしハードコート中の樹脂は、シリコーン樹脂であり、メチルシルセスキオキサン樹脂が特に好ましい。下塗りなしハードコート系、並びに下塗り/ハードコート系を、印刷されたインクパターンを含む透明プラスチック基材に、ディップコーティング法として当業者には既知の方法で、プラスチック基材をコーティング中に室温及び大気圧においてディッピングすることによって適用する。或いは、下塗り/ハードコート系を、流し塗り、カーテンコーティング法、又はスプレー法或いは当業者には既知の他の方法によって適用してよい。
【0012】
自動車用グレージングパネルに追加の又は増強された機能、例えば改善された耐磨耗性を加える上塗りを、下塗り/ハードコート系の上面に任意選択で適用してよい。このようなコーティングの例には、Exatec(登録商標)900グレージング系中に使用される耐磨耗性上塗りがある。Exatec(登録商標)900グレージング系では、自動車用グレージングパネルは、透明なポリカーボネート基材、本明細書で論じられるインク、水性アクリル系下塗り(Exatec(登録商標)SHP 9X、Exatec LLC社と共にGE Silicones社)、シリコーンハードコート(Exatec(登録商標)SHX、Exatec LLC社と共にGE Silicones社)、及びプラズマ強化化学蒸着法を用いて堆積した「ガラス様」上塗りを含む。他の可能な上塗りの具体例としては、下記に限定されるわけではないが、酸化アルミニウム、フッ化バリウム、窒化ホウ素、酸化ハフニウム、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化スカンジウム、一酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、シリコンオキシカーバイド、炭化ケイ素、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウムスズ、酸化イットリウム、酸化亜鉛、セレン化亜鉛、硫化亜鉛、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコニウム、又はガラス、及びこれらの混合物又はブレンドがある。
【0013】
任意選択的上塗りは、当業者には既知の任意の技法によって適用してよい。これらの技法には、反応性化学種からの堆積、例えば、真空援用堆積法、及び基板にゾルゲル法コーティングを適用するのに使用されるものなどの常圧コーティング法に使用されるものが含まれる。真空援用堆積法の例としては、下記に限定されるわけではないが、プラズマ強化化学蒸着法、イオン援用プラズマ堆積法、マグネトロンスパッタリング法、電子ビーム蒸着法、及びイオンビームスパッタリング法がある。常圧コーティング法の例としては、下記に限定されるわけではないが、カーテンコーティング法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、及び流し塗りがある。
【0014】
透明プラスチック基材は、当業者には既知の任意の技法、例えば、押出し、射出成形、ブロー成形及び圧縮成形を含む成形、又は熱成形、真空形成、及び冷間成形を含む熱的成形(thermoforming)を使用して窓に成形してもよい。透明プラスチック基材を用いる窓の成形は、印刷の前、印刷の後又は下塗り/ハードコート系の適用後に実施してよい。
【0015】
このインクが下塗り又は下塗りなしハードコート中に使用される溶媒に耐性を持つためには、インク配合物に使用される合成樹脂が、プラスチック表面に適用した後に架橋可能であることが重要である。このインクが下塗り又はハードコート中の溶媒への暴露に耐えることができるがどうかを試験するためには、インクを「適合性試験」にかける。この実施形態では、このインクが下塗り又は下塗りなしハードコートによって化学的に又は物理的に作用を受けない場合は、インクは、コーティング系と適合性があり、それゆえに許容されるとみなされる。化学的及び物理的作用は、コーティング系を印刷されたプラスチック基材に適用後直ちに、このインクが「滲み出す」か、又は擦ることによって基材から容易に剥がれるところまで軟化するかどうか;或いは適用した下塗りが適用中に「めくれる」かどうかを観察することによって定量化される。表面エネルギー/表面張力の勾配が、このコーティングが乾燥したインク印刷物の表面を濡らす作用をなくさせると、コーティングがめくれる。言い換えれば、このインクが、下塗り/ハードコート系に暴露された後で、滲み出さず又は基材から擦れて落ちない場合、或いは適用中に下塗りがめくれない場合は、このインクは、プラスチック基材上に使用することができ、且つ、下塗り/ハードコート系を適用するのを許容することができる。
【0016】
本発明者らは、インクと、ポリカーボネートなどのプラスチック基材との、及び水性下塗り/ハードコート系との適合性を試験する実験を実施した。本発明者らは、プラスチック(例えば、ポリカーボネート)に良好に付着する単一成分、複数成分、及び放射線硬化性の樹脂を含む大部分の合成樹脂インクは、水性下塗り/ハードコート系と適合性があることを見出した。このような単一成分インクとしては、下記に限定されるわけではないが、アクリル樹脂インク、アクリル/ニトロセルロース樹脂インク、ニトロセルロース/ポリアミド樹脂インク、ビニル/アクリル樹脂インク、アルキド樹脂インク、ビニル/ポリエステル樹脂インク、ビニル樹脂インク、ポリカーボネート樹脂インク、及びポリエステル樹脂インクがある。複数成分のインクとしては、とりわけ、エポキシ樹脂インク、アクリル樹脂インク、ポリエステル樹脂インク、及びポリウレタン樹脂インクがある。放射線硬化性インクとしては、アクリレート樹脂インクがある。
【0017】
インクを「適合性試験」にかけた後、このインクは、自動車相手先商標製品による製造会社(OEM)によって規定された追加の試験にも合格しなければならない。このような試験としては、高温での浸水試験、及びカタプラズマ類似試験又は完全カタプラズマ試験がある。このインクがすべての規定された試験に合格しなければ、この透明プラスチック基材は、自動車用プラスチックグレージングとして組立自動車両に使用することはできない。
【0018】
浸水試験は、ASTM D3359−95に従って最初のクロスハッチ付着性試験(テープ引張り)、続いて、印刷し且つコートしたプラスチック基材を約65℃の高温の蒸留水中にほぼ10日間水浸する。インクと、下塗り/ハードコートとの及び任意選択的ハードコートの上面又は下面に適用されたどんな上塗りとの付着性も、最大10日間まで一日おきに試験する。インク及び下塗り/ハードコート並びに任意選択的上塗りの95パーセント超の保持が10日目に達成された場合のみ、インクはこの試験に合格する。
【0019】
本発明者らは、水性下塗り/ハードコート系で上塗りされる利用可能なインクの約63パーセントしか前記浸水試験に合格しないことを見出した。主たる不合格の様式は、印刷されたインク表面から下塗り/ハードコート系の層間剥離である。理論に限定されることなく、本発明者らは、インクは水性下塗り/ハードコート系の適用に適合性はあるが、印刷されたインクと水性下塗りの間に確立される付着の構造が弱く、加水分解の攻撃又は分解を受けやすいものと考える。この浸水試験に合格する単一成分及び複数成分のインク配合物中に存在する樹脂系列には、ポリエステル、ポリカーボネート及びアクリル系が含まれる。アクリレート系樹脂からなるすべての放射線硬化性インク配合物は、この試験に落ちることが分かった。
【0020】
他の方式の付着性試験は、カタプラズマ類似試験又は完全カタプラズマ試験で代表される。これらの2つの試験は、1つの例外を除き試料の調製及び暴露条件は同じである。カタプラズマ類似試験は、印刷されたインク及び適用されたコーティングの外観及び付着性を評価する。完全カタプラズマ試験は、グレージング業界で使用される、印刷されたインク及びコーティング系上に適用される場合の標準付着系の性能を評価する。言い換えれば、完全カタプラズマ試験は、窓接着系に対する接着剤剥離試験及びクロスハッチ付着性試験を実施する方法を提供し、一方、カタプラズマ類似試験はクロスハッチ付着性結果のみを提供する。カタプラズマ試験で使用される環境条件は、当業者には極めて厳しいものとみなされる。したがって、非常に少数のインク及びコーティングが、この試験に耐えるか又は合格することが可能であると知られている。
【0021】
完全カタプラズマ試験は、自動車用グレージングパネルに下記の接着剤下塗り及び接着剤を適用することを含む。(1)BETASEAL 43518−Clear Primer、(2)BETASEAL 48520A−Black Primer、及び(3)BETASEAL 57302−Urethane Adhesive(Dow Autometive社、ミシガン州)。或いは、これもDow Autometive社によって製造された、下記の接着剤下塗り及び接着剤を使用することができる。(1)BETAWIPE VP 04604−Clear Primer、2)BETAPRIME 5071−Black Primer、及び(3)BETASEAL 1815−Urethane Adhesive。この自動車用グレージングパネルは、試験する領域に2つの接着剤ビード(それぞれが、幅約1インチで長さ約9インチ以上)及び暴露後に適用される2つの付着性クロスハッチ(1つは参照のために透明な領域に、及び1つは印刷された又はインクの付いた領域)を加えるのに十分な大きさであるべきである。試験プロトコルに関するより詳細については、当技術分野で知られており、本明細書に援用する、Dow Automotive AG−試験方法No 039Eカタプラズマ処理(Test method No 039E Cataplasma Treatment)を参照することができる。本明細書に記載のカタプラズマ試験は、プラスチック基材に適応するように修正されている。
【0022】
粘着テープを自動車用グレージングパネルの上面に40cm毎の間隔で適用する。この実施形態では、接着剤下塗りは、接着剤ビードに対してオーバーハングを生じさせるために、グレージングパネルの上部40cmには適用しない。次いで、Clear Primerをテープに垂直に多数のテープ条片に重ねて適用する。次いで、Black Primerを適用する。Black Primerが硬化した後に、約1〜2分かけてテープを剥がす。次のステップに移る前に最短でも約30分〜24時間乾燥させておく。接着剤ビードを電気コーキングガンでBlack Primerに適用する。このコーキングを試験の前に約96時間硬化させておく。この接着剤ビードが硬化した後、1つのビードについて接着剤の剥離試験を実施する。カタプラズマ試験で前述した環境条件に暴露後、適用された別の接着剤ビードを同様の方法で試験する。ビードの長さ及び存在する接着剤の量を測定する。
【0023】
自動車用グレージングパネルが暴露前剥離で不合格になった場合は、以降の試験から除く。自動車用グレージングパネルをIPAを用いて洗浄し、チーズクロスを用いて乾燥する。次いで、グレージングパネルを綿のマットで包み、ポリエチレン袋中に入れる。この綿のマットを、綿の約10倍に等しい脱イオン水を吸収させる。この袋をシールし、約70±2℃に予備加熱したオーブン中に入れる。グレージングパネルをこのオーブン中に約7日間留める。次いで、パネルを冷凍庫中に−20℃±2℃で約3時間収納する。約3時間後、グレージングパネルを取り出し、コンディショニングルーム(23±2℃)に入れ、そこでこれらは約2時間後に熱平衡に達する。コンディショニング後、暴露された接着剤ビードの第2接着剤を剥離する前述のステップを反復する。クロスハッチ付着試験を、自動車用グレージングパネルの透明な表面又は印刷した若しくはインクの付いた表面の両方に対して実施する。
【0024】
接着剤ビード内の凝集破壊の量を決定するのに、表Iに提供する系の評点を使用する。この試験で4B(80パーセント)未満のいずれの評点も不合格とみなされる。下塗りが存在しない(例えば、テープが位置する)ビード上の領域は、この系の評点の測定には含まれない。この試験における自動車用グレージングパネルの外観も、表2に記載のカテゴリーを用いて記録する。自動車用グレージングパネルが完全カタプラズマ試験に合格するためには、系全体(即ち、プラスチック基材/インク/下塗り/ハードコート/任意選択的上塗り)が、好ましくは、様々な温度及び湿度条件で高水準の加水分解安定性を示す必要がある。
【0025】
【表1】

【0026】
【表2】

【0027】
本発明者らは、ある範囲内で特定のポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂のブレンドを有するインクは、浸水、カタプラズマ類似、及び完全カタプラズマを含むすべてのOEM試験に耐え得ることを思いがけなく見出し、且つ、溶媒として少なくとも10重量パーセントの水を有する下塗り/ハードコート系と適合性のあることを見出した。このOEM試験に合格するインク中のポリエステル樹脂は、直鎖又は分枝鎖の脂肪族又は芳香族ポリマーである飽和ポリエステルの混合物である。これらのポリマーは、相互の反応性の高い基を含む他の樹脂(例えば、アミノホルムアルデヒド、メラミン、ポリイソシアネート等)と縮合重合により被膜を形成するヒドロキシル基又はカルボキシル基を含み得る。飽和ポリエステルは、種々のアルコール(二価、三価及び四価アルコール)と酸(又は酸無水物)、例えば、無水オルトフタル酸、テレフタル酸、無水トリメリト酸の重合から作製される。一般に、過剰なポリオールが使用され、これにより最終樹脂中に過剰なヒドロキシル官能基が提供される。あるポリオール、例えば、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール(TMPD)、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、ネオペンチルグリコール(NPG)、及びトリメチロールプロパン(TMP)では、エチレングリコール又はグリセロールより加水分解に安定な系が得られることが知られている。原材料として過剰な酸が使用される場合は、得られる樹脂はカルボキシル化官能基を含む。
【0028】
このOEM試験に合格するポリカーボネートインクは、高温ポリカーボネート樹脂を含む。インク中に使用されるこのポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート成形基材とのインモールドデコレーション(IMD)に適している。このポリカーボネート樹脂は、一炭素原子が二置換されたジヒドロキシジフェニルシクロアルカンをベースとする。この樹脂は、二官能性カーボネート構造単位又はヒドロキシル基を含み得る。このポリカーボネートの骨格は、脂肪族か又は芳香族、並びに直鎖か又は分枝とすることができる。この結合剤中に存在するヒドロキシル基は、ジフェニルカーボネートのポリオール、例えば、アルキレンジオール又はアルキレンエーテルジオールによるアルコーリシスから得ることができる。他の適当なジオール又はジフェノールとしては、ジヒドロキシジフェニルシクロアルカン、例えば、2,2−ビス−(4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)−プロパン及び1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンがある。2つを超えるヒドロキシル基を含む他のポリオール、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、又はペンタエリトリトールを取り入れてよい。
【0029】
ポリカーボネートとポリエステル樹脂の間に更に架橋を進めるためには、配合されたインクは、好ましくは少量のイソシアネート添加剤を含む。好ましくはこのインク中に使用される溶媒は、芳香族炭化水素と二塩基酸エステルの混合物である。この実施形態では、ブレンドされたインクは、ポリカーボネート樹脂約1.9〜13.2重量パーセント、ポリエステル樹脂約5.4〜34.2重量パーセント及びイソシアネート添加剤約0.1〜5、0重量パーセント並びに溶媒約20.7〜84.3重量パーセントによって特徴づけられる。このインクは、貯蔵安定性及び保管寿命のために、上記より高い固体パーセントで配合し、次いで、使用直前に溶媒を添加することによって上記のパラメータに固体含有量を「降下」又は減少してよい。更に、配合されたインクは、着色顔料約3.6〜38.2重量パーセント、45.2パーセントまでの隠ぺい力向上用充填剤、及び約1.5重量パーセントまでの分散剤を含んでよい。
【0030】
このインクは、当業者には既知の分散技術、例えば、下記に限定されるわけではないが、ボールミル、ロールミル、磨砕ミル、及び高速度ブレードミキサを用いて原材料から調製することができる。このインクは、2種のインク配合物をある比率で一緒にブレンドすることによって調製してよい。2種のインク配合物のどちらにも存在しない追加の成分、例えばイソシアネート添加剤、分散剤、充填剤、及び顔料は、上記の分散技術によって配合物に添加される。本発明者らは、ポリエステルインク対ポリカーボネートインクの重量比は、好ましくは約100:0未満及び約50:50を超えることを見出した。
【0031】
適用された乾燥/硬化印刷物中に残留する固体に関する組成物は、ポリエステルインク約49〜72重量パーセント及びポリカーボネートインク約12〜18重量パーセントである。このブレンド中に取り込まれているイソシアネート添加剤の固体重量パーセントは、約6〜10パーセントである。このインク組成物は、l.5パーセントまでの追加の界面活性剤約及び約30パーセントまでの追加の充填剤又は顔料を任意選択的に含んでいてもよい。
【0032】
上記ブレンド中に使用されるポリカーボネートインク(Noriphan(登録商標)HTR、Proll KG、ドイツ国)は、エチルベンゼン、ソルベントナフサ(軽質芳香族)、1,2,4−トリメチルベンゼン、キシレン異性体、ジアセトンアルコール、メシチレン、n−ブチルアルコール、及び種々のエステルに分散された、ポリカーボネート樹脂と高温で安定な顔料との混合物を含む。
【0033】
このポリエステルインク(8400 Series CVIM、Nazdar Inc.社、カンザス州)は、石油留出物(約14〜28重量パーセント)、シクロヘキサノン混合物(約4〜8重量パーセント)、及びナフタレン(約4パーセント未満)に分散された、ポリエステル樹脂混合物(約19〜33重量パーセント)、TiO2(約38重量パーセントまで)、カーボンブラック(約11重量パーセントまで)、γ−ブチロラクトン(約4〜10重量パーセント)、脂肪族二塩基酸エステル及び着色顔料(約11重量パーセントまで)を含む。
【0034】
このインク中の着色顔料は、好ましくはカーボンブラックであるが、他の無機及び有機着色顔料を使用してよい。このような着色顔料としては、下記に限定されるわけではないが、カーボンブラック、銅フタロシアニンブルー、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンマゼンタ、アゾジアリライドイエロー、ルチル形二酸化チタン(ホワイト)、ペリレンレッド、モリブデートオレンジ、イエロー酸化鉄、グリーン酸化クロム、又はカドミウムオレンジがあり得る。特殊効果顔料、例えばパール光沢顔料及び金属フレークを配合物中に取り込んでよい。
【0035】
使用されるイソシアネート添加剤は、好ましくは芳香族ポリイソシアネート、例えばNB−70触媒(Nazdar Inc社、カンザス州)である。この特定のイソシアネートは、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(40パーセント、PMアセテートとも呼ばれている)に分散されるが、他の溶媒を使用してよい。このイソシアネートは、他の芳香族又は脂肪族ジイソシアネート、例えばとりわけ、ポリマージイソシアン酸ヘキサメチレン(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,6−ジイソシアン酸トリレン(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、又はジイソシアン酸キシレン(XDI)としてもよい。
【0036】
任意選択的分散剤は、イオン性又は非イオン性分散剤とすることができる。このような界面活性剤としては、下記に限定されるわけではないが、金属石鹸、スルホネート、リン酸エステル、脂肪酸エステル、フルオロ脂肪族ポリマーエステル、チタネート若しくはジルコネート又はアルミネートカップリング剤、有機変性ポリシロキサン、ポリ(アルキレンオキシド)のブロックコポリマー、及び市販の商標名の界面活性剤、例えばHypermer(登録商標)及びSolsperse(登録商標)超分散剤(ICI Americas、inc社)がある。任意選択的界面活性剤は、好ましくは有機変性ポリシロキサン(ポリエーテルシロキサンコポリマーとも呼ばれている)、例えばTego(登録商標)Wet KL 245(Goldshmidt Chermical Corp.社、バージニア州)である。
【0037】
任意選択的隠ぺい力向上用充填剤はとりわけ、無機の性質のもの、例えばアルミナ、シリカ、二酸化チタン、ケイ酸マグネシウム(タルク)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム(粘土)、ケイ酸カルシウム(珪灰石)、ケイ酸アルミニウムカリウム(雲母)、金属フレーク等、或いは有機の性質のもの、例えば、ファーネスブラック、チャネルブラック、及びランプブラックとすることができる。高屈折性充填剤、例えば二酸化チタンは、これらの1.0マイクロメートル未満の小さい平均粒径のために、隠ぺい力を増大するのに好ましい。例えば、0.36マイクロメートルの平均粒径を有する二酸化チタンは、Ti−Pure(登録商標)R−706(DuPont Titanium Technologies社、デラウェア州)として入手可能である。
【実施例】
【0038】
以下の具体例は、本発明を例示するために示されており、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0039】
(例1)
浸水試験
ポリカーボネート基材に、水性アクリル系下塗り(Exatec(登録商標)SHP 9X)と適合性があると分かった種々のインク(表3参照)をスクリーン印刷した。それぞれのインクは、製造者の技術的データシートに従って混合及び調製した。いずれの場合も、ポリカーボネート基材上へのこのインクのスクリーン印刷により、インクが硬化した後約8マイクロメートルの「乾燥時」のインク厚さがもたらされた。各インク印刷物は、製造者の推奨する条件に従って乾燥又は硬化した。
【0040】
次いで、それぞれの印刷されたポリカーボネート基材に、Exatec(登録商標)SHP 9Xアクリル系下塗り及びExatec(登録商標)SHXシリコーンハードコート(General Electric Silicones社と共にExatec LLC社)を用いて流し塗りをした。アクリル系プライマの流し塗りは、室温及び大気圧で実施した。それぞれの適用されたコーティングの流し塗り及び硬化は、その製造者の推奨する条件に従って実施した。
【0041】
それぞれのコートされたポリカーボネート基材を、コーティングの付着性が、2つのクロスハッチ(1つのクロスハッチは、ポリカーボネート基材の印刷領域上に、第2クロスハッチは透明な部分上に)を用いて監視される前述の浸水試験にかけた。第2クロスハッチは、コーティングの完全性を確証するための対照として使用した。印刷された領域上の各クロスハッチに対して得られた結果を表3に提供する。インク及び下塗り/ハードコートの95パーセント超の保持が浸水の10日目に得られる場合に限り、インクはこの試験に合格する。
【0042】
下記の表IIIに示すように、試験したインクの63パーセント未満(19例中12例)が浸水試験に合格した。コーティングの層間剥離は、インク/下塗りの界面に起こる故障解析により決定した。水性下塗りに対する浸水試験に合格する単一及び複数の成分インクは、評価したインクの全体の数の約86パーセント(14例中12例」)を示した。
【0043】
上に得られた結果から分かるように、ポリカーボネート樹脂(インク番号6〜9)又はポリエステル樹脂(インク番号1及び3)を含むインクは、アクリル系、2パックのアクリル系、アクリル系+酢酸プロピオン酸セルロース、PVC+アクリル系樹脂(インク番号2、5、11、12、13、14)を含む少数のインクを加えて、水性プライマ/ハードコート系でコートされた後の浸水試験に合格することが分かった。すべての放射線硬化性インク(インク番号l5〜19)は、適合性試験に不合格であった。
【0044】
【表3】

【0045】
(例2)
ポリカーボネート(PG)とポリエステル(PE)比
ポリカーボネートインクをポリエステルインクと種々の比率でブレンドすることによって調製した、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂の組合せを用いて、いくつかの単一成分インクを配合した。本発明者らは、これらの2種の樹脂の組合せを含むインクは、カタプラズマ試験プロトコルに合格する最良の可能性を有するはずであると考える。
【0046】
表IVは、ポリカーボネートインク(NoriPhan(登録商標)HTR−952、PraI1、Proll KG社、ドイツ)とポリエステルインク(8452、Nazdar Inc.社、カンザス州)を、中速ブレードミキサを用いて、3種の比率にブレンドすることによって作製したインク組成物を表す。2種のインクをブレンドした後、追加の溶媒(097/003 遅延剤、Proll KG社及びRE196遅延剤、Nazdar inc.社)を、イソシアネート添加剤を添加する前にインクに混合した。この芳香族系イソシアネート添加剤(NB−70、Nazdar Inc.社、カンザス州)がブレンドしたインクに添加する最後の成分であった。混合工程時にインク中に取り込まれた少しの空気も減少させるか又は除去するために、ブレンドしたインクを印刷を開始する前に約15〜20分間静置させておいた。
【0047】
【表4】

【0048】
上記の各インク(インク番号20〜22)をスクリーン印刷によりポリカーボネート基材に適用し、次いで水性Exatec(登録商標)SHP 9X下塗り及びExatec(登録商標)SHXハードコート系を上塗りした。この例では、任意選択的「ガラス様」上塗りを、プラズマ強化化学蒸着法を介してハードコート系の表面上に堆積した。この、下塗り、ハードコート、及び上塗りの組合せは、Exatec(登録商標)900グレージング系を意味する。次いで、このコートした基材を前述の浸水試験及びカタプラズマ類似試験にかける。
【0049】
表Vに示すように、80PE:20PCの比率のポリエステル(PE)対ポリカーボネート(PC)のブレンド(インク番号20)は、思いがけなく、浸水試験及びカタプラズマ試験両方の試験の要求事項すべてに合格する。上記の表から分かるように、20:80のPE:PC比で逆にブレンドしたインク番号22は、大部分の試験に不合格になる。約50:50のPE:PC比でブレンドしたインク番号21の複数の試料は、試験の要求事項すべてに合格と不合格の間の境界線にあることが認められる。上記の範囲外にあるすべてのインクブレンドは、浸水試験或いはカタプラズマ類似試験に不合格であることが見出された。
【0050】
【表5】

【0051】
(例3)
PE:PCブレンドに対する実験計画
例2に記載の3種のインクブレンド(インク番号20〜22)を、要因実験計画法(DOE)アプローチを用いて最適化した。この実験法アプローチにより、それぞれのブレンドしたインクに対する触媒重量パーセント、インク硬化温度及びインク硬化時間の、工程及び配合の変数を評価した。各ブレンドしたインクを、表VIに記載の触媒重量パーセントを用いて、例2に記載の手順に従って調製した。
【0052】
それぞれのインクを、スクリーン印刷を介してポリカーボネート基材に適用し、表VIに記載の条件により硬化した。次いで、それぞれの印刷した基材に、水性Exatec(登録商標)SHP 9X下塗り及びExatec(登録商標)SHXハードコート系を、製造者が推奨する手順に従って上塗りした。この例では、任意選択的「ガラス様」上塗りを、プラズマ強化化学蒸着法の使用によりハードコート系の表面上に堆積した。この、下塗り、ハードコート、及び上塗りの組合せは、Exatec(登録商標)900グレージング系を意味する。次いで、このコートした基材を前述の浸水試験及びカタプラズマ類似試験にかける。この試験結果を表VIに要約する。
【0053】
表VIに示すように、80:20ポリエステル:ポリカーボネート樹脂を含むインクブレンド(インク番号20)は、100℃30分間及び100℃60分間の硬化条件で、すべての試験に合格する。対照的に、20:80ポリエステル:ポリカーボネート樹脂を含むインクブレンド(インク番号22)は、すべての硬化条件で大部分の試験に不合格となる。50:50ポリエチレン:ポリカーボネート樹脂を含む中間のインクブレンド(インク番号21)は、試験に合格すると共に不合格となり、これによって許容の下限を示す。
【0054】
すべての測定結果を、完全な分散分析法プロトコル(Design−Expert(登録商標)(Stat−Ease Inc.社、ミネアポリス、ミネソタ州)などの、最も標準的な統計ソフトウエアパッケージで入手可能である)を用いて分析した。浸水試験及びカタプラズマ類似試験における付着性保持率、並びに完全カタプラズマ試験における接着系の凝集破壊度に対してこの分析で作製した応答曲面を、(i)硬化温度及び樹脂比率、及び(ii)硬化時間及び樹脂比率の関数として、それぞれ、図1(A〜C)及び2(A〜C)にプロットした。各試験で作製された応答曲面は、100〜125℃の範囲の硬化温度(図IA〜1C)、及び30〜60分間の範囲の硬化時間(図2A〜2C)にわたり、PE:PCをブレンドしたインク中のポリエステル樹脂の比率が増加すると付着性が向上することを実証している。
【0055】
【表6】

【0056】
この例は、すべてのOEM試験プロトコルに合格するためには、このインクが、約100:0未満で約50:50超のポリエステル樹脂対ポリカーボネート樹脂の重量比を含むことが好ましいことを実証している。
【0057】
当業者なら、特許請求の範囲に定義された本発明の範囲から逸脱することなく、前の説明から本発明の好ましい実施形態に修正形態及び変更形態を加えることができることを理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1A】ポリエステル(PE)樹脂対ポリカーボネート(PC)樹脂の比率、インク硬化温度、及び浸水試験における付着性保持率に対する応答曲面のプロットである。
【図1B】PE樹脂対PC樹脂の比率、インク硬化温度、及びカタプラズマ類似試験における付着性保持率に対する応答曲面のプロットである。
【図1C】PE樹脂対PC樹脂の比率、インク硬化温度、及び完全カタプラズマ試験における接着系の凝集破壊度での付着性保持率に対する応答曲面のプロットである。
【図2A】PE樹脂対PC樹脂の比率、インク硬化時間、及び浸水試験における付着性保持率に対する応答曲面のプロットである。
【図2B】PE樹脂対PC樹脂の比率、インク硬化時間、及びカタプラズマ類似試験における付着性保持率に対する応答曲面のプロットである。
【図2C】PE樹脂対PC樹脂の比率、インク硬化時間、及び完全カタプラズマ試験における接着系の凝集破壊度での付着性保持率に対する応答曲面のプロットである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用グレージングのためのインク系であって、
プラスチック基材上に印刷されるインクであって、該インクは合成樹脂を含み、該合成樹脂はポリカーボネート樹脂、又はポリエステル樹脂、又はこれらの混合物を含むインク、及び
インク上に適用されるハードコートであって、該ハードコートは第1溶媒と第2溶媒とを含む混合溶媒を含み、該第1溶媒は水であってハードコートの約10重量パーセント超を構成し、該第2溶媒はグリコールエーテル、ケトン、アルコール、及び酢酸エステルからなる群より選択されるハードコート
を含み、
該インクは前記基材の表面への付着に適応性があり、ハードコートと適合性がある
インク系。
【請求項2】
合成樹脂が、前記基材の表面への付着性を維持しながら、ハードコートと適合性があるように、合成樹脂架橋のためのヒドロキシル官能基及びカルボキシル官能基のうちの1つを含む、請求項1に記載の系。
【請求項3】
ポリカーボネート樹脂が、高温で安定な顔料、エチルベンゼン、軽質芳香族溶媒、1,2,4−トリメチルベンゼン、キシレン異性体、ジアセトンアルコール、メシチレン、n−ブチルアルコール、又はエステル、又はこれらの混合物を含む、請求項1に記載の系。
【請求項4】
ポリエステルインクが、約14〜28重量パーセントの石油留出物、約4〜8重量パーセントのシクロヘキサノン、及び約4重量パーセントまでのナフタレンに分散した、約19〜33重量パーセントのポリエステル樹脂、約38重量パーセントまでの二酸化チタン、約11重量パーセントまでのカーボンブラック、約4〜10重量パーセントのγ−ブチロラクトン、約11重量パーセントまでの脂肪族二塩基酸エステル、約11重量パーセントまでの着色顔料を含む、請求項1に記載の系。
【請求項5】
ハードコートが下塗り/ハードコート系及び下塗りなしハードコートのうちの1つであり、該ハードコートが下塗り及びシリコーンハードコートを含む、請求項1に記載の系。
【請求項6】
ハードコートがアクリル系下塗りである、請求項5に記載の系。
【請求項7】
ハードコートが、ハードコートの約2〜7重量パーセントを構成する樹脂を有する、請求項5に記載の系。
【請求項8】
樹脂がポリメタクリル酸メチルである、請求項7に記載の系。
【請求項9】
性能向上のための、下塗り/ハードコート及び下塗りなしハードコートのうちの1つの上に堆積される上塗りを更に含む、請求項5に記載の系。
【請求項10】
上塗りが、酸化アルミニウム、フッ化バリウム、窒化ホウ素、酸化ハフニウム、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化スカンジウム、一酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、シリコンオキシカーバイド、炭化ケイ素、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウムスズ、酸化イットリウム、酸化亜鉛、セレン化亜鉛、硫化亜鉛、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコニウム、又は酸化ケイ素、又はこれらの混合物からなる群より選択される、請求項9に記載の系。
【請求項11】
上塗りが、以下の技術、すなわち、プラズマ強化化学蒸着法、イオン援用プラズマ堆積法、マグネトロンスパッタリング法、電子ビーム蒸着法、及びイオンビームスパッタリング法、カーテンコーティング法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、及び流し塗りのうちの1つによって堆積される、請求項10に記載の系。
【請求項12】
混合溶媒が、少なくとも約50重量パーセントの水を含む、請求項1に記載の系。
【請求項13】
混合溶媒が、少なくとも約85重量パーセントの水を含む、請求項1に記載の系。
【請求項14】
インクが、約4〜20マイクロメートルの厚さを有している、請求項1に記載の系。
【請求項15】
インクが、約5〜8マイクロメートルの厚さを有している、請求項1に記載の系。
【請求項16】
ポリエステル樹脂が、約5〜34重量パーセントのポリエステルインクを含み、ポリカーボネート樹脂が、約1〜13重量パーセントのポリカーボネートインクを含む、請求項1に記載の系。
【請求項17】
ポリエステルインクとポリカーボネートインクが、約50:50を超える重量比を有する、請求項1に記載の系。
【請求項18】
ポリエステルインクとポリカーボネートインクが、約80:20の重量比を有する、請求項1に記載の系。
【請求項19】
インクが、約0.1〜5重量パーセントのイソシアネートを更に含み、残りが溶媒である、請求項1に記載の系。
【請求項20】
インクが、
約3〜38重量パーセントの着色顔料、
約45重量パーセントまでの隠ぺい力向上用充填剤、及び
約1重量パーセントまでの分散剤
を更に含む、請求項19に記載のパネル。
【請求項21】
分散剤が有機変性ポリシロキサンである、請求項20に記載の系。
【請求項22】
有機変性ポリシロキサンが、ポリエーテルシロキサンコポリマーである、請求項21に記載の系。
【請求項23】
隠ぺい力向上用充填剤が、約1.0マイクロメートル以下の平均粒径を有する無機酸化物である、請求項20に記載の系。
【請求項24】
無機酸化物が二酸化チタンである、請求項23に記載の系。
【請求項25】
着色顔料が、カーボンブラック、チャネルブラック、ファーネスブラック、又は二酸化チタンである、請求項20に記載の系。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【公表番号】特表2008−508416(P2008−508416A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524891(P2007−524891)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/027292
【国際公開番号】WO2006/017451
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(505365404)エクスアテック、エル.エル.シー. (51)
【Fターム(参考)】