説明

自発光式視線誘導標および自発光式視線誘導装置

【課題】道路側縁に容易に設置できるコンパクトな形状でありながら、視線誘導効果の高い発光パターンで発光する自発光式視線誘導標を提供する。
【解決手段】発光体1を上下方向に配列した縦長の発光部2を柱状の本体に形成し、発光部2において隣接する所定の数の発光体1を同時に点滅して発光群を表す。この発光群が下方向に動く点滅パターンと上方向に動く点滅パターンを交互に繰り返して発光させ、ドライバーから見慣れにくい発光パターンとする。また、自発光式視線誘導標を道路に沿って複数設置して自発光式視線誘導装置を構成し、各々の自発光式視線誘導標に表される発光群の高さの位相と点滅のタイミングを揃えて発光させ、より高い視線誘導効果を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路周辺に設置される自発光式視線誘導標および自発光式視線誘導標が道路に沿って複数設置された自発光式視線誘導装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路を通行するドライバーに対して、発光体の発する光によって視線誘導や注意喚起を行うための自発光式視線誘導標については、多くの発明が開示されている。
【0003】
例えば特許文献1には、円盤状の基台に点滅警告灯が環状に配置され、点滅警告灯の発光軌跡が一体的に回転するように、その発光タイミングが制御される点滅警告装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】実開平6−19209号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の如き点滅警告装置は、点滅警告灯が円盤状の基台に環状に配置されるので、装置の横幅が大きくなり、道路側縁などに設置する場合に車両に接触しないように道路から大きく離して設置しなければならなかった。また点滅警告灯の発光軌跡が円盤状の基台上で回転するように発光するので、装置の大きさに対して発光軌跡の変位する範囲が小さくなり、発光パターンが見慣れやすくなるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、道路側縁に容易に設置できるコンパクトな形状でありながら、見慣れにくい発光パターンで発光する自発光式視線誘導標および自発光式視線誘導装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る自発光式視線誘導装置は、複数の発光体を同一方向へ点滅発光させて視線を誘導するための自発光式視線誘導標であって、前記発光体が上下方向に配列された縦長の発光部が柱状の自発光式視線誘導標本体に形成され、前記発光部において隣接する所定の数の発光体が同時に点滅されて発光群を表し、該発光群が発光部において下方向に動くように点滅して表される第一の発光パターンを備え、該発光群が発光部において上方向に動くように点滅して表される第二の発光パターンを備え、前記第一の発光パターンと前記第二の発光パターンを交互に繰り返して発光するようになされたことを特徴としている。
【0008】
本発明に係る自発光式視線誘導標によれば、発光体が上下方向に配列された縦長の発光部が柱状の自発光式視線誘導標本体に形成されているので、自発光式視線誘導標本体の横幅を小さくすることができ、自発光式視線誘導標を道路脇に設置しても車両などに接触しにくくなる。また、所定の数の発光体が同時に点滅されて表される発光群が、下方向に動くように表される第一の発光パターンと、上方向に動くように点滅して表される第二の発光パターンとを交互に繰り返して発光させるので、発光群の表す光の動きが上方向または下方向に流れるように発光しているときに逆方向へ激しく変化するので、視認するドライバーなどから見て発光パターンが見慣れにくいものとなり、高い視線誘導効果を得ることができる。
【0009】
また、前記第一の発光パターンが、発光部の上端に配置された発光体が点滅された後に、下端に配置された発光体が点滅されるまで継続すれば、発光群の表す光の動きが発光部全体に及ぶため、光の動きが大きくなり高い視認性を得ることができる。また、同様に前記第二の発光パターンが発光部の下端に配置された発光体が点滅された後に、上端に配置された発光体の点滅されるまで継続すれば、発光群の表す光の動きが大きくなり、視線誘導効果を高める。
【0010】
また、前記の自発光式視線誘導標が道路に沿って複数設置された自発光式視線誘導装置が、複数の自発光式視線誘導標の発光パターンを同期させる同期手段を備え、複数の自発光式視線誘導標に表される発光群の高さの位相と点滅のタイミングを前記同期手段によって揃えて発光させる同位相発光モードを備え、該同位相発光モードによって複数の自発光式視線誘導標が各々の発光群の高さの位相と点滅のタイミングを揃え、前記第一の発光パターンと前記第二の発光パターンを交互に繰り返して発光すれば、各々の自発光式視線誘導標の発する光の動きが揃って秩序的に見えるので、ドライバーなどの視線をより引きつけて高い視線誘導効果を得ることができる。
【0011】
また自発光式視線誘導装置が、複数の自発光式視線誘導標の発光パターンを同期させる同期手段を備え、隣り合って設置されている自発光式視線誘導標の表す発光群の高さの位相を前記同期手段によって異なるように発光させる異位相発光モードを備え、前記同位相発光モードによって複数の自発光式視線誘導標が各々の発光群の高さの位相と点滅のタイミングを揃えて、前記第一の発光パターンと前記第二の発光パターンを交互に繰り返して点滅させる基本発光パターンで発光し、この基本発光パターンを中断して前記の異位相発光モードによって隣り合う自発光式視線誘導標が各々の発光群の高さの位相を異なるようにして点滅させる副発光パターンで発光し、再度基本パターンに戻って発光することを繰り返せば、複数の自発光式視線誘導標が発する光が位相の揃った秩序的な動きと位相の揃わない無秩序な動きとが交互に切り替わるように見えるので、秩序的な動きが継続してなされる場合と比較して発光パターンが見慣れにくいものとなり、より高い視線誘導効果を得ることができる。
【0012】
また、発光体が上下方向に配列された縦長の発光部において、その上部および下部で静止しているように発光群を点滅させ、なおかつ前記の点滅する発光群の間の発光部において別の発光群を上方向及び/又は下方向に動くように点滅して発光させれば、各発光群の発光群からの光を複雑なものに感じさせることができ、運転者などに対してより誘目性を高めることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る自発光式視線誘導標および自発光式視線誘導装置によれば、横幅の小さいコンパクトな形状でありながら、発光体からの光が見慣れにくい視線誘導効果の高い発光パターンで発光させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
図1は本発明に係る自発光式視線誘導標の実施の一形態を示す三面図であり、図2は図1のA−A断面図であり、図3は本発明に係る自発光式視線誘導標の表す発光群の構成の実施形態を示す図であり、図4は本発明に係る自発光式視線誘導標における発光パターンの実施の一形態を示す図であり、図5は本発明に係る自発光式視線誘導標における発光パターンの実施の他の一形態を示す図であり、図6は本発明に係る自発光式視線誘導装置における発光パターンの実施の一形態を示す図であり、図7は本発明に係る自発光式視線誘導装置における発光パターンの他の一形態を示す図である。
【0015】
図面において、1は発光体である。発光体1はそれぞれ発光色の異なる発光体1aと発光体1bを備えており、自発光式視線誘導標に内装された基板に取り付けられている。発光体1は、発光ダイオード、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、陰極管、エレクトロルミネッセンス、キセノンランプ等が適宜使用されるが、一般には指向性が強く且つ高輝度の発光ダイオードが好適に使用される。
【0016】
2は発光部であり、3は壁部である。壁部3は円柱状の形状をした自発光式視線誘導標の周壁であり、発光部2は自発光式視線誘導標の前面にあたる壁部3に設けられた縦長の凹溝35の底に設けられている。発光部2には、発光体1の光軸が自発光式視線誘導標の前方水平方向に向かうように、発光体1aと発光体1bが交互に上下の縦一列に配置されている。発光部2を壁部3に形成した凹溝35の底に設け、発光体1の前端を凹溝35の開口縁より奥に位置するように設けるので、自発光式視線誘導標に車両などが接触しても、車両は壁部3に接触して凹溝35の奥に位置する発光体1に接触しないので、発光体1の破壊などが起こりにくい。壁部3の材質は、凹溝35を有する円筒状に押出成形したアルミニウム合金形材を用いているが、これに限らず鉄やステンレスなどの金属やポリエチレンやABS樹脂、FRP、ポリカーボネート樹脂、AAS樹脂などの合成樹脂の成形品などを用いることができる。
【0017】
壁部3の色調は、アルミニウムのシルバー色のままとしているが、凹溝35に設けた発光部2には黒色の色調に塗装している。
【0018】
4は太陽電池ユニットである。発光体1を発光させるための電源として本実施例では太陽電池ユニット4を用いており、山間部など電源が引き込みにくい場所への設置を可能としている。太陽電池ユニット4は水平方向に360度回動可能な回転部41を備え、回転部41で自発光式視線誘導標の上面に取り付けられ、固定されている。回転部41で太陽電池ユニット4の方向を水平方向に360度回動可能とすることで、自発光式視線誘導標をどの方向に向けて設置しても太陽電池を南向きに設置することができる。また、本実施例では電源として太陽電池ユニット4を備えているが、商用電源を電源として利用できるようにしてもよいのは当然のことであり、商用電源の利用は自発光式視線誘導標の設置場所が常に日陰になるなど太陽光による発電が十分に見込めない状況で特に有効である。
【0019】
5は光センサーである。光センサー5は発光部2の上部にそれぞれ取り付けられ、横方向から入射する光の変化を感知することで、ヘッドライトを点灯した車両の接近を感知するよう設けられている。
【0020】
6は蓄電部であり、自発光式視線誘導標の中に内装されている。蓄電部6は、太陽電池ユニット4が昼間生起する電力を蓄え、発光体1の発光のための電力を供給する。
【0021】
7は制御部であり、自発光式視線誘導標の中に内装されている。制御部7は、発光体1の点灯と消灯を適宜制御し、発光体1が昼夜、または夜間のみ点灯または点滅するようになされている。
【0022】
8は同期部であり、自発光式視線誘導標の中に内装されている。同期部8は、標準電波の1秒信号を受信し制御部7による発光パターンを同期させることで、設置された複数の自発光式視線誘導標の発光の位相を揃え、また逆に発光の位相を異なるものとすることなどができる。本形態では同期部8は標準電波によって同期を行っているが、同期の手段はこれに限るものではなく、GPSの電波などを利用してもよく、親機として設定された自発光式視線誘導標の内装する同期部8が発する電波や超音波などを子機として設定された他の自発光式視線誘導標に受信させるなどの方法を用いてもよい。
【0023】
発光部2の色調は、暗い色調とすることで発光する発光体1その周囲の発光部2との間にコントラストを生じ、周りが明るい状態でも発光体1の発光を視認することが容易となる。本実施形態では、発光部2の色に黒色を用いているが、これに限るものではなく、濃い灰色、濃い茶色、濃い青色など暗い色調のものを好適に用いることができる。
また、壁部3の色調は明るい色調とすることで、ヘッドライト点灯車両からのヘッドライト光が壁部を照らした場合に、壁部がより明るくなり暗い周囲に対して視認しやすくなるので、自発光式視線誘導装置の視線誘導効果を高めることができる。本実施形態では壁部3の色にアルミニウムのシルバー色をそのまま用いているが、これに限るものではなく、白色、薄い黄色、薄い緑色など、淡色系の色調のものなどを好適に用いることができる。
【0024】
本実施形態では発光部2と光センサー5を自発光式視線誘導標の前面にのみ設けているが、これを前面と背面の両方に設けることで、中央分離帯などへ設置して対向する車両に1体の自発光式視線誘導標でそれぞれ対応することが可能である。
【0025】
図3は図1および図2に示す自発光式視線誘導標の表す発光群の構成の形態を示す図である。
(イ)においては、発光体1bを間にして隣り合う二個一組の発光体1aが同時に点滅して一つの発光群を構成している。また(ロ)においては発光体1bが一つの発光群を構成しており、(ハ)においては隣り合う四個一組の発光体1aと発光体1bが同時に点滅して一つの発光群を構成している。
上記のように発光色の異なる発光体1aと発光体1bとで別の発光群を構成することで、発光部2における発光パターンをより多彩で視認しやすいものとすることができる。一例としては、発光体1aの発光色を人間の目において暗所で視認しやすい短波長の色である緑色とし、発光体1bの発光色を人間の目において明所で視認しやすい長波長の色である赤色とする。このような発光色として、夜間に発光体1aで構成された発光群を点滅させる発光パターンで発光させ、光センサー5がヘッドライト光などを検知し周囲が明るい状況となったときには発光体1bで構成された発光群を点滅させる発光パターンに切り替えることで、発光部2からの発光を暗所と明所でそれぞれ視認しやすい発光色で行うことができ、自発光式視線誘導標の視認性を高めることができる。
【0026】
また、構造的な配置では発光部2における上端の発光体1は発光体1aとなり、下端の発光体1bとなるが、上記のように状況に応じて発光色を変更して発光群を構成する場合は、発光体1をそれぞれの発光色に応じて別のものとみなす。例えば、(イ)のように発光体1aのみで発光群を構成する場合は、発光部の下端の発光体1は発光部2の最下端に配置されている発光体1bではなく、発光体1aの中で最も下に配置さているものを意味し、(ロ)のように発光体1bのみで発光群を構成する場合は、発光部の上端の発光体1は発光部2の最上端に配置されている発光体1aではなく、発光体1bの中で最も下に配置さているものを意味する。
【0027】
また、発光群を構成する発光体の数は、(イ)において二個一組の例を示し、(ロ)において一個の例を示し、(ハ)において四個一組の例を示しているように任意の数を選択でき、上記の例に示す組み合わせ以外の構成でもよいことはいうまでもないことである。
【0028】
図4および図5は本発明に係る自発光式視線誘導標における発光パターンの一形態を示す図であり、図3(イ)に示す発光群の構成における発光パターンの一形態を示している。
図4における第一の発光パターンでは、発光体1bが全て消灯し、発光体1bを間にして隣り合う二個一組の発光体1aが一つの発光群を構成して点滅している。一つの発光群が点滅した次に、その点滅した発光体1aの下に配置された発光体1aを加えた前回と同数の発光体1aの発光群を構成して点滅させることで、発光群の表す光が発光部2において下方向に動くように視認される。
【0029】
図5における第二の発光パターンでは、発光体1bが全て消灯し、発光体1bを間にして隣り合う二個一組の発光体1aが一つの発光群を構成して点滅している。一つの発光群が点滅した次に、その点滅した発光体1aの上に配置された発光体1aを加えた前回と同数の発光体1aの発光群を構成して点滅させることで、発光群の表す光が発光部2において上方向に動くように視認される。
【0030】
上記の第一の発光パターンと第二の発光パターンを交互に繰り返すように発光させることで、上方向または下方向に流れるように視認される光が、逆方向に方向転換するように動きが激しく変化するので、ドライバーなどから見た場合に見慣れにくい発光パターンとなる。この場合、図4および図5における実施形態に示す発光パターンについて、発光部2の中央付近の発光体1aが発光したときに第一の発光パターンと第二の発光パターンとを切り替えてもよいが、第一の発光パターンが、発光部の上端に配置された発光体1aが点滅された後に、下端に配置された発光体1aが点滅されるまで継続され、第二の発光パターンが、発光部の下端に配置された発光体1aが点滅された後に、上端に配置された発光体1aの点滅されるまで継続されるようにすれば、点滅する光の流れる動きが発光体1aの配置された範囲全てを利用した激しいものとなるので、より見慣れにくい発光パターンとなる。また、上記の実施形態における第一の発光パターンおよび第二の発光パターンは、発光体1bが全て消灯し、発光体1aが点滅しているが、図3(ロ)に示すように発光体1aが全て消灯し、発光体1bが点滅してもよく、図3(ハ)に示すように発光体1aと発光体1の両方を点滅させてもよい。
【0031】
図6は本発明に係る自発光式視線誘導装置における発光パターンの一形態を示す図であり、自発光式視線誘導標が道路に沿って複数設置された自発光式視線誘導装置における発光パターンの実施の一形態を示す図である。
2A、2B、2Cは、道路に沿ってそれぞれ並べて設置した自発光式視線誘導標の発光部を表している。また、発光部2A〜2Cを設けた各々の自発光式視線誘導標は、内装された同期部8によって点滅する発光群の高さの位相と点滅のタイミングを揃えて発光する同位相発光モードを備えている。図6において、発光部2A〜2Cが前記の同位相発光モードで発光している状況を表しており、発光部2A〜発光部2Cにおいて点滅する全ての発光群が高さの位相と点滅のタイミングを揃えて発光している。また、図6では発光部2A〜発光部2Cが図4に示す第一の発光パターンで発光している状況を示しており、発光体1bが全て消灯し、発光体1aによって構成される発光群の表す光が下方向に動くように点滅されている。上記の同位相発光モードはこの例に限るものではなく、発光体1aが上方向に動くように視認される第二の発光パターンで発光してもよく、それ以外の発光パターンで発光してもよい。
【0032】
複数の自発光式視線誘導標の点滅する発光群の高さの位相と点滅のタイミングを揃えて発光させる同位相発光モードで、前記第一の発光パターンと前記第二の発光パターンを繰り返して発光させる基本発光パターンで発光させれば、各々の自発光式視線誘導標の発する光の動きが揃って秩序的に見えるので、ドライバーなどの視線をより引きつけるものとなる。
【0033】
図7は本発明に係る自発光式視線誘導装置における発光パターンの他の一形態を示す図であり、自発光式視線誘導標が道路に沿って複数設置された自発光式視線誘導装置における発光パターンの実施の一形態を示す図である。
発光部2A〜2Cを設けた各々の自発光式視線誘導標は、内装された同期部8によって、隣り合って設置されている自発光式視線誘導標の点滅する発光群の高さの位相が異なるように発光させる異位相発光モードを備えている。図7において、発光部2A〜2Cは前記の異位相発光モードで発光している状況を表しており、それぞれ隣の発光部とは点滅する発光群の高さの位相を異ならせて発光している。発光部2Aおよび発光部2Cは図4に示す第一の発光パターンで発光している状況を示しており、発光体1bが全て消灯し、発光体1aによって構成される発光群の表す光が下方向に動くように視認されるように点滅されている。発光部2Bは図5に示す第二の発光パターンで発光している状況を示しており、発光体1bが全て消灯し、発光体1aによって構成される発光群の表す光が上方向に動くように視認されるように点滅されている。
上記の異位相発光モードはこの例に限るものではなく、図3(ロ)に示すように発光体1bが発光してもよいし、それぞれ隣の発光部で点滅する発光群の高さの位相が異なるようにして発光部2A〜2Cが全て第一の発光パターンや第二の発光パターンなどの同じ発光パターンで発光するなどしてもよい。
【0034】
上記のように、隣に設置された自発光式視線誘導標の発光部で点滅する発光群とは高さの位相を異ならせて発光させる異位相発光モードで複数の自発光式視線誘導標を発光させる副発光パターンによると、各々の自発光式視線誘導標の発する光が位相の揃わない無秩序な動きをしているように視認される。また、図7に示す実施形態では発光部2Aと発光部2Cはそれぞれ前記第一の発光パターンで発光しているが、点滅する発光群の高さの位相が異なっている。このように同じ発光パターンで発光している直近の自発光式視線誘導標の発光群と高さの位相を異ならせて発光させると、自発光式視線誘導標の発する光の位相の異なる程度が大きくなり、より無秩序な動きをしているように視認される。
【0035】
自発光式視線誘導標が道路に沿って複数設置された自発光式視線誘導装置における発光パターンについて、各々の発光部で点滅する発光群の高さの位相と点滅のタイミングを揃えて発光させる同位相発光モードで、前記第一の発光パターンと前記第二の発光パターンを繰り返して発光させる基本発光パターンで発光させ、この基本発光パターンを中断して、隣に設置された自発光式視線誘導標の発光部で点滅する発光群とは高さの位相を異ならせて発光させる異位相発光モードで発光させる副発光パターン発光させた後、再度基本発光パターンに戻ることを繰り返せば、各々の自発光式視線誘導標が発する光が、位相の揃った秩序的な動きと位相の揃わない無秩序な動きとが交互に切り替わるように見えるので、秩序的な動きが継続してなされる場合と比較して発光パターンが見慣れにくいものとなる。
【0036】
図8は本発明に係る自発光式視線誘導標における発光パターンの他の一形態を示す図である。
図8に示す発光パターンでは、発光体1bが全て消灯し、発光体1bを間にして隣り合う二個一組の発光体1aが一つの発光群Lを構成して点滅している。最初に図8(イ)に示すように、一つの発光群Lが縦長に形成された発光部2の中央で点滅させる。その後図8(ロ)に示すように第一の発光パターンで下方向に流れるように発光する発光群L1と、第二の発光パターンで上方向に流れるように発光する発光群L2の二つの発光群を同時に点滅表示させ、図8(ハ)に示すように発光群L1と発光群L2がそれぞれ発光部2の上端と下端に至るまで第一の発光パターンと第二の発光パターンを継続させる。
図8(ハ)に至るまで点滅発光させた後、図8(イ)の状態から再度繰り返して発光させることで、発光群L、L1,L2によって、一つの光の点が中央から2つに分離して上下方向に流れるように発光するように視認される。このような発光パターンを表示させることで、発光群の流れる動きがより複雑に視認されるので、運転手などの視線を引きつけやすく、より高い視線誘導効果を得ることができる。また前記の発光パターンの類似した形態として、最初に図8(ハ)を示した後、図8(ロ)に示すように発光群L1を第二の発光パターンで上方向に流れるように発光させ、発光群L2を第一の発光パターンで下方向に流れるように発光させ、図8(イ)の状態に至った後に、図8(ハ)の状態から再度繰り返して発光させてもよいし、図8(イ)(ロ)(ハ)の順番で流れ発光させた後に、図8(ロ)(イ)と逆の順番で繰り返してもよい。
【0037】
図9は本発明に係る自発光式視線誘導標における発光パターンの他の一形態を示す図である。
図9に示す発光パターンでは、発光体1bが全て消灯し、発光体1bを間にして隣り合う二個一組の発光体1aが一つの発光群Lを構成して点滅している。そして、縦長に形成された発光部2の上部と下部においてそれぞれ発光群L3と発光群L4とを静止しているように点滅発光させている点が、図9に示す発光パターンの特徴となっている。
最初に、図9(イ)に示すように発光部2の上部で点滅発光している発光群L3の下方に隣接するように発光群L5を点灯させる。その後、図9(ロ)に示すように、発光群L5を第一の発光パターンで下方向に流れるように発光させ、図9(ハ)に示すように発光部2の下部で点滅発光している発光群L4の上方に隣接する位置に至るまで流れ発光を継続する。その後図9(ハ)の状態から、発光群L4を第二の発光パターンで図9(イ)の状態となるまで上方向に流れるように発光させてもよいし、図9(ハ)の状態から再度図9(イ)の状態に発光させて下方向への流れ発光を繰り返すように発光させてもよい。また、最初に図9(ハ)の状態で発光させ、発光群L5を第二の発光パターンで図9(イ)の状態に至るまで上方向に流れ発光させ、これを繰り返すように発光させても良い。また、点滅発光している発光群L3と発光群L4の間で、複数の発光群を同時に流れ発光させる図8に示すような発光パターンで発光させても良い。
また、発光部2の上部と下部においてそれぞれ発光群L3と発光群L4とを静止しているように点滅発光させ、それらの間の発光部2の範囲を発光群L3,L4と異なる周期で全体的に点滅発光させても良い。
このように発光部2の上部と下部で点滅発光する発光群L3および発光群L4の間でこれらと異なる発光群を流れ発光させることで、各発光群の発光群からの光を複雑なものに感じさせることができ、運転者などに対してより誘目性を高めることができる。
また、自発光式視線誘導標を道路に沿って複数設置した自発光式視線誘導装置において発光部2の上部と下部で発光群L3および発光群L4を点滅発光させれば、点滅発光する発光群L3と発光群L4との間隔が道路の先に至るほど狭く視認されるので、遠近感を感じやすく、運転者などに対して道路の線形をより正確に把握させることができる。
【0038】
前記に示した図4から図9までの発光パターンにおいては、流れ発光を行う発光群Lは点灯と消灯の際に瞬間的にその輝度を変化させて点滅させているが、点灯時にその輝度を徐々に増加させて発光させ、また消灯時にその輝度を徐々に低下させて発光させて、その流れ発光の動きをより運転者に認識させ誘目性を高めることができる。
【0039】
また、図4に示す発光パターンにおいては、流れ発光を行う発光群は点灯と消灯を繰り返して下方向に流れるような動きを表しているが、図10はこれに類似した発光パターンを示しており、点灯した発光群が発光部2の下端に至るまで点灯した発光体1aを消灯させないようになした発光パターンを示している。このように発光部2に設けた発光体1aが全て点灯した後、再び図10(イ)の発光状態に戻り繰り返して発光させてもよいし、図10の発光パターンを図5の発光パターンに適用して、点灯した発光群が発光部2の上端に至るまで点灯した発光体1aを消灯させないようになした発光パターンを行い、図10(イ)の状態に戻ってもよい。また、図10のような発光パターンは図4や図5のみならず、図6から図9に示した発光パターンにも適用可能であるので、これらを繰り返し、または組み合わせて発光させることが可能である。
図10に示すような発光パターンとすることで、発光部における光の動きを複雑なものに感じさせ、運転者などに対する誘目性を高めることができる。
【0040】
また、図4から図10に示した発光パターンでは種々の流れ発光などについて記しているが、縦長に形成した発光部2に設けた発光体1を全て同時に点灯や点滅させてもよく、また、縦長に形成した発光部を上下に2分割して、それぞれを交互に点滅させるような発光パターンで発光を行うこともできることは言うまでもないことである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る自発光式視線誘導標の実施の一形態を示す三面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明に係る自発光式視線誘導標の表す発光群の構成の実施形態を示す図である。
【図4】本発明に係る自発光式視線誘導標における発光パターンの実施の一形態を示す図である。
【図5】本発明に係る自発光式視線誘導標における発光パターンの実施の他の一形態を示す図である。
【図6】本発明に係る自発光式視線誘導装置における発光パターンの実施の一形態を示す図である。
【図7】本発明に係る自発光式視線誘導装置における発光パターンの他の一形態を示す図である。
【図8】本発明に係る自発光式視線誘導標における発光パターンの他の一形態を示す図である。
【図9】本発明に係る自発光式視線誘導標における発光パターンの他の一形態を示す図である。
【図10】本発明に係る自発光式視線誘導標における発光パターンの他の一形態を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1、1a、1b 発光体
2、2A、2B、2C 発光部
3 壁部
35 凹溝
4 太陽電池ユニット
41 回転部
5 光センサー
6 蓄電部
7 制御部
8 同期部
L 発光群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光体を同一方向へ点滅発光させて視線を誘導するための自発光式視線誘導標であって、前記発光体が上下方向に配列された縦長の発光部が柱状の自発光式視線誘導標本体に形成され、前記発光部において隣接する所定の数の発光体が同時に点滅されて発光群を表し、該発光群が発光部において下方向に動くように点滅して表される第一の発光パターンを備え、該発光群が発光部において上方向に動くように点滅して表される第二の発光パターンを備え、前記第一の発光パターンと前記第二の発光パターンを交互に繰り返して発光するようになされたことを特徴とする自発光式視線誘導標。
【請求項2】
前記第一の発光パターンが、発光部の上端に配置された発光体が点滅された後に、下端に配置された発光体が点滅されるまで継続され、
前記第二の発光パターンが、発光部の下端に配置された発光体が点滅された後に、上端に配置された発光体の点滅されるまで継続されるようになされたことを特徴とする請求項1に記載の自発光式視線誘導標。
【請求項3】
請求項1または請求項2のいずれかに記載の自発光式視線誘導標が道路に沿って複数設置された自発光式視線誘導装置であって、複数の自発光式視線誘導標の発光パターンを同期させる同期手段を備え、複数の自発光式視線誘導標に表される発光群の高さの位相と点滅のタイミングを前記同期手段によって揃えて発光させる同位相発光モードを備え、該同位相発光モードによって複数の自発光式視線誘導標が各々の発光群の高さの位相と点滅のタイミングを揃えて、前記第一の発光パターンと前記第二の発光パターンを交互に繰り返して発光するようになされたことを特徴とする自発光式視線誘導装置。
【請求項4】
請求項3に記載の自発光式視線誘導装置であって、隣り合って設置されている自発光式視線誘導標に表される発光群の高さの位相を前記同期手段によって異なるように発光させる異位相発光モードを備え、前記同位相発光モードによって複数の自発光式視線誘導標が各々の発光群の高さの位相と点滅のタイミングを揃えて、前記第一の発光パターンと前記第二の発光パターンを交互に繰り返して点滅させる基本発光パターンで発光し、該基本発光パターンを中断して前記異位相発光モードによって隣り合う自発光式視線誘導標が各々の発光群の高さの位相を異なるようにして点滅するように発光させる副発光パターンで発光し、再度基本発光パターンに戻って発光することを繰り返すようになされたことを特徴とする自発光式視線誘導装置。
【請求項5】
複数の発光体を同一方向へ点滅発光させて視線を誘導するための自発光式視線誘導標であって、前記発光体が上下方向に配列された縦長の発光部が柱状の自発光式視線誘導標本体に形成され、前記発光部において隣接する所定の数の発光体が同時に点滅されて発光群を表し、該発光群が発光部の上部および下部で静止しているように点滅し、かつ前記の発光群の間の発光部において別の発光群が上方向及び/又は下方向に動くように点滅して発光するようになされたことを特徴とする自発光式視線誘導標。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−264094(P2009−264094A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216034(P2008−216034)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】