説明

自転車用ブレーキ及び自転車

【課題】機構の簡素化及び軽量化を図ると共に制動力を安定して得ることができるようにする。
【解決手段】自転車用ブレーキ1は、操作部であるブレーキレバー2と、ブレーキ本体3とを備えている。ブレーキ本体3は、一対のアーム部材8,9と、一対のアーム部材8,9を回動可能に支持する回動軸11と、一対のブレーキシューホルダ部14,15と、制動力発生部13とを有している。一対のアーム部材8,9は、リム106を間に挟んで配置される。更に、付勢部材12は、ブレーキシュー14,15がリム106から離れる方向に一対のアーム部材8,9を付勢する。そして、制動力発生部13は、一対のアーム部材8,9の間に配置される伸縮可能な機構からなり、伸長時に一対のアーム部材8,9を押圧し、一対のブレーキシュー14,15をリム106に圧接させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車の車輪のリムにブレーキシューを左右両側から押し付けて、その摩擦力で自転車の車輪を制動する自転車用ブレーキ、及びこの自転車用ブレーキを備えた自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自転車用ブレーキとしては、ブレーキシューを有する一対のアーム部材を回動させて、ブレーキシューで車輪のリムを挟持することで、自転車の車輪を制動するリムブレーキが知れている。なお、一対のアーム部材は、ハンドルに取り付けたブレーキレバーに接続されたワイヤによって操作されていた。そのため、ハンドルを左右に転舵すると、ワイヤの張りが変化し、アーム部材の作動同期に影響を及ぼすため、制動力が低下するという不具合を有していた。
【0003】
このような不具合を解決するために、ワイヤではなく、油圧式シリンダを用いた自転車用ブレーキも知られている。この自転車用ブレーキは、一対のブレーキシューにそれぞれ油圧式シリンダを配置し、またブレーキレバーには、マスタシリンダを設けている。そして、マスタシリンダを操作して、2つの油圧式シリンダを作動させることで、ブレーキシューをリムに押し付けて制動を行っている。
【0004】
更に、特許文献1には、ワイヤと油圧シリンダを用いて一対のアーム部材を操作する技術が開示されている。この特許文献1では、ブレーキレバー内にマスタシリンダを設け、スレーブシリンダを一対のアーム部材に接続されたワイヤの略中心に配置している。そして、スレーブシリンダを作動させて、ワイヤケーブルの略中心を上方に引き上げることで、一対のアーム部材を回動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−2160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ブレーキシューを2つの油圧式シリンダのピストンでリムに押し付ける技術の場合、各ブレーキシューにそれぞれシリンダを設けなければならない。そのため、前輪と後輪に各2個ずつ、全体で4個のスレーブ側のシリンダを設ける必要があった。その結果、シリンダによって装置全体の重量が重くなる、という問題を有していた。
【0007】
そして、この自転車用ブレーキの制動力は、ブレーキレバーに設けられたマスタ側シリンダと、リムに配置される2つのスレーブ側シリンダの径で決まるため、制動力の微調整を行うことが大変困難であった。
【0008】
また、特許文献1に記載された技術では、ワイヤと、シリンダを併用しているため、部品点数が多くなり、機構が複雑になっていた。更に、ワイヤを使用しているため、経年劣化によってワイヤが伸び、ブレーキレバーの操作量が調整範囲内で吸収できなくなる場合があり、制動性能が低下する、という問題も有していた。また、シリンダとワイヤとの接点部の摺動抵抗があるため、左右のアーム部材の同期をとることが難しいという問題もあった。その結果、特許文献1に記載された技術では、左右のブレーキシューホルダ部の制動動作を安定して同期させることが難しく、安定した操作性及び制動力を得ることができない、という不具合を有していた。
【0009】
本発明の目的は、上記の問題点を考慮し、機構の簡素化及び軽量化を図ると共に自転車の制動力を安定して得ることができる自転車用ブレーキ及び自転車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の自転車用ブレーキは、自転車の車輪のリムを間に挟んで配置される一対のアーム部材と、一対のアーム部材の中間部に配置されて、一対のアーム部材を回動可能に支持する回動軸と、一対のアーム部材に取り付けられて、リムに対面する一対のブレーキシューを有するブレーキシューホルダ部とを備えている。更に、一対のアーム部材の間に配置される伸縮可能な機構からなり、伸長時に一対のアーム部材を押圧し、一対のブレーキシューをリムに圧接させる制動力発生部と、制動力発生部を操作する操作部と、を備えている。
【0011】
また、本発明の自転車は、リムを有する車輪と、上述した車輪を制動する自転車用ブレーキと、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明の自転車用ブレーキ及び自転車によれば、ワイヤ等を用いずに1つの制動力発生部で2つのアーム部材を操作しているため、部品点数を削減することができ、機構の簡素化及び軽量化を図ることができる。更に、経年劣化によってワイヤが伸びてブレーキレバーの操作量が調整の範囲内で吸収出来なくなる心配がなく、且つ左右のブレーキシューホルダ部の制動動作の同期がとれるため、安定した制動力を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態例にかかる自転車用ブレーキを示す分解斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態例にかかる自転車用ブレーキのブレーキ本体を示す正面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態例にかかる自転車用ブレーキのブレーキ本体を示す側面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態例にかかる自転車用ブレーキを作動させた状態を示す正面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態例にかかる自転車用ブレーキのブレーキ本体を示す正面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態例にかかる自転車用ブレーキのブレーキ本体を示す側面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態例にかかる自転車用ブレーキを作動させた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の自転車用ブレーキ及び自転車の実施の形態例について、図1〜図7を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、説明は以下の順序で行うが、本発明は、必ずしも以下の形態に限定されるものではない。
1.第1の実施の形態例
1−1.自転車用ブレーキの構成例
1−2.自転車用ブレーキの動作
2.第2の実施の形態例
【0015】
<1.第1の実施の形態例>
1−1.自転車用ブレーキの構成例
まず、図1〜図4を参照して本発明の第1の実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかる自転車用ブレーキの構成例について説明する。
【0016】
本例の自転車用ブレーキ1は、自転車の前輪又は後輪のリムにブレーキシューを左右両側から押し付け、その摩擦力で自転車を制動するものである。図1は、本例の自転車用ブレーキを示す分解斜視図である。
【0017】
図1に示すように、本例の自転車用ブレーキ1は、ハンドル101に取り付けられる操作部であるブレーキレバー2と、フロントフォーク102に固定されるブレーキ本体3とから構成されている。そして、この自転車用ブレーキ1は、自転車の前輪103(図2参照)の動作を制動するものである。
【0018】
[ブレーキレバー]
ブレーキレバー2は、パイプクランプ部4によって自転車のハンドル101に固定されている。ブレーキレバー2には、マスタ側油圧シリンダ5が設けられている。また、ブレーキレバー2のマスタ側油圧シリンダ5とブレーキ本体3は、油圧チューブ6によって接続されている。なお、油圧チューブ6内には、オイルが充填されている。そして、操作者は、ブレーキレバー2を操作することで、ブレーキ本体3を遠隔作動させることができる。
【0019】
ここで、図1及び図2を参照してフロントフォーク102及び前輪103について説明する。図2は、ブレーキ本体3を示す正面図である。
【0020】
[フロントフォーク]
図1及び図2に示すように、フロントフォーク102は、ハンドル101に接続される操縦管102aと、2つのブレード102b,102bと、操縦管102aと2つのブレード102b,102bとを接続する肩部102cとから構成されている。そして、2つのブレード102b,102bの間に前輪103が配置される。また、肩部102cには、固定部110が設けられている。
【0021】
[前輪]
図2に示すように、前輪103は、ホイール104と、タイヤ105とから構成されている。ホイール104は、円環状のリム106と、エアーバルブ107と、不図示のハブとから構成されている。そして、リム106の外周を覆うように、タイヤ105が設けられている。
【0022】
タイヤ105は、複数の層からなるタイヤチューブ108と、トレッド109とから構成されている。トレッド109は、タイヤチューブ108の外周面に設けられ、地面に接地する接地面である。トレッド109は、路面によって磨耗する部分であるため、その中心部が側壁に比べて厚く形成されている。
【0023】
[ブレーキ本体]
次に、図2及び図3を参照してブレーキ本体3について説明する。
図2に示すように、ブレーキ本体3は、2つのアーム部材8,9と、2つのアーム部材8,9を回動可能に支持する回動軸11と、付勢部材12と、制動力発生部の一例を示すスレーブ側油圧シリンダ13とを備えて構成されている。更に、ブレーキ本体3は、2つのブレーキシューホルダ部14,15と、取付台座16(図3参照)とを有している。
【0024】
[アーム部材]
第1のアーム部材8の断面形状は、一部が開放されたコの字状に形成されている。この第1のアーム部材8には、第1の挟持部21と、第1の当接部22と、第1の挟持部21と第1の当接部22との間である中間部に配置される軸部23とを有している。
【0025】
第1の挟持部21は、第1のアーム部材8の一端部に配置されており、この第1の挟持部21には、略長方形状に開口した取付ボルト孔21aが形成されている(図1参照)。そして、この第1の挟持部21の取付ボルト孔21aには、固定ボルト25を介して第1のブレーキシューホルダ部14が取り付けられる。また、第1の挟持部21は、前輪103の一側の側面と対面して配置される。
【0026】
第1の当接部22は、軸部23を挟んで第1の挟持部21の反対側の他端部に設けられている。第1の当接部22には、当接面22aと、取付片22bが形成されている。当接面22aは、略半球状に凹んだ凹部である。この当接面22aの軸部23側には、取付片22bが配置されている。
【0027】
図3に示すように、軸部23は、互いに対向する第1の軸受片23aと第2の軸受片23bとを有している。図2に示すように、第1の軸受片23a及び第2の軸受片23bは、それぞれ第1の挟持部21及び第1の当接部22から略垂直をなして第2のアーム部材9側に向かって突出している。この第1の軸受片23a及び第2の軸受片23bには、それぞれ回動軸11が貫通する軸受孔24が設けられている。
【0028】
第2のアーム部材9の断面形状は、第1のアーム部材8と同様に、一部が開放されたコの字状に形成されている。この第2のアーム部材9には、第2の挟持部27と、第2の当接部28と、第2の挟持部27と第2の当接部28との間である中間部に配置される軸部29とを有している。
【0029】
第2の挟持部27は、第2のアーム部材9の一端部に配置されており、この第2の挟持部27には、略長方形状に開口した取付ボルト孔27aが形成されている(図1参照)。そして、この第2の挟持部27の取付ボルト孔27aには、固定ボルト25を介して第2のブレーキシューホルダ部15が取り付けられる。また、第2の挟持部27は、前輪103の他側の側面と対面して配置される。そのため、第1のアーム部材8の第1の挟持部21と第2のアーム部材9の第2の挟持部27は、その間に前輪103を挟んで対向する。
【0030】
第2の当接部28は、軸部29を挟んで第2の挟持部27の反対側の他端部に設けられている。第2の当接部28には、当接面28aと、取付片28bが形成されている。当接面28aは、略半球状の凹部として形成されている。この当接面28aの軸部29側には、取付片28bが配置されている。更に、この第2の当接部28は、の当接面28aが第1の当接部22の当接面22aと対向する。
【0031】
図3は、部分的に断面したブレーキ本体3を示す側面図である。この図3に示すように、軸部29は、互いに対向する第1の軸受片29aと第2の軸受片29bとを有している。図2に示すように、第1の軸受片29a及び第2の軸受片29bは、それぞれ第2の挟持部27及び第2の当接部28から略垂直をなして第2のアーム部材9側に向かって突出している。この第1の軸受片29a及び第2の軸受片29bには、それぞれ回動軸11が貫通する軸受孔30が設けられている。
【0032】
また、第1のアーム部材8と第2のアーム部材9は、前輪103を間に挟んでその左右両側に配置される。第1のアーム部材8は、前輪103の一側(左側)に配置されており、第2のアーム部材9は、前輪103の他側(右側)に配置されている。
【0033】
このとき、第1のアーム部材8の第1の軸受片23aと第2のアーム部材9の第1の軸受片29aが重なり合い、第1のアーム部材8の第2の軸受片23bと第2のアーム部材9の第2の軸受片29bが重なり合う。更に、軸受孔24,30にスラストカラー31を嵌合することで、2つの第1の軸受片23a,29aと、2つの第2の軸受片23b,29bは、それぞれスラストカラー31によって挟持されている。このスラストカラー31には、筒孔31aが設けられている。そして、このスラストカラー31の筒孔31aには、回動軸11が貫通している。
【0034】
更に、2つの第1の軸受片23a,29aと、2つの第2の軸受片23b,29bとの間には、軸受筒33が接続されている。軸受筒33は、円筒状に形成されている。この軸受筒33の筒孔33aには、回動軸11が貫通している。
【0035】
また、第1のアーム部材8及び第2のアーム部材9とフロントフォーク102との間には、取付台座16が配置されている。取付台座16には、貫通孔16aと、固定孔16bが設けられている。そして、この取付台座16は、固定ピン32によってフロントフォーク102に固定されている。取付台座16の貫通孔16aには、回動軸11が貫通する。
【0036】
[回動軸]
回動軸11は、円柱状に形成されており、第1のアーム部材8及び第2のアーム部材9を回動可能に支持している。この回動軸11は、フロントフォーク102の肩部102cに設けた固定部110に固定されている。
【0037】
[ブレーキシューホルダ部]
第1のブレーキシューホルダ部14は、第1のアーム部材8に固定するための支柱14aと、ブレーキシュー取付部14bとを有している。この第1のブレーキシューホルダ部14は、支柱14aを第1のアーム部材8の取付ボルト孔21aに挿通し、固定ボルト25によって第1のアーム部材8に固定される。また、第1のブレーキシューホルダ部14のブレーキシュー取付部14bには、第1のブレーキシュー18が取り付けられている。この第1のブレーキシュー18は、リム106における一側の側面と対面する。
【0038】
第2のブレーキシューホルダ部15は、第1のブレーキシューホルダ部と同様に、第2のアーム部材9に固定するための支柱15aと、ブレーキシュー取付部15bとを有している。この第2のブレーキシューホルダ部15は、支柱15aを第2のアーム部材9の取付ボルト孔27aに挿通し、固定ボルト25によって第2のアーム部材9に固定される。また、第2のブレーキシューホルダ部15のブレーキシュー取付部15bには、第2のブレーキシュー19が取り付けられている。この第2のブレーキシュー19は、リム106における他側の側面と対面する。
【0039】
そして、この第1のブレーキシュー18と第2のブレーキシュー19によって、リム106の左右両側を挟持することで、リム106と第1のブレーキシュー18及び第2のブレーキシュー19との間に生じる摩擦力で前輪103が制動される。また、第1のブレーキシュー18及び第2のブレーキシュー19は、ゴム等で形成された摩擦材で構成されている。
【0040】
[付勢部材]
第1のアーム部材8の第1の当接部22と第2のアーム部材9の第2の当接部28の間には、付勢部材12が配置されている。本例では、この付勢部材12は、引張コイルばねである。この付勢部材12の一端は、第1のアーム部材8の取付片22bに取り付けられており、他端は、第2のアーム部材9の取付片28bに形成されている。
【0041】
そして、付勢部材12は、第1のアーム部材8の第1の当接部22と第2のアーム部材9の第2の当接部28が接近する方向に付勢している。そのため、第1のアーム部材8と第2のアーム部材9は、回動軸11を中心に回動し、第1の挟持部21と第2の挟持部27が離反する方向に移動する。すなわち、付勢部材12は、第1のブレーキシュー18及び第2のブレーキシュー19がリム106から離反する方向に第1のアーム部材8と第2のアーム部材9を付勢している。
【0042】
なお、本例では、付勢部材12として引張コイルばねを用いた例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、付勢部材としてゴムやその他各種の弾性を有する部材を用いてもよい。
【0043】
[スレーブ側油圧シリンダ]
更に、第1のアーム部材8の第1の当接部22と第2のアーム部材9の第2の当接部28との間には、スレーブ側油圧シリンダ13が配置されている。スレーブ側油圧シリンダ13は、油圧ライン接続部34と、シリンダボデー35と、2つのピストン36,37とを有している。そして、このスレーブ側油圧シリンダ13は、マスタ側油圧シリンダ5の操作によって2つのピストン36,37がシリンダボデー35の軸方向に伸縮動作するものである。
【0044】
油圧ライン接続部34には、油圧チューブ6が接続されている。そして、この油圧ライン接続部34は、シリンダボデー35に設けられている。シリンダボデー35の筒孔35a内には、オイルが充填されている。シリンダボデー35の軸方向の両側には、係止溝35bが形成されている。そして、シリンダボデー35は、油圧ライン接続部34及び油圧チューブ6を介してマスタ側油圧シリンダ5と接続されている。そのため、シリンダボデー35内には、マスタ側油圧シリンダ5内で発生した圧力が伝達される。
【0045】
更に、シリンダボデー35には、ブリーダープラグ38が設けられている。このブリーダープラグ38は、ブレーキ油圧経路内に侵入した空気を抜くエア抜きとしての役割を有している。また、シリンダボデー35の筒孔35a内の一端部には、第1のピストン36が配置され、他端部には第2のピストン37が配置されている。そして、この第1のピストン36及び第2のピストン37は、シリンダボデー35の筒孔35a内の軸方向に沿って筒孔35a内を摺動する。
【0046】
また、第1のピストン36及び第2のピストン37には、カップシール43が取り付けられている。このカップシール43によって、シリンダボデー35の筒孔35a内が液密に保たれている。その結果、このカップシール43によって、第1のピストン36及び第2のピストン37が摺動する際に、筒孔35a内からオイルが漏れることを防いでいる。
【0047】
更に、第1のピストン36には、押圧部である第1のアジャスタ36aが取り付けられており、第2のピストン37には、押圧部である第2のアジャスタ37aが取り付けられている。第1のアジャスタ36aには、図に現れないねじ部が設けられている。同様に、第2のアジャスタ37aには、ねじ部37bが設けられている。
【0048】
この第1のアジャスタ36a及び第2のアジャスタ37aは、ねじ部37bを第1のピストン36及び第2のピストン37に螺合することで固定されている。そして、第1のアジャスタ36a及び第2のアジャスタ37aは、その締め付け量を調整することで、第1のピストン36及び第2のピストン37からの突出量を調整することができる。
【0049】
第1のアジャスタ36aは、第1のアーム部材8の当接面22aの表面形状に対応して略半球状に形成されている。同様に、第2のアジャスタ37aは、第2のアーム部材9の当接面28aの表面形状に対応して略半球状に形成されている。そして、第1のアジャスタ36aは、第1のアーム部材8の当接面22aと接触しており、第2のアジャスタ37aは、第2のアーム部材9の当接面28aと接触している。
【0050】
そして、第1のピストン36及び第2のピストン37は、スレーブ側油圧シリンダ13が作動した場合、シリンダボデー35の軸方向の外側に向かって筒孔35a内を摺動する。すると、第1のアジャスタ36aが第1のアーム部材8の当接面22aを押圧し、第2のアジャスタ37aが第2のアーム部材9の当接面28aを押圧する。このとき、2つのアジャスタ36a、37aと当接面22a,28aは、面接触する。
【0051】
なお、第1のアジャスタ36a及び第2のアジャスタ37aは、付勢部材12よって常に縮む方向に付勢されている。そのため、第1のピストン36と、第2のピストン37との間には、コイルばね41が設けられている。このコイルばね41は、第1のピストン36及び第2のピストン37が付勢部材12の付勢力によって、筒孔35a内に必要以上に押し込まれることを防止している。その結果、このコイルばね41により、ブレーキが作動していない時には、シリンダボデー35に対して第1のピストン36及び第2のピストン37の位置を略一定に保つことができる。
【0052】
また、コイルばね41を圧縮させることで、アーム部材8,9の挟持部21,27側の間隔を広げることができるため、アーム部材8,9のアーム部材8,9を分解することなく、ブレーキシュー18,19等の交換を行うことができる。これにより、ブレーキ本体3のメンテナンス作業を容易に行うことが可能である。
【0053】
更に、第1のピストン36及び第2のピストン37は、同一形状で、且つ同一寸法で形成されており、その重量も等しく設定されている。その結果、第1のピストン36及び第2のピストン37は、シリンダボデー35内に充填されているオイルから均等に圧力を受けて、向きだけが逆で同じ運動を行う。すなわち、マスタ側油圧シリンダ5の操作によって、第1のピストン36及び第2のピストン37は、同期して動作する。
【0054】
また、シリンダボデー35の軸方向の両端の開口部と、第1のピストン36及び第2のピストン37との間には、ゴム等の弾性を有する材質からなるダストブーツ39が設けられている。ダストブーツ39の一端は、シリンダボデー35の軸方向の両側に形成された係止溝35bに係止され、他端は、第1のピストン36と第1のアジャスタ36aとの間又は第2のピストン37と第2のアジャスタ37aとの間に係止されている。このダストブーツ39は、シリンダボデー35の筒孔35a内に埃やゴミが侵入することを防いでいる。
【0055】
更に、スレーブ側油圧シリンダ13のシリンダボデー35には、図3に示すように、固定部40が設けられている。そして、この固定部40と取付台座16の固定孔16bに固定ねじ42を螺合することで、スレーブ側油圧シリンダ13は、取付台座16に固定される。
【0056】
1−2.自転車用ブレーキの動作
次に、図1〜図4を参照して本例の自転車用ブレーキ1の動作について説明する。
図4は、自転車用ブレーキ1を作動させた状態を示すブレーキ本体3の正面図である。
【0057】
まず、操縦者が、図1に示すブレーキレバー2を把持すると、マスタ側油圧シリンダ5の室内で圧力が上昇する。ここで、マスタ側油圧シリンダ5の室内と、スレーブ側油圧シリンダ13のシリンダボデー35は、油圧チューブ6を介して接続されている。そのため、マスタ側油圧シリンダ5の室内の圧力変化は、油圧チューブ6を介してスレーブ側油圧シリンダ13のシリンダボデー35内に転送される。
【0058】
次に、スレーブ側油圧シリンダ13のシリンダボデー35内の圧力が上昇する。なお、シリンダボデー35の筒孔35aの直径を、マスタ側油圧シリンダ5の筒孔の直径よりも大きく設定した場合、ブレーキレバー2に加わる力をスレーブ側油圧シリンダ13で増幅することができる。
【0059】
そして、シリンダボデー35内の圧力が上昇することで、第1のピストン36及び第2のピストン37には、シリンダボデー35内に充填されたオイルから圧力が加わる。このとき、第1のピストン36の直径と第2のピストン37の直径を等しく設定しているため、第1のピストン36及び第2のピストン37は、シリンダボデー35内に充填されたオイルから均等に圧力を受ける。その結果、図4に示すように、第1のピストン36及び第2のピストン37は、シリンダボデー35の軸方向に沿って、シリンダボデー35の軸方向の両側に移動する。
【0060】
ここで、第1のアジャスタ36aは、第1のアーム部材8の当接面22aと接触しており、第2のアジャスタ37aは、第2のアーム部材9の当接面28aと接触している。すなわち、スレーブ側油圧シリンダ13の伸縮方向の両側には、第1のアーム部材8の第1の当接部22と第2のアーム部材9の第2の当接部28が配置されている。そのため、第1のアーム部材8の当接面22aは、第1のアジャスタ36aに押圧され、第2のアーム部材9の当接面28aは、第2のアジャスタ37aに押圧される。
【0061】
そして、第1のアーム部材8及び第2のアーム部材9は、付勢部材12の付勢力に抗して、回動軸11を回動中心として回動する。すると、第1のアーム部材8の第1の挟持部21と第2のアーム部材9の第2の挟持部27の間隔が狭まる。そして、第1の挟持部21に取り付けられた第1のブレーキシューホルダ部14の第1のブレーキシュー18がリム106の一側に圧接され、第2の挟持部27に取り付けられた第2のブレーキシューホルダ部15の第2のブレーキシュー19がリム106の他側に圧接される。その結果、リム106と第1のブレーキシュー18及び第2のブレーキシュー19との間に生じる摩擦力で前輪103が制動される。
【0062】
このように、本例の自転車用ブレーキ1によれば、ワイヤを用いずに1つのスレーブ側油圧シリンダ13によって、2つのアーム部材8,9を操作することができ、部品点数の削減を図り、装置全体を軽量にすることが可能である。また、スレーブ側油圧シリンダ13の動作を、ワイヤ等を介さずに直接2つのアーム部材8,9に伝達しているため、制動力の応答性が良く、操作性の向上を図ることができる。更に、従来の自転車用ブレーキのようにワイヤの撓みによる制動性能の低下を考慮することがなく、安定した制動力を得ることができる。
【0063】
ここで、本例の自転車用ブレーキ1では、第1のアーム部材8の当接面22a及び第2のアーム部材9の当接面28aを略半球状に凹んだ凹部として形成している。第1のアジャスタ36a及び第2のアジャスタ37aを、当接面22a,28aの形状に対応させて略半球状に形成している。そのため、アジャスタ36a,37aと当接面22a,28aが面接触し、スレーブ側油圧シリンダ13によって発生した制動力を第1のアーム部材8及び第2のアーム部材9に効率良く伝達させることができる。
【0064】
なお、第1のアーム部材8及び第2のアーム部材9には、それぞれ均等の力が作用するため、その動作は同期している。そのため、第1のアーム部材8及び第2のアーム部材9は、同期して回動する。その結果、片側のブレーキシューだけがリム106に当接するという片効き状態を防止することが可能である。
【0065】
また、第1のブレーキシューホルダ部14及び第2のブレーキシューホルダ部15が取り付けられる取付ボルト孔21a,27aを略長方形状に形成しているため、第1のブレーキシューホルダ部14及び第2のブレーキシューホルダ部15の取り付け位置を調整することができる。そのため、2つのアーム部材8,9の軸受孔24,30からブレーキシューまで14,15の距離、すなわち支点と作用点の距離と、軸受孔24,30から当接面22a,28bまでの距離、すなわち支点と力点の距離の比を調整することができる。これにより、ブレーキ本体3によって得られる制動力の大きさを調整することが可能である。
【0066】
また、ブレーキシュー18,19が摩耗してくると、ストローク量(ここでは、一対のアーム部材8,9の回動量)が増えるため、ブレーキレバー2のストロークも増加する。なお、本例では、第1のアジャスタ36aと第2のアジャスタ37aは、第1のピストン36及び第2のピストン37に螺合されており、その締め付け量を調整することで、第1のピストン36及び第2のピストン37の突出量を調整可能としている。そのため、第1のアジャスタ36a及び第2のアジャスタ37aの突出量を調整することで、リム106とブレーキシュー18,19の間隔を一定に保つことができる。また、リム106とブレーキシュー18,19の間隔を調節できるため、ブレーキレバー2のストローク量も調節することが可能である。
【0067】
更に、マスタ側油圧シリンダ5の室内と、スレーブ側油圧シリンダ13のシリンダボデー35の断面積比によっても制動力の大きさを調整することができる。なお、従来のように、ブレーキレバー2とハンドル101の握り部との距離を調節することでも、制動力の大きさを調整することが可能である。このように、制動力を調整する箇所を多数設けることで、各部位の小型化や最適化を図ることができ、装置全体の軽量化を行うことが可能である。更に、制動力の微調整を容易に行うことが可能となり、安定した制動力を得ることができる。
【0068】
次に、操縦者が、ブレーキレバー2の把持を緩めると、マスタ側油圧シリンダ5の室内の圧力が低下する。そして、スレーブ側油圧シリンダ13のシリンダボデー35内の圧力も低下し、第1のピストン36及び第2のピストン37がシリンダボデー35の軸方向に沿って互いに近づく方向に移動する。
【0069】
すると、第1のアーム部材8及び第2のアーム部材9は、付勢部材12の付勢力によって、第1のブレーキシュー18及び第2のブレーキシュー19がリム106から離れる方向に回動する。その結果、前輪103に対する制動力が解除される。なお、付勢部材12によって付勢しているため、操縦者が制動力を弱めたいときに、素早く2つのブレーキシュー18及び19をリム106から離反させることができる。
【0070】
ここで、第1のピストン36及び第2のピストン37の間には、コイルばね41を介在させている。そのため、第1のピストン36及び第2のピストン37が、付勢部材12の付勢力によって必要以上にシリンダボデー35の筒孔35a内に押し込まれることを防止でき、図2に示す初期状態を保つことができる。
【0071】
<2.第2の実施の形態例>
次に、図5〜図7を参照して本発明の第2の実施の形態例にかかる自転車用ブレーキの構成例について説明する。
この第2の実施の形態例にかかる自転車用ブレーキ51と第1の実施の形態例にかかる自転車用ブレーキ1と異なるところは、2つのアーム部材にそれぞれ回動軸を設けた点である。そのため、ここではブレーキ本体についてのみ説明し、自転車用ブレーキ1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0072】
図5は、第2の実施の形態例にかかる自転車用ブレーキのブレーキ本体を示す正面図、図6は、ブレーキ本体の一部を断面した側面図である。
図5に示すように、この第2の実施の形態例にかかる自転車用ブレーキ51は、前輪側にサスペンションを有する自転車に取り付けた例を説明している。
【0073】
また、図5に示すように、第2の実施の形態例にかかる自転車用ブレーキ51のブレーキ本体53は、2つのアーム部材54,55と、2つの回動軸56,57と、2つの付勢部材58,59と、スレーブ側油圧シリンダ13とを備えて構成されている。更に、ブレーキ本体53は、2つのブレーキシューホルダ部14,15と、取付台座61と、補強部材62とを有している。なお、図5では、補強部材62を外した状態を示している。
【0074】
ここで、サスペンションフォークであるフロントフォーク102Aの2つのアウターチューブ102d,102dには、それぞれ固定部111,111が設けられている(図6参照)。
【0075】
取付台座61は、略U字状に形成されている。取付台座61の一端部には、フロントフォーク102の一側のアウターチューブ102dに固定するための第1の固定部61aが設けられている。また、取付台座61の他端部には、フロントフォーク102の他側のアウターチューブ102dに固定するための第2の固定部61bが設けられている。そして、この取付台座61は、第1の固定部61aと第2の固定部61bに固定ボルト75を螺合することで、2つのアウターチューブ102d,102dの固定部111,111に固定される。
【0076】
この取付台座61によって、2つのアウターチューブ102d,102dの動きの同期を取ることができ、左右のアウターチューブ102d,102dが互いに捩れたり独立に動いたりすることを防止している。これにより、フロントフォーク102Aの捻れや撓みを防止することができる。
【0077】
また、図6に示すように、取付台座61の略中央には、スレーブ側油圧シリンダ13を固定ねじ41によって固定するためのねじ孔61cが形成されている。更に、第1の固定部61aとねじ孔61cとの間には、第1の回動軸56が固定される第1の貫通孔61dが設けられている。この第1の貫通孔61dの近傍には、第1の付勢部材58の一端部が係止される係止部61eが形成されている。
【0078】
また、第2の固定部61bとねじ孔61cとの間には、第2の回動軸57が固定される第2の貫通孔61fが設けられている。そして、第2の貫通孔61fの近傍には、第2の付勢部材59の他端部が係止される係止部61gが形成されている。
【0079】
第1のアーム部材54は、略I字状に形成されている。この第1のアーム部材54は、第1の挟持部64と、第1の当接部65と、軸部66とを有している。第1の挟持部64は、第1のアーム部材54の長手方向の一端部に位置しており、第1の当接部65は、第1のアーム部材54の長手方向の他端部に位置している。そして、軸部66は、第1の挟持部64と第1の当接部65の間に位置している。
【0080】
第1の挟持部64には、略長方形状に開口した取付ボルト孔64aが形成されている。そして、この第1の挟持部64の取付ボルト孔64aには、第1のブレーキシューホルダ部14が固定ボルト25によって固定されている。
【0081】
第1の当接部65には、当接面65aと、取付片65bが形成されている。当接面22aは、略半球状に凹んで形成されている。当接面65aの軸部66側には、取付片65bが配置されている。そして、この取付片65bには、第1の付勢部材58の他端部が係止されている。また、図6に示すように、軸部66には、第1の回動軸56が貫通する軸受孔67が形成されている。
【0082】
第2のアーム部材55は、第1のアーム部材54と同様に、略I字状に形成されている。この第2のアーム部材55は、長手方向の一側に配置される第2の挟持部69と、長手方向の他側に配置される第2の当接部70と、第2の挟持部69と第2の当接部70との間に配置される軸部71とを有している。
【0083】
第2の挟持部69には、第2のブレーキシューホルダ部15が固定される取付ボルト孔69aが形成されている。この取付ボルト孔69aは、略長方形状に開口している。また、第2の当接部70には、略半球状に凹んだ当接面70aと、第2の付勢部材の一端部が係止される取付片70bが設けられている。更に、軸部71には、第2の回動軸57が貫通する軸受孔72が形成されている。
【0084】
第1のアーム部材54は、第1の回動軸56に回動可能に支持されて取付台座61の一側に配置される。また、第2のアーム部材55は、第2の回動軸57に回動可能に支持されて取付台座61の他側に配置される。これより、第1のアーム部材54及び第2のアーム部材55は、前輪103を間に挟んでその左右両側に配置される。なお、図6に示すように、第1のアーム部材54及び第2のアーム部材55と取付台座61との間には、スペーサ73が配置されている。
【0085】
第1の付勢部材58及び第2の付勢部材59は、それぞれ同じばね定数を有する引張コイルばねである。第1の付勢部材58は、その一端部が取付台座61の係止部61eに係止され、他端部が第1のアーム部材54の取付片65bに係止されている。そして、第1の付勢部材58は、第1のアーム部材54の第1の当接部65を前輪103側に付勢している。そのため、第1のアーム部材54は、第1のブレーキシュー18がリム106から離反する方向に回動している。
【0086】
また、第2の付勢部材59は、その他端部が取付台座61の係止部61gに係止され、一端部が第2のアーム部材55の取付片70bに係止されている。そして、第2の付勢部材59は、第2のアーム部材55を回動させて、第2のブレーキシュー19がリム106から離反する方向に付勢している。
【0087】
補強部材62は、馬蹄状に形成されており、取付台座61に固定された第1の回動軸56と第2の回動軸57との間を連結している。これにより、第1の回動軸56及び第2の回動軸57は、軸方向の一端が取付台座61に支持され、軸方向の他端が補強部材62に支持される。また、走行中に2つのアウターチューブ102d、102dから入力される外力によって取付台座61が変形することを、この補強部材62によって防いでいる。
【0088】
そして、図7に示すように、スレーブ側油圧シリンダ13が作動し、伸長状態となると、第1のアーム部材54の当接面65aは、第1のピストン36の第1のアジャスタ36aに押圧され、第2のアーム部材55の当接面70aは、第2のピストン37の第2のアジャスタ37aに押圧される。このため、第1のアーム部材54は、第1の付勢部材58の付勢力に抗して、第1の回動軸56を回動中心として、回動する。また、第2のアーム部材55は、第2の付勢部材59の付勢力に抗して、第2の回動軸57を回動中心として回動する。
【0089】
このとき、取付台座61を固定した固定部111,111から、フロントフォーク102の2つのアウターチューブ102d,102dは、互いに離れる方向に力を受ける。そして、この力によって2つのアウターチューブ102d,102dが変形するおそれがある。そのため、この第2の実施の形態例では、2つのアウターチューブ102d,102dの変形を防止するために、第1の回動軸56と第2の回動軸57との間を補強部材62によって補強している。また、この補強部材62は、第1の回動軸56及び第2の回動軸57に生じる曲げモーメントにより軸間が広げられることを防いでいる。
【0090】
2つのアーム部材54,55が回動すると、第1のアーム部材54の第1の挟持部64と第2のアーム部材55の第2の挟持部69の間隔が狭まり、リム106の左右の側面に、第1のブレーキシュー18と第2のブレーキシュー19が圧接される。その結果、リム106と第1のブレーキシュー18及び第2のブレーキシュー19との間に生じる摩擦力で前輪103が制動される。
【0091】
その他の構成は、上述した第1の実施の形態例にかかる自転車用ブレーキ1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を自転車用ブレーキ51によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる自転車用ブレーキ1と同様の作用効果を得ることができる。
【0092】
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。上述した実施の形態例では、ブレーキ本体をフロントフォークに配置して、自転車の前輪を制動する例を説明したがこれに限定されるものではない。例えば、ブレーキ本体を自転車のシートステイに固定して、後輪を制動するようにしてもよい。
【0093】
また、上述した実施の形態例では、制動力発生部として油圧シリンダを用いた例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、空圧式のシリンダを用いてもよい。また、サーボモータやソレノイド式などのように電気式に伸縮動作するものであってもよい。
【0094】
なお、制動力発生部を電気式のサーボモータを用いた場合、ブレーキレバーではなく、サーボモータの動作のON/OFFを切り換える切換スイッチを自転車のハンドルに取り付けてもよく、または切換スイッチをブレーキレバーで操作するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1,51…自転車用ブレーキ、 2…ブレーキレバー(操作部)、 3,53…ブレーキ本体、 5…マスタ側油圧シリンダ、 6…油圧チューブ、 8,54…第1のアーム部材、 9,55…第2のアーム部材、 11…回動軸、 12…付勢部材、 13…スレーブ側油圧シリンダ(制動力発生部)、 14…第1のブレーキシューホルダ部、 15…第2のブレーキシューホルダ部、 16,61…取付台座、 18…第1のブレーキシュー、 19…第2のブレーキシュー、 21,64…第1の挟持部、 22,65…第1の当接部、 22a,28a,65a,70a…当接面、 23,29,66,71…軸部、 24,30,67,72…軸受孔、 27…第2の挟持部、 28…第2の当接部、 35…円筒部、 36…第1のピストン、 36a,37a…アジャスタ(押圧部)、 37…第2のピストン、 41…コイルばね、 56…第1の回動軸、 57…第2の回動軸、 58…第1の付勢部材、 59…第2の付勢部材、 62…補強部材、 101…ハンドル、 102,102A…フロントフォーク、 103…前輪、 104…ホイール、 106…リム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車の車輪のリムを間に挟んで配置される一対のアーム部材と、
前記一対のアーム部材の中間部に配置されて、前記一対のアーム部材を回動可能に支持する回動軸と、
前記一対のアーム部材に取り付けられて、前記リムに対面する一対のブレーキシューを有するブレーキシューホルダ部と、
前記一対のアーム部材の間に配置される伸縮可能な機構からなり、伸長時に前記一対のアーム部材を押圧し、前記一対のブレーキシューを前記リムに圧接させる制動力発生部と、
前記制動力発生部を操作する操作部と、
を備えることを特徴とする自転車用ブレーキ。
【請求項2】
前記ブレーキシューホルダ部は、前記一対のアーム部材の端部に取り付けられ、
前記制動力発生部は、前記一対のアーム部材における前記回動軸を間に挟んで前記ブレーキシューホルダ部と反対側の端部に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の自転車用ブレーキ。
【請求項3】
前記制動力発生部は、前記一対のアーム部材を押圧する一対のピストンを有する液圧式のスレーブ側液圧シリンダと、前記一対のピストンにより駆動され、前記一対のアーム部材を押圧する略半球状に形成された押圧部と、を有し、
前記操作部は、前記スレーブ側液圧シリンダを作動させるマスタ側液圧シリンダと、ブレーキレバーからなる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の自転車用ブレーキ。
【請求項4】
前記一対のブレーキシューが前記リムから離れる方向に前記一対のアーム部材を付勢する付勢部材を設け、
前記制動力発生部は、伸長時に前記付勢部材の付勢力に抗して前記一対のアーム部材を押圧する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自転車用ブレーキ。
【請求項5】
リムを有する車輪と、
前記車輪を制動する自転車用ブレーキとを有する自転車であって、
前記自転車用ブレーキは、
前記リムを間に挟んで配置される一対のアーム部材と、
前記一対のアーム部材の中間部に配置されて、前記一対のアーム部材を回動可能に支持する回動軸と、
前記一対のアーム部材に取り付けられて、前記リムに対面する一対のブレーキシューを有するブレーキシューホルダ部と、
前記一対のアーム部材の間に配置される伸縮可能な機構からなり、伸長時に前記一対のアーム部材を押圧し、前記一対のブレーキシューを前記リムに圧接させる制動力発生部と、
前記制動力発生部を操作する操作部と、
を有することを特徴とする自転車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−143764(P2011−143764A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4452(P2010−4452)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000151276)株式会社東京アールアンドデー (34)
【Fターム(参考)】