説明

航空機のアクチュエータの流体圧検出システム

【課題】 従来と比較して、低コストで製造することができ、安全性を向上することができる流体圧検出システムを提供すること。
【解決手段】 油圧検出システム200は、互いに油圧が分離された第1系統の油圧回路及び第2系統の油圧回路と、供給される第1系統の油圧回路の油圧210或いは第2系統の油圧回路の油圧220を検出する圧力センサ230と、第1系統の油圧回路、第2系統の油圧回路及び圧力センサ230の間に配置され、第1系統の油圧回路及び第2系統の油圧回路のうち油圧が低い系統の油圧回路及び圧力センサ230の間を連通させ、第1系統の油圧回路及び第2系統の油圧回路のうち油圧が高い系統の油圧回路及び圧力センサ230の間の連通を遮断するインバースシャトルバルブ240とを備えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機などに用いられ、互いに流体の圧力が分離された複数系統の流体回路の流体の圧力を検出する流体圧検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、航空機等の油圧システムは、安全性を考慮して、互いに油(流体)の圧力が完全に分離された複数系統の油圧回路(流体回路)を備えている。
【0003】
したがって、従来の油圧システムにおいて、互いに油圧が分離された複数系統の油圧回路の油圧を検出する方法としては、複数系統の油圧回路それぞれに対して油圧を検出する圧力センサや圧力スイッチなどを備える方法や、複数系統の油圧回路間に油圧を検出する圧力センサや圧力スイッチなどを複数系統の油圧回路に対して共通に備える方法などが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の互いに油圧が分離された複数系統の油圧回路の油圧を検出することができる油圧システム(流体圧検出システム)においては、コスト上或いは安全性上の問題があった。
【0005】
より詳細に説明すると、複数系統の油圧回路それぞれに対して油圧を検出する圧力センサや圧力スイッチなどを備える方法においては、油圧を検出する圧力センサや圧力スイッチなどが複数系統の油圧回路それぞれに対して必要となり、コスト上の問題があった。
【0006】
また、複数系統の油圧回路間に油圧を検出する圧力センサや圧力スイッチなどを複数系統の油圧回路に対して共通に備える方法においては、油圧を検出する圧力センサや圧力スイッチなどの破損によって、全ての系統の油圧回路の油圧が喪失する可能性があり、安全性上の問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、従来と比較して、低コストで製造することができ、安全性を向上することができる流体圧検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の流体圧検出システムは、互いに流体の圧力が分離された複数系統の流体回路と、流体の圧力を検出する圧力検出手段と、前記複数系統の流体回路及び前記圧力検出手段の間に配置され、前記複数系統の流体回路のうち流体の圧力が低い系統の流体回路及び前記圧力検出手段の間を連通させ、前記複数系統の流体回路のうち流体の圧力が高い系統の流体回路及び前記圧力検出手段の間の連通を遮断する連通遮断弁とを備える構成を有している。
【0009】
この構成により、本発明の流体圧検出システムは、圧力検出手段を複数系統の流体回路に対して共通に備えれば良く、複数系統の流体回路それぞれに対して流体の圧力を検出する圧力センサや圧力スイッチなどを備える従来の流体圧検出システムと比較して、低コストで製造することができる。
【0010】
また、本発明の流体圧検出システムは、圧力検出手段が破損した場合、圧力検出手段が破損したときに圧力検出手段と連通していた系統の流体回路が、圧力検出手段が破損した後に複数系統の流体回路のうち圧力が低い系統の流体回路になるので、圧力検出手段が破損したときに圧力検出手段との連通を遮断していた系統の流体回路が、圧力検出手段が破損した後に圧力検出手段と連通することはない。したがって、本発明の流体圧検出システムは、圧力検出手段が破損した場合、圧力検出手段が破損したときに圧力検出手段との連通を遮断していた系統の流体回路から流体の圧力が喪失することはなく、複数系統の流体回路間に流体の圧力を検出する圧力センサや圧力スイッチなどを複数系統の流体回路に対して共通に備える従来の流体圧検出システムと比較して、安全性を向上することができる。
【0011】
また、本発明の流体圧検出システムは、前記複数系統の流体回路及び前記連通遮断弁の間にオリフィスを備える構成を有している。
【0012】
この構成により、本発明の流体圧検出システムは、圧力検出手段が破損した場合、圧力検出手段が破損したときに圧力検出手段と連通していた系統の流体回路が、圧力検出手段が破損した後にオリフィスを介して圧力検出手段と連通するので、オリフィスを備えない構成と比較して、圧力検出手段が破損したときに圧力検出手段と連通していた系統の流体回路の流体の圧力の喪失を遅らせることができる。
【0013】
また、本発明の流体圧検出システムは、前記流体回路が、スプール固着の発生によって流体の圧力が低下するスプール固着検出ポートを形成し、前記連通遮断弁が、前記スプール固着検出ポート及び前記圧力検出手段の間の連通及び連通の遮断を行う構成を有している。
【0014】
この構成により、本発明の流体圧検出システムは、連通遮断弁によって流体回路内のスプール固着の発生を検出することができる。
【0015】
また、本発明の流体圧検出システムは、前記複数系統の流体回路がタンデムアクチュエータを構成する構成を有している。
【0016】
この構成により、本発明の流体圧検出システムは、タンデムアクチュエータの各アクチュエータを備えた複数系統の流体回路の流体の圧力を検出することができる。
【0017】
また、本発明の流体圧検出システムは、前記複数系統の流体回路がパラレルアクチュエータを構成する構成を有している。
【0018】
この構成により、本発明の流体圧検出システムは、パラレルアクチュエータの各アクチュエータを備えた複数系統の流体回路の流体の圧力を検出することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、従来と比較して、低コストで製造することができ、安全性を向上することができる流体圧検出システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0021】
(第1の実施の形態)
まず、第1の実施の形態に係る流体圧検出システムとしての油圧検出システムの構成について説明する。
【0022】
図1及び図2において、本実施の形態に係る油圧検出システム100は、互いに油圧が分離されている第1系統の油圧回路及び第2系統の油圧回路(ともに図示していない)を備えている。ここで、図1及び図2には、第1系統の油圧回路の油圧として油圧110が記載されており、第2系統の油圧回路の油圧として油圧120が記載されている。
【0023】
また、油圧検出システム100は、供給される油圧を検出する圧力検出手段としての圧力センサ(圧力スイッチ等でも良い)130を備えている。なお、圧力センサ130は、供給される油圧が所定の値以上の場合、OFFになっているが、供給される油圧が所定の値より低下した場合、ONになって電気信号を図示していない外部の装置に送るようになっている。ここで、圧力センサ130の電気のON/OFFの極性は逆であっても良い。
【0024】
また、油圧検出システム100は、第1系統の油圧回路、第2系統の油圧回路及び圧力センサ130の間に配置され、第1系統の油圧回路及び第2系統の油圧回路のうち油圧が低い系統の油圧回路及び圧力センサ130の間を連通させ、第1系統の油圧回路及び第2系統の油圧回路のうち油圧が高い系統の油圧回路及び圧力センサ130の間の連通を遮断する連通遮断弁としてのインバースシャトルバルブ140を備えている。
【0025】
ここで、インバースシャトルバルブ140は、油圧110が供給されるポート140aと、油圧120が供給されるポート140bと、圧力センサ130に接続されるポート140cとを形成しており、スプール141と、スプール141に付勢力を付与するスプリング142とを備えている。
【0026】
次に、本実施の形態に係る油圧検出システムの動作について説明する。
【0027】
(1)正常時
第1系統の油圧回路及び第2系統の油圧回路が共に油圧を喪失していない状態であるとき(即ち、正常時)、インバースシャトルバルブ140には、ポート140aに第1系統の油圧回路から高圧の油圧110が供給され、ポート140bに第2系統の油圧回路から高圧の油圧120が供給される。
【0028】
ポート140aに供給される油圧110及びポート140bに供給される油圧120が共に高圧であるので、スプール141は、バランス状態にあり、スプリング142が伸長する方向にスプリング142によって付勢され、図1に示す状態になる。
【0029】
即ち、インバースシャトルバルブ140は、正常時には、第2系統の油圧回路及び圧力センサ130の間を連通させ、第1系統の油圧回路路及び圧力センサ130の間の連通を遮断する。
【0030】
したがって、圧力センサ130は、正常時には、高圧の油圧120が供給され、ONになって電気信号を図示していない外部の装置に送る。
【0031】
(2)第1系統の油圧回路の油圧低下時
第1系統の油圧回路の油圧が油圧源等の故障によって低下したとき(即ち、第1系統の油圧回路の油圧低下時)、インバースシャトルバルブ140には、ポート140aに第1系統の油圧回路から低圧の油圧110が供給され、ポート140bに第2系統の油圧回路から高圧の油圧120が供給される。
【0032】
ポート140aに供給される油圧110が低圧であり、ポート140bに供給される油圧120が高圧であるので、スプール141は、スプリング142が収縮する方向に油圧120によって付勢され、図2に示す状態になる。
【0033】
即ち、インバースシャトルバルブ140は、第1系統の油圧回路の油圧低下時には、第1系統の油圧回路及び圧力センサ130の間を連通させ、第2系統の油圧回路及び圧力センサ130の間の連通を遮断する。
【0034】
したがって、圧力センサ130は、第1系統の油圧回路の油圧低下時には、低圧の油圧110が供給され、OFFになる。
【0035】
(3)第2系統の油圧回路の油圧低下時
第2系統の油圧回路の油圧が油圧源等の故障によって低下したとき(即ち、第2系統の油圧回路の油圧低下時)、インバースシャトルバルブ140には、ポート140aに第1系統の油圧回路から高圧の油圧110が供給され、ポート140bに第2系統の油圧回路から低圧の油圧120が供給される。
【0036】
ポート140aに供給される油圧110が高圧であり、ポート140bに供給される油圧120が低圧であるので、スプール141は、スプリング142が伸長する方向に油圧110によって付勢され、正常時の状態を維持して図1に示す状態になる。
【0037】
即ち、インバースシャトルバルブ140は、第2系統の油圧回路の油圧低下時には、第2系統の油圧回路路及び圧力センサ130の間を連通させ、第1系統の油圧回路及び圧力センサ130の間の連通を遮断する。
【0038】
したがって、圧力センサ130は、第2系統の油圧回路の油圧低下時には、低圧の油圧120が供給され、OFFになる。
【0039】
以上説明したように、油圧検出システム100は、第1系統の油圧回路及び第2系統の油圧回路の少なくとも一方が油圧を喪失したことを検出することができ、圧力センサ130から出力する電気信号によって、外部の装置などに検出結果を出力することができる。
【0040】
なお、油圧検出システム100は、圧力センサ130を第1系統の油圧回路及び第2系統の油圧回路に対して共通に備えれば良く、複数系統の流体回路それぞれに対して流体の圧力を検出する圧力センサや圧力スイッチなどを備える従来の流体圧検出システムと比較して、低コストで製造することができる。
【0041】
また、油圧検出システム100は、以下に述べる故障に対して、複数系統の流体回路間に流体の圧力を検出する圧力センサや圧力スイッチなどを複数系統の流体回路に対して共通に備える従来の流体圧検出システムと比較して、安全性を向上している。
【0042】
(1)圧力センサ130の破損
圧力センサ130が油圧によって吹き飛ぶなどして破損した場合、圧力センサ130及びインバースシャトルバルブ140間の油圧は一瞬にして喪失し、圧力センサ130が破損したときに圧力センサ130と連通していた系統の油圧回路の油圧も流出するので、圧力センサ130が破損したときに圧力センサ130と連通していた系統の油圧回路は、圧力センサ130が破損した後にも第1系統の油圧回路及び第2系統の油圧回路のうち油圧が低い系統の油圧回路であり、上述したように圧力センサ130と連通し続ける。
【0043】
換言すると、圧力センサ130が破損したときに圧力センサ130との連通を遮断していた系統の油圧回路が、圧力センサ130が破損した後に圧力センサ130と連通することはない。
【0044】
したがって、油圧検出システム100は、圧力センサ130が破損した場合、圧力センサ130が破損したときに圧力センサ130との連通を遮断していた系統の油圧回路から圧力センサ130を介して油圧が喪失することはなく、両系統の油圧回路の油圧を圧力センサ130を介して喪失するという致命的故障を防止することができる。
【0045】
(2)第1系統のマニホールドの破損
第1系統のマニホールドが破損した場合、インバースシャトルバルブ140のポート140aに供給される油圧は一瞬にして喪失するので、インバースシャトルバルブ140は上述したように図2に示す状態になり、油圧検出システム100は第1系統の油圧回路及び第2系統の油圧回路の少なくとも一方が油圧を喪失したことを検出することができる。
【0046】
換言すると、第2系統の油圧回路が、第1系統のマニホールドが破損した後に第1系統の油圧回路及び圧力センサ130と連通することはない。
【0047】
したがって、油圧検出システム100は、第1系統のマニホールドが破損した場合、第2系統の油圧回路から第1系統の油圧回路を介して油圧が喪失することはない。
【0048】
(3)第2系統のマニホールドの破損
第2系統のマニホールドが破損した場合、インバースシャトルバルブ140のポート140bに供給される油圧は一瞬にして喪失するので、インバースシャトルバルブ140は上述したように正常時の状態を維持して図1に示す状態になり、油圧検出システム100は第1系統の油圧回路及び第2系統の油圧回路の少なくとも一方が油圧を喪失したことを検出することができる。
【0049】
換言すると、第1系統の油圧回路が、第2系統のマニホールドが破損した後に第2系統の油圧回路及び圧力センサ130と連通することはない。
【0050】
したがって、油圧検出システム100は、第2系統のマニホールドが破損した場合、第1系統の油圧回路から第2系統の油圧回路を介して油圧が喪失することはない。
【0051】
なお、本実施の形態においては、流体及び流体回路として、油及び油圧回路を用いていたが、本発明においては、流体は油以外の液体であっても良い。
【0052】
(第2の実施の形態)
まず、第2の実施の形態に係る流体圧検出システムとしての油圧検出システムの構成について説明する。
【0053】
図3及び図4において、本実施の形態に係る油圧検出システム200は、互いに油圧が分離されている第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220を備えている。ここで、図3及び図4には、第1系統の油圧回路210の油圧として油圧210aが記載されており、第2系統の油圧回路220の油圧として油圧220aが記載されている。
【0054】
なお、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220は、タンデムDDV(Direct Drive Valve)260を構成しており、更に、フォースモータ270と共に、タンデムアクチュエータ280を構成している。
【0055】
また、第1系統の油圧回路210は、コンタミなどの噛み込みによるスプール固着(いわゆるジャミング)の発生によってジャム・プルーフ機能が働く、実開平7−12605号公報に記載されたジャム・プルーフ制御弁と同様なジャム・プルーフ制御弁(図示していない)を備えている。但し、第1系統の油圧回路210のジャム・プルーフ制御弁は、通常は閉じていてジャム・プルーフ機能が働くと同時にリターン(低圧側)に連通して油圧が低下するジャムポート(スプール固着検出ポート)211を形成している。
【0056】
同様に、第2系統の油圧回路220も、ジャミングの発生によってジャム・プルーフ機能が働く、実開平7−12605号公報に記載されたジャム・プルーフ制御弁と同様なジャム・プルーフ制御弁(図示していない)を備えている。但し、第2系統の油圧回路220のジャム・プルーフ制御弁は、通常は閉じていてジャム・プルーフ機能が働くと同時にリターン(低圧側)に連通して油圧が低下するジャムポート(スプール固着検出ポート)221を形成している。
【0057】
また、油圧検出システム200は、供給される油圧を検出する圧力検出手段としての圧力センサ(圧力スイッチ等でも良い)230を備えている。なお、圧力センサ230は、供給される油圧が所定の値以上の場合、OFFになっているが、供給される油圧が所定の値より低下した場合、ONになって電気信号を図示していない外部の装置に送るようになっている。ここで、圧力センサ230の電気のON/OFFの極性は逆であっても良い。
【0058】
また、油圧検出システム200は、第1系統の油圧回路210及びジャムポート211と、第2系統の油圧回路220及びジャムポート221と、圧力センサ230との間に配置され、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220のうち油圧が低い系統の油圧回路及び圧力センサ230の間を連通させ、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220のうち油圧が高い系統の油圧回路及び圧力センサ230の間の連通を遮断する連通遮断弁としてのインバースシャトルバルブ240を備えている。
【0059】
ここで、インバースシャトルバルブ240は、ジャムポート211或いはジャムポート221と、圧力センサ230との間の連通或いは連通の遮断を行うようになっている。
【0060】
また、インバースシャトルバルブ240は、油圧210aが供給されるポート240aと、油圧220aが供給されるポート240bと、圧力センサ230に接続されるポート240cとを形成しており、スプール241と、スプール241に付勢力を付与するスプリング242とを備えている。
【0061】
また、油圧検出システム200は、第1系統の油圧回路210及びインバースシャトルバルブ240の間にオリフィス291を備えており、第2系統の油圧回路220及びインバースシャトルバルブ240の間にオリフィス292を備えている。
【0062】
次に、本実施の形態に係る油圧検出システムの動作について説明する。
【0063】
(1)正常時
第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220が共に油圧を喪失しておらず、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220のジャム・プルーフ制御弁に共にジャミングが発生していない状態であるとき(即ち、正常時)、インバースシャトルバルブ240には、オリフィス291を介してポート240aに第1系統の油圧回路210から高圧の油圧210aが供給され、オリフィス292を介してポート240bに第2系統の油圧回路220から高圧の油圧220aが供給される。
【0064】
また、ジャムポート211は、閉じて、オリフィス291を介して第1系統の油圧回路210から高圧の油圧210aが供給され、ジャムポート221は、閉じて、オリフィス292を介して第2系統の油圧回路220から高圧の油圧220aが供給される。
【0065】
ポート240aに供給される油圧210a及びポート240bに供給される油圧220aが共に高圧であるので、スプール241は、バランス状態にあり、スプリング242が伸長する方向にスプリング242によって付勢され、図3に示す状態になる。
【0066】
即ち、インバースシャトルバルブ240は、正常時には、第2系統の油圧回路220及び圧力センサ230の間を連通させ、第1系統の油圧回路210路及び圧力センサ230の間の連通を遮断する。
【0067】
したがって、圧力センサ230は、正常時には、高圧の油圧220aが供給され、ONになって電気信号を図示していない外部の装置に送る。
【0068】
(2)第1系統の油圧回路210の油圧低下時
第1系統の油圧回路210の油圧が油圧源等の故障によって低下したとき(即ち、第1系統の油圧回路210の油圧低下時)、インバースシャトルバルブ240には、ポート240aに第1系統の油圧回路210から低圧の油圧210aが供給され、ポート240bに第2系統の油圧回路220から高圧の油圧220aが供給される。
【0069】
また、ジャムポート211は、閉じて、オリフィス291を介して第1系統の油圧回路210から低圧の油圧210aが供給され、ジャムポート221は、閉じて、オリフィス292を介して第2系統の油圧回路220から高圧の油圧220aが供給される。
【0070】
ポート240aに供給される油圧210aが低圧であり、ポート240bに供給される油圧220aが高圧であるので、スプール241は、スプリング242が収縮する方向に油圧220aによって付勢され、図4に示す状態になる。
【0071】
即ち、インバースシャトルバルブ240は、第1系統の油圧回路210の油圧低下時には、第1系統の油圧回路210及び圧力センサ230の間を連通させ、第2系統の油圧回路220及び圧力センサ230の間の連通を遮断する。
【0072】
したがって、圧力センサ230は、第1系統の油圧回路210の油圧低下時には、低圧の油圧210aが供給され、OFFになる。
【0073】
(3)第1系統の油圧回路210のジャム・プルーフ制御弁のジャミング発生時
第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220が共に油圧を喪失しておらず、第1系統の油圧回路210のジャム・プルーフ制御弁にジャミングが発生したとき(即ち、第1系統の油圧回路210のジャム・プルーフ制御弁のジャミング発生時)、ジャムポート211は、ジャム・プルーフ機能が働き、リターン(低圧側)に連通して油圧が低下する。
【0074】
ジャムポート211の油圧が低下すると、第1系統の油圧回路210から高圧の油圧210aが供給されていてもオリフィス291より下流は低圧になり、ジャムポート211と連通するインバースシャトルバルブ240のポート240aは油圧が低下する。
【0075】
なお、ジャムポート221は閉じているので、ジャムポート221及びインバースシャトルバルブ240のポート240bには、オリフィス292を介して第2系統の油圧回路220から高圧の油圧220aが供給される。
【0076】
ポート240aに供給される油圧210aが低圧であり、ポート240bに供給される油圧220aが高圧であるので、スプール241は、スプリング242が収縮する方向に油圧220aによって付勢され、図4に示す状態になる。
【0077】
即ち、インバースシャトルバルブ240は、第1系統の油圧回路210のジャム・プルーフ制御弁のジャミング発生時には、ジャムポート211及び圧力センサ230の間を連通させ、ジャムポート221及び第2系統の油圧回路220と、圧力センサ230との間の連通を遮断する。
【0078】
したがって、圧力センサ230は、第1系統の油圧回路210のジャム・プルーフ制御弁のジャミング発生時には、ジャムポート211と同じ低圧の油圧が供給され、OFFになる。
【0079】
(4)第2系統の油圧回路220の油圧低下時
第2系統の油圧回路220の油圧が油圧源等の故障によって低下したとき(即ち、第2系統の油圧回路220の油圧低下時)、インバースシャトルバルブ240には、ポート240aに第1系統の油圧回路210から高圧の油圧210aが供給され、ポート240bに第2系統の油圧回路220から低圧の油圧220aが供給される。
【0080】
また、ジャムポート211は、閉じて、オリフィス291を介して第1系統の油圧回路210から高圧の油圧210aが供給され、ジャムポート221は、閉じて、オリフィス292を介して第2系統の油圧回路220から低圧の油圧220aが供給される。
【0081】
ポート240aに供給される油圧210aが高圧であり、ポート240bに供給される油圧220aが低圧であるので、スプール241は、スプリング242が伸長する方向に油圧210aによって付勢され、正常時の状態を維持して図3に示す状態になる。
【0082】
即ち、インバースシャトルバルブ240は、第2系統の油圧回路220の油圧低下時には、第2系統の油圧回路220路及び圧力センサ230の間を連通させ、第1系統の油圧回路210及び圧力センサ230の間の連通を遮断する。
【0083】
したがって、圧力センサ230は、第2系統の油圧回路220の油圧低下時には、低圧の油圧220aが供給され、OFFになる。
【0084】
(5)第2系統の油圧回路220のジャム・プルーフ制御弁のジャミング発生時
第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220が共に油圧を喪失しておらず、第2系統の油圧回路220のジャム・プルーフ制御弁にジャミングが発生したとき(即ち、第2系統の油圧回路220のジャム・プルーフ制御弁のジャミング発生時)、ジャムポート221は、ジャム・プルーフ機能が働き、リターン(低圧側)に連通して油圧が低下する。
【0085】
ジャムポート221の油圧が低下すると、第2系統の油圧回路220から高圧の油圧220aが供給されていてもオリフィス292より下流は低圧になり、ジャムポート221と連通するインバースシャトルバルブ240のポート240bは油圧が低下する。
【0086】
なお、ジャムポート211は閉じているので、ジャムポート211及びインバースシャトルバルブ240のポート240aには、オリフィス291を介して第1系統の油圧回路210から高圧の油圧210aが供給される。
【0087】
ポート240aに供給される油圧210aが高圧であり、ポート240bに供給される油圧220aが低圧であるので、スプール241は、スプリング242が伸長する方向に油圧210aによって付勢され、正常時の状態を維持して図3に示す状態になる。
【0088】
即ち、インバースシャトルバルブ240は、第2系統の油圧回路220のジャム・プルーフ制御弁のジャミング発生時には、ジャムポート221及び圧力センサ230の間を連通させ、ジャムポート211及び第1系統の油圧回路210と、圧力センサ230との間の連通を遮断する。
【0089】
したがって、圧力センサ230は、第2系統の油圧回路220のジャム・プルーフ制御弁のジャミング発生時には、ジャムポート221と同じ低圧の油圧が供給され、OFFになる。
【0090】
以上説明したように、油圧検出システム200は、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220の少なくとも一方が油圧を喪失したこと、或いは、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220の少なくとも一方のジャム・プルーフ制御弁にジャミングが発生したことを検出することができ、圧力センサ230から出力する電気信号によって、外部の装置などに検出結果を出力することができる。
【0091】
なお、油圧検出システム200は、圧力センサ230を第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220に対して共通に備えれば良く、複数系統の流体回路それぞれに対して流体の圧力を検出する圧力センサや圧力スイッチなどを備える従来の流体圧検出システムと比較して、低コストで製造することができる。
【0092】
また、油圧検出システム200は、以下に述べる故障に対して、複数系統の流体回路間に流体の圧力を検出する圧力センサや圧力スイッチなどを複数系統の流体回路に対して共通に備える従来の流体圧検出システムと比較して、安全性を向上している。
【0093】
(1)圧力センサ230の破損
圧力センサ230が油圧によって吹き飛ぶなどして破損した場合、圧力センサ230及びインバースシャトルバルブ240間の油圧は一瞬にして喪失し、圧力センサ230が破損したときに圧力センサ230と連通していた系統の油圧回路の油圧も流出するので、圧力センサ230が破損したときに圧力センサ230と連通していた系統の油圧回路は、圧力センサ230が破損した後にも第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220のうち油圧が低い系統の油圧回路であり、上述したように圧力センサ230と連通し続ける。
【0094】
換言すると、圧力センサ230が破損したときに圧力センサ230との連通を遮断していた系統の油圧回路が、圧力センサ230が破損した後に圧力センサ230と連通することはない。
【0095】
したがって、油圧検出システム200は、圧力センサ230が破損した場合、圧力センサ230が破損したときに圧力センサ230との連通を遮断していた系統の油圧回路から圧力センサ230を介して油圧が喪失することはなく、両系統の油圧回路の油圧を圧力センサ230を介して喪失するという致命的故障を防止することができる。
【0096】
なお、圧力センサ230が破損したときに圧力センサ230と連通していた系統の油圧回路は、ジャム・プルーフ制御弁にジャミングが発生していなければジャムポートが閉じているので、オリフィス291或いはオリフィス292の流通量によって、圧力センサ230が破損した場合の油圧の流出速度が決定される。
【0097】
具体的に説明すると、例えば、圧力センサ230が破損したとき、第2系統の油圧回路220が圧力センサ230と連通しており、第2系統の油圧回路220のジャム・プルーフ制御弁にジャミングが発生していない場合、第2系統の油圧回路220は、ジャムポートが閉じているので、オリフィス292を介して破損した圧力センサ230から作動油を流出する。したがって、オリフィス292の流通量を小さくすればするほど、圧力センサ230が破損した場合に第2系統の油圧回路220の作動油が圧力センサ230から流出する速度を遅くすることができ、圧力センサ230から作動油が流出しない第1系統の油圧回路210と、第2系統の油圧回路220との両系統の作動油を、ある程度の時間確保することができる。
【0098】
(2)第1系統のマニホールドの破損
第1系統のマニホールドが破損した場合、インバースシャトルバルブ240のポート240aに供給される油圧は一瞬にして喪失するので、インバースシャトルバルブ240は上述したように図4に示す状態になり、油圧検出システム200は、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220の少なくとも一方が油圧を喪失したこと、或いは、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220の少なくとも一方のジャム・プルーフ制御弁にジャミングが発生したことを検出することができる。
【0099】
換言すると、第2系統の油圧回路220が、第1系統のマニホールドが破損した後に第1系統の油圧回路210及び圧力センサ230と連通することはない。
【0100】
したがって、油圧検出システム200は、第1系統のマニホールドが破損した場合、第2系統の油圧回路220から第1系統の油圧回路210を介して油圧が喪失することはない。
【0101】
(3)第2系統のマニホールドの破損
第2系統のマニホールドが破損した場合、インバースシャトルバルブ240のポート240bに供給される油圧は一瞬にして喪失するので、インバースシャトルバルブ240は上述したように正常時の状態を維持して図3に示す状態になり、油圧検出システム200は、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220の少なくとも一方が油圧を喪失したこと、或いは、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220の少なくとも一方のジャム・プルーフ制御弁にジャミングが発生したことを検出することができる。
【0102】
換言すると、第1系統の油圧回路210が、第2系統のマニホールドが破損した後に第2系統の油圧回路220及び圧力センサ230と連通することはない。
【0103】
したがって、油圧検出システム200は、第2系統のマニホールドが破損した場合、第1系統の油圧回路210から第2系統の油圧回路220を介して油圧が喪失することはない。
【0104】
なお、本実施の形態においては、油圧検出システム200は、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220がジャム・プルーフ制御弁を備えていたので、インバースシャトルバルブ240によって第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220内のジャミングの発生を検出することができていたが、本発明によれば、第1の実施の形態に係る油圧検出システム100(図1及び図2参照)のように、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220がジャム・プルーフ制御弁を備えていない構成であっても良い。
【0105】
なお、油圧検出システム200は、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220がジャム・プルーフ制御弁を備えていない構成である場合であっても、オリフィス291及びオリフィス292を備えていれば、上述したように、圧力センサ230が破損した場合、圧力センサ230が破損したときに圧力センサ230と連通していた系統の流体回路が、圧力センサ230が破損した後にオリフィス291或いはオリフィス292を介して圧力センサ230と連通するので、オリフィス291及びオリフィス292を備えない構成と比較して、圧力センサ230が破損したときに圧力センサ230と連通していた系統の流体回路の流体の圧力の喪失を遅らせることができる。
【0106】
また、油圧検出システム200は、本実施の形態において、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220がタンデムアクチュエータ280を構成していたので、タンデムアクチュエータ280の各アクチュエータを備えた第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220の油圧を検出することができていたが、本発明によれば、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220がパラレルアクチュエータ(図示していない)を構成していても良い。油圧検出システム200は、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220がパラレルアクチュエータを構成している場合、パラレルアクチュエータの各アクチュエータを備えた第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220の油圧を検出することができる。
【0107】
なお、本実施の形態においては、流体及び流体回路として、油及び油圧回路を用いていたが、本発明においては、流体は油以外の液体であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る油圧検出システムの油圧回路図である。
【図2】図1とは異なる状態での図1に示す油圧検出システムの油圧回路図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る油圧検出システムの油圧回路図である。
【図4】図3とは異なる状態での図3に示す油圧検出システムの油圧回路図である。
【符号の説明】
【0109】
100 油圧検出システム(流体圧検出システム)
110 油圧(流体の圧力)
120 油圧(流体の圧力)
130 圧力センサ(圧力検出手段)
140 インバースシャトルバルブ(連通遮断弁)
200 油圧検出システム(流体圧検出システム)
210 第1系統の油圧回路(流体回路)
210a 油圧(流体の圧力)
220 第2系統の油圧回路(流体回路)
220a 油圧(流体の圧力)
230 圧力センサ(圧力検出手段)
240 インバースシャトルバルブ(連通遮断弁)
291 オリフィス
292 オリフィス
211 ジャムポート(スプール固着検出ポート)
221 ジャムポート(スプール固着検出ポート)
280 タンデムアクチュエータ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機用いられ、互いに流体の圧力が分離された系統の流体回路の流体の圧力を検出する流体圧検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、航空機の油圧システムは、安全性を考慮して、互いに油(流体)の圧力が完全に分離された複数系統の油圧回路(流体回路)を備えている
【0003】
したがって、従来の油圧システムにおいて、互いに油圧が分離された複数系統の油圧回路の油圧を検出する方法としては、複数系統の油圧回路それぞれに対して油圧を検出する圧力センサや圧力スイッチなどを備える方法や、複数系統の油圧回路間に油圧を検出する圧力センサや圧力スイッチなどを複数系統の油圧回路に対して共通に備える方法などが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の互いに油圧が分離された複数系統の油圧回路の油圧を検出することができる油圧システム(流体圧検出システム)においては、コスト上或いは安全性上の問題があった
【0005】
より詳細に説明すると、複数系統の油圧回路それぞれに対して油圧を検出する圧力センサや圧力スイッチなどを備える方法においては、油圧を検出する圧力センサや圧力スイッチなどが複数系統の油圧回路それぞれに対して必要となり、コスト上の問題があった。
【0006】
また、複数系統の油圧回路間に油圧を検出する圧力センサや圧力スイッチなどを複数系統の油圧回路に対して共通に備える方法においては、油圧を検出する圧力センサや圧力スイッチなどの破損によって、全ての系統の油圧回路の油圧が喪失する可能性があり、安全性上の問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、従来と比較して、低コストで製造することができ、安全性を向上することができる流体圧検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の航空機のタンデムアクチュエータの流体圧検出システムは、互いに力が分離された系統の流体回路がタンデムアクチュエータを構成し、当該タンデムアクチュエータの各アクチュエータを制御する制御弁を有する航空機のタンデムアクチュエータの流体圧検出システムにおいて、前記各制御弁が、当該制御弁自身のジャミングの発生によって当該流体回路の圧力が低下するジャミング検出ポートを有し、流体の圧力を検出する圧力検出手段と、一方の前記ジャミング検出ポートから供給される流体の圧力によってその一端が付勢され、他方のジャミング検出ポートから供給される流体の圧力によってその他端が付勢されることにより、ジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段間の連通状態を変更するスプール、および該スプールを前記他方側に付勢するように設けられたスプリングを有し、前記一方のジャミング検出ポートの圧力が前記他方のジャミング検出ポートの圧力より低い状態にあるとき、前記一方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間を連通させ前記他方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間の連通を遮断し、前記一方のジャミング検出ポートの圧力が前記他方のジャミング検出ポートの圧力より高い状態にあるとき、前記他方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間を連通させ前記一方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間の連通を遮断する連通遮断弁とを備え、前記連通遮断弁は、各ジャミング検出ポートから供給される流体の圧力によって前記スプールがバランス状態であって前記スプリングによって前記スプールが前記他方側に付勢されることによって前記他方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間を連通させ前記一方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間の連通を遮断しているとき、前記他方のジャミング検出ポートの圧力が前記一方のジャミング検出ポートの圧力より高い状態になると、前記一方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間を連通させ前記他方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間の連通を遮断する構成を有している。
【0009】
また、本発明の航空機のパラレルアクチュエータの流体圧検出システムは、互いに圧力が分離された2系統の流体回路がパラレルアクチュエータを構成し、当該パラレルアクチュエータの各アクチュエータを制御する制御弁を有する航空機のパラレルアクチュエータの流体圧検出システムにおいて、前記各制御弁が、当該制御弁自身のジャミングの発生によって当該流体回路の圧力が低下するジャミング検出ポートを有し、流体の圧力を検出する圧力検出手段と、一方の前記ジャミング検出ポートから供給される流体の圧力によってその一端が付勢され、他方のジャミング検出ポートから供給される流体の圧力によってその他端が付勢されることにより、ジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段間の連通状態を変更するスプール、および該スプールを前記他方側に付勢するように設けられたスプリングを有し、前記一方のジャミング検出ポートの圧力が前記他方のジャミング検出ポートの圧力より低い状態にあるとき、前記一方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間を連通させ前記他方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間の連通を遮断し、前記一方のジャミング検出ポートの圧力が前記他方のジャミング検出ポートの圧力より高い状態にあるとき、前記他方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間を連通させ前記一方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間の連通を遮断する連通遮断弁とを備え、前記連通遮断弁は、各ジャミング検出ポートから供給される流体の圧力によって前記スプールがバランス状態であって前記スプリングによって前記スプールが前記他方側に付勢されることによって前記他方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間を連通させ前記一方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間の連通を遮断しているとき、前記他方のジャミング検出ポートの圧力が前記一方のジャミング検出ポートの圧力より高い状態になると、前記一方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間を連通させ前記他方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間の連通を遮断する構成を有している
【0010】
れらの構成により、本発明の流体圧検出システムは、圧力検出手段を系統の流体回路に対して共通に備えれば良く、系統の流体回路それぞれに対して流体の圧力を検出する圧力センサや圧力スイッチなどを備える従来の流体圧検出システムと比較して、低コストで製造することができる。
【0011】
また、本発明の流体圧検出システムは、2系統の流体回路の少なくとも一方が圧力を喪失したこと、或いは、2系統の流体回路の少なくとも一方にジャミングが発生したことを検出することができ、圧力検出手段から出力する電気信号によって、外部の装置などに検出結果を出力することができる
【0012】
また、本発明の流体圧検出システムは、圧力検出手段が破損した場合、圧力検出手段が破損したときに圧力検出手段と連通していた系統の流体回路が、圧力検出手段が破損した後に系統の流体回路のうち圧力が低い系統の流体回路になるので、圧力検出手段が破損したときに圧力検出手段との連通を遮断していた系統の流体回路が、圧力検出手段が破損した後に圧力検出手段と連通することはない。したがって、本発明の流体圧検出システムは、圧力検出手段が破損した場合、圧力検出手段が破損したときに圧力検出手段との連通を遮断していた系統の流体回路から流体の圧力が喪失することはなく、系統の流体回路間に流体の圧力を検出する圧力センサや圧力スイッチなどを系統の流体回路に対して共通に備える従来の流体圧検出システムと比較して、安全性を向上することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来と比較してコストで製造することができ全性を向上することができるとともに、系統の流体回路の少なくとも一方が圧力を喪失したこと、或いは、2系統の流体回路の少なくとも一方にジャミングが発生したことを検出することができる流体圧検出システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0015】
ず、実施の形態に係る流体圧検出システムとしての油圧検出システムの構成について説明する。
【0016】
及び図において、本実施の形態に係る油圧検出システム200は、互いに油圧が分離されている第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220を備えている。ここで、図及び図には、第1系統の油圧回路210の油圧として油圧210aが記載されており、第2系統の油圧回路220の油圧として油圧220aが記載されている。
【0017】
なお、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220は、タンデムDDV(Direct Drive Valve)260を構成しており、更に、フォースモータ270と共に、タンデムアクチュエータ280を構成している。
【0018】
また、第1系統の油圧回路210は、コンタミなどの噛み込みによるスプール固着(いわゆるジャミング)の発生によってジャム・プルーフ機能が働く、実開平7−12605号公報に記載されたジャム・プルーフ制御弁と同様なジャム・プルーフ制御弁(図示していない)を備えている。但し、第1系統の油圧回路210のジャム・プルーフ制御弁は、通常は閉じていてジャム・プルーフ機能が働くと同時にリターン(低圧側)に連通して油圧が低下するジャムポート(ジャミング検出ポート)211を形成している。
【0019】
同様に、第2系統の油圧回路220も、ジャミングの発生によってジャム・プルーフ機能が働く、実開平7−12605号公報に記載されたジャム・プルーフ制御弁と同様なジャム・プルーフ制御弁(図示していない)を備えている。但し、第2系統の油圧回路220のジャム・プルーフ制御弁は、通常は閉じていてジャム・プルーフ機能が働くと同時にリターン(低圧側)に連通して油圧が低下するジャムポート(ジャミング検出ポート)221を形成している。
【0020】
また、油圧検出システム200は、供給される油圧を検出する圧力検出手段としての圧力センサ(圧力スイッチ等でも良い)230を備えている。なお、圧力センサ230は、供給される油圧が所定の値以上の場合、OFFになっているが、供給される油圧が所定の値より低下した場合、ONになって電気信号を図示していない外部の装置に送るようになっている。ここで、圧力センサ230の電気のON/OFFの極性は逆であっても良い。
【0021】
また、油圧検出システム200は、第1系統の油圧回路210及びジャムポート211と、第2系統の油圧回路220及びジャムポート221と、圧力センサ230との間に配置され、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220のうち油圧が低い系統の油圧回路及び圧力センサ230の間を連通させ、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220のうち油圧が高い系統の油圧回路及び圧力センサ230の間の連通を遮断する連通遮断弁としてのインバースシャトルバルブ240を備えている。
【0022】
ここで、インバースシャトルバルブ240は、ジャムポート211或いはジャムポート221と、圧力センサ230との間の連通或いは連通の遮断を行うようになっている。
【0023】
また、インバースシャトルバルブ240は、油圧210aが供給されるポート240aと、油圧220aが供給されるポート240bと、圧力センサ230に接続されるポート240cとを形成しており、スプール241と、スプール241に付勢力を付与するスプリング242とを備えている。
【0024】
また、油圧検出システム200は、第1系統の油圧回路210及びインバースシャトルバルブ240の間にオリフィス291を備えており、第2系統の油圧回路220及びインバースシャトルバルブ240の間にオリフィス292を備えている。
【0025】
次に、本実施の形態に係る油圧検出システムの動作について説明する。
【0026】
(1)正常時
第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220が共に油圧を喪失しておらず、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220のジャム・プルーフ制御弁に共にジャミングが発生していない状態であるとき(即ち、正常時)、インバースシャトルバルブ240には、オリフィス291を介してポート240aに第1系統の油圧回路210から高圧の油圧210aが供給され、オリフィス292を介してポート240bに第2系統の油圧回路220から高圧の油圧220aが供給される。
【0027】
また、ジャムポート211は、閉じて、オリフィス291を介して第1系統の油圧回路210から高圧の油圧210aが供給され、ジャムポート221は、閉じて、オリフィス292を介して第2系統の油圧回路220から高圧の油圧220aが供給される。
【0028】
ポート240aに供給される油圧210a及びポート240bに供給される油圧220aが共に高圧であるので、スプール241は、バランス状態にあり、スプリング242が伸長する方向にスプリング242によって付勢され、図に示す状態になる。
【0029】
即ち、インバースシャトルバルブ240は、正常時には、第2系統の油圧回路220及び圧力センサ230の間を連通させ、第1系統の油圧回路21及び圧力センサ230の間の連通を遮断する。
【0030】
したがって、圧力センサ230は、正常時には、高圧の油圧220aが供給され、ONになって電気信号を図示していない外部の装置に送る。
【0031】
(2)第1系統の油圧回路210の油圧低下時
第1系統の油圧回路210の油圧が油圧源等の故障によって低下したとき(即ち、第1系統の油圧回路210の油圧低下時)、インバースシャトルバルブ240には、ポート240aに第1系統の油圧回路210から低圧の油圧210aが供給され、ポート240bに第2系統の油圧回路220から高圧の油圧220aが供給される。
【0032】
また、ジャムポート211は、閉じて、オリフィス291を介して第1系統の油圧回路210から低圧の油圧210aが供給され、ジャムポート221は、閉じて、オリフィス292を介して第2系統の油圧回路220から高圧の油圧220aが供給される。
【0033】
ポート240aに供給される油圧210aが低圧であり、ポート240bに供給される油圧220aが高圧であるので、スプール241は、スプリング242が収縮する方向に油圧220aによって付勢され、図に示す状態になる。
【0034】
即ち、インバースシャトルバルブ240は、第1系統の油圧回路210の油圧低下時には、第1系統の油圧回路210及び圧力センサ230の間を連通させ、第2系統の油圧回路220及び圧力センサ230の間の連通を遮断する。
【0035】
したがって、圧力センサ230は、第1系統の油圧回路210の油圧低下時には、低圧の油圧210aが供給され、OFFになる。
【0036】
(3)第1系統の油圧回路210のジャム・プルーフ制御弁のジャミング発生時
第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220が共に油圧を喪失しておらず、第1系統の油圧回路210のジャム・プルーフ制御弁にジャミングが発生したとき(即ち、第1系統の油圧回路210のジャム・プルーフ制御弁のジャミング発生時)、ジャムポート211は、ジャム・プルーフ機能が働き、リターン(低圧側)に連通して油圧が低下する。
【0037】
ジャムポート211の油圧が低下すると、第1系統の油圧回路210から高圧の油圧210aが供給されていてもオリフィス291より下流は低圧になり、ジャムポート211と連通するインバースシャトルバルブ240のポート240aは油圧が低下する。
【0038】
なお、ジャムポート221は閉じているので、ジャムポート221及びインバースシャトルバルブ240のポート240bには、オリフィス292を介して第2系統の油圧回路220から高圧の油圧220aが供給される。
【0039】
ポート240aに供給される油圧210aが低圧であり、ポート240bに供給される油圧220aが高圧であるので、スプール241は、スプリング242が収縮する方向に油圧220aによって付勢され、図に示す状態になる。
【0040】
即ち、インバースシャトルバルブ240は、第1系統の油圧回路210のジャム・プルーフ制御弁のジャミング発生時には、ジャムポート211及び圧力センサ230の間を連通させ、ジャムポート221及び第2系統の油圧回路220と、圧力センサ230との間の連通を遮断する。
【0041】
したがって、圧力センサ230は、第1系統の油圧回路210のジャム・プルーフ制御弁のジャミング発生時には、ジャムポート211と同じ低圧の油圧が供給され、OFFになる。
【0042】
(4)第2系統の油圧回路220の油圧低下時
第2系統の油圧回路220の油圧が油圧源等の故障によって低下したとき(即ち、第2系統の油圧回路220の油圧低下時)、インバースシャトルバルブ240には、ポート240aに第1系統の油圧回路210から高圧の油圧210aが供給され、ポート240bに第2系統の油圧回路220から低圧の油圧220aが供給される。
【0043】
また、ジャムポート211は、閉じて、オリフィス291を介して第1系統の油圧回路210から高圧の油圧210aが供給され、ジャムポート221は、閉じて、オリフィス292を介して第2系統の油圧回路220から低圧の油圧220aが供給される。
【0044】
ポート240aに供給される油圧210aが高圧であり、ポート240bに供給される油圧220aが低圧であるので、スプール241は、スプリング242が伸長する方向に油圧210aによって付勢され、正常時の状態を維持して図に示す状態になる。
【0045】
即ち、インバースシャトルバルブ240は、第2系統の油圧回路220の油圧低下時には、第2系統の油圧回路22及び圧力センサ230の間を連通させ、第1系統の油圧回路210及び圧力センサ230の間の連通を遮断する。
【0046】
したがって、圧力センサ230は、第2系統の油圧回路220の油圧低下時には、低圧の油圧220aが供給され、OFFになる。
【0047】
(5)第2系統の油圧回路220のジャム・プルーフ制御弁のジャミング発生時
第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220が共に油圧を喪失しておらず、第2系統の油圧回路220のジャム・プルーフ制御弁にジャミングが発生したとき(即ち、第2系統の油圧回路220のジャム・プルーフ制御弁のジャミング発生時)、ジャムポート221は、ジャム・プルーフ機能が働き、リターン(低圧側)に連通して油圧が低下する。
【0048】
ジャムポート221の油圧が低下すると、第2系統の油圧回路220から高圧の油圧220aが供給されていてもオリフィス292より下流は低圧になり、ジャムポート221と連通するインバースシャトルバルブ240のポート240bは油圧が低下する。
【0049】
なお、ジャムポート211は閉じているので、ジャムポート211及びインバースシャトルバルブ240のポート240aには、オリフィス291を介して第1系統の油圧回路210から高圧の油圧210aが供給される。
【0050】
ポート240aに供給される油圧210aが高圧であり、ポート240bに供給される油圧220aが低圧であるので、スプール241は、スプリング242が伸長する方向に油圧210aによって付勢され、正常時の状態を維持して図に示す状態になる。
【0051】
即ち、インバースシャトルバルブ240は、第2系統の油圧回路220のジャム・プルーフ制御弁のジャミング発生時には、ジャムポート221及び圧力センサ230の間を連通させ、ジャムポート211及び第1系統の油圧回路210と、圧力センサ230との間の連通を遮断する。
【0052】
したがって、圧力センサ230は、第2系統の油圧回路220のジャム・プルーフ制御弁のジャミング発生時には、ジャムポート221と同じ低圧の油圧が供給され、OFFになる。
【0053】
以上説明したように、油圧検出システム200は、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220の少なくとも一方が油圧を喪失したこと、或いは、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220の少なくとも一方のジャム・プルーフ制御弁にジャミングが発生したことを検出することができ、圧力センサ230から出力する電気信号によって、外部の装置などに検出結果を出力することができる。
【0054】
なお、油圧検出システム200は、圧力センサ230を第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220に対して共通に備えれば良く、系統の流体回路それぞれに対して流体の圧力を検出する圧力センサや圧力スイッチなどを備える従来の流体圧検出システムと比較して、低コストで製造することができる。
【0055】
また、油圧検出システム200は、以下に述べる故障に対して、系統の流体回路間に流体の圧力を検出する圧力センサや圧力スイッチなどを系統の流体回路に対して共通に備える従来の流体圧検出システムと比較して、安全性を向上している。
【0056】
(1)圧力センサ230の破損
圧力センサ230が油圧によって吹き飛ぶなどして破損した場合、圧力センサ230及びインバースシャトルバルブ240間の油圧は一瞬にして喪失し、圧力センサ230が破損したときに圧力センサ230と連通していた系統の油圧回路の油圧も流出するので、圧力センサ230が破損したときに圧力センサ230と連通していた系統の油圧回路は、圧力センサ230が破損した後にも第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220のうち油圧が低い系統の油圧回路であり、上述したように圧力センサ230と連通し続ける。
【0057】
換言すると、圧力センサ230が破損したときに圧力センサ230との連通を遮断していた系統の油圧回路が、圧力センサ230が破損した後に圧力センサ230と連通することはない。
【0058】
したがって、油圧検出システム200は、圧力センサ230が破損した場合、圧力センサ230が破損したときに圧力センサ230との連通を遮断していた系統の油圧回路から圧力センサ230を介して油圧が喪失することはなく、両系統の油圧回路の油圧を圧力センサ230を介して喪失するという致命的故障を防止することができる。
【0059】
なお、圧力センサ230が破損したときに圧力センサ230と連通していた系統の油圧回路は、ジャム・プルーフ制御弁にジャミングが発生していなければジャムポートが閉じているので、オリフィス291或いはオリフィス292の流通量によって、圧力センサ230が破損した場合の油圧の流出速度が決定される。
【0060】
具体的に説明すると、例えば、圧力センサ230が破損したとき、第2系統の油圧回路220が圧力センサ230と連通しており、第2系統の油圧回路220のジャム・プルーフ制御弁にジャミングが発生していない場合、第2系統の油圧回路220は、ジャムポートが閉じているので、オリフィス292を介して破損した圧力センサ230から作動油を流出する。したがって、オリフィス292の流通量を小さくすればするほど、圧力センサ230が破損した場合に第2系統の油圧回路220の作動油が圧力センサ230から流出する速度を遅くすることができ、圧力センサ230から作動油が流出しない第1系統の油圧回路210と、第2系統の油圧回路220との両系統の作動油を、ある程度の時間確保することができる。
【0061】
(2)第1系統のマニホールドの破損
第1系統のマニホールドが破損した場合、インバースシャトルバルブ240のポート240aに供給される油圧は一瞬にして喪失するので、インバースシャトルバルブ240は上述したように図に示す状態になり、油圧検出システム200は、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220の少なくとも一方が油圧を喪失したこと、或いは、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220の少なくとも一方のジャム・プルーフ制御弁にジャミングが発生したことを検出することができる。
【0062】
換言すると、第2系統の油圧回路220が、第1系統のマニホールドが破損した後に第1系統の油圧回路210及び圧力センサ230と連通することはない。
【0063】
したがって、油圧検出システム200は、第1系統のマニホールドが破損した場合、第2系統の油圧回路220から第1系統の油圧回路210を介して油圧が喪失することはない。
【0064】
(3)第2系統のマニホールドの破損
第2系統のマニホールドが破損した場合、インバースシャトルバルブ240のポート240bに供給される油圧は一瞬にして喪失するので、インバースシャトルバルブ240は上述したように正常時の状態を維持して図に示す状態になり、油圧検出システム200は、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220の少なくとも一方が油圧を喪失したこと、或いは、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220の少なくとも一方のジャム・プルーフ制御弁にジャミングが発生したことを検出することができる。
【0065】
換言すると、第1系統の油圧回路210が、第2系統のマニホールドが破損した後に第2系統の油圧回路220及び圧力センサ230と連通することはない。
【0066】
したがって、油圧検出システム200は、第2系統のマニホールドが破損した場合、第1系統の油圧回路210から第2系統の油圧回路220を介して油圧が喪失することはない。
【0067】
圧検出システム200は、本実施の形態において、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220がタンデムアクチュエータ280を構成していたので、タンデムアクチュエータ280の各アクチュエータを備えた第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220の油圧を検出することができていたが、本発明によれば、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220がパラレルアクチュエータ(図示していない)を構成していても良い。油圧検出システム200は、第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220がパラレルアクチュエータを構成している場合、パラレルアクチュエータの各アクチュエータを備えた第1系統の油圧回路210及び第2系統の油圧回路220の油圧を検出することができる。
【0068】
なお、本実施の形態においては、流体及び流体回路として、油及び油圧回路を用いていたが、本発明においては、流体は油以外の液体であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施の形態に係る油圧検出システムの油圧回路図である。
【図2】図1とは異なる状態での図1に示す油圧検出システムの油圧回路図である。
【符号の説明】
【0070】
00 油圧検出システム(流体圧検出システム)
210 第1系統の油圧回路(流体回路)
210a 油圧(流体の圧力)
220 第2系統の油圧回路(流体回路)
220a 油圧(流体の圧力)
230 圧力センサ(圧力検出手段)
240 インバースシャトルバルブ(連通遮断弁)
291 オリフィス
292 オリフィス
211 ジャムポート(ジャミング検出ポート)
221 ジャムポート(ジャミング検出ポート)
280 タンデムアクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに流体の圧力が分離された複数系統の流体回路と、
流体の圧力を検出する圧力検出手段と、
前記複数系統の流体回路及び前記圧力検出手段の間に配置され、前記複数系統の流体回路のうち流体の圧力が低い系統の流体回路及び前記圧力検出手段の間を連通させ、前記複数系統の流体回路のうち流体の圧力が高い系統の流体回路及び前記圧力検出手段の間の連通を遮断する連通遮断弁とを備えることを特徴とする流体圧検出システム。
【請求項2】
前記複数系統の流体回路及び前記連通遮断弁の間にオリフィスを備えることを特徴とする請求項1に記載の流体圧検出システム。
【請求項3】
前記流体回路が、スプール固着の発生によって流体の圧力が低下するスプール固着検出ポートを形成し、
前記連通遮断弁が、前記スプール固着検出ポート及び前記圧力検出手段の間の連通及び連通の遮断を行うことを特徴とする請求項2に記載の流体圧検出システム。
【請求項4】
前記複数系統の流体回路がタンデムアクチュエータを構成することを特徴とする請求項1から3までの何れかに記載の流体圧検出システム。
【請求項5】
前記複数系統の流体回路がパラレルアクチュエータを構成することを特徴とする請求項1から3までの何れかに記載の流体圧検出システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに力が分離された系統の流体回路がタンデムアクチュエータを構成し、当該タンデムアクチュエータの各アクチュエータを制御する制御弁を有する航空機のタンデムアクチュエータの流体圧検出システムにおいて、
前記各制御弁が、当該制御弁自身のジャミングの発生によって当該流体回路の圧力が低下するジャミング検出ポートを有し、
流体の圧力を検出する圧力検出手段と、
一方の前記ジャミング検出ポートから供給される流体の圧力によってその一端が付勢され、他方のジャミング検出ポートから供給される流体の圧力によってその他端が付勢されることにより、ジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段間の連通状態を変更するスプール、および該スプールを前記他方側に付勢するように設けられたスプリングを有し、前記一方のジャミング検出ポートの圧力が前記他方のジャミング検出ポートの圧力より低い状態にあるとき、前記一方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間を連通させ前記他方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間の連通を遮断し、前記一方のジャミング検出ポートの圧力が前記他方のジャミング検出ポートの圧力より高い状態にあるとき、前記他方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間を連通させ前記一方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間の連通を遮断する連通遮断弁とを備え
前記連通遮断弁は、各ジャミング検出ポートから供給される流体の圧力によって前記スプールがバランス状態であって前記スプリングによって前記スプールが前記他方側に付勢されることによって前記他方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間を連通させ前記一方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間の連通を遮断しているとき、前記他方のジャミング検出ポートの圧力が前記一方のジャミング検出ポートの圧力より高い状態になると、前記一方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間を連通させ前記他方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間の連通を遮断することを特徴とする航空機のタンデムアクチュエータの流体圧検出システム。
【請求項2】
互いに圧力が分離された2系統の流体回路がパラレルアクチュエータを構成し、当該パラレルアクチュエータの各アクチュエータを制御する制御弁を有する航空機のパラレルアクチュエータの流体圧検出システムにおいて、
前記各制御弁が、当該制御弁自身のジャミングの発生によって当該流体回路の圧力が低下するジャミング検出ポートを有し、
流体の圧力を検出する圧力検出手段と、
一方の前記ジャミング検出ポートから供給される流体の圧力によってその一端が付勢され、他方のジャミング検出ポートから供給される流体の圧力によってその他端が付勢されることにより、ジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段間の連通状態を変更するスプール、および該スプールを前記他方側に付勢するように設けられたスプリングを有し、前記一方のジャミング検出ポートの圧力が前記他方のジャミング検出ポートの圧力より低い状態にあるとき、前記一方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間を連通させ前記他方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間の連通を遮断し、前記一方のジャミング検出ポートの圧力が前記他方のジャミング検出ポートの圧力より高い状態にあるとき、前記他方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間を連通させ前記一方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間の連通を遮断する連通遮断弁とを備え、
前記連通遮断弁は、各ジャミング検出ポートから供給される流体の圧力によって前記スプールがバランス状態であって前記スプリングによって前記スプールが前記他方側に付勢されることによって前記他方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間を連通させ前記一方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間の連通を遮断しているとき、前記他方のジャミング検出ポートの圧力が前記一方のジャミング検出ポートの圧力より高い状態になると、前記一方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間を連通させ前記他方のジャミング検出ポート及び前記圧力検出手段の間の連通を遮断することを特徴とする航空機のパラレルアクチュエータの流体圧検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−29584(P2006−29584A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−201027(P2005−201027)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【分割の表示】特願2001−245128(P2001−245128)の分割
【原出願日】平成13年8月13日(2001.8.13)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】