説明

色校正用データ取得システム、画像処理システム、色校正用データ取得方法、画像処理方法及びプログラム

【課題】 任意の画像から校正用のデータとして使用できる範囲を探索し、その範囲から校正に必要な情報を採取できる色校正用データ取得システムを提供する。
【解決手段】 画像処理装置20は、入力画像について周波数領域において高周波成分をカットし、低周波画像を生成し、入力画像と生成された低周波画像との差分画像に基づいて、入力画像内のデータ均一な箇所を解析する。画像処理装置20は、この画像部分のうち所定の範囲以上である画像部分をパッチデータ取得範囲とする。また、画像処理装置20は、所定の色補正処理の後、像形成制御装置に対して画像データを出力し、記録用紙に形成された画像が読み取られた読取画像を受け付け、入力画像におけるパッチデータ取得範囲の画像部分と、読取画像における当該範囲の画像部分とに基づいて色校正用データを取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機等の色校正用データ取得システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、プリンタ、ディスプレイといったデバイスでキャリブレーション、色校正等が行われる場合には、色パッチデータを出力して、データが採取される。これは、色校正を行う上で、現状のマシン状態を把握するために必要不可欠である。多くの種類のパッチデータが取得されれば予測精度は向上するが、これらの作業は、パッチ出力にかかる出力コスト、測色、セッティング等ある程度の専門的な知識などを要し、オペレータに負担がかかり、トレードオフの関係が成り立つ。
特許文献1では、出力した画像の余白部分にパッチデータを乗せ、これを校正用のデータする手法が開示されている。
【0003】
しかしながら、余白部分とはいえ、出力画像に色パッチを出力するので、すべてのユーザに受け入れられる手法とは限らない。
【0004】
【特許文献1】特開平10−13702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した背景からなされたものであり、ユーザが出力した任意の画像内から、校正用のデータとして使用できる範囲を探索し、その範囲から校正に必要な情報を採取できる色校正用データ取得システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る色校正用データ取得システムは、入力画像内のデータ均一な箇所を解析する解析手段と、前記解析手段により解析された結果に基づいて、パッチデータを取得する範囲を設定する範囲設定手段とを有し、入力画像における前記範囲設定手段により設定された範囲のパッチデータと、読み取られた画像における当該範囲のパッチデータとに基づいて色校正用データを取得する。
【0007】
好適には、前記解析手段は、周波数領域において画像を解析する。
好適には、前記解析手段は、入力画像と、この入力画像から高周波成分を除いた低周波画像との差分画像を生成する。
好適には、前記範囲設定手段は、前記解析手段により生成された差分画像において、画素値の差分が所定値以下である領域をパッチデータ取得範囲とする。
【0008】
また、好適には、前記解析手段は、時間領域において画像を解析する。
好適には、前記解析手段は、注目画素の周辺領域に含まれる画素の分散値を求める。
好適には、前記範囲設定手段は、前記画像解析手段により求められた分散値が所定値以下である領域をパッチデータ取得範囲とする。
【0009】
好適には、前記範囲設定手段は、所定の範囲以上である領域をパッチデータ取得範囲とする。
好適には、取得された色校正用データを記憶する色校正用データ記憶手段をさらに有する。
好適には、色校正用データは、デバイス依存のデータと、デバイス非依存のデータとの対である。
【0010】
また、好適には、色校正用データは、カラーキャリブレーション用のデータとして求められる。
好適には、色校正用データは、むら補正用のデータとして求められる。
好適には、色校正用データは、プロセスコントロール用のデータとして求められる。
好適には、取得された色校正用データが適切であるか否かを判定する判定手段をさらに有する。
【0011】
本発明に係る画像処理システムは、入力画像を受け付ける画像受付手段と、前記画像受付手段により受け付けられた入力画像内のデータ均一な箇所を解析する解析手段と、前記解析手段により解析された結果に基づいて、パッチデータを取得する範囲を設定する範囲設定手段と、入力画像における前記範囲設定手段により設定された範囲のパッチデータと、読み取られた画像における当該範囲のパッチデータとに基づいて取得された色校正用データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段により記憶されている色校正用データを用いて、入力画像に対して色変換処理を行う色変換手段とを有する。
【0012】
また、本発明に係る色校正用データ取得方法は、入力画像内のデータ均一な箇所を解析し、前記解析された結果に基づいて、パッチデータを取得する範囲を設定し、入力画像における前記設定された範囲のパッチデータと、読み取られた画像における当該範囲のパッチデータとに基づいて色校正用データを取得する。
【0013】
また、本発明に係る画像処理方法は、入力画像を受け付け、前記受け付けられた入力画像内のデータ均一な箇所を解析し、前記解析された結果に基づいて、パッチデータを取得する範囲を設定し、入力画像における前記設定された範囲のパッチデータと、読み取られた画像における当該範囲のパッチデータとに基づいて取得された色校正用データを記憶し、前記記憶されている色校正用データを用いて、入力画像に対して色変換処理を行う。
【0014】
また、本発明に係る第1のプログラムは、コンピュータを含む色校正用データ取得システムにおいて、入力画像内のデータ均一な箇所を解析する解析ステップと、前記解析された結果に基づいて、パッチデータを取得する範囲を設定する範囲設定ステップとを前記色校正用データ取得システムのコンピュータに実行させるプログラムであって、色校正用データは、入力画像における前記設定された範囲のパッチデータと、読み取られた画像における当該範囲のパッチデータとに基づいて取得される。
【0015】
さらに、本発明に係る第2のプログラムは、コンピュータを含む画像処理システムにおいて、入力画像を受け付ける画像受付ステップと、前記受け付けられた入力画像内のデータ均一な箇所を解析する解析ステップと、前記解析された結果に基づいて、パッチデータを取得する範囲を設定する範囲設定ステップと、入力画像における前記設定された範囲のパッチデータと、読み取られた画像における当該範囲のパッチデータとに基づいて取得された色校正用データを記憶する記憶ステップと、前記記憶されている色校正用データを用いて、入力画像に対して色変換処理を行う色変換ステップとを前記画像処理システムのコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる色校正用データ取得システムによれば、ユーザが出力した任意の画像内から、校正用のデータとして使用できる範囲を探索し、その範囲から校正に必要な情報を採取できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
まず、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置10を説明する。
図1は、本発明に係るタンデム型の画像形成装置10の構成を示す図である。
図1に示すように、画像形成装置10は、画像読取ユニット12、画像形成ユニット14、中間転写ベルト16、用紙トレイ17、用紙搬送路18、定着器19、画像処理装置20、像形成制御装置21及び測色センサ22を有する。この画像形成装置10は、パーソナルコンピュータ(不図示)などから受信した画像データを印刷するプリンタ機能に加えて、画像読取ユニット12を用いたフルカラー複写機としての機能、及び、ファクシミリとしての機能を兼ね備えた複合機であってもよい。
【0018】
画像形成装置10の概略を説明すると、画像形成装置10の上部には、画像読取ユニット12、画像処理装置20及び像形成制御装置21が配設されている。画像読取ユニット12は、原稿30に表示された画像を読み取って、画像処理装置20に対して出力する。画像処理装置20は、画像読取ユニット12から入力された画像データ、又は、LANなどのネットワーク回線を介してパーソナルコンピュータ(不図示)等から入力された画像データに対して、後述する色変換処理及び色補正処理などの画像処理を施し、像形成制御装置21に対して出力する。像形成制御装置21は、画像処理を施された画像データに基づいて、画像形成ユニット14を制御する。なお、像形成制御装置21は、画像処理装置20の一部として、画像処理装置20に含まれてもよい。
【0019】
画像読取ユニット12の下方には、カラー画像を構成する色に対応して、複数の画像形成ユニット14が配設されている。本例では、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色に対応して第1の画像形成ユニット14K、第2の画像形成ユニット14Y、第3の画像形成ユニット14M及び第4の画像形成ユニット14Cが、中間転写ベルト16に沿って一定の間隔を空けて水平に配列されている。中間転写ベルト16は、中間転写体として図中矢印Aの方向に回動し、これら4つの画像形成ユニット14K、14Y、14M、14Cは、画像処理装置20から入力された画像データに基づいて各色のトナー像を順次形成し、これら複数のトナー像が互いに重ね合わせられるタイミングで中間転写ベルト16に転写(一次転写)する。なお、各画像形成ユニット14K、14Y、14M、14Cの色の順序は、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の順に限定されるものではなく、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の順序など、その順序は任意である。
【0020】
用紙搬送路18は、中間転写ベルト16の下方に配設されている。用紙トレイ17から供給された記録用紙32は、この用紙搬送路18上を搬送され、上記中間転写ベルト16上に多重に転写された各色のトナー像が一括して転写(二次転写)され、転写されたトナー像が定着器19によって定着され、矢印Bに沿って外部に排出される。
【0021】
次に、画像形成装置10の各構成についてより詳細に説明する。
図1に示すように、画像読取ユニット12は、原稿30を載せるプラテンガラス124と、この原稿30をプラテンガラス124上に押圧するプラテンカバー122と、プラテンガラス124上に載置された原稿30の画像を読み取る画像読取部130とを有する。この画像読取部130は、プラテンガラス124上に載置された原稿30を光源132によって照明し、原稿30からの反射光像を、フルレートミラー134、第1のハーフレートミラー135、第2のハーフレートミラー136及び結像レンズ137からなる縮小光学系を介して、CCD等からなる画像読取素子138上に走査露光して、この画像読取素子138によって原稿30の色材反射光像を所定のドット密度(例えば、16ドット/mm)で読み取るように構成されている。
【0022】
画像処理装置20は、画像読取ユニット12により読み取られた画像データ、又は、ネットワーク回線を介して入力された画像データに対して、色変換等の所定の画像処理を施す。なお、画像読取ユニット12により読み取られた原稿30の色材反射光像は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の原稿反射率データであり、画像処理装置20による画像処理によって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の原稿色材階調データに変換される。
【0023】
像形成制御装置21は、画像処理装置20から入力された画像データ(YMCK)に応じて、パルス信号を発生させ、光走査装置140に対して出力する。より具体的には、像形成制御装置21は、画像データに基づいて、後述する第1の光走査装置140K、第2の光走査装置140Y、第3の光走査装置140M及び第4の光走査装置140Cに対して、パルス信号を出力し、画像を形成する。
【0024】
第1の画像形成ユニット14K、第2の画像形成ユニット14Y、第3の画像形成ユニット14M及び第4の画像形成ユニット14Cは、水平方向に一定の間隔をおいて並列的に配置され、形成する画像の色が異なる他は、ほぼ同様に構成されている。そこで、以下、第1の画像形成ユニット14Kについて説明する。なお、各画像形成ユニット14の構成は、K、Y、M又はCを付すことにより区別する。
画像形成ユニット14Kは、画像処理装置20から入力された画像データに応じてレーザ光を走査する光走査装置140Kと、この光走査装置140Kにより走査されたレーザ光により静電潜像が形成される像形成装置150Kとを有する。
【0025】
光走査装置140Kは、半導体レーザ142Kを黒色(K)の画像データに応じて変調して、この半導体レーザ142Kからレーザ光LB(K)を画像データに応じて出射する。この半導体レーザ142Kから出射されたレーザ光LB(K)は、第1の反射ミラー143K及び第2の反射ミラー144Kを介して回転多面鏡146Kに照射され、この回転多面鏡146Kよって偏向走査され、第2の反射ミラー144K、第3の反射ミラー148K及び第4の反射ミラー149Kを介して、像形成装置150Kの感光体ドラム152K上に照射される。
【0026】
像形成装置150Kは、矢印Aの方向に沿って所定の回転速度で回転する像担持体としての感光体ドラム152Kと、この感光体ドラム152Kの表面を一様に帯電する帯電手段としての一次帯電用のスコロトロン154Kと、感光体ドラム154K上に形成された静電潜像を現像する現像器156Kと、クリーニング装置158Kとから構成されている。感光体ドラム152Kは、スコロトロン154Kにより一様に帯電され、光走査装置140Kにより照射されたレーザ光LB(K)により静電潜像を形成される。感光体ドラム152Kに形成された静電潜像は、現像器156Kにより黒色(K)のトナーで現像され、中間転写ベルト16に転写される。なお、トナー像の転写工程の後に感光体ドラム152Kに付着している残留トナー及び紙粉等は、クリーニング装置158Kによって除去される。
他の画像形成ユニット14Y、14M及び14Cも、上記と同様に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像を形成し、形成された各色のトナー像を中間転写ベルト16に転写する。
【0027】
中間転写ベルト16は、ドライブロール164と、第1のアイドルロール165と、ステアリングロール166と、第2のアイドルロール167と、バックアップロール168と、第3のアイドルロール169との間に一定のテンションで掛け回されており、駆動モータ(不図示)によってドライブロール164が回転駆動されることにより、矢印Aの方向に所定の速度で循環駆動される。この中間転写ベルト16は、例えば、可撓性を有するポリイミド等の合成樹脂フィルムを帯状に形成し、この帯状に形成された合成樹脂フィルムの両端を溶着等によって接続することにより無端ベルト状に形成されたものである。
【0028】
また、中間転写ベルト16には、各画像形成ユニット14K、14Y、14M、14Cに対向する位置にそれぞれ第1の一次転写ロール162K、第2の一次転写ロール162Y、第3の一次転写ロール162M及び第4の一次転写ロール162Cが配設され、感光体ドラム152K、152Y、152M、152C上に形成された各色のトナー像は、これらの一次転写ロール162により中間転写ベルト16上に多重に転写される。なお、中間転写ベルト16に付着した残留トナーは、二次転写位置の下流に設けられたベルト用クリーニング装置189のクリーニングブレード又はブラシにより除去される。
【0029】
用紙搬送路18には、用紙トレイ17から記録用紙32を取り出す給紙ローラ180と、用紙搬送用の第1のローラ対181、第2のローラ対182及び第3のローラ対183と、記録用紙32を既定のタイミングで二次転写位置に搬送するレジストロール184とが配設される。
また、用紙搬送路18上の二次転写位置には、バックアップロール168に圧接する二次転写ロール185が配設されており、中間転写ベルト16上に多重に転写された各色のトナー像は、この二次転写ロール185による圧接力及び静電気力で記録用紙32上に二次転写される。各色のトナー像が転写された記録用紙32は、第1の搬送ベルト186及び第2の搬送ベルト187によって定着器19へと搬送される。
定着器19は、上記各色のトナー像が転写された記録用紙32に対して加熱処理及び加圧処理を施すことにより、トナーを記録用紙32に溶融固着させる。
【0030】
用紙搬送路18には、測色センサ22が設けられている。測色センサ22は、用紙搬送路18を搬送されていく記録用紙32から画像を読み取り、この画像の特徴量を計測する。測色センサ22により計測される特徴量は、例えば、各色の濃度、彩度、色相、色分布などの色データである。測色センサ22は、読み取られた画像(読取画像)に関するデータを画像処理装置20に対して出力する。また、測色センサ22は、後述するように、画像処理装置20から指定された範囲の画像部分のみを読み取ってもよい。
【0031】
図2は、画像処理装置20の機能構成を示すブロック図である。
図2に示すように、画像処理装置20は、入力画像受付部200、色空間変換部202、色補正部204、データ出力部206、解析部208、範囲設定部210、読取画像受付部212、色校正用データ取得部214、色校正用データ判定部216及び色校正用データ記憶部218を有する。
画像処理装置20に含まれる上記各構成は、CPU、メモリ及びプログラムなどによりソフトウェア的に実現されてもよいし、ASICなどによりハードウェア的に実現されてもよい。また、画像処理装置20は、画像形成装置10のみでなく、例えばパーソナルコンピュータなどに含まれてもよい。
【0032】
画像処理装置20において、入力画像受付部200は、図1に示された画像読取ユニット12又はユーザのパーソナルコンピュータから、入力画像を受け付け、色空間変換部202に対して出力する。入力画像データは、例えば、RGB各8bitで表現されており、sRGB空間に属する画像である。
【0033】
色空間変換部202は、後述する色校正用データ記憶部218に記憶されている色校正用データを用いて、入力画像(RGB)を測色値であるCIELAB(L*,a*,b*)色空間(又はCIEXYZ)に変換する。また、色空間変換部202は、色校正用データ記憶部218に記憶されている色校正用データを用いて、変換されたCIELAB色空間の画像データを印刷処理に適した表色系のYMCK色空間の画像データに変換して、色補正部204に対して出力する。ここで、色校正用データは、画像の色再現特性を示す情報として用いられる。また、色空間変換部202は、RGB色空間及びYMCK色空間の少なくともいずれかで表された入力画像を、解析部208に対して出力する。
【0034】
色補正部204は、入力された画像データを印刷処理に適合した階調に補正し、データ出力部206に対して出力する。なお、色補正部204は、色校正用データ記憶部218に記憶されている色校正用データを用いて、色補正処理を行ってもよい。
データ出力部206は、色補正部204から入力されたYMCK色空間の画像データを、像形成制御装置21に対して出力する。また、データ出力部206は、画像データ蓄積のためのメモリに対して、入力された画像データを出力してもよい。
【0035】
解析部208は、色空間変換部202から入力された入力画像内のデータ均一な箇所を解析する。より具体的には、解析部208は、周波数領域において入力画像を解析し、入力画像とこの入力画像から高周波成分を除いた低周波画像との差分画像を生成して、低周波部分(即ち、画像的に滑らかである部分)を特定する。解析部208は、解析された低周波部分の画像を範囲設定部210に対して出力する。なお、解析部208による周波数領域における処理に関しては、後で詳述する。
【0036】
範囲設定部210は、解析部208から入力された入力画像内のデータ均一な箇所に基づいて、パッチデータを取得する範囲を設定し、設定された範囲の画像(例えば、RGB色空間及びYMCK色空間の少なくともいずれか)を色校正用データ取得部214に対して出力する。範囲設定部210は、入力画像内のデータ均一な箇所の画像のうち、所定の範囲以上である画像部分をパッチデータ取得範囲とする。範囲設定部210は、しきい値を設定し、当該画像部分がこのしきい値より大きいか否かを判断して、当該画像部分をパッチデータ取得範囲とするか否かを決定する。
また、範囲設定部210は、パッチデータ取得範囲を測色センサ22に対して指定してもよい。この場合には、測色センサ22は、範囲設定部210により指定された範囲の画像部分のみを読み取って、画像処理装置20に対して出力する。
【0037】
読取画像受付部212は、測色センサ22から入力される読取画像データを受け付けて、色校正用データ取得部214に対して出力する。読取画像受付部212は、読取画像全体の特徴量を色校正用データ取得部214に対して出力してもよいし、パッチデータ取得範囲の画像部分のデータのみを出力してもよい。読取画像データは、デバイスに依存しない色空間、例えば、CIELAB色空間、CIEXYZ色空間で表現されている。
なお、読取画像受付部212は、測色センサ22から入力される読取画像データに限らず、外部のスキャナ(不図示)により読み取られた読取画像データを受け付けてもよい。
【0038】
色校正用データ取得部214は、範囲設定部210から入力された入力画像におけるパッチデータ取得範囲の画像部分(パッチデータ)と、読取画像受付部212から入力された読取画像における当該範囲のパッチデータとに基づいて色校正用データを取得する。この色校正用データは、入力画像のパッチデータと読取画像のパッチデータとを対にして生成される。色校正用データは、デバイスに依存する色空間と、デバイスに依存しない色空間とを対にして生成されてもよく、例えば、YMCK色空間のデータとCIELAB色空間のデータとを対にして生成される。色校正用データ取得部214は、取得されたデータの対を色校正用データ判定部216に対して出力する。
【0039】
色校正用データ判定部216は、色校正用データ取得部214から入力された色校正用データが適切であるか否かを判定する。より具体的には、色校正用データ判定部216は、この色校正用データと、色校正用データ記憶部218により記憶されており色空間変換部202により使用された色校正用データとを比較する。色校正用データ判定部216は、既に記憶されている色校正用データがより適切である場合には、取得された色校正用データを削除し、取得された色校正用データがより適切である場合には、取得された色校正用データを色校正用データ記憶部218に新たに格納する。
【0040】
色校正用データ記憶部218は、色校正用データ判定部216により判定された色校正用データを記憶する。また、色校正用データ記憶部218は、予め取得されている色校正用データもまた記憶する。色校正用データ記憶部218は、HDD等の記録装置(不図示)、又はメモリにより実現される。これらの色校正用データは、例えばプロファイルとして、色空間変換部202による色変換処理(例えば、CIELAB色空間からYMCK色空間)に用いられる。
【0041】
また、入力画像のパッチデータ(例えばYMCK色空間のデータ)と読取画像のパッチデータ(例えばCIELAB色空間のデータ)とを対にしたデータは、カラーキャリブレーション、むら補正、及びプロセスコントロールにも用いられる。これらのデータの対は、プロファイルの形式に限定されず、むら補正等に適したデータ形式で用いられてもよい。
【0042】
図3は、解析部208による空間周波数処理を説明する図であって、図3(A)は原画像を例示し、図3(B)は原画像のフーリエ変換後の画像を例示し、図3(C)は原画像から高周波成分を除いた低周波画像を例示する。
図3に例示するように、解析部208は、原画像(図3(A))のフーリエ変換画像(図3(B))を求め、ローパスフィルタリングにより高周波帯域をカットされた低周波画像(図3(C))を求める。次に、解析部208は、原画像と低周波画像との差分画像を生成する。解析部208は、差分が所定のしきい値以下である範囲を画像候補範囲として、範囲設定部210に対して出力する。
【0043】
範囲設定部210は、画像候補範囲のうち、その範囲が所定の範囲以上の画像部分を、パッチデータ取得範囲とする。図3(A)においては、例えば、空の部分がパッチデータ取得範囲とされ、青のパッチデータが取得される。
なお、解析部208は、ローパスフィルタリングではなくハイパスフィルタリングを適用して低周波帯域をカットされた高周波画像を作成し、原画像と高周波画像との差分データに基づいて、原画像内のデータ均一な箇所を解析してもよい。
【0044】
図4は、画像処理装置20の動作(S10)であって、色校正用データを取得する処理を含む動作を示すフローチャートである。
図4に示すように、ステップ100(S100)において、ユーザは、パーソナルコンピュータ又は画像読取ユニット12を介して印刷要求を行う。入力画像受付部200は、入力画像データが入力されると、この入力画像データをネットワーク又は画像読取ユニット12を介して取得し、受け付けられた画像データ(例えばRGB各8ビット)を、色空間変換部202に対して出力する。
【0045】
ステップ102(S102)において、色空間変換部202は、まず、色校正用データ記憶部218に記憶されている色校正用データを用いて、RGB色空間の入力画像データをCIELAB色空間に色変換し、所定の画像処理を施す。次に、色空間変換部202は、色校正用データを用いて、変換されたCIELAB色空間のデータを出力デバイスに依存するYMCK色空間の画像データに色変換して、色補正部204に対して出力する。
【0046】
ステップ104(S104)において、解析部208は、色空間変換部202から入力されたRGB色空間及びYMCK色空間の少なくともいずれかで表された入力画像を解析して、この画像内のデータ均一な箇所を特定する。具体的には、解析部208は、入力された画像について周波数領域において高周波成分をカットし、低周波画像を生成し、入力された画像と生成された低周波画像との差分画像に基づいて、入力画像内のデータ均一な箇所を解析する。
【0047】
ステップ106(S106)において、範囲設定部210は、解析部208から入力された入力画像の画像部分のうち、所定の範囲以上の画像部分をパッチデータ取得範囲に設定する。範囲設定部220は、設定されたパッチデータ取得範囲を色校正用データ取得部214に対して出力する。また、範囲設定部220は、測色センサ22に対して、当該部分のみを測色するように指定してもよい。
【0048】
ステップ108(S108)において、色補正部204は、色空間変換部202から入力された画像データに対して、階調・濃度等の所定の色補正処理を施して、データ出力部206に対して出力する。
ステップ110(S110)において、データ出力部206は、色補正部204から入力された画像データを、像形成制御装置21に対して出力する。像形成制御装置21は、この画像データに基づいて、画像形成ユニット14を制御して、記録用紙上に画像を形成する。
【0049】
ステップ112(S112)において、測色センサ22は、用紙搬送路18を搬送されていく記録用紙32から画像を読み取り、この読取画像データを画像処理装置20に対して出力する。測色センサ22は、記録用紙32の全体を読み取ってもよいし、範囲設定部220によりパッチデータ取得範囲が指定されている場合には、当該画像部分のみを読み取ってもよい。
画像処理装置20において読取画像受付部212は、測色センサ22から入力される読取画像データを受け付けて、色校正用データ取得部214に対して出力する。なお、読取画像受付部212は、記録用紙32の全体が読み取られた画像データを受け付けた場合には、パッチデータ取得範囲の画像部分のデータのみを出力してもよい。
【0050】
ステップ114(S114)において、色校正用データ取得部214は、入力画像におけるパッチデータ取得範囲の画像部分(例えばYMCKデータ)と、読取画像受付部212から入力された読取画像における当該範囲の画像部分(例えばCIELABデータ)とに基づいて色校正用データを生成する。色校正用データ取得部214は、生成された色校正用データを、色校正用データ判定部216に対して出力する。
【0051】
ステップ116(S116)において、色校正用データ判定部216は、生成された色校正用データが色変換処理、色補正処理等に利用されるのに適切であるか否かを判定し、適切である場合にはこの色校正用データを色校正用データ記憶部218に格納し、そうでない場合には、既に色校正用データ記憶部218に記憶されている色校正用データを保持する。
【0052】
以上説明したように、色校正用データは、画像処理装置20により取得されることができる。特に、色校正用データ取得システムは、入力画像内のデータ均一な箇所を解析し、この解析結果に基づいてパッチデータを取得する範囲を設定し、入力画像における当該設定範囲のパッチデータと、読み取られた画像における当該範囲のパッチデータとに基づいて色校正用データを取得するので、ユーザが出力した任意の画像内から、校正用のデータとして使用できる範囲を探索し、その範囲から校正に必要な情報を採取できる。
【0053】
このようにして取得された色校正用データは色変換処理やキャリブレーション等に用いられるので、マシン校正にかかる費用及び労力が削減されることができる。さらに、本発明に係る色校正用データ取得システムは、ユーザが出力した画像内から色校正用データを取得するので、ユーザにより適した色校正用データを取得することができ、より精度の高いマシン校正が行われることができる。
【0054】
次に、本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置20を説明する。
図5は、本実施形態に係る画像処理装置20における解析処理を説明する図である。
図5に示すように、本実施形態に係る画像処理装置20は、入力画像内のデータ均一な箇所を実空間処理により解析する点で、第1の実施形態と異なる。より具体的には、画像処理装置20において、解析部208は、時間領域において入力画像を解析し、注目画素の周辺領域において画素値の分散値を求めて、入力画像内のデータ均一な箇所を特定する。
【0055】
解析部208は、入力された画像において、注目画素の周辺近傍のデータ(印刷の場合は、カバレッジ)を解析する。解析部208は、例えば3×3画素のマトリクスを用いて、分散値を求める。分散値Vは、次式により求められる。
V=(1/(3×3))Σ(ai−m) ・・・(1)
ここで、mは画素値の平均値であり、aiは対象画素の画素値である。なお、解析される範囲は、3×3画素の範囲に限られず、入力画像に応じて変化されてもよい。
【0056】
解析部208は、所定のしきい値を設定し、分散値Vがしきい値以下である場合に、この画素をデータ均一な箇所として、範囲設定部210に対して出力する。
なお、解析部208は、周辺近傍のデータとして、画像全体を用いてもよい。この場合には、取得されるパッチデータは、データ取得範囲内のカバレッジデータである。
【0057】
以上説明したように、画像処理装置20は、注目画素の周辺領域において画素値の分散値を求めて入力画像内のデータ均一な箇所を解析するので、ユーザが出力した任意の画像内から、校正用データとして使用できる範囲を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係るタンデム型の画像形成装置10の構成を示す図である。
【図2】画像処理装置20の機能構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係る画像処理装置20における解析処理を説明する図であって、図3(A)は原画像を例示し、図3(B)は原画像のフーリエ変換後の画像を例示し、図3(C)は原画像から高周波成分を除いた低周波画像を例示する。
【図4】画像処理装置20の動作(S10)であって、色校正用データを取得する処理を含む動作を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態に係る画像処理装置20における解析処理を説明する図である。
【符号の説明】
【0059】
10 画像形成装置
12 画像読取ユニット
14 画像形成ユニット
18 用紙搬送路
20 画像処理装置
21 像形成制御装置
22 測色センサ
32 記録用紙
200 入力画像受付部
202 色空間変換部
204 色補正部
206 データ出力部
208 解析部
210 範囲設定部
212 読取画像受付部
214 色校正用データ取得部
216 色校正用データ判定部
218 色校正用データ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像内のデータ均一な箇所を解析する解析手段と、
前記解析手段により解析された結果に基づいて、パッチデータを取得する範囲を設定する範囲設定手段と
を有し、
入力画像における前記範囲設定手段により設定された範囲のパッチデータと、読み取られた画像における当該範囲のパッチデータとに基づいて色校正用データを取得する
色校正用データ取得システム。
【請求項2】
前記解析手段は、周波数領域において画像を解析する
請求項1に記載の色校正用データ取得システム。
【請求項3】
前記解析手段は、入力画像と、この入力画像から高周波成分を除いた低周波画像との差分画像を生成する
請求項2に記載の色校正用データ取得システム。
【請求項4】
前記範囲設定手段は、前記解析手段により生成された差分画像において、画素値の差分が所定値以下である領域をパッチデータ取得範囲とする
請求項3に記載の色校正用データ取得システム。
【請求項5】
前記解析手段は、時間領域において画像を解析する
請求項1に記載の色校正用データ取得システム。
【請求項6】
前記解析手段は、注目画素の周辺領域に含まれる画素の分散値を求める
請求項5に記載の色校正用データ取得システム。
【請求項7】
前記範囲設定手段は、前記画像解析手段により求められた分散値が所定値以下である領域をパッチデータ取得範囲とする
請求項6に記載の色校正用データ取得システム。
【請求項8】
前記範囲設定手段は、所定の範囲以上である領域をパッチデータ取得範囲とする
請求項1乃至7のいずれかに記載の色校正用データ取得システム。
【請求項9】
取得された色校正用データを記憶する色校正用データ記憶手段をさらに有する
請求項1乃至8のいずれかに記載の色校正用データ取得システム。
【請求項10】
色校正用データは、デバイス依存のデータと、デバイス非依存のデータとの対である
請求項1乃至9のいずれかに記載の色校正用データ取得システム。
【請求項11】
色校正用データは、カラーキャリブレーション用のデータとして求められる
請求項1乃至10のいずれかに記載の色校正用データ取得システム。
【請求項12】
色校正用データは、むら補正用のデータとして求められる
請求項1乃至10のいずれかに記載の色校正用データ取得システム。
【請求項13】
色校正用データは、プロセスコントロール用のデータとして求められる
請求項1乃至10のいずれかに記載の色校正用データ取得システム。
【請求項14】
取得された色校正用データが適切であるか否かを判定する判定手段をさらに有する
請求項1乃至13のいずれかに記載の色校正用データ取得システム。
【請求項15】
入力画像を受け付ける画像受付手段と、
前記画像受付手段により受け付けられた入力画像内のデータ均一な箇所を解析する解析手段と、
前記解析手段により解析された結果に基づいて、パッチデータを取得する範囲を設定する範囲設定手段と、
入力画像における前記範囲設定手段により設定された範囲のパッチデータと、読み取られた画像における当該範囲のパッチデータとに基づいて取得された色校正用データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段により記憶されている色校正用データを用いて、入力画像に対して色変換処理を行う色変換手段と
を有する画像処理システム。
【請求項16】
入力画像内のデータ均一な箇所を解析し、
前記解析された結果に基づいて、パッチデータを取得する範囲を設定し、
入力画像における前記設定された範囲のパッチデータと、読み取られた画像における当該範囲のパッチデータとに基づいて色校正用データを取得する
色校正用データ取得方法。
【請求項17】
入力画像を受け付け、
前記受け付けられた入力画像内のデータ均一な箇所を解析し、
前記解析された結果に基づいて、パッチデータを取得する範囲を設定し、
入力画像における前記設定された範囲のパッチデータと、読み取られた画像における当該範囲のパッチデータとに基づいて取得された色校正用データを記憶し、
前記記憶されている色校正用データを用いて、入力画像に対して色変換処理を行う
画像処理方法。
【請求項18】
コンピュータを含む色校正用データ取得システムにおいて、
入力画像内のデータ均一な箇所を解析する解析ステップと、
前記解析された結果に基づいて、パッチデータを取得する範囲を設定する範囲設定ステップと
を前記色校正用データ取得システムのコンピュータに実行させるプログラムであって、
色校正用データは、入力画像における前記設定された範囲のパッチデータと、読み取られた画像における当該範囲のパッチデータとに基づいて取得される
プログラム。
【請求項19】
コンピュータを含む画像処理システムにおいて、
入力画像を受け付ける画像受付ステップと、
前記受け付けられた入力画像内のデータ均一な箇所を解析する解析ステップと、
前記解析された結果に基づいて、パッチデータを取得する範囲を設定する範囲設定ステップと、
入力画像における前記設定された範囲のパッチデータと、読み取られた画像における当該範囲のパッチデータとに基づいて取得された色校正用データを記憶する記憶ステップと、
前記記憶されている色校正用データを用いて、入力画像に対して色変換処理を行う色変換ステップと
を前記画像処理システムのコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−60343(P2007−60343A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−243790(P2005−243790)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】