説明

色素増感型太陽電池

【課題】集電効率に優れ、且つ電池の有効面積の低減を十分に抑えることができる集電電極を備える色素増感型太陽電池を提供する。
【解決手段】本発明の色素増感型太陽電池101は、透光性基板(ガラス基板等)1と、対極基板2(セラミック基板等)と、透光性基板1の一面に設けられた透光性導電層31(FTO等からなる。)、透光性導電層31の表面に設けられた半導体電極32(多孔質チタニア等からなる。)、セラミック基板2の一面に設けられた触媒電極33、セラミック基板2の一面又は他面に設けられ、触媒電極33と離間し、且つ透光性導電層31と接続された負極側集電電極34(タングステン等からなる。)、並びに半導体電極32と該触媒電極33との間に充填された電解液35(Iと、LiI及びイミダゾリウムヨーダイド等の電解質とを含有する。)を有する単セル構成体3と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光エネルギーを電気エネルギーに直接変換する色素増感型太陽電池に関する。更に詳しくは、本発明は、抵抗が低く、優れた集電効率を有する集電電極の形成が容易ではない半導体電極側の集電電極を、対極のセラミック基板側に設けることで、抵抗が低く、優れた集電効率を有する集電電極を簡易な工程で容易に形成することができ、且つ集電電極を設けることによる半導体電極の面積の低減が抑えられ、十分な発電効率を有する色素増感型太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、太陽光発電では、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン及びこれらを組み合わせたHIT(Heterojunction with Intrinsic Thin−layer)等を用いた太陽電池が実用化され、主力技術となっている。このシリコン系太陽電池では光電変換効率も20%に近く優れている。しかし、素材製造にかかるエネルギーコストが高く、環境負荷などの面でも課題が多く、価格及び材料供給等における制限もある。
【0003】
一方、Gratzel等により提案された色素増感型太陽電池が安価な太陽電池として注目されている(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照。)。この太陽電池は、増感色素を担持させたチタニア多孔質電極と触媒電極との間に電解液を介在させた構造を有し、現行のシリコン系太陽電池に比べて変換効率は低いものの、材料、製法等の面でコストダウンが可能である。
【0004】
この色素増感型太陽電池では、通常、半導体電極及び触媒電極の各々に、それぞれの電極から効率よく集電するための集電電極が付設される。この集電電極は、銀ペーストを塗布し、焼き付けることにより形成されることが多い(例えば、特許文献2参照。)。また、スパッタ及び蒸着等の方法により金属を堆積させて集電電極を形成することも検討されている。
【0005】
【特許文献1】特開平1−220380号公報
【非特許文献1】Nature誌(第353巻、pp.737−740、1991年)
【特許文献2】特開2000−285977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、色素増感型太陽電池において用いられる電解液は揮発性及び腐食性が高いため、例えば、銀からなる集電電極と電解液との接触を防止するため、通常、集電電極は樹脂により覆われ保護されている。このように基板表面に集電電極と樹脂層とが形成された場合、基板表面のうちの半導体電極を形成することができる面積が減少し、これによって発電効率が低下し、問題である。更に、電解液は揮発性が高いため、樹脂により保護しても樹脂を透過して侵入し、集電電極を腐食させることもある。また、スパッタ及び蒸着等の方法により集電電極を形成する場合、透光性基板として用いられるガラス基板及び樹脂基板等は耐熱性が十分ではないため、金属を厚く堆積させることができない。そのため、抵抗の低い集電電極とするためには面積を大きくせざるを得ず、同様に半導体電極を形成することができる面積が減少し、発電効率が低下する傾向にある。
【0007】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、負極側集電電極を対極側に設けることを特徴とする。これにより、半導体電極が設けられるガラス基板等の透光性基板における半導体電極の面積の低減が抑えられる。また、従来は煩雑であった工程を簡略化することができ、負極側集電電極を容易に形成することができる。更に、負極側集電電極を対極基板の一面に設けた場合は、特に、対極がセラミック基板であるとき、抵抗が低く、優れた集電効率を有する集電電極を容易に形成することができ、より高い発電効率を有する色素増感型太陽電池とすることができる。更に、負極側集電電極を対極基板の他面に設けた場合は、対極の材質によらず抵抗が低く、優れた集電効率を有する集電電極を容易に形成することができ、より高い発電効率を有する色素増感型太陽電池とすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下のとおりである。
1.透光性基板1と、該透光性基板1の一面に対向して配置された対極基板2と、
該透光性基板1の該一面に設けられた透光性導電層31、該透光性導電層31の表面に設けられ且つ増感色素を有する半導体電極32、該対極基板2の一面に該半導体電極32に対向して設けられた触媒電極33、該対極基板2の該一面又は他面に設けられ、該触媒電極33と離間し且つ該透光性導電層31と接続された負極側集電電極34、並びに該半導体電極32及び該触媒電極33の各々の少なくとも一部に含有され且つ該半導体電極32と該触媒電極33との間に充填された電解液35を有する少なくとも1個の単セル構成体3と、を備えることを特徴とする色素増感型太陽電池。
2.上記対極基板2がセラミック基板2であり、上記負極側集電電極34が該セラミック基板2の上記透光性基板1の上記一面に対向する一面に設けられ且つタングステンを含有する上記1.に記載の色素増感型太陽電池。
3.上記負極側集電電極34の厚さが10〜100μmである上記2.に記載の色素増感型太陽電池。
4.上記透光性導電層31と上記負極側集電電極34とが、導電性接着剤層36を介して接続されている上記2.又は3.に記載の色素増感型太陽電池。
5.上記導電性接着剤層36には導電性フィラーが含有されており、該導電性フィラーはカーボンフィラー、タングステンフィラー、チタンフィラー及びニッケルフィラーのうちの少なくとも1種である上記4.に記載の色素増感型太陽電池。
6.上記導電性接着剤層36は、未硬化導電性接着剤層が、上記透光性基板1を透過して照射されたレーザー光により硬化されてなる上記4.又は5.に記載の色素増感型太陽電池。
7.上記負極側集電電極34の上記電解液35と接触する面が、上記半導体電極32側に向けて傾斜する光反射傾斜面5である上記2.乃至6.のうちのいずれか一項に記載の色素増感型太陽電池。
8.上記負極側集電電極34の縦断面形状は、上記対極基板2側を底辺とする三角形形状又は台形形状である上記7.記載の色素増感型太陽電池。
9.上記負極側集電電極34が上記対極基板2の上記他面に設けられ、上記透光性導電層31の上記表面と該対極基板2の上記一面との間に複数のインターコネクタ37が介装され、且つ複数の該インターコネクタ37の各々と該負極側集電電極34とが、該対極基板2に形成されたビア導体38により接続されている上記1.に記載の色素増感型太陽電池。
10.上記インターコネクタ37の横断面の面積が0.15〜5.0mmであり、複数の上記インターコネクタ37のそれぞれの離間距離が4.0〜11.0mmである上記9.に記載の色素増感型太陽電池。
11.上記対極基板2がセラミック基板2である上記9.又は10.に記載の色素増感型太陽電池。
12.上記負極側集電電極34の厚さが0.5〜100μmである上記9.乃至11.のうちのいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池。
13.上記インターコネクタ37の上記電解液35と接触する面が、上記半導体電極32側に向けて傾斜する光反射傾斜面5である上記9.乃至12.のうちのいずれか一項に記載の色素増感型太陽電池。
14.上記インターコネクタ37は、上記対極基板2側を底面とする円錐台形状又は円錐形状である上記13.記載の色素増感型太陽電池。
15.上記透光性基板1の上記一面と、上記セラミック基板2の上記一面との間に、各々が有する、透光性導電層31間、半導体電極32間、触媒電極33間、負極側集電電極34間及び電解液35間が、それぞれ電気的に絶縁された複数の上記単セル構成体3が設けられ、且つ複数の該単セル構成体3の各々が直列に接続されている上記2.乃至8.のうちのいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池。
16.上記透光性基板1の上記一面と、上記セラミック基板2の上記一面との間が、上記単セル構成体3の各々が有する負極側集電電極34の周囲においてそれぞれ樹脂又はガラスにより封着されて上記絶縁がなされている上記15.に記載の色素増感型太陽電池。
17.上記透光性基板1の上記一面と、上記対極基板2の上記一面との間に、各々が有する、透光性導電層31間、半導体電極32間、触媒電極33間、負極側集電電極34間、電解液35間及びインターコネクタ37間、がそれぞれ電気的に絶縁された複数の上記単セル構成体3が設けられ、且つ複数の該単セル構成体3の各々が直列に接続されている上記9.乃至14.のうちのいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池。
18.上記透光性基板1の上記一面と、上記対極基板2の上記一面との間が、上記単セル構成体3の各々が有する半導体電極32の周囲においてそれぞれ樹脂又はガラスにより封着されて上記絶縁がなされている上記17.に記載の色素増感型太陽電池。
19.上記対極基板2と上記触媒電極33との間に正極側集電電極39が設けられた上記1.乃至18.のうちのいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池。
【発明の効果】
【0009】
本発明の色素増感型太陽電池は、半導体電極側における集電効率に優れ、且つ半導体電極の有効面積の低減が抑えられ、十分な発電効率を有する。また、従来は煩雑であった負極側集電電極の形成工程を簡略化することができる。
更に、上記対極基板2がセラミック基板2であり、上記負極側集電電極34が該セラミック基板2の上記透光性基板1の上記一面に対向する一面に設けられ且つタングステンを含有する場合は、耐久性に優れた太陽電池とすることができ、且つ集電効率に優れるとともに、電解液に対する耐腐食性が高い集電電極とすることができ、発電効率も向上する。
また、負極側集電電極34の厚さが10〜100μmである場合は、十分に抵抗の低い集電電極とすることができる。
更に、透光性導電層31と負極側集電電極34とが、導電性接着剤層36を介して接続されている場合は、透光性導電層31と負極側集電電極34との密着性を高めることができる。
また、導電性接着剤層36には導電性フィラーが含有されており、導電性フィラーがカーボンフィラー、タングステンフィラー、チタンフィラー及びニッケルフィラーのうちの少なくとも1種である場合は、電解液に対する耐腐食性に優れた導電性接着剤層36とすることができる。
更に、導電性接着剤層36が、未硬化導電性接着剤層が、透光性基板1を透過して照射されたレーザー光により硬化されてなる場合は、導電性接着剤層36を容易に形成することができる。
また、負極側集電電極34が対極基板2の他面に設けられ、透光性導電層31の表面と対極基板2の一面との間に複数のインターコネクタ37が介装され、且つ複数のインターコネクタ37の各々と負極側集電電極34とが、対極基板2に形成されたビア導体38により接続されている場合は、透光性基板における半導体電極の面積の低減がより抑えられ、発電効率もより向上する。
更に、負極側集電電極34に光反射傾斜面5を設ける場合は、負極側集電電極34に照射される光を、光反射傾斜面5で反射して半導体電極32へ到達させることにより発電に利用することができ、より発電効率を高めることができる。
また、負極側集電電極34の縦断面形状を台形形状等とする場合は、負極側集電電極34に光反射傾斜面5を設けることができ、より発電効率を高めることができる。
更に、インターコネクタ37の横断面の面積が0.15〜5.0mmであり、複数のインターコネクタ37のそれぞれの離間距離が4.0〜11.0mmである場合は、透光性基板における半導体電極の面積の低減が抑えられるとともに、十分な集電効率を有する負極側集電電極34とすることができる。
また、対極基板2がセラミック基板2である場合は、耐久性に優れた太陽電池とすることができる。
更に、負極側集電電極34の厚さが0.5〜100μmである場合は、集電電極の面積と厚さとを調整することにより、十分に抵抗の低い集電電極とすることができる。
また、透光性基板1の一面と、セラミック基板2の一面との間に、各々が有する、透光性導電層31間、半導体電極32間、触媒電極33間、負極側集電電極34間及び電解液35間が、それぞれ電気的に絶縁された複数の単セル構成体3が設けられ、且つ複数の単セル構成体3の各々が直列に接続されている場合は、太陽電池の出力電圧を高くすることができる。
更に、透光性基板1の一面と、セラミック基板2の一面との間が、少なくとも、2個以上の単セル構成体3の各々が有する負極側集電電極34の周囲においてそれぞれ樹脂又はガラスにより封着されて絶縁がなされている場合は、各々の単セル構成体3をそれぞれ電気的に確実に絶縁することができる。
また、透光性基板1の一面と、対極基板2の一面との間に、各々が有する、透光性導電層31間、半導体電極32間、触媒電極33間、負極側集電電極34間、電解液35間及びインターコネクタ37間、がそれぞれ電気的に絶縁された複数の単セル構成体3が設けられ、且つ複数の単セル構成体3の各々が直列に接続されている場合は、太陽電池の出力電圧を高くすることができる。
更に、透光性基板1の一面と、対極基板2の一面との間が、単セル構成体3の各々が有する半導体電極32の周囲においてそれぞれ樹脂又はガラスにより封着されて絶縁がなされている場合は、各々の単セル構成体3をそれぞれ電気的に確実に絶縁することができる。
また、対極基板2と触媒電極33との間に正極側集電電極39が設けられた場合は、正極側での集電効率も向上し、より発電効率に優れた太陽電池とすることができる。
更に、インターコネクタ37に光反射傾斜面5を設ける場合は、インターコネクタ37に照射される光を、光反射傾斜面5で反射して半導体電極32へ到達させることにより発電に利用することができ、より発電効率を高めることができる。
また、インターコネクタ37の形状を円錐台形状等とする場合は、インターコネクタ37に光反射傾斜面5を設けることができ、より発電効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、例えば、図1〜23を用いて本発明を詳細に説明する。
本発明の色素増感型太陽電池は、透光性基板1と、この透光性基板1の一面に対向して配置された対極基板2と、透光性基板1の一面に設けられた透光性導電層31、透光性導電層31の表面に設けられ且つ増感色素を有する半導体電極32、対極基板2の一面に半導体電極32に対向して設けられた触媒電極33、対極基板2の一面又は他面に設けられ、触媒電極33と離間し且つ透光性導電層31と接続された負極側集電電極34、並びに半導体電極32及び触媒電極33の各々の少なくとも一部に含有され且つ半導体電極32と触媒電極33との間に充填された電解液35を有する少なくとも1個の単セル構成体3と、を備える。
【0011】
上記「透光性基板1」としては、ガラス板、樹脂シート等からなる基板が挙げられる。この樹脂シートは特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエチリデンノルボルネン等を用いて作製された樹脂シートが挙げられる。
この透光性基板1の「透光性」とは、下記式により表される可視光透過率が10%以上であることを意味する。
可視光透過率(%)=(透光性基板を透過した光量/透光性基板に入射した光量)×100
この可視光透過率は60%以上、特に85%以上であることが好ましい。
透光性基板1の厚さは材質によっても異なり、特に限定されないが、上記の可視光透過率が60〜99%、特に85〜99%となる厚さであることが好ましい。
【0012】
上記「対極基板2」は、透光性基板1に対向して配置される。この対極基板2は透光性を有していても有していなくてもよい。透光性を有する対極基板2としては、ガラス板、樹脂シート等からなる基板が挙げられる。この樹脂シートは特に限定されず、上記の透光性基板1のときと同様の樹脂シートが挙げられる。透光性を有していない対極基板2は特に限定されないが、セラミック基板2が挙げられる。このセラミック基板2を備えることで、色素増感型太陽電池の耐久性を向上させることができる。このセラミック基板2を作製するためのセラミックとしては、酸化物系セラミック、窒化物系セラミック、炭化物系セラミック等の各種のセラミックを用いることができる。
【0013】
セラミックとしては、アルミナ、窒化ケイ素、ジルコニア等が好ましく、アルミナが特に好ましい。アルミナは耐腐食性が高く、強度が大きく、電気絶縁性にも優れ、アルミナからなるセラミック基板2とすることで、より優れた耐久性を有する色素増感型太陽電池とすることができる。このアルミナを含有するセラミック基板2の場合、この基板に含まれるセラミックの全量を100質量%とした場合に、アルミナが80質量%以上、特に90質量%以上、更に95質量%以上(100質量%であってもよい。)であることが好ましい。
【0014】
このセラミック基板2の厚さは特に限定されないが、100μm〜5mm、特に500μm〜5mm、更に1〜5mmとすることができ、300μm〜3mmとすることが好ましい。セラミック基板2の厚さが100μm〜5mm、特に300μm〜3mmであれば、支持層として十分な強度を有し、優れた耐久性を有する色素増感型太陽電池とすることができる。
【0015】
以下、上記「単セル構成体3」について詳述する。
上記「透光性導電層31」は、透光性基板1の一面に設けられる。透光性導電層31は、透光性及び導電性を有しておればよく、その材質は特に限定されない。この透光性導電層31としては、導電性酸化物からなる薄膜、炭素薄膜等が挙げられる。導電性酸化物としては、酸化インジウム、スズドープ酸化インジウム、酸化スズ、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)等が挙げられる。この透光性導電層31の厚さは材質によっても異なり、特に限定されないが、表面抵抗が100Ω/cm以下、特に1〜10Ω/cmとなる厚さであることが好ましい。
この透光性導電層31の透光性の意味及び好ましい可視光透過率は、透光性基板1の場合と同様である。
【0016】
上記「半導体電極32」は、透光性導電層31の表面に設けられ且つ増感色素を有する。この半導体電極32は、多孔質電極基体と、この多孔質電極基体に付着した増感色素とを有する。多孔質電極基体は、チタニア、酸化スズ、酸化亜鉛等の金属酸化物、及び硫化亜鉛、硫化鉛等の金属硫化物等により形成することができる。多孔質電極基体の作製方法は特に限定されず、例えば、金属酸化物、金属硫化物等の微粒子を含有するペーストを、透光性基板1の一面に設けられた透光性導電層31の表面に、スクリーン印刷法、ドクターブレード法等により塗布し、焼成することにより作製することができる。
【0017】
焼成の条件は特に限定されないが、焼成温度は400〜600℃、特に450〜550℃とすることができ、焼成時間は10〜300分、特に20〜40分とすることができる。焼成雰囲気は、大気雰囲気等の酸化雰囲気又はアルゴン等の希ガス雰囲気及び窒素ガス雰囲気等の不活性雰囲気とすることができる。
【0018】
上記「増感色素」は、光電変換効率を向上させる作用を有する。この増感色素としては、錯体色素及び有機色素を用いることができる。錯体色素としては金属錯体色素が挙げられる。有機色素としてはポリメチン色素、メロシアニン色素等が挙げられる。金属錯体色素としてはルテニウム錯体色素及びオスミウム錯体色素等が挙げられ、ルテニウム錯体色素が特に好ましい。また、光電変換がなされる波長域を拡大し、変換効率を向上させるため、光電変換がなされる波長域の異なる2種以上の増感色素を併用することもできる。多孔質電極基体に増感色素を付着させる方法は特に限定されず、例えば、増感色素を有機溶媒に溶解させた溶液に多孔質電極基体を浸漬して溶液を含侵させ、その後、有機溶媒を除去することにより付着させることができる。また、この溶液を、ワイヤーバー法、スライドホッパー法等により多孔質電極基体に塗布して含浸させ、その後、有機溶媒を除去することにより付着させることもできる。半導体電極32の厚さは特に限定されないが、0.1〜100μmとすることができ、1〜30μm、特に2〜25μmとすることが好ましい。半導体電極32の厚さが0.1〜100μmであれば、光電変換が十分になされ、発電効率が向上する。
【0019】
上記「触媒電極33」は、対極基板2の一面に半導体電極32に対向して設けられる。この触媒電極33は、触媒活性を有する物質により形成することができる。また、触媒活性を有さない、金属、前記の透光性導電層31の形成に用いられる導電性酸化物及びポリアニリン、ポリピロール等の導電性高分子などと、触媒活性を有する物質とを用いて形成することもできる。触媒活性を有する物質としては、白金、ロジウム等の貴金属、カーボンブラック等が挙げられ、これらは併せて導電性を有する。触媒電極33は、触媒活性を有し、且つ電気化学的に安定な貴金属により形成することが好ましく、触媒活性が高く、電解質溶液に腐食され難い白金を用いることが特に好ましい。この触媒電極33の厚さは特に限定されないが、3nm〜10μm、特に3nm〜1μmとすることができる。触媒電極33の厚さが3nm〜10μmであれば、十分に抵抗の低い触媒電極とすることができる。
【0020】
触媒活性を有する物質からなる触媒電極33は、触媒活性を有する物質の微粒子を含有するペーストを、対極基板2の一面、又は後記のように正極側集電電極39が設けられる場合は、この正極側集電電極39の表面に、スクリーン印刷法、ドクターブレード法等により塗布し、加熱して作製することができる。また、触媒活性を有する物質を含有する金属からなる触媒電極33及び触媒活性を有する物質を含有する導電性酸化物からなる触媒電極33も、触媒活性を有する物質の場合と同様の方法により作製することができる。更に、これらの触媒電極33は、スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法等により、対極基板2等の表面に金属等を堆積させて形成することもできる。
【0021】
対極基板2の一面又は他面には上記「負極側集電電極34」が設けられる。この負極側集電電極34は、触媒電極33と離間して形成される。この離間とは、負極側集電電極34と触媒電極33とが電気的に絶縁されていることを意味する。また、負極側集電電極34は、透光性導電層31と電気的に接続されており、負極側、即ち、半導体電極32の集電電極として機能する。このように、半導体電極32の集電電極を透光性基板1と対向する対極基板2の側に設けることで、集電電極を設けることによる半導体電極の面積の低減が十分に抑えられる。
【0022】
負極側集電電極34が対極基板2の一面に設けられる場合(以下、これを負極側集電電極341という。)(図1〜6参照)、この負極側集電電極341は電解液と接触することになるため、耐腐食性が高い材質からなる負極側集電電極341とする必要がある。この耐腐食性の高い材質としては、タングステン、チタン、ニッケル等が挙げられ、より優れた耐腐食性を有するタングステンが特に好ましい。また、対極基板2の材質は特に限定されないが、セラミック基板2であることが好ましい。即ち、発電効率を向上させるためには、半導体電極32ばかりでなく、対向する触媒電極33の面積も大きくすることが好ましく、その場合、負極側集電電極341の面積を小さくしなければならず、十分に抵抗が低く、集電効率に優れた負極側集電電極341とするためには、負極側集電電極341を厚くする必要がある。そして、厚膜にするためには、スパッタ法等により金属を堆積する、又はスクリーン印刷法等により塗膜を形成する等のいずれの方法であっても、十分な耐熱性を有する対極基板2であることが好ましく、セラミック基板2とすることが好ましい。
【0023】
タングステンを用いる場合、負極側集電電極341は、純タングステン(この純タングステンとは、99.98%以上の純度であるタングステンをそのまま使用し、他の金属を混合しないことを意味する。)からなるものでもよい。また、タングステンと他の金属との混合物からなるものでもよい。タングステンと他の金属とを併用するときは、タングステンと他の金属との合計を100質量%とした場合に、タングステンの含有量は95質量%以上、特に98質量%以上、更に99.9質量%以上であることが好ましい。タングステンの含有量が95質量%以上であれば、集電効率が高く且つ優れた耐腐食性を有する集電電極とすることができる。これらのうちでは、純タングステンからなる負極側集電電極341が、電解液に対する耐腐食性により優れるため特に好ましい。
【0024】
負極側集電電極341は、所定のパターンが形成されたマスクを用いて、マグネトロンスパッタ法及び電子ビ−ム蒸着法等の物理的蒸着法により形成することができる。また、導電性ペーストを用いたスクリーン印刷法などにより形成することもできる。特にセラミック基板2の場合は、いずれの方法であっても、十分な厚さを有する負極側集電電極341とすることができ、この厚さは10〜100μm、特に30〜100μm、更に30〜70μmとすることができる。負極側集電電極341の厚さが10〜100μmであれば、抵抗が低く、優れた集電効率を有する集電電極とすることができる。
【0025】
負極側集電電極341と触媒電極33との距離、即ち、離間距離(負極側集電電極341と触媒電極33との最小距離とする。)は1〜1000μm、特に50〜500μm、更に100〜500μmであることが好ましい。この離間距離が1〜1000μmであれば、負極側集電電極341と触媒電極33とを電気的に確実に絶縁することができる。更に、負極側集電電極341と透光性導電層31とは、これらが接触していることで接続されていてもよく、インターコネクタを介して接続されていてもよい。接続面における抵抗を低くするためには、インターコネクタを介在させることが好ましい。このインターコネクタは特に限定されないが、セラミック基板2の一面に設けられた負極側集電電極341の場合、導電性接着剤層36であることが好ましい。
【0026】
導電性接着剤層36には導電性フィラーが含有される。この導電性フィラーは特に限定されない。導電性フィラーとしては、(1)カーボンブラック、(2)タングステン、銅、銀、アルミニウム、ニッケル、クロム等の金属、及び(3)ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマーなどからなるフィラーが挙げられる。導電性接着剤層36は電解液に接触するため、導電性フィラーとしては、耐腐食性に優れるカーボンフィラー、タングステンフィラー、チタンフィラー及びニッケルフィラーのうちの少なくとも1種であることが好ましい。この場合、4種類のフィラーのうちの1種のみでもよく、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用するとき、用いるフィラーの組み合わせ及びそれらの量比は特に限定されず、いずれのフィラーをどのような量比で用いてもよい。これらの耐腐食性に優れるフィラーのうちでは、より優れた耐腐食性を有するカーボンフィラー、タングステンフィラー及びニッケルフィラーが特に好ましい。
【0027】
導電性接着剤層36は、未硬化導電性接着剤層が硬化されてなる。この未硬化導電性接着剤層の形成に用いる未硬化導電性接着剤としては、上記の導電性フィラーが含有された熱硬化性接着剤及び光硬化性接着剤等を用いることができる。導電性接着剤層36は、透光性基板1を透過して照射されたレーザー光により、未硬化導電性接着剤を硬化させて形成することが好ましい。この方法であれば、未硬化導電性接着剤層のみを加熱して硬化させることができるため、導電性接着剤層36を効率よく形成することができる。レーザー光は特に限定されず、通常、YAGレーザー、炭酸ガスレーザー等を用いることができる。レーザー周波数、入力電流値等の照射条件は、未硬化導電性接着剤の組成及び厚さ等により、効率よく硬化させることができるように適宜設定することができる。
【0028】
負極側集電電極34が対極基板2の他面に設けられる場合(以下、これを負極側集電電極342という。)(図7〜9参照)、負極側集電電極342は電解液と接触しないため、耐腐食性は特に必要とされない。一方、対極基板2との密着性に優れる負極側集電電極342であることが好ましい。その材質は特に限定されず、タングステン、チタン、ニッケル、銀等の金属などにより形成することができる。更に、この負極側集電電極342の場合は、対極基板2からの剥離及び他部材等との接触による傷付き及び漏電などを防止するため、樹脂、ガラス等で保護することが好ましい。
【0029】
この負極側集電電極342は、対極基板2の一面に設けられる集電電極の場合と同様にして、所定のパターンが形成されたマスクを用いて、マグネトロンスパッタ法及び電子ビ−ム蒸着法等の物理的蒸着法により形成することができる。また、導電性ペーストを用いたスクリーン印刷法などにより形成することもできる。更に、この負極側集電電極342は、対極基板2の他面の全面に形成することもでき、この場合はスクリーン印刷法などにより形成することが好ましい。また、厚さは、対極基板2の一面に設けられる集電電極と同程度とすることができる。尚、面積が大きいときは、より薄い集電電極とすることもできる。例えば、負極側集電電極342の面積がセラミック基板2の他面の面積の50%以上であるときは、その厚さを0.5〜20μm、特に0.5〜5μmと薄くすることもできる。
このように、負極側集電電極342の場合は、材質及び厚さ等に何ら制限はなく、従って、対極基板2の材質も特に限定されないが、太陽電池の耐久性の面からはセラミック基板2であることが好ましい。
【0030】
また、負極側集電電極34の電解液35と接触する面は、例えば図16及び17の負極側集電電極343に例示するように、半導体電極32側に向けて傾斜する「光反射傾斜面5」とすることができる。光反射傾斜面5を半導体電極32側に向けて設けることによって、透光性基板1から入射して光反射傾斜面5に到達した光を半導体電極32側へ反射することができる。また、反射された光は、半導体電極32に到達して発電に用いられるため、色素増感型太陽電池の発電効率を高めることができる。
更に、このような光反射傾斜面5を形成するために、負極側集電電極343は、その縦断面形状を、対極基板2側を底辺とする台形形状又は三角形形状(例えば、図18の負極側集電電極344を参照。)にすることができる。
また、光反射傾斜面5の表面形状は特に問わず、平面形状でもよいし曲面形状(例えば、図19の光反射傾斜面51を参照。)でも良い。
更に、光反射傾斜面5の角度は、対極基板2側と平行である角度を0°とすると、5〜60°、特に5〜30°が好ましい。
光反射傾斜面5は、下記式により表される可視光反射率が10%以上が好ましい。
可視光反射率(%)=(光反射傾斜面によって反射した光量/光反射傾斜面に入射した光量)×100
この可視光反射率は10%以上、特に50%以上であることが好ましい。
更に、光反射傾斜面5は、負極側集電電極343の表層として形成することができる。このような表層の材質は、例えばニッケル、チタン、タングステン、アルミニウム、銀及び白金等の金属を挙げることができる。また、光反射傾斜面5となる層の形成方法は、任意に選択することができ、例えばマグネトロンスパッタ法及び電子ビ−ム蒸着法等の物理的蒸着法及び、導電性ペーストを用いたスクリーン印刷法等により形成することができる。
【0031】
対極基板2の他面に設けられる負極側集電電極342と、透光性導電層31とは、インターコネクタ37とビア導体38とを介して電気的に接続される。
上記「インターコネクタ37」は、その一端面が透光性導電層31に接触し、又は接合され、他端面がビア導体38の一端側に接触し、又は接合されている。その材質は特に限定されず、負極側集電電極341の場合と同様の金属からなるインターコネクタ37とすることができる。また、導電性ゴム、異方導電性ゴム、加圧導電性ゴム等からなるインターコネクタ37とすることもできる。金属を用いたときは、透光性導電層31との密着性を高め、安定して導通させるため、透光性導電層31とインターコネクタ37との間に導電性接着剤層を介在させることが好ましい。この導電性接着剤層の材質及び形成方法は特に限定されないが、例えば、前記の導電性接着剤層36の場合と同様の未硬化導電性接着剤を用いて、同様にレーザー光を照射することにより形成させることができる。ゴムを用いたときは、その弾性により、透光性導電層31と対極基板2との間に安定して介装させることができ、各々の界面において十分に密着させることもできる。尚、ゴムを用いたときも、透光性導電層31とインターコネクタ37との間に導電性接着剤層を介在させてもよい。
【0032】
インターコネクタ37の形状も特に限定されず、横断面が円形、楕円形、三角形及び四角形等の多角形などの柱状体及びより横断面の面積が大きいパッド状等とすることができる。インターコネクタ37の寸法も特に限定されず、負極側集電電極342と透光性導電層31との十分な導通がとれればよい。このインターコネクタ37の寸法は、横断面の面積が0.15〜5.0mm、特に1.0〜3.5mmであり、複数の上記インターコネクタ37のそれぞれの離間距離(各々のインターコネクタ37の端縁間の最小距離)が4.0〜11.0mm、特に5.0〜9.0mmであることが好ましい。更に、インターコネクタ37は対極基板2の一面に等間隔に設けることがより好ましい。このような断面積及び配置のインターコネクタ37であれば、優れた集電効率を有する負極側集電電極342することができ、且つ半導体電極の面積の低減をより抑えることができ、発電効率に優れた色素増感型太陽電池とすることができる。
【0033】
インターコネクタ37の電解液35と接触する面は、例えば図20〜22のインターコネクタ374に例示するように、半導体電極32側に向けて傾斜する「光反射傾斜面5」とすることができる。光反射傾斜面5を半導体電極32側に向けて設けることによって、透光性基板1から入射して光反射傾斜面5に到達した光を半導体電極32側へ反射することができる。また、反射された光は、半導体電極32に到達して発電に用いられるため、色素増感型太陽電池の発電効率を高めることができる。
更に、このような光反射傾斜面5を形成するために、インターコネクタ374の形状を、縦断面形状が台形である円錐台形状、縦断面形状が三角形である円錐形状(例えば、図23に示すインターコネクタ375を参照。)、角錐台及び角錐等とすることができる。尚、多角形の辺数は特に問わず3辺以上であればよい。
光反射傾斜面5の表面形状は特に問わず、平面形状でもよいし曲面形状でも良い。
更に、光反射傾斜面5の角度は、対極基板2側と平行である角度を0°とすると、5〜60°、特に5〜30°が好ましい。
光反射傾斜面5は、上記式により表される可視光反射率は10%以上が好ましい。また、この可視光反射率は10%以上、特に50%以上であることが好ましい。
更に、光反射傾斜面5は、インターコネクタ374の表層として形成することができる。このような表層の材質は、例えばニッケル、チタン、タングステン、アルミニウム、銀及び白金等の金属を挙げることができる。また、光反射傾斜面5となる層の形成方法は、任意に選択することができ、例えばマグネトロンスパッタ法及び電子ビ−ム蒸着法等の物理的蒸着法及び、導電性ペーストを用いたスクリーン印刷法等により形成することができる。
【0034】
負極側集電電極を対極基板2の他面に設けるとともに、この負極側集電電極342と透光性導電層31とをインターコネクタ37により接続する構造とした場合は、上記のように、半導体電極の面積の低減をより抑えることができる。例えば、インターコネクタ37が直径0.5mmの円柱状であり、その周囲に同心円状に直径1.5mmの透光性導電層31及び触媒電極33が設けられていない部分があり、各々のインターコネクタ37間の距離(この場合、それぞれのインターコネクタ37の中心間の距離とする。)が6mmである場合、下記式により算出されるように対極基板2(透光性導電層31)の全表面のうちの95%の部分に半導体電極32を設けることができる。この割合は、インターコネクタ37の周囲の透光性導電層31及び触媒電極33が設けられていない部分の面積、並びに各々のインターコネクタ37間の離間距離により変化するが、69〜99%、特に86〜99%とすることができる。
半導体電極を形成することができる面積割合(95%)=[36−{(3.14×0.75×0.75)×1/4}×4]/36(×100)
上記式における各々の数値の意味は以下のとおりである。
上記式において、36(mm)は4個のインターコネクタ37のそれぞれの中心間を結んで形成される正方形の面積であり、3.14×0.75×0.75(mm)は透光性導電層31及び触媒電極33が設けられていない4個の円形部分の各々の面積である。また、それぞれの正方形の面積のうち、半導体電極32を形成することができない部分は、各々の円形部分の面積のうちの1/4であり、円形部分が4個あるため、半導体電極32を形成することができない部分の合計面積は、その4倍になる。
【0035】
上記「ビア導体38」(図8〜9参照)は、一端側がインターコネクタ37に接触し、又は接合され、他端側が負極側集電電極342に接合されている。このビア導体38は、セラミック基板2の表裏を貫通して設けられたビアホールに導電体を形成することにより設けることができる。また、ビアホールの壁面に導体層を形成することにより設けることができる。セラミック基板2に設けられるビアホールは、YAGレーザー、炭酸ガスレーザー等のレーザー光の照射、ドリル加工、穴開けパンチを用いたパンチングなど各種の方法により形成することができる。これらのうちでは、穴開けパンチを用いてセラミック基板2となる未焼成セラミックシートにビアホールを形成する方法が簡便であり好ましい。
【0036】
導電体は、導体用ペーストを、穴埋め印刷法等によりビアホールの少なくとも一方の開口から充填し、その後、焼成して形成することができる。この導体用ペーストは特に限定されないが、金属粉末、有機バインダ、有機溶剤及び水等の溶媒などを混合して調製したものを用いることができる。この金属粉末は特に限定されず、銀、金、白金、パラジウム、銅、タングステン、ニッケル、チタン等の金属の粉末、及び銀−白金合金、銀−パラジウム合金等の合金の粉末が挙げられる。更に、導体用ペーストにはガラス成分を含有させることもできる。ガラス成分を含有する場合は、より低温で焼成することができるため好ましい。また、ビアホール壁面の導体層は、導電体のときと同様の金属を用いてスパッタ法、無電解めっき法等により形成することができる。
【0037】
ビア導体38を形成するため、セラミック基板2に形成されるビアホールの断面形状は特に限定されず、円形、楕円形及び三角形、四角形等の多角形などとすることができる。この断面形状は円形であることが多い。また、ビアホールの径方向の寸法も特に限定されず、断面円形である場合は、直径が0.05〜1mm、特に0.1〜0.8mmの貫通孔とすることができる。更に、断面円形でない場合は、面積が断面円形の場合と同等となる開口寸法を有する貫通孔とすることができる。また、ビア導体38はインターコネクタ37に対応して設けられるものであり、その個数はインターコネクタ37と同数とすることができる。
【0038】
インターコネクタ37とビア導体38とは、インターコネクタ37が導電性ゴム、異方導電性ゴム及び加圧導電性ゴム等からなるときは、その弾性により十分に密着させることができる。この場合、より密着性を高め、安定して導通させるため、インターコネクタ37とビア導体38との間に導電性接着剤層を介在させてもよい。この導電性接着剤層の材質及び形成方法は特に限定されないが、例えば、前記の導電性接着剤層36場合の未硬化導電性接着剤のうちの熱硬化性接着剤を用いて、これを加熱することにより形成させることができる。更に、インターコネクタ37が金属からなるときは、対極基板2としてセラミック基板2を使用し、インターコネクタ37、ビア導体38、負極側集電電極342及びセラミック基板2の各々を、それぞれの未焼成体が一体に形成された未焼成積層体として作製し、その後、この未焼成積層体を同時焼成することで一時に形成することができる。このようにすれば工程を簡略化することができる。
【0039】
上記のようにインターコネクタ37、ビア導体38、負極側集電電極342及びセラミック基板2を一時に形成する場合、各々の材質は特に限定されないが、インターコネクタ37、ビア導体38及び負極側集電電極342は、タングステン又はモリブデンにより形成することが好ましく、セラミック基板2は、アルミナにより形成することが好ましい。また、インターコネクタ37、ビア導体38及び負極側集電電極342はタングステンにより形成し、セラミック基板2はアルミナにより形成することが特に好ましい。タングステンはアルミナとの同時焼成が容易であり、且つ優れた耐腐食性を有するため、電解液と接触するインターコネクタ37として用いても何ら問題ない。
尚、負極側集電電極341,342には取り出し電極を連設することもでき、この取り出し電極から電力を取り出すことができる。この取り出し電極は、負極側集電電極の形成時に同時に一体に形成することができる。
【0040】
上記「電解液35」は、半導体電極32及び触媒電極33の各々の少なくとも一部に含有され、且つ半導体電極32と触媒電極33との間に充填されている。電解液35は、通常、半導体電極32及び触媒電極33のそれぞれの全体に含有されており、これにより光電変換効率を向上させることができる。半導体電極32と触媒電極33との間隔は特に限定されないが、200μm以下、特に50μm以下(通常、1μm以上)とすることができる。この厚さが200μm以下であれば、十分な発電効率を有する色素増感型太陽電池とすることができる。電解液35には、電解質の他、通常、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート類などの溶媒及び各種の添加剤等が含有される。この電解質は特に限定されず、各種の電解質を用いることができる。電解質としては、Iと、LiI及びピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化合物のヨウ素塩とを組み合わせてなる電解質が特に好ましい。電解質は1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0041】
負極側集電電極34がセラミック基板2の一面に設けられた負極側集電電極341の場合、電解液35は、透光性導電層31と対極基板2、特にセラミック基板2との間を、負極側集電電極341の周囲において樹脂又はガラスにより封着し、形成される密閉空間に注入することで、半導体電極32及び触媒電極33の各々に含有させ、且つこれらの間に充填させることができる(図2〜3及び図5〜6参照)。また、負極側集電電極34がセラミック基板2の他面に設けられた負極側集電電極342の場合、電解液35は、透光性導電層31と対極基板2、特にセラミック基板2との間を、半導体電極32の周囲において樹脂又はガラスにより封着し、形成される密閉空間に注入することで、半導体電極32及び触媒電極33の各々に含有させ、且つこれらの間に充填させることができる(図8〜9参照)。
【0042】
密閉空間への電解液35の注入は、透光性基板1の側からでも、対極基板2の側からでもよく、穿孔し易い側に注入口を設け、この注入口から注入することが好ましい。更に、電解液35は、透光性導電層31と対極基板2との間を樹脂又はガラスにより封着することで形成された接合部4に設けられた注入口から注入することもできる。尚、注入口は1個でよいが、空気抜きのため更に他の孔を設けることもできる。このように空気抜きのための孔を設けることで、電解液をより容易に注入することができる。
【0043】
注入口は、透光性基板1、対極基板2及び接合部4のいずれに設けてもよいが、例えば、透光性基板1がガラス基板であるときは穿孔が容易ではない。一方、対極基板2がセラミック基板2であるときはガラス基板に比べて穿孔し易く、特に、未焼成シートのうちに孔開けパンチ等を用いて極めて容易に穿孔することもできる。また、接合部も穿孔が容易である。そのため、セラミック基板2及び/又は接合部4に注入口を設けることが好ましい。
【0044】
負極側集電電極341又は半導体電極32の周囲の封着に用いられる樹脂は特に限定されない。この樹脂としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、熱硬化性ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。更に、この封着はガラスにより行うこともでき、特に長期の耐久性を必要とする色素増感型太陽電池では、ガラスにより封着することが好ましい。
【0045】
対極基板2の一面に負極側集電電極341を設けた場合、対極基板2としてセラミック基板2を使用し、透光性基板1の一面と、セラミック基板2の一面との間に複数の単セル構成体3を設けることができる(図11及び図12参照)。これらの複数の単セル構成体3では、各々が有する、透光性導電層31間、半導体電極32間、触媒電極33間、負極側集電電極34間及び電解液35間が、それぞれ電気的に絶縁され、且つそれぞれの単セル構成体3は直列に接続されて色素増感型太陽電池モジュール201とすることができる。各々の部材間は、透光性基板1の一面と、セラミック基板2の一面との間を、複数の単セル構成体3の周囲において樹脂又はガラスにより封着してなる接合部4により絶縁することができる(図11参照)。この封着に用いる樹脂又はガラスとしては前記と同様のものを用いることができる。また、この色素増感型太陽電池モジュール201では、それぞれの単セル構成体3は、触媒電極33(正極側集電電極39)と負極側集電電極341とを、例えば、図12のように接続することで直列に接続することができる。
【0046】
対極基板2の他面に負極側集電電極342を設けた場合も、透光性基板1の一面と、セラミック基板2の一面との間に複数の単セル構成体3を設けることができる(図13、図14及び図15参照)。この場合、対極基板2は特に限定されないが、セラミック基板2を使用することが好ましい。これらの複数の単セル構成体3では、各々が有する、透光性導電層31間、半導体電極32間、触媒電極33間、負極側集電電極34間、電解液35間及びインターコネクタ37間、がそれぞれ電気的に絶縁され、且つそれぞれの単セル構成体3は直列に接続されて色素増感型太陽電池モジュール202とすることができる。各々の部材間は、透光性基板1の一面と、セラミック基板2の一面との間を、単セル構成体3のそれぞれが有する半導体電極32の周囲において各々樹脂又はガラスにより封着してなる接合部4により絶縁することができる。この封着に用いる樹脂又はガラスとしては前記と同様のものを用いることができる。また、この色素増感型太陽電池モジュール202では、それぞれの単セル構成体3は、触媒電極33(正極側集電電極39)、ビア導体38及び負極側集電電極342を、例えば、図14及び図15のように接続することで直列に接続することができる。
【0047】
このように複数の単セル構成体3を設けたとき、これらの単セル構成体3は上記のように直列に接続して用いることができる。また、更に多くの単セル構成体3を設けてもよく、これらの単セル構成体3のうちの一部を直列に、他部を並列に接続して用いることもできる。このように多数の単セル構成体3を直列又は並列に接続することで、色素増感型太陽電池の出力電圧及び電力を用途等に応じて容易に調整することができる。
【0048】
対極基板2と触媒電極33との間には正極側集電電極39を設けることができる(図3、図6及び図9参照)。触媒電極33が白金からなり、且つ十分な厚さを有しておれば、正極側集電電極39は必ずしも設ける必要はない。しかし、白金は高価であるため、触媒電極33を薄層とした場合は、集電効率を高めるため正極側集電電極39を設けることが好ましい。正極側集電電極39の平面形状は特に限定されないが、十分に抵抗が低く、優れた集電効率を有する正極側集電電極39とするためには、触媒電極33と類似の形状及び寸法であることが好ましい。正極側集電電極39の面積は、触媒電極33の面積の50%以上、特に65%以上、更に80%以上(同面積でもよい。)であることがより好ましい。更に、触媒電極33と相似形に配設されることが特に好ましい。
【0049】
正極側集電電極39は、所定のパターンが形成されたマスクを用いて、マグネトロンスパッタ法及び電子ビ−ム蒸着法等の物理的蒸着法により、対極基板2の一面に設けることができる。また、対極基板2がセラミック基板2であるときは、ペーストを用いるスクリ−ン印刷法等により、セラミック基板2の一面に塗膜を形成し、焼成することで設けることもできる。この正極側集電電極39は、その全体が触媒電極33により覆われてしまうときは、電解液に対する耐腐食性は必要ないため、その材質は特に限定されず、タングステン、チタン、ニッケル等により形成することができる。尚、正極側集電電極39の端部等が電解液35と接触する場合は、特に優れた耐腐食性を有し、且つセラミック基板、特にアルミナ基板の作製時に、未焼成基板と同時焼成することができるタングステンを含有することが特に好ましい。
【0050】
正極側集電電極39には取り出し電極を連設することもでき、この取り出し電極から電力を取り出すことができる。この取り出し電極は、正極側集電電極の形成時に同時に一体に形成することができる。正極側の取り出し電極は、正極側集電電極39を設けない場合は、触媒電極33に連設して設けることができる。この取り出し電極は、触媒電極の形成時に同時に一体に形成することができる。
【実施例】
【0051】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1
以下のようにして図3に示す色素増感型太陽電池102を製造した。
(1)セラミック基板2の一部となるアルミナグリーンシート及び未焼成正極側集電電極の形成
90.5質量%のアルミナ粉末と、焼結助剤として1質量%のマグネシア粉末及び4質量%のシリカ粉末とを混合し、ボールミルにより12時間湿式粉砕し、その後、脱水し、乾燥した。次いで、この混合粉末と、有機バインダとして3質量%のメタクリル酸イソブチルエステル、1質量%のニトロセルロース及び0.5質量%のジオクチルフタレート、更には溶剤としてトリクロルエチレン及びn−ブタノールを配合し、ボールミルにより混合してアルミナ粉末を含有するスラリーを調製した。このスラリーを減圧脱泡させ、その後、流延させてシートとし、次いで、徐冷して溶剤を揮発させ、セラミック基板2の一部となるアルミナグリーンシートを形成した。
【0052】
一方、同様にボールミルを用いてタングステン粉末を含有するメタライズインクを調製した。その後、このメタライズインクを用いて、アルミナグリーンシートの表面に、スクリーン印刷法により厚さ10μmの正極側集電電極39となる平面形状が長方形である導電塗膜を4個形成した。
【0053】
(2)セラミック基板2の他部となる未焼成アルミナ成形体及び未焼成負極側集電電極の形成
上記(1)で調製したアルミナ粉末を含有するスラリーを減圧脱泡させ、その後、流延させてシートとし、次いで、徐冷して溶剤を揮発させた。その後、上記(1)における正極側集電電極39となる導電塗膜に対応する位置に長方形の開口部を打ち抜き法により4個形成した。次いで、この4個の開口部が形成されたセラミック基板2の他部となる未焼成アルミナ成形体の一面に、上記(1)で調製したタングステン粉末を含有するメタライズインクを用いて、スクリーン印刷法により負極側集電電極341となる導電塗膜を形成した。
【0054】
(3)積層、同時焼成及び触媒電極の形成
上記(1)で作製したアルミナグリーンシートの一面のうちの正極側集電電極39となる導電塗膜が形成されていない部分に、上記(2)で作製した未焼成アルミナ成形体の他面を積層させた。その後、アルミナグリーンシート、正極側集電電極39となる導電塗膜、未焼成アルミナ成形体及び負極側集電電極341となる導電塗膜を、還元雰囲気にて1500℃で同時焼成し、図3のように(図1参照)、100mm×100mm×平板部(図1参照、図1において符号22により示す部分である。)の厚さ1mm、凸状部(図1参照、図1において符号21により示す部分である。)の厚さ60μmのアルミナ基板2、平板部の一面に形成された78mm×18mm×厚さ50μmの4個のタングステンからなる正極側集電電極39、及びアルミナ基板2の凸状部の上面に形成された幅2mm×厚さ30μmの負極側集電電極341を有する積層体を作製した。次いで、スパッタ法により、正極側集電電極39の表面に白金を堆積させ、厚さ1μmの触媒電極33を形成した。
【0055】
(4)導電性接着剤の塗布
上記(3)で作製した積層体の負極側集電電極341の表面に、熱硬化性樹脂に98質量%のタングステン粉末を含有させた導電性接着剤をスクリーン印刷法により塗布し、導電性接着剤層36となる未硬化導電性接着剤層を形成した。
【0056】
(5)半導体電極の形成
透光性導電層31が形成された100mm×100mm×厚さ4mmのガラス基板1(透光性基板1、日本板硝子社製)の透光性導電層31の表面に、市販のチタニアペースト(Solaronix社製、商品名「Ti−Nanoxide D/SP」)を用いてスクリーン印刷法により半導体電極32となる平面形状が長方形の塗膜を4個形成した。その後、150℃で30分予備乾燥し、次いで、マッフル炉(モトヤマ社製、型式「SK−2030D」)により500℃で30分保持して焼成し、半導体電極32を作製するための多孔質電極基体を形成した。一方、ルテニウム有機錯体[Ru2,2−bipyridil−4,4−dicarboxylate(TBA)(NCS)](小島化学社製、商品名「N−719」)を、アセトニトリルとtert−ブタノールとの混合溶媒に溶解させ、3×10−4モル/リットル濃度のアセトニトリル/tert−ブタノール溶液を調製した。次いで、このルテニウム有機錯体溶液に、多孔質電極基体及びガラス基板を12時間浸漬し、多孔質電極基体に増感色素であるルテニウム有機錯体を付着させて半導体電極32を形成した。
【0057】
(6)色素増感型太陽電池の製造
上記(4)で作製した、負極側集電電極341の表面に未硬化導電性接着剤層が形成された積層体と、上記(5)で作製した、半導体電極32が形成されたガラス基板とを、半導体電極32と触媒電極33とが対向するようにして、且つ厚さ25μmの接着性樹脂シート(三井デュポンポリケミカル社製、商品名「ハイミラン1702」)に、半導体電極32の最外周の寸法に合わせて91mm×91mmの開口部を設け、これを透光性導電層31とセラミック基板2との間にスペーサーとして介装させて、積層した。その後、ホットプレートを用いて上記のスペーサーを100℃に加熱し、透光性導電層31とセラミック基板2とを接合した。次いで、ガラス基板の側から未硬化導電性接着剤層にYAGレーザーを照射して硬化させ、導電性接着剤層36を形成した。その後、形成された空間内に、ブチロニトリルに、0.05モルのI、0.1モルのLiI、0.6モルのDimethylpropylimidazolium iodide及び0.5モルの4−tert−butylpyridineを混入させて調製した電解液35を注射器により、セラミック基板2に設けられた注入口から注入し、注入後、直ちに隙間を紫外線硬化性樹脂により封止し、色素増感型太陽電池102を製造した。
【0058】
(7)性能評価
上記(6)で製造した色素増感太陽電池に、ハロゲンランプを用いて20mW/cmの光を照射し、スタンダードボルタンメトリーツール(北斗電工社製、型式「HSV−100」)を用いて電流−電圧曲線を測定し、光電変換効率(η)を求めた。その結果、ηは8.2%であった。
【0059】
実施例2
以下のようにして図6に示す色素増感型太陽電池104を製造した。
(1)セラミック基板2となるアルミナグリーンシート及び未焼成負極側集電電極の形成
実施例1の(1)と同様にして調製したアルミナ粉末を含有するスラリーを減圧脱泡させ、その後、流延させてシートとし、次いで、徐冷して溶剤を揮発させ、セラミック基板2となるアルミナグリーンシートを形成した。その後、実施例1の(1)と同様にして調製したタングステン粉末を含有するメタライズインクを用いて、アルミナグリーンシートの表面に、スクリーン印刷法により正極側集電電極39となる平面形状が長方形の導電塗膜を4個形成した。また、上記のタングステン粉末を含有するメタライズインクを用いて、スクリーン印刷法により、アルミナグリーンシートの表面に、正極側集電電極39となる導電塗膜を取り囲むように、且つこの導電塗膜と離間させて、負極側集電電極341となる導電塗膜を形成した。
【0060】
(2)同時焼成
上記(1)で形成したアルミナグリーンシート、正極側集電電極39となる導電塗膜、及び負極側集電電極341となる導電塗膜を、還元雰囲気にて1500℃で同時焼成し、図6のように(図4参照)、100mm×100mm×厚さ1mmのアルミナ基板2、その一面に形成された78mm×18mm×厚さ10μmの4個のタングステンからなる正極側集電電極39、及び幅2mm×厚さ50μmの負極側集電電極341を有する積層体を作製した。
【0061】
(3)触媒電極の形成
上記(2)で形成した正極側集電電極39の表面に、スパッタ法により、白金からなる78mm×18mm×厚さ1μmの触媒電極33を形成した。
【0062】
(4)導電性接着剤の塗布
上記(2)で形成した負極側集電電極341の表面に、実施例1の(4)と同様にして調製した導電性接着剤を同様にして塗布し、導電性接着剤層36となる未硬化導電性接着剤層を形成した。
【0063】
(5)半導体電極の形成
実施例1の(5)と同様にして多孔質電極基体を形成し、同様にして増感色素を付着させて半導体電極32を形成した。
【0064】
(6)色素増感型太陽電池の製造
上記(4)で作製した、負極側集電電極341の表面に未硬化導電性接着剤層が形成された積層体と、上記(5)で作製した、半導体電極32が形成されたガラス基板とを、半導体電極32と触媒電極33とが対向するようにして、且つ実施例1の(6)に記載の接着性樹脂シートに、半導体電極32の最外周の寸法に合わせて91mm×91mmの開口部を設け、これを透光性導電層31とセラミック基板2との間にスペーサーとして介装させて、積層した。その後、実施例1の(6)と同様にして接着性樹脂シートを加熱し、透光性導電層31とセラミック基板2とを接合した。また、未硬化導電性接着剤層を硬化させて導電性接着剤層36を形成した。次いで、実施例1の(6)と同様にして調製した電解液35を同様にして設けられた注入口から注射器により注入し、注入後、同様にして封止し、色素増感型太陽電池104を製造した。
実施例1の(7)と同様にして求めたηは8.2%であった。
【0065】
実施例3
以下のようにして図9に示す色素増感型太陽電池106を製造した。
(1)セラミック基板2となるアルミナグリーンシート、未焼成負極側集電電極、未焼成ビア導体及び未焼成正極側集電電極の作製
実施例1の(1)と同様にして調製したアルミナ粉末を含有するスラリーを減圧脱泡させ、その後、流延させてシートとし、次いで、徐冷して溶剤を揮発させ、セラミック基板2となるアルミナグリーンシートを形成した。その後、このアルミナグリーンシートに、穴開けパンチを用いて、横断面が円形で直径が0.25mm(面積が0.05mm)であり、且つ各々の離間距離が8mmのビアホールを121個等間隔に形成した。次いで、実施例1の(1)と同様にして調製したタングステン粉末を含有するメタライズインクを、アルミナグリーンシートの他面にスクリーン印刷法により塗布して負極側集電電極342となる導電塗膜を形成し、同時に一面側から吸引してメタライズインクをビアホールの内部に充填させ、未焼成ビア導体を形成した。また、メタライズインクを、アルミナグリーンシートの一面に、配設されるインターコネクタ37の周囲の焼成後直径1.5mmとなる部分を除いてスクリーン印刷法により塗布し、正極側集電電極39となる導電塗膜を形成した。
【0066】
(2)同時焼成
上記(1)で作製したアルミナグリーンシート、負極側集電電極342となる導電塗膜、未焼成ビア導体及び正極側集電電極39となる導電塗膜を、還元雰囲気にて1500℃で同時焼成し、図9のように(図7参照)、100mm×100mm×厚さ1mmのアルミナ基板2、その一面に形成された100mm×100mm×厚さ10μmのタングステンからなる負極側集電電極342、ビア導体38、及びアルミナ基板2の他面に形成された外寸100mm×100mm×厚さ10μmの正極側集電電極39を有する積層体を作製した。
【0067】
(3)触媒電極の形成
上記(2)で作製した正極側集電電極39の表面に、スパッタ法により、白金からなる厚さ1μmの触媒電極33を形成した。
【0068】
(4)インターコネクタの形成
導電材料としてタングステン粉末を含有する導電性シリコンゴムを用いて、直径500μm、長さ200μmの導電性ゴムからなるインターコネクタ37を形成した。
【0069】
(5)半導体電極の形成
透光性導電層31の表面のうちの、配設されるインターコネクタ37の周囲の直径1.5mmの部分を除く他部に、実施例1の(5)と同様にして多孔質電極基体を形成し、同様にして増感色素を付着させて半導体電極32を形成した。
【0070】
(6)色素増感型太陽電池の製造
上記(3)で作製した、セラミック基板2の一面に正極側集電電極39と触媒電極33、他面に負極側集電電極342が形成され、セラミック基板2にビア導体38が形成された積層体の、各々のビア導体38の一端側に上記(4)で作製したインターコネクタ37を配設した。その後、実施例1の(6)に記載の接着性樹脂シートに、半導体電極32の最外周の寸法に合わせて81mm×81mmの開口部を設け、これをセラミック基板2の周縁に配設し、次いで、上記(5)で作製された、半導体電極32が形成されたガラス基板1を、セラミック基板2に形成された触媒電極33と半導体電極32とが対向するように積層した。その後、実施例1の(6)と同様にして接着性樹脂シートを加熱し、透光性導電層31とセラミック基板2とを接合した。次いで、実施例1の(6)と同様にして調製した電解液35を同様にして設けられた注入口から注射器により注入し、注入後、同様にして封止し、色素増感型太陽電池106を製造した。
実施例1の(7)と同様にして求めたηは8.5%であった。
【0071】
実施例4
以下のようにして対極基板がガラス基板である色素増感型太陽電池を製造した。
(1)負極側集電電極、ビア導体、正極側集電電極及び触媒電極の作製
透光性導電層31が形成された100mm×100mm×厚さ1mmのガラス基板2(対極基板2、日本板硝子社製)の全面に、ドリル加工により、直径0.25mmのビアホールを8mm間隔で形成した。その後、ボールミルを用いてタングステン粉末を含有する樹脂ペーストを調製し、この樹脂ペーストを穴埋め印刷によりビアホール内に充填し、未焼成ビア導体を形成した。次いで、ガラス基板2の他面に、スクリーン印刷法により上記の樹脂ペーストを塗布して負極側集電電極342となる導電塗膜を形成した。また、ガラス基板2の一面に、配設されるインターコネクタ37の周囲の直径1.5mmの部分を除いてスクリーン印刷法により上記の樹脂ペーストを塗布し、正極側集電電極39となる導電塗膜を形成した。その後、150℃で2時間保持して乾燥させ、負極側集電電極342、ビア導体38及び正極側集電電極39を形成した。次いで、正極側集電電極39の表面に、スパッタ法により、白金からなる厚さ1μmの触媒電極33を形成した。
【0072】
(2)インターコネクタの形成
実施例3の(4)と同様にしてインターコネクタ37を形成した。
【0073】
(3)半導体電極の形成
透光性導電層31の表面のうちの、配設されるインターコネクタ37の周囲の直径1.5mmの部分を除く他部に、実施例1の(5)と同様にして多孔質電極基体を形成し、同様にして増感色素を付着させて半導体電極32を形成した。
【0074】
(4)色素増感型太陽電池の製造
上記(1)で作製した、ガラス基板2の一面に正極側集電電極39と触媒電極33が形成され、他面に負極側集電電極342が形成され、且つガラス基板2にビア導体38が形成された積層体の、各々のビア導体38の一端側に上記(2)で作製したインターコネクタ37を配設した。その後、実施例1の(6)に記載の接着性樹脂シートに、半導体電極32の最外周の寸法に合わせて82mm×82mmの開口部を設け、これをガラス基板2の周縁に配設し、次いで、上記(3)で作製した、半導体電極32が形成されたガラス基板1を、ガラス基板2に形成された触媒電極33と半導体電極32とが対向するように積層した。その後、実施例1の(6)と同様にして接着性樹脂シートを加熱し、透光性導電層31とガラス基板2とを接合した。次いで、実施例1の(6)と同様にして調製した電解液35を同様にして設けられた注入口から注射器により注入し、注入後、同様にして封止し、色素増感型太陽電池を製造した。
実施例1の(7)と同様にして求めたηは8.2%であった。
尚、この実施例4の色素増感型太陽電池は、対極基板2が透光性導電層31を有するガラス基板2であることを除いて実施例3の色素増感型太陽電池106と同一構造であり、図面としては図9を代用する。
【0075】
実施例5
以下のようにして対極基板が樹脂基板である図10に示す色素増感型太陽電池107を製造した。
(1)ビア導体、正極側集電電極及び触媒電極の形成
100mm×100mm×厚さ120μmのポリエチレンナフタレート樹脂からなる樹脂基板2の中心部に、穴開けパンチを用いて、横断面が円形で直径が0.25mmであり、且つ各々の端縁間の距離が0.25mmのビアホールを3個等間隔に形成した。その後、スパッタ法により、樹脂基板2の一面にタングステンを堆積させ、この一面のうちのビアホールの周囲の直径1.5mmの円形部分にタングステンを堆積させて厚さ10μmのインターコネクタ37の一部となるインターコネクタ用導電層371を形成するとともに、ビアホールの壁面にビア導体38を形成し、同時に、樹脂基板2の一面のうちの導電層371が形成されていない他部に、導電層371と離間させて厚さ10μmの正極側集電電極39を形成した。次いで、スパッタ法により、正極側集電電極39の表面に白金を堆積させ、厚さ1μmの触媒電極33を形成した。
【0076】
(2)負極側集電電極及びインターコネクタの形成
樹脂基板2の他面に、スクリーン印刷法により市販の銀ペーストを塗布して負極側集電電極342となる導電塗膜を形成した。次いで、150℃で30分加熱して負極側集電電極342を形成した。その後、ビアホールのビア導体38が形成されていない中空部に、樹脂基板2の一面側から樹脂封止剤を充填し、穴埋めして樹脂封止部373を形成した。次いで、上記(1)で形成したインターコネクタ37の一部となる導電層371の表面に、実施例1の(4)と同様にして調製した導電性接着剤を塗布し、インターコネクタ37の他部となる厚さ50μmのインターコネクタ用接着塗膜を形成した。
【0077】
(3)半導体電極の形成
透光性導電層31の表面のうちの、配設されるインターコネクタ用接着剤層372の周囲の直径2.0mmの部分を除く部分に、スクリーン印刷法により市販の低温成膜用チタニアペーストを塗布し、150℃で乾燥させて多孔質電極基体を形成し、実施例1の(5)と同様にして増感色素を付着させて半導体電極32を形成した。
【0078】
(4)色素増感型太陽電池の製造
上記(1)で作製された、樹脂基板2の一面に正極側集電電極39と触媒電極33が形成され、他面に負極側集電電極342が形成され、且つ樹脂基板2にビア導体38が形成された積層体の樹脂基板2の周縁に、実施例1の(6)に記載の接着性樹脂シートに、半導体電極32の最外周の寸法に合わせて82mm×82mmの開口部を設け、これを樹脂基板2の周縁に配設し、その後、上記(3)で作製した、半導体電極32が形成されたガラス基板1を、樹脂基板2に形成されたインターコネクタ用接着塗膜と半導体電極32が形成されていない部分とが対向するように積層した。その後、乾燥機中にて120℃に加熱し、インターコネクタ用接着塗膜を硬化させてインターコネクタ用接着剤層372を形成して透光性導電層31に接着させるとともに、接着性樹脂シートにより透光性導電層31とガラス基板2とを接合した。次いで、実施例1の(6)と同様にして調製した電解液35を同様にして設けられた注入口から注射器により注入し、注入後、同様にして封止し、色素増感型太陽電池107を製造した。
実施例1の(7)と同様にして求めたηは7.0%であった。
【0079】
実施例6
以下のようにして図16及び17に示す光反射傾斜面5を具備する負極側集電電極343を備えた色素増感型太陽電池108を製造した。
(1)セラミック基板2となるアルミナグリーンシート及び未焼成負極側集電電極の形成
実施例1の(1)と同様にして調製したアルミナ粉末を含有するスラリーを減圧脱泡させ、その後、流延させてシートとし、次いで、徐冷して溶剤を揮発させ、セラミック基板2となるアルミナグリーンシートを形成した。その後、実施例1の(1)と同様にして調製したタングステン粉末を含有するメタライズインクを用いて、アルミナグリーンシートの表面に、スクリーン印刷法により正極側集電電極39となる平面形状が長方形の導電塗膜を4個形成した。また、上記のタングステン粉末を含有するメタライズインクを用いて、スクリーン印刷法を繰り返し行うことにより、アルミナグリーンシートの表面に、正極側集電電極39となる導電塗膜を取り囲むように、この導電塗膜と離間させて、且つ、縦断面形状が台形である負極側集電電極341となる導電塗膜を形成した。尚、形成した導電塗膜の底面積は実施例2と同じであり、1120mmである。また、導電塗膜の形状も実施例2と同じである。
【0080】
(2)同時焼成
上記(1)で形成したアルミナグリーンシート、正極側集電電極39となる導電塗膜、及び負極側集電電極341となる導電塗膜を、還元雰囲気にて1500℃で同時焼成し、図6のように(図4参照)、100mm×100mm×厚さ1mmのアルミナ基板2、その一面に形成された78mm×18mm×厚さ10μmの4個のタングステンからなる正極側集電電極39、及び幅2mm×厚さ50μmの負極側集電電極341を有する積層体を作製した。
【0081】
(3)触媒電極の形成
上記(2)で形成した正極側集電電極39の表面に、スパッタ法により、白金からなる78mm×18mm×厚さ1μmの触媒電極33を形成した。
【0082】
(4)導電性接着剤の塗布
上記(2)で形成した負極側集電電極343の表面に、実施例1の(4)と同様にして調製した導電性接着剤を同様にして塗布し、導電性接着剤層36となる未硬化導電性接着剤層を形成した。
【0083】
(5)半導体電極の形成
実施例1の(5)と同様にして多孔質電極基体を形成し、同様にして増感色素を付着させて半導体電極32を形成した。
【0084】
(6)色素増感型太陽電池の製造
上記(4)で作製した、負極側集電電極341の表面に未硬化導電性接着剤層が形成された積層体と、上記(5)で作製した、半導体電極32が形成されたガラス基板とを、半導体電極32と触媒電極33とが対向するようにして、且つ実施例1の(6)に記載の接着性樹脂シートに、半導体電極32の最外周の寸法に合わせて91mm×91mmの開口部を設け、これを透光性導電層31とセラミック基板2との間にスペーサーとして介装させて、積層した。その後、実施例1の(6)と同様にして接着性樹脂シートを加熱し、透光性導電層31とセラミック基板2とを接合した。また、未硬化導電性接着剤層を硬化させて導電性接着剤層36を形成した。次いで、実施例1の(6)と同様にして調製した電解液35を同様にして設けられた注入口から注射器により注入し、注入後、同様にして封止し、色素増感型太陽電池108を製造した。
【0085】
(7)光反射傾斜面5による発電効率の向上
作製した負極側集電電極343の対極基板2側の底面積から透光性基板1側の底面積を引いた差は560mmであった。これは、半導体電極32の面積の10%に相当する。また、実施例1の(7)と同様にして求めたηは8.4%と、実施例2に比べて0.2上昇しており、光反射傾斜面5による発電効率の向上を確認することができた。
このように本実施例の色素増感型太陽電池108は、光反射傾斜面5によって、負極側集電電極34に照射された光の一部を半導体電極32へ反射することによって、発電効率の向上を得ることができた。
【0086】
実施例7
以下のようにして図20〜22に示す光反射傾斜面5を具備するインターコネクタ374を備えた色素増感型太陽電池109を製造した。
(1)ビア導体、正極側集電電極及び触媒電極の形成
100mm×100mm×厚さ120μmのポリエチレンナフタレート樹脂からなる樹脂基板2の中心部に、穴開けパンチを用いて、横断面が円形で直径が0.25mmであり、且つ各々の端縁間の距離が0.25mmのビアホールを3個等間隔に形成した。その後、スパッタ法により、樹脂基板2の一面にタングステンを堆積させ、この一面のうちのビアホールの周囲の直径1.5mmの円形部分にタングステンを円錐台形状に堆積させて厚さ10μmでインターコネクタ374の一部となるインターコネクタ用導電層371形成するとともに、ビアホールの壁面にビア導体38を形成し、同時に、樹脂基板2の一面のうちの導電層371が形成されていない他部に、導電層371と離間させて厚さ10μmの正極側集電電極39を形成した。次いで、スパッタ法により、正極側集電電極39の表面に白金を堆積させ、厚さ1μmの触媒電極33を形成した。
【0087】
(2)負極側集電電極及びインターコネクタの形成
樹脂基板2の他面に、スクリーン印刷法により市販の銀ペーストを塗布して負極側集電電極342となる導電塗膜を形成した。次いで、150℃で30分加熱して負極側集電電極342を形成した。その後、ビアホールのビア導体38が形成されていない中空部に、樹脂基板2の一面側から樹脂封止剤を充填し、穴埋めして樹脂封止部373を形成した。次いで、上記(1)で形成したインターコネクタ374の一部となる導電層371の表面に、実施例1の(4)と同様にして調製した導電性接着剤を塗布し、インターコネクタ374の他部となる厚さ50μmのインターコネクタ用接着塗膜を形成した。
【0088】
(3)半導体電極の形成
透光性導電層31の表面のうちの、配設されるインターコネクタ用接着剤層374の周囲の直径2.0mmの部分を除く部分に、スクリーン印刷法により市販の低温成膜用チタニアペーストを塗布し、150℃で乾燥させて多孔質電極基体を形成し、実施例1の(5)と同様にして増感色素を付着させて半導体電極32を形成した。
【0089】
(4)色素増感型太陽電池の製造
上記(1)で作製された、樹脂基板2の一面に正極側集電電極39と触媒電極33が形成され、他面に負極側集電電極342が形成され、且つ樹脂基板2にビア導体38が形成された積層体の樹脂基板2の周縁に、実施例1の(6)に記載の接着性樹脂シートに、半導体電極32の最外周の寸法に合わせて82mm×82mmの開口部を設け、これを樹脂基板2の周縁に配設し、その後、上記(3)で作製した、半導体電極32が形成されたガラス基板1を、樹脂基板2に形成されたインターコネクタ用接着塗膜374と半導体電極32が形成されていない部分とが対向するように積層した。その後、乾燥機中にて120℃に加熱し、インターコネクタ用接着塗膜374を硬化させてインターコネクタ用接着剤層374を形成して透光性導電層31に接着させるとともに、接着性樹脂シートにより透光性導電層31とガラス基板2とを接合した。次いで、実施例1の(6)と同様にして調製した電解液35を同様にして設けられた注入口から注射器により注入し、注入後、同様にして封止し、色素増感型太陽電池109を製造した。
【0090】
(5)光反射傾斜面5による発電効率の向上
作製した色素増感型太陽電池109のインターコネクタ374は、対極基板2側の直径が2.5mm、透光性基板1側の直径が1.0mmであった。また、セル全体の表面積は90mmであり、インターコネクタ374の対極基板2側の表面積が占める面積は、セル全体の7.67%である。更に、一つのインターコネクタにおいて、底面積に対して光を反射できる部分を透光性基板1側から見た面積の割合が、1−0.5π/1.25π=0.84である。
このため、作製した負極側集電電極343の光反射傾斜面5によって反射する面積は、半導体電極32の面積の0.0767×0.84=0.0644、6.44%に相当する。また、実施例1の(7)と同様にして求めたηは8.4%と、実施例4に比べて0.2上昇しており、光反射傾斜面5による発電効率の向上を確認することができた。
このように本実施例の色素増感型太陽電池109は、光反射傾斜面5によって、負極側集電電極34に照射された光の一部を半導体電極32へ反射することによって、発電効率の向上を得ることができた。
【0091】
尚、本発明では、上記の実施例の記載に限られず、本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。例えば、電解液としては、イオン液体を主成分として含有するものを用いることもできる。イオン液体は、電解液を100質量%とした場合に、50質量%以上、特に90質量%以上(100質量%であってもよい。)含有される。このイオン液体としては、ヨウ化物の常温溶融塩を用いることができる。このヨウ化物の常温溶融塩としては、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、ピロリジニウム塩、ピラゾリジウム塩、イソチアゾリジニウム塩及びイソオキサゾリジニウム塩等の各種の常温溶融塩が挙げられる。ヨウ化物の常温溶融塩のうちではイミダゾリウム塩が好ましい。これらの常温溶融塩は種類の異なる2種以上を併用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】対極基板の一面に負極側集電電極が設けられた色素増感型太陽電池の一例を分解して斜め上方からみた模式的な斜視図である。
【図2】図1の色素増感型太陽電池の断面を示す模式図である。
【図3】図2において更に正極側集電電極が設けられた実施例1の色素増感型太陽電池の断面を示す模式図である。
【図4】対極基板の一面に負極側集電電極が設けられた色素増感型太陽電池の他例を分解して斜め上方からみた模式的な斜視図である。
【図5】図4の色素増感型太陽電池の断面を示す模式図である。
【図6】図5において更に正極側集電電極が設けられた実施例2の色素増感型太陽電池の断面を示す模式図である。
【図7】対極基板の他面に負極側集電電極が設けられた色素増感型太陽電池の一例を分解して斜め上方からみた模式的な斜視図である。
【図8】図7の色素増感型太陽電池の断面を示す模式図である。
【図9】図8において更に正極側集電電極が設けられた実施例3の色素増感型太陽電池の断面を示す模式図である。
【図10】実施例5の、対極基板が樹脂基板であり、この樹脂基板の他面に負極側集電電極が設けられた色素増感型太陽電池の断面を示す模式図である。
【図11】複数の単セル構成体が直列に接続されてなる色素増感型太陽電池モジュールの一例の断面を示す模式図である。
【図12】図11の色素増感型太陽電池モジュールにおいて各々の単セル構成体を直列に接続するための接続パターンを示す模式図である。
【図13】複数の単セル構成体が直列に接続されてなる色素増感型太陽電池モジュールの他の例の断面を示す模式図である。
【図14】図13の色素増感型太陽電池モジュールにおいて各々の単セル構成体を直列に接続するための接続パターン(対極基板の一面側)を示す模式図である。
【図15】図13の色素増感型太陽電池モジュールにおいて各々の単セル構成体を直列に接続するための接続パターン(対極基板の他面側)を示す模式図である。
【図16】対極基板の他面に縦断面形状が台形状であり光反射傾斜面を具備する負極側集電電極を備える色素増感型太陽電池の一例を分解して斜め上方からみた模式的な斜視図である。
【図17】対極基板の他面に縦断面形状が台形状であり光反射傾斜面を具備する負極側集電電極を備える色素増感型太陽電池の模式断面図である。
【図18】対極基板の他面に縦断面形状が三角形形状であり光反射傾斜面を具備する負極側集電電極を備える他の態様の色素増感型太陽電池の模式断面図である。
【図19】対極基板の他面に縦断面形状が台形状であり曲面の光反射傾斜面を具備する負極側集電電極を備える他の態様の色素増感型太陽電池の模式断面図である。
【図20】対極基板の他面に負極側集電電極が設けられ、円錐台形状のインターコネクタを備える色素増感型太陽電池の一例を分解して斜め上方からみた模式的な斜視図である。
【図21】対極基板の他面に負極側集電電極が設けられ、円錐台形状のインターコネクタを備える色素増感型太陽電池の模式的な平面図である。
【図22】対極基板の他面に負極側集電電極が設けられ、円錐台形状のインターコネクタを備える色素増感型太陽電池の模式的な断面図である。
【図23】対極基板の他面に負極側集電電極が設けられ、円錐形状のインターコネクタを備える他の態様の色素増感型太陽電池の模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0093】
101、102、103、104、105、106、107、108、109;色素増感型太陽電池、201、202;色素増感型太陽電池モジュール、1;透光性基板(ガラス基板)、2、21、22;対極基板(セラミック基板)、31;透光性導電層、32;半導体電極、33;触媒電極、34、341、342、343、344;負極側集電電極、35;電解液、36;導電性接着剤層、37、374、375;インターコネクタ、371;インターコネクタ用導電層、372;インターコネクタ用接着剤層、373;樹脂封止部、38;ビア導体、39;正極側集電電極、4;接合部、5;光反射傾斜面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性基板と、
該透光性基板の一面に対向して配置された対極基板と、
該透光性基板の該一面に設けられた透光性導電層、該透光性導電層の表面に設けられ且つ増感色素を有する半導体電極、該対極基板の一面に該半導体電極に対向して設けられた触媒電極、該対極基板の該一面又は他面に設けられ、該触媒電極と離間し且つ該透光性導電層と接続された負極側集電電極、並びに該半導体電極及び該触媒電極の各々の少なくとも一部に含有され且つ該半導体電極と該触媒電極との間に充填された電解液を有する少なくとも1個の単セル構成体と、を備えることを特徴とする色素増感型太陽電池。
【請求項2】
上記対極基板がセラミック基板であり、上記負極側集電電極が該セラミック基板の上記透光性基板の上記一面に対向する一面に設けられ且つタングステンを含有する請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
【請求項3】
上記負極側集電電極の厚さが10〜100μmである請求項2に記載の色素増感型太陽電池。
【請求項4】
上記透光性導電層と上記負極側集電電極とが、導電性接着剤層を介して接続されている請求項2又は3に記載の色素増感型太陽電池。
【請求項5】
上記導電性接着剤層には導電性フィラーが含有されており、該導電性フィラーはカーボンフィラー、タングステンフィラー、チタンフィラー及びニッケルフィラーのうちの少なくとも1種である請求項4に記載の色素増感型太陽電池。
【請求項6】
上記導電性接着剤層は、未硬化導電性接着剤層が、上記透光性基板を透過して照射されたレーザー光により硬化されてなる請求項4又は5に記載の色素増感型太陽電池。
【請求項7】
上記負極側集電電極の上記電解液と接触する面が、上記半導体電極側に向けて傾斜する光反射傾斜面である請求項2乃至6のうちのいずれか一項に記載の色素増感型太陽電池。
【請求項8】
上記負極側集電電極の縦断面形状は、上記対極基板側を底辺とする三角形形状又は台形形状である請求項7記載の色素増感型太陽電池。
【請求項9】
上記負極側集電電極が上記対極基板の上記他面に設けられ、上記透光性導電層の上記表面と該対極基板の上記一面との間に複数のインターコネクタが介装され、且つ複数の該インターコネクタの各々と該負極側集電電極とが、該対極基板に形成されたビア導体により接続されている請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
【請求項10】
上記インターコネクタの横断面の面積が0.15〜5.0mmであり、複数の上記インターコネクタのそれぞれの離間距離が4.0〜11.0mmである請求項9に記載の色素増感型太陽電池。
【請求項11】
上記対極基板がセラミック基板である請求項9又は10に記載の色素増感型太陽電池。
【請求項12】
上記負極側集電電極の厚さが0.5〜100μmである請求項9乃至11のうちのいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池。
【請求項13】
上記インターコネクタの上記電解液と接触する面が、上記半導体電極側に向けて傾斜する光反射傾斜面である請求項9乃至12のうちのいずれか一項に記載の色素増感型太陽電池。
【請求項14】
上記インターコネクタは、上記対極基板側を底面とする円錐台形状又は円錐形状である請求項13記載の色素増感型太陽電池。
【請求項15】
上記透光性基板の上記一面と、上記セラミック基板の上記一面との間に、各々が有する、透光性導電層間、半導体電極間、触媒電極間、負極側集電電極間及び電解液間が、それぞれ電気的に絶縁された複数の上記単セル構成体が設けられ、且つ複数の該単セル構成体の各々が直列に接続されている請求項2乃至8のうちのいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池。
【請求項16】
上記透光性基板の上記一面と、上記セラミック基板の上記一面との間が、上記単セル構成体の各々が有する負極側集電電極の周囲においてそれぞれ樹脂又はガラスにより封着されて上記絶縁がなされている請求項15に記載の色素増感型太陽電池。
【請求項17】
上記透光性基板の上記一面と、上記対極基板の上記一面との間に、各々が有する、透光性導電層間、半導体電極間、触媒電極間、負極側集電電極間、電解液間及びインターコネクタ間、がそれぞれ電気的に絶縁された複数の上記単セル構成体が設けられ、且つ複数の該単セル構成体の各々が直列に接続されている請求項9乃至14のうちのいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池。
【請求項18】
上記透光性基板の上記一面と、上記対極基板の上記一面との間が、上記単セル構成体の各々が有する半導体電極の周囲においてそれぞれ樹脂又はガラスにより封着されて上記絶縁がなされている請求項17に記載の色素増感型太陽電池。
【請求項19】
上記対極基板と上記触媒電極との間に正極側集電電極が設けられた請求項1乃至18のうちのいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2007−66875(P2007−66875A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−104728(P2006−104728)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】