説明

苺の水耕栽培方法及びその栽培装置

【課題】本発明は、立体的な設備規模で苺の栽培を行うことができる省スペース、省エネルギー方式であって、作業性の良い苺の栽培方法及び栽培装置を提供する。
【解決手段】外形を略長方形の升状に形成した箱であって、その底板全面に排水用切欠きを形成し、前記底板上に培体を形成すると共に、苺苗の根部を内部の培体に収納し、かつ、表面に複数の開口部を有する単数又は複数の苺栽培筒を正面側板上部から前記砂礫層内に略水平に着脱自在に延在して設けた苺栽培容器の複数個を機枠の受け桟を介して上下に複数段に配設すると共に、養水を最上段の前記苺栽培容器の最上部から滴下又は散水流入させて複数段の前記苺栽培容器を順次経由して最下段の前記苺栽培容器の最下部から流出させる循環養水供給装置を設けたものであって、前記苺栽培容器の各々が水平方向に引き出し可能に受け桟上に設けたことを特徴とする苺の水耕栽培装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、養水を循環供給して、立体的な設備規模で苺の栽培を行うことができる省スペース、省エネルギー方式であって、しかも作業性の良い苺の栽培方法及び栽培装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
苺はビタミンCの含有量が多く、果物の少ない春先の出荷で生産が飛躍的に伸びた果物であり、生果としてミルクや砂糖を加えて生食したり、加工品としてジャム、ジュース、シロップ漬けに利用される。苺の作付様式としては、一度植えた株を数年栽培する方式と毎年株をかえて栽培する一年方式があるが、一般に一年方式が多い。育苗はランナーについた苗を切り離して移植する。苺の栽培は、ビニールハウス、プラスチックフィルムの利用、新品種の育成等の技術開発により盛夏の一時期を除いて年中出荷されている。
【0003】
一般に、苺栽培は、温室内に土壌の畝を作り、又は土壌を収納した栽培ベッドに苺の苗を定植して、通常苺の株間を30cm程度に取り、日向において、生育温度18〜25度で栽培される。土壌栽培では連作すると、土壌伝染性の病害が多発し、土壌の物理性も悪化して、苺の生育が不良となる連作障害(1〜2年)がある。
【0004】
これに対して土壌を用いないで、かつ、正常に生育するための必要な養分を含む水を与えて苺を栽培する水耕栽培がある。この水耕栽培は装置を簡単に消毒するため連作が可能となる。この水耕栽培用ベッド及びこれを用いた水耕栽培方法が開示されている。〔参考文献1〕
【特許文献1】特開2003−23886公報(〔0006〕、〔0007〕、〔0022〕)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記先行技術は、長方形の溝状の凹部に培地収容部を形成し、前記培地収容部に傾斜勾配を持たせて複数の排水孔に導き、余剰の培養液を好適に回収して、苺果実が障害なく生長できるとした水耕用栽培ベッドであるが、栽培能力を拡大するためには、前記栽培ベッドを20〜30個連結配置させるとしている。このような栽培能力の拡大を行うには、栽培設備の設置面積の多大を要し、設置面積当たりの生産性が大きくできない課題があった。また、前記余剰の培養液の回収には長い距離の排水樋や給液管を必要とする等の別課題もあった。 本出願人はこれらの課題を解決したものであって、適切な栽培条件をもたらす養水を循環供給して、立体的な設備規模で苺の栽培を行うことができる省スペース、省エネルギー方式であって、しかも、作業性の良い苺の栽培方法及び栽培装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る苺の水耕栽培方法は、苺の水耕栽培において、各々が水平方向に引き出し可能な複数の苺栽培容器を上下に複数段配設すると共に、循環養水を最上段の前記苺栽培容器の最上部から滴下又は散水流入させて複数段の前記苺栽培容器を順次経由して最下段の前記苺栽培容器の最下部から流出させて、各苺栽培容器内に植え付けた複数の苺苗に前記循環養水を灌水して供給することにより苺を育成・栽培することを特徴とする。
【0007】
この構成を採用することにより、苺の育成に適した温度、養分等を調整した循環養水を苺栽培箱の最上部から最下部に自然に滴下又は散水流下させることを間欠的又は連続的に苺苗の栽培育成に適した方式で供給できると共に、養水を苺苗が植え付けられた苺栽培容器全数にわたり均等に供給することができるから、苺の最適な育成とその育成の均質化と促進化を図ることができる。また、複数の苺栽培容器を上下に複数段、即ち立体的に積み重ねているので、屋内においても設置面積当たりの苺栽培の生産性を向上できる。また、苺栽培容器は引き出し可能に設置されているので、苺の生育の確認が容易であり、たとえ上下で苺の生育に不均一があっても、上下の苺栽培容器の入れ替えた育成が可能である。
【0008】
また、請求項2に係る苺の水耕栽培方法は、請求項1記載の苺の水耕栽培方法において、前記苺栽培容器が外形を略長方形の升状に形成した箱であり、かつ、その底板全面に排水用孔又は排水用切欠きを形成し、前記底板上に培地を形成すると共に、前記苺苗の根部が内部に植え付けられ、表面に開口部を有する単数又は複数の苺栽培筒を前記培地内に略水平方向に着脱自在に挿入して配設したものであって、苺栽培容器の上部から滴下又は散水された循環養水が均一に苺栽培筒内の苺苗を潤し通過して底板から排水されることを特徴とする。また、請求項3に係る苺の水耕栽培方法は、請求項1に記載の苺の水耕栽培方法において、前記苺栽培容器が、外形を略長方形の升状に形成し、かつ、その底板全面に排水用孔又は排水用切欠きを有する箱を形成すると共に、前記苺苗の根部が内部の培地に植え付けられ、表面に開口部を有する単数又は複数の苺栽培筒を前記箱に略水平方向に着脱自在に挿入して配設したものであって、苺栽培容器の上部から滴下又は散水された循環養水が均一に苺栽培筒内の苺苗を潤し通過して底板から排水されることを特徴とする。また、請求項4に係る苺の水耕栽培方法は、請求項2又は3に記載の苺の水耕栽培方法において、前記苺栽培筒の複数本が、前記苺栽培容器の断面方向に千鳥状又は升目状に、かつ、相互に略平行に配設したことを特徴とする。
【0009】
この構成により、苺苗の根部を培地内に植えつけた苺栽培筒を前記苺栽培容器に対して略水平方向に挿入し、そして苺栽培容器上方から滴下又は散水流下する養水に苺栽培筒内にある苗の根部を十分接触させて養分や酸素分等を与えることにより、或いは、前記苺栽培容器内の培地に保持されている養水に苺栽培筒内にある苗の根部が浸ることにより、苺を育成し栽培することができる。また、苺苗の間隔は水耕栽培において、葉が重ならない程度の5〜10cmの距離がよいから、容器の垂直断面方向に対して、前記苺栽培筒を奇数個の場合は千鳥状、又は偶数個の場合は升目状に配置するのが好適であり、かつ、相互に略平行に配設することにより、その苺栽培容器の上方から滴下又は散水流下する養水に、又は培地中に保持された養水に、苺栽培筒内の苺苗の根部が効率よく接触させることができ、苺栽培容器内部の立体空間を十分活用した苺の育成栽培ができる。この苺苗に対する灌水は、容器内に培地が有る場合には養水の保水がし易いから滴下が適し、容器内に培地が無く、苺栽培筒のみに培地が有る場合は散水が適している。
【0010】
培地は長さが3〜25mm程度の綿状又は粒状のグラスウール又はロックウールで構成し、その層厚は苺栽培容器の深さに左右されて、25〜40cm程度である。また、苺栽培容器を引き出し可能に取り扱うために軽量化が望ましく、このために培地には前述のグラスウール又はロックウールを用いるのが好適である。そして苺栽培容器の上部に滴下又は散水された循環養水は、培地を所定の流速で流下して、各苺栽培筒のネット開口部から内部に侵入し、苺栽培筒内にある苺の根部に養水中に含まれる養分や溶存酸素を与え、最終的に底板の排水孔から流出する。したがって、培地は苺栽培容器の上部から流入する循環養水をムラなく苺栽培筒を経由して培地を通過させるものでなければならず、また、培地から流下した循環養水を次段の苺栽培容器に所定の滴下又は散水形状で灌水する必要があり、また、培地は循環養水を適宜保水する能力も必要であり、この観点から培地の材質及び粒度が設定される。また、培地には、グラスウール又はロックウールの他、礫、小石、バーミキュライト、軽石、砂利又は珪藻土なども用いることができる。これら培地用材の選択は、養水の保水や養水の灌水、通水等の状況と軽量化を勘案して行われる。この用材に使用する粒度は通常2〜40mm程度の範囲である。
【0011】
このように上下方向に流れる養水に対し、水平方向に配設された苺栽培筒が灌水されて苺苗を育成栽培するものであるから、苺栽培筒外側にある、壁状に並んだ苺苗の葉部の点検や苺苗の保守手入れが作業姿勢を悪化することなく行うことができる。また、前記苺栽培容器の底面に複数の排水穴若しくは排水用の切欠きを形成しているが、この設置の数、形状及び大きさは、前記苺栽培筒に収納した苺苗に対する養水の供給状況を左右するもので、前記苺栽培容器内の養水を溜め具合、苺栽培容器内にある培地中の養水の流れ、又は前記苺栽培容器を積み上げた時の下の苺栽培容器への給水の仕方等によって決まってくる。
【0012】
また、請求項5に係わる苺の水耕栽培方法は、請求項1乃至4のいずれかに記載の山苺の水耕栽培方法において、前記循環養水が酸素マイクロバブルと酸素ナノバブルを含む養水であることを特徴とする。
【0013】
この構成により、循環養水は養分、水温及び流水量(苺苗の根部の潤い方を決める)等を所定値に調節して供給するのみならず、酸素のマイクロバブルと酸素のナノバブルを含んだ養水を供給すれば、苺苗の根部に対して養水から得られる酸素溶存量が増加して、苺苗の生育を早めると共に、酸素ナノバブルが該根部に直接到達して、根部に存在する悪性の微生物を酸化除去して根部を活性化することができる。これにより苺苗の育成を早め、苺果実の収穫量を上げることができる。このように養水中には溶存酸素を多く含ませることができるので、培地で養水と空気との気液接触を必要としない利点がある。この酸素マイクロバブルは気泡径50μm以下のバブルであって、酸素と水の気液二相流体のせん断により酸素マクロバブルを生成させて、さらに、この酸素マクロバブルが水中で圧壊するときに一部が酸素ナノバブル(気泡径1μm以下)に転換し、残りの酸素が水中に溶存するのである。
【0014】
また、請求項6に係わる苺の水耕栽培装置は、外形を略長方形の升状に形成した箱であって、その底板全面に排水用孔又は排水用切欠きを形成し、前記底板上に培地を形成すると共に、苺苗の根部を内部の培地に収納し、かつ、表面に複数の開口部を有する単数又は複数の苺栽培筒を正面側板上部から前記培地内に略水平に着脱自在に延在して設けた苺栽培容器の複数個を機枠の受け桟を介して上下に複数段に配設すると共に、養水を最上段の前記苺栽培容器の最上部から滴下又は散水流入させて複数段の前記苺栽培容器を順次経由して最下段の前記苺栽培容器の最下部から流出させる循環養水供給装置を設けたものであって、前記苺栽培容器の各々が水平方向に引き出し可能に機枠の受け桟上に設けたことを特徴とする。また、請求項7に係わる苺の水耕栽培装置は、請求項6記載の苺の水耕栽培装置において、前記苺栽培筒の複数本が、前記苺栽培容器の断面方向に千鳥状又は升目状に、かつ、相互に略平行に配設したことを特徴とする。また、請求項8に係わる苺の水耕栽培装置は、請求項6又は7記載の苺の水耕栽培装置において、前記苺栽培容器及び前記苺栽培筒が光透過性の合成樹脂製であることを特徴とする。また、請求項9に係わる苺の水耕栽培装置は、請求項6又は7又は8記載の苺の水耕栽培装置において、前記機枠の受け桟から前記苺栽培容器の引き出し方向に水平の張り出し棚を設けたことを特徴とする。また、請求項10に係わる苺の水耕栽培装置は、請求項6乃至9のいずれかに記載の苺の水耕栽培装置において、複数段の苺栽培容器を左右に複数列配設したものを奥行き方向に一列又は二列に設置することを特徴とする。
【0015】
この構成により、苺苗の根部を苺栽培筒に収納し、該苺栽培筒を前記苺栽培容器に対して略水平方向に挿入し、そして苺栽培容器上方から滴下又は散水流下する養水に苺栽培筒内にある苗の根部を十分接触させて養分や酸素分等を与えることにより、或いは、前記苺栽培容器内の培地に保持されている養水に苺栽培筒内にある苗の根部が浸ることにより、苺を育成し栽培することができる。また、苺苗の間隔は水耕栽培において、葉が重ならない程度の5〜10cmの距離がよいから、容器の垂直断面方向に対して、前記苺栽培筒を奇数個の場合は千鳥状、又は偶数個の場合は升目状に配置するのが好適であり、かつ、相互に略平行に配設することにより、その苺栽培容器上方から滴下又は散水流下する養水に、又は培地中に保持された養水に、苺栽培筒内の苺苗の根部が効率よく接触させることができ、苺栽培容器内部の立体空間を十分活用した苺の育成栽培ができる。この苺苗に対する灌水は、容器内に培地が有る場合には養水の保水がし易いから滴下が適し、容器内に培地が無く、苺栽培筒のみに培地が有る場合は散水が適している。
【0016】
培地は長さが3〜25mm程度の綿状又は粒状のグラスウール又はロックウールで構成し、その層厚は苺栽培容器の深さに左右されて、25〜40cm程度である。また、苺栽培容器を引き出し可能に取り扱うために軽量化が望ましく、このために培地には前述のグラスウール又はロックウールを用いるのが好適である。そして苺栽培容器の上部に滴下又は散水された循環養水は、培地を所定の流速で流下して、各苺栽培筒のネット開口部から内部に侵入し、苺栽培筒内にある苺の根部に養水中に含まれる養分や溶存酸素を与え、最終的に底板の排水孔から流出する。したがって、培地は苺栽培容器の上部から流入する循環養水をムラなく苺栽培筒を経由して培地を通過させるものでなければならず、また、培地から流下した循環養水を次段の苺栽培容器に所定の滴下又は散水形状で灌水する必要があり、また、培地は循環養水を適宜保水する能力も必要であり、この観点から培地の材質及び粒度が設定される。また、培地には、グラスウール又はロックウールの他、礫、小石、バーミキュライト、軽石、砂利又は珪藻土なども用いることができる。これら培地用材の選択は、養水の保水や養水の灌水、通水等の状況と軽量化を勘案して行われる。この用材に使用する粒度は通常2〜40mm程度の範囲である。
【0017】
このように上下方向に流れる養水に対し、水平方向に配設された苺栽培筒が灌水されて苺苗を育成栽培するものであるから、苺栽培筒外側にある、壁状に並んだ苺苗の葉部の点検や苺苗の保守手入れが作業姿勢を悪化することなく行うことができる。また、前記苺栽培容器の底面に複数の排水穴若しくは排水用の切欠きを形成しているが、この設置の数、形状及び大きさは、前記苺栽培筒に収納した苺苗に対する養水の供給状況を左右するもので、前記苺栽培容器内の養水を溜め具合、苺栽培容器内にある培地中の養水の流れ、又は前記苺栽培容器を積み上げた時の下の苺栽培容器への給水の仕方等によって決まってくる。また、循環養水供給装置から養分、水温、養水流量等が調製された循環養水を苺栽培箱の最上部から最下部に自然に滴下又は散水流下させるので、養水を苺苗が植え付けられた苺栽培容器全数に均等に供給することができるから、苺の育成の均質化と促進化を図ることができる。
【0018】
また、この構成による苺の水耕栽培装置は、立体的に苺栽培容器を積み上げた様式をとるので、栽培量に対して設置面積が少なくてすみ、設置面積当たりの栽培量を増加させることができる。また、複数段の配設をさらに複数列に配設して生産規模を拡大することも可能である。さらに、苺の水耕栽培装置は立体的にコンパクトな設備であるから屋内に設置することも容易であって、かつ、苺栽培容器が集約化されているので、雰囲気温度や水温の調整が安定して行えると共に、日光等の照射条件を適切に調節することもできるので、苺の生産性を向上しやすい。また、本発明の苺栽培容器の複数個を機枠の多段多列の容器受け桟に対して各々が挿入又は取り出し可能に設置していると共に、軽量で、可視性の合成樹脂製の苺栽培容器を用いているので、苺栽培容器に栽培している苺の生育状況の把握、養水の供給状態の目視管理がしやすく、苺栽培の育成、保守等の作業性が改善できる。また、上下方向に流れる養水に対し、水平方向に配設された苺栽培筒が灌水されて苺苗を育成栽培するものであるから、風の影響もなく、養水が確実に根部に届き、葉にはかからない栽培をすることができるし、かつ、苺栽培筒外側にある、壁状に並んだ苺苗の葉部の点検や苺苗の保守手入れが作業姿勢を悪くすることなく行うことができる。また、上下で苺の生育に不均一があっても、上下の苺栽培容器の位置を入れ替えた育成が可能であり、栽培育成の調整の点でも優れている。また、多段多列に配設した苺栽培容器を背中合わせに配列することにより、夫々の苺栽培容器の挿入又は引き出しが相互に制約されずに自由自在であって、管理及び作業性がよい。
【0019】
また、二列の苺栽培容器群をモジュールとして作業用通路を挟んで配列すると、設置面積に対し苺栽培能力を上げることができると共に、苺栽培容器の育成管理等の作業能率を向上することができる。また、これらの苺栽培装置に対応する循環養水供給装置を設けているので、養水の養分、水温、流水量、溶存酸素量などを一括して管理するすることができるし、苺栽培容器毎に流水量を調整管理することも容易であって、苺栽培の生産効率を高め、苺の品質を維持、向上することができる。また、苺栽培装置を屋内等に設置して、養水循環で水質を管理すれば、害虫及び微生物の害の恐れが無くなり、無農薬で栽培することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る請求項1記載の苺の栽培方法によれば、循環養水を確実に各苺栽培筒に供給することができるから、苺の育成の均質化が図られ、苺の品質及び良品歩留を向上することができる。また、複数の苺栽培筒を収納した苺栽培容器は薄くできるので、室内において複数段に積み重ねることが可能で、設置面積当たりの苺の生産性向上に寄与できる。請求項2、3、4記載の苺の栽培方法によれば、苺栽培筒を前記苺栽培容器に挿入して上方から滴下又は散水流下する養水に苺栽培筒内の苺苗の根部が十分に接触して養分や酸素分等を吸収するので苺を十分均一に育成することができる。また、前記苺栽培容器の底面に複数の排水孔若しくは排水用の切欠きを形成しているが、苺栽培容器内の養水を溜め具合、苺栽培容器内にある培地中の養水の流れ、又は苺栽培容器を積み上げた時の下の苺栽培容器への給水の仕方等により、苺栽培筒に収納した苺苗に対する養水の供給状況を任意に調節することができる。請求項5記載の苺の栽培方法によれば、所定品位の養水を一括供給して循環させることができるから、循環養水の時系列的な品位の変動が少なく、加えて酸素のマクロバブルと酸素のナノバブルを含有させるので、溶存酸素量も増加して苺苗の根部の育成を促進し、また根部に悪影響を与える微生物の酸化除去も可能となる。
【0021】
また、本発明に係る請求項6から10に記載の苺の栽培装置によれば、苺栽培容器を複数段及び複数列に立体的に構築できるので、生産規模に対して設置面積が少なくてよい。これにより苺栽培装置の屋内設置が容易となり、苺の栽培環境(光照射条件の適正化、気温変動が少ない、害虫等の侵入防止など)が整え易いので、苺の栽培条件を例えば無農薬で栽培するなど適正化することができ、苺の品質及び生産性の向上を図ることができる。また、苺栽培容器は軽量で、可視性の合成樹脂製であり、かつ、引き出し可能に設置されているので、苺の生育の確認が容易であり、上下で苺の生育に不均一があっても、上下の苺栽培容器の入れ替えた育成が可能であるように、管理及び作業性に優れている。また、苺の育成に重要な役割を果たす循環養水の流量及び品質管理も集中して一括して行うことができるので、苺の栽培条件の管理がし易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施するための最良の形態に係る苺栽培装置の模式的全体斜視図と循環養水供給装置の系統図である。図2は、図1におけるA−A矢視の断面図である。図3は、図2におけるB−B矢視の斜視図である。図4は、図1における苺栽培装置の機枠の全体斜視図である。図5は、苺栽培装置に用いられる苺栽培容器であって、(a)は正面図、(b)は底面図、(c)はA−A矢視の断面図である。図5は、本発明の実施するための最良の形態に係る苺の水耕栽培プラントの模式的平面図である。
【0023】
図1,2,3,4に基いて、本発明に係る苺の水耕栽培装置の実施形態を説明すると、苺の水耕栽培装置1は苺栽培筒38を挿入した苺栽培容器2の集合体と、苺栽培容器2に循環養水を供給する循環養水供給装置11と、から構成される。また、苺の水耕栽培装置1は苺栽培容器2を3段6列に積み上げて、苺10を栽培する実施態様を示しており、この苺栽培容器2について説明すると、幅30〜45cm、奥行き20〜30cm、高さ30〜45cmの苺栽培容器2を用いて、苺10の苗の根部10−1をネット状開口部を設けた内径3〜5cmの苺栽培筒38内に培地である綿状又は粒状のグラスウールと共に収納して、容器内に略水平方向に挿入孔32−1から挿入し、次いで容器内を3〜25mm長程度のグラスウール又はロックウールで充填して培地4を形成する。これら三段の苺栽培容器2を機枠3の容器受け桟3−3上に設置し、苺栽培容器2の上部から養水を滴下又は散水して培地4に通水し、苺10の根部10−1に養分や溶存酸素を与えて育成する。循環養水供給配管14の散水孔14−1から上段の苺栽培容器2に滴下又は散水した養水は苺栽培容器2を通過し、余剰の養水は底板34の排水孔34−1から流出して、次段の苺栽培容器2に滴下又は散水する。このようにして、循環養水は3段目の苺栽培容器2を通過した後、中央部の排水樋3−5に排水され、循環養水戻り配管15を経由して循環養水供給装置11に戻る。このように循環養水は一度だけポンプアップすれば、後は重力だけで流下する構造が採れるので、省エネルギ的設備でもある。
【0024】
本発明を実施するための最良の形態に係る苺栽培容器2について図5に基づいて説明すると、苺栽培容器2は、金属製の底板34と、合成樹脂製の正面側板32、側板35,35と背側板36を前記底板34の四隅から立ち上げた金属製の二重の器枠31に挟み込んで容器が構成される。各合成樹脂製の側板32,35,35,36と器枠31との接着は接着剤を用いるか、シール材(図示しない)を介してネジ止めにするか任意に行うことができる。前記合成樹脂板には、通常3〜5mm厚のアクリル板かポリカーボネート板が軽量で、強度が高く、透明性があり、また被接着性もあり好適である。また、これらの側板32,35,35,36は合成樹脂製に限定することなく、透明性は犠牲になるが金属板を用いることも可能である。また、苺栽培容器2の製作は器枠31を用いずに合成樹脂板を相互に接着剤にて接着することにより、容器2の側板32,35,35,36及び底板34を一体に形成することも可能である。
【0025】
また、苺栽培容器2内部には、苺10の根部10−1を収納して栽培する苺栽培筒38を5本、夫々を正面側板32にある5ヵ所の千鳥状に配置された挿入孔32−1から略水平に相対する背側面板36に向けて挿入される。この場合、苺栽培筒38は挿入孔32−1の周囲に設けた表面が曲面を有する支持リング37により保持される。苺栽培筒38の外側の端部も曲面を形成しているのが苺果実の付いたランナーを傷めないので望ましい。苺栽培筒38の直径は通常3〜5cm程度の範囲である。また、苺栽培筒38は、苺の苗を育てた苗植器を利用するのが好適で、通常ネット状の筒に培地である綿状又は粒状のグラスウールと共に苺苗が植え付けられており、筒状のネットは滴下又は散水流下してくる養水を苺栽培筒38内部に導入し、根部10−1に灌水し養分等を供給する。また、苺栽培筒38内の根部10−1から派生する根毛はネットから外へ伸び出して養分等を吸収する。こうした状況を踏まえてネットの目開きを決めるが、通常3〜5mmである。苺栽培筒38は合成樹脂や合成ゴムを用いて一体にネットに成型するのが通常であって、日照や育成状況の観察の観点から透明な合成樹脂を用いるのがよい。また、合成ゴムを用いた場合には、根部10−1の成長に伴う膨大に対して対応することができる。また、苺栽培筒38の断面は、円筒形状が製作面で容易であり好ましいが、長円形状又は多角形状でもよい。また、ネットの開口の形状は、長方形、円形又は長円形のいずれでもよいが、製作面からは長方形が望ましい。
【0026】
また、苺栽培容器2の底板34には、上方から供給される養水の排水のために、図5bに示すように、複数の円形の排水孔34−1が設けられる。この排水孔34−1の形状は円形に限定することなく、例えば、長円形又は放射状の長方形の切欠きを設けてもよい。この排水孔34−1の形状、大きさ、個数及び分布は、容器内を通過する養水が苺栽培筒38に対する滴下又は散水のパターン、即ち、苺栽培筒38に対する灌水の仕方により決められる。また、苺栽培容器2を3段積み上げて構築する場合には、この排水孔34−1の大きさ、個数及び分布が、下にある苺栽培容器2に対する養水の供給する分布を決めることにもなる。また、底板34は、排水孔34−1を形成する穿孔加工及び器枠31を直立して形成する点から金属製が望ましいが、これに限定されること無く合成樹脂板でも製作可能である。
【0027】
また、図2,3に示すように、苺栽培容器2内には、苺栽培筒38の部分を除いて、培地4を充填する。培地4は長さが3〜25mm程度の綿状又は粒状のグラスウール又はロックウールで構成し、その層厚は苺栽培容器2の深さに左右されて、25〜40cm程度である。また、苺栽培容器2を引き出し可能に取り扱うために軽量化が望ましく、このために培地4には前述のグラスウール又はロックウールを用いるのが好適である。そして苺栽培容器2の上部に滴下又は散水された循環養水は、培地4を所定の流速で流下して、各苺栽培筒38のネット開口部から内部に侵入し、苺栽培筒38内にある苺10の根部10−1に養水中に含まれる養分や溶存酸素を与え、最終的に底板34の排水孔34−1から流出する。したがって、培地4は苺栽培容器2の上部から流入する循環養水をムラなく苺栽培筒を経由して培地4を通過させるものでなければならず、また、培地4から流下した循環養水を次段の苺栽培容器2に所定の滴下又は散水形状で灌水する必要があり、また、培地4は循環養水を適宜保水する能力も必要であり、この観点から培地4の材質及び粒度が設定される。また、培地4には、グラスウール又はロックウールの他、礫、小石、バーミキュライト、軽石、砂利又は珪藻土なども用いることができる。これら培地4の用材の選択は、養水の保水や養水の灌水、通水等の状況と軽量化を勘案して行われる。この用材に使用する粒度は通常2〜40mm程度の範囲である。
【0028】
また、図1,2,3には、3段6列の18セットの苺栽培容器2群を背中合わせに配列した苺の水耕栽培装置1を示しているが、本発明に係る苺の水耕栽培装置1は、このように多段多列で構成されている苺栽培容器2群を背中合わせに配列したものをモジュールとして、これを集合化して配置することも可能である。図4には、モジュールを構成するために、苺栽培容器2を引き出し可能に配設することができる機枠3を示している。機枠3は四隅に柱3−1を有し、また、柱3−1間を縦横方向に横梁3−2と容器受け桟3−3とを組み合わせた骨組みを高さ方向に三段に構成している。苺栽培容器2は2列の容器受け桟3−3上に摺動できるように載置されており、苺栽培容器2の引き出しや入替が容易となる。また、容器受け桟3−3の奥には苺栽培容器2が行き過ぎないようにストッパー3−4を設ける。また、機枠3の下部には、最下段の苺栽培容器2からの排水を受ける排水樋3−5が2列配置される。この機枠3は金属製であるのが、強度面で望ましく、鋼アングル材で構成するのが好適である。また、本発明に係る苺の水耕栽培装置1において、苺栽培容器2の段数及び列数は、図1、4の例示に拘束されず、任意に設定することが可能である。また、多段多列に形成された苺栽培容器2群の苺栽培装置1において、苺栽培容器2の段数及び列数とも容易に増減することもできる。また、機枠3の横梁3−2から張り出した果実受け棚3−6が設けられる。果実受け棚3−6は垂れた果実が冷やされないように、果実に接する場所には金属以外の合成樹脂製のエキスパンド状のネットが好ましい。
【0029】
このように段数及び列数が増加するほど、設置面積当たりの苺栽培容器2の総数を増加させることができるので生産規模を拡大することが容易にできる。また、このように苺栽培装置1はモジュールとして、またはモジュールを集合化したものを配設できるので、屋内設置が可能であるし、特に設置場所を限定する必要性もない特徴がある。この点で、省スペースタイプの苺栽培装置ということができる。また、屋内設置であれば、日光又は人工光(例えばLED光、蛍光灯など)の照射条件を適切に調節することができると共に、雰囲気温度や水温の調整が安定して行えるので、苺の生産性を向上しやすい。また、苺栽培容器に栽培している苺の生育状況の把握、養水の供給状態の目視管理がしやすく、苺栽培の育成、保守等の作業性を改善できる。
【0030】
循環養水供給装置11は、養水の性状を所定値に調節する調整槽12−1と苺栽培容器2からの循環戻り水が循環養水戻り配管15を経由して受け入れる戻り水槽12−2との二つからなる循環養水槽12と、送液ポンプ13と、循環養水供給配管14と、から構成されている。調整槽12−1には、循環養水戻り配管15を経た循環戻り水中に含まれる微粒の不純物を多孔石15−2の収納した槽で除去した後、牡蠣殻15−3の収納した槽でミネラルを溶かし込んだ後、最終的に木炭15−4の槽で有害物質を吸着除去して、戻り水槽12−2に戻った循環養水がオーバーフローして戻る。さらに、調整槽12−1には、この養水を所定温度に調節するための熱交換器17と、酸素マクロバブルと酸素マイクロバブルを発生させる酸素マクロバブル発生器18と、循環養水の養分と水の補給のために養分及び水補給管20と、が備えられる。また、調整槽12−1には、循環養水が循環養水供給配管14、散水孔14−1を経由して苺栽培容器2に送水されるための送水ポンプ13が接続されている。また、各苺栽培容器2に対して循環養水量を調整すために手動又は自動の流量調整弁16,16−1が設けられる。
【0031】
また、調整槽12−1内には、送水する循環養水の性状を所定値に制御するため測定センサ19、即ち水温計、溶存酸素量計、PH計等が具備される。測定センサ19からの各測定値に基づいて設定値に制御する方法は定法による。循環養水の性状とその数値を示すと、水温は15〜20度、溶存酸素量も5〜10ppm、PH5.5〜6.5である。
【0032】
図6には、本発明を実施するための水耕栽培プラントを示しているが、苺栽培容器2群を二列に背中合わせに配列したモジュールからなる水耕栽培装置1が作業通路6を挟んで並列に設置している例である。本例では、苺栽培容器2を上下に積み重ねる方式を裾拡がりの階段状にしているので、果実受け棚3−6が階段状に配設されており、苺の果実の収穫や苺苗の保守手入れなどの作業を実施し易くしている。このように苺栽培容器2を立体的に配置した水耕栽培装置1を並列に設置することによりコンパクトなレイアウトが実現できるから、設置面積当たりの苺栽培容器2数を増大することができ、ひいては苺の果実の栽培能力を上げることができる。また、循環養水供給装置11は水耕栽培プラントの片隅に配置した例を示し、循環養水戻り集水路5で集水された循環養水の戻りをろ過装置15−1、戻り水槽12−2を経由して、熱交換器17と酸素マクロバブル発生器18を擁した調整槽12−1で養分、水温等を調整した循環養水が送水ポンプ13で各水耕栽培装置1に送られる。この循環養水供給装置11は水耕栽培プラントの規模によりプラントの中央部へ設置することも可能である。このように水耕栽培装置1及び循環養水供給装置11はコンパクトなレイアウトで設置できるので、全体を屋内設備とすることが容易であり、苺の栽培育成において最適な栽培環境及び作業環境を提供することができる。
【0033】
本発明に係わる苺の水耕栽培装置1を用いた苺10の育成・栽培方法を図1、2、3を用いて説明すると、苺栽培容器2内に5個の苺栽培筒38を千鳥状に配設し、次いで長さが3〜25mm程度の大きさの綿状又は粒状のグラスウールを用いて培地4を構築する。この苺栽培筒38内に、事前に伸縮性のある強化ゴム製ネットなどの苗植え器(図示しない)に苺苗10を培地であるグラスウール綿と共に植え込んだものを填め込んで苺栽培筒38を構築する。このようにして苺苗10を植え込んだ苺栽培容器2を3段×6列の18個を機枠3の容器受け桟3−3上に設置することにより苺の水耕栽培装置1を構築する。このようにした苺栽培容器2を3段6列にしたものを背中合わせに2列に構築することにより苺栽培容器2群のモジュールが完成する。こうして、苺栽培容器2群のモジュールの構築が完了したら、所定性状の循環養水を循環養水供給装置11から循環養水供給配管14で送水し、最上段の各苺栽培容器2の上部から流量調節弁16、16−1で養水量を調整した循環養水を散水孔14−1経由で平均的に滴下又は散水供給して苺苗10の育成を行う。この苺苗10への養水の滴下又は散水する選択は、苺栽培容器2内の培地4の状況にも左右されるが、主として苺苗10の根部10−1の生育状況を見極めて適宜行うのがよい。また、苺苗10の葉が受ける受光量は、苺の水耕栽培装置1が屋内設置の場合であれば、外光を取り込む量を調節するか、又は人工光(例えばLED光、蛍光灯など)の点灯量によって調節することができる。また、栽培が終了した苺10は、苺栽培筒38を苺栽培容器2から取り外すことにより苺10を取り入れ、その後苺苗10を植え付けて再挿入するか、又は予備の苺苗10を植え付けた苺栽培筒38を挿入して苺栽培を繰り返すことができる。また、この作業は苺栽培容器2を引き出して行い、再度容器受け桟3−3上に挿入して行うこともできる。これらの再挿入される苺栽培容器2は、前もって病菌や病害虫の駆除を行うことが、苺苗10の健全な育成のために望ましい。このようにして本苺の水耕栽培装置1を用いて、苺苗10から苺果実を5〜7ヶ月で収穫することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
苺の水耕栽培に代表される水生野菜又は水生植物の室内栽培に適用することができる。また、苺栽培の観光農園として校外教育の一環としても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施するための最良の形態に係る苺の水耕栽培装置の模式的全体斜視図と循環養水供給装置の系統図である。
【図2】図1におけるA−A矢視の断面図である。
【図3】図2におけるB−B矢視の斜視図である。
【図4】図1における水耕栽培装置の機枠の全体斜視図である。
【図5】苺の水耕栽培装置に用いられる水耕栽培容器であって、(a)は正面図、(b)は底面図、(c)はA−A矢視の断面図である。
【図6】本発明の実施するための最良の形態に係る苺の水耕栽培プラントの模式的平面図である。
【符号の説明】
【0036】
1:水耕栽培装置 2:栽培容器 3:機枠
3−1:柱 3−2:横梁 3−3:容器受け桟 3−4:ストッパー 3−5:排水樋 3−6:果実受け棚
4:培地 5:循環養水戻り集水路 6:作業通路
10:苺 10−1:根部 10−2:葉 10−3:果実
11:循環養水供給装置 12:循環養水槽 12−1:調整槽 12−2:戻り水槽 13:ポンプ 14:循環養水供給配管 14−1:散水孔 15:循環養水戻り配管 15−1:ろ過装置
15−2:多孔石 15−3:牡蠣殻 15−4:木炭 15−5:連通孔
16:流量調整弁 16−1:流量調整弁 17:熱交換器 18:酸素マクロバブル発生器 19:測定センサー 20:養分及び水補給管
31:器枠 32:正面側板 32−1:挿入孔
34:底板 34−1:排水孔 35:側面板
36:背側面板 37:支持リング 38:栽培筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
苺の水耕栽培において、各々が水平方向に引き出し可能な複数の苺栽培容器を上下に複数段配設すると共に、循環養水を最上段の前記苺栽培容器の最上部から滴下又は散水流入させて複数段の前記苺栽培容器を順次経由して最下段の前記苺栽培容器の最下部から流出させて、各苺栽培容器内に植え付けた複数の苺苗に前記循環養水を灌水して供給することにより苺を育成・栽培することを特徴とする苺の水耕栽培方法。
【請求項2】
前記苺栽培容器が、外形を略長方形の升状に形成した箱であり、かつ、その底板全面に排水用孔又は排水用切欠きを形成し、前記底板上に培地を形成すると共に、前記苺苗の根部が内部に植え付けられ、表面に開口部を有する単数又は複数の苺栽培筒を前記培地内に略水平方向に着脱自在に挿入して配設したものであって、苺栽培容器の上部から滴下又は散水された循環養水が均一に苺栽培筒内の苺苗を潤し通過して底板から排水されることを特徴とする請求項1に記載の苺の水耕栽培方法。
【請求項3】
前記苺栽培容器が、外形を略長方形の升状に形成し、かつ、その底板全面に排水用孔又は排水用切欠きを有する箱を形成すると共に、前記苺苗の根部が内部の培地に植え付けられ、表面に開口部を有する単数又は複数の苺栽培筒を前記箱に略水平方向に着脱自在に挿入して配設したものであって、苺栽培容器の上部から滴下又は散水された循環養水が均一に苺栽培筒内の苺苗を潤し通過して底板から排水されることを特徴とする請求項1に記載の苺の水耕栽培方法。
【請求項4】
前記苺栽培筒の複数本が、前記苺栽培容器の断面方向に千鳥状又は升目状に、かつ、相互に略平行に配設したことを特徴とする請求項2又は3に記載の苺の水耕栽培方法。
【請求項5】
前記循環養水が、酸素マイクロバブルと酸素ナノバブルを含む養水であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の苺の水耕栽培方法。
【請求項6】
外形を略長方形の升状に形成した箱であって、その底板全面に排水用孔又は排水用切欠きを形成し、前記底板上に培地を形成すると共に、苺苗の根部を内部の培地に収納し、かつ、表面に複数の開口部を有する単数又は複数の苺栽培筒を正面側板上部から前記砂礫層内に略水平に着脱自在に延在して設けた苺栽培容器の複数個を機枠の受け桟を介して上下に複数段に配設すると共に、養水を最上段の前記苺栽培容器の最上部から滴下又は散水流入させて複数段の前記苺栽培容器を順次経由して最下段の前記苺栽培容器の最下部から流出させる循環養水供給装置を設けたものであって、前記苺栽培容器の各々が水平方向に引き出し可能に機枠の受け桟上に設けたことを特徴とする苺の水耕栽培装置。
【請求項7】
前記苺栽培筒の複数本が、前記苺栽培容器の断面方向に千鳥状又は升目状に、かつ、相互に略平行に配設したことを特徴とする請求項6に記載の苺の水耕栽培装置。
【請求項8】
前記苺栽培容器及び前記苺栽培筒が光透過性の合成樹脂製であることを特徴とする請求項6又は7に記載の苺の水耕栽培装置。
【請求項9】
前記機枠の受け桟から前記苺栽培容器の引き出し方向に水平の張り出し棚を設けたことを特徴とする請求項6又は7又は8に記載の苺の水耕栽培装置。
【請求項10】
前記複数段の苺栽培容器を左右に複数列配設したものを奥行き方向に一列又は二列に設置することを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の苺の水耕栽培装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−154512(P2008−154512A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347269(P2006−347269)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(500136810)株式会社 大通 (26)
【Fターム(参考)】