説明

荷重制御パワートランスミッション

本発明はウインチドラムに使用されるトランスミッションである。該トランスミッションは駆動軸、出力軸、油圧または空気圧システム、冷却システム、出力軸に同軸に取り付けられる歯車、および歯車にパワーを供給する電気モータを含む。駆動軸はウインチドラムを駆動するように適合され、一般に駆動軸から半径方向の外側に向かって伸びるクラッチディスクを含む。クラッチディスクは面を有する。出力軸は少なくとも駆動軸の1部分を同軸に囲み、一般に半径方向の内側に向かって伸びる摩擦面を含む。摩擦面はクラッチディスクの面と相対する面を有する。油圧または空気圧システムは面を接触させるように適合され、冷却システムは流体冷却剤により摩擦面から熱を除去するように適合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、米国特許仮出願第60/540,105号(2004年1月28日出願)、名称「Load Control Power Transmission」、および代理人整理番号第33872/US/2号によって米国特許商標庁において識別され得る米国特許出願(2005年1月20日出願)、名称「Load Control Power Transmission」、に対する優先権を主張し、これら出願の開示はその全体が本明細書において参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明はウインチに関する。より詳細には、本発明は海洋環境において起こる荷重条件のような、動的な荷重条件にさらされるウインチに使用される、トランスミッションに関する。
【背景技術】
【0003】
曳航/アンカーハンドリング用船舶は、ウインチを装備する。ワイヤロープを繰り出すまたは巻き込む、または定常的な荷重を保持するとき、ウインチおよびそのワイヤロープは船舶が遭遇する波の作用のために、荷重のサージ(surge)およびピークにしばしばさらされる。これらの荷重のサージおよびピークはワイヤロープが破損する原因となり得る。
【0004】
ウインチから繰り出されるワイヤロープの長さは、かなりの長さであり得る。かくして、通常のウインチの操作速度でのワイヤロープの繰り出しは、かなりの時間を要し得る。海洋環境における繰り出しおよび巻き込みの作業の間に、ウインチに対する荷重のサージおよびピークの影響を最小化するように適合される装置および方法に対する、当該分野におけるニーズが存在する。また、制御された状態の下で、ワイヤロープの高速度/馬力の動的な繰り出しを実施する能力に対する、当該分野におけるニーズが存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、一実施形態においては、ウインチドラムと共に使用されるトランスミッションである。トランスミッションは、ウインチドラムを駆動するように適合される駆動軸の上に同軸に取り付けられる、流体冷却クラッチを含む。
【0006】
本発明は、別の実施形態においては、ウインチドラムと共に使用されるトランスミッションである。トランスミッションは、駆動軸、出力軸、油圧または空気圧システム、冷却システム、出力軸上に同軸に取り付けられる歯車、および歯車にパワーを供給する電気モータを含む。駆動軸はウインチドラムを駆動するように適合され、駆動軸から一般に半径方向の外側に向かって伸びるクラッチディスクを含む。クラッチディスクは面(face)を有する。出力軸は駆動軸の少なくとも1部分を同軸に囲み、一般に半径方向の内側に向かって伸びる摩擦面を含む。摩擦面はクラッチディスクの面と相対する面を有する。油圧または空気圧システムが面を接触させるように適合され、冷却システムが流体の冷媒によって摩擦面から熱を除去するように適合される。
【0007】
本発明は、別の実施形態においては、ウインチドラムと共に使用されるトランスミッションである。トランスミッションは、駆動軸、出力軸、アクチュエーションシステム、および冷却システムを備える。駆動軸はウインチドラムを駆動するように適合され、第1のクラッチ面と動作可能に結合される。出力軸はモータによって駆動されるように適合され、第1のクラッチ面と相対する第2のクラッチ面と動作可能に結合される。アクチュエーションシステムは第1および第2の面を接触させるように適合される。冷却システムが流体冷却剤によって少なくとも1つの摩擦面から熱を除去するように適合される。
【0008】
本発明は、別の実施形態においては、駆動軸と、駆動軸の少なくとも1部分を同軸に囲む出力軸とを備える、ウインチドラムトランスミッションを制御するための方法である。駆動軸はウインチドラムを駆動するように適合され、出力軸は電気モータからパワーを駆動軸に油圧または空気圧クラッチを経由して伝達するように適合される。該方法は、ウインチ荷重の限度を設定することと、実際のウインチ荷重が設定されたウインチ荷重の限度を超えないときには、駆動軸と出力軸との間の相対的変位が生じないように、油圧または空気圧によりクラッチを働かせることと、実際のウインチ荷重が設定されたウインチ荷重の限度を超えるときには、軸の間の相対的変位を許容することと、軸の間の相対的変位の結果として発生する熱を除去するために、流体冷却剤をクラッチを通過して循環させることと、を含む。
【0009】
本発明は、別の実施形態においては、トランスミッションと結合されたウインチドラムからのワイヤロープの動的な繰り出しを実行するための方法である。トランスミッションは駆動軸および出力軸を備える。駆動軸はウインチドラムを駆動するように適合され、出力軸は駆動軸の少なくとも1部分を同軸に囲み、電気モータからのパワーを油圧または空気圧クラッチを経由して駆動軸に伝達するように適合される。電気モータは抵抗器バンク(resistor bank)のような電気的負荷と電気的に接続され、クラッチは冷却システムと流体を媒介として接続される。ワイヤロープの動的な繰り出しはエネルギを生成し、そのエネルギは消費される必要がある。一実施形態においては、該方法は電気的負荷容量の百分率に基づいて遷移点を設定することを含む。別の実施形態においては、該方法は所定の電気モータの速度に基づいて遷移点を設定することを含む。例えば、一実施形態においては、所定の電気モータの速度は電気モータの最大速度の百分率に基づき得る。該方法はさらに、遷移点を越えないときには、軸の間の相対的変位を防止するように油圧または空気圧によりクラッチを働かせ、それによって、一般的に言って全てのエネルギが電気的負荷を通じて消費されるようにすることと、遷移点を越えたときには、軸の間の相対的変位を許容するように油圧または空気圧によりクラッチをアクチュエートし、それによって、エネルギの少なくとも1部分が冷却システムを通じて消費され、エネルギの残りの部分が電気的負荷を通じて消費されるようにすることと、を含む。
【0010】
本発明は、別の実施形態においては、ウインチドラムからのワイヤロープの動的な繰り出しによって生成されるエネルギを消費するための方法である。該方法は、エネルギを消費することに対する責務が、一般的に言って主たるエネルギ消費システムの責務である状態から、主たるシステムと補助のエネルギ消費システムとの間で分担される状態への、遷移点を設定することと、遷移点を越えないときには、主たるシステムを通じてエネルギを消費することと、遷移点を越えたときには、主たるおよび補助のシステムを通じてエネルギを消費することと、を含む。一実施形態においては、主たるシステムは電気的負荷と電気的に結合される電気モータであり、補助のシステムは冷却システムと流体を媒介として結合される流体冷却クラッチである。別の実施形態においては、主たるシステムは油圧システムと流体を媒介として結合される油圧モータであり、補助のシステムは冷却システムと流体を媒介として結合される流体冷却クラッチである。
【0011】
複数の実施形態が開示されているが、本発明の例示的な実施形態を示し記載する以下の詳細な記載内容から、本発明のさらなる他の実施形態が、当業者に対して明らかとなる。了解されるように、本発明の精神および範囲から全て逸脱することなく、本発明は様々な明白な局面において変更が可能である。従って、図面および詳細な記載内容は本質的に例示のためのものであって、制限のためのものではないと見なされるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1Aおよび図1Bはそれぞれ、本発明のアンカーハンドリング/曳航ウインチシステム2を搭載する船舶1の右舷側面図および平面図である。図1Aおよび図1Bに示されるように、一実施形態においては、ウインチシステム2は船舶1の甲板3の上に取り付けられ、ウインチシステムのワイヤロープ4はウインチシステム2から船舶の船尾5の方向に送られる。別の実施形態においては、ウインチシステム2は船舶1の甲板3の上に取り付けられ、ワイヤロープ4は、船首6のような船舶1の他の部分への方向に送られる。
【0013】
図2は、左舷船尾の高位置から見た、アンカーハンドリング/曳航ウインチシステム2の等角図である。図2に見られるように、一実施形態においては、ウインチシステム2は左舷曳航ドラム10、右舷曳航ドラム11、アンカーハンドリングドラム15、および荷重制御パワートランスミッション20を含む。ドラム10、11、15はワイヤロープ4を巻き取る(carry)。
【0014】
荷重制御パワートランスミッション20は、ウインチシステムの様々な巻き込みおよび繰り出しの操作の間に、ドラム10、11、15を駆動および/または制動する。図2に示され、図3および図4に関して以下に説明されるように、一実施形態においては、荷重制御パワートランスミッション20は、モータおよびパワートレインの慣性の影響を除去するために、それぞれの駆動軸70a、70bの上に直に荷重制限クラッチ65a、65bを採用する。それぞれのクラッチの存在のために、軸70a、70bおよび関連するドラム10、11、15と動作可能に結合されるその関連するモータ45a、45bの速度は、繰り出しの間のドラムの速度に対して直接的に比例する必要はない。かくして、荷重制御パワートランスミッション20は正常な巻き込みおよび繰り出し操作に対してワイヤロープ4の完全な制御を可能とし、サージまたはピークの荷重状況の間にはワイヤロープ4の急速な繰り出しを可能とし、それによってロープ切断のリスクを減らす。
【0015】
一実施形態においては、クラッチ65a、65bはディスク形またはアキシャル形クラッチである。一実施形態においては、クラッチ65a、65bは内部拡張シューまたは外部収縮シューを有するリム形クラッチである。
【0016】
荷重制御パワートランスミッション20のより詳細な説明のために、同じく左舷船尾の高位置から見た、図2に示された荷重制御パワートランスミッション20の等角図である、図3がここで参照される。図3に示されるように、一実施形態においては、トランスミッション20は右舷パワーアセンブリ25、右舷駆動軸アセンブリ30、左舷パワーアセンブリ35、および左舷駆動軸アセンブリ40を含む。右舷パワーアセンブリ25は右舷駆動軸アセンブリ30と動作可能に結合される。同様に左舷パワーアセンブリ35は左舷駆動軸アセンブリ40と動作可能に結合される。
【0017】
図3に示されるように、一実施形態においては、パワーアセンブリ25、35はそれぞれ、電気モータ45a、45b、パワー軸50a、50b、ブレーキ55a、55b、第1の歯車減速装置60a、60b、および流体冷却マルチディスククラッチ65a、65bを含む。それぞれの電気モータ45a、45bはパワー軸50a、50bを駆動し、それは流体冷却クラッチ65a、65bと結合される第1の歯車減速装置60a、60bを動かす。それぞれの流体冷却クラッチ65a、65bは、係合されるときには、その対応する電気モータ45a、45bのパワーをその対応する駆動軸アセンブリ30、40に伝達する。後に本明細書の中で図4Aの説明においてより完全に説明されるように、クラッチ65a、65bがより弱く(less)係合されるほど、そのパワーアセンブリ25,35と対応する駆動軸アセンブリ30、40との間のスリップの量はより大きくなる。
【0018】
上述のとおり、発明の一実施形態はウインチドラム10、11、15を駆動するために電気モータ45a、45bを採用する。しかしながら、発明の他の実施形態においては、モータ45a、45bは油圧モータまたは内燃機関である。
【0019】
図3に示されるように、駆動軸アセンブリ30、40はそれぞれ、駆動軸支持ベアリング75によって支持される駆動軸70a、70bを含む。左舷駆動軸70aは左舷曳航ドラム駆動ピニオン80aを有し、右舷駆動軸は右舷曳航ドラム駆動ピニオン80bを有する。一実施形態においては、図3に示されるように、右舷駆動軸70bはアンカーハンドリングドラム駆動ピニオン80cを有する。別の実施形態においては、アンカーハンドリングドラム駆動ピニオン80cは左舷駆動軸70aの上に置かれる。図3に示されるように、それぞれのピニオン80a、80b、80cはジョークラッチ85a、85b、85cとペアを構成する。
【0020】
図2および図3から理解されるように、左舷曳航ドラム駆動ピニオン80aは左舷曳航ドラム10の上の駆動歯車と接し、それを駆動する。左舷曳航ドラム10が駆動されるときには、ジョークラッチ85aがピニオン80aと係合し、ピニオン80aをして左舷駆動軸70aと共に回転させ、それによって左舷曳航ドラム10を駆動する。クラッチ85aがピニオン80aから係合を解かれるときには、左舷駆動軸70aはピニオン80aの中で回転に対して自由であるので、左舷曳航ドラム10は駆動されない。
【0021】
図2および図3から理解されるように、右舷曳航ドラム駆動ピニオン80bは右舷曳航ドラム11の上の駆動歯車と接し、それを駆動する。右舷曳航ドラム11が駆動されるときには、ジョークラッチ85bがピニオン80bと係合し、ピニオン80bをして右舷駆動軸70bと共に回転させ、それによって右舷曳航ドラム11を駆動する。クラッチ85bがピニオン80bから係合を解かれるときには、右舷駆動軸70bはピニオン80bの中で回転に対して自由であるので、右舷曳航ドラム11は駆動されない。
【0022】
図2および図3からさらに理解されるように、アンカーハンドリングドラム駆動ピニオン80cはアンカーハンドリングドラム15の上の駆動歯車と接し、それを駆動する。アンカーハンドリングドラム15が駆動されるときには、ジョークラッチ85cがピニオン80cと係合し、ピニオン80cをして右舷駆動軸70bと共に回転させ、それによってアンカーハンドリングドラム15を駆動する。クラッチ85cがピニオン80cから係合を解かれるときには、右舷駆動軸70bはピニオン80cの中で回転に対して自由であるので、アンカーハンドリング曳航ドラム15は駆動されない。
【0023】
図3に示されるように、中央のジョークラッチ90は駆動軸70a、70bの相対する端の間に存在する。中央のジョークラッチ90が係合を解かれるときには、駆動軸70a、70bは相互に独立となり、異なる速度および異なる方向で回転する自由を有し、それぞれの駆動軸70a、70bはそれ自身のパワーアセンブリ25、35によって駆動される。かくして、例えば、中央のクラッチ90が係合を解かれるときには、左舷パワーアセンブリ35は左舷駆動軸70aをある方向に駆動して、左舷曳航ドラム10をしてそのワイヤロープ4を繰り出させ得、一方では右舷パワーアセンブリ25は右舷駆動軸70bを反対方向に駆動して、アンカーハンドリングドラムまたは右舷曳航ドラムをしてその対応するワイヤロープ4を巻き込ませ得る。
【0024】
図3に示されるように、中央のジョークラッチ90が係合されるときには、駆動軸70a、70bは本質的に1個の駆動軸となる。これは両方のパワーアセンブリ25、35のパワーが、ピニオン80a、80b、80cおよびその対応するドラム10、11、15の任意の1つ以上に同時に加えられることを可能とする。
【0025】
図3に示され、図3の切断線AAに沿い、左舷クラッチ65a、左舷歯車減速装置60a、および左舷駆動軸70aの外端を通る立断面図である図4Aに、より完全に示されるように、それぞれの駆動軸70a、70bの外側の端の部分は第1の歯車減速装置60a、60bを貫通し、クラッチ65a、65bの内部で終端となる。図4Aに示されるように、第1の歯車減速装置60aはハウジング100、駆動歯車105、減速装置出力軸110、減速装置出力軸110をハウジング100から離れて支持するための支持ベアリング115、および減速装置出力軸110を駆動軸70aから離れて支持するための支持ベアリング120を含む。
【0026】
図4Aに示されるように、駆動軸70aは、支持ベアリング75によって支持され、クラッチ65aが完全には係合しないときには、減速装置出力軸110の中において同軸に回転変位が可能である。減速装置出力軸110はハウジング100の中において回転変位が可能であり、支持ベアリング115、120によって支持される。駆動歯車105は減速装置出力軸110に同軸に取り付けられ、パワー軸50aを経由する電気モータ45aからのパワーを減速装置出力軸110に伝達する。後に本明細書においてより詳細に説明されるように、パワーは次いで減速装置出力軸110から駆動軸70aに、クラッチの係合の程度に応じて多かれ少なかれ伝達される。
【0027】
図4Aに示されるように、一実施形態においては、クラッチ65aはクラッチハウジング125、スイベルアセンブリ130、冷却剤入口135、冷却剤出口140、メインの油圧または空気圧制御圧力ライン145、冷却剤ライン150、およびブランチの油圧または空気圧制御圧力ライン190を含む。一実施形態において、それぞれのクラッチ65a、65bがディスク形またはアキシャル形クラッチである場合には、それぞれのクラッチ65a、65bはまたプレッシャープレート摩擦面155およびクラッチディスク160を含む。一実施形態において、クラッチガード165は、圧力ライン145および冷却剤入口135および出口140を除く、クラッチ65a、65bの上述した全てのコンポーネントを囲む。クラッチハウジング125は減速装置出力軸110に固定され、クラッチ65aが完全には係合されないときには、駆動軸70aに関して同軸に回転変位が可能である。スイベルアセンブリ130はクラッチハウジング125に固定される。
【0028】
図4Aに示されるように、クラッチハウジング125はプレッシャープレート摩擦面155を支持し、それは相互に平行であり、クラッチハウジング125から半径方向内側に伸び、クラッチハウジング125に固定される。クラッチディスク160は駆動軸70aの端の部分に取り付けられ、相互に平行であり、軸の外周から半径方向外側に伸びる。それぞれのクラッチディスク160はプレッシャープレート摩擦面155のペアの間にサンドイッチ状に挟まれる。プレッシャープレート摩擦面155が油圧または空気圧係合システム170によって油圧または空気圧でアクチュエートされるときには、それはクラッチディスク160と係合する。
【0029】
プレッシャープレート摩擦面155が完全にではなく係合するときには、駆動軸70aに加えられるトルクが摩擦面155とクラッチディスク160との間の摩擦力を超える場合には、クラッチディスク160は摩擦面155に対して相対的に回転変位し得る。駆動軸70aはそれ故に減速装置出力軸110に対して相対的に回転変位する。
【0030】
反対に、プレッシャープレート摩擦面155が完全に係合し、駆動軸70aに加えられるトルクが摩擦面155とクラッチディスク160との間の摩擦力を超えないときには、クラッチディスク160は摩擦面155に対する相対的な回転変位を阻止され、その結果として、駆動軸70aは減速装置出力軸110に対して相対的に回転変位しない。その結果、駆動軸70aおよび減速装置出力軸110は1個の軸のように共に回転する。
【0031】
図4Aに示されるように、冷却剤入口135および冷却剤出口140はスイベルアセンブリ130に接続され、冷却システム175からの冷却剤を冷却剤ライン150を経由してクラッチハウジング125を通過して循環させる。冷却剤は摩擦面155に生成される熱を吸収し除去する。一実施形態においては冷却剤は水である。他の実施形態においては、冷却剤は油、空気、または他の種類の流体である。
【0032】
図4Aに示されるように、油圧または空気圧制御圧力ライン145は、油圧または空気圧アクチュエーションシステム170から、クラッチハウジング125と結合されるスイベルアセンブリ130上の接続点に通じる。ブランチの油圧または空気圧ライン190は、メインの油圧または空気圧制御圧力ライン145と流体を媒介としてつながり、スイベルアセンブリ130からクラッチハウジング125に通じる。ブランチの油圧または空気圧ライン190は摩擦面155をアクチュエートする。磁気的、機械的またはその他のアクチュエーション方法に基づく、他のアクチュエーションシステムがまた使用され得る。
【0033】
図4Aは、駆動軸70aが減速装置出力軸110の中に同軸に置かれ、摩擦面155が半径方向の内側に向かって伸び、クラッチディスク160が半径方向の外側に向かって伸びる、発明の一実施形態を表しているが、発明の精神から逸脱することなく発明の他の構成が開発され得ることは、当業者は理解するところである。
【0034】
例えば、図4Aと類似の、代替案の実施形態に関する立断面図である図4Bに示されるように、左舷クラッチ65aおよび左舷歯車減速装置60aは入れ替わった位置にあり、駆動軸70aは減速装置出力軸110の中での同軸の配置にはない。さらに、クラッチディスク160は駆動軸70aから、または言わば駆動軸70aの延長部から半径方向の内側に向かって伸び、摩擦面155は減速装置出力軸110から、または言い換えれば出力軸110に取り付けられるクラッチハウジング125から半径方向の外側に向かって伸びる。
【0035】
図4Bに示されるように、冷却剤入口135、冷却剤出口140、およびメインの油圧または空気圧制御圧力ライン145は、出力軸110の端の上のスイベルアセンブリ130に接続する。ブランチの油圧または空気圧ライン190は、スイベルアセンブリ130から出力軸110を通過して摩擦面155に導く。冷却剤の供給および復帰のライン150は、冷却剤入口135および出口140から出力軸110を通過して摩擦面155に通じる。図4Aに示される実施形態と同様に、歯車減速装置60aは出力軸110を回転させ、それはクラッチの係合の程度に応じて、多かれ少なかれ駆動軸70aを回転させる。
【0036】
発明の別の実施形態を示すために、図4Aと類似の、代替案の実施形態に関する立断面図である図4Cがここで参照され、左舷クラッチ65aおよび左舷歯車減速装置60aは入れ替わった位置にあり、駆動軸70aは減速装置出力軸110の中での同軸の配置にはない。図4Cに示されるように、クラッチディスク160は駆動軸70aから半径方向の外側に向かって伸び、摩擦面155は、出力軸110の端に取り付けられたクラッチハウジング125から半径方向内側に向かって伸びる。
【0037】
図4Cに示されるように、冷却剤入口135、冷却剤出口140、およびメインの油圧または空気圧制御圧力ライン145は、出力軸110の端のスイベルアセンブリ130に接続する。ブランチの油圧または空気圧ライン190は、スイベルアセンブリ130から出力軸110を通過して摩擦面155に導く。冷却剤の供給および復帰のライン150は、冷却剤入口135および出口140から出力軸110を通過して摩擦面155に通じる。図4Aに示された実施形態と同様に、歯車減速装置60aは出力軸110を回転させ、それはクラッチの係合の程度に応じて、多かれ少なかれ駆動軸70aを回転させる。
【0038】
本発明のウインチシステム2の別の実施形態を示す目的で、ウインチシステム2の代替案の実施形態の概略平面図である図3Aが、ここで参照される。図3Aに示されるように、パワー軸50はモータ45とギヤボックス60との間にある。ブレーキ55がパワー軸50に沿って配置される。第1の軸70はギヤボックス60とクラッチ65との間にある。
【0039】
図3Aの切断線BBに沿った、クラッチ65およびクラッチ65の内部に入り込んでいる第1の軸70の外側の端部を含む、立断面図である図4Dに示されるように、第1の軸70は第2の軸110および第2の軸110上に取り付けられる第1の歯車105によって同軸に囲まれている。一実施形態においては、クラッチハウジング125は第2の軸110から半径方向に向かって伸びる。プレッシャープレート摩擦面155はクラッチハウジング125に取り付けられ、第1の軸70から半径方向に向かって伸びるクラッチディスク160と係合するように構成される。
【0040】
図3Aから理解されるように、第1の歯車105は第2の歯車106を駆動し、それは第3の軸111の上に取り付けられている。第4の歯車113は第3の軸111の上に同軸に回転可能(pivotally)に取り付けられ、ウインチドラム10の上のドラム歯車114と係合する位置関係にある。第4の歯車113は、この詳細な説明の中で以前に記載されたように、ジョークラッチ85の配置を通じて第3の軸111と係合される。第4の歯車113が第3の軸111と係合されるときには、それはドラム歯車114を駆動し、その結果として、ウインチドラム10を駆動する。
【0041】
荷重制御パワートランスミッション20およびそのコンポーネントの機能を説明するために、ここで図3、図4A,および図5が参照される。図5はトランスミッション20の機能を示すフロー図である。操作においては、ウインチのオペレータはオペレータの制御パネル180にてウインチ荷重の限度を設定する(ブロック500)。言い換えれば、オペレータは、ワイヤロープ4の荷重によってクラッチ65a、65bに加えられるトルクが摩擦面155とクラッチディスク160との間の摩擦力を超えない場合には、クラッチディスク160は摩擦面155に対して相対的に回転変位しないように、クラッチ65a、65bを設定する。一実施形態においては、ウインチ荷重の限度は、ウインチまたはウインチのコンポーネントの構造的な荷重限度(例えば、ワイヤロープの構造的な荷重限度)の百分率に基づく。
【0042】
オペレータは次いで、ウインチに繰り出しまたは巻き込みの操作を実施させ、またはウインチに荷重を適切な値に保持させる。ワイヤロープ4の実際の荷重が設定された荷重の限度を超えない場合には(ブロック510)、クラッチディスク160と摩擦面155との間の相対的な動きは存在しない(ブロック520)。その結果として、駆動軸70a、70bと減速器出力軸110との間の相対的な動きは存在せず、これらの軸は1個の軸として働く(ブロック520)。
【0043】
ワイヤロープの実際の荷重が設定された荷重の限度を超える場合には(ブロック510)、クラッチディスク160と摩擦面155との間の相対的な動きが存在し、なぜならばクラッチディスク160はスリップする(ブロック530)からである。その結果、駆動軸70a、70bと減速器出力軸110との間に相対的な運動が存在する(ブロック520)。この状況は、例えば、繰り出しまたは巻き込みの進行中に大波が船舶1を押し上げて、突如としてワイヤロープの弛みを減らしワイヤロープの荷重をピークにするときに起こり得る。ワイヤロープの実際の荷重が設定された荷重限度よりも下に戻る(ブロック510)(例えば、船舶1が波を乗り越えてワイヤロープの弛みが増加する)ときには、摩擦面155はクラッチディスク160と再ロックし、駆動軸70a、70bと減速軸110との間の相対的な動きは止まる(すなわち、これらの軸は再び1個の軸として働く)(ブロック520)。
【0044】
荷重制御パワートランスミッション20は、動的な繰り出しプロセスの間に生成されるエネルギを消費するための2つのモードを提供することによって、動的な、高速度/高馬力でのワイヤロープ繰り出しを助長する。第1のモードにおいては、動的な繰り出しの間に、荷重制御パワートランスミッション20はモータ45a、45bによってエネルギを生成し、該エネルギはモータ45a,45bと接続されるエネルギ消費システム185において消費される。例えば、一実施形態においては、エネルギは電気モータ45a、45bにおいて生成され、該エネルギは抵抗器バンク185のような、電気モータ45a、45bと電気的に接続された電気的負荷において消費される。第2のモードにおいては、動的な繰り出しの間に、荷重制御パワートランスミッション20は電気モータ45a、45bとクラッチ65a、65bとの両方によってエネルギを生成し、該エネルギはモータ45a、45bと結合される抵抗器バンク185およびクラッチ65a、65bと結合される冷却システム180によって消費される。
【0045】
上記説明されたとおり、第1のモードの一実施形態においては、動的な繰り出しエネルギは電気モータ45a、45bと結合される電気的負荷(例えば、抵抗器バンク185)において消費され得る。しかしながら、第1のモードの別の実施形態においては、電気モータ45a、45bおよび電気的負荷185は油圧システムと結合された油圧モータで置き換えられ、動的な繰り出しエネルギは油圧システムによって消費される。何れの場合にも、第2のモードにおいては、第1のモードのエネルギ生成/消費方法(すなわち、電気モータ/電気的負荷の組み合わせ、または油圧モータ/油圧システムの組み合わせ)が、冷却システム180と結合される流体冷却クラッチ65a、65bのエネルギ生成/消費能力と組み合わされる。
【0046】
図6は、動的な繰り出しプロセスを示すフロー図である。操作においては、ウインチのオペレータはオペレータの制御パネル180を使用して、荷重制御パワートランスミッション20が第1のモードから第2のモードにシフトする遷移点をセットする(ブロック600)。言い換えると、遷移点は、エネルギ生成/消費の責務が、一般的に言えば、主たるエネルギ生成/消費システム(すなわち、電気モータ/抵抗器バンクの組み合わせ)の責務である状態から、主たるエネルギ生成/消費システムと補助のエネルギ生成/消費システム(すなわち、クラッチ/冷却システムの組み合わせ)との間で分担される状態へとシフトするときを決定する。
【0047】
一実施形態においては、遷移点は抵抗器バンクの容量の百分率に基づき得る。例えば、一実施形態においては、設定は抵抗器バンクの最大消費容量の66%である。
【0048】
一実施形態においては、遷移点は所定の電気モータの速度、ウインチドラムの速度、および/またはモータによって認知されるトルクに基づき得る。例えば、一実施形態においては、所定の電気モータの速度および/またはトルクは、最大繰り出しモータ速度および/またはトルクの百分率に基づき得る。
【0049】
遷移点が設定される(ブロック600)と、オペレータはウインチに動的な繰り出し操作を実施させる。電気モータ45a、45bによって生成されるパワーが設定(例えば、抵抗器バンクの最大消費容量の66%、または所定の繰り出しモータ速度)を超えない場合には(ブロック610)、電気モータ45a、45bは動的な繰り出し力を自分自身によって処理し続け(すなわち、電気モータ/抵抗器バンクの組み合わせは、一般的に言って、全ての動的な繰り出しエネルギの生成および消費に対する責務を負う)、クラッチディスク160と摩擦面155との間の相対的な運動は存在しない(ブロック620)。その結果として、駆動軸70a、70bと減速器出力軸110との間に相対的な運動は存在せず、これらの軸は1個の軸として働く(ブロック620)。かくして、荷重制御パワートランスミッション20が動的な繰り出しの間、第1のモードで作動するときには、ウインチドラムの速度はモータ45a、45bおよび関連する電気的負荷(例えば、抵抗器バンク185)の制動効果によって制御される。
【0050】
電気モータ45a、45bによって再生されるパワーが設定(例えば、抵抗器バンクの最大再生消費容量の66%、または所定の繰り出しモータ速度および/またはトルク)を超える場合(ブロック610)には、荷重制御パワートランスミッション20は第2のモードへと移行し、抵抗器バンク容量またはモータ速度および/またはトルクの百分率の過剰部分は、流体冷却クラッチ65a、65bによって対応される(ブロック630)。詳細には、クラッチディスク160はスリップを開始し、クラッチディスク160と摩擦面155との間の相対的な動きを許容する(ブロック630)。その結果として、駆動軸70a、70bと減速器出力軸110との間に相対的な動きが存在し、それは、一実施形態においては、モータ45a、45bの速度を低下させ、抵抗器バンク185に送られるパワーを削減する(ブロック630)。別の実施形態においては、駆動軸70a、70bと出力軸110との間の相対的な動きは、少なくともモータ速度および/または抵抗器バンクに送られるパワーがさらに増加することを防ぐ。
【0051】
スリップするクラッチディスク160によって生成される熱は冷却システム175によって除去される(ブロック630)。かくして、荷重制御パワートランスミッション20が動的な繰り出しの間、第2のモードで作動するときには、ウインチドラムの速度はモータ45a、45bおよび関連する電気的負荷(例えば、抵抗器バンク185)、および流体冷却クラッチ65a、65bのスリップするディスク160の制動効果によって制御される。また第2のモードにおいて、軸70と110との間の相対的な動きは、電気モータ45a、45bが速度を低下することを許され、または少なくともモータの速度および/またはトルクが増加し続けなくなっても、繰り出し速度が維持されることを可能とする。
【0052】
動的な繰り出しプロセスの間に消費されるパワーが設定を超えないレベルにまで低下するとき(ブロック610)には、摩擦面155はクラッチディスク160と完全に係合し、クラッチ65a、65bのこれらの局面の間の相対的な動きを止める(ブロック620)。同時に、電気モータ45a、45bは必要な場合には、繰り出し速度に適合するように速度を増し、抵抗器バンク185は再び、一般的に言えば、動的な繰り出しによって生成されるパワーを全て消費することに対する責務を負うようになる(ブロック620)。
【0053】
一実施形態において、電気モータ45a、45bによって生成され抵抗器バンク185に送られる動的繰り出しのパワーは、当該分野において公知のパワーセンサ手段によって監視される。パワーが増加するにつれて、追加の抵抗器がオンラインに組み込まれる(すなわち、電気的な負荷が段階的に増加する)。遷移点(すなわち、電気的負荷の容量の百分率)が到達されたならば、クラッチ65a、65bは徐々に解放され、駆動軸70a、70bと出力軸110との間の相対的な回転変位は徐々に増加する。動的な繰り出しプロセスが続く間は、電気的負荷185に送られるパワーは連続的に監視され、クラッチはそれに応じて調整される。
【0054】
一実施形態において、システムが第2のモードで作動する間に、電気的負荷へのパワーが減少を始める場合には、パワーセンサはこれを、動的な繰り出しのパワー全体が減少しつつあることの徴候として確定する。その結果として、クラッチ65a,65bは、駆動軸と出力軸との間の回転変位を徐々に減らすようにアクチュエートされる。動的な繰り出しのパワー全体が遷移点を超えない点にまで減少したことを、監視システムが確定する場合には、システムが完全に第1のモードで作動するまで、システムは、電気モータによって感知されるトルクを徐々に増すようにクラッチを徐々にアクチュエートすることによって第1のモードへの移行を開始する。
【0055】
上記説明のとおり、一実施形態においては、動的な繰り出しプロセスの間に生成されるエネルギが、最大のモータ速度または電気的負荷容量の設定された百分率を越えるときには、クラッチ65a、65bはスリップを開始し、冷却システム175は必要なエネルギ消費の少なくとも1部分に対する責務を引き受け始める。言い換えれば、エネルギ消費の責務は、一言で言えば、電気モータ45a、45bおよびその関連する電気的負荷185の責務である状態から、クラッチ65a、65bおよび冷却システム175により少なくとも部分的に分担される状態に移行する。
【0056】
しかしながら、責務および順序付けは、逆となり得る。例えば、エネルギ消費の責務は、一言で言えば、最初にクラッチ65a、65bおよび冷却システム175の責務であることも可能である。クラッチに関連する設定された点(例えば、最大クラッチ速度のある百分率、または冷却システムの最大冷却能力のある百分率)が超過されるときに、電気モータ45a、45bおよびその関連する電気的負荷185は、エネルギ消費に対する少なくとも部分的な責務を引き受け始める。
【0057】
非常停止またはドラムのオーバースピード状態の事象においては、流体冷却クラッチ65a、65bが、ドラムのブレーキおよび電気モータのブレーキ55a、55bと共に、制御された順序で完全に適用される。これはウインチに対する最大の停止パワーを提供する。
【0058】
本発明が好適な実施形態を参照して記載されているが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形式および詳細において変更がなされ得ることは、当業者の理解するところである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1A】アンカーハンドリング/曳航ウインチシステムを搭載する船舶の右舷側面図である。
【図1B】図1Aに示された船舶の平面図である。
【図2】左舷船尾の高位置から見た、アンカーハンドリング/曳航ウインチシステムの等角図である。
【図3】左舷船尾の高位置から見た、荷重制御パワートランスミッションの等角図である。
【図3A】ウインチシステムの代替案の実施形態の概略平面図である。
【図4A】図3の切断線AAに沿い、かつ左舷クラッチ、左舷歯車減速装置、および左舷駆動軸の外側の端を通る立断面図である。
【図4B】代替案の実施形態に関する、図4Aと同様の立断面図である。
【図4C】代替案の実施形態に関する、図4Aと同様の立断面図である。
【図4D】図3Aの切断線BBに沿い、かつクラッチおよび第1の軸の外側の端を通る立断面図である。
【図5】荷重制御パワートランスミッションの機能を示す、フロー図である。
【図6】荷重制御パワートランスミッションを採用する動的な繰り出しプロセスを示す、フロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源をウインチドラムと結合するためのトランスミッションであって、該トランスミッションは、
該ウインチドラムを駆動するように適合され第1のクラッチ部分を備える第1の軸と、
該動力源と結合され第2のクラッチ部分を備える第2の軸と、
該第1および第2のクラッチ部分を係合させるように適合される係合システムと、
該クラッチ部分が係合されているときに、該クラッチ部分の少なくとも一つから流体冷却剤を介して熱を除去するように適合される冷却システムと、
を備える、トランスミッション。
【請求項2】
前記第1のクラッチ部分は、一般に半径方向の外側に向かって伸びる摩擦面を備え、
前記第2のクラッチ部分は、該半径方向の外側に向かって伸びる摩擦面と相対する、一般に半径方向の内側に向かって伸びる摩擦面を備え、
前記係合システムは該摩擦面を接触させるように適合される、
請求項1に記載のトランスミッション。
【請求項3】
前記第1のクラッチ部分はクラッチディスクであり、前記第2のクラッチ部分はプレッシャープレートであり、前記係合システムは該プレッシャープレートの前記摩擦面を該クラッチディスクの前記摩擦面と係合させる、請求項2に記載のトランスミッション。
【請求項4】
前記冷却システムは前記第2のクラッチ部分と流体を媒介として結合される、請求項3に記載のトランスミッション。
【請求項5】
前記第1のクラッチ部分は、一般に半径方向の内側に向かって伸びる摩擦面を備え、
前記第2のクラッチ部分は、該半径方向の内側に向かって伸びる摩擦面と相対する、一般に半径方向の外側に向かって伸びる摩擦面を備え、
前記係合システムは該摩擦面を接触させるように適合される、
請求項1に記載のトランスミッション。
【請求項6】
前記第1のクラッチ部分はクラッチディスクであり、前記第2のクラッチ部分はプレッシャープレートであり、前記係合システムは該プレッシャープレートの前記摩擦面を該クラッチディスクの前記摩擦面と係合させる、請求項5に記載のトランスミッション。
【請求項7】
前記冷却システムは前記第2のクラッチ部分と流体を媒介として結合される、請求項6に記載のトランスミッション。
【請求項8】
前記第2の軸の一部分は、前記第1の軸の一部分を同軸に囲む、請求項1に記載のトランスミッション。
【請求項9】
前記第1の軸の一部分は、前記第2の軸の一部分を同軸に囲む、請求項1に記載のトランスミッション。
【請求項10】
前記係合システムは、油圧または空気圧によりアクチュエートされる、請求項1に記載のトランスミッション。
【請求項11】
海洋環境に対して適合されるウインチをさらに備え、前記ウインチドラムが該ウインチの部分である、請求項1に記載のトランスミッション。
【請求項12】
前記ウインチは曳航/アンカーハンドリング用船舶における使用に対して適合される、請求項11に記載のトランスミッション。
【請求項13】
前記動力源は電気モータである、請求項1に記載のトランスミッション。
【請求項14】
前記電気モータは、ウインチ操作の間のウインチの動的な制動のために使用される抵抗器のバンクと電気的に結合される、請求項13に記載のトランスミッション。
【請求項15】
繰り出しウインチ操作の間に、選択された遷移点が動的な繰り出しのために超過されるときには、前記クラッチ部分が相互にスリップすることができるように構成される制御システムをさらに備える、請求項14に記載のトランスミッション。
【請求項16】
前記遷移点は前記抵抗器バンクの容量の百分率に基づく、請求項15に記載のトランスミッション。
【請求項17】
前記遷移点は電気モータの最大繰り出し速度の百分率に基づく、請求項15に記載のトランスミッション。
【請求項18】
ウインチ操作の間に、ウインチ荷重が選択された限度を超えるときには、前記クラッチ部分が相互にスリップすることができるように構成される制御システムをさらに備える、請求項1に記載のトランスミッション。
【請求項19】
前記選択された限度は、前記ウインチのコンポーネントまたは前記ウインチ自身の荷重限度の百分率に基づく、請求項18に記載のトランスミッション。
【請求項20】
前記第1および第2のクラッチ部分は、ディスク形またはアキシャル形クラッチを形成する、請求項1に記載のトランスミッション。
【請求項21】
前記第1および第2のクラッチ部分は、内部拡張シューまたは外部収縮シューを有するリム形クラッチを形成する、請求項1に記載のトランスミッション。
【請求項22】
前記動力源は油圧モータである、請求項1の記載のトランスミッション。
【請求項23】
前記油圧モータは、ウインチ操作の間のウインチの動的な制動のように適合される油圧システムと結合される、請求項22に記載のトランスミッション。
【請求項24】
繰り出しウインチ操作の間に、選択された遷移点が動的な繰り出しのために超過されるときには、前記クラッチ部分が相互にスリップすることができるように構成される制御システムをさらに備える、請求項23に記載のトランスミッション。
【請求項25】
前記遷移点は前記油圧システムのエネルギ消費能力の百分率に基づく、請求項24に記載のトランスミッション。
【請求項26】
前記遷移点は油圧モータの最大繰り出し速度の百分率に基づく、請求項24に記載のトランスミッション。
【請求項27】
動力源と、
ウインチドラムと、
該動力源と該ウインチドラムとの間のクラッチアセンブリと、
ウインチ操作の間にウインチ荷重が第1の選択された限度を超えるときには、該クラッチアセンブリがスリップするように構成される制御システムと、
を備える、ウインチ。
【請求項28】
前記第1の選択された限度は、前記ウインチのコンポーネントまたは前記ウインチ自身の荷重限度の百分率に基づく、請求項27に記載のウインチ。
【請求項29】
流体冷却剤を介して前記クラッチアセンブリから熱を除去するように適合される冷却システムをさらに備える、請求項27に記載のウインチ。
【請求項30】
前記動力源は電気モータである、請求項29に記載のウインチ。
【請求項31】
前記電気モータは、ウインチ操作の間の前記ウインチの動的な制動のために使用される抵抗器のバンクと電気的に結合される、請求項30に記載のウインチ。
【請求項32】
前記制御システムは、繰り出しウインチ操作の間に、選択された遷移点が動的な繰り出しのために超過されるときには、前記クラッチアセンブリがスリップすることができるように構成される、請求項31に記載のウインチ。
【請求項33】
前記遷移点は前記抵抗器バンクの容量の百分率に基づく、請求項32に記載のウインチ。
【請求項34】
前記遷移点はモータの最大繰り出し速度の百分率に基づく、請求項32に記載のウインチ。
【請求項35】
繰り出しウインチ操作の間に前記クラッチがスリップすることができるときには、このような操作の間に生成されるエネルギが前記冷却システムおよび前記抵抗器のバンクの両方によって消費される、請求項32に記載のウインチ。
【請求項36】
電気モータと、
ウインチドラムと、
該電気モータと該ウインチドラムとの間のクラッチアセンブリと、
流体冷却剤を介して該クラッチアセンブリから熱を除去するように適合される冷却システムと、
該電気モータと電気的に結合され、ウインチ操作の間のウインチの動的な制動のために使用される、抵抗器のバンクと、
繰り出しウインチ操作の間に、選択された遷移点が動的な繰り出しのために超過されるときには、該クラッチアセンブリがスリップできるように構成される制御システムと、
を備える、ウインチ。
【請求項37】
前記遷移点は前記抵抗器バンクの容量の百分率に基づく、請求項36に記載のウインチ。
【請求項38】
前記遷移点はモータの最大繰り出し速度の百分率に基づく、請求項36に記載のウインチ。
【請求項39】
繰り出しウインチ操作の間に前記クラッチがスリップすることができるときには、このような操作の間に生成されるエネルギが前記冷却システムおよび前記抵抗器のバンクの両方によって消費される、請求項36に記載のウインチ。
【請求項40】
第1の軸および第2の軸を備えるウインチドラムトランスミッションを制御する方法であって、該第1の軸はウインチドラムを駆動するように適合され、該第2の軸はモータからのパワーをクラッチを経由して該第1の軸に伝達するように適合され、
該方法は、
ウインチ荷重の限度を設定することと、
実際のウインチ荷重が該設定されたウインチ荷重の限度を超えないときには、該クラッチをして該軸の間の相対的な変位が生じないように働かせることと、
該実際のウインチ荷重が該設定されたウインチ荷重の限度を超えるときには、該軸の間の相対的な変位を許容することと、
該軸の間の該相対的な変位の結果として生じる熱を除去するために、流体冷却剤をクラッチを通過して循環させることと、
を包含する、方法。
【請求項41】
第1の軸および第2の軸を備えるトランスミッションと結合されるウインチドラムによりワイヤロープの動的な繰り出しを実施する方法であって、該第1の軸は該ウインチドラムを駆動するように適合され、該第2の軸はモータからのパワーをクラッチを経由して該第1の軸に伝達するように適合され、該モータはエネルギ消費コンポーネントと接続され、該クラッチは流体を媒介として冷却システムと接続され、該ワイヤロープの動的な繰り出しはエネルギを生成し、
該方法は、
所定のモータ速度または該エネルギ消費コンポーネントのエネルギ消費能力の百分率に基づいて、遷移点を設定することと、
該遷移点が超過されないときには、該クラッチをして該軸の間の相対的な変位が生じないように働かせることと、それによって、生成される全エネルギが概ね該エネルギ消費コンポーネントを通じて消費されることと、
該遷移点が超過されるときには、該軸の間の相対的な変位を許容するように該クラッチをアクチュエートすることと、それによって、該生成されるエネルギの少なくとも一部分が該冷却システムを通じて消費され、該生成されるエネルギの残りの部分が概ね該エネルギ消費コンポーネントを通じて消費されることと、
を包含する、方法。
【請求項42】
前記モータは電気モータであり、前記エネルギ消費コンポーネントは該電気モータと電気的に接続される抵抗器のバンクである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記モータは油圧モータであり、前記エネルギ消費コンポーネントは油圧システムである、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記クラッチは、油圧によりまたは空気圧により操作される、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
ウインチドラムからのワイヤロープの動的な繰り出しによって生成されるエネルギを消費する方法であって、該方法は、
該エネルギを消費するための責務が、概ね主たるエネルギ消費システムの責務である状態から、該主たるシステムと補助のエネルギ消費システムとの間で分担される状態に移行する、遷移点を設定することと、
該遷移点が超過されないときには、該主たるシステムを通じて該エネルギを消費することと、
該遷移点が超過されるときには、該主たるシステムおよび補助のシステムを通じて該エネルギを消費することと、
を包含する、方法。
【請求項46】
前記主たるシステムは、電気的負荷と電気的に結合される電気モータであり、前記補助のシステムは、流体を媒介として冷却システムと結合される流体冷却クラッチである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記主たるシステムは、油圧システムと流体を媒介として結合される油圧モータであり、前記補助のシステムは、流体を媒介として冷却システムと結合される流体冷却クラッチである、請求項45に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−526972(P2007−526972A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551377(P2006−551377)
【出願日】平成17年1月24日(2005.1.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/002220
【国際公開番号】WO2005/072309
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(506257939)ハイドラリフト アムクライド, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】