説明

荷電粒子線装置

【課題】荷電粒子線の偏向量を抑えて観察像の像質を向上させることができる荷電粒子線装置及びその観察位置合わせ方法を提供する。
【解決手段】ベース40上を水平移動可能な粗動機構と、粗動機構上を水平移動可能な微動機構と、微動機構上に設けたトップテーブル43と、ビーム偏向量に対して観察像の要求画質に応じて設定された許容範囲を記憶した記憶部73Bと、撮像対象が観察領域に入るように粗動機構を制御する粗動機構制御部72Aと、撮像対象を含む低倍率の観察像の中心と撮像対象との座標ずれ量を算出するずれ量算出部73Dと、座標ずれ量が許容範囲内か否かを判断する判断部73Eと、座標ずれ量が小さくなるように微動機構を制御する微動機構制御部72Bと、座標ずれ量が許容範囲内の場合に座標ずれ量だけビーム偏向量を補正する偏向補正制御部70Aとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体ウエハ等を観察する電子顕微鏡等の荷電粒子線装置及びその観察位置合わせ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体製品は益々高集積化してきており、品質管理、歩留まり向上等を目的に、回路パターンが形成される半導体ウエハ等の試料の検査に様々な手段が用いられている。例えば、荷電粒子線を照射し回路パターンの寸法精度を測定する走査型電子顕微鏡(以下、測長SEMと呼ぶ)、同じく荷電粒子線を照射し回路パターンの欠陥や付着異物を評価する走査型電子顕微鏡(以下、レビューSEMと呼ぶ)等が挙げられる。
【0003】
一般的にレビューSEMや測長SEM等のSEM式検査装置では、撮像倍率が高く画角が狭いため、試料ステージの位置決め誤差(移動誤差)、欠陥や異物の座標情報誤差を考慮すると最初から所望の倍率(撮像範囲)で撮像することが難しい。例えば撮像対象が50nmの異物であった場合、その状態を把握することができる撮像範囲として500nmを選択すると、上記の位置決め誤差と座標情報誤差の合計が500nm以下でなければ撮像対象が撮像範囲内に入らない。しかし、撮像対象の座標情報を作成する光学式検査装置の座標精度は数μm程度に及ぶことがあるため、SEM式検査装置で最初に撮像するときの倍率は撮像対象の状態が把握できる所望の倍率に対して下げる必要がある。従って、SEM式検査装置に試料を渡したら、始めに広い撮像範囲で撮像し画像処理によって撮像対象を抽出し、抽出された撮像対象と撮像中心の座標ずれ量だけ荷電粒子線(以下ビームと呼ぶ)の偏向量を補正することで高倍率の撮像範囲の位置を合わせていた。
【0004】
しかし、ビームを偏向させるとビームが電子レンズの光軸から外れてしまうため、ビーム偏向量が大きいほど、歪みや収差、フォーカスぼけ、分解能劣化等の様々な弊害が生じ易くなる。それに対し、ビーム偏向量に応じた補正手段を講じて像質劣化を低減する手段が提案されている(特許文献1等参照)
【特許文献1】特公昭58−5954公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
撮像対象となる異物、欠陥、或いはパターンが微細になるほど撮像倍率を向上させる必要があるが、光学検査装置の座標誤差をカバーするだけのビーム偏向範囲を保ちつつ高倍率での像質劣化を抑えることは難しい。電子光学系の補正を行っても補正しきれず、ビームを大きく偏向させた場合には歪みや分解能劣化が顕著となる。
【0006】
一方、ビームの偏向量をできるだけ小さくするには撮像対象の座標精度を向上させる必要があるが、現状では光学検査装置による座標情報の誤差はSEMの撮像倍率に対して十分小さいとは言えない。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、荷電粒子線の偏向量を抑えて観察像の像質を向上させることができる荷電粒子線装置及びその観察位置合わせ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の本発明は、ベースと、前記ベース上を少なくとも水平面に沿って移動可能な粗動機構と、前記粗動機構上を少なくとも水平面に沿って移動可能な微動機構と、前記微動機構上に設けた試料ステージと、前記試料ステージの位置を計測する測長器と、荷電粒子線を出射する荷電粒子銃と、前記荷電粒子銃からの荷電粒子線を偏向させる偏向器と、前記試料ステージ上の試料からの放出粒子を検出する粒子検出器と、前記粒子検出器の信号を基に観察像を生成する画像生成部と、前記偏向器によるビーム偏向量に対して観察像の要求画質に応じて設定された許容範囲を記憶した記憶部と、前記試料ステージ上の試料内の撮像対象が観察領域に入るように前記測長器の信号を基に前記粗動機構を制御する粗動機構制御部と、前記撮像対象を含む低倍率の観察像の中心と撮像対象との座標ずれ量を算出するずれ量算出部と、前記座標ずれ量が前記許容範囲内か否かを判断する判断部と、前記座標ずれ量が小さくなるように前記測長器の信号を基に前記微動機構を制御する微動機構制御部と、前記座標ずれ量が前記許容範囲内と判定された場合に、前記偏向器を制御して前記座標ずれ量だけビーム偏向量を補正する偏向補正制御部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記撮像対象のサイズ情報に応じて前記許容範囲が変化することを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、第1の発明において、前記粗動機構の制動手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
第4の発明は、第1の発明において、前記微動機構は、前記試料ステージを弾性的に支持する弾性ヒンジと、前記弾性ヒンジに対して水平面に沿った方向に歪を与える駆動装置とを備えていることを特徴とする。
【0012】
第5の発明は、第4の発明において、前駆駆動装置は圧電素子であることを特徴とする。
【0013】
第6の発明は、第1の発明において、前記微動機構のストロークは最大撮領域の幅寸法以上であることを特徴とする。
【0014】
第7の発明は、試料内の撮像対象が観察領域に入るように試料ステージを粗動制御する手順と、前記撮像対象を含む低倍率の観察像の中心と撮像対象との座標ずれ量を算出する手順と、前記座標ずれ量がビーム偏向量に対して観察像の要求画質に応じて設定された許容範囲内か否かを判断する手順と、前記座標ずれ量が前記許容範囲より大きい場合、前記座標ずれ量が小さくなるように前記試料ステージを微動制御する手順と、前記座標ずれ量が前記許容範囲内の場合、当該座標ずれ量だけビーム偏向量を補正する手順とを有することを特徴とする。
【0015】
第8の発明は、第7の発明において、前記撮像対象のサイズ情報に応じて前記許容範囲を変更する手順を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、荷電粒子線の偏向量を抑えて観察像の像質を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
本発明は、例えば、荷電粒子線を照射し回路パターンの寸法精度を測定する走査型電子顕微鏡(測長SEM)、同じく荷電粒子線を照射し回路パターンの欠陥や付着異物を評価する走査型電子顕微鏡(レビューSEM)等を含むSEM式検査装置、イオンビームを試料に照射して試料を加工したりSIM像を取得したりする集束イオンビーム装置(FIB装置)、SEMカラムとFIBカラムを有しSEM像の取得と試料の加工を行うことができるFIB−SEM装置等の種々の荷電粒子線装置に適用可能である。ここでは、本発明をレビューSEMに適用した場合を例に挙げて説明する。
【0019】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る荷電粒子線装置の全体構成を表す概念図である。
【0020】
図1に示した荷電粒子線装置は、試料10を搭載するステージ21(後述)を収容する試料室2と、電子線(荷電粒子線)12を出射するビームカラム1と、試料室2に対して試料10を搬入・搬出するためのロードロック室3と、ビームカラム1を制御するカラム制御部70と、ステージ21の位置を監視する位置制御部71と、ステージ21を制御するステージ制御部72と、SEM像を生成する画像制御部73と、SEM像等を表示するモニタ74とを備えている。
【0021】
試料室2は、床面に接地する架台6上に床振動を除去する除振用のマウント4を介して支持されており、上部には上記ビームカラム1が、側部には上記ロードロック室3が取り付けられている。この試料室2は真空ポンプ5によって常時真空排気されており、ビームカラム1内も図示しない真空ポンプによって高真空度に保たれている。また、試料室2には、ステージ21の高さ位置を検出する光学式のZセンサ25と、ステージ21のトップテーブル43(後述)のXY座標(水平座標)すなわち試料10のXY座標を計測(レーザ測長)する干渉計(測長器)23とを備えている。
【0022】
ビームカラム1は、ステージ21の鉛直上方に位置し電子線12を出射する電子銃11、電子銃11から出射された電子線12を集束させる電子レンズ13,16、電子線12を偏向させる偏向器14と、ステージ21上の試料10からの放出粒子(二次電子、反射電子等)を検出する検出器15とを備えている。偏向器14は、電子線12の偏向中心を決める位置偏向器14Aと、電子線12を観察目的の視野内を高速で走査する走査偏向器14Bとを備えている。これら位置偏光器14A及び走査偏向器14Bは偏向制御部17によって制御される。
【0023】
ロードロック室3は、試料10を搬送する搬送ロボット31を内部に備えており、試料室2の内部空間及び外界にそれぞれ連通する開口を除いて密閉されている。試料室2側の開口はロードロック室3を試料室2と隔離する真空側ゲートバルブ32によって、外界側の開口はロードロック室3を大気と隔離する大気側ゲートバルブ33によってそれぞれ開閉される。
【0024】
画像制御部73は、検出器15の信号を基にSEM観察像データを生成しモニタ74に出力する画像生成部73Aと、偏向器14によるビーム偏向量に対して観察像の要求画質に応じて設定された許容範囲を記憶した記憶部73Bと、光学式検査装置で予め取得された試料10上の観察対象のサイズ情報に応じて許容範囲を変更する閾値制御部73Cと、撮像対象を含む低倍率の観察像の中心と撮像対象との座標ずれ量を算出するずれ量算出部73Dと、その座標ずれ量が先の許容範囲内か否かを判断する判断部73Eとを備えている。ここで、ビーム偏向で観察像位置をシフト補正する場合に偏向量(シフト量)の増大とともに収差等の影響を受けて画質が低下するが、上記の「許容範囲」とは、観察対象の状態を見るのに所望される画質を確保する上で偏向量(シフト量)に対して設定した制限値を指す。また、この許容範囲の値は最終的に所望する観察像の大きさにより異なり、観察像が大きいほど許容範囲は大きくなり、観察像が小さくなるほど許容範囲も小さくなる。上記記憶部73Bには、観察像の大きさと要求画質に応じた許容範囲が記憶されており、上記閾値制御部73Cは、光学式検査装置等で前もって得られた観察対象のサイズ情報を基に最終的な観察像の大きさを決定し、それに応じて記憶部73Bの記憶情報から好適な許容範囲を決定する。例えば、観察対象が100μmである場合、SEM像が□200μm、ビーム偏向によるSEM像シフト量の許容範囲が20μmに設定され、観察対象が50μmである場合、SEM像を□100μm、ビーム偏向によるSEM像シフト量の許容範囲が10μmに設定されるといった要領である。
【0025】
位置制御部71は、Zセンサ25からの検出信号を基に試料10の高さ位置(Z座標)を算出し、また干渉計23からの検出信号を基に試料10のXY座標を算出する。算出した試料10のXYZ系の位置情報はカラム制御部70及びステージ制御部72に出力される。
【0026】
カラム制御部70は、設定された観察条件に従ってビームカラム1及び偏向制御部17に指令信号を出力し、電子銃11の出力、集束の度合い、焦点高さ、偏向中心、偏向範囲等を制御する。また、観察中には位置制御部71から入力される試料10の高さ情報を基に電子レンズ13,16の光学条件を変更し、試料10の高さの変化にフォーカス位置を追従させる。さらには、上記判断部73Eによって座標ずれ量が許容範囲内と判定された場合に、偏向制御部17を介して偏向器14を制御し座標ずれ量だけ偏向中心及び偏向範囲を補正制御して高倍率の観察領域に電子線12を走査する偏向補正制御部70Aを備えている。
【0027】
ステージ制御部72は、光学式検査装置で予め取得された試料10上の観察対象の位置情報を基に、ステージ21上の試料10内の撮像対象が観察領域に入るように干渉計23の信号を基に粗動機構(後述)を制御する粗動機構制御部72Aと、座標ずれ量が小さくなるように干渉計23の検出信号に基づくXY座標情報を位置制御部71から受け取って微動機構(後述)を制御する微動機構制御部72Bとを備えている。
【0028】
図6はステージ21の構成を表す側面図である。
【0029】
図6に示したステージ21は、ベース40と、ベース40上を少なくとも水平面に沿って移動可能な粗動機構と、粗動機構上を少なくとも水平面に沿って移動可能な微動機構と、微動機構上に設けたトップテーブル(試料ステージ)43とを備えている。トップテーブル43上には試料10を保持するための静電チャック24や自己のXY座標系上の位置をレーザ計測するためのバーミラー22が配置されている。
【0030】
粗動機構は、ベース40上に取り付けたX軸方向への動きをガイドするXガイド44と、Xガイド44上に搭載されてX軸方向にスライドするXテーブル41と、Xテーブル41をX軸方向に移動させるXアクチュエータ(図示せず)と、Xテーブル41上に取り付けたY軸方向への動きをガイドするYガイド45と、Yガイド45上に搭載されてY軸方向にスライドするYテーブル42と、Yテーブル42をY軸方向に移動させるYアクチュエータ(図示せず)と、ベース40に設けたXブレーキレール47と、Xテーブル41に設けられXブレーキレール47に押し付けられてXテーブル41を制動するXブレーキ機構49と、Xテーブル41に設けたYブレーキレール48と、Yテーブル42に設けられYブレーキレール48に押し付けられてYテーブル42を制動するYブレーキ機構50とを備えており、ブレーキ機構49,50によって粗動停止時のドリフトや振動が抑制される構成となっている。ブレーキ機構49,50は、板バネ又はコイルバネによってブレーキレール47,48に常時加圧するパッシブブレーキ構造、或いは圧電素子を用いた加圧によってブレーキ動作をON/OFF制御するアクティブブレーキ機構等が適用可能である。いずれのブレーキ方式でも、粗動した際に生ずるドリフトや振動を低減することで像質劣化を回避することができる。Xアクチュエータ及びYアクチュエータには、ボールネジ、リニアモータ等が適用可能である。粗動機構は粗動制御部72Aによって駆動制御される。
【0031】
図7は微動機構の構成を表す平面図である。
【0032】
図7に示すように、微動機構は、トップテーブル43を弾性的に支持する弾性ヒンジと、弾性ヒンジに対して水平面に沿った方向に歪を与える圧電素子62,63とを備えている。弾性ヒンジは、Yテーブル42上に設けた複数の溝からなり、X軸方向に延びる溝とY軸方向に延びる溝を組み合わせることで構成した、Y方向に剛性が高くX方向に柔軟なXヒンジ部60と、X方向に剛性が高くY方向に柔軟なYヒンジ部61とを有している。Xヒンジ部60やYヒンジ部61の内側の微動領域64(Yテーブル42の中央領域領域)には固定タップ65が3箇所設けられており、この固定タップ65を利用してYテーブル42上に締結した3つのスペーサ46(図6参照)を介してトップテーブル43が搭載されている。トップテーブル43を3点支持とすることで、微動領域64の変形がトップテーブル43に伝わり難い構成となっている。X圧電素子62は、本実施の形態では2個実装され、Xヒンジ部60を構成しY軸方向に延びる溝の壁面をX軸方向に押引きすることでXヒンジ部60に歪を与え、微動領域64とともにトップテーブル43をX方向に微小移動させる。Y圧電素子63も、本実施の形態では2個実装され、Yヒンジ部61を構成しX軸方向に延びる溝の壁面をY軸方向に押引きすることでYヒンジ部61に歪を与え、微動領域64とともにトップテーブル43をY方向に微小移動させる。圧電素子62,63は微動制御部72Bによって制御される。
【0033】
なお、本実施の形態では微動機構にガイドとして弾性ヒンジ構造を採用しているが、一般的な転がり方式のガイドでも機能は果たす。しかし、転がり方式のガイドでは構造上ガタや摩擦が内在するため、微小な移動距離で且つ精密な位置決め動作の場合には、弾性ヒンジ構造の方が適している。また、微動機構用のアクチュータには超音波モータやリニアモータも構造次第で適用可能であるが、圧電素子62,63には、非磁性が故に磁場の影響を受け易い電子線12に近い位置でも使用可能である、応答性が良く微小なストロークを短時間に精度良く位置決めすることに適している等の特徴がある。本実施の形態の微動機構(弾性ヒンジ構造と圧電素子62,36の組合せ)の場合、干渉計23によるレーザ測長の分解能が十分小さければ(例えば10nm以下)、トップテーブル43の位置決め誤差を十分に小さな程度(例えば100nm以下)に抑えられる。更に、弾性ヒンジ構造と圧電素子の組合せの場合、制御周波数を上げることができるため、振動振幅の低減、振動減衰時間の短縮も見込まれる。弾性ヒンジの構造、圧電素子の構造及び数量は実装するステージの大きさや構造によって適宜設計変更可能である。
【0034】
次に上記構成の荷電粒子線装置の動作を説明する。
【0035】
まず試料10を搬入する場合には、大気側ゲートバルブ33を開放し、搬送ロボット31によって大気側から試料10をロードロック室3内に導入する。その後、大気側ゲートバルブ33を閉じ、ロードロック室3内を図示しない真空ポンプによって真空排気し、真空度が試料室2内と同程度になったら真空側ゲートバルブ32を開放して、搬送ロボット31によって試料室2のステージ21上に試料10を搬送する。試料10の搬出は、以上と逆の手順で行われる。
【0036】
試料室2に搬入された試料10は、静電チャック24によって静電吸着され、トップテーブル43上に強力に保持される。トップテーブル43のXY座標はバーミラー22と干渉計23との相対的な距離変化をレーザ測長することで計測され、試料10のXY座標が管理される。
【0037】
一方、ビームカラム1内の電子銃11から発生した電子線12は、電子レンズ13で収束作用を受け、偏光器14によって所望の軌道に偏向、走査され、電子レンズ16によって焦点位置に導かれる。電子線12の照射によって試料10の表面から発生する反射電子や二次電子は検出器15によって検出され、偏向器14の制御情報と共に画像制御部73に伝達される。ここで偏向器14の制御情報と検出器15で検出された情報を基に画像データが生成され、モニタ74に画像として映し出される。
【0038】
また、試料10の高さはZセンサ25によって常時モニタされている。Zセンサ25で得られた信号は、位置制御部71で位置情報に変換された後、カラム制御部70に伝達され、カラム制御部70では位置制御部71からの高さ情報に基づいて電子レンズ13,16の光学条件を変更し、試料10の高さに焦点高さを追従させる。カラム制御部70は、電子線12の偏向制御信号の補正制御も併せて実行し、偏向制御部17を介して位置偏向器14Aと走査偏向器14Bを制御する。例えば、電子線12の光軸中心が設計値からずれている場合、位置偏向器14Aによってオフセット調整が行われる。
【0039】
ここで、レビューSEMを例にして本実施の形態の荷電粒子線装置による撮像シーケンスについて説明する。
【0040】
ステージ21上にチャックされた試料10は、試料10上の登録された特定パターンを検出してアライメントがなされる。この動作によりステージ座標系と試料10の座標系(ウエハ座標系)のオフセット係数、回転係数、スケール係数が算出され、ステージ座標値からウエハ座標値が管理できるようになる。次に、多くの場合、本実施の形態の荷電粒子線装置で試料10を検査する前に、試料10上の欠陥や異物等の撮像対象物の座標やサイズの情報が光学式検査装置等によって取得される。この座標情報は本荷電粒子線装置に転送され、撮像すべき座標情報として登録される。光学式検査装置で得られる座標値の測定誤差は、本荷電粒子線装置での撮像範囲に大きく影響する。すなわち、座標誤差が大きければ、それだけ撮像範囲を大きくして観察した後、観察対象物を抽出して初めて本荷電粒子線装置における正確な測定対象物の座標値を得ることができる。
【0041】
次に、図2−図5を参照しつつ測定対象物、例えば異物(欠陥)を抽出して所望の倍率で撮像するまでの流れを説明する。
【0042】
図2は撮像対象を抽出するための参照画像の一例である。
【0043】
図2の参照画像は、実際に撮像した画像又は既知の回路パターンのCADデータから生成した画像である。実際に撮像した画像の場合、試料10に形成される複数のチップのうちの正常なチップ内で、撮像対象となる欠陥や異物の存在するチップ内座標と同じ座標を撮像し、これを参照画像とする。撮像範囲fx1×fy1は前述した通り光学検査装置の座標精度によって決定される。
【0044】
図3は欠陥を含む画像の一例である。
【0045】
先の図2の参照画像と図3の欠陥90を含む画像を比較することで、輝度差等によって欠陥抽出画像(図4)が得られる。これにより、欠陥90の中心の撮像中心からのずれ量Δx,Δyがずれ量算出部73Dで算出され、異物90の正確な座標が算出可能となる。
【0046】
図5は欠陥90の高倍率観察の一例である。
【0047】
図5に示すように所望の倍率(撮像範囲fx2×fy2)にて異物を撮像するが、このとき撮像中心に欠陥90が来るようにビーム偏向によって観察像をシフト補正する場合、シフト量(√(Δx+Δy))が大きい場合は、ビーム偏向量の増大から像質の劣化が避けられなかった。本実施の形態では、ビーム偏向によるシフト量過大に起因する像質劣化を低減するため、ビーム偏向による画像のシフト量を許容範囲に収め像質の劣化が所望の範囲に抑えられるように、観察対象のサイズ(観察像の所望サイズ)に応じて観察像の画像中心からのずれ量が上記の許容範囲か否かを判定し、許容範囲を外れている場合には試料10を水平面方向に微動制御した上で所望の倍率の観察像を取得する。
【0048】
次にステージ21の位置決め制御について説明する。
【0049】
ステージ制御部72では、トップテーブル43の位置情報を位置制御部71から受け取り、粗動制御部72Aと微動制御部72Bを連動させてステージ21を駆動する。各粗動制御部72A及び微動制御部72Bは、位置制御部71から入力される現在位置座標と目標位置座標との偏差が小さくなるように各々粗動機構及び微動機構をフィードバック制御する。このフィードバック制御には、単純な位置フィードバックの他、ステージ21の速度情報、現在位置と目標位置の偏差の積分情報を加えて応答速度と位置決め精度を向上させるPID制御等が考えられる。
【0050】
図8はステージ制御部72によるステージ駆動シーケンスを表したフローチャートである。
【0051】
(ステップS101)
図8において、ステージ移動開始後、ステージ制御部72は、例えば全体制御部(図示せず)から駆動開始の指示を受けた場合に、その時点で微動機構の圧電素子62,63に与えている電圧をOFFにし、圧電素子62,63の負荷すなわち微動領域64の移動量を0(ゼロ)の状態に戻す(リセット動作)。
【0052】
(ステップS102)
このステップでは、位置制御部71から受け取った現在位置の情報を基に、撮像エリアまでの距離を算出する。撮像エリアの位置情報は、欠陥や異物等の抽出用の画像を撮像する場合、光学式検査装置等で予め取得された撮像対象の位置情報であり、参照画像を取得する場合、正常チップ内の撮像対象に対応した位置の情報である。また、高倍率の観察像を撮像する場合には、画像制御部73のずれ量算出部73Dで算出されたずれ量である。
【0053】
(ステップS103)
ステップS102で算出された移動量が微動範囲内か否かを判定し、微動範囲内であればステップS105に手順を移し、微動範囲を超えていればステップS104に手順を移す。ここで、微動範囲とは、微動機構によるストロークからビーム偏向の上記許容範囲を差し引いた値である。
【0054】
(ステップS104)
粗動制御部72Aによって粗動機構を制御し、ステップS103に手順を戻す。
【0055】
(ステップS105)
欠陥や異物等の抽出用の画像や参照画像を撮像する場合、撮像エリアの現在位置と目標位置とのずれ量が許容範囲(高倍率の観察像を撮像する場合の上記の許容範囲より大きな値で足りる)内に納まっているかどうかを判定する。ずれ量が許容範囲であれば位置決めを終了し、許容範囲を超えていればステップS106に手順を移す。また、高倍率の観察像を撮像する場合には、撮像対象の現在位置と撮像中心とのずれ量が上記の許容範囲内に納まっているかどうかの判定結果を画像制御部73の判断部73Eから入力し、ずれ量が許容範囲であれば位置決めを終了し、許容範囲を超えていればステップS106に手順を移す。いずれの場合も、ずれ量が許容範囲内であれば、残るずれ量分だけビームカラム制御部70でビーム偏向による撮像領域のシフト補正が行われ、撮像対象を中心に据えた高倍率観察像が取得される。撮像対象の高倍率観察像を撮像する場合、許容範囲は前述したように撮像対象のサイズ情報に応じて適宜選択、変更される。
【0056】
(ステップS106)
微動制御部72Bによって微動機構を制御し、ステップS105に手順を戻す。
【0057】
図8のシーケンスでは、粗動機構及び微動機構が各々フィードバック制御されるが、最終的な位置決め精度の決定には微動機構のフィードバック制御が支配的であるため、粗動機構に関してはオープンループ制御としても良い。この場合、粗動機構のアクチュエータとして、パルスモータ等の比較的安価なアクチュエータを適用することができるため、装置コストの低減に繋がる。また、撮像対象の抽出用の画像や参照画像等の低倍率画像を取得するときは撮像対象の高倍率画像を取得する場合に比べて位置決めの要求精度が低いので、粗動機構の位置決め精度がそれに見合うものであれば、低倍率画像の取得のための位置決めの際の微動制御を省略しても良い。
【0058】
図9はビームの偏向範囲Lb、微動機構の駆動範囲L、微動範囲(ステージ微動に割り当てられた動作範囲)Lsの関係示している。
【0059】
撮像範囲(撮像倍率)により決定されるビームの偏向範囲(最大撮領域の幅寸法)Lbに対して、少なくとも微動機構の駆動範囲(ストローク)Lが大きい必要がある。これにより、撮像された欠陥画像から抽出された欠陥座標位置の全てに微動機構による位置決めが可能となる。図8のステップS103では、この微動範囲Lsと移動距離を比較することで粗動制御の要否を判断している。例えば、撮像範囲が最大□50μm、微動機構のストロークが□100μmであった場合、±25μmが前述した微動範囲になる。また、図8のステップS105では、例えば画像中心と撮像対象の中心位置とのずれ量(ビーム偏向による画像領域のシフト補正量)Laを前述した許容範囲と比較することで、微動制御の要否を判断している。
【0060】
図10は参照画像と欠陥画像を比較して欠陥抽出し所望の倍率での欠陥を撮像する一連の手順を示すフローチャートである。ここでは、フォーカス合せ動作や画像転送動作等の手順については省略している。
【0061】
(ステップS201)
始めに参照画像を取得するため、チップ内の欠陥座標と同じチップ座標の正常なパターン像を取得するため、ステージを移動させる。この手順は図8のステップS101−S104に相当する。
【0062】
(ステップS202,S203)
ステージ位置決め後、停止誤差を測定し(S202)、必要であれば微動ステージを駆動し正確な位置決めを行う(S203)。この手順は図8のステップS105,S106に相当する。
【0063】
(ステップS204)
比較的低い所定の倍率で参照画像を撮像する。
【0064】
(ステップS205)
次に欠陥画像を取得すべく、欠陥座標にステージを移動させる。この手順は図8のステップS101−S104に相当する。
【0065】
(ステップS206,S207)
ステージ位置決め後、停止誤差を測定し(S206)、必要であれば微動ステージを駆動し正確な位置決めを行う(S207)。この手順は図8のステップS105,S106に相当する。
【0066】
(ステップS208)
参照画像と同じ所定の倍率で欠陥画像を取得する。
【0067】
(ステップS209)
得られた参照画像と欠陥画像を基に、画像処理により欠陥抽出を行う。
【0068】
(ステップS210)
抽出された欠陥の座標を算出する。
【0069】
(ステップS211)
欠陥が観察中心に配置されるようステージの微動機構部を駆動させる。この手順は図8のステップS105,S106に相当する。ステップS105における許容範囲は、撮像対象のサイズ情報に応じて適宜選択、変更される。
【0070】
(ステップS212)
高倍率の欠陥画像を取得し、次に観察する欠陥があれば次の撮像手順に移行する。
【0071】
図11は欠陥画像同士を比較して欠陥を抽出し所望の倍率での欠陥を撮像する一連の手順を示すフローチャートである。ここでは、フォーカス合せ動作や画像転送動作等の手順については省略している。
【0072】
撮像する欠陥画像に規則性がある場合、欠陥画像同士を画像処理(輝度差の比較等)することで周期性から外れた信号が欠陥として検出される。この場合、参照画像を取得しなくても1枚の欠陥画像内の周期的信号から外れた信号を検出することで欠陥を抽出することができる。このような機能を用いた撮像シーケンスでは、参照画像の撮像手順を省略し、初めから欠陥画像の取得を行い、欠陥抽出、座標計算、微動機構部の駆動を経て、高倍率の欠陥画像を得ることになる。
【0073】
(ステップS301)
欠陥画像を取得すべく、欠陥座標にステージを移動させる。この手順は図8のステップS101−S104に相当する。
【0074】
(ステップS302,S303)
ステージ位置決め後、停止誤差を測定し(S302)、必要であれば微動ステージを駆動し正確な位置決めを行う(S303)。この手順は図8のステップS105,S106に相当する。
【0075】
(ステップS304)
欠陥画像を取得する。
【0076】
(ステップS305)
撮像した欠陥画像を撮像済みの欠陥画像とを画像処理することで欠陥を抽出する。
【0077】
(ステップS306)
抽出された欠陥の座標を算出する。
【0078】
(ステップS307)
欠陥が観察中心に配置されるようステージの微動機構部を駆動させる。この手順は図8のステップS105,S106に相当する。ステップS105における許容範囲は、撮像対象のサイズ情報に応じて適宜選択、変更される。
【0079】
(ステップS308)
高倍率の欠陥画像を取得し、次に観察する欠陥があれば次の撮像手順に移行する。
【0080】
以上のような一連の流れで得られた高倍率の欠陥画像は撮像時のビーム中心のシフト量が僅か(許容範囲内)であって観察範囲をスキャンする程度の偏向量に抑えられるため、像質劣化が非常に小さい良好な画像を取得することができる。また、完全にステージの微動制御で撮像対象を画面中心に移動させる構成とするとフィードバック制御が故に位置決めに時間を要するが、最終的な所望の撮像倍率(撮像範囲)で撮像した場合に所望の像質を確保する上で許容される程度の位置ずれ量の範囲(許容範囲)に収めるところまでにステージ制御動作を止め、厳密な画像中心の位置合わせはビームシフトによって行うことで、撮像効率も向上する。また、図4のような欠陥抽出画像において撮像対象と画像中心との距離が初めから許容範囲にある場合にはステージの微動制御をスキップさせることができるので更なるスループットの向上も期待できる。
【0081】
また、微動機構を持たないステージ構造で微小距離の位置決めを行う場合、微小距離とはいえ短時間に位置決めを行うためには加速度を落とせないため、Xテーブルに搭載される全ての質量が加振力の要因となり得る。質量を抑えるためにXテーブルやYテーブルを安易に軽量化すると剛性が低下し、位置決め精度の劣化、ステージ停止時の振動振幅増加等、種々の弊害を招く恐れがある。それに対し、本実施の形態では、微動機構によって位置制御される質量はトップテーブル43及びその実装品のみであるため、微動制御時の移動体の質量が軽量であるとともに駆動力を小さくすることもでき、ビームカラム1を含む本体への加振力を抑えることができる。
【0082】
位置決め時間に関しては、例えば加速度を2m/s、移動距離を20μmとした場合、3.2msと計算される。この時間は撮像に必要なパラメータの設定時間等のオーバヘッド時間を考慮すればスループットへの影響は小さいが、ステージ停止後の残留振動が像質に影響しない程度(例えば分解能以下)まで収束するまでに要する時間の方が長くスループットへの影響も大きい。つまり、加振による振動を小さくできる点も微動機構を併用するメリットの1つである。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る荷電粒子線装置の全体構成を表す概念図である。
【図2】撮像対象を抽出するための参照画像の一例である。
【図3】欠陥を含む画像の一例である。
【図4】参照画像と欠陥画像から画像処理により求めた欠陥抽出画像の一例である。
【図5】所望の倍率で撮像した欠陥画像の一例である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る荷電粒子線装置に備えられたステージの構成を表す側面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る荷電粒子線装置に備えられた微動機構の構成を表す平面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る荷電粒子線装置に備えられたステージ制御部によるステージ駆動シーケンスを表したフローチャートである。
【図9】ビームの偏向範囲と微動機構のストロークを示す説明図である。
【図10】参照画像と欠陥画像を比較して欠陥抽出し所望の倍率での欠陥を撮像する一連の手順を示すフローチャートである。
【図11】欠陥画像同士を比較して欠陥を抽出し所望の倍率での欠陥を撮像する一連の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0084】
1 カラム
2 試料室
3 ロードロック
4 マウント
5 真空ポンプ
6 架台
10 試料
11 電子銃
12 電子線
13 電子レンズ
14 偏向器
14A 位置偏向器
14B 走査偏向器
15 検出器
16 電子レンズ
17 偏向制御部
21 ステージ
22 バーミラー
23 干渉計
24 静電チャック
25 Zセンサ
31 搬送ロボット
32 真空側ゲートバルブ
33 真空側ゲートバルブ
40 ベース
41 Xテーブル
42 Yテーブル
43 トップテーブル
44 Xガイド
45 Yガイド
46 スペーサ
47 Xブレーキレール
48 Yブレーキレール
49 Xブレーキ機構
50 Yブレーキ機構
60 X弾性ヒンジ
61 Y弾性ヒンジ
62 X圧電素子
63 Y圧電素子
64 微動領域
65 固定タップ
70 カラム制御部
70A 偏向補正制御部
71 位置制御部
72 ステージ制御部
72A 粗動制御部
72B 微動制御部
73 画像制御部
73A 画像生成部
73B 記憶部
73C 閾値制御部
73D ずれ量算出部
73E 判断部
74 モニタ
90 異物
91 撮像範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベース上を少なくとも水平面に沿って移動可能な粗動機構と、
前記粗動機構上を少なくとも水平面に沿って移動可能な微動機構と、
前記微動機構上に設けた試料ステージと、
前記試料ステージの位置を計測する測長器と、
荷電粒子線を出射する荷電粒子銃と、
前記荷電粒子銃からの荷電粒子線を偏向させる偏向器と、
前記試料ステージ上の試料からの放出粒子を検出する粒子検出器と、
前記粒子検出器の信号を基に観察像を生成する画像生成部と、
前記偏向器によるビーム偏向量に対して観察像の要求画質に応じて設定された許容範囲を記憶した記憶部と、
前記試料ステージ上の試料内の撮像対象が観察領域に入るように前記測長器の信号を基に前記粗動機構を制御する粗動機構制御部と、
前記撮像対象を含む低倍率の観察像の中心と撮像対象との座標ずれ量を算出するずれ量算出部と、
前記座標ずれ量が前記許容範囲内か否かを判断する判断部と、
前記座標ずれ量が小さくなるように前記測長器の信号を基に前記微動機構を制御する微動機構制御部と、
前記座標ずれ量が前記許容範囲内と判定された場合に、前記偏向器を制御して前記座標ずれ量だけビーム偏向量を補正する偏向補正制御部と
を備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項2】
請求項1の荷電粒子線装置において、前記撮像対象のサイズ情報に応じて前記許容範囲が変化することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項3】
請求項1の荷電粒子線装置において、前記粗動機構の制動手段を備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項4】
請求項1の荷電粒子線装置において、前記微動機構は、前記試料ステージを弾性的に支持する弾性ヒンジと、前記弾性ヒンジに対して水平面に沿った方向に歪を与える駆動装置とを備えていることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項5】
請求項4の荷電粒子線装置において、前駆駆動装置は圧電素子であることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項6】
請求項1の荷電粒子線装置において、前記微動機構のストロークは最大撮領域の幅寸法以上であることを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項7】
試料内の撮像対象が観察領域に入るように試料ステージを粗動制御する手順と、
前記撮像対象を含む低倍率の観察像の中心と撮像対象との座標ずれ量を算出する手順と、
前記座標ずれ量がビーム偏向量に対して観察像の要求画質に応じて設定された許容範囲内か否かを判断する手順と、
前記座標ずれ量が前記許容範囲より大きい場合、前記座標ずれ量が小さくなるように前記試料ステージを微動制御する手順と、
前記座標ずれ量が前記許容範囲内の場合、当該座標ずれ量だけビーム偏向量を補正する手順と
を有することを特徴とする荷電粒子線装置の観察位置合わせ方法。
【請求項8】
請求項7の荷電粒子線装置の観察位置合わせ方法において、前記撮像対象のサイズ情報に応じて前記許容範囲を変更する手順を有することを特徴とする荷電粒子線装置の観察位置合わせ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−123354(P2010−123354A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294972(P2008−294972)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】