説明

蒸気をタービンに送り込むためのシステム及び方法

【課題】複合サイクル発電システムにおいて蒸気タービン(20)を作動させるための制御システムを提示する。
【解決手段】本制御システムは、蒸気タービンに動力供給するのを可能にする第1の量の蒸気を第1の蒸気発生器(32)から該蒸気タービンに送り、蒸気タービンと流れ連通状態で結合された第2の蒸気発生器内で第2の量の蒸気を発生させ、第2の量の蒸気が第2の蒸気発生器から蒸気タービンに送り込まれた場合における該蒸気タービン内の予測応力レベルを計算し、第2の量の蒸気を蒸気タービンに送り込む開始時間を、計算予測応力レベルが該蒸気タービンの所定の応力限界値を越えることがないように決定し、かつ決定開始時間に第2の蒸気発生器から蒸気タービンに第2の量の蒸気を自動的に送るように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総括的には複合サイクル発電システムに関し、より具体的には、蒸気をタービンに送り込むためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも幾つかの公知の複合サイクル発電システムは、少なくとも2つのガスタービンエンジンと少なくとも1つの蒸気タービンエンジンとを含む。各ガスタービンエンジンは、蒸気を発生させるのを可能にする熱回収蒸気発生器(「HRSG」)と流れ連通状態で結合される。具体的には、各ガスタービンエンジンからの排気ガスは、対応するHRSGに送り込まれて、それに限定されないが、蒸気タービンを駆動するなどのその他の発電プラントプロセスで使用するための蒸気を発生させる。
【0003】
少なくとも幾つかの公知の複合サイクル発電システムでは、第1のガスタービンエンジンは、先行ガスタービンエンジンと呼ばれ、また第2のガスタービンエンジンは、遅延ガスタービンエンジンと呼ばれる。先行ガスタービンエンジンによって放出された排気ガスで発生させた蒸気は、初期に蒸気タービンに動力供給し、また遅延ガスタービンエンジンによって放出された排気ガスで発生させた蒸気は、後刻に蒸気タービンに送り込まれる。少なくとも幾つかの公知の複合サイクルシステムでは、遅延ガスタービン蒸気を蒸気タービン内に混合することにより、様々な蒸気タービン構成要素内に温度勾配が生じる。勾配の温度範囲に応じて、蒸気タービン内には熱応力が生じる可能性がある。さらに、混合蒸気の流量によっても、蒸気タービン内に応力が生じる可能性がある。その上、蒸気の温度に応じて、時の経過と共に、そのような応力は、蒸気タービン構成要素の有効寿命を短縮させ、また/又はタービンの性能に悪影響を与えるおそれがある。
【0004】
蒸気タービンに熱応力が加わるのを防止するために、少なくとも幾つかの公知の複合サイクル発電システムでは、遅延HRSG内で発生させた蒸気を長時間かけて手動で混合する。しかしながら、遅延蒸気を蒸気タービン内に緩やかに混合することは、発電システムの全体効率を低下させることになるそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第2007/0055392号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、複合サイクル発電システムにおいて蒸気タービンを作動させる方法を提示する。本方法は、蒸気タービンに動力供給するのを可能にする第1の量の蒸気を第1の蒸気発生器から該蒸気タービンに送るステップと、蒸気タービンと流れ連通状態で結合された第2の蒸気発生器内で第2の量の蒸気を発生させるステップと、第2の量の蒸気が第2の蒸気発生器から蒸気タービンに送り込まれた場合における該蒸気タービン内の予測応力レベルを計算するステップとを含む。第2の量の蒸気を蒸気タービンに送り込む開始時間は、計算予測応力レベルが該蒸気タービンの所定の応力限界値を越えることがないように決定される。第2の量の蒸気は、決定開始時間に第2の蒸気発生器から蒸気タービンに自動的に送られる。
【0007】
提示した本方法の第1の実施形態はさらに、計算予測応力レベルが蒸気タービンの所定の応力限界値を越えるのを防止するのを可能にするバイパス弁閉鎖速度を計算するステップを含む。
【0008】
提示した本方法の別の実施形態ではさらに、第2の量の蒸気を蒸気タービンに送り込む開始時間を決定するステップがさらに、モデル予測制御を使用して該開始時間を決定するステップを含む。
【0009】
提示した本方法のさらに別の実施形態ではさらに、第2の量の蒸気を蒸気タービンに送り込む開始時間を決定するステップがさらに、少なくとも1つの遮断弁及び少なくとも1つのバイパス弁の少なくとも1つを、第2の蒸気圧を第1の蒸気圧の所定の範囲内に維持するのを可能にするように制御するステップを含む。
【0010】
提示した本方法のさらに別の実施形態ではさらに、第2の量の蒸気を蒸気タービンに送り込む開始時間を決定するステップがさらに、第1及び第2の蒸気流の化学組成を測定するステップと、第2の蒸気流の化学組成を第1の蒸気流の化学組成と比較して、該第2及び第1の蒸気流の混合物の化学組成が蒸気タービンの所定の作動パラメータの範囲内にあるかどうかを判定するステップとを含む。
【0011】
提示した本方法のさらに別の実施形態はさらに、複数の蒸気タービン構成要素の温度を測定するステップと、複数の蒸気タービン構成要素の現在の応力変化速度を計算するステップと、第2の量の蒸気が第2の蒸気発生器から蒸気タービンに送り込まれた場合における複数の蒸気タービン構成要素の予測応力変化速度を計算するステップとを含む。
【0012】
提示した本方法のさらに別の実施形態はさらに、少なくとも1つの遮断弁を決定開始時間に開放して、第2の量の蒸気を蒸気タービンに送り込むのを可能にするステップと、少なくとも1つのバイパス弁をバイパス弁閉鎖速度で閉鎖して、蒸気タービンに送られる第2の量の蒸気を増加させるのを可能にするステップとを含む。
【0013】
別の態様では、複合サイクル発電システムにおいて蒸気タービンを作動させるための制御システムを提示する。本制御システムは、蒸気タービンに動力供給するのを可能にする第1の量の蒸気を第1の蒸気発生器から該蒸気タービンに送り、蒸気タービンと流れ連通状態で結合された第2の蒸気発生器内で第2の量の蒸気を発生させ、かつ第2の量の蒸気が第2の蒸気発生器から蒸気タービンに送り込まれた場合における該蒸気タービン内の予測応力レベルを計算するように構成される。本制御システムはまた、第2の量の蒸気を蒸気タービンに送り込む開始時間を、計算予測応力レベルが該蒸気タービンの所定の応力限界値を越えることがないように決定し、かつ決定開始時間に第2の蒸気発生器から蒸気タービンに第2の量の蒸気を自動的に送るように構成される。
【0014】
提示した本制御システム対する第1の実施形態はまた、複数の蒸気タービン構成要素の温度を測定し、複数の蒸気タービン構成要素の現在の応力変化速度を計算し、かつ第2の量の蒸気が第2の蒸気発生器から蒸気タービンに送り込まれた場合における複数の蒸気タービン構成要素の予測応力変化速度を計算するように構成される。
【0015】
提示した本制御システム対する別の実施形態はまた、少なくとも1つの遮断弁及び少なくとも1つのバイパス弁の少なくとも1つを、第2の蒸気圧を第1の蒸気圧の所定の範囲内に維持するのを可能にするように制御するように構成される。
【0016】
提示した本制御システム対するさらに別の実施形態はまた、第1及び第2の蒸気流の化学組成を測定し、かつ第2の蒸気流の化学組成を第1の蒸気流の化学組成と比較して、該第2の蒸気流及び第1の蒸気流の混合物の化学組成が蒸気タービンの所定の作動パラメータの範囲内にあるかどうかを判定するように構成される。
【0017】
提示した本制御システム対するさらに別の実施形態はまた、計算予測応力レベルが蒸気タービンの所定の応力限界値を越えるのを防止するのを可能にするバイパス弁閉鎖速度を計算するように構成される。
【0018】
提示した本制御システム対するさらに別の実施形態はまた、少なくとも1つの遮断弁を決定開始時間に開放して、第2の量の蒸気を蒸気タービンに送り込むのを可能にし、かつ少なくとも1つのバイパス弁をバイパス弁閉鎖速度で閉鎖して、蒸気タービンに送られる第2の量の蒸気を増加させるのを可能にするように構成される。
【0019】
提示した本制御システム対するさらに別の実施形態はまた、予測応力レベルを計算し、かつモデル予測制御を使用して開始時間を決定するように構成される。
【0020】
さらに別の態様では、複合サイクル発電システムを提示する。本複合サイクル発電システムは、蒸気タービンと、蒸気タービンと流れ連通状態で結合された第1の蒸気発生器と流れ連通状態で結合された第1の燃焼タービンと、蒸気タービンと流れ連通状態で結合された第2の蒸気発生器と流れ連通状態で結合された第2の燃焼タービンとを含む。本システムはまた、第1の蒸気発生器、第2の蒸気発生器及び蒸気タービンの少なくとも1つに相互通信状態で結合された制御装置を含む。制御装置は、蒸気タービンに動力供給するのを可能にする第1の量の蒸気を第1の蒸気発生器から該蒸気タービンに送り、蒸気タービンと流れ連通状態で結合された第2の蒸気発生器内で第2の量の蒸気を発生させ、かつ第2の量の蒸気が第2の蒸気発生器から蒸気タービンに送り込まれた場合における該蒸気タービン内の予測応力レベルを計算するように構成される。制御装置はまた、第2の量の蒸気を蒸気タービンに送り込む開始時間を、計算予測応力レベルが該蒸気タービンの所定の応力限界値を越えることがないように決定し、かつ決定開始時間に第2の蒸気発生器から蒸気タービンに第2の量の蒸気を自動的に送るように構成される。
【0021】
提示した本複合サイクル発電システム対する第1の実施形態はまた、計算予測応力レベルが蒸気タービンの所定の応力限界値を越えるのを防止するのを可能にするバイパス弁閉鎖速度を計算するように構成される。
【0022】
提示した本複合サイクル発電システム対する別の実施形態はまた、第1及び第2の蒸気流の化学組成を測定し、かつ第2の蒸気流の化学組成を第1の蒸気流の化学組成と比較して、該第2の蒸気流及び第1の蒸気流の混合物の化学組成が蒸気タービンの所定の作動パラメータの範囲内にあるかどうかを判定するように構成される。
【0023】
提示した本複合サイクル発電システム対するさらに別の実施形態はまた、少なくとも1つの遮断弁及び少なくとも1つのバイパス弁の少なくとも1つを、第2の蒸気圧を第1の蒸気圧の所定の範囲内に維持するのを可能にするように制御するように構成される。
【0024】
提示した本複合サイクル発電システム対するさらに別の実施形態はまた、少なくとも1つの遮断弁を決定開始時間に開放して、第2の量の蒸気を蒸気タービンに送り込むのを可能にし、かつ少なくとも1つのバイパス弁をバイパス弁閉鎖速度で閉鎖して、蒸気タービンに送られる第2の量の蒸気を増加させるのを可能にするように構成される。
【0025】
提示した本複合サイクル発電システム対するさらに別の実施形態はまた、複数の蒸気タービン構成要素の温度を測定し、複数の蒸気タービン構成要素の現在の応力変化速度を計算し、かつ第2の量の蒸気が第2の蒸気発生器から蒸気タービンに送り込まれた場合における複数の蒸気タービン構成要素の予測応力変化速度を計算するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】例示的な複合サイクル発電システムの概略図。
【図2】図1に示す複合サイクル発電システムを作動させる例示的な方法のフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、例示的な複合サイクル発電システム10の概略図である。一般的に、システム10は、先行側12と遅延側14とを含む。この例示的な実施形態では、先行側12は、遅延側14と実質的に同一である。
【0028】
先行側12は、第1の蒸気つまり先行蒸気(図示せず)を発生させるのを可能にする熱回収蒸気発生器(「HRSG」)18と流れ連通状態で結合されたガスタービンエンジン16を含む。HRSG18は、蒸気タービン組立体20と流れ連通状態で結合される。この例示的な実施形態では、蒸気タービン組立体20は、高圧(「HP」)タービン22、中圧(「IP」)タービン24及び低圧(「LP」)タービン26を含む。IPタービン24は、一層詳しく後述するIP−LPクロスオーバヘッダ28を使用して、LPタービン26に流れ連通状態で結合される。タービン22、24及び26は各々、ロータシャフト30に結合される。さらに、この例示的な実施形態では、ロータシャフト30はまた、発電機32に結合される。
【0029】
この例示的な実施形態では、先行ガスタービンエンジン16は、圧縮機34、燃焼器36及びタービン38を含む。圧縮機34は、燃焼器36と流れ連通状態で結合され、燃焼器36は、タービン38の上流に流れ連通状態で結合される。圧縮機34及びタービン38は各々、ロータシャフト40に結合される。さらに、この例示的な実施形態では、ロータシャフト40は、発電機42に結合される。
【0030】
作動時に、ガスタービンエンジン16に流入する空気は、圧縮機34によって加圧され、次に燃焼器36に送られる。燃焼器36は、燃料源(図示せず)から燃料44を受け、燃料44及び空気を混合した後に、それら混合気に点火して高温燃焼ガス46を形成する。燃焼ガス46は、タービン38に送られて、これを回転させる。従って、タービン38の回転により、シャフト40が発電機42を回転させ、発電機42が電気を発生させる。さらに、この例示的な実施形態では、燃焼ガス46は、タービン38から放出されかつHRSG18に送られて、該HRSG18を通して送られた水を加熱するのを可能にして、HRSG18内で蒸気を発生させるようになる。HRSG18は、システム10が本明細書に記載したように機能するのを可能にするあらゆるタイプのHRSGとすることができることを理解されたい。
【0031】
この例示的な実施形態では、HRSG18は、HPドラム48、IPドラム50及びLPドラム52を含む。HPドラム48は、HP蒸気ヘッダ54と流れ連通状態で結合されて、一層詳しく後述するように、HP蒸気が蒸気タービン20のHPタービン22に送られるのを可能にする。さらに、IPドラム50は、IP蒸気ヘッダ56と流れ連通状態で結合されて、一層詳しく後述するように、IP蒸気つまり高温再熱蒸気が蒸気タービン20のIPタービン24に送られるのを可能にする。LPドラム52は、LP蒸気ヘッダ58と流れ連通状態で結合されて、一層詳しく後述するように、LP蒸気が蒸気タービン20のLPタービン26に送られるのを可能にする。
【0032】
この例示的な実施形態では、HP蒸気ヘッダ54は、少なくとも1つの圧力及び温度(「PT」)センサ60、少なくとも1つのHP遮断弁62、並びに少なくとも1つのHPバイパス弁64を含む。PTセンサ60は、HP蒸気ヘッダ54及び/又はHPドラム48内のHP蒸気の圧力及び温度を測定する。この例示的な実施形態では、HP蒸気ヘッダ54は、少なくとも1つのHP遮断弁62を介してHPタービン22と、及び/又は少なくとも1つのHPバイパス弁64を介して低温再熱蒸気ヘッダ66と流れ連通状態で結合される。一層詳しく後述するように、この例示的な実施形態では、HP遮断弁62は、HP蒸気がHPタービン22に送られるのを可能にするように開放されるか、又はHP蒸気がHPタービン22に送られるのを実質的に防止するように閉鎖されるかのいずれかである。それに代えて、HP遮断弁62は、HP蒸気の少なくとも一部分をHPタービン22に送るのを可能にするように可変調整することができる。この例示的な実施形態では、HPバイパス弁64は、低温再熱蒸気ヘッダ66に送られるHP蒸気の量を調量する絞りタイプの弁である。それに代えて、HPバイパス弁64は、システム10が本明細書に記載したように機能するのを可能にするあらゆるタイプの弁とすることができる。
【0033】
低温再熱蒸気ヘッダ66は、少なくとも1つの低温再熱遮断弁68を含む。さらに、この例示的な実施形態では、低温再熱蒸気ヘッダ66は、HRSG18と流れ連通状態で結合される。より具体的には、この例示的な実施形態では、低温再熱遮断弁68は、HPタービン22とHRSG18との間に結合されて、一層詳しく後述するように、HPタービン22から放出されかつHRSG18に送られる低温再熱蒸気の流量を制御するのを可能にする。
【0034】
この例示的な実施形態では、IP蒸気ヘッダ56は、少なくとも1つのPTセンサ70、少なくとも1つの高温再熱IP遮断弁72及び少なくとも1つのIPバイパス弁74を含む。PTセンサ70は、IP蒸気ヘッダ56及び/又はIPドラム50内のIP蒸気の圧力及び温度を測定する。さらに、IP蒸気ヘッダ56は、少なくとも1つの高温再熱IP遮断弁72を介してIPタービン24と、及び/又は少なくとも1つのIPバイパス弁74を介して凝縮器76と流れ連通状態で結合される。この例示的な実施形態では、IP遮断弁72は、IP蒸気をIPタービン24に送るように開放されるか、又はIP蒸気がIPタービン24に送られるのを実質的に防止するように閉鎖されるかのいずれかである。それに代えて、IP遮断弁72は、IP蒸気の少なくとも一部分をIPタービン24に送るのを可能にする複数位置に調整することができる。この例示的な実施形態では、IPバイパス弁74は、凝縮器76に送られるIP蒸気の量を調量する絞りタイプの弁である。それに代えて、IPバイパス弁74は、システム10が本明細書に記載したように機能するのを可能にするあらゆるタイプの弁とすることができる。
【0035】
この例示的な実施形態では、LP蒸気ヘッダ58は、少なくとも1つのPTセンサ78、少なくとも1つのLP遮断弁80及び少なくとも1つのLPバイパス弁82を含む。PTセンサ78は、LP蒸気ヘッダ58及び/又はLPドラム52内のLP蒸気の圧力及び温度を測定する。この例示的な実施形態では、LP蒸気ヘッダ58は、少なくとも1つのLP遮断弁80を介してLPタービン26と、及び/又は少なくとも1つのLPバイパス弁82を介して凝縮器76と流れ連通状態で結合される。この例示的な実施形態では、LP遮断弁80は、LP蒸気をLPタービン26に送るのを可能にするように開放されるか、又はLP蒸気がLPタービン26に送られるのを実質的に防止するように閉鎖されるかのいずれかである。それに代えて、LP遮断弁80は、LPタービン26に送られるLP蒸気の量を調量する複数位置に調整することができる。この例示的な実施形態では、LPバイパス弁82は、凝縮器76に送られるLP蒸気の量を調量する絞りタイプの弁である。それに代えて、LPバイパス弁82は、システム10が本明細書に記載したように機能するのを可能にするあらゆるタイプの弁とすることができる。
【0036】
この例示的な実施形態では、遅延側14は、蒸気タービン20のための蒸気を発生させるのを可能にするHRSG118と流れ連通状態で結合されたガスタービンエンジン116を含む。HRSG118は、蒸気タービン20と流れ連通状態で結合される。この例示的な実施形態では、ガスタービンエンジン116は、圧縮機134、燃焼器136及びタービン138を含む。圧縮機134は、燃焼器136と流れ連通状態で結合され、燃焼器136は、タービン138の上流に流れ連通状態で結合される。圧縮機134及びタービン138は各々、ロータシャフト140に結合される。さらに、この例示的な実施形態では、ロータシャフト140は、発電機142に結合される。ガスタービンエンジン116は、先行ガスタービンエンジン16と実質的に同一であり、従って遅延ガスタービンエンジン116の作動は、先行ガスタービンエンジン16の作動と実質的に同一である。
【0037】
この例示的な実施形態では、HRSG118は、HPドラム148、IPドラム150及びLPドラム152を含む。HPドラム148は、HP蒸気ヘッダ154と流れ連通状態で結合されて、一層詳しく後述するように、HP蒸気が蒸気タービン20のHPタービン22に送られるのを可能にする。さらに、IPドラム150は、IP蒸気ヘッダ156と流れ連通状態で結合されて、一層詳しく後述するように、IP蒸気つまり高温再熱蒸気が蒸気タービン20のIPタービン24に送られるのを可能にする。LPドラム152は、LP蒸気ヘッダ158と流れ連通状態で結合されて、一層詳しく後述するように、LP蒸気が蒸気タービン20のLPタービン26に送られるのを可能にする。
【0038】
この例示的な実施形態では、HP蒸気ヘッダ154は、少なくとも1つのPTセンサ160、少なくとも1つのHP遮断弁162及び少なくとも1つのHPバイパス弁164を含む。PTセンサ160は、HP蒸気ヘッダ154及び/又はHPドラム148内のHP蒸気の圧力及び温度を測定する。この例示的な実施形態では、HP蒸気ヘッダ154は、少なくとも1つのHP遮断弁162を介してHPタービン22と、及び/又は少なくとも1つのHPバイパス弁164を介して低温再熱蒸気ヘッダ166と流れ連通状態で結合される。一層詳しく後述するように、この例示的な実施形態では、HP遮断弁162は、HP蒸気がHPタービン22に送られるのを可能にするように開放されるか、又はHP蒸気がHPタービン22に送られるのを実質的に防止するように閉鎖されるかのいずれかである。それに代えて、HP遮断弁162は、HP蒸気の少なくとも一部分をHPタービン22に送るのを可能にする複数位置に調整することができる。この例示的な実施形態では、HPバイパス弁164は、低温再熱蒸気ヘッダ166に送られるHP蒸気の量を調量する絞りタイプの弁である。それに代えて、HPバイパス弁164は、システム10が本明細書に記載したように機能するのを可能にするあらゆるタイプの弁とすることができる。
【0039】
低温再熱蒸気ヘッダ166は、少なくとも1つの低温再熱遮断弁168を含む。さらに、低温再熱蒸気ヘッダ166は、HRSG118と流れ連通状態で結合される。より具体的には、この例示的な実施形態では、低温再熱遮断弁168は、HPタービン22とHRSG18との間に結合されて、一層詳しく後述するように、HPタービン22からHRSG118への低温再熱蒸気の流量を制御するのを可能にする。
【0040】
この例示的な実施形態では、IP蒸気ヘッダ156は、少なくとも1つのPTセンサ170、少なくとも1つの高温再熱IP遮断弁172及び少なくとも1つのIPバイパス弁174を含む。PTセンサ170は、IP蒸気ヘッダ156及び/又はIPドラム150内のIP蒸気の圧力及び温度を測定する。さらに、IP蒸気ヘッダ156は、少なくとも1つの高温再熱IP遮断弁172を介してIPタービン24と、及び/又は少なくとも1つのIPバイパス弁174を介して凝縮器76と流れ連通状態で結合される。この例示的な実施形態では、IP遮断弁172は、IP蒸気がIPタービン24に送られるのを可能にするように開放されるか、又はIP蒸気がIPタービン24に送られるのを実質的に防止するように閉鎖されるかのいずれかである。それに代えて、IP遮断弁172は、IP蒸気の少なくとも一部分をIPタービン24に送る可変位置に調整することができる。この例示的な実施形態では、IPバイパス弁174は、凝縮器76に送られるIP蒸気の量を調量する絞りタイプの弁である。それに代えて、IPバイパス弁174は、システム10が本明細書に記載したように機能するのを可能にするあらゆるタイプの弁とすることができる。
【0041】
この例示的な実施形態では、LP蒸気ヘッダ158は、少なくとも1つのPTセンサ178、少なくとも1つのLP遮断弁180及び少なくとも1つのLPバイパス弁182を含む。PTセンサ178は、LP蒸気ヘッダ158及び/又はLPドラム152内のLP蒸気の圧力及び温度を測定する。この例示的な実施形態では、LP蒸気ヘッダ158は、少なくとも1つのLP遮断弁180を介してLPタービン26と、及び/又は少なくとも1つのLPバイパス弁182を介して凝縮器76と流れ連通状態で結合される。この例示的な実施形態では、LP遮断弁180は、LP蒸気がLPタービン26に送られるのを可能にするように開放されるか、又はLP蒸気がLPタービン26に送られるのを実質的に防止するように閉鎖されるかのいずれかとすることができる。それに代えて、LP遮断弁180は、LPタービン26に向かって送られるLP蒸気の少なくとも一部分を調量する可変位置に調整することができる。この例示的な実施形態では、LPバイパス弁182は、凝縮器76に送られるLP蒸気の量を調量する絞りタイプの弁である。それに代えて、LPバイパス弁182は、システム10が本明細書に記載したように機能するのを可能にするあらゆるタイプの弁とすることができる。
【0042】
この例示的な実施形態では、遅延側14は、先行側12と実質的に同一である。従って、先行側12の構成要素の以下の作動説明は、遅延側14の作動及び構成要素にも当てはまる。この例示的な実施形態では、作動時に、先行ガスタービン16から放出された燃焼ガス46は、HRSG18に送り込まれて、該HRSG18で蒸気を発生させるのを可能にする。具体的には、燃焼ガス46は、HRSG18内で水を加熱して、HP、IP及びLPドラム48、50及び52内に蒸気を発生させるのを可能にする。HPドラム48内に発生させたHP蒸気は、先行HP蒸気ヘッダ54に送られる。この例示的な実施形態では、HP遮断弁62は、先行HP蒸気ヘッダ54からHPタービン22に送られるHP蒸気の量を制御する。さらに、HPバイパス弁64は、先行低温再熱蒸気ヘッダ66に送られ、その後先行HRSG18に送り込まれるHP蒸気の量を制御する。従って、弁64は、HPドラム48及び/又は先行HP蒸気ヘッダ54内の蒸気圧を制御する。この例示的な実施形態では、HPタービン22に送られた蒸気は、これを回転させる。さらに、タービン22及びシャフト30の回転により、発電機32の回転が生じ、発電機32は、発電するのを可能にする。HPタービン22から放出された低温再熱蒸気は、低温再熱遮断弁68を介して低温再熱蒸気ヘッダ66を通してHRSG18に送られる。
【0043】
この例示的な実施形態では、低温再熱蒸気は、先行HRSG18内で再加熱され、IPドラム50内に発生させたIP蒸気と混合される。IP蒸気は、先行IP蒸気ヘッダ56に送られる。この例示的な実施形態では、IP遮断弁72は、IP蒸気ヘッダ56からIPタービン24に送られるIP蒸気の量を制御する。さらに、IPバイパス弁74は、先行IP蒸気ヘッダ56から凝縮器76に送られるIP蒸気の量を制御し、従ってIPドラム50及び/又は先行IP蒸気ヘッダ56内の蒸気圧を制御する。この例示的な実施形態では、IPタービン24に送られたIP蒸気は、これを回転させる。タービン24及びシャフト30の回転により、発電機32が回転し、発電機32が、発電するのを可能にする。IPタービン24から放出された蒸気は、IP−LPクロスオーバヘッダ28を介してLPタービン26に送り込まれ、LPタービン26及びシャフト30を回転させる。
【0044】
さらに、この例示的な実施形態では、LPドラム52内に発生させたLP蒸気は、LP蒸気ヘッダ58に送り込まれる。この例示的な実施形態では、LP遮断弁80は、LP蒸気ヘッダ58からLPタービン26にLP蒸気を送るのを可能にする。さらに、LPバイパス弁82は、LP蒸気を凝縮器76に送るのを可能にして、LPドラム52及び/又はLP蒸気ヘッダ58内のLP蒸気の圧力を制御するのを可能にする。この例示的な実施形態では、先行LP蒸気ヘッダ58からLPタービン26に送られたLP蒸気は、これを回転させる。タービン26及びシャフト30の回転は、発電機32を回転させ、発電機32が、発電するのを可能にする。LPタービン26から放出された蒸気は、凝縮器76に送られる。
【0045】
この例示的な実施形態では、システム10はまた、複数の構成要素に相互通信状態で結合された制御装置84を含み、これらの構成要素には、それに限定されないが、遮断弁62、68、72、80、162、168、172及び180、バイパス弁64、74、82、164、174及び182、タービン22、24及び26、並びに複数のPTセンサ60、70、78、160、170及び178が含まれる。具体的には、この例示的な実施形態では、制御装置84は、システム10内の構成要素の各々に信号を送信し、また該構成要素の各々から信号を受信する。1つの実施形態では、制御装置84は、本システム10が本明細書に記載したように機能するのを可能にする、ニューヨーク州スケネクタディ所在のGeneral Electric Power Systemsから購入可能なMark VI SPEEDTRONIC(商標)コントローラのようなあらゆる適当な制御装置である。この例示的な実施形態では、制御装置84は、以下に述べる処理を実行するように制御装置84を構成したエンジン制御ソフトウエアを含むプロセッサベースのシステムである。本明細書で使用する場合に、「プロセッサ」という用語は、当技術分野において正にプロセッサと呼ばれる集積回路に限定されるものではなく、広くコンピュータ、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラム可能論理コントローラ、アプリケーション専用集積回路、及びその他のプログラム可能回路を意味している。
【0046】
制御装置84は、プロセッサ(図示せず)、メモリ(図示せず)、複数の入力チャネル(図示せず)及び複数の出力チャネル(図示せず)を含み、またコンピュータ(図示せず)を含むことができる。本明細書で使用する場合に、コンピュータという用語は、当技術分野において正にコンピュータと呼ばれる集積回路に限定されるものではなく、広くプロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラム可能論理コントローラ、アプリケーション専用集積回路、及びその他のプログラム可能回路を指しており、またこれらの用語は、本明細書では互換可能に使用する。この例示的な実施形態では、メモリは、それに限定されないが、ランダムアクセスメモリのようなコンピュータ可読媒体を含むことができる。それに代えて、大容量記憶装置(図示せず)を使用して、制御装置84が大量のデータを恒久的に保持するのを可能にすることができる。大容量記憶装置には、フロッピー(商標)ディスク、ハードディスク及び光ディスクのようなあらゆるタイプのディスクドライブ、並びにテープからデータ読出しまたテープ上にデータを書込むことができるテープドライブを含むことができ、そのようなテープとしては、デジタルオーディオテープ(「DAT」)、デジタルリニアテープ(「DLT」)又はその他の磁気コード媒体を含むことができる。また、この例示的な実施形態では、複数の入力チャネルは、それに限定されないが、マウス及びキーボードのようなオペレータインタフェースに関連したコンピュータ周辺装置に相当するものとすることができる。それに代えて、例えばスキャナのようなその他のコンピュータ周辺装置も使用することができる。さらに、この例示的な実施形態では、複数の出力チャネルには、それに限定されないが、オペレータインタフェースモニタを含むことができる。
【0047】
この例示的な実施形態では、制御装置84は、本明細書で説明するようにデータ伝送を可能にする複数のワイヤカップリング86を介してシステム構成要素に相互通信状態で結合される。別の実施形態では、制御装置84は、システム10が本明細書に記載したように機能するのを可能にするトランシーバ又はあらゆるその他の無線通信装置を介して、システム構成要素に対しワイヤレス方式で結合される。別の実施形態では、制御装置84は、遠隔位置に置くことができ、またそれに限定されないが、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、ワイヤレスLAN及び/又はワイドエリアネットワーク(「WAN」)のようなネットワークを介してシステム10の構成要素と通信することができる。
【0048】
制御装置84は、システム構成要素から複数の入力を受信し、それらの入力を処理し、少なくとも1つのプログラムアルゴリズム及び/又は離散的状況に基づいて適切な出力を作成しかつ適正なシステム構成要素に信号を送信して、それらの構成要素を制御する。この例示的な実施形態では、制御装置84は、予測アルゴリズムを利用する。1つの実施形態では、制御装置84は、ニューヨーク州スケネクタディ所在のGeneral Electric Power Systemsに譲渡されたD‘Amatoの米国特許出願第2007/0055392号に記載されているようなモデル予測制御(「MPC」)アルゴリズムを利用する。それに代えて、制御装置84は、システム10が本明細書に記載したように機能するのを可能にするあらゆるアルゴリズム及び/又はプログラムを利用することができる。一層詳しく後述するように、この例示的な実施形態では、アルゴリズムは、遅延HRSG18内で発生された遅延蒸気が蒸気タービン20内に送り込まれるか又は混合された場合における、蒸気タービン20内の将来の温度勾配、圧力差又は応力を予測する。予測アルゴリズムは、蒸気タービン20の予測応力を制御装置84内に記憶させた蒸気タービン20の所定の作動パラメータと比較する。
【0049】
この例示的な実施形態では、制御装置84は、先行及び遅延ガスタービンエンジ16及び116によって発生された蒸気が、蒸気タービン20内のあらゆる構成要素に過大応力を加えることなく蒸気タービン20に送り込まれるのを可能にするようにシステム構成要素を制御する。より具体的には、制御装置84は、蒸気タービン20内に生じる応力を蒸気タービン20の所定の作動パラメータの範囲内のレベルまで低下させるのを可能にする。さらに、制御装置84は、遅延蒸気を蒸気タービン20内に混合するのに必要な時間量を最少にするのを可能にする。従って、制御装置84は、蒸気タービン20に過大応力が加わるのを防止するのを可能にし、かつ蒸気タービン20の効率及び寿命を増大させるのを可能にする。
【0050】
この例示的な実施形態では、その中に遅延蒸気を混合するのに先立って、蒸気タービン20に十分な量の先行蒸気を供給して、蒸気タービン20に動力供給するのを可能にする。蒸気タービン20に先行蒸気を供給するために、オペレータは、先ず始めにガスタービンエンジン16を先行タービンとして指定し、また従ってHRSG18を先行HRSGとして使用する。従って、エンジン116及びHRSG118は、遅延構成要素として使用される。先行ガスタービンエンジン16が指定されると、ガスタービンエンジン16の作動が開始されて、燃焼ガス46がHRSG18に送られるようになって、ガスタービンエンジン16が回転される。
【0051】
HRSG18から蒸気タービン20に蒸気を送り込むのに先立って、ヘッダ54、56及び58内には十分な量の蒸気圧を発生させる。この例示的な実施形態では、制御装置84は、遮断弁62、72及び80並びにバイパス弁64、74及び82を選択的に位置決めすることにより、先行HP、IP及びLPヘッダ54、56及び58内の圧力を制御する。より具体的には、この例示的な実施形態では、制御装置84は、論理HP設定ポイントSP1及びSP2(一層詳しく後述する)を使用して、HP遮断弁62及びHPバイパス弁64を制御する。より具体的には、この例示的な実施形態では、制御装置84は、先行HP蒸気ヘッダ54内に発生された蒸気が、時間の経過と共に、蒸気タービン20の所定の作動パラメータを越えることなく蒸気タービン20に送られることを保証するように弁62及び64を制御する。具体的には、この例示的な実施形態では、制御装置84は、HPタービン22の所定の作動パラメータに基づいて、該HPタービン22に送り込むことができる先行HP蒸気ヘッダ54内の最低許容圧力と実質的に等しくなるようにHP設定ポイントSP1を設定する。例えば、先行HP蒸気ヘッダ54内の圧力がHP設定ポイントSP1よりも低い場合には、HPバイパス弁64は、先行HP蒸気ヘッダ54内の圧力を増大させるのを可能にするように閉鎖される。さらに、先行HP蒸気ヘッダ54内の圧力がHP設定ポイントSP1を越える場合には、HPバイパス弁64は、先行HP蒸気ヘッダ54内の圧力を低下させるのを可能にするように開放される。
【0052】
先行HP蒸気ヘッダ54内の圧力がHP設定ポイントSP1と実質的に等しくなった後に、制御装置84は、先行HP蒸気ヘッダ54内の圧力をHP設定ポイントSP1に維持するのを可能にするようにHPバイパス弁64の位置を制御する。次に、制御装置84は、蒸気をHPタービン22に蒸気を送り込むようにHP遮断弁62を開放する。さらに、制御装置84は、HP遮断弁62の開放と同時にか又はHP遮断弁62の開放に先立ってかのいずれかで低温再熱遮断弁68を閉鎖して、HPタービン22から先行HRSG18に低温再熱蒸気を送るのを可能にする。
【0053】
さらに、例示的な実施形態では、制御装置84はまた、論理IP設定ポイントSP1及びSP2を使用してIP遮断弁72及びIPバイパス弁74を制御する。より具体的には、この例示的な実施形態では、制御装置84は、先行IP蒸気ヘッダ56内に含まれた蒸気が、蒸気タービン20の所定の作動パラメータを越えることなくIPタービン24に送られるのを可能にするように弁72及び74を位置決めする。具体的には、この例示的な実施形態では、制御装置84は、該制御装置84内に設定されている所定の作動パラメータに基づいて、IPタービン24に送り込むことができる先行IP蒸気ヘッダ56内の最低許容圧力と実質的に等しくなるようにIP設定ポイントSP1を設定する。例えば、先行IP蒸気ヘッダ56内の圧力がIP設定ポイントSP1よりも低い場合には、制御装置84は、先行IP蒸気ヘッダ56内の圧力を増大させるのを可能にするようにIPバイパス弁74を閉鎖する。さらに、先行IP蒸気ヘッダ56内の圧力がIP設定ポイントSP1を越える場合には、制御装置84は、先行IP蒸気ヘッダ56内の圧力をIP設定ポイントSP1まで低下させるのを可能にするようにIPバイパス弁74を開放する。
【0054】
先行IP蒸気ヘッダ56内の圧力がIP設定ポイントSP1と実質的に等しくなったら、制御装置84は、先行IP蒸気ヘッダ56内の圧力をIP設定ポイントSP1に維持するのを可能にするようにIPバイパス弁74の位置を制御する。制御装置84は次に、蒸気がIPタービン24に送り込まれるのを可能にするようにIP遮断弁72を開放する。IPタービン24から放出された蒸気は、IP−LPクロスオーバヘッダ28を介してLPタービンに送られる。
【0055】
この例示的な実施形態では、制御装置84はまた、論理IP設定ポイントSP1及びSP2を使用してLP遮断弁80及びLPバイパス弁82を制御する。より具体的には、この例示的な実施形態では、制御装置84は、先行LP蒸気ヘッダ58内に含まれた蒸気が、蒸気タービン20の所定の作動パラメータを越えることなくLPタービン26に送られるのを可能にするように弁80及び82を制御する。具体的には、この例示的な実施形態では、制御装置84は、該制御装置84内に設定されている所定の作動パラメータに基づいて、LPタービン26に送り込むことができる先行LP蒸気ヘッダ58内の最低許容圧力と実質的に等しくなるようにLP設定ポイントSP1を設定する。例えば、先行LP蒸気ヘッダ58内の圧力がLP設定ポイントSP1よりも低い場合には、制御装置84は、先行LP蒸気ヘッダ58内の圧力を増大させるのを可能にするようにLPバイパス弁82を閉鎖する。さらに、先行LP蒸気ヘッダ58内の圧力がLP設定ポイントSP1を越える場合には、制御装置84は、先行LP蒸気ヘッダ58内の圧力をLP設定ポイントSP1まで低下させるのを可能にするようにLPバイパス弁82を開放する。
【0056】
先行LP蒸気ヘッダ58内の圧力がLP設定ポイントSP1と実質的に等しくなったら、制御装置84は、先行LP蒸気ヘッダ58内の圧力をLP設定ポイントSP1に維持するのを可能にするようにLPバイパス弁82の位置を制御する。次に制御装置84は、蒸気をLPタービン26に送り込むようにLP遮断弁80を開放する。LPタービン26から放出された蒸気は、凝縮器76に送られて水に凝縮され、水は、その後先行HRSG18に送られる。
【0057】
この例示的な実施形態では、先行ガスタービンエンジン16及び先行HRSG18がHPタービン22に動力供給するのに十分な蒸気の流量を生成するようになると、バイパス弁64が閉鎖され、また制御装置84内にプログラムされた入口圧力制御(「IPC」)ロジカルが、制御装置84にTRUE論理(図示せず)を送信する。TRUE IPC論理を受信したら、制御装置84は、それぞれの先行HP、IP及びLP蒸気ヘッダ54、56及び58内の蒸気圧を制御するためのHP、IP及びLP設定ポイントSP2を使用し始める。より具体的には、制御装置は、設定ポイントSP2を使用して、バイパス弁64、74及び82を閉鎖することによって、HRSG18で発生された蒸気を蒸気タービン20に送るのを可能にする。この例示的な実施形態では、各設定ポイントSP2は一般的に、各先行ヘッダ54、56及び58についての設定ポイントSP2の値が一般的にほぼ各先行ヘッダ54、56及び58内の圧力にバイアスを加えたものに設定されるようになったスライド設定ポイントである。その結果、各設定ポイントSP2の値は一般的に、各それぞれの先行ヘッダ54、56及び58内の圧力よりも高く、そのことは、それぞれのバイパス弁64、74及び82を閉鎖状態に保つことを可能にする。従って、先行ヘッダ54、56及び58内の実質的に全ての蒸気が、蒸気タービン20に送り込まれる。
【0058】
さらに、制御装置84がIPCからTRUE論理を受信すると、制御装置84は、モデル予測制御アルゴリズムを起動させ、モデル予測制御アルゴリズムは、一層詳しく後述するように、遅延蒸気が蒸気タービン20内に混合された場合における蒸気タービン20の最大予測応力を計算し始める。
【0059】
図2は、蒸気を蒸気タービン20に送り込む例示的な方法200のフロー図である。最初に、燃焼ガス146が遅延ガスタービン116から遅延HRSG118に送られて、該遅延HRSG118内に遅延蒸気を発生させるのを可能にする202。この例示的な実施形態では、オペレータは、遅延ガスタービンエンジン116が作動しておりかつ蒸気を発生させていることを確認する。それに代えて、制御装置84は、遅延ガスタービンエンジン116が作動しておりかつ蒸気を発生させているかどうかを確認することができる。遅延ガスタービンエンジン116が作動していない場合には、オペレータは、遅延ガスタービンエンジン116の作動を開始させる。それに代えて、制御装置84は、遅延ガスタービンエンジン116の作動を確認するか又はその作動を開始させることができる。上述したように、先行蒸気が先行HRSG18から蒸気タービン20に送られて204、蒸気タービン20に動力供給するのを可能にする。
【0060】
制御装置84は、遅延HRSG118内に、より具体的には遅延ヘッダ154、156及び158内に遅延蒸気圧を発生させるのを可能にする206。さらに、制御装置84は、バイパス弁164、174及び182を制御して、遅延ヘッダ154、156及び158内の圧力をそれぞれのHP、IP及びLPタービン22、24及び26内の圧力の所定の範囲に実質的に等しくなるように、及び/又は該所定の範囲内になるように維持する208。より具体的には、この例示的な実施形態では、制御装置84は、論理HP設定ポイントSP1及びSP3を使用して、HP遮断弁162及びHPバイパス弁164を制御する208。具体的には、この例示的な実施形態では、制御装置84は、HPタービン22内の先行蒸気の圧力と実質的に等しくなるように、HP設定ポイントSP1を確立する。それに代えて、HP設定ポイントSP1は、HPタービン22内の先行蒸気圧の所定の圧力範囲内にある圧力に設定することができる。例えば、遅延HP蒸気ヘッダ154内の圧力がHP設定ポイントSP1よりも低い場合には、制御装置84は、HPバイパス弁164を閉鎖して、遅延HP蒸気ヘッダ154内の圧力を増大させるのを可能にする。さらに、遅延HP蒸気ヘッダ154内の圧力がHP設定ポイントSP1を越える場合には、制御装置84は、HPバイパス弁164を開放して、遅延HP蒸気ヘッダ154内の圧力をHP設定ポイントSP1まで低下させるのを可能にする。遅延HP蒸気ヘッダ154内の圧力がHP設定ポイントSP1と実質的に等しくなったら、制御装置84は、HPバイパス弁164の可変位置を制御して、遅延HP蒸気ヘッダ154内の圧力をHP設定ポイントSP1に維持する208。
【0061】
さらに、この例示的な実施形態では、制御装置84はまた、論理IP設定ポイントSP1及びSP3を使用して、IP遮断弁172及びIPバイパス弁174を制御する208。具体的には、この例示的な実施形態では、制御装置84は、IPタービン24内の蒸気圧と実質的に等しくなるように、IP設定ポイントSP1を確立する。それに代えて、IP設定ポイントSP1は、IPタービン24内の先行蒸気圧の所定の圧力範囲内にある圧力に設定することができる。例えば、遅延IP蒸気ヘッダ156内の圧力がIP設定ポイントSP1よりも低い場合には、制御装置84は、IPバイパス弁174を閉鎖して、遅延IP蒸気ヘッダ156内の圧力を増大させるのを可能にする。さらに、遅延IP蒸気ヘッダ156内の圧力がIP設定ポイントSP1を越える場合には、制御装置84は、IPバイパス弁174を開放して、遅延IP蒸気ヘッダ156内の圧力をIP設定ポイントSP1まで低下させるのを可能にする。遅延IP蒸気ヘッダ156内の圧力がIP設定ポイントSP1と実質的に等しくなったら、制御装置84は、IPバイパス弁174の可変位置を制御して、遅延IP蒸気ヘッダ156内の圧力をIP設定ポイントSP1に維持するのを可能にする208。
【0062】
この例示的な実施形態では、制御装置84はまた、論理LP設定ポイントSP1及びSP3を使用して、LP遮断弁180及びLPバイパス弁182を制御する208。具体的には、この例示的な実施形態では、制御装置84は、LPタービン26内の先行蒸気圧と実質的に等しくなるように、LP設定ポイントSP1を設定する。それに代えて、LP設定ポイントSP1は、LPタービン26内の先行蒸気圧の所定の圧力範囲内にある圧力に設定することができる。例えば、遅延LP蒸気ヘッダ158内の圧力がLIP設定ポイントSP1よりも低い場合には、制御装置84は、LPバイパス弁182を閉鎖して、遅延LP蒸気ヘッダ158内の圧力を増大させるのを可能にする。さらに、遅延LP蒸気ヘッダ158内の圧力がLP設定ポイントSP1を越える場合には、制御装置84は、LPバイパス弁182を開放して、遅延LP蒸気ヘッダ156内の圧力をLP設定ポイントSP1まで低下させるのを可能にする。遅延LP蒸気ヘッダ158内の圧力がLP設定ポイントSP1と実質的に等しくなったら、制御装置84は、LPバイパス弁182の可変位置を制御して、遅延LP蒸気ヘッダ158内の圧力をLP設定ポイントSP1に維持するのを可能にする208。
【0063】
次に、先行及び遅延蒸気の化学組成が測定される210。より具体的には、この例示的な実施形態では、制御装置84は、先行及び遅延蒸気の化学組成に基づいて、遅延蒸気を先行蒸気内に混合することが許容されるどうかを判定する210。この例示的な実施形態では、オペレータは、遅延蒸気及び/又は先行蒸気の化学組成を手作業で測定して、そのデータを制御装置84に入力する210。それに代えて、制御装置84は、先行蒸気ヘッダ54、56及び58、遅延蒸気ヘッダ154、156及び158、並びに蒸気タービン20の少なくとも1つに結合された複数のセンサ(図示せず)を使用して、先行蒸気及び/又は遅延蒸気の化学組成を自動的に試験することができる。この例示的な実施形態では、オペレータは、それに限定されないが、ナトリウム、ケイ素、塩基及び硫黄を含む濃度について先行及び遅延蒸気を試験する。制御装置84は、先行蒸気の化学組成を遅延蒸気の化学組成と比較して、先行及び遅延蒸気の混合物の化学組成が制御装置84内に設定された所定の混合パラメータの範囲内にあるかどうかを判定するステップ212。遅延蒸気が混合に適した化学組成を有すると制御装置84が判定した場合には、制御装置84は、化学組成論理をTRUEに設定する210。
【0064】
次に、制御装置84は、それに限定されないが、HPタービン22及びIPタービン24の表面温度及びボア温度を含む蒸気タービン20構成要素の温度を測定する214。さらに、制御装置84は、蒸気タービン20内の現在の応力変化速度(stress rate of change)を計算する216。より具体的には、この例示的な実施形態では、制御装置84は、蒸気タービン20構成要素の温度勾配がその速度で変化している応力速度を計算する216。例えば、蒸気タービン20への先行蒸気の流量が一定である場合には、蒸気タービン構成要素の温度勾配は、蒸気タービン構成要素の温度が互いに均一になるような応力速度(stress rate)で消散することになる。さらに、制御装置84は、遅延蒸気が蒸気タービン20に送り込まれた場合における該蒸気タービン20内の予測応力変化速度を計算する218。具体的には、この例示的な実施形態では、制御装置84は、遅延蒸気が蒸気タービン20に送り込まれた場合にその速度で温度勾配が発生する予測応力速度を計算する218。
【0065】
この例示的な実施形態では、制御装置84はまた、予測アルゴリズムを使用して、最大予測応力が計算される時点において遅延蒸気が蒸気タービン20内に混合された場合における該蒸気タービン20の最大予測応力を計算する220。別の実施形態では、制御装置84は、モデル予測制御を使用して最大予測応力を計算する220。本明細書で使用する場合に、「最大予測応力」という用語は、遅延蒸気が蒸気タービン20内に混合された時点から後の所定の時点における蒸気タービン20内の最大応力である。さらに、制御装置84は、蒸気タービン20の所定の温度と遅延HP及びIP蒸気ヘッダ154及び156の圧力及び温度とに基づいて、蒸気タービン20内の最大予測応力を計算する220。この例示的な実施形態では、予測アルゴリズムは、約1時間後における蒸気タービン20の最大予測応力を計算する220。それに代えて、予測アルゴリズムは、システム10が本明細書に記載したように機能するのを可能にする将来の任意の時点において蒸気タービン20の最大予測応力を計算することができる220。蒸気タービン20の最大予測応力が該蒸気タービン20の所定の最大作動応力よりも低いと予測アルゴリズムが判定した場合には、予測アルゴリズムは、制御装置84内で非過大応力論理をTRUEに設定する。
【0066】
遅延HP及びIPヘッダ154及び156内の圧力がそれぞれのタービン22及び24内の圧力と実質的に等しくなり、化学組成論理がTRUEに設定され、かつ非過大応力論理がTRUEに設定されたら、制御装置84は次に、混合開始点を決定する222。この例示的な実施形態では、制御装置84は、予測アルゴリズムを使用してバイパス弁閉鎖速度を計算する224。この例示的な実施形態では、バイパス弁閉鎖速度は、バイパス弁164、174及び182が閉鎖する速度を制限するのを可能にする。より具体的には、バイパス弁閉鎖速度は、蒸気タービン20内の応力が該蒸気タービン20の所定の作動パラメータを越えるのを防止するのを可能にする。
【0067】
開始点が決定されたら222、制御装置84は、それぞれのHP、IP及びLP設定ポイントSP3を使用して、遮断弁162、168、172及び180並びにバイパス弁164、174及び182を自動的に調整して、遅延蒸気を蒸気タービン20に送り込むのを可能にする。この例示的な実施形態では、各設定ポイントSP3は一般的に、該設定ポイントSP3の値が各それぞれの遅延ヘッダ154、156及び158内の圧力よりも一般的に大きくてそれぞれのバイパス弁164、174及び182が閉鎖することになるようなスライド設定ポイントである。具体的には、設定ポイントSP3の値はまた、バイパス弁164、174及び182が閉鎖する速度を調整するのを可能にするバイパス弁閉鎖速度を含む。制御装置84は、開始点が決定されたら222、遮断弁162、168、172及び180を自動的に開放して228、遅延蒸気を蒸気タービン20に送るのを可能にする。制御装置84は次に、バイパス弁閉鎖速度でバイパス弁164、174及び182を自動的に閉鎖して、蒸気タービン20の所定の最大作動応力を越えることなく、該蒸気タービン20に送り込まれる遅延蒸気の量を増加させるのを可能にする。さらに、制御装置84は、遅延蒸気を蒸気タービン20内に送り込みかつ完全に混合させるのに必要な時間量を最小にするのを可能にする。その結果、制御装置84は、蒸気タービン20内の過大応力状態を防止するのを可能にし、かつ蒸気タービン20の効率及び寿命を増大させるのを可能にする。
【0068】
本明細書で使用する場合に、前に数詞のない要素又はステップの表現は、そうではないことを明確に述べていない限り複数のそのような要素又はステップの存在を排除するものではないと理解されたい。さらに、本発明の「1つの実施形態」という表現は、記載した特徴を同様に組入れた付加的な実施形態の存在を排除するものとして解釈されることを意図するものではない。
【0069】
以上、蒸気を蒸気タービンに送り込むためのシステム及び方法の例示的な実施形態について詳細に説明している。この説明したシステム及び方法は、本明細書に記載した特定の実施形態に限定されるものではなく、むしろそのシステムの構成要素は、本明細書に記載したその他の構成要素とは独立してかつ別個に利用することができる。さらに、この方法に記載したステップは、本明細書に記載したその他のステップとは独立してかつ別個に利用することができる。
【0070】
様々な特定の実施形態に関して本発明を説明してきたが、本発明が特許請求の範囲の技術思想及び技術的範囲内の変更で実施することができるということは、当業者には分かるであろう。
【符号の説明】
【0071】
10 複合サイクル発電システム
12 先行側
14 遅延側
16 ガスタービンエンジン
18 熱回収蒸気発生器(HRSG)
20 蒸気タービン
22 高圧(HP)タービン
24 中圧(IP)タービン
26 低圧(LP)タービン
28 IP−LPクロスオーバヘッダ
30 ロータシャフト
32 発電機
34 圧縮機
36 燃焼器
38 タービン
40 ロータシャフト
42 発電機
44 燃料
46 燃焼ガス
48 HPドラム
50 IPドラム
52 LPドラム
54 HP蒸気ヘッダ
56 IP蒸気ヘッダ
58 LP蒸気ヘッダ
60 圧力及び温度(PT)センサ
62 HP遮断弁
64 HPバイパス弁
66 低温再熱蒸気ヘッダ
68 低温再熱遮断弁
70 PTセンサ
72 IP遮断弁
74 IPバイパス弁
76 凝縮器
78 PTセンサ
80 LP遮断弁
82 LPバイパス弁
84 制御装置
86 ワイヤカップリング
116 ガスタービンエンジン
118 熱回収蒸気発生器(HRSG)
134 圧縮機
136 燃焼器
138 タービン
140 ロータシャフト
142 発電機
146 燃焼ガス
148HPドラム
150 IPドラム
152 LPドラム
154 HP蒸気ヘッダ
156 IP蒸気ヘッダ
158 LP蒸気ヘッダ
160 PTセンサ
162 HP遮断弁
164 HPバイパス弁
166 低温再熱蒸気ヘッダ
168 低温再熱遮断弁
170 PTセンサ
172 IP遮断弁
174 IPバイパス弁
178 PTセンサ
180 LP遮断弁
182 LPバイパス弁
200 方法
202 第2のガスタービンから第2のHRSGに高温排気を送る
204 第1のHRSGから蒸気タービンに第1の蒸気を送る
206 第2のHRSG内で第2の蒸気を発生させる
208 バイパス弁及び遮断弁の少なくとも1つを制御する
210 第1及び第2の蒸気の化学組成を測定する
212 第2の蒸気の化学組成を第1の蒸気の化学組成と比較して、化学組成が所定の範囲内にあるかどうかを判定する
214 蒸気タービン構成要素の温度を測定する
216 蒸気タービン内の現在の応力変化速度を計算する
218 蒸気タービン内の予測応力変化速度を計算する
220 予測アルゴリズムを使用して蒸気タービンの最大予測応力を計算する
222 混合開始点を決定する
224 予測アルゴリズムを使用してバイパス弁閉鎖速度を計算する
226 遮断弁及びバイパス弁を自動的に調整する。
228 開始点が決定されたら、遮断弁を自動的に開放する
230 バイパス弁閉鎖速度でバイパス弁を自動的に閉鎖する

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合サイクル発電システムにおいて蒸気タービン(20)を作動させるための制御システムであって、該制御システムが、
前記蒸気タービンに動力供給するのを可能にする第1の量の蒸気を第1の蒸気発生器(32)から該蒸気タービンに送り、
前記蒸気タービンと流れ連通状態で結合された第2の蒸気発生器内で第2の量の蒸気を発生させ、
前記第2の量の蒸気が前記第2の蒸気発生器から前記蒸気タービンに送り込まれた場合における該蒸気タービン内の予測応力レベルを計算し、
前記第2の量の蒸気を前記蒸気タービンに送り込む開始時間を、前記計算予測応力レベルが該蒸気タービンの所定の応力限界値を越えることがないように決定し、かつ
前記決定開始時間に前記第2の蒸気発生器から前記蒸気タービンに前記第2の量の蒸気を自動的に送る、ように構成される、
制御システム。
【請求項2】
複数の蒸気タービン構成要素の温度を測定し、
前記複数の蒸気タービン構成要素の現在の応力変化速度を計算し、かつ
前記第2の量の蒸気が前記第2の蒸気発生器から前記蒸気タービンに送り込まれた場合における前記複数の蒸気タービン構成要素の予測応力変化速度を計算する、ようにさらに構成される、
請求項1記載の制御システム。
【請求項3】
少なくとも1つの遮断弁及び少なくとも1つのバイパス弁の少なくとも1つを、第2の蒸気圧を第1の蒸気圧の所定の範囲内に維持するのを可能にするように制御するようにさらに構成される、請求項1又は2記載の制御システム。
【請求項4】
第1及び第2の蒸気流の化学組成を測定し、かつ
前記第2の蒸気流の化学組成を前記第1の蒸気流の化学組成と比較して、該第2の蒸気流及び第1の蒸気流の混合物の化学組成が前記蒸気タービン(20)の所定の作動パラメータの範囲内にあるかどうかを判定する、ようにさらに構成される、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項5】
前記計算予測応力レベルが前記蒸気タービン(20)の所定の応力限界値を越えるのを防止するのを可能にするバイパス弁閉鎖速度を計算するようにさらに構成される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項6】
少なくとも1つの遮断弁(62、68、72、80、162、168、172、180)を前記決定開始時間に開放して、前記第2の量の蒸気を前記蒸気タービンに送り込むのを可能にし、かつ
少なくとも1つのバイパス弁(64、74、82、164、174、182)をバイパス弁閉鎖速度で閉鎖して、前記蒸気タービンに送られる前記第2の量の蒸気を増加させるのを可能にする、ようにさらに構成される、
請求項1又は2に記載の制御システム。
【請求項7】
予測応力レベルを計算し、かつ
モデル予測制御を使用して前記開始時間を決定する、ようにさらに構成される、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項8】
蒸気タービン(20)と、
前記蒸気タービンと流れ連通状態で結合された第1の蒸気発生器(18)と流れ連通状態で結合された第1の燃焼タービン(38)と、
前記蒸気タービンと流れ連通状態で結合された第2の蒸気発生器(118)と流れ連通状態で結合された第2の燃焼タービン(138)と、
前記第1の蒸気発生器、第2の蒸気発生器及び蒸気タービンの少なくとも1つに相互通信状態で結合された制御装置(84)と、
を含み、前記制御装置が、
前記蒸気タービンに動力供給するのを可能にする第1の量の蒸気を前記第1の蒸気発生器から該蒸気タービンに送り、
前記蒸気タービンと流れ連通状態で結合された前記第2の蒸気発生器内で第2の量の蒸気を発生させ、
前記第2の量の蒸気が前記第2の蒸気発生器から前記蒸気タービンに送り込まれた場合における該蒸気タービン内の予測応力レベルを計算し、
前記第2の量の蒸気を前記蒸気タービンに送り込む開始時間を、前記計算予測応力レベルが該蒸気タービンの所定の応力限界値を越えることがないように決定し、かつ
前記決定開始時間に前記第2の蒸気発生器から前記蒸気タービンに前記第2の量の蒸気を自動的に送る、ように構成される、
複合サイクル発電システム(10)。
【請求項9】
前記制御装置(84)が、前記計算予測応力レベルが前記蒸気タービン(20)の所定の応力限界値を越えるのを防止するのを可能にするバイパス弁(64、74、82、164、174、182)閉鎖速度を計算するようにさらに構成される、請求項8記載の複合サイクル発電システム(10)。
【請求項10】
前記制御装置(84)が、
第1及び第2の蒸気流の化学組成を測定し、かつ
前記第2の蒸気流の化学組成を前記第1の蒸気流の化学組成と比較して、該第2の蒸気流及び第1の蒸気流の混合物の化学組成が前記蒸気タービン(20)の所定の作動パラメータの範囲内にあるかどうかを判定する、ようにさらに構成される、
請求項8又は9に記載の複合サイクル発電システム(10)。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−209931(P2009−209931A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−41706(P2009−41706)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】