説明

蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを含むフィルム

【課題】フィルムにした際に、蒸着強度、耐ブロッキング性およびヒートシール強度に優れ、溶媒抽出成分量の少ない蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】プロピレンに由来する構造単位が主な構造単位であるプロピレン系重合体成分(成分(A))60〜90重量%と、エチレンに由来する構造単位の含有量が20〜40重量%であり、極限粘度([η]B)が3〜8dL/gであるプロピレン−エチレン共重合体成分(成分(B))10〜40重量%とを含む蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物(但し、成分(A)と成分(B)との合計の重量を100重量%とする。)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムにした際に、蒸着強度、耐ブロッキング性およびヒートシール強度に優れ、溶媒抽出成分量の少ない蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを含むフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレンは、機械的強度に優れるため、包装材料の分野で幅広く用いられており、ガスバリヤー性や遮光性を付与するために、アルミニウム等の金属を蒸着して使用されている。しかし、ポリプロピレン蒸着フィルムは、フィルムと蒸着膜との接着強度すなわち蒸着強度が低いことから、蒸着強度に優れた蒸着ポリプロピレンフィルムの開発が望まれている。さらに、蒸着工程のフィルムのハンドリングの観点から、耐ブロッキング性が良好であり、包装袋としての強度を発現するために、ヒートシール強度に優れたフィルムであることが求められる。また、食品包装用途に用いるためには、溶媒抽出成分が少ないフィルムであることが要求される。
【0003】
例えば、特許文献1には、ポリプロピレンホモポリマー及びエチレン−プロピレンコポリマーからなり、コポリマーにおけるエチレンの含有量がコポリマー全量に対して25〜55重量%、コポリマーの極限粘度[η]RCが1.7〜2.8dL/g、コポリマーにおけるエチレンの含有量がコポリマー全量に対して25〜55重量%かつ組成物におけるコポリマーの含有量が組成物全量に対して22〜40重量%のポリプロピレン系組成物を主原料として形成されるフィルムが蒸着強度を改善できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−1769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載のアルミニウム蒸着用フィルムでは、耐ブロッキング性が不十分であったり、ヒートシール強度が低いために重量物用の包装袋に使用できなかったりという問題があった。そのため、蒸着強度、耐ブロッキング性およびヒートシール強度に優れ、溶媒抽出成分量の少ない金属蒸着用フィルムの開発が望まれている。
本発明の目的は、フィルムにした際に、蒸着強度、耐ブロッキング性およびヒートシール強度に優れ、溶媒抽出成分量の少ない蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを含むフィルムを提供することにある。
【0006】
本発明者らは、鋭意検討の結果、本発明が、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、プロピレンに由来する構造単位が主な構造単位であるプロピレン系重合体成分(成分(A))60〜90重量%と、エチレンに由来する構造単位の含有量が20〜40重量%であり、極限粘度([η]B)が3〜8dL/gであるプロピレン−エチレン共重合体成分(成分(B))10〜40重量%とを含む蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物(但し、成分(A)と成分(B)との合計の重量を100重量%とする。)に係るものである。
また、本発明は、上記蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物を含む蒸着用ポリプロピレンフィルム、上記蒸着用ポリプロピレンフィルムに、アルミニウムを蒸着して得られる積層フィルムに係るものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、蒸着強度、耐ブロッキング性およびヒートシール強度に優れ、溶媒抽出成分量の少ない蒸着用ポリプロピレンフィルムを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物は、プロピレンに由来する構造単位が主な構造単位であるプロピレン系重合体成分(以下、「成分(A)」と記載することがある。)と、エチレンに由来する構造単位の含有量が20〜40重量%であり、極限粘度が3〜8dL/gであるプロピレン−エチレン共重合体成分(以下、「成分(B)」と記載することがある。)とを含有する。
【0010】
成分(A)におけるプロピレンに由来する構造単位の含有量として、好ましくは、90〜100重量%であり、より好ましくは、95〜100重量%であり、更に好ましくは、100重量%である。
【0011】
成分(A)には、必要に応じて、エチレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィンを共重合させることができ、エチレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィンに由来する構造単位の含有量として、好ましくは、10重量%以下であり、より好ましくは、5重量%以下である。炭素数4〜12のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられ、好ましくは、1−ブテンである。成分(A)として、好ましくは、プロピレンの単独重合体である。
【0012】
成分(B)におけるエチレンに由来する構造単位の含有量としては、20〜40重量%であり、好ましくは、25〜35重量%である(但し、成分(B)の重量を100重量%とする)。20重量%未満の場合、蒸着適性に劣る(蒸着強度が低い)ことがあり、40重量%を超えた場合、食品用途への適性に劣る(溶媒抽出成分量が多い)ことがある。また、成分(B)は、エチレンに由来する構造単位の他に、プロピレンに由来する構造単位を有し、プロピレンに由来する構造単位の含有量としては、60〜80重量%(但し、エチレンに由来する構造単位の含有量とプロピレンに由来する構造単位の含有量との合計を100重量%とする。)であり、好ましくは、65〜75重量%である。
【0013】
本発明の蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物における成分(A)の含有量としては、60〜90重量%であり、成分(B)の含有量としては、10〜40重量%である(但し、成分(A)と成分(B)の合計を100重量%とする)。好ましくは、成分(A)の含有量は75〜85重量%であり、成分(B)の含有量は15〜25重量%である。成分(A)の含有量が60重量%未満である(すなわち、成分(B)の含有量が40重量%を超える)場合、食品包装袋としての適性に劣る(溶媒抽出成分量が増大する)ことがあり、成分(A)の含有量が90重量%を超える(すなわち、成分Bの含有量が10重量%未満となる)場合、蒸着適性に劣る(蒸着強度が低い)ことがある。
【0014】
本発明の蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物における成分(B)の極限粘度(以下、「[η]B」と記載することがある。)としては、3〜8dL/gであり、好ましくは、3〜5dL/gであり、より好ましくは、3〜4dL/gである。[η]Bが3dL/g未満の場合、ヒートシール強度が不十分となることがあり、[η]Bが8dL/gを超える場合、外観が悪化(フィッシュアイが増加)することがある。
【0015】
本発明の蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物における成分(A)の極限粘度(以下、「[η]A」と記載することがある。)に対する[η]Bの比(以下、「[η]B/[η]A」と記載することがある。)として、好ましくは、0.9≦[η]B/[η]A≦5.0の範囲であり、より好ましくは、1.5≦[η]B/[η]A≦4.0である。[η]B/[η]A≧0.9であるとヒートシール強度に優れ、[η]B/[η]A≦5.0であると、フィルムの外観(フィッシュアイ数)に優れる。
【0016】
本発明の蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法としては、例えば、
(1)成分(A)と、成分(B)を、溶融混練して製造する方法、
(2)立体規則性触媒を用いて、成分(A)を重合した後、連続して成分(B)を重合してプロピレン系共重合体を製造する方法、
(3)立体規則性触媒を用いて、プロピレンに由来する構造単位が主な構造単位であるプロピレン系重合体成分(以下、「成分(A1)」と記載することがある。)を重合した後、連続して、エチレンに由来する構造単位の含有量が20〜40重量%であり、極限粘度が3〜8dL/gであるプロピレン−エチレン共重合体成分(以下、「成分(B1)」と記載することがある。)を重合して得られたプロピレン系共重合体と、プロピレンに由来する構造単位が主な構造単位であるプロピレン系重合体成分(以下、「成分(A2)」と記載することがある。)および/またはエチレンに由来する構造単位の含有量が20〜40重量%であり、極限粘度が3〜8dL/gであるプロピレン−エチレン共重合体成分(以下、「成分(B2)」と記載することがある。)を溶融混練して製造する方法、
等が挙げられる。
好ましくは、立体規則性触媒を用いて、成分(A1)を重合した後、連続して、成分(B1)を重合して得られたプロピレン系共重合体と、成分(A2)を溶融混練して製造する方法である。
【0017】
立体規則性触媒としては、例えば、固体状チタン触媒成分と、有機金属化合物触媒成分と、さらに必要に応じて用いられる電子供与体とを接触させて形成される触媒、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物と、アルキルアルミノキサンとを接触させて形成される触媒系、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物と、有機アルミニウム化合物とを接触させて形成される触媒が挙げられる。中でも好ましくは、固体状チタン触媒成分と、有機金属化合物触媒成分と、さらに必要に応じて用いられる電子供与体とを接触させて形成される触媒である。
【0018】
固体状チタン触媒成分としては、例えば、ケイ素化合物の存在下に、チタン化合物を有機マグネシウム化合物で還元して得られる固体触媒成分前駆体と、ハロゲン化化合物(例えば、四塩化チタン)と、電子供与体(例えば、エーテル化合物、エーテル化合物とエステル化合物の混合物)とを接触させて形成される三価のチタン化合物含有固体触媒成分が挙げられる。
【0019】
有機金属化合物触媒成分としては、例えば、少なくとも分子内に一個のAl−炭素結合を有する有機アルミニウム化合物が挙げられ、好ましくは、トリアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウムとジアルキルアルミニウムハライドとの混合物、または、アルキルアルモキサンであり、より好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドとの混合物またはテトラエチルジアルモキサンである。
【0020】
電子供与体としては、例えば、酸素含有化合物、窒素含有化合物、リン含有化合物、硫黄含有化合物が挙げられ、好ましくは、酸素含有化合物または窒素含有化合物であり、より好ましくは、酸素含有化合物であり、更に好ましくは、アルコキシケイ素類またはエーテル類である。
【0021】
具体的には、例えば、Si−O結合を有するケイ素化合物の存在下に、一般式Ti(OR4−n(Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Xは、ハロゲン原子を表し、nは0<n≦4の数字を表す。)で表されるチタン化合物を、有機マグネシウム化合物で還元して得られる固体生成物と、エステル化合物及びエーテル化合物と、四塩化チタンとを接触させて形成される三価のチタン化合物含有固体触媒成分(以下、「成分(a)」と記載することがある。)と、有機アルミニウム化合物(以下、「成分(b)」と記載することがある。)と、Si−OR結合(Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)を有するケイ素化合物(以下、「成分(c)」と記載することがある。)とを接触させて形成される触媒が挙げられる。
【0022】
また、有機アルミニウム化合物の使用量としては、成分(b)中のAl原子/成分(a)中のTi原子のモル比として、通常、1〜2000であり、好ましくは、5〜1500であり、成分(c)/成分(b)中のAl原子のモル比として、通常、0.02〜500であり、好ましくは、0.05〜50である。
【0023】
本発明の蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物を製造するための重合方法は、例えば、バッチ式(ひとつの反応槽に原料を投入して反応させる形式)で行ってもよいし、連続式(複数の反応槽を連結して、各槽で順次反応させる方式)で行ってもよい。また、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンのごとき不活性炭化水素溶媒によるスラリー重合もしくは溶液重合、重合温度において液状のオレフィンを媒体としたバルク重合または気相重合、および、それらを連続的に行うバルク−気相重合法等が挙げられ、好ましくは、生産性の観点から、実質的に不活性炭化水素溶媒の不存在下に、第一工程でプロピレンに由来する構造単位が主な構造単位である重合体成分(成分(A))を製造し、次いで、第二工程で気相中プロピレンとエチレンを重合しプロピレン−エチレン共重合体成分(成分(B))を製造する方法である。重合温度としては、通常、−30〜300℃であり、好ましくは、20〜180℃である。重合圧力としては、工業的かつ経済的であるという点で、通常、常圧〜10MPaであり、好ましくは、200kPa〜5MPaである。特に後述の第二工程が気相重合であることが好ましい。
【0024】
蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物の成分(A)および成分(B)の極限粘度、エチレン含量の調整方法としては、重合時の各工程で水素ガスや金属化合物などの分子量調節剤およびエチレンを適切な量を加える方法、重合時の温度・圧力などを調節する方法が挙げられる。
【0025】
蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物の成分(A)および成分(B)のそれぞれの含有量は、プロピレン系共重合体製造時の重合時間、重合槽の大きさ、重合槽中の重合体の保持量、重合温度、重合圧力などにより制御することができる。また、プロピレンに由来する構造単位が主な構造単位であるプロピレン系重合体成分(成分(A1))と、エチレンに由来する構造単位の含有量が20〜40重量%であり、極限粘度が3〜8dL/gであるプロピレン−エチレン共重合体成分(成分(B1))とを含むプロピレン系共重合体と、プロピレンに由来する構造単位が主な構造単位であるプロピレン系重合体成分(成分(A2))および/またはエチレンに由来する構造単位の含有量が20〜40重量%であり、極限粘度が3〜8dL/gであるプロピレン−エチレン共重合体成分(成分(B2))とを溶融混練する際の混合比により制御してもよい。
【0026】
上記の溶融混練は、従来公知の方法及び装置を用いて行うことができる。例えば、成分(A1)および成分(B1)からなるプロピレン系共重合体と、成分(A2)および/または成分(B2)と、各種添加剤とを、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、タンブルミキサー等の混合装置を用いて混合した後、溶融混練する方法;定量供給機を用いて、一定の割合で、成分(A1)および成分(B1)からなるプロピレン系共重合体と、成分(A2)および/または成分(B2)と、各種添加剤とをそれぞれ連続的に供給することによって均質な混合物を得た後、該混合物を、単軸又は二軸以上の押出機、バンバリーミキサー、ロール式混練機等を用いて、溶融混練する方法が挙げられる。
【0027】
上記の溶融混練温度は、180℃〜350℃であることが好ましい。より好ましくは、180℃〜320℃であり、更に好ましくは、180℃〜300℃である。
【0028】
本発明で用いられる蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物には、本発明の目的及び効果を損なわない範囲で、必要に応じて、添加剤やその他の樹脂を添加しても良い。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、防曇剤、アンチブロッキング剤等が挙げられる。
【0029】
酸化防止剤は、公知のものを使用することができ、酸化防止剤とは、ポリプロピレン系樹脂の熱、光、酸素、等による分解を防止する作用を有する化合物である。例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ヒドロキシルアミン系酸化防止剤、金属不活性化剤等が挙げられ、好ましくは、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤である。
【0030】
上記のフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤または片ヒンダードフェノール系酸化防止剤である、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス[メチレン−3(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート] 、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオビス−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)(ケミノックス1129)、2,2’−ブチリデン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート、ビタミンEに代表されるα−トコフェロール類等が挙げられる。
【0031】
上記のリン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4'−ジフェニレンジホスホナイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2'−エチリデンビス(4,6
−ジ−t−ブチルフェニル)フルオロホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)メチルホスファイト、2−(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)−5−エチル−5−ブチル−1,3,2−オキサホスホリナン、2,2',2''−ニトリロ[トリエチル−トリス(3,3',5,5'−テトラ−t−ブチル−1,1'−ビフェニル−2,2'−ジイル
)ホスファイト、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジ
オキサホスフェピン、及びこれらの少なくとも2種類以上の混合物等が挙げられる。
【0032】
その他の樹脂としては、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂、エチレンとα−オレフィンの共重合体であるエラストマー等が挙げられ、これらは不均一系触媒で製造されたものであっても、均一系触媒(例えば、メタロセン触媒等)で製造されたものであっても良い。さらに、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体やスチレン−イソプレン−スチレン共重合体を水添したスチレン系共重合体ゴム等のエラストマーが挙げられる。
【0033】
本発明の蒸着用ポリプロピレンフィルムは、本発明の蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物を含むフィルムである。フィルムの層厚みは10〜500μmであり、好ましくは、10〜100μmである。また、本発明の蒸着用ポリプロピレンフィルムは、本発明の蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物を含む層と他の層とを積層した多層の積層フィルムであってもよい。
【0034】
本発明の蒸着用ポリプロピレンフィルムの製造する方法としては、通常用いられるインフレーション法、Tダイ法、カレンダー法等を用いて、単独で本発明の蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物を製膜する方法、または、本発明の蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物および異なる樹脂を用いて得られる多層フィルムの少なくとも1層として製膜する方法等が挙げられる。多層フィルムの製造方法としては、通常用いられる押出ラミネート法、熱ラミネート法、ドライラミネート法等が挙げられる。また、事前に成形して得られたフィルムまたはシートを延伸してフィルムを製造する方法が挙げられ、延伸方法としては、例えば、ロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法等により一軸または二軸に延伸する方法が挙げられる。
【0035】
本発明の蒸着用ポリプロピレンフィルムは、必要に応じて、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理などの表面処理を行うことができる。蒸着適性を向上させる目的から、コロナ処理を施したフィルムが好ましい。
【0036】
本発明の蒸着用ポリプロピレンフィルムは、片面または両面に金属を蒸着して用いられる。蒸着方法としては、例えば、本発明の蒸着用ポリプロピレンフィルムを高真空下に置き、蒸発した金属蒸気を導入してフィルム表面に蒸着させる方法が挙げられる。蒸着させる金属としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、ゲルマニウム、すず、セレン等が挙げられるが、好ましくは、アルミニウムである。アルミニウム蒸着膜の厚みは、通常100〜1000オングストロームであり、好ましくは、300〜700オングストロ−ムである。
【実施例】
【0037】
以下、本発明について実施例および比較例を用いて説明する。なお、発明の詳細な説明および実施例および比較例における各項目の測定値は、下記の方法で測定した。
【0038】
(1)ポリプロピレン系樹脂組成物のプロピレンに由来する構造単位が主な構造単位である重合体成分(成分(A))およびエチレンに由来する構造単位の含有量が20〜40重量%であり、極限粘度が3〜8dL/gであるプロピレン−エチレン共重合体成分(成分(B))の含有量(単位:重量%)
プロピレンに由来する構造単位が主な構造単位であるプロピレン系重合体成分(成分(A1))と、エチレンに由来する構造単位の含有量が20〜40重量%であり、極限粘度が3〜8dL/gであるプロピレン−エチレン共重合体成分(成分(B1))とを含むプロピレン系重合体の成分(A1)および成分(B1)の重合時の物質収支から、成分(A1)の含有量(以下、「PA1」と記載することがある。)、成分(B1)の含有量(以下、「PB1」と記載することがある。)を求めた。さらに、成分(A1)および成分(B1)とをそれぞれ含有量PA1およびPB1で含むプロピレン系共重合体と、プロピレンに由来する構造単位が主な構造単位であるプロピレン系重合体成分(成分(A2))および/またはエチレンに由来する構造単位の含有量が20〜40重量%であり極限粘度が3〜8dL/gであるプロピレン−エチレン共重合体成分(成分(B2))とを溶融混練する際の混合比から、成分(A1)、成分(B1)、成分(A2)、および成分(B2)の含有量を求め、成分(A1)と成分(A2)の含有量の和として成分(A)の含有量(以下、「P」と記載することがある。)を、成分(B1)と成分(B2)の含有量の和として成分(B)の含有量(以下、「P」と記載することがある。)を求めた。
【0039】
(2)プロピレン系共重合体のプロピレン−エチレン共重合体成分(成分(B1))のエチレン含量(単位:重量%)
プロピレン系共重合体の全体のIRスペクトル測定を行い、高分子分析ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている(ii)ブロック共重合体に関する方法に従って求め、下式(1)により成分(B1)のエチレン含量を求めた。

B1=(E−EA1×PA1)/PB1 式(1)

(ただし、E、EA1およびEB1はそれぞれプロピレン系共重合体の全体、成分(A1)および成分(B1)におけるエチレン含有量を表し、PA1およびPB1は成分(A1)および成分(B1)の含有量を示す。)
【0040】
(3)極限粘度([η]、単位:dL/g)
ウベローデ型粘度計を用いて135℃テトラリン中で測定を行った。
(3−1)成分(A1)の極限粘度([η]A1)
プロピレンに由来する構造単位が主な構造単位であるプロピレン系重合体成分(成分(A1))と、エチレンに由来する構造単位の含有量が20〜40重量%であり、極限粘度が3〜8dL/gであるプロピレン−エチレン共重合体成分(成分(B1))とを含むプロピレン系重合体の成分(A1)および成分(B1)の重合において、成分(A1)の重合終了時にサンプリングした成分(A1)の極限粘度(以下、「[η]A1」と記載することがある。)を測定した。
(3−2)成分(B1)の極限粘度([η]B1)
プロピレンに由来する構造単位が主な構造単位であるプロピレン系重合体成分(成分(A1))と、エチレンに由来する構造単位の含有量が20〜40重量%であり、極限粘度が3〜8dL/gであるプロピレン−エチレン共重合体成分(成分(B1))とを含むプロピレン系重合体の成分(A1)および成分(B1)の重合において、成分(B1)の重合終了後に得られたプロピレン系共重合体の全体の極限粘度(以下、「[η]T」と記載することがある。)と、[η]A1、および、成分(A1)の含有量(PA1)と成分(B1)の含有量(PB1)を用いて、下式(2)から成分(B1)の極限粘度([η]B1)を算出した。

[η]A1×PA1/100+[η]B1×PB1/100=[η]T 式(2)

(3−3)成分(A)の極限粘度([η]A)に対する成分(B)の極限粘度([η]B)の比([η]B/[η]A)
成分(A1)および成分(B1)とをそれぞれ含有量PA1およびPB1で含むプロピレン系共重合体と、プロピレンに由来する構造単位が主な構造単位であるプロピレン系重合体成分(成分(A2))および/またはエチレンに由来する構造単位の含有量が20〜40重量%であり、極限粘度が3〜8dL/gであるプロピレン−エチレン共重合体成分(成分(B2))とを溶融混練する際の混合比から、成分(A1)、成分(B1)、成分(A2)、および成分(B2)の含有量を求め、下式(3)から成分(A)の極限粘度([η]A)に対する成分(B)の極限粘度([η]B)の比([η]B/[η]A)を算出した。

[η]B/[η]A={([η]B1×WB1+[η]B2×WB2)/(WB1+WB2)}/{([η]A1×WA1+[η]A2×WA1)/(WA1+WA2)} 式(3)

(ただし、WA1、WB1、WA2、WB2は、それぞれ成分(A1)、成分(B1)、成分(A2)、成分(B2)の含有量(単位:重量%)を示す。)
【0041】
(4)蒸着強度(単位:N/15mm)
康井精機製卓上型テストコーターを用いて、厚さ15μmの延伸ナイロン基材フィルム(ユニチカ製エンブレム)に、エステル系接着剤(主剤:タケラックA−310(武田薬品製)、硬化剤:タケネートA−3(武田薬品製)、主剤:硬化剤=12:1)を固形分が3.7g/mとなるように酢酸エチルを溶剤として塗布した後85℃で乾燥させ、片面にアルミニウム蒸着した厚さ30μmのポリプロピレンフィルムを、蒸着面を接着面として40℃、3kg/cmで圧着させた後、40℃で2日間、加熱熟成することによりドライラミネーションフィルムを得た。ドライラミネーションフィルムを幅15mm×長さ80mm(製膜方向と長辺方向が一致)で切り取り、ORIENTEC社製STA−1225型引張試験機を用いて、引張速度100mm/分で引張試験を行い、剥離進行時の引張荷重をヒートシール強度とした。
【0042】
(5)耐ブロッキング性(単位:kg/12cm
幅30mm×長さ150mmのフィルム(製膜方向と長辺方向が一致)を用いて、フィルム同士を重ねあわせ、30mm×40mmの範囲に500gの荷重をかけ所定の温度(60℃)で24時間状態調整を行った。その後、23℃、湿度50%の雰囲気下に30分以上放置し、東洋精機製引張試験機を用いて200mm/分の速度で剥離を行い、試料の剥離に要する強度を測定した。
【0043】
(6)ヒートシール強度(単位:kg/15mm)
康井精機製卓上型テストコーターを用いて、厚さ15μmの延伸ナイロン基材フィルム(ユニチカ製エンブレム)に、エステル系接着剤(主剤:タケラックA−310(武田薬品製)、硬化剤:タケネートA−3(武田薬品製)、主剤:硬化剤=12:1)を固形分が3.7g/mとなるように酢酸エチルを溶剤として塗布した後85℃で乾燥させ、厚さ60μmのポリプロピレンフィルムを、コロナ処理側を接着面として40℃、3kg/cmで圧着させた後、40℃で2日間、加熱熟成することによりドライラミネーションフィルムを得た。
ドライラミネーションフィルムを、ポリプロピレンフィルム面が重なるように2枚重ねにし、幅15mm×長さ80mm(製膜方向と長辺方向が一致)で切り取り、TP−701B型ヒートシールテスター(テスター産業株式会社製)を用いて幅10mmのヒートシールを上部ヒーター180℃、下部ヒーター55℃、1.0kg/cmの条件で1.0秒間行った。
シールされたサンプルをORIENTEC社製STA−1225型引張試験機を用いて、引張速度200mm/分で引張試験を行い、剥離進行時の引張荷重をヒートシール強度とした。
【0044】
(7)ヘキサン抽出成分量(単位:重量%)
FDA177、1520(d)(3)(ii)に従って、厚さ60μmのポリプロピレンフィルムを25mm×25mmで切り取った試料1gを50℃のヘキサン400ml中で2時間攪拌した。その後、不溶物を取り出した後、溶液を減圧下70℃で乾固して、得られた乾固物の重量を測定して求めた。
【0045】
[参考例1]
プロピレン系共重合体(PP(1))の製造
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて第一工程で極限粘度[η]が1.88dL/gのプロピレン単独重合体成分を製造し、次いで第二工程で極限粘度[η]が3.44dL/g、エチレン含有量が24重量%であるプロピレン−エチレン共重合体成分を製造することで、プロピレン系共重合体(PP(1))を製造した。PP(1)におけるプロピレン−エチレン共重合体成分の割合は53重量%であった。
【0046】
[参考例2]
プロピレン系共重合体(PP(2))の製造
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて第一工程で極限粘度[η]が1.88dL/gのプロピレン単独重合体成分を製造し、次いで第二工程で極限粘度が4.77dL/g、エチレン含有量が34重量%であるプロピレン−エチレン共重合体成分を製造することで、プロピレン系共重合体(PP(2))を製造した。PP(2)におけるプロピレン−エチレン共重合体成分の割合は59重量%であった。
【0047】
[参考例3]
プロピレン系共重合体(PP(3))の製造
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて第一工程で極限粘度[η]が1.88dL/gのプロピレン単独重合体成分を製造し、次いで第二工程で極限粘度[η]が7.05dL/g、エチレン含有量が34重量%であるプロピレン−エチレン共重合体成分を製造することで、プロピレン系共重合体(PP(3))を製造した。PP(3)におけるプロピレン−エチレン共重合体成分の割合は59重量%であった。
【0048】
[参考例4]
プロピレン系共重合体(PP(4))の製造
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて第一工程で極限粘度[η]が1.88dL/gのプロピレン単独重合体成分を製造し、次いで第二工程で極限粘度[η]が2.58dL/g、エチレン含有量が33重量%であるプロピレン−エチレン共重合体成分を製造することで、プロピレン系共重合体(PP(4))を製造した。PP(4)におけるプロピレン−エチレン共重合体成分の割合は56重量%であった。
【0049】
[参考例5]
プロピレン系共重合体(PP(5))の製造
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて第一工程で極限粘度[η]が1.88dL/gのプロピレン単独重合体成分を製造し、次いで第二工程で極限粘度[η]が3.94dL/g、エチレン含有量が45重量%であるプロピレン−エチレン共重合体成分を製造することで、プロピレン系共重合体(PP(5))を製造した。PP(5)におけるプロピレン−エチレン共重合体成分の割合は55重量%であった。
【0050】
[参考例6]
プロピレン系共重合体(PP(6))の製造
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて第一工程で極限粘度[η]が1.88dL/gのプロピレン単独重合体成分を製造し、次いで第二工程で極限粘度[η]が4.35dL/g、エチレン含有量が55重量%であるプロピレン−エチレン共重合体成分を製造することで、プロピレン系共重合体(PP(6))を製造した。PP(6)におけるプロピレン−エチレン共重合体成分の割合は60重量%であった。
【0051】
[実施例1]
参考例1で得られたPP(1)38重量%に、チーグラー・ナッタ型触媒を用いて重合した[η]が1.98dL/gのプロピレン単独重合体62重量%、水酸化カルシウム(鈴木工業株式会社)0.003重量%、スミライザーGP(住友化学株式会社製)0.075重量%、スミライザーGS(住友化学株式会社製)0.03重量%を加え、40mm単軸押出機(VS40−28型:田辺プラスチックス機械社製、フルフライト型スクリュー付き)を用いて250℃で溶融混練して、ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。得られたポリプロピレン系樹脂組成物の特性を表1に示した。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、50mmTダイ製膜装置(田辺プラスチックス株式会社製V−50−F600型フィルム成型装置、400mm幅Tダイ付き)を用いて、樹脂温度280℃で溶融押出を行った。溶融押出されたものを50℃の冷却水を通水した冷却ロールで冷却して、厚さ30μmおよび60μmのフィルムを得た。得られたフィルムのブロッキング、ヒートシール強度、ヘキサン抽出成分量を表2に示した。
得られた厚さ30μmのポリプロピレンフィルムの片面にコロナ放電処理を施した後、真空蒸着装置(佐藤真空機械工業株式会社製)を用いてコロナ処理面にアルミニウムを蒸着し、アルミニウム蒸着ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの蒸着強度を表2に示した。
【0052】
[実施例2]
PP(1)38重量%をPP(2)34重量%に、およびチーグラー・ナッタ型触媒を用いて重合した[η]が1.98dL/gのプロピレン単独重合体62重量%を66重量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリプロピレン系樹脂組成物を得た。得られたポリプロピレン系樹脂組成物の特性を表1に示した。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、実施例1と同様の方法で溶融押出し、厚さ30μmおよび60μmのフィルムを得た。得られたフィルムのブロッキング、ヒートシール強度、ヘキサン抽出成分量を表2に示した。
得られたポリプロピレンフィルムに、実施例1と同様の方法でアルミニウムを蒸着し、アルミニウム蒸着ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの蒸着強度を表2に示した。
【0053】
[実施例3]
PP(1)38重量%をPP(3)34重量%に、およびチーグラー・ナッタ型触媒を用いて重合した[η]が1.98dL/gのプロピレン単独重合体62重量%を66重量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリプロピレン系樹脂組成物を得た。得られたポリプロピレン系樹脂組成物の特性を表1に示した。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、実施例1と同様の方法で溶融押出し、厚さ30μmおよび60μmのフィルムを得た。得られたフィルムのブロッキング、ヒートシール強度、ヘキサン抽出成分量を表2に示した。
得られたポリプロピレンフィルムに、実施例1と同様の方法でアルミニウムを蒸着し、アルミニウム蒸着ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの蒸着強度を表2に示した。
【0054】
[比較例1]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて重合した[η]が1.61dL/gのプロピレン単独重合体100重量%、水酸化カルシウム(鈴木工業株式会社)0.002重量%、イルガノックス1010(テトラキス[メチレン−3(3',5'−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、チバ・スペシャリティ−ケミカルズ社製)0.15重量%からなるポリプロピレン系樹脂組成物を、実施例1と同様の方法で溶融押出し、厚さ30μmおよび60μmのフィルムを得た。ポリプロピレン系樹脂組成物の特性を表1に、得られたフィルムのブロッキング、ヒートシール強度、ヘキサン抽出成分量を表2に示した。
得られたポリプロピレンフィルムに、実施例1と同様の方法でアルミニウムを蒸着し、アルミニウム蒸着ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの蒸着強度を表2に示した。
【0055】
[比較例2]
PP(1)38重量%をPP(4)36重量%に、およびチーグラー・ナッタ型触媒を用いて重合した[η]が1.98dL/gのプロピレン単独重合体62重量%を64重量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリプロピレン系樹脂組成物を得た。得られたポリプロピレン系樹脂組成物の特性を表1に示した。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、実施例1と同様の方法で溶融押出し、厚さ30μmおよび60μmのフィルムを得た。得られたフィルムのブロッキング、ヒートシール強度、ヘキサン抽出成分量を表2に示した。
得られたポリプロピレンフィルムに、実施例1と同様の方法でアルミニウムを蒸着し、アルミニウム蒸着ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの蒸着強度を表2に示した。
【0056】
[比較例3]
PP(1)38重量%をPP(5)36重量%に、およびチーグラー・ナッタ型触媒を用いて重合した[η]が1.98dL/gのプロピレン単独重合体62重量%を64重量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリプロピレン系樹脂組成物を得た。得られたポリプロピレン系樹脂組成物の特性を表1に示した。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、実施例1と同様の方法で溶融押出し、厚さ30μmおよび60μmのフィルムを得た。得られたフィルムのブロッキング、ヒートシール強度、ヘキサン抽出成分量を表2に示した。
得られたポリプロピレンフィルムに、実施例1と同様の方法でアルミニウムを蒸着し、アルミニウム蒸着ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの蒸着強度を表2に示した。
【0057】
[比較例4]
PP(1)38重量%をPP(6)33重量%に、およびチーグラー・ナッタ型触媒を用いて重合した[η]が1.98dL/gのプロピレン単独重合体62重量%を67重量%に変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリプロピレン系樹脂組成物を得た。得られたポリプロピレン系樹脂組成物の特性を表1に示した。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、実施例1と同様の方法で溶融押出し、厚さ30μmおよび60μmのフィルムを得た。得られたフィルムのブロッキング、ヒートシール強度、ヘキサン抽出成分量を表2に示した。
得られたポリプロピレンフィルムに、実施例1と同様の方法でアルミニウムを蒸着し、アルミニウム蒸着ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの蒸着強度を表2に示した。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
表2から、成分(B)を有さない比較例1では、蒸着強度に劣り、成分(B)の[η]Bが低い比較例2では、ブロッキング性とヒートシール強度に劣り、成分(B)のエチレン含有量が多い比較例3、4では、ヘキサン抽出成分量が多いことが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレンに由来する構造単位が主な構造単位であるプロピレン系重合体成分(成分(A))60〜90重量%と、エチレンに由来する構造単位の含有量が20〜40重量%であり、極限粘度([η]B)が3〜8dL/gであるプロピレン−エチレン共重合体成分(成分(B))10〜40重量%とを含む蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物(但し、成分(A)と成分(B)との合計の重量を100重量%とする。)。
【請求項2】
成分(A)の極限粘度([η]A)に対する成分(B)の極限粘度([η]B)の比([η]B/[η]A)が0.9≦[η]B/[η]A≦5.0である請求項1に記載の蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の蒸着フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物を含む蒸着用ポリプロピレンフィルム。
【請求項4】
アルミニウム蒸着用ポリプロピレンフィルムであることを特徴とする請求項3に記載の蒸着用ポリプロピレンフィルム。
【請求項5】
請求項3または4に記載の蒸着用ポリプロピレンフィルムに、アルミニウムを蒸着して得られる積層フィルム。

【公開番号】特開2012−229296(P2012−229296A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96840(P2011−96840)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】