説明

蓄電パッケージ構造体、電気化学デバイスおよび電気化学モジュール

【課題】エネルギー密度が高く、小型化の可能な電気化学デバイスを提供する。
【解決手段】本発明の蓄電パッケージ構造体20は、接合面を介して相対向する1対の絶縁体からなる枠状部(下枠部202、上枠部203)と、前記枠状部の開口部に装着され、密閉構造体を構成する蓋体と、前記1対の枠状部のうちの少なくとも一方の外壁に形成された取出し電極204とを具備している。この蓄電パッケージ構造体の電極構造体を装着し、取出し電極204から容易に給電可能であり、高効率の電気化学デバイスを得ることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電パッケージ構造体、電気化学デバイスおよび電気化学モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リチウムイオン二次電池などの二次電池を始めとする蓄電デバイスは、大容量の蓄電デバイスとして、自動車用、ピーク電力の平準化用など様々な分野で期待されている。しかしながら、化学電池であるため、急速な充放電に対応出来ないという課題がある。一方、電気二重層キャパシタは、物理的な作用により蓄電するため化学反応を伴わず、急速充放電に対応出来るという特徴があるが、容量が小さいという課題がある。そこでこれらの特徴を組み合わせ、リチウムイオン電池を越える高いエネルギー密度の蓄電デバイスとしてリチウムイオンキャパシタ(LiC)が提案されている。
リチウムイオンキャパシタは、大容量、急速充放電が可能で、長寿命である点で期待されている。
【0003】
従来、蓄電デバイスの構造としては、例えば、正極と負極を、一方の極には互いに異なる極が対向するように配し、いわゆる九十九折にして、積層した電極構造体を、パッケージに入れて電解液を注入する構造が知られている(例えば特許文献1)。このような九十九折りは、互いに隣り合う電極が他の極となる構造を一枚の電極を屈曲させて形成させることが出来るので、小型化できる電極を容易に形成できる点で優れている。
【0004】
また、特許文献2の電気化学デバイスでは、図26(a)および(b)に示すように、可撓性の外装容器にフィルム120を用い、この外装容器の内部に電極構造体110を収納し、外周部にシール部Sを設けて、封止を行い、電極取出し部111cを外装容器の封止端に設けている。Pは外装容器の外周端すなわちパッケージラインである。
【0005】
また、特許文献3の蓄電素子では、ハード容器を外装容器として用い、この外装容器の内部に電極構造体を収納し、電極取出し部を外装容器の上方周縁に設けている。
【0006】
従来、特許文献1の蓄電デバイス、特許文献2の電気化学デバイス、特許文献3の蓄電素子のいずれの場合も正極と負極の各層に通電するために外装容器内に配線を施す必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平08−203539号公報
【特許文献2】特開2009−238493号公報
【特許文献3】特開2009−88131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上説明した先行技術文献のうち、例えば、特許文献1の蓄電デバイスでは、無駄なくパッケージに収納することのできる、電極体の折り畳み構造を提案しているが、外装容器への配線についての記載はない。
【0009】
また、特許文献2の電気化学デバイスでは、可撓性の外装容器にフィルムを用いているため軽量であるという利点があるが、外装容器の外周部にシール部を設け、封止を行う必要があるため、電極構造体の端縁から外装容器の外周端までの距離を大きく取る必要がある。また、電極取出し部を外装容器の封止端に別途設ける必要があり、このような電気化学デバイスを複数積層して相互接続する場合、作業性が悪いという問題がある。
【0010】
また特許文献3の蓄電素子では、ハード容器を外装容器として用いているが、電極構造体の端縁から外装容器の外周端までの距離が大きく、外装容器が大型化してしまう。
【0011】
このため、特許文献1の蓄電デバイス、特許文献2の電気化学デバイス、特許文献3の蓄電素子のいずれも、デッドスペースが存在し、容積あたりのエネルギー密度が低くなってしまう。大型化を免れ得ず、容積あたりのエネルギー密度の低下が大きな問題となっている。
【0012】
本発明は前記実情に鑑みてなされたもので、容積あたりのエネルギー密度が高く、小型化の可能な蓄電パッケージ構造体、電気化学デバイスおよび電気化学モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は下記蓄電パッケージ構造体、電気化学デバイスおよび電気化学モジュールにより上記課題を解決できることを見出した。
[1]
接合面を介して相対向する1対の絶縁体からなる枠状部と、
前記枠状部の開口部に装着され、密閉構造体を構成する蓋体と、
前記1対の枠状部のうちの少なくとも一方の外壁に形成された取出し電極とを具備した蓄電パッケージ構造体。
[2]
[1]に記載の蓄電パッケージ構造体であって、
前記取出し電極は、前記接合面から前記枠状部の外壁に至る導体層からなることを特徴とする蓄電パッケージ構造体。
[3]
[1]または[2]に記載の蓄電パッケージ構造体であって、
前記蓄電パッケージ構造体は、相対向する主面と、4つの側面を有し、
4つの側面にそれぞれ取出し電極を具備した蓄電パッケージ構造体。
[4]
[1]乃至[3]のいずれかに記載の蓄電パッケージ構造体であって、
前記蓄電パッケージ構造体は、相対向する主面を有し、
前記主面の少なくとも一方に、放熱板が装着された蓄電パッケージ構造体。
[5]
[4]に記載の蓄電パッケージ構造体であって、
前記放熱板は、前記枠状部に接合され、前記蓋体の少なくとも一方を構成する蓄電パッケージ構造体。
[6]
[4]または[5]に記載の蓄電パッケージ構造体であって、
前記放熱板は、前記枠状部の表面から外方に突出する蓄電パッケージ構造体。
[7]
[1]乃至[6]のいずれかに記載の蓄電パッケージ構造体内に
セパレータを介して積層された電極板が、電解液とともに封止されており、
前記電極板は、前記電極板から導出された集電タブが前記導体層に接触するように、前記一対の枠状部間に挟み込まれた電気化学デバイス。
[8]
[7]に記載の電気化学デバイスであって、
前記集電タブは、前記枠状部の外壁に沿って折り曲げられ、前記導体層に接合された電気化学デバイス。
[9]
[7]または[8]に記載の電気化学デバイスであって、
前記取出し電極は、前記接合面から前記枠状部の外壁に至るように形成された導体層からなり、
前記集電タブは、前記接合面で前記導体層に接合された電気化学デバイス。
[10]
[7]乃至[9]のいずれかに記載の電気化学デバイスと、
前記取出し電極に装着された外部集電パッケージとを備えた電気化学モジュール。
なお、本発明では、電極構造体を構成する正極板および負極板は、いずれも本体部と本体部から導出された導出リード部を構成する集電タブと、外部集電リード部とで構成されているものとする。ここで外部集電リード部は集電タブと接続されていてもよいし、一体形成されていてもよい。外部集電リード部が一体形成されている場合は、パッケージ構造体の内側部分を集電タブ、蓄電パッケージ構造体の外側部分を外部集電リード部と呼ぶことにする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の蓄電パッケージ構造体によれば、接合面を介して相対向する1対の枠状部の外壁に取出し電極を具備しているため、枠状部に集電タブなどの集電体を挟み込み、集電体と取出し電極とを、確実で接触性よく接続することができる。
また、外装容器にフィルムを用いていないため、特許文献2の従来の電気化学デバイスのように、外周縁に封止領域をとる必要がなく、集電タブの引き出し部分を短くすることができる。また、一対の枠状部に集電タブを挟み込むように構成されているため、特許文献2の電気化学デバイス、特許文献3の蓄電素子のいずれの場合よりも、本発明の集電パッケージ構造体は集電タブを短くすることができ、集電タブを含むパッケージ構造体全体の体積が小さくなるため、小型化を図ることができる。その結果、本発明の蓄電パッケージ構造体はエネルギー密度[体積当たりのエネルギー量]の増大を図ることができる。
なお集電タブは、取出し電極に、導電性ペーストを用いて接合する、レーザ照射による部分加熱、溶接、ロウ付け、半田付けなどにより、電気的接続をとることが出来るため、全ての集電タブの接続処理を同時に行うことが出来る。
【0015】
また、本発明の蓄電パッケージ構造体において、セラミックを枠状部に使用し、取出し電極を形成することで、電解液及び集電タブを介して熱流を形成し、放熱性を高めることができる。さらにまた、枠状部に、窒化アルミニウム、アルミナなどの熱伝導性の良好なセラミックを使用することで、さらに放熱性を高めることができる。
【0016】
さらにまた樹脂基材を枠状部に使用し、銅箔などの金属箔あるいは導電性の薄膜あるいは厚膜を用いて取出し電極を形成することもできる。枠状部に樹脂基板を使用することで、形状加工が容易で寸法精度の高い外装容器を形成することができる。
【0017】
また、本発明の蓄電パッケージ構造体において、取出し電極を、枠状部の外壁の導体層あるいは絶縁膜被覆の導体層で構成することで、外形の増大を招くことなく占有面積の小さい電気化学デバイスを形成することができる。さらに、取出し電極を、接合面から枠状部の外壁に至る導体層で構成することで、接合面に集電体を挟み込むだけで、効率よく、確実で接触性の高い電気的接続を実現することができる。また、取出し電極を、枠状部の外壁に形成された導体層のパターンで構成することで、自在に効率よくパターニングを行うことができる。
【0018】
本発明の蓄電パッケージ構造体において、4つの側面にそれぞれ取出し電極を備えているため、電極から4方向に導出したタブから効率よく集電することができる。さらに取出し電極は、1対の枠状部の少なくとも一方の外壁に形成されているので、蓄電体のサイズを大きくすることなく、効率よく集電することができる。
さらにまた、本発明の蓄電パッケージ構造体において、パッケージ構造体の主面の少なくとも一方に、放熱板を装着することで、放熱性の高いパッケージ構造体を形成することができる。
また、放熱板が、枠状部に接合され、蓋体の少なくとも一方を構成するように形成することで、より、放熱効率が高められ、放熱性に優れた蓄電パッケージ構造体を提供することが可能となる。
【0019】
また、本発明の蓄電パッケージ構造体において、放熱板は、枠状部の表面から外方に突出するように構成することで、より、放熱性を高めることができる。したがって、本発明の蓄電パッケージ構造体を積層して使用した場合であっても、十分な放熱性を得ることができる。
【0020】
また、本発明の電気化学デバイスによれば、本発明の蓄電パッケージ構造体を、電極板から導出された集電タブが一対の枠状部のうちの少なくとも一方の外壁に形成された取出し電極に接触するように、一対の枠状部間に挟み込むように構成することで、小型で、確実でかつ接触性の高い電気的接続を実現することができる。
【0021】
また、集電タブを、枠状部の外壁に沿って折り曲げ、導体層に接合されるように構成することで、小型でかつ高効率とすることができる。
【0022】
又、集電タブは先端を折り曲げることなく枠状部間に納まるように挟み込んでもよい。集電タブが枠状部で保護されるので、取出し電極の接続信頼性を高めることができる。
【0023】
また、本発明の電気化学モジュールによれば、本発明の電気化学デバイスの取出し電極に外部接続用のコネクタ部を装着することで、より小型で装着性に優れた電気化学モジュールを提供することが可能となる。
【0024】
さらにまた、電極から引き出される集電タブすなわちリード部は、電極端面のどの部分に配置されてもよい。そして蓄電パッケージ構造体の取出し電極に続く接合面は、各リード部に合わせて形成するのが望ましい。そして、接合面と、各リード部の距離は短くするのが好ましい。こうすることでリード部の引き回しのための空間を必要とせず、収納容器の大きさをより小さくすることが出来る。
本発明の電気化学モジュールによれば、蓄電パッケージ構造体の内側側面に配置される薄い取出し電極と集電タブとを介して電極と外部端子を接続することが出来るので、パッケージ構造体の容積に対し、蓄電部の容積の比率を高めることができる。
また、本発明の電気化学モジュールは、九十九折りに積層された電極の各層から容易に集電することが出来るので、電気抵抗の小さい集電構造を提供することが出来る。このため、大電流の扱いに適したキャパシタを提供することができ、また電極の厚みを小さくしても電気抵抗を小さくすることができるため、容量の大きなキャパシタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態1のリチウムイオンキャパシタの外観を示す斜視図
【図2】本発明の実施の形態1のリチウムイオンキャパシタの蓄電パッケージ構造体の分解斜視図、(a)は上枠部、(b)は下枠部
【図3】本発明の実施の形態1のリチウムイオンキャパシタに用いられる電極構造体を示す図、(a)は電極構造体を模式的に示した斜視図、(b)は電極構造体の正極板からみた上面図、(c)は電極構造体の負極板からみた上面図、(d)は、正極板および負極板の折りたたみ前の外形を示す図
【図4】本発明の実施の形態1のリチウムイオンキャパシタの製造工程を示す説明図、
【図5】本発明の実施の形態1のリチウムイオンキャパシタにおける電極構造体の蓄電パッケージ構造体への電極構造体の接合部を示す図であり、(a)は、正極の集電部を示す要部拡大断面図、(b)は負極の集電部を示す要部拡大断面図
【図6】本発明の実施の形態1のリチウムイオンキャパシタの正面図、(a)および(b)はそれぞれ正極および負極の取出し電極側から見た図
【図7】(a)は本発明の実施の形態1のリチウムイオンキャパシタの要部拡大断面図、(b)は同上面図
【図8】(a)および(b)は、本発明の変形例1のリチウムイオンキャパシタにおける正極の形成面および負極の形成面を示す図
【図9】(a)および(b)は、本発明の変形例2のリチウムイオンキャパシタにおける正極の形成面および負極の形成面を示す図
【図10】(a)および(b)は、本発明の変形例3のリチウムイオンキャパシタにおける正極の形成面および負極の形成面を示す図
【図11】本発明の変形例3のリチウムイオンキャパシタに用いられる蓄電パッケージ構造体の分解斜視図
【図12】本発明の実施の形態2のリチウムイオンキャパシタの外観を示す斜視図
【図13】(a)および(b)は、本発明の実施の形態2のリチウムイオンキャパシタの蓄電パッケージ構造体の分解斜視図
【図14】本発明の実施の形態2のリチウムイオンキャパシタの製造工程を示す説明図
【図15】本発明の変形例4の蓄電パッケージ構造体の断面を示す図
【図16】本発明の変形例5の蓄電パッケージ構造体の断面を示す図
【図17】本発明の変形例6の蓄電パッケージ構造体の断面を示す図
【図18】本発明の変形例3の電極構造体を示す図
【図19】本発明の変形例7の電極構造体を示す図
【図20】本発明の実施の形態3の蓄電モジュールを示す図
【図21】本発明の実施の形態3の蓄電モジュールの構成部品を示す図であり、(a)はリチウムイオンキャパシタの斜視図、(b)は外部集電パッケージの斜視図
【図22】本発明の実施の形態3の蓄電モジュールの組み立て工程を示す図
【図23】本発明の実施の形態4の積層型蓄電モジュールを示す図
【図24】本発明の実施の形態4の積層型蓄電モジュールの構成部材を示す図であり、(a)は蓄電モジュールの斜視図、(b)はモジュールパッケージの斜視図
【図25】本発明の実施の形態4の積層型蓄電モジュールの組み立て工程を示す図
【図26】(a)は従来の電気化学デバイスの要部拡大断面図、(b)は従来の電気化学デバイスの要部拡大上面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1乃至図6は、本発明の実施の形態1を示す図である。図1は本発明の実施の形態1の電気化学デバイスであるリチウムイオンキャパシタの外観を示す斜視図、図2は、本発明のリチウムイオンキャパシタの蓄電パッケージ構造体の分解斜視図、(a)は上枠部、(b)は下枠部を示す。図3は本発明のリチウムイオンキャパシタの電極構造体を模式的に示す斜視図、図4は本発明のリチウムイオンキャパシタの製造工程を示す説明図、図5は本発明の蓄電パッケージ構造体への電極構造体の接合部を示す図であり、(a)は、正極の集電部を示す要部拡大断面図、(b)は負極の集電部を示す要部拡大断面図、図6は本発明のリチウムイオンキャパシタの正面図である。なお、図3(a)では、折畳まれ方を説明するために、図1の本発明のリチウムイオンキャパシタの厚さ方向(Z1−Z2)に拡大されている。
【0027】
本発明の実施の形態のリチウムイオンキャパシタの蓄電パッケージ構造体20は、図1に示すように、接合面を介して相対向する1対の枠状部(下枠部202,上枠部203)と、この枠状部(下枠部202,上枠部203)の開口部に装着され、密閉構造体を構成する蓋体と、これら1対の枠状部(下枠部202,上枠部203)の外壁に形成された取出し電極204とを具備している。1対の枠状部(下枠部202,上枠部203)はアルミナの成形体で構成され、導体層のパターンが形成され取出し電極204を構成している。この蓋体は、内側が絶縁された銅箔で構成され、放熱板201,206を構成している。
【0028】
そしてこれら1対の枠状部を構成する下枠部202,上枠部203間の、接合面202S,203Sには、図2に示すように、銅箔からなる導体層は形成されておらず、枠状部(下枠部202,上枠部203)の外壁に導体層が導出され、取出し電極204(正極204a、負極204b)を構成している。
【0029】
またこの放熱板は、枠状部(下枠部202,上枠部203)の表面から外方に突出する放熱片201F,206Fを有している。
【0030】
そしてこの蓄電パッケージ構造体20内には、図3(a)に斜視図、図3(b)および図3(c)に図3(a)のA−A面およびB−B面を示すように、電極構造体10が収納されている。この電極構造体10は、正極板11が、セパレータ12を介して負極板13と重ねられ、畳み込まれたものである。図3(a)では3層分の積層構造を示しているが、積層構造体の層数は限定されるものではない。一般的に、10層程度の積層構造体として用いることが多く、何層重ねてもよい。電極構造体10の正極板および負極板を図3(d)に示す。正極板11の集電タブ11bは、1層毎に、相対向する位置に1対ずつ正極板自身の折れ目方向に平行に導出されている。一方負極板13の集電タブ13bは、1層毎に、相対向する位置に1対ずつ負極板自身の折れ目方向に平行に導出されている。この積層構造体は、正極板、負極板がセパレータを介して交互に積み重なる上に形状が直方体あるいは立方体に積層することができるため、空間の無駄がなく容量の大きなキャパシタを提供することができる。またこの積層構造体は、集電タブが各層から交互に導出され、取出し電極に接続されているので内部抵抗を少なくすることができる。
【0031】
この正極板11は、本体部11aと、集電タブ11bと、外部集電リード部11cとで構成されている。そして、この集電タブ11bと、外部集電リード部11cでは、アルミニウム板からなる芯材が露出しており、本体部には正極活物質が芯材の両面に塗布されている。ここでは、LiMnO4で表されるスピネル型マンガン酸リチウムを主成分とする正極活物質をフッ素樹脂系結着剤と混合して正極合剤として用いられる。なお、本実施の形態では、図3(d)に示すように、集電タブ11bを本体部11aと一体形成しており、折り畳む前の電極の横方向にタブを形成している。なお、本体部11aのみを連続した帯状体で形成し、別部材で構成した集電タブを用いてもよい。あるいは、帯状体の長手方向に垂直な方向の一方に正極の集電タブ11bを導出するようにしてもよい。なお集電タブ11bの先端は外部集電リード部11cとして取出し電極と接合される。
【0032】
一方、この負極板13も、正極板と同様、本体部13aと、集電タブ13bと、外部集電リード部13cとで構成されている。そして、図3(c)に示すように、この集電タブ13bと、外部集電リード部13cでは、銅板からなる芯材が露出しており、本体部には負極活物質が芯材の両面に塗布されている。ここでは、リチウムイオンを挿入および脱離し得る負極活物質と、ゴム系結着剤と水とを混合して負極合剤とし、芯材に塗布している。なお、負極活物質としては、リチウムイオンを挿入および脱離し得るカーボン系材料、例えば、グラファイト、カーボンブラック、コークス、ガラス状炭素、炭素繊維、またはこれらの焼成体等が好適である。なお集電タブ13bの先端は外部集電リード部13cとして取出し電極と接合される。
【0033】
そしてこの正極板および負極板をポリプロピレン製のセパレータ12を介して九十九折に折り畳み、電極構造体10とした。すなわち、正極板および負極板を帯状体として形成し、相互に直交する方向にセパレータ12を介して交互に折り畳んで形成される。
【0034】
なお電解液としてはエチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)などを主成分とする電解液を用いる。
【0035】
ここで集電タブ11b、13bは、上述したように、折り畳み後の電極構造体を構成する四角形のそれぞれ相対向する辺上に1対ずつ辺の中央付近に導出される(図3(b)および図3(c))蓄電パッケージ構造体20の分割部の接合面202S,203Sに挟み込まれ、枠状部の外壁に沿って折り曲げられ、この外壁に形成された導体層からなる取出し電極204(正極204a、負極204b)に接合されている。
【0036】
正極の集電タブ11bは、図4に要部拡大斜視図、図5(a)に正極11の要部拡大断面図を示すように、電極構造体10から一対の枠状部の内、下枠部202と上枠部203との間の接合面202Sと203Sに沿って導出され、外壁部にアルミニウムペースト207と、Agペースト208とを塗布することで形成された取出し電極204に接合されている。集電タブ11bおよび外部集電リード部11cと、取出し電極204との接合部は融着熱によって密着性よく接合されている。
【0037】
負極の集電タブ13bは、図5(b)に負極13の要部拡大断面図を示すように、電極構造体10から一対の枠状部(202,203)の内、下枠部202と上枠部203との間の接合面202Sと203Sに沿って、外壁部にTi−Ag−Cuの3層膜209上に、Agペースト208を塗布することで形成された負極取出し電極204bに接合されている。集電タブ13bおよび外部集電リード部13cと、負極取出し電極204bとの接合部は融着熱によって密着性よく接合されている。
【0038】
次に、本実施の形態のリチウムイオンキャパシタの製造方法について説明する。
まず、蓄電パッケージ構造体20の製造方法について説明する。
アルミナを材料として圧縮成型により成形体を形成し、焼成することにより、枠状部を形成する。さらに枠状部の外壁にそれぞれ正極取出し電極204aおよび負極取出し電極204bをそれぞれ形成する。本実施の形態では、図2(a)および(b)に示すように、上枠部203と下枠部202とからなる枠状部の外壁に、正極取出し電極204aと負極取出し電極204bとをそれぞれ相対向して1対ずつ形成する。ここで正極側では、図5(a)に示すように、アルミニウムペーストを塗布しアルミニウム層207を形成するとともにAgペースト208で被覆し、正極取出し電極204aとする。一方負極側では、図5(b)に示すように、スパッタリングによりAl,Ag,Cuの3層構造の薄膜すなわち3層膜209を形成するとともにAgペースト208で被覆し、負極取出し電極204bとする。
このようにして形成された上枠部203と下枠部202のそれぞれに、銅箔からなる放熱板201,206を接合する。
【0039】
次に電極構造体およびその製造方法について説明する。図3(a)は電極構造体を模式的に示す斜視図、図3(b)は電極構造体の正極板からみた上面図、図3(c)は電極構造体の負極板からみた上面図、図3(d)は、正極板および負極板の折りたたみ前の外形を示す図である。
正極板の製造に際しては、アルミニウム板を打ち抜き加工し、図3(d)に示すように、本体部11aと、集電タブ11bと、外部集電リード部11cとを有する帯状の芯材を10層分連続して形成する。この芯材の両面に前述した正極活物質を塗布する。ここでは正極板11は正極活物質を塗布したものとする。
一方、負極板の製造に際しては、銅板を打ち抜き加工し、この負極板13も、図3(d)に示した正極板と同様に、本体部13aと、集電タブ13bと、外部集電リード部13cとを有する帯状の芯材を10層分連続して形成する。この芯材の両面に前述した負極活物質を塗布する。ここでは負極板は負極活物質を塗布したものとする。
【0040】
そしてこの正極板11および負極板13をポリプロピレン製のセパレータ12を介して互いに直交する方向から九十九折に折り畳み電極構造体10を形成する。
図3(a)にこのようにして形成された電極構造体10の斜視図を示す。この正極板11は、セパレータ12を介して負極板13と重ねられ、折り畳まれる。折りたたんだ状態の正極板からみた上面図を図3(b)に示す。また負極板からみた上面図を図3(c)に示す。このように、正極板11の集電タブ11bが、1層毎に、交互に相対向する位置に1つずつ正極板の折れ目の方向に平行に導出され、そして負極板13の集電タブ13bが、1層毎に、交互に相対向する位置に1つずつ負極板の折れ目の方向に平行に導出されている。
【0041】
そして図4に示すように、上記電極構造体10は、上記蓄電パッケージ構造体20の枠状部の下枠部202内に、収納され、集電タブ11b、13bがそれぞれ各辺の接合面に当接するように設置される。そして上枠部203の接合面が当接するように集電タブ11b、13bを挟み込む。
そして、接合面同志をエポキシ樹脂からなる接着剤(図示せず)を用いて固着する。
なおここでは光硬化タイプのエポキシ系樹脂を使用することが好ましい。
【0042】
最後に、取出し電極204に沿って、集電タブ11b、13bをそれぞれ折込み、部分的に加熱することで接合する。この接合部の要部拡大断面図を図5(a)および(b)に示す。そして最後に、注入口205(図4参照)を介して内部に電解液を注入し、注入口205を封止する。
このようにして、図1に示したようなリチウムイオンキャパシタが形成される。
【0043】
この蓄電パッケージ構造体20によれば、図6(a)に正極の取出し電極側の面から見た図を示すように、各辺において中央部に相当する部分に集電タブ11bが挟み込まれ、集電タブ11b先端の外部集電リード部11cが正極取出し電極204aを構成する取出し電極204に接合された構造となっている。この構成により、集電タブ11bと取出し電極との電気的接合性および一対の枠状部の接合面の物理的接合性が十分な構造となっている。
また、図6(b)に負極の取出し電極側の面から見た図を示すように、各辺において中央部に相当する部分に集電タブ13bが挟み込まれ、集電タブ13b先端の外部集電リード部13cが負極取出し電極204bを構成する取出し電極204に接合された構造となっている。従って、集電タブ13bと負極取出し電極204bとの電気的接合性および一対の枠状部の接合面の物理的接合性が十分な構造となっている。
【0044】
図7(a)は本発明のリチウムイオンキャパシタの要部拡大断面図を示し、図7(b)は本発明のリチウムイオンキャパシタの要部拡大上面図を示す。図7(a)および(b)のリチウムイオンキャパシタを図26(a)および(b)に示した従来の電気化学デバイスと比較することにより、外形が大幅に小さくなり、また集電タブ11bの長さも大幅に短くなっていることがわかる。図7及び図26の各図において電極構造体10,110が同一寸法であるものとした。図7及び図26において,(a)は要部拡大断面図、(b)は上面図であり、(a)は(b)のp−p断面図である。
【0045】
本実施の形態のリチウムイオンキャパシタによれば、接合面を介して相対向する1対の絶縁体からなる枠状部202,203の外壁に取出し電極204を具備しているため、枠状部202,203に集電タブ11b、13bを挟み込み、集電タブ11b、13b先端の外部集電リード部11c、13cと取出し電極204(正極取出し電極204a、負極取出し電極204b)とを、確実に接触性よく接続することができる。本体部から枠状部202,203の内壁に至る距離を最小限に抑えることができるため、集電タブの引き回し距離を最小限に抑えることができ、小型化が可能となるだけでなく、集電タブの引き回しによる抵抗損失が低減される。
【0046】
また、外装容器であるパッケージ構造体にフィルムを用いていないため、特許文献2に示した従来の蓄電デバイスのように、外周縁に封止領域をとる必要がなく、本実施の形態の蓄電パッケージ構造体によれば、集電タブの引き出し部分を短くすることができる。また、本実施の形態の蓄電パッケージ構造体は、一対の枠状部に集電タブを挟み込むように構成されているため、特許文献1に示された従来の蓄電デバイス、特許文献2に示された従来の電気化学デバイスのいずれの場合よりも、集電タブを短くすることができる。その結果、本実施の形態では、集電タブ11b、13bを含むパッケージ構造体を含む全体の占有する体積が小さくなるため、蓄電パッケージ構造体の小型化を図ることができ、蓄電パッケージ構造体のエネルギー密度(体積当たりのエネルギー量)の増大を図ることができる。ここで占有する体積とはパッケージ構造体の実際の体積ではなく、パッケージ構造体の厚さ、長さ、幅の積に相当する。
【0047】
また、本実施の形態では、セラミックを枠状部に使用し、銅箔を用いて取出し電極を形成することで、電解液及び集電タブを介して熱流を形成し、放熱性を高めることができる。そして枠状部にアルミナを用いているため、熱伝導性が良好で、さらに放熱性を高めることができる。なお枠状部を構成するセラミックはアルミナに限定されることなく、窒化アルミニウムなど、他の絶縁性セラミックを適用可能である。窒化アルミニウムを用いることによりさらに熱伝導性が良好となる。
【0048】
また、本実施の形態では、取出し電極を、枠状部の外壁に至る導体層で構成することで、接合面に集電体を挟み込み、枠状部の外壁に沿って接合するだけで、効率よく、確実で接触性の高い電気的接続を実現することができる。ここで、正極取出し電極204aは、アルミニウムペーストを塗布して焼成することで容易に形成される。負極に接続される負極取出し電極204bは、Ti層、Ag層、Cu層の3層膜で構成さ、スパッタリングなどにより形成される。
【0049】
取出し電極と集電外部リードとの接続は、両者を当接させて加熱し、表面を融着することで容易に行うことができる。また、銀ペーストや銅ペーストなどの金属ペーストを接合部に塗布し硬化させることによっても接合可能である。
さらにまた、本実施の形態では、パッケージ構造体の主面に、放熱板201,206が装着されているため、放熱性の高いパッケージ構造体を形成することができる。
【0050】
また、放熱板は、枠状部の表面から外方に突出するように構成されているため、より、放熱性を高めることができる。又蓄電デバイスを積層して使用しても放熱片206Fが外気に接することができるため、十分に放熱性を高めることができる。
また、放熱板は、枠状部に接合されるようにしてもよいが、放熱板206と蓋体とを一体的に構成してもよい。放熱板206と蓋体とを一体的に構成すると、より、発熱部からの熱抵抗を小さくすることができる。従って、放熱効率が高められ、放熱性に優れた蓄電パッケージ構造体を提供することが可能となる。
【0051】
また、本実施の形態では、集電タブを、枠状部の外壁に沿って折り曲げ、導体層に接合しているため、接合する面積が大きくなり、十分な接合が達成され、小型でかつ高効率とすることができる。
【0052】
以下に本発明の実施の形態1の変形例について説明する。
(変形例1)
前記実施の形態1では、図6(a)および(b)に示すように、正極形成面では下枠部に取出し電極が形成され、負極形成面では上枠部に取出し電極が形成されている。そして、正極の集電タブ11b先端の外部集電リード部11cは下方に、負極の集電タブ13b先端の外部集電リード部13cは上方に曲げられて接合されている。変形例1は集電タブを同じ方向に曲げるようにしたものである。この場合は片方の枠状部にのみ取出し電極を形成すればよい。図8(a)および(b)に、本発明の変形例1のリチウムイオンキャパシタにおける正極の形成面及び負極の形成面を示す。本変形例1は、図8(a)および(b)に示すように、下枠部202の側面を上枠部203の側面よりも大きくし、正極形成面および負極形成面で下枠部に取出し電極が形成され、正極および負極の集電タブ11b、13b先端の外部集電リード部11c、13c共に下方に、曲げられて接合される。この場合、接合面積を大きくとることができるとともに、集電タブの曲げ方向が同一であるため、同時加工が可能となり実装作業性が向上する。
電極構造体10をはじめ他部については前記実施の形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。ただし、電極構造体はこのような九十九折り構造に限定されることなく、積層体、巻き構造体など他の電極構造体にも適用可能であることはいうまでもない。
【0053】
(変形例2)
図9(a)および(b)に、本発明の変形例9のリチウムイオンキャパシタにおける正極の形成面及び負極の形成面を示す。本変形例2は、図9(a)および(b)に示すように、枠状部を3分割構造とし、取出し電極を形成しない中枠部210を上枠部203と下枠部202との間に挟み込まれた構造である。正極形成面では、上枠部203と中枠部210との間に集電タブ11bが挟み込まれ、正極の集電タブ11b先端の外部集電リード部11cは上方に曲げられて上枠部203に形成された正極取出し電極204aに当接している。一方、負極形成面では下枠部202と中枠部210との間に集電タブ13bが挟み込まれ、この負極の集電タブ13b先端の外部集電リード部13cは下方に曲げられて下枠部202に形成された負極取出し電極204bに当接している。本変形例2は、中枠部210を挟み込むことで、正極と負極の取出しを分離することができ、信頼性が向上する。
電極構造体10をはじめ他部については前記実施の形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。ただし、電極構造体はこのような巻き構造に限定されることなく、積層体、九十九折り構造体など他の電極構造体にも適用可能であることはいうまでもない。
【0054】
(変形例3)
図10(a)および(b)に、本発明の変形例3のリチウムイオンキャパシタにおける正極の形成面及び負極の形成面を示す。本変形例1および2では、枠状部を水平に上下2分割あるいは3分割した構造について説明したが、図10(a)および(b)に示すように、本変形例3は斜めに2分割した構造とし、正極形成面では下枠部に取出し電極が形成され、負極形成面では上枠部に取出し電極が形成されて、正極の集電タブ11b先端の外部集電リード部11cは下方に、負極の集電タブ13b先端の外部集電リード部13cは上方に曲げられて接合される。図11に、本発明の変形例3のリチウムイオンキャパシタに用いられる蓄電パッケージ構造体の分解斜視図を示す。
【0055】
本変形例3は、接合面が斜めになっているため、集電タブの位置により、接続位置が調整可能である。
電極構造体10をはじめ他部については前記実施の形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。ただし、電極構造体はこのような巻き構造に限定されることなく、積層体、九十九折り構造体など他の電極構造体にも適用可能であることはいうまでもない。
【0056】
(実施の形態2)
図12に、本発明の実施の形態2の電気化学デバイスであるリチウムイオンキャパシタの外観を示す斜視図を示し、図13(a)および(b)に、本発明の実施の形態2のリチウムイオンキャパシタの蓄電パッケージ構造体の分解斜視図を示し、図14に、本発明の実施の形態2のこのリチウムイオンキャパシタの製造工程を示す。
【0057】
前記本発明の実施の形態1のリチウムイオンキャパシタでは、集電タブと取出し電極との接続は枠状部の外壁に形成された導体層との間で行ったが、本実施の形態2では、接合面202S,203Sから外壁にかけて導体層を形成するようにし、集電タブと取出し電極との接続は接合面で実現するようにし、外壁には集電タブが露出しない構成としたことを特徴とするものである(図12参照)。すなわち、本発明の実施の形態2のリチウムイオンキャパシタの蓄電パッケージ構造体20は、図12および図13に示すように、接合面202S,203Sを介して相対向する1対の枠状部を構成する下枠部202,上枠部203と、この下枠部202,上枠部203の開口部に装着され、密閉構造体を構成する蓋体と、これら下枠部202,上枠部203の接合面から外壁に至る領域に形成された取出し電極204とを具備している。従って取出し電極204と集電タブの接続は接合面202S,203Sで行うことができる。これら上枠部203と下枠部202は窒化アルミニウムからなる枠状部で構成され、それぞれ接合面から外壁に至る導体層のパターンが圧着され取出し電極204を構成している。
【0058】
そしてこれら1対の枠状部を構成する上枠部203と下枠部202間の、接合面202S,203Sには、図14に示すように、銅箔からなる導体層が形成され、接合面を覆うとともに、上枠部203と下枠部202の外壁に導出され、取出し電極204を構成している。一方集電タブは短く、接合面のみで取出し電極と当接し、上枠部203と下枠部202の外壁までは到達していないため、外観としては集電タブが内蔵された構成となっている点が特徴である。他の構成については前記本発明の実施の形態1と同様である。
【0059】
(変形例4)
次に、本発明の実施の形態の蓄電パッケージ構造体の枠状部の接合面の変形例について説明する。図15に、本発明の変形例4の蓄電パッケージ構造体の断面図を示す。
図15の蓄電パッケージ構造体の断面に示すように、枠状部の接合面202S,203Sにおいて内側面Siから外壁となる外側面Soに至る面が段差構造となっている点が前記本発明の実施の形態1および2と異なる点である。
本変形例4の構成によれば、枠状部の接合面202S,203Sにおいて内側面Siから外壁となる外側面Soに至る面が段差構造となっているため、接合面の面積の増大を図ることができる。また、集電タブとの接触面積の増大をはかることができるため、集電タブ(ここでは図示せず)との接続性を高めることができる。また、わずかな間隙が形成されたとしても、通路が複雑となり、水分は外にでていきにくいため、液漏れを抑制することができる。本変形例4の蓄電パッケージ構造体を用いることで、前記実施の形態2の電気化学デバイスのように、集電タブが蓄電パッケージ構造体の外表面に露呈しない構造はもとより、前記実施の形態1の電気化学デバイスあるいは変形例1乃至3の電気化学デバイスのように、集電タブが蓄電パッケージ構造体の外壁にも当接せしめられる構造においても、良好な接合を得ることができる。
【0060】
(変形例5)
次に、本発明の実施の形態の蓄電パッケージ構造体の枠状部の接合面の別の変形例について説明する。図16に、本発明の変形例5の蓄電パッケージ構造体の断面図を示す。
図16の蓄電パッケージ構造体の断面を示すように、枠状部の接合面202S,203Sにおいて内側面Siから外壁となる外側面Soに至る面がなだらかな段差構造となっている点が前記本発明の変形例4と異なる点である。
本変形例5の構成によれば、本発明の変形例4に比べて、接合面202S,203Sがなだらかであるため、導体層はなだらかな接合面に形成されていることで、導体層の段切れを防止することができる。また、電気的接続性が良好であり、接合面の面積の増大を図ることができる。また、集電タブとの接触面積の増大をはかることができるため、集電タブ(ここでは図示せず)との接続性を高めることができる。さらに、良好な接合を得ることができる。
【0061】
(変形例6)
次に、本発明の実施の形態の蓄電パッケージ構造体の枠状部の接合面の別の変形例について説明する。図17に、本発明の変形例6の蓄電パッケージ構造体の断面図を示す。
図17の蓄電パッケージ構造体の断面に示すように、枠状部の接合面202S,203Sにおいて内側面Siから外壁となる外側面Soに至る面が傾斜構造となっている点が前記本発明の変形例4および5と異なる点である。
本変形例6の構成によれば、本発明の変形例5に比べて、さらに接合面がなだらかであるため、導体層はなだらかな接合面に形成されていることで、導体層の段切れを防止することができる。また、電気的接続性が良好であり、接合面の面積の増大を図ることができ、集電タブ(ここでは図示せず)との接続性を高めることができる。さらに、良好な接合を得ることができる。
【0062】
(変形例7)
次に、本発明の実施の形態の蓄電パッケージ構造体の電極構造体の変形例について説明する。図19に、本発明の変形例7の蓄電パッケージ構造体の断面図を示す。図18は比較のために前記実施の形態1及び変形例で説明した電極構造体を示す図である。
前記実施の形態の変形例では電極構造体が図18に示すように、九十九折り構造である例について説明したが、本変形例7では、図19に示すように、折畳み構造としたものも有効である。
正極および負極を構成する正極板および負極板については前記本発明の実施の形態1および2と同様であり、11bおよび13bは集電タブである。
【0063】
(実施の形態3)
図20乃至図22を参照して、本発明の実施の形態3の蓄電モジュール(電気化学モジュール)について説明する。なお、ここで蓄電モジュールとは、電気化学デバイスとしてのリチウムイオンキャパシタ100に外部集電パッケージ300を装着し外部接続を容易にしたものをいう。図20は本発明の実施の形態3の蓄電モジュールを示す斜視図である。
図21は本発明の実施の形態3の蓄電モジュールの構成部品を示し、(a)は電気化学デバイスとしてのリチウムイオンキャパシタ100の単セルを示す斜視図、(b)は外部集電パッケージ300を示す斜視図である。図22は本発明の実施の形態3の蓄電モジュールの組み立て工程を示す図である。本実施の形態3では、電気化学デバイスであるリチウムイオンキャパシタ100の単セルと外部集電パッケージ300とを用意し、このリチウムイオンキャパシタ100の取出し電極204を外部集電パッケージ300に装着し、外部接続の容易な蓄電モジュールを構成するものである。ここでは外部接続用のコネクタ部として電気プラグ320を用いている。そのため、外部接続が容易となっている。
【0064】
本実施の形態3の外部集電パッケージ300は、枠状体からなり、集電機能を有する集電枠を構成する。図21(b)に示すように、樹脂製の集電枠からなる本体部301とこの内壁に形成された正極集電バネ311と負極集電バネ313と、外部接続用の電気プラグ320とを具備している。この電気プラグは本体部301内で正極集電バネ311と負極集電バネ313に電気的に接続されている。
【0065】
そして図22に示すように、リチウムイオンキャパシタ100の単セルを外部集電パッケージ300に装着し、図20に示した蓄電モジュールが完成する。リチウムイオンキャパシタ100の単セルの構成については前記本発明の実施の形態1と同様であるのでここでは説明を省略する。
【0066】
本実施の形態3の構成によれば外部集電パッケージを、装着しただけで極めて容易に形成することができ、特別な配線も不要で、コネクタ部である電気プラグによって蓄電モジュールとしての接続作業を極めて簡単にすることができる。
【0067】
(実施の形態4)
図23乃至図25を参照して、本発明の実施の形態4の積層型蓄電モジュールについて説明する。
本実施の形態4は、本発明の実施の形態3で説明した電気化学モジュールである蓄電モジュールを蓄電モジュールユニット500として4個積層し、集電用のパッケージとしてのモジュールパッケージ400に装着して大容量の蓄電モジュールを構成するものである。図23は、本発明の実施の形態4の積層型蓄電モジュールを示す。
【0068】
図24は、本発明の実施の形態4の積層型蓄電モジュールの構成部材を示し、(a)は蓄電モジュールユニット500の斜視図、(b)はモジュールパッケージ400の斜視図を示す。なおここで蓄電モジュールユニット500は電気化学デバイスの1セルを構成する。モジュールパッケージ400は、内壁にモジュール集電体431,433を有しており、このモジュール集電体431,433が本体部430の外壁に導出されている。そしてコネクタ部である電気プラグ320を、モジュールパッケージ400の内壁に形成されたモジュール集電体431,433に装着することで容易に実装可能となっている。このモジュール集電体431,433はコネクタ部に係合するソケット部を構成する。
【0069】
本実施の形態4のモジュールパッケージ400は、図24(b)に示すように、樹脂製の集電枠からなる本体部430とこの内壁に形成されたモジュール集電体431,433と、仕切り板434とを具備している。このモジュール集電体431,433はコネクタ部としての電気プラグ320を介して図21(b)に示した外部集電パッケージの正極集電バネ311と負極集電バネ313に電気的に接続されている。ここで仕切り板434は、蓄電モジュールユニット500の位置決めに用いられる。
【0070】
図25は、本発明の実施の形態4の積層型蓄電モジュールの組み立て工程を示す。
図25に示すように、本実施の形態4の蓄電モジュールユニット500を4個積層し、モジュールパッケージ400に装着し、図23に示した積層型蓄電モジュールが完成する。
本実施の形態4の構成によればモジュールパッケージ400に蓄電モジュールユニット500の外部集電パッケージを、コネクタ接続により装着しただけで極めて容易に形成することができ、特別な配線も不要で、モジュールパッケージ400と蓄電モジュールユニット500との接続作業が極めて簡単になる。
【0071】
本実施の形態4の構成によれば、極めて容易に複数の蓄電モジュールを積層して接続し、大容量の電気化学モジュールを得ることが可能となる。
【0072】
なお、前記各実施の形態(各変形例を含む)において、両面を放熱板で構成したが、パッケージ構造体は、相対向する主面を有し、主面の少なくとも一方に、放熱板が装着されていればよい。
【0073】
なお、前記各実施の形態(各変形例を含む)において、蓋体を放熱板で構成したが、たとえば樹脂製の蓋体に放熱性部材を接合したり、成膜したりしてもよい。
【0074】
さらにまた、前記各実施の形態(各変形例を含む)において、前記放熱板は、前記枠状部の表面から外方に突出するように形成したが、集電枠と同一外形を有するようにしてもよい。
また各実施の形態(各変形例を含む)において、集電タブの形成位置、数についても適宜変更可能であることはいうまでもない。
【0075】
さらにまた前記実施の形態(各変形例を含む)では、セラミック製の集電枠を用いた例について説明したが、樹脂基板を集電部に使用し、銅箔などの金属箔、めっき層などの導電性の薄膜あるいは厚膜を用いて取出し電極を形成することで、形状加工が容易で寸法精度の高い外装容器を形成することができる。
【0076】
前記実施の形態(各変形例を含む)ではリチウムイオンキャパシタについて説明したが、本発明はリチウムイオン二次電池をはじめ、種々の電気化学デバイスとしての蓄電デバイスに適用可能である。
【符号の説明】
【0077】
10 電極構造体
11 正極板
11a 本体部
11b 集電タブ
11c 外部集電リード部
12 セパレータ
13 負極板
13a 本体部
13b 集電タブ
13c 外部集電リード部
20 蓄電パッケージ構造体
100 リチウムイオンキャパシタ
201 放熱板(蓋体)
201F 放熱片
202 下枠部
202S 接合面
203 上枠部
203S 接合面
204 取出し電極
204a 正極取出し電極
204b 負極取出し電極
205 注入口
206 放熱板(蓋体)
207 アルミニウムペースト
208 Agペースト
209 Ti−Ag−Cuの3層膜
210 中枠部
300 外部集電パッケージ
400 モジュールパッケージ
500 蓄電モジュールユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合面を介して相対向する1対の枠状部と、
前記枠状部の開口部に装着され、密閉構造体を構成する蓋体と、
前記1対の枠状部のうちの少なくとも一方の外壁に形成された取出し電極とを具備した蓄電パッケージ構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄電パッケージ構造体であって、
前記取出し電極は、前記接合面から前記枠状部の外壁に至る導体層からなることを特徴とする蓄電パッケージ構造体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の蓄電パッケージ構造体であって、
前記蓄電パッケージ構造体は、相対向する主面と、4つの側面を有し、
4つの側面にそれぞれ取出し電極を具備した蓄電パッケージ構造体。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蓄電パッケージ構造体であって、
前記蓄電パッケージ構造体は、相対向する主面を有し、
前記主面の少なくとも一方に、放熱板が装着された蓄電パッケージ構造体。
【請求項5】
請求項4に記載の蓄電パッケージ構造体であって、
前記放熱板は、前記枠状部に接合され、前記蓋体の少なくとも一方を構成する蓄電パッケージ構造体。
【請求項6】
請求項4または5に記載の蓄電パッケージ構造体であって、
前記放熱板は、前記枠状部の表面から外方に突出する蓄電パッケージ構造体。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の蓄電パッケージ構造体内に
セパレータを介して積層された電極板が、電解液とともに封止されており、
前記電極板は、前記電極板から導出された集電タブが前記導体層に接触するように、前記一対の枠状部間に挟み込まれた電気化学デバイス。
【請求項8】
請求項7に記載の電気化学デバイスであって、
前記集電タブは、前記枠状部の外壁に沿って折り曲げられ、前記導体層に接合された電気化学デバイス。
【請求項9】
請求項7または8に記載の電気化学デバイスであって、
前記取出し電極は、前記接合面から前記枠状部の外壁に至るように形成された導体層からなり、
前記集電タブは、前記接合面で前記導体層に接合された電気化学デバイス。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれか1項に記載の電気化学デバイスと、
前記取出し電極に装着された外部集電パッケージとを備えた電気化学モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−79833(P2012−79833A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222079(P2010−222079)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】