説明

蓄電素子、取付ボルト

【課題】電極端子に通電部材を取り付ける際に取付ボルトに強いトルクが発生しても抗することのできる蓄電素子の提供。
【解決手段】筐体120と、筐体120の外側に取り付けられる電極端子105と、導電性を有する通電部材200を電極端子105に取り付ける取付ボルト108と、取付ボルト108と筐体120とを絶縁する絶縁部材109とを備える蓄電素子であって、取付ボルト108は、外周部にねじ山が設けられる棒状のねじ部181と、ねじ部181の一端部から放射方向に張り出すフランジ状の部材であって、ねじ部181に螺合するナット201の回転方向と直交する、または、略直交する面に沿って配置される第一当接面部183を有する抗回転部182とを備え、絶縁部材109は、抗回転部182を収容し、第一当接面部183と当接する第二当接面部192を有する凹陥部191を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、一次電池や二次電池を含む蓄電素子に関し、特に、他の機器や他の蓄電素子と接続するための通電部材を取り付けるための取付ボルトを備える蓄電素子、および、当該取付ボルトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、他の機器や他の蓄電素子と接続するための通電部材を蓄電素子の電極端子に取り付けるための取付ボルトを備える蓄電素子がある。例えば特許文献1には、電極端子としても機能する取付ボルトを備える二次電池が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の取付ボルトは、外周にねじが刻まれた棒部材が矩形の平板の表面から突出状態で設けられている。また、筐体と取付ボルトとを絶縁するために筐体と取付ボルトとの間には絶縁部材が配置されており、当該絶縁部材には前記取付ボルトの平板が収まる凹部が設けられている。
【0004】
特許文献1に記載の二次電池は、当該構造を採用することにより、取付ボルトにナットなどを締め込む際やナットを緩める際に発生するトルクを前記平板を介して絶縁部材が対抗し、取付ボルトが回転することなくナットを締め込んだり緩めたりすることができるものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−212240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、ハイブリッド自動車や電気自動車などのように、駆動源や駆動源の一部として電力を用いる走行車が注目されており、このような走行車の電源として高いエネルギー容量を備える蓄電素子が実用化されている。このような常に振動が発生する走行車などに蓄電素子を配置する場合、他の機器や他の蓄電素子との電気的接続状態を安定して維持するために通電部材と蓄電素子の電極端子とをしっかりと接続し、長時間振動を加えられたとしても通電部材と電極端子との接続が緩まないようにする必要がある。
【0007】
ところが、従来の構造の取付ボルトに対し高いトルクでナットを締め付け、通電部材と電極端子とを強く締結しようとする場合、矩形や正多角形の金属製の頭部が樹脂など比較的柔らかい絶縁部材に食い込むことがある。そして、頭部が絶縁部材に一旦食い込むと、締め付けのトルクが多角形の頭部の角に集中し、絶縁部材がトルクに抗することができずに破損する状況が発生する。
【0008】
このような状況となると、取付ボルトに対し大きなトルクでナットを締め付けることができず、長時間振動を加えると通電部材と電極端子との接続が緩んでしまうこととなる。
【0009】
本願発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、取付ボルトに対し高いトルクでナットなどを締め付けることができ、通電部材と電極端子とを安定して接続することができる取付ボルトと絶縁部材とを備える蓄電素子の提供、および、取付ボルトの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本願発明にかかる蓄電素子は、発電要素と、前記発電要素を収容する筐体と、前記発電要素と電気的に接続される取付ボルトと、前記取付ボルトと前記筐体とを絶縁する絶縁部材とを備える蓄電素子であって、前記取付ボルトは、外周部にねじ山が設けられる棒状のねじ部と、前記ねじ部の一端部から放射方向に張り出すフランジ状の抗回転部であって、前記ねじ部に螺合するナットの回転方向と直交する、または、略直交する面に沿って配置される第一当接面部を有する抗回転部とを備え、前記絶縁部材は、前記第一当接面部と当接する第二当接面部を有する凹陥部を備えることを特徴としている。
【0011】
これにより、第一当接面部と第二当接面部とはナットの回転方向と直交する、または、略直交する面で面接触するため、ナットをねじ部に対して回転させて締め付ける、または、緩める際に発生するトルクをトルクと直交または略直交する面で受け止めることが可能となる。従って、力が狭い範囲に集中することを回避でき、比較的剛性の低い絶縁部材でも十分にトルクに抗することが可能となる。
【0012】
以上により、取付ボルトによって通電部材と電極端子とを強く締結することが可能となり、長期間振動を受けた場合でも通電部材と電極端子との締結状態が緩むことを抑止できる。また、通電部材と電極端子との締結状態を解除する場合に高いトルクが発生しても、絶縁部材が前記トルクに十分に抗することができ、容易に締結状態を解除することが可能となる。
【0013】
なお、明細書、および、特許請求の範囲に記載される「蓄電素子」の語は、電気化学的に電気を蓄電(または発電)し、また、必要に応じて電気を放電することのできる素子であり、より具体的には、電池、蓄電池、キャパシタ、大容量キャパシタ、コンデンサ、電解コンデンサ、電気二重層コンデンサ等を含むものとして記載している。
【0014】
前記取付ボルトは、前記第一当接面部を有する前記抗回転部を複数箇所に備え、前記絶縁部材は、前記第二当接面部を複数の前記第一当接面部に対応する複数箇所に備えるものでもよい。
【0015】
これにより、ねじ部に対しナットを回転させる際に発生するトルクを絶縁部材が分散状態で受け止めることができ、絶縁部材の局所にかかる負荷を軽減することが可能となる。
【0016】
また、前記第一当接面部は、前記ねじ部の軸を回転軸とする回転対称の位置に配置されるものでもよい。
【0017】
これによれば、取付ボルトの抗回転部を絶縁部材の凹陥部に挿入できる位置関係を複数にすることができ、蓄電素子の組み立て作業を容易にすることが可能となる。
【0018】
また、上記目的を達成するために、本願発明にかかる取付ボルトは、蓄電素子の電極端子に導電性を有する通電部材を取り付ける取付ボルトであって、外周部にねじ山が設けられる棒状のねじ部と、前記ねじ部の一端部から放射方向に張り出すフランジ状の抗回転部であって、前記ねじ部に螺合するナットの回転方向と直交する、または、略直交する面に沿って配置される第一当接面部を有する抗回転部とを備えることを特徴とする。
【0019】
これにより、取付ボルトによって通電部材と電極端子とを強く締結することが可能となり、長期間振動を受けた場合でも通電部材と電極端子との締結状態が緩むことを抑止できる。また、通電部材と電極端子との締結状態を解除する場合に高いトルクが発生しても、絶縁部材が前記トルクに十分に抗することができ、容易に締結状態を解除することが可能となる。
【0020】
また、発電要素と、前記発電要素を収容する筐体と、前記発電要素と電気的に接続される取付ボルトと、前記取付ボルトと前記筐体とを絶縁する絶縁部材とを備える蓄電素子であって、前記取付ボルトは、外周部にねじ山が設けられる棒状のねじ部と、前記ねじ部の一端部から放射方向の外方に向かって突出する複数の抗回転部であって、前記ねじ部に螺合するナットの回転方向と交差する面に沿って配置される第一当接面部を有する抗回転部と、前記抗回転部に挟まれる位置に放射方向の内方に向かって陥没する切欠部とを備え、前記絶縁部材は、前記第一当接面部と当接する第二当接面部を有し、前切欠部と嵌合する突出部を備えてもかまわない。
【0021】
これにより、抗回転部の第一当接面部と突出部の第二当接面部が面接触するため、ナットをねじ部に対して回転させて締め付ける、または、緩める際に発生するトルクを突出部が広く受け止めることが可能となる。従って、力が狭い範囲に集中することを回避でき、比較的剛性の低い絶縁部材でも十分にトルクに抗することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
取付ボルトに対し高いトルクでナットなどを締め付けることができ、通電部材と電極端子とを強く締結することが可能となる。また、取付ボルトに強く締め付けられたナットを緩める際も容易にナットを回転させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本実施の形態の蓄電素子の外観を示す斜視図である。
【図2】図2は、容器の一部を省略して蓄電素子の内部を模式的に示す斜視図である。
【図3】図3は、集電体近傍を分解状態で模式的に示す分解斜視図である。
【図4】図4は、集電体近傍を分解状態で模式的に図3とは逆の視線で示す分解斜視図である。
【図5】図5は、取付ボルトと絶縁部材とを示す斜視図である。
【図6】図6は、通電部材により連結された蓄電素子を示す斜視図である。
【図7】図7は、取付ボルトと絶縁部材の別例を示す斜視図である。
【図8】図8は、取付ボルトの別態様を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本願発明に係る蓄電素子、および、取付ボルトの実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本願発明に係る蓄電素子、および、取付ボルトの一例を示したものに過ぎない。従って本願発明は、以下の実施の形態を参考に請求の範囲の文言によって範囲が画定されるものであり、以下の実施の形態のみに限定されるものではない。
【0025】
図1は、本実施の形態の蓄電素子の外観を示す斜視図である。
【0026】
図2は、容器の一部を省略して蓄電素子の内部を模式的に示す斜視図である。
【0027】
図3は、集電体近傍を分解状態で模式的に示す分解斜視図である。
【0028】
図4は、集電体近傍を分解状態で模式的に図3とは逆の視線で示す分解斜視図である。
【0029】
これらの図に示すように、本実施の形態にかかる蓄電素子100は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる非水電解質二次電池であり、発電要素101と、筐体120と、電極端子105と、取付ボルト108と、絶縁部材109とを備えている。
【0030】
発電要素101は、本実施の形態の場合、詳細な図示は省略するが、セパレータと負極と正極とを備え、電気を蓄えることができる部材である。負極は、例えば、銅からなる長尺帯状の負極集電箔の表面に負極活物質層が形成されたものである。正極は、例えば、アルミニウムからなる長尺帯状の正極集電箔の表面に正極活物質層が形成されたものである。セパレータは、例えば、樹脂からなる微多孔性のシートである。そして、発電要素101は、負極と正極との間にセパレータが挟み込まれるように層状に配置されたものを長さ方向に全体が長円形状となるように巻き回されて形成されるいわゆる扁平巻回型の発電要素である。
【0031】
筐体120は、発電要素101を収容する部材である。本実施の形態の場合、筐体120は、容器102と蓋体103とで構成されている。
【0032】
容器102は、発電要素101を収容する矩形(直方体)の部材である。容器102は、軽量化のため、アルミニウムやその合金で形成されたり、肉厚の薄いステンレス鋼などにより形成される。容器102は、矩形の底部と、底部の各長辺部にそれぞれ立設される矩形の長壁部と、底部の各短辺部にそれぞれ立設される矩形の短壁部とを備えている。また、容器102は、容器102の開口端部と蓋体103とが溶接されることにより、蓋体とともに筐体120を構成する。
【0033】
蓋体103は、容器102の開口部を閉塞する金属製の板状部材であり、第一係合部131を備えている。本実施の形態の場合、第一係合部131は、発電要素101に向かって突出する突出部分であり、矩形(正方形)となっている。また、第一係合部131は、板状の金属部材をプレス加工により形成される部分であり、蓋体103に対し突出部分(第一係合部131)と反対側の突出部分に対応する部分は、発電要素101に向かって陥没する第二凹陥部132が設けられている。第二凹陥部132は、突出部分をプレス加工により形成すると同時に形成されるものとなっている。
【0034】
電極端子105は、発電要素101と電気的に接続され、筐体120の外側に取り付けられる部材であり、発電要素101に蓄えられている電気を筐体120の外部空間に導出し、また、発電要素101に電気を蓄えるために筐体120の内部空間に電気を導入するための端子である。電極端子105は、蓋体103に対し集電体104と反対側に配置され導電性を備えた部材である。本実施の形態の場合、蓋体103が金属製であるため、蓋体103と絶縁し、かつ、蓋体103との隙間を埋めて筐体の内部空間を封止するための絶縁部材109を介して電極端子105は蓋体103に取り付けられている。
【0035】
図5は、取付ボルトと絶縁部材とを示す斜視図である。
【0036】
取付ボルト108は、通電部材200(図3、4参照)、例えばバスバーや電線などの通電部材200を電極端子105と電気的かつ物理的に接続するための部材であり、ねじ部181と抗回転部182とを備えている。
【0037】
ねじ部181は、外周部にねじ山が設けられる棒状の部材である。
【0038】
抗回転部182は、ねじ部181の一端部からねじ部181の軸からXY平面内において放射方向に張り出す部分であって、ねじ部181に螺合するナット201の回転方向(図5中θ方向)と直交する、または、略直交する面に沿って配置される第一当接面部183を有する部分である。
【0039】
本実施の形態の場合、抗回転部182は放射方向に突出しており、第一当接面部183は、回転方向と直交する抗回転部182の両面に配置されている。また、抗回転部182は、円周方向に4箇所均等に設けられている。従って、第一当接面部183は、ねじ部181の軸(Z軸方向に延びねじ部181の中心を通る軸)を回転軸とする回転対称の位置に配置されている。
【0040】
また、取付ボルト108は、抗回転部182に挟まれる位置に放射方向の内方に向かって凹陥する切欠部185が設けられている。切欠部185は、隣り合う抗回転部182の放射方向の先端部を仮想的に結んだ線よりも放射方向の内向きに窪んだ部分であり、抗回転部182に囲われた部分である。また第一当接面部183は、例えば回転方向と80度以上100度以下の範囲から選定される角度であればよく、好ましくは85度以上95度以下の範囲から選定され、さらに好ましくは89度以上91度以下の範囲から選定される角度であればよい。
【0041】
なお、ナット201の回転方向とはナット201の回転軌跡の接線方向である。また、略直交とは、直交からわずかにずれた状態を示している。
【0042】
絶縁部材109は、抗回転部182を収容し、第一当接面部183と当接する第二当接面部192を有する部材である。本実施の形態の場合、絶縁部材109は、樹脂などの絶縁体で形成される薄い板状の部材であって、一面側に第二凹陥部132と係合する矩形突出状の第五係合部195(図4参照)を有し、他面側の第五係合部195と対応する位置に凹陥部191を有する部材である。凹陥部191は、抗回転部182に対応する溝部194を備えており、第二当接面部192は、回転方向(図中θ方向)と直交する溝部194の両面に配置されている。また、溝部194は、抗回転部182と同様に円周方向に4箇所均等に設けられている。従って、第二当接面部192は、抗回転部182が挿入された状態で配置される取付ボルト108の軸(Z軸方向に延びねじ部181の中心を通る軸)を回転軸とする回転対称の位置に配置されている。
【0043】
また、絶縁部材109は、切欠部185と嵌合する突出部196を備えている。本実施の形態の場合、切欠部185は、抗回転部182に囲われる切欠部185とほぼ同様の形状となっている。
【0044】
集電体104は、電極端子105と発電要素101とに電気的に接続されるとともに、蓋体103に物理的(機械的)にも接続される部材であり、第一係合部131と嵌合状態で係合する第二係合部142を備えている。本実施の形態の場合、第二係合部142は、突出部分(第一係合部131)と嵌合状態で係合する厚さ方向に貫通する孔部である。
【0045】
また、集電体104は、蓋体103から容器102の短壁部に渡って短壁部および蓋体103に沿って屈曲状態で配置される金属製の板状部材である。また、集電体104は、電極端子105とともに蓋体103に締結部材106により固定的に接続されており、発電要素101の負極、または、正極にそれぞれ溶接などによって固定され、電気的に接続されている。これにより、発電要素101は、筐体の内部において集電体104により保持される。
【0046】
なお、発電要素101の負極に取り付けられる集電体104は、銅で形成され、正極に取り付けられる集電体104はアルミニウムで形成されている。
【0047】
締結部材106は、集電体104と電極端子105とを蓋体103に挿通された状態で接続する導電性を備える部材である。本実施の形態の場合、締結部材106は金属製のリベットであり、集電体104に設けられる第一取付孔143、第二絶縁部材107に設けられる挿通孔173、蓋体103に設けられる第二挿通孔133、絶縁部材109に設けられる第三挿通孔193、電極端子105に設けられる第二取付孔153に刺し通された状態で、回転しながら押圧するツールにより塑性変形され(かしめられ)、集電体104と電極端子105とを蓋体103に物理的(機械的)に固定する。また、締結部材106と蓋体103との間には、絶縁部材109が介在配置されており、締結部材106は、集電体104と電極端子105とを電気的に接続しつつ、蓋体103とは絶縁状態が保たれるものとなっている。
【0048】
第二絶縁部材107は、樹脂などの絶縁体で形成される薄い板状の部材であって、一面側に第一係合部131と係合する第三係合部174を有し、他面側に第二係合部142と係合する第四係合部175とを有する部材である。本実施の形態の場合、第三係合部174は、第一係合部131(突出部分)と嵌合状態となる凹陥形状となされている。第四係合部175は、第二係合部142(孔部)に挿入される突出形状となされている。
【0049】
以上の構成により、取付ボルト108に刺し通される通電部材200をナット201で締め付けて、電極端子105と通電部材200とを締結する際において、ナット201を回転させた場合に発生するトルクは、第一当接面部183と第二当接面部192との当接により受け止められる。従って、ナット201を強く回転させた場合でも第二当接面部192を備える絶縁部材109は、座屈すること無くトルクに抗することが可能となる。従って、電極端子105と通電部材200とを強く締結することが可能となり、走行車などの振動が長期にわたって加えられる環境に図6に示すような通電部材200で連結された蓄電素子100を配置しても、通電部材200と電極端子105との締結状態を維持することが可能となる。
【0050】
しかも本実施の形態の場合、ナット201を締め付ける際に機能する第一当接面部183と第二当接面部192とが4箇所に設けられているため、トルクを分散して受け止めることができる。従って、ナット201をさらに強く締め付けても絶縁部材109が座屈することを抑制できる。
【0051】
さらに、凹陥部191は、蓋体103に設けられる第二凹陥部132に収容状態で配置されるため、第一当接面部183から受けるトルクは、絶縁部材109を介して蓋体103で受け止められることとなり、より強くナット201を締め付けることが可能となる。
【0052】
また、蓋体103に陥没状に形成される第二凹陥部132に収容される状態で凹陥部191が配置され、取付ボルト108の抗回転部182が凹陥部191に挿入されることで、蓋体103の表面から突出する取付ボルト108の突出量を抑制することができる。従って、蓄電素子100と通電部材200とを接続するために必要な空間を小さくすることが可能となる。従って、小さな空間でも配置可能なコンパクトな蓄電素子100を提供することが可能となる。
【0053】
なお、本願発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本願発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本願発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本願発明に含まれる。
【0054】
例えば、抗回転部182の先端は曲面で構成されているが、平面であってもかまわない。また、抗回転部182の先端は尖った形状でもかまわない。また、抗回転部182の数も、4個ばかりで無く、3個や5個など任意の数を採用しうる。
【0055】
また、第一当接面部183は、必ずしも平面である必要は無く、図7に示すように、曲面であってもかまわない。第一当接面部183が曲面の場合、ねじ部181に螺合するナット201の回転方向(図5中θ方向)と直交する、または、略直交する面とは、曲面の接面である。
【0056】
また、取付ボルト108は、図8に示すように、抗回転部182に対しねじ部181と反対側に塑性変形する締結用のリベット部187を備えてもかまわない。リベット部187は、集電体104を蓋体103に締結する部分であり、上記締結部材106と同様の機能を有している。リベット部187は、蓋体103に挿通された状態で集電体104と電気的に接続されとともに、絶縁部材109を介して取付ボルト108を蓋体103に取り付ける部分である。従って、取付ボルト108は、電極端子としても機能している。
【0057】
リベット部187は、回転しながら押圧するツールにより塑性変形され(かしめられ)、集電体104と取付ボルト108とを蓋体103に物理的(機械的)に固定する。リベット部187を塑性変形させる際に、取付ボルト108にはトルクが発生するが、この場合も発生するトルクは、第一当接面部183と第二当接面部192との当接により受け止められる。従って、第二当接面部192を備える絶縁部材109は、座屈すること無くトルクに抗することが可能となる。また、蓄電素子100の完成後においては、取付ボルト108へのナット201の締め付け時、およびナット201の取り外し時に、第一当接面部183と第二当接面部192とが当接することにより取付ボルト108の回転が抑制される。従って、リベット部187により締結される部分の締結力低下を抑止することができ、蓄電素子100の機能低下(接触不良等)を抑止することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本願発明は、蓄電素子(二次電池)に利用可能であり、特に、振動が長期間にわたって加えられるような環境に設置される蓄電素子に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0059】
100 蓄電素子
101 発電要素
102 容器
103 蓋体
104 集電体
105 電極端子
106 締結部材
107 第二絶縁部材
108 取付ボルト
109 絶縁部材
120 筐体
131 第一係合部
132 第二凹陥部
133 第二挿通孔
142 第二係合部
143 第一取付孔
153 第二取付孔
173 挿通孔
174 第三係合部
175 第四係合部
181 ねじ部
182 抗回転部
183 第一当接面部
191 凹陥部
192 第二当接面部
193 第三挿通孔
194 溝部
195 第五係合部
200 通電部材
201 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電要素と、前記発電要素を収容する筐体と、前記発電要素と電気的に接続される取付ボルトと、前記取付ボルトと前記筐体とを絶縁する絶縁部材とを備える蓄電素子であって、
前記取付ボルトは、
外周部にねじ山が設けられる棒状のねじ部と、
前記ねじ部の一端部から放射方向に張り出す抗回転部であって、前記ねじ部に螺合するナットの回転方向と直交する、または、略直交する面に沿って配置される第一当接面部を有する抗回転部とを備え、
前記絶縁部材は、
前記第一当接面部と当接する第二当接面部を備える
蓄電素子。
【請求項2】
前記取付ボルトは、前記第一当接面部を有する前記抗回転部を複数箇所に備え、
前記絶縁部材は、前記第二当接面部を複数の前記第一当接面部に対応する複数箇所に備える
請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項3】
前記第一当接面部は、前記ねじ部の軸を回転軸とする回転対称の位置に配置される
請求項2に記載の蓄電素子。
【請求項4】
前記取付ボルトは、前記抗回転部に対し前記ねじ部と反対側に塑性変形する締結用のリベット部を備える
請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項5】
蓄電素子の電極端子に導電性を有する通電部材を取り付ける取付ボルトであって、
外周部にねじ山が設けられる棒状のねじ部と、
前記ねじ部の一端部から放射方向に張り出す抗回転部であって、前記ねじ部に螺合するナットの回転方向と直交する、または、略直交する面に沿って配置される第一当接面部を有する抗回転部とを備える
取付ボルト。
【請求項6】
さらに、
前記抗回転部に対し前記ねじ部と反対側に塑性変形する締結用のリベット部
を備える請求項5に記載の取付ボルト。
【請求項7】
発電要素と、前記発電要素を収容する筐体と、前記発電要素と電気的に接続される取付ボルトと、前記取付ボルトと前記筐体とを絶縁する絶縁部材とを備える蓄電素子であって、
前記取付ボルトは、
外周部にねじ山が設けられる棒状のねじ部と、
前記ねじ部の一端部から放射方向の外方に向かって突出する複数の抗回転部であって、前記ねじ部に螺合するナットの回転方向と交差する面に沿って配置される第一当接面部を有する抗回転部と、
前記抗回転部に挟まれる位置に放射方向の内方に向かって凹陥する切欠部とを備え、
前記絶縁部材は、
前記第一当接面部と当接する第二当接面部を有し、前記切欠部と嵌合する突出部を備える
蓄電素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−73848(P2013−73848A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213310(P2011−213310)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(508110205)株式会社リチウムエナジージャパン (32)
【Fターム(参考)】