説明

蓄電素子

【課題】部品点数を減らしながらも耐衝撃性や耐振動性に優れた蓄電素子を提供する。
【解決手段】電池10は、正極板12と負極板13とをセパレータを介して積層してなる発電要素11と、発電要素11を収容するケース20と、を備える。ケース20の一面20Aには、ケース20の内部方向に凹んだ凹部23またはケース20の外側方向に突出した凸部が形成されている。本発明は、ケース20の一面20Aの凹部23または凸部に、正極板12および負極板13のいずれか一方が接合されているところに特徴を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、正極板と負極板とをセパレータを介して積層してなる蓄電要素と、電解液と、発電要素を電解液に浸した状態で収容するケースと、を備える蓄電素子としては、例えば特許文献1に記載の電池などが知られている。
【0003】
この電池において、発電要素(蓄電要素)の両端部には、蓋板とは別体の集電体接続板が、それぞれ配されている。この集電体接続板は、蓋板6に取り付けられる本体部2aと発電要素に取り付けられる接続板部2b(集電体)とから構成される(特許文献1の図1を参照)。
【0004】
この電池において、集電体接続板の正極側の接続板部(正極集電体)は、一端部においてはみ出している正極板の端部に溶接により接合され、集電体接続板の負極側の接続板部(負極集電体)は、他端部においてはみ出している負極板の端部に溶接により接合されている。また、集電体接続板の本体部2aは、絶縁封止材5を介してリベットをかしめつけることで蓋板に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−346886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような従来の電池では、集電体の短冊状の接続板部により発電要素が支持されている構造となっているため、電池が振動や衝撃を受けたときに、集電体が変形したり、集電体と極板との接合部に応力が作用することがあった。また、ケースの内部に発電要素が動く隙間がある場合には、電池が振動や衝撃を受けることで、集電体の変形が通常よりも大きくなったり、発電要素(極板)との接合部が切れたり、リベットに負荷がかかるおそれがあった。
【0007】
さらに、上記特許文献1に記載の電池においては、発電要素をケース内の所定位置に配置するために、蓋板、正極集電体、負極集電体、正極用のリベット、負極用のリベット、正極用絶縁封止板、負極用絶縁封止板などの多くの部品が必要であった。
【0008】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、部品点数を減らしながらも耐衝撃性や耐振動性に優れた蓄電素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するものとして、本発明は、正極板と負極板とをセパレータを介して積層してなる蓄電要素と、前記蓄電要素を収容するケースと、を備える蓄電素子であって、前記ケースの一面には、前記ケースの内部方向に凹んだ凹部または前記ケースの外側方向に突出した凸部が形成され、前記ケースの一面の前記凹部または前記凸部には、前記正極板および前記負極板のいずれか一方が接合されていることを特徴とする蓄電素子である。
【0010】
本発明では、ケースの一面に形成した凹部または凸部の、ケースの一面に対して内側または外側に突出した突出面に、蓄電要素を構成する正極板および負極板のいずれか一方を接合することが可能であるので、蓄電要素の端面を集電体の接続板部と接合した電池よりも、蓄電要素とケースとの接合部の接合状態を良好に保持することができる。したがって、本発明によれば、蓄電素子が衝撃や振動を受けたときでも、ケースの一面と極板との接合部に応力が作用しにくくなり、蓄電素子の耐衝撃性や耐振動性を向上させることができ、かつ、蓄電要素(極板)が直接ケースに接合されるので熱伝達を行いやすい構造とすることができる。
【0011】
なお、蓄電要素が接合されているケースの一面にヒートシンクなどの冷却部材を配置すれば、非常に冷却効率に優れた蓄電素子とすることができる。
【0012】
また、本発明においては、ケースの一面に極板が接合されるので、集電体および電極端子としても機能させることができる。つまり、本発明によれば、一方の集電体および電極端子を別途用意する必要がないので部品点数を減らすことができる。
以上より、本発明によれば、部品点数を減らしながらも耐衝撃性や耐振動性に優れた蓄電素子を提供することができる。
【0013】
本発明は以下の構成であってもよい。
前記正極板および前記負極板の少なくとも一方には、活物質が塗布されていない未塗布部が設けられ、前記凹部または前記凸部には、前記未塗布部が接合されていてもよい。
このような構成とすると、極板とケースの一面との接合部の強度を向上させることができる。
【0014】
前記ケースは、開口部を有し筒状をなす筒部と、前記開口部を覆う蓋部材と、を備えていてもよい。このような構成とすると、極板(蓄電要素)を蓋部材と接合したのちに筒部に収容することが可能となり、作業効率に優れる。
【0015】
前記蓋部材には、前記凹部が形成されていてもよい。このような構成とすると、蓋部材を下方に配置して蓄電素子を起立状態に配置することができ、蓋部材にヒートシンクなどの冷却部材を配置しやすくなる。
【0016】
前記蓄電要素は前記正極板と前記負極板とを巻回してなり、前記蓄電要素の巻回軸が、前記開口部に対して垂直に配されていてもよい。
このような構成とすると、蓄電素子内で発生したガスを開口部方向に逃がしやすくすることができるうえに、開口部から注液した電解液を蓄電要素に対して均等に浸透させることができる。
【0017】
前記正極板および前記負極板は、それぞれ、前記ケースの外側方向に突出形成された突出端子を有していてもよい。
このような構成とすると、従来の電池と同様な出力端子の形態となるので、端子部材等の共用が可能となる。
本発明においては蓄電要素を収容するケースの一面に蓄電要素の一方の極板が接合されるため、ケースを電極端子として機能させることができる。したがって、ケースに突出形状を形成する、あるいは、突出部材を接合して端子部を形成することが出来る。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、部品点数を減らしながらも耐衝撃性や耐振動性に優れた蓄電素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態1の電池の分解斜視図
【図2】負極集電体の斜視図
【図3】電池の上面図
【図4】図3のX−X線における断面図
【図5】図3のY−Y線における断面図
【図6】発電要素の模式図
【図7】他の実施形態で説明する電池の側面略図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
本発明をリチウムイオン電池10(蓄電素子の一例)に適用した実施形態1を図1ないし図6によって説明する。以下の説明において図4および図5における上側を上とし下側を下とする。
本発明の電池10は、正極板12と負極板13とをセパレータ(図示せず)を介して巻回してなる発電要素11(蓄電要素の一例)と、非水電解液と、この発電要素11を収容するケース20と、を備える。発電要素11の巻回軸は、ケース20上面(開口部21A)に対して垂直に配される。ここで、ケース20は電池10の筐体であり、金属製または樹脂製の筒部21と、筒部21の2つの開口部21A,21Bをそれぞれ覆う蓋22,27(蓋部材22および蓋板27)と、からなる。
【0021】
本実施形態において、発電要素11を構成する正極板12および負極板13は、金属箔の上に各活物質材料を塗布することにより得られ、各極板12,13の幅方向における端部には、各活物質が塗布されていない部分である未塗布部が設けられている。発電要素11は、図6に示すように、正極板12と負極板13とを、間にセパレータを挟んで巻回した、いわゆる巻回型の発電要素11として構成されている。図5および図6に示すように、発電要素11の上端部においては、負極板13の未塗布部13Aが上方(点線よりも上側)に延出され、発電要素11の下端部においては正極板12の未塗布部12Aが下方(点線よりも下側)に延出されている。
【0022】
正極板12を構成する金属箔としてはアルミニウム箔が用いられる。正極活物質としては、リチウムやマンガンなどを含むリチウム複合酸化物など、リチウムイオン電池の正極活物質として公知のものを用いることができる。
【0023】
負極板13を構成する金属箔としては、例えば銅箔などを用いることができ、負極活物質としては、リチウム金属、リチウムを吸臓・放出可能な物質であるリチウム−アルミニウム合金、リチウム−鉛合金、リチウム−錫合金などのリチウム合金、黒鉛、コークス、有機物焼成体などの炭素材料など、リチウムイオン電池の負極活物質として公知のものを用いることができる。
【0024】
セパレータとしては、例えば、ポリエチレン製微多孔膜など、リチウムイオン電池のセパレータとして公知のものを用いることができる。
【0025】
非水電解液としては、リチウムイオン電池の電解液(非水電解液)として公知のものを用いることができる。
【0026】
非水電解液の非水溶媒としては、具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステル類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル類、ジメトキシエタン、ジメトキシメタン等の鎖状エーテル類、リン酸エチレンメチル、リン酸エチルエチレン等の環状リン酸エステル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等の鎖状リン酸エステル、これらの化合物のハロゲン化物などを使用することができる。これらの有機溶媒は、一種類だけを選択して使用してもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
非水電解液の溶質としては、LiClO、LiPF、LiBF等の無機リチウム塩や、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO 、LiN(CFCO)およびLiC(CFSO等の含フッ素有機リチウム塩等を挙げることができる。これらの溶質は、一種類だけを選択して使用してもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
発電要素11と非水電解液を収容するケース20を構成する筒部21、蓋部材22、および蓋板27はそれぞれ別体である。蓋部材22はケース20の底部20Aに配置され、蓋板27はケース20の上部20Bに配置されている。
【0029】
ケース20の筒部21の下側の開口部21Bには、図4に示すように、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の蓋部材22が配されている。この蓋部材22には凹部23が形成されている。蓋部材22の凹部23は、蓋部材22を筒部21の開口部21Bに取り付けたときに、ケース20の内部方向に凹んだ形状をなしており、ケース20内に収容される正極板12と接合されるようになっている。なお、筒部21の下側の開口部21Bに配される蓋部材22は、図1においては左上側に示されている。
【0030】
蓋部材22の凹部23には超音波溶接で用いる治具が入るようになっている。凹部23の、ケース20の内側方向に突出する突出面23Bのうち図1に示す長手方向の面には、正極板12の未塗布部12Aが接合される。凹部23の正極板12の未塗布部12Aが接合される部分を接合部23Aとする。蓋部材22の上面において、その外周縁22Aはフランジ状をなしており、このフランジ状の部分22Aが筒部21の下端に配されて接合されている。
【0031】
筒部21の上側の開口部21Aには、図4および図5に示すように、上から順に、端子板24、絶縁性材料からなる外部絶縁板26、蓋板27、絶縁性材料からなる内部絶縁板30、絶縁部材33および負極集電体40が配されている。なお、筒部21の上側の開口部21Aに配される部材は図1においては右下側に示されている。
【0032】
端子板24は、図1に示すように、銅製または銅合金製の金属板に、リベット端子25を突出形成したものであり、リベット端子25(以下リベット部25という)の頭部25Aは図4に示すように、電池10内に配される負極集電体40の端子接続孔42に嵌入されてかしめにより接続固定される。なお、図1においては、頭部25Aをかしめた状態のリベット部25を備える端子板が示されているが、頭部25Aをかしめる前のリベット部25は円柱状である。
【0033】
外部絶縁板26には、端子板24に形成されたリベット部25を挿通するとともに、リベット部25の足部25Bを包囲する筒状の絶縁筒部26Aが設けられている。外部絶縁板26の上側面には、その外周縁に沿って突部26B(周縁突部26B)が設けられており、周縁突部26Bで囲まれた領域内に端子板24が嵌めこまれるようになっている。外部絶縁板26により、端子板24のリベット部25は蓋板27と絶縁される。
【0034】
蓋板27はアルミニウム製またはアルミニウム合金製である。蓋板27には、外部絶縁板26の絶縁筒部26Aを挿通可能な筒部挿通孔28と、電池10内に非水電解液を注液するための注液口29とが設けられている。蓋板27の外周縁はケース20の上側の開口部21Aと同形同大に設定されている。蓋板27の下側面における、蓋板27の外周縁よりも内側には、外周縁と略平行に、リブ27Aが突出形成されている。リブ27Aは、蓋板27Aをケース20の筒部21の上側の開口部21Aに取り付けたときに、筒部21の内壁面21Cに沿って配される。
【0035】
内部絶縁板30は、図1に示すように、方形状をなし、蓋板27のリブ27Aの内側に嵌めこまれている。内部絶縁板30には、蓋板27の筒部挿通孔28と対応する位置に外部絶縁板26の絶縁筒部26Aを嵌めこみ可能な筒部挿入孔31が形成されている。内部絶縁板30の下側面においては、その外周縁に沿って突出形成され、負極集電体40の端子接続部41(詳細は後述する)を嵌めこみ可能な周縁突部30Aが設けられている。内部絶縁板30により端子板24のリベット部25は蓋板27と絶縁される。
【0036】
絶縁部材33は図1に示すように、合成樹脂などの絶縁性材料からなり、環状をなしている。絶縁部材33は発電要素11の外側に嵌めこまれて、負極集電体40と筒部21の上端部を絶縁する部材である。
【0037】
負極集電体40は、図1および図2に示すように、1枚の銅製または銅合金製の金属板を断面S字状に折り曲げてなる。図1には、端子接続部41を折り曲げる前の負極集電体40を示しており、図2には折り曲げ加工を施した後の負極集電体40を示している。
【0038】
負極集電体40は、上面視方形状の端子接続部41と、端子接続部41の下方に連なり、負極板13と接続される箱状の集電体接続部43とを備える。負極集電体40の端子接続部41には、端子板24に設けられたリベット部25の頭部25Aが嵌入される端子接続孔42が設けられている。負極集電体40の端子接続部41は内部絶縁板30の周縁突部30Aに囲まれた領域に嵌めこまれるようになっている。
【0039】
負極集電体40の集電体接続部43は、端子接続部41に対して略平行に配されリベット部25の頭部25Aが配置される切欠部44Aが形成された頭部配置部44と、頭部配置部44に対して略平行に配される底壁部45と、底壁部45の両側縁に対してそれぞれ略垂直に切り立ち、負極板13と接合されるとともに絶縁部材33との間に負極板13を配置する一対の接続部46,46とを備える。
【0040】
本実施形態の電池10は、1個で使用することもできるが、複数個を並べて接続することにより組電池として使用することもできる。本実施形態の電池10を複数個接続する際には、バスバーなどの接続部材(図示せず)を、正極集電体としての蓋部材22に直接接続することが可能である。本実施形態の電池10を複数個接続して組電池とする場合、蓋部材22側にヒートシンクなどの冷却部材を配置すると、冷却効率を非常に優れたものとすることができる。
【0041】
次に、本実施形態の電池10の製造方法について説明する。
負極集電体40の接続部46,46に発電要素11の上端に延出されている負極板13の未塗布部13Aを例えば超音波溶接により接合する。
【0042】
ここで、発電要素11を作製する際には、正極活物質を塗布したアルミニウム箔からなる正極板12と負極活物質を塗布した銅箔からなる負極板13とを、間にセパレータを挟んで巻回する(図6を参照)。この際、正極板12および負極板13には、それぞれ幅方向の端部に活物質未塗布部を設けて巻回し、正極板12および負極板13の各活物質未塗布部が端部から突出するように発電要素11を作製する。
【0043】
次に、発電要素11の下端部において延出された正極板12と蓋部材22とを接合する。具体的には、蓋部材22の凹部23のうち、ケース20の内側方向に配される面を発電要素11の下端部11Aに配置し、凹部23内に超音波溶接の治具を入れて、正極板12と、蓋部材22の凹部23の突出面23Bとを接合する。
【0044】
負極集電体40および蓋部材22を接合した発電要素11を、筒部21の下側の開口部21Bから筒部21内に挿入する。蓋部材22を筒部21に溶接により接合する。
【0045】
筒部21に挿入した発電要素11の上端部に、絶縁部材33を負極集電体40の外周に配されるように嵌めこみ装着する。
【0046】
次に負極集電体40の端子接続部41を内部絶縁板30の下面に嵌めこむ。具体的には、負極集電体40の端子接続部41を、内部絶縁板30の下面の周縁突部30Aに囲まれた領域に嵌めこむと、負極集電体40の端子接続孔42と内部絶縁板30の筒部挿入孔31が重なる位置に配される。
【0047】
負極集電体40の端子接続部41が嵌めこまれた内部絶縁板30を、内部絶縁板30の筒部挿入孔31を蓋板27の筒部挿通孔28と重なるように配置して、蓋板27の下側面のリブ27A内に嵌めこむ。そうすると蓋板27の筒部挿通孔28と内部絶縁板30の筒部挿入孔31と端子接続部41の端子接続孔42が重なる位置に配置される。
【0048】
負極集電体40および内部絶縁板30を下方に取り付けた蓋板27の上面に、外部絶縁板26を載置し、蓋板27の筒部挿通孔28および内部絶縁板30の筒部挿入孔31に、外部絶縁板26の絶縁筒部26Aを挿通させる。次に、端子板24を外部絶縁板26の上面の周縁突部26Bで囲まれた領域に嵌めこむと、端子板24のリベット部25が、外部絶縁板26の絶縁筒部26Aと負極集電体40の端子接続部41の端子接続孔42とに嵌入され、この頭部25Aをかしめることによりリベット部25が接続固定される。
【0049】
次に、端子板24、外部絶縁板26、内部絶縁板30、蓋板27が接続固定された負極集電体40を略S字状に折り曲げ加工することにより、蓋板27が筒部21の上側の開口部21Aに嵌合可能な状態となる。
【0050】
次に蓋板27を筒部21の上側の開口部21Aに嵌めこみ溶接により接合する。その後、非水電解液を注液して注液口29を封口すると本実施形態の電池10が得られる。
【0051】
以下、本実施形態の作用および効果について説明する。
本実施形態においては、ケース20の底部に配される蓋部材22の内面側に形成された突出面23Bのほぼ全域に、発電要素11を構成する正極板12の未塗布部12Aが接合されているので、発電要素の端面を集電体の接続板部と接合した電池よりも、発電要素20とケース11との接合部の接合状態を良好に保持することができる。したがって、本実施形態によれば、電池10が衝撃や振動を受けたときでも、蓋部材22と極板12との接合部23Aに応力が作用しにくくなり、電池10の耐衝撃性や耐振動性を向上させることができ、かつ、熱伝達を行いやすい構造とすることができる。
【0052】
また、本実施形態においては、ケース20の底部に配される蓋部材22に正極板12が接合されるので、蓋部材22をケース20の一部として機能させるだけでなく、正極集電体としても機能させることができる。つまり、本実施形態によれば、正極集電体を別途用意する必要がないので部品点数を減らすことができる。
以上より、本実施形態によれば、部品点数を減らしながらも耐衝撃性や耐振動性に優れた電池10を提供することができる。
【0053】
さらに、本実施形態では、正極板12の未塗布部12Aが凹部23に接合されているから、正極板12と凹部23との接合部23Aの強度を向上させることができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、ケース20は、開口部21A,21Bを有し筒状をなす筒部21と、開口部21Bを覆う蓋部材22と、を備えているから、発電要素11を蓋部材22と接合したのちに筒部21に収容することが可能となり、作業効率に優れる。
【0055】
また、本実施形態によれば、蓋部材22には、凹部23が形成されているから、蓋部材22を下方に配置して電池10を起立状態に配置することができ、蓋部材22にヒートシンクなどの冷却部材を配置しやすくなる。
【0056】
また、本実施形態によれば、発電要素11は正極板12と負極板13とを巻回してなり、発電要素11の巻回軸が、開口部21A,21Bに対して垂直に配されているから、電池10内で発生したガスを開口部21A方向に逃がしやすくすることができるうえに、開口部21Aから注液した電解液を発電要素11に対して均等に浸透させることができる。
【0057】
また、本実施形態においては、ケース20の底部20Aには、凹部23が形成されているから、ケース20の底部20Aを下方に配置して電池10を起立状態に配置することができ、ケース20の底部20Aにヒートシンクなどの冷却部材を配置しやすくなる。その結果、本実施形態によれば、電池10を冷却効率に優れたものとすることができる。
【0058】
なお、本実施形態の電池10は、1個で使用することもできるが、複数個を並べて接続することにより組電池として使用することもできる。本実施形態の電池10を複数個接続する際には、バスバーなどの接続部材(図示せず)を、正極集電体としての蓋部材22および蓋板27の端子板24(負極端子)に直接接続することが可能である。
【0059】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、凹部に正極板の未塗布部が接合されているものを示したが、活物質が塗布されている部分が接合されていてもよい。
(2)上記実施形態では、凹部に正極板が接合されているものを示したが、負極板が接合されていてもよい。
(3)上記実施形態では、ケースの底部に、ケースの筒部とは別体の蓋部材を備えるものを示したが、ケースの筒部と底部が一体であってもよい。
(4)上記実施形態ではケースの底部(蓋部材)にケースの内部方向に凹んだ凹部を形成したものを示したが、ケースの外側方向に突出した凸部を形成してもよい。
(5)上記実施形態ではリチウムイオン電池に適用した例を示したが、本発明は、ニッケル水素電池などの二次電池やコンデンサなどにも適用可能である。
(6)上記実施形態では、長円形状の開口部を有するケースを備える電池を示したが、ケースの形状は角型であってもよい。
(7)上記実施形態では、発電要素は正極板と負極板とを巻回してなり、発電要素の巻回軸が、開口部に対して垂直に配されるものをしめしたが、発電要素の巻回軸が開口部に対して平行に配されるものであってもよいし、発電要素は正極板と負極板とを巻回せずに積層した構成のものであってもよい。
(8)上記実施形態では負極端子が突出端子である構成を示したが、正極端子のみが突出端子であってもよい。
(9)上記実施形態においては、ケースが正極端子として機能するので、蓋板27を外面側が凸になるようにプレス加工して正極の突出端子を設けてもよい。また、金属板を折り曲げ加工したものを蓋板27に溶接などによって接合して突出端子としてもよい。突出端子は上記実施形態の負極端子と合わせて上面をフラット状としてもよいし、正極端子および負極端子双方をボルト状に形成してボルト端子としてもよい。図7に示すように、正極端子52および負極端子53をボルト状に形成すると電池50間の接続をボルトナット締結によって行うこともできる。また、必要に応じて正極の突出端子52を他の面に設けてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10…電池(蓄電素子)
11…発電要素(蓄電要素)
12…正極板
12A…未塗布部(極板面)
13…負極板
13A…未塗布部
20…ケース
21…筒部
21A,21B…開口部
21C…内壁面
22…蓋部材(ケースの一面)
23…凹部
23A…接合部
23B…突出面
24…リベット部(突出端子)
40…負極集電体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極板と負極板とをセパレータを介して積層してなる蓄電要素と、前記蓄電要素を収容するケースと、を備える蓄電素子であって、
前記ケースの一面には、前記ケースの内部方向に凹んだ凹部または前記ケースの外側方向に突出した凸部が形成され、
前記ケースの一面の前記凹部または前記凸部には、前記正極板および前記負極板のいずれか一方が接合されていることを特徴とする蓄電素子。
【請求項2】
前記正極板および前記負極板の少なくとも一方には、活物質が塗布されていない未塗布部が設けられ、
前記凹部または前記凸部には、前記未塗布部が接合されていることを特徴とする請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項3】
前記ケースは、開口部を有し筒状をなす筒部と、前記開口部を覆う蓋部材と、を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蓄電素子。
【請求項4】
前記蓋部材には、前記凹部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の蓄電素子。
【請求項5】
前記蓄電要素は前記正極板と前記負極板とを巻回してなり、前記蓄電要素の巻回軸が、前記開口部に対して垂直に配されることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の蓄電素子。
【請求項6】
前記正極板および前記負極板は、それぞれ、前記ケースの外側方向に突出形成された突出端子を有することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の蓄電素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−77495(P2013−77495A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217451(P2011−217451)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】