薄膜を有するプリントヘッド
微細加工されたデバイス、および微細加工されたデバイスを形成するための方法が記載される。シリコン(680)を含む薄膜が、シリコン・オン・インシュレーター基材(685)をシリコン基材に接着させることによって、シリコン本体(25)の上に形成される。シリコン・オン・インシュレーター基材の、ハンドル層(695)および絶縁体層(690)は、取り除かれ、シリコン本体に接着されたシリコンの薄膜を残し、その結果、膜と本体との間には、絶縁体物質の介在層は残らない。圧電性層は、膜に接着される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2003年10月10日に出願された米国仮出願第60/510,459号(本明細書中に参考として援用される)の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
本発明は、プリントヘッドモジュールおよび膜を形成することに関する。インクジェットプリンタは、代表的に、インク供給源からノズル経路までのインク経路を備える。ノズル経路は、ノズル開口部で終結し、そのノズル開口部からインク滴が駆出される。インク滴の駆出は、インク経路内のインクにアクチュエータで圧力をかけることによって制御され、アクチュエータは、例えば、圧電性のデフレクター、熱インクジェット発生器、または静電気的に偏向された要素であり得る。代表的なプリントヘッドは、インク経路のアレイを有し、このインク経路のアレイは、対応するノズル開口部および付随するアクチュエータを備え、各ノズル開口部からの滴の駆出は、独立して制御され得る。ドロップ・オン・デマンドのプリントヘッドにおいて、各アクチュエータは、プリントヘッドおよび印刷基材が互いに関して動かされるときに、画像の特定のピクセル位置に滴を選択的に駆出するように発射される。高性能のプリントヘッドにおいて、ノズル開口部は、代表的に、50μm以下(例えば、約25μm)の直径を有し、100〜300ノズル/インチのピッチで間隔を空けられ、100〜3000dpi以上の解像度を有し、そして、約1〜70ピコリットル(pl)以下の滴サイズを提供する。滴の駆出頻度は、代表的には、10kHz以上である。
【0003】
Hoisingtonら、特許文献1(この全内容は、本明細書により参考として援用される)は、半導体プリントヘッド本体および圧電性アクチュエータを有するプリントヘッドを記載する。このプリントヘッド本体は、シリコン製であり、インクチャンバを規定するようにエッチング処理されている。ノズル開口部は、別個のノズルプレートにより規定され、このプレートは、シリコン本体に取り付けられている。圧電性アクチュエータは、圧電性物質の層を有し、この層は、適用される電圧に応答して、幾何学的形状を変化させるか、または屈曲する。圧電性層の屈曲は、インク経路に沿って位置するポンピングチャンバ内のインクに圧力をかける。
【0004】
圧電性物質が所定の電圧を示す屈曲の量は、その物質の厚みに反比例する。結果として、圧電性層の厚みが増すにつれ、必要とされる電圧が増す。所定の滴サイズのために必要とされる電圧を制限するために、圧電性物質の偏向した壁の面積が増加され得る。大きな圧電性壁の面積はまた、これに相応して、大きなポンピングチャンバを必要とし得、このことは、高解像度の印刷のための小さなオリフィス間隔の維持のように、設計の局面を複雑にし得る。
【0005】
印刷の精度は、多数の要因(ヘッドのノズル、およびプリンタの複数のヘッドのノズルにより駆出される滴のサイズ、速度、および均一性が挙げられる)により影響を受ける。滴のサイズおよび滴の速度の均一性は、次いで、インク経路の寸法の均一性、音による干渉効果、インク流れ経路内の汚染、およびアクチュエータの作動の均一性のような要因により影響を受ける。
【特許文献1】米国特許第5,265,315号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(要旨)
一般に、1つの局面において、本発明は、微細加工されたデバイスを形成する方法を特徴とする。この方法は、基材の上面をエッチング処理して、少なくとも1つのエッチング処理された特徴を形成する工程を包含する。多層基材は、基材の上面に接着され、その結果、上面の上のエッチング処理された特徴が覆われて、チャンバを形成する。多層基材は、シリコン層およびハンドル層を備える。接着は、基材の上面とシリコン層との間にシリコン−シリコン接着を形成する。ハンドル層は、チャンバを覆ってシリコン層を備える膜を形成するために、多層基材から取り除かれる。
【0007】
本発明の実施は、1つ以上の以下の特徴を包含し得る。多層基材は、シリコン・オン・インシュレーター(silicon−on−insulator)基材であり得る。多層基材は、酸化物の層を備え得る。酸化物の層は、例えば、エッチングによって、取り除かれて、膜を形成し得る。導電性の層は、膜の上に形成され得る。圧電性層は、膜に接着され得る。多層基材は、多層基材のシリコン層を、基材の上面のシリコンに融着することによって、基材に接着され得る。酸化物は、融着の前に、フッ化水素エッチングによって、あらゆるシリコン層から取り除かれ得る。ハンドル層は、例えば、エッチングまたは研削によって、多層基材から取り除かれ得る。ハンドル層は、シリコンから形成され得る。膜は、15μm厚未満、10μm厚未満、5μm厚未満、または1μm厚未満であり得る。金属マスクが、基材の上に形成され得る。この金属は、ニッケルおよびクロムを含み得る。金属停止層が、エッチングの前に、基材の下面の上に形成され得る。金属層は、ニッケル、クロム、アルミニウム、銅、タングステン、または鉄のうちの1つを含み得る。
【0008】
別の局面において、本発明は、プリントヘッドを形成する方法を特徴とする。この方法は、基材の上面をエッチング処理して、少なくとも1つのエッチング処理された特徴を有するようにする工程を包含する。多層基材が、基材の上面に接着され、その結果、上面の上のエッチング処理された特徴が覆われて、チャンバを形成する。多層基材は、第1の層およびハンドル層を備える。ハンドル層は、多層基材から取り除かれ、膜を形成する。圧電性層は、膜に接着される。
【0009】
本発明の実施は、1つ以上の以下の特徴を備え得る。ノズル層が、基材の下面に接着され得、このノズル層は、流体を駆出するための1つ以上のノズルの少なくとも一部分を備える。基材の上面は、インク流れ経路の少なくとも一部分を形成するようにエッチング処理され得る。
【0010】
なお別の局面において、本発明は、微細加工されたデバイスを形成する方法を特徴とする。金属層は、第1の基材の下面の上に形成される。第1の基材は、基材の上面からエッチング処理され、その結果、エッチング処理された特徴は、第1の基材を通って、金属層まで延びる。金属層は、第1の基材をエッチング処理した後に、第1の基材の下面から取り除かれる。層が、第1の基材の下面に連結される。
【0011】
本発明の実施は、1つ以上の以下の特徴を備え得る。第1の基材をエッチング処理する工程は、第1の基材に、深層反応性のイオンエッチング処理をする(deep reactive ion etching)工程を包含し得る。層を基材の下面に連結する工程は、第1のシリコン表面を第2のシリコン表面に連結する工程を包含し得る。特徴は、第1の基材の下面にエッチング処理され得る。多層基材は、基材の上面に接着され得、その結果、上面の上のエッチング処理された特徴が覆われて、1つ以上のチャンバを形成し、この多層基材は、第1の層およびハンドル層を備え、そしてこのハンドル層は、多層基材から取り除かれて、1つ以上のチャンバを覆って膜を形成し得る。
【0012】
なお別の局面において、本発明は、微細加工されたデバイスを形成する方法を特徴とする。1つ以上の凹部が、第1の基材の下面にエッチング処理される。下面をエッチング処理した後に、犠牲層が、第1の基材の下面の上に形成される。第1の基材は、基材の上面からエッチング処理され、その結果、エッチング処理された特徴が、第1のシリコン基材を通って犠牲層まで延びる。犠牲層は、第1の基材の下面から取り除かれる。
【0013】
別の局面において、本発明は、プリントヘッドを形成する方法を特徴とする。第1の基材は、第1の基材の上面からエッチング処理され、その結果、エッチング処理された特徴は、第1の基材を通って、第1の基材の下面の上にある1つの層まで延びる。第1の基材を上面からエッチング処理した後に、1つの層が、第1の基材の下面に連結される。下面に1つの層を連結した後、この層内にノズル特徴が形成され、その結果、ノズル特徴は、エッチング処理された特徴に接続される。
【0014】
1つの局面において、本発明は、微細加工されたデバイスを特徴とする。このデバイスは、本体、膜および圧電性構造体を備える。本体は、第1の物質からできており、複数の凹部を有する。膜は、第1の物質からできており、15μm厚未満である。膜は、本体に接着され、その結果、本体内の凹部は、少なくとも部分的に膜により覆われ、この膜と本体との間の界面は、実質的に、第1の物質以外の物質を含まない。圧電性構造体が膜の上に形成され、ここで、圧電性構造体は、第1の導電性の層および圧電性物質を含む。
【0015】
上記デバイスは、1つ以上の経路を提供する凹部を備え得、この経路の各々は、本体の外側と連絡するための入口および出口を有する。これらの経路は、種々の深さの領域を備え得る。経路の各々の出口は、ノズルであり得る。ノズルは、本体の膜と反対側にあり得る。膜は、厚みが、1μm未満だけ変動し得る。第1の物質は、シリコンであり得る。膜は、実質的に開口部を含まないものであり得る。凹部は、膜に隣接するポンピングチャンバを備え得る。膜は、10μm厚未満、5μm厚未満、または、1μm厚未満であり得る。膜は、第2の物質(例えば、酸化物)を含み得る。圧電性構造体は、第2の導電性の層を備え得る。圧電性物質は、第1の導電性の層と第2の導電性の層との間にあり得る。
【0016】
本発明の潜在的な利点は、以下のうちの1つ以上を含んでも、含まなくてもよい。モジュール基材内のエッチング処理された特徴(例えば、ノズル、フィルタ、およびインク供給源)は、金属エッチング停止要素(metal etch stop)を使用して形成され得る。シリコン基材の上に金属エッチング停止要素を形成し、プリントヘッドのエッチング処理された特徴を製造することにより、エッチングの間の電荷の蓄積を減少し得る。電荷が蓄積しないことにより、そうでなければ、シリコン・オン・インシュレーター基材における酸化物の層が、エッチング停止層として使用される場合に生じる、アンダーカットを減少し得る。エッチング処理のプロセスはまた、構築のために高熱を生成し、基材に欠陥をもたらし得る。しかし、金属エッチング停止要素を使用することにより、改善された熱の散逸を提供し得る。なぜならば、金属は、酸化物よりも高い熱伝導性を有するからである。シリコン基材が全体にわたってエッチング処理される、エッチングプロセスの終わりに、金属層は、基材の反対側からの冷却剤の漏出を停止し得る。金属はまた、エッチングマスクとしても使用され得、フォトレジストの適用を複数繰り返すこと、フォトレジストに模様をつけること、そして、基材をエッチング処理することの必要性を除去する。
【0017】
アクチュエータ(アクチュエータ膜を含む)は、一般に、モジュール基材の上面に形成もしくは接着される。シリコン基材は、モジュール基材上に接着され得、次いで、所望の厚みまで研削されて、アクチュエータ膜を形成し得る。あるいは、アクチュエータ膜は、モジュール基材上に、シリコン・オン・インシュレーター基材を接着させることによって形成され得る。所望の厚みのシリコンのデバイス層を有する、シリコン・オン・インシュレーター基材を、モジュール基材上に接着させることによって、従来の研削技術よりも薄い膜の形成が可能となり得る。シリコン・オン・インシュレーター基材のシリコン層は、各基材内で非常に均質であり得、従って、シリコン・オン・インシュレーター基材で形成されたプリントヘッドのアクチュエータ膜はまた、非常に均質であり得る。より薄い膜は、有利である。なぜならば、厚い膜よりも、同じインク滴サイズを生成するために少ない電圧を必要とし得るからである。圧電性アクチュエータの偏向する壁面積、およびポンピングチャンバのサイズはまた、より薄い膜が形成されると、減少され得る。より小さなオリフィス間隔が可能になると、より高い解像度のプリンタを製造することが可能になる。プリントヘッドを横切る膜の厚みの均一性は、膜を研削する代わりに、モジュール基材にシリコン・オン・インシュレーター基材を接着させると、改善され得る。
【0018】
本発明の1つ以上の実施形態の細部が、添付の図面および以下の明細書に示される。本発明の他の特徴、目的および利点は、これらの明細書および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかである。
【0019】
種々の図面において類似の参照記号は、類似の要素を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(詳細な説明)
(プリントヘッドの構造)
図1を参照して、インクジェットプリントヘッド10は、プリントヘッドユニット76を備え、このプリントヘッドユニット76は、シート14またはシートの一部に跨る様式で、フレーム86の上に保持され、このシートの上で、画像が印刷される。画像は、プリントヘッド10およびシート14が互いに関して(矢印の方向に)動くときに、ユニット76からインクを選択的に駆出することによって印刷され得る。図1の実施形態において、プリントヘッドユニット76の3つのセットが、例えば、約12インチ以上の幅にわたって例示される。各セットは、複数のプリントヘッドユニット(例えば、プリントヘッドとシートとの間の相対的な動きの方向に沿って3つ)を備える。ユニットは、解像度および/または印刷速度を増加するために、ノズル開口部を埋め合わせるように整列され得る。あるいは、もしくはこれに加え、各セットの各ユニットは、異なる型もしくは色のインクを供給され得る。この配置は、プリントヘッドによるシートの1回の通過の間に、シートの幅全体にわたってカラー印刷するために使用され得る。
【0021】
図2A、2Bおよび3を参照して、各プリントヘッドユニット76は、インクの滴を調節可能に駆出し得る、プリントヘッドモジュール12を備える。このプリントヘッドモジュール12は、面板82(図1Aを参照のこと)の上に位置決めされ、その結果、モジュール12のノズル65は、面板82内の開口部51(図3を参照のこと)を通って露出される。インクの駆出を制御する発射シグナルを送達するためのフレキシブル回路(flex circuit)(示さず)が、モジュールの裏面に固定される。図1および3を個別に参照して、面板82およびモジュール12は、ハウジング88内に囲まれ、そして、モジュール12にインクを送達するためのインク供給経路を備える、マニホルドアセンブリに取り付けられる。
【0022】
図2Aを参照して、モジュール12は、一般に矩形の固形物である。1つの実施形態において、モジュール12は、約30mmと70mmとの間の長さ、4mmと12mmとの間の幅、そして、400μmと1000μmとの間の厚みである。モジュールの寸法は、例えば、以下に議論されるように、流れ経路がエッチング処理された、半導体基材内では変動し得る。例えば、モジュールの幅および長さは、10cm以上であり得る。
【0023】
モジュール12は、モジュール基材25および圧電性アクチュエータ構造体100を備える。モジュール基材の前面20は、ノズル65のアレイを備え、このアレイから、インク滴が駆出され、そして、基材25の裏面16は、圧電性アクチュエータ構造体100に固定される。
【0024】
図2A、2Cおよび4Aを参照して、基材は、入口30からノズルまでインクを運ぶための複数の流れ経路55を備える。具体的には、図4Aに最も良く示されるように、流れ経路の各々は、インク入口30、アセンダー35、インピーダンスフィルタ特徴50、ポンピングチャンバ45およびディセンダー40により規定されるモジュール基材25を通る通路である。インクは、流れ経路55(図4Aを参照のこと)に沿って、マニホルドアセンブリからノズル65まで流れる。
【0025】
図2Bを参照して、各モジュール12は、その裏部分16に、一連の発射接触点17を有し、この接触点17に、フレキシブルプリント(flex print)が付着する。各発射接触点は、単一のアクチュエータ21に対応し、そして、各アクチュエータ21は、インク経路55に対応し、その結果、各ノズル開口部からのインクの駆出は、別個に制御可能である。例示される実施形態において、モジュールは、単一列のノズル開口部を有する。しかし、モジュールは、複数列のノズル開口部を備え得る。例えば、一列の開口部は、別の列に関して埋め合わされ、解像度を増加し得る。あるいは、またはこれに加え、異なる列にあるノズルに対応する流れ経路55は、異なる色もしくは型(例えば、ホットメルト、UV硬化性、水性ベース)のインクを備え得る。図2Cを参照して、ノズル65のインク流れ経路55に対する関係が示される(個々のインク経路は、影で示される)。
【0026】
(モジュール基材)
図3、4Aおよび4Bを具体的に参照して、モジュール基材25は、シリコン基材のようなモノリシックの半導体本体である。シリコン基材を通る通路は、基材を通るインクの流れを規定する。モジュール基材は、シリコンから形成され得る。
【0027】
モジュール12は、モジュールセンターラインのいずれかの側に流れ経路を備え得る。図3に示される1つの実施形態において、基材25を通る経路は、インク入口30、30’、インピーダンスフィルタ特徴50、50’、ポンピングチャンバ45、45’、およびノズル65を規定する。アクチュエータ21、21’は、ポンピングチャンバ45、45’を覆って位置決めされる。従って、隣接するノズルに供給するポンピングチャンバ45、45’は、モジュール基材のセンターラインの片側にある。ポンピングチャンバ45、45’は、基材の裏面15の近くに配置され、そして、ノズル65は、基材の前面10内に形成される。インクは、マニホルド流れ経路24から供給され、入口30に入り、アセンダー35を逆流し、そして、インピーダンスフィルタ特徴50に向かう。インクは、インピーダンスフィルタ特徴50を通って、ポンピングチャンバ45へと流れ、ポンピングチャンバ45において、インクは、アクチュエータ21により圧力を加えられ、その結果、インクは、ディセンダー40に向かい、ノズル開口部65から出る。エッチング処理された特徴は、種々の方法で構成され得る。
【0028】
モノリシック本体、およびプリントヘッド内の複数のモジュールのモノリシック本体間の厚みの均一性は、高度なものである。例えば、モノリシック本体の厚みの均一性は、例えば、6インチの磨いたシリコン基材にわたって形成されたモノリシック本体について約+1μm以下であり得る。結果として、基材にエッチング処理された流れ経路特徴の寸法の均一性は、実質的には、本体内の厚みのバリエーションにより低減されない。さらに、ノズル開口部は、別個のノズルプレートなしでモジュール本体内に規定される。特定の実施形態において、ノズル開口部の厚みは、約1μm〜200μm(例えば、約30μm〜50μm)である。1つの実施形態において、ノズル開口部は、約140μmのピッチを有する。ポンピングチャンバは、約1mm〜5mm(例えば、約1mm〜2mm)の長さ、約0.1mm〜1mm(例えば、約0.1mm〜0.5mm)の幅、そして、約60μm〜100μmの深さを有する。特定の実施形態において、ポンピングチャンバは、約1.8mmの長さ、約0.21mmの幅、そして、約65μmの深さを有する。
【0029】
図4A、4Bおよび5を参照して、モジュール基材25は、ポンピングチャンバ45の上流に位置するインンピーダンスフィルタ特徴50を備える。インピーダンスフィルタ特徴50は、流れ経路内の一連の突出部39によって規定される。インピーダンスフィルタ特徴50は、濾過のみ、音によるインピーダンスの制御のみ、または濾過と音によるインピーダンスの制御の両方を提供するように構築され得る。突出部の位置、サイズ、間隔および形状は、濾過および/または所望の音によるインピーダンスを提供するように選択される。フィルタとして、この特徴は、微粒子または繊維のような破片を捕捉し、その結果、これらは、ノズルに到達せず、ノズルを詰まらせない。音によるインピーダンス要素として、この特徴は、ポンピングチャンバ45から入口30に向けて伝播する圧力波を吸収し、従って、モジュール内のチャンバの間での音によるクロストークを減少させ、動作頻度を増加させる。
【0030】
インピーダンスフィルタ特徴50内の流れ開口部37の数は、連続して高い頻度での動作のために十分なインクの流れが、ポンピングチャンバに利用可能となるように選択され得る。例えば、湿りを提供するのに十分小さい寸法の単一の流れ開口部37は、インクの供給を制限し得る。このインクの供給不足を避けるために、多数の開口部が提供され得る。開口部の数は、全体的な特徴の流れ抵抗が、ノズルの流れ抵抗よりも小さくなるように選択され得る。さらに、濾過を提供するために、流れ開口部の直径または最小の断面寸法は、対応するノズル開口部の直径(最小の断面)よりも小さくあり得る(例えば、ノズル開口部の60%以下)。フィルタインピーダンス特徴50の1つの実施形態において、開口部37の断面は、ノズル開口部の断面の約60%以下であり、この特徴内の全ての流れ開口部についての断面積は、ノズル開口部の断面積よりも大きく、例えば、ノズルの断面積の約2〜3倍以上(例えば、約10倍以上)である。インピーダンスフィルタ特徴(流れ開口部は、可変の直径を有する)について、流れ開口部の断面積は、その最小の断面寸法の位置で測定される。インクの流れ方向に沿って連絡流れ経路を有するインピーダンスフィルタ特徴50の場合に、断面の寸法および面積は、最小の断面の領域において測定される。いくつかの実施形態において、圧力低下を使用して、この特徴を通る流れ抵抗を決定し得る。圧力低下は噴射中の流れにおいて測定され得る。噴射中の流れは、滴の容量/発射パルス幅(fire pulse width)である。いくつかの実施形態において、噴射中の流れにおいて、インピーダンス/フィルタ特徴にわたる圧力低下は、ノズル流れ経路にわたる圧力低下よりも小さい。例えば、この特徴にわたる圧力低下は、ノズル流れ経路にわたる圧力低下の約0.5〜0.1である。
【0031】
1つの実施形態において、インピーダンスフィルタ特徴50は、3列の突出部を有し得る。この実施形態において、突出部39は、約25〜30μmの直径を有し、各列において、突出部39は、約15〜20μmだけ間隔が空いており、突出部の各列は、約5〜20μmだけ間隔が空いている。インピーダンスフィルタ特徴50は、インク供給経路内への音の反射を実質的に減少するように選択され得る。例えば、特徴50のインピーダンスは、ポンピングチャンバ45のインピーダンスと実質的に一致し得る。あるいは、チャンバよりも大きいインピーダンスを提供して、濾過機能を高めるか、または、チャンバより小さいインピーダンスを提供して、インク流れを増やすことが望ましくあり得る。後者の場合、クロストークは、伸展性の膜、または流れ経路内のどこかにある追加のインピーダンス制御特徴を利用することによって減少され得る。ポンピングチャンバ45のインピーダンス、およびインピーダンスフィルタ特徴50は、Flow Science Inc.,Santa Fe,NMより入手可能なFlow 3Dのような流体動力学ソフトウェアを使用してモデル化され得る。
【0032】
図4Aに例示されるノズル65は、一般に、オリフィスの直径に対応する一定の直径の円筒状の経路である。ノズル開口部の上流の、小さく、実質的に一定の直径のこの領域は、ノズル開口部の軸に関して真っ直ぐな軌道で滴を推進することによって、印刷の精度を高める。さらに、ノズル65は、ノズル開口部を通る空気の取り込みを阻むことによって、高頻度な動作での滴の安定性を改善する。これは、発射前充填モード(fill−before−fire mode)で動作するプリントヘッドにおいて特に有利である。このモードにおいて、アクチュエータは、発射前に、陰圧を生成して、インクをポンピングチャンバ内へと引き込む。陰圧はまた、ノズル開口部から内向きに引かれているノズル内で、インクのメニスカスを生じ得る。最大メニスカスの引き込みよりも厚いノズル65を提供することによって、空気の取り込みが阻止される。あるいは、ノズル65は、一定もしくは可変の直径のいずれかを有し得る。例えば、ノズル65は、ディセンダーの近くのより大きい直径から、ノズル開口部の近くのより小さい直径まで延びる、漏斗状もしくは円錐状の形状を有し得る。この円錐の角度は、例えば、5°〜30°であり得る。ノズル65はまた、より大きな直径からより小さな直径まで、曲線平方、もしくはベルマウス形状を含み得る。ノズル65はまた、ノズル開口部に向かって、漸次的に小さくなる直径を有する、複数の円筒状領域を備え得る。ノズル開口部に向かう、直径の漸次的な減少は、加速器領域68を横切る圧力低下を減少し、これが、駆動電圧を減少し、そして、滴サイズの範囲および発射速度の可能性を増加させる。異なる寸法を有するノズル流れ経路の部分の長さは、正確に規定され得る。
【0033】
特定の実施形態において、ノズル開口部の直径に対するノズル65の厚みの比は、代表的には、約0.5以上(例えば、約1〜4、または約1〜2)である。このノズル65は、約50〜300μmの最大断面と、約400〜800μmの長さを有する。ノズル開口部およびノズル65は、約5〜80μm(例えば、約10〜50μm)の直径を有する。ノズル65は、約1〜200μm(例えば、約20〜50μm)の長さを有する。ノズル65の長さの均一性は、例えば、モジュール本体のノズルの間で、約+3%以下もしくは+2μm以下であり得る。10plの滴について整列された流れ経路について、ディセンダーは、約550μmの長さを有する。ノズル65につながるディセンダーは、約85μmの短径と約160μmの長径を有する、長円形の形状、卵型の形状を有する。ノズル65は、約30μmの長さと約23μmの直径を有する。
【0034】
(アクチュエータ)
図4Aおよび4Bを参照して、個々のアクチュエータ21が形成される、圧電性のアクチュエータ構造体100は、アクチュエータ膜80(これもまた基材25の一部と考えられ得る)、接地電極層(ground electrode layer)110、圧電性層105、および駆動電極層120を備える。圧電性層105は、約50μm以下(例えば、約25μm〜1μm、または約8μm〜約18μm)の厚みを有する圧電性物質の薄いフィルムである。圧電性層105は、高密度、低空隙、かつ高圧電性定数のような、所望の特性を有する、圧電性物質から構成され得る。アクチュエータ膜は、シリコンから形成され得る。
【0035】
アクチュエータ電極層110および120は、金属(例えば、銅、金、タングステン、インジウム−スズ−酸化物(ITO)、チタン、白金、または金属の組み合わせ)であり得る。電極層の厚みは、例えば、約2μm以下(例えば、約0.5μm)であり得る。特定の実施形態において、ITOは、ショートを減らすために使用される。ITO物質は、圧電性物質の小さな空隙および通路を埋め得、そして、ショートを減らすために十分な抵抗を有する。ITOは、比較的高い電圧で駆動される薄い圧電性層に関して有利である。
【0036】
片側に接地電極層110を備える圧電性層105は、アクチュエータ膜80に固定される。アクチュエータ膜80は、接地電極層110および圧電性層105を、チャンバ45内のインクから隔離する。アクチュエータ膜80は、シリコンであり得、圧電性層の作動が、ポンピングチャンバ45内のインクに圧力を加えるのに十分なアクチュエータ膜80の屈曲を生じるように選択された伸展性(compliance)を有する。アクチュエータ膜の厚みの均一性は、モジュール間での正確かつ均一な作動を提供する。
【0037】
1つの実施形態において、圧電性層105は、接着層によってアクチュエータ膜80に取り付けられる。他の実施形態において、アクチュエータは、圧電性層とポンピングチャンバとの間に膜を備えない。圧電性層は、インクチャンバに直接曝露され得る。この場合、駆動電極および接地電極の両方が、圧電性層の対向する裏面に配置され得、インクチャンバには曝露されない。
【0038】
再度図2B、ならびに図4Aおよび4Bを参照して、モジュールのセンターラインの片側にあるアクチュエータは、切り込み線(cut line)18、18’によって隔てられており、これらの切り込み線は、アクチュエータ膜80まで延びる深さを有する。隣接するアクチュエータは、隔離切り込み(isolation cut)19によって隔てられる。隔離切り込みは、シリコン本体基材(図4B)へと延びる(例えば、1μmの深さ、約10μmの幅)。隔離切り込み19は、隣接するチャンバを機械的に隔離し、クロストークを減少する。所望される場合、この切り込みは、シリコン内をより深く(例えば、ポンピングチャンバの深さまで)延び得る。アクチュエータの裏部分16もまた、接地接触点(ground contact)13を備える。これは、圧電性層へと延びて、接地電極層110(図4A)を無傷なままにする分離切り込み(separation cut)130によってアクチュエータおよび駆動接触点17から隔てられる。上面が金属化される前に作られた接地平面切り込み(ground plane cut)115は、モジュールの端部で、接地電極層110を露出し、その結果、上面の金属化により、接地接触点を接地電極層110に接続する。
【0039】
(製造)
図6A〜6Pを参照して、基材および圧電性アクチュエータを備えるモジュールの製造が例示される。複数のモジュール基材は、1つの基材上に同時に形成され得る。明瞭にするために、図6A〜6Pは、単一のモジュールの単一の流れ経路を例示する。流れ経路特徴は、エッチングプロセスにより形成され得る。
【0040】
図7は、図6A〜6Pに例示される製造方法を例示する、フローチャートを提供する。
【0041】
図6Aを参照して、単一の両側面が磨かれた(DSP)基材605(すなわち、本質的にシリコンから構成される基材)が提供される(工程705)。基材605は、前側610および裏側615を有し、ここで、アセンダー、ディセンダー、インピーダンスフィルタ特徴、モジュール供給経路、およびポンピングチャンバ、またはモジュール基材の他のエッチング処理された特徴が形成される。DSP基材605は、片側または両側(図6Bに示される)に、酸化物層603を有し得る。基材は、400μmと1000μm(例えば、600μm付近)との間の厚み、または、プリントヘッドモジュールを作製するために適切な任意の厚みであり得る。DSP基材605は、モジュール基材25を形成するために使用される。
【0042】
図6Bを参照して、モジュール流れ経路55のエッチング処理された特徴が、基材の前面に向かうことが所望される場合、フォトレジスト625が、基材605の前側に堆積される。フォトレジスト625は、模様をつけられ、そして、基材605がエッチング処理されて、凹部620を形成し、この凹部620は、流れ経路の特徴(例えば、インク入口30)を提供する(工程710)。次いで、残りのフォトレジスト625および酸化物603が、取り除かれる。基材605の逆側は、例えば、テープまたはフォトレジストで保護され得るが、その一方で、酸化物603は取り除かれる。
【0043】
図6Cに示すように、基材の前面610は、例えば、金属(例えば、ニッケル、クロム、アルミニウム、銅、タングステン、鉄)を真空蒸着もしくはスパッタリングすることによって金属化され、金属層630を形成する(工程715)。
【0044】
図6Dに示すように、フォトレジスト層623は、シリコンの裏面615の上に堆積される。酸化物層603およびフォトレジスト623は、模様をつけられて、流れ経路のエッチング処理された特徴の少なくともいくつかの位置を規定する。次いで、基材は、図6Eに示すように、裏側からエッチング処理される(工程720)。フォトレジストに模様を付け、エッチング処理した複数の層は、多層の特徴を生成するために使用され得る。例えば、エッチングは、チャネル635および640、ならびに凹部645および650を形成し得る。これらは、処理の完了時に、アセンダー35、ディセンダー40、ポンピングチャンバ45、およびインピーダンスフィルタ特徴50を提供する。
【0045】
エッチングプロセスの例は、深層反応性のイオンエッチングによる等方性ドライエッチングであり、これは、実質的に垂直方向の側壁を有する特徴を形成するようにシリコンを選択的にエッチング処理するために、プラズマを利用する。Boschプロセスとして公知の反応性のイオンエッチング技術は、Laermorら、米国特許第5,501,893号(その全内容が、本明細書により参考として援用される)において議論される。深層シリコン反応性のイオンエッチング設備は、STS,Redwood City,CA,Alcatel,Plano,TexasまたはUnaxis,Switzerlandから入手可能であり、そして、反応性イオンエッチングは、IMT,Santa Barbara,CAを含むエッチングの供給メーカーによって行なわれ得る。深層反応性のエッチングは、実質的に一定の直径の特徴を深く切断する能力に起因して使用される。エッチングは、プラズマおよびガス(例えば、SF6およびC4F8)を含む真空チャンバ内で実施される。基材の欠陥は、エッチングプロセスの間に生じる熱によって生じ得るので、基材の裏面は冷却される。冷却剤(例えば、ヘリウム)が、基材を冷却するために使用され得る。金属層は、熱を冷却剤に効率よく伝導し、さらに、冷却剤が真空チャンバ内に逃げて、真空を無効にするのを防ぐ。
【0046】
電気絶縁体(例えば、二酸化ケイ素)が、エッチング処理された層と接触する場合、電荷は、界面に蓄積し得、結果として、シリコンと絶縁体との界面に、シリコンのアンダーカットを生じる。このアンダーカットは、空気を捕捉し得、インクの流れを妨害し得る。金属がエッチング停止層として使用される場合、金属の伝導性は、電荷が、シリコンと金属の界面に集まることを防止し、それによって、切り取りの問題を回避する。
【0047】
フォトレジスト層をエッチングマスクとして使用することに加え、またはその代わりに、金属エッチングマスク(例えば、ニクロムのエッチングマスク)が、DSP基材605の前側610に適用され得る。この実施形態において、金属層は、例えば、フォトレジスト層が堆積される前に、蒸着またはスパッタリングによって、DSP基材605の上に形成され得る。フォトレジスト層に模様がつけられると、次いで、金属層が、マスクとしてフォトレジスト層を使用して、エッチング処理および模様づけされ得る。次いで、基材605は、マスクとして模様付けされた金属層を使用して、エッチング工程(例えば、上述の深層反応性イオンエッチング)に供される。フォトレジスト層は、基材エッチング処理工程において金属層の上に残されても、基材605をエッチング処理する前に剥ぎ取られてもよい。
【0048】
エッチングプロセスの多くは、フォトレジストのエッチング処理速度が、シリコンのエッチング処理速度よりも遅くなるように選択されるが、エッチングマスクのためにフォトレジスト層だけを使用して超深層エッチング(very deep etch)が行なわれる場合、エッチングプロセスは、フォトレジストを通してエッチング処理し得る。この問題を回避するために、フォトレジストを適用することを複数回繰り返すこと、フォトレジストに模様をつけること、そして、エッチング処理することが、特徴が所望の深さになる前に必要とされる。しかし、金属は、代表的には、フォトレジストよりもかなり遅くエッチング処理される。従って、金属層をエッチングマスクとして使用することによって、超深層特徴が、単回のエッチング工程においてエッチング処理され得、それによって、比較的深く、実質的に均一な断面特徴にエッチング処理するために必要とされる1つ以上のプロセスの工程を排除し得る。
【0049】
次に、金属層630は、図6Fに示すように、例えば、酸エッチングによって、基材の裏から(および、存在する場合、基材の前から)剥ぎ取られ得る(工程725)。全ての特徴がエッチング処理された後、シリコン層が、モジュール基材25の前面615に接着され得る。
【0050】
図6Gを参照して、シリコン−シリコン融着、または直接シリコン接着を使用して、エッチング処理されたシリコン基材の前面610を、シリコン・オン・インシュレーター基材653に接着する(工程730)。シリコン・オン・インシュレーター基材653は、シリコンのノズル層またはデバイス層655、酸化物層657、およびハンドルシリコン層659を備え、酸化物層657が、ノズル層655とハンドル層659との間で挟まれている。シリコン・オン・インシュレーター基材653は、DSP基材の表面の上にある酸化物層657を増やし、次いで、この酸化物層657の上にデバイス層655を形成することによって形成され得る。具体的には、デバイス層655を形成するためには、第2のDSP基材が、酸化物層657に接着され、所定の厚みまで研削され得る。研削は、複数工程のプロセスであり得る。研削プロセスの第1の部分は、デバイス層655から物質を除去するための大まかな研削(bulk grind)であり得る。大まかな研削の後に、第2のより細かい研削工程が続き得る。任意の最終的な研磨は、表面の粗さを減少させ得る。
【0051】
2つのシリコン表面の間にファンデルワールス結合を生じる融着は、2つの平坦な高度に研磨された、清浄なシリコン表面が、これらの2つのシリコン層の間に中間層がない状態で接触される場合に生じ得る。融着のための2つの要素を調製するために、モジュール基材25およびシリコン・オン・インシュレーター基材653が、例えば、逆転RCAクリーニング(reverse RCA cleaning)によって両方とも清浄にされる。モジュール基材25およびシリコン・オン・インシュレーター基材653の上のあらゆる酸化物が、緩衝化フッ化水素酸エッチング(BOE)により取り除かれ得る。次いで、モジュール基材25およびシリコン・オン・インシュレーター基材653が、接触されて、アニーリング温度(例えば、1050℃〜1100℃付近)でアニールされる。融着の利点は、モジュール基材25とノズル層655との間にさらなる層が形成されないことである。融着後に、2つのシリコン層は、2つの層の間に存在する接着が完了したという描写がないか、実質的にないように、1つの単一の層になる。それゆえ、接着されたアセンブリは、アセンブリの内側にある酸化物層を実質的に含まないことができる。アセンブリは、実質的にシリコンから形成され得る。融着の他の方法(例えば、疎水性の基材処理)を使用して、1つのシリコン層を第2のシリコン層に接着させ得る。融着させた後、図6Hに示すように、ハンドル層659の残りを研削して、厚みの一部を取り除く。エッチングを使用して、ハンドル層659を完全に取り除く(工程735)。
【0052】
レジスト660が、基材の前面の上に提供され、このレジスト660および酸化物層657が、図6Iに示すように模様付けされる。次いで、基材が、例えば、深層反応性イオンエッチングによりエッチング処理されて、直通の経路を生成して、ノズル665を形成する。レジスト層および任意の酸化物層が、図6Jに示すように、基材から剥ぎ取られる(工程740)。
【0053】
代替的な実施形態において、DSP基材は、シリコン・オン・インシュレーター基材の代わりに使用されて、ノズルを形成し得る。第2のDSP基材を使用してノズル665を形成する場合、第2のDSP基材は、前側610に接着される。次いで、ノズルが、第2のDSP基材にエッチング処理される。いずれかのノズル形成法により、ノズル665の長さは、ノズルがエッチング処理されるシリコン基材の厚みによって決定される。このことは、ノズルの流れ経路の長さの正確な定義を可能にする。ノズルの形状は、円筒状であり得る。いくつかの実施形態において、流れ経路の一部分(例えば、インク入口30)は、モジュール基材25の前面に開放されている。この開口部は、ノズル665と同時にエッチング処理され得る。
【0054】
図6Kに示すように、第2のシリコン・オン・インシュレーター基材685の薄いシリコン層680は、アクチュエータ膜を形成するために使用され得る。第2のシリコン・オン・インシュレーター基材685は、シリコンのハンドル層695とシリコン膜の層680との間に挟まれた埋没した酸化物(buried oxide)の層690を有する。第2のシリコン・オン・インシュレーター基材685は、工程730に関して上述したように、接着剤または融着によってモジュール基材25に接着され得る(工程745)。1つの実施形態において、疎水性の融着は、モジュール基材25のシリコンを、シリコン・オン・インシュレーター基材685のシリコン膜の層680に接着する。
【0055】
図6Lを参照して、一旦シリコン・オン・インシュレーター基材685が、モジュール基材25の上に接着されると、例えば、研削、エッチング、または大まかな研削工程の後に残ったシリコンのエッチング処理を行うことによって、接着された、シリコン・オン・インシュレーター基材685のハンドルシリコン層695が取り除かれる(工程750)(図面中の点線は、膜およびチャンバ本体が融合した箇所を示す)。ハンドル695がエッチング処理される場合、シリコン・オン・インシュレーター基材の酸化物層690は、エッチング停止層として機能する。シリコン・オン・インシュレーター基材に残った酸化物層690は、電極を浮かせるように保持されるか、例えば、SF6およびO2を用いる反応性イオンエッチングによって、取り除かれるかのどちらかであり得る。シリコン・オン・インシュレーター基材685に残る膜680は、下限が1μm付近までの任意の厚みであり得る。シリコン・オン・インシュレーター層の上のシリコン層680は、基材全体で均一である傾向が高く、従って、シリコン・オン・インシュレーター基材をチャンバ本体に接着することによって形成されたアクチュエータ膜内の厚みの均一性は高い。フォトレジスト層が、シリコン・オン・インシュレーター基材内(例えば、酸化物層690と膜層680との間、または膜層680とハンドルシリコン層695との間)に備えられる場合、ハンドルシリコン層695は、フォトレジストを取り除く技術(例えば、エッチングおよび研削の代わりに、もしくは、これと共に、リフトオフ法において使用される技術)によって、取り除かれ得る。次いで、シリコン・オン・インシュレーター基材685の残りの層が、例えば、真空蒸着によって金属化されて、金属層700を形成する(工程755)。
【0056】
モジュール基材25へのシリコン・オン・インシュレーター基材685の融着の代替は、厚いシリコンシートをモジュール基材に接着すること、および、シートを所望の厚みまで研削することである。しかし、シートを研削または研磨することは、膜の最低の厚みを制限する。一般に、15μm未満の膜は、一般に、研削によって形成され得ない。なぜならば、このような膜は、研削の間に機械的な力を扱うことができないからである。対照的に、シリコン・オン・インシュレーター基材685をモジュール基材25に融着することは、酸化物の上に非常に薄い膜が形成されること、そして、モジュール基材25に移されることを可能にする。シリコン・オン・インシュレーター基材685は、シリコンのハンドル基材695の上にある酸化物層690を増やすことによって形成され得る。次いで、シリコンのデバイス層680が、酸化物層690に接着され得る。その後、次いで、シリコンのデバイス層680が、所望の厚みまで研削またはエッチングされ得る。シリコンのハンドル層695は、シリコンのデバイス層680を支持し、一方で、シリコンのデバイス層680の厚みは、減少される。こうして、膜層680は、ほぼ所望される任意の厚みで(例えば、15μm、10μm、5μmより薄く、または1μmよりも薄くさえ)形成され得、次いで、基材25の上に接着され、こうして、得られる膜80が非常に薄いことを可能にする。1つの実施形態において、膜は、8μm厚付近である。
【0057】
圧電性物質705は、モジュール基材25の上に圧電性のアクチュエータ構造体100を構築するために選択される。圧電性物質705の密度は、約7.5g/cm3以上(例えば、約8g/cm3〜10g/cm3)である。d31係数は、約200以上である。HIPS処理した圧電性物質705は、Sumitomo Piezoelectric Materials,Japanから、H5CおよびH5Dとして入手可能である。H5C物質は、約8.05g/cm3の見かけ上の密度と、約210のd31を示す。H5D物質は、約8.15g/cm3の見かけ上の密度と、約300のd31を示す。基材は、代表的には、約1cm厚であり、約0.2mmまでダイスカットされ得る。圧電性物質705は、加圧成形、ドクターブレード、グリーンシート(green sheet)、ゾルゲル(sol gel)、または蒸着技術を含む技術によって形成され得る。圧電性物質705の製造は、Piezoelectric Ceramics,B.Jaffe,Academic Press Limited,1971(この全内容が、本明細書中に参考として援用される)において議論されている。ホットプレスを含む形成方法は、第258〜9頁に記載される。高密度、高圧電定数の物質、または、より低い性能の物質が、研削されて、薄層、および滑らかでかつ均一な表面の形態を提供し得る。単一結晶の圧電性物質(例えば、TRS Ceramics,Philadelphia,PAより入手可能な鉛−マグネシウム−ニオブ(PMN))がまた使用され得る。
【0058】
これらの特性は、物質をアクチュエータ膜に接着させる前に、物質を発射することを含む技術を使用して、圧電性物質705において確立され得る。例えば、(支持体の上にあるのではなく)それ自体が鋳造および発射される圧電性物質705は、高圧を使用して、この物質705を鋳型(加熱されているか、または加熱されていない)に充填するために使用され得るという利点を有する。さらに、少数の添加物(例えば、流動剤(flow agent)および結合剤)が、代表的には必要とされる。より高い温度(例えば、1200〜1300℃)が、発射プロセスにおいて使用され得、良好な熟成およびグレインの増加を可能にする。セラミックからの(高い温度に起因する)PbOの喪失を減少する発射雰囲気(例えば、鉛に富んだ雰囲気)が、使用され得る。PbOの喪失もしくは他の分解を有し得る、鋳造された部分の外側表面は、切断および破棄され得る。この物質はまた、熱間等静圧圧縮成形(HIP)によって加工され得る。この間に、セラミックは、高圧(代表的には、1000〜2000atm)に供される。ヒッピングプロセス(Hipping process)は、代表的に、圧電性物質のブロックが発射され、密度を増加し、空隙を減らし、そして、圧電性定数を増加させるために使用された後に、行なわれる。
【0059】
圧電性物質705の前面は、例えば、真空蒸着(例えば、スパッタリング)によって金属化され、金属層707を形成する(工程760)。堆積される金属としては、銅、金、タングステン、スズ、インジウム−スズ−酸化物(ITO)、チタン、白金、または金属の組み合わせが挙げられる。1つの実施形態において、金属層707は、チタン−タングステン、金−スズ、および金の積み重なった層を備える。同様に、金属層700は、チタン−タングステン、および金の積み重なった層を備え得る。次いで、圧電性物質の金属化表面707は、シリコン膜680の上にある金属層700に接着される(工程765)。接着は、約305℃にて、1000Nの力の下で形成された共晶結合により達成され得る。図6Mに示すように、接着は、接地電極710を形成する。あるいは、PZT層は、接着層(例えば、エポキシ)を使用して、モジュール基材25に接着され得る。
【0060】
図6Nに示すように、発射前の圧電性物質705の薄層は、比較的厚い基材の厚みを減らすことによって形成され得る(工程770)。正確な研削技術(例えば、水平研削)は、滑らかで、低い空隙率の表面形態を有する、非常に均一な薄層を生成し得る。水平研削において、ワークピースは、高度な平坦許容度まで機械加工された参照表面を有する回転チャックの上に設置される。ワークピースの露出された表面は、水平研削ホイールと接触し、そしてまた、高度な許容度で整列される。圧電性基材は、例えば、0.2mm以上の実質的な厚みを有し得、これは、最初の表面研削のために取り扱われ得る。研削は、例えば、基材全体で、0.25μm以下(例えば、0.1μm以下)の平坦さおよび平行度、および5nm Ra以下までの表面仕上げを生成し得る。研削はまた、左右対称な表面仕上げおよび均一な残留応力を生成する。所望される場合、わずかにくぼんでいるか、わずかに出っ張った表面が形成され得る。研削の間に、ノズル開口部は、インク流れ経路を、研削冷却剤への曝露からシールするために覆われ得る。ノズル開口部は、テープで覆われ得る。
【0061】
適切かつ正確な研削装置は、Toshiba Model UHG−130C(Cieba Technologies,Chandler,AZから入手可能)である。基材は、粗いホイールで研削され、その後、細かいホイールで研削され得る。適切な粗いホイールおよび細かいホイールは、それぞれ、1500グリットおよび2000グリットの人造ダイアモンドレジノイド基盤を有する。適切な研削ホイールは、日本のAdomaまたはAshai Diamond Industrial Corp.から入手可能である。ワークピーススピンドルは、500rpmにて操作され、研削ホイールスピンドルは、1500rpmで操作される。x軸の送り速度は、粗いホイールを使用する最初の200〜250μmについて10μm/分であり、細かいホイールを使用する最後の50〜100μmについて1μm/分である。冷却剤は、18mWの脱イオン水である。表面の形態は、Metroviewソフトウェアを備える、Zygo Corp,Middlefield,CTから入手可能なZygoモデルNewview 5000干渉計で測定され得る。
【0062】
発射前のPZT層をモジュール基材25に接着させて、圧電性のアクチュエータ構造体100を形成する代わりに、PZT層は、他の層形成技術(スパッタリング(例えば、RFスパッタリング)またはゾルゲルが挙げられるがこれらに限定されない)を使用して形成され得る。PZT層は、所望のPZT層の厚みで形成され得るか、またはこれより厚く形成され得、上記のように、必要な厚みを得るために研削され得る。
【0063】
図6Oに示すように、研削平面715は、例えば、圧電性層705、接地電極層710、およびモジュール基材25のシリコン680を通して、鋸で切り、接地電極層710を露出することによって切断され得る(工程775)。次いで、基材が清浄にされる。
【0064】
図6Pを参照して、切断された圧電性物質は、例えば、チタン、タングステン、ニッケルおよび金、銅、ニッケルクロム合金、または他の適切な金属を、圧電性層705の裏面に真空蒸着することによって金属化される(工程780)。圧電性物質の上の金属層720は、接地層710に接触する金属を提供し、そして、圧電性層705のアクチュエータ部分の裏面全体にわたる金属層も提供する。電極分離切り込み730はまた、上面の金属化を通して、そして、部分的に、圧電性層705を通して、接地電極710を上面の金属化から電気的に隔てるために作製され、その結果、金属層720は、駆動電極を形成する。隔離切り込み718は、流れ経路間にある圧電性層705内の切り込みであり、アクチュエータ構造体100を、隣接するチャンバのための個々のアクチュエータ21に隔離する(工程785)。これらの切り込みは、直線状の鋸で切った切り込みであり得る。あるいは、またはこれに加え、切り口がエッチングにより形成され得、次いで、ダイシングソーを使用して、切り込みが、この切り口内に作製され得る。モジュールはまた、切り口に沿って手で壊され得る。ここで再度、基材が清浄される。
【0065】
最終的な組立てについて、モジュールの前面が、面板に取り付けられ、フレキシブル回路が、モジュールの裏面に取り付けられ、そして、この配置が、マニホルドフレームに固定される。
【0066】
モジュールの前面は、保護コーティングおよび/またはインクの湿りを増加もしくは阻止するコーティングを備え得る。このコーティングは、例えば、ポリマー(例えば、Teflon(登録商標))または金属(例えば、金またはロジウム)であり得る。
【0067】
(用途)
プリントヘッドモジュールは、任意の印刷用途、具体的には、高速かつ高性能の印刷において使用され得る。このモジュールは、特に、幅広の基材が、長いモジュールおよび/またはアレイ状に整列した複数のモジュールによって印刷される、幅広形式の印刷において有用である。
【0068】
再度図4Aおよび4Bを参照して、モジュール基材は、インク流れ経路55を規定する。この例において、ディセンダー40は、インクの流れを、上下のモジュール基材表面に関して直交性に方向付ける。ディセンダー40は、比較的大きな容量を有し、ノズル65は、比較的小さい容量を有する。ディセンダー40は、インクをポンピングチャンバ45からノズル65へと方向付け、ノズル65において、インクはノズル開口部から駆出される前に、加速される。モジュール全体にわたるノズル65の均一性は、インク滴サイズの均一性、およびインク滴の速度を高める。
【0069】
アクチュエータ膜80は、代表的に、不活性な物質であり、そして、圧電性層の作動が、ポンピングチャンバ内のインクに圧力を加えるのに十分なアクチュエータ膜の層の屈曲を生じるように、伸展性を有する。電圧が、接地電極および駆動電極に加えられ、圧電性層を曲げる。圧電性層は、膜に力を及ぼす。インクは、インク供給経路、ノズル流れ経路、および印刷媒体の上のノズル開口部へと流れる。
【0070】
モジュールは、印刷の交換を埋め合わせるために、プリンタにおいて使用され得る。モジュールは、印字された物質または印刷基材に加えられる、光沢のある透明なコーティングを選択的に堆積させるために使用され得る。プリントヘッドおよびモジュールは、種々の流体(画像を生成する流体でないものを含む)を分配または堆積するために使用され得る。例えば、三次元モデルのペーストが、モデルを構築するために選択的に堆積され得る。生物学的サンプルは、分析アレイに堆積され得る。
【0071】
本明細書から明らかなように、記載される技術のいずれもが、本明細書の目的を達成するために他の技術と組み合わされ得る。例えば、上記の技術のいずれもが、プリントヘッドの特許出願第10/189,947号(出願日:2002年7月3日、この全内容が本明細書中に参考として援用される)に記載される技術および装置と組み合わされ得る。1つの実施形態において、圧電性アクチュエータは、ノズル層がモジュール基材に接着される前に、モジュール基材に固定される。上記の方法は、15μm未満の非常に均一な膜の層を、再現可能に形成し得るので、この方法は、プリントヘッド以外の微小電気機械デバイスにおいて使用され得る。例えば、非常に均一な薄膜は、トランスデューサに使用され得る。なおさらなる実施形態は、添付の特許請求の範囲に含まれる。
【0072】
本発明の多数の実施形態が記載されてきた。それにもかかわらず、種々の改変が、本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得ることが理解される。例えば、1つの実施形態において、シリコン本体がドープ処理され得る。従って、他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、プリントヘッドの斜視図を示し、図1Aは、図1の領域Aの拡大図である。
【図2】図2A、2Bおよび2Cは、プリントヘッドモジュールの斜視図を示す。
【図3】図3は、プリントヘッドユニットの1つの実施形態の断面図を示す。
【図4】図4Aは、プリントヘッドモジュール内の流れ経路を通る、断面組立て図を示し、図4Bは、図4Aの線BBに沿ってとった、モジュールの断面組立て図である。
【図5】図5は、インピーダンスフィルタ特徴の上面図である。
【図6】図6A〜6Pは、プリントヘッドモジュール本体の製造を例示する、断面図を示す。
【図7】図7は、圧電性アクチュエータの製造、およびモジュールの組立てを例示する、流れ図である。
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2003年10月10日に出願された米国仮出願第60/510,459号(本明細書中に参考として援用される)の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
本発明は、プリントヘッドモジュールおよび膜を形成することに関する。インクジェットプリンタは、代表的に、インク供給源からノズル経路までのインク経路を備える。ノズル経路は、ノズル開口部で終結し、そのノズル開口部からインク滴が駆出される。インク滴の駆出は、インク経路内のインクにアクチュエータで圧力をかけることによって制御され、アクチュエータは、例えば、圧電性のデフレクター、熱インクジェット発生器、または静電気的に偏向された要素であり得る。代表的なプリントヘッドは、インク経路のアレイを有し、このインク経路のアレイは、対応するノズル開口部および付随するアクチュエータを備え、各ノズル開口部からの滴の駆出は、独立して制御され得る。ドロップ・オン・デマンドのプリントヘッドにおいて、各アクチュエータは、プリントヘッドおよび印刷基材が互いに関して動かされるときに、画像の特定のピクセル位置に滴を選択的に駆出するように発射される。高性能のプリントヘッドにおいて、ノズル開口部は、代表的に、50μm以下(例えば、約25μm)の直径を有し、100〜300ノズル/インチのピッチで間隔を空けられ、100〜3000dpi以上の解像度を有し、そして、約1〜70ピコリットル(pl)以下の滴サイズを提供する。滴の駆出頻度は、代表的には、10kHz以上である。
【0003】
Hoisingtonら、特許文献1(この全内容は、本明細書により参考として援用される)は、半導体プリントヘッド本体および圧電性アクチュエータを有するプリントヘッドを記載する。このプリントヘッド本体は、シリコン製であり、インクチャンバを規定するようにエッチング処理されている。ノズル開口部は、別個のノズルプレートにより規定され、このプレートは、シリコン本体に取り付けられている。圧電性アクチュエータは、圧電性物質の層を有し、この層は、適用される電圧に応答して、幾何学的形状を変化させるか、または屈曲する。圧電性層の屈曲は、インク経路に沿って位置するポンピングチャンバ内のインクに圧力をかける。
【0004】
圧電性物質が所定の電圧を示す屈曲の量は、その物質の厚みに反比例する。結果として、圧電性層の厚みが増すにつれ、必要とされる電圧が増す。所定の滴サイズのために必要とされる電圧を制限するために、圧電性物質の偏向した壁の面積が増加され得る。大きな圧電性壁の面積はまた、これに相応して、大きなポンピングチャンバを必要とし得、このことは、高解像度の印刷のための小さなオリフィス間隔の維持のように、設計の局面を複雑にし得る。
【0005】
印刷の精度は、多数の要因(ヘッドのノズル、およびプリンタの複数のヘッドのノズルにより駆出される滴のサイズ、速度、および均一性が挙げられる)により影響を受ける。滴のサイズおよび滴の速度の均一性は、次いで、インク経路の寸法の均一性、音による干渉効果、インク流れ経路内の汚染、およびアクチュエータの作動の均一性のような要因により影響を受ける。
【特許文献1】米国特許第5,265,315号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(要旨)
一般に、1つの局面において、本発明は、微細加工されたデバイスを形成する方法を特徴とする。この方法は、基材の上面をエッチング処理して、少なくとも1つのエッチング処理された特徴を形成する工程を包含する。多層基材は、基材の上面に接着され、その結果、上面の上のエッチング処理された特徴が覆われて、チャンバを形成する。多層基材は、シリコン層およびハンドル層を備える。接着は、基材の上面とシリコン層との間にシリコン−シリコン接着を形成する。ハンドル層は、チャンバを覆ってシリコン層を備える膜を形成するために、多層基材から取り除かれる。
【0007】
本発明の実施は、1つ以上の以下の特徴を包含し得る。多層基材は、シリコン・オン・インシュレーター(silicon−on−insulator)基材であり得る。多層基材は、酸化物の層を備え得る。酸化物の層は、例えば、エッチングによって、取り除かれて、膜を形成し得る。導電性の層は、膜の上に形成され得る。圧電性層は、膜に接着され得る。多層基材は、多層基材のシリコン層を、基材の上面のシリコンに融着することによって、基材に接着され得る。酸化物は、融着の前に、フッ化水素エッチングによって、あらゆるシリコン層から取り除かれ得る。ハンドル層は、例えば、エッチングまたは研削によって、多層基材から取り除かれ得る。ハンドル層は、シリコンから形成され得る。膜は、15μm厚未満、10μm厚未満、5μm厚未満、または1μm厚未満であり得る。金属マスクが、基材の上に形成され得る。この金属は、ニッケルおよびクロムを含み得る。金属停止層が、エッチングの前に、基材の下面の上に形成され得る。金属層は、ニッケル、クロム、アルミニウム、銅、タングステン、または鉄のうちの1つを含み得る。
【0008】
別の局面において、本発明は、プリントヘッドを形成する方法を特徴とする。この方法は、基材の上面をエッチング処理して、少なくとも1つのエッチング処理された特徴を有するようにする工程を包含する。多層基材が、基材の上面に接着され、その結果、上面の上のエッチング処理された特徴が覆われて、チャンバを形成する。多層基材は、第1の層およびハンドル層を備える。ハンドル層は、多層基材から取り除かれ、膜を形成する。圧電性層は、膜に接着される。
【0009】
本発明の実施は、1つ以上の以下の特徴を備え得る。ノズル層が、基材の下面に接着され得、このノズル層は、流体を駆出するための1つ以上のノズルの少なくとも一部分を備える。基材の上面は、インク流れ経路の少なくとも一部分を形成するようにエッチング処理され得る。
【0010】
なお別の局面において、本発明は、微細加工されたデバイスを形成する方法を特徴とする。金属層は、第1の基材の下面の上に形成される。第1の基材は、基材の上面からエッチング処理され、その結果、エッチング処理された特徴は、第1の基材を通って、金属層まで延びる。金属層は、第1の基材をエッチング処理した後に、第1の基材の下面から取り除かれる。層が、第1の基材の下面に連結される。
【0011】
本発明の実施は、1つ以上の以下の特徴を備え得る。第1の基材をエッチング処理する工程は、第1の基材に、深層反応性のイオンエッチング処理をする(deep reactive ion etching)工程を包含し得る。層を基材の下面に連結する工程は、第1のシリコン表面を第2のシリコン表面に連結する工程を包含し得る。特徴は、第1の基材の下面にエッチング処理され得る。多層基材は、基材の上面に接着され得、その結果、上面の上のエッチング処理された特徴が覆われて、1つ以上のチャンバを形成し、この多層基材は、第1の層およびハンドル層を備え、そしてこのハンドル層は、多層基材から取り除かれて、1つ以上のチャンバを覆って膜を形成し得る。
【0012】
なお別の局面において、本発明は、微細加工されたデバイスを形成する方法を特徴とする。1つ以上の凹部が、第1の基材の下面にエッチング処理される。下面をエッチング処理した後に、犠牲層が、第1の基材の下面の上に形成される。第1の基材は、基材の上面からエッチング処理され、その結果、エッチング処理された特徴が、第1のシリコン基材を通って犠牲層まで延びる。犠牲層は、第1の基材の下面から取り除かれる。
【0013】
別の局面において、本発明は、プリントヘッドを形成する方法を特徴とする。第1の基材は、第1の基材の上面からエッチング処理され、その結果、エッチング処理された特徴は、第1の基材を通って、第1の基材の下面の上にある1つの層まで延びる。第1の基材を上面からエッチング処理した後に、1つの層が、第1の基材の下面に連結される。下面に1つの層を連結した後、この層内にノズル特徴が形成され、その結果、ノズル特徴は、エッチング処理された特徴に接続される。
【0014】
1つの局面において、本発明は、微細加工されたデバイスを特徴とする。このデバイスは、本体、膜および圧電性構造体を備える。本体は、第1の物質からできており、複数の凹部を有する。膜は、第1の物質からできており、15μm厚未満である。膜は、本体に接着され、その結果、本体内の凹部は、少なくとも部分的に膜により覆われ、この膜と本体との間の界面は、実質的に、第1の物質以外の物質を含まない。圧電性構造体が膜の上に形成され、ここで、圧電性構造体は、第1の導電性の層および圧電性物質を含む。
【0015】
上記デバイスは、1つ以上の経路を提供する凹部を備え得、この経路の各々は、本体の外側と連絡するための入口および出口を有する。これらの経路は、種々の深さの領域を備え得る。経路の各々の出口は、ノズルであり得る。ノズルは、本体の膜と反対側にあり得る。膜は、厚みが、1μm未満だけ変動し得る。第1の物質は、シリコンであり得る。膜は、実質的に開口部を含まないものであり得る。凹部は、膜に隣接するポンピングチャンバを備え得る。膜は、10μm厚未満、5μm厚未満、または、1μm厚未満であり得る。膜は、第2の物質(例えば、酸化物)を含み得る。圧電性構造体は、第2の導電性の層を備え得る。圧電性物質は、第1の導電性の層と第2の導電性の層との間にあり得る。
【0016】
本発明の潜在的な利点は、以下のうちの1つ以上を含んでも、含まなくてもよい。モジュール基材内のエッチング処理された特徴(例えば、ノズル、フィルタ、およびインク供給源)は、金属エッチング停止要素(metal etch stop)を使用して形成され得る。シリコン基材の上に金属エッチング停止要素を形成し、プリントヘッドのエッチング処理された特徴を製造することにより、エッチングの間の電荷の蓄積を減少し得る。電荷が蓄積しないことにより、そうでなければ、シリコン・オン・インシュレーター基材における酸化物の層が、エッチング停止層として使用される場合に生じる、アンダーカットを減少し得る。エッチング処理のプロセスはまた、構築のために高熱を生成し、基材に欠陥をもたらし得る。しかし、金属エッチング停止要素を使用することにより、改善された熱の散逸を提供し得る。なぜならば、金属は、酸化物よりも高い熱伝導性を有するからである。シリコン基材が全体にわたってエッチング処理される、エッチングプロセスの終わりに、金属層は、基材の反対側からの冷却剤の漏出を停止し得る。金属はまた、エッチングマスクとしても使用され得、フォトレジストの適用を複数繰り返すこと、フォトレジストに模様をつけること、そして、基材をエッチング処理することの必要性を除去する。
【0017】
アクチュエータ(アクチュエータ膜を含む)は、一般に、モジュール基材の上面に形成もしくは接着される。シリコン基材は、モジュール基材上に接着され得、次いで、所望の厚みまで研削されて、アクチュエータ膜を形成し得る。あるいは、アクチュエータ膜は、モジュール基材上に、シリコン・オン・インシュレーター基材を接着させることによって形成され得る。所望の厚みのシリコンのデバイス層を有する、シリコン・オン・インシュレーター基材を、モジュール基材上に接着させることによって、従来の研削技術よりも薄い膜の形成が可能となり得る。シリコン・オン・インシュレーター基材のシリコン層は、各基材内で非常に均質であり得、従って、シリコン・オン・インシュレーター基材で形成されたプリントヘッドのアクチュエータ膜はまた、非常に均質であり得る。より薄い膜は、有利である。なぜならば、厚い膜よりも、同じインク滴サイズを生成するために少ない電圧を必要とし得るからである。圧電性アクチュエータの偏向する壁面積、およびポンピングチャンバのサイズはまた、より薄い膜が形成されると、減少され得る。より小さなオリフィス間隔が可能になると、より高い解像度のプリンタを製造することが可能になる。プリントヘッドを横切る膜の厚みの均一性は、膜を研削する代わりに、モジュール基材にシリコン・オン・インシュレーター基材を接着させると、改善され得る。
【0018】
本発明の1つ以上の実施形態の細部が、添付の図面および以下の明細書に示される。本発明の他の特徴、目的および利点は、これらの明細書および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかである。
【0019】
種々の図面において類似の参照記号は、類似の要素を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(詳細な説明)
(プリントヘッドの構造)
図1を参照して、インクジェットプリントヘッド10は、プリントヘッドユニット76を備え、このプリントヘッドユニット76は、シート14またはシートの一部に跨る様式で、フレーム86の上に保持され、このシートの上で、画像が印刷される。画像は、プリントヘッド10およびシート14が互いに関して(矢印の方向に)動くときに、ユニット76からインクを選択的に駆出することによって印刷され得る。図1の実施形態において、プリントヘッドユニット76の3つのセットが、例えば、約12インチ以上の幅にわたって例示される。各セットは、複数のプリントヘッドユニット(例えば、プリントヘッドとシートとの間の相対的な動きの方向に沿って3つ)を備える。ユニットは、解像度および/または印刷速度を増加するために、ノズル開口部を埋め合わせるように整列され得る。あるいは、もしくはこれに加え、各セットの各ユニットは、異なる型もしくは色のインクを供給され得る。この配置は、プリントヘッドによるシートの1回の通過の間に、シートの幅全体にわたってカラー印刷するために使用され得る。
【0021】
図2A、2Bおよび3を参照して、各プリントヘッドユニット76は、インクの滴を調節可能に駆出し得る、プリントヘッドモジュール12を備える。このプリントヘッドモジュール12は、面板82(図1Aを参照のこと)の上に位置決めされ、その結果、モジュール12のノズル65は、面板82内の開口部51(図3を参照のこと)を通って露出される。インクの駆出を制御する発射シグナルを送達するためのフレキシブル回路(flex circuit)(示さず)が、モジュールの裏面に固定される。図1および3を個別に参照して、面板82およびモジュール12は、ハウジング88内に囲まれ、そして、モジュール12にインクを送達するためのインク供給経路を備える、マニホルドアセンブリに取り付けられる。
【0022】
図2Aを参照して、モジュール12は、一般に矩形の固形物である。1つの実施形態において、モジュール12は、約30mmと70mmとの間の長さ、4mmと12mmとの間の幅、そして、400μmと1000μmとの間の厚みである。モジュールの寸法は、例えば、以下に議論されるように、流れ経路がエッチング処理された、半導体基材内では変動し得る。例えば、モジュールの幅および長さは、10cm以上であり得る。
【0023】
モジュール12は、モジュール基材25および圧電性アクチュエータ構造体100を備える。モジュール基材の前面20は、ノズル65のアレイを備え、このアレイから、インク滴が駆出され、そして、基材25の裏面16は、圧電性アクチュエータ構造体100に固定される。
【0024】
図2A、2Cおよび4Aを参照して、基材は、入口30からノズルまでインクを運ぶための複数の流れ経路55を備える。具体的には、図4Aに最も良く示されるように、流れ経路の各々は、インク入口30、アセンダー35、インピーダンスフィルタ特徴50、ポンピングチャンバ45およびディセンダー40により規定されるモジュール基材25を通る通路である。インクは、流れ経路55(図4Aを参照のこと)に沿って、マニホルドアセンブリからノズル65まで流れる。
【0025】
図2Bを参照して、各モジュール12は、その裏部分16に、一連の発射接触点17を有し、この接触点17に、フレキシブルプリント(flex print)が付着する。各発射接触点は、単一のアクチュエータ21に対応し、そして、各アクチュエータ21は、インク経路55に対応し、その結果、各ノズル開口部からのインクの駆出は、別個に制御可能である。例示される実施形態において、モジュールは、単一列のノズル開口部を有する。しかし、モジュールは、複数列のノズル開口部を備え得る。例えば、一列の開口部は、別の列に関して埋め合わされ、解像度を増加し得る。あるいは、またはこれに加え、異なる列にあるノズルに対応する流れ経路55は、異なる色もしくは型(例えば、ホットメルト、UV硬化性、水性ベース)のインクを備え得る。図2Cを参照して、ノズル65のインク流れ経路55に対する関係が示される(個々のインク経路は、影で示される)。
【0026】
(モジュール基材)
図3、4Aおよび4Bを具体的に参照して、モジュール基材25は、シリコン基材のようなモノリシックの半導体本体である。シリコン基材を通る通路は、基材を通るインクの流れを規定する。モジュール基材は、シリコンから形成され得る。
【0027】
モジュール12は、モジュールセンターラインのいずれかの側に流れ経路を備え得る。図3に示される1つの実施形態において、基材25を通る経路は、インク入口30、30’、インピーダンスフィルタ特徴50、50’、ポンピングチャンバ45、45’、およびノズル65を規定する。アクチュエータ21、21’は、ポンピングチャンバ45、45’を覆って位置決めされる。従って、隣接するノズルに供給するポンピングチャンバ45、45’は、モジュール基材のセンターラインの片側にある。ポンピングチャンバ45、45’は、基材の裏面15の近くに配置され、そして、ノズル65は、基材の前面10内に形成される。インクは、マニホルド流れ経路24から供給され、入口30に入り、アセンダー35を逆流し、そして、インピーダンスフィルタ特徴50に向かう。インクは、インピーダンスフィルタ特徴50を通って、ポンピングチャンバ45へと流れ、ポンピングチャンバ45において、インクは、アクチュエータ21により圧力を加えられ、その結果、インクは、ディセンダー40に向かい、ノズル開口部65から出る。エッチング処理された特徴は、種々の方法で構成され得る。
【0028】
モノリシック本体、およびプリントヘッド内の複数のモジュールのモノリシック本体間の厚みの均一性は、高度なものである。例えば、モノリシック本体の厚みの均一性は、例えば、6インチの磨いたシリコン基材にわたって形成されたモノリシック本体について約+1μm以下であり得る。結果として、基材にエッチング処理された流れ経路特徴の寸法の均一性は、実質的には、本体内の厚みのバリエーションにより低減されない。さらに、ノズル開口部は、別個のノズルプレートなしでモジュール本体内に規定される。特定の実施形態において、ノズル開口部の厚みは、約1μm〜200μm(例えば、約30μm〜50μm)である。1つの実施形態において、ノズル開口部は、約140μmのピッチを有する。ポンピングチャンバは、約1mm〜5mm(例えば、約1mm〜2mm)の長さ、約0.1mm〜1mm(例えば、約0.1mm〜0.5mm)の幅、そして、約60μm〜100μmの深さを有する。特定の実施形態において、ポンピングチャンバは、約1.8mmの長さ、約0.21mmの幅、そして、約65μmの深さを有する。
【0029】
図4A、4Bおよび5を参照して、モジュール基材25は、ポンピングチャンバ45の上流に位置するインンピーダンスフィルタ特徴50を備える。インピーダンスフィルタ特徴50は、流れ経路内の一連の突出部39によって規定される。インピーダンスフィルタ特徴50は、濾過のみ、音によるインピーダンスの制御のみ、または濾過と音によるインピーダンスの制御の両方を提供するように構築され得る。突出部の位置、サイズ、間隔および形状は、濾過および/または所望の音によるインピーダンスを提供するように選択される。フィルタとして、この特徴は、微粒子または繊維のような破片を捕捉し、その結果、これらは、ノズルに到達せず、ノズルを詰まらせない。音によるインピーダンス要素として、この特徴は、ポンピングチャンバ45から入口30に向けて伝播する圧力波を吸収し、従って、モジュール内のチャンバの間での音によるクロストークを減少させ、動作頻度を増加させる。
【0030】
インピーダンスフィルタ特徴50内の流れ開口部37の数は、連続して高い頻度での動作のために十分なインクの流れが、ポンピングチャンバに利用可能となるように選択され得る。例えば、湿りを提供するのに十分小さい寸法の単一の流れ開口部37は、インクの供給を制限し得る。このインクの供給不足を避けるために、多数の開口部が提供され得る。開口部の数は、全体的な特徴の流れ抵抗が、ノズルの流れ抵抗よりも小さくなるように選択され得る。さらに、濾過を提供するために、流れ開口部の直径または最小の断面寸法は、対応するノズル開口部の直径(最小の断面)よりも小さくあり得る(例えば、ノズル開口部の60%以下)。フィルタインピーダンス特徴50の1つの実施形態において、開口部37の断面は、ノズル開口部の断面の約60%以下であり、この特徴内の全ての流れ開口部についての断面積は、ノズル開口部の断面積よりも大きく、例えば、ノズルの断面積の約2〜3倍以上(例えば、約10倍以上)である。インピーダンスフィルタ特徴(流れ開口部は、可変の直径を有する)について、流れ開口部の断面積は、その最小の断面寸法の位置で測定される。インクの流れ方向に沿って連絡流れ経路を有するインピーダンスフィルタ特徴50の場合に、断面の寸法および面積は、最小の断面の領域において測定される。いくつかの実施形態において、圧力低下を使用して、この特徴を通る流れ抵抗を決定し得る。圧力低下は噴射中の流れにおいて測定され得る。噴射中の流れは、滴の容量/発射パルス幅(fire pulse width)である。いくつかの実施形態において、噴射中の流れにおいて、インピーダンス/フィルタ特徴にわたる圧力低下は、ノズル流れ経路にわたる圧力低下よりも小さい。例えば、この特徴にわたる圧力低下は、ノズル流れ経路にわたる圧力低下の約0.5〜0.1である。
【0031】
1つの実施形態において、インピーダンスフィルタ特徴50は、3列の突出部を有し得る。この実施形態において、突出部39は、約25〜30μmの直径を有し、各列において、突出部39は、約15〜20μmだけ間隔が空いており、突出部の各列は、約5〜20μmだけ間隔が空いている。インピーダンスフィルタ特徴50は、インク供給経路内への音の反射を実質的に減少するように選択され得る。例えば、特徴50のインピーダンスは、ポンピングチャンバ45のインピーダンスと実質的に一致し得る。あるいは、チャンバよりも大きいインピーダンスを提供して、濾過機能を高めるか、または、チャンバより小さいインピーダンスを提供して、インク流れを増やすことが望ましくあり得る。後者の場合、クロストークは、伸展性の膜、または流れ経路内のどこかにある追加のインピーダンス制御特徴を利用することによって減少され得る。ポンピングチャンバ45のインピーダンス、およびインピーダンスフィルタ特徴50は、Flow Science Inc.,Santa Fe,NMより入手可能なFlow 3Dのような流体動力学ソフトウェアを使用してモデル化され得る。
【0032】
図4Aに例示されるノズル65は、一般に、オリフィスの直径に対応する一定の直径の円筒状の経路である。ノズル開口部の上流の、小さく、実質的に一定の直径のこの領域は、ノズル開口部の軸に関して真っ直ぐな軌道で滴を推進することによって、印刷の精度を高める。さらに、ノズル65は、ノズル開口部を通る空気の取り込みを阻むことによって、高頻度な動作での滴の安定性を改善する。これは、発射前充填モード(fill−before−fire mode)で動作するプリントヘッドにおいて特に有利である。このモードにおいて、アクチュエータは、発射前に、陰圧を生成して、インクをポンピングチャンバ内へと引き込む。陰圧はまた、ノズル開口部から内向きに引かれているノズル内で、インクのメニスカスを生じ得る。最大メニスカスの引き込みよりも厚いノズル65を提供することによって、空気の取り込みが阻止される。あるいは、ノズル65は、一定もしくは可変の直径のいずれかを有し得る。例えば、ノズル65は、ディセンダーの近くのより大きい直径から、ノズル開口部の近くのより小さい直径まで延びる、漏斗状もしくは円錐状の形状を有し得る。この円錐の角度は、例えば、5°〜30°であり得る。ノズル65はまた、より大きな直径からより小さな直径まで、曲線平方、もしくはベルマウス形状を含み得る。ノズル65はまた、ノズル開口部に向かって、漸次的に小さくなる直径を有する、複数の円筒状領域を備え得る。ノズル開口部に向かう、直径の漸次的な減少は、加速器領域68を横切る圧力低下を減少し、これが、駆動電圧を減少し、そして、滴サイズの範囲および発射速度の可能性を増加させる。異なる寸法を有するノズル流れ経路の部分の長さは、正確に規定され得る。
【0033】
特定の実施形態において、ノズル開口部の直径に対するノズル65の厚みの比は、代表的には、約0.5以上(例えば、約1〜4、または約1〜2)である。このノズル65は、約50〜300μmの最大断面と、約400〜800μmの長さを有する。ノズル開口部およびノズル65は、約5〜80μm(例えば、約10〜50μm)の直径を有する。ノズル65は、約1〜200μm(例えば、約20〜50μm)の長さを有する。ノズル65の長さの均一性は、例えば、モジュール本体のノズルの間で、約+3%以下もしくは+2μm以下であり得る。10plの滴について整列された流れ経路について、ディセンダーは、約550μmの長さを有する。ノズル65につながるディセンダーは、約85μmの短径と約160μmの長径を有する、長円形の形状、卵型の形状を有する。ノズル65は、約30μmの長さと約23μmの直径を有する。
【0034】
(アクチュエータ)
図4Aおよび4Bを参照して、個々のアクチュエータ21が形成される、圧電性のアクチュエータ構造体100は、アクチュエータ膜80(これもまた基材25の一部と考えられ得る)、接地電極層(ground electrode layer)110、圧電性層105、および駆動電極層120を備える。圧電性層105は、約50μm以下(例えば、約25μm〜1μm、または約8μm〜約18μm)の厚みを有する圧電性物質の薄いフィルムである。圧電性層105は、高密度、低空隙、かつ高圧電性定数のような、所望の特性を有する、圧電性物質から構成され得る。アクチュエータ膜は、シリコンから形成され得る。
【0035】
アクチュエータ電極層110および120は、金属(例えば、銅、金、タングステン、インジウム−スズ−酸化物(ITO)、チタン、白金、または金属の組み合わせ)であり得る。電極層の厚みは、例えば、約2μm以下(例えば、約0.5μm)であり得る。特定の実施形態において、ITOは、ショートを減らすために使用される。ITO物質は、圧電性物質の小さな空隙および通路を埋め得、そして、ショートを減らすために十分な抵抗を有する。ITOは、比較的高い電圧で駆動される薄い圧電性層に関して有利である。
【0036】
片側に接地電極層110を備える圧電性層105は、アクチュエータ膜80に固定される。アクチュエータ膜80は、接地電極層110および圧電性層105を、チャンバ45内のインクから隔離する。アクチュエータ膜80は、シリコンであり得、圧電性層の作動が、ポンピングチャンバ45内のインクに圧力を加えるのに十分なアクチュエータ膜80の屈曲を生じるように選択された伸展性(compliance)を有する。アクチュエータ膜の厚みの均一性は、モジュール間での正確かつ均一な作動を提供する。
【0037】
1つの実施形態において、圧電性層105は、接着層によってアクチュエータ膜80に取り付けられる。他の実施形態において、アクチュエータは、圧電性層とポンピングチャンバとの間に膜を備えない。圧電性層は、インクチャンバに直接曝露され得る。この場合、駆動電極および接地電極の両方が、圧電性層の対向する裏面に配置され得、インクチャンバには曝露されない。
【0038】
再度図2B、ならびに図4Aおよび4Bを参照して、モジュールのセンターラインの片側にあるアクチュエータは、切り込み線(cut line)18、18’によって隔てられており、これらの切り込み線は、アクチュエータ膜80まで延びる深さを有する。隣接するアクチュエータは、隔離切り込み(isolation cut)19によって隔てられる。隔離切り込みは、シリコン本体基材(図4B)へと延びる(例えば、1μmの深さ、約10μmの幅)。隔離切り込み19は、隣接するチャンバを機械的に隔離し、クロストークを減少する。所望される場合、この切り込みは、シリコン内をより深く(例えば、ポンピングチャンバの深さまで)延び得る。アクチュエータの裏部分16もまた、接地接触点(ground contact)13を備える。これは、圧電性層へと延びて、接地電極層110(図4A)を無傷なままにする分離切り込み(separation cut)130によってアクチュエータおよび駆動接触点17から隔てられる。上面が金属化される前に作られた接地平面切り込み(ground plane cut)115は、モジュールの端部で、接地電極層110を露出し、その結果、上面の金属化により、接地接触点を接地電極層110に接続する。
【0039】
(製造)
図6A〜6Pを参照して、基材および圧電性アクチュエータを備えるモジュールの製造が例示される。複数のモジュール基材は、1つの基材上に同時に形成され得る。明瞭にするために、図6A〜6Pは、単一のモジュールの単一の流れ経路を例示する。流れ経路特徴は、エッチングプロセスにより形成され得る。
【0040】
図7は、図6A〜6Pに例示される製造方法を例示する、フローチャートを提供する。
【0041】
図6Aを参照して、単一の両側面が磨かれた(DSP)基材605(すなわち、本質的にシリコンから構成される基材)が提供される(工程705)。基材605は、前側610および裏側615を有し、ここで、アセンダー、ディセンダー、インピーダンスフィルタ特徴、モジュール供給経路、およびポンピングチャンバ、またはモジュール基材の他のエッチング処理された特徴が形成される。DSP基材605は、片側または両側(図6Bに示される)に、酸化物層603を有し得る。基材は、400μmと1000μm(例えば、600μm付近)との間の厚み、または、プリントヘッドモジュールを作製するために適切な任意の厚みであり得る。DSP基材605は、モジュール基材25を形成するために使用される。
【0042】
図6Bを参照して、モジュール流れ経路55のエッチング処理された特徴が、基材の前面に向かうことが所望される場合、フォトレジスト625が、基材605の前側に堆積される。フォトレジスト625は、模様をつけられ、そして、基材605がエッチング処理されて、凹部620を形成し、この凹部620は、流れ経路の特徴(例えば、インク入口30)を提供する(工程710)。次いで、残りのフォトレジスト625および酸化物603が、取り除かれる。基材605の逆側は、例えば、テープまたはフォトレジストで保護され得るが、その一方で、酸化物603は取り除かれる。
【0043】
図6Cに示すように、基材の前面610は、例えば、金属(例えば、ニッケル、クロム、アルミニウム、銅、タングステン、鉄)を真空蒸着もしくはスパッタリングすることによって金属化され、金属層630を形成する(工程715)。
【0044】
図6Dに示すように、フォトレジスト層623は、シリコンの裏面615の上に堆積される。酸化物層603およびフォトレジスト623は、模様をつけられて、流れ経路のエッチング処理された特徴の少なくともいくつかの位置を規定する。次いで、基材は、図6Eに示すように、裏側からエッチング処理される(工程720)。フォトレジストに模様を付け、エッチング処理した複数の層は、多層の特徴を生成するために使用され得る。例えば、エッチングは、チャネル635および640、ならびに凹部645および650を形成し得る。これらは、処理の完了時に、アセンダー35、ディセンダー40、ポンピングチャンバ45、およびインピーダンスフィルタ特徴50を提供する。
【0045】
エッチングプロセスの例は、深層反応性のイオンエッチングによる等方性ドライエッチングであり、これは、実質的に垂直方向の側壁を有する特徴を形成するようにシリコンを選択的にエッチング処理するために、プラズマを利用する。Boschプロセスとして公知の反応性のイオンエッチング技術は、Laermorら、米国特許第5,501,893号(その全内容が、本明細書により参考として援用される)において議論される。深層シリコン反応性のイオンエッチング設備は、STS,Redwood City,CA,Alcatel,Plano,TexasまたはUnaxis,Switzerlandから入手可能であり、そして、反応性イオンエッチングは、IMT,Santa Barbara,CAを含むエッチングの供給メーカーによって行なわれ得る。深層反応性のエッチングは、実質的に一定の直径の特徴を深く切断する能力に起因して使用される。エッチングは、プラズマおよびガス(例えば、SF6およびC4F8)を含む真空チャンバ内で実施される。基材の欠陥は、エッチングプロセスの間に生じる熱によって生じ得るので、基材の裏面は冷却される。冷却剤(例えば、ヘリウム)が、基材を冷却するために使用され得る。金属層は、熱を冷却剤に効率よく伝導し、さらに、冷却剤が真空チャンバ内に逃げて、真空を無効にするのを防ぐ。
【0046】
電気絶縁体(例えば、二酸化ケイ素)が、エッチング処理された層と接触する場合、電荷は、界面に蓄積し得、結果として、シリコンと絶縁体との界面に、シリコンのアンダーカットを生じる。このアンダーカットは、空気を捕捉し得、インクの流れを妨害し得る。金属がエッチング停止層として使用される場合、金属の伝導性は、電荷が、シリコンと金属の界面に集まることを防止し、それによって、切り取りの問題を回避する。
【0047】
フォトレジスト層をエッチングマスクとして使用することに加え、またはその代わりに、金属エッチングマスク(例えば、ニクロムのエッチングマスク)が、DSP基材605の前側610に適用され得る。この実施形態において、金属層は、例えば、フォトレジスト層が堆積される前に、蒸着またはスパッタリングによって、DSP基材605の上に形成され得る。フォトレジスト層に模様がつけられると、次いで、金属層が、マスクとしてフォトレジスト層を使用して、エッチング処理および模様づけされ得る。次いで、基材605は、マスクとして模様付けされた金属層を使用して、エッチング工程(例えば、上述の深層反応性イオンエッチング)に供される。フォトレジスト層は、基材エッチング処理工程において金属層の上に残されても、基材605をエッチング処理する前に剥ぎ取られてもよい。
【0048】
エッチングプロセスの多くは、フォトレジストのエッチング処理速度が、シリコンのエッチング処理速度よりも遅くなるように選択されるが、エッチングマスクのためにフォトレジスト層だけを使用して超深層エッチング(very deep etch)が行なわれる場合、エッチングプロセスは、フォトレジストを通してエッチング処理し得る。この問題を回避するために、フォトレジストを適用することを複数回繰り返すこと、フォトレジストに模様をつけること、そして、エッチング処理することが、特徴が所望の深さになる前に必要とされる。しかし、金属は、代表的には、フォトレジストよりもかなり遅くエッチング処理される。従って、金属層をエッチングマスクとして使用することによって、超深層特徴が、単回のエッチング工程においてエッチング処理され得、それによって、比較的深く、実質的に均一な断面特徴にエッチング処理するために必要とされる1つ以上のプロセスの工程を排除し得る。
【0049】
次に、金属層630は、図6Fに示すように、例えば、酸エッチングによって、基材の裏から(および、存在する場合、基材の前から)剥ぎ取られ得る(工程725)。全ての特徴がエッチング処理された後、シリコン層が、モジュール基材25の前面615に接着され得る。
【0050】
図6Gを参照して、シリコン−シリコン融着、または直接シリコン接着を使用して、エッチング処理されたシリコン基材の前面610を、シリコン・オン・インシュレーター基材653に接着する(工程730)。シリコン・オン・インシュレーター基材653は、シリコンのノズル層またはデバイス層655、酸化物層657、およびハンドルシリコン層659を備え、酸化物層657が、ノズル層655とハンドル層659との間で挟まれている。シリコン・オン・インシュレーター基材653は、DSP基材の表面の上にある酸化物層657を増やし、次いで、この酸化物層657の上にデバイス層655を形成することによって形成され得る。具体的には、デバイス層655を形成するためには、第2のDSP基材が、酸化物層657に接着され、所定の厚みまで研削され得る。研削は、複数工程のプロセスであり得る。研削プロセスの第1の部分は、デバイス層655から物質を除去するための大まかな研削(bulk grind)であり得る。大まかな研削の後に、第2のより細かい研削工程が続き得る。任意の最終的な研磨は、表面の粗さを減少させ得る。
【0051】
2つのシリコン表面の間にファンデルワールス結合を生じる融着は、2つの平坦な高度に研磨された、清浄なシリコン表面が、これらの2つのシリコン層の間に中間層がない状態で接触される場合に生じ得る。融着のための2つの要素を調製するために、モジュール基材25およびシリコン・オン・インシュレーター基材653が、例えば、逆転RCAクリーニング(reverse RCA cleaning)によって両方とも清浄にされる。モジュール基材25およびシリコン・オン・インシュレーター基材653の上のあらゆる酸化物が、緩衝化フッ化水素酸エッチング(BOE)により取り除かれ得る。次いで、モジュール基材25およびシリコン・オン・インシュレーター基材653が、接触されて、アニーリング温度(例えば、1050℃〜1100℃付近)でアニールされる。融着の利点は、モジュール基材25とノズル層655との間にさらなる層が形成されないことである。融着後に、2つのシリコン層は、2つの層の間に存在する接着が完了したという描写がないか、実質的にないように、1つの単一の層になる。それゆえ、接着されたアセンブリは、アセンブリの内側にある酸化物層を実質的に含まないことができる。アセンブリは、実質的にシリコンから形成され得る。融着の他の方法(例えば、疎水性の基材処理)を使用して、1つのシリコン層を第2のシリコン層に接着させ得る。融着させた後、図6Hに示すように、ハンドル層659の残りを研削して、厚みの一部を取り除く。エッチングを使用して、ハンドル層659を完全に取り除く(工程735)。
【0052】
レジスト660が、基材の前面の上に提供され、このレジスト660および酸化物層657が、図6Iに示すように模様付けされる。次いで、基材が、例えば、深層反応性イオンエッチングによりエッチング処理されて、直通の経路を生成して、ノズル665を形成する。レジスト層および任意の酸化物層が、図6Jに示すように、基材から剥ぎ取られる(工程740)。
【0053】
代替的な実施形態において、DSP基材は、シリコン・オン・インシュレーター基材の代わりに使用されて、ノズルを形成し得る。第2のDSP基材を使用してノズル665を形成する場合、第2のDSP基材は、前側610に接着される。次いで、ノズルが、第2のDSP基材にエッチング処理される。いずれかのノズル形成法により、ノズル665の長さは、ノズルがエッチング処理されるシリコン基材の厚みによって決定される。このことは、ノズルの流れ経路の長さの正確な定義を可能にする。ノズルの形状は、円筒状であり得る。いくつかの実施形態において、流れ経路の一部分(例えば、インク入口30)は、モジュール基材25の前面に開放されている。この開口部は、ノズル665と同時にエッチング処理され得る。
【0054】
図6Kに示すように、第2のシリコン・オン・インシュレーター基材685の薄いシリコン層680は、アクチュエータ膜を形成するために使用され得る。第2のシリコン・オン・インシュレーター基材685は、シリコンのハンドル層695とシリコン膜の層680との間に挟まれた埋没した酸化物(buried oxide)の層690を有する。第2のシリコン・オン・インシュレーター基材685は、工程730に関して上述したように、接着剤または融着によってモジュール基材25に接着され得る(工程745)。1つの実施形態において、疎水性の融着は、モジュール基材25のシリコンを、シリコン・オン・インシュレーター基材685のシリコン膜の層680に接着する。
【0055】
図6Lを参照して、一旦シリコン・オン・インシュレーター基材685が、モジュール基材25の上に接着されると、例えば、研削、エッチング、または大まかな研削工程の後に残ったシリコンのエッチング処理を行うことによって、接着された、シリコン・オン・インシュレーター基材685のハンドルシリコン層695が取り除かれる(工程750)(図面中の点線は、膜およびチャンバ本体が融合した箇所を示す)。ハンドル695がエッチング処理される場合、シリコン・オン・インシュレーター基材の酸化物層690は、エッチング停止層として機能する。シリコン・オン・インシュレーター基材に残った酸化物層690は、電極を浮かせるように保持されるか、例えば、SF6およびO2を用いる反応性イオンエッチングによって、取り除かれるかのどちらかであり得る。シリコン・オン・インシュレーター基材685に残る膜680は、下限が1μm付近までの任意の厚みであり得る。シリコン・オン・インシュレーター層の上のシリコン層680は、基材全体で均一である傾向が高く、従って、シリコン・オン・インシュレーター基材をチャンバ本体に接着することによって形成されたアクチュエータ膜内の厚みの均一性は高い。フォトレジスト層が、シリコン・オン・インシュレーター基材内(例えば、酸化物層690と膜層680との間、または膜層680とハンドルシリコン層695との間)に備えられる場合、ハンドルシリコン層695は、フォトレジストを取り除く技術(例えば、エッチングおよび研削の代わりに、もしくは、これと共に、リフトオフ法において使用される技術)によって、取り除かれ得る。次いで、シリコン・オン・インシュレーター基材685の残りの層が、例えば、真空蒸着によって金属化されて、金属層700を形成する(工程755)。
【0056】
モジュール基材25へのシリコン・オン・インシュレーター基材685の融着の代替は、厚いシリコンシートをモジュール基材に接着すること、および、シートを所望の厚みまで研削することである。しかし、シートを研削または研磨することは、膜の最低の厚みを制限する。一般に、15μm未満の膜は、一般に、研削によって形成され得ない。なぜならば、このような膜は、研削の間に機械的な力を扱うことができないからである。対照的に、シリコン・オン・インシュレーター基材685をモジュール基材25に融着することは、酸化物の上に非常に薄い膜が形成されること、そして、モジュール基材25に移されることを可能にする。シリコン・オン・インシュレーター基材685は、シリコンのハンドル基材695の上にある酸化物層690を増やすことによって形成され得る。次いで、シリコンのデバイス層680が、酸化物層690に接着され得る。その後、次いで、シリコンのデバイス層680が、所望の厚みまで研削またはエッチングされ得る。シリコンのハンドル層695は、シリコンのデバイス層680を支持し、一方で、シリコンのデバイス層680の厚みは、減少される。こうして、膜層680は、ほぼ所望される任意の厚みで(例えば、15μm、10μm、5μmより薄く、または1μmよりも薄くさえ)形成され得、次いで、基材25の上に接着され、こうして、得られる膜80が非常に薄いことを可能にする。1つの実施形態において、膜は、8μm厚付近である。
【0057】
圧電性物質705は、モジュール基材25の上に圧電性のアクチュエータ構造体100を構築するために選択される。圧電性物質705の密度は、約7.5g/cm3以上(例えば、約8g/cm3〜10g/cm3)である。d31係数は、約200以上である。HIPS処理した圧電性物質705は、Sumitomo Piezoelectric Materials,Japanから、H5CおよびH5Dとして入手可能である。H5C物質は、約8.05g/cm3の見かけ上の密度と、約210のd31を示す。H5D物質は、約8.15g/cm3の見かけ上の密度と、約300のd31を示す。基材は、代表的には、約1cm厚であり、約0.2mmまでダイスカットされ得る。圧電性物質705は、加圧成形、ドクターブレード、グリーンシート(green sheet)、ゾルゲル(sol gel)、または蒸着技術を含む技術によって形成され得る。圧電性物質705の製造は、Piezoelectric Ceramics,B.Jaffe,Academic Press Limited,1971(この全内容が、本明細書中に参考として援用される)において議論されている。ホットプレスを含む形成方法は、第258〜9頁に記載される。高密度、高圧電定数の物質、または、より低い性能の物質が、研削されて、薄層、および滑らかでかつ均一な表面の形態を提供し得る。単一結晶の圧電性物質(例えば、TRS Ceramics,Philadelphia,PAより入手可能な鉛−マグネシウム−ニオブ(PMN))がまた使用され得る。
【0058】
これらの特性は、物質をアクチュエータ膜に接着させる前に、物質を発射することを含む技術を使用して、圧電性物質705において確立され得る。例えば、(支持体の上にあるのではなく)それ自体が鋳造および発射される圧電性物質705は、高圧を使用して、この物質705を鋳型(加熱されているか、または加熱されていない)に充填するために使用され得るという利点を有する。さらに、少数の添加物(例えば、流動剤(flow agent)および結合剤)が、代表的には必要とされる。より高い温度(例えば、1200〜1300℃)が、発射プロセスにおいて使用され得、良好な熟成およびグレインの増加を可能にする。セラミックからの(高い温度に起因する)PbOの喪失を減少する発射雰囲気(例えば、鉛に富んだ雰囲気)が、使用され得る。PbOの喪失もしくは他の分解を有し得る、鋳造された部分の外側表面は、切断および破棄され得る。この物質はまた、熱間等静圧圧縮成形(HIP)によって加工され得る。この間に、セラミックは、高圧(代表的には、1000〜2000atm)に供される。ヒッピングプロセス(Hipping process)は、代表的に、圧電性物質のブロックが発射され、密度を増加し、空隙を減らし、そして、圧電性定数を増加させるために使用された後に、行なわれる。
【0059】
圧電性物質705の前面は、例えば、真空蒸着(例えば、スパッタリング)によって金属化され、金属層707を形成する(工程760)。堆積される金属としては、銅、金、タングステン、スズ、インジウム−スズ−酸化物(ITO)、チタン、白金、または金属の組み合わせが挙げられる。1つの実施形態において、金属層707は、チタン−タングステン、金−スズ、および金の積み重なった層を備える。同様に、金属層700は、チタン−タングステン、および金の積み重なった層を備え得る。次いで、圧電性物質の金属化表面707は、シリコン膜680の上にある金属層700に接着される(工程765)。接着は、約305℃にて、1000Nの力の下で形成された共晶結合により達成され得る。図6Mに示すように、接着は、接地電極710を形成する。あるいは、PZT層は、接着層(例えば、エポキシ)を使用して、モジュール基材25に接着され得る。
【0060】
図6Nに示すように、発射前の圧電性物質705の薄層は、比較的厚い基材の厚みを減らすことによって形成され得る(工程770)。正確な研削技術(例えば、水平研削)は、滑らかで、低い空隙率の表面形態を有する、非常に均一な薄層を生成し得る。水平研削において、ワークピースは、高度な平坦許容度まで機械加工された参照表面を有する回転チャックの上に設置される。ワークピースの露出された表面は、水平研削ホイールと接触し、そしてまた、高度な許容度で整列される。圧電性基材は、例えば、0.2mm以上の実質的な厚みを有し得、これは、最初の表面研削のために取り扱われ得る。研削は、例えば、基材全体で、0.25μm以下(例えば、0.1μm以下)の平坦さおよび平行度、および5nm Ra以下までの表面仕上げを生成し得る。研削はまた、左右対称な表面仕上げおよび均一な残留応力を生成する。所望される場合、わずかにくぼんでいるか、わずかに出っ張った表面が形成され得る。研削の間に、ノズル開口部は、インク流れ経路を、研削冷却剤への曝露からシールするために覆われ得る。ノズル開口部は、テープで覆われ得る。
【0061】
適切かつ正確な研削装置は、Toshiba Model UHG−130C(Cieba Technologies,Chandler,AZから入手可能)である。基材は、粗いホイールで研削され、その後、細かいホイールで研削され得る。適切な粗いホイールおよび細かいホイールは、それぞれ、1500グリットおよび2000グリットの人造ダイアモンドレジノイド基盤を有する。適切な研削ホイールは、日本のAdomaまたはAshai Diamond Industrial Corp.から入手可能である。ワークピーススピンドルは、500rpmにて操作され、研削ホイールスピンドルは、1500rpmで操作される。x軸の送り速度は、粗いホイールを使用する最初の200〜250μmについて10μm/分であり、細かいホイールを使用する最後の50〜100μmについて1μm/分である。冷却剤は、18mWの脱イオン水である。表面の形態は、Metroviewソフトウェアを備える、Zygo Corp,Middlefield,CTから入手可能なZygoモデルNewview 5000干渉計で測定され得る。
【0062】
発射前のPZT層をモジュール基材25に接着させて、圧電性のアクチュエータ構造体100を形成する代わりに、PZT層は、他の層形成技術(スパッタリング(例えば、RFスパッタリング)またはゾルゲルが挙げられるがこれらに限定されない)を使用して形成され得る。PZT層は、所望のPZT層の厚みで形成され得るか、またはこれより厚く形成され得、上記のように、必要な厚みを得るために研削され得る。
【0063】
図6Oに示すように、研削平面715は、例えば、圧電性層705、接地電極層710、およびモジュール基材25のシリコン680を通して、鋸で切り、接地電極層710を露出することによって切断され得る(工程775)。次いで、基材が清浄にされる。
【0064】
図6Pを参照して、切断された圧電性物質は、例えば、チタン、タングステン、ニッケルおよび金、銅、ニッケルクロム合金、または他の適切な金属を、圧電性層705の裏面に真空蒸着することによって金属化される(工程780)。圧電性物質の上の金属層720は、接地層710に接触する金属を提供し、そして、圧電性層705のアクチュエータ部分の裏面全体にわたる金属層も提供する。電極分離切り込み730はまた、上面の金属化を通して、そして、部分的に、圧電性層705を通して、接地電極710を上面の金属化から電気的に隔てるために作製され、その結果、金属層720は、駆動電極を形成する。隔離切り込み718は、流れ経路間にある圧電性層705内の切り込みであり、アクチュエータ構造体100を、隣接するチャンバのための個々のアクチュエータ21に隔離する(工程785)。これらの切り込みは、直線状の鋸で切った切り込みであり得る。あるいは、またはこれに加え、切り口がエッチングにより形成され得、次いで、ダイシングソーを使用して、切り込みが、この切り口内に作製され得る。モジュールはまた、切り口に沿って手で壊され得る。ここで再度、基材が清浄される。
【0065】
最終的な組立てについて、モジュールの前面が、面板に取り付けられ、フレキシブル回路が、モジュールの裏面に取り付けられ、そして、この配置が、マニホルドフレームに固定される。
【0066】
モジュールの前面は、保護コーティングおよび/またはインクの湿りを増加もしくは阻止するコーティングを備え得る。このコーティングは、例えば、ポリマー(例えば、Teflon(登録商標))または金属(例えば、金またはロジウム)であり得る。
【0067】
(用途)
プリントヘッドモジュールは、任意の印刷用途、具体的には、高速かつ高性能の印刷において使用され得る。このモジュールは、特に、幅広の基材が、長いモジュールおよび/またはアレイ状に整列した複数のモジュールによって印刷される、幅広形式の印刷において有用である。
【0068】
再度図4Aおよび4Bを参照して、モジュール基材は、インク流れ経路55を規定する。この例において、ディセンダー40は、インクの流れを、上下のモジュール基材表面に関して直交性に方向付ける。ディセンダー40は、比較的大きな容量を有し、ノズル65は、比較的小さい容量を有する。ディセンダー40は、インクをポンピングチャンバ45からノズル65へと方向付け、ノズル65において、インクはノズル開口部から駆出される前に、加速される。モジュール全体にわたるノズル65の均一性は、インク滴サイズの均一性、およびインク滴の速度を高める。
【0069】
アクチュエータ膜80は、代表的に、不活性な物質であり、そして、圧電性層の作動が、ポンピングチャンバ内のインクに圧力を加えるのに十分なアクチュエータ膜の層の屈曲を生じるように、伸展性を有する。電圧が、接地電極および駆動電極に加えられ、圧電性層を曲げる。圧電性層は、膜に力を及ぼす。インクは、インク供給経路、ノズル流れ経路、および印刷媒体の上のノズル開口部へと流れる。
【0070】
モジュールは、印刷の交換を埋め合わせるために、プリンタにおいて使用され得る。モジュールは、印字された物質または印刷基材に加えられる、光沢のある透明なコーティングを選択的に堆積させるために使用され得る。プリントヘッドおよびモジュールは、種々の流体(画像を生成する流体でないものを含む)を分配または堆積するために使用され得る。例えば、三次元モデルのペーストが、モデルを構築するために選択的に堆積され得る。生物学的サンプルは、分析アレイに堆積され得る。
【0071】
本明細書から明らかなように、記載される技術のいずれもが、本明細書の目的を達成するために他の技術と組み合わされ得る。例えば、上記の技術のいずれもが、プリントヘッドの特許出願第10/189,947号(出願日:2002年7月3日、この全内容が本明細書中に参考として援用される)に記載される技術および装置と組み合わされ得る。1つの実施形態において、圧電性アクチュエータは、ノズル層がモジュール基材に接着される前に、モジュール基材に固定される。上記の方法は、15μm未満の非常に均一な膜の層を、再現可能に形成し得るので、この方法は、プリントヘッド以外の微小電気機械デバイスにおいて使用され得る。例えば、非常に均一な薄膜は、トランスデューサに使用され得る。なおさらなる実施形態は、添付の特許請求の範囲に含まれる。
【0072】
本発明の多数の実施形態が記載されてきた。それにもかかわらず、種々の改変が、本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得ることが理解される。例えば、1つの実施形態において、シリコン本体がドープ処理され得る。従って、他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、プリントヘッドの斜視図を示し、図1Aは、図1の領域Aの拡大図である。
【図2】図2A、2Bおよび2Cは、プリントヘッドモジュールの斜視図を示す。
【図3】図3は、プリントヘッドユニットの1つの実施形態の断面図を示す。
【図4】図4Aは、プリントヘッドモジュール内の流れ経路を通る、断面組立て図を示し、図4Bは、図4Aの線BBに沿ってとった、モジュールの断面組立て図である。
【図5】図5は、インピーダンスフィルタ特徴の上面図である。
【図6】図6A〜6Pは、プリントヘッドモジュール本体の製造を例示する、断面図を示す。
【図7】図7は、圧電性アクチュエータの製造、およびモジュールの組立てを例示する、流れ図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細加工されたデバイスを形成する方法であって、以下:
基材の上面をエッチング処理して、少なくとも1つのエッチング処理された特徴を形成する工程;
該基材の上面に多層基材を接着させて、それにより、該上面の上のエッチング処理された特徴が覆われて、チャンバを形成する工程であって、該多層基材は、シリコン層およびハンドル層を備え、該接着は、該基材の上面と該シリコン層との間でシリコン−シリコン結合を形成する、工程;ならびに
該多層基材から該ハンドル層を取り除いて、該チャンバを覆って該シリコン層を備える膜を形成する、工程
を包含する、方法。
【請求項2】
前記多層基材が、酸化物の層を含む、シリコン・オン・インシュレーター基材である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シリコン・オン・インシュレーター基材から前記酸化物の層を取り除いて、前記膜を形成する工程をさらに包含する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記シリコン・オン・インシュレーター基材から前記酸化物の層を取り除く工程が、該酸化物の層をエッチング処理する工程を包含する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記膜上に導電性の層を形成する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記膜に圧電性層を接着させる工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記基材の上面に多層基材を接着させる工程が、該上面のシリコンに、第1の層のシリコンを融着させる工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記多層基材から前記ハンドル層を取り除く工程が、該ハンドル層を研削する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記多層基材から前記ハンドル層を取り除く工程が、該ハンドル層をエッチング処理する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記膜が、15μm厚未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記膜が、10μm厚未満である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記膜が、5μm厚未満である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記膜が、1μm厚未満である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記上面をエッチング処理する前に、前記基材の上面に金属マスクを形成する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記金属マスクが、ニッケルおよびクロムを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
エッチング処理する前に、前記基材の下面に、金属停止層を形成する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記金属停止層が、ニッケル、クロム、アルミニウム、銅、タングステン、および鉄からなる群からの少なくとも1つの金属を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ハンドル層が、シリコンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記多層基材を接着させる前に、前記基材の上面から酸化物を取り除く工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記多層基材を接着させる前に、該多層基材の前記シリコン層から酸化物を取り除く工程をさらに包含する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記酸化物を取り除く工程が、フッ化水素酸エッチングを包含する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
プリントヘッドを形成する方法であって、以下:
基材の上面をエッチング処理して、少なくとも1つのエッチング処理された特徴を有するようにする工程;
該基材の上面に多層基材を接着させて、それによって、該上面の上の該エッチング処理された特徴が覆われて、チャンバを形成する工程であって、該多層基材は、第1の層およびハンドル層を備える、工程;
該多層基材から該ハンドル層を取り除いて、膜を形成する工程;ならびに
該膜に圧電性層を接着させる工程
を包含する、方法。
【請求項23】
前記基材の下面にノズル層を接着させる工程をさらに包含し、該ノズル層は、流体を駆出するために1つ以上のノズルの少なくとも一部分を備える、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記基材の上面をエッチング処理する工程が、インク流れ経路の少なくとも一部分を形成する、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
基材の上面をエッチング処理する工程が、本質的にシリコンからなる基材をエッチング処理する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
微細加工したデバイスを形成する方法であって、以下:
第1の基材の下面の上に金属層を形成する工程;
該基材の上面から該第1の基材をエッチング処理して、それによって、該エッチング処理された特徴が、該第1の基材を通って該金属層まで延びる工程;
該第1の基材をエッチング処理した後に、該第1の基材の該下面から該金属層を取り除く工程;および
該第1の基材の該下面に、層を連結する工程
を包含する、方法。
【請求項27】
前記第1の基材をエッチング処理する工程が、前記第1の基材を深層反応性のイオンエッチング処理をする工程を包含する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記基材の前記下面に層を連結する工程が、第1のシリコン表面を第2のシリコン表面に連結する工程を包含する、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の基材が、両側面を磨かれたシリコン基材を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の基材の前記下面に、1つ以上の特徴のエッチング処理する工程をさらに包含する、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記金属層を形成する前に、前記1つ以上の特徴のエッチング処理する工程が起こる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記基材の上面に多層基材を接着させて、それによって、該上面の上の前記エッチング処理された特徴が、覆われて、1つ以上のチャンバを形成する工程であって、該多層基材は、第1の層およびハンドル層を備える、工程;ならびに
該多層基材から該ハンドル層を取り除いて、該1つ以上のチャンバを覆う膜を形成する工程
をさらに包含する、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
微細加工されたデバイスを形成する方法であって、以下:
第1の基材の下面に1つ以上の凹部のエッチング処理する工程;
該下面をエッチング処理した後に、該第1の基材の該下面の上に、犠牲層を形成する工程;
該基材の上面から該第1の基材をエッチング処理して、それによって、該エッチング処理された特徴が、該第1のシリコン基材を通って、該犠牲層まで延びる工程;および
該第1の基材の該下面から該犠牲層を取り除く工程
を包含する、方法。
【請求項34】
犠牲層を形成する工程が、金属層を形成する工程を包含する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
金属層を形成する工程が、ニッケル、クロム、アルミニウム、銅、タングステン、または鉄の少なくとも1つを含む層を形成する工程を包含する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
犠牲層を形成する工程が、エッチング停止層を形成する工程を包含する、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の基材をエッチング処理する工程が、深層反応性のイオンエッチングを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の基材が、前記上面からエッチング処理される場合に、前記犠牲層を形成する工程が、該第1の基材内にアンダーカットを形成させない物質の層を形成する工程を包含する、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記基材の上面をエッチング処理する前に、該基材の上面の上に金属マスクを形成する工程をさらに包含する、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記金属マスクが、ニッケルおよびクロムを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
プリントヘッドを形成する工程であって、以下:
該第1の基材の上面から該第1の基材をエッチング処理して、それによって、該エッチング処理された特徴が、該第1の基材を通って、該第1の基材の下面の上の層まで延びる工程;
該上面から該第1の基材をエッチング処理した後に、該第1の基材の該下面に1つの層を連結する工程;および
該下面に該1つの層を連結した後に、該層にノズル特徴を形成し、それにより、該ノズル特徴が、該エッチング処理された特徴に接続される、工程
を包含する、方法。
【請求項42】
ノズル特徴を形成する工程が、エッチング処理する工程を包含する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第1の基材が、シリコンを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記第1の基材の前記下面に1つの層を連結する工程が、該第1の基材に両側面が磨かれた基材を接着させる工程を包含する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記第1の基材の前記下面に1つの層を連結する工程が、該第1の基材に多層基材を接着させる工程を包含し、該多層基材は、シリコン層を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記第1の基材の前記下面に1つの層を連結する工程が、融着する工程を包含する、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記第1の基材の前記下面に1つの層を連結する工程が、該第1の基材に、シリコン・オン・インシュレーター基材を接着させる工程を包含し、該シリコン・オン・インシュレーター基材は、シリコンの層、酸化物層、およびハンドル層を備える、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記下面に層を連結する工程が、シリコン−シリコン接着を形成し、該接着は、実質的に酸化物を含まない、請求項43に記載の方法。
【請求項49】
微細加工されたデバイスであって、以下:
複数の凹部を有する、第1の物質の本体;
該第1の物質の15μm厚未満の膜であって、該膜は、該本体に接着され、それによって、該本体内の凹部が、少なくとも部分的に該膜により覆われ、そして、該膜と本体との間の界面は、該第1の物質以外の物質を実質的に含まない、膜;および
該膜の上に形成された圧電性構造体であって、該圧電性構造体は、第1の伝導性の層および圧電性物質を備える、圧電性構造体
を備える、デバイス。
【請求項50】
前記本体内の凹部が、1つ以上の経路を提供し、該経路の各々が、該本体の外側と連絡する入口および出口を有する、請求項49に記載のデバイス。
【請求項51】
前記1つ以上の経路が、種々の深さの1つ以上の領域を備える、請求項50に記載のデバイス。
【請求項52】
前記経路の各々の出口が、ノズルである、請求項51に記載のデバイス。
【請求項53】
前記ノズルが、前記本体の前記膜から対向する側面上にある、請求項52に記載のデバイス。
【請求項54】
前記膜は、1μm未満だけ厚みが変化する、請求項53に記載のデバイス。
【請求項55】
前記第1の物質がシリコンである、請求項54に記載のデバイス。
【請求項56】
前記膜が、実質的に開口部を有さない、請求項55に記載のデバイス。
【請求項57】
前記凹部が、前記膜に隣接したポンピングチャンバを備える、請求項56に記載のデバイス。
【請求項58】
前記膜が、10μm厚未満である、請求項57に記載のデバイス。
【請求項59】
前記膜が、5μm厚未満である、請求項58に記載のデバイス。
【請求項60】
前記膜が、1μm厚未満である、請求項59に記載のデバイス。
【請求項61】
前記膜が、第2の物質を含む、請求項57に記載のデバイス。
【請求項62】
前記第2の物質が、酸化物である、請求項61に記載のデバイス。
【請求項63】
前記圧電性構造体が、第2の導電性の層を備える、請求項57に記載のデバイス。
【請求項64】
前記圧電性物質が、前記第1の導電性の層と、前記第2の導電性の層との間にある、請求項63に記載のデバイス。
【請求項1】
微細加工されたデバイスを形成する方法であって、以下:
基材の上面をエッチング処理して、少なくとも1つのエッチング処理された特徴を形成する工程;
該基材の上面に多層基材を接着させて、それにより、該上面の上のエッチング処理された特徴が覆われて、チャンバを形成する工程であって、該多層基材は、シリコン層およびハンドル層を備え、該接着は、該基材の上面と該シリコン層との間でシリコン−シリコン結合を形成する、工程;ならびに
該多層基材から該ハンドル層を取り除いて、該チャンバを覆って該シリコン層を備える膜を形成する、工程
を包含する、方法。
【請求項2】
前記多層基材が、酸化物の層を含む、シリコン・オン・インシュレーター基材である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シリコン・オン・インシュレーター基材から前記酸化物の層を取り除いて、前記膜を形成する工程をさらに包含する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記シリコン・オン・インシュレーター基材から前記酸化物の層を取り除く工程が、該酸化物の層をエッチング処理する工程を包含する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記膜上に導電性の層を形成する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記膜に圧電性層を接着させる工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記基材の上面に多層基材を接着させる工程が、該上面のシリコンに、第1の層のシリコンを融着させる工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記多層基材から前記ハンドル層を取り除く工程が、該ハンドル層を研削する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記多層基材から前記ハンドル層を取り除く工程が、該ハンドル層をエッチング処理する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記膜が、15μm厚未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記膜が、10μm厚未満である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記膜が、5μm厚未満である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記膜が、1μm厚未満である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記上面をエッチング処理する前に、前記基材の上面に金属マスクを形成する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記金属マスクが、ニッケルおよびクロムを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
エッチング処理する前に、前記基材の下面に、金属停止層を形成する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記金属停止層が、ニッケル、クロム、アルミニウム、銅、タングステン、および鉄からなる群からの少なくとも1つの金属を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ハンドル層が、シリコンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記多層基材を接着させる前に、前記基材の上面から酸化物を取り除く工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記多層基材を接着させる前に、該多層基材の前記シリコン層から酸化物を取り除く工程をさらに包含する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記酸化物を取り除く工程が、フッ化水素酸エッチングを包含する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
プリントヘッドを形成する方法であって、以下:
基材の上面をエッチング処理して、少なくとも1つのエッチング処理された特徴を有するようにする工程;
該基材の上面に多層基材を接着させて、それによって、該上面の上の該エッチング処理された特徴が覆われて、チャンバを形成する工程であって、該多層基材は、第1の層およびハンドル層を備える、工程;
該多層基材から該ハンドル層を取り除いて、膜を形成する工程;ならびに
該膜に圧電性層を接着させる工程
を包含する、方法。
【請求項23】
前記基材の下面にノズル層を接着させる工程をさらに包含し、該ノズル層は、流体を駆出するために1つ以上のノズルの少なくとも一部分を備える、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記基材の上面をエッチング処理する工程が、インク流れ経路の少なくとも一部分を形成する、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
基材の上面をエッチング処理する工程が、本質的にシリコンからなる基材をエッチング処理する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
微細加工したデバイスを形成する方法であって、以下:
第1の基材の下面の上に金属層を形成する工程;
該基材の上面から該第1の基材をエッチング処理して、それによって、該エッチング処理された特徴が、該第1の基材を通って該金属層まで延びる工程;
該第1の基材をエッチング処理した後に、該第1の基材の該下面から該金属層を取り除く工程;および
該第1の基材の該下面に、層を連結する工程
を包含する、方法。
【請求項27】
前記第1の基材をエッチング処理する工程が、前記第1の基材を深層反応性のイオンエッチング処理をする工程を包含する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記基材の前記下面に層を連結する工程が、第1のシリコン表面を第2のシリコン表面に連結する工程を包含する、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の基材が、両側面を磨かれたシリコン基材を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の基材の前記下面に、1つ以上の特徴のエッチング処理する工程をさらに包含する、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記金属層を形成する前に、前記1つ以上の特徴のエッチング処理する工程が起こる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記基材の上面に多層基材を接着させて、それによって、該上面の上の前記エッチング処理された特徴が、覆われて、1つ以上のチャンバを形成する工程であって、該多層基材は、第1の層およびハンドル層を備える、工程;ならびに
該多層基材から該ハンドル層を取り除いて、該1つ以上のチャンバを覆う膜を形成する工程
をさらに包含する、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
微細加工されたデバイスを形成する方法であって、以下:
第1の基材の下面に1つ以上の凹部のエッチング処理する工程;
該下面をエッチング処理した後に、該第1の基材の該下面の上に、犠牲層を形成する工程;
該基材の上面から該第1の基材をエッチング処理して、それによって、該エッチング処理された特徴が、該第1のシリコン基材を通って、該犠牲層まで延びる工程;および
該第1の基材の該下面から該犠牲層を取り除く工程
を包含する、方法。
【請求項34】
犠牲層を形成する工程が、金属層を形成する工程を包含する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
金属層を形成する工程が、ニッケル、クロム、アルミニウム、銅、タングステン、または鉄の少なくとも1つを含む層を形成する工程を包含する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
犠牲層を形成する工程が、エッチング停止層を形成する工程を包含する、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の基材をエッチング処理する工程が、深層反応性のイオンエッチングを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の基材が、前記上面からエッチング処理される場合に、前記犠牲層を形成する工程が、該第1の基材内にアンダーカットを形成させない物質の層を形成する工程を包含する、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記基材の上面をエッチング処理する前に、該基材の上面の上に金属マスクを形成する工程をさらに包含する、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記金属マスクが、ニッケルおよびクロムを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
プリントヘッドを形成する工程であって、以下:
該第1の基材の上面から該第1の基材をエッチング処理して、それによって、該エッチング処理された特徴が、該第1の基材を通って、該第1の基材の下面の上の層まで延びる工程;
該上面から該第1の基材をエッチング処理した後に、該第1の基材の該下面に1つの層を連結する工程;および
該下面に該1つの層を連結した後に、該層にノズル特徴を形成し、それにより、該ノズル特徴が、該エッチング処理された特徴に接続される、工程
を包含する、方法。
【請求項42】
ノズル特徴を形成する工程が、エッチング処理する工程を包含する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第1の基材が、シリコンを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記第1の基材の前記下面に1つの層を連結する工程が、該第1の基材に両側面が磨かれた基材を接着させる工程を包含する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記第1の基材の前記下面に1つの層を連結する工程が、該第1の基材に多層基材を接着させる工程を包含し、該多層基材は、シリコン層を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記第1の基材の前記下面に1つの層を連結する工程が、融着する工程を包含する、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記第1の基材の前記下面に1つの層を連結する工程が、該第1の基材に、シリコン・オン・インシュレーター基材を接着させる工程を包含し、該シリコン・オン・インシュレーター基材は、シリコンの層、酸化物層、およびハンドル層を備える、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記下面に層を連結する工程が、シリコン−シリコン接着を形成し、該接着は、実質的に酸化物を含まない、請求項43に記載の方法。
【請求項49】
微細加工されたデバイスであって、以下:
複数の凹部を有する、第1の物質の本体;
該第1の物質の15μm厚未満の膜であって、該膜は、該本体に接着され、それによって、該本体内の凹部が、少なくとも部分的に該膜により覆われ、そして、該膜と本体との間の界面は、該第1の物質以外の物質を実質的に含まない、膜;および
該膜の上に形成された圧電性構造体であって、該圧電性構造体は、第1の伝導性の層および圧電性物質を備える、圧電性構造体
を備える、デバイス。
【請求項50】
前記本体内の凹部が、1つ以上の経路を提供し、該経路の各々が、該本体の外側と連絡する入口および出口を有する、請求項49に記載のデバイス。
【請求項51】
前記1つ以上の経路が、種々の深さの1つ以上の領域を備える、請求項50に記載のデバイス。
【請求項52】
前記経路の各々の出口が、ノズルである、請求項51に記載のデバイス。
【請求項53】
前記ノズルが、前記本体の前記膜から対向する側面上にある、請求項52に記載のデバイス。
【請求項54】
前記膜は、1μm未満だけ厚みが変化する、請求項53に記載のデバイス。
【請求項55】
前記第1の物質がシリコンである、請求項54に記載のデバイス。
【請求項56】
前記膜が、実質的に開口部を有さない、請求項55に記載のデバイス。
【請求項57】
前記凹部が、前記膜に隣接したポンピングチャンバを備える、請求項56に記載のデバイス。
【請求項58】
前記膜が、10μm厚未満である、請求項57に記載のデバイス。
【請求項59】
前記膜が、5μm厚未満である、請求項58に記載のデバイス。
【請求項60】
前記膜が、1μm厚未満である、請求項59に記載のデバイス。
【請求項61】
前記膜が、第2の物質を含む、請求項57に記載のデバイス。
【請求項62】
前記第2の物質が、酸化物である、請求項61に記載のデバイス。
【請求項63】
前記圧電性構造体が、第2の導電性の層を備える、請求項57に記載のデバイス。
【請求項64】
前記圧電性物質が、前記第1の導電性の層と、前記第2の導電性の層との間にある、請求項63に記載のデバイス。
【図1】
【図1A】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図6G】
【図6H】
【図6I】
【図6J】
【図6K】
【図6L】
【図6M】
【図6N】
【図6O】
【図6P】
【図7】
【図1A】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図6G】
【図6H】
【図6I】
【図6J】
【図6K】
【図6L】
【図6M】
【図6N】
【図6O】
【図6P】
【図7】
【公表番号】特表2007−508163(P2007−508163A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534345(P2006−534345)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/033128
【国際公開番号】WO2005/037558
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(502122794)ディマティクス インコーポレーテッド (73)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/033128
【国際公開番号】WO2005/037558
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(502122794)ディマティクス インコーポレーテッド (73)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]