説明

薄膜付き基板、薄膜の加工方法、圧電デバイス、及び圧電振動子の周波数調整方法

【課題】レーザーによる基板のダメージを抑えつつ、基板の表面に形成された薄膜を、基板を透過したレーザーにより効率的に加工する。
【解決手段】レーザー1を透過させる基板11と、加工対象物である第一の薄膜13との間に、レーザー1を透過可能な中間層12を介在させた状態で、第一の薄膜13が形成された側とは反対側の基板11の表面にレーザー1を照射して透過させ、透過したレーザー1を第一の薄膜13に焦点を結ぶように照射することで、第一の薄膜13と第二の薄膜14を加工する。基板11と第一の薄膜13との間に中間層12が介在していることで、その厚みの分だけレーザー1の焦点位置(第一の薄膜13の位置)が基板11から遠ざかり、基板11がレーザー1の高密度領域に晒されることがなくなるため、レーザー1による基板11へのダメージと、それに伴うレーザー1の基板11への吸収(減衰)が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜付き基板、薄膜の加工方法、圧電デバイス、及び圧電振動子の周波数調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特に電子部品製造の分野において、基板の一表面(上面)に透過波長帯域のレーザーを照射して基板を透過させ、透過したレーザーを基板の他表面(下面)に形成された薄膜に照射して加工する技術が知られている。この技術は、例えば、電子部品パッケージ内に収納された圧電振動子の共振周波数を外部から調整する場合などに利用されるが、その用途は多岐にわたる。(例えば、特許文献1〜3参照)
【0003】
図11は、従来の薄膜の加工方法を示す図である。ここに示す従来の薄膜の加工方法においては、透過波長帯域のレーザー1を基板2の一表面(上面)に照射して透過させ、透過したレーザー1を、各界面で発生する光の屈折を考慮した上で、基板2の他表面(下面)に形成された薄膜3に焦点を結ぶように照射することで、薄膜3を加工する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−179013号公報
【特許文献2】特開平5−29863号公報
【特許文献3】特許第3843779号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図12は、従来の薄膜の加工方法の問題点を示す図である。基板2の表面に形成された薄膜3は、そこに照射されるレーザー1のエネルギー密度が薄膜3の加工閾値を上回った時点で初めて加工されるが、薄膜3は基板2に密接しているため、薄膜3に焦点を結ぶようにレーザー1を照射すると、図12に示すように、薄膜3との界面近傍に存在する基板2にも高密度のレーザー1が照射されることとなり、基板2の加工閾値が薄膜3と同等かそれよりも小さい場合には、薄膜3が加工されるのと同時かそれよりも前に、基板2にダメージ(ダメージ発生領域4)が発生する虞がある。また、基板2にダメージが発生すると、レーザー1の基板2への吸収が促進されるため、レーザー1が薄膜3に到達する前に減衰して、本来の加工対象物である薄膜3の加工効率が低下するか加工自体が行えなくなる。これらの対策として、基板2の材料をレーザー1に対する加工閾値が大きいものにすることが考えられるが、製品設計上、必ずしもそれが許されるとは限らない。
【0006】
本発明は、以上の問題点に鑑みて成されたものであり、レーザーによる基板のダメージを抑えつつ、基板の表面に形成された薄膜を、基板を透過したレーザーにより効率的に加工することが可能な、薄膜付き基板、薄膜の加工方法、圧電デバイス、及び圧電振動子の周波数調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
レーザーが照射される側とは反対側の基板の表面の前記レーザーが透過する領域に、前記基板を透過したレーザーにより加工される薄膜が形成された薄膜付き基板であって、前記基板と前記薄膜との間に、前記レーザーを透過可能な中間層が介在している薄膜付き基板とする。
【0008】
前記中間層は、前記レーザーの透過率が前記基板と同じかそれよりも大きい薄膜付き基板とする。
【0009】
前記中間層は、前記レーザーに対する加工閾値が前記基板よりも大きい薄膜付き基板とする。
【0010】
前記中間層は、前記レーザーの屈折率が前記基板よりも小さい薄膜付き基板とする。
【0011】
前記基板はシリコンで構成され、前記中間層は二酸化シリコンで構成されている薄膜付き基板とする。
【0012】
基板の表面に形成された薄膜を前記基板を透過したレーザーにより加工する薄膜の加工方法であって、上記何れか1つの薄膜付き基板の前記薄膜が形成された側とは反対側の表面にレーザーを照射して透過させ、透過したレーザーを前記薄膜付き基板と前記薄膜との間に介在する中間層を介して前記薄膜に焦点を結ぶように照射することで前記薄膜を加工する薄膜の加工方法とする。
【0013】
前記レーザーは、パルス幅が50〜1000fsのパルスレーザーである薄膜の加工方法とする。
【0014】
少なくともベース基板と蓋部材とで構成されたパッケージの内部に圧電振動子が収納されると共に、前記パッケージの内面に前記圧電振動子の周波数を調整するための周波数調整用の薄膜が形成された圧電デバイスであって、前記パッケージと前記周波数調整用の薄膜との間に、前記パッケージを透過するレーザーを透過可能な中間層が介在している圧電デバイスとする。
【0015】
前記中間層は、前記レーザーの透過率が前記パッケージと同じかそれよりも大きい圧電デバイスとする。
【0016】
前記中間層は、前記レーザーに対する加工閾値が前記パッケージよりも大きい圧電デバイスとする。
【0017】
前記中間層は、前記レーザーの屈折率が前記パッケージよりも小さい圧電デバイスとする。
【0018】
前記パッケージはシリコンで構成され、前記中間層は二酸化シリコンで構成されている圧電デバイスとする。
【0019】
少なくともベース基板と蓋部材とで構成されたパッケージの内部に収納された圧電振動子の周波数を、前記パッケージの内面に形成された周波数調整用の薄膜を前記パッケージを透過したレーザーにより飛散させて前記圧電振動子に付着させることで調整する圧電振動子の周波数調整方法であって、上記何れか1つの圧電デバイスの前記パッケージの外表面にレーザーを照射して透過させ、透過したレーザーを前記パッケージと前記周波数調整用の薄膜との間に介在する中間層を介して前記周波数調整用の薄膜に焦点を結ぶように照射して前記周波数調整用の薄膜を飛散させ、飛散した前記周波数調整用の薄膜を前記圧電振動子に付着させることで前記圧電振動子の周波数を調整する圧電振動子の周波数調整方法とする。
【0020】
前記レーザーは、パルス幅が50〜1000fsのパルスレーザーである圧電振動子の周波数調整方法とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、レーザーによる基板のダメージを抑えつつ、基板の表面に形成された薄膜を、基板を透過したレーザーにより効率的に加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の薄膜付き基板の一実施例を示す断面図
【図2】本発明の薄膜の加工方法の一実施例を示す断面図
【図3】本発明の薄膜の加工方法の変形例を示す断面図
【図4】本発明の薄膜の加工方法の変形例を示す断面図
【図5】基礎実験の方法を示す模式図
【図6】評価サンプル(中間層厚1μm)を薄膜形成面側から観察したSEM画像
【図7】評価サンプル(中間層厚5μm)を薄膜形成面側から観察したSEM画像
【図8】評価サンプル(中間層厚10μm)を薄膜形成面側から観察したSEM画像
【図9】本発明の圧電デバイスの一実施例を示す断面図
【図10】本発明の圧電振動子の周波数調整方法の一実施例を示す断面図
【図11】従来の薄膜の加工方法を示す断面図
【図12】従来の薄膜の加工方法の問題点を示す図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明について説明をする。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明の薄膜付き基板の一実施例を示す断面図である。ここに示す本発明の薄膜付き基板においては、シリコン(Si)から成る平板状の基板11の一表面(下面)に、二酸化シリコン(SiO)から成る中間層12を介して、クロム(Cr)から成る第一の薄膜13と、金(Au)から成る第二の薄膜14が順次積層されている。
【0025】
図2は、本発明の薄膜の加工方法の一実施例を示す断面図である。図1に示した本発明の薄膜付き基板において、第一の薄膜13と第二の薄膜14を、基板11を透過したレーザー1により加工する際には、図2に示すように、まず、第一の薄膜13と第二の薄膜14が形成された側とは反対側の基板11の表面(上面)に、レーザー1を集光光学系により集光した上で照射する。照射されたレーザー1は、レーザー照射空間(大気空間、真空空間等)15と基板11とので界面で、集光範囲が広がる方向へ屈折した上で基板11を透過し、中間層12に達する。中間層12に達したレーザー1は、基板11と中間層12におけるレーザー1の屈折率の大小関係(基板11の屈折率>中間層12の屈折率)により、基板11と中間層12との界面で、集光範囲が狭まる方向へ屈折した上で中間層12を透過し、第一の薄膜13に達する。第一の薄膜13に達したレーザー1は、第一の薄膜13の膜厚範囲内の任意の点で焦点を結び、エネルギー密度が第一の薄膜13の加工閾値を上回ることで第一の薄膜13の加工が始まり、それと同時に、第一の薄膜13が加工される際の衝撃や熱により、第二の薄膜14の加工が連鎖的に始まる。
【0026】
ここで、本発明においては、基板11と第一の薄膜13との間に中間層12が設けられていることから、その中間層12の厚みの分だけレーザー1の焦点位置(第一の薄膜13の位置)が基板11から遠ざかり、基板11がレーザー1の高密度領域に晒されることがなくなるため、レーザー1による基板11へのダメージと、それに伴うレーザー1の基板11への吸収(減衰)が抑制される。また、その結果として、基板11にダメージが無い範囲でレーザー1の出力を上げ、第一の薄膜13と第二の薄膜14の加工効率を上げることもできるようになる。
【0027】
また、中間層12は、レーザー1の屈折率が基板11よりも低く、基板11を透過したレーザー1は基板11と中間層12との界面で屈折して集光されるため、レーザー1のエネルギー密度の立ち上がり方がより急峻となって、第一の薄膜13と第二の薄膜14の加工性が向上する。
【0028】
尚、中間層12自体は、基板11よりもレーザーに対する加工閾値が大きいため、レーザー1のエネルギー密度が高くても加工され難い。
【0029】
図3、4は、本発明の薄膜の加工方法の変形例を示す断面図である。前述のように基板11と中間層12との界面でレーザー1の集光作用を得る意味では、中間層12はレーザー1の屈折率が基板11よりも小さい材料で構成されているのが好ましいが、それに限定されるものではなく、レーザー1の屈折率が基板11と同じかそれよりも大きい材料で構成されていてもよい。ここで、仮に中間層12がレーザー1の屈折率が基板11と同じ材料で構成されていた場合には、図3中に点線で示すように、基板11を透過したレーザー1は、基板11と中間層12との界面で屈折しないことから、基板11を透過した時点の角度を保ったまま中間層12を透過することとなり、一方で、仮に中間層12がレーザーの屈折率が基板11よりも大きい材料で構成されていた場合には、図4中に点線で示すように、基板11を透過したレーザー1は、基板11と中間層12との界面で集光範囲が広がる方向へ屈折した上で中間層12を透過することとなる。
【0030】
これらの場合には、レーザー1が基板11と中間層12との界面で集光されない分、レーザー1の焦点位置は第二の薄膜側14へ移動するが、移動する分については、レーザー1の出射位置等を調節して、図3、4中に実線で示すように、焦点位置が第一の薄膜13の膜厚範囲内に収まるようにしたり、中間層12の厚みを増加させて、レーザー1の焦点位置を基板11側へ相対的に移動させるなどして、補正をする。逆に、レーザー1の焦点位置を第二の薄膜14側へ移動させる場合には、それらとは逆の操作をすることになるが、いずれにしても、各界面における光の屈折を考慮した上で、基板11を透過したレーザー1が第一の薄膜13に焦点を結ぶように制御する。
【0031】
中間層12は、レーザー1が焦点を結ぶ第一の薄膜13の位置を基板11から物理的に遠ざける役割を果たすもので、少なくとも、レーザー1を透過させることが理論上可能な材料が選択されるが、レーザー1の透過を極力妨げないようにする意味では、レーザー1の透過率が基板11と同じかそれよりも高い材料が好ましく、この条件を数式で表すと、レーザー1の透過率を基板11と中間層12についてそれぞれTs、Tmとした場合に、Ts<=Tm(条件A)となる。
【0032】
また、中間層12は、特に不都合がないのであれば、第一の薄膜13及び第二の薄膜14と共にレーザー1により加工されても構わないが、それを避ける意味では、中間層12は、レーザー1に対する加工閾値が基板11よりも大きい材料であるのが好ましく、この条件を数式で表すと、レーザー1に対する加工閾値を基板11と中間層12についてそれぞれFs、Fmとした場合に、Fs<Fm(条件B)となる。
【0033】
また、基板11を透過したレーザー1を基板11と中間層12との界面で光の屈折により集光させる意味では、中間層12は、レーザー1の屈折率が基板11よりも小さい材料であるのが好ましく、この条件を数式で表すと、レーザーの屈折率を基板11と中間層12についてそれぞれDs、Dmとした場合に、Ds>Dm(条件C)となる。
【0034】
図1に示した本発明の薄膜付き基板において、基板11を構成するシリコン(Si)と中間層12を構成する二酸化シリコン(SiO)は、以上の条件A〜Cを全てを満たす材料の組み合わせであるが、基板11と中間層12の材料の組み合わせは、それに限定されるものではない。
【0035】
尚、中間層12は、CVD法等の成膜技術を用いて微粒子を基板11の表面に薄膜状に堆積させたり、基板11自体の表層を化合物化(酸化等)したり、予め別体として作製された薄板状のものを基板11の表面に接合することなどにより形成することが可能であり、形成する領域についても、少なくとも、レーザー1を照射する側とは反対側の基板11の表面(下面)の、レーザー1が透過する領域にのみ形成されていればよい。
【0036】
また、加工対象物である薄膜は、平坦に形成されたものに限らず、複雑な立体形状を有するようなものであってもよく、材料についても、レーザーにより加工することが理論上可能なものであればよく、例えば、図1に示した実施例において、第一の薄膜13を省略して第二の薄膜14のみの単層膜とするようなことも可能である。
【0037】
また、使用するレーザーの種類は特に限定されないが、基板へ与えるダメージが小さいものとしては、パルス幅が50〜1000fsのパルスレーザーである所謂フェムト秒レーザーが好適である。
【0038】
図5は、基礎実験の方法を示す模式図である。本願出願人は、本発明の薄膜の加工方法が有効であることを確認するために基礎実験を行った。基礎実験としては、図5に示すように、平板状の基板21の一表面(下面)に中間層22を介して第一の薄膜23と第二の薄膜24を形成したものを評価サンプルとして用い、その評価サンプルを第一の薄膜23と第二の薄膜24が下となるようにサンプル設置面に0.99°傾けた状態で配置し、その状態で基板21の他表面(上面)に焦点を合わせるようにレーザー1を照射すると共に、そのまま焦点距離を変えずに傾斜した評価サンプルの高位側に向けて0.5mm/sの速度で十数mmに亘ってに直線的に走査した。尚、レーザー1の焦点距離は一定であるが、評価サンプルが傾いているため、レーザー1の焦点位置は、走査が進むに連れて第一の薄膜23側へ相対的に移動する。
【0039】
評価サンプルの仕様は、以下の通りである。
基板の材料 :シリコン(Si)
基板の厚さ :300μm
基板の外形サイズ :20mm角
中間層の材料 :二酸化シリコン(SiO
中間層の厚さ :1μm、5μm、10μm
第一の薄膜の材料 :クロム(Cr)
第一の薄膜の厚さ :250Å
第二の薄膜の材料 :金(Au)
第二の薄膜の厚さ :1200Å
【0040】
レーザーの仕様は、以下の通りである。
種類 :ファイバーレーザー
波長 :1552nm
パルス幅 :800fs(フェムト秒)
繰り返し周波数 :500kHz
パルスエネルギー :2μJ
出力 :1W
【0041】
図6〜8は、評価サンプルを薄膜形成面側から観察したSEM画像で、それぞれ中間層22の厚さが1μm、5μm、10μmの場合の評価サンプルを示している。図6〜8を参照すると、中間層22の厚さが1μm、5μm、10μmと厚くなるに連れて薄膜(第一の薄膜23、第二の薄膜24)の加工痕が拡大していることから、中間層22の影響により薄膜の加工性が向上しているのが分かる。
【実施例2】
【0042】
図9は、本発明の圧電デバイスの一実施例を示す断面図である。ここに示す本発明の圧電デバイスは、シリコン(Si)から成る箱型のベース基板31に同じくシリコン(Si)から成る平板状の蓋部材32が接合されることで形成されたパッケージの内部に平板状の圧電振動子33が収納された所謂パッケージ型の圧電デバイスで、ベース基板31の内底面上に実装された圧電振動子33が、ベース基板31の底部に設けられた2つの貫通配線34(1つは不図示)やベース基板の内底面又は外底面に設けられた引回し配線(不図示)等を介して、ベース基板31の外底面に設けられた2つの外部端子35に電気的に接続されると共に、圧電振動子33と対向する蓋部材32の表面(内表面)に、二酸化シリコン(SiO)から成る中間層36を介して、金(Au)から成る周波数調整用の薄膜37が形成されている。
【0043】
図10は、本発明の圧電振動子の周波数調整方法の一実施例を示す断面図である。図9に示した本発明の圧電デバイスにおいて、圧電振動子33の周波数を調整する際には、予め製作段階で圧電振動子33の周波数を目標値よりも高周波側に設定した上で、図10に示すように、蓋部材32を透過する波長帯域(1200〜4000nm程度)のレーザー1を蓋部材32の外表面に照射して透過させ、透過したレーザー1を中間層36を介して周波数調整用の薄膜37に焦点を結ぶように照射することで薄膜37を飛散させ、飛散した粒子38を圧電振動子33の表面に付着させて質量を増加させることにより、周波数を低周波側へと変移させる。
【0044】
尚、周波数調整用の薄膜37は、それを飛散させて圧電振動子33の表面に付着させることができるのであれば、蓋部材32の内表面に限らず、ベース基板31の内底面や内側面に形成されていてもよく、材料についても、金(Au)の単層膜に限らず、図1に示したようなクロム(Cr)と金(Au)の積層膜などであってもよく、特に限定されない。
【0045】
また、ベース基板31と蓋部材32の形状は、ベース基板31が平板状で、蓋部材32が箱型であってもよく、材料についても、シリコン(Si)同士の組み合わせに限らず、その他種々の材料の組み合わせが適宜選択可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、基板の表面に形成された薄膜を、基板を透過したレーザーにより加工(除去、改質、溶融等)することが求められる、あらゆる用途に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 レーザー
2 基板
3 薄膜
4 ダメージ発生領域
11 基板
12 中間層
13 第一の薄膜
14 第二の薄膜
15 レーザー照射空間
21 基板
22 中間層
23 第一の薄膜
24 第二の薄膜
31 ベース基板
32 蓋部材
33 圧電振動子
34 貫通配線
35 外部端子
36 中間層
37 周波数調整用の薄膜
38 飛散した粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザーが照射される側とは反対側の基板の表面の前記レーザーが透過する領域に、前記基板を透過したレーザーにより加工される薄膜が形成された薄膜付き基板であって、
前記基板と前記薄膜との間に、前記レーザーを透過可能な中間層が介在していることを特徴とする薄膜付き基板。
【請求項2】
前記中間層は、前記レーザーの透過率が前記基板と同じかそれよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の薄膜付き基板。
【請求項3】
前記中間層は、前記レーザーに対する加工閾値が前記基板よりも大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の薄膜付き基板。
【請求項4】
前記中間層は、前記レーザーの屈折率が前記基板よりも小さいことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の薄膜付き基板。
【請求項5】
前記基板はシリコンで構成され、前記中間層は二酸化シリコンで構成されていることを特徴とする請求項4に記載の薄膜付き基板。
【請求項6】
基板の表面に形成された薄膜を前記基板を透過したレーザーにより加工する薄膜の加工方法であって、
請求項1〜5の何れか1つに記載の薄膜付き基板の前記薄膜が形成された側とは反対側の表面にレーザーを照射して透過させ、透過したレーザーを前記薄膜付き基板と前記薄膜との間に介在する中間層を介して前記薄膜に焦点を結ぶように照射することで前記薄膜を加工することを特徴とする薄膜の加工方法。
【請求項7】
前記レーザーは、パルス幅が50〜1000fsのパルスレーザーであることを特徴とする請求項6に記載の薄膜の加工方法。
【請求項8】
少なくともベース基板と蓋部材とで構成されたパッケージの内部に圧電振動子が収納されると共に、前記パッケージの内面に前記圧電振動子の周波数を調整するための周波数調整用の薄膜が形成された圧電デバイスであって、
前記パッケージと前記周波数調整用の薄膜との間に、前記パッケージを透過するレーザーを透過可能な中間層が介在していることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項9】
前記中間層は、前記レーザーの透過率が前記パッケージと同じかそれよりも大きいことを特徴とする請求項8に記載の圧電デバイス。
【請求項10】
前記中間層は、前記レーザーに対する加工閾値が前記パッケージよりも大きいことを特徴とする請求項8又は9に記載の圧電デバイス。
【請求項11】
前記中間層は、前記レーザーの屈折率が前記パッケージよりも小さいことを特徴とする請求項8〜10の何れか1つに記載の圧電デバイス。
【請求項12】
前記パッケージはシリコンで構成され、前記中間層は二酸化シリコンで構成されていることを特徴とする請求項11に記載の圧電デバイス。
【請求項13】
少なくともベース基板と蓋部材とで構成されたパッケージの内部に収納された圧電振動子の周波数を、前記パッケージの内面に形成された周波数調整用の薄膜を前記パッケージを透過したレーザーにより飛散させて前記圧電振動子に付着させることで調整する圧電振動子の周波数調整方法であって、
請求項8〜12の何れか1つに記載の圧電デバイスの前記パッケージの外表面にレーザーを照射して透過させ、透過したレーザーを前記パッケージと前記周波数調整用の薄膜との間に介在する中間層を介して前記周波数調整用の薄膜に焦点を結ぶように照射して前記周波数調整用の薄膜を飛散させ、飛散した前記周波数調整用の薄膜を前記圧電振動子に付着させることで前記圧電振動子の周波数を調整することを特徴とする圧電振動子の周波数調整方法。
【請求項14】
前記レーザーは、パルス幅が50〜1000fsのパルスレーザーであることを特徴とする請求項13に記載の圧電振動子の周波数調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−191389(P2012−191389A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52580(P2011−52580)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度 独立行政法人科学技術振興機構 研究成果最適展開支援事業 本格研究開発 ハイリスク挑戦タイプ 委託研究 産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000166948)シチズンファインテックミヨタ株式会社 (438)
【出願人】(304021288)国立大学法人長岡技術科学大学 (458)
【Fターム(参考)】