説明

薄膜形成方法、有機EL装置の製造方法および液滴吐出装置

【課題】塗布工程において、簡単な方法で乾燥ムラを低減することが可能な薄膜形成方法、有機EL装置の製造方法および液滴吐出装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の薄膜形成方法は、基板の塗布領域にインクジェット法により薄膜を形成する薄膜形成方法において、薄膜形成材料を溶媒または分散媒に溶解または分散させた液状体を、高圧雰囲気下、例えば、溶媒または分散媒の蒸気圧以上の雰囲気で、前記塗布領域にインクジェット法で塗布することにより、塗布工程において、簡単な方法で乾燥ムラを低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜形成方法、および液滴吐出装置に関し、詳細には、基板の塗布領域にインクジェット法により薄膜を形成する薄膜形成方法、および液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜の形成には、例えば、薄膜塗布方法の1つであるスピンコート法が一般的に用いられている。このスピンコート法は、液状体を基板上に滴化した後に、基板を回転させて遠心力により基板全面に塗布を行って薄膜を形成する方法であり、回転数、回転保持時間および液状体の粘度などにより膜厚を制御するものである。
【0003】
しかしながら、スピンコート法では、供給された液状体の大部分が飛散してしまうため、多くの液状体を供給する必要があるとともに無駄が多く、生産コストが高くなるという問題がある。また、基板を回転させるため、遠心力により液状体が内側から外側へと流動し、外周領域の膜厚が内側よりも厚くなる傾向があるため、膜厚が不均一になるという問題がある。
【0004】
かかる背景から、近時、インクジェット法などの液滴吐出法が提案され、この塗布法を実施するためのものとして、液滴吐出装置が提案されている。この液滴吐出装置は、所定量の液状体を所望する位置に配することができることから主に薄膜を形成するのに好適に用いられている。例えば、有機EL装置における発光層や正孔注入/輸送層を作製するのに使用されている。
【0005】
有機EL装置の正孔注入/輸送層や発光層を液滴吐出装置で作製する場合として特許文献1が公知である。同文献では、予め基板上に隔壁(バンク)を形成しておき、この隔壁で画された領域、すなわち、塗布領域(画素領域)に液状体を吐出し、その後、乾燥させることにより、正孔注入/輸送層や発光層となる薄膜を形成している。
【0006】
【特許文献1】特許第3328297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記方法では、基板の面内で塗布した液状体の乾燥ムラが生じてしまうため、平坦で均一な薄膜を形成できない場合がある。この現象を図10を参照して説明する。図10に示すように、まず、基板501上のバンク502で画される塗布領域503に、薄膜形成材料を低沸点溶媒に溶解させた液状体510を液滴吐出ヘッドで常圧の条件下で矢印の順番に塗布する。この場合、最初に液滴が塗布されるエリアと最後に塗布されるエリアとでは、乾燥時間が異なり、液状体を塗布する順番によって乾燥状態に差が生じてしまう。最初の方に塗布された液状体ほど自然乾燥が進み、液状体503がバンク502に引き寄せられまたは弾かれ、膜プロファイルは凹部形状または凸部形状になってしまう。このように、乾燥プロセスに入るまでのライムラグにより面内の画素に乾燥ムラ(プロファイルムラ)が生じてしまうという問題がある。また、基板501では、中心部と外周部とで、液状体503の雰囲気(蒸気)の差により乾燥状態が異なる場合がある。すなわち、中心部よりも外周部の方が自然乾燥が進みやすい。
【0008】
この場合、塗布時間のタイムラグによる乾燥ムラ(プロファイルムラ)を解消するために、液状体として高沸点溶媒を使用して、塗布プロセス中での乾燥を防ぎ、乾燥プロセスで減圧乾燥することで面内を同時に素早く乾燥させる方法が考えられる。しかるに、高沸点溶媒を素早く乾燥させるためには、真空度が高い雰囲気を実現することが必要である。また、真空の到達スピードによっても膜プロファイルは影響されるため、乾燥プロセスに用いられる装置に高い能力が求められる。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、塗布工程において、簡単な方法で乾燥ムラを低減することが可能な薄膜形成方法、有機EL装置の製造方法および液滴吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、基板の塗布領域にインクジェット法により薄膜を形成する薄膜形成方法において、薄膜形成材料を溶媒または分散媒に溶解または分散させた液状体を、高圧雰囲気下で前記塗布領域にインクジェット法で塗布することを特徴とする。
【0011】
これにより、塗布プロセス中の雰囲気を高圧にすることによって、塗布プロセス中の乾燥を防ぐことができ、面内の乾燥ムラを解消することが可能となる。この結果、塗布工程において、簡単な方法で乾燥ムラを低減することが可能な薄膜形成方法を提供することが可能となる。
【0012】
付言すると、低沸点溶媒を使用した場合でも、高圧雰囲気中で塗布を行うため、塗布プロセス中の乾燥を防ぎ、面内の乾燥ムラを防止することができる。このため、低沸点溶媒を使用した場合においては、乾燥プロセスにおいて、低真空でも十分な乾燥が進み、平坦な膜プロファイルを形成することが可能になる。この結果、乾燥プロセスにおいて、真空度、真空到達スピードなど真空ポンプに求められる能力を軽減することができる。
【0013】
また、低沸点溶媒は、低粘度であることが多いが、低粘度溶媒を使用した場合においても、高圧雰囲気下では、ヘッドのノズル面の乾燥を抑えることができ、間欠印字性を改善することが可能になる。この結果、本発明の薄膜形成方法を使用することにより、低沸点・低粘度溶媒を使用することができ、使用可能なインクの自由度が向上する。
【0014】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記高圧雰囲気は、前記溶媒または分散媒の蒸気圧以上の雰囲気であることが望ましい。これにより、塗布プロセス中での溶媒または分散媒の蒸発を完全に抑制することができる。
【0015】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記溶媒または分散媒は、低沸点な溶媒または分散媒であることが望ましい。これにより、低沸点の溶媒または分散媒を使用した場合においても、塗布工程において、簡単な方法で乾燥ムラを低減することが可能となる。
【0016】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記塗布領域は、親液化処理が施されていることが望ましい。これにより、これにより、液状体が塗布領域に塗れやすくなり、塗布領域に均一に液状体を塗布することが可能となる。
【0017】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記塗布領域は、隔壁によって画された領域であることが望ましい。これにより、隔壁があることによって、比較的大量の液状体を塗布領域に塗布することが可能となり、したがって、液状体の塗布を繰り返さなくても、1回の吐出で比較的厚い膜の形成が可能となる。
【0018】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記薄膜は、有機EL装置の発光層または正孔/注入輸送層であることが望ましい。また、本発明の有機EL装置の製造方法は、上記本発明の薄膜形成方法により前記薄膜を形成する薄膜形成工程を含むことを特徴とする。これにより、有機EL装置の発光層または正孔/注入輸送層を平坦な膜とすることができ、高品質な表示特性を得ることが可能となる。
【0019】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記薄膜は、カラーフィルタであることが望ましい。これにより、有機EL装置の発光層または正孔/注入輸送層を平坦な膜とすることができ、高品質な表示特性を得ることが可能となる。
【0020】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、液滴吐出ヘッドから液状体を吐出する液滴吐出装置において、基板の塗布領域に、薄膜形成材料を溶解または分散させた液状体を、前記液滴吐出ヘッドにより、高圧雰囲気下で前記塗布領域に塗布することを特徴とする。
【0021】
これにより、塗布プロセス中の雰囲気を高圧にすることによって、塗布プロセス中の乾燥を防ぐことができ、面内の乾燥ムラを解消することが可能となる。この結果、塗布工程において、簡単な方法で乾燥ムラを低減することが可能な液滴吐出装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるものまたは実質的に同一のものが含まれる。なお、以下の実施例においては、有機EL装置を例示して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0023】
[液滴吐出装置]
(液滴吐出装置の全体構成)
図1は、本発明の実施例に係る液滴吐出装置の全体構成を示す概略斜視図である。本実施例に係る液滴吐出装置は、図1に示すように、基板10の表面に例えば、液状体11を吐出する1または複数の液滴吐出ヘッド32を有する液滴吐出手段13と、液滴吐出ヘッド32を支持するキャリッジ12と基板10との位置を相対的に移動させる移動手段14と、液滴吐出手段13および移動手段14を制御する制御手段15とを具備してなるものである。
【0024】
移動手段14は、基板ステージ16上に載置された基板10の上方に、液滴吐出ヘッド32を下方側に向けて支持すると共に移動自在のステージ18によりX軸方向に移動自在のヘッド支持部17と、上方の液滴吐出ヘッド群32に対して基板ステージ16と共に基板をY軸方向に移動させるステージ駆動部19とから構成されている。
【0025】
ヘッド支持部17は、液滴吐出ヘッド32を基板10に対してその鉛直軸方向(Z軸)に任意の移動速度で移動可能且つ位置決め可能な例えばリニアモータ等の機構と、鉛直軸を中心に液滴吐出ヘッド群を回転させることによって下方の基板10に対して任意な角度に設定可能なステッピングモータ等の機構とを備えたものである。
【0026】
ステージ駆動部19は、鉛直軸を中心に基板ステージ16を回転させて上方の液滴吐出ヘッド群32に対して任意な角度に設定可能なθ軸ステージ20と、基板ステージ16とを液滴吐出ヘッド群32に対して水平方向(Y方向)に移動させ且つ位置決めするステージ21とを備えている。なお、θ軸ステージ20は、ステッピングモータ等から構成され、ステージ21はリニアモータ等から構成されている。
【0027】
吐出手段13は、液滴吐出ヘッド32とこれにチューブ22を介して接続されたタンク23とを備えている。タンク23は液状体11を貯留し、チューブ22を介してこの液状体11を液滴吐出ヘッド32に供給するものとなっている。液状体11は、薄膜形成材料を溶媒または分散媒で溶解または分散したものである。このような構成によって液滴吐出手段13は、タンク23に貯留された液状体11を液滴吐出ヘッド32から吐出し、これを基板10上に塗布するようにしている。液滴吐出ヘッド32は、例えばピエゾ素子によって液室を圧縮し、その圧力で液滴(液状材料)を吐出させるものであり、一列又は複数列に配列された複数のノズル(ノズル孔)を有している。
【0028】
(ヘッド)
図2は、液滴吐出ヘッド32の分解斜視図、図3は、液滴吐出ヘッド32の断面図である。図2および図3に示すように、液滴吐出ヘッド32は、例えばステンレス製のノズルプレート41と振動板42とを備え、仕切り部材(リザーバプレート)43を介して両者を接合したものである。ノズルプレート43と振動板42との間には、仕切り部材によって複数の空間44と液溜まり45とが形成されている。各空間44と液溜まり45の内部は液状体11(図示せず)で満たされており、各空間44と液溜まり45とは供給口46を介して連通したものとなっている。また、ノズルプレート41には、各空間44から液状体11を噴射するための微小孔のノズル47が形成されている。一方、振動板42には、液溜まり45に液状体11を供給するための孔47aが形成されている。
【0029】
振動板42の空間に対向する面と反対側の面上には、図2および図3に示すように、圧電素子(ピエゾ素子)48が接合されている。この圧電素子48は、図3に示すように一対の電極49,49の間に位置し、通電するとこれが外側に突出するように撓曲するようになっている。そして、このような構成のもとに圧電素子48が接合されている振動板42は、圧電素子48と一体になって同時に外側へ撓曲するようになっており、これによって空間44の内部容積が増大するようになっている。したがって、空間44内に増大した容積分に相当する液状材料が液溜まり45から供給口46を介して流入する。また、このような状態から圧電素子48への通電を解除すると、圧電素子48と振動板43とは共に元の形状に戻る。したがって、空間44も元の容積に戻ることから、空間内部の液状体11の圧力が上昇し、ノズル47から基板10に向けて液状体11の噴霧状液滴が吐出される。
【0030】
なお、液滴吐出ヘッド32の方式としては、上述したような圧電素子を用いたピエゾジェットタイプ以外の方式でもよく、超音波モータ,リニアモータ等により、振動を付与し、またはタンク内に圧力を印加することにより、上記微小穴から液状体11である液晶を射出させるようにしてもよい。
【0031】
上記図1の制御手段15は、装置全体の制御を行うマイクロプロセッサ等のCPUや、各種信号の入出力機能を有するコンピュータ等によって構成されたものであり、図1に示したように、液滴吐出手段13および移動手段14にそれぞれ電気的に接続されたことにより、液滴吐出手段13による吐出動作、および移動手段14による移動動作の少なくとも一方、本実施の形態では両方を制御するものとなっている。そして、このような構成により、液状吐出液の吐出条件を調整し、形成する薄膜の塗布量を制御するようにしている。
【0032】
すなわち、制御手段15は、上記塗布量を制御する機能として、基板に対する液状吐出液の吐出間隔を調整する制御機能と、1ドットあたりの液状体11の吐出量を調整する制御機能と、ノズルの配列方向と移動機構による移動方向との角度(θ)を調整する制御機能と、基板上を複数の領域に分けて各領域に吐出条件を設置する制御機能とを備えている。
【0033】
さらに、制御手段15は、上記吐出間隔を調整する制御機構として、基板100と液滴吐出ヘッド12との相対的な移動の速度を調整して吐出間隔を調整する制御機能と、移動手段における吐出の時間間隔を調整して吐出間隔を調整する制御機能と、複数のノズルのうち同時に液状体を吐出させるノズルを任意に設定して吐出間隔を調整する制御機能とを備えている。上記構成に代えて、液滴吐出ヘッド12にX軸、Y軸に移動する手段を持たせてもよいし、ステージ16,20又は21にX軸、Y軸、Z軸に移動する手段を持たせてもよい。
【0034】
(液滴吐出装置の塗布方法)
本実施例の液滴吐出装置1を不図示の高圧チャンバー内に配置して、高圧雰囲気で液状体11の塗布を行う。ここで、高圧雰囲気は、液状体11の乾燥ムラを防止するために、液状体11の溶媒または分散媒の蒸気圧以上とするのが望ましい。例えば、液状体11の溶媒または分散媒として、キシレン、メシチレン、イソプロピルベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トデシルベンゼン、トリエチルベンゼンを使用した場合には、キシレンの蒸気圧870Pa、メシチレンの蒸気圧200Pa(20℃)、イソプロピルベンゼンの蒸気圧430Pa(20℃)、エチルベンゼンの蒸気圧0.9kPa(20℃)、ジエチルベンゼンの蒸気圧0.13kPa(20℃)、トデシルベンゼンの蒸気圧<10kPa(20℃)、トリエチルベンゼンの蒸気圧147Pa(20℃)以上の高圧状態とするのが望ましい。
【0035】
図4は、液滴吐出装置100の塗布方法の一例を説明するための説明図である。図4において、基板ステージ16には基板10が保持されている。基板10は、バンク51で区画される塗布領域52がマトリクス状に形成されている。この塗布領域52は、画素等が形成される領域である。塗布領域52の平面像は、長辺と短辺で定まる略矩形形状を呈している。基板ステージ16は、基板10の塗布領域52の長辺方向がX軸方向に平行に、かつ、その短辺方向がY軸方向に平行になるように、基板10を保持している。
【0036】
図4において、まず、キャリッジ12の位置を基板ステージ16上の基板10の左上位置に合わせる。キャリッジ12を基板ステージ16に対してY軸方向に相対移動させながら、Y軸方向に沿って液滴吐出ヘッド32により高圧雰囲気下で基板10の塗布領域52に液状体11の液滴を吐出する。
【0037】
つぎに、キャリッジ12をX軸方向に描画幅(有効走査幅)分移動させる。この後、キャリッジ12を基板ステージ16に対してY軸方向に相対移動させながら、Y軸方向に沿って液滴吐出ヘッド32により高圧雰囲気下で基板10の塗布領域52に液状体11の液滴を吐出する。同様の動作を基板10の全塗布面が終了するまで実行する。
【0038】
このように、本実施例では、薄膜形成材料を溶媒または分散媒に溶解または分散させた液状体11を、高圧雰囲気下で基板の塗布領域にインクジェット法で塗布することとしたので、塗布プロセス中の雰囲気を高圧にすることによって、塗布プロセス中の乾燥を防ぐことができ、面内の乾燥ムラを解消することが可能となる。
【0039】
付言すると、低沸点溶媒を使用した場合でも、高圧雰囲気中で塗布を行うため、塗布プロセス中の乾燥を防ぎ、面内の乾燥ムラを防止することができる。このため、低沸点溶媒を使用した場合においては、乾燥プロセスにおいて、低真空でも十分な乾燥が進み、平坦な膜プロファイルを形成することが可能になる。この結果、乾燥プロセスにおいて、真空度、真空到達スピードなど真空ポンプに求められる能力を軽減することができる。
【0040】
また、低沸点溶媒は、低粘度であることが多いが、低粘度溶媒を使用した場合においても、高圧雰囲気下では、液滴吐出ヘッドのノズル面の乾燥を抑えることができ、間欠印字性を改善することが可能になる。このように、本発明の塗布方法を使用すれば、低沸点・低粘度溶媒を使用することができ、使用可能なインクの自由度が向上する。
【0041】
[有機EL装置の製造工程]
次に、本実施例の薄膜形成方法を使用した有機EL装置の製造方法を図5および図6を参照して説明する。図5は、有機EL装置の製造工程を示すフロー図、図6は、有機EL装置の製造工程図を示している。本実施例の有機EL装置の製造工程は、図5に示すように、(1)隔壁形成工程(S101)と、(2)プラズマ処理工程(S102)と、(3)正孔注入/輸送層形成工程(S103)と、(4)表面改質工程(S104)と、(5)発光層形成工程(S105)と、(6)陰極形成工程(S106)と、(7)封止工程(S107)とから構成される。
【0042】
(1)隔壁生成工程
図6−1に示すように、隔壁形成工程では、必要に応じてTFT等(図示せず)が予め設けられている基板100に形成されたITO等からなる透明電極101上に、無機物バンク層102aと有機物バンク層102bを順次積層することにより、各画素領域を隔てるバンク層(隔壁)102を形成する。
【0043】
無機物バンク層102aは、例えばCVD法、スパッタ法、蒸着法等によって基板100および透明電極101の全面に酸化珪素、酸化チタン、窒化珪素等の無機物膜を形成し、次にこの無機物膜をエッチング等によりパターニングして、透明電極101上の画素領域に開口部103aを設けることにより形成する。ただし、このとき、無機物バンク層102aを透明電極101の周縁部まで残しておくものとする。また、無機物バンク層102aの膜厚は50〜200nmの範囲が好ましく、特に150nmがよい。
【0044】
次に、基板100、透明電極101、無機物バンク層102aの全面に、有機物バンク層102bを形成する。また、有機物バンク層102bは、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の有機樹脂を溶媒に溶かしたものを、スピンコート、ディップコート等により塗布して形成する。そして、有機物バンク層102bをフォトリソグラフィ技術等によりエッチングして開口部103bを設ける。この有機物バンク層102bの開口部103bは、図6−1に示すように、無機物バンク層102aの開口部103aよりやや広く形成することが好ましい。これにより、透明電極101上に、無機物バンク層102aおよび有機物バンク層102bを貫通する開口部103が形成される。なお、開口部103の平面形状は、円形、楕円、四角、ストライプいずれの形状でも構わないが、インク組成物には表面張力があるため、四角形等の場合には、角部に丸みを持たせる方が好ましい。
【0045】
(2)プラズマ処理工程
次にプラズマ処理工程では、バンク部102の表面に、親インク性を示す領域と、撥インク性を示す領域を形成する。このプラズマ処理工程は、予備加熱工程と、全面を親インク性にする親インク化工程と、有機物バンク層102bを撥インク性にする撥インク化工程と、冷却工程とに大別される。
【0046】
親インク化工程では、大気雰囲気中で酸素を反応ガスとするプラズマ処理(O2プラズマ処理)を行う。具体的には、バンク部102を含む基板100は加熱ヒータ内蔵の試料ステージ上に載置され、これにプラズマ状態の酸素が照射される。このO2プラズマ処理により、透明電極101および無機物バンク層102aの露出面、並びに有機物バンク層102bの全面に水酸基もしくは酸素原子が導入されて親インク性が付与される。
【0047】
つぎに、撥インク化工程では、大気雰囲気中でテトラフルオロメタン(四フッ化炭素)を反応ガスとするプラズマ処理(CF4プラズマ処理)を行う。具体的には、バンク部12を含む基板100は加熱ヒータ内蔵の試料ステージ上に載置され、これにプラズマ状態のテトラフルオロメタン(四フッ化炭素)が照射される。なお、処理ガスは、テトラフルオロメタン(四フッ化炭素)に限らず、他のフルオロカーボン系のガスを用いることができる。CF4プラズマ処理により、先の工程で親インク性が付与された有機物バンク層にフッ素基が導入されて撥インク性が付与される。有機物バンク層102bを構成するアクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の有機物は、プラズマ状態のフルオロカーボンを照射することで容易に水酸基もしくは酸素原子がフッ素基もしくはフロロカーボン基で置換され、撥インク化させることができるものである。一方、透明電極101および無機物バンク層102aの露出面もこのCF4プラズマ処理の影響を多少受けるが、親和性に影響を与えることはない。
【0048】
上記のプラズマ処理工程では、材質が異なる有機物バンク層102bおよび無機物バンク層102aに対して、O2プラズマ処理とCF4プラズマ処理とを順次行うことにより、バンク部102に親インク性の領域と撥インク性の領域を容易に設けることができる。
【0049】
(3)正孔注入/輸送層形成工程
正孔注入/輸送層形成工程では、液滴吐出装置1を不図示の高圧チャンバー内に配置して、高圧雰囲気で正孔注入/輸送層材料(薄膜形成材料)を含有する液状体105aを、透明電極101上の開口部103に吐出した後、乾燥装置で乾燥処理および熱処理を行い、正孔注入/輸送層106を形成する。ここで、高圧雰囲気は、液状体105aの乾燥ムラを防止するために、液状体105aの溶媒または分散媒の蒸気圧以上とするのが望ましい。なお、この正孔注入/輸送層形成工程以降は、水分、酸素の無い、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
【0050】
具体的には、図6−2に示すように、液滴吐出装置の液滴吐出ヘッド32に正孔注入/輸送層材料を含む液状体105aを充填しておき、液滴吐出ヘッド32のノズル47を開口部103に対向させ、液滴吐出ヘッド32と基板100とを相対移動させながら、液滴吐出ヘッド32から1滴当たりの液量が制御された液状体105aを透明電極101上に吐出する。
【0051】
ここで、吐出された液状体105aは、親インク性の透明電極101および無機物バンク層102aの露出面部になじむ一方で、撥インク処理された有機物バンク層102bにはほとんど付着しないので、液状体105aが有機物バンク層102bの上に誤って吐出された場合でも、液状体105aがはじかれて透明電極101および無機物バンク層102aの露出面部に転がり込む。また、有機バンク層102bが、液状体に対して発液性を有することにより、隣接する画素の液状体と互いに混じることを防止することができる。
【0052】
ここで用いる液状体105aとしては、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)と、ポリスチレンスルホン酸(PSS)の分散液、すなわち、すなわち、ポリスチレンスルホン酸(PSS)にポリスチレンスルホン酸(PSS)を混合させ、さらに、これを水に分散させた分散液を用いることができる。
【0053】
尚、液状体105aの粘度は2〜20Ps程度が好ましく、特に7〜10cPs程度がより好ましい。かかる粘度とすることにより、液滴吐出ヘッド32のノズル47に詰まりが生じることがなく安定吐出できる。また、液状体105aを複数回印字することにしても良い。この場合、各回における液状体105aの量は同一でも良く、各回毎に吐出量を変えても良い。また、正孔注入/輸送層106の材料は、R・G・Bの各発光層に対して同じ材料を用いても良く、各発光層毎に変えても良い。液状体105aの吐出量は、開口部103の大きさ、形成しようとする正孔注入/輸送層の厚さ、液状体中105aの正孔注入/輸送層材料の濃度等により決定される。
【0054】
この後、乾燥装置で、液状体105aの液体成分を蒸発させて乾燥させる乾燥処理を行うことにより、図6−3に示すように、透明電極101上に平坦な正孔注入/輸送層106を形成することができる。この乾燥処理は、例えば窒素雰囲気中、室温で圧力を133.3Pa(1Torr)程度にして行う。乾燥処理後は、窒素中、好ましくは真空中で200℃で10分程度加熱する熱処理を行うことで、正孔注入/輸送層106内に残存する極性溶媒や水を除去することが好ましい。
【0055】
(4)表面改質工程
次に、発光層形成工程に先立ち表面改質工程を行う。すなわち、発光層形成工程では、正孔注入/輸送層106の再溶解を防止するために、発光層形成の際に用いる液状体の溶媒として、正孔注入/輸送層106に対して不溶な非極性溶媒を用いる。しかしその一方で正孔注入/輸送層106は、非極性溶媒に対する親和性が低いため、非極性溶媒を含む発光層の液状体を正孔注入/輸送層106上に吐出しても、正孔注入/輸送層106により液状体がはじかれ、正孔注入/輸送層106と発光層とを密着させることができなくなるか、あるいは発光層を均一に塗布できないおそれがある。そこで、非極性溶媒に対する正孔注入/輸送層106の表面の親和性を高めるために、発光層形成の前に表面改質工程を行うことが好ましい。
【0056】
(5)発光層形成工程
次に発光層形成工程では、インクジェット法により、R発光層108R、G発光層108G、B発光層108Bを順次作製する。ここでは、R発光層の形成方法についてのみ説明し、G発光層、B発光層の説明は省略する。発光層形成工程では、液滴吐出装置1を不図示の高圧チャンバー内に配置して、高圧雰囲気でR発光層材料(薄膜形成材料)を含有する液状体107aを、正孔注入/輸送層106上に吐出した後、乾燥装置で乾燥処理および熱処理を行い、R発光層108Rを形成する。ここで、高圧雰囲気は、液状体105aの乾燥ムラを防止するために、液状体107aの溶媒または分散媒の蒸気圧以上とするのが望ましい。
【0057】
具体的には、図6−4に示すように、液滴吐出装置の液滴吐出ヘッド32にR発光層材料を含む液状体107aを充填しておき、液滴吐出ヘッド32のノズル47を正孔注入/輸送層106に対向させ、液滴吐出ヘッド32と基板100とを相対移動させながら、吐出ノズルから1滴当たりの液量が制御されたインク滴として吐出し、液状体107aを正孔注入/輸送層106上に吐出する。この場合、吐出された液状体107aは、正孔注入/輸送層106上に広がってなじむ一方で、撥インク処理された有機物バンク層102bにはほとんど付着しないので、液状体107aが有機物バンク層102bの上に誤って吐出された場合でも、液状体107aがはじかれて正孔注入/輸送層106上に転がり込む。これにより、正孔注入/輸送層106に密着して液状体107aの層を形成することができる。
【0058】
液状体107aの量は、形成しようとするR発光層108Rの厚さ、液状体中の発光層材料の濃度等により決定される。また、液状体107aの滴下は1回のみならず、数回に分けて同一の正孔注入/輸送層106上に吐出しても良い。この場合、各回におけるインク滴の量は同一でも良く、各回毎にインク量を変えても良い。更に正孔注入/輸送層106の同一箇所のみならず、各回毎に正孔注入/輸送層106内の異なる箇所にインク滴を吐出しても良い。
【0059】
この後、液状体107aの液体成分を蒸発させて乾燥処理を行うことにより、図6−5に示すような、正孔注入/輸送層106上に平坦なR発光層108Rが形成される。乾燥条件は、例えば、窒素雰囲気中、室温で圧力を133.3Pa(1Torr)程度として5〜10分行う条件としたり、40℃で窒素の吹き付けを5〜10分行う条件としたりすることができる。その他の乾燥の手段としては、遠赤外線照射法、高温窒素ガス吹付法等を例示できる。同様な方法で、G発光層材料、B発光層材料を含む液状体の塗布後、第2の液状体を塗布して乾燥処理を行うことによりG発光層、B発光層をそれぞれ形成し、図6−6に示すように、3種類の発光層108R、108G、108Bが形成された基板とする。
【0060】
ここで、発光層材料としては、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、その他ベンゼン誘導体に可溶な低分子有機EL材料、高分子有機EL材料等も用いることができる。例えば、ルブレン、ペリレン、9,10-ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等を用いることができる。
【0061】
その非極性溶媒として、シクロヘキシルベンゼン等のベンゼン系溶媒、イソプロピルビフェニル、ジメチルビフェニル等のビフェニル系溶媒を使用することができる。液状体107aは、これら発光層材料を非極性溶媒に溶解させた溶液を使用することができる。
【0062】
(6)陰極形成工程
次に陰極形成工程では、発光層108R、108G、108Bおよび有機物バンク層102bの全面に、陰極109を形成する。陰極109は、複数の材料を積層して形成しても良い。例えば、発光層に近い側には仕事関数が小さい材料で形成することが好ましく、例えばCa、Ba等を用いることが可能であり、また材料によっては下層にLiFを薄く形成した方がよい場合もある。また、上部側(封止側)には下部側(発光層側)の陰極層よりも仕事関数が高いものが好ましく、例えばAl膜、Ag膜、Mg/Ag積層膜等からなることが好ましい。また、その厚さは、例えば100〜1000nmの範囲が好ましく、特に200〜500nm程度がよい。これらの陰極(陰極層)は、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等で形成することが好ましく、特に蒸着法で形成することが、発光層108R、108G、108Bの熱による損傷を防止できる点で好ましい。また、フッ化リチウムは、発光層108R、108G、108B上のみに形成しても良く、特定の何れかの発光層上のみに形成しても良い。この場合、他の発光層には、カルシウムからなる陰極が接することとなる。また反射層上に、酸化防止のためにSiO、SiO2、SiN等の保護層を設けても良い。
【0063】
(7)封止工程
最後に封止工程では、陰極109上の全面に熱硬化樹脂または紫外線硬化樹脂からなる封止材を塗布し、封止層120を形成する。さらに、封止層120上に封止用基板(図示せず)を積層する。封止工程は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。大気中で行うと、反射層にピンホール等の欠陥が生じていた場合にこの欠陥部分から水や酸素等が陰極109に侵入して陰極109が酸化されるおそれがあるので好ましくない。このようにして、図6−7に示すような有機EL装置が得られる。
【0064】
[カラーフィルタ基板の製造工程]
次に、本実施例の薄膜形成方法を使用したカラーフィルタ基板の製造方法を図7および図8を参照して説明する。図7は、カラーフィルタ基板の製造工程を示すフロー図、図8は、カラーフィルタ基板の製造工程図を示している。本実施例のカラーフィルタ基板の製造工程は、図7に示すように、(1)ブラックマトリクス形成工程(S201)と、(2)バンク形成工程(S202)と、(3)着色層形成工程(S203)と、(4)保護膜形成工程(S204)とから構成される。
【0065】
(1)ブラックマトリクス形成工程
ブラックマトリクス形成工程では、図8−1に示すように、基板201上にブラックマトリクス202を形成する。ブラックマトリクス202は、金属クロムと酸化クロムの積層体、または樹脂マトリクス等により形成する。金属薄膜からなるブラックマトリクス502を形成するには、スパッタ法や蒸着法等を用いることができる。また、樹脂薄膜からなるブラックマトリクスを形成するには、グラビア印刷法、フォトレジスト、熱転写法等を用いることができる。
【0066】
(2)バンク形成工程
バンク形成工程では、ブラックマトリクス202上に重畳する状態でバンクを形成する。すなわち、まず、図8−2に示すように、基板201およびブラックマトリクスを覆うように、ネガ型の透明な感光樹脂からなるレジスト層204を形成する。そして、その上面をマトリクスパターン形状に形成されたマスクフィルム205で被覆した状態で露光処理を行う。さらに、図8−3に示すように、レジスト層204の未露光部をエッチング処理することによりレジスト層204をパターニングしてバンク203を形成する。なお、樹脂ブラックにブラックマトリクスを使用する場合には、ブラックマトリクスとバンクとを兼用することが可能となる。
【0067】
このバンク203とその下のブラックマトリクス202は、各画素領域207aを区画する区画壁部207bとなり、後の着色層形成工程において、液滴吐出ヘッドにより着色層(成膜部)208R、208G、208Bを形成する際に液状体の着弾領域を規定する。
【0068】
以上のブラックマトリクス形成工程およびバンク形成工程を経ることにより、上記フィルタ基板200Aが得られる。なお、本実施の形態においては、バンク203の材料として、塗膜表面が疎液(疎水)性となる樹脂材料を用いている。そして、基板(ガラス基板)201の表面が親液(親水)性であるので、後述する着色層形成工程において、バンク203(区画壁部207b)に囲まれた画素領域207a内への液滴の着弾精度が向上する。
【0069】
(3)着色層形成工程
次に着色層形成工程では、インクジェット法により、R着色層208R、G着色層208G、B着色層208Bを順次作製する。ここでは、R発光層の形成方法についてのみ説明し、G発光層、B発光層の説明は省略する。着色層形成工程では、液滴吐出装置1を不図示の高圧チャンバー内に配置して、高圧雰囲気でR着色層材料(薄膜形成材料)を含有する液状体208aを、画素領域207a内に吐出した後、乾燥装置で乾燥処理および熱処理を行い、R発光層108Rを形成する。ここで、高圧雰囲気は、液状体208aの乾燥ムラを防止するために、液状体208aの溶媒または分散媒の蒸気圧以上とするのが望ましい。
【0070】
具体的には、図8−4に示すように、液滴吐出ヘッド32で、R着色層形成材料(薄膜形成材料)を含有する液状体208aを区画壁部207bで囲まれた画素領域207a内へ吐出する。この後、乾燥装置により乾燥処理および熱処理を行って液状体208aを蒸発させて、図8−5に示すように、R着色層208Rを形成する。同様な方法で、G着色層208G、B着色層208Gを形成して、図8−6に示すように、3種類の着色層208R、208G、208Bが形成された基板とする。
【0071】
(4)保護膜形成工程
保護膜形成工程では、図8−7に示すように、基板201、区画壁部207b、およびR、G、B着色層208R、208G、208Bの上面を覆うように保護膜209を形成する。すなわち、基板201のR、G、B着色層208R、208G、208Bが形成されている面全体に保護膜用液状体が塗布された後、乾燥処理を経て保護膜209が形成される。
【0072】
(電気光学装置への適用)
本発明の薄膜形成方法は、上記有機EL装置や液晶表示装置の他、各種の電気光学装置の製造に用いることができ、例えば、液晶表示装置、有機TFT表示装置、プラズマディスプレイ装置、電気泳動表示装置、電子放出表示装置(Field Emission DisplayおよびSurface-Conduction Electoron-Emitter Display等)、LED(ライトエミッティングダイオード)表示装置、エレクトロミック調光ガラス装置、電子ペーパー装置等に広く適用することができる。
【0073】
(電子機器への適用)
次に、本発明に係る電気光学装置を適用可能な電子機器の具体例について図9を参照して説明する。図9−1は、本発明に係る電気光学装置を可搬型のパーソナルコンピュータ(いわゆるノート型パソコン)300の表示部に適用した例を示す斜視図である。同図に示すように、パーソナルコンピュータ300は、キーボード301を備えた本体部302と、本発明に係る電気光学装置を適用した表示部303とを備えている。図9−2は、本発明に係る電気光学装置を携帯電話機400の表示部に適用した例を示す斜視図である。同図に示すように、携帯電話機400は、複数の操作ボタン401のほか、受話口402、送話口403とともに、本発明に係る電気光学装置を適用した表示部404を備えている。
【0074】
本発明に係る電気光学装置は、上述した携帯電話機やノートパソコン以外にも、PDA(Personal Digital Assistants)と呼ばれる携帯型情報機器、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、デジタルスチルカメラ、車載用モニタ、デジタルビデオカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話機、およびPOS端末機などの電子機器に広く適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明に係る電気光学装置は、有機ELエレクトロルミネッセンス、液晶表示装置、有機TFT表示装置、プラズマディスプレイ装置、電気泳動表示装置、電子放出表示装置(Field Emission DisplayおよびSurface-Conduction Electoron-Emitter Display等)、LED(ライトエミッティングダイオード)表示装置、エレクトロミック調光ガラス装置、および電子ペーパー装置の電気光学装置に広く利用可能である。また、本発明に係る電子機器は、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)と呼ばれる携帯型情報機器、携帯型パーソナルコンピュータ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、デジタルスチルカメラ、車載用モニタ、デジタルビデオカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話機、およびPOS端末機などの電子機器に広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施例に係る液滴吐出装置の全体構成を示す概略斜視図。
【図2】実施例に係る液滴吐出ヘッド分解斜視図。
【図3】実施例に係る液滴吐出ヘッドの断面図。
【図4】実施例に係る液滴吐出装置による液状体の塗布方法を説明するための図。
【図5】実施例に係る有機EL装置の製造工程を示すフロー図。
【図6−1】実施例に係る有機EL装置の製造工程を説明するための説明図。
【図6−2】実施例に係る有機EL装置の製造工程を説明するための説明図。
【図6−3】実施例に係る有機EL装置の製造工程を説明するための説明図。
【図6−4】実施例に係る有機EL装置の製造工程を説明するための説明図。
【図6−5】実施例に係る有機EL装置の製造工程を説明するための説明図。
【図6−6】実施例に係る有機EL装置の製造工程を説明するための説明図。
【図6−7】実施例に係る有機EL装置の製造工程を説明するための説明図。
【図7】実施例にかかるカラーフィルタ基板の製造工程を示すフロー図。
【図8−1】実施例に係るカラーフィルタ基板の製造工程を説明するための説明図。
【図8−2】実施例に係るカラーフィルタ基板の製造工程を説明するための説明図。
【図8−3】実施例に係るカラーフィルタ基板の製造工程を説明するための説明図。
【図8−4】実施例に係るカラーフィルタ基板の製造工程を説明するための説明図。
【図8−5】実施例に係るカラーフィルタ基板の製造工程を説明するための説明図。
【図8−6】実施例に係るカラーフィルタ基板の製造工程を説明するための説明図。
【図8−7】実施例に係るカラーフィルタ基板の製造工程を説明するための説明図。
【図9−1】実施例に係る電気光学装置を備えたパソコンの斜視図。
【図9−2】実施例に係る電気光学装置を備えた携帯電話機の斜視図。
【図10】従来技術を説明するための説明図。
【符号の説明】
【0077】
10 インクジェット装置、11 液状体、12 液滴吐出ヘッド、13 液滴吐出手段、14 移動手段、15 制御手段、16 基板ステージ、17 ヘッド支持部 18 ステージ、19 ステージ駆動部、20 θ軸ステージ、21 ステージ、22 チューブ、23 タンク、32 液滴吐出ヘッド、41 ノズルプレート、42 振動版、43 仕切り部材(リザーバプレート)、44 空間、45 液溜まり、46 供給口、47 ノズル、47a ノズル孔、48 圧電素子(ピエゾ素子)、49 電極、100 基板、101 透明電極、102 バンク部(隔壁)、102a 無機物バンク層、102b 有機物バンク層、103,103a、103b 開口部、105a、105b 液状体、105 PEDT膜、106 正孔注入/輸送層、107a、107b、107c 液状体、108R、108G、108B 発光層、109 陰極、120 封止層、201 基板、202 ブラックマトリクス、208R、208G、208B 着色層、300 パーソナルコンピュータ、301 キーボード、302 本体部、303 表示部、400 携帯電話機、401 操作ボタン、402 受話口、403 送話口、404 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の塗布領域にインクジェット法により薄膜を形成する薄膜形成方法において、
薄膜形成材料を溶媒または分散媒に溶解または分散させた液状体を、高圧雰囲気下で前記塗布領域にインクジェット法で塗布することを特徴とする薄膜形成方法。
【請求項2】
前記高圧雰囲気は、前記溶媒または分散媒の蒸気圧以上の雰囲気であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成方法。
【請求項3】
前記溶媒または分散媒は、低沸点な溶媒または分散媒であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薄膜形成方法。
【請求項4】
前記塗布領域は、親液化処理が施されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の薄膜形成方法。
【請求項5】
前記塗布領域は、隔壁によって画された領域であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の薄膜形成方法。
【請求項6】
前記薄膜は、有機EL装置の発光層または正孔/注入輸送層であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の薄膜形成方法。
【請求項7】
前記薄膜は、カラーフィルタであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の薄膜形成方法。
【請求項8】
液滴吐出ヘッドから液状体を吐出する液滴吐出装置において、
基板の塗布領域に、薄膜形成材料を溶解または分散させた液状体を、前記液滴吐出ヘッドにより、高圧雰囲気下で塗布することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項9】
請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の薄膜形成方法により前記薄膜を形成する薄膜形成工程を含むことを特徴とする有機EL装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図6−4】
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【図6−5】
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【図6−6】
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【図6−7】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図8−3】
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【図8−4】
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【図8−5】
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【図8−6】
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【図8−7】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−772(P2006−772A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181051(P2004−181051)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】