説明

薄膜蒸着用マスクフレーム組立体及びその製造方法

【課題】薄膜蒸着用マスクフレーム組立体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】複数個のスティック型分割マスクが採用されるマスクフレーム組立体100であり、該マスクフレーム組立体100は、単位画面に対応する蒸着用パターンを具備する複数の分割マスク110を具備し、さらに各分割マスクは、複数の部分マスク110a,110bが結合され、単位画面に対応する蒸着用パターン111を形成するように構成される。これにより、大型画面に対応するパターンを収容した分割マスクをエッチング誤差増大の恐れなく容易に製作することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜蒸着用マスクフレーム組立体に係り、さらに詳細には、分割マスクを使用するマスクフレーム組立体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にディスプレイ装置のうち有機発光表示装置は、視野角が広く、かつコントラストにすぐれるだけではなく、応答速度が速いという長所を有している。
【0003】
有機発光表示装置は、アノードとカソードとから注入される正孔と電子とが発光層で再結合して発光する原理によって色相を具現することができるものであり、アノードとカソードとの間に発光層を挿入した積層型構造である。しかし、前述の構造では、高効率発光を得難いために、それぞれの電極と発光層との間に、電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層や正孔注入層などの中間層を選択的に追加挿入して利用している。
【0004】
一方、有機発光表示装置の電極と、発光層を含んだ中間層とは、さまざまな方法によって形成することができるが、このうちの1つの方法が蒸着法である。蒸着方法を利用して有機発光表示装置を製造するためには、基板上に形成される薄膜などのパターンと同一のパターンを有するファインメタル・マスク(FMM:fine metal mask)を整列させ、薄膜の元素材を蒸着して、所望するパターンの薄膜を形成する。
【0005】
ところで、このようなファインメタル・マスクが大きすぎる場合、パターン形成のためのエッチング誤差も大きくなる問題が生じるので、マスクをいくつかのスティック状にした後、フレームに付けて使用する分割マスクが好まれている。すなわち、マザーボード上の有機発光表示装置の画面のいくつかに対して、同時に蒸着することができるマスクを使用するが、マザーボード全体を1枚のマスクでカバーするには、前述のようなエッチング誤差などの問題が生じるので、一定幅のスティック状になった分割マスクいくつかをフレームに付けて使用するのである(たとえば、下記特許文献1〜3を参照)。
【0006】
ところで、近年、有機発光表示装置の画面がだんだんと大型化されてきて、マスクを介して蒸着する単位画面の面積が分割マスク1つの幅内に全て入らないという問題が生じている。前述のエッチング誤差などを防止して作ることができる分割マスクの最大幅は150mmほどである。この幅内に7インチ以下の画面に対応する蒸着パターンを形成するのには問題はない。しかし、それ以上の大きさ、例えば14インチ画面に対応する蒸着パターンを収容しようとすると、分割マスクの幅を300mmほどにしなければならないという問題がある。これを解決するために、もし一分割マスクを幅が300mmになる大きさに製作しようとするならば、前述の通り、エッチング誤差が大きくなる問題が生じる。
【0007】
従って、これに対する適切な解決策が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国特許出願公開第2007−27300号明細書
【特許文献2】韓国特許出願公開第2005−19502号明細書
【特許文献3】韓国特許出願公開第2003−93959号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、分割マスク製作時に、エッチング誤差を増大させずに、大型画面に対応した蒸着パターンを容易に収容することができるように改善された薄膜蒸着用マスクフレーム組立体及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態による薄膜蒸着用マスクフレーム組立体は、開口部が形成されたフレームと、単位画面に対応する蒸着用パターンを具備し、前記フレームに両端部が固定され、前記蒸着用パターンが前記開口部に配置される複数の分割マスクと、を有し、前記各分割マスクは、複数の部分マスクが結合され、前記単位画面に対応する蒸着用パターンを形成する。
【0011】
前記部分マスクは、前記蒸着用パターンの第1部分パターンを具備した第1部分マスクと、前記蒸着用パターンの第2部分パターンを具備した第2部分マスクと、を具備でき、前記第1部分マスクと前記第2部分マスクは、相互に接する断面同士を接着剤によって接合されうる。
【0012】
前記第1部分パターンと前記第2部分パターンは、前記第1部分マスクと第2部分マスクとの接合部上に前記第1部分パターンと前記第2部分パターンとの境界部を有し、前記第1部分パターン、前記第2部分パターン、および前記境界部のいずれも一定のパターンピッチを有する。
【0013】
前記接着剤は、紫外線硬化型接着剤であって、前記紫外線硬化型接着剤が、前記接合部の上面と下面とにそれぞれ塗布されて硬化されうる。
【0014】
前記接合部をなす前記第1部分マスクおよび第2部分マスクの断面は、互いに平行である。
【0015】
前記接着剤は、熱硬化型接着剤であって、前記熱硬化型接着剤が、前記接合部の断面に塗布されて硬化されうる。
【0016】
前記接合部をなす前記第1部分マスクおよび第2部分マスクの断面は、互いに平行である。
【0017】
また、本発明の実施形態による薄膜蒸着用マスクフレーム組立体の製造方法は、(a)単位画面に対応する蒸着用パターンのうち一部分に該当する部分パターンが割り当てられた部分マスクを準備する段階と、(b)前記部分パターンが連結されつつ、前記単位画面に対応する蒸着用パターンが形成されるように、前記部分マスクを結合させた分割マスクを製造する段階と、(c)前記分割マスクをフレームに固定させる段階と、を含む。
【0018】
前記部分マスクは、第1部分パターンを有した第1部分マスクと、第2部分パターンを有した第2部分マスクと、を含むことができ、前記第1部分パターンと前記第2部分パターンは、前記第1部分マスクと第2部分マスクとの接合部上に前記第1部分パターンと前記第2部分パターンとの境界部を有し、前記第1部分パターン、前記第2部分パターン、および前記境界部のいずれも一定のパターンピッチを有する。
【0019】
前記(b)段階は、前記第1部分マスクと前記第2部分マスクとを、相互に接合する断面同士を所定間隔をおいて隣接するように整列させる段階と、前記隣接した断面に、紫外線硬化型接着剤を塗布する段階と、前記紫外線硬化型接着剤を紫外線照射で硬化させる段階と、を含むことができる。
【0020】
前記紫外線硬化型接着剤の塗布及び硬化の段階は、前記第1部分マスクと第2部分マスクとの接合部の上面に、前記紫外線硬化型接着剤を塗布して硬化させる段階と、前記第1部分マスクと第2部分マスクとの接合部の下面に、前記紫外線硬化型接着剤を塗布して硬化させる段階と、を含むことができる。
【0021】
前記紫外線硬化剤の塗布は、ビジョンカメラが前記第1部分マスクと第2部分マスクとの接合部を追跡してガイドし、塗布装置がそのビジョンカメラを追って行きつつ塗布することができる。
【0022】
前記(b)段階は、前記第1部分マスクと前記第2部分マスクとの相互に接合される断面に、熱硬化型接着剤を塗布する段階と、前記熱硬化型接着剤が塗布された断面同士を密着させる段階と、前記熱硬化型接着剤を所定加熱手段で加熱して硬化させる段階と、を含むことができる。
【0023】
前記熱硬化型接着剤の硬化段階は、前記第1部分マスクと第2部分マスクとの接合部の一面に熱を加え、前記熱硬化型接着剤を塗布して硬化させる段階と、前記第1部分マスクと第2部分マスクとの接合部の他面に熱を加え、前記紫外線硬化型接着剤を硬化させる段階と、を含むことができる。
【0024】
前記熱硬化型接着剤の硬化段階は、前記第1部分マスクと第2部分マスクとの接合部の両面に同時に熱を加え、前記熱硬化型接着剤を塗布して硬化させる段階を含むことができる。
【0025】
前記加熱手段は、前記接合部に接触して回転しつつ、前記熱硬化型接着剤に熱を加える加熱ローラと、非接触状態で、前記熱硬化型接着剤に熱風を吹き付けるブロワとのうちいずれか一つを含むことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の薄膜蒸着用マスクフレーム組立体及びその製造方法によれば、大型画面に対応するパターンを収容した分割マスクを、エッチング誤差増大の虞なしに容易に製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態によるマスクフレーム組立体の分離斜視図である。
【図2A】図1に示されたマスクフレーム組立体のうち1つの分割マスク構造を示した図である。
【図2B】図2Aに示された分割マスクの要部を拡大した拡大図である。
【図3A】図1に示されたマスクフレーム組立体の一実施形態による製造過程を順次に示した図である。
【図3B】図3Aに後続する図である。
【図3C】図3Bに後続する図である。
【図3D】図3Cに後続する図である。
【図3E】図3Dに後続する図である。
【図3F】図3Eに後続する図である。
【図3G】図3Fに後続する図である。
【図3H】図1に示されたマスクフレーム組立体の一実施形態による製造過程を順次に示した図である。
【図4A】図1に示されたマスクフレーム組立体の他の実施形態による製造過程を順次に示した図である。
【図4B】図4Aに後続する図である。
【図4C】図4Bに後続する図である。
【図4D】図4Cに後続する図である。
【図4E】図1に示されたマスクフレーム組立体の他の実施形態による製造過程を順次に示した図である。
【図4F】図4Eに後続する図である。
【図4G】図1に示されたマスクフレーム組立体の他の実施形態による製造過程を順次に示した図である。
【図4H】図4Gに後続する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付された図面を参照しつつ、本発明の望ましい実施形態について詳細に説明すれば、次の通りである。
【0029】
図1は、本実施形態による薄膜蒸着用マスクフレーム組立体100の構造を図示したものである。
【0030】
図示されているように、本実施形態のマスクフレーム組立体100は、開口部121が形成されたフレーム120と、そのフレーム120に両端部が固定された複数の分割マスク110と、を具備している。図1では、説明の便宜上、開口部121を示すために、4個の分割マスク110のみを図示したが、実際の製造完了後には、開口部121が分割マスク110によって充填される。
【0031】
まず、前記フレーム120は、組立体100の外郭枠組を形成するものであり、中央に開口部121が形成された四角形状をしている。このフレーム120の互いに対向する1対の辺に、前記分割マスク110の両端部が溶接で固定される。
【0032】
前記分割マスク110は、細長いスティック状の部材であり、前記開口部121中に位置する蒸着用パターン111が形成されており、その両端部は、前述のようにフレーム120に溶接される。この分割マスク110を、前記開口部121が一度に覆われる1つの大きい部材によって作らずに、図1に示すように、複数のスティック状に分割して付着する理由は、前述のように、エッチング誤差を低減させるためである。分割マスク110は、例えば、ニッケル、ニッケル合金、ニッケル−コバルト合金などから形成することができる。
【0033】
一方、前記各分割マスク110は、図2Aに示されているように、単体ではなく、複数の部分マスク110a,110bが結合された構造からなっている。すなわち、第1部分パターン111aを有した第1部分マスク110aと、第2部分パターン111bを有した第2部分マスク110bとが隣接した断面同士が接合されて1つの分割マスク110を構成し、このとき、第1部分パターン111aと第2部分パターン111bとが連結され、有機発光表示装置の単位画面に対応する蒸着用パターン111が形成される。図面では、2つの部分マスク110a,110bが1つの分割マスク110を構成する場合を例示しているが、それ以上の個数の部分マスクに分けて分割マスク110を構成することができることは言うまでもない。
【0034】
そして、図2Bに示されているように第1部分パターン111aと第2部分パターン111bは、第1部分マスク110aと第2部分マスク110bとの接合部上に第1部分パターン111aと第2部分パターン111bとの境界部を有し、第1部分パターン111a、第2部分パターン111b、および境界部のいずれも一定の間隔のパターンピッチP1,P3,P2を有する(P1=P2=P3)。すなわち、蒸着用パターン111を構成する第1部分パターン111aのパターンピッチP1と、第2部分パターン111bのパターンピッチP3とは同一であり、それらの接合部上に形成される境界部のパターンピッチP2も、それと同じパターンピッチを維持するのである。従って、第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bの接合で形成された分割マスク110であるが、1つの蒸着用パターン111内でのパターンピッチP1,P2,P3は、全体的に一定に維持される。
【0035】
このように、複数個の部分マスク110a,110bを接合して分割マスク110を作れば、大型化された単位画面に対応する蒸着用パターン111を容易に具現することができ、また狭幅の部分マスク110a,110bにエッチングにより、第1部分パターン111a及び第2部分パターン111bをまず形成するのであるから、大型画面に合わせた広幅部材のエッチング時に生じうるエッチング誤差の負担も小さくなる。
【0036】
以下、第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bを接合して、分割マスク110を製造する過程について説明する。
【0037】
まず、図3Aないし図3Hは、紫外線硬化型接着剤301を利用して、第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bを接合する例を図示したものである。
【0038】
まず、図3Aに示されているように、第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bを互いに10〜20μmほどのギャップdをおいて、隣接した断面同士を平行に対向すべく整列させる。追って、このギャップdに紫外線硬化型接着剤301の一部が染み込む。
【0039】
第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bの整列は、図3Aのように、ビジョンカメラ200を利用することができる。例えば、第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bの下に、レファレンス・パターンガラスをおき、ビジョンカメラ200が上から、レファレンスパターンと第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bとの位置が一致するか否かを観察しつつ、位置を整列させる方法などが使われる。
【0040】
その後、第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bの整列が完了すれば、図3Bに示されているように、塗布装置300を稼動させ、第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bの接合部の上面に、紫外線硬化型接着剤301を塗布する。
【0041】
それにより、塗布された紫外線硬化型接着剤301は、一部がギャップd内に染み込んで図3Cのような形態となる。紫外線硬化型接着剤301を塗布するときには、図3Dのように、ビジョンカメラ200が接合部ラインを追跡しつつガイドし、塗布装置300がそのビジョンカメラ200を追って行きつつ塗布する方式が使われる。
【0042】
この状態で、図3Eのように、紫外線照射装置400で接合部に紫外線401を照射すれば、塗布された紫外線硬化型接着剤301が硬化するので強固な接合状態を維持する。このときの紫外線401の照射は、紫外線照射装置400に接合部の全体を一時に照射させることもできるし、または、前記塗布装置300のように、接合部ラインに沿って行きつつ、照射させることもできる。
【0043】
そして、前記紫外線硬化型接着剤301の成分としては、反応性オリゴマー、反応性希釈剤、添加剤及び光重合開始剤などが含まれる。前記反応性オリゴマーは、エポキシ、ポリエステル、ウレタンなどの変性アクリルオリゴマーを含む。前記反応性希釈剤としては、アクリルモノマーが含まれ、添加剤としては、接着性付与剤、充填剤、重合禁止剤、熱硬化触媒、嫌気性触媒、着色剤などが含まれる。
【0044】
一方、前記のような過程を通じて、第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bの上面に、紫外線硬化型接着剤301を塗布した後には、図3Fのように、第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bを裏返しにし、下面にも同じ接着剤の塗布作業及び硬化作業を行う。第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bを裏返しにするときには、第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bだけ裏返しにするよりは、第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bを支持しているジグ(図示せず)まで共に反転させるのが、まず硬化された紫外線硬化型接着剤301を落とさないのに有利である。
【0045】
そして、このように反転された第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bの下面に、図3Fのように、塗布装置300で紫外線硬化型接着剤301を塗布し、図3Gのように、紫外線照射装置400で紫外線401を照射して硬化させる。
【0046】
このようにすれば、第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bの上下面に、それぞれ塗布された紫外線硬化型接着剤301が硬化するので強固な接合状態を維持する。これにより、大型単位画面に対応する蒸着用パターン111を具備した分割マスク110が製造される。
【0047】
そして、このように製造された分割マスク110は、図1で説明した通り、フレーム120に付着されてマスクフレーム組立体100を形成する。
【0048】
一方、第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bは、隣接した断面が図3Hのように、一定角度の傾きを有し、平行した形態で形成されてもよい。もちろん、この場合にも、図3Aないし図3Gに図示されたところと同じ工程を介して、接合部の上下面に、紫外線硬化型接着剤301を塗布して硬化させ、分割マスク110を製造することができる。
【0049】
従って、前述の工程を介して、大型画面に対応する蒸着用パターン111を具備しつつも、エッチング誤差増大の虞のない分割マスク110を容易に製造することができる。
【0050】
次に、図4Aないし図4Hを参照しつつ、熱硬化型接着剤501を利用し、第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bを接合させて分割マスク110を製造する過程について説明する。
【0051】
まず、図4Aに図示されているように、塗布装置500を稼動させ、第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bの相互に接合する断面に、熱硬化型接着剤501を塗布する。
【0052】
ここでは、第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bの接合部を形成する断面が互いに平行した傾斜面で形成された場合を例示している。もちろん、第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bの隣接した断面が、図3Gのように、垂直に平行した形態で形成されてもよい。
【0053】
次に、図4Bに示されているように、熱硬化型接着剤501が塗布された断面同士を密着させる。このとき、第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bを密着して整列させるためにビジョンカメラ200を利用することができる。例えば、第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bの下に、レファレンス・パターンガラスをおき、ビジョンカメラ200が、上からレファレンスパターンと、第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bとの位置が一致するか否かを観察しつつ、位置を整列させる方法などが使われる。
【0054】
次に、図4Cのように、第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bをベースプレート10に載せ、ヒータ(図示せず)内蔵の加熱ローラ600を接合部に直接接触させ、熱硬化型接着剤501を硬化させる。
【0055】
すなわち、加熱ローラ600が接合部のラインに沿ってローリングしつつ、熱硬化型接着剤501を加熱する。これによって、熱硬化型接着剤501が硬化するので、強固な接合状態を維持する。
【0056】
前記のような過程を介して、第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bの上面側の熱硬化型接着剤501を硬化させ、ある程度の安定化時間を経た後には、図4Dのように、第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bを裏返し、下面側についても、同じ加熱硬化作業を行う。
【0057】
すなわち、反転された第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bの下面に、加熱ローラ600で接合部を加熱し、熱硬化型接着剤501を硬化させる。
【0058】
このようにすれば、第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bの接合部断面に塗布された熱硬化型接着剤501が硬化するので強固な接合状態を維持し、これにより、大型単位画面に対応する蒸着用パターン111を具備した分割マスク110が製造される。
【0059】
そして、このように製造された分割マスク110は、図1で説明したように、フレーム120に付着してマスクフレーム組立体100を形成する。
【0060】
一方、前記図4Cと図4Dとでは、接合部の熱硬化型接着剤501を加熱硬化させるための加熱手段として、加熱ローラ600を例示したが、図4E及び図4Fに示されているように、非接触式で熱風701を吹き込んで加熱するブロワ700が採用されてもよい。
【0061】
すなわち、図4Eに示されているように、第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bの上面側から、ブロワ700で熱風701を吹き込み、熱硬化型接着剤501の上面側を硬化させ、次に、第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bを裏返した後、図4Fのように、熱硬化型接着剤501の下面側も硬化させる。
【0062】
このようにすれば、同様に、熱硬化型接着剤501によって強固に接合された第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bの接合体、すなわち、分割マスク110が作られ、このように製造された分割マスク110は、図1で説明したように、フレーム120に付着されてマスクフレーム組立体100を形成する。
【0063】
一方、前述の実施形態では、第1部分マスク110a及び第2部分マスク110bの上面と下面とを順に硬化させる方式を例示したが、図4G及び図4Hに示されているように、複数個の加熱ローラ600や複数個のブロワ700を利用し、両面に対する硬化作業を同時に行うこともできる。
【0064】
前述の工程を通じて、大型画面に対応する蒸着用パターン111を具備しつつも、エッチング誤差増大の虞がない分割マスク110を容易に製造することができる。
【0065】
そして、前記薄膜蒸着用マスクフレーム組立体100は、有機発光膜のパターニング工程を含んだ各種薄膜蒸着用に使われる。
【0066】
本発明は、図面に示された一実施形態を参考にして説明したが、それらは例示的なものに過ぎず、本技術分野の当業者であるならば、それらから多様な変形及び均等な他実施形態が可能であるという点を理解することができるであろう。よって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決まるものである。
【符号の説明】
【0067】
10 ベースプレート、
100 マスクフレーム組立体、
110 分割マスク、
110a 第1部分マスク、
110b 第2部分マスク、
111 蒸着用パターン、
111a 第1部分パターン、
111b 第2部分パターン、
120 フレーム、
121 開口部、
200 ビジョンカメラ、
300,500 塗布装置、
301 紫外線硬化型接着剤、
400 紫外線照射装置、
401 紫外線、
501 熱硬化型接着剤、
600 加熱ローラ、
700 ブロワ、
701 熱風。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が形成されたフレームと、
単位画面に対応する蒸着用パターンを具備し、前記フレームに両端部が固定され、前記蒸着用パターンが前記開口部に配置される複数の分割マスクと、を有し、
前記各分割マスクは、複数の部分マスクが結合され、前記単位画面に対応する蒸着用パターンを形成する薄膜蒸着用マスクフレーム組立体。
【請求項2】
前記部分マスクは、前記蒸着用パターンの第1部分パターンを具備した第1部分マスクと、前記蒸着用パターンの第2部分パターンを具備した第2部分マスクと、を具備し、
前記第1部分マスクと前記第2部分マスクは、相互に接する断面同士を接着剤によって接合されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着用マスクフレーム組立体。
【請求項3】
前記第1部分パターンと前記第2部分パターンは、前記第1部分マスクと第2部分マスクとの接合部上に前記第1部分パターンと前記第2部分パターンとの境界部を有し、前記第1部分パターン、前記第2部分パターン、および前記境界部のいずれも一定のパターンピッチを有することを特徴とする請求項2に記載の薄膜蒸着用マスクフレーム組立体。
【請求項4】
前記接着剤は、紫外線硬化型接着剤であることを特徴とする請求項2または3に記載の薄膜蒸着用マスクフレーム組立体。
【請求項5】
前記紫外線硬化型接着剤が、前記接合部の上面と下面とにそれぞれ塗布されて硬化されることを特徴とする請求項4に記載の薄膜蒸着用マスクフレーム組立体。
【請求項6】
前記接合部をなす前記第1部分マスクおよび第2部分マスクの断面は、互いに平行であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の薄膜蒸着用マスクフレーム組立体。
【請求項7】
前記接着剤は、熱硬化型接着剤であることを特徴とする請求項2または3に記載の薄膜蒸着用マスクフレーム組立体。
【請求項8】
前記熱硬化型接着剤が、前記接合部の断面に塗布されて硬化されることを特徴とする請求項7に記載の薄膜蒸着用マスクフレーム組立体。
【請求項9】
前記接合部をなす前記第1部分マスクおよび第2部分マスクの断面は、互いに平行であることを特徴とする請求項8に記載の薄膜蒸着用マスクフレーム組立体。
【請求項10】
(a)単位画面に対応する蒸着用パターンのうち一部分に該当する部分パターンが割り当てられた部分マスクを準備する段階と、
(b)前記部分パターンが連結されつつ、前記単位画面に対応する蒸着用パターンが形成されるように、前記部分マスクを結合させた分割マスクを製造する段階と、
(c)前記分割マスクをフレームに固定させる段階と、を含む薄膜蒸着用マスクフレーム組立体の製造方法。
【請求項11】
前記部分マスクは、第1部分パターンを有した第1部分マスクと、第2部分パターンを有した第2部分マスクと、を含み、
前記第1部分パターンと前記第2部分パターンは、前記第1部分マスクと第2部分マスクとの接合部上に前記第1部分パターンと前記第2部分パターンとの境界部を有し、前記第1部分パターン、前記第2部分パターン、および前記境界部のいずれも一定のパターンピッチを有することを特徴とする請求項10に記載の薄膜蒸着用マスクフレーム組立体の製造方法。
【請求項12】
前記(b)段階は、
前記第1部分マスクと前記第2部分マスクとを相互に接合する断面同士を所定間隔をおいて隣接するように整列させる段階と、
前記隣接した断面に、紫外線硬化型接着剤を塗布する段階と、
前記紫外線硬化型接着剤を紫外線照射で硬化させる段階と、を含むことを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着用マスクフレーム組立体の製造方法。
【請求項13】
前記紫外線硬化型接着剤の塗布及び硬化の段階は、前記第1部分マスクと第2部分マスクとの接合部の上面に、前記紫外線硬化型接着剤を塗布して硬化させる段階と、
前記第1部分マスクと第2部分マスクとの接合部の下面に、前記紫外線硬化型接着剤を塗布して硬化させる段階と、を含むことを特徴とする請求項12に記載の薄膜蒸着用マスクフレーム組立体の製造方法。
【請求項14】
前記紫外線硬化剤の塗布は、ビジョンカメラが前記第1部分マスクと第2部分マスクとの接合部を追跡してガイドし、塗布装置がそのビジョンカメラを追って行きつつ塗布することを特徴とする請求項13に記載の薄膜蒸着用マスクフレーム組立体の製造方法。
【請求項15】
前記(b)段階は、
前記第1部分マスクと前記第2部分マスクとの相互接合される断面に、熱硬化型接着剤を塗布する段階と、
前記熱硬化型接着剤が塗布された断面同士を密着させる段階と、
前記熱硬化型接着剤を所定加熱手段で加熱して硬化させる段階と、を含むことを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着用マスクフレーム組立体の製造方法。
【請求項16】
前記熱硬化型接着剤の硬化段階は、前記第1部分マスクと第2部分マスクとの接合部の一面に熱を加え、前記熱硬化型接着剤を塗布して硬化させる段階と、
前記第1部分マスクと第2部分マスクとの接合部の他面に熱を加え、前記紫外線硬化型接着剤を硬化させる段階と、を含むことを特徴とする請求項15に記載の薄膜蒸着用マスクフレーム組立体の製造方法。
【請求項17】
前記熱硬化型接着剤の硬化段階は、前記第1部分マスクと第2部分マスクとの接合部の両面に同時に熱を加え、前記熱硬化型接着剤を塗布して硬化させる段階を含むことを特徴とする請求項15に記載の薄膜蒸着用マスクフレーム組立体の製造方法。
【請求項18】
前記加熱手段は、前記接合部に接触して回転しつつ、前記熱硬化型接着剤に熱を加える加熱ローラと、非接触状態で、前記熱硬化型接着剤に熱風を吹き付けるブロワとのうち、いずれか一つを含むことを特徴とする請求項15〜17のいずれか1項に記載の薄膜蒸着用マスクフレーム組立体の製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【公開番号】特開2012−126990(P2012−126990A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237373(P2011−237373)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】