説明

薄膜蒸着装置及びこれを用いた有機発光表示装置の製造方法

【課題】大型基板の量産工程に容易に適用でき、歩留まりが向上した薄膜蒸着装置及びこれを用いた有機発光表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】被蒸着用基板を静電チャックで固定させるローディング部と、チャンバと、チャンバの内部に配され、かつ静電チャックに固定された基板500に薄膜を蒸着する薄膜蒸着アセンブリー100を備える蒸着部と、静電チャックから蒸着が完了した基板を分離させるアンローディング部と、基板が固定された静電チャックをローディング部、蒸着部及びアンローディング部に順次移動させる第1循環部610と、を備え、第1循環部は、互いに平行に形成された2対の第1ガイドレール613及び第2ガイドレール617と、第1ガイドレールに結合する一つ以上の第1ガイドブロック615と、第2ガイドレールに結合する一つ以上の第2ガイドブロック619とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜蒸着装置及びこれを用いた有機発光表示装置の製造方法に係り、さらに詳細には、大型基板の量産工程に容易に適用でき、歩留まりを向上する薄膜蒸着装置及びこれを用いた有機発光表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置のうち、有機発光表示装置は視野角が広くてコントラストが優れているだけでなく、応答速度が速いという長所を持っており、よって次世代ディスプレイ装置として注目されている。
【0003】
有機発光表示装置は、互いに対向する第1電極と第2電極との間に発光層及びこれを含む中間層を備える。この時、前記電極及び中間層はいろいろな方法で形成されうるが、そのうち一つの方法が独立蒸着方式である。蒸着方法を用いて有機発光表示装置を製作するためには、薄膜などが形成される基板面に、形成される薄膜などのパターンと同じパターンを持つファインメタルマスク(Fine Metal Mask:FMM)を密着させ、薄膜などの材料を蒸着して所定パターンの薄膜を形成する。
【0004】
しかし、これらのFMMを用いる方法は、5G以上のマザーガラスを使用する大面積化には適していないという限界がある。すなわち、大面積マスクを使用すれば、自重によりマスクの反り現象が発生するが、この反り現象によるパターンの歪曲が発生しうるためである。これは、パターンに高精細を要する現在の傾向に反することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記のような従来のFMMを用いた蒸着方法の限界を乗り越えるためのものであって、大型基板の量産工程にさらに適しており、高精細のパターニングの可能な薄膜蒸着装置及びこれを用いた有機発光表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被蒸着用基板を静電チャックで固定させるローディング部と、チャンバと、前記チャンバの内部に配され、かつ前記静電チャックに固定された基板に薄膜を蒸着する薄膜蒸着アセンブリーを備える蒸着部と、前記静電チャックから蒸着が完了した前記基板を分離させるアンローディング部と、前記基板が固定された静電チャックを前記ローディング部、蒸着部及びアンローディング部に順次移動させる第1循環部と、を備え、前記第1循環部は、互いに平行に形成された2対の第1ガイドレール及び第2ガイドレールと、前記第1ガイドレールに結合する一つ以上の第1ガイドブロックと、前記第2ガイドレールに結合する一つ以上の第2ガイドブロックとを備えることを特徴とする薄膜蒸着装置を提供する。
【0007】
本発明において、前記2対の第1ガイドレール及び第2ガイドレールは、前記チャンバに貫設されるが、前記1対の第1ガイドレールが前記1対の第2ガイドレールの外側に配されるように形成し、前記第1ガイドブロックは、前記第1ガイドレールに沿って直線往復動し、前記第2ガイドブロックは、前記第2ガイドレールに沿って直線往復動する。
【0008】
ここで、前記基板を固定している前記静電チャックが前記第1ガイドブロックまたは第2ガイドブロック上に配されて、前記基板が前記第1ガイドレールまたは前記第2ガイドレールに沿って直線往復動できる。
【0009】
ここで、前記第1ガイドブロックと前記第2ガイドブロックとは、互いに独立して直線往復動する。
【0010】
本発明において、前記静電チャックは、前記第1ガイドブロック上に配される第1静電チャックと、前記第2ガイドブロック上に配される第2静電チャックと、を備える。
【0011】
ここで、前記第1静電チャックで、前記第2ガイドブロックと対向する領域には第1陥没部が形成され、前記第2静電チャックで、前記第1ガイドブロックと対向する領域には第2陥没部が形成される。
【0012】
ここで、前記第1静電チャックと前記第2ガイドブロックとは、互いに一定距離ほど離隔するように形成され、前記第2静電チャックと前記第1ガイドブロックとは、互いに一定距離ほど離隔するように形成される。
【0013】
本発明において、前記第1ガイドレール及び第2ガイドレールは、LMレール(linear motion rail)であり、前記第1ガイドブロック及び第2ガイドブロックは、LMブロック(linear motion block)である。
【0014】
本発明において、前記チャンバ内部に複数の薄膜蒸着アセンブリーが備えられうる。
【0015】
本発明において、前記チャンバは、その内部に複数の薄膜蒸着アセンブリーがそれぞれ備えられた第1チャンバと第2チャンバとを備え、前記第1チャンバと第2チャンバとが互いに連係している。
【0016】
本発明において、前記薄膜蒸着アセンブリーは、蒸着物質を放射する蒸着源と、前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の蒸着源ノズルが形成された蒸着源ノズル部と、前記蒸着源ノズル部と対向して配され、前記第1方向に沿って複数のパターニングスリットが配されるパターニングスリットシートと、前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間に、前記第1方向に沿って配されて、前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間の空間を複数の蒸着空間に区切る複数の遮断板を備える遮断板アセンブリーと、を備え、前記薄膜蒸着アセンブリーは前記基板と離隔するように配され、前記薄膜蒸着アセンブリーと前記基板とは、互いに相対的に移動する。
【0017】
前記薄膜蒸着アセンブリーの前記パターニングスリットシートは、前記基板より小さく形成される。
【0018】
前記複数の遮断板それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直な第2方向に沿って延びるように形成される。
【0019】
前記複数の遮断板は等間隔で配される。
【0020】
前記遮断板アセンブリーは、複数の第1遮断板を備える第1遮断板アセンブリーと、複数の第2遮断板を備える第2遮断板アセンブリーと、を備える。
【0021】
前記複数の第1遮断板及び前記複数の第2遮断板それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直な第2方向に沿って延びるように形成される。
【0022】
前記複数の第1遮断板及び前記複数の第2遮断板それぞれは、互いに対応するように配される。
【0023】
前記互いに対応する第1遮断板及び第2遮断板は、実質的に同じ平面上に位置するように配される。
【0024】
本発明において、前記薄膜蒸着アセンブリーは、蒸着物質を放射する蒸着源と、前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の蒸着源ノズルが形成される蒸着源ノズル部と、前記蒸着源ノズル部と対向して配され、前記第1方向に対して垂直な第2方向に沿って複数のパターニングスリットが形成されるパターニングスリットシートと、を備え、前記基板が前記薄膜蒸着装置に対して前記第1方向に沿って移動しつつ蒸着が行われ、前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリットシートは一体に形成される。
【0025】
前記蒸着源及び前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとは、連結部材により結合されて一体に形成される。
【0026】
前記連結部材は、前記蒸着物質の移動経路をガイドする。
【0027】
前記連結部材は、前記蒸着源及び前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間の空間を外部から密閉するように形成される。
【0028】
前記薄膜蒸着装置は、前記基板と所定ほど離隔するように形成される。
【0029】
前記基板が前記薄膜蒸着装置に対して前記第1方向に沿って移動しつつ、前記基板上に前記蒸着物質が連続的に蒸着される。
【0030】
前記薄膜蒸着装置の前記パターニングスリットシートは、前記基板より小さく形成される。
【0031】
本発明において、前記複数の蒸着源ノズルは、所定角度チルトされるように形成される。
【0032】
前記複数の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された二列の蒸着源ノズルを備え、前記二列の蒸着源ノズルは、互いに対向する方向にチルトされている。
【0033】
前記複数の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された二列の蒸着源ノズルを備え、前記二列の蒸着源ノズルのうち、第1側に配された蒸着源ノズルは、パターニングスリットシートの第2側端部に向かうように配され、前記二列の蒸着源ノズルのうち、第2側に配された蒸着源ノズルは、パターニングスリットシートの第1側端部に向かうように配される。
【0034】
他の側面に関する本発明は、被蒸着用基板を静電チャックで固定させるローディング部、前記基板に薄膜を蒸着する薄膜蒸着アセンブリーを備える蒸着部、及び前記静電チャックから蒸着が完了した前記基板を分離させるアンローディング部を備える薄膜蒸着装置を用いた有機発光表示装置の製造方法において、前記ローディング部で前記基板を前記静電チャックで固定させる段階と、第1ガイドレールに沿って移動するように形成された第1ガイドブロックまたは第2ガイドレールに沿って移動するように形成された第2ガイドブロック上に、前記基板が固定された前記静電チャックを配する段階と、前記基板と前記薄膜蒸着アセンブリーとの相対的移動により、前記薄膜蒸着アセンブリーで放射された蒸着物質が前記基板に蒸着される段階と、前記アンローディング部から前記静電チャックが、前記第1ガイドブロックまたは前記第2ガイドブロックから分離される段階と、前記静電チャックが分離された前記第1ガイドブロックまたは前記第2ガイドブロックが、前記第1ガイドレールまたは前記第2ガイドレールに沿って前記ローディング部方向に移動する段階と、を含むことを特徴とする有機発光表示装置の製造方法を提供する。
【0035】
本発明において、前記静電チャックは、前記第1ガイドブロック上に配される第1静電チャックと、前記第2ガイドブロック上に配される第2静電チャックと、を備える。
【0036】
前記第1静電チャックで、前記第2ガイドブロックと対向する領域には第1陥没部が形成され、前記第2静電チャックで、前記第1ガイドブロックと対向する領域には第2陥没部が形成される。
【0037】
前記第1静電チャックと前記第2ガイドブロックとは、互いに一定距離ほど離隔するように形成され、前記第2静電チャックと前記第1ガイドブロックとは、互いに一定距離ほど離隔するように形成される。
【0038】
本発明において、前記第1ガイドレール及び第2ガイドレールはLMレールであり、前記第1ガイドブロック及び第2ガイドブロックはLMブロックである。
【0039】
本発明において、前記チャンバ内部に複数の薄膜蒸着アセンブリーが備えられて、各薄膜蒸着アセンブリーにより前記基板に連続的に蒸着が行われる。
【0040】
本発明において、前記チャンバは、その内部に複数の薄膜蒸着アセンブリーがそれぞれ備えられ、互いに連係した第1チャンバと第2チャンバとを備え、前記基板が、前記第1チャンバ及び第2チャンバにわたって移動しつつ連続的に蒸着が行われる。
【発明の効果】
【0041】
本発明の薄膜蒸着装置及びこれを用いた有機発光表示装置の製造方法によれば、製造が容易であり、大型基板の量産工程に容易に適用でき、歩留まり及び蒸着効率が向上し、蒸着物質のリサイクルが容易になる効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置を概略的に示すシステム構成図である。
【図2】図1の変形例を示す図面である。
【図3】図1の静電チャックの一例を示す概略面である。
【図4】図1の薄膜蒸着装置の第1循環部を概略的に示す斜視図である。
【図5】図4の第1循環部で、第1静電チャック及び第1ガイドブロックを示す平面図である。
【図6】図4の第1循環部で、第2静電チャック及び第2ガイドブロックを示す平面図である。
【図7】図1の薄膜蒸着装置で、ガイドブロックの循環メカニズムを示す図面である。
【図8】図1の薄膜蒸着装置で、ガイドブロックの循環メカニズムを示す図面である。
【図9】図1の薄膜蒸着装置で、ガイドブロックの循環メカニズムを示す図面である。
【図10】図1の薄膜蒸着装置で、ガイドブロックの循環メカニズムを示す図面である。
【図11】図1の薄膜蒸着装置の薄膜蒸着アセンブリーを概略的に示す斜視図である。
【図12】図11の薄膜蒸着アセンブリーの概略的な側断面図である。
【図13】図11の薄膜蒸着アセンブリーの概略的な平断面図である。
【図14】本発明の他の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリーを概略的に示す斜視図である。
【図15】本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリーを概略的に示す斜視図である。
【図16】図15の薄膜蒸着アセンブリーの概略的な側面図である。
【図17】図15の薄膜蒸着アセンブリーの概略的な平面図である。
【図18】本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリーを図示した斜視図である。
【図19】図18の薄膜蒸着アセンブリーで蒸着源ノズルをチルトさせていない時、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面である。
【図20】図18の薄膜蒸着アセンブリーで蒸着源ノズルをチルトさせた時、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面である。
【図21】本発明の蒸着装置を用いて製造されたアクティブマトリックス型有機発光表示装置の断面を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、添付した図面を参照して本発明による望ましい実施形態を詳細に説明すれば、次の通りである。
【0044】
図1は、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置を概略的に図示したシステム構成の上方から見た平面図であり、図2は、図1の変形例を図示したものである。図3は、後述する構成にて反転された静電チャック600の一例を示す概略側面図である。
【0045】
図1を参照すれば、本発明の一実施形態による薄膜蒸着装置は、ローディング部710、蒸着部730、アンローディング部720、第1循環部610及び第2循環部620を備える。
【0046】
ローディング部710は、第1ラック712と、導入ロボット714と、導入室716と、第1反転室718とを備えることができる。
【0047】
第1ラック712には蒸着が行われる前の基板500が多く積載されており、導入ロボット714は、前記第1ラック712から基板500を捉えて第2循環部620から移送されてきた静電チャック600に基板500を載置した後、基板500が付着された静電チャック600を導入室716に移す。
【0048】
導入室716に隣接して第1反転室718が備えられ、第1反転室718に位置した第1反転ロボット719が静電チャック600を反転させて、静電チャック600を蒸着部730の第1循環部610に装着する。
【0049】
静電チャック600は、図3から分かるように、セラミックからなる本体691の内部に電源が印加される電極692が埋め立てられたものであって、この電極692に高電圧が印加されることによって本体691の表面に基板500を付着させることである。
【0050】
図1からみれば、導入ロボット714は、静電チャック600の上面に基板500を載せ、この状態で静電チャック600は導入室716に移送され、第1反転ロボット719が静電チャック600を反転させることによって、蒸着部730では基板500が下方を向かうように位置する。
【0051】
アンローディング部720の構成は、前述したローディング部710の構成と逆に構成される。すなわち、蒸着部730を経た基板500及び静電チャック600を、第2反転室728で第2反転ロボット729が反転させて搬出室726に移送し、搬出ロボット724が搬出室726から基板500及び静電チャック600を取り出した後、基板500を静電チャック600から分離して第2ラック722に積載する。基板500と分離された静電チャック600は、第2循環部620を通じてローディング部710に回送される。
【0052】
しかし、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、基板500が静電チャック600に最初に固定される時から静電チャック600の下面に基板500を固定させて、そのまま蒸着部730に移送させてもよい。この場合、例えば、第1反転室718及び第1反転ロボット719と第2反転室728及び第2反転ロボット729は必要なくなる。
【0053】
蒸着部730は少なくとも一つの蒸着用チャンバを備える。図1による本発明の望ましい一実施形態によれば、前記蒸着部730は第1チャンバ731を備え、この第1チャンバ731内に複数の薄膜蒸着アセンブリー100、200、300、400が配される。図1に図示された本発明の望ましい一実施形態によれば、前記第1チャンバ731内に第1薄膜蒸着アセンブリー100、第2薄膜蒸着アセンブリー200、第3薄膜蒸着アセンブリー300及び第4薄膜蒸着アセンブリー400の4つの薄膜蒸着アセンブリーが設けられているが、その数字は蒸着物質及び蒸着条件によって可変できる。前記第1チャンバ731は、蒸着が進む間に真空に維持される。
【0054】
また、図2による本発明の他の一実施形態によれば、前記蒸着部730は互いに連係した第1チャンバ731及び第2チャンバ732を備え、第1チャンバ731には第1及び2薄膜蒸着アセンブリー100及び200が、第2チャンバ732には第3及び4薄膜蒸着アセンブリー300及び400が配されうる。この時、チャンバの数が追加されうるということは言うまでもない。
【0055】
一方、図1による本発明の望ましい一実施形態によれば、前記基板500が固定された静電チャック600は、第1循環部610により少なくとも蒸着部730に、望ましくは、前記ローディング部710、蒸着部730及びアンローディング部720に順次移動し、前記アンローディング部720で基板500と分離された静電チャック600は、第2循環部620により前記ローディング部710に戻される。
【0056】
前記第1循環部610は、前記蒸着部730を通過する時に前記第1チャンバ731を貫通するように備えられ、前記第2循環部620は、静電チャックが移送されるように備えられる。
【0057】
図4は、図1の薄膜蒸着装置の第1循環部を概略的に示す斜視図であり、図5は、図4の第1循環部で第1静電チャック及び第1ガイドブロックの断面を第1反転ロボット719側又は第2反転ロボット729側から見た図であり、図6は、図4の第1循環部で第2静電チャック及び第2ガイドブロックの断面を第1反転ロボット719側又は第2反転ロボット729側から見た図である。
【0058】
図4ないし図6を参照すれば、第1循環部610は、基板500を固定している静電チャック601及び602を移動させる役割を行う。ここで、第1循環部610は、支持台611と、前記支持台611上に形成された2対のガイドレール613、617と、前記2対のガイドレール613、617上にそれぞれ形成された複数のガイドブロック615、619とを備える。これをさらに詳細に説明すれば、次の通りである。
【0059】
前述したように本発明では、基板が固定された静電チャックがチャンバ内部で直線運動しつつ蒸着が行われる。この場合、既存の移送方式であるローラやコンベヤーベルトを使用すれば、基板の位置精密度が落ちるため、基板の精密な移送のためには、ガイドレールとガイドブロックとで形成されたリニアモーションシステムを用いることが望ましい。ところが、基板の精密な移送のためには、すなわち、直線運動の精密度を保証するためには、ガイドレールとガイドブロックとの間の間隔を最小化せねばならず、ガイドレールとガイドブロックとの間のボールベアリングのサイズを大きくするか、またはガイドレールに弾性変形を加え、かつ予圧を印加してクリアランスを最小化せねばならない。この場合、ガイドレールとガイドブロックとは互いに密着結合されて分離できなくなるが、このような構造では、蒸着が完了した後、ガイドブロックがローディング部に原位置する間に蒸着が行われることができないので、タクトタイム(tact time)が長くなって収率が低下するという問題点が存在している。
【0060】
このような問題点を解決するために、本発明の一実施形態による薄膜蒸着装置では、2対のガイドレール及び前記それぞれのガイドレールに結合される複数のガイドブロックを備えて、いずれか一つのガイドレールに沿って移送される基板に蒸着が行われる間、残りの一つのガイドレールに沿ってガイドブロックをローディング部に原位置させることで、基板の位置精密度を向上させると同時に、休止期間なしに連続的に蒸着を行わせることを一特徴とする。
【0061】
さらに詳細には、前記支持台611と、支持台611上に形成された2対のガイドレール613、617とは前記蒸着部730のチャンバ、例えば、図1の実施形態では第1チャンバ731、図2の実施形態では第1チャンバ731と第2チャンバ732とを貫通するように設けられる。
【0062】
支持台611の上部は概略扁平な平面に形成されており、前記支持台611の上部面上には2対のガイドレール613、617が形成されている。さらに詳細には、1対の第1ガイドレール613は支持台611の外側に形成され、1対の第2ガイドレール617は支持台611の内側に形成される。
【0063】
一方、第1ガイドレール613には第1ガイドブロック615が挟み込まれて、第1ガイドブロック615が前記第1ガイドレール613に沿って往復動し、第2ガイドレール617には第2ガイドブロック619が挟み込まれて、第2ガイドブロック619が前記第2ガイドレール613に沿って往復動する。
【0064】
前記第1ガイドブロック615及び前記第2ガイドブロック619には所定の駆動部(図示せず)が備えられうる。駆動部(図示せず)は、第1ガイドブロック615及び第2ガイドブロック619を第1ガイドレール613及び第2ガイドレール617に沿って移動させる部材であって、それ自体から駆動力を提供するものであってもよく、別途の駆動源からの駆動力を第1ガイドブロック615及び第2ガイドブロック619に伝達するものであってもよい。
【0065】
一方、静電チャック(図1の600参照)は、第1静電チャック601及び第2静電チャック602を備える。第1静電チャック601の下部面の第2ガイドブロック619と対応する領域には、第1静電チャック601と第2ガイドブロック619とが互いに接触しないように第1陥没部601aが形成されている。すなわち、第1静電チャック601は、第1ガイドブロック615のみと接触しており、したがって、第1ガイドブロック615の上部に配された第1静電チャック601が第1ガイドレール613に沿って移動する時、第2ガイドブロック619にその移動経路が干渉されない。
【0066】
同様に、第2静電チャック602の下部面の第1ガイドブロック615と対応する領域には、第2静電チャック602と第1ガイドブロック615とが互いに接触しないように第2陥没部602aが形成されている。すなわち、第2静電チャック602は、第2ガイドブロック619のみと接触しており、したがって、第2ガイドブロック619の上部に配された第2静電チャック602が第2ガイドレール617に沿って移動する時、第1ガイドブロック615にその移動経路が干渉されない。
【0067】
このような構成によって、第1ガイドブロック615は、第2静電チャック602と干渉せずに直線往復動を行え、同時に、第2ガイドブロック619は、第1静電チャック601と干渉せずに直線往復動を行える。
【0068】
ここで、前記ガイドレール613、617としてLMレール(Linear Motion rail)を備え、前記ガイドブロック615、619としてLMブロック(Linear Motion block)を備え、所定のLMシステムを構成できる。LMシステムは、過去の滑り案内システムに比べて摩擦係数が小さくて位置誤差がほとんど発生しなくて位置精密度が非常に高い移送システムであり、本明細書では、このようなLMシステムについてはその詳細な説明を省略する。
【0069】
次いで、前記第1ガイドブロック615(及びその上に配された第1静電チャック601)と、前記第2ガイドブロック619(及びその上に配された第2静電チャック602)との循環メカニズムについて説明する。
【0070】
図7ないし図10は、前記ガイドブロックの循環メカニズムを示す図面である。ここで、説明の便宜のために第1ガイドブロック上に配された第1静電チャックと、第2ガイドブロック上に配された第2静電チャックとは図示していないが、実際の蒸着過程では、前記それぞれの第1ガイドブロック615a、615b、615c上にはそれぞれ第1静電チャックが配され、前記それぞれの第2ガイドブロック619a、619b、619c上にはそれぞれ第2静電チャックが配されると想定できる。
【0071】
また、図面には、第1ガイドブロックと第2ガイドブロックとが3対ずつ備えられていると図示されているが、本発明の思想はこれに制限されず、薄膜蒸着装置の製品仕様によって、前記ガイドブロックの数は多様に適用できるといえる。ただし、タクトタイムの短縮のために、第1ガイドブロック同士と第2ガイドブロック同士とはそれぞれ密集して配されることが望ましい。すなわち、第1ガイドブロックと第2ガイドブロックとが交互に配されるものではなく、複数の第1ガイドブロックが順に配された後、その一側に複数の第2ガイドブロックが順に配されることが望ましいといえる。
【0072】
まず、図7を参照すれば、複数の第1ガイドブロック615a、615b、615cは、第1ガイドレール613に沿って矢印D方向に移動し、同時に複数の第2ガイドブロック619a、619b、619cは、第2ガイドレール617に沿って矢印D方向に移動する。この過程で、薄膜蒸着アセンブリー100、200、300、400から放射される蒸着物質が基板(図4の500参照)上に蒸着される。(すなわち、ガイドレール上にガイドブロックが配されて、ガイドブロック上に静電チャックが安着して、静電チャックに基板が結合されている。)。
【0073】
次いで、図8に図示されたように、薄膜蒸着アセンブリー100、200、300、400を完全に通過して蒸着が完了した第2ガイドブロック619a、619b、619cは、薄膜蒸着アセンブリー400の一側に集まる。この時、薄膜蒸着アセンブリー100、200、300、400を完全に通過した第2ガイドブロック619a、619b、619cの上部に配された第2静電チャック(図4の602参照)は、アンローディング部(図1の720参照)により第2ガイドブロック619a、619b、619cから分離され、前記分離された第2静電チャック(図4の602参照)は、第2循環部(図1の620参照)を通じてローディング部(図1の710参照)に原位置する。
【0074】
次いで、図9に図示されたように、第2静電チャック(図4の602参照)が分離された第2ガイドブロック619a、619b、619cは、矢印Dの逆方向に移動してローディング部(図1の710参照)側に原位置することで、次の蒸着を用意する。この時、第1静電チャック(図4の601参照)には第1陥没部(図4の601a参照)が形成されているため、第2ガイドブロック619a、619b、619cは何の干渉も受けずに矢印Dの逆方向に移動できる。
【0075】
次いで、図10に図示されたように、ローディング部(図1の710参照)に原位置した第2ガイドブロック619a、619b、619cに、基板(図1の500参照)が付着された第2静電チャックが装着された後、第2ガイドブロック619a、619b、619cが第2ガイドレール617に沿って矢印D方向に移動しつつ、薄膜蒸着アセンブリー100、200、300、400から放射される蒸着物質が基板(図4の500参照)上に連続的に蒸着される。
【0076】
同様に、薄膜蒸着アセンブリー100、200、300、400を完全に通過して蒸着が完了した第1ガイドブロック615a、615b、615cから第1静電チャックが分離された後、第1ガイドブロック615a、615b、615cが矢印Dの逆方向に移動してローディング部(図1の710参照)側に原位置することで、次の蒸着のために準備する。この時、第2静電チャック(図4の602参照)には第2陥没部(図4の602a参照)が形成されているため、第1ガイドブロック615a、615b、615cは、何の干渉も受けずに矢印Dの逆方向に移動できることである。
【0077】
かかる本発明によって、2対のガイドレール及び前記それぞれのガイドレールに結合される複数のガイドブロックを備えて、いずれか一つのガイドレールに沿って移送される基板に蒸着が行われる間、残りの一つのガイドレールに沿ってガイドブロックをローディング部に原位置させることで、基板の位置精密度を向上させると同時に、休止期間なしに連続的に蒸着が行われる効果を得ることができる。
【0078】
次いで、本発明の一実施形態による薄膜蒸着装置の薄膜蒸着アセンブリー100を説明する。図11は、図1の薄膜蒸着装置の薄膜蒸着アセンブリーを概略的に示す斜視図であり、図12は、図11の薄膜蒸着アセンブリーの概略的な側断面図であり、図13は、図11の薄膜蒸着アセンブリーの概略的な平断面図である。
【0079】
図11ないし図13を参照すれば、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100は、蒸着源110、蒸着源ノズル部120、遮断板アセンブリー130及びパターニングスリット151を備える。
【0080】
ここで、図11ないし図13には、説明の便宜のためにチャンバを図示していないが、図11ないし図13のあらゆる構成は、適切な真空度が維持される第1チャンバ内に配されることが望ましい。これは、蒸着物質の直進性を確保するためである。
【0081】
さらに詳細には、蒸着源110から放出された蒸着物質115を、蒸着源ノズル部120及びパターニングスリット151を通過して基板500に所望のパターンに蒸着させるためには、基本的にチャンバ(図示せず)の内部は高真空状態を維持せねばならない。また遮断板131及びパターニングスリットシート150の温度が蒸着源110の温度より十分に低くて初めて(約100℃以下)、蒸着源ノズル121とパターニングスリット151との間の空間を高真空状態に維持できる。このように、遮断板アセンブリー130とパターニングスリットシート150との温度が十分に低ければ、願わない方向に放射される蒸着物質115はいずれも遮断板アセンブリー130面に吸着されて高真空を維持できるため、蒸着物質間の衝突が発生しなくて蒸着物質の直進性を確保できるようになる。この時、遮断板アセンブリー130は高温の蒸着源110に向かっており、蒸着源110と近いところは最大167℃ほど温度が上昇するため、必要な場合、部分冷却装置(図示せず)がさらに備えられうる。
【0082】
このような第1チャンバ内には、被蒸着体である基板500が静電チャック600により移送される。前記基板500は、平板表示装置用基板になりうるが、複数の平板表示装置を形成できるマザーガラスのような大面積基板が適用されうる。
【0083】
ここで、本発明の一実施形態では、基板500が薄膜蒸着アセンブリー100に対して相対的に移動するが、望ましくは、薄膜蒸着アセンブリー100に対して基板500をA方向に移動させることができる。
【0084】
さらに詳細には、既存FMM蒸着方法では、マスクのサイズが基板サイズと同一またこれより大きくなければならなかった。したがって、基板サイズが増大するほどマスクも大型化せねばならず、したがって、このような大型のマスクの製作が容易ではなく、マスクを引っ張って精密なパターンにアラインすることも容易ではないという問題点がある。
【0085】
このような問題点を解決するために、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100は、薄膜蒸着アセンブリー100と基板500とが互いに相対的に移動しつつ蒸着が行われることを一特徴とする。言い換えれば、薄膜蒸着アセンブリー100と対向するように配された基板500が、Y軸方向に沿って移動しつつ連続的に蒸着する。すなわち、基板500が図11の矢印A方向に移動しつつスキャニング方式で蒸着が行われることである。ここで、図面には、基板500がチャンバ(図示せず)内でY軸方向に移動しつつ蒸着が行われると図示されているが、本発明の思想はこれに制限されず、基板500は固定されており、薄膜蒸着アセンブリー100自体がY軸方向に移動しつつ蒸着を行うことも可能であるといえる。
【0086】
したがって、本発明の薄膜蒸着アセンブリー100では、従来のFMMに比べて非常に小さくパターニングスリットシート150を設けることができる。すなわち、本発明の薄膜蒸着アセンブリー100の場合、基板500がY軸方向に沿って移動しつつ連続的に、すなわち、スキャニング方式で蒸着を行うため、パターニングスリットシート150のX軸方向への幅と基板500のX軸方向への幅のみ実質的に同一に形成されれば、パターニングスリットシート150のY軸方向の長さは、基板500の長さより非常に小さく形成されても構わない。もちろん、パターニングスリットシート150のX軸方向への幅が基板500のX軸方向への幅より小さく形成されるとしても、基板500と薄膜蒸着アセンブリー100との相対的移動によるスキャニング方式により、十分に基板500全体に対して蒸着できるようになる。
【0087】
このように、従来のFMMに比べて非常に小さくパターニングスリットシート150を設けることができるため、本発明のパターニングスリットシート150はその製造が容易である。すなわち、パターニングスリットシート150のエッチング作業や、その後の精密引張及び溶接作業、移動及び洗浄作業などのあらゆる工程で、小サイズのパターニングスリットシート150がFMM蒸着方法に比べて有利である。また、これは、ディスプレイ装置が大型化するほどさらに有利になる。
【0088】
このように、薄膜蒸着アセンブリー100と基板500とが互いに相対的に移動しつつ蒸着が行われるためには、薄膜蒸着アセンブリー100と基板500とが一定距離ほど離隔することが望ましい。これについては、後述する。
【0089】
一方、第1チャンバ内で前記基板500と対向する側には、蒸着物質115が収納及び加熱される蒸着源110が配される。
【0090】
前記蒸着源110は、その内部に蒸着物質115が満たされる坩堝112と、この坩堝112を取り囲む冷却ブロック111とが備えられる。冷却ブロック111は、坩堝112からの熱が外部、すなわち、第1チャンバの内部に発散されることを最大限抑制するためのものであり、この冷却ブロック111には坩堝111を加熱させるヒータ(図示せず)が備えられている。
【0091】
蒸着源110の一側、さらに詳細には、蒸着源110から基板500に向かう側には蒸着源ノズル部120が配される。そして、蒸着源ノズル部120には、X軸方向に沿って複数の蒸着源ノズル121が形成される。ここで、前記複数の蒸着源ノズル121は等間隔で形成されうる。蒸着源110内で気化した蒸着物質115は、このような蒸着源ノズル部120の蒸着源ノズル121を通過して、被蒸着体である基板500側に向かう。
【0092】
蒸着源ノズル部120の一側には遮断板アセンブリー130が備えられる。前記遮断板アセンブリー130は、複数の遮断板131と、遮断板131の外側に備えられる遮断板フレーム132とを備える。前記複数の遮断板131は、X軸方向に沿って互いに平行に配されうる。ここで、前記複数の遮断板131は等間隔で形成されうる。また、それぞれの遮断板131は、図面からみれば、YZ平面に沿って延びており、望ましくは、長方形に備えられうる。このように配された複数の遮断板131は、蒸着源ノズル部120とパターニングスリット150との間の空間を複数の蒸着空間Sに区切る。すなわち、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100は、前記遮断板131によって、図13から分かるように、蒸着物質が噴射されるそれぞれの蒸着源ノズル121別に蒸着空間Sが分離される。
【0093】
ここで、それぞれの遮断板131は、互いに隣接している蒸着源ノズル121の間に配されうる。これは、言い換えれば、互いに隣接している遮断板131の間に一つの蒸着源ノズル121が配されることである。望ましくは、蒸着源ノズル121は、互いに隣接している遮断板131間の正中央に位置できる。しかし、本発明は必ずしもこれに限定されず、互いに隣接している遮断板131の間に複数の蒸着源ノズル121が配されてもよい。ただし、この場合にも、複数の蒸着源ノズル121を互いに隣接している遮断板131の間の正中央に位置させることが望ましい。
【0094】
このように、遮断板131が蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート150との間の空間を複数の蒸着空間Sに区切ることによって、一つの蒸着源ノズル121から排出される蒸着物質は、他の蒸着源ノズル121から排出された蒸着物質と混合されず、パターニングスリット151を通過して基板500に蒸着されることである。すなわち、前記遮断板131は、各蒸着源ノズル121を通じて排出される蒸着物質が分散されずに直進性を維持するように、蒸着物質のZ軸方向の移動経路をガイドする役割を行う。
【0095】
このように、遮断板131を備えて蒸着物質の直進性を確保することによって、基板に形成される陰影(shadow)のサイズを大幅に縮めることができ、したがって、薄膜蒸着アセンブリー100と基板500を一定距離ほど離隔させることができる。これについては、後述する。
【0096】
一方、前記複数の遮断板131の外側には、遮断板フレーム132がさらに備えられうる。遮断板フレーム132は、複数の遮断板131の側面にそれぞれ備えられて、複数の遮断板131の位置を固定させると同時に、蒸着源ノズル121を通じて排出される蒸着物質がY軸方向に分散されないように、蒸着物質のY軸方向の移動経路をガイドする役割を行う。
【0097】
前記蒸着源ノズル部120と遮断板アセンブリー130とは一定距離ほど離隔されたことが望ましい。これにより、蒸着源110から発散される熱が遮断板アセンブリー130に伝導されることを防止できる。しかし、本発明の思想はこれに制限されるものではない。すなわち、蒸着源ノズル部120と遮断板アセンブリー130との間に適切な断熱手段が備えられる場合、蒸着源ノズル部120と遮断板アセンブリー130とが結合して接触してもよい。
【0098】
一方、前記遮断板アセンブリー130は、薄膜蒸着アセンブリー100から着脱自在に形成されうる。本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100では、遮断板アセンブリー130を用いて蒸着空間を外部空間と分離したので、基板500に蒸着されていない蒸着物質は、大部分遮断板アセンブリー130内に蒸着される。したがって、遮断板アセンブリー130を薄膜蒸着アセンブリー100から着脱自在に形成して、長時間蒸着後に遮断板アセンブリー130に蒸着物質が多く溜まれば、遮断板アセンブリー130を薄膜蒸着アセンブリー100から分離して、別途の蒸着物質リサイクル装置に入れて蒸着物質を回収できる。このような構成を通じて、蒸着物質リサイクル率を高めることによって、蒸着効率が向上してコストダウン効果を得ることができる。
【0099】
一方、蒸着源110と基板500との間にはパターニングスリットシート150及びフレーム155がさらに備えられる。前記フレーム155は、窓枠状に形成され、その内側にパターニングスリットシート150が結合される。そして、パターニングスリットシート150にはX軸方向に沿って複数のパターニングスリット151が形成される。各パターニングスリット151はY軸方向に沿って延びている。蒸着源110内で気化して蒸着源ノズル121を通過した蒸着物質115は、パターニングスリット151を通過して被蒸着体である基板500側に向かう。
【0100】
前記パターニングスリットシート150は金属薄板で形成され、引張られた状態でフレーム155に固定される。前記パターニングスリット151は、ストライプタイプであって、パターニングスリットシート150にエッチングを通じて形成される。
【0101】
ここで、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100は、蒸着源ノズル121の総数より、パターニングスリット151の総数がさらに多く形成される。また、互いに隣接している2つの遮断板131の間に配された蒸着源ノズル121の数より、パターニングスリット151の数がさらに多く形成される。前記パターニングスリット151の数は、基板500に形成される蒸着パターンの数に対応させることが望ましい。
【0102】
一方、前述した遮断板アセンブリー130とパターニングスリットシート150とは、互いに一定距離ほど離隔するように形成され、遮断板アセンブリー130とパターニングスリットシート150とは、別途の連結部材135によって互いに連結されうる。さらに詳細には、高温状態の蒸着源110により、遮断板アセンブリー130の温度は最大100℃以上上昇するため、上昇した遮断板アセンブリー130の温度がパターニングスリットシート150に伝導されないように、遮断板アセンブリー130とパターニングスリットシート150とを一定距離ほど離隔させることである。
【0103】
前述したように、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100は、基板500に対して相対的に移動しつつ蒸着を行い、このように薄膜蒸着アセンブリー100が基板500に対して相対的に移動するために、パターニングスリットシート150は基板500から一定距離ほど離隔するように形成される。そして、パターニングスリットシート150と基板500とを離隔させる場合に発生する陰影問題を解決するために、蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート150との間に遮断板131を備えて蒸着物質の直進性を確保することによって、基板に形成される陰影のサイズを大幅に縮めたことである。
【0104】
従来のFMM蒸着方法では、基板に陰影が生じないようにするために、基板にマスクを密着させて蒸着工程を進めた。しかし、このように基板にマスクを密着させる場合、基板とマスクとの接触により基板に既に形成されていたパターンがかかれるなど、不良が発生するという問題点が存在している。また、マスクを基板に対して移動させられないため、マスクが基板と同じサイズに形成されねばならない。したがって、ディスプレイ装置が大型化することによってマスクのサイズも大きくならねばならないが、このような大型マスクを形成し難いという問題点がある。
【0105】
このような問題点を解決するために、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100では、パターニングスリットシート150が被蒸着体である基板500と所定間隔をおいて離隔するように配させる。これは、遮断板131を備えて、基板500に生成される陰影が小さくなることによって実現可能になる。
【0106】
このような本発明によってパターニングスリットシートを基板より小さく形成した後、このパターニングスリットシートを基板に対して相対移動させることによって、従来FMM方法のように大きいマスクを製作しなくて済むようになった。また、基板とパターニングスリットシートとの間が離隔されているために、互いの接触による不良を防止する効果を得ることができる。また、工程で基板とパターニングスリットシートとを密着させる時間が不要になるため、製造速度が向上する効果を得ることができる。
【0107】
図14は、本発明の望ましい他の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリーを概略的に示す斜視図である。
【0108】
図14に図示された実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100は、蒸着源110、蒸着源ノズル部120、第1遮断板アセンブリー130、第2遮断板アセンブリー140、パターニングスリットシート150を備える。
【0109】
ここで、図14には説明の便宜のためにチャンバを図示していないが、図14のあらゆる構成は、適切な真空度が維持されるチャンバ内に配されることが望ましい。これは、蒸着物質の直進性を確保するためである。
【0110】
このようなチャンバ(図示せず)内には被蒸着体である基板500が配される。そして、チャンバ(図示せず)内で基板500と対向する側には、蒸着物質115が収納及び加熱される蒸着源110が配される。
【0111】
蒸着源110及びパターニングスリットシート150の詳細な構成は、前述した図11による実施形態と同一であるので、詳細な説明を省略する。そして、前記第一遮断板アセンブリー130は、図11による実施形態の遮断板アセンブリーと同一であるので、やはり詳細な説明は省略する。
【0112】
本実施形態では、第1遮断板アセンブリー130の一側に第2遮断板アセンブリー140が備えられる。前記第2遮断板アセンブリー140は、複数の第2遮断板141と、第2遮断板141の外側に備えられる第2遮断板フレーム142とを備える。
【0113】
前記複数の第2遮断板141は、X軸方向に沿って互いに平行に備えられうる。そして、前記複数の第2遮断板141は等間隔で形成されうる。また、それぞれの第2遮断板141は、図面からみた時にYZ平面と平行に、言い換えれば、X軸方向に垂直に形成される。
【0114】
このように配された複数の第1遮断板131及び第2遮断板141は、蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート150との間の空間を区切る役割を行う。すなわち、前記第1遮断板131及び第2遮断板141によって、蒸着物質が噴射されるそれぞれの蒸着源ノズル121別に蒸着空間が分離されることを一特徴とする。
【0115】
ここで、それぞれの第2遮断板141は、それぞれの第1遮断板131と一対一対応するように配されうる。言い換えれば、それぞれの第2遮断板141は、それぞれの第1遮断板131とアラインされて互いに平行に配されうる。すなわち、互いに対応する第1遮断板131と第2遮断板141とは、互いに同じ平面上に位置する。図面には、第1遮断板131の長さと第2遮断板141のX軸方向の幅とが同一であると図示されているが、本発明の思想はこれに制限されるものではない。すなわち、パターニングスリット151との精密なアラインが要求される第2遮断板141は相対的に薄く形成される一方、精密なアラインが要求されない第1遮断板131は相対的に厚く形成されて、その製造を容易にすることも可能であるといえる。
【0116】
以上説明したような薄膜蒸着アセンブリー100は、図1から分かるように、第1チャンバ731内に複数が連続して配されうる。この場合、各薄膜蒸着アセンブリー100、200、300、400は相異なる蒸着物質を蒸着させることができ、この時、各薄膜蒸着アセンブリー100、200、300、400のパターニングスリットのパターンを相異なるパターンにして、例えば、赤、緑、青色の画素を一括蒸着するなどの成膜工程を進めることができる。
【0117】
図15は、本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリー900を概略的に示す斜視図であり、図16は、図15の薄膜蒸着アセンブリーの概略的な側面図であり、図17は、図15の薄膜蒸着アセンブリーの概略的な平面図である。
【0118】
図15ないし図17を参照すれば、本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリー900は、蒸着源910、蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950を備える。
【0119】
ここで、図15ないし図17には、説明の便宜のためにチャンバを図示していないが、図15ないし図17のあらゆる構成は、適切な真空度が維持される第1チャンバ内に配されることが望ましい。これは、蒸着物質915の直進性を確保するためである。
【0120】
そして、第1チャンバ(図示せず)内には、被蒸着体である基板500が静電チャック600により移送される。前記基板500は、平板表示装置用基板になりうるが、複数の平板表示装置を形成できるマザーガラスのような大面積基板が適用されうる。
【0121】
ここで、本発明の一実施形態では、基板500が薄膜蒸着アセンブリー900に対して相対的に移動しつつ蒸着が進まれることを一特徴とする。さらに詳細には、薄膜蒸着アセンブリー900と対向するように配された基板500が、Y軸方向に沿って移動しつつ連続的に蒸着を行う。すなわち、基板500が図15の矢印A方向に移動しつつスキャニング方式で蒸着が行われることである。ここで、図面には基板500がチャンバ内でY軸方向に移動しつつ蒸着が行われると図示されているが、本発明の思想はこれに制限されず、基板500は固定されており、薄膜蒸着アセンブリー900自体がY軸方向に移動しつつ蒸着を行うことも可能であるといえる。
【0122】
したがって、本発明の薄膜蒸着アセンブリー900では、従来のFMMに比べて非常に小さくパターニングスリットシート950を設けることができる。すなわち、本発明の薄膜蒸着アセンブリー900の場合、基板500がY軸方向に沿って移動しつつ連続的に、すなわち、スキャニング方式で蒸着を行うため、パターニングスリットシート950のX軸方向及びY軸方向の長さは、基板500の長さより非常に小さく形成されうる。このように、従来のFMMに比べて非常に小さくパターニングスリットシート950を設けることができるため、本発明のパターニングスリットシート950はその製造が容易である。すなわち、パターニングスリットシート950のエッチング作業や、その後の精密引張及び溶接作業、移動及び洗浄作業などのあらゆる工程で、小サイズのパターニングスリットシート950がFMM蒸着方法に比べて有利である。また、これはディスプレイ装置が大型化するほどさらに有利になる。
【0123】
このように、薄膜蒸着アセンブリー900と基板500とが互いに相対的に移動しつつ蒸着が行われるためには、薄膜蒸着アセンブリー900と基板500とが一定距離ほど離隔することが望ましい。これについては、後述する。
【0124】
一方、チャンバ内で前記基板500と対向する側には、蒸着物質915が収納及び加熱される蒸着源910が配される。前記蒸着源910内に収納されている蒸着物質915が気化することで基板500に蒸着が行われる。
【0125】
さらに詳細には、蒸着源910は、その内部に蒸着物質915が満たされる坩堝911と、坩堝911を加熱させて坩堝911の内部に満たされた蒸着物質915を坩堝911の一側、さらに詳細には、蒸着源ノズル部920側に蒸発させるためのヒータ912とを備える。
【0126】
蒸着源910の一側、詳細には、蒸着源910から基板500に向かう側には蒸着源ノズル部920が配される。そして、蒸着源ノズル部920には、Y軸方向、すなわち、基板500のスキャン方向に沿って複数の蒸着源ノズル921が形成される。ここで、前記複数の蒸着源ノズル921は等間隔で形成されうる。蒸着源910内で気化した蒸着物質915は、このような蒸着源ノズル部920を通過して被蒸着体である基板500側に向かう。このように、蒸着源ノズル部920上にY軸方向、すなわち、基板500のスキャン方向に沿って複数の蒸着源ノズル921が形成する場合、パターニングスリットシート950のそれぞれのパターニングスリット951を通過する蒸着物質により形成されるパターンのサイズは、蒸着源ノズル921の一つのサイズのみに影響されるので(すなわち、X軸方向には蒸着源ノズル921が一つだけ存在するので)、陰影が発生しなくなる。また、複数の蒸着源ノズル921がスキャン方向に存在するので、個別蒸着源ノズル間のフラックス差が発生しても、その差が相殺されて蒸着均一度が一定に維持される効果を得ることができる。
【0127】
一方、蒸着源910と基板500との間には、パターニングスリットシート950及びフレーム955がさらに備えられる。フレーム955は、窓枠状に形成され、その内側にパターニングスリットシート950が結合される。そして、パターニングスリットシート950には、X軸方向に沿って複数のパターニングスリット951が形成される。蒸着源910内で気化した蒸着物質915は、蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950を通過して被蒸着体である基板500側に向かうようになる。この時、前記パターニングスリットシート950は、従来のFMM、特にストライプタイプのマスクの製造方法と同じ方法であるエッチングを通じて製作されうる。この時、蒸着源ノズル921の総数よりパターニングスリット951の総数がさらに多く形成されうる。
【0128】
一方、前述した蒸着源910及びこれと結合された蒸着源ノズル部920とパターニングスリットシート950とは、互いに一定距離ほど離隔するように形成され、蒸着源910及びこれと結合された蒸着源ノズル部920とパターニングスリットシート950とは、連結部材935によって互いに連結されうる。すなわち、蒸着源910、蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950が連結部材935により連結されて、互いに一体に形成されうる。ここで、連結部材935は、蒸着源ノズル921を通じて排出される蒸着物質が分散されないように蒸着物質の移動経路をガイドできる。図面には、連結部材935が蒸着源910、蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950の左右方向のみに形成されて、蒸着物質のX軸方向のみをガイドすると図示されているが、これは図示の便宜のためのものであって、本発明の思想はこれに制限されず、連結部材935がボックス状の密閉型に形成されて、蒸着物質のX軸方向及びY軸方向移動を同時にガイドすることもできる。
【0129】
前述したように、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー900は、基板500に対して相対的に移動しつつ蒸着を行い、このように薄膜蒸着アセンブリー900が基板500に対して相対的に移動するために、パターニングスリットシート950は、基板500から一定距離ほど離隔するように形成される。
【0130】
さらに詳細には、従来のFMM蒸着方法では、基板に陰影を生じさせないために、基板にマスクを密着させて蒸着工程を進めた。しかし、このように基板にマスクを密着させる場合、基板とマスクとの接触による不良が発生するという問題点がある。また、マスクを基板に対して移動させられないため、マスクが基板と同じサイズに形成されねばならない。したがって、ディスプレイ装置の大型化につれてマスクのサイズも大きくならねばならないが、このような大型マスクを形成し難いという問題点がある。
【0131】
このような問題点を解決するために、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー900では、パターニングスリットシート950を、被蒸着体である基板500と所定間隔をおいて離隔するように配させる。
【0132】
このような本発明によってマスクを基板より小さく形成した後、マスクを基板に対して移動させつつ蒸着を行うことで、マスク製作が容易になる効果を得ることができる。また、基板とマスクとの接触による不良を防止する効果を得ることができる。また、工程で基板とマスクとを密着させる時間が不要になるため、製造速度が向上する効果を得ることができる。
【0133】
図18は、本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリーを示す図面である。図面を参照すれば、本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリーは、蒸着源910、蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950を備える。ここで、蒸着源910は、その内部に蒸着物質915が満たされる坩堝911と、坩堝911を加熱させて、坩堝911の内部に満たされた蒸着物質915を蒸着源ノズル部920側に蒸発させるためのヒータ912とを備える。一方、蒸着源910の一側には蒸着源ノズル部920が配され、蒸着源ノズル部920にはY軸方向に沿って複数の蒸着源ノズル921が形成される。一方、蒸着源910と基板500との間には、パターニングスリットシート950及びフレーム955がさらに備えられ、パターニングスリットシート950には、X軸方向に沿って複数のパターニングスリット951が形成される。そして、蒸着源910及び蒸着源ノズル部920とパターニングスリットシート950とは、連結部材935によって結合される。
【0134】
本実施形態では、蒸着源ノズル部920に形成された複数の蒸着源ノズル921が所定角度チルトされて配されるという点で、前述した実施形態と区別される。詳細には、蒸着源ノズル921は2列の蒸着源ノズル921a、921bで形成され、前記2列の蒸着源ノズル921a、921bは交互に配される。この時、蒸着源ノズル921a、921bは、XZ平面上で所定角度傾くようにチルトされて形成されうる。
【0135】
すなわち、本実施形態では、蒸着源ノズル921a、921bを所定角度チルトして配する。ここで、第1列の蒸着源ノズル921aは、第2列の蒸着源ノズル921bに向かうようにチルトされ、第2列の蒸着源ノズル921bは、第1列の蒸着源ノズル921aに向かうようにチルトされうる。言い換えれば、左側列に配された蒸着源ノズル921aは、パターニングスリットシート950の右側端部に向かうように配され、右側列に配された蒸着源ノズル921bは、パターニングスリットシート950の左側端部に向かうように配されうる。
【0136】
図19は、本発明による薄膜蒸着アセンブリーで蒸着源ノズルをチルトさせていない時、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面であり、図20は、本発明による薄膜蒸着アセンブリーで蒸着源ノズルをチルトさせた時、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面である。図19と図20とを比較すれば、蒸着源ノズルをチルトさせた時、基板の両端部に成膜される蒸着膜の厚さが相対的に増大して、蒸着膜の均一度が上昇することが分かる。
【0137】
このような構成によって、基板の中央と端部とでの成膜厚さ差が低減して、全体的な蒸着物質の厚さが均一になるように蒸着量を制御でき、さらには、材料利用効率が増大する効果を得ることができる。
【0138】
ここで、本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着装置では、2対のガイドレール及び前記それぞれのガイドレールに結合される複数のガイドブロックを備え、いずれか一つのガイドレールに沿って移送される基板に蒸着が行われる間、残りの一つのガイドレールに沿ってガイドブロックをローディング部に原位置させることで、基板の位置精密度を向上させると同時に、休止期間なしに連続的に蒸着を行わせることを一特徴とする。これについては、第1実施形態で詳細に説明したので、本実施形態ではその詳細な説明は省略する。
【0139】
図21は、本発明の蒸着装置を用いて製造されたアクティブマトリックス型有機発光表示装置の断面を図示したものである。
【0140】
図21を参照すれば、前記アクティブマトリス型の有機発光表示装置は基板30上に形成される。前記基板30は透明な素材、例えば、ガラス材、プラスチック材、または金属材で形成されうる。前記基板30上には、全体的にバッファ層のような絶縁膜31が形成されている。
【0141】
前記絶縁膜31上には、図21に示したようなTFT 40と、キャパシタ50と、有機発光素子60とが形成される。
【0142】
前記絶縁膜31の上面には、所定パターンで配列された半導体活性層41が形成されている。前記半導体活性層41は、ゲート絶縁膜32によって埋め立てられている。前記活性層41は、p型またはn型の半導体で備えられうる。
【0143】
前記ゲート絶縁膜32の上面には、前記活性層41と対応する所にTFT 40のゲート電極42が形成される。そして、前記ゲート電極42を覆うように層間絶縁膜33が形成される。前記層間絶縁膜33が形成された後には、ドライエッチングのエッチング工程によって、前記ゲート絶縁膜32と層間絶縁膜33とをエッチングしてコンタクトホールを形成させて、前記活性層41の一部を露出させる。
【0144】
次いで、前記層間絶縁膜33上にソース/ドレイン電極43が形成されるが、コンタクトホールを通じて露出された活性層41に接触するように形成される。前記ソース/ドレイン電極43を覆うように保護膜34が形成され、エッチング工程を通じて前記ドレイン電極43の一部を露出させる。前記保護膜34上には、保護膜34の平坦化のために別途の絶縁膜をさらに形成してもよい。
【0145】
一方、前記有機発光素子60は、電流のフローによって赤、緑、青色の光を発光して所定の画像情報を表示するためのものであって、前記保護膜34上に第1電極61を形成する。前記第1電極61は、TFT 40のドレイン電極43と電気的に連結される。
【0146】
そして、前記第1電極61を覆うように画素定義膜35が形成される。この画素定義膜35に所定の開口64を形成した後、この開口64で限定された領域内に有機発光膜63を形成する。有機発光膜63上には第2電極62を形成する。
【0147】
前記画素定義膜35は各画素を区切るものであって、有機物で形成されて、第1電極61が形成されている基板の表面、特に、保護層34の表面を平坦化する。
【0148】
前記第1電極61と第2電極62とは互いに絶縁されており、有機発光膜63に相異なる極性の電圧を加えて発光がなされるようにする。
【0149】
前記有機発光膜63は、低分子または高分子有機物が使われうるが、低分子有機物を使用する場合、ホール注入層(HIL:Hole Injection Layer)、ホール輸送層(HTL:Hole Transport Layer)、発光層(EML:Emission Layer)、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)、電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)などが単一あるいは複合の構造で積層されて形成され、使用可能な有機材料も銅フタロシアニン(CuPc)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)などをはじめとして多様に適用できる。これら低分子有機物は、図1ないし図3に示した蒸着装置及び蒸着ソースユニット10を用いて真空蒸着の方法で形成されうる。
【0150】
まず、画素定義膜35に開口64を形成した後、この基板30を図1のようにチャンバ20内に移送する。そして、第1蒸着ソース11と第2蒸着ソース12とに目標有機物を収納した後、蒸着する。この時、ホストとドーパントとを同時に蒸着させる場合には、第1蒸着ソース11と第2蒸着ソース12とにそれぞれホスト物質とドーパント物質とを収納して蒸着させる。
【0151】
このような有機発光膜を形成した後には、第2電極62も同じ蒸着工程で形成できる。
【0152】
一方、前記第1電極61はアノード電極の機能を行い、前記第2電極62はカソード電極の機能を行えるが、もちろん、これら第1電極61と第2電極62との極性は逆になってもよい。そして、第1電極61は、各画素の領域に対応するようにパターニングされ、第2電極62は、あらゆる画素を覆うように形成されうる。
【0153】
前記第1電極61は、透明電極または反射型電極で備えられうるが、透明電極として使われる時には、ITO、IZO、ZnO、またはInで備えられ、反射型電極として使われる時には、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、及びこれらの化合物などで反射層を形成した後、その上にITO、IZO、ZnO、またはInに透明電極層を形成できる。このような第1電極61は、スパッタリング方法などにより成膜された後、フォトリソグラフィ法などによりパターニングされる。
【0154】
一方、前記第2電極62も透明電極または反射型電極で備えられうるが、透明電極として使われる時には、この第2電極62がカソード電極として使われるので、仕事関数の小さな金属、すなわち、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、及びこれらの化合物が有機発光膜63の方向に向かうように蒸着した後、その上にITO、IZO、ZnO、またはInなどで補助電極層やバス電極ラインを形成できる。そして、反射型電極として使われる時には、前記Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、及びこれらの化合物を全面蒸着して形成する。この時、蒸着は前述した有機発光膜63の場合と同じ方法で行える。
【0155】
本発明はこれ以外にも、有機TFTの有機膜または無期膜などの蒸着にも使用できて、その他に多様な素材の成膜工程に適用できる。
【0156】
本発明は図面に図示された実施形態を参考として説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるだろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって定められねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0157】
本発明は、薄膜蒸着装置及びこれを用いた有機発光表示装置関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0158】
100 薄膜蒸着アセンブリー
110 蒸着源
120 蒸着源ノズル部
130 遮断板アセンブリー
131 遮断板
132 遮断板フレーム
150 パターニングスリットシート
155 フレーム
500 基板
600 静電チャック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被蒸着用基板を静電チャックで固定させるローディング部と、
チャンバと、前記チャンバの内部に配され、かつ前記静電チャックに固定された基板に薄膜を蒸着する薄膜蒸着アセンブリーを備える蒸着部と、
前記静電チャックから蒸着が完了した前記基板を分離させるアンローディング部と、
前記基板が固定された静電チャックを前記ローディング部、蒸着部及びアンローディング部に順次移動させる第1循環部と、を備え、
前記第1循環部は、互いに平行に形成された2対の第1ガイドレール及び第2ガイドレールと、前記第1ガイドレールに結合する一つ以上の第1ガイドブロックと、前記第2ガイドレールに結合する一つ以上の第2ガイドブロックとを備えることを特徴とする薄膜蒸着装置。
【請求項2】
前記2対の第1ガイドレール及び第2ガイドレールは、前記チャンバに貫設されるが、前記1対の第1ガイドレールが前記1対の第2ガイドレールの外側に配されるように形成し、
前記第1ガイドブロックは、前記第1ガイドレールに沿って直線往復動し、
前記第2ガイドブロックは、前記第2ガイドレールに沿って直線往復動することを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項3】
前記基板を固定している前記静電チャックが前記第1ガイドブロックまたは第2ガイドブロック上に配されて、前記基板が前記第1ガイドレールまたは前記第2ガイドレールに沿って直線往復動することを特徴とする請求項2に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項4】
前記第1ガイドブロックと前記第2ガイドブロックとは、互いに独立して直線往復動することを特徴とする請求項2に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項5】
前記静電チャックは、前記第1ガイドブロック上に配される第1静電チャックと、前記第2ガイドブロック上に配される第2静電チャックと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項6】
前記第1静電チャックで、前記第2ガイドブロックと対向する領域には第1陥没部が形成され、
前記第2静電チャックで、前記第1ガイドブロックと対向する領域には第2陥没部が形成されることを特徴とする請求項5に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項7】
前記第1静電チャックと前記第2ガイドブロックとは、互いに一定距離ほど離隔するように形成され、
前記第2静電チャックと前記第1ガイドブロックとは、互いに一定距離ほど離隔するように形成されることを特徴とする請求項5に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項8】
前記第1ガイドレール及び第2ガイドレールは、LMレールであり、前記第1ガイドブロック及び第2ガイドブロックは、LMブロックであることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項9】
前記チャンバ内部に複数の薄膜蒸着アセンブリーが備えられたことを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項10】
前記チャンバは、その内部に複数の薄膜蒸着アセンブリーがそれぞれ備えられた第1チャンバと第2チャンバとを備え、前記第1チャンバと第2チャンバとが互いに連係された請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項11】
前記薄膜蒸着アセンブリーは、
蒸着物質を放射する蒸着源と、
前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の蒸着源ノズルが形成された蒸着源ノズル部と、
前記蒸着源ノズル部と対向して配され、前記第1方向に沿って複数のパターニングスリットが配されるパターニングスリットシートと、
前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間に、前記第1方向に沿って配されて、前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間の空間を複数の蒸着空間に区切る複数の遮断板を備える遮断板アセンブリーと、を備え、
前記薄膜蒸着アセンブリーは前記基板と離隔するように配され、
前記薄膜蒸着アセンブリーと前記基板とは、互いに相対的に移動することを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項12】
前記薄膜蒸着アセンブリーの前記パターニングスリットシートは、前記基板より小さく形成されることを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項13】
前記複数の遮断板それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直な第2方向に沿って延びるように形成されたことを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項14】
前記複数の遮断板は等間隔で配されることを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項15】
前記遮断板アセンブリーは、複数の第1遮断板を備える第1遮断板アセンブリーと、複数の第2遮断板を備える第2遮断板アセンブリーと、を備えることを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項16】
前記複数の第1遮断板及び前記複数の第2遮断板それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直な第2方向に沿って延びるように形成されたことを特徴とする請求項15に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項17】
前記複数の第1遮断板及び前記複数の第2遮断板それぞれは、互いに対応するように配されることを特徴とする請求項16に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項18】
前記互いに対応する第1遮断板及び第2遮断板は、実質的に同じ平面上に位置するように配されることを特徴とする請求項17に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項19】
前記薄膜蒸着アセンブリーは、
蒸着物質を放射する蒸着源と、
前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の蒸着源ノズルが形成される蒸着源ノズル部と、
前記蒸着源ノズル部と対向して配され、前記第1方向に対して垂直な第2方向に沿って複数のパターニングスリットが形成されるパターニングスリットシートと、を備え、
前記基板が前記薄膜蒸着装置に対して前記第1方向に沿って移動しつつ蒸着が行われ、
前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリットシートは一体に形成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項20】
前記蒸着源及び前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとは、連結部材により結合されて一体に形成されることを特徴とする請求項19に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項21】
前記連結部材は、前記蒸着物質の移動経路をガイドすることを特徴とする請求項20に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項22】
前記連結部材は、前記蒸着源及び前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間の空間を外部から密閉するように形成されることを特徴とする請求項20に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項23】
前記薄膜蒸着装置は、前記基板と所定ほど離隔するように形成されることを特徴とする請求項19に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項24】
前記基板が前記薄膜蒸着装置に対して前記第1方向に沿って移動しつつ、前記基板上に前記蒸着物質が連続的に蒸着されることを特徴とする請求項19に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項25】
前記薄膜蒸着装置の前記パターニングスリットシートは、前記基板より小さく形成されることを特徴とする請求項19に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項26】
前記複数の蒸着源ノズルは、所定角度チルトされるように形成されることを特徴とする請求項19に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項27】
前記複数の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された二列の蒸着源ノズルを備え、前記二列の蒸着源ノズルは、互いに対向する方向にチルトされていることを特徴とする請求項26に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項28】
前記複数の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された二列の蒸着源ノズルを備え、
前記二列の蒸着源ノズルのうち、第1側に配された蒸着源ノズルは、パターニングスリットシートの第2側端部に向かうように配され、
前記二列の蒸着源ノズルのうち、第2側に配された蒸着源ノズルは、パターニングスリットシートの第1側端部に向かうように配されることを特徴とする請求項26に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項29】
被蒸着用基板を静電チャックで固定させるローディング部、前記基板に薄膜を蒸着する薄膜蒸着アセンブリーを備える蒸着部、及び前記静電チャックから蒸着が完了した前記基板を分離させるアンローディング部を備える薄膜蒸着装置を用いた有機発光表示装置の製造方法において、
前記ローディング部で前記基板を前記静電チャックで固定させる段階と、
第1ガイドレールに沿って移動するように形成された第1ガイドブロックまたは第2ガイドレールに沿って移動するように形成された第2ガイドブロック上に、前記基板が固定された前記静電チャックを配する段階と、
前記基板と前記薄膜蒸着アセンブリーとの相対的移動により、前記薄膜蒸着アセンブリーで放射された蒸着物質が前記基板に蒸着される段階と、
前記アンローディング部から前記静電チャックが、前記第1ガイドブロックまたは前記第2ガイドブロックから分離される段階と、
前記静電チャックが分離された前記第1ガイドブロックまたは前記第2ガイドブロックが、前記第1ガイドレールまたは前記第2ガイドレールに沿って前記ローディング部方向に移動する段階と、を含むことを特徴とする有機発光表示装置の製造方法。
【請求項30】
前記静電チャックは、前記第1ガイドブロック上に配される第1静電チャックと、前記第2ガイドブロック上に配される第2静電チャックと、を備えることを特徴とする請求項29に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項31】
前記第1静電チャックで、前記第2ガイドブロックと対向する領域には第1陥没部が形成され、
前記第2静電チャックで、前記第1ガイドブロックと対向する領域には第2陥没部が形成されることを特徴とする請求項30に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項32】
前記第1静電チャックと前記第2ガイドブロックとは、互いに一定距離ほど離隔するように形成され、
前記第2静電チャックと前記第1ガイドブロックとは、互いに一定距離ほど離隔するように形成されることを特徴とする請求項30に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項33】
前記第1ガイドレール及び第2ガイドレールはLMレールであり、前記第1ガイドブロック及び第2ガイドブロックはLMブロックであることを特徴とする請求項29に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項34】
前記チャンバ内部に複数の薄膜蒸着アセンブリーが備えられて、各薄膜蒸着アセンブリーにより前記基板に連続的に蒸着が行われることを特徴とする請求項29に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項35】
前記チャンバは、その内部に複数の薄膜蒸着アセンブリーがそれぞれ備えられ、互いに連係した第1チャンバと第2チャンバとを備え、前記基板が、前記第1チャンバ及び第2チャンバにわたって移動しつつ連続的に蒸着が行われることを特徴とする請求項29に記載の有機発光表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−219866(P2011−219866A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79343(P2011−79343)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】