薄膜蒸着装置
【課題】大型基板の量産工程に容易に適用でき、歩留まりが向上した薄膜蒸着装置を提供する。
【解決手段】蒸着物質115を放射する蒸着源110と、蒸着源110の一側に配され、複数の蒸着源ノズル121が形成された蒸着源ノズル部120と、蒸着源ノズル部120と対向して配され、複数のパターニングスリット151が配されるパターニングスリットシート150と、蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート150との間に配されて、蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート150との間の空間を複数の蒸着空間に区切る複数の遮断板131を備える遮断板アセンブリー130と、パターニングスリットシート150に対する基板500の相対的な位置を検出する位置検出部材と、基板500に対するパターニングスリットシート150の相対的な位置を変化させるアライン制御部材と、を備える薄膜蒸着装置。
【解決手段】蒸着物質115を放射する蒸着源110と、蒸着源110の一側に配され、複数の蒸着源ノズル121が形成された蒸着源ノズル部120と、蒸着源ノズル部120と対向して配され、複数のパターニングスリット151が配されるパターニングスリットシート150と、蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート150との間に配されて、蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート150との間の空間を複数の蒸着空間に区切る複数の遮断板131を備える遮断板アセンブリー130と、パターニングスリットシート150に対する基板500の相対的な位置を検出する位置検出部材と、基板500に対するパターニングスリットシート150の相対的な位置を変化させるアライン制御部材と、を備える薄膜蒸着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薄膜蒸着装置に係り、さらに詳細には、大型基板の量産工程に容易に適用でき、歩留まりが向上した薄膜蒸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置のうち、有機発光表示装置は、視野角が広くてコントラストが優秀なだけでなく応答速度が速いという長所を持っていて、次世代ディスプレイ装置として注目されている。
【0003】
有機発光表示装置は、互いに対向する第1電極と第2電極との間に発光層及びこれを含む中間層を備える。この時、前記電極及び中間層はいろいろな方法で形成されうるが、そのうち一つの方法が独立蒸着方式である。蒸着方法を用いて有機発光表示装置を製作するためには、薄膜などが形成される基板面に、形成される薄膜などのパターンと同じパターンを持つファインメタルマスク(fine metal mask:FMM)を密着させ、薄膜などの材料を蒸着して所定パターンの薄膜を形成する。
【0004】
しかし、かかるFMMを利用する方法は、5G以上のマザーガラスを使用する大面積化には適していない限界がある。すなわち、大面積マスクを使用すれば、自重によりマスクの曲げ現象が発生するが、この曲げ現象によるパターンの歪曲が発生しうるためである。これは、パターンに高精細を要する現在の傾向と背馳することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記のような従来のFMMを用いた蒸着方法の限界を乗り越えるためのものであって、大型基板の量産工程にさらに適しており、高精細のパターニングの可能な薄膜蒸着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、蒸着物質を放射する蒸着源と、前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の蒸着源ノズルが形成された蒸着源ノズル部と、前記蒸着源ノズル部と対向して配され、前記第1方向に沿って複数のパターニングスリットが配されるパターニングスリットシートと、前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間に前記第1方向に沿って配されて、前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間の空間を複数の蒸着空間に区切る複数の遮断板を備える遮断板アセンブリーと、前記パターニングスリットシートに対する前記基板の相対的な位置を検出する位置検出部材と、前記位置検出部材から検出された前記相対的な位置を用いて、前記基板に対する前記パターニングスリットシートの相対的な位置を変化させるアライン制御部材と、を備え、前記薄膜蒸着装置と前記基板とは互いに離隔するように配され、前記薄膜蒸着装置と前記基板とは互いに相対的に移動することを特徴とする薄膜蒸着装置を提供する。
【0007】
本発明において、前記パターニングスリットシートは第1アラインマークを備え、前記基板は第2アラインマークを備え、前記位置検出部材は、前記第1アラインマークと前記第2アラインマークとを撮影するカメラをさらに備える。
【0008】
ここで、前記第2アラインマークは、前記基板の移動方向と実質的に平行な一つ以上のストライプマークを備える。
ここで、前記カメラと前記パターニングスリットシートとの間に介し、前記カメラの焦点が結ばれる位置を制御する焦点制御部材をさらに備える。
ここで、前記焦点制御部材は回転自在に形成され、前記焦点制御部材上には、互いに屈折率の異なるように形成された第1ホールと第2ホールとがそれぞれ形成される。
ここで、前記第1ホール及び第2ホールのうちいずれか一側には透明体が介在する。
【0009】
ここで、前記第1ホールと前記第2ホールとが交互に前記カメラの光軸上に配される。
ここで、前記カメラは、光軸に沿って往復動しつつ映像を撮影できる。
本発明において、前記位置検出部材は、前記基板の移動方向と実質的に平行な方向にレーザーを照射するレーザー照射部材と、前記照射されるレーザーと同軸上に配され、所定形状の第3アラインマークが表示された一つ以上の測定部材と、をさらに備える。
【0010】
本発明において、前記アライン制御部材は、前記第1方向に沿って前記パターニングスリットシートが移動するように所定の駆動力を提供する、少なくとも2つの第1アクチュエータを備える。
本発明において、前記アライン制御部材は、前記基板の蒸着面と垂直な方向に沿って前記パターニングスリットシートが移動するように所定の駆動力を提供する、少なくとも3つの第2アクチュエータを備える。
【0011】
前記パターニングスリットシートは、前記基板より小さく形成される。
前記複数の遮断板それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直な第2方向に沿って延びるように形成される。
前記複数の遮断板は、等間隔で配される。
前記遮断板アセンブリーは、複数の第1遮断板を備える第1遮断板アセンブリーと、複数の第2遮断板を備える第2遮断板アセンブリーと、を備える。
【0012】
前記複数の第1遮断板及び前記複数の第2遮断板それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直な第2方向に沿って延びるように形成される。
前記複数の第1遮断板及び前記複数の第2遮断板それぞれは、互いに対応するように配される。
前記互いに対応する第1遮断板及び第2遮断板は、実質的に同じ平面上に位置するように配される。
【0013】
他の側面による本発明は、基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、蒸着物質を放射する蒸着源と、前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の蒸着源ノズルが形成される蒸着源ノズル部と、前記蒸着源ノズル部と対向して配され、 前記第1方向に対して垂直な第2方向に沿って複数のパターニングスリットが形成されるパターニングスリットシートと、前記パターニングスリットシートに対する前記基板の相対的な位置を検出する位置検出部材と、前記位置検出部材から検出された前記相対的な位置を用いて、前記基板に対する前記パターニングスリットシートの相対的な位置を変化させるアライン制御部材と、を備え、前記基板が前記薄膜蒸着装置に対して前記第1方向に沿って移動しつつ蒸着が行われ、前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリットシートは一体に形成されることを特徴とする薄膜蒸着装置を提供する。
【0014】
本発明において、前記パターニングスリットシートは第1アラインマークを備え、前記基板は第2アラインマークを備え、前記位置検出部材は、前記第1アラインマークと前記第2アラインマークとを撮影するカメラをさらに備える。
【0015】
ここで、前記第2アラインマークは、前記基板の移動方向と実質的に平行な一つ以上のストライプマークを備える。
ここで、前記カメラと前記パターニングスリットシートとの間に介在して、前記カメラの焦点が結ばれる位置を制御する焦点制御部材をさらに備える。
【0016】
ここで、前記焦点制御部材は回転自在に形成され、前記焦点制御部材上には、互いに屈折率の異なるように形成された第1ホールと第2ホールとがそれぞれ形成される。
ここで、前記第1ホール及び第2ホールのうちいずれか一側には透明体が介在する。
ここで、前記第1ホールと前記第2ホールとが交互に前記カメラの光軸上に配される。
【0017】
ここで、前記カメラは、光軸に沿って往復動しつつ映像を撮影する。
本発明において、前記位置検出部材は、前記基板の移動方向と実質的に平行な方向にレーザーを照射するレーザー照射部材と、前記照射されるレーザーと同軸上に配され、所定形状の第3アラインマークが表示された一つ以上の測定部材と、をさらに備える。
【0018】
本発明において、前記アライン制御部材は、前記第1方向に沿って前記パターニングスリットシートが移動するように所定の駆動力を提供する、少なくとも2つの第1アクチュエータを備える。
【0019】
本発明において、前記アライン制御部材は、前記基板の蒸着面と垂直な方向に沿って前記パターニングスリットシートが移動するように所定の駆動力を提供する、少なくとも3つの第2アクチュエータを備える。
ここで、前記蒸着源及び前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとは、連結部材により結合されて一体に形成される。
【0020】
ここで、前記連結部材は、前記蒸着物質の移動経路をガイドする。
ここで、前記連結部材は、前記蒸着源及び前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間の空間を外部から密閉するように形成される。
ここで、前記薄膜蒸着装置は、前記基板と所定程度離隔するように形成される。
【0021】
ここで、前記基板が前記薄膜蒸着装置に対して前記第1方向に沿って移動しつつ、前記基板上に前記蒸着物質が連続的に蒸着される。
ここで、前記薄膜蒸着装置の前記パターニングスリットシートは、前記基板より小さく形成される。
本発明において、前記複数の蒸着源ノズルは、所定角度チルトされるように形成される。
【0022】
ここで、前記複数の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された二列の蒸着源ノズルを備え、前記二列の蒸着源ノズルは、互いに対向する方向にチルトされている。
ここで、前記複数の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された二列の蒸着源ノズルを備え、前記二列の蒸着源ノズルのうち第1側に配された蒸着源ノズルは、パターニングスリットシートの第2側端部に向かうように配され、前記二列の蒸着源ノズルのうち第2側に配された蒸着源ノズルは、パターニングスリットシートの第1側端部に向かうように配される。
【発明の効果】
【0023】
本発明の薄膜蒸着装置によれば、製造が容易であり、大型基板の量産工程に容易に適用でき、歩留まり及び蒸着効率が向上し、蒸着物質のリサイクルが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置を概略的に図示したシステム構成図である。
【図2】図1の変形例を示す図面である。
【図3】図1の静電チャックの一例を示す概略図である。
【図4】図1の薄膜蒸着装置の薄膜蒸着アセンブリーを概略的に示す斜視図である。
【図5】図4の薄膜蒸着アセンブリーの概略的な側断面図である。
【図6】図4の薄膜蒸着アセンブリーの概略的な平断面図である。
【図7】図4の薄膜蒸着アセンブリーの基板及びパターニングスリットシートの背面と、前記基板の背面に表示されたアラインマークとを示す図面である。
【図8】図4の薄膜蒸着アセンブリーの焦点制御部材、カメラ及び基板間の関係を示す図面である。
【図9】図4の薄膜蒸着アセンブリーの焦点制御部材、カメラ及び基板間の関係を示す図面である。
【図10】図4の薄膜蒸着アセンブリーのレーザー照射部材、測定部材及び基板間の関係を示す図面である。
【図11】図1の薄膜蒸着装置で、リアルタイムアラインのために必要なカメラの配置を示す図面である。
【図12】図1の薄膜蒸着装置で、リアルタイムアラインのために必要なアクチュエータの配置を示す図面である。
【図13】図1の薄膜蒸着装置で、リアルタイムアラインのために必要なアクチュエータの配置を示す図面である。
【図14】本発明の他の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリーを概略的に示す斜視図である。
【図15】本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリーを概略的に示す斜視図である。
【図16】本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリーを概略的に示す斜視図である。
【図17】図16の薄膜蒸着アセンブリーで蒸着源ノズルをチルトさせていない時、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面である。
【図18】図16の薄膜蒸着アセンブリーで蒸着源ノズルをチルトさせた時、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面である。
【図19】本発明の蒸着装置を用いて製造されたアクティブマトリックス型有機発光表示装置の断面を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付した図面を参照して本発明による望ましい実施形態を詳細に説明すれば、次の通りである。
図1は、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置を概略的に図示したシステム構成図で、図2は、図1の変形例を図示したものである。図3は、静電チャック600の一例を示す概略図である。
【0026】
図1を参照すれば、本発明の一実施形態による薄膜蒸着装置は、ローディング部710、蒸着部730、アンローディング部720、第1循環部610及び第2循環部620を備える。
ローディング部710は、第1ラック712と、導入ロボット714と、導入室716と、第1反転室718を備えることができる。
【0027】
第1ラック712には、蒸着が行われる前の基板500が多く積載されており、導入ロボット714は、前記第1ラック712から基板500を捉えて第2循環部620から移送されてきた静電チャック600に基板500を載置した後、基板500が付着された静電チャック600を導入室716に移す。
【0028】
導入室716に隣接しては第1反転室718が備えられ、第1反転室718に位置した第1反転ロボット719が静電チャック600を反転させて、静電チャック600を蒸着部730の第1循環部610に装着する。
【0029】
静電チャック600は、図3から分かるように、セラミックからなる本体601の内部に電源が印加される電極602が埋め立てられたものであって、この電極602に高電圧が印加されることによって、本体601の表面に基板500を付着させる。
図1からみれば、導入ロボット714は、静電チャック600の上面に基板500を載せるようになり、この状態で静電チャック600は導入室716に移送され、第1反転ロボット719が静電チャック600を反転させることによって、蒸着部730では基板500が下方を向かうように位置する。
【0030】
アンローディング部720の構成は、前述したローディング部710の構成と逆に構成される。すなわち、蒸着部730を経た基板500及び静電チャック600を、第2反転室728で第2反転ロボット729が反転させて搬出室726に移送し、搬出ロボット724が搬出室726から基板500及び静電チャック600を取り出した後、基板500を静電チャック600から分離して第2ラック722に積載する。基板500と分離された静電チャック600は、第2循環部620を通じてローディング部710に回送される。
【0031】
しかし、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、基板500が静電チャック600に最初に固定される時から静電チャック600の下面に基板500を固定させて、そのまま蒸着部730に移送させてもよい。この場合、例えば、第1反転室718及び第1反転ロボット719と第2反転室728及び第2反転ロボット729は不要になる。
【0032】
蒸着部730は、少なくとも一つの蒸着用チャンバーを備える。図1による本発明の望ましい一実施形態によれば、前記蒸着部730は第1チャンバー731を備え、この第1チャンバー731内に複数の薄膜蒸着アセンブリー100、200、300、400が配される。図1に図示された本発明の望ましい一実施形態によれば、前記第1チャンバー731内に、第1薄膜蒸着アセンブリー100、第2薄膜蒸着アセンブリー200、第3薄膜蒸着アセンブリー300及び第4薄膜蒸着アセンブリー400の4つの薄膜蒸着アセンブリーが設置されているが、その数は、蒸着物質及び蒸着条件によって可変できる。前記第1チャンバー731は、蒸着が進まれる間に真空に維持される。
【0033】
また、図2による本発明の他の一実施形態によれば、前記蒸着部730は互いに関連された第1チャンバー731及び第2チャンバー732を備え、第1チャンバー731には第1、2薄膜蒸着アセンブリー100、200が、第2チャンバー732には第3、4薄膜蒸着アセンブリー300、400が配されうる。この時、チャンバーの数が追加されうるということは言うまでもない。
【0034】
一方、図1による本発明の望ましい一実施形態によれば、前記基板500が固定された静電チャック600は、第1循環部610により、少なくとも蒸着部730に、望ましくは、前記ローディング部710、蒸着部730及びアンローディング部720に順次移動し、前記アンローディング部720で基板500と分離された静電チャック600は、第2循環部620により前記ローディング部710に戻される。
【0035】
次いで、本発明の一実施形態による薄膜蒸着装置の薄膜蒸着アセンブリー100を説明する。図4は、図1の薄膜蒸着装置の薄膜蒸着アセンブリーを概略的に示す斜視図であり、図5は、図4の薄膜蒸着アセンブリーの概略的な側断面図であり、図6は、図4の薄膜蒸着アセンブリーの概略的な平断面図である。
【0036】
図4ないし図6を参照すれば、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100は、蒸着源110、蒸着源ノズル部120、遮断板アセンブリー130及びパターニングスリット151を備える。また、本発明の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリー100は、カメラ170、焦点制御部材180、レーザー照射部材190などを備える位置検出部材と、アクチュエータ(図12及び図13参照)などを備えるアライン制御部材とをさらに備える。このような位置検出部材とアライン制御部材とについては、後で詳細に説明する。
【0037】
ここで、図4ないし図6には、説明の便宜のためにチャンバーを図示していないが、図4ないし図6のあらゆる構成は、適切な真空度が維持される第1チャンバー内に配されることが望ましい。これは蒸着物質の直進性を確保するためである。
【0038】
さらに詳細には、蒸着源110から放出された蒸着物質115を、蒸着源ノズル部120及びパターニングスリット151を通過して基板500に所望のパターンで蒸着させるためには、基本的にチャンバー(図示せず)の内部は高真空状態を維持せねばならない。また遮断板131及びパターニングスリットシート150の温度が蒸着源110温度より十分に低くて初めて(約100゜以下)、蒸着源ノズル121とパターニングスリット151との間の空間を高真空状態に維持できる。このように、遮断板アセンブリー130とパターニングスリットシート150との温度が十分に低ければ、所望しない方向に放射される蒸着物質115はいずれも遮断板アセンブリー130面に吸着されて高真空を維持できるため、蒸着物質間の衝突が発生しなくて蒸着物質の直進性を確保できるようになる。この時、遮断板アセンブリー130は高温の蒸着源110に向かっており、蒸着源110と近い所は最大167゜ほどに温度が上昇するため、必要な場合に部分冷却装置(図示せず)がさらに備えられうる。
【0039】
このような第1チャンバー内には、被蒸着体である基板500が静電チャック600により移送される。前記基板500は平板表示装置用基板になりうるが、複数の平板表示装置を形成できるマザーガラスのような大面積基板が適用されうる。
【0040】
ここで、本発明の一実施形態では、基板500が薄膜蒸着アセンブリー100に対して相対的に移動するが、望ましくは、薄膜蒸着アセンブリー100に対して基板500をA方向に移動させることができる。
さらに詳細には、既存のFMM蒸着方法では、マスクのサイズが基板サイズと同一またはそれより大きくなければならなかった。したがって、基板サイズが増大するほどマスクも大型化せねばならず、したがって、このような大型のマスクの製作が容易でなく、マスクを引っ張って精密なパターンでアラインすることも容易でないという問題点があった。
【0041】
このような問題点を解決するために、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100は、薄膜蒸着アセンブリー100と基板500とが互いに相対的に移動しつつ蒸着が行われることを一特徴とする。言い換えれば、薄膜蒸着アセンブリー100と対向するように配された基板500が、Y軸方向に沿って移動しつつ連続的に蒸着を行う。すなわち、基板500が図4の矢印A方向に移動しつつ、スキャニング方式で蒸着が行われることである。ここで、図面には、基板500がチャンバー(図示せず)内でY軸方向に移動しつつ蒸着が行われると図示されているが、本発明の思想はこれに制限されず、基板500は固定されていて、薄膜蒸着アセンブリー100自体がY軸方向に移動しつつ蒸着を行うことも可能であるといえる。
【0042】
したがって、本発明の薄膜蒸着アセンブリー100では、従来のFMMに比べて非常に小さくパターニングスリットシート150を作ることができる。すなわち、本発明の薄膜蒸着アセンブリー100の場合、基板500がY軸方向に沿って移動しつつ連続的に、すなわち、スキャニング方式で蒸着を行うため、パターニングスリットシート150のX軸方向への幅と、基板500のX軸方向への幅のみ実質的に同一に形成されれば、パターニングスリットシート150のY軸方向の長さは、基板500の長さより非常に小さく形成されても構わない。もちろん、パターニングスリットシート150のX軸方向への幅が基板500のX軸方向への幅より小さく形成されるとしても、基板500と薄膜蒸着アセンブリー100との相対的移動によるスキャニング方式により、十分に基板500全体に対して蒸着が行えるようになる。
【0043】
このように、従来のFMMに比べて非常に小さくパターニングスリットシート150を作ることができるため、本発明のパターニングスリットシート150はその製造が容易である。すなわち、パターニングスリットシート150のエッチング作業や、その後の精密引張及び溶接作業、移動及び洗浄作業などのあらゆる工程で、小サイズのパターニングスリットシート150がFMM蒸着方法に比べて有利である。また、これはディスプレイ装置が大型化するほどさらに有利になる。
【0044】
このように、薄膜蒸着アセンブリー100と基板500とが互いに相対的に移動しつつ蒸着が行われるためには、薄膜蒸着アセンブリー100と基板500とが一定程度離隔することが望ましい。これについては、後で詳細に記述する。
一方、第1チャンバー内で前記基板500と対向する側には、蒸着物質115が収納及び加熱される蒸着源110が配される。
【0045】
前記蒸着源110は、その内部に蒸着物質115が満たされる坩堝112と、この坩堝112を取り囲む冷却ブロック111とが備えられる。冷却ブロック111は、坩堝112からの熱が外部、すなわち、第1チャンバーの内部に発散されることを最大限抑制するためのものであり、この冷却ブロック111には、坩堝111を加熱させるヒーター(図示せず)が備えられている。
【0046】
蒸着源110の一側、さらに詳細には、蒸着源110から基板500に向かう側には蒸着源ノズル部120が配される。そして、蒸着源ノズル部120には、X軸方向に沿って複数の蒸着源ノズル121が形成される。ここで、前記複数の蒸着源ノズル121は等間隔で形成されうる。蒸着源110内で気化した蒸着物質115は、このような蒸着源ノズル部120の蒸着源ノズル121を通過して被蒸着体である基板500側に向かうようになる。
【0047】
蒸着源ノズル部120の一側には遮断板アセンブリー130が備えられる。前記遮断板アセンブリー130は、複数の遮断板131と、遮断板131の外側に備えられる遮断板フレーム132とを備える。前記複数の遮断板131は、X軸方向に沿って互いに平行に配されうる。ここで、前記複数の遮断板131は等間隔で形成されうる。また、それぞれの遮断板131は、図面からみた時にYZ平面に沿って延びており、望ましくは、長方形に形成されうる。このように配された複数の遮断板131は、蒸着源ノズル部120とパターニングスリット150との間の空間を複数の蒸着空間Sに区切る。すなわち、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100は、前記遮断板131によって、図6から分かるように、蒸着物質が噴射されるそれぞれの蒸着源ノズル121別に蒸着空間Sが分離される。
【0048】
ここで、それぞれの遮断板131は、互いに隣接している蒸着源ノズル121の間に配されうる。これは、言い換えれば、互いに隣接している遮断板131の間に一つの蒸着源ノズル121が配されることである。望ましくは、蒸着源ノズル121は、互いに隣接している遮断板131の間の正中央に位置できる。しかし、本発明は必ずしもこれに限定されず、互いに隣接している遮断板131の間に複数の蒸着源ノズル121が配されてもよい。ただし、この場合にも、複数の蒸着源ノズル121を、互いに隣接している遮断板131の間のほぼ中央に位置させることが望ましい。
【0049】
このように、遮断板131が、蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート150との間の空間を複数の蒸着空間Sに区切ることによって、一つの蒸着源ノズル121から排出される蒸着物質は他の蒸着源ノズル121から排出された蒸着物質と混合されず、パターニングスリット151を通過して基板500に蒸着されることである。すなわち、前記遮断板131は、各蒸着源ノズル121を通じて排出される蒸着物質が分散されずに直進性を維持するように、蒸着物質のZ軸方向の移動経路をガイドする役割を行う。
【0050】
このように、遮断板131を備えて蒸着物質の直進性を確保することによって、基板に形成される陰影(shadow)のサイズを大幅に縮小することができ、したがって、薄膜蒸着アセンブリー100と基板500とを一定程度離隔させることができる。これについては、後述する。
【0051】
一方、前記複数の遮断板131の外側には遮断板フレーム132がさらに備えられうる。遮断板フレーム132は、複数の遮断板131の側面にそれぞれ備えられて、複数の遮断板131の位置を固定すると同時に、蒸着源ノズル121を通じて排出される蒸着物質がY軸方向に分散されないように、蒸着物質のY軸方向の移動経路をガイドする役割を行う。
【0052】
前記蒸着源ノズル部120と遮断板アセンブリー130とは、一定程度離隔することが望ましい。これにより、蒸着源110から発散される熱が遮断板アセンブリー130に伝導されることを防止できる。しかし、本発明の思想はこれに制限されない。すなわち、蒸着源ノズル部120と遮断板アセンブリー130との間に適切な断熱手段が備えられる場合、蒸着源ノズル部120と遮断板アセンブリー130とが結合して接触してもよい。
【0053】
一方、前記遮断板アセンブリー130は、薄膜蒸着アセンブリー100から着脱自在に形成されうる。本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100では、遮断板アセンブリー130を用いて蒸着空間を外部空間と分離したので、基板500に蒸着されていない蒸着物質は、ほぼ遮断板アセンブリー130内に蒸着される。したがって、遮断板アセンブリー130を薄膜蒸着アセンブリー100から着脱自在に形成して、長時間蒸着後に遮断板アセンブリー130に蒸着物質が多く溜まれば、遮断板アセンブリー130を薄膜蒸着アセンブリー100から分離して、別途の蒸着物質リサイクル装置に入れて蒸着物質を回収できる。このような構成を通じて、蒸着物質リサイクル率を高めることによって、蒸着効率が向上してコストダウンとなる効果が得られる。
【0054】
一方、蒸着源110と基板500との間には、パターニングスリットシート150及びフレーム155がさらに備えられる。前記フレーム155は、窓枠状に形成され、その内側にパターニングスリットシート150が結合される。そして、パターニングスリットシート150には、X軸方向に沿って複数のパターニングスリット151が形成される。各パターニングスリット151は、Y軸方向に沿って延びている。蒸着源110内で気化して蒸着源ノズル121を通過した蒸着物質115は、パターニングスリット151を通過して被蒸着体である基板500側に向かう。
【0055】
前記パターニングスリットシート150は金属薄板で形成され、引張された状態でフレーム155に固定される。前記パターニングスリット151は、ストライプタイプでパターニングスリットシート150に、エッチングを通じて形成される。
【0056】
ここで、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100は、蒸着源ノズル121の総数よりパターニングスリット151の総数がさらに多く形成される。また、互いに隣接している2つの遮断板131の間に配された蒸着源ノズル121の数よりパターニングスリット151の数がさらに多く形成される。前記パターニングスリット151の数は、基板500に形成される蒸着パターンの数に対応させることが望ましい。
【0057】
一方、前述した遮断板アセンブリー130とパターニングスリットシート150とは、互いに一定程度離隔するように形成され、遮断板アセンブリー130とパターニングスリットシート150とは、別途の連結部材135によって互いに連結されうる。さらに詳細には、高温状態の蒸着源110により遮断板アセンブリー130の温度は最大100℃以上上昇するため、上昇した遮断板アセンブリー130の温度がパターニングスリットシート150に伝導されないように、遮断板アセンブリー130とパターニングスリットシート150とを一定ほど離隔させることである。
【0058】
前述したように、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100は、基板500に対して相対的に移動しつつ蒸着を行い、このように薄膜蒸着アセンブリー100が基板500に対して相対的に移動するために、パターニングスリットシート150は、基板500から一定程度離隔するように形成される。そして、パターニングスリットシート150と基板500とを離隔させる場合に発生する陰影問題を解決するために、蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート150との間に遮断板131を備えて蒸着物質の直進性を確保することによって、基板に形成される陰影のサイズを大幅に縮小させたことである。
【0059】
従来のFMM蒸着方法では、基板に陰影が生じないようにするために、基板にマスクを密着させて蒸着工程を進めた。しかし、このように基板にマスクを密着させる場合、基板とマスクとの接触により基板に既に形成されていたパターンが掻かれるなど不良が発生するという問題点が存在している。また、マスクを基板に対して移動させることができないため、マスクが基板と同じサイズに形成されねばならない。したがって、ディスプレイ装置が大型化することによってマスクのサイズも大きくならねばならないが、このような大型マスクを形成し難いという問題点が存在している。
【0060】
このような問題点を解決するために、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100では、パターニングスリットシート150を、被蒸着体である基板500と所定間隔をおいて離隔するように配させる。これは、遮断板131を備えて、基板500に生成される陰影が小さくなることによって実現可能になる。
【0061】
このような本発明によってパターニングスリットシートを基板より小さく形成した後、このパターニングスリットシートを基板に対して相対移動させることによって、従来FMM方法のように大きいマスクを製作する必要がなくなった。また、基板とパターニングスリットシートとの間が離隔されているため、相互接触による不良を防止する効果が得られる。また、工程で基板とパターニングスリットシートとを密着させる時間が不要になるため、製造速度が向上する効果が得られる。
【0062】
以下では、本発明の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリー100のアライン精度と間隔精度とを満たすための位置検出部材とアライン制御部材とについて詳細に説明する。
【0063】
前述したように、本発明の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリー100は、パターニングスリットシート150が基板500から一定程度離隔するように形成され、パターニングスリットシート150が基板500に対してZ軸方向に相対的に移動しつつ蒸着が行われることを特徴とする。ところが、このようにパターニングスリットシート150が移動しつつ精密な薄膜をパターニングするためには、パターニングスリットシート150と基板500との位置精度が非常に重要である。また、パターニングスリットシート150と基板500との間隔が変動すればパターン位置が揺れるため、可能な限り一定の間隔(例えば、100μm)を維持せねばならない。このために、本発明の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリー100は、位置検出部材とアライン制御部材とを備えて、パターニングスリットシート150と基板500との精密な位置を検出し、これら相互間を整列させることを一特徴とする。
【0064】
図4ないし図6に図示されたように、本発明の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリー100はカメラ170と焦点制御部材180とを備え、このようなカメラ170と焦点制御部材180とを用いて、薄膜蒸着アセンブリー100と基板500との間隔を正確に検出する。
【0065】
さらに詳細には、カメラ170は、フレーム155に形成された第1アラインマーク159と、基板500の背面上に形成された第2アラインマーク(図7の501参照)とをリアルタイムで測定する。前記カメラ170は、蒸着の進行中の真空チャンバー内で円滑な視野確保ができるように備えられる。
【0066】
基板500及びパターニングスリットシート150の背面と、前記基板500の背面上に表示された第2アラインマーク501とを図示した図7を参照すれば、基板500の背面エッジには、ストライプ状の第2アラインマーク501が複数形成されている。前記複数の第2アラインマーク501は、基板500の進行方向、すなわち、図7の矢印Y方向と平行に形成されており、フレーム155に形成された第1アラインマーク159と対応する位置に形成されている。すなわち、カメラ170は、フレーム155に形成された第1アラインマーク159を通じて基板500の第2アラインマーク501を撮影することである。
【0067】
この時、前記第2アラインマーク501がストライプ状に形成される理由は、次の通りである。一般的に従来の薄膜蒸着装置では、アラインマークとして円、十字、方形などのマークを使用した。このような形状のマークは停止状態の基板をアラインする場合には使用できるが、本発明のように基板が移動する場合には、カメラを通じて獲得される映像が一定でないため、その適用が容易ではない。したがって、本発明では簡潔なストライプ状のアラインマークを備えて、基板が移動する途中でもカメラを通じて獲得される映像を一定にして、基板の移動中にもリアルタイムでアライン可能にすることを一特徴とする。
【0068】
一方、本発明では、基板500とパターニングスリットシート150とが一定程度離隔しているところ、一つのカメラ170を用いて、相異なる位置にある基板500までの距離とパターニングスリットシート150までの距離とを共に測定せねばならない。その方法は、次の通りである。
【0069】
まず、図4、図8及び図9に図示されたような焦点制御部材180を、カメラ170と基板500との間に配する。ここで、前記焦点制御部材180は、概略扁平な円板状に形成され、円板上に2つのホール181、182が形成されている。ここで、第1ホール181は、空いている空間の状態で何も満たされていないが、第2ホール182にはガラスなどの透明な物体が挟み込まれる。すなわち、第1ホール181が形成された領域と第2ホール182が形成された領域との屈折率が相異なる。そして、前記焦点制御部材180は、図8の矢印R方向に回転自在に備えられる。
【0070】
したがって、焦点制御部材180が回転することによって、カメラ170の直下方に第1ホール181が位置している時と、カメラ170の直下方に第2ホール182が位置している時とのカメラ170の焦点が合う位置が変わる。なぜなら、第1ホール181を満たしている空気の屈折率と、第2ホール182を満たしているガラスなどの透明な物体の屈折率とが互いに異なるためである。
【0071】
例えば、図8に図示されたように、カメラ170の直下方に第1ホール181が位置している時は、カメラ170の焦点が基板500に合うようになって、カメラ170から基板500までの距離を測定できる。一方、図9に図示されたように、カメラ170の直下方に第2ホール182が位置している時は、カメラ170の焦点がパターニングスリットシート150に合うようになって、カメラ170からパターニングスリットシート150までの距離を測定できる。
【0072】
または図面には図示されていないが、カメラ自体が光軸に沿って移動しつつ映像を撮影してもよい。すなわち、カメラ170が図6の矢印M方向に沿って移動しつつ映像を撮影できる。この場合、カメラ170が基板500側に近付いた時はカメラ170の焦点が基板500に合うようになって、カメラ170から基板500までの距離を測定でき、カメラ170が基板500から遠ざかった時はカメラ170の焦点がパターニングスリットシート150に合うようになって、カメラ170からパターニングスリットシート150までの距離を測定できることである。
【0073】
このように、焦点制御部材180が回転することによって、カメラ170から基板500までの距離と、カメラ170からパターニングスリットシート150までの距離とが交互に測定されるため、パターニングスリットシート150と基板500との間の距離をリアルタイムで測定することができる。
【0074】
一方、図4及び図10に図示されたように、基板500の蒸着面、すなわち、XY平面上での基板500のチルト角度を測定するために、基板500(または静電チャック600)上にレーザー照射部材190をさらに備え、チャンバー(図示せず)の内部には、第1測定部材191及び第2測定部材192をさらに備えることができる。前記第1測定部材191及び第2測定部材192は、前記レーザー照射部材190と同一軸上に配されうる。そして、第1測定部材191及び第2測定部材192上には、十字状の第3アラインマーク192aが表示されている。したがって、基板500が図4の矢印A方向に移動している間、レーザー照射部材190から第1測定部材191及び第2測定部材192側にレーザーL1L2を照射し、前記照射されたレーザーL1L2は、第1測定部材191及び第2測定部材192から検出される。この時、レーザーL1L2が第3アラインマーク192a上のどの位置に照射されたかを用いて、XY平面上での基板500のチルト角度を測定することである。例えば、図10に図示されたように、第1測定部材191に表示されたアラインマーク(図示せず)の中心と照射されたレーザーL1との間の距離D1と、第2測定部材192に表示された第3アラインマーク(図4の192a参照)の中心と照射されたレーザーL2との間の距離D2を用いて、XY平面上での基板500のチルト角度を測定できる。
【0075】
ここで、図面には、第1測定部材191と第2測定部材192との2つの測定部材が備えられると図示されているが、本発明はこれに制限されず、装置に要求される仕様によって一つまたはそれ以上の測定部材が自在に配されうる。ただし、基板の移動初期には基板の進行距離が短いので、第1測定部材191で測定される距離の精度が落ち、基板の移動末期には基板が益々第2測定部材192側に近付くことによって、第2測定部材192で測定される距離の精度が落ちるので、チャンバーの前方及び後方にそれぞれ少なくとも一つの測定部材を配置して、測定区間全般にわたって測定の信頼度を向上させることが望ましい。
【0076】
一方、図11には、このようなリアルタイムアラインのために必要なカメラの配置が図示されている。
薄膜蒸着アセンブリー100と基板500とのリアルタイムアラインのためには、図11に図示されたように、少なくとも7個の水平アラインカメラ171a、171b、171c、171d、171e、171f、171gと、最小限7個の垂直アラインカメラ172a、172b、172c、172d、172e、172f、172gが要求される。その理由は、次の通りである。
【0077】
いずれか一瞬間での基板500の水平方向の位置を正確に測定するためには、3つの水平アラインカメラが必要である。なぜなら、3点が分かって初めて一つの平面が決定されるためである。同じ理由で、いずれか一瞬間での基板500の垂直方向の位置を正確に測定するためには、3つの垂直アラインカメラが必要である。すなわち、いずれか一瞬間での基板500の3次元上での位置を正確に測定するためには、3つの水平アラインカメラと3つの垂直アラインカメラ、すなわち、総6個のカメラが必要である。
【0078】
すなわち、3つの水平アラインカメラ171a、171b、171cと3つの垂直アラインカメラ172a、172b、172cとがあれば、基板500の先端部が薄膜蒸着アセンブリー100を通過し始める時点での、基板500の3次元上の位置を正確に測定できる。また、3つの水平アラインカメラ171c、171d、171eと、3つの垂直アラインカメラ172c、172d、172eとがあれば、基板500が薄膜蒸着アセンブリー100の中央部を通過する時点での基板500の3次元上での位置を正確に測定できる。また、3つの水平アラインカメラ171e、171f、171gと、3つの垂直アラインカメラ172e、172f、172gとがあれば、基板500が薄膜蒸着アセンブリー100を完全に通過する時点での、基板500の3次元上の位置を正確に測定できる。
【0079】
すなわち、薄膜蒸着アセンブリー100のパターニングスリットシート150の前方部に形成されたカメラ171c、172cを、基板500の先端部が薄膜蒸着アセンブリー100を通過し始める時点の撮影と、基板500が薄膜蒸着アセンブリー100の中央部を通過する時点の撮影とにいずれも使用する。また、薄膜蒸着アセンブリー100のパターニングスリットシート150の後方部に形成されたカメラ171e、172eを、基板500が薄膜蒸着アセンブリー100の中央部を通過する時点の撮影と、基板500が薄膜蒸着アセンブリー100を抜け出る時点の撮影とにいずれも使用する。
【0080】
このような構成によって、基板のアラインのために必要なカメラの数を最小化させることができ、したがって、コストダウンで装置の構成が簡単になる効果が得られる。
図12及び図13は、図1の薄膜蒸着装置でリアルタイムアラインのために必要なアクチュエータの配置を示す図面である。図12を参照すれば、基板500の蒸着面上で基板の移動方向(矢印Y方向)と平行な方向、すなわち、X軸方向の基板500の反りを補正するために、最小限2つの第1アクチュエータ195a、195bが要求される。また、図13を参照すれば、基板500の蒸着面と垂直な方向、すなわち、Z軸(図4参照)方向への反りを補正するために、最小限3つの第2アクチュエータ197a、197b、197cが要求される。ここで、基板500はLMレール(linear motion rail)とLMブロック(linear motion block)とを備える所定のLMシステム(linear motion system)によって精密移送されるので、基板500の移動方向、すなわち、Y軸方向の反りは考慮しなくてもよい。
【0081】
ここで、2つの第1アクチュエータ195a、195bを同方向に駆動させることによって、基板500をX軸方向に移動できる。また、2つの第1アクチュエータ195a、195bを互いに逆方向に駆動させることによって、基板500を基板500の蒸着面と平行な平面上で回転させることができる。
【0082】
また、3つの第2アクチュエータ197a、197b、197cを同方向に駆動させることによって、基板500をZ軸方向に移動できる。また、3つの第2アクチュエータ197a、197b、197cを相異なる方向に駆動させることによって、基板500を基板500のX軸を中心に、またはY軸を中心に回転させることができる。
【0083】
このような構成によって、最小限のアクチュエータのみで基板の反りを補正する効果が得られる。
【0084】
図14は、本発明の望ましい他の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100を概略的に示す斜視図である。
図14に図示された実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100は、蒸着源110、蒸着源ノズル部120、第1遮断板アセンブリー130、第2遮断板アセンブリー140、パターニングスリットシート150を備える。
ここで、図14には、説明の便宜のためにチャンバーを図示していないが、図14のあらゆる構成は適切な真空度が維持されるチャンバー内に配されることが望ましい。 これは、蒸着物質の直進性を確保するためである。
【0085】
このようなチャンバー(図示せず)内には被蒸着体である基板500が配される。そして、チャンバー(図示せず)内で基板500と対向する側には、蒸着物質115が収納及び加熱される蒸着源110が配される。
蒸着源110及びパターニングスリットシート150の詳細な構成は、前述した図4による実施形態と同一であるので、詳細な説明を省略する。そして、前記第一遮断板アセンブリー130は、図4による実施形態の遮断板アセンブリーと同一であるので、やはり詳細な説明は省略する。
【0086】
本実施形態では、第1遮断板アセンブリー130の一側に第2遮断板アセンブリー140が備えられる。前記第2遮断板アセンブリー140は、複数の第2遮断板141と、第2遮断板141の外側に備えられる第2遮断板フレーム142とを備える。
前記複数の第2遮断板141は、X軸方向に沿って互いに平行に備えられうる。そして、前記複数の第2遮断板141は等間隔で形成されうる。また、それぞれの第2遮断板141は、図面から見た時、YZ平面と平行に、言い換えれば、X軸方向に垂直になるように形成される。
【0087】
このように配された複数の第1遮断板131及び第2遮断板141は、蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート150との間の空間を区切る役割を行う。すなわち、前記第1遮断板131及び第2遮断板141によって、蒸着物質が噴射されるそれぞれの蒸着源ノズル121別に蒸着空間が分離されることを一特徴とする。
【0088】
ここで、それぞれの第2遮断板141は、それぞれの第1遮断板131と一対一対応するように配されうる。言い換えれば、それぞれの第2遮断板141は、それぞれの第1遮断板131とアラインされて互いに平行に配されうる。すなわち、互いに対応する第1遮断板131と第2遮断板141とは、互いに同じ平面上に位置するようになる。図面には、第1遮断板131の長さと第2遮断板141のX軸方向の幅とが同一であると図示されているが、本発明の思想はこれに制限されるものではない。すなわち、パターニングスリット151との精密なアラインが要求される第2遮断板141は相対的に薄く形成する一方、精密なアラインが要求されない第1遮断板131は相対的に厚く形成して、その製造を容易にすることも可能であるといえる。
【0089】
前述したような薄膜蒸着アセンブリー100は、図1から分かるように、第1チャンバー731内に複数が連続して配されうる。この場合、各薄膜蒸着アセンブリー100、200、300、400は、相異なる蒸着物質を蒸着させることができ、この時、各薄膜蒸着アセンブリー100、200、300、400のパターニングスリットのパターンを相異なるパターンにして、例えば、赤、緑、青色の画素を一括蒸着するなどの成膜工程を進めることができる。
【0090】
ここで、本発明の他の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリーでは、カメラ170、焦点制御部材180、レーザー照射部材190などを備える位置検出部材と、アクチュエータ(図12及び図13参照)などを備えるアライン制御部材とをさらに備えて、薄膜蒸着アセンブリーに対する基板のアラインを正確かつ容易に行うことを一特徴とする。これについては第1実施形態で詳細に説明したが、本実施形態ではその詳細な説明は省略する。
【0091】
図15は、本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリー900を概略的に示す斜視図である。
図15を参照すれば、本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリー900は、蒸着源910、蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950を備える。
【0092】
ここで、図15には、説明の便宜のためにチャンバーを図示していないが、図15のあらゆる構成は、適宜な真空度が維持される第1チャンバー内に配されることが望ましい。これは、蒸着物質の直進性を確保するためである。
そして、第1チャンバー(図示せず)内には、被蒸着体である基板500が静電チャック600により移送される。前記基板500は平板表示装置用基板になりうるが、複数の平板表示装置を形成できるマザーガラスのような大面積基板が適用されうる。
【0093】
ここで、本発明の一実施形態では、基板500が薄膜蒸着アセンブリー900に対して相対的に移動しつつ蒸着が進行することを一特徴とする。さらに詳細には、薄膜蒸着アセンブリー900と対向するように配された基板500が、Y軸方向に沿って移動しつつ連続的に蒸着を行う。すなわち、基板500が図15の矢印A方向に移動しつつスキャニング方式で蒸着が行われることである。ここで、図面には、基板500が第1チャンバー(図示せず)内でY軸方向に移動しつつ蒸着が行われると図示されているが、本発明の思想はこれに制限されず、基板500は固定されており、薄膜蒸着アセンブリー900自体がY軸方向に移動しつつ蒸着を行うこともできる。
【0094】
したがって、本発明の薄膜蒸着アセンブリー900では、従来のFMMに比べて非常に小さくパターニングスリットシート950を作ることができる。すなわち、本発明の薄膜蒸着アセンブリー900の場合、基板500がY軸方向に沿って移動しつつ連続的に、すなわち、スキャニング方式で蒸着を行うため、パターニングスリットシート950のX軸方向及びY軸方向の長さは、基板500の長さより非常に小さく形成されうる。このように、従来のFMMに比べて非常に小さくパターニングスリットシート950を作ることができるため、本発明のパターニングスリットシート950はその製造が容易である。すなわち、パターニングスリットシート950のエッチング作業や、その後の精密引張及び溶接作業、移動及び洗浄作業などのあらゆる工程で、小サイズのパターニングスリットシート950がFMM蒸着方法に比べて有利である。また、これは、ディスプレイ装置が大型化する程度さらに有利になる。
【0095】
このように、薄膜蒸着アセンブリー900と基板500とが互いに相対的に移動しつつ蒸着が行われるためには、薄膜蒸着アセンブリー900と基板500とが一定程度離隔することが望ましい。これについては、後述する。
一方、チャンバー内で前記基板500と対向する側には、蒸着物質915が収納及び加熱される蒸着源910が配される。前記蒸着源910内に収納されている蒸着物質915が気化することによって基板500に蒸着が行われる。
【0096】
さらに詳細に、蒸着源910は、その内部に蒸着物質915が満たされる坩堝911と、坩堝911を加熱させて坩堝911の内部に満たされた蒸着物質915を坩堝911の一側、詳細には、蒸着源ノズル部920側に蒸発させるためのヒーター912とを備える。
【0097】
蒸着源910の一側、詳細には、蒸着源910から基板500に向かう側には蒸着源ノズル部920が配される。そして、蒸着源ノズル部920には、Y軸方向、すなわち、基板500のスキャン方向に沿って複数の蒸着源ノズル921が形成される。ここで、前記複数の蒸着源ノズル921は等間隔で形成されうる。蒸着源910内で気化した蒸着物質915は、このような蒸着源ノズル部920を通過して被蒸着体である基板500側に向かう。このように、蒸着源ノズル部920上にY軸方向、すなわち、基板500のスキャン方向に沿って複数の蒸着源ノズル921が形成する場合、パターニングスリットシート950のそれぞれのパターニングスリット951を通過する蒸着物質により形成されるパターンのサイズは、蒸着源ノズル921の一つのサイズのみにより影響されるので(すなわち、X軸方向には蒸着源ノズル921が一つのみ存在することになるので)、陰影が発生しなくなる。また、複数の蒸着源ノズル921がスキャン方向に存在するので、個別蒸着源ノズル間のフラックス(flux)差が発生するとしてもその差が相殺されて、蒸着均一度が一定に維持される効果が得られる。
【0098】
一方、蒸着源910と基板500との間には、パターニングスリットシート950及びフレーム955がさらに備えられる。フレーム955は窓枠状に形成され、その内側にパターニングスリットシート950が結合される。そして、パターニングスリットシート950には、X軸方向に沿って複数のパターニングスリット951が形成される。蒸着源910内で気化した蒸着物質915は、蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950を通過して被蒸着体である基板500側に向かうようになる。この時、前記パターニングスリットシート950は、従来のファインメタルマスク(以下、FMM)、特にストライプタイプのマスクの製造方法と同じ方法であるエッチングを通じて製作されうる。この時、蒸着源ノズル921の総数よりパターニングスリット951の総数がさらに多く形成されうる。
【0099】
一方、前述した蒸着源910及びこれと結合された蒸着源ノズル部920とパターニングスリットシート950とは、互いに一定程度離隔するように形成され、蒸着源910及びこれと結合された蒸着源ノズル部920とパターニングスリットシート950とは、連結部材935によって互いに連結されうる。すなわち、蒸着源910、蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950が連結部材935により連結されて、互いに一体に形成されうる。ここで連結部材935は、蒸着源ノズル921を通じて排出される蒸着物質が分散されないように蒸着物質の移動経路をガイドできる。図面には、連結部材935が、蒸着源910、蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950の左右方向のみに形成されて、蒸着物質のX軸方向のみをガイドすると図示されているが、これは図示の便宜のためのものであり、本発明の思想はこれに制限されず、連結部材935がボックス形態の密閉型に形成されて蒸着物質のX軸方向及びY軸方向移動を同時にガイドすることもできる。
【0100】
前述したように、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー900は、基板500に対して相対的に移動しつつ蒸着を行い、このように薄膜蒸着アセンブリー900が基板500に対して相対的に移動するために、パターニングスリットシート950は基板500から一定程度離隔するように形成される。
【0101】
さらに詳細には、従来のFMM蒸着方法では基板に陰影が生じないようにするために、基板にマスクを密着させて蒸着工程を進めた。しかし、このように基板にマスクを密着させる場合、基板とマスクとの接触による不良問題が発生するという問題点が存在した。また、マスクを基板に対して移動させられないため、マスクが基板と同じサイズに形成されねばならない。したがって、ディスプレイ装置が大型化することによってマスクのサイズも大きくならねばならないが、このような大型マスクを形成し難いという問題点が存在している。
【0102】
このような問題点を解決するために、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー900では、パターニングスリットシート950を、被蒸着体である基板500と所定間隔をおいて離隔するように配させる。
【0103】
このような本発明によってマスクを基板より小さく形成した後、マスクを基板に対して移動させつつ蒸着を行えること、マスク製作が容易になる効果が得られる。また、基板とマスクとの接触による不良を防止する効果が得られる。また、工程で基板とマスクとを密着させる時間が不要になるため、製造速度が向上する効果が得られる。
【0104】
ここで、本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリー900(図15)では、カメラ170、焦点制御部材180、レーザー照射部材190などを備える位置検出部材と、アクチュエータ(図12及び図13参照)などを含むアライン制御部材をより備えて、薄膜蒸着装置に対する基板のアラインEL正確で容易に行うことを一特徴とする。これについては、第1実施形態で詳細に説明したので、本実施形態ではその詳細な説明は省略する。
【0105】
図16は、本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリー900を示す図面である。図面を参照すれば、本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリーは、蒸着源910、蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950を備える。ここで、蒸着源910は、その内部に蒸着物質915が満たされる坩堝911と、坩堝911を加熱させて坩堝911の内部に満たされた蒸着物質915を蒸着源ノズル部920側に蒸発させるためのヒーター912とを備える。一方、蒸着源910の一側には蒸着源ノズル部920が配され、蒸着源ノズル部920にはY軸方向に沿って複数の蒸着源ノズル921が形成される。一方、蒸着源910と基板500との間にはパターニングスリットシート950及びフレーム955がさらに備えられ、パターニングスリットシート950にはX軸方向に沿って複数のパターニングスリット951が形成される。そして、蒸着源910及び蒸着源ノズル部920とパターニングスリットシート950とは、連結部材935によって結合される。
【0106】
本実施形態では、蒸着源ノズル部920に形成された複数の蒸着源ノズル921が所定角度チルトされて配されるという点で、前述した実施形態と区別される。さらに詳細には、蒸着源ノズル921は、2列の蒸着源ノズル921a、921bで形成され、前記2列の蒸着源ノズル921a、921bは、交互に配される。この時、蒸着源ノズル921a、921bは、XZ平面上で所定角度傾くようにチルトされて形成されうる。
【0107】
すなわち、本実施形態では、蒸着源ノズル921a、921bが所定角度チルトされて配されるようにする。ここで、第1列の蒸着源ノズル921aは、第2列の蒸着源ノズル921bに向かうようにチルトされ、第2列の蒸着源ノズル921bは、第1列の蒸着源ノズル921aに向かうようにチルトされうる。言い換えれば、左側列に配された蒸着源ノズル921aは、パターニングスリットシート950の右側端部に向かうように配され、右側列に配された蒸着源ノズル921bは、パターニングスリットシート950の左側端部に向かうように配されることができる。
【0108】
図17は、本発明による薄膜蒸着アセンブリーで蒸着源ノズルをチルトさせていない時、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面であり、図18は、本発明による薄膜蒸着アセンブリーで蒸着源ノズルをチルトさせた時、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面である。図17と図18とを比較すれば、蒸着源ノズルをチルトさせた時に基板の両端部に成膜される蒸着膜の厚さが相対的に増大して蒸着膜の均一度が上昇するということが分かる。
【0109】
このような構成によって、基板の中央と終端部分での成膜厚さ差が低減して、全体的な蒸着物質の厚さが均一になるように蒸着量を制御でき、さらには、材料利用効率が高くなる効果が得られる。
【0110】
ここで、本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着装置では、カメラ170、焦点制御部材180、レーザー照射部材190などを備える位置検出部材と、アクチュエータ(図12及び図13参照)などを備えるアライン制御部材とをさらに備えて、薄膜蒸着装置に対する基板のアラインを正確かつ容易に行うことを一特徴とする。これについては、第1実施形態で詳細に説明したので、本実施形態ではその詳細な説明は省略する。
【0111】
図19は、本発明の蒸着装置を用いて製造されたアクティブマトリックス型有機発光表示装置の断面を図示する。
図19を参照すれば、前記アクティブマトリス型の有機発光表示装置は基板30上に形成される。前記基板30は透明な素材、例えば、ガラス材、プラスチック材、または金属材で形成できる。前記基板30上には、全体的にバッファ層のような絶縁膜31が形成されている。
【0112】
前記絶縁膜31上には、図19に示したようなTFT 40と、キャパシタ50と、有機発光素子60とが形成される。
前記絶縁膜31の上面には所定パターンに配列された半導体活性層41が形成されている。前記半導体活性層41は、ゲート絶縁膜32によって埋め立てられている。前記活性層41は、p型またはn型の半導体で形成されうる。
【0113】
前記ゲート絶縁膜32の上面には、前記活性層41と対応する所にTFT 40のゲート電極42が形成される。そして、前記ゲート電極42を覆うように層間絶縁膜33が形成される。前記層間絶縁膜33が形成された後には、ドライエッチングのエッチング工程によって、前記ゲート絶縁膜32と層間絶縁膜33とをエッチングしてコンタクトホールを形成させて、前記活性層41の一部を露出させる。
次いで、前記層間絶縁膜33上にソース/ドレイン電極43が形成されるが、コンタクトホールを通じて露出された活性層41に接触するように形成される。前記ソース/ドレイン電極43を覆うように保護膜34が形成され、エッチング工程を通じて前記ドレイン電極43の一部を露出させる。前記保護膜34上には、保護膜34の平坦化のために別途の絶縁膜をさらに形成してもよい。
【0114】
一方、前記有機発光素子60は、電流のフローによって赤、緑、青色の光を発光して所定の画像情報を表示するためのものであって、前記保護膜34上に第1電極61を形成する。前記第1電極61は、TFT 40のドレイン電極43と電気的に連結される。
【0115】
そして、前記第1電極61を覆うように画素定義膜35が形成される。この画素定義膜35に所定の開口64を形成した後、この開口64に限定された領域内に有機発光膜63を形成する。有機発光膜63上には第2電極62を形成する。
【0116】
前記画素定義膜35は各画素を区切るものであって、有機物で形成されて、第1電極61が形成されている基板の表面、特に、保護層34の表面を平坦化する。
前記第1電極61と第2電極62とは互いに絶縁されており、有機発光膜63に相異なる極性の電圧を加えて発光がなされるようにする。
【0117】
前記有機発光膜63は、低分子または高分子有機物が使われうるが、低分子有機物を使用する場合、ホール注入層(HIL:Hole Injection Layer)、ホール輸送層(HTL:Hole Transport Layer)、発光層(EML:Emission Layer)、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)、電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)などが単一あるいは複合の構造で積層されて形成され、使用可能な有機材料も銅フタロシアニン(CuPc)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3)などをはじめとして多様に適用できる。これら低分子有機物は、図1ないし図3に示した蒸着装置及び蒸着ソースユニット10を用いて真空蒸着の方法で形成されうる。
【0118】
先ず、画素定義膜35に開口64を形成した後、この基板30を図1のようにチャンバー20内へ移送する。そして、第1蒸着ソース11と第2蒸着ソース12とに目標有機物を収納した後、蒸着する。この時、ホストとドーパントとを同時に蒸着させる場合には、第1蒸着ソース11と第2蒸着ソース12とにそれぞれホスト物質とドーパント物質とを収納して蒸着させる。
【0119】
このような有機発光膜を形成した後には、第2電極62もやはり同じ蒸着工程で形成できる。
一方、前記第1電極61はアノード電極の機能を行え、前記第2電極62はカソード電極の機能を行えるが、もちろん、これら第1電極61と第2電極62との極性は逆になってもよい。そして、第1電極61は、各画素の領域に対応するようにパターニングされ、第2電極62は、あらゆる画素を覆うように形成されうる。
【0120】
前記第1電極61は、透明電極または反射型電極で備えられうるが、透明電極として使われる時には、ITO、IZO、ZnO、またはIn2O3で備えられ、反射型電極として使われる時には、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、及びこれらの化合物で反射層を形成した後、その上にITO、IZO、ZnO、またはIn2O3で透明電極層を形成できる。これらの第1電極61は、スパー跡地リング方法などにより成膜された後、フォトリソグラフィ法などによりパターニングされる。
【0121】
一方、前記第2電極62も透明電極または反射型電極で備えられうるが、透明電極として使われる時には、この第2電極62がカソード電極として使われるので、仕事関数の小さな金属、すなわち、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、及びこれらの化合物が有機発光膜63の方向に向かうように蒸着した後、その上にITO、IZO、ZnO、またはIn2O3などで補助電極層やバス電極ラインを形成できる。そして、反射型電極として使われる時には、前記Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、及びこれらの化合物を全面蒸着して形成する。この時、蒸着は前述した有機発光膜63の場合と同じ方法で行える。
【0122】
本発明はその他にも、有機TFTの有機膜または無期膜などの蒸着にも使用でき、その他に多様な素材の成膜工程に適用できる。
本発明は図面に図示された実施形態を参考として説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって定められねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明は、薄膜蒸着装置関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0124】
100 薄膜蒸着アセンブリー
110 蒸着源
120 蒸着源ノズル部
130 遮断板アセンブリー
131 遮断板
132 遮断板フレーム
150 パターニングスリットシート
155 フレーム
500 基板
600 静電チャック
【技術分野】
【0001】
本発明は薄膜蒸着装置に係り、さらに詳細には、大型基板の量産工程に容易に適用でき、歩留まりが向上した薄膜蒸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置のうち、有機発光表示装置は、視野角が広くてコントラストが優秀なだけでなく応答速度が速いという長所を持っていて、次世代ディスプレイ装置として注目されている。
【0003】
有機発光表示装置は、互いに対向する第1電極と第2電極との間に発光層及びこれを含む中間層を備える。この時、前記電極及び中間層はいろいろな方法で形成されうるが、そのうち一つの方法が独立蒸着方式である。蒸着方法を用いて有機発光表示装置を製作するためには、薄膜などが形成される基板面に、形成される薄膜などのパターンと同じパターンを持つファインメタルマスク(fine metal mask:FMM)を密着させ、薄膜などの材料を蒸着して所定パターンの薄膜を形成する。
【0004】
しかし、かかるFMMを利用する方法は、5G以上のマザーガラスを使用する大面積化には適していない限界がある。すなわち、大面積マスクを使用すれば、自重によりマスクの曲げ現象が発生するが、この曲げ現象によるパターンの歪曲が発生しうるためである。これは、パターンに高精細を要する現在の傾向と背馳することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記のような従来のFMMを用いた蒸着方法の限界を乗り越えるためのものであって、大型基板の量産工程にさらに適しており、高精細のパターニングの可能な薄膜蒸着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、蒸着物質を放射する蒸着源と、前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の蒸着源ノズルが形成された蒸着源ノズル部と、前記蒸着源ノズル部と対向して配され、前記第1方向に沿って複数のパターニングスリットが配されるパターニングスリットシートと、前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間に前記第1方向に沿って配されて、前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間の空間を複数の蒸着空間に区切る複数の遮断板を備える遮断板アセンブリーと、前記パターニングスリットシートに対する前記基板の相対的な位置を検出する位置検出部材と、前記位置検出部材から検出された前記相対的な位置を用いて、前記基板に対する前記パターニングスリットシートの相対的な位置を変化させるアライン制御部材と、を備え、前記薄膜蒸着装置と前記基板とは互いに離隔するように配され、前記薄膜蒸着装置と前記基板とは互いに相対的に移動することを特徴とする薄膜蒸着装置を提供する。
【0007】
本発明において、前記パターニングスリットシートは第1アラインマークを備え、前記基板は第2アラインマークを備え、前記位置検出部材は、前記第1アラインマークと前記第2アラインマークとを撮影するカメラをさらに備える。
【0008】
ここで、前記第2アラインマークは、前記基板の移動方向と実質的に平行な一つ以上のストライプマークを備える。
ここで、前記カメラと前記パターニングスリットシートとの間に介し、前記カメラの焦点が結ばれる位置を制御する焦点制御部材をさらに備える。
ここで、前記焦点制御部材は回転自在に形成され、前記焦点制御部材上には、互いに屈折率の異なるように形成された第1ホールと第2ホールとがそれぞれ形成される。
ここで、前記第1ホール及び第2ホールのうちいずれか一側には透明体が介在する。
【0009】
ここで、前記第1ホールと前記第2ホールとが交互に前記カメラの光軸上に配される。
ここで、前記カメラは、光軸に沿って往復動しつつ映像を撮影できる。
本発明において、前記位置検出部材は、前記基板の移動方向と実質的に平行な方向にレーザーを照射するレーザー照射部材と、前記照射されるレーザーと同軸上に配され、所定形状の第3アラインマークが表示された一つ以上の測定部材と、をさらに備える。
【0010】
本発明において、前記アライン制御部材は、前記第1方向に沿って前記パターニングスリットシートが移動するように所定の駆動力を提供する、少なくとも2つの第1アクチュエータを備える。
本発明において、前記アライン制御部材は、前記基板の蒸着面と垂直な方向に沿って前記パターニングスリットシートが移動するように所定の駆動力を提供する、少なくとも3つの第2アクチュエータを備える。
【0011】
前記パターニングスリットシートは、前記基板より小さく形成される。
前記複数の遮断板それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直な第2方向に沿って延びるように形成される。
前記複数の遮断板は、等間隔で配される。
前記遮断板アセンブリーは、複数の第1遮断板を備える第1遮断板アセンブリーと、複数の第2遮断板を備える第2遮断板アセンブリーと、を備える。
【0012】
前記複数の第1遮断板及び前記複数の第2遮断板それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直な第2方向に沿って延びるように形成される。
前記複数の第1遮断板及び前記複数の第2遮断板それぞれは、互いに対応するように配される。
前記互いに対応する第1遮断板及び第2遮断板は、実質的に同じ平面上に位置するように配される。
【0013】
他の側面による本発明は、基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、蒸着物質を放射する蒸着源と、前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の蒸着源ノズルが形成される蒸着源ノズル部と、前記蒸着源ノズル部と対向して配され、 前記第1方向に対して垂直な第2方向に沿って複数のパターニングスリットが形成されるパターニングスリットシートと、前記パターニングスリットシートに対する前記基板の相対的な位置を検出する位置検出部材と、前記位置検出部材から検出された前記相対的な位置を用いて、前記基板に対する前記パターニングスリットシートの相対的な位置を変化させるアライン制御部材と、を備え、前記基板が前記薄膜蒸着装置に対して前記第1方向に沿って移動しつつ蒸着が行われ、前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリットシートは一体に形成されることを特徴とする薄膜蒸着装置を提供する。
【0014】
本発明において、前記パターニングスリットシートは第1アラインマークを備え、前記基板は第2アラインマークを備え、前記位置検出部材は、前記第1アラインマークと前記第2アラインマークとを撮影するカメラをさらに備える。
【0015】
ここで、前記第2アラインマークは、前記基板の移動方向と実質的に平行な一つ以上のストライプマークを備える。
ここで、前記カメラと前記パターニングスリットシートとの間に介在して、前記カメラの焦点が結ばれる位置を制御する焦点制御部材をさらに備える。
【0016】
ここで、前記焦点制御部材は回転自在に形成され、前記焦点制御部材上には、互いに屈折率の異なるように形成された第1ホールと第2ホールとがそれぞれ形成される。
ここで、前記第1ホール及び第2ホールのうちいずれか一側には透明体が介在する。
ここで、前記第1ホールと前記第2ホールとが交互に前記カメラの光軸上に配される。
【0017】
ここで、前記カメラは、光軸に沿って往復動しつつ映像を撮影する。
本発明において、前記位置検出部材は、前記基板の移動方向と実質的に平行な方向にレーザーを照射するレーザー照射部材と、前記照射されるレーザーと同軸上に配され、所定形状の第3アラインマークが表示された一つ以上の測定部材と、をさらに備える。
【0018】
本発明において、前記アライン制御部材は、前記第1方向に沿って前記パターニングスリットシートが移動するように所定の駆動力を提供する、少なくとも2つの第1アクチュエータを備える。
【0019】
本発明において、前記アライン制御部材は、前記基板の蒸着面と垂直な方向に沿って前記パターニングスリットシートが移動するように所定の駆動力を提供する、少なくとも3つの第2アクチュエータを備える。
ここで、前記蒸着源及び前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとは、連結部材により結合されて一体に形成される。
【0020】
ここで、前記連結部材は、前記蒸着物質の移動経路をガイドする。
ここで、前記連結部材は、前記蒸着源及び前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間の空間を外部から密閉するように形成される。
ここで、前記薄膜蒸着装置は、前記基板と所定程度離隔するように形成される。
【0021】
ここで、前記基板が前記薄膜蒸着装置に対して前記第1方向に沿って移動しつつ、前記基板上に前記蒸着物質が連続的に蒸着される。
ここで、前記薄膜蒸着装置の前記パターニングスリットシートは、前記基板より小さく形成される。
本発明において、前記複数の蒸着源ノズルは、所定角度チルトされるように形成される。
【0022】
ここで、前記複数の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された二列の蒸着源ノズルを備え、前記二列の蒸着源ノズルは、互いに対向する方向にチルトされている。
ここで、前記複数の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された二列の蒸着源ノズルを備え、前記二列の蒸着源ノズルのうち第1側に配された蒸着源ノズルは、パターニングスリットシートの第2側端部に向かうように配され、前記二列の蒸着源ノズルのうち第2側に配された蒸着源ノズルは、パターニングスリットシートの第1側端部に向かうように配される。
【発明の効果】
【0023】
本発明の薄膜蒸着装置によれば、製造が容易であり、大型基板の量産工程に容易に適用でき、歩留まり及び蒸着効率が向上し、蒸着物質のリサイクルが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置を概略的に図示したシステム構成図である。
【図2】図1の変形例を示す図面である。
【図3】図1の静電チャックの一例を示す概略図である。
【図4】図1の薄膜蒸着装置の薄膜蒸着アセンブリーを概略的に示す斜視図である。
【図5】図4の薄膜蒸着アセンブリーの概略的な側断面図である。
【図6】図4の薄膜蒸着アセンブリーの概略的な平断面図である。
【図7】図4の薄膜蒸着アセンブリーの基板及びパターニングスリットシートの背面と、前記基板の背面に表示されたアラインマークとを示す図面である。
【図8】図4の薄膜蒸着アセンブリーの焦点制御部材、カメラ及び基板間の関係を示す図面である。
【図9】図4の薄膜蒸着アセンブリーの焦点制御部材、カメラ及び基板間の関係を示す図面である。
【図10】図4の薄膜蒸着アセンブリーのレーザー照射部材、測定部材及び基板間の関係を示す図面である。
【図11】図1の薄膜蒸着装置で、リアルタイムアラインのために必要なカメラの配置を示す図面である。
【図12】図1の薄膜蒸着装置で、リアルタイムアラインのために必要なアクチュエータの配置を示す図面である。
【図13】図1の薄膜蒸着装置で、リアルタイムアラインのために必要なアクチュエータの配置を示す図面である。
【図14】本発明の他の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリーを概略的に示す斜視図である。
【図15】本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリーを概略的に示す斜視図である。
【図16】本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリーを概略的に示す斜視図である。
【図17】図16の薄膜蒸着アセンブリーで蒸着源ノズルをチルトさせていない時、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面である。
【図18】図16の薄膜蒸着アセンブリーで蒸着源ノズルをチルトさせた時、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面である。
【図19】本発明の蒸着装置を用いて製造されたアクティブマトリックス型有機発光表示装置の断面を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付した図面を参照して本発明による望ましい実施形態を詳細に説明すれば、次の通りである。
図1は、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置を概略的に図示したシステム構成図で、図2は、図1の変形例を図示したものである。図3は、静電チャック600の一例を示す概略図である。
【0026】
図1を参照すれば、本発明の一実施形態による薄膜蒸着装置は、ローディング部710、蒸着部730、アンローディング部720、第1循環部610及び第2循環部620を備える。
ローディング部710は、第1ラック712と、導入ロボット714と、導入室716と、第1反転室718を備えることができる。
【0027】
第1ラック712には、蒸着が行われる前の基板500が多く積載されており、導入ロボット714は、前記第1ラック712から基板500を捉えて第2循環部620から移送されてきた静電チャック600に基板500を載置した後、基板500が付着された静電チャック600を導入室716に移す。
【0028】
導入室716に隣接しては第1反転室718が備えられ、第1反転室718に位置した第1反転ロボット719が静電チャック600を反転させて、静電チャック600を蒸着部730の第1循環部610に装着する。
【0029】
静電チャック600は、図3から分かるように、セラミックからなる本体601の内部に電源が印加される電極602が埋め立てられたものであって、この電極602に高電圧が印加されることによって、本体601の表面に基板500を付着させる。
図1からみれば、導入ロボット714は、静電チャック600の上面に基板500を載せるようになり、この状態で静電チャック600は導入室716に移送され、第1反転ロボット719が静電チャック600を反転させることによって、蒸着部730では基板500が下方を向かうように位置する。
【0030】
アンローディング部720の構成は、前述したローディング部710の構成と逆に構成される。すなわち、蒸着部730を経た基板500及び静電チャック600を、第2反転室728で第2反転ロボット729が反転させて搬出室726に移送し、搬出ロボット724が搬出室726から基板500及び静電チャック600を取り出した後、基板500を静電チャック600から分離して第2ラック722に積載する。基板500と分離された静電チャック600は、第2循環部620を通じてローディング部710に回送される。
【0031】
しかし、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、基板500が静電チャック600に最初に固定される時から静電チャック600の下面に基板500を固定させて、そのまま蒸着部730に移送させてもよい。この場合、例えば、第1反転室718及び第1反転ロボット719と第2反転室728及び第2反転ロボット729は不要になる。
【0032】
蒸着部730は、少なくとも一つの蒸着用チャンバーを備える。図1による本発明の望ましい一実施形態によれば、前記蒸着部730は第1チャンバー731を備え、この第1チャンバー731内に複数の薄膜蒸着アセンブリー100、200、300、400が配される。図1に図示された本発明の望ましい一実施形態によれば、前記第1チャンバー731内に、第1薄膜蒸着アセンブリー100、第2薄膜蒸着アセンブリー200、第3薄膜蒸着アセンブリー300及び第4薄膜蒸着アセンブリー400の4つの薄膜蒸着アセンブリーが設置されているが、その数は、蒸着物質及び蒸着条件によって可変できる。前記第1チャンバー731は、蒸着が進まれる間に真空に維持される。
【0033】
また、図2による本発明の他の一実施形態によれば、前記蒸着部730は互いに関連された第1チャンバー731及び第2チャンバー732を備え、第1チャンバー731には第1、2薄膜蒸着アセンブリー100、200が、第2チャンバー732には第3、4薄膜蒸着アセンブリー300、400が配されうる。この時、チャンバーの数が追加されうるということは言うまでもない。
【0034】
一方、図1による本発明の望ましい一実施形態によれば、前記基板500が固定された静電チャック600は、第1循環部610により、少なくとも蒸着部730に、望ましくは、前記ローディング部710、蒸着部730及びアンローディング部720に順次移動し、前記アンローディング部720で基板500と分離された静電チャック600は、第2循環部620により前記ローディング部710に戻される。
【0035】
次いで、本発明の一実施形態による薄膜蒸着装置の薄膜蒸着アセンブリー100を説明する。図4は、図1の薄膜蒸着装置の薄膜蒸着アセンブリーを概略的に示す斜視図であり、図5は、図4の薄膜蒸着アセンブリーの概略的な側断面図であり、図6は、図4の薄膜蒸着アセンブリーの概略的な平断面図である。
【0036】
図4ないし図6を参照すれば、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100は、蒸着源110、蒸着源ノズル部120、遮断板アセンブリー130及びパターニングスリット151を備える。また、本発明の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリー100は、カメラ170、焦点制御部材180、レーザー照射部材190などを備える位置検出部材と、アクチュエータ(図12及び図13参照)などを備えるアライン制御部材とをさらに備える。このような位置検出部材とアライン制御部材とについては、後で詳細に説明する。
【0037】
ここで、図4ないし図6には、説明の便宜のためにチャンバーを図示していないが、図4ないし図6のあらゆる構成は、適切な真空度が維持される第1チャンバー内に配されることが望ましい。これは蒸着物質の直進性を確保するためである。
【0038】
さらに詳細には、蒸着源110から放出された蒸着物質115を、蒸着源ノズル部120及びパターニングスリット151を通過して基板500に所望のパターンで蒸着させるためには、基本的にチャンバー(図示せず)の内部は高真空状態を維持せねばならない。また遮断板131及びパターニングスリットシート150の温度が蒸着源110温度より十分に低くて初めて(約100゜以下)、蒸着源ノズル121とパターニングスリット151との間の空間を高真空状態に維持できる。このように、遮断板アセンブリー130とパターニングスリットシート150との温度が十分に低ければ、所望しない方向に放射される蒸着物質115はいずれも遮断板アセンブリー130面に吸着されて高真空を維持できるため、蒸着物質間の衝突が発生しなくて蒸着物質の直進性を確保できるようになる。この時、遮断板アセンブリー130は高温の蒸着源110に向かっており、蒸着源110と近い所は最大167゜ほどに温度が上昇するため、必要な場合に部分冷却装置(図示せず)がさらに備えられうる。
【0039】
このような第1チャンバー内には、被蒸着体である基板500が静電チャック600により移送される。前記基板500は平板表示装置用基板になりうるが、複数の平板表示装置を形成できるマザーガラスのような大面積基板が適用されうる。
【0040】
ここで、本発明の一実施形態では、基板500が薄膜蒸着アセンブリー100に対して相対的に移動するが、望ましくは、薄膜蒸着アセンブリー100に対して基板500をA方向に移動させることができる。
さらに詳細には、既存のFMM蒸着方法では、マスクのサイズが基板サイズと同一またはそれより大きくなければならなかった。したがって、基板サイズが増大するほどマスクも大型化せねばならず、したがって、このような大型のマスクの製作が容易でなく、マスクを引っ張って精密なパターンでアラインすることも容易でないという問題点があった。
【0041】
このような問題点を解決するために、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100は、薄膜蒸着アセンブリー100と基板500とが互いに相対的に移動しつつ蒸着が行われることを一特徴とする。言い換えれば、薄膜蒸着アセンブリー100と対向するように配された基板500が、Y軸方向に沿って移動しつつ連続的に蒸着を行う。すなわち、基板500が図4の矢印A方向に移動しつつ、スキャニング方式で蒸着が行われることである。ここで、図面には、基板500がチャンバー(図示せず)内でY軸方向に移動しつつ蒸着が行われると図示されているが、本発明の思想はこれに制限されず、基板500は固定されていて、薄膜蒸着アセンブリー100自体がY軸方向に移動しつつ蒸着を行うことも可能であるといえる。
【0042】
したがって、本発明の薄膜蒸着アセンブリー100では、従来のFMMに比べて非常に小さくパターニングスリットシート150を作ることができる。すなわち、本発明の薄膜蒸着アセンブリー100の場合、基板500がY軸方向に沿って移動しつつ連続的に、すなわち、スキャニング方式で蒸着を行うため、パターニングスリットシート150のX軸方向への幅と、基板500のX軸方向への幅のみ実質的に同一に形成されれば、パターニングスリットシート150のY軸方向の長さは、基板500の長さより非常に小さく形成されても構わない。もちろん、パターニングスリットシート150のX軸方向への幅が基板500のX軸方向への幅より小さく形成されるとしても、基板500と薄膜蒸着アセンブリー100との相対的移動によるスキャニング方式により、十分に基板500全体に対して蒸着が行えるようになる。
【0043】
このように、従来のFMMに比べて非常に小さくパターニングスリットシート150を作ることができるため、本発明のパターニングスリットシート150はその製造が容易である。すなわち、パターニングスリットシート150のエッチング作業や、その後の精密引張及び溶接作業、移動及び洗浄作業などのあらゆる工程で、小サイズのパターニングスリットシート150がFMM蒸着方法に比べて有利である。また、これはディスプレイ装置が大型化するほどさらに有利になる。
【0044】
このように、薄膜蒸着アセンブリー100と基板500とが互いに相対的に移動しつつ蒸着が行われるためには、薄膜蒸着アセンブリー100と基板500とが一定程度離隔することが望ましい。これについては、後で詳細に記述する。
一方、第1チャンバー内で前記基板500と対向する側には、蒸着物質115が収納及び加熱される蒸着源110が配される。
【0045】
前記蒸着源110は、その内部に蒸着物質115が満たされる坩堝112と、この坩堝112を取り囲む冷却ブロック111とが備えられる。冷却ブロック111は、坩堝112からの熱が外部、すなわち、第1チャンバーの内部に発散されることを最大限抑制するためのものであり、この冷却ブロック111には、坩堝111を加熱させるヒーター(図示せず)が備えられている。
【0046】
蒸着源110の一側、さらに詳細には、蒸着源110から基板500に向かう側には蒸着源ノズル部120が配される。そして、蒸着源ノズル部120には、X軸方向に沿って複数の蒸着源ノズル121が形成される。ここで、前記複数の蒸着源ノズル121は等間隔で形成されうる。蒸着源110内で気化した蒸着物質115は、このような蒸着源ノズル部120の蒸着源ノズル121を通過して被蒸着体である基板500側に向かうようになる。
【0047】
蒸着源ノズル部120の一側には遮断板アセンブリー130が備えられる。前記遮断板アセンブリー130は、複数の遮断板131と、遮断板131の外側に備えられる遮断板フレーム132とを備える。前記複数の遮断板131は、X軸方向に沿って互いに平行に配されうる。ここで、前記複数の遮断板131は等間隔で形成されうる。また、それぞれの遮断板131は、図面からみた時にYZ平面に沿って延びており、望ましくは、長方形に形成されうる。このように配された複数の遮断板131は、蒸着源ノズル部120とパターニングスリット150との間の空間を複数の蒸着空間Sに区切る。すなわち、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100は、前記遮断板131によって、図6から分かるように、蒸着物質が噴射されるそれぞれの蒸着源ノズル121別に蒸着空間Sが分離される。
【0048】
ここで、それぞれの遮断板131は、互いに隣接している蒸着源ノズル121の間に配されうる。これは、言い換えれば、互いに隣接している遮断板131の間に一つの蒸着源ノズル121が配されることである。望ましくは、蒸着源ノズル121は、互いに隣接している遮断板131の間の正中央に位置できる。しかし、本発明は必ずしもこれに限定されず、互いに隣接している遮断板131の間に複数の蒸着源ノズル121が配されてもよい。ただし、この場合にも、複数の蒸着源ノズル121を、互いに隣接している遮断板131の間のほぼ中央に位置させることが望ましい。
【0049】
このように、遮断板131が、蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート150との間の空間を複数の蒸着空間Sに区切ることによって、一つの蒸着源ノズル121から排出される蒸着物質は他の蒸着源ノズル121から排出された蒸着物質と混合されず、パターニングスリット151を通過して基板500に蒸着されることである。すなわち、前記遮断板131は、各蒸着源ノズル121を通じて排出される蒸着物質が分散されずに直進性を維持するように、蒸着物質のZ軸方向の移動経路をガイドする役割を行う。
【0050】
このように、遮断板131を備えて蒸着物質の直進性を確保することによって、基板に形成される陰影(shadow)のサイズを大幅に縮小することができ、したがって、薄膜蒸着アセンブリー100と基板500とを一定程度離隔させることができる。これについては、後述する。
【0051】
一方、前記複数の遮断板131の外側には遮断板フレーム132がさらに備えられうる。遮断板フレーム132は、複数の遮断板131の側面にそれぞれ備えられて、複数の遮断板131の位置を固定すると同時に、蒸着源ノズル121を通じて排出される蒸着物質がY軸方向に分散されないように、蒸着物質のY軸方向の移動経路をガイドする役割を行う。
【0052】
前記蒸着源ノズル部120と遮断板アセンブリー130とは、一定程度離隔することが望ましい。これにより、蒸着源110から発散される熱が遮断板アセンブリー130に伝導されることを防止できる。しかし、本発明の思想はこれに制限されない。すなわち、蒸着源ノズル部120と遮断板アセンブリー130との間に適切な断熱手段が備えられる場合、蒸着源ノズル部120と遮断板アセンブリー130とが結合して接触してもよい。
【0053】
一方、前記遮断板アセンブリー130は、薄膜蒸着アセンブリー100から着脱自在に形成されうる。本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100では、遮断板アセンブリー130を用いて蒸着空間を外部空間と分離したので、基板500に蒸着されていない蒸着物質は、ほぼ遮断板アセンブリー130内に蒸着される。したがって、遮断板アセンブリー130を薄膜蒸着アセンブリー100から着脱自在に形成して、長時間蒸着後に遮断板アセンブリー130に蒸着物質が多く溜まれば、遮断板アセンブリー130を薄膜蒸着アセンブリー100から分離して、別途の蒸着物質リサイクル装置に入れて蒸着物質を回収できる。このような構成を通じて、蒸着物質リサイクル率を高めることによって、蒸着効率が向上してコストダウンとなる効果が得られる。
【0054】
一方、蒸着源110と基板500との間には、パターニングスリットシート150及びフレーム155がさらに備えられる。前記フレーム155は、窓枠状に形成され、その内側にパターニングスリットシート150が結合される。そして、パターニングスリットシート150には、X軸方向に沿って複数のパターニングスリット151が形成される。各パターニングスリット151は、Y軸方向に沿って延びている。蒸着源110内で気化して蒸着源ノズル121を通過した蒸着物質115は、パターニングスリット151を通過して被蒸着体である基板500側に向かう。
【0055】
前記パターニングスリットシート150は金属薄板で形成され、引張された状態でフレーム155に固定される。前記パターニングスリット151は、ストライプタイプでパターニングスリットシート150に、エッチングを通じて形成される。
【0056】
ここで、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100は、蒸着源ノズル121の総数よりパターニングスリット151の総数がさらに多く形成される。また、互いに隣接している2つの遮断板131の間に配された蒸着源ノズル121の数よりパターニングスリット151の数がさらに多く形成される。前記パターニングスリット151の数は、基板500に形成される蒸着パターンの数に対応させることが望ましい。
【0057】
一方、前述した遮断板アセンブリー130とパターニングスリットシート150とは、互いに一定程度離隔するように形成され、遮断板アセンブリー130とパターニングスリットシート150とは、別途の連結部材135によって互いに連結されうる。さらに詳細には、高温状態の蒸着源110により遮断板アセンブリー130の温度は最大100℃以上上昇するため、上昇した遮断板アセンブリー130の温度がパターニングスリットシート150に伝導されないように、遮断板アセンブリー130とパターニングスリットシート150とを一定ほど離隔させることである。
【0058】
前述したように、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100は、基板500に対して相対的に移動しつつ蒸着を行い、このように薄膜蒸着アセンブリー100が基板500に対して相対的に移動するために、パターニングスリットシート150は、基板500から一定程度離隔するように形成される。そして、パターニングスリットシート150と基板500とを離隔させる場合に発生する陰影問題を解決するために、蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート150との間に遮断板131を備えて蒸着物質の直進性を確保することによって、基板に形成される陰影のサイズを大幅に縮小させたことである。
【0059】
従来のFMM蒸着方法では、基板に陰影が生じないようにするために、基板にマスクを密着させて蒸着工程を進めた。しかし、このように基板にマスクを密着させる場合、基板とマスクとの接触により基板に既に形成されていたパターンが掻かれるなど不良が発生するという問題点が存在している。また、マスクを基板に対して移動させることができないため、マスクが基板と同じサイズに形成されねばならない。したがって、ディスプレイ装置が大型化することによってマスクのサイズも大きくならねばならないが、このような大型マスクを形成し難いという問題点が存在している。
【0060】
このような問題点を解決するために、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100では、パターニングスリットシート150を、被蒸着体である基板500と所定間隔をおいて離隔するように配させる。これは、遮断板131を備えて、基板500に生成される陰影が小さくなることによって実現可能になる。
【0061】
このような本発明によってパターニングスリットシートを基板より小さく形成した後、このパターニングスリットシートを基板に対して相対移動させることによって、従来FMM方法のように大きいマスクを製作する必要がなくなった。また、基板とパターニングスリットシートとの間が離隔されているため、相互接触による不良を防止する効果が得られる。また、工程で基板とパターニングスリットシートとを密着させる時間が不要になるため、製造速度が向上する効果が得られる。
【0062】
以下では、本発明の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリー100のアライン精度と間隔精度とを満たすための位置検出部材とアライン制御部材とについて詳細に説明する。
【0063】
前述したように、本発明の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリー100は、パターニングスリットシート150が基板500から一定程度離隔するように形成され、パターニングスリットシート150が基板500に対してZ軸方向に相対的に移動しつつ蒸着が行われることを特徴とする。ところが、このようにパターニングスリットシート150が移動しつつ精密な薄膜をパターニングするためには、パターニングスリットシート150と基板500との位置精度が非常に重要である。また、パターニングスリットシート150と基板500との間隔が変動すればパターン位置が揺れるため、可能な限り一定の間隔(例えば、100μm)を維持せねばならない。このために、本発明の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリー100は、位置検出部材とアライン制御部材とを備えて、パターニングスリットシート150と基板500との精密な位置を検出し、これら相互間を整列させることを一特徴とする。
【0064】
図4ないし図6に図示されたように、本発明の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリー100はカメラ170と焦点制御部材180とを備え、このようなカメラ170と焦点制御部材180とを用いて、薄膜蒸着アセンブリー100と基板500との間隔を正確に検出する。
【0065】
さらに詳細には、カメラ170は、フレーム155に形成された第1アラインマーク159と、基板500の背面上に形成された第2アラインマーク(図7の501参照)とをリアルタイムで測定する。前記カメラ170は、蒸着の進行中の真空チャンバー内で円滑な視野確保ができるように備えられる。
【0066】
基板500及びパターニングスリットシート150の背面と、前記基板500の背面上に表示された第2アラインマーク501とを図示した図7を参照すれば、基板500の背面エッジには、ストライプ状の第2アラインマーク501が複数形成されている。前記複数の第2アラインマーク501は、基板500の進行方向、すなわち、図7の矢印Y方向と平行に形成されており、フレーム155に形成された第1アラインマーク159と対応する位置に形成されている。すなわち、カメラ170は、フレーム155に形成された第1アラインマーク159を通じて基板500の第2アラインマーク501を撮影することである。
【0067】
この時、前記第2アラインマーク501がストライプ状に形成される理由は、次の通りである。一般的に従来の薄膜蒸着装置では、アラインマークとして円、十字、方形などのマークを使用した。このような形状のマークは停止状態の基板をアラインする場合には使用できるが、本発明のように基板が移動する場合には、カメラを通じて獲得される映像が一定でないため、その適用が容易ではない。したがって、本発明では簡潔なストライプ状のアラインマークを備えて、基板が移動する途中でもカメラを通じて獲得される映像を一定にして、基板の移動中にもリアルタイムでアライン可能にすることを一特徴とする。
【0068】
一方、本発明では、基板500とパターニングスリットシート150とが一定程度離隔しているところ、一つのカメラ170を用いて、相異なる位置にある基板500までの距離とパターニングスリットシート150までの距離とを共に測定せねばならない。その方法は、次の通りである。
【0069】
まず、図4、図8及び図9に図示されたような焦点制御部材180を、カメラ170と基板500との間に配する。ここで、前記焦点制御部材180は、概略扁平な円板状に形成され、円板上に2つのホール181、182が形成されている。ここで、第1ホール181は、空いている空間の状態で何も満たされていないが、第2ホール182にはガラスなどの透明な物体が挟み込まれる。すなわち、第1ホール181が形成された領域と第2ホール182が形成された領域との屈折率が相異なる。そして、前記焦点制御部材180は、図8の矢印R方向に回転自在に備えられる。
【0070】
したがって、焦点制御部材180が回転することによって、カメラ170の直下方に第1ホール181が位置している時と、カメラ170の直下方に第2ホール182が位置している時とのカメラ170の焦点が合う位置が変わる。なぜなら、第1ホール181を満たしている空気の屈折率と、第2ホール182を満たしているガラスなどの透明な物体の屈折率とが互いに異なるためである。
【0071】
例えば、図8に図示されたように、カメラ170の直下方に第1ホール181が位置している時は、カメラ170の焦点が基板500に合うようになって、カメラ170から基板500までの距離を測定できる。一方、図9に図示されたように、カメラ170の直下方に第2ホール182が位置している時は、カメラ170の焦点がパターニングスリットシート150に合うようになって、カメラ170からパターニングスリットシート150までの距離を測定できる。
【0072】
または図面には図示されていないが、カメラ自体が光軸に沿って移動しつつ映像を撮影してもよい。すなわち、カメラ170が図6の矢印M方向に沿って移動しつつ映像を撮影できる。この場合、カメラ170が基板500側に近付いた時はカメラ170の焦点が基板500に合うようになって、カメラ170から基板500までの距離を測定でき、カメラ170が基板500から遠ざかった時はカメラ170の焦点がパターニングスリットシート150に合うようになって、カメラ170からパターニングスリットシート150までの距離を測定できることである。
【0073】
このように、焦点制御部材180が回転することによって、カメラ170から基板500までの距離と、カメラ170からパターニングスリットシート150までの距離とが交互に測定されるため、パターニングスリットシート150と基板500との間の距離をリアルタイムで測定することができる。
【0074】
一方、図4及び図10に図示されたように、基板500の蒸着面、すなわち、XY平面上での基板500のチルト角度を測定するために、基板500(または静電チャック600)上にレーザー照射部材190をさらに備え、チャンバー(図示せず)の内部には、第1測定部材191及び第2測定部材192をさらに備えることができる。前記第1測定部材191及び第2測定部材192は、前記レーザー照射部材190と同一軸上に配されうる。そして、第1測定部材191及び第2測定部材192上には、十字状の第3アラインマーク192aが表示されている。したがって、基板500が図4の矢印A方向に移動している間、レーザー照射部材190から第1測定部材191及び第2測定部材192側にレーザーL1L2を照射し、前記照射されたレーザーL1L2は、第1測定部材191及び第2測定部材192から検出される。この時、レーザーL1L2が第3アラインマーク192a上のどの位置に照射されたかを用いて、XY平面上での基板500のチルト角度を測定することである。例えば、図10に図示されたように、第1測定部材191に表示されたアラインマーク(図示せず)の中心と照射されたレーザーL1との間の距離D1と、第2測定部材192に表示された第3アラインマーク(図4の192a参照)の中心と照射されたレーザーL2との間の距離D2を用いて、XY平面上での基板500のチルト角度を測定できる。
【0075】
ここで、図面には、第1測定部材191と第2測定部材192との2つの測定部材が備えられると図示されているが、本発明はこれに制限されず、装置に要求される仕様によって一つまたはそれ以上の測定部材が自在に配されうる。ただし、基板の移動初期には基板の進行距離が短いので、第1測定部材191で測定される距離の精度が落ち、基板の移動末期には基板が益々第2測定部材192側に近付くことによって、第2測定部材192で測定される距離の精度が落ちるので、チャンバーの前方及び後方にそれぞれ少なくとも一つの測定部材を配置して、測定区間全般にわたって測定の信頼度を向上させることが望ましい。
【0076】
一方、図11には、このようなリアルタイムアラインのために必要なカメラの配置が図示されている。
薄膜蒸着アセンブリー100と基板500とのリアルタイムアラインのためには、図11に図示されたように、少なくとも7個の水平アラインカメラ171a、171b、171c、171d、171e、171f、171gと、最小限7個の垂直アラインカメラ172a、172b、172c、172d、172e、172f、172gが要求される。その理由は、次の通りである。
【0077】
いずれか一瞬間での基板500の水平方向の位置を正確に測定するためには、3つの水平アラインカメラが必要である。なぜなら、3点が分かって初めて一つの平面が決定されるためである。同じ理由で、いずれか一瞬間での基板500の垂直方向の位置を正確に測定するためには、3つの垂直アラインカメラが必要である。すなわち、いずれか一瞬間での基板500の3次元上での位置を正確に測定するためには、3つの水平アラインカメラと3つの垂直アラインカメラ、すなわち、総6個のカメラが必要である。
【0078】
すなわち、3つの水平アラインカメラ171a、171b、171cと3つの垂直アラインカメラ172a、172b、172cとがあれば、基板500の先端部が薄膜蒸着アセンブリー100を通過し始める時点での、基板500の3次元上の位置を正確に測定できる。また、3つの水平アラインカメラ171c、171d、171eと、3つの垂直アラインカメラ172c、172d、172eとがあれば、基板500が薄膜蒸着アセンブリー100の中央部を通過する時点での基板500の3次元上での位置を正確に測定できる。また、3つの水平アラインカメラ171e、171f、171gと、3つの垂直アラインカメラ172e、172f、172gとがあれば、基板500が薄膜蒸着アセンブリー100を完全に通過する時点での、基板500の3次元上の位置を正確に測定できる。
【0079】
すなわち、薄膜蒸着アセンブリー100のパターニングスリットシート150の前方部に形成されたカメラ171c、172cを、基板500の先端部が薄膜蒸着アセンブリー100を通過し始める時点の撮影と、基板500が薄膜蒸着アセンブリー100の中央部を通過する時点の撮影とにいずれも使用する。また、薄膜蒸着アセンブリー100のパターニングスリットシート150の後方部に形成されたカメラ171e、172eを、基板500が薄膜蒸着アセンブリー100の中央部を通過する時点の撮影と、基板500が薄膜蒸着アセンブリー100を抜け出る時点の撮影とにいずれも使用する。
【0080】
このような構成によって、基板のアラインのために必要なカメラの数を最小化させることができ、したがって、コストダウンで装置の構成が簡単になる効果が得られる。
図12及び図13は、図1の薄膜蒸着装置でリアルタイムアラインのために必要なアクチュエータの配置を示す図面である。図12を参照すれば、基板500の蒸着面上で基板の移動方向(矢印Y方向)と平行な方向、すなわち、X軸方向の基板500の反りを補正するために、最小限2つの第1アクチュエータ195a、195bが要求される。また、図13を参照すれば、基板500の蒸着面と垂直な方向、すなわち、Z軸(図4参照)方向への反りを補正するために、最小限3つの第2アクチュエータ197a、197b、197cが要求される。ここで、基板500はLMレール(linear motion rail)とLMブロック(linear motion block)とを備える所定のLMシステム(linear motion system)によって精密移送されるので、基板500の移動方向、すなわち、Y軸方向の反りは考慮しなくてもよい。
【0081】
ここで、2つの第1アクチュエータ195a、195bを同方向に駆動させることによって、基板500をX軸方向に移動できる。また、2つの第1アクチュエータ195a、195bを互いに逆方向に駆動させることによって、基板500を基板500の蒸着面と平行な平面上で回転させることができる。
【0082】
また、3つの第2アクチュエータ197a、197b、197cを同方向に駆動させることによって、基板500をZ軸方向に移動できる。また、3つの第2アクチュエータ197a、197b、197cを相異なる方向に駆動させることによって、基板500を基板500のX軸を中心に、またはY軸を中心に回転させることができる。
【0083】
このような構成によって、最小限のアクチュエータのみで基板の反りを補正する効果が得られる。
【0084】
図14は、本発明の望ましい他の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100を概略的に示す斜視図である。
図14に図示された実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー100は、蒸着源110、蒸着源ノズル部120、第1遮断板アセンブリー130、第2遮断板アセンブリー140、パターニングスリットシート150を備える。
ここで、図14には、説明の便宜のためにチャンバーを図示していないが、図14のあらゆる構成は適切な真空度が維持されるチャンバー内に配されることが望ましい。 これは、蒸着物質の直進性を確保するためである。
【0085】
このようなチャンバー(図示せず)内には被蒸着体である基板500が配される。そして、チャンバー(図示せず)内で基板500と対向する側には、蒸着物質115が収納及び加熱される蒸着源110が配される。
蒸着源110及びパターニングスリットシート150の詳細な構成は、前述した図4による実施形態と同一であるので、詳細な説明を省略する。そして、前記第一遮断板アセンブリー130は、図4による実施形態の遮断板アセンブリーと同一であるので、やはり詳細な説明は省略する。
【0086】
本実施形態では、第1遮断板アセンブリー130の一側に第2遮断板アセンブリー140が備えられる。前記第2遮断板アセンブリー140は、複数の第2遮断板141と、第2遮断板141の外側に備えられる第2遮断板フレーム142とを備える。
前記複数の第2遮断板141は、X軸方向に沿って互いに平行に備えられうる。そして、前記複数の第2遮断板141は等間隔で形成されうる。また、それぞれの第2遮断板141は、図面から見た時、YZ平面と平行に、言い換えれば、X軸方向に垂直になるように形成される。
【0087】
このように配された複数の第1遮断板131及び第2遮断板141は、蒸着源ノズル部120とパターニングスリットシート150との間の空間を区切る役割を行う。すなわち、前記第1遮断板131及び第2遮断板141によって、蒸着物質が噴射されるそれぞれの蒸着源ノズル121別に蒸着空間が分離されることを一特徴とする。
【0088】
ここで、それぞれの第2遮断板141は、それぞれの第1遮断板131と一対一対応するように配されうる。言い換えれば、それぞれの第2遮断板141は、それぞれの第1遮断板131とアラインされて互いに平行に配されうる。すなわち、互いに対応する第1遮断板131と第2遮断板141とは、互いに同じ平面上に位置するようになる。図面には、第1遮断板131の長さと第2遮断板141のX軸方向の幅とが同一であると図示されているが、本発明の思想はこれに制限されるものではない。すなわち、パターニングスリット151との精密なアラインが要求される第2遮断板141は相対的に薄く形成する一方、精密なアラインが要求されない第1遮断板131は相対的に厚く形成して、その製造を容易にすることも可能であるといえる。
【0089】
前述したような薄膜蒸着アセンブリー100は、図1から分かるように、第1チャンバー731内に複数が連続して配されうる。この場合、各薄膜蒸着アセンブリー100、200、300、400は、相異なる蒸着物質を蒸着させることができ、この時、各薄膜蒸着アセンブリー100、200、300、400のパターニングスリットのパターンを相異なるパターンにして、例えば、赤、緑、青色の画素を一括蒸着するなどの成膜工程を進めることができる。
【0090】
ここで、本発明の他の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリーでは、カメラ170、焦点制御部材180、レーザー照射部材190などを備える位置検出部材と、アクチュエータ(図12及び図13参照)などを備えるアライン制御部材とをさらに備えて、薄膜蒸着アセンブリーに対する基板のアラインを正確かつ容易に行うことを一特徴とする。これについては第1実施形態で詳細に説明したが、本実施形態ではその詳細な説明は省略する。
【0091】
図15は、本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリー900を概略的に示す斜視図である。
図15を参照すれば、本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリー900は、蒸着源910、蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950を備える。
【0092】
ここで、図15には、説明の便宜のためにチャンバーを図示していないが、図15のあらゆる構成は、適宜な真空度が維持される第1チャンバー内に配されることが望ましい。これは、蒸着物質の直進性を確保するためである。
そして、第1チャンバー(図示せず)内には、被蒸着体である基板500が静電チャック600により移送される。前記基板500は平板表示装置用基板になりうるが、複数の平板表示装置を形成できるマザーガラスのような大面積基板が適用されうる。
【0093】
ここで、本発明の一実施形態では、基板500が薄膜蒸着アセンブリー900に対して相対的に移動しつつ蒸着が進行することを一特徴とする。さらに詳細には、薄膜蒸着アセンブリー900と対向するように配された基板500が、Y軸方向に沿って移動しつつ連続的に蒸着を行う。すなわち、基板500が図15の矢印A方向に移動しつつスキャニング方式で蒸着が行われることである。ここで、図面には、基板500が第1チャンバー(図示せず)内でY軸方向に移動しつつ蒸着が行われると図示されているが、本発明の思想はこれに制限されず、基板500は固定されており、薄膜蒸着アセンブリー900自体がY軸方向に移動しつつ蒸着を行うこともできる。
【0094】
したがって、本発明の薄膜蒸着アセンブリー900では、従来のFMMに比べて非常に小さくパターニングスリットシート950を作ることができる。すなわち、本発明の薄膜蒸着アセンブリー900の場合、基板500がY軸方向に沿って移動しつつ連続的に、すなわち、スキャニング方式で蒸着を行うため、パターニングスリットシート950のX軸方向及びY軸方向の長さは、基板500の長さより非常に小さく形成されうる。このように、従来のFMMに比べて非常に小さくパターニングスリットシート950を作ることができるため、本発明のパターニングスリットシート950はその製造が容易である。すなわち、パターニングスリットシート950のエッチング作業や、その後の精密引張及び溶接作業、移動及び洗浄作業などのあらゆる工程で、小サイズのパターニングスリットシート950がFMM蒸着方法に比べて有利である。また、これは、ディスプレイ装置が大型化する程度さらに有利になる。
【0095】
このように、薄膜蒸着アセンブリー900と基板500とが互いに相対的に移動しつつ蒸着が行われるためには、薄膜蒸着アセンブリー900と基板500とが一定程度離隔することが望ましい。これについては、後述する。
一方、チャンバー内で前記基板500と対向する側には、蒸着物質915が収納及び加熱される蒸着源910が配される。前記蒸着源910内に収納されている蒸着物質915が気化することによって基板500に蒸着が行われる。
【0096】
さらに詳細に、蒸着源910は、その内部に蒸着物質915が満たされる坩堝911と、坩堝911を加熱させて坩堝911の内部に満たされた蒸着物質915を坩堝911の一側、詳細には、蒸着源ノズル部920側に蒸発させるためのヒーター912とを備える。
【0097】
蒸着源910の一側、詳細には、蒸着源910から基板500に向かう側には蒸着源ノズル部920が配される。そして、蒸着源ノズル部920には、Y軸方向、すなわち、基板500のスキャン方向に沿って複数の蒸着源ノズル921が形成される。ここで、前記複数の蒸着源ノズル921は等間隔で形成されうる。蒸着源910内で気化した蒸着物質915は、このような蒸着源ノズル部920を通過して被蒸着体である基板500側に向かう。このように、蒸着源ノズル部920上にY軸方向、すなわち、基板500のスキャン方向に沿って複数の蒸着源ノズル921が形成する場合、パターニングスリットシート950のそれぞれのパターニングスリット951を通過する蒸着物質により形成されるパターンのサイズは、蒸着源ノズル921の一つのサイズのみにより影響されるので(すなわち、X軸方向には蒸着源ノズル921が一つのみ存在することになるので)、陰影が発生しなくなる。また、複数の蒸着源ノズル921がスキャン方向に存在するので、個別蒸着源ノズル間のフラックス(flux)差が発生するとしてもその差が相殺されて、蒸着均一度が一定に維持される効果が得られる。
【0098】
一方、蒸着源910と基板500との間には、パターニングスリットシート950及びフレーム955がさらに備えられる。フレーム955は窓枠状に形成され、その内側にパターニングスリットシート950が結合される。そして、パターニングスリットシート950には、X軸方向に沿って複数のパターニングスリット951が形成される。蒸着源910内で気化した蒸着物質915は、蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950を通過して被蒸着体である基板500側に向かうようになる。この時、前記パターニングスリットシート950は、従来のファインメタルマスク(以下、FMM)、特にストライプタイプのマスクの製造方法と同じ方法であるエッチングを通じて製作されうる。この時、蒸着源ノズル921の総数よりパターニングスリット951の総数がさらに多く形成されうる。
【0099】
一方、前述した蒸着源910及びこれと結合された蒸着源ノズル部920とパターニングスリットシート950とは、互いに一定程度離隔するように形成され、蒸着源910及びこれと結合された蒸着源ノズル部920とパターニングスリットシート950とは、連結部材935によって互いに連結されうる。すなわち、蒸着源910、蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950が連結部材935により連結されて、互いに一体に形成されうる。ここで連結部材935は、蒸着源ノズル921を通じて排出される蒸着物質が分散されないように蒸着物質の移動経路をガイドできる。図面には、連結部材935が、蒸着源910、蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950の左右方向のみに形成されて、蒸着物質のX軸方向のみをガイドすると図示されているが、これは図示の便宜のためのものであり、本発明の思想はこれに制限されず、連結部材935がボックス形態の密閉型に形成されて蒸着物質のX軸方向及びY軸方向移動を同時にガイドすることもできる。
【0100】
前述したように、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー900は、基板500に対して相対的に移動しつつ蒸着を行い、このように薄膜蒸着アセンブリー900が基板500に対して相対的に移動するために、パターニングスリットシート950は基板500から一定程度離隔するように形成される。
【0101】
さらに詳細には、従来のFMM蒸着方法では基板に陰影が生じないようにするために、基板にマスクを密着させて蒸着工程を進めた。しかし、このように基板にマスクを密着させる場合、基板とマスクとの接触による不良問題が発生するという問題点が存在した。また、マスクを基板に対して移動させられないため、マスクが基板と同じサイズに形成されねばならない。したがって、ディスプレイ装置が大型化することによってマスクのサイズも大きくならねばならないが、このような大型マスクを形成し難いという問題点が存在している。
【0102】
このような問題点を解決するために、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着アセンブリー900では、パターニングスリットシート950を、被蒸着体である基板500と所定間隔をおいて離隔するように配させる。
【0103】
このような本発明によってマスクを基板より小さく形成した後、マスクを基板に対して移動させつつ蒸着を行えること、マスク製作が容易になる効果が得られる。また、基板とマスクとの接触による不良を防止する効果が得られる。また、工程で基板とマスクとを密着させる時間が不要になるため、製造速度が向上する効果が得られる。
【0104】
ここで、本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリー900(図15)では、カメラ170、焦点制御部材180、レーザー照射部材190などを備える位置検出部材と、アクチュエータ(図12及び図13参照)などを含むアライン制御部材をより備えて、薄膜蒸着装置に対する基板のアラインEL正確で容易に行うことを一特徴とする。これについては、第1実施形態で詳細に説明したので、本実施形態ではその詳細な説明は省略する。
【0105】
図16は、本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリー900を示す図面である。図面を参照すれば、本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着アセンブリーは、蒸着源910、蒸着源ノズル部920及びパターニングスリットシート950を備える。ここで、蒸着源910は、その内部に蒸着物質915が満たされる坩堝911と、坩堝911を加熱させて坩堝911の内部に満たされた蒸着物質915を蒸着源ノズル部920側に蒸発させるためのヒーター912とを備える。一方、蒸着源910の一側には蒸着源ノズル部920が配され、蒸着源ノズル部920にはY軸方向に沿って複数の蒸着源ノズル921が形成される。一方、蒸着源910と基板500との間にはパターニングスリットシート950及びフレーム955がさらに備えられ、パターニングスリットシート950にはX軸方向に沿って複数のパターニングスリット951が形成される。そして、蒸着源910及び蒸着源ノズル部920とパターニングスリットシート950とは、連結部材935によって結合される。
【0106】
本実施形態では、蒸着源ノズル部920に形成された複数の蒸着源ノズル921が所定角度チルトされて配されるという点で、前述した実施形態と区別される。さらに詳細には、蒸着源ノズル921は、2列の蒸着源ノズル921a、921bで形成され、前記2列の蒸着源ノズル921a、921bは、交互に配される。この時、蒸着源ノズル921a、921bは、XZ平面上で所定角度傾くようにチルトされて形成されうる。
【0107】
すなわち、本実施形態では、蒸着源ノズル921a、921bが所定角度チルトされて配されるようにする。ここで、第1列の蒸着源ノズル921aは、第2列の蒸着源ノズル921bに向かうようにチルトされ、第2列の蒸着源ノズル921bは、第1列の蒸着源ノズル921aに向かうようにチルトされうる。言い換えれば、左側列に配された蒸着源ノズル921aは、パターニングスリットシート950の右側端部に向かうように配され、右側列に配された蒸着源ノズル921bは、パターニングスリットシート950の左側端部に向かうように配されることができる。
【0108】
図17は、本発明による薄膜蒸着アセンブリーで蒸着源ノズルをチルトさせていない時、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面であり、図18は、本発明による薄膜蒸着アセンブリーで蒸着源ノズルをチルトさせた時、基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面である。図17と図18とを比較すれば、蒸着源ノズルをチルトさせた時に基板の両端部に成膜される蒸着膜の厚さが相対的に増大して蒸着膜の均一度が上昇するということが分かる。
【0109】
このような構成によって、基板の中央と終端部分での成膜厚さ差が低減して、全体的な蒸着物質の厚さが均一になるように蒸着量を制御でき、さらには、材料利用効率が高くなる効果が得られる。
【0110】
ここで、本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着装置では、カメラ170、焦点制御部材180、レーザー照射部材190などを備える位置検出部材と、アクチュエータ(図12及び図13参照)などを備えるアライン制御部材とをさらに備えて、薄膜蒸着装置に対する基板のアラインを正確かつ容易に行うことを一特徴とする。これについては、第1実施形態で詳細に説明したので、本実施形態ではその詳細な説明は省略する。
【0111】
図19は、本発明の蒸着装置を用いて製造されたアクティブマトリックス型有機発光表示装置の断面を図示する。
図19を参照すれば、前記アクティブマトリス型の有機発光表示装置は基板30上に形成される。前記基板30は透明な素材、例えば、ガラス材、プラスチック材、または金属材で形成できる。前記基板30上には、全体的にバッファ層のような絶縁膜31が形成されている。
【0112】
前記絶縁膜31上には、図19に示したようなTFT 40と、キャパシタ50と、有機発光素子60とが形成される。
前記絶縁膜31の上面には所定パターンに配列された半導体活性層41が形成されている。前記半導体活性層41は、ゲート絶縁膜32によって埋め立てられている。前記活性層41は、p型またはn型の半導体で形成されうる。
【0113】
前記ゲート絶縁膜32の上面には、前記活性層41と対応する所にTFT 40のゲート電極42が形成される。そして、前記ゲート電極42を覆うように層間絶縁膜33が形成される。前記層間絶縁膜33が形成された後には、ドライエッチングのエッチング工程によって、前記ゲート絶縁膜32と層間絶縁膜33とをエッチングしてコンタクトホールを形成させて、前記活性層41の一部を露出させる。
次いで、前記層間絶縁膜33上にソース/ドレイン電極43が形成されるが、コンタクトホールを通じて露出された活性層41に接触するように形成される。前記ソース/ドレイン電極43を覆うように保護膜34が形成され、エッチング工程を通じて前記ドレイン電極43の一部を露出させる。前記保護膜34上には、保護膜34の平坦化のために別途の絶縁膜をさらに形成してもよい。
【0114】
一方、前記有機発光素子60は、電流のフローによって赤、緑、青色の光を発光して所定の画像情報を表示するためのものであって、前記保護膜34上に第1電極61を形成する。前記第1電極61は、TFT 40のドレイン電極43と電気的に連結される。
【0115】
そして、前記第1電極61を覆うように画素定義膜35が形成される。この画素定義膜35に所定の開口64を形成した後、この開口64に限定された領域内に有機発光膜63を形成する。有機発光膜63上には第2電極62を形成する。
【0116】
前記画素定義膜35は各画素を区切るものであって、有機物で形成されて、第1電極61が形成されている基板の表面、特に、保護層34の表面を平坦化する。
前記第1電極61と第2電極62とは互いに絶縁されており、有機発光膜63に相異なる極性の電圧を加えて発光がなされるようにする。
【0117】
前記有機発光膜63は、低分子または高分子有機物が使われうるが、低分子有機物を使用する場合、ホール注入層(HIL:Hole Injection Layer)、ホール輸送層(HTL:Hole Transport Layer)、発光層(EML:Emission Layer)、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)、電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)などが単一あるいは複合の構造で積層されて形成され、使用可能な有機材料も銅フタロシアニン(CuPc)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3)などをはじめとして多様に適用できる。これら低分子有機物は、図1ないし図3に示した蒸着装置及び蒸着ソースユニット10を用いて真空蒸着の方法で形成されうる。
【0118】
先ず、画素定義膜35に開口64を形成した後、この基板30を図1のようにチャンバー20内へ移送する。そして、第1蒸着ソース11と第2蒸着ソース12とに目標有機物を収納した後、蒸着する。この時、ホストとドーパントとを同時に蒸着させる場合には、第1蒸着ソース11と第2蒸着ソース12とにそれぞれホスト物質とドーパント物質とを収納して蒸着させる。
【0119】
このような有機発光膜を形成した後には、第2電極62もやはり同じ蒸着工程で形成できる。
一方、前記第1電極61はアノード電極の機能を行え、前記第2電極62はカソード電極の機能を行えるが、もちろん、これら第1電極61と第2電極62との極性は逆になってもよい。そして、第1電極61は、各画素の領域に対応するようにパターニングされ、第2電極62は、あらゆる画素を覆うように形成されうる。
【0120】
前記第1電極61は、透明電極または反射型電極で備えられうるが、透明電極として使われる時には、ITO、IZO、ZnO、またはIn2O3で備えられ、反射型電極として使われる時には、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、及びこれらの化合物で反射層を形成した後、その上にITO、IZO、ZnO、またはIn2O3で透明電極層を形成できる。これらの第1電極61は、スパー跡地リング方法などにより成膜された後、フォトリソグラフィ法などによりパターニングされる。
【0121】
一方、前記第2電極62も透明電極または反射型電極で備えられうるが、透明電極として使われる時には、この第2電極62がカソード電極として使われるので、仕事関数の小さな金属、すなわち、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、及びこれらの化合物が有機発光膜63の方向に向かうように蒸着した後、その上にITO、IZO、ZnO、またはIn2O3などで補助電極層やバス電極ラインを形成できる。そして、反射型電極として使われる時には、前記Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、及びこれらの化合物を全面蒸着して形成する。この時、蒸着は前述した有機発光膜63の場合と同じ方法で行える。
【0122】
本発明はその他にも、有機TFTの有機膜または無期膜などの蒸着にも使用でき、その他に多様な素材の成膜工程に適用できる。
本発明は図面に図示された実施形態を参考として説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって定められねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明は、薄膜蒸着装置関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0124】
100 薄膜蒸着アセンブリー
110 蒸着源
120 蒸着源ノズル部
130 遮断板アセンブリー
131 遮断板
132 遮断板フレーム
150 パターニングスリットシート
155 フレーム
500 基板
600 静電チャック
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、
蒸着物質を放射する蒸着源と、
前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の蒸着源ノズルが形成された蒸着源ノズル部と、
前記蒸着源ノズル部と対向して配され、前記第1方向に沿って複数のパターニングスリットが配されるパターニングスリットシートと、
前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間に前記第1方向に沿って配されて、前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間の空間を複数の蒸着空間に区切る複数の遮断板を備える遮断板アセンブリーと、
前記パターニングスリットシートに対する前記基板の相対的な位置を検出する位置検出部材と、
前記位置検出部材から検出された前記相対的な位置を用いて、前記基板に対する前記パターニングスリットシートの相対的な位置を変化させるアライン制御部材と、を備え、
前記薄膜蒸着装置と前記基板とは互いに離隔するように配され、
前記薄膜蒸着装置と前記基板とは互いに相対的に移動することを特徴とする薄膜蒸着装置。
【請求項2】
前記パターニングスリットシートは第1アラインマークを備え、
前記基板は第2アラインマークを備え、
前記位置検出部材は、前記第1アラインマークと前記第2アラインマークとを撮影するカメラをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項3】
前記第2アラインマークは、前記基板の移動方向と実質的に平行な一つ以上のストライプマークを備えることを特徴とする請求項2に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項4】
前記カメラと前記パターニングスリットシートとの間に介されて、前記カメラの焦点が結ばれる位置を制御する焦点制御部材をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項5】
前記焦点制御部材は回転自在に形成され、前記焦点制御部材上には、互いに屈折率の異なるように形成された第1ホールと第2ホールとがそれぞれ形成されることを特徴とする請求項4に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項6】
前記第1ホール及び第2ホールのうちいずれか一側には透明体が介在されることを特徴とする請求項5に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項7】
前記第1ホールと前記第2ホールとが交互に前記カメラの光軸上に配されることを特徴とする請求項5に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項8】
前記カメラは、光軸に沿って往復動しつつ映像を撮影することを特徴とする請求項2に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項9】
前記位置検出部材は、
前記基板の移動方向と実質的に平行な方向にレーザーを照射するレーザー照射部材と、
前記照射されるレーザーと同軸上に配され、所定形状の第3アラインマークが表示された一つ以上の測定部材と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項10】
前記アライン制御部材は、前記第1方向に沿って前記パターニングスリットシートが移動するように所定の駆動力を提供する、少なくとも2つの第1アクチュエータを備えることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項11】
前記アライン制御部材は、前記基板の蒸着面と垂直な方向に沿って前記パターニングスリットシートが移動するように所定の駆動力を提供する、少なくとも3つの第2アクチュエータを備えることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項12】
前記パターニングスリットシートは、前記基板より小さく形成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項13】
前記複数の遮断板それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直な第2方向に沿って延びるように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項14】
前記複数の遮断板は、等間隔で配されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項15】
前記遮断板アセンブリーは、複数の第1遮断板を備える第1遮断板アセンブリーと、複数の第2遮断板を備える第2遮断板アセンブリーと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項16】
前記複数の第1遮断板及び前記複数の第2遮断板それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直な第2方向に沿って延びるように形成されたことを特徴とする請求項15に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項17】
前記複数の第1遮断板及び前記複数の第2遮断板それぞれは、互いに対応するように配されることを特徴とする請求項16に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項18】
前記互いに対応する第1遮断板及び第2遮断板は、実質的に同じ平面上に位置するように配されることを特徴とする請求項17に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項19】
基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、
蒸着物質を放射する蒸着源と、
前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の蒸着源ノズルが形成される蒸着源ノズル部と、
前記蒸着源ノズル部と対向して配され、前記第1方向に対して垂直な第2方向に沿って複数のパターニングスリットが形成されるパターニングスリットシートと、
前記パターニングスリットシートに対する前記基板の相対的な位置を検出する位置検出部材と、
前記位置検出部材から検出された前記相対的な位置を用いて、前記基板に対する前記パターニングスリットシートの相対的な位置を変化させるアライン制御部材と、を備え、
前記基板が前記薄膜蒸着装置に対して前記第1方向に沿って移動しつつ蒸着が行われ、
前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリットシートは一体に形成されることを特徴とする薄膜蒸着装置。
【請求項20】
前記パターニングスリットシートは第1アラインマークを備え、
前記基板は第2アラインマークを備え、
前記位置検出部材は、前記第1アラインマークと前記第2アラインマークとを撮影するカメラをさらに備えることを特徴とする請求項19に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項21】
前記第2アラインマークは、前記基板の移動方向と実質的に平行な一つ以上のストライプマークを備えることを特徴とする請求項20に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項22】
前記カメラと前記パターニングスリットシートとの間に介されて、前記カメラの焦点が結ばれる位置を制御する焦点制御部材をさらに備えることを特徴とする請求項20に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項23】
前記焦点制御部材は回転自在に形成され、前記焦点制御部材上には、互いに屈折率の異なるように形成された第1ホールと第2ホールとがそれぞれ形成されることを特徴とする請求項22に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項24】
前記第1ホール及び第2ホールのうちいずれか一側には透明体が介在されることを特徴とする請求項23に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項25】
前記第1ホールと前記第2ホールとが交互に前記カメラの光軸上に配されることを特徴とする請求項23に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項26】
前記カメラは、光軸に沿って往復動しつつ映像を撮影することを特徴とする請求項20に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項27】
前記位置検出部材は、
前記基板の移動方向と実質的に平行な方向にレーザーを照射するレーザー照射部材と、
前記照射されるレーザーと同軸上に配され、所定形状の第3アラインマークが表示された一つ以上の測定部材と、をさらに備えることを特徴とする請求項19に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項28】
前記アライン制御部材は、前記第1方向に沿って前記パターニングスリットシートが移動するように所定の駆動力を提供する、少なくとも2つの第1アクチュエータを備えることを特徴とする請求項19に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項29】
前記アライン制御部材は、前記基板の蒸着面と垂直な方向に沿って前記パターニングスリットシートが移動するように所定の駆動力を提供する、少なくとも3つの第2アクチュエータを備えることを特徴とする請求項19に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項30】
前記蒸着源及び前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとは、連結部材により結合されて一体に形成されることを特徴とする請求項19に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項31】
前記連結部材は、前記蒸着物質の移動経路をガイドすることを特徴とする請求項30に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項32】
前記連結部材は、前記蒸着源及び前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間の空間を外部から密閉するように形成されることを特徴とする請求項30に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項33】
前記薄膜蒸着装置は、前記基板と所定程度離隔するように形成されることを特徴とする請求項19に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項34】
前記基板が前記薄膜蒸着装置に対して前記第1方向に沿って移動しつつ、前記基板上に前記蒸着物質が連続的に蒸着されることを特徴とする請求項19に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項35】
前記薄膜蒸着装置の前記パターニングスリットシートは、前記基板より小さく形成されることを特徴とする請求項19に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項36】
前記複数の蒸着源ノズルは、所定角度チルトされるように形成されることを特徴とする請求項19に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項37】
前記複数の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された二列の蒸着源ノズルを備え、前記二列の蒸着源ノズルは、互いに対向する方向にチルトされていることを特徴とする請求項36に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項38】
前記複数の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された二列の蒸着源ノズルを備え、
前記二列の蒸着源ノズルのうち第1側に配された蒸着源ノズルは、パターニングスリットシートの第2側端部に向かうように配され、
前記二列の蒸着源ノズルのうち第2側に配された蒸着源ノズルは、パターニングスリットシートの第1側端部に向かうように配されることを特徴とする請求項36に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項1】
基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、
蒸着物質を放射する蒸着源と、
前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の蒸着源ノズルが形成された蒸着源ノズル部と、
前記蒸着源ノズル部と対向して配され、前記第1方向に沿って複数のパターニングスリットが配されるパターニングスリットシートと、
前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間に前記第1方向に沿って配されて、前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間の空間を複数の蒸着空間に区切る複数の遮断板を備える遮断板アセンブリーと、
前記パターニングスリットシートに対する前記基板の相対的な位置を検出する位置検出部材と、
前記位置検出部材から検出された前記相対的な位置を用いて、前記基板に対する前記パターニングスリットシートの相対的な位置を変化させるアライン制御部材と、を備え、
前記薄膜蒸着装置と前記基板とは互いに離隔するように配され、
前記薄膜蒸着装置と前記基板とは互いに相対的に移動することを特徴とする薄膜蒸着装置。
【請求項2】
前記パターニングスリットシートは第1アラインマークを備え、
前記基板は第2アラインマークを備え、
前記位置検出部材は、前記第1アラインマークと前記第2アラインマークとを撮影するカメラをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項3】
前記第2アラインマークは、前記基板の移動方向と実質的に平行な一つ以上のストライプマークを備えることを特徴とする請求項2に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項4】
前記カメラと前記パターニングスリットシートとの間に介されて、前記カメラの焦点が結ばれる位置を制御する焦点制御部材をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項5】
前記焦点制御部材は回転自在に形成され、前記焦点制御部材上には、互いに屈折率の異なるように形成された第1ホールと第2ホールとがそれぞれ形成されることを特徴とする請求項4に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項6】
前記第1ホール及び第2ホールのうちいずれか一側には透明体が介在されることを特徴とする請求項5に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項7】
前記第1ホールと前記第2ホールとが交互に前記カメラの光軸上に配されることを特徴とする請求項5に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項8】
前記カメラは、光軸に沿って往復動しつつ映像を撮影することを特徴とする請求項2に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項9】
前記位置検出部材は、
前記基板の移動方向と実質的に平行な方向にレーザーを照射するレーザー照射部材と、
前記照射されるレーザーと同軸上に配され、所定形状の第3アラインマークが表示された一つ以上の測定部材と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項10】
前記アライン制御部材は、前記第1方向に沿って前記パターニングスリットシートが移動するように所定の駆動力を提供する、少なくとも2つの第1アクチュエータを備えることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項11】
前記アライン制御部材は、前記基板の蒸着面と垂直な方向に沿って前記パターニングスリットシートが移動するように所定の駆動力を提供する、少なくとも3つの第2アクチュエータを備えることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項12】
前記パターニングスリットシートは、前記基板より小さく形成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項13】
前記複数の遮断板それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直な第2方向に沿って延びるように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項14】
前記複数の遮断板は、等間隔で配されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項15】
前記遮断板アセンブリーは、複数の第1遮断板を備える第1遮断板アセンブリーと、複数の第2遮断板を備える第2遮断板アセンブリーと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項16】
前記複数の第1遮断板及び前記複数の第2遮断板それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直な第2方向に沿って延びるように形成されたことを特徴とする請求項15に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項17】
前記複数の第1遮断板及び前記複数の第2遮断板それぞれは、互いに対応するように配されることを特徴とする請求項16に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項18】
前記互いに対応する第1遮断板及び第2遮断板は、実質的に同じ平面上に位置するように配されることを特徴とする請求項17に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項19】
基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、
蒸着物質を放射する蒸着源と、
前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の蒸着源ノズルが形成される蒸着源ノズル部と、
前記蒸着源ノズル部と対向して配され、前記第1方向に対して垂直な第2方向に沿って複数のパターニングスリットが形成されるパターニングスリットシートと、
前記パターニングスリットシートに対する前記基板の相対的な位置を検出する位置検出部材と、
前記位置検出部材から検出された前記相対的な位置を用いて、前記基板に対する前記パターニングスリットシートの相対的な位置を変化させるアライン制御部材と、を備え、
前記基板が前記薄膜蒸着装置に対して前記第1方向に沿って移動しつつ蒸着が行われ、
前記蒸着源、前記蒸着源ノズル部及び前記パターニングスリットシートは一体に形成されることを特徴とする薄膜蒸着装置。
【請求項20】
前記パターニングスリットシートは第1アラインマークを備え、
前記基板は第2アラインマークを備え、
前記位置検出部材は、前記第1アラインマークと前記第2アラインマークとを撮影するカメラをさらに備えることを特徴とする請求項19に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項21】
前記第2アラインマークは、前記基板の移動方向と実質的に平行な一つ以上のストライプマークを備えることを特徴とする請求項20に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項22】
前記カメラと前記パターニングスリットシートとの間に介されて、前記カメラの焦点が結ばれる位置を制御する焦点制御部材をさらに備えることを特徴とする請求項20に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項23】
前記焦点制御部材は回転自在に形成され、前記焦点制御部材上には、互いに屈折率の異なるように形成された第1ホールと第2ホールとがそれぞれ形成されることを特徴とする請求項22に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項24】
前記第1ホール及び第2ホールのうちいずれか一側には透明体が介在されることを特徴とする請求項23に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項25】
前記第1ホールと前記第2ホールとが交互に前記カメラの光軸上に配されることを特徴とする請求項23に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項26】
前記カメラは、光軸に沿って往復動しつつ映像を撮影することを特徴とする請求項20に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項27】
前記位置検出部材は、
前記基板の移動方向と実質的に平行な方向にレーザーを照射するレーザー照射部材と、
前記照射されるレーザーと同軸上に配され、所定形状の第3アラインマークが表示された一つ以上の測定部材と、をさらに備えることを特徴とする請求項19に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項28】
前記アライン制御部材は、前記第1方向に沿って前記パターニングスリットシートが移動するように所定の駆動力を提供する、少なくとも2つの第1アクチュエータを備えることを特徴とする請求項19に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項29】
前記アライン制御部材は、前記基板の蒸着面と垂直な方向に沿って前記パターニングスリットシートが移動するように所定の駆動力を提供する、少なくとも3つの第2アクチュエータを備えることを特徴とする請求項19に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項30】
前記蒸着源及び前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとは、連結部材により結合されて一体に形成されることを特徴とする請求項19に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項31】
前記連結部材は、前記蒸着物質の移動経路をガイドすることを特徴とする請求項30に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項32】
前記連結部材は、前記蒸着源及び前記蒸着源ノズル部と前記パターニングスリットシートとの間の空間を外部から密閉するように形成されることを特徴とする請求項30に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項33】
前記薄膜蒸着装置は、前記基板と所定程度離隔するように形成されることを特徴とする請求項19に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項34】
前記基板が前記薄膜蒸着装置に対して前記第1方向に沿って移動しつつ、前記基板上に前記蒸着物質が連続的に蒸着されることを特徴とする請求項19に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項35】
前記薄膜蒸着装置の前記パターニングスリットシートは、前記基板より小さく形成されることを特徴とする請求項19に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項36】
前記複数の蒸着源ノズルは、所定角度チルトされるように形成されることを特徴とする請求項19に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項37】
前記複数の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された二列の蒸着源ノズルを備え、前記二列の蒸着源ノズルは、互いに対向する方向にチルトされていることを特徴とする請求項36に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項38】
前記複数の蒸着源ノズルは、前記第1方向に沿って形成された二列の蒸着源ノズルを備え、
前記二列の蒸着源ノズルのうち第1側に配された蒸着源ノズルは、パターニングスリットシートの第2側端部に向かうように配され、
前記二列の蒸着源ノズルのうち第2側に配された蒸着源ノズルは、パターニングスリットシートの第1側端部に向かうように配されることを特徴とする請求項36に記載の薄膜蒸着装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−190536(P2011−190536A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54148(P2011−54148)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】
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