薬液弁
【課題】低コストで安定したシール力を持つ薬液弁を提供すること。
【解決手段】弁座41が形成された樹脂製の弁本体12と、ダイアフラム弁体30と、弁本体12と共にダイアフラム弁体30を挟んで保持する樹脂製の弁上体11とを有する薬液弁であって、ダイアフラム弁体30の挟み込まれる部分に環状凸部36が形成され、弁本体12がダイアフラム弁体30の環状凸部36が挿入される挿入溝33を形成する内側環状シール部31と外側環状シール部32とを有し、内側環状シール部31の内面に圧入部34が形成され、挿入溝33に環状凸部36を挿入するときに環状凸部36が圧入部34と当接して外向きに弾性変形し、環状凸部36に押されて外側環状シール部32が外向きに弾性変形する。
【解決手段】弁座41が形成された樹脂製の弁本体12と、ダイアフラム弁体30と、弁本体12と共にダイアフラム弁体30を挟んで保持する樹脂製の弁上体11とを有する薬液弁であって、ダイアフラム弁体30の挟み込まれる部分に環状凸部36が形成され、弁本体12がダイアフラム弁体30の環状凸部36が挿入される挿入溝33を形成する内側環状シール部31と外側環状シール部32とを有し、内側環状シール部31の内面に圧入部34が形成され、挿入溝33に環状凸部36を挿入するときに環状凸部36が圧入部34と当接して外向きに弾性変形し、環状凸部36に押されて外側環状シール部32が外向きに弾性変形する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造工程等で使用される樹脂製の薬液弁に関し、さらに詳細には、薬液弁の外部漏れを防止するためのシール構造に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程においては、腐食性の高い薬液等が使用されている。薬液の供給を制御するための薬液弁は、腐食性の高い薬液に対応するため、フッ素樹脂等の樹脂で形成されている。また、薬液と弁操作機構とを遮断するため、樹脂製のダイアフラム弁体が多く使用されている。
ダイアフラム弁体を挟んで保持する弁本体と弁上体とを樹脂製とした場合、樹脂同士をシールこととなるが、クリープや温度変化による寸法変化により、シール力が低下する問題があり、確実なシール力が確保できない問題があった。
その問題を解決するために、特許文献1に従来技術として記載の発明では、ダイアフラム弁体の下面に環状凸部を形成し、その環状凸部を挿入するための挿入溝を、樹脂製弁本体上面に形成している。そして、ダイアフラム弁体の環状凸部の幅を、弁本体の挿入溝の幅より大きくすることにより、環状凸部を挿入溝に挿入するときに、圧入状態となるようにしている。
また、特許文献2に記載の発明では、ダイアフラム弁体と弁本体とを溶着することにより、シールを行っている。
【0003】
【特許文献1】特開2003-247650号公報 図9
【特許文献2】特開2005-163877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術には以下のような問題があった。
(1)半導体製造工程において、半導体の集積度の高まりと共に、より危険性の高いふっ酸等の高浸透性の薬液が使用されるようになったため、従来以上のシール力の安定性が要求されている。
特許文献1に記載された発明では、シール力を上げるためには、圧入代を増加させなければならない。しかし、圧入代を増加させると挿入が難しくなる問題があり、さらに、圧入代を増加させて無理に挿入すると、ダイアフラム周縁突出部が折れ曲がり座屈する場合があった。
また、高温の薬液を制御するときに、弁本体と弁上体のクリープ現象により、シール力の低下が発生するため、今後開発が進むと思われる薬液の高温化、高浸透化に対応することができなくなる可能性があった。
【0005】
(2)上記の問題を解決する手段として、特許文献2に記載された発明は、有効である。しかし、特許文献2に記載された発明では、溶着に適した材料が限定されていること、局所的に加熱できる構造を必要とすること、温度管理・部品管理等の工程管理が困難なことにより、製造コストが上昇する問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、コストアップすることなく、シール性能を向上させることのできる薬液弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、本発明の薬液弁は、次のような構成を有している。
(1)弁座が形成された樹脂製弁本体と、ダイアフラム弁体と、該樹脂製弁本体と共に該ダイアフラム弁体を挟んで保持する樹脂製上体とを有する薬液弁であって、ダイアフラム弁体の挟み込まれる部分に環状凸部が形成され、樹脂製弁本体がダイアフラム弁体の環状凸部が挿入される挿入溝を形成する内側環状シール部と外側環状シール部とを有し、内側環状シール部の内面に圧入部が形成され、挿入溝に環状凸部を挿入するときに環状凸部が圧入部と当接して外向きに弾性変形し、環状凸部に押されて外側環状シール部が外向きに弾性変形する。
(2)(1)に記載する薬液弁において、前記外側環状シール部の外側に、前記樹脂製上体に押されて、前記ダイアフラム弁体の前記環状凸部を、前記内側環状シール部の前記圧入部に押圧する樹脂製弁本体傾斜部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
(3)(2)に記載する薬液弁において、前記ダイアフラム弁体の前記環状凸部が、前記内側環状シール部と当接し始めたときには、前記外側環状シール部の前記傾斜部が前記樹脂製上体と当接していないことを特徴とする。
(4)(1)乃至(3)の薬液弁のいずれか1つにおいて、前記ダイアフラム弁体の、前記環状凸部の内周に、前記内側環状シール部を、前記ダイアフラム弁体の前記環状凸部側に押圧するダイアフラム傾斜部形成されていることを特徴とする。
(5)(2)乃至(4)の薬液弁のいずれか1つにおいて、前記ダイアフラム弁体と前記樹脂製弁本体とを締結する締結ネジの座面に弾性部材を装着するか、または、前記樹脂製弁本体と前記薬液弁が取り付けられる基板との間に弾性部材を装着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
次に、上記構成を有する薬液弁の作用・効果について説明する。
ダイアフラム弁体に形成された環状凸部を、樹脂製弁本体に形成された挿入溝に挿入するときに、内側環状シール部の圧入部に圧入しながら入るため、ダイアフラム弁体の環状凸部は外向きに弾性変形して外側環状シール部と当接し、外側環状シール部が環状凸部に押されて弾性変形する。挿入されたダイアフラム弁体の環状凸部の幅は、樹脂製弁本体に形成された挿入溝の幅より広いため、ダイアフラム弁体の環状凸部は、樹脂製弁本体の中で圧縮され、内側環状シール部に形成された圧入代に押圧するので、強いシール力を安定して得ることができる。
さらに、外側環状シール部の外側に樹脂製弁本体傾斜部が形成されており、樹脂製上体に形成された樹脂製上体傾斜部が、樹脂製弁本体傾斜部と当接して、外側環状シール部を内側方向に押圧するので、さらに強いシール力を安定して得ることができる。
【0010】
さらに、ダイアフラム弁体の環状凸部が、内側環状シール部と当接し始めたときには、外側環状シール部の樹脂製弁本体傾斜部が樹脂製上体の樹脂製上体傾斜部と当接しておらず、環状凸部が挿入溝に所定の深さ入ったときに始めて、本体傾斜部が上体傾斜部と当接するので、当接するまでの間、内側への力は働かないため、環状凸部が内側環状シール部と強く当接せず、容易に挿入できる。そして、環状凸部が挿入溝に所定の深さ入った後、外側環状シール部の本体傾斜部が上体傾斜部と当接されるので、環状凸部が内側環状シール部に押圧され強いシール力を得ることができる。
さらに、ダイアフラム弁体の、環状凸部の内周に、内側環状シール部を、ダイアフラム弁体の環状凸部側に押圧するダイアフラム傾斜部形成されているので、内側環状シール部が内側に弾性変形することを防止できるため、強いシール力をより安定して得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の一実施の形態である薬液弁について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、薬液弁の断面図であり、図2は、図1の薬液弁の分解断面図である。図2に示すように、薬液弁は大きく、フッ素樹脂製の弁本体12と、樹脂製の弁上体11が締結ネジ13により締結されて構成されている。
図3に図1の下面図を示す。4本の締結ネジ13は、図面に示す位置で弁上体11と弁本体12とを締結している。
弁本体12には、第1ポート42、第2ポート43、弁孔の外周に形成された弁座41が形成されている。
弁上体11は、シリンダ構造を備えている。樹脂製のシリンダ本体21に、樹脂製の蓋部材22が取り付けられてシリンダ室を構成している。シリンダ本体21や蓋部材22は、樹脂の中でも強度の高く温度特性に優れたPPS材等で構成される。シリンダ室は、ピストン23により、上シリンダ室26と下シリンダ室27とに分割されている。ピストンは、シリンダ本体21に摺動可能に保持されており、摺動部には、Oリング29がシール部材として装着されている。
【0012】
上シリンダ室26には、上ポート25が連通されている。下シリンダ室27には、下ポート28が連通されている。ピストンの下部には、フッ素樹脂製のダイアフラム弁体の本体部が固設されている。ダイアフラム弁体の外周部は、弁本体12と、弁上体11を構成するシリンダ本体21とで挟んで保持されている。その構造については、後で説明する。ダイアフラム弁体の本体部は、弁座41と当接または離間可能である。ピストン23は、一端がピストン23に当接し他端が蓋部材22に当接して取り付けられている圧縮バネ24により、ダイアフラム弁体30が弁座41に当接する方向に付勢されている。
【0013】
このような構造の薬液弁では、薬液は通常、第1ポート42から弁座41の中心に形成されている弁孔を通って第2ポート43へ流れるだけであり、ダイアフラム弁体30がシールを行っているので、弁上体等に薬液が漏れることはない。
しかし、今後開発が進むと思われる薬液の高温化、高浸透化に対応することができなくなる可能性があり、外部シールに対する更なる安全性の確保が望まれている。本発明は、従来より強くかつ安定したシール力を発揮しえるシール構造を提供するものである。
【0014】
次に、図1のA部の拡大断面図を図4に示す。図5、図6、図7に図4の組立工程図を示す。
ダイアフラム弁体30が、弁本体12と弁上体11のシリンダ本体21とで挟み込まれる部分に、下向きに凸で外周全周に渡って環形状の環状凸部36が形成されている。環状凸部36は、一定の厚みで構成され、先端内周部に挿入のためのガイドの役割をする面取りがなされている。
弁本体12の上面には、ダイアフラム弁体30の環状凸部36が挿入される挿入溝33が形成されている。挿入溝33は、上向きに凸で全周に渡って環形状の内側環状シール部31と、同じく上向きに凸で全周に渡って環形状の外側環状シール部32とで囲まれ形成されている。
【0015】
内側環状シール部31の内面には、ダイアフラム弁体30の環状凸部36が押圧されてシールされる圧入部34が形成されている。
外側環状シール部32の外周面には、本体傾斜面32aが全周に渡って形成されている。
一方、シリンダ本体21の下面には、下向きに凸で全周に渡って環形状の環状上体凸部21aが形成されている。環状上体凸部21aの内周面には、上体傾斜面21bが形成されている。本体傾斜面32aと上体傾斜面21bとは、反対向きのほぼ同じ傾斜角を備える傾斜であり、楔として機能する。
【0016】
次に、図5、図6、図7を用いて、図2の状態から図1の状態へと組み立てる場合について説明する。
図5に示すように、分解された状態において、ダイアフラム弁体30は、ピストン23の下部に固設されており、ピストン23が圧縮バネ24により下向きに付勢されているので、ダイアフラム弁体30は、シリンダ本体21から所定距離だけ離れた位置にある。
次に、図6に示すように、ダイアフラム弁体30の環状凸部36が、弁本体12の挿入溝33に挿入するように、弁上体11を弁本体12に対して押し付けて挿入する。外側環状シール部32の高さは、内側環状シール部31の高さの1.5倍程度高い。外側環状シール部の内径は、ダイアフラム弁体の外径と同じかまたは小さい。環状凸部36は、挿入溝33に挿入され始める前に、外側環状シール部32の内面によりガイドされる。
【0017】
挿入溝33に環状凸部36を挿入され始めるときには、図6に示すように、環状上体凸部21aの上体傾斜面21bと外側環状シール部32の本体傾斜面32aとの間には、所定の隙間が形成されている。そのため、環状凸部36が圧入部34と当接して外向きに弾性変形し、環状凸部36に押されて外側環状シール部32が外向きに弾性変形する。
挿入溝33の幅は、環状凸部36の幅より少し狭く形成されているが、上体傾斜面21bと本体傾斜面32aとの間には隙間があるため、内側に押圧されることなく、容易に挿入することができる。
【0018】
次に、環状凸部36がさらに挿入溝33に進入すると、図7に示すように、環状上体凸部21aの上体傾斜面21bと外側環状シール部32の本体傾斜面32aとが当接し始める。
これにより、環状凸部36が挿入溝33に挿入されつつ、弾性変形していた外側環状シール部32が、上体傾斜面21bにより本体傾斜面32aを介して内側に向かって戻されるので、環状凸部36が内側環状シール部31に強く押圧される。そして、図4に示すように、完全に挿入された段階では、環状凸部36が内側環状シール部31に強く押圧されるので、強くかつ安定したシール力を得ることができる。
【0019】
以上詳細に説明したように、本実施の形態の薬液弁によれば、弁座41が形成された樹脂製の弁本体12と、ダイアフラム弁体30と、弁本体12と共にダイアフラム弁体30を挟んで保持する樹脂製の弁上体11とを有する薬液弁であって、ダイアフラム弁体30の挟み込まれる部分に環状凸部36が形成され、弁本体12がダイアフラム弁体30の環状凸部36が挿入される挿入溝33を形成する内側環状シール部31と外側環状シール部32とを有し、内側環状シール部31の内面に圧入部34が形成され、挿入溝33に環状凸部36を挿入するときに環状凸部36が圧入部34と当接して外向きに弾性変形し、環状凸部36に押されて外側環状シール部32が外向きに弾性変形する。挿入初期には上体傾斜面21bと本体傾斜面32aとが当接しないため、環状凸部36を挿入溝33に挿入しやすくできる。
【0020】
さらに、外側環状シール部32の外側に、弁上体11のシリンダ本体21に押されて、ダイアフラム弁体30の環状凸部36を、内側環状シール部31の圧入部34に押圧する本体傾斜面32aが形成されているので、外側環状シール部32の弾性変形を戻すことにより、環状凸部36を圧入部34に対してより強く安定して押圧できるため、強く安定したシール力を得ることができる。
さらに、ダイアフラム弁体30の環状凸部36が、内側環状シール部31と当接し始めたときには、外側環状シール部32の本体傾斜面32aが弁上体11のシリンダ本体21と当接していないので、環状凸部36が挿入溝33に所定の深さ入った後、外側環状シール部32の本体傾斜面32aが上体傾斜面21bと当接されるので、環状凸部36が内側環状シール部31に押圧され強いシール力を得ることができる。
【0021】
次に、本発明の第2の実施の形態の薬液弁について説明する。第2の実施形態の薬液弁は、ほとんどの構成が第1の実施形態と同じであるので、異なる部分のみ説明して、同じ部分の説明を割愛する。
図10に図4と対応した図面を示し、図8、図9に、図6、図7に対応した図面を示す。図10において、内側環状シール部31の先端内側に本体内側傾斜面31aが全周に渡って形成されている。また、ダイアフラム弁体30の下面には、ダイアフラム傾斜面35が形成されている。
図8及び図9に示すように、ダイアフラム傾斜面35は、ダイアフラム弁体30の環状凸部36が挿入溝33に入り切る寸前まで、本体内側傾斜面31aに当接しない。そして、図10に示すように、ダイアフラム弁体30が完全に保持される少し前に、ダイアフラム傾斜面35が本体内側傾斜面31aに当接して、少し弾性変形している内側環状シール部31を環状凸部36に押し付ける方向に力を加える。これにより、強く安定したシール力を得ることができる。また、薬液弁に高温流体を流すときに、クリープや熱変形により内側環状シール部31が変形するのを防止することができる。
【0022】
以上説明したように、第2の実施の形態の薬液弁によれば、ダイアフラム弁体30の、環状凸部36の内周に、内側環状シール部31を、ダイアフラム弁体30の環状凸部36側に押圧するダイアフラム傾斜面35が形成されているので、内側環状シール部が内側に弾性変形することを防止できるため、強いシール力をより安定して得ることができる。
【0023】
弁本体12とダイアフラム弁体30は、耐食性に優れたフッ素樹脂で構成されており、シリンダ本体21と基板44に挟まれ、ネジ13により締結されている。温度が上がると、膨張することにより、シリンダ本体21と基板44に挟まれている弁本体12とダイアフラム弁体30の圧縮応力が高くなる。樹脂の特徴であるクリープ現象により、その圧縮応力を緩和すべく変形し、常温に戻ったときには、隙間が形成される。
この隙間により、ネジの締結力が弱まり、ダイアフラムの周縁部でのシール力が低下する。樹脂の中でも、フッ素樹脂はクリープ現象を起こしやすく、締結力の低下は顕著である。
その防止策として、図11に示すように、締結ネジ13に皿バネ座金51を使用すると良い。皿バネ座金51が、締結ネジ13と弁本体12・弁上体11との間で発生する温度変化に伴う伸びの違いを吸収するからである。
皿バネ座金51は、蓋部材22とシリンダ本体21とを締結する上締結ネジ52に取り付けても良い。
【0024】
また、図12に示すように、弁本体12と基板44との間に波ワッシャを装着して締結ネジ13で締結しても良い。
また、図13に示すように、上締結ネジ52のみとして、基板44にインサート成形したナットに止める構造とし、弁本体12と基板44との間に圧縮バネを装着しても良い。
【0025】
なお、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
例えば、本実施の形態では、弁本体12等の材質として、フッ素樹脂について説明したが、他の樹脂であっても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態の薬液弁の構成を示す断面図である。
【図2】図1の薬液弁の分解図である。
【図3】図1の薬液弁の上面図である。
【図4】図1のA部拡大図である。
【図5】薬液弁組立工程を示す第1工程図である。
【図6】薬液弁組立工程を示す第2工程図である。
【図7】薬液弁組立工程を示す第3工程図である。
【図8】第2実施の形態の薬液弁組立工程を示す第1工程図である。
【図9】第2実施の形態の薬液弁組立工程を示す第2工程図である。
【図10】第2実施の形態の薬液弁組立工程を示す第3工程図である。
【図11】クリープ対策を示す第1実施例の部分断面図である。
【図12】クリープ対策を示す第2実施例の部分断面図である。
【図13】クリープ対策を示す第3実施例の部分断面図である。
【符号の説明】
【0027】
11 弁上体
12 弁本体
21 シリンダ本体
21a 環状上体凸部
21b 上体傾斜面
30 ダイアフラム弁体
31 内側環状シール部
32 外側環状シール部
32a 本体傾斜面
33 挿入溝
35 ダイアフラム傾斜面
36 環状凸部
41 弁座
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造工程等で使用される樹脂製の薬液弁に関し、さらに詳細には、薬液弁の外部漏れを防止するためのシール構造に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程においては、腐食性の高い薬液等が使用されている。薬液の供給を制御するための薬液弁は、腐食性の高い薬液に対応するため、フッ素樹脂等の樹脂で形成されている。また、薬液と弁操作機構とを遮断するため、樹脂製のダイアフラム弁体が多く使用されている。
ダイアフラム弁体を挟んで保持する弁本体と弁上体とを樹脂製とした場合、樹脂同士をシールこととなるが、クリープや温度変化による寸法変化により、シール力が低下する問題があり、確実なシール力が確保できない問題があった。
その問題を解決するために、特許文献1に従来技術として記載の発明では、ダイアフラム弁体の下面に環状凸部を形成し、その環状凸部を挿入するための挿入溝を、樹脂製弁本体上面に形成している。そして、ダイアフラム弁体の環状凸部の幅を、弁本体の挿入溝の幅より大きくすることにより、環状凸部を挿入溝に挿入するときに、圧入状態となるようにしている。
また、特許文献2に記載の発明では、ダイアフラム弁体と弁本体とを溶着することにより、シールを行っている。
【0003】
【特許文献1】特開2003-247650号公報 図9
【特許文献2】特開2005-163877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術には以下のような問題があった。
(1)半導体製造工程において、半導体の集積度の高まりと共に、より危険性の高いふっ酸等の高浸透性の薬液が使用されるようになったため、従来以上のシール力の安定性が要求されている。
特許文献1に記載された発明では、シール力を上げるためには、圧入代を増加させなければならない。しかし、圧入代を増加させると挿入が難しくなる問題があり、さらに、圧入代を増加させて無理に挿入すると、ダイアフラム周縁突出部が折れ曲がり座屈する場合があった。
また、高温の薬液を制御するときに、弁本体と弁上体のクリープ現象により、シール力の低下が発生するため、今後開発が進むと思われる薬液の高温化、高浸透化に対応することができなくなる可能性があった。
【0005】
(2)上記の問題を解決する手段として、特許文献2に記載された発明は、有効である。しかし、特許文献2に記載された発明では、溶着に適した材料が限定されていること、局所的に加熱できる構造を必要とすること、温度管理・部品管理等の工程管理が困難なことにより、製造コストが上昇する問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、コストアップすることなく、シール性能を向上させることのできる薬液弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、本発明の薬液弁は、次のような構成を有している。
(1)弁座が形成された樹脂製弁本体と、ダイアフラム弁体と、該樹脂製弁本体と共に該ダイアフラム弁体を挟んで保持する樹脂製上体とを有する薬液弁であって、ダイアフラム弁体の挟み込まれる部分に環状凸部が形成され、樹脂製弁本体がダイアフラム弁体の環状凸部が挿入される挿入溝を形成する内側環状シール部と外側環状シール部とを有し、内側環状シール部の内面に圧入部が形成され、挿入溝に環状凸部を挿入するときに環状凸部が圧入部と当接して外向きに弾性変形し、環状凸部に押されて外側環状シール部が外向きに弾性変形する。
(2)(1)に記載する薬液弁において、前記外側環状シール部の外側に、前記樹脂製上体に押されて、前記ダイアフラム弁体の前記環状凸部を、前記内側環状シール部の前記圧入部に押圧する樹脂製弁本体傾斜部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
(3)(2)に記載する薬液弁において、前記ダイアフラム弁体の前記環状凸部が、前記内側環状シール部と当接し始めたときには、前記外側環状シール部の前記傾斜部が前記樹脂製上体と当接していないことを特徴とする。
(4)(1)乃至(3)の薬液弁のいずれか1つにおいて、前記ダイアフラム弁体の、前記環状凸部の内周に、前記内側環状シール部を、前記ダイアフラム弁体の前記環状凸部側に押圧するダイアフラム傾斜部形成されていることを特徴とする。
(5)(2)乃至(4)の薬液弁のいずれか1つにおいて、前記ダイアフラム弁体と前記樹脂製弁本体とを締結する締結ネジの座面に弾性部材を装着するか、または、前記樹脂製弁本体と前記薬液弁が取り付けられる基板との間に弾性部材を装着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
次に、上記構成を有する薬液弁の作用・効果について説明する。
ダイアフラム弁体に形成された環状凸部を、樹脂製弁本体に形成された挿入溝に挿入するときに、内側環状シール部の圧入部に圧入しながら入るため、ダイアフラム弁体の環状凸部は外向きに弾性変形して外側環状シール部と当接し、外側環状シール部が環状凸部に押されて弾性変形する。挿入されたダイアフラム弁体の環状凸部の幅は、樹脂製弁本体に形成された挿入溝の幅より広いため、ダイアフラム弁体の環状凸部は、樹脂製弁本体の中で圧縮され、内側環状シール部に形成された圧入代に押圧するので、強いシール力を安定して得ることができる。
さらに、外側環状シール部の外側に樹脂製弁本体傾斜部が形成されており、樹脂製上体に形成された樹脂製上体傾斜部が、樹脂製弁本体傾斜部と当接して、外側環状シール部を内側方向に押圧するので、さらに強いシール力を安定して得ることができる。
【0010】
さらに、ダイアフラム弁体の環状凸部が、内側環状シール部と当接し始めたときには、外側環状シール部の樹脂製弁本体傾斜部が樹脂製上体の樹脂製上体傾斜部と当接しておらず、環状凸部が挿入溝に所定の深さ入ったときに始めて、本体傾斜部が上体傾斜部と当接するので、当接するまでの間、内側への力は働かないため、環状凸部が内側環状シール部と強く当接せず、容易に挿入できる。そして、環状凸部が挿入溝に所定の深さ入った後、外側環状シール部の本体傾斜部が上体傾斜部と当接されるので、環状凸部が内側環状シール部に押圧され強いシール力を得ることができる。
さらに、ダイアフラム弁体の、環状凸部の内周に、内側環状シール部を、ダイアフラム弁体の環状凸部側に押圧するダイアフラム傾斜部形成されているので、内側環状シール部が内側に弾性変形することを防止できるため、強いシール力をより安定して得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の一実施の形態である薬液弁について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、薬液弁の断面図であり、図2は、図1の薬液弁の分解断面図である。図2に示すように、薬液弁は大きく、フッ素樹脂製の弁本体12と、樹脂製の弁上体11が締結ネジ13により締結されて構成されている。
図3に図1の下面図を示す。4本の締結ネジ13は、図面に示す位置で弁上体11と弁本体12とを締結している。
弁本体12には、第1ポート42、第2ポート43、弁孔の外周に形成された弁座41が形成されている。
弁上体11は、シリンダ構造を備えている。樹脂製のシリンダ本体21に、樹脂製の蓋部材22が取り付けられてシリンダ室を構成している。シリンダ本体21や蓋部材22は、樹脂の中でも強度の高く温度特性に優れたPPS材等で構成される。シリンダ室は、ピストン23により、上シリンダ室26と下シリンダ室27とに分割されている。ピストンは、シリンダ本体21に摺動可能に保持されており、摺動部には、Oリング29がシール部材として装着されている。
【0012】
上シリンダ室26には、上ポート25が連通されている。下シリンダ室27には、下ポート28が連通されている。ピストンの下部には、フッ素樹脂製のダイアフラム弁体の本体部が固設されている。ダイアフラム弁体の外周部は、弁本体12と、弁上体11を構成するシリンダ本体21とで挟んで保持されている。その構造については、後で説明する。ダイアフラム弁体の本体部は、弁座41と当接または離間可能である。ピストン23は、一端がピストン23に当接し他端が蓋部材22に当接して取り付けられている圧縮バネ24により、ダイアフラム弁体30が弁座41に当接する方向に付勢されている。
【0013】
このような構造の薬液弁では、薬液は通常、第1ポート42から弁座41の中心に形成されている弁孔を通って第2ポート43へ流れるだけであり、ダイアフラム弁体30がシールを行っているので、弁上体等に薬液が漏れることはない。
しかし、今後開発が進むと思われる薬液の高温化、高浸透化に対応することができなくなる可能性があり、外部シールに対する更なる安全性の確保が望まれている。本発明は、従来より強くかつ安定したシール力を発揮しえるシール構造を提供するものである。
【0014】
次に、図1のA部の拡大断面図を図4に示す。図5、図6、図7に図4の組立工程図を示す。
ダイアフラム弁体30が、弁本体12と弁上体11のシリンダ本体21とで挟み込まれる部分に、下向きに凸で外周全周に渡って環形状の環状凸部36が形成されている。環状凸部36は、一定の厚みで構成され、先端内周部に挿入のためのガイドの役割をする面取りがなされている。
弁本体12の上面には、ダイアフラム弁体30の環状凸部36が挿入される挿入溝33が形成されている。挿入溝33は、上向きに凸で全周に渡って環形状の内側環状シール部31と、同じく上向きに凸で全周に渡って環形状の外側環状シール部32とで囲まれ形成されている。
【0015】
内側環状シール部31の内面には、ダイアフラム弁体30の環状凸部36が押圧されてシールされる圧入部34が形成されている。
外側環状シール部32の外周面には、本体傾斜面32aが全周に渡って形成されている。
一方、シリンダ本体21の下面には、下向きに凸で全周に渡って環形状の環状上体凸部21aが形成されている。環状上体凸部21aの内周面には、上体傾斜面21bが形成されている。本体傾斜面32aと上体傾斜面21bとは、反対向きのほぼ同じ傾斜角を備える傾斜であり、楔として機能する。
【0016】
次に、図5、図6、図7を用いて、図2の状態から図1の状態へと組み立てる場合について説明する。
図5に示すように、分解された状態において、ダイアフラム弁体30は、ピストン23の下部に固設されており、ピストン23が圧縮バネ24により下向きに付勢されているので、ダイアフラム弁体30は、シリンダ本体21から所定距離だけ離れた位置にある。
次に、図6に示すように、ダイアフラム弁体30の環状凸部36が、弁本体12の挿入溝33に挿入するように、弁上体11を弁本体12に対して押し付けて挿入する。外側環状シール部32の高さは、内側環状シール部31の高さの1.5倍程度高い。外側環状シール部の内径は、ダイアフラム弁体の外径と同じかまたは小さい。環状凸部36は、挿入溝33に挿入され始める前に、外側環状シール部32の内面によりガイドされる。
【0017】
挿入溝33に環状凸部36を挿入され始めるときには、図6に示すように、環状上体凸部21aの上体傾斜面21bと外側環状シール部32の本体傾斜面32aとの間には、所定の隙間が形成されている。そのため、環状凸部36が圧入部34と当接して外向きに弾性変形し、環状凸部36に押されて外側環状シール部32が外向きに弾性変形する。
挿入溝33の幅は、環状凸部36の幅より少し狭く形成されているが、上体傾斜面21bと本体傾斜面32aとの間には隙間があるため、内側に押圧されることなく、容易に挿入することができる。
【0018】
次に、環状凸部36がさらに挿入溝33に進入すると、図7に示すように、環状上体凸部21aの上体傾斜面21bと外側環状シール部32の本体傾斜面32aとが当接し始める。
これにより、環状凸部36が挿入溝33に挿入されつつ、弾性変形していた外側環状シール部32が、上体傾斜面21bにより本体傾斜面32aを介して内側に向かって戻されるので、環状凸部36が内側環状シール部31に強く押圧される。そして、図4に示すように、完全に挿入された段階では、環状凸部36が内側環状シール部31に強く押圧されるので、強くかつ安定したシール力を得ることができる。
【0019】
以上詳細に説明したように、本実施の形態の薬液弁によれば、弁座41が形成された樹脂製の弁本体12と、ダイアフラム弁体30と、弁本体12と共にダイアフラム弁体30を挟んで保持する樹脂製の弁上体11とを有する薬液弁であって、ダイアフラム弁体30の挟み込まれる部分に環状凸部36が形成され、弁本体12がダイアフラム弁体30の環状凸部36が挿入される挿入溝33を形成する内側環状シール部31と外側環状シール部32とを有し、内側環状シール部31の内面に圧入部34が形成され、挿入溝33に環状凸部36を挿入するときに環状凸部36が圧入部34と当接して外向きに弾性変形し、環状凸部36に押されて外側環状シール部32が外向きに弾性変形する。挿入初期には上体傾斜面21bと本体傾斜面32aとが当接しないため、環状凸部36を挿入溝33に挿入しやすくできる。
【0020】
さらに、外側環状シール部32の外側に、弁上体11のシリンダ本体21に押されて、ダイアフラム弁体30の環状凸部36を、内側環状シール部31の圧入部34に押圧する本体傾斜面32aが形成されているので、外側環状シール部32の弾性変形を戻すことにより、環状凸部36を圧入部34に対してより強く安定して押圧できるため、強く安定したシール力を得ることができる。
さらに、ダイアフラム弁体30の環状凸部36が、内側環状シール部31と当接し始めたときには、外側環状シール部32の本体傾斜面32aが弁上体11のシリンダ本体21と当接していないので、環状凸部36が挿入溝33に所定の深さ入った後、外側環状シール部32の本体傾斜面32aが上体傾斜面21bと当接されるので、環状凸部36が内側環状シール部31に押圧され強いシール力を得ることができる。
【0021】
次に、本発明の第2の実施の形態の薬液弁について説明する。第2の実施形態の薬液弁は、ほとんどの構成が第1の実施形態と同じであるので、異なる部分のみ説明して、同じ部分の説明を割愛する。
図10に図4と対応した図面を示し、図8、図9に、図6、図7に対応した図面を示す。図10において、内側環状シール部31の先端内側に本体内側傾斜面31aが全周に渡って形成されている。また、ダイアフラム弁体30の下面には、ダイアフラム傾斜面35が形成されている。
図8及び図9に示すように、ダイアフラム傾斜面35は、ダイアフラム弁体30の環状凸部36が挿入溝33に入り切る寸前まで、本体内側傾斜面31aに当接しない。そして、図10に示すように、ダイアフラム弁体30が完全に保持される少し前に、ダイアフラム傾斜面35が本体内側傾斜面31aに当接して、少し弾性変形している内側環状シール部31を環状凸部36に押し付ける方向に力を加える。これにより、強く安定したシール力を得ることができる。また、薬液弁に高温流体を流すときに、クリープや熱変形により内側環状シール部31が変形するのを防止することができる。
【0022】
以上説明したように、第2の実施の形態の薬液弁によれば、ダイアフラム弁体30の、環状凸部36の内周に、内側環状シール部31を、ダイアフラム弁体30の環状凸部36側に押圧するダイアフラム傾斜面35が形成されているので、内側環状シール部が内側に弾性変形することを防止できるため、強いシール力をより安定して得ることができる。
【0023】
弁本体12とダイアフラム弁体30は、耐食性に優れたフッ素樹脂で構成されており、シリンダ本体21と基板44に挟まれ、ネジ13により締結されている。温度が上がると、膨張することにより、シリンダ本体21と基板44に挟まれている弁本体12とダイアフラム弁体30の圧縮応力が高くなる。樹脂の特徴であるクリープ現象により、その圧縮応力を緩和すべく変形し、常温に戻ったときには、隙間が形成される。
この隙間により、ネジの締結力が弱まり、ダイアフラムの周縁部でのシール力が低下する。樹脂の中でも、フッ素樹脂はクリープ現象を起こしやすく、締結力の低下は顕著である。
その防止策として、図11に示すように、締結ネジ13に皿バネ座金51を使用すると良い。皿バネ座金51が、締結ネジ13と弁本体12・弁上体11との間で発生する温度変化に伴う伸びの違いを吸収するからである。
皿バネ座金51は、蓋部材22とシリンダ本体21とを締結する上締結ネジ52に取り付けても良い。
【0024】
また、図12に示すように、弁本体12と基板44との間に波ワッシャを装着して締結ネジ13で締結しても良い。
また、図13に示すように、上締結ネジ52のみとして、基板44にインサート成形したナットに止める構造とし、弁本体12と基板44との間に圧縮バネを装着しても良い。
【0025】
なお、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
例えば、本実施の形態では、弁本体12等の材質として、フッ素樹脂について説明したが、他の樹脂であっても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態の薬液弁の構成を示す断面図である。
【図2】図1の薬液弁の分解図である。
【図3】図1の薬液弁の上面図である。
【図4】図1のA部拡大図である。
【図5】薬液弁組立工程を示す第1工程図である。
【図6】薬液弁組立工程を示す第2工程図である。
【図7】薬液弁組立工程を示す第3工程図である。
【図8】第2実施の形態の薬液弁組立工程を示す第1工程図である。
【図9】第2実施の形態の薬液弁組立工程を示す第2工程図である。
【図10】第2実施の形態の薬液弁組立工程を示す第3工程図である。
【図11】クリープ対策を示す第1実施例の部分断面図である。
【図12】クリープ対策を示す第2実施例の部分断面図である。
【図13】クリープ対策を示す第3実施例の部分断面図である。
【符号の説明】
【0027】
11 弁上体
12 弁本体
21 シリンダ本体
21a 環状上体凸部
21b 上体傾斜面
30 ダイアフラム弁体
31 内側環状シール部
32 外側環状シール部
32a 本体傾斜面
33 挿入溝
35 ダイアフラム傾斜面
36 環状凸部
41 弁座
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁座が形成された樹脂製弁本体と、ダイアフラム弁体と、該樹脂製弁本体と共に該ダイアフラム弁体を挟んで保持する樹脂製上体とを有する薬液弁において、
前記ダイアフラム弁体の挟み込まれる部分に、環状凸部が形成され、
前記樹脂製弁本体が、前記ダイアフラム弁体の前記環状凸部が挿入される挿入溝を形成する内側環状シール部と外側環状シール部を有し、
前記内側環状シール部の内面に圧入部が形成され、
前記挿入溝に前記環状凸部を挿入するときに、前記環状凸部が前記圧入部と当接して外向きに弾性変形し、前記環状凸部に押されて、前記外側環状シール部が外向きに弾性変形することを特徴とする薬液弁。
【請求項2】
請求項1に記載する薬液弁において、
前記外側環状シール部の外側に、前記樹脂製上体に押されて、前記ダイアフラム弁体の前記環状凸部を、前記内側環状シール部の前記圧入部に押圧する樹脂製弁本体傾斜部が形成されていることを特徴とする薬液弁。
【請求項3】
請求項2に記載する薬液弁において、
前記ダイアフラム弁体の前記環状凸部が、前記内側環状シール部と当接し始めたときには、前記外側環状シール部の前記傾斜部が前記樹脂製上体と当接していないことを特徴とする薬液弁。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の薬液弁のいずれか1つにおいて、
前記ダイアフラム弁体の、前記環状凸部の内周に、前記内側環状シール部を、前記ダイアフラム弁体の前記環状凸部側に押圧するダイアフラム傾斜部形成されていることを特徴とする薬液弁。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4の薬液弁のいずれか1つにおいて、
前記ダイアフラム弁体と前記樹脂製弁本体とを締結する締結ネジの座面に弾性部材を装着するか、または、前記樹脂製弁本体と前記薬液弁が取り付けられる基板との間に弾性部材を装着することを特徴とする薬液弁。
【請求項1】
弁座が形成された樹脂製弁本体と、ダイアフラム弁体と、該樹脂製弁本体と共に該ダイアフラム弁体を挟んで保持する樹脂製上体とを有する薬液弁において、
前記ダイアフラム弁体の挟み込まれる部分に、環状凸部が形成され、
前記樹脂製弁本体が、前記ダイアフラム弁体の前記環状凸部が挿入される挿入溝を形成する内側環状シール部と外側環状シール部を有し、
前記内側環状シール部の内面に圧入部が形成され、
前記挿入溝に前記環状凸部を挿入するときに、前記環状凸部が前記圧入部と当接して外向きに弾性変形し、前記環状凸部に押されて、前記外側環状シール部が外向きに弾性変形することを特徴とする薬液弁。
【請求項2】
請求項1に記載する薬液弁において、
前記外側環状シール部の外側に、前記樹脂製上体に押されて、前記ダイアフラム弁体の前記環状凸部を、前記内側環状シール部の前記圧入部に押圧する樹脂製弁本体傾斜部が形成されていることを特徴とする薬液弁。
【請求項3】
請求項2に記載する薬液弁において、
前記ダイアフラム弁体の前記環状凸部が、前記内側環状シール部と当接し始めたときには、前記外側環状シール部の前記傾斜部が前記樹脂製上体と当接していないことを特徴とする薬液弁。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の薬液弁のいずれか1つにおいて、
前記ダイアフラム弁体の、前記環状凸部の内周に、前記内側環状シール部を、前記ダイアフラム弁体の前記環状凸部側に押圧するダイアフラム傾斜部形成されていることを特徴とする薬液弁。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4の薬液弁のいずれか1つにおいて、
前記ダイアフラム弁体と前記樹脂製弁本体とを締結する締結ネジの座面に弾性部材を装着するか、または、前記樹脂製弁本体と前記薬液弁が取り付けられる基板との間に弾性部材を装着することを特徴とする薬液弁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−321958(P2007−321958A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−156026(P2006−156026)
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】
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