説明

薬物の皮膚送達のためのスプレイ−オン処方物および方法

本発明は、噴霧可能な処方物、薬物送達の方法、および薬物の皮膚送達のための得られた固化層に向けられる。該処方物は薬物、不揮発性溶媒系、固化剤、および噴射剤を含むことができる。該処方物は、圧縮または手動ポンプ容器から排出され、かつ層として皮膚表面に適用されるのに適した初期粘度を有することができる。皮膚に適用した場合、該処方物は、噴射剤の少なくとも一部が蒸発した後に固化層を形成することができる。本発明の処方物の詳細な組成については、本明細書中に記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般に、薬物の皮膚送達のために開発されたシステムに関する。さらに詳しくは、本発明は、皮膚表面への噴霧可能な適用に適した粘度を有し、かつ皮膚上に持続薬物−送達接着性固化層を形成する接着性処方物に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
一般に、いくつかの種類の経皮または皮膚薬物送達系:皮膚パッチ、軟膏、クリームおよびローションのような半固体、およびスプレイ−オン(spray−on)処方物がある。典型的な薬物送達パッチは弾性でなく、固定された形状およびサイズを有する。それらは、比較的平坦であって屈曲または伸長しない皮膚領域上で最良に働く。
【0003】
軟膏およびクリームのような典型的な半固体投与形態は、しばしば、皮膚に適用された後に他の皮膚表面への意図しない除去または移動を被りやすい。これらの半固体処方物中の溶媒は適用後に迅速に蒸発する傾向があり、これは薬物送達速度に否定的にインパクトを与え得る。加えて、半固体処方物を皮膚に適用した場合、それは、典型的には、「擦り入れられ」、これは、処方物の非常に薄い層のみが皮膚に適用されることを意味する。これは、皮膚の各平方センチメートルに適用することができる薬物の量を制限し、持続薬物送達を困難とする。
【0004】
加圧容器またはポンプ中に含まれているようなスプレイ−オン処方物は、伝統的な半固体処方物の成分+噴射剤および/または希釈剤を含有する。噴射剤および希釈剤は処方物の適用の容易性を改良する。従って、適用の方法以外にも、それらは、前にリストした、典型的な半固体としての同様の制限および欠点を有する。
【0005】
現在の皮膚薬物送達系の多くの欠点に鑑みると、i)長時間にわたって持続薬物送達を提供することができ;ii)衣料、他の物体、または適用時間の間の人々との接触することによる意図しない除去を受けやすくなく;iii)不快感または皮膚への貧弱な接触を引き起こすことなく伸びおよび伸長の影響を受ける皮膚領域に適用でき;および/またはiv)適用および使用の後に容易に除去することができる系、処方物および/または方法を提供するのが望ましいであろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、噴霧することによって皮膚表面に適用することができ、かつ処方物中の噴射剤の蒸発の後に凝集性で、フレキシブルなおよび/または連続的固体層を形成できる新規な処方物に関する。フィルム−形成技術は化粧品および医薬製剤で用いられてきているが、典型的には、そのような系で用いられる溶媒は非常に長くは続かず、かくして、持続−放出適用で最適ではない。これに関連して、特に、処方物における、選択された薬物について、および適用の必要性について選択されたまたは処方された不揮発性溶媒系の使用は持続薬物送達を改良し、または最適化されることができる。例えば、処方物における不揮発性溶媒は、薬物の適用の持続のために処方し、または選択されて留まることができ、かつ薬物の賦形剤溶媒として働くことができる。
【0007】
これにより、薬物送達のためのスプレイ−オン処方物は薬物、少なくとも1つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系、固化剤、および噴射剤を含むことができる。処方物は、加圧容器または手動ポンプ容器から排出され、層として皮膚表面に適用されるのに適した初期粘度を有することができ、さらに噴射剤の少なくとも一部の蒸発後に皮膚表面で固化層を形成することもできる。
【0008】
もう1つの実施形態において、皮膚薬物送達のための方法は皮膚表面へ接着性固化性処方物を噴霧することを含むことができる。該処方物は薬物、薬物についてフラックス化可能(flux−enabling)である不揮発性溶媒系、固化剤、および噴射剤を含むことができる。処方物は、加圧容器から排出し、かつ層として皮膚表面に適用されるのに適した初期粘度を有することができる。さらなる工程は、噴射剤の少なくとも部分的な蒸発によって処方物を固化させて、皮膚表面に固化層を形成し、次いで、持続期間にわたって治療上有効な速度にて固化層からの薬物を皮膚表面へ皮膚送達することを含む。
【0009】
本発明のさらなる特徴および利点は、例として、本発明の特徴を説明する以下の詳細な記載から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明の特定の実施形態を開示し、記載する前に、本発明は本明細書に開示された特定のプロセスおよび材料に限定されず、それ自体はある程度変形し得ることが理解されなければならない。また、本明細書で用いられる技術用語は、特定の実施形態を記載する目的だけで用いられ、限定的であることを意図しないことも理解されるべきであり、これは、本発明の範囲が添付の請求の範囲およびその均等物によってのみ定義されるからである。
【0011】
本発明を記載し、特許請求するにおいて、以下の技術用語が用いられる。
【0012】
単数形「ある」、および「該」は、文脈が明瞭に他のことを指令するのでなければ複数の指示対象を含む。かくして、例えば、「薬物」への言及は1以上のそのような組成物への言及を含む。
【0013】
「皮膚」は、ヒト皮膚(無傷、病気の、潰瘍性、破壊された)、指および足指爪表面、ならびに唇、性器および肛門粘膜、および鼻および口腔粘膜のような、通常は空気に少なくとも部分的に暴露される粘膜表面を含む。
【0014】
用語「薬物」とは、治療効果を達成するために適用される皮膚へ、皮膚の中に、または皮膚を通って適用される生物活性剤をいう。これは、伝統的に薬物として同定される組成物、ならびに例えば、ペルオキシド、保湿剤、エモリエント等のような、古典的意味では「薬物」であると常には考えられないが、ある疾患に対しては治療効果を提供することができる他の生物活性剤を含む。一般に「薬物」という場合、与えられた薬物の種々の形態があり、種々の形態は明示的に含まれることが理解される。これに従うと、種々の薬物形態は多形、塩、水和物、溶媒和物および共結晶を含む。いくつかの薬物では、薬物の1つの物理的形態は、それを皮膚へ、皮膚の中に、または皮膚を通ることをより可能とする良好な物理−化学特性を保持することができ、この特定の形態は「皮膚送達で好都合な物理的形態」と定義される。例えば、フラックス化可能な不揮発性溶媒からのジクロフェナクナトリウムの定常状態フラックス(flux)は、同一フラックス化可能な不揮発性溶媒からのジクロフェナク酸の定常状態フラックスよりもかなり高い。従って、不揮発性溶媒からの薬物の物理的形態のフラックスを見積もって、望ましい物理的形態/不揮発性溶媒組合せを選択するのが望ましい。
【0015】
句「皮膚薬物送達」または「薬物の皮膚送達」は経皮および局所薬物送達を共に含み、皮膚への、皮膚を通っての、または皮膚中への薬物の送達を含む。薬物の「経皮送達」は、皮膚直下の皮膚組織、皮膚下の領域的組織または器官、全身循環、および/または中枢神経系に標的化することができる。
【0016】
各々、「皮膚フラックス」または「経皮フラックス」の関係のような用語「フラックス」とは、単位時間当たり単位面積当たり皮膚へ、または皮膚を横切って浸透した薬物の量をいう。フラックスの典型的な単位は時間当たりの平方センチメートル当たりのマイクログラムである。フラックスを測定する1つの方法は、ヒトボランティアの既知皮膚面積上へ処方物を置き、どれくらい多くの薬物がある時間拘束内に皮膚へ、または皮膚を横切って浸透することができるかを測定することである。種々の方法(イン・ビボ方法)は、同様に、測定で用いることができよう。実施例1に記載された方法、または他の同様な方法(イン・ビトロ方法)を用いて、フラックスを測定することもできる。イン・ビトロ方法は死体から得られたヒト表皮膜、またはヒトボランティアを用いて皮膚を横切っての薬物フラックスを測定するよりはむしろ無毛マウスからの新たに分離された皮膚組織を用いるが、適切に設計され、かつ実行されたイン・ビトロテストからの結果を用いて、合理的な信頼性でもってイン・ビボテストの結果を見積もり、または予測することができるのは一般に当業者によって認められる。従って、本明細書中で言及する「フラックス」値は、イン・ビボまたはイン・ビトロ方法のいずれかによって測定されたものを意味することができる。
【0017】
不揮発性溶媒系(またはそれを含む固化層)との関係での用語「フラックス化可能」とは、特定の薬物について治療的に有効なフラックスを提供することができるように選択され、または特別に処方された(1以上の不揮発性溶媒を含めた)不揮発性溶媒系をいう。局所的に、または領域的に送達される薬物では、フラックス化可能な不揮発性溶媒系は、単独で、いずれかの他の成分の助けなくして、不揮発性溶媒系が薬物で飽和した場合に、対象の皮膚を横切って、皮膚上に、または皮膚中に薬物の治療的に十分なレベルを送達することができる不揮発性溶媒系と定義される。全身的に標的化された薬物では、フラックス化可能な不揮発性溶媒系は、不揮発性溶媒系が薬物で飽和され、それが500cm以下の接触面積にて対象の皮膚と十分に接触した場合に、24時間にわたって治療的に有効な日用量を提供することができる不揮発性溶媒系である。好ましくは、不揮発性溶媒系についての接触面積は100cm以下である。この飽和した溶媒中薬物の状態を用いるテストを用いて、不揮発性溶媒系の最大フラックス−生成能力を測定することができる。フラックスを測定するためには、薬物溶媒混合物を臨床的に十分な量の時間の間、皮膚上に保持する必要がある。現実には、液体溶媒を長い間ヒトボランティアの皮膚上に維持するのは困難であろう。従って、溶媒系が「フラックス化可能」であるか否かを決定するための代替方法は、実施例1に記載された装置および方法を用いて無毛マウス皮膚またはヒト死体皮膚を横切るイン・ビトロ薬物浸透を測定することである。この方法、および同様な方法は、処方物の浸透性および使用可能性を見積もるのに当業者によって通常用いられる。別法として、不揮発性溶媒系がフラックス化可能であるか否かは、皮膚上の飽和した薬物にて不揮発性溶媒系を維持するための手段で生きたヒト対象の皮膚上でテストすることができ、そのような手段は製品について現実的ではないであろう。例えば、飽和薬物での不揮発性溶媒系は吸収性ファブリック材料に浸漬させることができ、次いで、これを皮膚上に適用し、保護膜で被覆する。そのような系は医薬製品として現実的ではないが、十分な薬物フラックスを提供する固有の能力を不揮発性溶媒系が有するか否か、あるいはそれがフラックス化可能であるか否かをテストするのに適している。
【0018】
また、一旦、処方物が固化層を形成したならば(水を含めた)揮発性溶媒が実質的に蒸発した後においてさえ、不揮発性溶媒のいくらかは固化層中に残りつつ、固化層は薬物について「フラックス化可能」でもあり得る。
【0019】
句「有効量」、「治療上有効量」、「治療上有効速度」などは、それは薬物に関するので、それに対して薬物が送達される疾患を治療するにおいていずれかの認識可能なレベルの治療結果を達成する薬物の十分な量または送達速度をいう。「治療結果の認識可能なレベル」は、製品の商業化を認可するためのいずれかの政府当局の効率標準に適合しても適合しなくても良いことは理解される。種々の生物学的因子は、その意図した仕事を実行する物質の能力に影響し得る。従って、「有効量」、「治療上有効量」、または「治療上有効速度」は、ある場合においては、そのような生物学的因子にある程度依存し得る。しかしながら、各薬物については、当業者の間では、ほとんどの対象において十分な用量またはフラックスの範囲について通常はコンセンサスがある。さらに、治療効果の達成は、当該分野で公知の見積もりを用いて医師または他の資格を有する医療関係者によって測定され得るが、治療に対する個々の変形および応答は、治療効果の達成を主観的な判断とし得ることは認識される。治療上有効量または送達速度の決定は、医薬化学および医療の分野における通常の技量内のものである。
【0020】
「治療上有効なフラックス」または「治療上十分なフラックス」は、十分な量の薬物を皮膚中へ、または皮膚を横切って送達して、臨床的に有益とする選択された薬物の浸透フラックスと定義される。「臨床的に有益な」または「臨床的に十分な」とは、フラックスに言及する場合、患者集団の幾人かが薬物フラックスからある程度の利益を受けることができることを意味する。それは、患者集団のほとんどがある程度の利益を受けることができ、あるいは該利益が関連政府当局または医療専門家によって「有効な」とみなされるのに十分高いことを必ずしも意味しない。より具体的には、皮膚または(皮膚表面から少なくとも部分的には5cm以内である関節、ある種の筋肉、または組織/器官のような)皮膚表面に近い領域的組織または器官についての薬物では、「治療上有効なフラックス」とは、臨床的に合理的な量の時間内に十分な量の薬物を標的組織に送達できる薬物フラックスをいう。全身循環を標的とする薬物については、「治療上有効なフラックス」とは、臨床的に合理的な皮膚接触領域を介して、十分な量の選択された薬物を送達して、臨床的に合理的な時間内に臨床的に利益がある血漿中または血中薬物濃度を生じさせることができる薬物フラックスをいう。臨床的に合理的な皮膚接触面積が、ほとんどの対象が許容するであろう皮膚適用領域のサイズと定義される。典型的には、400 cm以下の皮膚接触面積は合理的と考えられる。従って、4000 mcgの薬物を10時間にわたって400 cm皮膚接触面積を介して全身循環に送達するためには、フラックスは少なくとも4000 mcg/400 cm/10時間であることを必要とし、これは1 mcg/cm/時間に等しい。この定義によって、異なる薬物は異なる「治療上有効なフラックス」を有する。「治療上十分なフラックス」は異なる対象で異なり、または同一対象についてさえ異なる時間において異なり得る。しかしながら、各薬物については、通常、当業者の間ではほとんどの時間においてほとんどの対象で十分である用量またはフラックスの範囲で共通する。
【0021】
以下に、治療上有効な、または十分を超えるいくつかの薬物についてのフラックスの見積もりを示す。
【0022】
表A−種々の薬物のイン・ビトロ定常状態フラックス値
【0023】
【化1】

【0024】
【化2】

(ロピバカインを例外として)表A中の治療上有効量のフラックス値は、実施例1に記載されたイン・ビトロ系における無毛マウスまたはヒト表皮膜を通じての市販製品の定常状態フラックス値を表す。これらの値は、見積もりであり、処方物の開発および最適化のための比較の基礎を提供することのみを意図する。選択された薬物についての治療上有効なフラックスは、異なる病気が、異なる段階の病気、および異なる個々の対象について治療されるのが非常に困難であり得る。リストしたフラックスは治療的に有効なものを超え得ることに注意すべきである。
【0025】
表Bにリストした以下の例は、具体的に実験した薬物のいくつかについての不揮発性溶媒のフラックス化可能能力のスクリーニングを示す。実験は以下の実施例1に記載されたように行い、結果は引き続いての実施例2から9においてさらに議論する。
【0026】
表B−不揮発性溶媒系からの種々の薬物のイン・ビトロ定常状態フラックス値
【0027】
【化3】

【0028】
【化4】

不揮発性溶媒からの表B中のイン・ビトロ定常状態フラックス値は、驚くべきフラックス化可能および非フラックス化可能溶媒を示す。この情報を用いて、処方物開発を導くことができる。
【0029】
フラックス化可能な不揮発性溶媒との関係で用語「可塑化」は、固化剤のための可塑剤として作用するフラックス化可能な不揮発性溶媒と定義される。「可塑剤」は、揮発性溶媒系が少なくとも実質的に蒸発した後に処方物のパーセンテージ伸長を増加させることができる剤である。可塑剤は、それをよりフレキシブルおよび/または弾性とすることによって、固化した処方物の脆性を低下させる能力も有する。例えば、プロピレングリコールは、選択された固化剤としてのポリビニルアルコールにて薬物ケトプロフェンのための「フラックス化可能可塑化不揮発性溶媒」である。しかしながら、固化剤としてのGantrez S−97またはAvalure UR405でのケトプロフェンの処方物におけるプロピレングリコールは、同一可塑化効果を供しない。プロピレングリコールおよびGantrez S−97またはAvalure UR405の組合せは適合性が低く、局所適用についてあまり望ましくない処方物をもたらす。従って、与えられた不揮発性溶媒が「可塑化」であるか否かはいずれの固化剤が選択されるかに依存する。
【0030】
異なる薬物は、しばしば、特に良好な結果を提供する異なるマッチングフラックス化可能な不揮発性溶媒を有する。そのような例は表C中に認められる。実験は以下の実施例1に記載したように行い、結果は引き続いての実施例2から9においてさらに議論する。
【0031】
表C−特に高いフラックス化可能な不揮発性溶媒系からの種々の薬物のイン・ビトロ定常状態フラックス値
【0032】
【化5】

【0033】
【化6】

「フラックス化可能な不揮発性溶媒」、「フラックス化可能可塑化不揮発性溶媒」または「高フラックス化可能な不揮発性溶媒」は、単一の化学物質、または2以上の化学物質の混合物であり得る。例えば、表C中のクロベタゾールプロピオネートについての定常状態フラックス値は、プロピレングリコールまたはISA単独よりもかなり高いクロベタゾールフラックスを生じたプロピレングリコール:イソステアリン酸混合物について9:1である(表B参照)。従って、9:1プロピレングリコール:イソステアリン酸混合物は「高フラックス化可能な不揮発性溶媒」であるが、プロピレングリコールまたはイソステアリン酸単独はそうではない。
【0034】
用語「接着」および「接着性」とは、本明細書中において固化層に言及する場合、該層がほとんどの対象での意図した使用の間に皮膚から落ちないように、固化層および皮膚の間の十分な接着をいう。「接着性」などは、固化層を記載するのに用いる場合、(揮発性溶媒の蒸発前に)初期処方物層が元来適用された皮膚表面に対して固化層が接着性であることも意味することができる。1つの実施形態において、それは固化層が反対側で接着性であることを意味しない。加えて、固化層が所望の延長された時間の間、皮膚表面に接着できるか否かは、皮膚表面の状態に部分的に依存することに注意すべきである。例えば、過剰な発汗または脂性の皮膚、または皮膚表面の油性物質は固化層の皮膚に対する接着性を低くし得る。従って、本発明の接着性固化層は、皮膚表面との完全な接着を維持し、皮膚表面のいずれかの条件下で各対象について持続時間の間にわたって薬物を送達できないかも知れない。標準は、それが、皮膚表面および外部環境の通常の条件下でほとんどの対象について特定の時間の間にわたって皮膚表面のほとんど、例えば、合計面積の70%との良好な接触を維持することである。
【0035】
本明細書中で用いるように、用語「フレキシブル」、「弾性な」、「弾性」などとは、それが意図した使用の間に皮膚表面から破壊したりまたは分離したりしないように、固化層の十分なフレキシビリティおよび弾性をいう。例えば、許容されるフレキシビリティ、弾性、および皮膚への接着性を呈する固化層はフレキシブルな皮膚ロケーション、例えば、肘、指、手首、首、下部背中、唇、膝などの上のヒト皮膚に接着させることができ、皮膚の伸長に際して皮膚上で実質的に無傷のままであろう。本発明の固化層は、いくつかの実施形態においては、弾性を有する必要が必ずしもない。
【0036】
用語「剥離可能」は、固化層を記載するのに用いる場合、多くの小さな破片または小片とは反対に、固化層が1つの大きな破片またはいくつかの大きな破片に皮膚表面から持ち上げることができることを意味する。
【0037】
用語「持続された」とは、少なくとも30分の連続時間の間の皮膚薬物送達の治療上有効な速度に関し、いくつかの実施形態においては、少なくとも約2時間、4時間、8時間、12時間、24時間以上の時間に関する。
【0038】
用語「実質的に」の使用は、揮発性溶媒の蒸発をいう場合、最初の処方物に含まれた揮発性溶媒の大部分が蒸発してしまったことを意味する。同様に、固化層が水を含めた揮発性溶媒を「実質的に欠く」という場合、固化層は全体として固化層中に10wt%未満、好ましくは5wt%未満の揮発性溶媒を有する。
【0039】
用語「噴射剤」とは、20℃未満の沸点を有し、かつ20℃を超える温度で閉じた容器中に適切な圧力を生じさせて、容器から本発明の処方物を排出させることができる溶媒をいう。噴射剤は処方物の残りに溶解することができ、処方物の残りに別々の相として存在でき(分離し、または懸濁する)、または別々のエンクロージャー(カンタイプのバッグ)または区画に存在することができる。噴射剤を処方物の残りから別々の相または区画に維持する場合、振盪、逆転、撹拌、または手動または機械的混合方法によるなどして、皮膚表面への適用に先立って処方物の他の成分とそれを混合することができる。
【0040】
「揮発性溶媒系」とは、水、および水よりも揮発性であるが、25℃を超える沸点を有する溶媒を含めた、単一溶媒、または揮発性である溶媒の組合せをいう。
【0041】
「不揮発性溶媒系」は、水よりも揮発性が低い単一溶媒、またはそのような溶媒の混合物であり得る。それは、pHまたはイオン−対合剤のような、室温にて固体または液体である物質も含むことができる。揮発性溶媒系の蒸発の後、不揮発性溶媒系のほとんどは、与えられた薬物の一定時間における十分なフラックスでの対象の皮膚への、皮膚中への、または皮膚を通っての皮膚送達を行って、治療効果を提供するのに十分な量の時間の間、固化層に存在すべきである。いくつかの実施形態において、活性薬物に対する所望の浸透性、および/または固化剤、または処方物の他の成分との適合性を得るためには、2以上の不揮発性溶媒の混合物を用いて、不揮発性溶媒系を形成することができる。1つの実施形態において、溶媒系を形成するための2つ以上の不揮発性溶媒の組合せは、個々に、不揮発性溶媒の各々によって薬物について供されるフラックスよりも薬物についてより高い経皮フラックスを提供する。不揮発性溶媒系は、固化層が弾性であって、フレキシブルであるように、固化層の可塑剤として働くこともできる。
【0042】
「接着性の固化性処方物」、または「固化性処方物」、「噴霧可能な固化性処方物」などは相互交換可能に用い、その揮発性溶媒の蒸発に先立って皮膚表面への適用に適した粘度を有し、かつ揮発性溶媒の少なくとも一部の蒸発の後に固化層となることができる組成物をいう。固化層は、一旦形成されれば、非常に持続性であり得る。1つの実施形態において、一旦皮膚上で固化すれば、処方物はピールを形成することができる。該ピールは、適用された処方物のサイズに対して皮膚から大きな破片を剥がすことによって除去することができ、しばしば、単一破片として皮膚から剥がすことができる柔軟で凝集性の固体であり得る。適用粘度は、典型的には、水−様液体よりも粘性であるが、柔軟な固体よりは粘性が低い。好ましい粘度の例は、ペースト、ゲル、軟膏等と同様なコンシステンシーを有する材料、例えば、流動するが、零れにくい液体を含む。かくして、組成物が皮膚への「適用に適した」粘度を有すると言われる場合、これは、組成物が皮膚に適用された後に皮膚から実質的に落ちないように十分に高い粘度を該組成物が有するが、これが皮膚上に容易に伸ばすことができるように十分に低い粘度も有することを意味する。この定義を満たす粘度範囲は約100 cPから約3,000,000cP(センチポイズ)、より好ましくは約1,000 cPから約1,000,000cPであり得る。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態において、さらなる剤または物質を処方物に加えて、増強されたまたは増加した接着剤特徴を提供するのが望ましいであろう。さらなる接着剤または物質は、さらなる不揮発性溶媒またはさらなる固化剤であり得る。さらなる接着増強剤として用いることができる物質の非限定的例は、メチルビニルエーテルおよび無水マレイン酸(Gantrezポリマー)、ポリエチレングリコールおよびポリビニルピロリドンのコポリマー、ゼラチン、低分子量ポリイソブチレンゴム、アクリルサンアルキル/オクチルアクリルアミド(Dermacryl 79)、および種々の脂肪族樹脂のコポリマーおよび芳香族樹脂であり得る。
【0044】
用語「洗浄可能な」または「洗浄により除去される」とは、本発明の接着性処方物との関係で用いる場合、通常のまたは中程度の量の洗浄力を用いて洗浄溶媒の適用によって除去される接着性処方物の能力をいう。洗浄によって処方物を除去するのに必要な力は有意な皮膚の刺激または磨耗を引き起こすべきでない。一般に、適当な洗浄溶媒の適用に伴う温和な洗浄力が、本明細書中に開示された接着性処方物を除去するのに十分なものである。本発明の処方物を洗浄することによって除去するのに用いることができる溶媒は多数あるが、好ましくは、本明細書中にリストされる揮発性溶媒を含めた通常に許容される溶媒から選択される。好ましい洗浄溶媒は有意にヒト皮膚を刺激せず、一般に、平均的な対象に利用可能なものである。洗浄溶媒の例は、限定されるものではないが、水、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸エチル、プロパノール、またはその組合せも含む。本発明の態様において、洗浄溶媒は水、エタノール、イソプロピルアルコール、またはその組合せからなる群より選択することができる。界面活性剤もまたいくつかの実施形態において用いることができる。
【0045】
用語「乾燥時間」または「許容される長さの時間」とは、標準皮膚および周囲条件下で、かつ標準的なテスト手法での皮膚への適用後に処方物が汚くない固化表面を形成するのに必要な時間をいう。本出願において、用語「乾燥時間」は、揮発性溶媒を完全に蒸発除去するのに必要な時間を意味しない。その代わり、それは、前記したように汚くない固化表面を形成するのに必要な時間を意味する。
【0046】
「標準皮膚」は、約30℃から約36℃の間の表面温度で乾燥した健康なヒト皮膚と定義される。標準的周囲条件は、20℃から25℃の温度範囲、および20%から80%の相対湿度範囲によって定義される。用語「標準皮膚」は、断じて、本発明の処方物を用いることができる皮膚のタイプまたは皮膚条件を限定しない。本発明の処方物を用いて、損傷していない(標準皮膚)、病気の皮膚、または損傷した皮膚を含めた全てのタイプの「皮膚」を治療することができる。異なる特徴を有する皮膚疾患を本発明の処方物を用いて治療することができるが、用語「標準皮膚」は、本発明の種々の実施形態の組成物をテストするための標準としてのみ用いられる。現実的には、標準皮膚でよく実行される(例えば、固化し、治療上有効なフラックスを提供する)処方物もまた、病気の、または損傷した皮膚に対してよく実行できる。
【0047】
「標準テスト手法」または「標準テスト条件」は以下の通りである:標準周囲条件における標準皮膚に対して、ほぼ0.1mm層の接着性固化処方物を適用し、乾燥時間を測定する。乾燥時間は、処方物が、約5および約10g/cmの間の圧力にて処方物表面へ5秒間プレスされた100%綿布の破片への接着によって質量を喪失しないように、汚くない表面を処方物が形成するのに必要な時間と定義される。
【0048】
「固化層」は、揮発性溶媒系の少なくとも一部が蒸発した後の接着性固化性処方物の固化層を記載する。固化層は皮膚に接着したままであり、好ましくは、標準皮膚および周囲条件下で適用の実質的に全持続の間、対象の皮膚との良好な接触を維持することができる。固化層は、好ましくは、それが(皮膚から除去する場合に多くの小さな破片または破片に破壊される弱い引張り強度を持つ層とは反対に)適用の最後に皮膚から1つの破片またはいくつかの大きな破片に剥がすことができるように十分な引張り強度を呈する。
【0049】
本明細書中で用いるように、複数の薬物、化合物、および/または溶媒を便宜のために共通リストに掲げることができる。しかしながら、これらのリストは、あたかもリストの各メンバーを別々のおよびユニークなメンバーとして個々に同定されるように解釈されるべきである。かくして、そのようなリストの個々のメンバーは、反対のことが示されなければ、通常の群においてのその表示にのみ基づいた同一リストのいずれかの他のメンバーの事実上の均等物と解釈されるべきである。
【0050】
濃度、量、および他の多数のデータは、本明細書中においては、範囲フォーマットで表現し、または示すことができる。そのような範囲フォーマットは便宜および簡潔性のためだけに用いられ、かくして、範囲の限定として明示的に引用された多数の値のみならず、あたかも各数字値およびサブ−範囲が明示的に引用されたごとく、その範囲内に含まれるすべての個々の数値またはサブ−範囲も含むものと理解されるべきである。説明として、「約0.01から2.0mm」の数字範囲は、約0.01mmから約2.0mmの明示的に引用された値を含むのみならず、示された範囲内の個々の値およびサブ−範囲も含む。かくして、この数字範囲には、0.5、0.7、および1.5のような示された値、および0.5から1.7、0.7から1.5、および1.0から1.5などのようなサブ−範囲が含まれる。この同一原理は、1つの数字範囲のみを引用する範囲に適用される。さらに、そのような解釈は、範囲の広さ、または記載される特徴に関わらず適用されるべきである。
【0051】
これに従い、薬物送達用のスプレイ−オン処方物は薬物、少なくとも1つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系、固化剤、および噴射剤を含むことができる。該処方物は、加圧容器または手動ポンプ容器から排出され、かつ層として皮膚表面に適用されるのに適した初期粘度を有することができ、さらに、該処方物は噴射剤の少なくとも一部の蒸発後に皮膚表面に固化層を形成することもできる。
【0052】
もう1つの実施形態において、皮膚薬物送達のための方法は、皮膚表面に接着性の固化性処方物を噴霧することを含むことができる。該処方物は、薬物、該薬物についてフラックス化可能である不揮発性溶媒系、固化剤、および噴射剤を含むことができる。該処方物は、加圧容器から排出され、かつ層として表面に適用されるのに適した初期粘度を有することができる。さらなる工程は、噴射剤の少なくとも部分的な蒸発によって皮膚表面に固化層を形成するように処方物を固化させ、次いで、持続時間の間にわたって治療上有効な速度にて固化層からの薬物を皮膚表面に皮膚送達することを含む。
【0053】
かくして、これらの実施形態は、新規な処方物、方法、および固化層に関する本発明を例示する。該処方物は皮膚表面に噴霧可能であり、迅速に(標準皮膚および周囲条件下で15秒から約4分)ないし中程度に早く(標準皮膚および周囲条件下で約4から約15分)固化層、例えば、所望により剥離可能な凝集性かつ柔軟な固体層に変化することができる薬物送達用の固化層を形成する。このように形成された固化層は、対象に送達される活性な薬物のほとんどが、固化層が形成された後に送達されるように持続時間、例えば、30分から数十時間の間にわたって治療上有効な速度にて皮膚へ、皮膚中へ、または皮膚を通って薬物を送達することができる。
【0054】
加えて、本発明の処方物によって形成された固化層は、典型的には、皮膚に接着されるが、適用後比較的早く形成され、かつ対象が着用する、または固化層が不慮に接触し得る衣料または他の物体へ実質的に移動せず、またはそうでなければそれを汚さない固化された最小限に接着性の外側表面を有する。また、固化層は、それが高度にフレキシブルであって伸長可能であり、かくして、たとえ皮膚が膝、指、肘、他の関節、唇等のような身体の運動の間に伸長されても、皮膚表面との良好な接触を維持することができるように処方することができる。
【0055】
本発明のスプレイ−オン固化性処方物を用いるには、ユーザーは処方物を皮膚表面に噴霧する。該処方物が皮膚表面に薄い湿った層を形成する。噴射剤(および任意の揮発性溶媒)が蒸発すると、処方物は薄く、非−剛性で、凝縮性で、フレキシブルな連続的および/または好ましくは弾性固体層に固化する。この固体層は、それが所望の長さの時間の間、典型的には、数時間から数十時間の間、皮膚表面との良好な接触を維持することができるように皮膚表面への十分な接着を有する。不揮発性溶媒系は蒸発せず、薬物の皮膚表面を横切っても十分なフラックスを提供するように設計されるので、薬物は、持続時間の間、または適用時間の実質的に全持続の間、皮膚表面中へ、または皮膚表面を横切って固化層から連続的に送達できる。
【0056】
用いることができる種々の成分、例えば、薬物、不揮発性溶媒系、固化剤、噴射剤等を選択するにおいて、種々の考慮を適用することができる。例えば、噴射剤は、圧縮スプレイ−オン適用で有用なことが当該分野で知られた医薬上または化粧上許容できる溶媒から選択することができる。用いることができる噴射剤の例はヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、エーテルまたはアルカンを含むことができる。より具体的には、それらは、限定されるものではないが、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、1,1ジフルオロエタン、1,1,1,2テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,3,3,3ヘキサフルオロプロパン、塩化ビニル、圧縮二酸化炭素、圧縮窒素、またはその組合せを含む。噴射剤は処方物に溶解され、別々の相として、または処方物の残りにおける懸濁した相として存在し、別々のエンクロージャー(カンタイプのバック)に存在し、または別々の区画に存在し、処方物の残りと混合して、適用時間において推進力を提供することができる。ほとんどの処方物について、噴射剤の重量パーセンテージは約4 wt%から約90 wt%、より好ましくは約10 wt%から約60 wt%であり得る。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態は揮発性溶媒も含むことができる。用いることができる揮発性溶媒の例は、限定されるものではないが、酢酸イソ−アミル、変性アルコール、メタノール、プラパノール、クロロブタノール、テレビンチン、サイトペンタシロキサン、シクロメチコン、メチルエチルケトン、エタノール、イソプロピルアルコール、水、酢酸エチル、アセトン、またはその組合せを含む。処方物に含まれる場合、これらの揮発性溶媒は処方物の残りと適合するように選択されるべきである。用いられる場合、揮発性溶媒の適当な重量パーセンテージが処方物に存在するのが望ましい。余りにも多くの揮発性溶媒系は乾燥時間を延長する。
【0058】
不揮発性溶媒系もまた、固化剤、薬物、噴射剤、および存在し得る他の成分と適合するように選択し、または処方することができる。例えば、固化剤は、それが不揮発性溶媒系に分散可能、または可溶性であるように選択することができる。ほとんどの不揮発性溶媒系は全体として実験後に適切に処方されるであろう。例えば、ある種の薬物は、400の分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)に対して良好な溶解性を有する(PEG 400,不揮発性溶媒)が、グリセロール(不揮発性溶媒)および水(揮発性溶媒)に対して貧弱な溶解性を有する。しかしながら、PEG 400はポリビニルアルコール(PVA)を効果的に溶解させることができず、かくして、固化剤であるPVAに対して単独で非常に適合するのではない。十分な量の活性な薬物を溶解させ、同時に固化剤としてPVAを用いるためには、適当な比率のPEG 400および(PVAと適合する)グリセロールを含めた不揮発性溶媒系を処方することができ、適合性の妥協を達成する。適合性のさらなる例として、不揮発性溶媒/固化剤不適合性は、Span 20を、PVAを含有する固化性処方物に処方する場合に観察される。この組合せでもって、Span 20は処方物から分離でき、固化層の表面に油性層を形成する。かくして、適当な固化剤/不揮発性溶媒の選択は、活力のある処方物および適合する組合せを開発するにおいて望ましい。
【0059】
さらに詳細には、単独で、または組合せて用いて、不揮発性溶媒系を形成することができる不揮発性溶媒は種々の医薬上許容される液体から選択することができる。1つの実施形態において、不揮発性溶媒系はグリセロール、プロピレングリコール、イソステアリン酸、オレイン酸、プロピレングリコール、トロラミン、トロメタミン、トリアセチン、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ブタノール、またはその組合せを含むことができる。もう1つの実施形態において、不揮発性溶媒系は安息香酸、ブチルアルコール、セバシン酸ジブチル、ジグリセリド、ジプロピレングリコール、オイゲノール、ココヤシ油のような脂肪酸、魚油、ヤシ油、ブドウ種子油、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、オレイルアルコール、ビタミンE、トリグリセリド、ソルビタン脂肪酸界面活性剤、クエン酸トリエチル、またはその組合せを含むことができる。さらなる実施形態において、不揮発性溶媒系は1,2,6−ヘキサントリオール、アルキルトリオール、アルキルジオール、アセチルモノグリセリド、トコフェロール、アルキルジオキソラン、p−プロペニルアニソール、アニス油、アプリコット油、ジメチルイソソルビド、アルキルグルコシド、ベンジルアルコール、蜜蝋、安息香酸ベンジル、ブチレングリコール、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、カラメル、桂皮油、ヒマシ油、シンナムアルデヒド、シンナモン油、チョウジ油、ココヤシ油、カカオバター、ココグリセリド、コリアンダー油、トウモロコシ油、コリアンダー油、トウモロコシシロップ、綿実油、クレゾール、シクロメチコン、ジアセチン、ジアセチル化モノグリセリド、ジエタノールアミン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジグリセリド、エチレングリコール、ユーカリ油、脂肪、脂肪アルコール、矯味矯臭薬、液体糖ジンジャーエキス、グリセリン、高フルクトーストウモロコシシロップ、水素化ヒマシ油、IPパルミテート、レモン油、ライム油、リモネン、ミルク、モノアセチン、モノグリセリド、ニクズク油、オクチルドデカノール、オリーブアルコール、オレンジ油、ヤシ油、落花生油、PEG植物油、ペパーミント油、ペテロラタム、フェノール、松葉油、ポリプロピレングリコール、ゴマ油、スペアミント油、大豆油、植物油、植物ショートニング、酢酸ビニル、ワックス、2−(2−(オクタデシルオキシ)エトキシ)エタノール、安息香酸ベンジル、ブチル化ヒドロキシアニソール、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ceteareth−20、セチルアルコール、ポリグリセリル、ステアリン酸ジポリヒドロキシ、PEG−7水素化ヒマシ油、フタル酸ジエチル、セバシン酸ジエチル、ジメチコン、フタル酸ジメチル、PEG−ステアレート、PEG−オレエート、PEG−ラウレートのようなPEG脂肪酸エステル、PEG−ジオレエート、PEG−ジステアレートのようなPEG脂肪酸ジエステル、PEG−ヒマシ油、ベヘン酸グリセリル、PEGグリセリルラウレート、PEGグリセリルステアレート、PEGグリセリルオレエートのようなPEGグリセロール脂肪酸エステル、ヘキシレングリセロール、ラノリン、ラウリン酸ジエタノールアミド、乳酸ラウリル、硫酸ラウリル、メドロン酸、メタクリル酸、マルチステロール抽出物、ミリスチルアルコール、中性油、PEG−オクチルフェニルエーテル、PEG−セチルエーテル、PEG−ステアリルエーテルのようなPEG−アルキルエーテル、PEG−ソルビタンジイソステアレート、PEG−ソルビタンモノステアレートのようなPEG−ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコールステアレートのようなプロピレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール、カプリレート/カプレート、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ソルビトール、スクアレン、ステア−o−ウエット(stear−o−wet)、トリグリセリド、アルキルアリールポリエーテルアルコール、ソルビタン−エーテルのポリエキシエチレン誘導体、飽和ポリグリコール化C8−C10グリセリド、N−メチルピロリドン、蜂蜜、ポリオキシエチル化グリセリド、ジメチルスルホキシド、アゾンおよび関連化合物、ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、脂肪酸エステル、脂肪アルコールエーテル、アルキル−アミド(N,N−ジメチルアルキルアミド)、N−メチルピロリドン関連化合物、オレイン酸エチル、ポリグリセリン脂肪酸、グリセロールモノオレエート、グリセリルモノミリステート、脂肪酸のグリセロールエステル、絹アミノ酸、PPG−3ベンジルエーテルミリステート、Di−PPG2 MYRETH 10−アジペート、ハニークワット(honeyquat)、ピログルタミン酸ナトリウム、アビシニカ油(abyssinica oil)、ジメチコン、マカダミアナッツ油、limnanthes alba種子油、セテアリルアルコール、PEG−50シェアバター(shea butter)、シェアバター、アロエベラジュース、フェニルトリメチコン、加水分解した小麦蛋白質、またはその組合せを含むことができる。なお更なる実施形態において、不揮発性溶媒系は、前記議論の実施形態のいずれかに記載された不揮発性溶媒の組合せまたは混合物を含むことができる。
【0060】
これらのおよび他の考慮に加えて、不揮発性溶媒系、または不揮発性溶媒系における不揮発性溶媒の少なくとも1つは、固化層が形成された場合に、該層がフレキシブルであり、伸長可能であり、および/またはそうでなければ「皮膚フレンドリー」となるように、接着性処方物において可塑剤として働くこともできる。
【0061】
処方物中のある種の成分は皮膚に対して刺激性であり得、薬物の所望の溶解性および/または浸透性を達成するのに用いるのが望ましいであろう。それらの場合において、皮膚刺激を妨げ、低下させることができ、かつ処方物と適合する化合物を加えるのが望ましい。例えば、噴射剤が皮膚に対して刺激性である処方物においては、皮膚刺激を低下させることができる不揮発性溶媒を用いるのが助けとなろう。皮膚刺激を妨げ、または低下させることが知られた溶媒の例は、限定されるものではないが、グリセリン、蜂蜜、および/またはプロピレングリコールを含む。
【0062】
本発明の処方物は、単独では、薬物についてフラックス化可能な不揮発性溶媒ではないが、一緒に処方すると、系の一部としてフラックス化可能な不揮発性溶媒となる2つ以上の不揮発性溶媒を含有することもできる。これらの最初は非−フラックス化可能である不揮発性溶媒が一緒に処方した場合にフラックス化可能な不揮発性溶媒となる1つの可能な理由は、薬物のイオン化状態の、より高いフラックスを有する物理的形態への最適化によるものであり、あるいは別法として、不揮発性溶媒はいくつかの他の相乗的方法で一緒に作用する。不揮発性溶媒の混合の1つのさらなる利点は、処方物の、または処方物層下の皮膚組織のpHを最適化して、刺激を最小化することができることである。特定の薬物にとって適切な不揮発性溶媒系をもたらす不揮発性溶媒の適当な組合せの例は、限定されるものではないが、イソステアリン酸/トロラミン、イソステアリン酸/ジイソプロピルアミン、オレイン酸/トロラミン、プロピレングリコール/イソステアリン酸を含む。
【0063】
固化剤の選択もまた、接着性処方物に存在する他の成分を考慮して実行することができる。固化剤は、薬物および噴射剤および不揮発性溶媒系(および所望により、噴射剤でない他の揮発性溶媒)に対して適合するように、ならびに一旦それが形成されると固化層に対して所望の物理的特性を提供するように選択され、または処方することができる。薬物、溶媒、および/または存在し得る他の成分に依存して、固化剤は種々の剤から選択することができる。1つの実施形態において、固化剤は20,000から70,000のMW範囲を持つポリビニルアルコール(Amresco)、80,000から160,000のMW範囲を持つポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸コポリマーのエステル(ISP Gantrez ES−425およびGantrez ES−225)、120,000から180,000のMW範囲を持つメタクリル酸ブチルおよびメタクリル酸メチルの中性コポリマー(Degussa Plastoid B)、100,000から200,000のMW範囲を持つメタクリル酸ジメチルアミノエチル−メタクリル酸ブチル−メタクリル酸メチルコポリマー(Degussa Eudragit E100)、5,000を超えるMW、またはEudragit RLPOと同様なMWを持つアクリル酸エチル−メタクリル酸メチル−メタクリル酸トリメチルアンモニオエチル塩化物コポリマー(Degussa)、35,000程度のMWを持つZeinのような5,000を超えるMWを持つZein(プロラミン)(Freeman industries)、Instant Pure−Cote B793と同様なMWを有するα化デンプン(Grain Processing Corporation)、5,000を超えるMW、またはAqualon EC N7、N10、N14、N22、N50またはN100と同様なMWを持つエチルセルロース(Hercules)、MW 20,000から250,000を有する魚ゼラチン(Norland Products)、ゼラチン、5,000を超えるMWを持つ他の動物源、5,000を超えるMW、またはNational StarchおよびChemical Dermacryl 79と同様なMWを持つアクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマーを含むことができる。
【0064】
もう1つの実施形態において、固化剤はエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエーテルアミド、トウモロコシデンプン、α化トウモロコシデンプン、ポリエーテルアミド、シェラック、ポリビニルピロリドン、ポリイソブチレンゴム、酢酸フタル酸ポリビニル、またはその組合せを含むことができる。さらなる実施形態において、固化剤はアンモニアメタクリレート、カラギーナン、EastnanからのCAPNFのような水性酢酸フタル酸セルロース、カルボキシポリメチレン、酢酸セルロース(微結晶性)、セルロースポリマー、ジビニルベンゼンスチレン、エチレンビニルアセテート、シリコーン、グアガム、グアロジン、グルテン、カゼイン、カゼイン酸カルシウム、カゼイン酸アンモニウム、カゼイン酸ナトリウム、カゼイン酸カリウム、アクリル酸メチル、マイクロクリスタリンワックス、ポリ酢酸ビニル、PVPエチルセルロース、アクリレート、PEG/PVP、キサンタンガム、トリメチルシロキシシリケート、マレイン酸/無水物コポリマー、ポラクリリン、ポロキサマー、ポリエチレンオキサイド、グラクチン酸(glactic acid)/ポリ−L−乳酸、テレビン樹脂(turpene resin)、ローカストビーンガム、アクリルコポリマー、ポリウレタン分散物、デキストリン、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールコポリマー、BASF’s Kollicoatポリマーのようなメタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー、メタクリル酸、およびポリ(メタクリル酸)のようなメタクリレート系ポリマー、またはその組合せを含むことができる。もう1つの実施形態において、固化剤は、前記で議論した実施形態のいずれかに記載された固化剤の組合せを含むことができる。他のポリマーもまた、溶媒、薬物、および与えられた処方物の特異的な機能的要件に依存して固化剤として適当であろう。他のポリマーもまた、溶媒、薬物、および与えられた処方物の特異的な機能要件に依存して固化剤として適当であろう。
【0065】
1つの実施形態において、不揮発性溶媒系および固化剤は相互に適合性であるべきである。適合性は、i)固化剤は、フラックスのいくらかの低下を除いて、不揮発性溶媒系の機能に実質的に否定的に影響を与えず;ii)固化剤は、実質的に全く不揮発性溶媒が層からにじみ出ないように、固化剤が不揮発性溶媒系を固化層に保持でき、および/またはiii)選択された不揮発性溶媒系および固化剤で形成された固化層は皮膚に対して許容できるフレキシビリティー、剛性、張力、弾性、および接着性を有する;と定義することができる。固化剤に対する不揮発性溶媒の比率は約0.1:1から約10:1であり得る。もう1つの態様において、固化剤に対する不揮発性溶媒系の重量比率は0.2:1から約4:1、より好ましくは約0.5:1から約2:1であり得る。
【0066】
所望によりピールでもある固化層のフレキシビリティおよび伸長性はいくつかの適用において望ましくあり得る。例えば、ある種の非−ステロイド抗−炎症剤(NSAID)を関節および筋肉に直接的に噴霧して、関節および筋肉への皮膚送達用の固化層を形成することができる。しかしながら、関節およびある種の筋肉の群上の皮膚領域は、しばしば、身体運動の間に有意に伸ばされる。そのような運動は、非−伸長性パッチが良好な皮膚接触を維持するのを妨げる。ローション、軟膏、クリーム、ゲル、フォーム、ペースト等もまた、前記引用の理由で用いるのに適さないであろう。それ自体、NSAIDの関節および/または筋肉の皮膚送達において、本発明の噴霧可能な固化性処方物はユニークな利点および利益を提供することができる。良好な伸長性はある適用においては望ましくあり得るが、本発明の噴霧可能な固化性処方物は常には伸長可能であることを必要としないことは指摘すべきである。というのは、本発明のある適用はこの特性から必ずしも利益を受けないからである。
【0067】
本発明の実施形態に従って調製された処方物の更なる特徴は乾燥時間に関する。仮に処方物が余りにも遅く乾燥すれば、対象は、未−固化処方物を除去し得る通常の活動(例えば、衣料の着用)を再開するまで余りにも長い時間を待たなければならないであろう。かくして、乾燥時間は約15分よりも短い、好ましくは3分よりも短い、最も好ましくは1分よりも短いのが望ましい。
【0068】
本発明の固化層の他の利点は、固化層自体によって形成され得る物理的バリヤーの存在を含む。いくつかの病気または負傷の状況においては、皮膚表面は外来性物体の接触に対して感受性であるか、あるいは外来性物体による接触の感染に罹りやすい。それらの状況において、固化層は皮膚表面に対して物理的保護を提供することができる。例えば、局所麻酔剤、およびクロニジンのような他の剤を、糖尿病性神経障害性疼痛のような神経障害に関連する疼痛を治療するために局所送達することができる。そのような対象の多くは皮膚領域が軽く接触されたに過ぎない場合でさえひどい疼痛を感じるので、固化層の物理的バリヤーは、物体その他との不慮の接触によって引き起こされる疼痛を妨げ、または最小化することができる。
【0069】
本発明の噴霧可能な処方物のもう1つの利点は、皮膚表面に接触し、または皮膚表面をこする必要性なくしてそれらを皮膚表面に適応することができることである。例えば、前記したように、神経障害性疼痛を経験する対象は、しばしば、アプリケーターを用いるような、皮膚領域が軽く接触されたに過ぎない場合でさえ疼痛を感じる。固化性処方物の噴霧可能な適用は、皮膚に接触し、または皮膚を擦ることなく医薬処方物の適用を可能とする。例えば、脱毛症を治療するためのコルチコステロイドのスプレイ−オン固化処方物は、伝統的な半固体処方物よりも容易に、いくらかの毛髪を有する頭皮領域に適用することができる。噴霧適用が利益となり得るもう1つの例は、損傷した、または感染した皮膚におけるものである。損傷したまたは感染した皮膚または組織を有する対象は、非―スプレイ−オン処方物に関連する疼痛に耐えることはできないであろう。加えて、処方物が、対象が損傷したまたは感染した皮膚に物理的に接触することを要求する場合、新しいまたは増加した感染の危険性もまた増加する。
【0070】
スプレイ−オン処方物は、現在利用可能な「スプレイ処方物」または「半固体」処方物よりも他の重要な利点を提供することができる。他のスプレイ−オン処方物と比較した場合、スプレイ−オン固化性処方物から形成された本発明の固化層は、より持続的な送達のためにより量の多い薬物を保持することができる。伝統的な半固体処方物と比較した場合、本発明の噴霧可能な半固体処方物は適用するのがより容易であり得るか、あるいはスパチュラのような適用デバイスで皮膚表面を接触することなく適用することができる。本発明の処方物を適用することができる皮膚表面は、限定されるものではないが、皮膚、唇、性器、および肛門の粘膜表面、爪表面、創傷表面、床ずれ表面、および糖尿病−誘導潰瘍性皮膚表面を含む。
【0071】
本発明は、液化噴射剤と組み合せて固化性処方物を適用して、適用の部位と密接に接触したままであり、および活性薬物の送達を提供する均一な固化層を容易に形成する便利な手段を提供する。これは、固化層が十分な量の薬物を含有することができるように、皮膚表面の単位領域当たり十分な量の処方物を適用することを必要とする。ほとんどの薬物では、固化層は少なくとも0.01mm厚み、好ましくは少なくとも0.05mm厚みであることを必要とする。
【0072】
これらのおよび他の利点は利益の以下の非限定的リストにまとめることができる。処方物は、領域の疼痛または感染を引き起こすかもしれない表面に接触する必要性なくして皮膚表面に容易に噴霧することができる。固化層は、薬物が治療上有効な速度にて持続時間の間にわたって送達することができるように、薬物についてフラックス化可能である不揮発性溶媒系を含む。さらに、固化層は皮膚に対して接着性のままであって、好ましくは剥離可能であるので、固化層の容易な除去が起こることができ、溶媒または界面活性剤の助けなくして起こり得る。いくつかの実施形態において、皮膚への接着および材料の弾性は、関節および筋肉上のような、高度に伸長可能な皮膚領域における皮膚伸長に際して、固化層は皮膚から分離しないようなものである。例えば、1つの実施形態において、固化層は、該層が適用された皮膚表面からのクラッキング、破壊、および/または分離なくして少なくとも1つの方向に5%、または10%以上伸長することができる。なおさらに、固化層は、有利には薬物を送達し、感受性の皮膚領域を保護するように処方することができる。
【0073】
本発明の1つの実施形態において、固化層は、所望の薬物送達の最後に、水またはエタノールのような溶媒で洗浄除去できる。固化処方物を洗浄除去するのにやはり用いることができる他の溶媒は、本明細書中でリストした揮発性溶媒を含む。洗浄によって除去される能力は、特定の適用では特に有利である。例えば、仮に固化性処方物を多数の毛髪を含む皮膚表面に適用すれば(例えば、陰毛がある性器皮膚領域に適用された抗性ヘルペス固化処方物)、剥離による除去は不快感を引き起こし、従って、望ましくなく、よって、洗浄はこのタイプの除去では好ましい除去の形態であり得る。もう1つの例において、仮に固化性処方物を、手のひらまたは足の裏のような手足表面に噴霧するのであれば、剥離による除去能力は、皮膚表面に接着するであろう処方物に対する二次的考慮であろう。これらの場合において、水またはエタノールによって容易に洗浄除去されるように処方された固化層はより望ましくあり得る。洗浄実施形態において、固化層を洗浄除去するのに用いられる溶媒は層を溶解させることができるか、あるいは、それを皮膚から容易に除去できるように、皮膚に対する接着性を低くする。これを述べたので、固化層はいくつかの実施形態において剥離可能であって洗浄可能であり得ることを注記する。
【0074】
もう1つの実施形態において、固化性処方物は、それが、制御された量の固化性処方物が分注されるように計量用量または体積制御を持つ容器から分注できるような粘度を有する(エアロゾルまたはポンプ−スプレイ)。該処方物は、前記した実施形態で記載された成分を含む。分注された処方物の量の制御は、望ましくない治療効果および/または有害な副作用に導きかねない過少用量または過剰用量を回避することができる。
【0075】
本発明のもう1つの実施形態において、2つの成分を有する系は、それが加圧容器から分注できるような粘度を持つ固化性処方物、および加圧容器を含む。該処方物は固化剤、少なくとも1つの不揮発性溶媒、薬物、噴射剤および、所望により、揮発性溶媒系を含む。一旦処方物が皮膚表面に噴霧され、かつ噴射剤および任意の揮発性溶媒の蒸発の後に、処方物は、使用後に容易に除去することができる薬物−送達固化層を皮膚上に形成するであろう。この実施形態、および他の実施形態において、使用の少し前に、処方物および噴射剤を含有するエアロゾル容器を振盪して、噴射剤および処方物の残りを、皮膚表面に噴霧されるための適当な粘度を有する一時的懸濁物に混合することができる。一旦適用され、かつ噴射剤および任意の揮発性溶媒の蒸発の後に、処方物は、使用後に容易に除去できる薬物−送達固化層を皮膚上に形成する。別法として、加圧容器は、噴射剤と処方物の残りとの混合を引き起こして、容器から皮膚上に排出される混合物を形成するメカニズムを含むことができる。一旦適用され、かつ噴射剤および任意の揮発性溶媒の蒸発の後に、処方物は、使用後に容易に除去することができる薬物−送達固化層を皮膚上に形成する。
【0076】
もう1つの実施形態において、固化性処方物は、それが手動ポンプ−スプレイ容器または慣用的なポンプスプレイ容器から分注できるような粘度を有する。処方物は固化剤、不揮発性溶媒系、薬物、および所望により揮発性溶媒を含む。薬物処方物は、それが手動ポンプ−スプレイ容器から排出でき、かつ皮膚表面に適用できるような適切な粘度を有する。一旦適用されれば、処方物は使用後に容易に除去することができる薬物−送達固化層を皮膚表面に形成するであろう。
【0077】
さらなる注記として、本発明の固化層が、薬物を送達するのに最適化された実質的な量の不揮発性溶媒系を皮膚表面に保持できるのは該固化層のユニークな特徴である。この特徴は現存の製品よりもユニークな利点を提供することができる。例えば、いくつかの半固体処方物においては、皮膚表面への適用に際して、揮発性溶媒は迅速に蒸発し、処方物層は硬いラッカー−様層に固化する。薬物分子は硬いラッカー層に固定化され、皮膚表面への送達で実質的に利用できない。その結果、薬物の送達は長時間にわたって持続されないと考えられる。このタイプの処方物とは対照的に、本発明の処方物を用いて形成された固化層は、薬物分子を、皮膚と接触している不揮発性溶媒系中でかなり動くように保ち、かくして、持続送達を確実とする。
【0078】
本発明の系、処方物および方法から利益を受けることができる適用の具体的な例は以下の通りである。1つの実施形態において、固化層はブピバカイン、リドカイン、テトラカイン、および/またはロピバカインを含むことができ、糖尿病性およびヘルペス後神経痛を治療するために処方することができる。別法として、ジブカニン、およびクロニジンのようなアルファ−2アゴニストは、同一病気を治療するために固化性処方物に処方することができる。もう1つの実施形態において、レチノイン酸およびベンゾイルペルオキシドをアクネを治療するための固化層中で合わすことができ、あるいは別法として、1wt%クリンダマイシンおよび5wt%ベンゾイルペルオキシドを、別法として、アクネを治療するための固化性処方物中で合わすことができる。もう1つの実施形態において、レチノール固化性処方物(OTC)を皺を治療するのに調製することができ、あるいはリドカイン固化性処方物を背中疼痛を治療するのに調製することができる。もう1つの実施形態において、酸化亜鉛固化性処方物(OTC)をオムツかぶれを治療するのに調製することができ(刺激性尿および大便に対する固化層によって供された物理的バリヤーは有益であると考えられる)、あるいは抗ヒスタミン固化層を、ツタウルシによって引き起こされたようなアレルギー性かぶれを治療するのに調製することができる。
【0079】
さらなる適用はある種の皮膚疾患、例えば、皮膚炎、乾癬、湿疹、皮膚癌、脱毛症、皺、単純疱疹、性器ヘルペス、帯状疱疹などのようなウイルス感染、特に、経皮パッチが現実的であり得ない関節または筋肉上で起こるものを治療するための薬物送達を含む。例えば、イミキモドを含有する固化性処方物は、皮膚癌、未熟年齢の皮膚、光−損傷皮膚、尋常性および性器イボ、および光線性角化症を治療するために処方することができる。アシクロビル、ペンシクロビール、ファムシクロビール、バラシクロビール、ステロイド、および/またはベヘニルアルコールのような抗ウイルス薬物を含有する固化性処方物を、顔および性器領域の単純疱疹のようなヘルペスウイルス感染を治療するために処方することができる。非−ステロイド抗−炎症薬物(NSAID)、カプサイシン、アルファ−2アゴニスト、および/または神経成長因子を含有する固化性処方物を、柔軟組織負傷、および種々の原因の関節および背中疼痛のような筋肉−骨格疼痛を治療するのに処方することができる。先に議論したように、これらの皮膚領域上のパッチは、典型的には、持続期間にわたって、特に、身体的に活性な対象について良好な接触を有さず、不快感を引き起こし得る。同様に、クリーム、ローション、軟膏等のような伝統的な半固体処方物は、溶媒の蒸発および/または処方物の意図しない除去のため薬物の送達を時期尚早に停止し得る。本発明の固化性処方物は、これらのタイプの送達系の双方の欠点に取り組む。
【0080】
1つの実施形態は、神経障害性疼痛を治療するのに局所投与されるアルファ−2アンタゴニストのクラスからの薬物を含有する固化層を含むことができる。該アルファ−2アゴニストは、処方物から徐々に放出されて、持続時間の間にわたって疼痛の緩和を提供する。該処方物は約5分後には凝集性の柔軟な組織となることができ、その適用の長さの間、典型的には、数時間から数十時間、身体の表面に接着されたままである。固化層は、残存処方物を皮膚表面に残すことなく、意図した適用後に容易に除去される。
【0081】
もう1つの実施形態は、神経障害性疼痛を治療するのに局所適用されるカプサイシンを含有する固化処方物を含む。カプサイシンは、持続時間に渡ってこの疼痛を治療するのに処方物から徐々に放出される。処方物は約5分後に凝集性の柔軟な固体となることができ、その適用の長さの間、皮膚表面に接着したままである。それは、皮膚表面に残存する処方物を残すことなく乾燥後にいずれの時点においても容易に除去される。
【0082】
もう1つの実施形態は、手の皮膚炎を治療するのに局所適用されるクロベタゾールプロピオネートを含有する固化性処方物を含む。クロベタゾールプロピロネートは、維持時間にわたって皮膚炎を治療するために処方物から徐々に放出される。該処方物は約3分後に凝集性の柔軟な組織となることができ、その適用の長さの間、皮膚表面に接着されたままである。物理的バリアーもまた、潜在的に有害な物質から危うくされた皮膚を保護する。それは、残存処方物を皮膚表面に残すことなく、乾燥後のいずれの時点においても容易に除去される。
【0083】
もう1つの実施形態は、脱毛症を治療するために局所適用されるクロベタゾールプロピロネートを含有する固化性処方物を含有する。クロベタゾールプロピオネートは、持続時間に渡って、毛髪成長を促進するために処方物から徐々に放出される。処方物は約5分後には凝集性の柔軟な固体となることができ、その適用の長さの間、皮膚表面に接着されたままである。それは、シャワリングに対する剥離によって乾燥後のいずれの時点においても容易に除去される。
【0084】
もう1つの実施形態は、ストレッチマーク、皺、脂肪性過形成、または脂漏性角化症を治療するためのタゾラックを含有する噴霧可能な固化性処方物を含む。
【0085】
もう1つの実施形態において、グリセロールを含有する固化性処方物は、指先端での亀裂用の保護バリアーを提供するようにすることができる。
【0086】
なおさらなる実施形態は、リドカインおよびロピバカイン等を含めた局所麻酔剤クラス、ケトプロフェン、ピロキシカム、ジクロフェナク、インドメタシン等のようなNSAIDクラスから選択される薬物を含有する固化性処方物を含むことができる。これらの薬物を局所投与して、背中疼痛、筋肉緊張および/または筋膜疼痛の症状を治療することができる。局所麻酔剤および/またはNSAIDは処方物から徐々に放出されて、持続時間にわたって疼痛救済を提供する。該処方物は約3分以内に凝集性の柔軟な固体となり、その適用の長さの間、皮膚表面に接着されたままであり得る。それは、残存処方物を皮膚表面に残すことなく乾燥後のいずれの時点においても容易に除去される。
【0087】
さらなる実施形態は、少なくとも1つのアルファ−2アゴニスト薬物、少なくとも1つの三環抗鬱剤、および/または神経障害性疼痛を治療するのに局所投与される少なくとも1つの局所麻酔薬物を含有する固化製処方物を含む。薬物は持続時間に渡って疼痛の軽減を提供するように処方物から徐々に放出される。該処方物は約3分後に凝集性の柔軟な固体となることができ、その適用の長さの間、皮膚表面に接着されたままである。それは、残存処方物を皮膚表面に残すことなく乾燥後のいずれの時点においても容易に除去される。
【0088】
同様な実施形態は薬物カプサイシンおよび局所麻酔薬物を含有する固化性処方物を含むことができ、これは疼痛の軽減を提供するのに皮膚へ局所適用される。もう1つの実施形態は、局所麻酔剤およびNSAIDの組合せを含有する固化性処方物を含むことができる。前記実施形態の双方において、薬物は処方物から徐々に放出されて、持続時間に渡って疼痛の軽減を提供する。処方物は約3分後に凝集性の柔軟な固体となることができ、その適用の長さの間、皮膚表面に接着されたままである。それは、残存処方物を皮膚表面に残すことなく、乾燥後のいずれの時点においても容易に除去される。
【0089】
もう1つの実施形態において、関節および筋肉に関連する病気の原因または症状を治療するのに有用な薬物の送達用の固化性処方物もまた、本発明の系、処方物および方法から利益を受けることができる。適用可能なそのような病気は、限定されるものではないが、変形性関節症(OA)、慢性関節リウマチ(RA)、種々の他の原因の関節および骨格疼痛、筋膜疼痛、筋肉疼痛、およびスポーツの負傷を含む。そのような適用で用いることができる薬物または薬物クラスは、限定されるものではないが、ケトプロフェンおよびジクロフェナクのような非−ステロイド抗−炎症薬物(NSAID)、COX−2選択性NSAIDおよび剤、COX−3選択性NSAIDおよび剤、リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、およびテトラカインのような局所麻酔剤、およびデキサメタゾンのようなステロイドを含む。
【0090】
アクネおよび他の皮膚疾患の治療用の薬物の送達もまた、特に、低い皮膚浸透性を有する薬物を送達する場合に、本発明の原理から利益を受けることができる。現在、アクネを治療するための局所レチノイド、ペルオキシド、および抗性物質は伝統的な半固体ゲルまたはクリームとして最も適用される。しかしながら、前記した欠点のため、何時間にも渡る持続送達はできないようである。例えば、クリンダマイシン、ベンゾイルペルオキシド、およびエリスロマイシンは、十分な量が毛包に送達される場合のみ効果的であろう。しかしながら、ポピュラーなアクネ医療ベンザクリンゲルのような伝統的な半固体処方物は、典型的には、適用から数分後以内にその溶媒(ベンザクリンの場合には水)の大部分を失う。数分のこの短い時間は、薬物の持続送達を実質的に危うくするようである。本発明の処方物は、典型的には、この制限を有しない。
【0091】
もう1つの実施形態において、神経障害性疼痛を治療するための薬物の送達は、本発明の方法、システム、および処方物からやはり利益を受けることができる。LidodermTMのような局所麻酔剤を含有するパッチは、ヘルペス後神経痛によって引き起こされた痛みのような神経障害性疼痛を治療するのに広く用いられる。先に議論したパッチの制限のため、本発明に従って調製された固化層はいくらかユニークな利益を提供し、ならびにパッチの使用に対して潜在的に安価な代替法を提供する。そのような適用のために送達される可能な薬物は、限定されるものではないが、リドカイン、ペリロカイン、テトラカイン、ブピバカイン、エチドカインのような局所麻酔剤;およびカプサイシン、およびクロニジンのようなアルファ−2−アゴニスト、ケタミンのような解離性麻酔剤、アミトリプチリンのような三環抗鬱剤を含めた他の薬物を含む。
【0092】
本発明の固化性処方物は、筋肉骨格疼痛、神経障害性疼痛、脱毛症、皮膚炎および乾癬を含めた皮膚病、ならびに皮膚回復(化粧的皮膚処理)、およびウィルス、細菌および真菌感染を含めた感染のような種々の疾患および病気を治療するのに処方することができる。それ自体、該処方物は広い範囲の数およびタイプの薬物および活性な剤を送達することができる。1つの実施形態において、固化性処方物は、アシクロビル、エコナゾール、ミコナゾール、テルビナフィン、リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、およびテトラカイン、アミトリプチリン、ケタンセリン、ベタメタゾンジプロピオネート、トリアムシノロンアセトニド、クリンダマイシン、ベンゾイルペルオキシド、トレチノイン、イソトレチノイン、クロベタゾールプロピオネート、ハロベタゾールプロピオネート、ケトプロフェン、ピロキシカム、ジクロフェナク、インドメタシン、イミキモド、サリチル酸、安息香酸、またはその組合せを含むように処方することができる。
【0093】
もう1つの実施形態において、該処方物はアモロルフィン、ブテナフィン、ナフチフィン、テルビナフィン、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ポサコナゾール、ラブコナゾール、ボリコナゾール、クロトリマゾール、ブトクナゾール、エコナゾール、ミコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、テルコナゾール、チオコナゾール、カスポフンギン、ミカフンギン、アニドルラフィンギン、アンフォテリシンB、AmB、ニスタチン、ピマリシン、グリセオフルビン、シクロピロクスオラミン、ハロプロジン、トルナフテート、およびウンデシレネート、またはその組合せのような抗真菌薬物を含むことができる。
【0094】
もう1つの実施形態において、該処方物はアシクロビル、ペンシクロビール、ファムシクロビール、バラシクロビール、ベヘニルアルコール、トリフルリジン、イドクスウリジン、シドフォビール、ガンシクロビール、ポドフィロックス、ポドフィロトキシン、リバビリン、アバカビール、ドラビルジン、ジダノシン、エファビレンツ、ラミブジン、ネビラピン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、アムプレナビール、インジナビール、ネルフィナビール、リトナビール、サキナビール、アマンタジン、インターフェロン、オセルタミビール、リバビリン、リマンタジン、ザナミビール、またはその組合せのような抗真菌薬物を含むことができる。
【0095】
該処方物が抗菌剤治療を提供することを意図する場合、それは、エリスロマイシン、クリンダマイシン、テトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ムピロシン、ポリミキシンB、シプロフラキシンのようなキロロン、またはその組合せのような抗菌薬物を含むように処方物できる。
【0096】
処方物が疼痛、特に神経障害性疼痛を軽減することを意図する場合、処方物はリドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、および/またはテトラカインのような局所麻酔剤;および/またはクロニジンのようなアルファ−2アゴニストを含むことができる。処方物が炎症に関連する疼痛を治療することを意図する場合、それは、ケトプロフェン、ピロキシカム、ジクロフェナク、インドメタシンのような非−ステロイド抗−炎症薬物、COX阻害剤、一般的なCOX阻害剤、COX−2選択的阻害剤、COX−3選択的阻害剤、またはその組合せを含むように処方することができる。
【0097】
もう1つの実施形態において、該処方物は、クリンダマイシンおよびベンゾイルペルオキシドのような抗−アクネ薬物、レチノール、タザロテンおよびイソトレチノインのようなビタミンA誘導体、シクロスポリン、アントラシン、ビタミンD3、コレカルシフェロール、カルシトリオール、カルシポトリオール、タカルシトール、カルシポトリエンなどのような活性剤を含めることによって、皮膚の障害または傷を治療するように処方することができる。
【0098】
なおもう1つの実施形態において、イボおよび他の皮膚疾患を治療するための医薬の送達もまた長時間の持続薬物送達の利益を受けるであろう。抗−イボ化合物の例は、限定されるものではないが;イミキモド、レシキモド、ケラチン溶解剤:サレチル酸、アルファヒドロキシ酸、硫黄、レスコルシノール、尿素、ベンゾイルペルオキシド、アラントイン、トレチノイン、トリクロロ酢酸、乳酸、安息香酸、またはその組合せを含む。
【0099】
さらなる実施形態は、限定されるものではないが、プロゲステロン、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、デソゲストレル、ドロスピレノン、二酢酸エチノジオール、ノルエルゲストロミン、ノルゲスチメート、レボノルゲストレル、dl−ノルゲストレル、酢酸シプロテロン、ジドロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸クロルマジノン、メゲストロール、プロメゲストン、ノルエチステロン、リメステノール、ゲストデン、チボレンよりなるプロゲスタゲン、テストステロン、メチルテストステロン、オキサンドロロン、アンドロステンジオン、ジヒドロテストステロンよりなるアンドロゲン、エストラジオール、エチニルエストラジオール、エスチオール、エストロン、抱合卵胞ホルモン、エステル化エストロゲン、エストロピペートよりなるエストロゲン、またはその組合せを含めた性ステロイドの送達のための固化性処方物の使用を含む。
【0100】
非−性ステロイドもまた本発明の処方物を用いて送達することができる。そのようなステロイドの例は、限定されるものではないが、ベタメタゾンジプロピオネート、ハロベタゾールプロピオネート、酢酸ジフロラゾン、トリアムシノロンアセトニド、デゾキシメタゾン、フルオシノニド、ハルシノニド、フランカルボン酸モメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、フルオシノニド、フルチカゾンプロピオネート、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニド、フランドレノリド、デソニド、ヒドロコルチゾンブチレート、ヒドロコルチゾンバレレート、アルクロメタゾンジプロピオネート、フルメタゾンピバレート、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾンまたはその組合せを含む。
【0101】
さらなる実施形態は、喫煙者およびニコチン中毒個人の中のニコチン依存症を治療するためのニコチンの制御された送達を含む。本発明の処方物は、治療量のニコチンを経皮送達するコスト的に有利な方法であろう。
【0102】
もう1つの実施形態は、処方物を用いて、ジフェンヒドラミンおよび/またはトリペレンナミンのような抗−ヒスタミン剤を送達することを含む。これらの剤は、痒みを引き起こすヒスタミンをブロックすることによって痒みを低減させ、局所的鎮痛を提供することによって救済も提供するであろう。
【0103】
本発明の固化性処方物を用いて送達することができる他の薬物は、限定されるものではないが、アミトリプチリンのような三環抗鬱剤;カルバマゼピンおよびアルプラゾラムのような抗痙攣剤;ケタミンのようなN−メチル−D−アスパルテート(NMDA)アンタゴニスト;ケタンセリンのような5−HT2A受容体アンタゴニスト;タクロリムスおよびピクロリムスのような免疫変調剤を含む。本発明の処方物および方法を用いて送達することができる他の薬物は保湿剤、エモリエント、および他の皮膚ケア化合物を含む。
【実施例】
【0104】
以下の実施例は、現在最良に知られた本発明の実施形態を説明する。しかしながら、以下のものは本発明の原理の適用の例にすぎず、またはそれを説明するものであることは理解されるべきである。多数の改良および代替組成物、方法およびシステムは、本発明の精神および範囲を逸脱することなく当業者によって考案され得る。添付の請求の範囲は、そのような改良および配置を網羅することを意図する。従って、本発明を特別なものを用いて記載してきたが、以下の実施例は、現在本発明の最も現実的かつ好ましい実施形態とみなされるものに関連したさらに詳細を提供する。
【0105】
実施例1
薬物を送達するための噴霧可能な固化性処方物を満たした加圧容器を調製し、これは薬物(例えば、ケトプロフェン、テストステロン等)、ポリビニルアルコール(31,000から50,000 Mw)(Amresco)、およびポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸コポリマーのエステル(80,000から160,000 Mw)(Gantrez ES−425)の固化剤、プロピレングリコールおよびグリセロールの不揮発性溶媒系、および水およびエタノールの揮発性溶媒系を含む。噴射剤は:プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、フルロ−クロロ−炭化水素、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、1,1ジフルオロエタン、1,1,1,2テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,3,3,3ヘキサフルオロプロパン、塩化ビニル、圧縮二酸化炭素、圧縮窒素、またはその組合せの少なくとも1つを含む。十分な濃度の噴射剤を加えることによって、容器は固有に圧縮されたようになる。
【0106】
実施例2
対象は、負傷または関節炎によって引き起こされた疼痛または炎症に罹った踝に、加圧容器から、実施例1と同様にして調製された固化性処方物を噴霧する。固化性処方物は、噴射剤および揮発性溶媒の蒸発の後に、迅速に固化して柔軟で、凝集性の弾性固体層となり、対象による除去まで、皮膚部位と密接に接触したままである。固化層は治療上有効な量のケトプロフェンを皮膚を横切って踝組織に少なくとも2時間にわたって、好ましくは、8時間にわたって送達して、疼痛および炎症を制御する。不揮発性溶媒は、やはり、固化層を柔軟で、凝集性かつ弾性に保ち、ならびに固化層中にフラックス化可能溶媒を供して、水またはより揮発性の溶媒および噴射剤の不存在下でケトプロフェンを皮膚を通って継続的に送達する。意図した適用期間の最後に、固化層はその良好な凝集のため皮膚からリフトすることができる。
【0107】
実施例3
対象は、加圧容器から、実施例1と同様にして調製されたテストステロンを含有する固化性処方物を、自分の上腕、肩または腹部領域へ噴霧する。固化性処方物は、噴射剤の蒸発の後に、固体層へ迅速に固化する。固体層は柔軟で、凝集性で、弾性であって、それを除去するまで、皮膚部位と密接に接触したままである。固化層は治療上有効な量のテストステロンを皮膚を横切って対象の全身循環に少なくとも6時間にわたって送達する。不揮発性溶媒は、テストステロンを送達するための賦形剤として働き、また、固化層を柔軟で、凝集性で弾性に保ち、ならびに固化層にフラックス化可能溶媒を供して、水またはより揮発性の溶媒および噴射剤の不存在下でテストステロンを皮膚を通って継続的に送達する。意図した適用期間の最後に、固化層はその良好な凝集のため皮膚から単一の大きな破片として、またはいくつかの大きな破片として除去することができる。
【0108】
実施例4
対象は、テトラカインを含有する固化性処方物を加圧容器から、神経障害性疼痛を経験している対象の皮膚部位へ噴霧する。固化性処方物はテトラカイン主薬、Plastoid B(120,000から180,000 Mw範囲を持つメタクリル酸ブチルおよびメタクリル酸メチルの中性コポリマー)の固化剤、鉱油およびイソステアリン酸の不揮発性溶媒系、Gantrez ES−425(固化層および皮膚の間の増大した接着のための80,000から160,000Mw範囲を持つポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸コポリマーのエステル)、およびジメチルエーテルの噴射剤を含む。処方物の層を皮膚に噴霧した後、噴射剤は迅速に蒸発し、処方物は固化して、柔軟で、凝集性であってフレキシブルな固体層となる。固化層はテトラカインを皮膚へ送達し、持続期間にわたって神経障害性疼痛を制御する。
【0109】
実施例5
対象は、ロピバカインを含有する固化性処方物を、エアロゾル容器から、神経障害性疼痛に罹った皮膚へ噴霧する。固化性処方物はロピバカイン主薬、固化剤Plastoid B(120,000から180,000 Mw範囲を持つメタクリル酸ブチルおよびメタクリル酸メチルの中性コポリマー)の固化剤、少なくとも1つのテトラヒドロキシプロビルエチレンジアミンを含む不揮発性溶媒系、トリアセチン、Span 20、およびイソステアリン酸を含む。処方物は噴射剤としてジメチルエーテも含む。処方物の層を皮膚に噴霧した後、噴射剤は迅速に蒸発し、処方物は柔軟で、凝集性であってフレキシブルな固体層に固化する。ロピバカインは、神経障害性疼痛を治療するために、持続時間にわたって固化層から皮膚へ送達される。
【0110】
実施例6
対象は、該対象が脱毛症に罹っている頭皮領域へ、加圧容器からクロベタゾールプロピオネートを含有する固化性処方物を噴霧する。頭皮領域は脱毛症について治療されているが、それはいくらか毛髪を有し、スプレイ‐オン処方物は、適用を、クリーム、軟膏、または非‐噴霧可能化固化性処方物よりも容易とする。固化性処方物はクロベタゾールプロピオネート、魚ゼラチンの固化剤、プロピレングリコールおよびイソステアリン酸の不揮発性溶媒系、充填剤としてのヒュームド・シリカー(任意)、および噴射剤としてのフルオロカーボンまたはジメチルエーテルを含む。処方物の層が皮膚に噴霧された後、噴射剤は迅速に蒸発し、処方物は柔軟で、凝集性であってフレキシブルな固体層に固化する。治療上有効な量のクロベタゾールプロピオネートは、毛髪成長を促進するために、少なくとも6時間にわたってこの層から頭皮表面に送達される。意図した適用の後、固化層は水に可溶性であるので、処方物はシャワーまたは頭部洗浄で洗い流すことができる。
【0111】
実施例7
対象は、クロベタゾールプロピオネートを含有する固化性処方物を、加圧容器から、該対象が手の皮膚炎に罹っている手のひらの皮膚領域へ噴霧する。処方物は実施例6におけるものと同様である。処方物の層が皮膚へ噴霧された後、噴射剤は迅速に蒸発し、処方物は柔軟で、凝集性であってフレキシブルな固体層へ固化する。クロベタゾールプロピオネートは、手の皮膚炎を抑制するために、2時間にわたって、この固化層から手のひらの皮膚表面に送達される。固化層は皮膚に接着性であって、物理的バリヤーとして作用して、皮膚炎を引き起こし、または悪化させ得る外来性物質から皮膚を保護する。
【0112】
実施例8
対象は、抗生物質剤を含有する固化性処方物を、加圧容器から、床ずれまたは糖尿病‐誘導潰瘍の皮膚領域へ噴霧する。処方物は抗生物質、ポリビニルアルコールの固化性剤、グリセロールの不揮発性溶媒系、および1,1,1,2,3,3,3‐ヘプタフルオロプロパンの噴射剤(噴射剤)を含む。処方物の層が皮膚へ噴霧された後、噴射剤は迅速に蒸発し、処方物は柔軟で、凝集性であってフレキシブルな固体層へ固化する。抗生物質剤は、感染を治療または予防するために、治療上有効な速度にて、この層から危うくなった皮膚表面へ少なくとも2時間にわたって送達される。固化層は皮膚表面に接着性であって、物理的バリヤーとして作用して、外来性病原体、および疼痛を引き起こし得る外部物体による接触から危うくされた皮膚領域を保護する。
【0113】
実施例9
対象は、クロベタゾールプロピオネートを含有する固化性処方物を、エアロゾル容器から、該対象が乾癬に罹っている皮膚領域へ噴霧する。処方物はクロベタゾールプロピオネート、ポリビニルアルコールの固化性剤、グリセロール、プロピレングリコール、およびオレイン酸の不揮発性溶媒系、Gantrez ES−425(固化層および皮膚の間の増加した接着のために、80,000から160,000 Mw範囲を持つポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸コポリマーのエステル)、および噴射剤としてのヒドロフルオロカーボンを含む。処方物の層が皮膚に噴霧された後、噴射剤は迅速に蒸発し、処方物は柔軟な、凝集性であってフレキシブルな固体層に固化する。クロベタゾールプロピオネートは、乾癬を抑制するために、この層から乾癬皮膚表面へ少なくとも2時間にわたって、好ましくは少なくとも6時間にわたって送達される。
【0114】
本発明をある好ましい実施形態を参照して記載してきたが、当業者であれば、本発明の精神を逸脱することなく種々の改良、変形、省略、および置換をなすことができるのを認識するであろう。従って、本発明は特許請求の範囲のみによって限定されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物;
少なくとも1つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系;
固化剤;および
噴射剤;
を含み、
ここに、該処方物は加圧容器または手動ポンプ容器から排出され、かつ層として皮膚表面に適用されるのに適した初期粘度を有し、ここに、該処方物は、該噴射剤の少なくとも一部の蒸発後に該皮膚表面に固化層を形成することができる、皮膚薬物送達用のスプレイ−オン処方物。
【請求項2】
前記不揮発性溶媒系が、治療上有効量の前記薬物を前記皮膚表面中へ、または該皮膚表面を横切って送達することができる請求項1に記載の処方物。
【請求項3】
前記固化層が治療上有効量の前記薬物を前記皮膚表面中へ、または該皮膚表面を横切って送達することができる請求項1に記載の処方物。
【請求項4】
前記処方物が均一な溶液である請求項1に記載の処方物。
【請求項5】
前記処方物が懸濁物である請求項1に記載の処方物。
【請求項6】
前記処方物が前記加圧容器中にある場合、該噴射剤が該処方物の他の成分から別々の相に存在し、該噴射剤および該他の成分が該加圧容器からの排出に先立って混合される、請求項1に記載の処方物。
【請求項7】
前記処方物が前記加圧容器中にある場合、前記噴射剤が該処方物の他の成分から別々に維持され、かつ該噴射剤および該他の成分は適用直前に混合される、請求項1に記載の処方物。
【請求項8】
前記処方物が、さらに、25℃よりも高い沸点を有する揮発性溶媒を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項9】
前記処方物が、さらに、該処方物中の成分の適合性を改良する揮発性溶媒を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項10】
前記処方物が、さらに、エタノール、イソプロピルアルコール、およびその組合せからなる群より選択される揮発性溶媒を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項11】
前記処方物が、さらに、該処方物の粘度を調整する揮発性溶媒を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項12】
前記不揮発性溶媒系が、前記固化剤のための可塑剤である請求項1に記載の処方物。
【請求項13】
前記固化剤が、前記処方物の合計重量の少なくとも10パーセントである請求項1に記載の処方物。
【請求項14】
前記固化剤が、前記処方物の合計重量の少なくとも20パーセントである請求項1に記載の処方物。
【請求項15】
前記不揮発性溶媒系が、前記処方物の合計重量の少なくとも10パーセントである請求項1に記載の処方物。
【請求項16】
前記不揮発性溶媒系が、前記処方物の合計重量の少なくとも20パーセントである請求項1に記載の処方物。
【請求項17】
前記薬物が、神経障害性疼痛を治療するための活性な因子を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項18】
前記薬物が局所麻酔剤を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項19】
前記薬物がロピバカインを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項20】
前記薬物がテトラカインを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項21】
前記薬物がリドカインを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項22】
前記薬物がアミトリプチレンを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項23】
前記薬物が男性ホルモンを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項24】
前記薬物がテストステロンを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項25】
前記薬物がコルチコステロイドを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項26】
前記薬物がクロベタゾールを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項27】
前記薬物がクロベタゾールプロピオネートを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項28】
前記薬物が抗−炎症剤を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項29】
前記薬物がケトプロフェンを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項30】
前記薬物が抗生物質剤を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項31】
前記薬物が抗真菌剤を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項32】
前記薬物が抗ウイルス剤を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項33】
前記薬物が免疫変調剤を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項34】
前記薬物がイミキモドを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項35】
前記薬物が抗−感染剤を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項36】
前記薬物が、アシクロビル、エコナゾール、ミコナゾール、テルビナフィン、リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、およびテトラカイン、アミトリプチリン、ケタンセリン、ベタメタゾンジプロピオネート、トリアムシノロンアセトニド、クリンダマイシン、ベンゾイルペルオキシド、トレチノイン、イソトレチノイン、クロベタゾールプロピオネート、ハロベタゾールプロピオネート、ケトプロフェン、ピロキシカム、ジクロフェナク、インドメタシン、イミキモド、サリチル酸、安息香酸、およびその組合せからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項37】
前記薬物がアモロルフィン、ブテナフィン、ナフチフィン、テルビナフィン、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ポサコナゾール、ラブコナゾール、ボリコナゾール、クロトリマゾール、ブトコナゾール、エコナゾール、ミコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、テルコナゾール、チオコナゾール、カスポフンギン、ミカフンギン、アニデュラフィンギン、アンフォテリシンB、AmB、ナイスタチン、ピマリシン、グリセオフルビン、シクロピロクスオラミン、ハロプロジン、トルナフテート、ウンデシレネート、ペンシクロビール、ファムシクロビール、バラシクロビール、ベヘニルアルコール、トリフルリジン、イドクスウリジン、シドフォビール、ガンシクロビール、ポドフィロックス、ポドフィロトキシン、リバビリン、アバカビール、デラビルジン、ディダノシン、エファビレンズ、ラミブジン、ネビラピン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、アムプレナビール、インジナビール、ネルフィナビール、リトナビール、サキナビール、アマンタジン、インターフェロン、オセルタミビール、リバビリン、リマンタジン、ザナミビール、エリスロマイシン、クリンダマイシン、テトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ムピロシン、ポリミキシンB、キノロン、シプロフラキシン、ブピバカイン、アルファ−2アゴニスト、クロニジン、アミトリプチリン、カルバマゼピン、アルプラゾラム、ケタミン、ケタンセリン、ベタメタゾンジプロピロネート、ハロベタゾールプロピオネート、酢酸ジフロラゾン、トリアムシノロンアセトニド、デスオキシメタゾン、フルオシノニド、ハルシノニド、フランカルボン酸モメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、フルオシノニド、フルチカゾンプロピオネート、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニド、フルランドレノリド、デソニド、ヒドロコルチゾンブチレート、ヒドロコルチゾンバレレート、アルクロメタゾンジプロピオネート、フルメタゾンピボレート、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、タクロリムス、ピクロリムス、タザロテン、イソトレチノイン、シクロスポリン、アントラリン、ビタミンD3、コレカルシフェロール、カルシトリオール、カルシポトリオール、タカルシトール、カルシポトリエン、ピロキシカム、ジクロフェナク、インドメタシン、イミキモド、ロシキモド、サリチル酸、アルファヒドロキシ酸、硫黄、レスコルシノール、尿素、ベンゾイルペルオキシド、アラントイン、トレチノイン、トリクロロ酢酸、乳酸、安息香酸、プロゲステロン、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、デソゲステレル、ドロスピレノン、二酢酸エチノジオール、ノルエルゲストロミン、ノルゲスチメート、レボノルゲストレル、dl−ノルゲストレル、酢酸シプロテロン、ジドロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸クロルマジノン、メゲストロール、プロメゲストン、ノルエチステロン、リネストレノール、ゲストデン、チボレン、テストステロン、メチルテストステロン、オキサンドロロン、アンドロステンジオン、ジヒドロテストステロン、エストラジオール、エチニイルエストラジオール、エスチオール、エストロン、抱合卵胞ホルモン、エステル化エストロゲン、エストロピペート、およびその組合せからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項38】
前記固化剤がポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸コポリマーのエステル、メタクリル酸ブチルおよびメタクリル酸メチルの中性コポリマー、メタクリル酸ジメチルアミノエチル−メタクリル酸ブチル−メタクリル酸メチルコポリマー、アクリル酸エチル−メタクリル酸メチル−メタクリル酸トリメチルアンモニオエチル塩化物コポリマー、プロラミン(Zein)、α化デンプン、エチルセルロース、魚ゼラチン、ゼラチン、アクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマー、およびその組合せからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項39】
前記固化剤がエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエーテルアミド、トウモロコシデンプン、α化トウモロコシデンプン、ポリエーテルアミド、シェラック、ポリビニルピロリドン、ポリイソブチレンゴム、ポリビニルアセテートフタラート、およびその組合せからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項40】
前記固化剤がメタクリル酸アンモニア、カラギーナン、水性酢酸フタル酸セルロース、カルボキシポリメチレン、酢酸セルロース(微結晶性)、セルロースポリマー、ジビニルベンゼンスチレン、エチレン酢酸ビニル、シリコーン、グアガム、グアロジン、グルテン、カゼイン、カゼイン酸カルシウム、カゼイン酸アンモニウム、カゼイン酸ナトリウム、カゼイン酸カリウム、アクリル酸メチル、マイクロクリスタリンワックス、ポリ酢酸ビニル、PVPエチルセルロース、アクリレート、PEG/PVP、キサンタンガム、トリメチルシロキシシリケート、マレイン酸/無水物コポリマー、ポラクリリン、ポロキサマー、ポリエチレンオキサイド、ポリグラクチン酸/ポリ−l−乳酸、テレビン樹脂、ローカストビーンガム、アクリルコポリマー、ポリウレタン分散液、デキストリン、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールコポリマー、メタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー、メタクリル酸、およびポリ(メタクリル酸)のようなメタクリレート系ポリマー、ならびにその組合せからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項41】
前記不揮発性溶媒系がグリセロール、プロピレングリコール、イソステアリン酸、オレイン酸、プロピレングリコール、トロラミン、トロメタミン、トリアセチン、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ブタノール、およびその組合せからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項42】
前記不揮発性溶媒系が安息香酸、ブチルアルコール、セバシン酸ジブチル、ジグリセリド、ジプロピレングリコール、オイゲノール、脂肪酸、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、オレイルアルコール、ビタミンE、トリグリセリド、ソルビタン脂肪酸界面活性剤、クエン酸トリエチル、およびその組合せからなる群より選択される1以上の溶媒を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項43】
前記不揮発性溶媒系が1,2,6−ヘキサントリオール、アルキルトリオール、アルキルジオール、アセチルモノグリセリド、トコフェロール、アルキルジオキソラン、p−プロペニルアニソール、アニス油、アプリコット油、ジメチルイソソルビド、アルキルグルコシド、ベンジルアルコール、蜜蝋、安息香酸ベンジル、ブチレングリコール、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、カラメル、桂皮油、ヒマシ油、シンナムアルデヒド、シンナモン油、チョウジ油、ココヤシ油、カカオバター、ココグリセリド、コリアンダー油、トウモロコシ油、コリアンダー油、トウモロコシシロップ、綿実油、クレゾール、シクロメチコン、ジアセチン、ジアセチル化モノグリセリド、ジエタノールアミン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジグリセリド、エチレングリコール、ユーカリ油、脂肪、脂肪アルコール、矯味矯臭薬、液体糖、ジンジャーエキス、グリセリン、高フルクトーストウモロコシシロップ、水素化ヒマシ油、IPパルミテート、レモン油、ライム油、リモネン、ミルク、モノアセチン、モノグリセリド、ニクズク油、オクチルドデカノール、オリーブアルコール、オレンジ油、ヤシ油、落花生油、PEG植物油、ペパーミント油、ペテロラタム、フェノール、松葉油、ポリプロピレングリコール、ゴマ油、スペアミント油、大豆油、植物油、植物ショートニング、酢酸ビニル、ワックス、2−(2−(オクタデシルオキシ)エトキシ)エタノール、安息香酸ベンジル、ブチル化ヒドロキシアニソール、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ceteareth−20、セチルアルコール、ポリグリセリル、ステアリン酸ジポリヒドロキシ、PEG−7水素化ヒマシ油、フタル酸ジエチル、セバシン酸ジエチル、ジメチコン、フタル酸ジメチル、PEG脂肪酸エステル、PEG−ステアレート、PEG−オレエート、PEG−ラウレート、PEG脂肪酸ジエステル、PEG−ジオレエート、PEG−ジステアレート、PEG−ヒマシ油、ベヘン酸グリセリル、PEGグリセロール脂肪酸エステル、PEGグリセリルラウレート、PEGグリセリルステアレート、PEGグリセリルオレエート、ヘキシレングリセロール、ラノリン、ラウリン酸ジエタノールアミド、乳酸ラウリル、硫酸ラウリル、メドロン酸、メタクリル酸、マルチステロール抽出物、ミリスチルアルコール、中性油、PEG−オクチルフェニルエーテル、PEG−アルキルエーテル、PEG−セチルエーテル、PEG−ステアリルエーテル、PEG−ソルビタン脂肪酸エステル、PEG−ソルビタンジイソステアレート、PEG−ソルビタンモノステアレート、プロピレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコールステアレート、プロピレングリコール、カプリレート/カプレート、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ソルビトール、スクアレン、ステア−o−ウエット(stear−o−wet)、トリグリセリド、アルキルアリールポリエーテルアルコール、ソルビタン−エーテルのポリオキシエチレン誘導体、飽和ポリグリコール化C8−C10グリセリド、N−メチルピロリドン、蜂蜜、ポリオキシエチル化グリセリド、ジメチルスルホキシド、アゾンおよび関連化合物、ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、脂肪酸エステル、脂肪アルコールエーテル、アルキル−アミド(N,N−ジメチルアルキルアミド)、N−メチルピロリドン関連化合物、オレイン酸エチル、ポリグリセリン脂肪酸、グリセロールモノオレエート、グリセリルモノミリステート、脂肪酸のグリセロールエステル、絹アミノ酸、PPG−3ベンジルエーテルミリステート、Di−PPG2 MYRETH 10−アジペート、ハニークワット、ピログルタミン酸ナトリウム、アビシニカ油、ジメチコン、マカダミアナッツ油、limnanthes alba種子油、セテアリルアルコール、PEG−50シェアバター、シェアバター、アロエベラジュース、フェニルトリメチコン、加水分解した小麦蛋白質、およびその組合せからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項44】
前記噴射剤がジメチルエーテルを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項45】
前記噴射剤がヒドロフルオロカーボンを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項46】
前記噴射剤がヒドロクロロフルオロカーボンを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項47】
前記噴射剤がプロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、フルロ−クロロ−ハイドロカーボン、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、1,1ジフルオロエタン、1,1,1,2テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,3,3,3ヘキサフルオロプロパン、塩化ビニル、圧縮二酸化炭素、圧縮窒素およびその組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項48】
前記処方物が、さらに、前記固化層および前記皮膚表面の間の接着を増加させることができる剤を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項49】
前記皮膚表面が皮膚である請求項1に記載の処方物。
【請求項50】
前記皮膚表面が粘膜表面である請求項1に記載の処方物。
【請求項51】
前記皮膚表面が爪表面である請求項1に記載の処方物。
【請求項52】
前記皮膚表面が創傷表面である請求項1に記載の処方物。
【請求項53】
前記皮膚表面が床ずれ表面である請求項1に記載の処方物。
【請求項54】
前記皮膚表面が糖尿病−誘導潰瘍性皮膚表面である請求項1に記載の処方物。
【請求項55】
前記固化剤に対する前記不揮発性溶媒系の重量比率が約0.5:1から2:1である請求項1に記載の処方物。
【請求項56】
前記固化層が少なくとも2時間の間、前記薬物の持続放出を提供する、請求項1に記載の処方物。
【請求項57】
前記固化層が少なくとも6時間の間、前記薬物の持続放出を提供する、請求項1に記載の処方物。
【請求項58】
前記固化層が、適用領域に対して単一の破片、または数個の大きな破片として剥がすことによって使用後の皮膚から除去可能である柔軟な凝集性固体である請求項1に記載の処方物。
【請求項59】
前記処方物が前記加圧容器に含有される請求項1に記載の処方物。
【請求項60】
前記処方物が手動ポンプ容器に含有される請求項1に記載の処方物。
【請求項61】
前記固化層が前記薬物を経皮送達するように処方される、請求項1に記載の処方物。
【請求項62】
皮膚薬物送達のための方法であって、
a)皮膚表面に接着性の固化性処方物を噴霧する工程であって、該処方物は:
i)薬物、
ii)該薬物についてフラックス化可能である、少なくとも1つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系、
iii)固化剤、および
iv)噴射剤;
を含み、
ここで、該処方物は、加圧容器から排出され、かつ層として皮膚表面に適用されるのに適した初期粘度を有する、工程;
b)該処方物を固化させて、該噴射剤の少なくとも部分的な蒸発によって該皮膚表面に固化層を形成する工程;ならびに
c)持続時間にわたって治療上有効な速度にて該固化層からの該薬物を該皮膚表面に皮膚送達する工程;
を含む、皮膚薬物送達のための方法。
【請求項63】
前記固化層が少なくとも約2時間の間、前記皮膚表面に保たれる請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記固化層が少なくとも約6時間の間、前記皮膚表面に保たれる請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記噴霧する工程が、加圧容器からの前記処方物を前記皮膚表面に噴霧することによる、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
前記噴霧する工程が、手動ポンプを用いて容器からの前記処方物を前記皮膚表面に噴霧することによる、請求項62に記載の方法。
【請求項67】
前記固化層が少なくとも0.01mmの厚みである請求項62に記載の方法。
【請求項68】
前記固化層が少なくとも0.05mmの厚みである請求項62に記載の方法。
【請求項69】
前記皮膚表面が粘膜表面である請求項62に記載の方法。
【請求項70】
前記皮膚表面が爪表面である請求項62に記載の方法。
【請求項71】
前記皮膚表面が創傷皮膚表面である請求項62に記載の方法。
【請求項72】
前記皮膚表面が床ずれに罹った皮膚表面である請求項62に記載の方法。
【請求項73】
前記皮膚表面が糖尿病−誘導潰瘍性皮膚表面である請求項62に記載の方法。
【請求項74】
前記薬物を送達する工程が噴射剤、水、および水よりも揮発性のあらゆる溶媒が実質的に存在しない下で主として起こる、請求項62に記載の方法。

【公表番号】特表2009−519957(P2009−519957A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545867(P2008−545867)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/048060
【国際公開番号】WO2007/070694
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(508178157)ザーズ, インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】