説明

虚血関連状態の治療方法

本発明は、虚血関連(すなわち、神経細胞低酸素及び/又は低血糖)状態の治療又は予防する方法であって、そのような治療又は予防を必要とする患者に対して一定のチオセミカルバゾン化合物を投与することによる、方法に関する。より詳細には、本発明は、アルツハイマー病、パーキンソン病、並びに冠動脈バイパスグラフト術、心停止による全脳虚血、局所性脳梗塞、脳出血、出血性梗塞、高血圧性出血、頭蓋内血管異常の破裂による出血、頭蓋内動脈瘤の破裂によるくも膜下出血、高血圧性脳症、脳虚血につながる頸動脈狭窄症又は閉塞、心原性血栓塞栓症、脊髄卒中及び脊髄損傷、アテローム性動脈硬化等の脳血管障害、脈管炎、黄斑変性症、心筋梗塞、心虚血及び上室性頻拍性不整脈のような状態に起因するか又は由来する虚血状態を含み得る或る特定の虚血関連状態を予防又は治療する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルツハイマー病等の変性疾患に加えて、突然の酸素喪失による神経疾患及び心疾患を含む虚血関連疾患及び障害の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は概して、リボヌクレオチドレダクターゼの強力な阻害剤として作用する抗腫瘍薬として有用であるとしてこれまで知られている特定のN−複素環式カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン(HCT)の新たな使用に関する。このような化合物を使用する腫瘍の治療方法は、特にSaitorelli他の米国特許第5,721,259号及び同第5,281,715号に開示されている。さらに、本発明は、驚くべきことに神経保護剤として見出されているHCTの多数の新たな類縁体に関する。
【0003】
より最近では、米国特許第6,613,803号は、神経損傷及び神経変性疾患の治療のための或る特定の新規なチオセミカルバゾンの使用を開示した。新規化合物は、ナトリウムチャネルブロッカーとしてそれらの治療上の効果を発揮すると記載されている。
【0004】
しかしながら、Sartorelli特許で開示されているものと同じであるか又は類似している、神経損傷を治療又は予防する化合物の使用の当該技術分野での開示は、これまでのところ存在していない。
【0005】
神経細胞は、生存してその生理的機能を果たすためにエネルギーを必要とする。CNSニューロンにとって唯一のエネルギー源が、血液によって運ばれるグルコース及び酸素であることは一般に認識されている。神経組織への血液供給が遮断され、それによってニューロンの酸素とグルコースが欠乏すると(虚血として知られる状態、本明細書中では酸素及び/又はグルコースの欠乏と同義的に使用される)、それらは急速に変性して死滅する。この不十分な血流状態は、臨床神経学では一般に「虚血」として知られている。例えば呼吸停止、窒息又は溺水によって脳への酸素供給のみが遮断される場合、当該状態を「低酸素」という。例えば、糖尿病患者がインシュリンを大量に摂取した時等、グルコース供給のみが遮断される場合は、当該状態を「低血糖」という。
【0006】
近年、虚血状態が生じると、正常で健康な状態において重要な興奮性神経伝達物質として中枢神経系で機能するグルタミン酸が、「興奮毒性」と呼ばれる神経毒性を発揮し得ることは知られている。通常グルタミン酸は細胞内に閉じ込められており、隣接するニューロン上のグルタミン酸受容体と接触する目的でシナプス接合部の神経細胞から少量放出されるだけである。これによって、神経シグナルが受容体を有する細胞に送られる。正常な状態で、シナプス接合部の細胞外液に放出されるグルタミン酸は、極めて効率的な輸送プロセスによって数ミリ秒以内にニューロン内へ送り戻される。
【0007】
グルタミン酸の興奮毒性の潜在性は、当該輸送プロセスが正常に機能している限り抑制されている。しかし、この輸送プロセスはエネルギー依存であるため、虚血状態(エネルギー欠乏状態)では、グルタミン酸輸送は不十分になり、伝達物質として放出されるグルタミン酸分子が細胞外シナプス液に蓄積する。これによって、グルタミン酸が絶えずその興奮性受容体と接触することになり、それら受容体を過度に刺激する。この状況によって、ニューロンが文字どおり興奮死する可能性がある。さらに二つの要素が事態を複雑化し悪化させる。(1)過度に刺激されたニューロンが他のシナプス接合部でグルタミン酸を過剰に放出し始める;これがさらに多くのニューロンを過剰刺激し、虚血の初期域を超える神経毒性カスケードに引き込むこと;そして(2)過度に刺激されたニューロンが使用可能なグルコースまたは酸素の供給を通常よりも速く利用し始めるため、これらの限られたエネルギー源の消耗が加速し、グルタミン酸輸送プロセスの障害が進行することである。
【0008】
このため脳卒中、心不全、呼吸停止、低酸素又は低血糖等のエネルギー欠乏状態が、複合機序によって脳にダメージを与える。初期原因機序は虚血そのものであるが、これがグルタミン酸輸送システムの障害、及びその後の脳障害に大きく関与する一連のグルタミン酸媒介の興奮毒性イベントを引き起こす。
【0009】
このため脳卒中、心不全、呼吸停止、低酸素又は低血糖等のエネルギー欠乏状態が、二重機序によって脳損傷を引き起こす。初期原因機序は虚血そのものであり、これがグルタミン酸輸送システムの障害、及びその後の脳損傷に大きく関与する一連のグルタミン酸媒介の興奮毒性イベントを引き起こす。
【0010】
上記の状態に加え最近では、ニューロンがエネルギー物質(グルコース及び酸素)を利用してそのエネルギーレベルを維持する能力における様々な障害も、ニューロン死につながる興奮毒性プロセスを誘発し得ることが認識されている。これはアルツハイマー、パーキンソン、ハンチントン及び筋萎縮性側索硬化症(ALS)等のこのような神経系疾患において神経変性を引き起こす機序であると仮定されている。
【0011】
例えば、細胞内エネルギー代謝の不全を示す証拠がアルツハイマー病患者の脳から生検で取り出された組織のサンプルにおいて明らかになっている。これは、アルツハイマー病においてグルタミン酸の興奮毒性誘発し、ニューロン死を引き起こす原因機序として提案されており、そのためこの機序はエネルギー関連興奮毒性プロセスであると説明されている。また、細胞内エネルギー代謝の内因性不全を示す証拠が、パーキンソン病及びハンチントン舞踏病において報告されている。
【0012】
神経保護に関する治療は現在市場に出回っていない一方で、慢性神経系状態(chronic neurological conditions)の治療における使用に関して認可される薬物が存在しており、これらはグルタミン酸受容体(NMDA)拮抗薬である。慢性CNS変性状態においてこのような薬物の改善効果の証拠はあるが、NMDA拮抗薬は単独で、一般的に虚血(特に急性状況で)に対して実質的な保護を提供することができないようである。
【0013】
虚血性神経変性に対する神経保護薬としてのグルタミン酸受容体拮抗薬の重大な限界は、それらが変性に対して一時的にニューロンを保護するだけであって、エネルギー欠陥について、又はそのエネルギー欠陥に対して二次的に発生するその他の異常については何も改善しないことである。
【0014】
そのため、これらの拮抗薬は虚血性神経変性に対して或る程度の保護を提供するが、その保護は部分的でしかなく、そのような部分的な保護は、上記のように変性の発生時期を遅らせるだけである。
【0015】
ニューロンは虚血状態の発症直後に非常に速やかに変性し始めるため、例えば血流中で酸素及びグルコースにより供給されるエネルギーバランスを回復させることによりさらなる変性及び死滅からニューロンを活発に保護する治療薬が明らかに必要である。このような治療薬は、虚血の急性の場合に使用することができるだけでなく、ニューロンのエネルギー欠乏を正すこと及び興奮毒性神経変性の予防に基づいてアルツハイマー病及びパーキンソン病のような慢性変性障害における神経変性を予防することもできる。
【0016】
さらに、本発明の化合物はまた、虚血様病因(ischemic-like etiology)に起因する耳及び目の神経障害並びに糖尿病性神経障害を治療するのに使用することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
急性或いは慢性に関わらず、虚血イベントの結果を予防又は治療できる薬剤の開発が強く望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、或る特定のN複素環式2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン(HCT)及びその薬学的に許容される塩又はプロドラッグを虚血状態に起因する障害の予防及び/又は治療を必要とする患者に投与することによって虚血状態に起因する障害を予防及び/又は治療する方法に関する。このような有用化合物は、式Iにより包含される:
【0019】
【化1】

【0020】
より好ましくは、該化合物は、以下の式II:
【0021】
【化2】

【0022】
の化合物から選択される。
【0023】
より好ましくは、本発明の方法は、以下でより十分に説明される式III、IV、V又はVIの化合物から選択される化合物を用いる。
【0024】
最も好ましい実施の形態としては、PAN−811(3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン)が、本発明の方法を実施するのに使用され、これは、式:
【0025】
【化3】

【0026】
を有する。
【0027】
本発明はまた、任意の原因由来の広範囲の虚血及び局所的な虚血後の神経損傷の治療(及びさらなる虚血性障害の予防)、耳神経毒性(otoneurotoxicity)及び虚血状態を含む眼疾患(例えば、黄斑変性)の治療又は予防、外傷又は冠動脈バイパス術に起因する虚血の予防、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病、パーキンソン病及びハンチントン舞踏病のような神経変性状態の治療又は予防、並びに糖尿病性神経障害の治療又は予防を含むが、それらに限定されない特定の虚血関連状態を治療、改善及び/又は予防する方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
発明の詳細な説明
虚血関連障害/疾病の病理は、例えば網膜症、急性腎不全、心筋梗塞及び脳卒中等で血管が狭窄或いは閉塞されて起こる体内器官、組織又は身体部分に対する血液供給の減少に関わる。それらは急性のイベント(例えば、心臓発作)又はイベントの慢性的な進行(例えば、アルツハイマー又はALS)の結果として起こり得る。本発明は、急性の病状又は慢性の病状のいずれかに適用可能であることが意図される。
【0029】
本発明は、式I
【0030】
【化4】

【0031】
(式中、HETはN及びSから選択される1個若しくは2個のヘテロ原子を有すると共に、必要に応じてアミノ基で置換される5又は6員ヘテロアリール残基であり、RはH又はC〜C−アルキルである。)
の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはプロドラッグを虚血関連状態の治療を必要とする患者に投与することによって虚血関連状態(特に、神経細胞及び神経組織に対する)を治療する方法に関する。
【0032】
1つの好ましい実施形態では、該化合物は、式II:
【0033】
【化5】

【0034】
(式中、RはH又はC〜C−アルキルであり、R、R及びRはH及びアミノから独立して選択される。)
を有する。
【0035】
別の好ましい実施形態では、該化合物は、式III:
【0036】
【化6】

【0037】
(式中、RはH又はC〜C−アルキルであり、R及びRはH及びアミノから独立して選択される。)
を有する。
【0038】
別の好ましい実施形態では、該化合物は、式IV:
【0039】
【化7】

【0040】
(式中、RはH又はC〜C−アルキルである。)
を有する。
【0041】
さらに別の好ましい実施形態は、式V:
【0042】
【化8】

【0043】
(式中、RはH又はC〜C−アルキルである。)
の化合物である。
【0044】
最後に、別の好ましい実施形態は、化合物は、式VI:
【0045】
【化9】

【0046】
(式中、RはH又はC〜C−アルキルである。)
の化合物である。
【0047】
より好ましい実施形態として、本発明の化合物は、
【0048】
【化10】

【0049】
(式IIのうちで、式中、Rがメチルであり、R、R及びRがHである)
【0050】
【化11】

【0051】
(式IIIのうちで、式中、Rがメチルであり、R及びRがHである)
【0052】
【化12】

【0053】
(式IVのうちで、式中、Rがメチルである)
【0054】
【化13】

【0055】
(式IVのうちで、式中、RがHである)
【0056】
【化14】

【0057】
(式Vのうちで、式中、RがHである)及び
【0058】
【化15】

【0059】
(式VIのうちで、式中、RがHである)
から選択される。
【0060】
本発明の最も好ましい実施形態は、下記式:
【0061】
【化16】

【0062】
のPAN−811(3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン)を虚血関連状態の治療を必要とする患者に投与することによって虚血関連状態を治療する方法に関する。
【0063】
本発明の或る特定の化合物は、C=N二重結合に関してE,Z−立体異性体として存在してもよく、本発明は、異性体の混合物、及び当業者に周知である方法に従って分離され得る個々の異性体を包含する。本発明の或る特定の化合物は、光学異性体として存在してもよく、本発明は、このような光学異性体のラセミ混合物、及び当業者に周知である方法に従って分離され得る個々のエナンチオマーの両方を包含する。
【0064】
薬学的に許容される塩の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酢酸、ジクロロ酢酸及びシュウ酸塩のような無機酸付加塩並びに有機酸付加塩が挙げられる。
【0065】
プロドラッグの例としては、例えばヒドロキシアルキルとしてR〜Rを有する化合物のエステルが挙げられ、これらは、周知の技法に従って調製され得る。
【0066】
化合物3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン及びその幾つかの新たな類縁体は神経保護剤として有効であることを本発明者等が発見したことは、その唯一開示されている使用がこれまでは抗腫瘍薬としてであったことを考慮すると驚くべきことであり、また予期せぬことである。例えば、米国特許第5,721,259号を参照されたい。
【0067】
したがって、本発明の実施形態のうちの1つは、任意の原因由来の広範囲の虚血及び局所的な虚血後の神経損傷の治療(及びさらなる虚血性障害の予防)、耳神経毒性、及び虚血状態を含む眼疾患(例えば、黄斑変性のような)の治療又は予防、外傷又は冠動脈バイパス術に起因する虚血の予防、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病、パーキンソン病及びハンチントン舞踏病のような神経変性状態の治療又は予防、並びに糖尿病性神経障害の治療又は予防を含むが、それらに限定されない特定の虚血関連状態の改善に関する。
【0068】
発作後の数分以内に神経損傷を低減させることは、有効な治療を獲得するのに重要な戦略である。発作中に、脳の局所領域への酸素及びグルコースの輸送は、動脈の血栓塞栓性閉塞により停止され、これが梗塞の中核において神経損失を引き起こす。中核における細胞は壊死機序を介して非常に急速に死滅する。虚血性梗塞周囲の脳の区域はその構造を保持するが、機能的に(電気的に)サイレントである(「ペナンブラ」として知られている)。ペナンブラは、その梗塞に向かう進化が比較的進歩的な現象であることから一時的な帯域である(Touzani et al., Curr. Opin. Neurol. 14:83-8, 2001)。この帯域は、脳機能の幾つかを復旧させる可能性を提供し、ペナンブラの治療に対する治療ウィンドウは、梗塞領域に対する治療ウィンドウよりもはるかに長い。
【0069】
ペナンブラはまた、拘束された血液供給の領域としても説明されることができ、ここではエネルギー代謝が保存される。そのため、ペナンブラは、神経保護療法の、且つ休止中のニューロンを再活性化させる高圧酸素のような作用物質に関する標的である。したがって、CNS外傷における損傷からの即時の傷害は可逆的ではない可能性があるが、脳傷害、主に全脳低酸素/虚血を悪化させる一連のイベントの進行は、神経保護に関する有効な戦略により予防することができる。例えば、冠動脈バイパスグラフト術(CABG、又はバイパス術)前及び/又は冠動脈バイパスグラフト術中の神経保護剤の投与は、脳への血流の短期間の減少(軽度の低酸素/低血糖状態を招く)により引き起こされる神経変性を有効に予防することができる。本発明の化合物は、有意な神経保護及びニューロンが損傷を受けた後のニューロンの救済の両方が可能であり、したがって発作に見舞われた人々の投与において特に有用である。
【0070】
本発明の方法に有効な化合物の合成方法は、当該技術分野においてよく知られている。そのような合成スキームは、米国特許:5,281,715、5,767,134、4,447,427、5,869,676及び5,721,259において開示されており、これらは参照することにより全体が本明細書に援用される。
【0071】
別の態様では、本発明は、本発明の方法に有効な2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾンの医薬組成物に関する。本発明の医薬組成物は、1つ又は複数の化合物及び薬学的に許容される担体若しくは希釈剤を含む。ここで使用する「薬学的に許容される担体」は、あらゆる溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤、及び生理的に適合する同等物を含む。担体の種類は、意図する投与経路に基づいて選択できる。様々な実施形態において、当該担体は、静脈、腹腔内、皮下、筋肉内、局所、経皮或いは経口投与に適している。薬学的に許容される担体は、無菌水溶液或いは分散液、及び無菌注入液又は分散液の即時調整用無菌粉末を含む。薬学的に活性な物質にそのような媒体及び媒介物を使用することは、当該技術分野においてよく知られている。従来の任意の媒体又は薬剤が活性化合物と適合しない場合を除いて、本発明の医薬組成物におけるその使用が考慮されている。補足的な活性化合物を当該組成物に組み込むこともできる。
【0072】
本発明の医薬組成物は、それらの意図された目的を達成するための任意の手段により、例えば非経口経路、皮下経路、静脈内経路、筋肉内経路、腹腔内経路、経皮経路又は口腔経路により投与され得る。好ましくは、投与は経口であり、即時放出又は遅延放出であり得る。投与される用量は、受け手の年齢、健康状態及び体重、もし存在するのであれば併用治療の種類、治療の頻度並びに所望の効果の性質に応じて決まり、これは通常、臨床医により決定される。
【0073】
本発明の医薬組成物は、製薬産業で一般的な技法により製造され、本発明はこれによって限定されない。活性剤(複数可)は好ましくは、当該技術分野で公知の方法、例えば湿式造粒法及び直接圧縮法を使用して生成される経口投与用の錠剤又はカプセルへと配合される。経口錠剤は、当該技術分野で公知の任意の適切なプロセスを使用して調製される。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, A. Gennaro, Ed., Mack Pub. Co. (Easton, PA 1990), Chapters 88-91(その全体が参照により本明細書に援用される)参照。通常、活性成分、すなわち1つ又は複数のチオセミカルバゾンは、薬学的に許容される賦形剤(例えば、結合剤、滑沢剤等)と混合されて、錠剤へと圧縮される。好ましくは、投薬形態は、湿式造粒技法又は直接圧縮法により生成されて、一様な顆粒を形成する。或いは、活性成分(複数可)は、事前に生成した非活性顆粒と混合することができる。次に、湿潤した粒状物を乾燥させて、適切なスクリーニングデバイスを使用してサイズ分けして粉末を提供し、続いてこれは、所望に応じてカプセルに充填することができるか、或いはマトリックス錠剤又はカプセルへと圧縮させることができる。
【0074】
1つの態様では、錠剤は、直接圧縮法を使用して調製される。直接圧縮法は、特に製造の相対的な容易さに関して、湿式造粒法を上回る多数の潜在的利点を提供する。直接圧縮法では、少なくとも1つの薬学的活性剤及び賦形剤又は他の成分を40メッシュスチールスクリーンのようなステンレス鋼スクリーンに通してふるい分けする。次に、ふるい分けした材料を適切なブレンダーへ入れて、適切な期間ブレンドする。続いて、適切な工具を使用して回転式プレス上で、ブレンドを錠剤へと圧縮させる。
【0075】
或いは、医薬組成物は、ビーズレット又はペレットを含有するカプセル中に含有される。このようなペレットを作製する方法は当該技術分野で公知である(上記Remington'sを参照)。ペレットは、従来の技法によりカプセル(例えば、ゼラチンカプセル)へ充填される。
【0076】
無菌注入溶液は、薬学的に許容される液体媒体中に所望量の活性化合物を組み込むことによって生成することができ、またろ過滅菌することができる。一般的に分散液は、基本的な分散媒体を含む無菌媒体に活性化合物を組み込むことによって生成する。無菌注入溶液生成用無菌粉末の場合、好ましい生成方法は、真空乾燥及び事前に無菌ろ過された溶液から活性成分に加えて活性成分の粉末を産出するであろう凍結乾燥である。
【0077】
当該医薬組成中の活性剤(複数可)(すなわち、1つ又は複数のチオセミカルバゾン)は、治療上有効な量で存在する。「治療上有効な量」とは、特定の病状の過程に前向きに影響を及ぼすという望ましい治療結果を得るのに効果的な量、必要な用量及び期間を意味する。当然のことながら、治療上有効な量の活性剤(複数可)は、個人の病状、年齢、性別、及び体重等の要素によって、またその個人に望ましい反応を誘引する薬剤の能力によって異なり得る。用法用量は、最適な治療効果をもたらすうに調整してもよい。治療上有効な量は、治療上有益な効果が当該活性剤の毒性又は有害な効果を上回る量でもある。
【0078】
別の実施形態において、当該活性剤は予防的に有効な量の組成で処方される。「予防的に有効な量」は、望ましい予防効果を得るために効果的な量、必要な用量及び期間を示す。一般に、予防的な用量は病気の発症前、又は初期段階に使用されるため、予防的に有効な量は治療上有効な量よりも少なくなる。
【0079】
当該組成物における活性化合物の量は、個人の病状、年齢、性別及び体重によって変えてもよい。用法用量は最適な治療効果をもたらすように調整してもよい。本発明の用量単位形態に関する仕様は、(a)活性化合物の特有の特徴及び達成されるべき特定の治療効果、並びに(b)個人における過敏症の治療のためのこのような活性化合物を配合するという技術分野に固有の限定により影響され、且つ直接的にそれらに応じて決まる。本発明の用量単位は、抗腫瘍治療に現在用いられているもの(例えば、Triapine(登録商標)、VionPharmaceuticals, Inc.)とほぼ同じ量で活性剤(複数可)を含有することが意図される。
【0080】
本発明の医薬組成物は、本発明の化合物の有益な効果を必要とする任意の動物に投与され得る。好ましくは当該動物は哺乳動物、最も好ましくはヒトである。
【0081】
本発明は、本発明を限定することを意図されない以下の実施例によって詳述される。本出願を通して引用されるすべての参照文献、特許、及び公開特許出願の内容は、具体的且つ完全に、参照することにより本明細書に援用される。
【実施例】
【0082】
[実施例1]
【0083】
PAN−811及び他の公知の神経保護剤の神経保護能力比較
本研究の目的は、アルツハイマー病関連の酸化的ストレスの細胞ベースモデルにおけるPAN−811(3−アミノピリジン−2−カルボキサルデヒド・チオセミカルバゾン;CS;MW=195)の神経保護能力をビタミンE、リポ酸、及びイチョウの葉等の公知の神経保護剤と比較することである。
細胞の分離及び凝集
初代皮質ニューロンを17日齢のラット胚脳から分離し、96ウェルプレート上に標準神経細胞用基礎培地中50,000細胞/ウェルで2〜3週間播種した。培地の半量を、抗酸化剤を含まない新たな神経細胞用基礎培地と2回置き換えた。
PAN−811、他の公知の神経保護剤及びHによる処理
PAN−811を1mg/ml(〜5mM)のEtOHに溶解し、さらに最終濃度0.1μM、1μM、及び10μMの媒体で希釈した。他の公知の神経保護剤を適切な溶媒に溶解し、上記の最終濃度の媒体で希釈した。ニューロンをPAN−811、公知の神経保護剤或いはコントロールビヒクルで24時間前処理した後、過酸化水素(最終濃度150μM)により誘導される酸化的ストレスをかける。対照には、未処理の細胞(化合物及び過酸化水素による処理をしていない)、化合物のみで処理された細胞、及び化合物ではなく過酸化水素に曝露された細胞が含まれる。未処理の細胞を対照として使用し、ニューロンの毒性及び向上した生存度を評価した。各試験は3回繰り返し行った。
細胞機能の評価
24時間後、標準MTS試験(Promega社)を使用して生存度及びミトコンドリア作用を評価した。製造者のプロトコルは以下のとおりである。
材料
神経基本培地(Invitrogen社);B27−AO(Invitrogen社);PAN−811(Vion Pharmaceuticals社);過酸化水素(Calbiochem社);EtOH(Sigma社);ビタミンE(Sigma社);リポ酸(Sigma社)、イチョウ葉(CVS社);MTSアッセイキット(Promega社)
上記の研究デザインに従って実験を行った。PAN−811を1mg/ml(〜5mM)でEtOHに溶解し、さらに神経細胞用基礎培地で最終濃度0.1μM、1μM、及び10μMまで希釈した。リポ酸を240mMの濃度でEtOHに溶解し、さらに神経細胞用基礎培地で最終濃度10μM、25μM、50μM、及び100μMまで希釈した。ビタミンEを100mM濃度のEtOHに溶解し、神経細胞用基礎培地で最終濃度50μM、100μM、200μM、及び400μMまで希釈した。イチョウの葉は、6mg/mlのdHOに溶解し、神経細胞用基礎培地で最終濃度2.5μg/ml、5μg/ml、25μg/ml、250μg/mlまで希釈した。処理相の最後に媒体を、B27(−AO)を加えた100μlの新しい加温済み神経細胞用基礎培地と取り替えた。プレートを37℃で5%COの培養器に1時間戻した。次に20μlのMTS試薬を各ウェルに加え、プレートを37℃で5%COでさらに2時間インキュベートした。各ウェルの490nmでの吸光度をBioRadプレートリーダー(モデル550)で記録した。培地のみを含むウェルをブランクとして使用した。各データポイントは、3つの個別の試験ウェルの平均である。未処理の細胞を対照として使用し、細胞生存度及び神経保護能力を算出した。当該研究には2週齢の初代培養物を使用した。結果については図1を参照のこと。
結果
PAN−811は、過酷なH処理下においても1〜10μM濃度で良好な神経保護能力を示した。ビタミンE及びリポ酸は、過酷な処理下で最小限の神経保護能力を示した。イチョウの葉は過酷な処理下で或る程度の神経保護を示した。
【0084】
PAN−811は、過酷なH下においても最終濃度1〜10μMで著しい神経保護を示した。PAN−811の神経保護の有効性は、他の公知の神経保護剤、ビタミンE、リポ酸、及びイチョウの葉の有効性を有意に上回っていた。
[実施例2]
【0085】
神経細胞における活性酸素種(ROS)産生に対するPAN−811の効果
本研究の目的は、PAN−811のアルツハイマー病関連酸化的ストレスの細胞ベースモデルにおけるROS産生の削減能力を評価することである。
【0086】
この実施例で使用される材料は実施例1と同じである。
【0087】
初代皮質ニューロンを17日齢のラット胚脳から分離し、96ウェルプレートに標準神経細胞用基礎培地中50,000細胞/ウェルで2〜3週間播種した。培地の半量を、酸化防止剤を含まない新たな神経細胞用基礎培地と2回置き換えた。
【0088】
初代皮質ニューロンをHBSS緩衝液で1回洗浄し、10μMの5−(及び−6)クロロメチル−2’,7’−ジクロロジヒドロフルオロセインジアセテートアセチルエステル(CM−HDCFDA)で培養して色素を事前に含ませた。その後、細胞をHBSS緩衝液で1回洗浄し、最終濃度0.1、1、5、及び10μMのPAN−811で1時間処理した後、300μMの過酸化水素によって誘導される酸化的ストレスを2時間かけた。
【0089】
各ウェルの485/520nm(Ex/Em)におけるc−DCF蛍光をBMG Polar Starプレートリーダーで記録し、それを使用して細胞におけるROS産生を評価した。色素を含む未処理の細胞を対照として使用し、c−DCF蛍光変化を算出した。各試験は3回繰り返し行った。
結果
各ウェルの485/520nm(Ex/Em)でのc−DCF蛍光をBMG Polar Starプレートリーダーで記録した。色素のない細胞を含むウェルをブランクとして使用した。各データポイントは、3つの個別のアッセイウェルの平均である。色素を含む未処理の細胞を対照として使用し、c−DCF蛍光変化を算出した。当該研究には2週齢の初代培養を使用した。
【0090】
CM−HDCFDAは、細胞内エステラーゼによって酢酸基が取り除かれ、細胞内で酸化が起こるまでの非蛍光性の反応性酸素種(ROS)の細胞透過インジケータである。これは、細胞及び動物におけるROS産生の検出に広く使用されている。ここではこの実施例に記載の手順に従って、神経細胞におけるROS産生に対するPAN−811の効果を判定するツールとして使用している。図2に示されるように、PAN−811は神経細胞における基礎レベルのROS産生と同様に、H誘導ROS産生を削減する良好な能力を示す。PAN−811の代わりに、緩衝液PGE−300/EtOHを使用した並行対照実験は、細胞におけるROS産生に対する効果を示さなかった。異なる細胞群で4回実験を繰り返したところ、同様の結果が得られた。代表的な実験については、図2を参照のこと。
【0091】
PAN−811は、初代神経細胞において、H誘導ROS産生(10μMで約30%)及び初期レベルのROS産生(10μMで約50%)を有意に削減した。
注目すべき文献:
Gibson GE, Zhang H, Xu H, Park lc, Jeitner TM. (2001). Oxidative stress increases internal calcium stores and reduces a key mitochondrial enzyme. BiochimBiophys Acta. Mar 16;1586(2):177-89.
Chignell CF, Sik RH. (2003). A photochemical study of cells loaded with 2’,7’-dichlorofluorescin: implications for the detection of reactive oxygen species generated during UVA irradiation. Free Radic Biol Med.Apr 15;34(8):1029-34。
[実施例3]
【0092】
PAN−811は低酸素あるいは低酸素/低血糖誘導神経毒性に対する神経保護剤である。
【0093】
この実施例の目的は、PAN−811がインビトロでの効果を調べることにより低酸素あるいは低酸素/低血糖(H/H)誘導神経毒性を保護できるかどうかを理解することである。上記に示されるように、PAN−811は、関連する研究において、Hで処理した初代ニューロンに対して有意な神経保護を提供することが既に示されている。
【0094】
この実施例で使用される材料は実施例1と同じである。LDHアッセイキットはPromega社から入手した。
(略記:BBS=平衡塩類溶液;CABG=冠動脈バイパスグラフト;d.i.v.=in vitroでの日数;EtOH=エタノール;H/H=低酸素/低血糖;LDH=乳酸デヒドロゲナーゼ;MCAO=中大脳動脈閉塞;NB=神経基本培地;NMDA=N−メチル−D−アスパラギン酸;PEG=ポリエチレングリコール)
96ウェルプレートフォーマットで実験を行った。ポリ−D−リシンでコーティングされた表面に皮質ニューロンを50,000細胞/ウェルの密度で播種し、無血清培地(NBにB27を補足)で培養してニューロンの高濃縮培地を得る。ニューロンを14d.i.v.以上培養し、興奮性アミノ酸に対する細胞の感受性を増加させる(Jiang他、2001)。定量分析を容易にするため、6つの複製ウェルを1グループとして処理した。
【0095】
以下の表1に示すように、脳内のグルコース濃度は通常2.2mM以上である。虚血の間、中核及び周縁部のグルコース濃度はそれぞれ0.2mM及び1.4mMまで低下する。再循環後1、2時間でグルコースレベルは正常に戻る(Folbergrova他、1995)。
【0096】
【表1】

【0097】
低酸素誘導神経毒性に対するグルコース濃度の効果を理解するため、異なる用量のグルコースをテストした。図3に示すように、グルコース濃度が25mMである正常状態と比較して、グルコース濃度が2.9mMまで低下しても神経細胞死を生じなかった。グルコース濃度が0.4mMまで低下した場合、MTS試験が示すように確固たる細胞死が発生した。
【0098】
脳卒中の脳環境を模倣するために、3つのインビトロモデルシステムを確立した。極端なH/Hモデル(0.4mMグルコース)は梗塞の中核における環境の模倣であり、軽度のH/Hモデル(1.63mMグルコース)はMCAO中の周縁部における環境の模倣、また低酸素のみのモデル(正常なインビトログルコース濃度−25mM中のニューロン)は、再かん流後の周縁部の環境を模倣している。これは、再かん流後に起こり得る細胞死が主にエネルギー欠陥よりも低酸素の影響の結果であるためである。
【0099】
極端なH/Hおよび軽度のH/Hの場合は0.4mMおよび1.63mMまでグルコース濃度を下げることによって、低酸素/低血糖状態を得た。BSS(116.0mMのNaCl、5.4mMのKCl、0.8mMのMgSO・7HO、1.0mMのNaHPO、1.8mMのCaCl・2HO、26.2mMのNaHCO、及び0.01mMのグリシン)或いは25mMのグルコースを含むBSSは、5分間脱気した後使用した。低酸素用のプレート中の培養培地をBSS或いはグルコースを含むBSSと置き換えた。一方、正常酸素用のプレート中の培養培地は、非脱気BSS或いはグルコースを含むBSSと置き換えた。プレートを密封容器(モジュール培養チャンバ−101TM、Billups-Rothenberg,Inc.)に移し、20分間真空処理して酸素又は他のガスを培地から除去した後、チャンバ内に5%CO及び95%Nを30psiの圧力で1分間再充填して、細胞を低酸素状態に置いた。チャンバ内のOレベルはOインジケータ(FYRITEガス分析計、Bacharach,Inc.)でゼロとした。当該チャンバ内に培養プレートを6時間維持した。実験対照として、デュプリケーの培養プレートを正常な培養条件下(5%CO及び95%環境大気)で同期間維持した。6時間の処理後、プレートを当該チャンバから取り出し、低酸素及び正常酸素培養における培地を、25mMグルコースを含む最終溶液(1xピルビン酸ナトリウム、10.0mMのHEPES、及び1xNサプリメントで補充されたDMEM)と置き換え、5%CO及び95%環境大気中で培養した。ニューロンを様々な濃度のPAN−811或いは負の対照としてのビヒクルで処理した。MK801は正の対照として使用した。ミトコンドリア作用及び細胞死はH/H状態に置いてから24時間又は48時間後にMTS及びLDH分析で評価した(以下参照)。
【0100】
低酸素のみのモデルにおいて、ニューロンを溶媒又はPAN−811で24時間又は48時間事前処理した。薬剤による処理を24時間の低酸素期間中及び期間後も継続した。低酸素状態に置いてから24時間又は48時間後に細胞形態及び機能(MTS及びLDH試験)を計測した。
【0101】
形態学的に評価した神経細胞死。低酸素状態前のニューロンは健康で、様相の優れた細胞体及び正常な神経突起を持つ。当該プロセス及びそれらの分枝がバックグラウンドに密なネットワークを形成する。低酸素状態は細胞体の収縮及び神経突起やネットワークの崩壊を招く。用量5μMのグルタミン酸NMDA受容体拮抗薬MK801と同様に、PAN−811は神経細胞死から効果的に保護し、神経突起を部分的に留保(reservation)することを示した。
【0102】
MTS試験は、代謝的に活発な細胞におけるミトコンドリア作用を測定する比色試験である。この測定は間接的に細胞生存度に反映する。MTSテトラゾリウム化合物は、代謝的に活発なミトコンドリア中では減少し、組織培地において溶解可能な有色のホルマザン生成物になり、490nmの吸光度で検出できる。20μlのMTS試薬(Promega社)を、100μlの培地にサンプルを含む96ウェル試験プレートの各ウェルに添加する。次に当該プレートを37℃の加湿した5%CO雰囲気中で1〜2時間、完全に発色するまで培養する。Bio−Rad96ウェルプレートリーダーを使用して、490nmの吸光度を記録した。
【0103】
乳酸脱水素酵素(LDH)試験は、LDHの作用によるNADの減少に基づいている。結果として減少するNAD(NADH)をテトラゾリウム染色の化学量論的変換に使用する。異なる処理を行った培養物から得た無細胞のアリコート培地を試験する場合、膜の完全性の作用と同様に、LDHの活性量を関連する細胞死の指標として使用することができる。試験した96ウェルプレート中のウェルから得た50μlアリコートの培養培地を未使用のプレート中のウェルに移し、均等に混合した基質、酵素及び染色溶液(Sigma社)25μlで補充した。当該調製物を室温で20〜30分間培養した後、490nmの波長で分光光度法的に測定した。
結果
低酸素のみのモデル
低酸素前の48時間、皮質ニューロンをPAN−811で処理した。PAN−811を低酸素状態で24時間、その後低酸素状態で48時間維持した。用量2μMのPAN−811は細胞死を完全にブロックしたが、50μMでは毒性を示した(図5を参照)。
【0104】
低酸素期間の24時間前、中、及び後24時間、皮質ニューロンを2μMのPAN−811、1:80の緑茶、又は5μMのMK801で処理した。テストした試薬の中で、PAN−811は最も高い有効性を示し、神経細胞死及びミトコンドリア機能不全を完全にブロックした。
軽度のH/Hモデル
低酸素期間前及び期間中、PAN−811はニューロンを軽度のH/H誘導神経毒性から保護した。
【0105】
胚(E17)ラット皮質ニューロンを15日間培養し、低酸素/低血糖前の24時間及びその期間中(6時間)、PAN−811及びビヒクルで処理した。当該損傷の17時間後にMTS試験及びLDH試験を実施した。5μMのPAN−811は、低酸素/低血糖誘導ミトコンドリア機能不全及び神経細胞死を完全に防いだが、PEG:EtOH=1:1520希釈液(5μMのPAN−811のビヒクル量に対応する)は防御しなかった。
【0106】
代表的なデータを図5に示す。2〜50μMの濃度範囲をカバーする6実験の要約を以下の表2に示す。
【0107】
【表2】

【0108】
損傷中、特に損傷後に、PAN−811は軽度のH/H誘導神経毒性から細胞を保護した。
【0109】
ニューロンを15日間培養し、PAN−811又はPEG:EtOH(7:3)をビヒクルとして用いて6時間のH/H前の24時間処理した(前グループ)。代替として、ニューロンを16日間培養し、6時間のH/H中に上記の試薬で処理し(中グループ)、6時間のH/H期間及びH/H後48時間処理する(中及び後グループ)、或いはH/H後48時間処理した(後グループ)。H/H期間後48時間にLDH試験を実施した。H/Hの直前ではなく、H/H中及び特にH/H後にニューロンを処理した場合、PAN−811は神経細胞死から保護したことがこの結果により実証された。図6を参照のこと。
極端なH/Hモデル
50μM以下のPAN−811は、神経細胞死を防がなかった(データ表示せず)。
【0110】
2μMのPAN−811は低酸素及び軽度のH/H誘導神経毒性を完全に防いだ。100μMのPAN−811は、極端なH/H誘導神経細胞死を一部ブロックしたにすぎず、PAN−811はエネルギー代謝に関与していないようである。
【0111】
低酸素又は虚血発作中、或いはその後のいずれかに投与した場合、PAN−811はニューロンを細胞死から有意に保護した。
【0112】
PAN−811の有効性は、MK801及び/又は緑茶よりはるかに優れている。
【0113】
50μMのPAN−811を長期的に暴露すると、ニューロンにとって毒性となる(120時間暴露)。
注目すべき文献:
Jiang, Z.-G., Piggee, C.A., Heyes, M.P., Murphy, C.M., Quearry, B., Zheng, J., Gendelman, H.E., and Markey, S.P. Glutamate is a principal mediator of HIV-1-infected immune competent human macrophage neurotoxicity. J. Neuroimmunology 117(1 2):97-107, 2001.
Folbergrova, J., Zhao, Q., Katsura, K., and Siesjo, B.K. N-tert-butyl-phenylnitrone improves recovery of brain energy state in rats following transient focal ischemia. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:5057-5061, 1995.
[実施例4]
【0114】
PAN−811は一時的な局所脳虚血のインビボモデルにおいて有意な神経保護を示す
PAN−811は、酸化的ストレス及び虚血のインビトロモデルにおいて顕著な神経保護を示している。この仕事は、該化合物の公知の毒性プロファイル及び薬物動態データを含め、脳卒中の治療におけるその使用に高度に適合している。
【0115】
材料は、上記実施例で使用されるものと同じである。この実施例では、MCAOを中大脳動脈閉塞に関する略記として使用する。
【0116】
インビボ研究に着手する前に、PAN−811を幾つかの神経変性細胞モデルにおいてテストした。
【0117】
濃縮神経培養物を15日齢のSprague−Dawleyラット胚から調製した。無菌技術を使用して、ラット胚を子宮から取り出し、無菌神経細胞用培地に配置した。解剖顕微鏡を使用して、髄膜及び血管を除去するように注意しながら脳組織を各胚から取り出した。小脳を顕微鏡下、全体切開によって分離し、小脳組織のみを培養に使用した。組織を粉砕して細胞を分離し、ポリ(L−リシン)で事前にコーティングされた48ウェル培養プレートに5x10細胞/ウェルの密度で播種した。Eagleの基礎培地(グルタミンを含まない)の同等部及び10%加熱不活性化ウマ血清、10%ウシ胎孔血清、グルコース600μg/ml、グルタミン100μg/ml、ペニシリン50U/ml、及びストレプトマイシン50μg/mlで補充したHamのF−12k培地を含む培地で培養を維持した。48時間後、10μMのシトシンアラビノシドを加えて非神経細胞分裂を阻害した。培養7日後の細胞を実験に使用した。
【0118】
様々な量のPAN−811(0〜100μM)で24時間細胞を処理した。細胞生存度はMTT試験で測定した。
【0119】
4つのインビトロモデルにおいて興奮毒性を調べた。細胞をH/H状態に3時間置くか、或いはグルタミン酸(100μM)、スタウロスポリン(1μM)、或いはベラトリジン(10μM)のいずれかで45分間処理した。Locke溶液中でPAN−811(10μM)を用いて、又は用いずに、すべての細胞を共処理した。それぞれの興奮毒性曝露の最後に、条件培地(オリジナル)を置き換えた。95%窒素及び5%COで飽和した加湿気密チャンバ内で、グルコースを添加しないLocke溶液中で3時間細胞を培養することによってH/Hを誘導した。
【0120】
興奮毒性発作の24時間後に、細胞生存度を評価した。細胞の損傷は、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−yl)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム(MTT;Sigma Chemical Co.、ミズーリ州セントルイス)を用いたテトラゾリウム塩比色試験を使用して定量的に評価した。簡潔には、色素を各ウェル(最終濃度1.5mg/ml)に添加し、細胞をMTT−酸性化イソプロパノール(イソプロパノール中0.1N HCl)で培養して、各サンプルの吸光強度(540nm)を96ウェルプレートリーダーで測定した。各プレート上に維持されたビヒクル処理対照細胞に対する値が示され、細胞生存度の比率変化を計算した。
インビボ研究
本研究には36匹の雄Sprague−Dawleyラット(270−330g;Charles River Labs、バージニア州ローリー)を使用した。麻酔は酸素で送達される5%のハロタンで誘導し、2%のハロタンで維持した。体温は恒温性の加熱システム(Harvard Apparatus、マサチューセッツ州サウスナティック)により手術の全工程を通じて正常温度(37±1℃)に維持した。術前及び術後に、任意に食べ物と水を与え、12時間の明暗サイクル下で1匹ずつ収容した。ラットに麻酔をかけ、中大脳動脈閉塞(MCAO)のフィラメント法及び再かん流を使用して一時的な局所虚血状態を用意した。簡潔には、右外頸動脈を分離し、その分枝を凝固させた。先端が丸くコーティングしていない3−0モノフィラメントナイロン縫合糸を、外頸動脈を介して内頚動脈に導入し、わずかな抵抗が見られ、MCAの起点を閉塞するまで進めた(頸動脈分岐部から約22mm)。血管内縫合糸は2時間同位置に維持した後、MCAに血液が再かん流するよう縫合糸を除去した。MCAO手術後、周囲温度を22℃に維持しながら動物を回復ケージに入れた。実験中の体温を正常温度に維持するため、2時間の虚血期間及び虚血後最初の6時間、75ワットの加温ランプを各ケージの上部に直接配置した。
【0121】
MCAOに先立って、ラットに1mg/kgのPAN−811をIV注射して10分間処理した。PAN−811を70%PEG300、30%EtOHのストック溶液として調製した。このストックを無菌の生理食塩水で5倍に希釈して注入した(最終濃度1mg/ml)。
【0122】
各ラット脳について、虚血による脳損傷の分析を総梗塞量の関数として測定した。これは、7つの冠状断面(厚さ2−mm)から染まる2,3,5−トリフェニルテトラゾリウムクロリド(TTC)を使用して行った。脳の断面は、前頭極から1mmのところから、皮小脳境界部のすぐ吻側まで取った。コンピューターによる画像解析を使用して、梗塞量を計算した。つまり、各TTC染色された前頭断面の後面をデジタル画像処理し(Loats Associates、メリーランド州ウェストミンスター)、虚血による損傷領域を定量した(平方ミリメートル)。
結果
インビトロ研究
PAN−811の神経毒性
結果を図1に示す。本質的にPAN−811は100μMまでの濃度でわずかな毒性を示しただけであった。最大毒性は、テストした最高濃度で7.8%にすぎなかった。図7を参照のこと。
PAN−811による神経保護
PAN−811は異なる興奮毒性発作からニューロンを顕著に保護することが分かった(図2)。10μMのPAN−811でニューロンを前処理することで、3時間の低酸素/低血糖により誘導されるダメージから(92%保護)、100μMのグルタミン酸(約75%)、1μMのスタウロスポリン、タンパク質キナーゼCの阻害剤及びアポトーシス誘導剤(約47%)、及びナトリウムチャンネル阻害剤である10μMのベラトリジン(約39%)から細胞を保護した。図8を参照のこと。
インビボ研究
この実験の結果を表3に示す。当該実験には合計36匹のラットを使用したが、そのうち11匹のラットは以下の理由により除外した。4匹のラットは出血を合併症にない重度の卒中で死亡し、4匹のラットは亜急性の出血のために除外し(うち3匹は24時間以内に死亡)、1匹のラットは術中に消防訓練があったため除外し、1匹のラットは統計的に異常値を示したため除外し、及び1匹のラットはハロタンの過剰投与により死亡した。死亡した7匹のラットのうち(4匹はSAHを伴わない重度の卒中、3匹はSAHを伴う)、6匹は未処理の(ビヒクル)ラットであり、1匹のみをPAN−811で処理した。ビヒクル処理したラットは、198.75〜355.81の範囲で292.96mmの平均梗塞量を有した。PAN−811処理したラットは、42.36〜387.08の範囲で225.85mmの平均梗塞量を示した。これは23%(p<0.05)の神経保護を示す。理由はまだ明らかになっていないが、正常に測定される対照群においてさらに重度の損傷が観察された。従って、PAN−811処理した動物の梗塞サイズは、有意な神経保護に期待されるサイズよりも大きい。この問題に関わらず、両方の処理群は良好な生存度を示し(SEMの10%以下)、そうでない場合でも公開済みの我々の研究の大部分よりも優れていた。
【0123】
PAN−811はインビトロ及びインビボモデル系において優れた耐性を示し、比較的非毒性である。
【0124】
10μMのPAN−811でニューロンを前処理すると、神経変性につながる興奮毒性発作に対して有意な保護を提供した。
【0125】
一時的な局所性脳虚血前の10分間に、PAN−811(1mg/kg)を単回投与してラットを事前処理すると、平均梗塞量が23%減少した。
注目すべき文献:
Williams AJ, Dave JR, Phillips JB, Lin Y, McCabe RT, and Tortella FC. (2000) Neuroprotectiveefficacy and therapeutic window of the high-affinity N-methyl-D-aspartate antagonist conantokin-G: in vitro (primary cerebellar neurons) and in VIVO (rat model of transient focal brain ischemia) studies. J PharmacolExp Ther. Jul;294(1):378-86。
【0126】
【表3】

[実施例5]
【0127】
PAN−811によるH誘導酸化ストレスからのニューロン保護
本研究の目的は、アルツハイマー病に関連する酸化ストレスの細胞ベースモデルにおけるPAN−811の神経保護剤としての有効性を評価することである。神経保護及び細胞毒性を評価する。様々な溶媒をテストして、PAN−811の送達用媒体としての適性を判断した。
【0128】
材料は、他の実施例と同じである。
【0129】
初代皮質ニューロンを17日齢のラット胚脳から分離し、96ウェルプレート上に標準神経細胞用基礎培地中50,000細胞/ウェルで2〜3週間播種した。培地の半量を、抗酸化剤を含まない新しい神経細胞用基礎培地と2回置き換えた。
【0130】
PAN−811を1mg/ml(〜5mM)のEtOH或いはDMSOのいずれか、5mg/ml(〜25mM)のPEG−300/EtOH(70%/30%)に溶解し、さらに培地で最終濃度1μM、5μM、20μM、及び50μMまで希釈した。ニューロンをPAN−811又はビヒクルで24時間前処理し、その後過酸化水素(最終濃度60〜70μM)によって誘導された酸化ストレスをかけた。対照には、未処理の細胞(PAN−811及び過酸化水素処理を行っていない細胞)、PAN−811のみで処理した細胞、PAN−811ではなく過酸化水素に曝露された細胞を含む。未処理の細胞を対照として使用し、ニューロンの毒性及び向上した生存度の両方を評価した。各試験は3回繰り返し行った。等量の溶媒(EtOH、DMSO,及びPEG−300/EtOH)を細胞に加え、当該試験に対する溶媒の効果をテストした。
【0131】
24時間後、標準MTS試験(Promega社)を使用して、培養物の生存度及びミトコンドリア機能を評価した。製造者のプロトコルに従った。
結果
実験1
処理の最後に、すべての培地を、B27(−AO)を加えた100μMの新しい加温済神経細胞用基礎培地と置き換えた。5%COを含む37℃の培養器に当該プレートを1時間戻し、その後20μlのMTS試薬を各ウェルに添加して、5%CO、37℃でさらに2時間プレートを培養した。各ウェルの490nm吸光度をBioRadプレートリーダー(モデル550)で記録した。媒体のみを含むウェルはブランクとして使用した。各データポイントは、3つの個別の試験ウェルの平均である。未処理の細胞を対照として使用し、細胞の生存度及び神経保護能力を算出した。この一連の研究には3週齢の初代培養物を使用した。結果については図9を参照のこと。
実験2
実験1と同様の手順に従って実験を行った。この研究には2週齢の初代培養物を使用した。結果については図10を参照のこと。
【0132】
これらの実験では、3つのすべての溶媒が1〜10μMのPAN−811最終濃度に対応する希釈でのアッセイ系において最低限の効果を示した。DMSOはPAN−811の最終濃度20μM又はそれ以上に対応する希釈で或る程度の神経保護を示した。EtOH及びPEG−300/EtOHは、最終濃度50μMのPAN−811に対応する希釈で或る程度の神経保護能力を示した。PAN−811は、1〜10μMで良好な神経保護能力を示した。PAN−811は、EtOh担体と比較して、PEG−300/EtOH中で良好な溶解度を示した。
【0133】
PAN−811は、最終濃度1〜10μMで良好な神経保護能力を示した。PEG−300/EtOHは、1〜20μMのPAN−811に対応する希釈での定量法でほとんど干渉を示さなかったことから、テストした3つの溶媒の中でPAN−811に最も適した溶媒である。
【0134】
当業者であれば、本発明が目的の遂行に適しており、本来の結果離縁に加えて、上記の結果及び利点が得られることは容易に理解でき、また本発明の実施において、本発明の精神或いは範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を行うことができることが分かるであろう。このような修正及び変更は、本発明者等により添付の特許請求の範囲でさらに規定される本発明の精神内に包含されるとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】図1は、PAN−811(A)或いは公知の神経保護剤であるビタミンE(B)、リポ酸(C)、又はイチョウの葉(D)を用いて事前処理を行い、Hで処理した後の細胞生存度(左パネル)及び神経保護能力(右パネル)を示す図である。
【図2】図2は、神経細胞におけるROS産生に対するPAN−811の効果(A)、神経細胞におけるH誘導ROS産生に対するPAN−811の効果(B)、神経細胞における基礎レベルのROS産生に対するPAN−811の効果を示す図である。
【図3】図3は、低酸素状態における神経毒性のグルコース濃度依存を示す図である。
【図4】図4は、正常酸素状態及び低酸素状態におけるPAN−811の神経保護効果を示す図である。
【図5】図5は、低酸素/低血糖状態におけるPAN−811の毒性を示す。
【図6】図6は、軽度の低酸素/低血糖状態におけるPAN−811の神経細胞死に対する保護効果を示す図である。
【図7】図7は、皮質ニューロンをPAN−811で24時間処理した場合のPAN−811の神経毒性を示す図である。
【図8】図8は、虚血による毒性に対するPAN−811の保護効果を示す図である。
【図9】図9は、PAN−811又は溶媒で事前処理し、Hで処理した後の細胞生存度を示す図である。
【図10】図10は、PAN−811又は溶媒で事前処理し、Hで処理した後の細胞生存度を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療上活性な量の式I:
【化1】

(式中、HETはN及びSから選択される1個若しくは2個のヘテロ原子を有すると共に、必要に応じてアミノ基で置換される5又は6員ヘテロアリール残基であり、RはH又はC〜C−アルキルである)
の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはプロドラッグを、虚血状態に起因する神経損傷の改善、治療又は予防を必要とする被験体へ投与することを含む、虚血状態に起因する神経損傷を改善、治療又は予防する方法。
【請求項2】
前記被験体へ投与される前記化合物、又はその塩若しくはプロドラッグが式II:
【化2】

(式中、RはH又はC〜C−アルキルであり、R、R及びRはH及びアミノから独立して選択される)
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記被験体へ投与される前記化合物、又はその塩若しくはプロドラッグが式III:
【化3】

(式中、RはH又はC〜C−アルキルであり、R及びRはH及びアミノから独立して選択される)
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記被験体へ投与される前記化合物、又はその塩若しくはプロドラッグが式IV:
【化4】

(式中、RはH又はC〜C−アルキルである)
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記被験体へ投与される前記化合物、又はその塩若しくはプロドラッグが式V:
【化5】

(式中、RはH又はC〜C−アルキルである)
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記被験体へ投与される前記化合物、又はその塩若しくはプロドラッグが式VI:
【化6】

(式中、RはH又はC〜C−アルキルである)
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記被験体へ投与される前記化合物、又はその塩若しくはプロドラッグが
【化7】

である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
Rがメチルであり、R、R及びRがHである、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
Rがメチルであり、R及びRがHである、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
Rがメチルである、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
RがHである、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
RがHである、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
式Iの化合物であって、
式中、
HETはN及びSから選択される1個若しくは2個のヘテロ原子を有する5又は6員の非置換ヘテロアリール残基であり、RはH又はC〜C−アルキルである、化合物。
【請求項14】
HETがピリジン、ピラジン、チアゾール又はイミダゾールである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
Rがメチルである、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
薬学的に許容される担体と共に請求項13、14又は15に記載の1つ又は複数の化合物を含む医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−516690(P2009−516690A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541417(P2008−541417)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/045019
【国際公開番号】WO2007/062015
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(503010210)パナシア ファーマシューティカルズ インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】