説明

蛍光体およびその製造方法、ならびに発光装置

【課題】半導体発光素子からの430〜480nmの範囲の光によって高効率で安定に発光する窒化物蛍光体および酸窒化物蛍光体、これらの蛍光体の製造方法、ならびに、高効率で特性の安定した発光装置を提供する。
【解決手段】一般式(A):EuaSibAlcdeで実質的に表される、発光のピ−ク波長から可視光の長波長領域での反射率が95%以上である2価のユーロピウム付活酸窒化物蛍光体、一般式(B):MIfEugSihAlkmnで実質的に表され、、発光のピ−ク波長から可視光の長波長領域での反射率が95%以上である2価のユーロピウム付活酸窒化物蛍光体、または、一般式(C):(MII1-pEup)MIIISiN3で実質的に表され、発光のピ−ク波長から可視光の長波長領域での反射率が95%以上である2価のユーロピウム付活窒化物蛍光体、これらの蛍光体の製造方法、ならびに、これらの蛍光体を用いた発光装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として発光装置に用いられる酸窒化物蛍光体および窒化物蛍光体ならびにそれらの製造方法に関し、さらには前記蛍光体を用いた波長変換部を備えた発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体発光素子と蛍光体を組み合わせた発光装置は、低消費電力、小型、高輝度かつ広範囲な色再現性が期待される次世代の発光装置として注目され、活発に研究、開発が行われている。発光素子から発せられる一次は、通常長波長の紫外線から青色の範囲、即ち380nmから480nmのものが用いられる。また、この用途に適合した様々な蛍光体を用いた波長変換部も提案されている。
【0003】
さらには、最近この種の発光装置に対して変換効率(明るさ)のみならず、入力のエネルギーをより高くし、さらに明るくしようとする試みがなされている。入力エネルギ−を高くした場合、波長変換部を含めた発光装置全体の効率的な放熱が必要となってくる。このために、発光装置全体の構造、材質などの開発も進められているが、動作時における発光素子及び波長変換部の温度上昇は避けられないのが現状である。
【0004】
現在白色の発光装置としては、青色発光の発光素子(ピ−ク波長、450nm前後)とその青色により励起され黄色発光を示す3価のセリウムで付活された(Y,Gd)3(Al,Ga)512蛍光体あるいは2価のユ−ロピウムで付活された(Sr,Ba,Ca)2SiO4蛍光体との組み合わせが主として用いられている。
【0005】
しかしながら、特に3価のセリウムで付活された(Y,Gd)3(Al,Ga)512蛍光体においては、100℃では25℃での輝度(明るさ)を100%とした時に、その輝度は85%前後に低下するために、入力エネルギ−を高く設定出来ないという技術課題を有している。そのために、温度特性が良好な酸窒化物蛍光体あるいは窒化物蛍光体が注目され、活発に開発が行われている。
【0006】
しかしながら、この種の酸窒化物蛍光体あるいは窒化物蛍光体においては、特性は良好であるが、可視光領域での反射率が十分高いとは言えず、蛍光体自体あるいは他の蛍光体からの発光を吸収すると言う技術課題を有している。従って、この種の酸窒化物蛍光体あるいは窒化物蛍光体において、反射率の向上が急務となっている。
【0007】
この種の酸窒化物蛍光体あるいは窒化物蛍光体に関しては、たとえば特開2002−363554号公報(特許文献1)において、α型SIALON(サイアロン)の記載がある。即ち、代表的なものとしてEu2+イオンの付活量を変化させたCa−アルファサイアロン蛍光体について言及した記載がある。しかしながら、特許文献1には、蛍光体の可視光領域での反射率に関する記載はない。
【0008】
また、特開2006−89547号公報(特許文献2)においては、緑色蛍光体としてβ−サイアロン:Euあるいは黄色蛍光体としてCa−α−サイアロン:Euの記載がある。しかしながら、特許文献2においても、蛍光体の可視光領域での反射率に関する記載はない。
【0009】
さらには、特開2004−182780号公報(特許文献3)においては、Lxy((2/3)x+(4/3)y):R、または、Lxyz((2/3)x+(4/3)y-(2/3)z):Rで表される黄色から赤色領域に発光する窒化物蛍光体の記載がある。しかしながら、特許文献3においても、蛍光体の可視光領域での反射率に関する記載はない。
【0010】
また、特開平10−228868号公報(特許文献4)には、ユーロピウムでドープされた酸化イットリウム、マンガンでドープされたケイ酸亜鉛、ユーロピウムでドープされたバリウム−マグネシウム−アルミニウム酸化物などの蛍光体粒子に、酸化ケイ素などで形成された反射防止膜を設けることが記載されている。しかしながら、特許文献4は、蛍光体自体の反射率に言及しているものではない。
【0011】
また、特開2004−155907号公報(特許文献5)には、体色が緑色のマンガン賦活アルミン酸塩蛍光体に関する発明が開示されており、当該蛍光体は、真空紫外線励起により、ピーク波長が515nm付近にある緑色を発する。この蛍光体の効率を高くするには、ピーク波長前後の500nm、515nm、530nmの反射率を高くする必要があるというのが特許文献5に開示された発明のポイントである。このような特許文献5に開示された発明は、可視光励起における発光のピーク波長より長波長の反射率に着目したものではなく、蛍光体自体、あるいは他の蛍光体からの発光を吸収することを抑制し、発光装置の特性向上を目指したものである。
【特許文献1】特開2002−363554号公報
【特許文献2】特開2006−89547号公報
【特許文献3】特開2004−182780号公報
【特許文献4】特開平10−228868号公報
【特許文献5】特開2004−155907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、半導体発光素子からの430〜480nmの範囲の光によって高効率で安定に発光する窒化物蛍光体および酸窒化物蛍光体、これらの蛍光体の製造方法、ならびに、高効率で特性の安定した発光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明者らは特定の2価のユ−ロピウム付活の窒化物及び酸窒化物蛍光体において、可視光領域での反射率向上について詳細に調査、実験、検討を重ねた結果、蛍光体の原材料及び合成プロセスを最適化することにより、可視光領域での反射率が著しく向上した窒化物及び酸窒化物蛍光体を得ることが出来ることを見出したものである。すなわち、本発明は、以下のとおりである。
【0014】
本発明は、
一般式(A):EuaSibAlcde
(一般式(A)中、0.005≦a≦0.4、b+c=12、d+e=16を満足する数である)で実質的に表されるβ型SIALONであって、発光のピ−ク波長から可視光の長波長領域での反射率が95%以上であることを特徴とする2価のユ−ロピウム付活酸窒化物蛍光体である。
【0015】
また本発明は、
一般式(B):MIfEugSihAlkmn
(一般式(B)中、MIはLi、Na、K、Cs、Mg、Ca、Sr及びBaから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、0<f≦3.0、0.005≦g≦0.4、h+k=12、m+n=16を満足する数である)で実質的に表されるα型SIALONであって、発光のピ−ク波長から可視光の長波長領域での反射率が95%以上であることを特徴とする2価のユ−ロピウム付活酸窒化物蛍光体である。ここにおいて、MIはLiおよびCaから選ばれる少なくとも1種の元素であることが、好ましい。
【0016】
また、本発明は、
一般式(C):(MII1-pEup)MIIISiN3
(一般式(C)中、MIIはアルカリ土類金属元素であり、Mg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、MIIIは3価の金属元素からなり、Al、Ga、In、Sc、Y、La、GdおよびLuから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、0.001≦p≦0.05を満足する数である)で実質的に表され、発光のピ−ク波長から可視光の長波長領域での反射率が95%以上であることを特徴とする2価のユーロピウム付活窒化物蛍光体である。ここにおいて、MIIIはAl、GaおよびInから選ばれる少なくとも1種の元素であることが、好ましい。
【0017】
本発明は、上述した本発明の蛍光体を製造する方法であって、蛍光体の原材料に、微粒子の二酸化珪素で被覆された窒化アルミニウムを混合することを特徴とする蛍光体の製造方法についても提供する。
【0018】
ここにおいて、前記窒化アルミニウムは、窒化アルミニウムに対し0.01〜15重量%の二酸化珪素であって、平均粒子径が10〜200nmの微粒子の二酸化珪素で被覆されたものであることが好ましい。
【0019】
また本発明の蛍光体の製造方法において、機械的に粉砕する装置を用いることなく、不活性雰囲気中にて蛍光体の原材料を混合することが、好ましい。
【0020】
本発明はまた、一次光を発する発光素子と、前記一次光の一部を吸収して、一次光の波長よりも長い波長を有する二次光を発する波長変換部とを備えた発光装置であって、前記波長変換部は緑色系発光蛍光体、黄色系発光蛍光体および赤色系発光蛍光体から選ばれる少なくともいずれかを含み、前記緑色系発光蛍光体は、
一般式(A):EuaSibAlcde
(一般式(A)中、0.005≦a≦0.4、b+c=12、d+e=16を満足する数である)で実質的に表されるβ型SIALONであって、発光のピ−ク波長から可視光の長波長領域での反射率が95%以上である2価のユーロピウム付活酸窒化物蛍光体であり、前記黄色系発光蛍光体は、
一般式(B):MIfEugSihAlkmn
(一般式(B)中、MIはLi、Na、K、Cs、Mg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、0<f≦3.0、0.005≦g≦0.4、h+k=12、m+n=16を満足する数である)で実質的に表されるα型SIALONであって、発光のピ−ク波長から可視光の長波長領域での反射率が95%以上である2価のユーロピウム付活酸窒化物蛍光体であり、前記赤色系発光蛍光体は、
一般式(C):(MII1-pEup)MIIISiN3
(一般式(C)中、MIIはアルカリ土類金属元素であり、Mg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、MIIIは3価の金属元素からなり、Al、Ga、In、Sc、Y、La、GdおよびLuから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、0.001≦p≦0.05を満足する数である)で実質的に表され、発光のピ−ク波長から可視光の長波長領域での反射率が95%以上である2価のユーロピウム付活窒化物蛍光体である、発光装置についても提供する。
【0021】
本発明の発光装置は、前記黄色系発光蛍光体として、上記一般式(B)中、MIがLiおよびCaから選ばれる少なくとも1種の元素である、2価のユーロピウム付活酸窒化物蛍光体を用いたものであることが好ましい。
【0022】
また本発明の発光装置は、前記赤色系発光蛍光体として、上記一般式(C)中、MIIIがAl、GaおよびInから選ばれる少なくとも1種の元素である、2価のユーロピウム付活窒化物蛍光体を用いたものであることが好ましい。
【0023】
本発明の発光装置において、前記発光素子は窒化ガリウム系半導体素子であり、当該発光素子からの一次光が波長430〜480nmの範囲内にあることが、好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の蛍光体は430〜480nmの範囲の光によって、高効率で安定に発光するとともに、本発明の蛍光体を有する波長変換部を用いた発光装置は、発光素子からの発光を効率良く吸収して、高効率で安定した白色光を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、〔1〕β型SIALONである2価のユーロピウム付活酸窒化物蛍光体(以下、「第1の蛍光体」と呼称する。)、〔2〕α型SIALONである2価のユーロピウム付活酸窒化物蛍光体(以下、「第2の蛍光体」と呼称する。)、ならびに〔3〕2価のユーロピウム付活窒化物蛍光体(以下、「第3の蛍光体」と呼称する。)について提供するものである。以下、各蛍光体について詳しく説明する。
【0026】
〔1〕第1の蛍光体
本発明の第1の蛍光体は、下記一般式(A)で実質的に表されるβ型SIALON(サイアロン)である2価のユーロピウム付活酸窒化物蛍光体である。
【0027】
一般式(A):EuaSibAlcde
上記一般式中、aの値は、0.005≦a≦0.4であり、0.01≦a≦0.2であるのが好ましい。aの値が0.005未満であると、十分な明るさが得られないという不具合があり、またaの値が0.4を超えると、濃度消光などにより、明るさが大きく低下するという不具合がある。また、上記一般式中、b+c=12であり、d+e=16である。
【0028】
このようなβ型SIALONである2価のユーロピウム付活酸窒化物蛍光体としては、具体的には、Eu0.03Si11.63Al0.370.0315.97、Eu0.05Si11.50Al0.500.0515.95、Eu0.10Si11.01Al0.990.2015.80、Eu0.30Si9.80Al2.200.3015.70、Eu0.005Si11.70Al0.300.0315.97、Eu0.01Si11.60Al0.400.0115.99、Eu0.15Si10.00Al2.000.2015.80などを挙げることができるが、勿論これらに限定されるものではない。
【0029】
本発明の第1の蛍光体は、発光のピ−ク波長から可視光の長波長領域での反射率が95%以上(好ましくは97%以上)である。発光のピ−ク波長から可視光の長波長領域での反射率が95%未満である場合には、蛍光体から発せられる可視光を吸収するために、外部に取り出す白色系の出力が著しく低下する。なお、当該反射率は、たとえば、大塚電子製MCPD7000にてピーク波長より長波長領域での吸収率を測定し、(100−吸収率)として算出された値を指す。
【0030】
本発明の第1の蛍光体は、その粒径については特に制限されるものではないが、通気法により測定された平均粒径が2〜8μmの範囲内であるのが好ましく、3〜6μmの範囲内であるのがより好ましい。第1の蛍光体の平均粒径が2μm未満であると、結晶成長が不十分であり、これを用いた発光装置において明るさが大きく低下する傾向にある。一方、第1の蛍光体の平均粒径が8μmを超えると、異常成長した粗大粒子が生成し易く実用的ではない。
【0031】
〔2〕第2の蛍光体
本発明の第2の蛍光体は、下記一般式(B)で実質的に表されるα型SIALONである2価のユーロピウム付活酸窒化物蛍光体である。
【0032】
一般式(B):MIfEugSihAlkmn
上記一般式(B)中、MIは、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種の元素を示す。中でも、LiおよびCaから選ばれる少なくとも1種を用いることにより、これを用いた発光装置においてより明るく発光するものを得ることができることから、MIがLiおよびCaから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0033】
また、上記一般式(B)中、fの値は0<f≦3.0であり、0.1≦f≦2.0であるのが好ましい。fの値が0である(すなわち、MIが含まれない)場合、またfの値が3.0を超える場合には、格子内に安定に固溶させることが出来ず、十分な明るさが得られないという不具合がある。
【0034】
また上記一般式(B)中、gの値は0.005≦g≦0.4であり、0.02≦g≦0.2であるのが好ましい。gの値が0.005未満である場合には、十分な明るさが得られないという不具合があり、gの値が0.4を超える場合には、濃度消光などにより、明るさが大きく低下するという不具合がある。
【0035】
また、上記一般式(B)中、h+k=12であり、m+n=16である。
このようなα型SIALONである2価のユーロピウム付活酸窒化物蛍光体としては、具体的には、Ca0.6Eu0.05Si10.52Al1.480.8815.12、Ca0.2Eu0.01Si10.10Al1.900.8015.20、Ca1.0Eu0.06Si10.72Al1.281.3814.62、Ca0.3Eu0.10Si10.20Al1.800.4015.60、Ca0.4Mg0.1Eu0.03Si10.00Al2.001.1014.90、Ca0.75Eu0.01Si9.75Al2.250.7615.24、Ca0.50Li0.10Eu0.01Si11.50Al0.500.2015.80、Ca1.00Sr0.10Eu0.20Si10.00Al2.000.3015.70などを挙げることができるが、勿論これらに限定されるものではない。
【0036】
本発明の第2の蛍光体も、上述した本発明の第1の蛍光体と同様の理由から、発光のピ−ク波長から可視光の長波長領域での反射率が95%以上(好ましくは97%以上)である。本発明の第2の蛍光体の発光のピ−ク波長から可視光の長波長領域での反射率についても、本発明の第1の蛍光体について上述したのと同様の方法によって測定された値を指す。
【0037】
また、本発明の第2の蛍光体は、その粒径については特に制限されるものではないが、通気法により測定された平均粒径が2〜8μmの範囲内であるのが好ましく、3〜6μmの範囲内であるのがより好ましい。第2の蛍光体の平均粒径が2μm未満であると、結晶成長が不十分であり、これを用いた発光装置において明るさが大きく低下する傾向にある。一方、第2の蛍光体の平均粒径が8μmを超えると、異常成長した粗大粒子が生成しやすく、実用的ではないという傾向にある。
【0038】
〔3〕第3の蛍光体
本発明の第3の蛍光体は、下記一般式(C)で実質的に表される2価のユーロピウム付活窒化物蛍光体である。
【0039】
一般式(C):(MII1-pEup)MIIISiN3
上記一般式(C)中、MIIはアルカリ土類金属であり、Mg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
【0040】
また一般式(C)中、MIIIは3価の金属元素であり、Al、Ga、In、Sc、Y、La、GdおよびLuから選ばれる少なくとも1種の元素を示す。中でも、より一層高効率に赤色系を発光することができることから、MIIIはAl、GaおよびInから選ばれる少なくとも1種の元素であることが好ましい。
【0041】
また上記一般式(C)中、pの値は、0.001≦p≦0.05であり、0.005≦p≦0.02であるのが好ましい。pの値が0.001未満であると、十分な明るさが得られないという不具合があり、pの値が0.05を越えると、濃度消光などにより、明るさが大きく低下するという不具合がある。
【0042】
このような2価のユーロピウム付活窒化物蛍光体としては、具体的には、Ca0.990Eu0.010SiAlN3、(Ca0.97Mg0.02Eu0.01)(Al0.99Ga0.01)SiN3、(Ca0.98Eu0.02)AlSiN3、(Ca0.97Sr0.01Eu0.02)(Al0.98In0.02)SiN3、(Ca0.999Eu0.001)AlSiN3、(Ca0.895Mg0.100Eu0.005)AlSiN3、(Ca0.79Sr0.20Eu0.01)AlSiN3、(Ca0.98Eu0.02)(Al0.95Ga0.05)SiN3などを挙げることができるが、勿論これらに限定されるものではない。
【0043】
本発明の第3の蛍光体も、上述した本発明の第1の蛍光体と同様の理由から、発光のピ−ク波長から可視光の長波長領域での反射率が95%以上(好ましくは97%以上)である。本発明の第3の蛍光体の発光のピーク波長から可視光の長波長領域での反射率についても、本発明の第1の蛍光体について上述したのと同様の方法によって測定された値を指す。
【0044】
また、本発明の第3の蛍光体は、その粒径については特に制限されるものではないが、通気法により測定された平均粒径が3〜10μmの範囲内であるのが好ましく、4〜7μmの範囲内であるのがより好ましい。第3の蛍光体の平均粒径が3μm未満であると、結晶成長が不十分であり、これを用いた発光装置において明るさが大きく低下する傾向にある。一方、第3の蛍光体の平均粒径が10μmを超えると、異常成長した粗大粒子が生成しやすく、実用的ではないという傾向にある。
【0045】
上述した本発明の第1〜第3の蛍光体は、それぞれ上述したような発光のピーク波長から可視光の長波長領域での反射率を有するように製造されるのであれば、その製造方法は特に制限されるものではないが、本発明においては、上述した本発明の第1〜第3の蛍光体を好適に製造することができる方法についても提供するものである。すなわち、本発明の蛍光体の製造方法は、蛍光体の原材料に、微粒子の二酸化珪素(SiO2)で被覆された窒化アルミニウム(AlN)を混合することを特徴とする。
【0046】
本発明の蛍光体の製造方法において用いられる窒化アルミニウムを被覆する微粒子の二酸化珪素は、その平均粒子径が10〜200nmの範囲内であることが好ましく、20〜80nmの範囲内であることがより好ましい。二酸化珪素の平均粒子径が10nm未満である場合には、均一な被覆層を形成することが困難となる虞があるためであり、また、二酸化珪素の平均粒子径が200nmを超える場合には、これを被覆した窒化アルミニウムの化学的安定性を維持することが困難となる虞があるためである。なお、上記二酸化珪素の平均粒子径は、公知の適宜の装置を使用して比表面積を測定し、球状と仮定した平均粒子径を測定するようにしてもよいし、SEMを用いてその画像から平均粒子径を算出するようにしてもよい。
【0047】
また二酸化珪素による被覆量は、窒化アルミニウムに対し0.01〜15重量%の範囲内であることが好ましく、0.1〜5重量%の範囲内であることがより好ましい。二酸化珪素による被覆量が窒化アルミニウムに対し0.01重量%未満である場合には、均一な被膜層を形成することが難しくなる傾向にあり、また、二酸化珪素による被覆量が窒化アルミニウムに対し15重量%を超える場合には、蛍光体の明るさが著しく低下する傾向にあるためである。なお、上記二酸化珪素の被覆量は、たとえば、ICP(誘導結合高周波プラズマ)分光分析を用いて定量分析を行うことにより測定することができる。
【0048】
また本発明の蛍光体の製造方法においては、振動ミルなどの機械的に粉砕する装置を用いて蛍光体の原材料の混合を行うようにしてもよいが、窒化アルミニウムの化学的安定性を維持しつつ、また、Si34などの蛍光体の原材料の酸化も防止し、安定した蛍光体の原材料の混合を実現する観点からは、このような機械的に粉砕する装置を用いることなく、不活性雰囲気中にて蛍光体の原材料を混合することが好ましい。なお、不活性雰囲気としては、たとえば、窒素、アルゴンなどの雰囲気を特に制限されることなく適用することができる。
【0049】
本発明はまた、上述した本発明の第1〜第3の蛍光体を用いた発光装置についても提供するものである。すなわち、本発明の発光装置は、一次光を発する発光素子と、前記一次光の一部を吸収して、一次光の波長以上の長さの波長を有する二次光を発する波長変換部とを基本的に備え、当該波長変換部が、上述した第1の蛍光体を緑色系発光蛍光体として、上述した第2の蛍光体を黄色系発光蛍光体として、上述した第3の蛍光体を赤色系発光蛍光体として、これらの第1〜第3の蛍光体のうちの少なくともいずれかを含むものである。ここで、図1は、本発明の好ましい一例の発光装置1を模式的に示す断面図である。また、図2は、本発明の好ましい他の例の発光装置21を模式的に示す断面図である。図1に示す例の発光装置1は、発光素子2と波長変換部3とを基本的に備え、波長変換部3が緑色系発光蛍光体4として上述した第1の蛍光体を含み、赤色系発光蛍光体5として上述した第2の蛍光体を含む。また、図2に示す例の発光装置21は、発光素子2と波長変換部22とを基本的に備え、波長変換部22が、黄色系発光蛍光体23として上述した第3の蛍光体を含む。このように本発明の発光装置は、波長変換部が、(1)緑色系発光蛍光体(上述した第1の蛍光体)および赤色系発光蛍光体(上述した第3の蛍光体)を含む(図1に示す例)か、または、(2)黄色系発光蛍光体(上述した第2の蛍光体)を含む(図2に示す例)ように実現されてなることが好ましい。
【0050】
本発明の発光装置1,21に用いられる第1〜第3の蛍光体は、いずれも、FeおよびMnの含有率が一定以下であるものである。このように、特定の2価のユーロピウム付活の酸窒化物蛍光体および窒化物蛍光体において、粉体特性(特に輝度特性)に影響を及ぼす不純物元素であるFeおよびMnの含有率を一定以下に制御することにより、輝度特性の安定した酸窒化物蛍光体および窒化物蛍光体が実現される。したがって、このような第1〜第3の蛍光体を用いた本発明の発光装置1,21では、発光素子2からの光を効率よく吸収し、高効率で安定した白色光を得ることができるものである。
【0051】
また本発明の発光装置1,21において用いられる本発明の第1〜第3の蛍光体はセラミックス材料であるので耐熱性が高く、また、熱膨張係数が小さい材料なので、バンドギャップの変異が小さい。本発明の発光装置1,21では、このような第1の蛍光体および第3の蛍光体を用いることで、温度に対する蛍光発光の効率低下が小さく、従来と比較して温度特性が格段に改善された発光装置を実現することができるという利点がある。
【0052】
また図1に示す例の発光装置1において緑色系発光蛍光体4として用いられる本発明の蛍光体は、発光スペクトルの半値幅が狭いため、上述した温度特性が良好であると同時に、色再現性(NTSC比)も良好である。したがって、このような本発明の発光装置1は、発光素子2からの発光を効率よく吸収して、高効率な白色光を発光するとともに、色再現性(NTSC比)が著しく良好な白色を得ることができ、さらには、平均演色評価数(Ra)も優れており、一般照明用としても良好な白色を得ることができる。このような本発明の発光装置1は、白色LEDとして実現されることが好ましく、中でも、LCD用のバックライト用光源として特に好適に用いることができるものである。
【0053】
図2に示す例の発光装置21において、波長変換部22中に含有される黄色系発光蛍光体(本発明の第2の蛍光体)23は、上述と同様の理由から、一般式(B)中におけるMIはLiおよびCaから選ばれる少なくとも1種の元素であることが好ましい。また、本発明の発光装置21において、波長変換部22中に含有される赤色系発光蛍光体(本発明の第3の蛍光体)23は、上述と同様の理由から、一般式(C)中におけるMIIIはAl、GaおよびInから選ばれる少なくとも1種の元素であることが好ましい。
【0054】
図1に示す例の本発明の発光装置1において、波長変換部3は、たとえば媒体として熱硬化型シリコーン封止材を用い、これに緑色系発光蛍光体および赤色系発光蛍光体を混練し、発光素子2を封止して成形することで作製できる。緑色系発光蛍光体および赤色系発光蛍光体それぞれの配合比率は特に制限されるものではないが、所望の色度の白色光を得るために、たとえば、緑色系発光蛍光体を媒体に対する重量比で1/10、赤色系発光蛍光体を媒体に対する重量比で1/50として波長変換部を作製する場合が例示される(この場合、7、750Kの白色光を得ることができる。)。
【0055】
本発明の発光装置1,21における波長変換部3,22は、上述した緑色系発光蛍光体4、黄色系発光蛍光体23および赤色系発光蛍光体5から選ばれる少なくともいずれかを含有し、発光素子2から発せられる一次光の一部を吸収して、一次光の波長以上の長さの波長を有する二次光を発し得るものであれば、その媒質6は特に制限されるものではない。媒質(透明樹脂)6としては、たとえばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
また、波長変換部は、上述した蛍光体および媒質以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で、適宜のSiO2、TiO2、ZrO2、Al23、Y23などの添加剤を含有していても勿論よい。
【0057】
本発明の発光装置1,21に用いられる発光素子2としては、効率の観点から、窒化ガリウム(GaN)系半導体を好ましく用いることができる。また、本発明の発光装置1を効率的に発光させる観点から、本発明の発光装置1,21に用いられる発光素子2はピーク波長が430〜480nmの範囲の一次光を発するものであることが好ましく、440〜470nmの範囲の一次光を発するものであることがより好ましい。発光素子2が発する一次光のピーク波長が430nm未満の場合には、演色性が悪くなり、実用的ではない。また、480nmを超えると、白色での明るさが低下し、実用的でなくなる傾向にある。
【0058】
本発明の発光装置における波長変換部は、上述した緑色系発光蛍光体4、黄色系発光蛍光体23および赤色系発光蛍光体5を適宜の樹脂中に分散させ、適宜の条件で成形することによって作製することが可能であり、その作製方法は特に制限されるものではない。
【0059】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0060】
<実施例1>
窒化珪素(Si34)粉末191.64g、平均粒子径24nmの二酸化珪素(SiO2)を2.0重量%被覆した窒化アルミニウム(AlN)粉末6.75g、酸化ユーロピウム(Eu23)粉末1.62gを秤量し、全体を窒素にて置換したグロ−ブボックス内にてV型混合器に入れ、20分間混合した。得られた混合物を窒化ホウ素製の坩堝に入れ10気圧の窒素雰囲気中で、2000℃、8時間焼成した。得られた焼成物をボールミルなどにより粉砕する。この粉砕した粉末を窒化ホウ素製の坩堝に入れ、5気圧の窒素雰囲気中で、1700℃、10時間焼成した。得られた焼成物をボールミルなどにより粉砕した。粉砕後、1Lのビ−カ中に純水1Lを入れ、更に焼成物を投入し、撹拌を行った。所定時間撹拌後、撹拌を止め静置することによって、粉砕時生じた微粒子成分を除去した。この洗浄操作を繰り返し行うことによって、大部分の微粒子成分を除去した。その後、濾過、乾燥(110℃、16時間)する。得られた蛍光体はEu0.03Si11.63Al0.370.0315.97で表されるβ型SIALONであった。
【0061】
<比較例1>
実施例1と同様の方法によって、二酸化珪素(SiO2)を被覆していない窒化アルミニウム(AlN)粉末を用い、更には、混合時にn−Cn2n+2で表される高級炭化水素溶剤を添加し、混合したものを原材料混合物として用いた。得られた蛍光体はEu0.03Si11.6310.370.0315.97で表されるβ型SIALONであった。
【0062】
<実施例2>
窒化珪素(Si34)粉末118.60g、平均粒子径100nmの二酸化珪素(SiO2)を10.0重量%被覆した窒化アルミニウム(AlN)粉末16.46g、酸化ユーロピウム(Eu23)粉末2.12g、炭酸カルシウム(CaCO3)粉末14.47gを秤量し、全体を窒素にて置換したグローブボックス内にてV型混合器に入れ、20分間混合した。得られた混合物を窒化ホウ素製の坩堝に入れ10気圧の窒素雰囲気中で、1700℃、12時間焼成した。得られた焼成物をボ−ルミルなどにより粉砕した。粉砕後、1Lのビ−カ中に純水1Lを入れ、更に焼成物を投入し、撹拌を行った。所定時間撹拌後、撹拌を止め静置することによって、粉砕時生じた微粒子成分を除去した。この洗浄操作を繰り返し行うことによって、大部分の微粒子成分を除去した。その後、濾過、乾燥(110℃、16時間)した。得られた蛍光体はCa0.6Eu0.05Si10.52Al1.480.8815.12で表されるα型SIALONであった。
【0063】
<比較例2>
二酸化珪素(SiO2)を被覆していない窒化アルミニウム(AlN)粉末を用い、さらには、混合時ボールミルを用い、混合したものを原材料混合物として用いた以外は実施例2と同様にして、Ca0.6Eu0.05Si10.50Al1.500.7015.30で表されるα型SIALONを得た。
【0064】
<実施例3>
窒化カルシウム(Ca32)粉末56.54g、平均粒子径45nmの二酸化珪素(SiO2)を0.1重量%被覆した窒化アルミニウム(AlN)粉末47.38g、窒化珪素(Si34)粉末54.05g、酸化ユーロピウム(Eu23)粉末2.03gを秤量し、全体を窒素にて置換したグローブボックス内にてV型混合器に入れ、20分間混合した。得られた混合物を窒化ホウ素製の坩堝に入れ、窒素雰囲気中で、1500℃、5時間焼成した。得られた焼成物をボ−ルミル等により粉砕した。粉砕後、1Lのビ−カ中に純水1Lを入れ、更に焼成物を投入し、撹拌を行った。所定時間撹拌後、撹拌を止め静置することによって、粉砕時生じた微粒子成分を除去した。この洗浄操作を繰り返し行うことによって、大部分の微粒子成分を除去した。その後、濾過、乾燥(110℃、16時間)した。得られた蛍光体はCa0.990Eu0.010SiAlN3で表される窒化物蛍光体であった。
【0065】
<比較例3>
二酸化珪素(SiO2)を被覆していない窒化アルミニウム(AlN)粉末を用い、さらには、混合時ボ−ルミルを用い、混合したものを原材料混合物として用いた以外は実施例3と同様にして蛍光体を作製した。
【0066】
<評価試験1>
実施例1〜3、比較例1〜3で得られた蛍光体を用い、大塚電子製MCPD7000にてピ−ク波長より長波長領域での吸収率を測定し、それから反射率を算出した。実施例1、比較例1の蛍光体は、ピーク波長が540nm付近にあり、540nm付近より長波長領域での反射率は、実施例1の蛍光体では97.3%であったのに対し、比較例1の蛍光体では85.2%であった。また実施例2、比較例2の蛍光体は、ピーク波長は585nm付近にあり、585nm付近より長波長領域での反射率は、実施例2の蛍光体では97.0%であったのに対し、比較例2の蛍光体では84.1%であった。また、実施例3、比較例3の蛍光体は、ピーク波長は645nm付近にあり、645nm付近より長波長領域での反射率は、実施例3の蛍光体では97.6%であったのに対し、比較例3の蛍光体では86.0%であった。実施例1〜3および比較例1〜3について測定された反射率を表1に示す。
【0067】
【表1】

【0068】
表1から、本発明の蛍光体は従来品に比し、反射率が優れていることが判る。
<実施例4〜14、比較例4〜14>
表2に示すような各種蛍光体について、実施例1〜3とそれぞれ同様な方法で作製し、評価試験を行った。なお、表2には、窒化アルミニウム(AlN)粉末を被覆する二酸化珪素(SiO2)の大きさと被覆量(重量%)を併せて示している。
【0069】
【表2】

【0070】
表2から、本発明の蛍光体は従来品に比し、反射率が優れていることが判る。
<実施例15>
発光素子として、440nmにピ−ク波長を有する窒化ガリウム(GaN)系半導体を用いた。波長変換部には、黄色系発光蛍光体としてピ−ク波長が585nm付近にあり、585nm付近より長波長領域での反射率が97.0%であるCa0.6Eu0.05Si10.52Al1.480.8815.12(α型SIALON)(実施例2)なる組成のものを用いた。この蛍光体を所定のシリコ−ン樹脂中に分散して波長変換部を形成し、発光装置を作製した。
【0071】
<比較例15>
585nm付近より長波長領域での反射率が84.1%であるCa0.6Eu0.05Si10.50l1.500.7015.30(α型SIALON)(比較例2)で表される黄色系発光蛍光体を波長変換部に用いたこと以外は実施例15と同様にして、発光装置を作製した。
【0072】
<評価試験2>
実施例15、比較例15で作製した発光装置について、順電流20mAを通電し、その特性(光度)を評価した。その結果を表3に示す。
【0073】
【表3】

【0074】
表3から、本発明の発光装置は従来品に比し、特性の安定性、特に輝度特性の安定性に優れていることが判る。
【0075】
<実施例16〜18、比較例16〜18>
表4に示すような発光素子と蛍光体の組み合わせで、実施例15と同様の方法で発光装置を作製し、評価試験を行った。
【0076】
【表4】

【0077】
表4から、本発明の発光装置は従来品に比し、特性の安定性、特に輝度特性の安定性に優れていることが判る。
【0078】
今回開示された実施の形態、実施例および比較例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の好ましい一例の発光装置1を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の好ましい他の例の発光装置21を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0080】
1,21 発光装置、2 発光素子、3,22 波長変換部、4 緑色系発光蛍光体、5 赤色系発光蛍光体、6 媒体、23 黄色系発光蛍光体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(A):EuaSibAlcde
(一般式(A)中、0.005≦a≦0.4、b+c=12、d+e=16を満足する数である)
で実質的に表されるβ型SIALONであって、発光のピ−ク波長から可視光の長波長領域での反射率が95%以上であることを特徴とする2価のユ−ロピウム付活酸窒化物蛍光体。
【請求項2】
一般式(B):MIfEugSihAlkmn
(一般式(B)中、MIはLi、Na、K、Cs、Mg、Ca、Sr及びBaから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、0<f≦3.0、0.005≦g≦0.4、h+k=12、m+n=16を満足する数である)
で実質的に表されるα型SIALONであって、発光のピ−ク波長から可視光の長波長領域での反射率が95%以上であることを特徴とする2価のユ−ロピウム付活酸窒化物蛍光体。
【請求項3】
MIはLiおよびCaから選ばれる少なくとも1種の元素であることを特徴とする請求項2に記載のα型SIALONである2価のユ−ロピウム付活酸窒化物蛍光体。
【請求項4】
一般式(C):(MII1-pEup)MIIISiN3
(一般式(C)中、MIIはアルカリ土類金属元素であり、Mg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、MIIIは3価の金属元素からなり、Al、Ga、In、Sc、Y、La、GdおよびLuから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、0.001≦p≦0.05を満足する数である)
で実質的に表され、発光のピ−ク波長から可視光の長波長領域での反射率が95%以上であることを特徴とする2価のユーロピウム付活窒化物蛍光体。
【請求項5】
MIIIがAl、GaおよびInから選ばれる少なくとも1種の元素であることを特徴とする請求項4に記載の2価のユーロピウム付活窒化物蛍光体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の蛍光体を製造する方法であって、蛍光体の原材料に、微粒子の二酸化珪素で被覆された窒化アルミニウムを混合することを特徴とする蛍光体の製造方法。
【請求項7】
前記窒化アルミニウムが、窒化アルミニウムに対し0.01〜15重量%の二酸化珪素であって、平均粒子径が10〜200nmの微粒子の二酸化珪素で被覆されたものであることを特徴とする請求項6に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項8】
機械的に粉砕する装置を用いることなく、不活性雰囲気中にて蛍光体の原材料を混合することを特徴とする請求項6または7に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項9】
一次光を発する発光素子と、前記一次光の一部を吸収して、一次光の波長よりも長い波長を有する二次光を発する波長変換部とを備えた発光装置であって、前記波長変換部は緑色系発光蛍光体、黄色系発光蛍光体および赤色系発光蛍光体から選ばれる少なくともいずれかを含み、
前記緑色系発光蛍光体は、
一般式(A):EuaSibAlcde
(一般式(A)中、0.005≦a≦0.4、b+c=12、d+e=16を満足する数である)
で実質的に表されるβ型SIALONであって、発光のピ−ク波長から可視光の長波長領域での反射率が95%以上である2価のユーロピウム付活酸窒化物蛍光体であり、
前記黄色系発光蛍光体は、
一般式(B):MIfEugSihAlkmn
(一般式(B)中、MIはLi、Na、K、Cs、Mg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、0<f≦3.0、0.005≦g≦0.4、h+k=12、m+n=16を満足する数である)
で実質的に表されるα型SIALONであって、発光のピ−ク波長から可視光の長波長領域での反射率が95%以上である2価のユーロピウム付活酸窒化物蛍光体であり、
前記赤色系発光蛍光体は、
一般式(C):(MII1-pEup)MIIISiN3
(一般式(C)中、MIIはアルカリ土類金属元素であり、Mg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、MIIIは3価の金属元素からなり、Al、Ga、In、Sc、Y、La、GdおよびLuから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、0.001≦p≦0.05を満足する数である)
で実質的に表され、発光のピ−ク波長から可視光の長波長領域での反射率が95%以上である2価のユーロピウム付活窒化物蛍光体である、発光装置。
【請求項10】
前記黄色系発光蛍光体として、上記一般式(B)中、MIがLiおよびCaから選ばれる少なくとも1種の元素である、2価のユーロピウム付活酸窒化物蛍光体を用いたことを特徴とする、請求項9に記載の発光装置。
【請求項11】
前記赤色系発光蛍光体として、上記一般式(C)中、MIIIがAl、GaおよびInから選ばれる少なくとも1種の元素である、2価のユーロピウム付活窒化物蛍光体を用いたことを特徴とする、請求項9に記載の発光装置。
【請求項12】
前記発光素子が窒化ガリウム系半導体素子であり、当該発光素子からの一次光が波長430〜480nmの範囲内にあることを特徴とする請求項9に記載の発光装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−127547(P2008−127547A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−317524(P2006−317524)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】