蛍光及び反射率撮像と分光のための方法及び装置並びに多数の測定装置による電磁放射線の同時測定のための方法及び装置
【課題】 組織標本のような対象物、コンピュータチップのような産業上の対象物、又は顕微鏡、内視鏡、望遠鏡若しくはカメラのような光学システムで目視可能の他の任意の対象物から同時に画像及びスペクトルを提供する光学システムを提供すること。
【解決手段】 組織の蛍光画像を生じさせる方法は、a)前記組織の各点について、前記点に対応する比率信号の強度が、第1の近赤外線波長帯における前記点の反射率の強度対前記点の蛍光の強度の比率に比例するような前記比率信号を発生させること、及びb)前記比率信号が前記組織の前記蛍光画像を生じさせるためにディスプレイ装置の入力に提供されるようにすることを含む。
【解決手段】 組織の蛍光画像を生じさせる方法は、a)前記組織の各点について、前記点に対応する比率信号の強度が、第1の近赤外線波長帯における前記点の反射率の強度対前記点の蛍光の強度の比率に比例するような前記比率信号を発生させること、及びb)前記比率信号が前記組織の前記蛍光画像を生じさせるためにディスプレイ装置の入力に提供されるようにすることを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2000年12月19日に出願され現在係属中である米国特許出願第09/741,731号からの優先権主張出願である。
【0002】
発明の分野
本発明は、電磁放射線の測定装置に関し、特に、多数の測定装置による電磁放射線の同時測定を容易にし、蛍光及び反射率撮像のための照明放射線を生じさせ、撮像装置の同じ検出器を使って蛍光及び反射率撮像の双方を行い、分光法による高い診断特異性を達成する間に高い診断鋭敏度画像を生じさせ、組織の酸素投与を検出し、組織の蛍光画像を生じさせるための方法及び装置に関する。
【0003】
発明の背景
多くの事例において、1を超えるタイプの電磁放射線の測定を伴う。例えば、いくつかの医用撮像の事例では、人間の患者のような被検者の空洞又は切り口への内視鏡の挿入を伴う。例えば、可撓性を有する内視鏡は光学チャンネルを含み、該光学チャンネルを通して、第1の光ファイバー束が患者の内部組織を照らすための照明光を伝達し、また、第2のコヒーレントな光ファイバー束が、前記内視鏡を介して後退する前記内部組織により反射された光又は放たれた蛍光を電荷結合素子(CCD)カメラのような測定装置に伝達する。前記カメラにより描写された前記内部組織の画像は、表示画像から疑わしい異常な又は病気に冒された組織を確認することができる外科医又は医師より、目視検査のためのモニタ上に表示される。
【0004】
疑わしい異常組織がこのような目視検査によって確認されると、それが実際に病気に冒されているかどうか、より十分な特定又は正確性をもって確認するために前記組織に対する追加の分析を行うことが望ましい。この目的のため、分光法が時に用いられる。現在の分光分析法には内視鏡の生検チャンネルを介した光ファイバプローブの挿入を伴い、これは、通常、例えば組織の標本抽出又は治療に用いられるような医療器具の内視鏡を介しての挿入のために用いられる。前記生検チャンネル内におけるこの光ファイバプローブの存在が、前記生検チャンネルに他の器具を挿入することを困難にするか又は不可能にし、前記生検の所期の目的のための前記生検チャンネルを不適当なものにする。加えて、光ファイバプローブを挿入するために前記生検チャンネルから医療器具を除去し、次いでスペクトル測定が完了するときに前記器具を再挿入するために前記プローブを除去しなければならない外科医又は医師には、この手順は不自由をもたらす。さらに、光ファイバプローブが生検チャンネルを通して挿入されるとき、前記プローブは測定を行うために決まって組織に物理的に接触する。この接触は、加えられる圧力値に従って程度を変えるように前記組織から離れた血液を押圧する傾向があり、これは異なった目視スペクトルを生じさせ、これにより測定誤差源をもたらす。
【0005】
ある内視鏡システムは、分光装置による受入れのために組織から受けた放射線のあるパーセンテージ分を向けるためのビームスプリッタを用いるが、このような放射線の残りがカメラによる受入れのために前記ビームスプリッタを通過することを許す。しかし、ビームスプリッタのこの性質は前記カメラの全領域を横切って受け入れられる光の強さを減少させることが期待される。一般に、内視鏡の小さい周囲径、組織内に熱障害又は光漂白を生じさせることなしに照明光の強度を増大させる限られた能力のため、及び組織により蛍光放射され又は反射された光の比較的低い強度のため、分析される組織からの比較的少量の光のみが内視鏡にはいる。したがって、前記CCDカメラは既に「光不足」である。このようなビームスプリッタの使用はこの問題を悪化させ、その結果、一様に暗いCCD画像を生じさせ、これは高価な信号増幅装置の使用を必要とする。
【0006】
代わりの他の内視鏡システムでは、いくぶん異なる目的のためにミラーが用いられている。前記ミラーは、白色光の反射率撮像のための第1のカメラに全ビームを写すために内視鏡から光ビームの光路に挿入され、また全ビームが蛍光撮像のための第2のカメラで受け取られることを可能にするために前記光路から取り除かれる。しかし、この方法は前記第1及び第2のカメラによる同時測定を可能とせず、これは、内視鏡又は対象が交互画像間で動く機会を増大させる。この困難は白色光反射率及び蛍光の画像間のスイッチングにおける使用のためには重大ではないが、この方法は、結合された撮像及び分光測定のためには望ましくはなく、前記光学測定が、前記カメラの画像において興味あるものとして現れた同じ組織領域であることを保証することに失敗し、信頼できない分光結果に導く。
【0007】
したがって、ここに、内視鏡の画質又は分光結果の信頼性を大きく落とすことなしに、例えば撮像装置及び分光装置のような複数の測定装置で同時測定を行うより便利な方法に対するニーズがある。
【0008】
加えて、現行の内視鏡システムは、結合された撮像及び分光法の潜在性を完全に利用することに失敗している。特に、例えば白色光反射率RGBカラーCCDカメラ及びデュアルチャンネル蛍光撮像カメラのような多スペクトルチャンネル撮像装置を含むシステムのため、異なる撮像チャンネル間のゲイン関係を調整することによりこのような装置の診断鋭敏度を増大させる能力が従来の知識により強制され、これが、ゲイン関係調整による前記撮像装置の診断鋭敏度における任意の増大が診断の特殊性における対応する減少に終わることを示している。換言すると、例えばデュアルチャンネル蛍光撮像装置の診断鋭敏度を増加させることは、実際に組織が良性であるか又は正常であるときでも、前記撮像だけから病気に罹っているか又は悪性であるようにみえる組織の結果として、より「擬陽性」であるとの診断を生じさせる。したがって、このような間違った診断を回避するために望ましいことは、前記撮像装置の診断鋭敏度を調整するための能力に制限をおくことである。
【0009】
したがって、ここに、診断の特定又は正確性を過度に低減させることなしにより高い診断鋭敏度の画像を生じさせる方法についてのニーズがある。
【0010】
加えて、内視鏡撮像システムは、好ましくは、内部器官の外観が外科医又は医師になじみのある通常の眺めを生じさせる白色光反射率カラー撮像と、より良い診断の正確性のための蛍光撮像との双方を含む。白色光反射率撮像のため、組織が白色光で照らされている間、関心のある組織の画像がとられる。蛍光撮像のため、組織は、励起光、典型的には事例に応じて青から紫外の領域にある短波長の光で照らされる。蛍光体を含む薬剤を組織に注射する必要性を回避するため、趨勢は自動蛍光撮像に向けられてきた。組織が短波長の励起放射線で照らされると、組織は、例えば典型的には450nmから750nmの範囲にありかつ510nmから530nmの緑色波長にピークがある蛍光を放出する傾向をもつ。羅患した組織又は癌性の組織のような異常組織は、正常な組織よりも緑色波長で自動蛍光の光のような非常に低い輝度を発する傾向を有することが見出されている。このため、異常な組織又は疑いのある組織は、緑色波長で前記組織の対応する蛍光画像でより暗く現れやすい。したがって、相異なる照明スペクトルが、反射率及び蛍光撮像、すなわち白色光又は反射率撮像のための他の照明スペクトル及び蛍光撮像のための少なくとも1つの短波長励起スペクトルのために求められる。
【0011】
反射率及び蛍光撮像のためのほとんどの励起システムは、反射率及び蛍光撮像間の切換が不便であるか、若しくは幾何学的因子を補償するために蛍光画像を十分に補正しないかのいずれか、又はこれらの双方である。
【0012】
より詳細には、白色光の反射率及び蛍光撮像間の切換のため、多くのシステムは、外科医又は医師のような前記システムのユーザに、内視鏡から白色光反射率撮像のために用いられる第1の光源及び第1のRGB CCDカメラを手動操作で接続を断ち、また蛍光撮像のために内視鏡に第2の分離光源及び第2の蛍光カメラを接続することを要求する。このような手動操作による光源及びカメラの接続解除及び接続は、ユーザにとって時間の浪費でありまた不便であり、検査中の患者に対して継続時間及び不快感を増大させる。
【0013】
幾何学的因子を補償するための前記蛍光画像の補正に関して、蛍光撮像のために単一の短波長の照明周波数帯のみを使用することは不利であることが判明した。組織の異常性又は疾患性が蛍光画像における所与の点を暗く現れるようにすることはあるが、代わりに、正常な組織もこれが前記組織内の他の点よりも内視鏡の先端から単にさらに離れている場合には暗く現れ、あるいは正常な細胞が、例えば湾曲した組織表面、襞、ポリープ又は前記組織表面に関する内視鏡の角度のような部分的閉塞症又は他の幾何学的要因のために暗く現れることがある。したがって、それが異常であるか、又はその距離若しくは内視鏡の先端に関する幾何学的配置のためにそれが単に暗く現れるか否かであるため、緑色の蛍光画像のみから、組織内の特定点が暗く現れるか否かを定めることは不可能である。
【0014】
あるシステムは、正常な組織及び異常な組織の自己蛍光の強度が、緑色波長におけるより赤色の及びより長い波長においてより似ているとき、赤色波長での自己蛍光を追加的に測定することにより、後者の困難を扱うことを企図する。結果的に生じる赤色の自己蛍光画像は、組織の幾何学的形状のための緑色自己蛍光画像を補正するために使われる。例えば、赤色の自己蛍光画像は表示画面上に赤色画像として表示され、緑色の自己蛍光画像は前記赤色画像上に重ねられ、次に、組織内の所与の点は正常な組織であるが幾何学的要因のために緑色画像に暗く現れるとき、その点はまた赤色画像に暗く現れ、このため、2つの画像の重なりにおいて暗く現れる。しかし、組織が異常又は病的であるために組織内の所与の点が緑色画像において暗く現れるときは、その点は赤色画像において輝いて現れ、したがって重ね合わされた画像において赤点として現れる。しかし、不運にも、赤色の自己蛍光は、緑色の自己蛍光よりも低い強度で起こり、したがって、赤色画像は低SN(信号雑音)比となる。加えて、赤色の自己蛍光放出強度は正常組織及び異常組織に似ているが、この2つの間にはなおいくつかの違いが存する。したがって、この方法では大きな測定誤差を生じる可能性がある。
【0015】
本発明のある発明者により、近時、部分的に設計された1の現存のシステムは、前述した困難の双方を幾分扱っている。アーク灯がコールドミラーに入力放射線を向ける。前記コールドミラーは、光学システムへの近紫外線及び可視光を反射する一方、前記光学システムから離れる赤外線放射の90%以上を伝達し、連続した赤外線照射による前記光学システムの熱障害を回避する。前記コールドミラーからの放射線は、紫外線波長を減ずる間に前記光学システムを通過する可視光を伝達する長波通過フィルタを通過する。次いで、長波通過フィルタからの可視光は、ロータリフィルタ輪上の複数の異なるフィルタの1つを通して向けられる。前記フィルタの1つが、組織の正反射率画像のために均一な白色光を作り出す。他のフィルタは蛍光撮像のためのノッチバンドフィルタである。この方法は、すなわち、1つの光源が白色光反射率画像及び蛍光画像の双方のための照明を提供し、2つの光源間での内視鏡の切換の必要性を除去する。
【0016】
前記ノッチバンドフィルタ(notch−band filter)は450nmより短い青色波長を伝え、また前記コールドミラーの不完全性によるいくつかの赤外線波長を含む590nmより長い赤色波長を伝える。前記ノッチバンドフィルタは、これらの波長で組織によって自己蛍光放射を測定するための能力を妨げるこのような波長の組織による反射を回避するため、450nm及び590nm間の緑色波長を減ずる。青色波長は組織を励起して、緑色波長において組織により自己蛍光放射を生じさせ、次いでこれが測定され、緑色の自己蛍光画像を生じさせる。赤色波長は組織を照らし、緑色の自己蛍光画像の発生と同時に、組織の分離赤色反射率画像を生じさせる。この赤色反射率画像は、自己蛍光画像より高い強度を有し、このため、改善されたSN比、したがって減少した誤差を有する。次いで、赤色及び緑色の画像はディスプレイ上で重ねられ、幾何学的要因のための改善された補正を与える。
【0017】
しかし、前記した方法で採用された単一の光学システムの光源には、少なくともいくつかの点において、変更不能であるという傾向がある。例えば、励起に用いられる青色灯及び補正に用いられる赤色灯の両者が単一のノッチバンドフィルタを通過しなければならないため、励起及び補正に用いられる波長の選択は、このようなフィルタ上の制約を作ることにより制限される。例えば、病気に罹った組織及び正常な組織が赤色波長におけるよりいくつかのNIL波長バンドにおけるより一層類似の反射率強度を示すとき、補正目的のための反射率画像を提供するように赤色放射線よりNIR放射線を使用することが望ましい。しかし、450nmから750nmに波長を減ずるため、広いノッチバンドを有する単一のフィルタを設計することは実行可能でない。前記コールドミラーを単に除去しかつ前記光学システムを通して全ての赤外線波長を透過させることは、例えば反射率撮像フィルタのようなロータリフィルタ輪上の他のフィルタに熱障害を引き起こす可能性があるため、また前記光学システムのレンズ及び他の成分にこのような障害をもたらす可能性があるため、好ましくない。
【0018】
したがって、前記した現在の内視鏡撮像及び分光システムにおける欠陥に加えて、反射率及び蛍光撮像の双方に適する改善された照明源のニーズがある。
【0019】
同様に、反射率及び蛍光撮像のための現在のカメラが、反射率及び蛍光撮像間での切換を行うために含む多数の可動部分のために大きくしかも重い。このため、このようなカメラは医師又は外科医が用いることが困難である。したがって、カメラのサイズ及び重量を過度に増大させることなしに反射率撮像及び蛍光撮像の双方を実行することができる改善されたより軽量でコンパクトなカメラのニーズがある。
【0020】
最後に、癌性細胞の急速な成長のために増大した酸素消費によって引き起こされる、癌性組織が低酸素症を示すことが知られている。しかし、従来の内視鏡の撮像システムが典型的には組織酸素投与状態を検出することができない結果、関連のない発色団が可視撮像波長において低酸素症の効果を圧倒しかつ弱める傾向がある。したがって、内視鏡撮像システムにおいて、診断上の正確性を改善するために癌性組織のこの性状を利用する方法についてのニーズがある。
【0021】
発明の概要
本発明は、組織標本のような対象、コンピュータチップのような産業上の対象、又は顕微鏡、内視鏡、望遠鏡若しくはカメラのような光学システムで目視され得る他の任意の対象から画像及びスペクトルを同時に提供する光学システムを提供することにより、これらの及び他のニーズを提供する。ある実施例において、本発明は、さらに、対象のオリジナルイメージ内の様々な所望の波長範囲に対応する多数の画像を提供し、また所望であれば、スペクトルが得られまた前記装置を示す能力を強化する正確な場所の確認を提供することができる指向性のあるポインタを提供する
【0022】
1の態様において、本発明は、多数の測定装置を用いての電磁放射線の同時測定を容易にするための方法及び装置を提供する。前記方法は、第1の測定装置及び第2の測定装置のそれぞれによる受け取りのために向けられる電磁放射ビームの第1及び第2の隣接する放射線グループを生じさせることを含む。前記装置は、このような方法で向けられる前記第1及び第2の隣接する放射線グループを生じさせるように配置可能であるビーム指向装置を含む。
【0023】
したがって、前記第1の放射線グループは、例えば分光計による受け取りのために向けられ、他方、前記第2の隣接する放射線グループはカメラのような撮像装置に向けられる。このような場合、前記第2の放射線グループは前記分光計へは全く向けられず、したがって、前記第2の放射線グループは本質的に衰えないで前記カメラに到達し、例えば半透明なビームスプリッタを用いて可能である場合に比べてより鮮明な画像を生じる。多くの場合、これは、ノイズを生じさせまた撮像装置のコスト及び重量を増大させるイメージ増倍管のような高価な信号増幅装置の必要性をなくす。加えて、前記第2の放射線グループに応答してこのような撮像装置により発生される画像は、例えば分光計のような他の装置に向けられた前記第1の放射線グループの原通路に対応する黒斑を有する。このため、前記第2の放射線グループに応答して発生する前記画像における黒斑の位置を観察することにより、例えば外科医や医師のような観察者は、前記分光計によって標本抽出されている正確な点を直ちに知り、これにより前記分光計が、前記第2の放射線グループに応答して生じた前記画像における疑問のある熟視領域のような関心のある所望領域内の点を測定しているかどうかを知る。加えて、この方法は、例えばカメラ及び分光計のような前記第1及び第2の測定装置の双方が、例えば内視鏡の生検チャンネルを通る半透明のビームスプリッタ又は光ファイバを用いて、第2の分離ビームを生じさせる必要なしに、単一の電磁放射線ビームから測定を同時に生じさせることを可能であるように効果的に用いられる。また、より正確なスペクトルが、組織に接触するファイバプローブなしに、得ることができる。
【0024】
好ましくは、前記した方法において向けられる前記隣接した放射線グループを生じさせることは、前記第1の測定装置による受け取りのための前記第1の放射線グループを向けることを含む。前記ビーム指向装置はこれを達成するために配置することができる。
【0025】
より詳細には、前記第1の放射線グループを向けることは、好ましくは、前記第2の放射線グループが後記反射面を迂回することを可能とする間、前記ビームから前記第1の放射線グループを反射するように前記電磁放射線ビーム中に反射面を配置することを含む。前記ビーム指向装置は、この目的のために前記ビーム中に配置可能である反射面を含む。
【0026】
前記方法は、さらに、内視鏡の撮像チャンネルからの電磁放射線ビームを受け取ることを含む。例えば、前記電磁放射線ビームはハウジングの入力ポートで受け取られる。このような実施例では、前記第1及び第2の測定装置に向けられる前記第1及び第2の近接した放射線グループを生じさせることは、前記ハウジングの分光計のポートに向けて前記第1の放射線グループを向け、撮像装置に向けて前記第2の放射線グループを向けることを含む。前記第1の放射線グループを向けることは、前記ハウジング内で前記第1の放射線グループを反射させることを含み、また、追加的に又は代わりに前記第1の放射線グループを前記分光計のポートに焦点を合わせることを含む。前記第2の放射線グループは前記ハウジング内の電荷結合素子(CCD)において受け取られる。
【0027】
同様に、この装置は、前記ビーム指向装置を配置可能であるハウジングを含む。前記ハウジングは、内視鏡の撮像チャンネルから前記電磁放射線ビームを受け取るように、また前記ビームを前記ビーム指向装置に向けるように構成された入力ポートを有する。
【0028】
前記入力ポートに加えて、前記ハウジングは、前記第1の放射線グループを前記第1の測定装置に分配するため、例えば分光計のポートのような第1の測定ポートを有し、この場合において、前記ビーム指向装置は、前記入力ポートから前記電磁放射線ビームを受け取り、また前記第1の測定ポートに前記第1の放射線グループを向けるように前記ハウジング内に配置可能である。
【0029】
前記装置は、前記第1の放射線グループを前記第1の測定ポートに焦点を合わせるように前記ハウジング内に配置可能であるレンズを含む。
【0030】
前記方法は、さらに、前記第1及び第2の近接した放射線グループを前記測定装置に受け取ることを含む。例えば、前記第1の放射線グループは分光装置で受け取られ、また前記第2の放射線グループは画像装置で受け取られる。この点について、前記装置は、例えば画像装置又は分光装置のような第1及び第2の測定装置の少なくとも1つを含む。
【0031】
前記方法は、また、前記第2の放射線グループにおける各波長範囲の入射放射線を前記測定装置の1つの各対応検出器領域に向けることを含む。例えば、これは、4つの波長範囲の前記入射放射線を前記測定装置の1つにおける各対応する検出器領域に向けることを含む。この点について、前記装置は、さらに、前記第2の放射線グループにおける各波長範囲の入射放射線を前記撮像装置の各対応検出器領域に向けるように構成された放射線指向システムを含む。
【0032】
本発明の他の態様において、分光学で高い診断特異性を達成する間に高い診断鋭敏度を生じさせるための方法及び装置を提供する。前記方法は、対象の改善された画像を生じさせるために少なくとも1つの波長範囲における前記撮像装置のゲインに関して少なくとも1つの他の波長範囲における撮像装置のゲインを選択的に調節し、また、前記改善された画像に現れる前記対象の領域内の点からの放射線のスペクトルを測定することを含む。前記装置は、各波長範囲における放射線を受け取るための少なくとも2つの検出器を含み、該検出器の少なくとも1つが、入力放射線に応答して対象の改善された画像を生じさせるように調整可能である選択的に調節可能のゲインを有する。前記装置は、さらに、前記検出器を収容しまた前記改善された画像中に現れる前記対象の領域内の点からの入力放射線のスペクトルの測定を容易にするために分光計への少なくともいくつかの入力放射線を提供するための第1の測定ポートを有するハウジングを含む。この装置は、また、前記対象の改善された画像を生じさせるための前記検出器の少なくとも1つのゲインに関して他の前記検出器の1つにおいてゲインを選択的に調節するように構成されたプロセッサ回路を含む。
【0033】
したがって、前記撮像装置のゲインは、改善された画像を生じさせるように選択的に調節される。この点について、前記撮像装置のゲインは、所望の場合、現存のシステムで使用されているゲインより異なる相対レベルに調整される。結果として生じる高い診断鋭敏度は、偽陽性診断の発生を低減する分光法の使用のため、特異性の損失なしに達成される。
【0034】
選択的に調節するゲインは、前記対象の蛍光撮像のための所望の赤色から緑色の信号比を生じさせるように、赤色波長範囲のゲイン及び緑色波長範囲のゲインの少なくとも1つを調整することを含む。前記プロセッサ回路はこのような選択的調整を行うように構成される。例えば、前記蛍光画像の正常化ために先にここに記載した組み合わされた蛍光及び赤色の反射率方法を用いることは、前記赤色から緑色の信号範比が以前用いられたより高いレベルに増大され、緑色蛍光及び赤色反射率画像の重ね合わせにおける疑いのある組織領域のより高い赤色強度を与え、一方、別な方法では、この赤色から緑色の信号比を増大することから結果として生じる偽陽性の診断の生起を減少するために分光法を用いる。
【0035】
同様に、選択的にゲインを調整することは、前記対象の白色光反射率撮像のための所望のカラーバランスを生じさせるために赤色、緑色及び青色の範囲のゲインの少なくとも1つを調整することを含む。前記プロセッサ回路はこのようなゲインを選択的に調整するように構成される。
【0036】
好ましくは、選択的にゲインを調整することは、前記対象の蛍光画像における前記対象の異常領域の表示を高めるためにゲインレベルの第1のセットまで少なくとも1つの波長範囲及び少なくとも1つの他の波長範囲におけるゲインを設定することを含み、さらに前記対象の蛍光画像における前記対象の異常領域の表示を高めるためにゲインレベルの第2のセットまで前記ゲインを設定することを含む。前記プロセッサ回路はこのようなゲインレベルを設定するように構成される。
【0037】
好ましくは、前記検出器は、例えば青色範囲、緑色範囲、赤色乃至近赤外範囲及び第2の近赤外範囲のような4つのそれぞれの波長範囲の放射線を受け取るための4つの検出器を含む。前記装置は、さらに、前記ハウジング内に、前記対象から受け取った前記4つのそれぞれの波長範囲の入射放射線を前記4つのそれぞれの対応する検出器に向けるように構成された放射線指向システムを含む。
【0038】
例えば、前記放射線指向システムは第1の部分反射装置と、第2の部分反射装置と、第3の部分反射装置と、反射器とを含む。前記第1の部分反射装置は、前記第1の波長範囲の入射放射線を前記第1の検出器に反射させ、他の波長範囲の入射放射線を透過させるように配置することができる。前記第2の部分反射装置は、前記第1の部分的反射装置により透過された前記第2の波長範囲の入射放射線を前記第2の検出器に反射させ、他の波長範囲の入射放射線を透過させるように配置することができる。前記第3の部分反射装置は、前記第2の部分的反射装置により反射された前記第3の波長範囲の入射放射線を前記第3の検出器に反射させ、他の波長範囲の入射放射線を透過させるように配置することができる。前記反射器は、前記第3の部分反射装置により透過された放射線を前記第4の検出器に反射させるように配置することができる。
【0039】
前記装置は、好ましくは、それぞれ、無視することができる帯域外伝送特性を有する帯域フィルタを含む。このような帯域フィルタは、好ましくは、前記第2の部分反射装置と前記第2の検出器との間、前記第3の部分反射装置と前記第3の検出器との間、及び前記反射器と前記第4の検出器との間におかれる。
【0040】
前記した複数の検出器と放射線指向システムとの組み合わせが、蛍光及び反射率撮像と単一の撮像装置との組み合わせを可能にするために有利であり、また前記撮像装置内にいかなる可動部分をも必要とせず、これにより前記撮像装置の重量及びコストを低減することができることが判明した。
【0041】
代わりに、前記放射線指向システムは、それぞれの波長範囲の入射放射線を対応する各検出器に向けるように構成されたプリズムシステムを含むものとすることができる。
【0042】
本発明のさらなる態様に従い、蛍光及び反射率撮像のための照明放射線を生じさせるための方法及び装置が提供される。前記方法は、蛍光/近赤外線反射率撮像及び白色光反射率撮像のための電磁放射線の第1及び第2の分光分布を選択的に生じさせることを含む。第1の分光分布は、光学システムの第1の光学サブシステムから受け取った励起成分と、光学システムの第2の光学サブシステム受け取った近赤外成分とを含む。前記第2の分光分布は、前記第1の光学サブシステムから受け取った白色光照明成分を含む。前記装置は、選択的に前記第1及び第2の分光分布を生じさせるように操作可能である、前記第1及び第2の光学サブシステムを含む前記光学システムを含む。
【0043】
このため、前記第1及び第2の光学サブシステムの使用により、より優れた適応性を達成することができる。例えば、所望により、近赤外線の選択帯域のようなより長波長の正規化成分を用いることができ、性状及び異常な組織の前記選択された近赤外線波長における反射スペクトルのより大きい類似性のために蛍光画像における幾何学的要因の高められた補正を提供する。このような代表的なシステムでは、前記近赤外線成分が前記第2の光学サブシステムから受け取られるため、前記近赤外線成分が前記第1の光学サブシステムを進む必要はなく、これにより、前記第1の光学サブシステムの成分に対する不必要な熱障害が回避される。
【0044】
加えて、前記第1及び第2の光学サブシステムは単一の光学システムに設けられているため、蛍光及び反射率撮像が、手動により内視鏡への1の光源の接続を断ちまた他の光源を接続する必要なしに達成される。
【0045】
前記第1及び第2の分光分布を選択的に生じさせることは、好ましくは、前記第1の光学サブシステムで白色光照明成分と前記励起成分を受け取ること、及び前記第2の光学サブシステムで近赤外線成分を受け取ることを含む。選択的に生じさせることは、さらに、蛍光/近赤外線反射率撮像のための第1の操作モードにおいて前記第1の光学成分から前記励起成分をまた前記第2の光学サブシステムから前記近赤外線成分を透過させることと、白色光反射率撮像のための第2の操作モードにおいて前記近赤外線成分を遮断する間に前記第1の光学サブシステムから前記白色光照明を透過させることとを含む。
【0046】
同様に、前記装置に関して、前記第1の光学サブシステムは、好ましくは、前記白色光照明成分及び前記励起成分を受け取るように、蛍光撮像のための第1の操作モードにおいて前記励起成分を透過させるように、また、白色光反射率撮像のための第2の操作モードにおいて前記白色光照明成分を透過させるように操作可能である。同様に、前記第2の光学サブシステムは、好ましくは、前記近赤外線成分を受け取るように、前記第1の操作モードにおいて前記近赤外線成分を透過させ、また前記第2の操作モードにおいて前記近赤外線成分を遮断するように操作可能である。
【0047】
選択的に生じさせることは、さらに、前記第1及び第2の光学サブシステムにより透過された放射線を共通の光学通路に沿って進むように向けることを含む。
【0048】
この点について、前記光学システムは、前記第1及び第2の光学システムにより透過された放射線を前記共通の光学通路に沿って進むように向けるべく配置可能であるコンバイナを含む。例えば、前記コンバイナは、前記第1の光学サブシステムにより透過された放射線を前記通路に沿って進むように透過させ、また前記第2の光学システムにより透過された放射線を前記通路に沿って進むように反射させるべく配置可能であるダイクロイック反射装置を含む。前記光学システムは、好ましくは、前記第1及び第2の光学サブシステムにより透過された放射線を出口ポートに焦点を合わせるように前記通路内に配置可能であるレンズを含む。前記装置は、光ファイバ束と、前記出口ポートとして機能する開放端部とを有する。例えば、これは、内視鏡の照明光ファイバ束を含む。
【0049】
前記方法は、好ましくは、さらに、前記励起、近赤外線及び白色光照明の各成分を含む入力放射線を受け取ることを含み、前記励起成分と前記白色光照明成分とを前記第1の光学サブシステムに提供し、また前記近赤外線成分を前記第2の光学サブシステムに提供する。
【0050】
同様に、前記装置は、好ましくは、前記第1の光学サブシステム前記白色光照明成分と前記励起成分とを提供しかつ前記第2の光学サブシステムに前記近赤外線成分を提供するための少なくとも1つの電磁放射線源を含む。
【0051】
前記電放射線源は、入力電磁放射線を受け取り、前記第1の光学サブシステムによる受け取りのために前記白色光照明成分と前記励起成分とを反射し、また前記第2の光学サブシステムによる受け取りのために前記近赤外線成分を透過させるように操作可能であるビームスプリッタを含むものとすることができる。そうであれば、前記光学システムは、好ましくは、例えば光ファイバ束又は液体光導波管(液体ライトガイド)を含み、前記ビームスプリッタからの前記近赤外線成分を受け取りかつ前記第2の光学サブシステムに前記近赤外線成分を向け直すように配置可能である。
【0052】
前記電磁放射線源は、また、前記ビームスプリッタに前記入力電磁放射線を提供するように操作可能であるランプを含む。
【0053】
前記第1の分光分布を生じさせることは、前記励起成分として、青色及びより短い波長を有する放射線を生じさせることを含み、また前記近赤外線成分として、約750nm及び少なくとも約900nm間の波長を有する放射線を生じさせることを含む、
【0054】
前記第2の分光分布を生じさせることは、前記白色光照明成分として、可視光を生じさせることを含む。例えば、これは、400nmから700nmまでの波長を含む。この光学システムは、好ましくは、このような成分を生じさせるように操作可能である。
【0055】
より詳細には、前記第1の分光分布を生じさせることは、好ましくは、前記励起成分として、対象内で蛍光を生じさせるために十分に短い短波長成分を生じさせること、及び前記近赤外線成分として、前記対象の蛍光放出波長より長い長波長成分を生じさせることを含む。有利なことに、これは、完全な全波長範囲が前記反射された近赤外線成分放射線からの干渉なしに前記分光装置により測定されることを許す。このような成分を生じさせることは、さらに、前記蛍光放射線の検出を可能にすべく前記短波長成分に応答して前記対象により放出された蛍光放射線の強度を十分に下回る前記蛍光放出波長における強度を有するように前記第1の分光分布を生じさせることを含む。例えば、前記対象が組織である場合、前記第1の分光分布は、測定誤差を生じさせる前記蛍光放出波長における前記対象によるいかなる明らかな反射をも避けるため、緑色波長並びに赤色及び750nmより短い近赤外線波長における無視し得る強度を有するように発生される。前記光学システムは、好ましくは、このように方法で前記第1の分光分布を生じさせるように操作可能である。
【0056】
本発明の1の実施例では、例えば、前記第1の分光分布を生じさせることは、本質的に、短い及び長い波長成分からなる放射線を生じさせることを含み、前記短波長の成分は本質的に約(4と1/2)×102nm及び約4×102nm間の波長を有する放射線からなり、また前記長波長の成分は本質的に約(7と1/2)×102nm及び約9×102nm間の波長を有する放射線からなる。前記光学システムは、この分布を生じさせるように操作可能である。
【0057】
前記光学システムは、好ましくは、フィルタシステムを含む。
【0058】
前記第1の光学サブシステムは、前記第1の操作モードにおいて他の波長を減ずる間に前記励起成分を透過させるように操作可能であり、また前記第2の操作モードにおいて前記白色光照明成分を透過させるように操作可能であるフィルタ装置を含む。例えば、このフィルタ装置は、前記第1の操作モードにおいて前記励起成分を透過させるための青色バンドパスフィルタと、前記第2の操作モードにおいて前記白色光照明成分を透過させるために前記青色バンドパスフィルタと取り替えることができるカラーバランスフィルタとを含む。
【0059】
同様に、前記第2の光学サブシステムは、前記第1の操作モードにおいて他の波長を減ずる間に前記近赤外線成分を透過させるように操作可能であり、また前記第2の操作モードにおいて前記近赤外線成分を遮断するように操作可能であるフィルタ装置を含む。例えば、フィルタ装置は、前記第1の操作モードにおいて前記近赤外線成分を透過させるためのロングパスフィルタ及びバンドパスフィルタの少なくとも一方と、前記第2の操作モードにおいて前記近赤外線成分を遮断するための前記少なくとも1つのフィルタと取り替え可能であるライトストッパとを含む。
【0060】
所望であれば、前記装置は、前記光学システムによる受け取りのための入力電磁放射線を生じさせるように配置可能である電磁放射線源を含むものとすることができる。
【0061】
画像システムは、前記した照明放射線を生じさせるための装置を含み、さらに、前記装置により照明された対象から受け取られた入射放射線の各波長範囲を画像装置の対応する検出域に向けるように構成された放射線指向システムを含むように設けられている。
【0062】
同様に、本発明の他の態様に従うと、前記撮像装置の同じ検出器を使用する、蛍光結像及び反射結像の双方を行うための撮像システムが設けられている。この撮像システムは、前記したような照明放射線を生じさせるための装置を含み、さらに前記装置により照らされた対象から放射線を受け取るための複数の検出器と、放射線検出システムとを含む。この放射線検出システムは、前記対象からの放射線が回旋状であるスペクトル応答を各検出器のために規定すべく、各波長範囲の放射線を前記複数の検出器のそれぞれに向けるように構成されている。有利なことに、このようなシステムの実施例は、異なる照明放射線源又は撮像装置を手動で接続を断ちまた再接続する必要なしに、蛍光及び反射の撮像モード間の使いやすい自動切換を可能にする。同様に、前記放射線指向システムは、蛍光及び反射の撮像モード間を切り換えるための可動部分を要しない、蛍光及び反射率撮像の双方に適当な軽量で廉価なカメラ又は他の撮像装置の製造を可能にする。
【0063】
前記放射線検出システムは、好ましくは、5×102nmより小さい第1の波長範囲を第1の検出器に向け、5×102nmと6×102nmとの間の第2の波長範囲を第2の検出器に向け、6×102nmと8×102nmとの間の第3の波長範囲を第3の検出器に向け、また8×102nmと9×102nmとの間の第4の波長範囲を第4の検出器に向けるように構成されている。
【0064】
前記複数の検出器は、好ましくは、4つのそれぞれの波長範囲の放射線を受け取るための4つの検出器を含む。
【0065】
好ましくは、少なくとも1つの検出器が、入力放射線に応答して対象の改善された画像を生じさせるように調整可能である選択的に調整可能のゲインを有する。
【0066】
本発明の他の態様に従い、組織酸素投与を検出するための方法及び装置を提供する。前記方法は、第1の近赤外波長帯において組織により反射される放射線に応答して第1の信号を生じさせ、第2の波長帯におけるデオキシヘモグロビンの吸収係数に対するオキシヘモグロビンの吸収係数の比率が前記第1の波長帯における比率と異なるように選択された第2の近赤外波長帯において前記組織により反射された放射線に応答して第2の信号を生じさせることを含む。前記第1及び第2の信号は、前記組織の酸素投与画像を生じさせる使用のために操作可能である。前記装置は、前記第1及び第2の信号をそれぞれ生じさせるように操作可能である第1及び第2の検出器を含む。
【0067】
この点に関して、癌性細胞はその急速成長のために増大した酸素消費によって引き起こされる低酸素症を示し、このためオキシヘモグロビンより多量のデオキシヘモグロビンを含む。したがって、前記信号は、デオキシヘモグロビンの吸収係数に対するオキシヘモグロビンの吸収係数の比率が異なる2つの波長帯に応答して発生されるため、癌性細胞は、他の波長帯におけるより前記波長帯の1つにおいて正常組織に関して異なる強度で反射する傾向がある。これは、所望の場合、癌領域が明るくなる前記組織の酸素投与画像を生じさせ、診断の正確性を増大させるように組み合わされることを可能にする。実際、一つのみで取り出されるこれらの信号の一方は酸素投与画像を生じさせるように用いることができるが、それは、前記したように、前記2つの信号の組み合わせが幾何学的要因のために補正しまたは正規化するように役立つようにすることは望ましくはない。
【0068】
加えて、ヘム蛋白質すなわちオキシヘモグロビン及びデオキシヘモグロビンが近赤外波長で反射スペクトルを支配する傾向にあることに特に言及する。したがって、2つの異なる近赤外波長帯において前記組織により反射された放射線に応答して信号を生じさせることは、他の組織の発色団が反射スペクトルを支配し又はこれに寄与する可視波長のような他の波長に応答して前記信号の一方又は双方が発生される場合、生じるであろう誤差の測定を最少にするようにする。
【0069】
前記第1及び第2の信号を生じさせることは、好ましくは、前記第1及び第2の近赤外波長帯において前記組織によって反射された放射線をそれぞれ第1の検出器及び第2の検出器に向けることを含む。これは、前記第1の近赤外波長帯において前記組織により反射された放射線として、デオキシヘモグロビンの吸収係数がオキシヘモグロビンの吸収係数より大きい近赤外波長帯において放射線を前記第1の検出器に向けることを含む。同様に、これは、前記第2の近赤外波長帯において前記組織により反射された放射線として、オキシヘモグロビンの吸収係数がデオキシヘモグロビンの吸収係数より大きい近赤外波長帯において放射線を前記第2の検出器に向けることを含む。前記装置は、前記した方法で前記放射線を向けるように構成された放射線指向システムを含む。
【0070】
このような実施例は、診断の正確性をより高める。例えば、デオキシヘモグロビンの吸収係数がオキシヘモグラビンの吸収係数より大きい例えば750−800nmのような近赤外波長帯において、低酸素症のためにより多くのデオキシヘモグロビンを含む癌性組織は正常な組織より暗く現れる。逆に、オキシヘモグロビンの吸収係数がデオキシヘモグロビンの吸収係数より大きい例えば800−900nmのような近赤外波長帯において、癌性組織は、これらが正常細胞より比較的少ないオキシヘモグロビンを含むとき、正常細胞より明るく輝いてみえる。したがって、2つのこのような波長における組織の反射を示す信号は、癌性組織と正常な組織との間でより大きいコントラストを与える酸素投与画像を生じさせるように組み合わせることができる。
【0071】
前記方法は、好ましくは、さらに、前記第1及び第2の信号に応答して前記組織の酸素投与画像を生じさせることを含む。これは、多色ディスプレイ装置の第1のカラーチャンネル入力に与えられる前記第1の信号を生じさせること、及び前記ディスプレイ装置の第2のカラーチャンネル入力に与えられる前記第2の信号を生じさせることを含む。前記装置は、前記酸素投与画像を生じさせるように構成されたプロセッサ回路を含み、該プロセッサ回路は、各カラーチャンネル入力に与えられる信号を生じさせるように構成される。
【0072】
例えば、デオキシヘモグロビンの吸収係数がオキシヘモグロビンの吸収係数より大きい第1の近赤外波長帯において前記組織による反射に応答して生じた信号のような前記第1の信号がカラーモニタの緑色チャンネル入力に与えられ、正常な組織が明るい緑色を現すのに対して癌性組織が暗く現れる緑色画像を生じさせる。同時に、オキシヘモグロビンの吸収係数がヘモグロビンの吸収係数より大きい第2の波長帯において反射に応答して生じた信号のような前記第2の信号がカラーモニタの赤色チャンネル入力に与えられ、癌性組織が明るい赤色を現すのに対して正常組織が暗く現れる赤色画像を生じさせる。このため、前記モニタ上のこれらの2つの画像の重なり合いにおいて、癌性組織は明るい赤色を現す。癌性ではないが幾何学的要因のために暗く現れる前記組織内の点は、緑色及び赤色の両色で暗く現れる。
【0073】
代わりに又は加えて、前記酸素投与画像を生じさせることは、前記組織内の各点について、前記点に対応する前記第2の信号の強度に対する前記点に対応する前記第1の信号の強度の比率に比例する輝度で照らされるマルチピクセルディスプレイ装置の対応ピクセルを生じさせることを含む。前記プロセッサ回路はこれを達成するように構成される。
【0074】
同様に、前記酸素投与画像を生じさせることは、前記組織の各点について、前記点に対応する第3の信号の強度が、前記点に対応する前記第2の信号の強度に対する前記点に対応する前記第1の信号の強度の比率に比例するように、前記第3の信号を生じさせ、また前記ディスプレイ装置の第3のカラーチャンネル入力与えられる前記第3の信号を生じさせることを含む。前記プロセッサ回路は、前記第3の信号を生じさせ、これらが前記第3のカラーチャンネル入力に与えられるように構成されている。
【0075】
前記装置は、好ましくは、第3及び第4の波長帯のそれぞれにおいて電磁放射線に応答して各信号を生じさせるように操作可能である第3及び第4の検出器を含む。
【0076】
この例において、前記放射線指向システムは、前記第3及び第4の波長帯において前記放射線を前記第3及び第4の検出器に向けるように構成されている。例えば、このような放射線指向システムは、本発明の先述した態様に関して前記した放射線指向システムと同様に構成された、第1、第2及び第3の部分反射装置及び反射装置を含む。
【0077】
本発明の他の態様に従い、組織の蛍光画像を生じさせるための方法、装置、コンピュータ読み取り可能の媒体及び信号を提供する。前記方法は、前記組織内の各点について、前記点の蛍光の強度に対する第1の近赤外波長における前記点の強度の比率に比例する前記点に対応する比率信号の強度のような比率信号を生じさせることを含む。前記方法は、さらに、前記組織の蛍光画像を生じさせるためのディスプレイ装置の入力に与えられる前記比率信号を生じさせることを含む。前記装置は、前記方法を実施するように構成されたプロセッサ回路を含む。前記コンピュータ読み取り可能の媒体は前記蛍光画像を生じさせるためのプロセッサ回路に指示するためのコードを提供し、同様に、前記信号は搬送波において具体化され、前記方法を実施するようにプロセッサ回路に指示するためのコードセグメントを含む。
【0078】
前記入力に与えられる前記比率信号を生じさせることは、マルチカラーディスプレイ装置の第1のカラーチャンネル入力に与えられる前記比率信号を生じさせることを含む。前記方法は、さらに、前記ディスプレイ装置の第2のカラーチャンネル入力に与えられる前記蛍光に応答して発生される蛍光信号を生じさせることを含み、同様に、前記ディスプレイ装置の第3のカラーチャンネル入力に与えられる第1の近赤外波長帯における反射率に応答して発生される近赤外反射率信号を生じさせることを含む。例えば、前記比率信号、前記蛍光信号及び前記近赤外反射率信号は、前記ディスプレイ装置の青色チャンネル入力、緑色チャンネル入力及び赤色入力信号にそれぞれ与えられる。
【0079】
本発明の他の態様に従い、組織の蛍光画像を生じさせるための方法、装置、コンピュータ読み取り可能の媒体及び信号を含む。前記方法は、マルチカラーディスプレイ装置の第1のカラーチャンネル入力に与えられる前記組織の蛍光に応答して発生される蛍光信号を生じさせ、前記ディスプレイ装置の第2のカラーチャンネル入力に与えられる第1の近赤外波長帯の前記組織の反射率に応答して発生される第1の近赤外反射率信号を生じさせ、また前記ディスプレイ装置の第3のカラーチャンネル入力に与えられる第2の近赤外波長帯において前記組織の反射率に応答して発生される第2の近赤外反射率信号を生じさせることを含む。前記装置は、前記方法を実施するように構成されたプロセッサ回路を含む。前記コンピュータ読み取り可能の媒体は、前記蛍光画像を生じさせるようにプロセッサ回路に指示するためのコードを提供し、また、同様に、前記信号は搬送波において実施され、前記方法を実施するようにプロセッサ回路に指示するためのコードセグメントを含む。
【0080】
前記入力に与えられる前記信号を生じさせることは、前記ディスプレイ装置の緑色チャンネル入力、赤色チャンネル入力及び青色チャンネル入力にそれぞれ与えられる蛍光信号、第1の近赤外反射率信号及び第2の近赤外反射率信号を生じさせることを含む。
【0081】
本発明の他の態様に従い、画像装置またはカメラにおける同じ検出器を用いて蛍光撮像及び反射率撮像の双方を実行するための方法及び装置が提供される。前記方法は、蛍光撮像及び反射率撮像の双方のためのマルチスペクトルチャンネルが像装置において検出器を分けること、ここの画像チャンネルのスペクトル応答で照明制御された組織レミタンス(remittance)スペクトルを回旋状にするにより各撮像チャンネルのための所望の検出スペクトルプロファイルを生じさせること、及び、コンピュータ制御により検出器のゲイン調整及び照明モードの切換を調整することを含む。
【0082】
また、さらなる態様に目を向けると、本発明は、a)光ビームを受け取るサイズの領域と、b)分離された光ビームと残りの光ビームとを提供するために前記光ビームの残りから前記光ビームの僅かな部分を分離し、また前記分離された光ビームを分光装置に伝えるために前記領域に配置されたビーム分離器と、c)それから画像を提供するために前記残りの光ビームを操作可能に受け取るように前記領域に配置された画像装置と、d)それからスペクトルを提供するために前記分離された光ビームを受け取るように前記ビーム分離器に光学的に接続された分光装置とを含む。いくつかの実施例において、前記分光装置が前記光ビームの外部に配置可能であり、また前記ビーム分離器が前記光ビームの小さい領域を途中で遮りかつこの小さい領域の方向を前記分光装置へ変えるように寸法を定められかつ配置された光線再指向装置を含むものとすることができ、前記光再指向装置は、前記光ビームにおいて前記光線再指向装置の配置に対応する前記残りの光ビームに小さい残像を与える。所望であれば、前記光線再指向装置及び前記小さい残像は実質的に前記光ビームの中央に配置することができる。
【0083】
前記光線再指向装置は、前記残りの光ビームから前記光線再指向装置に入射する全ての光を実質的に分離することができ、また前記分光装置の測定ポート、ミラー、プリズム、ライトガイド又はレンズからなるものとすることができる。前記ビーム分離器は、ビームスプリッタからなるものとすることができる。前記ビーム分離器は、前記ビームスプリッタが前記残りの光ビームに大きな残像を残さないような光ビームの大部分を遮るビームスプリッタとすることができ、前記ビームスプリッタは前記光ビーム中の実質的に約50%、80%又は90%を超える電磁放射線を前記撮像装置に伝え、また前記光ビーム中の実質的に約50%、20%又は10%を下まわる電磁放射線を分光装置に反射する。
【0084】
前記撮像装置は、CCD、強められたCCD、CID、CMOS、フォトダイオードアレイ及び光電子増倍管アレイのようなピクセレートされた(pixelated)検出器、又はフィルムカメラのようなピクセレートされていない(non−pixelated)検出器からなる。前記分光装置は、分光計、単一のチャンネル検出器が結合された走査モノクロメータ又はフーリエ変換タイプの分光計に基礎付けられた干渉計からなるものとすることができる。
【0085】
ある実施例では、前記ビームセパレータは、前記撮像装置と実質的に同じ像平面、前記撮像装置の実質的に前方でかつ前記撮像装置に隣接するか接触しないところ、又は前記撮像装置の後方に配置することができる。前記システムは、さらに、前記ビームセパレータの前方のレンズ又は湾曲したミラーのような第1の焦点調節エレメントと、前記ビームセパレータと前記撮像装置との間の第2の焦点調節エレメントを含むものとすることができ、前記第1の焦点調節エレメントと前記第2の焦点調節エレメントとは、前記ビームセパレータにおける実質的な第1の共役像と前記撮像装置における実質的な第2の共役像とを与えるように配置される。
【0086】
前記システムは、さらに、前記撮像装置からの像を表示するために前記撮像装置に操作可能に接続されたディスプレイ装置、又は前記分光装置からのスペクトル表示するために前記分光装置に操作可能に接続されたディスプレイ装置を含むものとすることができる。前記装置は、前記撮像装置からの画像及び前記分光装置からのスペクトルの双方を同時に表示するように操作可能である単一又は多数のディスプレイ装置とすることができる。また、前記システムは、さらに、サンプルから直接に前記光ビームを受け取るように寸法が定められた集光ポートと、前記領域に前記光ビームを伝えるために前記集向ポートと前記領域との間で操作可能に接続された光学リレーシステムとを含むものとすることができる。
【0087】
さらに、前記システムは、さらに、前記画像を複数の選択された波長領域画像に分離する複数の光選択エレメントを含む画像セパレータを含むものとすることができ、各選択波長領域画像は、前記光ビーム中の波長範囲の異なる波長領域に対応する。前記画像セパレータは、前記選択された波長領域画像を与え、また前記選択された波長領域画像を異なる撮像装置に向けるように異なる選択された波長領域をそれぞれ選択する複数の撮像ビームスプリッタを含むものとすることができる。前記異なる撮像装置は、異なる領域の単一の画像検出器又は多数の検出器からなるものとすることができる。前記撮像ビームスプリッタは前記光ビームに沿って直線的に配置することができ、少なくとも3つの異なる放射方向に前記選択された波長領域画像を反射させるように少なくとも3つの画像ビームスプリッタを配置されていてもよく、また前記異なる撮像装置は、前記選択された異なる波長の画像を受け取るように前記光ビームの周りに放射的に配置することができる。前記撮像ビームスプリッタは、前記撮像ビームスプリッタの第1のサブセット(sub−set)が第1のセットの選択された波長領域画像を第1の方向に向け、前記撮像ビームスプリッタの第2のサブセットが、第2のセットの選択された波長領域画像を前記第1の方向から実質的に180°離れ得る第2の方向に向けるように、交互に配置することができる。
【0088】
前記撮像ビームスプリッタは、全ての所望の波長領域を選び出し、又は非選択の波長領域画像を提供するために非選択の異なる波長領域、所望のほとんど1つを選び出すことでき、前記画像セパレータは、さらに、前記非選択波長領域画像を直接に受け取るように前記光ビーム中で前記撮像ビームスプリッタの後方に配置された撮像装置を含む。前記異なる波長領域は、青色に至る少なくとも2つの紫外線と、可視光と、近赤外光と、赤外線とを含むものからなるものとすることができる。前記ディスプレイ装置は、前記青色に至る少なくとも2つの紫外線、前記可視光、近赤外光及び赤外線から選択された少なくとも2つの画像を同時に表示するように前記画像セパレータに操作可能に接続されたものとすることができ、また前記分光装置からのスペクトルを同時に表示することができるものとすることができる。
【0089】
前記システムは、さらに、前記撮像装置に操作可能に接続されたコントローラと前記分光装置とを含むものとすることができ、また前記撮像装置及び前記分光装置を制御し、所望であれば異なる波長領域の選択及び表示を制御するコンピュータ実行プログラミングを含む。
【0090】
他の態様において、本発明は、分光装置のための集光エレメントを有する実質的に同一平面上に配置された画像検出器を含む画像及びスペクトル検出システムを提供し、前記画像検出器及び前記集光エレメントは共に光ビームを受け取るように寸法が定められている。前記画像検出及び前記集光エレメントは例えば並べて配置することができ、前記集光エレメントは前記画像検出器に取り囲まれるように配置することができ、前記集光エレメントは実質的に前記画像検出器の中央に配置することができ、前記集光エレメントは前記画像検出器のすぐ後方に配置される分光装置のための測定ポートとすることができ、前記集光エレメントは離れた位置に配置された分光装置に集光を伝えるライトガイドの入力端部とすることができ、前記集光エレメントは離れた位置に配置された分光装置に集光を伝える焦点調節エレメントとすることができ、あるいは前記集光エレメントは離れた位置に配置された分光装置に集光を伝えるミラーとすることができる。さらに、前記撮像装置はスペクトルを決定することができるものとし、また前記集光エレメントはスペクトル決定の専用化された前記撮像装置の一部を含むことができる。前記画像検出器は前記光ビームを受け取る領域を有するものとすることができ、また前記集光エレメントは前記画像検出器の領域の約5%又は3%より少ないものとすることができる。
【0091】
さらに他の態様において、本発明は、原画像の異なる波長領域に対応する複数の画像を提供することができる撮像システムを提供する。前記撮像システムは、光ビーム通路と該光ビーム通路に配置された複数の撮像ビームスプリッタとを含む画像セパレータを含むものとすることができ、各撮像ビームスプリッタは対応する異なる選択波長領域画像を提供するために前記原画像の異なる選択波長領域を探し出し、また異なる撮像装置に前記異なる選択波長領域画像を向ける。前記システムは、さらに、前記異なる撮像装置から少なくとも1つの前記異なる選択波長領域画像を表示するように操作可能に接続された少なくとも1つのディスプレイ装置を含むものとすることができる。
【0092】
さらに他の態様において、本発明は、ここに記載した装置、システム及びこれらと同様のものを作り、使用する方法を提供する。例えば、前記方法は、a)ビームセパレータを通して、分離された光ビームおよび残りの光ビームを提供するために前記残りの光ビームから前記光ビームの小さい部分を分離すること、b)前記ビームセパレータに光学的に接続された分光装置に前記分離された光ビームを伝えること、及びc)前記残りの光ビームを受け取り、ここから画像を提供するように光学的に接続された撮像装置に残りの光ビームを伝えることを含む。前記方法は、さらに、前記分光装置からのスペクトルと前記撮像装置からの画像とをディスプレイ装置に表示し、また所望であれば、前記光線再指向装置を通して、前記光ビーム中の前記光線再指向装置の位置に対応する前記残りの光ビーム中に小さい残像を加えることを含むようにすることができる。前記小さい残像は前記光ビームの中央又は所望の位置に実質的に加えることができる。
【0093】
また、前記方法は原画像の異なる波長領域から得られた複数の画像を提供することができ、前記方法は、a)光ビーム通路内に配置された複数の撮像ビームスプリッタを含む画像セパレータ内の前記光ビーム通路に沿って前記原画像を搬送する光を通すこと、b)選択された波長領域画像を提供するために前記撮像ビームスプリッタを通して前記原画像の異なる選択波長領域を選択すること、及びc)前記選択された波長領域画像を異なる撮像装置に向けることを含む。
【0094】
さらに他の態様において、本発明は、ここに、種々のシステム、特徴、装置、方法等のミーンズ・プラス・ファンクション及びステップ・プラス・ファンクションの実施例を提供する。
【0095】
これらの及び他の態様、特徴及び実施例が、次の詳細な説明及び添付の図面を含むこの出願において明らかにされる。本発明は種々の態様、特徴及び実施例を含み、このような多くの態様、特徴及び実施例は任意の所望の方法で組み合わせまた変更することが可能である。加えて、ここで、関連出願の相互参照において、ある構成、装置、方法又は他の情報を議論することを含んで種々の関係が明らかにされ、全てのこのような関係はそのまま、また全てのそれらの教示及び開示について、前記関係がこの出願に表れるにも拘らず、ここに参照により組み込まれている。
【0096】
本発明の他の態様及び特徴は、添付図に関連して本発明の特別な実施例の次の記載を吟味することにより、当業者に明らかとなろう。
【0097】
本発明の実施例が図面に示されている。
【0098】
詳細な説明
本発明は、所与の対象又はサンプルの高質の画像及びスペクトルの双方を同時に提供するシステム、装置及び方法に向けられており、スペクトル決定のために光ビームから離された光は画像の質を著しく損ねないために、また、所望の場合には、一般の光学装置にねらいをつけ及び前記スペクトルが得られる正確な場所を決定するために有用な目的の指針を提供する。所望の場合、前記システムは、例えば前記サンプル及び/又は異なるスペクトルから放射する異なる波長領域の光に関する多数の画像を提供することができる。前記システム及び方法は、望遠鏡、顕微鏡、カメラ、内視鏡及び他の画像装置のような光学システムに有利に使用可能である。
【0099】
前記装置は、サンプルから放射する光ビーム(例えば蛍光又は反射率にもとづく)を受け取る領域を有する。前記領域内に、前記光ビームの一部を光学装置に向け、前記光ビームの残りを撮像装置に通すビームセパレータがある。典型的には、前記撮像装置は前記光ビーム中に直接に維持され、前記分光装置は前記光ビームの外部に配置されるが、両者を前記光ビーム外に維持することができ、前記撮像装置は前記光ビームの外部に配置することができ、あるいは、所望により、他の配列をすることができる。前記分光装置は、単一のチャンネル検出器に連結された走査型モノクロメータ、フーリエ変換型の分光計に基礎をおく干渉計、又は他の所望の装置のような、前記光ビームからスペクトルを与えることができる任意の所望の装置とすることができる。同様に、前記撮像装置は、CCD、強化されたCCD、CMOS、CID(charge injection device)、フォトダイオードアレイ、光電子像倍管又はフィルムカメラのような非ピクセレート装置のようなピクセレート撮像装置のような任意の所望の撮像素子からなるものとすることができる。
【0100】
図1を参照すると、多数の測定装置での電磁放射線の同時測定を容易にするための装置が、本発明の第1の実施例に従い全体に符号20で示されている。装置20は、電磁放射線ビーム28の第1の及び第2の隣接する光線のグループ24,26が第1及び第2の測定装置30,32のそれぞれによる受け取りのために向けられるように配置可能であるビーム指向装置22を含む。
【0101】
システム
図2を参照すると、電磁放射線測定システムが全体に符号40で示されている。システム40は、本発明の第2の実施例に従い、多数の測定装置による電磁放射線の同時測定を容易にするための装置42を含む。システム40は、この実施例では分光計48とこの実施例では電荷結合装置(CCD)カメラ50である撮像装置とをそれぞれ含む第1及び第2の測定装置44,46を含む。装置42は、電磁放射線ビーム58の光線の第1及び第2の隣接するグループ54,56がそれぞれ第1及び第2の測定装置44,46による受け取りのために向けられるように配置可能であるビーム指向装置52を含む。
【0102】
システム40は、さらに、この実施例では、モニタ45を含む汎用コンピュータ43の内部に収容され又はその外部に置かれたプロセッサ回路41を含む。プロセッサ回路41は分光計48と通じており、また前記分光計によって測定されたスペクトルの図形表現をモニタ45上に表示するようにプログラムされ又は構成されている。
【0103】
プロセッサ回路41は、また、RGBフレームグラバー47と通じ、CCDカメラ50を制御するためのカメラ制御電子装置49と通じている。通常、前記カメラ制御電子装置はCCDカメラ50内の4つの個々のCCD検出器領域を制御するように働き、後に詳述するように、この制御は、これらの信号を同調させかつこれらのゲインを調整することにより行う。また、カメラ制御電子装置49は、個々のCCDからRGBカラーフレームグラバー47へ信号を伝え、前記フレームグラバーは、このような信号をデジタル化し、デジタルカラー画像を表すデータをプロセッサ回路41に伝える。前記プロセッサ回路は、追加的に、前記CCDカメラで測定されたカラー画像を表示するために使用されるカラーモニタ51と通じている。
【0104】
さらに、プロセッサ回路41は、この実施例では電磁放射線プロバイダ53である、蛍光及び反射率画像のための照明放射線を発生させるための装置と通じている。電磁放射線プロバイダ53は、この実施例では内視鏡59を含む視認装置57に光ファイバ束55を通して照明電磁放射線を与える。光ファイバ束55は、システム40によって視認される対象63に前記照明放射線を向けるため、内視鏡59を経て伸びている。この実施例では、対象63は、人間又は動物の組織及び臓器を含む。しかし、より一般的には、請求の範囲を含むこの明細書を通じて、用語「対象」は、システム40によって撮像され又は測定され、視認される何者かを意味するように光学的センスにおいて用いられている。
【0105】
プロセッサ回路41は、さらに、所望のときにビーム58の通路の内部又はその外部にビーム指向装置52を移動させるように操作可能である運動機構61と通じている。前記運動機構は、例えばソレノイド又はモータを含む。代わりに、ビーム指向装置52がビーム58の通路内に永久的に固定されるものとすることができる。
【0106】
カメラモジュール
図2及び3を参照すると、この実施例では、ビーム指向装置52は、第1の測定装置44による受け取りのために光の第1のグループ54を指向させるように配置可能である。これを達成するため、ビーム指向装置52は、光の第2のグループ56が反射面60を迂回することを可能にする間にビーム58からの光の第1のグループ54を反射するようにビーム58中に配置可能である反射面60を含む。
【0107】
この実施例では、装置42は、さらに、ビーム指向装置52を配置可能であるハウジング62を含む。前記ハウジングは、内視鏡59の画像チャンネル66から電磁放射線ビーム58を受け取り、またビーム58をビーム指向装置52に向けるように構成された入力ポート64を有する。画像チャンネル66は、内視鏡59の接眼レンズ68を通して入力ポート64に一端部において取り付けられたコヒーレントな光ファイバ束67を含む。前記コヒーレントな光ファイバ束67の反対側の端部は、内視鏡59を経て対象63に近いその先端部69へ伸びている。しかし、代わりに、前記画像チャンネルが内視鏡59内に剛的な光学通路を含むようにしてもよい。
【0108】
この実施例では、ハウジング62が、第1の測定装置44又はより詳細には分光計48に光の第1のグループ54を与えるための第1の測定ポート70を有する。したがって、ビーム指向装置52は、入力ポート64からビーム58を受け取り、光の第1のグループ54を第1の測定ポート70に向けるように、前記ハウジング内に配置することができる。
【0109】
この実施例の装置42は、また、光の第1のグループ54を第1の測定ポート70に焦点を合わせるためにハウジング62内に配置可能であるレンズ71を含む。
【0110】
この実施例では、CCDカメラ50及び運動機構61もまたハウジング62の内部に収容されている。
【0111】
ビーム指向装置
図2及び3を参照すると、前記ビーム指向装置が図3の符号52で拡大して詳細に示されており、また取り外し可能のミラー72を含む。取り外し可能のミラー72は、透明なガラスプレート74を含む。この実施例では、反射面60がガラスプレート74の中央領域76に反射コーティングを含む。より詳細には、この実施例では、前記反射コーティングは、ここに入射した電磁放射線の可視及び近赤外の波長のほぼ100%を反射する。中央領域76から離れた反射表面60を有し、ガラスプレート74の残りは、電磁放射線の透過をほぼ100%にまで増大させるために反反射コーティングで被覆されている。
【0112】
この実施例では、反射面60は、取り外し可能のミラー72が入射電磁放射線ビーム58に対して45°の傾斜で配置されているとき、反射されたビーム54が円形の横断面を有するように楕円形状である。
【0113】
代わりに、他のタイプのビーム指向装置を用いることができる。例えば、反射面60は、取り外し可能のミラー72の中央部にある必要はない。より一般的には、他のタイプの反射面又は他のタイプのビーム指向装置を置き換えて、第1及び第2の近接した光のグループ54,56が、第1及び第2の測定装置44,46による受け取りのために向けられるようにすることができる。
【0114】
CCDカメラ
図2及び図4を参照すると、前記撮像装置、すなわちより詳細には前記CCDカメラが図4に全体に符号50で示されている。この実施例では、CCDカメラ50は、該カメラの個々の対応する検出器領域81に光の第2のグループ56における各波長範囲の入射放射線を向けるように構成された、全体に80で示された放射線指向システムを含む。より詳細には、放射線指向システム80は、CCDカメラ50における4つの対応検出器領域82,83,84,85にそれぞれ4つの波長範囲の前記入射放射線を向けるように構成されている。この実施例における検出器領域82,83,84,85は、この実施例ではそれぞれ電荷結合素子からなる第1、第2、第3及び第4の検出器86,87,88,89を含む。しかし、これに代えて、例えば単一のCCDのことなる領域のような他のタイプの検出器領域とすることができる。
【0115】
図4を参照すると、この実施例では、前記放射線指向システム80は、第1の部分反射装置90と、第2の部分反射装置92と、第3の部分反射装置と、反射器95とを含む。第1の部分反射装置90は、第1の波長範囲の前記入射放射線を反射し、他の波長のものを伝え又は透過させるように配置可能である。より詳細には、第1の部分反射装置90は、500nm以下の波長を有する電磁放射線すなわち青色及び短波長の放射線を第1の検出器領域82に反射し、500nmより大きい波長のものを第2の部分反射装置93に向けて透過させるダイクロックミラー又は2色ミラーを含む。
【0116】
第2の部分反射装置92は、第1の部分反射装置90により伝えられた第2の波長範囲の放射線を第2の検出器領域83に反射し、他の波長のものを透過させるように配置可能である。より詳細には、この実施例では、第2の部分反射装置92は、600nm以下の波長を有する電磁放射線を反射し、600nmより長い波長を有する放射線を透過させるダイクロクロックミラーを含む。
【0117】
第3の部分反射装置94は第2の部分反射装置92により伝えられた第3の波長範囲の放射線を第3の検出器領域84に反射し、他の波長のものを透過させるように配置可能である。より詳細には、この実施例では、第3の部分反射装置94は、800nm以下の波長を有する電磁放射線を反射し、800nmを超える波長を有する放射線を透過させるダイクロニックミラーを含む。
【0118】
反射器95は、第3の部分反射装置94により伝えられた放射線を第4の検出器領域85に反射するように配置可能である。
【0119】
したがって、図4及び図6を参照すると、第1、第2及び第3の部分反射装置90,92,94と反射器95との効果は、500nmより短い波長を有する「青色」電磁放射線を第1の検出領域82に向け、500及び600nm間の波長を有する「緑色」放射線を第2の検出領域83に向け、600nmおよび800nm間の波長を有する「赤色」及び近赤外放射線を第3の検出器領域84に向け、また800nmより長い波長を有する近赤外放射線を第4の検出器領域85に向けることである。これは、図6に示すようなスペクトル応答を有する4つの画像チャンネル、青色(B)、赤色/近赤外(R)及び近赤外(R1)に導く。このため、対象63が電磁放射線プロバイダ53により照らされるとき、前記対象からの放射線が前記検出器で受け取られる。より詳細には、放射線指向システム80が、前記対象からの各波長の放射線を複数の検出器に向け、前記対象からの放射線が回旋状にされている、図6に示すスペクトル応答を前記検出器のそれぞれのために規定するように構成されている。前記カメラのこの光学的構成は、図9に示す電磁放射線プロバイダ53と共に用いられるとき、同じ検出器を用いた蛍光撮像及び反射率撮像の双方の性能を促進する。
【0120】
図4を参照すると、この実施例では、CCDカメラ50はさらに複数のレンズ及びフィルタを含む。例えば、第1、第2、第3及び第4のレンズ96,98,100,101は、放射線指向システム80から受け取った放射線をそれぞれ第1、第2、第3及び第4の検出器領域82,83,84,85に焦点を合わせるように構成されている。
【0121】
図4を参照すると、この実施例では、放射線指向システム80は、さらに、第2の部分反射装置92と第2の検出器領域83との間におかれた、無視することができる帯域外伝送特性を有するバンドパスフィルタ104を含む。より詳細には、バンドパスフィルタ104は、500及び600nm間の放射線を伝え、またこの波長範囲外の放射線の105の一部より少なく伝える緑色バンドパスフィルタからなる。バンドパスフィルタ104は、白色光の反射率撮像のためのCCDカメラ50の性能を損ねることなしに、反射された励起光及び近赤外線により導入され得る測定誤差を回避することにより蛍光撮像の正確性を促進する。
【0122】
同様に、この実施例では、前記放射線指向システムは、第3の部分反射装置94と第3の検出領域84との間におかれた、無視できる帯域外伝送特性を有するバンドパスフィルタ106を含む。より詳細には、前記バンドパスフィルタは、600nm及び800nm間の放射線を伝え、この波長範囲外の放射線の105の一部以下を伝える赤色−近赤外バンドパスフィルタからなる。バンドパスフィルタ106は、白色光反射率撮像のためのCCDカメラ50の性能を損ねることなしに、反射された励起光又はこのバンド外の他の光により導入され得る測定誤差を回避することにより600から800nmの波長帯における赤色/近赤外画像収集の正確性を促進する。
【0123】
同様に、この実施例では、前記放射線指向システムは、反射器95と第4の部分検出領域85との間におかれた、無視できる帯域外伝送特性を有するバンドパスフィルタ108を含む。より詳細には、バンドパスフィルタ108は、800nm及び900nm間の放射線を伝え、この波長範囲外の放射線の105分の1以下を伝える近赤外バンドパスフィルタからなる。このバンドパスフィルタは、反射された励起光又はこの波長帯外の他の光により導入され得る測定誤差を回避することにより800から900nmの波長帯における近赤外画像収集の正確性を促進する。
【0124】
バンドパスフィルタ104,106,108は、前記第1、第2及び第3の部分反射装置それ自体により与えられるものを超える増大された色分解を与える。このような増大された色分解は、特に、この実施例において有利であり、CCDカメラ50は反射及び蛍光撮像の双方のために用いられる。対照的に、白色光反射率撮像のために用いられた従来のRGBカラーCCDカメラは、例えば、典型的には、第2の検出領域83で生じた蛍光画像並びに第3及び第4の検出領域84,85で生じた赤色/近赤外反射率画像における測定誤差を非常に増大させる、10%の高さの帯域外伝送特性を有する。このため、フィルタ104,106,108の無視することができる帯域外伝送特性は、従来のRGBカメラがこの目的のために使用されたならば生じるであろう重大な測定誤差なしに、CCDカメラ50が白色光反射率撮像及び蛍光/近赤外線反射率撮像の双方に使用されることを可能にする。代わりに、レンズ又はフィルタの他の組み合わせを用いることができ、あるいはこのようなレンズとフィルタとが除かれ、潜在的には低画像品質及び増大した測定誤差の結果に終わるかもしれない。
【0125】
この実施例では、前記したCCDカメラ50が、3つの撮像態様、すなわち1)従来の白色光反射率撮像、2)蛍光撮像、及び3)近赤外線反射率撮像をよくするように設計される。
【0126】
近赤外線反射率撮像としてここに言及した第3の撮像態様は、さらに診断の正確性の改善を見た上で血流量及び組織の酸素投与状態を評価するように設計された新しい撮像態様である。
【0127】
図5を参照すると、前記近赤外線波長における比較的大きい組織の発色団(オキシヘモグロビン(HbO2)、デオキシヘモグロビン(Hb)、及び水(H2O))の吸収スペクトルが全体に符号110で示されている。水の吸収スペクトル111は、700nm及び900nmの間では比較的平坦であり、920nm以後では鋭く上昇し、980nmで最大になる。オキシヘモグロビンの吸収スペクトル112は、700nmから始まる波長で次第に増大し、約900nmで最大値に達する。デオキシヘモグロビンの吸収スペクトル114は、760nmで最大値を有し、900nmまで減少する。オキシヘモグロビン及びデオキシヘモグロビンの吸収係数又は吸光係数は800nmにおいて等しい(等濃度点)。
【0128】
癌性組織と正常な組織との間の酸素投与の相違を視覚化するため、この実施例では、電磁放射線プロバイダ53の文脈において後に詳述するように、前記組織が近赤外線で照らされる。2つの明らかな近赤外線波長帯が前記組織の近赤外線反射率撮像のために選択され、750nmから800nmの第1の近赤外線波長帯116ではデオキシヘモグロビンの吸収がオキシヘモグロビンのそれより高く、また800nmから900nmの第2の近赤外線波長帯118ではオキシヘモグロビンの吸収がデオキシヘモグロビンのそれより高い。水の吸収は、第1及び第2の赤外線波長帯116,118においてほとんど一定である。癌性組織は、低酸素症のため、正常な組織と比べてオキシヘモグロビンより多くのデオキシヘモグロビンを含み、したがって第1の近赤外線波長帯116の前記組織の画像においては、癌性組織は正常な組織より暗く現れる。対照的に、第2の近赤外線波長帯118における前記組織の画像においては、癌性組織が正常組織より明るく現れる。
【0129】
本発明のこの実施例は、前記組織のこのような画像が生じることを可能とする。より詳細には、CCDカメラ50、放射線指向システム80及びバンドパスフィルタ106,108の前記構成のため、CCDカメラ50は組織の酸素投与状態を検出するための装置として働き、この装置は、第1の近赤外線波長帯116において組織により反射される放射線に応答して第1の信号を生じさせるように操作可能である第1の検出器(すなわち第3の検出器88)と、第2の近赤外線波長帯118において前記組織により反射される放射線に応答して第2の信号を生じさせるように操作可能である第2の検出器(すなわち第4の検出器)と含み、これは、前記第2の波長帯におけるデオキシヘモグロビンの吸収係数に対するオキシヘモグロビンの吸収係数の比が、前記第1の波長帯における比とは異なるように選択され、前記第1及び第2の信号は前記組織の酸素投与画像を生じさせる際の使用のために操作可能である。
【0130】
これらの信号は、次に、例えば前記組織の緑色画像を生じさせるために第3の検出器88により発生される信号を使用し、また前記緑色画像の上に重ねられる赤色画像を生じさせるために第4の検出器89により発生される信号を使用することにより組み合わされる。このような組み合わせは、正常な組織が明るい緑色を現しやすく、他方癌性組織が明るい赤色を現しやすいように、正常な組織から癌性組織を非常に明確に区別する。
【0131】
代わりに、前記第1及び第2の近赤外線波長帯の前記組織の反射情報を組み合わせる他の方法を用いることができる。加えて、前記した第1及び第2の近赤外線波長体の選択は癌性及び正常な細胞間の最適な区別を生じさせるように働くが、代わりに、1つのバンドにおけるデオキシヘモグロビンに対するオキシヘモグロビンの吸収係数の比が他におけるそれと異なる場合には、任意の他の2つの適当な近赤外線波長帯を用いることができる。好ましくは、オキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビン以外の発色団の吸収から結果として生じる明らかな測定誤差を回避するため、水の吸収係数は2つの近赤外線波長帯においておよそ等しくあるべきである。
【0132】
2つよりよりもむしろ1つのみの近赤外線波長帯における組織の反射をみることが可能であろうが、本実施例における前記第2の近赤外線波長帯が幾何学的要因のための正規化又は補正を可能とするように、これは好ましいものではない。
【0133】
例えば、前記組織内の所与の点が第1の近赤外線波長帯において暗く現れるであろう少なくとも2つの選択的理由がある。一方では、前記組織は前記点において病的であるか又は異常であり、したがって低酸素症を示している。しかし、他方では、前記組織は正常であるが、単に前記組織の他の点よりも前記内視鏡の先端部から離れているか、又は前記組織のその点からの光が、例えば湾曲した組織表面、くぼみ、ポリープ、又は前記組織表面に関する前記内視鏡の角度のような部分的障害若しくは他の幾何学的要因により減じられていることがある。単一の波長帯における領域の反射強度からこのような暗領域の原因を決定することは不可能である。
【0134】
しかし、異常又は病的な組織は第1の近赤外線波長帯116において正常な組織より低い反射率を有するが、このような病的な組織は第2の近赤外線波長帯118では正常な組織より高い反射率を有する。このため、幾何学的要因を正して正規化された酸素投与画像を生じさせるべく、本発明では、前記組織が第1及び第2の近赤外線波長帯116,118の第3及び第4の検出器88,89のそれぞれにより同時に観察される。先の実施例において、第3の検出器88により発生された信号は緑色画像を生じさせるように使用され、第4の検出器89により発生された信号は赤色が像を生じさせるように使用され、幾何学的要因のためにのみ前記緑色画像において暗く現れる任意の正常な組織は、幾何学的要因が典型的に波長に依存しないように、前記赤色画像においても暗く現れる。しかし、癌性であるために前記緑色画像で暗く現れる組織は、癌性組織の酸素投与及び前記第2の近赤外線波長帯におけるデオキシヘモグロビンの低吸収係数のため、前記赤色画像において明るく現れる。
【0135】
前記した近赤外線反射率撮像の態様における前記第3及び第4の検出器の効用に加えて、これらの検出器は前記蛍光撮像の態様における改善をも可能にする。より詳細には、蛍光画像は、可視波長と比べて近赤外線波長での正常及び病的な組織の反射率のより大きい類似性のため、蛍光画像を正規化するために本発明により先に使用された可視赤色光反射率画像よりもこの目的のためにより適している近赤外線反射率画像を用いる幾何学的要因のために正規化又は補正される。
【0136】
前記蛍光画像の正規化のための概念的基礎は、前記近赤外線反射率態様に関して前記したそれに類似する。正常な組織より非常に低い強度を有する異常又は病的な組織の蛍光、また、このため病的な組織は、蛍光画像において暗く現れる。また、正常な組織は、幾何学的要因のために蛍光画像において暗く現れる。しかし、病的な組織は、正常及び異常な組織の前記近赤外線反射率強度間の違いが、正常及び異常な組織の前記蛍光放射強度間の違いよりも非常に小さいように、正常組織の強度と幾分類似する強度で前記近赤外放射線を反射する。したがって、幾何学要因を補正するために前記蛍光画像を正常化すべく、本発明の実施例では、前記組織が、該組織に蛍光を引き起こすために青色光で、また前記組織の近赤外線反射率画像を生じさせるために750nmより長い近赤外線で同時に照らされる。このような照明放射線を生じさせることは、さらに、電磁放射線プロバイダ53の文脈において後に詳述する。
【0137】
図4に戻ってこれを参照すると、CCDカメラ50、放射線指向システム80及びフィルタ104,106,108は、前記組織により放射された蛍光性の放射線が第2の検出器87で受け取られ、他方、前記組織により反射された750および800nm間の近赤外線が第3の検出器88で受け取られ、また前記組織により反射された800および900nm間の近赤外線が第4の検出器89で受け取られることを可能にしている。第4の検出器89により発生された前記信号は、表示画面上に前記組織の可視赤色画像を生じさせるように用いられる。第2の検出器87により発生された前記信号は、前記赤色反射率画像上に重ねられた緑色蛍光画像を生じさせるように用いられる。このため、所与の点が前記内視鏡の先端部からずっと離れたところにあるため又は他の幾何学的要因のために前記所与の点が前記蛍光画像において暗い場合には、前記点はまた前記近赤外線反射率画像において暗く現れ、したがって、前記2つの緑色及び赤色画像の重ね合わせにおいて暗く現れる。しかし、前記組織における所与の点が異常又は病的であるために前記点が前記蛍光画像に暗く現れるときは、前記点は、前記近赤外線反射率画像に明るく現れ、このため前記重ね合わせの画像に赤色点として現れる。
【0138】
あるいは、第3の検出器88により発生された信号は前記蛍光画像を正規化するように使用される。もっとも、第4の検出器89により発生された前記信号は正常な組織から癌性組織への強度変化傾向として好ましい。これは、前記蛍光及び近赤外線反射率画像は、前記第4の検出器により発生された信号が使用される場合に逆方向になるからである。組織が正常から病的組織に変化するにつれて、その蛍光は減少するのに対し、第2の近赤外線波長帯118におけるその反射率は増大する。したがって、正規化のためには、第4の検出器89により発生された信号のほうが、前記第1の近赤外線波長帯の組織による反射率に応答して第3の検出器88により発生された信号より、癌性組織及び正常組織間のより良好な対照を与える。前記第1の近赤外線波長帯においては、正常から病的組織への移行が蛍光と同じ方向(強度が減少する)である。
【0139】
図7を参照すると、本発明の代わりの実施例において、放射線指向システム80は、各対応検出器領域に各波長範囲の入射放射線、すなわち第2の光グループ56を向けるように構成されたプリズムシステム119を含む。図4に示す実施例におけるように、好ましくはバンドパスフィルタ104,106,108が、最適な蛍光及び近赤外線反射率検出のために対応する検出器87,88,89の前方に配置されている。
【0140】
診断鋭敏度調整
図2及び4に戻ってこれらを参照すると、分光学による高診断特異性を達成する間に高診断鋭敏度画像を生じさせるための装置が、図2に全体に符号120で示されている。この実施例では、装置120はCCDカメラ50を含む。装置120は、各波長範囲の放射線を受け取るための少なくとも2つの検出器を含む。より詳細には、前記装置は、4つのそれぞれの波長範囲の放射線、すなわち前記した青色(B)、緑色(G)、赤色/近赤外(R)及び近赤外(R1)のそれぞれを受け取るための第1、第2、第3及び第4の検出器86,87,88,89を含む。
【0141】
少なくとも1つの検出器は、入力放射線に応答して対象63の最適画像を生じさせるために調整可能である選択的に調整可能のゲインを有する。より詳細には、この実施例では、各検出器86,87,88,89は、内視鏡59から受け取った電磁放射線に応答して、前記内視鏡により観察された組織の最適化された画像を生じさせるように調整可能である、調整可能のゲインを有する。
【0142】
この実施例では、装置120は、さらに、検出器86,87,88,89を収容し、また前記最適化された画像に現れる、対象63の1領域内の点すなわち前記組織からの入力放射線のスペクトルの測定を容易にするために分光計48に少なくともいくつかの入力放射線を与えるための第1の測定ポート70を有する。
【0143】
この実施例では、図2に示すプロセッサ回路41が、前記診断鋭敏度を選択的に調整するためにカメラ制御電子装置49を制御するようにプログラム又は構成されており、この実施例では、前記対象の改善された画像を生じさせるために検出器86,87,88,89の少なくとも1つのゲインを検出器86,87,88,89の他の少なくとも1つに関して調整することにより行われる。
【0144】
より詳細には、この実施例では、プロセッサ回路41は、近赤外線波長範囲のゲイン及び緑色波長範囲のゲインの少なくとも1つを選択的に調整するように構成され、所望の診断鋭敏度における対象63の蛍光撮像のための所望の近赤外対緑色のゲイン比、したがって所望の近赤外対緑色の信号比を生じさせる。
【0145】
このような選択的な診断鋭敏度の調整は、電磁放射線プロバイダ53に関して後に詳述するように、前記組織が励起及び近赤外成分で照らされる場合に特に有利である。励起システムにおいて、前記組織により放射された蛍光性放射線の強度が概して低いように、前記緑色のゲインが蛍光画像のために比較的高いものに設定される。赤色対緑色のゲイン比、したがって赤色対緑色の信号比が非常に低い場合は、潜在的に病的な領域が、前記重ね合わされた画像における赤色よりも暗く現れ、望ましくない「偽陰性」診断が結果として生じる。反対に、現存のシステムにおいて、それは、結果として非常に多くの「偽陽性」診断を生じさせる、赤色対緑色のゲイン比したがって赤色対緑色の信号比が非常に高くなることを回避し、正常な組織が緑色ではなく赤色に現れることを回避するために望ましいとみられてきた。しかし、本発明の実施例は、より高い診断特異性を達成するために同時蛍光分光を使用すべく、第1の測定ポート70を通して分光計48に電磁放射線ビーム58を与えることにより、この制限を効果的に除去する。したがって、第2、第3及び第4の検出器87,88,89の相対ゲイン関係の広い範囲は、以前に可能であったであろう場合よりも本発明の実施例において利用可能である。
【0146】
したがって、この実施例では、第4の検出器89からの信号が前記蛍光画像を正規化するために用いられ、プロセッサ回路41は、前記組織の改善された蛍光画像を生じさせるために予め定められたレベルに第2のすなわち緑色の検出器87及び第4の検出器89のゲインを選択的に調整するように構成されている。これらの予め定められたレベルが電磁放射線プロバイダ53の検出器86,87,88,89及び内視鏡59の特性に変化の程度で依存する。これらの予め定められたレベルは、特定のシステムのための改善された診断鋭敏度レベルに到達するため、ゲイン比を変えての統計的に多数の画像及び分光計テストを行い、また生検の結果を伴う各テストの結果を確認することにより、各システムにおいて経験的に定められる。あるいは、所望であれば、「特定の」システムのための予め定められたゲインレベルは、プロセッサ回路41により読み取り可能であるコンピュータ読み取り可能の記憶媒体の中に、装置120の製造者により貯蔵することができ、これにより、このような「特定の」予め定められたレベルが前記特定のシステムに特有の特性を必ずしも考慮に入れる必要はないが、このような経験的なテストを行う必要をなくす。
【0147】
同様に、この実施例では、プロセッサ回路41は、前記対象の白色光反射率撮像のための所望のカラーバランスを生じさせるために赤色、緑色及び青色の波長範囲ゲインを選択的に調整するように構成される。再度、このようなゲインは予め定められたレベルに設定され、これは前記特定のシステムの経験的テストによりより得ることができ、あるいは特定のシステムの先のテストに基づいてコンピュータと看取り可能の貯蔵媒体に貯蔵することができる。
【0148】
この実施例では、装置120は蛍光撮像、白色光反射率撮像及び近赤外線反射率撮像のために用いられる。したがって、この実施例では、プロセッサ回路41は、前記検出器の少なくとも1つ及び他の検出器の少なくとも1つにおけるゲインを前記対象の蛍光画像における目的の異常領域の表示性を高めるように第1のセットのゲインレベルに設定するように構成され、また前記ゲインを前記対象の白色光反射率画像における目的の異常領域の表示性を高めるように第2のセットのゲインレベルに設定するように構成される。この実施例では、蛍光撮像及び近赤外線反射率撮像は同時に実行され、このため、蛍光撮像のための前記ゲインもまた近赤外線反射率撮像のために用いられる。しかし、代わりに、前記プロセッサ回路は、前記ゲインを、前記対象の赤外線反射率画像における目的の異常領域の表示性を高めるために第3のセットのゲインレベルに設定するように構成される。
【0149】
分光計
図2及び8を参照すると、前記分光計が図8に全体に符号48で示されている。図2及び3に関連して前記したように、電磁放射線ビーム58の光の第1のグループ54が、反射面60及びレンズ71により、第1の測定ポート70に向けられている。この実施例では、光ファイバ束122の第1の開放端部121が、分光計48に光の第1のグループ54を与えるために第1の測定歩ポート70に接続されている。この実施例では、光ファイバ束122の第1の開放端部121における前記光ファイバが、レンズ71により第1の測定ポート70に結像するように反射面60の形状に対応して円形に配列されている。しかし、分光計48に接続されている光ファイバ束122の第2の開放端部123において、個々の光ファイバが直線的に再配列されている。
【0150】
この実施例では、前記光ファイバ束の直線的な第2の開放端部123が分光計48に入り、第1の測定ポート70から受け取った光を第2のレンズ124,125へ投射し、これらは直線的な第2の開放端部123を分光写真器127の入射スリット126に結像させる。加えて、フィルタ128が2つのレンズ124,125間に取り外し可能におかれている。この実施例において、フィルタ128は、475nmより長い電磁放射線を通し、また短波長において無視することができる伝送特性を有する。より詳細には、この実施例では、フィルタ128はGG475ショット(Schott)ガラスフィルタからなるが、他の適当なフィルタを代わりに用いることができる。
【0151】
フィルタ128は、内視鏡59での対象63の蛍光/近赤外線反射率撮像の間、前記2つのレンズの間におかれ、前記対象に蛍光を導入するために使用される短波長の励起放射線の反射を遮断する。前記対象の白色光反射率撮像のため、フィルタ128は前記2つのレンズの間の場所から取り除かれる。これを行うため、フィルタ128は、コンピュータ43のプロセッサ回路と通信するソレノイドスイッチと制御装置とを含み、これは、蛍光/近赤外線反射率分光のためにレンズ124,125間にフィルタ128を挿入するように、また可視反射率分光のために前記フィルタを取り除くように前記ソレノイドスイッチを制御する。代わりに、フィルタ128を取り除く他の手段を用いることができ、あるいは代わりに、可視反射率分光のみを希望する場合にはフィルタ128を取り除くことができ、あるいは蛍光/近赤外線反射率分光のみを希望するときは永久的に固定することができる。
【0152】
分光写真器127は、分光器48により受け取られる各波長における画像表示強度を生じさせるためのCCDアレイ検出器129と通信する。CCDアレイ検出器129は分光写真器からのスペクトル画像を捕らえ、高い信号対雑音比のスペクトルすなわち高SN比のスペクトルを与えるように前記画像を垂直に貯蔵する。CCDアレイ検出器129はコンピュータ43のプロセッサ回路41と通信し、これはモニタ45上にリアルタイムで前記スペクトルを表示するようにプログラムされている。
【0153】
電磁放射線プロバイダ
図2、9、10及び11を参照すると、蛍光及び反射率撮像のための照明放射線を発生するための装置が図9に全体に符号130で示されている。この実施例では、装置130は、図2に示す電磁放射線プロバイダ53を含む。電磁放射線プロバイダ53は、図9に全体に符号132示された光学システムを含み、これは、例えば蛍光/近赤外線反射撮像及び白色光反射率撮像のそれぞれのために図10に全体に符号138で示されまた図11に符号140で示された分光分布のような第1及び第2の分光分布を選択的に生じさせるように操作可能である。第1及び第2の光学サブシステム134,136を含む。図10に示す第1の分光分布138は、第1の光学サブシステム134から受け取った励起成分142と、第2の光学サブシステム136から受け取った近赤外線成分144とを含む。図11に示す第2の分光分布140は、第1の光学サブシステム134から受け取った白色光照明成分146を含む。
【0154】
励起成分だけが基本的な蛍光撮像に十分であるが、単一の短波長の励起周波数帯のみの使用は、それが撮像される組織の幾何学的配置を捕らえることに失敗するときは、不利であることがわかった。このため、この実施例では、蛍光撮像のために、CCDカメラ50の文脈において前記したように、幾何学的要因を補正すべく、図10に示すように、前記組織が励起成分142と近赤外線成分144とで同時に照射される。より詳細には、この実施例では、近赤外線成分144は、750nmおよび900nm間の近赤外線反射率周波数帯の放射線を含む。この追加の反射率周波数帯は、前記組織の2つの近赤外線反射率画像(750nm及び800nm間並びに800nm及び900nm間のそれぞれの第1及び第2の近赤外線波長周波数帯における)を生じさせるべく前記組織を照らすために使用され、同時に前記組織の蛍光画像を生じさせる。前記近赤外線反射率画像の一方は、次に、前記組織の幾何学的配列のための蛍光画像を補正又は正規化するために用いられる。前記2つの近赤外線画像は、また、組織の酸素投与状態を示す近赤外線反射率画像を表示するために、さらに前記したように診断の正確性の向上のために、使用される。
【0155】
本発明のこの実施例は、前記第1及び第2の光学的サブシステムのおかげで、先に存在するシステムよりもより大きい適応性を提供する。例えば、この実施例では、蛍光画像を正規化するための近赤外線成分の使用は、短い可視赤色波長におけるより正常及び異常な組織の近赤外線波長範囲の反射率スペクトルの類似性が大きいため、可視赤色正規化成分を採用するシステムと比べて、幾何学的要因の補正を高める。また、近赤外線成分144のような750nmより長い近赤外線の使用は、測定される450nmから750nmまでの範囲にある全波長範囲の蛍光スペクトルを可能とする。加えて、この実施例では、近赤外線成分144が第2の光学サブシステム136から受け取られるため、近赤外線成分144は第1の光学サブシステム134を経て進むことはなく、これにより、前記第1の光学サブシステムの要素に対する不必要な熱障害を回避する。代わりに、第1及び第2の光学サブシステムの使用は、前記励起及び正規化成分のための他の波長範囲の選択に大きい適応性または融通性を与え、先に存在するシステムとは対照的に、単一の光学フィルタの使用を準備する必要はない。
【0156】
加えて、第1及び第2の光学システム134,136が単一の光学システム132に提供されるため、蛍光及び反射率撮像は、内視鏡59に対して手動によって1光源の接続を断ち、また他のものに接続する必要なしに達成することができる。
【0157】
図9、10及び11を参照すると、この実施例では、第1の光学サブシステム134は白色光照明成分146と励起成分142とを受け取るように操作可能である。第1の光学サブシステム134は、蛍光撮像のための第1の操作モードにおいて励起成分142を伝えるように、また白色光反射率撮像のための第2の操作モードにおいて白色光照明成分146を伝えるように操作可能である。
【0158】
同様に、第2の光学サブシステム136は、近赤外線成分144を受け取るように操作可能である。第2の光学サブシステム136は、第1の操作モードにおいて前記近赤外線成分を伝えるように、また前記第2の操作モードにおいて前記近赤外線成分を遮断するように操作可能である。
【0159】
全体に、この実施例では、光学システム132はフィルタシステムを含む。より詳細には、この実施例では、第1の光学サブシステム134は、前記第1の操作モードにおいて他の波長を減ずる間に励起成分142を伝えるように操作可能であるフィルタ装置150を含む。フィルタ装置150は、前記第2の操作モードにおいて白色光照明成分146を伝えるように操作可能である。より詳細には、この実施例では、フィルタ装置150は、2つの交換可能であるフィルタ、すなわち、前記第1の操作モードにおいて励起成分142を伝えるための青色バンドパスフィルタ152と、前記第2の操作モードにおいて前記白色光照明成分を伝えるための、前記青色バンドパスフィルタと交換可能であるカラーバランスフィルタ154とを含む。
【0160】
より詳細には、前記第1の操作モードにおいて、前記第1の光学サブシステムにより受け取られる放射線の通路に青色バンドパスフィルタ152が配置される。この実施例では、青色バンドバスフィルタ152が400nmおよび450nm間の波長の電磁放射線を通し、励起成分142を提供する。青色バンドバスフィルタ152は、無視できる帯域外伝送特性を有し、400乃至450nmの波長帯外の電磁放射線の105分の1以下を透過させる。この青色伝送帯は、組織において蛍光放射を励起するのに適することが見出されており、また例えば紫外線と異なり、放射線を照射された組織に明らかな損傷を生じさせ乃至かし、代わりに、所望であれば、他の伝送波長及び帯域外伝送特性を選択することができる。したがって、前記第1の操作モードにおいて、フィルタ152は、第1の光学サブシステム134が該第1の光学サブシステムにより受け取られた放射線の励起成分142のみを透過させるようにする。
【0161】
前記第2の操作モードにおいて、第1の光学サブシステム134により受け取られた放射線の通路にカラーバランスフィルタ154が配置される。この実施例では、前記カラーバランスフィルタは、白色光照明成分146のような、400nmから700nmの範囲の可視光の平坦な分光分布を透過させ、白色光反射率画像のために前記組織を照らすための第2の分光分布140を提供するように設計される。カラーバランスフィルタ154は、無視できる帯域外伝送特性を有する。この平坦な分光分布を確保するため、カラーバランスフィルタ154が第1の光学サブシステム134により受け取られた放射線の特定のスペクトルを補償し、今度は使用されている特定の源148に依存するように設計されることが認められよう。代わりに、白色光反射率撮像のために前記組織の照明のための第2のスペクトル分布を提供すべく、他のタイプのカラーバランスフィルタを用いることができる。あるいは、さらなる選択として、前記第1の光学サブシステムにより受け取られた入力放射線の分光分布が前記組織の白色光反射率撮像のために既に適する場合には、前記カラーバランスフィルタを完全に省略することができる。
【0162】
図9を参照すると、この実施例では、第2の光学サブシステム136は、前記第1の操作モードにおいて他の波長を減ずる間に近赤外線成分144を透過させるように操作可能である、全体に符号162で示されたフィルタ装置を含む。フィルタ装置162は、前記第2の操作モードにおいて前記近赤外線成分を遮断するように操作可能である。
【0163】
より詳細には、この実施例では、フィルタ装置162は、2つの取り替え可能のフィルタ、すなわち前記第1の操作モードにおいて近赤外線成分144を透過させるための近赤外線ロングパスフィルタ164と、前記第2の操作モードにおいて前記近赤外線成分を遮断するための、前記ロングパスフィルタと交換可能である光ストッパ166とを含む。
【0164】
前記第1の操作モードにおいて、第2の光学サブシステム136により受け取られる入力放射線の通路に配置される。前記近赤外線ロングパスフィルタは、750nmより長い波長を透過させ、短波長において無視することができる伝送特性を有する。代わりに、所望であれば、他のタイプのフィルタ、例えば近赤外線バンドパスフィルタを前記第1の操作モードにおいて使用することができる。
【0165】
前記第2の操作モードにおいて、第2の光学サブシステム136により受け取られる入力放射線の通路に光ストッパ166が配置される。前記光ストッパは、第2の光学サブシステム136により受け取られる全ての波長を効果的に遮断する。代わりに、他のタイプの光ストッパ又はフィルタをこの目的のために使用することができる。
【0166】
図2及び9を参照すると、前記した第1及び第2の操作モードを切り換えるため、プロセッサ回路41が、図9に全体に符号156及び符号168で示した第1及び第2の切換装置と通信する。プロセッサ回路41は、第1の切換装置156を制御し、第1の光学サブシステム134により受け取られる入力放射線の通路における青色バンドパスフィルタ152及びカラーバランスフィルタ154の交換を行うようにプログラムされている。同様に、前記プロセッサ回路は、第2の切換装置168を制御し、第2の光学サブシステム136により受け取られる入力放射線の通路における近赤外線ロングパスフィルタ164及び光ストッパ166の交換を行うようにプログラムされている。前記第1及び第2の切換装置は、それぞれ、ソレノイドスイッチ158,170と、これらのソレノイドスイッチ158,170をそれぞれ作動させるための制御装置160,172とを含むものとすることができる。
【0167】
図2及び9をさらに参照すると、この実施例では、光学システム132が、さらに、第1及び第2の光学サブシステム134,136により透過される放射線を共通の光学通路175に沿って進むように向けるべく配置可能である、全体に符号173で示されたコンバイナを含む。
【0168】
より詳細には、この実施例では、コンバイナ173は、第1の光学サブシステム134により透過される放射線を前記通路に沿って進むように透過させ、また第2の光学サブシステム136により透過される放射線を前記通路に沿って進むように反射させるべく配置可能であるダイクロイック反射装置174を含む。この実施例では、前記ダイクロイック反射装置は、750nmより短い電磁放射線を透過させるが、750nmより長い放射線は反射する。このため、前記ダイクロイック反射装置は、第1の光学サブシステム134から受け取られた可視波長を通路175に沿うように透過させ、また第2の光学サブシステム136から受け取られた近赤外線波長を前記通路に沿うように反射させる。
【0169】
また、光学システム132は、第1及び第2の光学サブシステム134,136により透過された放射線を出口ポート178に焦点を合わせるように通路176に配置可能であるレンズ176を含む。より詳細には、この実施例では、出口ポート178は、第1の光学サブシステム134及び第2の光学サブシステム136により通された光を内視鏡59を経て対象63に伝えるため、図2に示す光ファイバ束55の開放端部を含む。
【0170】
図9を参照すると、装置130は、さらに、白色光照明成分146及び励起成分142を第1の光学サブシステム134に与え、また近赤外線成分144を第2の光学サブシステム136に与えるための、全体に符号148で示された少なくとも1つの電磁放射線源を含む。
【0171】
より詳細には、この実施例では、電磁放射線源148は、この実施例では約0.25mmのアークサイズを有する、米国コネチカット州ストラットフォードのオリール インスツルメンツ製の100W水銀アークランプ モデル6281からなるランプ180を含む。代わりに、単一の源が反射率及び蛍光画像の双方のために全ての必要な照明を与えることができることが望ましいけれども、キセノンアークランプ、ハロゲン金属ランプ若しくは任意の他の適当なランプ、又は他の放射源を用いることができる。アークランプが用いられる場合、好ましくは、この実施例においては0.25mmのアークサイズのランプ180のような小さいアークサイズを有し、このような小さいアークサイズは、小さい光ファイバ束への最終的な光の焦点合わせを容易にする。代わりに、前記ランプを完全に省略することができ、また装置130は存在する光源のスペクトル変更のための光学システムを提供することができるが、前記カラーバランスフィルタ(設けられている場合)は使用されているランプの特定のタイプに対応するように設計されることが望ましい。さらに選択として、少なくとも1つの電磁放射線源が、2以上の電磁放射源を含む。
【0172】
この実施例では、電磁放射原148が、さらに、楕円形状の反射鏡182を含む。ランプ180は楕円形状の反射鏡182の焦点に配置されている。
【0173】
図9、10及び11を参照すると、入力電磁放射線を受け取り、第1の光学サブシステムにより受け取られる白色光照明成分146及び励起成分142を反射し、また第2の光学サブシステム136により受け取られる近赤外線成分144を透過させるように操作可能であるビームスプリッタ184を含む。このため、この実施例では、ランプ180が、前記入力電磁放射線をビームスプリッタ184に与えるように操作可能である。ランプ180若しくはビームスプリッタ184のいずれか、又は双方が、光学システム132により受け取られる前記入力電磁放射線を生じさせるように配置可能である電磁放射線源の例とみることができる。
【0174】
より詳細には、ビームスプリッタ184はランプ180及び楕円形状反射鏡182から前記入力電磁放射線を受け取る。この実施例では、前記ビームスプリッタは、可視光は反射するが近赤外線は透過させるコールドミラーを含む。ビームスプリッタ184は、第1の光学サブシステム134により受け取られる、図11に示す白色光成分146及び図10に示す励起成分142の双方を含む可視光を反射するように配置されている。
【0175】
ビームスプリッタ184は、第2の光学サブシステム136により受け取られる、図10に示す近赤外線成分144を含む前記入力放射線の近赤外及び長波長を透過させる。より詳細には、この実施例では、光学システム132は、ビームスプリッタ184から近赤外線成分144を受け取り、また前記近赤外線成分を第2の光学サブシステム136に向け直すように配置可能である再指向装置188を含む。この実施例では、再指向装置188は光ファイバ束を含む。代わりに、再指向装置188は、符号189の縁取り鎖線で示すような液体ライトガイド又は他の適当な再指向装置を含む。
【0176】
光学システム132は、さらに、所望により、様々な追加の光学エレメントを含むものとすることができる。例えば、この実施例では、第1の光学サブシステム134は、レンズ190、又はより詳細にはビームスプリッタ184から受け取った前記入力放射線を平行にして、ダイクロイック反射装置174及びレンズ176に向けてフィルタ装置150に通すための平凸レンズを含む。同様に、第2の光学サブシステム136は、再指向装置188から受け取った前記入力放射線を平行にして、ダイクロイック反射装置174に向けてフィルタ装置162に通すためのレンズ192を含む。
【0177】
したがって、図9、10及び11を参照すると、この実施例では、光学システム132は、励起成分142のような、青色及び短波長を有する放射線を生じさせるように操作可能である。したがって、前記光学システムは、前記励起成分のような、この実施例では組織である対象63に蛍光を生じさせるのに十分に短い短波長成分を生じさせるように操作可能である。同様に、前記光学システムは、近赤外線成分144のような、前記対象の蛍光放射波長より長い長波長成分を生じさせるように操作可能である。この実施例では、前記蛍光放射波長は、典型的に、450nmから750nmの波長を含み、また、この実施例では、前記近赤外線成分は750nm以上の波長で発生される。
【0178】
図10に示すように、光学システム132は、前記蛍光放射線の検出を可能とすべく、前記短波長成分に応答して前記対象すなわち組織により放射される蛍光放射線の強度よりも十分に低い蛍光放射波長に強度を有する第1の分光分布138を生じさせるように操作可能である。より詳細には、この実施例では、前記第1の分光分布は蛍光放射波長に無視することができる強度、より詳細には、450および750nm間の無視可能の強度を有する。これは、蛍光放射波長における前記無視可能の強度がこれらの波長における反射率により生じる無視することができる測定誤差となるように、前記組織の全波長範囲の蛍光スペクトル測定を容易にする。
【0179】
したがって、図10に示すように、この実施例では、前記第1の分光分布は本質的に長短両波長成分からなり、短波長成分は本質的に約4と1/2×102nm及び約4×102nm間の波長を有する放射線からなり、また長波長成分は本質的に約7と1/2×102nm及び少なくとも約9×102nm間の波長を有する放射線からなる。したがって、この実施例では、緑色及び赤色蛍光放射波長における前記第1の分光分布の無視可能の強度は、前記組織の蛍光の強度の測定に測定誤差を導入するであろうこれらの波長における前記組織による反射を回避する。
【0180】
同様に、図9及び11を参照すると、光学システム132は、白色光照明成分のような可視光を生じさせるように操作可能である。
【0181】
操作
図2及び12を参照すると、プロセッサ回路41により実行される測定ルーチンが図12に全体に符号200で示されている。この実施例では、測定ルーチン200が、例えばハードディスク装置又はコンパクトディスクのような、プロセッサ回路41によりアクセス可能である図2に示すコンピュータ読み取り可能の貯蔵媒体202に貯蔵又は保存されている。代わりに、他の適当な媒体、あるいはプロセッサ回路に等価機能を実行するように指示するためのコード・セグメントを含む搬送波に盛り込まれた信号を発生するための任意の代わりの方法又は構造を用いることができる。
【0182】
この実施例では、測定ルーチン200は、プロセッサ回路41が図2に示す第1及び第2の測定装置44,46と電磁放射線プロバイダ53とに通じるように構成する様々な命令コードのブロックを含み、蛍光及び反射率撮像を行わせ及び分光法を行うようにこのような装置を制御する。測定ルーチン200は、ユーザ入力装置204、この実施例ではキーボードでの、図2に示すコンピュータ43でのユーザ入力を受けて実行される。代わりに、他のユーザ入力装置を使用することができる。
【0183】
一般的に、測定ルーチン200はビーム指向装置52を制御して、第1及び第2の測定装置44,46のそれぞれによる受け取りのために向けられる電磁放射線ビーム58の第1及び第2の隣接する光線グループ54,56を生じさせるようにプロセッサ回路41を構成又はプログラムする。前記測定ルーチンは、また、電磁放射線プロバイダ53を制御して、蛍光/近赤外線反射率撮像及び白色光反射率撮像のための電磁放射線の第1及び第2の分光分布138,140を選択的に生じさせる前記プロセッサ回路を構成し、前記第1の分光分布は光学システム132の第1の光学サブシステム134から受け取られる励起成分142と前記光学システムの第2の光学サブシステム136から受け取られる近赤外線成分144を含み、また前記第2の分光分布は前記第1の光学サブシステムから受け取られる白色光照明成分146を含む。加えて、前記測定ルーチンは、この実施例ではCCDカメラ50である撮像装置のゲインを少なくとも1つの波長範囲において、少なくとも1つの他の波長範囲における前記撮像装置のゲインに関連して調整し、対象63の改善された画像を生じさせ、また最適化された画像に現れる前記対象の領域における点からの放射線のスペクトルを測定する前記プロセッサ回路を構成する。前記測定ルーチンは、さらに、電磁放射線プロバイダ53及びCCDカメラ50を制御して、第1の近赤外線波長帯において組織により反射された放射線に応答して第1の信号を生じさせ、前記第2の波長帯におけるオキシヘモグロビンの吸収係数対デオキシヘモグロビンの吸収係数の比が前記第1の波長帯における比とは異なるように選択された第2の近赤外線波長において前記組織により反射された放射線に応答して第2の信号を生じさせる、前記第1及び第2の信号が前記組織の酸素投与を生じさせる際の使用のために操作可能である前記プロセッサ回路を構成する。
【0184】
測定ルーチン200は、図12に符号210で示す第1のブロックのコードで始まり、組み合わされた蛍光/近赤外線反射率撮像及び分光モードの選択を示すユーザ入力がユーザ入力装置204で受け取ったか否か決定することをプロセッサ回路41に指示する。
【0185】
このようなユーザ入力が受け取られると、ブロック211が、プロセッサ回路41に、ブロック210で受け取られた前記ユーザ入力が同時正規化された蛍光撮像及び分光の選択であるか、同時近赤外線反射率撮像及び分光の選択の指示であるかを決定するように指示する。この実施例では、蛍光及び近赤外線反射率の両撮像が単一の蛍光/近赤外線反射撮像態様において同時に達成されるが、この実施例では、図2に示すモニタ51が何時のときも1つのタイプの画像(蛍光又は近赤外線反射率)のみを表示する。
【0186】
ブロック211において、前記ユーザ入力が同時正規化蛍光撮像及び分光の選択を示すときは、ブロック212が、プロセッサ回路41に、電磁放射線プロバイダ53と、CCDカメラ50と、ビーム指向装置52と、分光計48とに次のような命令をする。
【0187】
図9、10及び12を参照すると、ブロック212が、初めに、プロセッサ回路41に、蛍光/近赤外線反射撮像のための第1の分光分布138を選択しかつ生じさせるように指示する。第1の分光分布138は、第1の光学サブシステム134から受け取られる励起成分142と、第2の光学サブシステム136から受け取られる近赤外線成分144とを含む。この点について、ブロック212が、前記プロセッサ回路に、前記第1の操作モードで機能する図9に示す第1及び第2の光学サブシステム134,136を生じさせるように指示する。より詳細には、ブロック212は、前記プロセッサ回路に、ランプ180を作動させ、また青色バンドパスフィルタ152が第1の光学サブシステム134を通過する放射線の通路に配置されかつ近赤外線ロングパスフィルタ164が第2の光学サブシステム136を通過する放射線の通路に配置されるように、制御装置160,172に信号を送ってソレノイドスイッチ158,170をそれぞれ引き込み位置におくように指示する。
【0188】
したがって、ビームスプリッタ184が、ランプ180から、励起成分、近赤外線成分及び白色光照明成分を含む入力放射線を受け取る。ビームスプリッタ184は可視光を提供し、したがって、第1の光学サブシステム134に励起及び白色光照明成分142,146を提供する。前記ビームスプリッタは近赤外線を提供し、したがって、第2の光学サブシステム136に近赤外線成分144を提供する。白色光照明及び励起成分146,142は、励起成分142を透過させまたこの実施例では400及び450nm間の青色光である第1の光学サブシステム134で前記ビームスプリッタから受け取られ、コンバイナ173に至る。近赤外線成分144は、前記ビームスプリッタから、再指向装置188を経て、近赤外線成分144を透過させ、この実施例では750nmより長い近赤外線である第2の光学サブシステム136において受け取られ、コンバイナ173に至る。
【0189】
この実施例ではダイクロイック反射装置174であるコンバイナ173が、前記第1及び第2の光学サブシステムにより透過された前記放射線を共通の光学通路175に沿うように向ける。より詳細には、ダイクロイック反射装置174は、第1の光学サブシステム134から受け取られた励起成分142を透過させ、また第2の光学サブシステム136から受け取られた近赤外線成分144を反射させ、共通の光学通路175に沿わせ、レンズ176を通して出口ポート178まで進める。したがって、第1の操作モードでは、光学システム132は、第1の光学サブシステム134から励起成分142を、また第2の光学サブシステム136から近赤外線成分144を透過させる。
【0190】
図2及び10を参照すると、第1の分光分布138の励起成分142及び近赤外線成分144が、次に、出口ポート178から内視鏡59へ伝えられ、光ファイバ束55を通して最終的に前記組織に伝えられる。
【0191】
図13を参照すると、励起成分142に応答して、前記組織が蛍光を発し始め、これにより、励起成分142の波長より一般的に長い蛍光性波長で蛍光成分214を放射する。このような蛍光性放射線は、典型的には450および750nm間にあり、約510乃至530nmの緑色波長範囲において最高になりやすい。病的又は異常な組織は、正常な組織よりもこれらの波長において非常に低い蛍光放射強度を示す。前記組織は、また、吸収も蛍光性再放射もしない少なくともいくつかの励起成分エネルギにおいて反射し、これにより、符号216で示すような反射された青色成分を生じさせる。
【0192】
近赤外線成分144に応答して、前記組織はこのような近赤外線のかなりの割合を反射し、これにより、符号218で示すような反射された近赤外線成分を生じさせる。正常及び病的な組織は、正常及び病的な組織の蛍光の強度よりも互いにより類似した強度を有する、後に詳述するような近赤外線反射率を生じさせるが、正常及び病的な組織の近赤外線反射率間に測定可能である相違はない。
【0193】
したがって、励起及び近赤外線成分の照射に応答して、前記組織は、蛍光成分214を放射し、また反射された青色及び近赤外成分216,218を反射する。これらの3つの成分は内視鏡59により受け取られ、前記内視鏡の画像チャンネル66のコヒーレントな光ファイバ束を通してハウジングに伝えられ、また前記ハウジングの入力ポート64で受け取られ電磁放射線ビーム58を形成する。
【0194】
図2及び図12を参照すると、ブロック212は、次に、プロセッサ回路41に対し、第1及び第2の測定装置44,46のそれぞれによる受け取りのために向けられる電磁放射線ビーム58の第1及び第2の隣接する光線グループ54,56を生じさせるように指示する。より詳細には、ブロック212は、前記プロセッサ回路に、前記第1の測定装置による受け取りのための第1の光線グループを向けるように命令し、運動機構61を制御することにより、内視鏡59の撮像チャンネル66から受け取られる電磁ビーム58の光学通路にビーム指向装置52の反射面を配置する。反射面60は、分光計48による受け取りのために第1の光線グループ54をビーム58から第1の測定ポート70へ反射し、他方、第2の光線グループ56がCCDカメラ50による受け取りのために前記反射面を迂回することを許す。より詳細には、第1の光線グループ54は、該第1の光線グループを第1の測定ポートに焦点を合わせるレンズ71へ前記ハウジング内で反射され又は向けられ、前記ポートは前記ハウジングの分光計ポートとして作用する。前記第2の光線グループは、前記撮像装置すなわちCCDカメラに向けられ、また該カメラに受け取られる。したがって、第1及び第2の隣接光線グループ54,56は、それぞれ、前記第1及び第2の測定装置すなわち分光装置及び撮像装置で受け取られる。
【0195】
図2、4及び12を参照すると、図4に示す放射線指向システム80が、図4及び5に関連して前記したように、第2の光線グループ56における各波長範囲の入射放射線をCCDカメラ50の各対応検出領域81に向ける。
【0196】
ブロック212は、プロセッサ回路41に、少なくとも1つの波長範囲における画像装置のゲインを少なくとも1つの他の波長範囲における前記撮像装置のゲインに関して選択的に調整して、対象の改善された画像を生じさせるように指示する。これを達成するため、この実施例では、ブロック212が、前記プロセッサ回路に、CCDカメラ50の個々の検出器87,88,89のゲイン設定値を選択的に調整するように、図2に示すカメラ制御電子装置49に信号で知らせるように指示する(しかし、この実施例では、検出器86はこの態様では使用されず、したがってそのゲイン設定値は調整される必要がない。)。より詳細には、この実施例では、前記プロセッサ回路は、カメラ制御電子装置49を制御して第3及び第4の検出器88,89を調整することによりCCDカメラ50の近赤外線波長範囲の信号を調整し、第2の検出器87のゲインを調整することにより前記緑色波長範囲の信号を調整し、内視鏡59により見られる組織の蛍光撮像のための所望の近赤外線対緑色信号比を生じさせるように命令される。これらの近赤外線及び緑色ゲインレベルは、前記CCDカメラのゲイン調整能力に関して先に詳述したように、前記蛍光画像における組織の異常領域の表示をよくするために第1のセットのゲインレベルに設定される。より詳細には、この実施例では、第2の検出器87の緑色ゲインレベルは、前記組織の蛍光の低強度を補償するために非常に高い値に設定され、他方、第3及び第4の検出器88,89の近赤外線源レベルは、前記組織による近赤外線の適度な強度を考慮して適度な値に設定される。この実施例では、前記蛍光画像を正規化するために第4の検出器89からの信号のみが用いられるが、代わりに、この目的のために第3の検出器88からの信号を用いることができ、さらにその代わりとして、後に詳述するように、第3及び第4の両検出器88,89からの信号を用いることができる。加えて、後述するように、第3及び第4の検出器により発生された信号を前記組織の組織酸素投与画像を生じさせるために用いることができる。
【0197】
したがって、図2、4、13及び14を参照すると、緑色系光成分214、反射された青色成分216及び反射された近赤外線成分218を含む第2の光線グループ56がCCDカメラ50で受け取られるとき、反射された青色成分が第1の部分反射装置90の効果により第1の検出器86で完全に受け取られる。第1及び第2の部分反射装置90,92とバンドパスフィルタ104の作用のため、第2の検出器87が、500及び600nm間の波長を有する緑色系光成分の一部を受け取る。第1、第2及び第3の部分反射装置90,92,94とバンドパスフィルタ106の作用のため、第3の検出器88が第1の近赤外線波長帯116(750乃至800nm)にある反射された近赤外線成分218の一部を受け取る。第3の検出器88もまた600nmおよび750nm間の波長を有する蛍光成分の一部を受け取るが、この成分は、前記第3の検出器により受け取られた反射近赤外線成分218の第1の近赤外線波長帯116の部分より非常に小さい強度を有する。第4の検出器89は、第1、第2及び第3の部分反射装置90,92,94と反射器95とバンドパスフィルタ108の作用のため、第2の近赤外線波長帯118(800nm乃至900nm)にある反射された近赤外線成分218の一部を受け取る。
【0198】
図14は、各撮像チャンネル(図6に示す)のスペクトル応答の回旋と蛍光/近赤外線反射率撮像モード(図13に示す)において前記組織から送られた放射線のスペクトルから生じた、各撮像チャンネル(B、G、R、R1)についての検出スペクトルの形を示す。しかし、第1の検出器86の信号はこの撮像態様においては捨てられている。第2、第3及び第4の検出器87,88,89の検出器は、蛍光成分214の500乃至600nm部分、反射された近赤外線成分218の第1の近赤外線波長帯116部分及び反射された近赤外線成分218の第2の赤外線波長帯118部分のそれぞれに応答して信号を生じさせ、前記ゲイン設定値に比例して発生されているこのような信号は、ブロック212で前記プロセッサ回路により設定される。
【0199】
図2及び図12を参照すると、第2、第3及び第4の検出器87,88,89により発生されたこれらの信号は、図2に示すカメラ制御電子装置49により受け取られる。
【0200】
ブロック212は、次に、プロセッサ回路41に、カメラ制御電子装置49を制御して、前記第2及び第4の検出器により前記信号を生じさせ、この実施例では前記RGBカラーフレームグラバー47である、ディスプレイ装置の緑色チャンネル入力215及び赤色チャンネル入力217のそれぞれで受け取られるように指示する。近赤外線波長における正常及び異常組織の反射率のそれぞれが可視赤色波長におけるより一層小さいとき、赤色チャンネル217で受け取られる近赤外線信号は、可視赤色光画像より、蛍光画像正規化のためにはより正確である。ブロック212は、前記プロセッサ回路に、前記カメラ制御電子装置と前記RGBカラーフレームグラバーを制御して、第2及び第4の検出器87,89により発生された信号に応答して、改善されたデジタル化された蛍光画像を表示するデータ信号を生じさせるように指示する。前記RGBカラーフレームグラバー47は、緑色チャンネル入力215で受け取られた信号に応答して発生されたデータ信号をカラーモニタ51に伝えて前記モニタ上に組織の緑色蛍光画像を生じさせ、同様に赤色チャンネル入力217で受け取られた信号に応答して発生されたデータ信号を前記カラーモニタに伝えて、同時に前記緑色蛍光画像表示を有する前記モニタ上に組織の赤色蛍光画像を生じさせる。したがって、これらの緑色及び赤色画像のモニタ51上に生じた重複像は、前記組織の正規化された蛍光画像234である。
【0201】
したがって、先に詳述したように、幾何学的要因のために前記緑色蛍光画像に正常な組織が暗く現れるときは、その組織はまた前記赤色近赤外線画像にも暗く現れ、したがって、これらの2つの画像の重なり像である正規化された蛍光画像234に暗く現れる。しかし、異常又は病的のために組織が緑色蛍光画像に暗く現れるときは、その組織は前記赤色チャンネル近赤外線画像に輝いて現れ、このため正規化された蛍光画像234に赤色に現れる。
【0202】
図8、12及び13を参照すると、ブロック212は、次に、プロセッサ回路41に、前記改善された画像すなわち正規化された蛍光画像234に現れる前記対象の領域内の点からの放射線のスペクトルを測定することを指示する。より詳細には、ブロック212は、前記プロセッサ回路に、図8に示す分光計48のフィルタ128の制御装置及びソレノイドスイッチに信号を送り、フィルタ128が、光ファイバ束122を経る第1の測定ポート70からの分光写真器127の入口スリット126で受け取られた放射線の通路に伸長するように指示する。したがって、フィルタ128は、第1の光線グループ54からの反射された青色成分216を遮断し、その結果、蛍光成分214及び反射された赤外線成分218のみが分光写真器127により受け取られる。
【0203】
図8、12、13及び15を参照すると、次に、ブロック212は、プロセッサ回路41に、蛍光成分214及び反射された近赤外線成分218の分光分布を現す分光計からの信号を受け取り、モニタ45を制御してこれに蛍光/近赤外線反射率分光分布を表示するように、指示する。例えば、図示を目的として、図15は、2つの異なるそれぞれの時間において前記組織の2つの異なる点に対応する2つの別々の分光分布画像222,224の重複像を示す。実線で示す第1の分光分布画像222は正常な組織に対応し、蛍光成分226及び反射された近赤外線成分228を有する。破線で示す第2の分光分布画像224は異常な組織に対応し、正常組織に対応する蛍光成分226より非常に低い強度の蛍光成分230を有する。第2の分光分布画像224は、また、反射された近赤外線成分232を有し、該成分の強度は、正常組織に対応する反射された近赤外線成分228の強度に似ている。しかし、近赤外線反射成分228,232間の差は、蛍光成分226,230間の差と比べて非常に小さいが、正常及び異常の組織間の組織酸素投与状態変化を反映するスペクトルの2つの近赤外線反射成分間にはある程度の差がある。800nmを下回るとき、前記正常組織の近赤外線反射率は前記異常組織のそれよりも高く、800nmを上回るときはその逆が成立する。
【0204】
したがって、図2に戻ってこれを参照すると、内視鏡59の操作者(図示せず)は、モニタ51上に正規化された蛍光画像234を見ることができ、同時に、モニタ45上に蛍光/近赤外線反射率分光分布220を見ることができる。ビーム指向装置52の反射面60が、分光計48による受け取りのために第1の光線グループ54を向けることにより、正規化された蛍光画像234に第1の光線グループ54に対応する場所で黒斑236が現れるようにすることを期待することができよう。したがって、前記スペクトルは、前記改善された画像すなわち正規化された蛍光画像234に現れる前記組織の領域237に、黒斑236に対応する前記組織内の点から測定される。
【0205】
したがって、蛍光画像234における黒斑236の位置を観察することにより、内視鏡59の操作者は、直ちに、モニタ45上の蛍光/近赤外線反射率分光分布画像220が正規化された蛍光画像234に現れる領域237内の黒斑236の点における組織により放射された放射線のスペクトルであることを知る。このため、操作者は、黒斑236を目標視域に近似的に使用して、蛍光/近赤外線反射率分光分布画像220が実際に組織領域237内の所望の点のスペクトルを現していることを保証することができる。このようにして、内視鏡の操作者は前記内視鏡を操作することができ、その結果、赤色でありしたがって疑いがある正規化された蛍光画像234内の領域237に黒斑236が現れ、これにより、操作者が、疑いのある赤色領域に対応する蛍光/近赤外線反射率分光分布画像220を見ることを可能にし、それが実際に病的であるか否かを確認し、また特定の病気を診断することさえも可能にする。このため、操作者は、例えば高い赤色対緑色信号比をもつ、以前に可能であったよりも高い診断鋭敏度蛍光画像を見ることができ、他方、分光法のすぐれた診断特異性に信頼をおいて、他の方法ではこのような高い赤色対緑色比から結論づけられるかもしれない偽陽性の診断を回避または減少させる。所望であれば、操作者は、さらに、プロセッサ回路41による実行のために貯蔵媒体202に貯蔵又は保存された分光解析アルゴリズム(図示せず)を実行することにより、この診断特異性について改善することができ、
【0206】
ブロック212は、さらに、プロセッサ回路41に、新しい選択を示すユーザ入力が受領されるまで、内視鏡59から受け取られた電磁放射線ビーム58に応答して、リアルタイムで、連続する蛍光/近赤外線反射率分光分布画像220と正規化された蛍光画像234とを生じさせることを継続するように、指示する。
【0207】
もし、これに反して、ブロック211において、ユーザ入力が同時の近赤外線反射率撮像及び分光の選択を示したことが決定されたときは、ブロック213が、プロセッサ回路41を、第2及び第4の検出器88,89により発生された第1及び第2の信号に応答して組織の酸素投与画像を生じさせるように構成し、同時に前記組織の反射率スペクトルをモニタ45に表示させる。これを行うため、ブロック213は、先ず、前記プロセッサ回路に、システム40がブロック212に従って分光を伴う前記蛍光/近赤外線反射率撮像態様のために構成されることを確実にするように指示する。この点について、もし、システム40が同時の正規化された蛍光撮像及び分光を実行していた場合、前記システムのさらなる再構成はブロック213のためのこの最初のステップは求められず、しかし、そうでなければ、ブロック213は、前記プロセッサ回路に、ブロック212に関して前述したように、電磁放射線プロバイダ53を制御して、第1の分光分布138を選択しかつ生じさせ、検出器87,88,89のゲインを選択的に調整し、ビーム指向装置52、分光計48のフィルタ128及びモニタ45をこれに蛍光/近赤外線反射率分光分布画像220が表示されるように制御するように、指示する。
【0208】
図2、4、5、12及び13を参照すると、この実施例では750nm及び900nm間の放射線波長を含む、第1の分光分布138の近赤外線成分144に応答して、前記組織がこのような波長を反射させ、反射された近赤外線成分218を生じさせる。ブロック212に関して前述したように、前記反射された近赤外線成分は、図4に示す放射線指向システム80へ、図2に示す内視鏡59により伝えられる。前記したように、放射線指向システム80(又は、より詳細には、第1、第2及び第3の部分反射装置90,92,94並びにバンドパスフィルタ106)は、第3の検出器88に、前記組織により第1の近赤外線波長帯116(750乃至800nm)において反射された放射線を向けるように構成されており、デオキシヘモグロビンの吸収係数はオキシヘモグロビンのそれより大きい。同様に、放射線システム80(特に、第1、第2及び第3の部分反射装置90,92,94、反射器95及びバンドパスフィルタ108)は、第4の検出器89に、前記組織により第2の近赤外線波長帯118(800乃至900nm)において反射された放射線を向けるように構成されており、オキシヘモグロビンの吸収係数はデオキシヘモグロビンの吸収係数より大きい。
【0209】
第3の検出器88は、前記組織により第1の近赤外線波長帯116において反射された放射線に応答して第1の信号を発生する。同様に、第4の検出器が前記組織により第2の近赤外線波長帯118において反射された放射線に応答して第2の信号を発生する。これらの第1及び第2の信号は、図2に示すカメラ制御電子装置49で受け取られる。この実施例では、第3及び第4の検出器のゲインレベルは、正規化された蛍光撮像に用いられたものと変わらない。代わりに、所望であれば、ブロック213は、前記プロセッサ回路に指示して、前記カメラ制御電子装置を制御し、前記第3及び第4の検出器のゲインレベルを第2のセットのゲインレベルに設定し、さらに、前記対象の結果として生じる近赤外線反射率画像における前記組織の異常領域の表示をよくするように変更することができる。
【0210】
ブロック213は、次いで、前記プロセッサ回路に、第3及び第4の検出器88,89によりそれぞれ発生されたこれらの第1及び第2の信号に応答して組織の酸素投与画像を生じさせるように、指示する。これを行うため、この実施例では、ブロック213は、前記プロセッサ回路に、前記カメラ制御電子装置を制御して、前記第1の信号がマルチカラーディスプレイ装置の第1のカラーチャンネル入力に与えられるようにし、また前記第2の信号が前記ディスプレイ装置の第2のカラーチャンネル入力に与えられるようにするように、指示する。より詳細には、前記プロセッサ回路は、前記カメラ制御電子装置を制御して、第3の検出器88により発生される信号がRGBカラーフレームグラバー47の緑色チャンネル入力215に提供されるようにし、また第4の検出器89により発生される信号がRGBカラーフレームグラバー47の赤色チャンネル入力217に提供されるように、指示される。ブロック213は、前記プロセッサ回路に、前記カメラ制御電子装置と前記RGBカラーフレームグラバーを制御して、第3及び第4の検出器88,89により発生される信号に応答して、改善されデジタル化された近赤外線反射率画像を表示するデータ信号を生じさせるように、指示する。RGBカラーフレームグラバー47はこれらのデータ信号をカラーモニタ51に伝達し、前記モニタ上に、第1の近赤外線波長帯116における前記組織の反射率強度を表示する前記組織の緑色画像と、第2の近赤外線波長帯118における前記組織の反射率強度を表示する前記組織の赤色画像とを同時に生じさせる。このため、これらの緑色及び赤色画像のモニタ51上に結果として生じる重複像は、前記組織の正規化された近赤外線反射率画像235である。
【0211】
病的組織に関する正常組織のより多くのオキシヘモグロビンの内容及び病的組織の対応するより多くのデオキシヘモグロビンの内容のため、前記緑色画像において、正常組織は病的組織より明るく現れやすく、一方、病的組織は前記赤色画像において、病的組織は正常組織より明るく現れやすい。幾何学的要因のために視界から部分的に遮られる組織は、前記緑色及び赤色の両画像において暗く現れる。このため、正規化された近赤外線反射率画像235では、病的組織は、緑色の正常組織の背景中に赤色領域として表示されやすい。
【0212】
正規化された蛍光画像234でのように、分光計48による受け取りのために電磁放射線ビーム58の第1の光線グループ54のビーム再指向装置52による再指向のため、黒斑236も、また、正規化された近赤外線反射率画像235の中央に現れる。このため、同時の正規化蛍光画像及び分光法でのように、前記内視鏡の操作者は前記内視鏡を操作し、その結果、黒斑236が、赤色でありこのために疑わしい、正規化された近赤外線反射率画像235の領域に現れ、これにより、操作者は、モニタ51上に疑わしい赤色領域に対応する近赤外線反射率分光分布220を見ることができ、前記疑わしい領域が病的であるか否かを確認し、および選択的に特定の病気を診断する。
【0213】
ブロック213は、さらに、プロセッサ回路41に、新しい選択を示すユーザ入力が受領されるまで、内視鏡59から受け取られた電磁放射線ビーム58に応答して、リアルタイムで、連続する近赤外線反射率分光分布画像220と正規化された近赤外線画像235とを生じさせることを継続するように、指示する。
【0214】
図2及び12を参照すると、組み合わされた蛍光撮像/近赤外線反射率撮像及び分光法の選択を示すユーザ入力がブロック210で検出されなかったとき、ブロック238は、プロセッサ回路41に、組み合わされた白色光反射率撮像及び分光モードの選択を示すユーザ入力がユーザ入力装置204で受け取られたか否かを決定するように、指示する。
【0215】
このようなユーザ入力が受け取られていると、ブロック240が、プロセッサ回路41に、電磁放射線プロバイダ53、CCDカメラ50、ビーム指向装置52及び分光計48を以下のように制御するように、指示する。
【0216】
図9、11及び12を参照すると、ブロック240が、先ず、プロセッサ回路41に、第1の光学サブシステム134から受け取った白色光照明成分146を含む、白色光反射率撮像のための第2の分光分布140を選択しかつ生じさせるように指示する。この点に関し、ブロック240は、前記プロセッサ回路に、図9に示す第1及び第2光学サブシステム134,136が前記第2の操作モードで機能するように、指示する。より詳細には、ブロック240は、前記プロセッサ回路に、カラーバランスフィルタ154が第1の光学サブシステム134を通過する放射線の通路に配置されかつ光ストッパ166が第2の光学サブシステム136を通過する放射線の通路に配置されるように、ランプ180を作動させ、制御装置160,172に信号を送ってソレノイドスイッチ158,170をそれぞれ伸長位置におくように指示する。
【0217】
したがって、ビームスプリッタ184が、ランプ180から、前記励起、近赤外線及び白色光照明成分を含む入力放射線を受け取る。ビープスプリッタ184は、可視光を提供し、またこのため、第1の光学サブシステム134に励起及び白色光照明の成分142,146を提供する。前記ビームスプリッタは、近赤外線を提供し、またこのため、第2の光学サブシステム136に近赤外線成分144を提供する。白色光照明及び励起の成分146,142は第1の光学サブシステム134で前記ビームスプリッタから受け取られ、前記第1のサブシステムは、この実施例では400nmから700nmの範囲の可視光の平坦な分光分布である、図11に示す白色光照明成分146をコンバイナ173へ透過させる。近赤外線成分144は、全てのこのような受け取られた近赤外線を遮断する第2の光学サブシステム136において再指向装置188を経て前記ビームスプリッタから受け取る。このため、前記第2の操作モードにおいて、コンバイナ173は、第2の光学サブシステム136からはいかなる放射線をも受け取らない。
【0218】
コンバイナ173、又はより正確にはダイクロイック反射装置174は、第1の光学サブシステム134から受け取った白色光照明成分146を共通の光学通路175に沿って、レンズ176を通して、出口ポート178に伝える。したがって、前記第2の操作モードにおいて、光学システム132は、近赤外線成分144を遮る間に第1の光学サブシステム134から白色光照明成分146を透過させる。
【0219】
図2及び11に戻ってこれらを参照すると、第2の分光分布140の白色光照明成分146は、次に、出口ポート178から内視鏡59へ伝達され、最終的に、写されている前記組織に、光ファイバ束55を経て送られる。
【0220】
図2、11及び16を参照すると、白色光照明成分146による前記組織の照明に応答して、前記組織が、図16に符号243で示す白色光反射率撮像成分を反射し、白色光照明成分146の前記波長におけるその強度は、前記組織の自然反射率特性すなわち色に比例して変化する。この白色光反射率撮像成分は内視鏡59により受け取られ、電磁放射線ビーム58を形成するように、前記内視鏡の撮像チャンネル66のコヒーレントな光ファイバ束を通して、ハウジング62の入力ポート64に送られる。
【0221】
図2及び12を参照すると、ブロック24は、プロセッサ回路41に、第1及び第2の測定装置44,46のそれぞれによる受け取りのために第1及び第2の隣接する光線グループ54,56が向けられるように、指示する。これを行うため、ブロック240は、前記プロセッサ回路に、運動機構61を制御して、内視鏡59から受け取られた電磁放射線ビーム58の光学通路にビーム指向装置52を配置し、その結果、第1の光線グループ54が分光計48による受け取りのために第1の測定ポート70に反射面60により反射され、また第2の光線グループ56がCCDカメラ50による受け取りのために前記反射面を迂回するように、指示する。
【0222】
図2、4及び12を参照すると、ブロック240は、プロセッサ回路41に、少なくとも1つの波長範囲におけるこの実施例ではCCDカメラ50である撮像装置のゲインを、少なくとも1つの他の波長範囲における前記撮像装置のゲインに関して選択的に調整し、対象の改善された画像を生じさせるように、指示する。より詳細には、ブロック240は、前記プロセッサ回路に、図2に示すカメラ制御電子装置49に信号を送り、CCDカメラ50の個々の検出器86,87,88のゲインの設定を選択的に調整するように、指示する。この実施例では、前記プロセッサ回路は、内視鏡59により見られている組織の白色光反射率撮像のための所望のカラーバランスを生じさせるために第1、第2及び第3の検出器86,87,88のゲインを調整することにより、CCDカメラ50の前記赤色、緑色及び青色波長範囲のゲインレベルを調整するように指示される。これらの赤色、緑色及び青色のゲインレベルは、前記CCDカメラのゲイン調整能力に関して先に詳述したように、結果として白色光反射率画像を生じる前記組織の異常領域の表示を良くするため、第3のセットのゲインレベルに設定される。典型的には、このセットのゲインレベルは、前記反射された放射線が青色、緑色及び赤色の波長範囲のそれぞれに適度な強度を有するため、全ての3つの検出器のための適度なゲイン値を含む。第4の検出器89は、前記組織が800nmおよび900nm間の波長範囲のいかなる放射線でも照らされず、またこのために反射しないように、いかなる信号をも発生させない。
【0223】
したがって、図2、4、11、16及び17を参照すると、白色光照明成分146での照明に応答して前記組織により発生された白色光反射率撮像成分243を含む第2の光線グループ56がCCDカメラ50により受け取られると、第1の部分反射装置90の作用のため、第1の検出器86が、400及び500nm間の波長を有する白色光反射率撮像成分243の青色部分245を受け取る。第2の検出器87は、第1及び第2の部分反射装置90,92並びにバンドパスフィルタ104の作用のため、500及び600nm間の波長を有する白色光反射率撮像成分243の緑色部分247を受け取る。第3の検出器88は、第1、第2及び第3の部分反射装置90,92,94並びにバンドパスフィルタ106の作用のため、600及び700nm間の波長を有する白色光反射率撮像成分243の赤色部分249を受け取る。検出器86,87,88は、それぞれ、青色(245)、緑色(247)及び赤色(249)の部分に応答して信号を生じさせ、これらの信号は、ブロック240で前記プロセッサ回路により設定された前記ゲイン設定値に比例して生じる。図17は、各撮像チャンネル(図6に示す)のスペクトル応答の回旋と白色光反射率撮像モードにおいて前記組織から送られた放射線のスペクトルとから生じた、各撮像チャンネル(B、G、R)についての検出スペクトルの形を示す。
【0224】
図2及び12を参照すると、第1、第2及び第3の検出器86,87,88により発生されたこれらの信号は、図2に示すカメラ制御電子装置49において受け取られる。
【0225】
ブロック240は、プロセッサ回路41に、カメラ制御電子装置49を制御して、第1、第2及び第3の検出器86,87,88により発生されたこれらの信号をRGBカラーフレームグラバー47の青色チャンネル入力219、緑色チャンネル入力215及び赤色入力チャンネル入力217にそれぞれ伝達するように、指示する。ブロック240は、前記プロセッサ回路に、前記カメラ制御電子装置及び前記RGBカラーフレームグラバーを制御して、第1、第2及び第3の検出器86,87,88により発生された信号に応答して前記組織の改善されかつデジタル化された白色光反射率画像246を示すデータ信号を発生させるように、指示する。RGBカラーフレームグラバー47は、カラーモニタ51にこれに白色光反射率画像246を表示するためにこれらのデータ信号を伝達する。
【0226】
図8及び12を参照すると、次に、ブロック240が、プロセッサ回路41に、前記改善された画像すなわち白色光反射率画像246に現れる前記対象の領域内の点からの放射線のスペクトルを測定するように、指示する。より詳細には、ブロック240が、前記プロセッサ回路に、図8に示す分光計48のフィルタ128の前記制御装置及びソレノイドスイッチに信号を送り、フィルタ128が、光ファイバ束122を経て第1の測定ポート70からの分光写真器127の入口スリット126で受け取られた放射線の通路の外へ引き込められるように、指示する。したがって、このモードにおいて白色光反射率成分243である前記電磁放射線ビームの第1の光線グループ54が、フィルタされない状態で分光写真器127により受け取られる。
【0227】
図2、8及び12を参照すると、ブロック240は、次いで、プロセッサ回路41に、白色光反射率撮像成分243の分光分布を表す分光計48から信号を受け取り、モニタ45を制御して、前記分光計から受け取った前記信号に応答して前記モニタ上に白色光反射率分光分布を表示するように、指示する。
【0228】
したがって、図2に戻ってこれを参照すると、内視鏡59の操作者(図示せず)は、白色光反射率画像246をモニタ51上に、また白色光反射率分光分布画像241をモニタ45上に同時に見ることができる。ブロック212に関して前記したように、操作者は、モニタ45上に可視の反射率分光分布画像241を生じさせるために分光計48により測定される前記組織の領域237の正確な点を示すようにモニタ51の白色光反射率画像246の中心に現れる黒斑236を使用することができる。
【0229】
ブロック240は、さらに、前記プロセッサ回路に、新しい選択を示す操作者入力が受け取られるまで、内視鏡59から受け取られたビーム58に応答してリアルタイムに白色光反射率分光分布画像241と白色光反射率画像246とを生じさせるように、指示する。
【0230】
図2及び12を参照すると、組み合わされた白色光反射率撮像及び分光の選択を示すユーザ入力がブロック238で検出されなかったとき、ブロック250は、プロセッサ回路41に、分光なしの蛍光/近赤外線反射率撮像モードの選択を示すユーザ入力がユーザ入力装置204で受け取られたか否かを決定するように、指示する。
【0231】
このようなユーザ入力が受け取られていると、ブロック251が、プロセッサ回路41に、ブロック250で受け取られた前記ユーザ入力が正規化された蛍光撮像か又は近赤外線反射率撮像の選択の指示であるかを決定するように、指示する。この実施例では、ブロック210乃至213に関して先に説明したように、蛍光及び近赤外線反射率の両撮像のための物理的測定が単一の蛍光/近赤外線反射率撮像態様において同時に行われる。
【0232】
図2、4及び12を参照すると、ブロック251でユーザ入力が分光法なしの正規化された蛍光撮像の選択を指示しているとき、ブロック252は、プロセッサ回路41に、ブロック212に関して前述したように、電磁放射線プロバイダ53を制御して、前記第1の操作モードにおいて機能するように、指示する。ブロック252は、さらに、ブロック212に関して前述したように、前記プロセッサ回路に、カメラ制御電子装置49に信号を送り、CCDカメラ50の検出器のゲインレベルを調整し、結果として生じる正規化された蛍光画像を改善し、前記組織の異常領域の表示を良くするように、指示する。しかし、この実施例では、ブロック252が、前記プロセッサ回路に、運動機構61を制御して、内視鏡59から受け取られる電磁放射線ビーム58の光学通路からビーム指向装置52を取り除き、その結果、第1及び第2の両隣接光線グループ54,56がCCDカメラ50で受け取られるように、指示する。次いで、ブロック252が、前記プロセッサ回路に、ブロック212に関して前述したように、カメラ制御電子装置49及びRGBカラーフレームグラバー47を制御して、前記対象の正規化された蛍光画像234を生じさせるように、指示する。電磁ビーム58の光学通路からのビーム指向装置52の除去のため、黒斑236はこのモードでは正規化された蛍光画像234に現れない。ブロック252は、前記プロセッサ回路に、新しい選択を示すユーザ入力が受け取られるまで、このような信号の監視を続けて、リアルタイムで連続した正規化された蛍光画像234を生じさせるように、指示する。
【0233】
もし、他方で、ブロック251において、分光法なしの近赤外線反射率撮像の選択が指示されると、ブロック253が、プロセッサ回路41に、運動機構61を制御して、内視鏡59から受け取られた電磁放射線ビーム58の光学通路からビーム指向装置52を取り除き、その結果第1及び第2の両隣接光線グループ54,56がCCDカメラ50で受け取られるように、指示する。あるいは、ブロック253が、前記プロセッサ回路に、ブロック213に関して前述したように、カメラ制御電子装置49、RGBカラーフレームグラバー47及び電磁放射線プロバイダ53を制御して、前記対象の近赤外線反射率画像235を生じさせるように、指示する。再度、電磁ビーム58の光学通路からのビーム指向装置52の除去のため、黒斑236はこのモードでは近赤外線反射率画像235に現れない。ブロック253は、前記プロセッサ回路に、新しい選択を示すユーザ入力が受け取られるまで、リアルタイムで連続した近赤外線反射率画像235を生じさせるように、指示する。
【0234】
分光法なしの蛍光/近赤外線反射率撮像の選択を示すユーザ入力がブロック250で検出されなかったとき、ブロック254は、プロセッサ回路41に、分光法なしの白色光反射率撮像モードの選択を示すユーザ入力がユーザ入力装置204で受け取られたか否かを決定するように、指示する。
【0235】
図2、4及び12を参照すると、もし、このようなユーザ入力がブロック254で検出されると、ブロック256は、プロセッサユニット41に、ブロック240に関して前述したように、電放射線プロバイダ53を制御して、前記第2の操作モードにおいて機能するように、指示する。ブロック256は、さらに、前記プロセッサ回路に、ブロック240に関して前述したように、カメラ制御電子装置49に信号を送り、CCDカメラ50の検出器のゲインレベルを調整し、結果として生じる白色光反射率画像を改善し、前記組織の異常領域の表示を良くするように、指示する。ブロック256は、次に、前記プロセッサ回路に、ブロック252に関して前述したように、運動機構61に信号を送り、電磁放射線ビーム58の光学通路からビーム指向装置52を取り除くように、指示する。次に、ブロック256は、前記プロセッサ回路に、前記CCDカメラの第1、第2及び第3の検出器86,87,88のそれぞれからRGBカラーフレームグラバー47の青色、緑色及び赤色チャンネルにおいて受け取られた信号に応答してデジタル画像を表す前記RGBカラーフレームグラバーからデータ信号を受け取るように、指示する。ブロック256は、前記プロセッサ回路に、ブロック240に関して前述したように、白色光反射率画像246である前記デジタル画像をモニタ51上に生じさせかつ表示するように、指示する。電磁ビーム58の光学通路からビーム指向装置52を除去しているため、黒斑236は、このモードでは白色光反射率画像246に現れない。ブロック256は、前記プロセッサ回路に、新しい選択を示すユーザ入力が受け取られるまで、このような信号の監視を続け、リアルタイムで連続した白色光反射率画像246を生じさせるように、指示する。
【0236】
分光なしの白色光反射率撮像の選択を表すユーザ入力がブロック254で検出されなかった場合、ブロック258が、プロセッサ回路41に、撮像工程を指示するユーザ入力が終了されるべきことがユーザ入力装置204で受け取られたか否かを決定するように、指示する。そうであるときは、測定ルーチン200が終了される。そうでないときは、前記プロセッサ回路は、ブロック210に戻って新しい選択を指示するユーザ入力の監視を続けることを指示される。
【0237】
変更
本発明は、前述したシステム、方法等に変わる種々のものを含み、このセクションで説明される代表的な変更例を含む。これらの変更例は典型的であるだけであり、他の適当な変更例も本発明の範囲内にある。
【0238】
いくつかの変更例について、図20−24がいくつかのさらなる変更例を示している。図20−22から始めると、これらの図は、光ビーム504を受け取るようなサイズの領域502を含む光ビーム検出システム500を示している。ここで他の図に示された他の実施例によるように、光ビーム504は、典型的には、人間の臓器又は皮膚あるいはコンピュータチップのようなサンプル又は対象から発する(例えば,から反射され、通して透過され、あるいはから蛍光又は燐光を発する)検出光ビームである。光ビーム504は、試されるべき光源からの光ビームのような任意の他の所望の光ビームであって良い。光ビーム検出システム500は、いくつかの図に示す内視鏡59又は、図20に示す顕微鏡571、図22に示す望遠鏡573、図21に示すカメラ575、図20に示すデジタル撮像システム574及び図21に示すフィルム撮像システム576のような任意の所望の検出システムであってよい。
【0239】
ビーム分離器506が、光ビーム504の僅かな一部を光ビーム504の残りから分離し、分離された光ビーム508及び残りの光ビーム510を提供するため、領域502内に配置されている。ビーム分離器506は分離された光ビーム508を分光装置512に伝達し、この間に残りの光ビーム510が撮像装置514に向けて進む。僅かな部分が、僅かな十分なパーセンテージの光ビーム504を示し、正確なスペクトル及び正確な画像の双方を提供する。前記僅かな部分は、例えば、光ビーム504の小さい断面又は光ビーム504かの大きい断面から得られた僅かなパーセンテージの光線である。代表的なビーム分離器は、ここのどこかで指摘したように、ビームスプリッタ、小さいミラー及びレンズを含む。所望の場合には、ビーム分離器506は、光ビーム504の大部分を画像装置に伝達することができ、この間、前記光線の僅かな部分は分光装置に向かい続けることを可能にする。所望の場合には、図20に示すように、また図4、7、23及び24に関して代表的に詳細に説明するように、前記撮像装置は画像分離器550を含むことができる。
【0240】
分光器512がビーム分離器506に光学的に接続され、分離された光ビーム508を受け止め、ここからスペクトルを供給する。分光器512は、スペクトルを測定しかつ伝えるための任意の所望の装置であってよく、所望であれば、グラフ又は数値の形態でスペクトルを表示することを含む。適切な分光器は、単一のチャンネル検出器が結合されたモノクロメータのような分光計48(例えば図2)、分光側光器537(例えば図20)、分光写真器539(例えば図21)、FT(フーリエ変換)型分光計のような干渉計に基礎をおく分光計541(例えば図22)を含む。
【0241】
撮像装置514が領域502内に配置され、残りの光ビーム510を操作可能に受け取り、ここから画像を提供する。この文脈において用いられているように、撮像装置514は、離れたところに配置することができる画像の調節器又は発生器に操作可能に連結された撮像検出器を含む。撮像装置514は、また、全体の装置又は画像を得て、これを離れた位置にある検出器/装置に運ぶチャンネルを指す。代表的な撮像装置は、CCD、増倍CCD、CMOS(相補型金属酸化物半導体)、CID(チャージ・インジェクション・デバイス)、フォトダイオードアレイ、光電子増倍管アレイのようなピクセートされた検出器532(例えば図20及び22に示すような)及びフィルムカメラのようなピクセレートされていない検出器534(図21に示すような)の双方を含む。
【0242】
図20及び21では、分光装置512は光ビーム504の外側に配置されている。図22では、分光装置512は光ビーム504の内側に配置されている。図21では、ビーム分離機506は、光ビーム504の小さい領域を遮るように寸法が設定されかつ配置され、このような光ビーム504の小さい領域の向きを分光装置512へ変える光線再指向装置516を含む。図21及び22では、光線再指向装置516は、光ビーム504内の光線再指向装置516の位置に対応する残りの光ビーム510内に小さい残像528を与える。ある実施例では、光線再指向装置516及び小さい残像528は、実質的に、光ビーム504の射線中心におかれる。しかし、光線再指向装置516は、中心から縁まで、光ビーム504の任意の所望の位置に配置することができる。典型的には、全光線再指向装置516は光ビーム504内に配置され、所望により、光線再指向装置516の一部のみをそのように配置することができる。光線再指向装置5162は、例えば、ミラー520、レンズ(先の図7に符号71で示されている)、分光計512の測定ポート518、図7のプリズム119のようなプリズム、又は図22のライトガイド524のようなライトガイド524(また、図2に符号55で示され、図8に符号122で示されている)からなるものとすることができる。
【0243】
図21及び22では、光線再指向装置516は残りの光ビーム510から光線再指向装置516上の全ての光入射を実質的に取り除き、これは、光線再指向装置516が典型的には残りの光ビーム510中に濃い影又は小さい残像を残すに十分な入射光の少なくとも90%で100%までを取り除くことを示す。
【0244】
図20では、光ビーム検出システム500は、ビームスプリッタ530からなるビーム分離器506を含む。ビームスプリッタ530は、これが多くの残像を残さないように光ビーム504の大部分を遮る。このような多くの残像を回避することは、例えば、ビームスプリッタ530が実質的に全ての光ビーム504を覆っており、残りの光ビーム510が一様であり、あるいはビームスプリッタ530が全光ビーム504のうちのパーセンテージとして僅かな光を反射するために達成することができる。ビームスプリッタ530は、光ビーム504中の実質的に50%を上回る電磁放射線を撮像装置514に透過させ、光ビーム504中の実質的に50%を下回る電磁放射線を分光装置512へ反射する(又は、分光装置512及び撮像装置514が逆に配置されている場合には逆も同様である。)典型的には、ビームスプリッタ530は、光ビーム504の少なくとも約80%、90%又は95−97%を透過させ、また光ビーム504の多くとも対応するパーセンテージを反射する。
【0245】
引き続き、図20に関して説明すると、光ビーム検出システム500は、ビーム分離器506の前方に、第1の集束レンズ540として示す第1の集束エレメントと、ビームスプリッタ506と撮像装置514との間に、第2の集束レンズ542として示す第2の集束エレメントとを含む。前記第1の集束エレメント及び前記第2の集束エレメントは、実質的にビーム分離器506における第1の共役像平面544と実質的に撮像装置514における第2の共役像平面544とを提供する。両共役像平面は、画像(例えば前記サンプル又は開口の図)が再現される光路に沿って位置する。図21及び22では、ビーム分離器506が、撮像装置514と実質的に同様の像平面536内に位置している。
【0246】
このため、ある実施例では、ビーム分離器506は、実質的に撮像装置514の前(上流)で撮像装置514に接触しない位置にあり、一方、他の実施例では、ビーム分離機506は、撮像装置514に隣接し、及び/又は撮像装置の後方(下流)にある。同様に、ビーム分離機506は、撮像装置514の共役像平面内、又は前記撮像装置と同様の共役平面内に位置させることができる。
【0247】
図20−22は、また、画像及びスペクトル検出システム578を示し、これは、光ビーム検出システム500の検出部分、並びに分光装置512及び撮像装置514の種々の関連のある実施例である。例えば、図22におけるように、前記撮像装置は、共に光ビーム504を受け取るように寸法が設定された分光装置512、前記撮像検出器及び前記ビーム分離器のためのビーム分離器506と実質的に同一の平面上に配置することができる。前記撮像検出器は、測定ポート518の周囲を取り巻く検出領域531を含む。ある実施例では、前記撮像検出器及び前記ビーム分離器は並べておくことができ、あるいは前記ビーム分離器は、例えば前記ビーム分離器が実質的に前記撮像検出器の中央に位置するように、前記撮像検出器により取り囲まれるようにすることができる。
【0248】
図22では、前記ビーム分離器は、前記撮像検出器のすぐ後方に配置された分光装置512のための測定ポート518として機能する光収集エレメントからなる。前記光収集エレメントは、また、集められた光を離れた位置の分光装置に伝えるライトガイドの入力端部529である。適切なライトガイドは、光ファイバ、ファイバ束、液体ライトガイド及び中空反射ライトガイド又はレンズシステムを含む。前記ビーム分離器は、また、例えば、集められた光を離れた位置の分光装置に伝えるミラーのような集束又は非集束エレメント、又はレンズ若しくは集束ミラーのような集束エレメントからなるものとすることができる。他の実施例では、撮像装置514がスペクトルを決定することができる場合、前記光収集エレメントは、スペクトルの決定に専用される撮像装置514の一部を含むものとすることができる。前記撮像検出器は、光ビーム504を受け取る検出領域531を含み、また前記ビーム分離器は、前記撮像検出器の検出領域531の約20%、10%、5%乃至3%、又は1%若しくはそれ以下より少ないものからなるものとすることができる。
【0249】
図20は、さらに、撮像装置514に操作可能に接続され撮像装置514からの画像547を表示し、また分光装置512に操作可能に接続され分光装置512からのスペクトルを表示するためのディスプレイ装置546が示されている。ディスプレイ装置546は、撮像装置514からの画像及び分光装置512からのスペクトルの双方を同時に又は連続的に表示するように操作可能である単一のディスプレイ装置からなるものとすることができ、あるいは前記ディスプレイ装置は、多数の異なるディスプレイ及び/又は装置を含むものとすることができる。加えて、ディスプレイ装置546は、例えば異なる波長領域の又は異なる対象の多数の画像(先の時点における理想対象又はその対象の保存された画像のような。画像は、次に、医師又は他のユーザにより現画像と対比することができる。)及び/又は多数のスペクトルを同時に又は連続的に表示するように操作可能であるものとすることができる。
【0250】
図20−22は、さらに、測定され試験されるサンプル又は光源又は他の光ビームから直接に光ビーム504を受け取るように寸法が設定された光収集ポート548を示す。所望であれば、光ビーム504を領域502に伝えるため、光学リレーが光収集ポート548を領域502に操作可能に接続する。
【0251】
図20は、また、システム撮像装置514及び分光装置512に操作可能に接続された、撮像装置514及び分光装置512を制御するコンピュータ実行プログラミングを含む制御機又はコンピュータ577を示す。所望であれば、1を上回る制御機が使用可能であり、また前記制御機は、撮像装置514、分光装置512及び前記システムの他の機能の任意の1つ又はそれ以上を制御することができる。例えば、所望の場合には、前記制御機はここのどこかで説明したように、異なる波長の選択及び表示を制御することができる。
【0252】
図23−24について、光ビーム検出システム500は画像分離器550を含み得る。光ビーム検出システムは、また、図4及び7に示されている。画像分離器550は、典型的には、ビームスプリッタ554,556,558のような複数の光選択エレメント552と、バンドパスフィルタ104,106と、ロングパスフィルタと、ショートパスフィルタと、プリズムと、他の所望の光学選択エレメント(図4及び7参照)とを含み、光ビーム504により複数の選択された波長領域画像に運ばれた画像を選択し、ここにおいて各選択された波長領域画像は光ビーム504における波長の範囲のことなる波長領域に対応する。
【0253】
図23及び24に示すように、前記画像分離器は複数の撮像ビームスプリッタ554,556,558を含む。「撮像ビームスプリッタ」は、例えば、撮像装置514の上流側にある光ビーム504内のビームスプリッタ530のような前記システム内の他の場所に配置されたビームスプリッタに対し、前記撮像モジュール/装置内のビームスプリッタを指す。図23及び24における各撮像ビームスプリッタ554,556は異なる選択された波長領域を選び出し、ここのいずれかで説明したように、前記選択された波長領域の画像を提供し、前記選択された波長領域の画像を異なる撮像装置へ向ける。しかし、所望の場合は、異なる撮像装置は単一の撮像検出器の異なる領域又は検出領域とすることができる。
【0254】
ある実施例では、前記異なる波長領域は、青色光、可視光、近赤外光及び赤外光に対して少なくとも2つ、3つ又は全ての紫外線を含む。前記異なる波長領域は、また、赤色、青色及び緑色のような任意の所望の波長範囲、あるいは特定の蛍光信号が選択的に検出され、例えばこれらの信号がオキシヘモグロビン及びデオキシヘモグロビンに対応し、あるいは信号が、癌性組織対非癌性組織又は健康な移植組織対拒絶反応を受けている移植組織のような対象又はサンプルの2以上の異なる状態に対応するような任意の所望の波長範囲を含むように選択されることができる。
【0255】
典型的には、図20及び他の箇所で示したように、ディスプレイ装置546は、所望の波長範囲から選択された少なくとも2つの画像を同時に又は連続的に表示するように前記画像分離機に操作可能に接続されている。好ましくは、ディスプレイ装置546は、さらに、分光装置512からのスペクトル549を同時に又は連続的に表示することができる。
【0256】
図4及び23では、前記撮像ビームスプリッタが光ビーム504に沿って直線的に配置されている。図23は、3つの異なる被選択波長範囲(2以上であってもよい。)を含む実施例を示し、このため、2つの撮像ビームスプリッタ554,556は、前記撮像ビームスプリッタの第1のサブセット(すなわち1又それ以上)が被選択波長領域画像568をレンズ96を経て撮像装置562に至る第1の方向に向け、前記撮像ビームスプリッタの第2のサブセット(すなわち1又はそれ以上)が被選択波長画像570をレンズ98を経て撮像装置564に至る第2の方向に向け、また被選択波長領域画像572の第3のサブセット(すなわち1又はそれ以上)が直接にレンズ102を通過して撮像装置566に至るように、交互に配置されている。図示の実施例では、前記第2の方向は、前記第1の方向から実質的に90°離れており、所望であれば45°又は180°のような他の角度も用いることができる。図23における構成及びここに示す他の構成は、コンパクトで軽量なカメラを組み立てるのに適切なバランスのとれた、コンパクトな機械的レイアウトをもたらす。
【0257】
図24では、3つの撮像ビームスプリッタ554,556,558が、被選択波長領域画像568,570,572を少なくとも3つの放射方向、及びこの実施例ではカメラであり、選択された異なる波長画像568,570,572を受け取るように光ビーム504の周りに放射状に配置された異なる撮像装置へ向けるように配置されている。図24では、撮像ビームスプリッタ554,556,558が、非選択波長領域画像を提供するため、全てのしかし好ましくは1つの選択された異なる波長領域を選択する。前記画像分離器は、さらに、前記非選択波長領域画像を直接に受け取るため、光ビーム504内であって撮像ビームスプリッタ554,556,558の後方に配置されている。このため、図4、723及び24に例示したように、ある実施例では、本発明は、原画像のことなる波長領域に対応する複数の画像を提供することができる。前記撮像システムは、光ビーム路と、該光ビーム路内に配置された複数の撮像ビームスプリッタ554,556,558又は他の所望の画像分離器を含む。撮像ビームスプリッタ554,556,558のそれぞれは、前記原画像の異なる非選択波長領域を選び出し、一致する異なる非選択波長領域画像を提供し、また前記異なる非選択波長領域画像を異なる撮像装置に向けることを提供する。前記撮像システムは、典型的には、さらに、前記異なる撮像装置からの前記異なる非選択波長領域画像の少なくとも1つを表示するために操作可能に接続された少なくとも1つのディスプレイ装置546を含む。前記異なる撮像装置は、例えば、単一の撮像検出器の異なる領域を含むことができ、又は前記異なる撮像装置が物理的に分離した撮像検出器を含むことができる。
【0258】
図26−27bは他の代わりの構成を示す。ミラー590は、スペクトル測定サンプリングのための光ファイバ588又は他の適当な光学ライトガイドを保持する予め開けられた穴を有する全反射ミラーからなるものとすることができる。光ファイバ288及びミラー590は、また、図27a−27bに示されている。前記光ファイバにより集められた光は、分光計又はスペクトル解析のための他の適当なスペクトル装置に送られる。ミラー590は、レンズ540の後に前記像平面の近くに配置され、また前記ファイバの平坦な切断端は、スペクトル解析のための画像の定められた領域からの光信号を集めるために常に焦点が合っている。ミラー592は、前記光ビームを曲げてその原方向に戻し、次いでレンズ542を通して画像収集のためのカメラに至らせるためにミラー590と平行に配置されている。代わりに、ミラー592を省略することができ、また前記カメラは原光路から90°の角度(又は任意の他の所望の方向に)に配置される。
【0259】
前記整列した黒斑なしのまた所望の場合にはスペクトル測定なしで画像を得るため、ミラー590が、光ファイバ588の端部が前記光ビームの外側におかれるように、前記ミラーの表面の平面に沿って移動される。代わりに、2つのミラーが互いに連結され、また前記ファイバの端部が前記光ビームの外側にあるように前記ミラーの表面の平面内又はこれと平行でない方向、例えば前記光路に沿って又は前記光路に直角に互いに移動される。これらの双方の場合、前記ミラー又は全部のミラーを移動させるときに一定の光路長さが維持される。
【0260】
図26に示す前記2つのミラーは、図示の目的のみのため、到来する光ビームに対して45°の角度に置かれている。これらは任意の他の所望の角度とすることができる。光ファイバ588の端面が次に前記ミラーの表面と平行に近くに維持されるため、90°に近い角度が好ましい。
【0261】
図20、21、22及び26におけるような本発明のある実施例では、前記ミラーの表面上のいかなるほこり又は汚れも、ビーム分離器506又はミラー590が前記像平面に配置されている場合には、最終的なカメラの画像にはっきりと際立つ。これは、少なくとも3つの方法で解決することができる。1つの方法は、図27bに示すように、好ましくは全光路の長さを同じに維持する間に、前記ミラーの僅かに外側に光ファイバ588の端部を配置する方法である。これは、ミラー590を前記像平面の僅かに外側に維持する間に、焦点を合わされた像平面に光ファイバ588の端部を維持すること可能にし、これは、ほこり又は汚れが前記カメラに撮像されないことを意味する。
【0262】
第2の試みは、ミラー590,592を結合し、これらを互いに前記焦点が合わされた像平面から移動させる(光ファイバ588の端部と共に。これは、ミラー590と同一平面上にある)ことである。しかし、この試みでは、スペクトル測定のときにミラー590を前記像平面に移動させることが好ましく、これは、また、いかなるほこりまたは汚れも前記カメラの画像に見られるように再配置される。
【0263】
第3の試みは、ミラー50又はビーム分離器506の上にカバーガラスをおくことである。この方法では、ほこり又は汚れが前記像平面にあるミラー590又はビーム分離器506上にではなく、前記ガラスカバーの表面上に落下する。このため、前記像平面にない前記カバーガラス上のほこり又は汚れは前記カメラに撮像されない。
【0264】
本発明は、また、ここに開示した装置を製造し又は使用する方法を提供する。ある実施例では、このような方法は、光ビームを検出することを含む。この方法は、ビーム分離器を通して(使用して)光ビームの僅かな部分を光ビームの残りから分離し、分離された光ビームと残りの光ビームとを提供することを含む。前記分離された光ビームはビーム分離器に光学的に接続された分光装置に伝えられ、残りの光ビームはこれを受け取りかつここから画像を提供するように光学的に接続された撮像装置に伝えられる。この方法は、さらに、分光装置からのスペクトル及び撮像装置からの画像をディスプレイ装置上に表示することを含む。
【0265】
前記方法のある実施例では、分光装置は光ビーム外に配置され、また前記ビーム分離器は光ビームの小さい領域を遮り、このような小さい領域を分光装置に向け変えるように寸法が設定されかつ配置された光再指向装置を含む(あるいは反対に前記光再指向装置は光を撮像装置に向ける)。前記方法は、さらに、光再指向装置を通して、光ビーム内の光線再指向装置の位置に対応する残りの光ビーム内の小さい残像を与えることを含む。前記小さい残像は、実質的に光ビームの中央に与えられる。前記方法は、残りの光ビームからの光線再指向装置上への実質的に全ての光入射を光線再指向装置を通して分離することを含む。
【0266】
前記ビーム分離器は、光ビームの大部分を遮るビームスプリッタからなるものとすることができ、前記ビームスプリッタは残りの光ビーム内に多くの残像を残さず、また、前記方法は、さらに、前記ビームスプリッタを通して光ビーム中の電磁放射線の実質的に50%を超える80%、90%又は99%以上を撮像装置へ透過させ、またビームスプリッタを通して光ビーム中の実質的に50%を下回る電放射線を分光器へ反射させることを含む。
【0267】
前記方法は、ピクセレートされた検出器又はピクセレートされていない検出器で実行することができる。ビーム分離器は実質的に撮像装置と同じ像平面に、実質的に撮像装置の前方及び該撮像装置に接触させないか隣接させて、又は実質的に撮像装置の後方及び撮像装置に接触させないか隣接させて配置することができる。前記方法は、さらに、ビーム分離器の前方の第1の集束エレメントとビーム分離器及び撮像装置間の第2の集束エレメントとを通して、前記第1の集束エレメントが実質的にビーム分離器で第1の共役像平面を提供しかつ第2の集束エレメントが実質的に撮像装置で第2の共役像平面を提供するように光ビームを通過させることを含む。
【0268】
前記方法は、撮像装置からの画像及び単一ディスプレイ装置上の分光装置からのスペクトルの双方を同時に又は連続的に表示することを含む。前記方法は、また、光ビームを画像分離器に通し、光ビームの等しい複数の異なる波長領域に対応する複数の波長領域画像に前記画像を分離すること、次いでディスプレイ装置上に前記波長領域画像を表示することを含む。この分離は、異なる被選択波長領域を選び出し、選択された異なる波長領域を異なる撮像装置に向ける複数の撮像ビームスプリッタに光ビームを通すことを含む。前記複数の異なる撮像ビームスプリッタは、光ビームに沿って所望の通りに直線的に、放射状に又は別の状態に配置することができる。前記方法は、さらに、全てのしかし望ましくは1つの選択されない異なる波長領域を選び出し、次いで前記望ましい1つの選択されない異なる波長領域を撮像装置に伝えることを含む。
【0269】
前記異なる波長領域は、青色光、可視光、近赤外光及び赤外光又は他の所望の波長範囲に対して少なくとも2つの紫外線を含むように選択されうる。
【0270】
前記方法は、例えば撮像装置及び/又は分光装置に操作可能に接続され、撮像装置及び分光装置を制御するコンピュータ実行プログラミングを含む制御機を通して実施することができる。前記方法は、また、例えば内視鏡、顕微鏡、望遠鏡またはカメラを通して実施することができる。
【0271】
本発明は、また、原画像の異なる波長領域から得られた複数の画像を提供する。ある実施例では、前記方法は、前記光ビーム路内に配置された複数の撮像ビームスプリッタを含む撮像分離器の光ビーム路に沿って原画像を運ぶ光ビームを通し、次いで選択された波長領域画像を提供するために前記撮像ビームスプリッタを通して前記原画像の異なる被選択波長領域を選択することを含む。前記選択された波長領域画像は、次に、異なる撮像装置に向けられる。前記方法は、さらに、前記選択された波長領域の1又はそれ以上を他の画像又は情報(スペクトルのような)をディスプレイ装置上に選択的に表示することを含む。
【0272】
撮像ビームスプリッタ及び対応する検出器は、所望であれば、前記光ビーム路に沿って直線的に又は放射状に配置することができる。例えば、前記撮像ビームスプリッタは、前記撮像ビームスプリッタの第1のサブセットが第1のセットの選択された異なる波長領域を第1の方向に向け、また第2のサブセットの撮像ビームスプリッタが第2のセットの選択された異なる波長領域を前記第1の方向から実質的に180°離すことができる第2の方向に向けるように、交互に配置することができる。前記非選択波長領域画像を直接受け取るために前記光ビーム内及び前記撮像ビームスプリッタの後方に撮像装置を配置することができる。前記異なる波長領域は、ここのいずれかの箇所で説明したように、任意の様々な所望の波長を含むものであってよい。
【0273】
本発明は、ここにミーンズ・プラス・ファンクション及びステップ・プラス・ファンクションによる様々なエレメント、システム、方法等を含む。
【0274】
図2に戻ってこれを参照すると、ビーム指向装置52が運動機構61によって移動可能であるように記載したが、これに代えて、ビーム指向装置52がハウジング62内に永久的に固定されるようにすることができる。さらなる変更として、ビーム指向装置52は本発明の少なくともいくつかの態様又は実施例に本質的ではなく、またいくつかの実施例では、前記ビーム指向装置は所望であれば省略することができる。いずれの場合にあっても、CCDカメラ50は、は、所望により、前記カメラの重量を軽減しやすい、任意の稼働部分なしで構成することができる。あるいは、所望により、運動機構61を設けるより、前記ビーム指向装置は、第1の測定装置44のユーザにより、電磁放射線ビーム58の光路内又は光路外に手動で移動させることができる。
【0275】
分光測定に関して、単にモニタ45上に蛍光及び反射率スペクトルを表示することに加えて、プロセッサ回路41が、前記スペクトルを分析し、前記スペクトルに応答して特定の病気のタイプを提案するか又は診断するアルゴリズムがプログラムされているようにすることができる。このようなアルゴリズムは、好ましくは、統計的に多数の患者のスペクトルの検討に基づく。
【0276】
図9、18及び19を参照すると、図9に示す装置130は、蛍光及び反射率撮像のための照明用放射線を生じさせるための装置の単なる1例である。代わりに、他のタイプの装置130又は他のタイプの光学システム132を用いることができる。
【0277】
例えば、代わりの1の実施例では、変更された再指向装置188は、光ファイバ束ではなく液体ライトガイドを含む。
【0278】
図8を参照すると、さらなる代わりの実施例において、変更された再指向装置300はレンズ302と第1の反射器304とを含み、変更された第2の光学システム301は、図9に関して前述したようなフィルタ装置162と、第2の反射器306とを含む。ビームスプリッタ184から受け取られた入力放射線はレンズ302により平行にされかつ第1の反射器304に向けられ、そこから反射され、フィルタ装置162を通して第2の反射器306に至り、該反射器は任意のこのような放射線をダイクロイック反射装置174に反射する。
【0279】
同様に、図9、18及び19を参照すると、蛍光及び反射率撮像のための照明用放射線を生じさせるための代わりの装置が図19に全体に符号310で示されている。装置310は、図9に示す第1の光学サブシステム134と同様であるがレンズ190を省略した代わりの第1の光学サブシステム312を含む。この装置は、さらに、図18に符号300で示すものと同様であるがレンズ302を除く変更された再指向装置を含む。この装置310は、また、図18に示す変更された第2の光学サブシステム301を含む。電磁放射線源148の楕円形状の反射器182が放物線状の反射器316と置き換えられており、その焦点にランプ180が配置されている。したがって、電磁放射線源148は、電磁放射線の平行光線をビームスプリッタ184に向け、前記したように前記第1及び第2の光学サブシステムに入力放射線を提供する。
【0280】
同様に、図19及び25を参照すると、蛍光及び反射率撮像のための照明用放射線を生じさせるための代わりの装置が、図25に全体に符号410で示されている。装置410は、第1の光学サブシステム312と、第2の光学サブシステム301と、ビームコンバイナ174と、ビーム再指向304とを含み、これらは全て図19に示すものと同一である。電磁放射線源148の放物線状の反射器316は球形状の反射器416と置き換えられており、その焦点にランプ180が配置されている。反射器416により反射された光線及びランプ180から直接に来る光線の双方は、集光レンズ409により集められかつ平行にされ、次いでビームスプリッタ484に向けられる。ビームスプリッタ484はホットミラーからなり、可視及び青色光を前記第1の光学サブシステムに透過させかつ近赤外光を前記第2の光学サブシステムに反射させる。
【0281】
さらなる実施例として、図9を参照すると、ビームスプリッタ184は代わりにコールドミラーではなくホットミラーを含む。前記ホットミラーは、近赤外線を反射するが、可視光は透過させる。このようなケースでは、前記第1及び第2の光学サブシステムの機能が交換される。したがって、ビームスプリッタ184は前記第1の光学サブシステムによる受け取りのために近赤外線成分を反射する。反射装置188は、前記第2の光学サブシステムによる受け取りのために前記励起及び白色光照明成分を再指向させる。前記第1の光学サブシステムのフィルタ装置150は、前記第2の光学サブシステムのフィルタ装置162と置き換えられ、また、逆も同様である。これらの及び他のこのような変更は、この明細書を検討することによりこの分野の当業者には明らかであろうし、また、添付の請求の範囲に従って構成されるように本発明の範囲から逸脱しては考慮されない。
【0282】
加えて、図2、4、5及び12を参照すると、蛍光画像を正規化して幾何学的要因を保証する代わりの方法が用いられる。例えば、ブロック212が、マルチカラーディスプレイ装置の第1のカラーチャンネル入力、又はより詳細にはRGBカラーフレームグラバー47の緑色チャンネル入力215に提供される500および600nm間の波長で前記組織の蛍光に応答して第2の検出器87により発生される蛍光信号を生じさせるように変更されうる。同様に、ブロック212は、前記RGBカラーフレームグラバーの赤色チャンネル入力217に提供されるように第1の近赤外線波長範囲116(750乃至800nm)において前記組織の近赤外線反射率に応答して第3の検出器88により発生される第1の近赤外線反射率信号を生じさせ、また前記RGBカラーフレームグラバー47の青色チャンネル入力219に提供されるように第2の近赤外線波長範囲118(800乃至900nm)において第4の検出器89により発生される第2の近赤外線反射率信号を生じさせるように変更されている。結果として生じる3チャンネルの正規化された蛍光画像は、ブロック212に関して説明した2チャンネル画像よりも明るい。このような3チャンネルの正規化された蛍光画像において、正常な組織は緑色の背景として現れやすく、一方、異常な又は病的な組織は明るいマゼンタ色として現れる。代わりに、前記第3及び第4の検出器の信号は青色及び赤色チャンネル入力と交換することができる。
【0283】
さらなる変更として、ブロック212は、プロセッサ回路41に、前記緑色蛍光画像を数値上の正規化をするように、指示する。より詳細には、図12に戻ってこれを参照すると、本発明の変更例において、ブロック212は、前記プロセッサ回路に、前記組織の各点について、前記点に対応する比率信号の強度が第1の近赤外線波長帯における前記点の反射率の強度対前記点の蛍光の強度の比率に比例するように比率信号を生じさせるように、指示する。変更されたブロック212は、さらに、前記プロセッサ回路に、前記組織の蛍光画像を生じさせるためにディスプレイ装置の入力に与えられる前記比率信号を生じさせるように、指示する。例えば、これは、前記組織の各点に対応する前記画像における各ピクセルの輝度が前記点により反射された近赤外線成分218に応答して発生される第4の検出器89(又は、代わりに第3の検出器)の信号対前記点により放射された蛍光成分214の信号の比率に比例する正規化されたモノクロ画像を生じさせることにより達成される。この比率が正常な組織についてよりも病的又は異常な組織についての方が高いであろうこと、及び病的な組織が正常な組織を表示する暗い背景上に輝点として現れるであろうことは認識されよう。
【0284】
あるいは、図12に戻ってこれを参照すると、本発明のさらなる変更例において、ブロック212は、前記プロセッサ回路に対し、この実施例では、前記組織の青色画像を生じさせるためのRGBカラーフレームグラバー47の青色チャンネル入力219であるマルチカラーディスプレイ装置の第1のカラーチャンネル入力に提供される前記比率信号を生じさせ、また同時に、前記組織の蛍光に応答して第2の検出器87により発生される蛍光信号が緑色チャンネル入力215に与えられ前記組織の緑色が像を生じさせ、また第4の検出器89(又は、代わりに第3の検出器88)により発生された前記近赤外線反射率信号が赤色チャンネル入力217に与えられモニタ51上に前記組織の赤色画像を生じさせるように、指示するように変更される。結果として得られる正規化された蛍光画像において、正常な組織は、より明るいシアン緑色の背景として現れ、また異常又は病的な組織は明るいマゼンタ色として現れる。
【0285】
同様に、図2、4、5及び12を参照すると、前記組織の正規化された近赤外線反射率画像を生じさせる他の方法が、その酸素投与状態を表示して、代わりに用いられる。例えば、変更されたブロック213は、前記プロセッサ回路に対して、前記組織の各点について前記点に対応する第1の信号の強度対前記点に対応する第2の信号の強度の比率に比例する明るさで照明されるようにマルチピクセルディプレイ装置の対応ピクセルをせるように、指示する。より詳細には、前記組織の各点に対応する前記画像の個々のピクセルの明るさは、第2の近赤外線波長帯118における前記組織の近赤外線反射率に応答して第4の検出器89により発生される信号の強度対第1の近赤外線波長帯116における前記組織の近赤外線反射率に応答して第3の検出器88により発生された信号の強度の比率に比例する。それは、この比率が正常な組織についてよりも病的又は異常な組織についての方が高いであろうこと、したがって、また、結果として生じたデジタル画像において、病的な組織は、正常組織の暗い背景に対して明るい領域として現れるであろうことは認識されよう。
【0286】
さらなる例として、変更されたブロック213は、前記プロセッサ回路に対して、前記した方法において第3の信号又は比率信号を生じさせ、また前記第3の信号が前記ディスプレイ装置の第3のカラーチャンネル入力に与えられるようにすることを、指示する。より詳細には、さらなる変更されたブロック213が、前記プロセッサ回路に対して、第2の近赤外線波長帯118における近赤外線反射率対第1の近赤外線波長帯116におけるそれの比率に応答して発生された前記したような信号が前記青色チャンネル入力に与えられて前記組織の青色画像を生じさせるようにさせ、また同時に、モニタ51に、第3の検出器88により発生された前記信号が前記組織の緑色画像を生じるように使用され、また第4の検出器89により発生された前記信号が前記組織の画像を生じさせるように使用されるように、指示する。結果として生じる正規化された赤外線反射率画像において、正常な組織はより明るいシアン緑色の背景として現れやすく、また異常又は病的な組織は明るいマゼンタ色として現れる。
【0287】
また、図2及び図12に戻ってこれらを参照すると、ブロック212,213は、正規化された蛍光画像234と正規化された赤外線反射率画像235とをモニタ51に交替に表示するように説明してきたが、代わりに、これらの画像は、画像234,235を生じさせるために必要な物理的測定が前記した主要な実施例において動に行われるように、同時に表示されるようにすることができる。このため、代わりの実施例では、追加のRGBカラーフレームグラバー(図示せず)と共に、追加のモニタ(図示せず)が準備される。変更されたブロック212が実行され、ブロック212に関して先に説明したように、正規化された蛍光画像234がモニタ51上に表示され、同時に、ブロック213に関して前述したように、カメラ制御装置49及び追加のRGBカラーフレームグラバーを制御して正規化された近赤外線反射率画像235が追加のモニターに表示されるように実行されように実行される。したがって、内視鏡59の操作者は、改善された診断能力のための、モニタ45上の蛍光/近赤外線反射率分光分布画像220と、モニタ51上の正規化された蛍光画像234と、前記追加モニタ上の正規化された近赤外線反射率画像235とを同時に見ることができる。
【0288】
さらに一般的には、本発明の特定の実施例はこの明細書を通して記載されまた説明されたが、このような実施例は、本発明の例証としてのみ考慮され、また添付の請求の範囲に従って解釈されるように、本発明の範囲を制限しないで考慮されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0289】
【図1】本発明の第1の実施例に従う、多数の測定装置での電磁放射線の同時測定を容易にする装置の概略図。
【図2】本発明の第2の実施例に従う、多数の測定装置での電磁放射線の同時測定を容易にする装置を含むシステムのブロック線図。
【図3】図2に示す装置のビーム指向装置の図。
【図4】放射線指向システムを有する、図2に示されたシステムの撮像装置の概略図。
【図5】近赤外(NIR)波長範囲における3つの主要な組織発色団(酸化ヘモグロビン、デオキシヘモグロビン及び水)の吸収スペクトルの概略図。
【図6】図4に示す撮像装置の4つの撮像チャンネルのスペクトル応答の概略図。
【図7】本発明の第3の実施例に従う、放射線指向システムを有する、図2に示すシステムの撮像装置の概略図。
【図8】図2に示すシステムの分光計の概略図。
【図9】本発明の第4の実施例に従う、蛍光及び反射率撮像のための照明放射線を生じさせる、図2に示す装置の概略図。
【図10】図9に示す装置によって生じた、蛍光/近赤外反射率撮像のための第1の分光分布図。
【図11】図9に示す装置によって生じた、白色光反射率撮像のための第2の分光分布図。
【図12】図2に示すシステムのプロセッサ回路により実行された測定ルーチンのフローチャート。
【図13】図10に示す第1の分光分布で照明されたときの、対象により反射され及び蛍光放射された放射線のグラフ。
【図14】図4に示す撮像装置が図13に示す放射線を受け取るとき(蛍光/近赤外反射率撮像モード)の図6に示す撮像チャンネルための検出スペクトル側面像のグラフ。
【図15】図10に示す第1の分光分布で照明されたときの、正常な組織及び異常な組織により発生した蛍光分光分布と、正常な組織及び異常な組織により生じた近赤外反射率分光分布のグラフ。
【図16】図11に示す第2の分光分布で照明されたときの、対象により反射された放射線のグラフ。
【図17】図4に示す撮像装置が図16に示す放射線を受け取るとき(白色光反射率撮像モード)の図6に示す撮像チャンネルための検出スペクトル側面像のグラフ。
【図18】本発明の第5の実施例に従う、蛍光及び反射率撮像のための照明放射線を生じさせる装置の概略図。
【図19】本発明の第6の実施例に従う、蛍光及び反射率撮像のための照明放射線を生じさせる装置の概略図。
【図20】ビーム分離器が撮像装置と共に共役像平面に配置されている、多数の測定装置で電磁放射線の同時測定を容易にするための装置の概略図。
【図21】ビーム分離器が撮像装置の直前に配置されている、多数の測定装置で電磁放射線の同時測定を容易にするための装置の概略図。
【図22】ビーム分離器が撮像装置の内部に配置されている、多数の測定装置で電磁放射線の同時測定を容易にするための装置の概略図。
【図23】ビーム分離器が交互に配置されている撮像装置の概略図。
【図24】ビーム分離器が光ビームに周りに放射関係に配置されかつ撮像装置がビーム分離器の直後に配置されている撮像装置の概略図。
【図25】本発明の他の実施例に従う、蛍光及び反射率撮像のための照明放射線を生じさせる装置の概略図。
【図26】図2に示すシステムの他の実施例の概略図。
【図27】図26で明らかにされたシステムの一部の概略図。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2000年12月19日に出願され現在係属中である米国特許出願第09/741,731号からの優先権主張出願である。
【0002】
発明の分野
本発明は、電磁放射線の測定装置に関し、特に、多数の測定装置による電磁放射線の同時測定を容易にし、蛍光及び反射率撮像のための照明放射線を生じさせ、撮像装置の同じ検出器を使って蛍光及び反射率撮像の双方を行い、分光法による高い診断特異性を達成する間に高い診断鋭敏度画像を生じさせ、組織の酸素投与を検出し、組織の蛍光画像を生じさせるための方法及び装置に関する。
【0003】
発明の背景
多くの事例において、1を超えるタイプの電磁放射線の測定を伴う。例えば、いくつかの医用撮像の事例では、人間の患者のような被検者の空洞又は切り口への内視鏡の挿入を伴う。例えば、可撓性を有する内視鏡は光学チャンネルを含み、該光学チャンネルを通して、第1の光ファイバー束が患者の内部組織を照らすための照明光を伝達し、また、第2のコヒーレントな光ファイバー束が、前記内視鏡を介して後退する前記内部組織により反射された光又は放たれた蛍光を電荷結合素子(CCD)カメラのような測定装置に伝達する。前記カメラにより描写された前記内部組織の画像は、表示画像から疑わしい異常な又は病気に冒された組織を確認することができる外科医又は医師より、目視検査のためのモニタ上に表示される。
【0004】
疑わしい異常組織がこのような目視検査によって確認されると、それが実際に病気に冒されているかどうか、より十分な特定又は正確性をもって確認するために前記組織に対する追加の分析を行うことが望ましい。この目的のため、分光法が時に用いられる。現在の分光分析法には内視鏡の生検チャンネルを介した光ファイバプローブの挿入を伴い、これは、通常、例えば組織の標本抽出又は治療に用いられるような医療器具の内視鏡を介しての挿入のために用いられる。前記生検チャンネル内におけるこの光ファイバプローブの存在が、前記生検チャンネルに他の器具を挿入することを困難にするか又は不可能にし、前記生検の所期の目的のための前記生検チャンネルを不適当なものにする。加えて、光ファイバプローブを挿入するために前記生検チャンネルから医療器具を除去し、次いでスペクトル測定が完了するときに前記器具を再挿入するために前記プローブを除去しなければならない外科医又は医師には、この手順は不自由をもたらす。さらに、光ファイバプローブが生検チャンネルを通して挿入されるとき、前記プローブは測定を行うために決まって組織に物理的に接触する。この接触は、加えられる圧力値に従って程度を変えるように前記組織から離れた血液を押圧する傾向があり、これは異なった目視スペクトルを生じさせ、これにより測定誤差源をもたらす。
【0005】
ある内視鏡システムは、分光装置による受入れのために組織から受けた放射線のあるパーセンテージ分を向けるためのビームスプリッタを用いるが、このような放射線の残りがカメラによる受入れのために前記ビームスプリッタを通過することを許す。しかし、ビームスプリッタのこの性質は前記カメラの全領域を横切って受け入れられる光の強さを減少させることが期待される。一般に、内視鏡の小さい周囲径、組織内に熱障害又は光漂白を生じさせることなしに照明光の強度を増大させる限られた能力のため、及び組織により蛍光放射され又は反射された光の比較的低い強度のため、分析される組織からの比較的少量の光のみが内視鏡にはいる。したがって、前記CCDカメラは既に「光不足」である。このようなビームスプリッタの使用はこの問題を悪化させ、その結果、一様に暗いCCD画像を生じさせ、これは高価な信号増幅装置の使用を必要とする。
【0006】
代わりの他の内視鏡システムでは、いくぶん異なる目的のためにミラーが用いられている。前記ミラーは、白色光の反射率撮像のための第1のカメラに全ビームを写すために内視鏡から光ビームの光路に挿入され、また全ビームが蛍光撮像のための第2のカメラで受け取られることを可能にするために前記光路から取り除かれる。しかし、この方法は前記第1及び第2のカメラによる同時測定を可能とせず、これは、内視鏡又は対象が交互画像間で動く機会を増大させる。この困難は白色光反射率及び蛍光の画像間のスイッチングにおける使用のためには重大ではないが、この方法は、結合された撮像及び分光測定のためには望ましくはなく、前記光学測定が、前記カメラの画像において興味あるものとして現れた同じ組織領域であることを保証することに失敗し、信頼できない分光結果に導く。
【0007】
したがって、ここに、内視鏡の画質又は分光結果の信頼性を大きく落とすことなしに、例えば撮像装置及び分光装置のような複数の測定装置で同時測定を行うより便利な方法に対するニーズがある。
【0008】
加えて、現行の内視鏡システムは、結合された撮像及び分光法の潜在性を完全に利用することに失敗している。特に、例えば白色光反射率RGBカラーCCDカメラ及びデュアルチャンネル蛍光撮像カメラのような多スペクトルチャンネル撮像装置を含むシステムのため、異なる撮像チャンネル間のゲイン関係を調整することによりこのような装置の診断鋭敏度を増大させる能力が従来の知識により強制され、これが、ゲイン関係調整による前記撮像装置の診断鋭敏度における任意の増大が診断の特殊性における対応する減少に終わることを示している。換言すると、例えばデュアルチャンネル蛍光撮像装置の診断鋭敏度を増加させることは、実際に組織が良性であるか又は正常であるときでも、前記撮像だけから病気に罹っているか又は悪性であるようにみえる組織の結果として、より「擬陽性」であるとの診断を生じさせる。したがって、このような間違った診断を回避するために望ましいことは、前記撮像装置の診断鋭敏度を調整するための能力に制限をおくことである。
【0009】
したがって、ここに、診断の特定又は正確性を過度に低減させることなしにより高い診断鋭敏度の画像を生じさせる方法についてのニーズがある。
【0010】
加えて、内視鏡撮像システムは、好ましくは、内部器官の外観が外科医又は医師になじみのある通常の眺めを生じさせる白色光反射率カラー撮像と、より良い診断の正確性のための蛍光撮像との双方を含む。白色光反射率撮像のため、組織が白色光で照らされている間、関心のある組織の画像がとられる。蛍光撮像のため、組織は、励起光、典型的には事例に応じて青から紫外の領域にある短波長の光で照らされる。蛍光体を含む薬剤を組織に注射する必要性を回避するため、趨勢は自動蛍光撮像に向けられてきた。組織が短波長の励起放射線で照らされると、組織は、例えば典型的には450nmから750nmの範囲にありかつ510nmから530nmの緑色波長にピークがある蛍光を放出する傾向をもつ。羅患した組織又は癌性の組織のような異常組織は、正常な組織よりも緑色波長で自動蛍光の光のような非常に低い輝度を発する傾向を有することが見出されている。このため、異常な組織又は疑いのある組織は、緑色波長で前記組織の対応する蛍光画像でより暗く現れやすい。したがって、相異なる照明スペクトルが、反射率及び蛍光撮像、すなわち白色光又は反射率撮像のための他の照明スペクトル及び蛍光撮像のための少なくとも1つの短波長励起スペクトルのために求められる。
【0011】
反射率及び蛍光撮像のためのほとんどの励起システムは、反射率及び蛍光撮像間の切換が不便であるか、若しくは幾何学的因子を補償するために蛍光画像を十分に補正しないかのいずれか、又はこれらの双方である。
【0012】
より詳細には、白色光の反射率及び蛍光撮像間の切換のため、多くのシステムは、外科医又は医師のような前記システムのユーザに、内視鏡から白色光反射率撮像のために用いられる第1の光源及び第1のRGB CCDカメラを手動操作で接続を断ち、また蛍光撮像のために内視鏡に第2の分離光源及び第2の蛍光カメラを接続することを要求する。このような手動操作による光源及びカメラの接続解除及び接続は、ユーザにとって時間の浪費でありまた不便であり、検査中の患者に対して継続時間及び不快感を増大させる。
【0013】
幾何学的因子を補償するための前記蛍光画像の補正に関して、蛍光撮像のために単一の短波長の照明周波数帯のみを使用することは不利であることが判明した。組織の異常性又は疾患性が蛍光画像における所与の点を暗く現れるようにすることはあるが、代わりに、正常な組織もこれが前記組織内の他の点よりも内視鏡の先端から単にさらに離れている場合には暗く現れ、あるいは正常な細胞が、例えば湾曲した組織表面、襞、ポリープ又は前記組織表面に関する内視鏡の角度のような部分的閉塞症又は他の幾何学的要因のために暗く現れることがある。したがって、それが異常であるか、又はその距離若しくは内視鏡の先端に関する幾何学的配置のためにそれが単に暗く現れるか否かであるため、緑色の蛍光画像のみから、組織内の特定点が暗く現れるか否かを定めることは不可能である。
【0014】
あるシステムは、正常な組織及び異常な組織の自己蛍光の強度が、緑色波長におけるより赤色の及びより長い波長においてより似ているとき、赤色波長での自己蛍光を追加的に測定することにより、後者の困難を扱うことを企図する。結果的に生じる赤色の自己蛍光画像は、組織の幾何学的形状のための緑色自己蛍光画像を補正するために使われる。例えば、赤色の自己蛍光画像は表示画面上に赤色画像として表示され、緑色の自己蛍光画像は前記赤色画像上に重ねられ、次に、組織内の所与の点は正常な組織であるが幾何学的要因のために緑色画像に暗く現れるとき、その点はまた赤色画像に暗く現れ、このため、2つの画像の重なりにおいて暗く現れる。しかし、組織が異常又は病的であるために組織内の所与の点が緑色画像において暗く現れるときは、その点は赤色画像において輝いて現れ、したがって重ね合わされた画像において赤点として現れる。しかし、不運にも、赤色の自己蛍光は、緑色の自己蛍光よりも低い強度で起こり、したがって、赤色画像は低SN(信号雑音)比となる。加えて、赤色の自己蛍光放出強度は正常組織及び異常組織に似ているが、この2つの間にはなおいくつかの違いが存する。したがって、この方法では大きな測定誤差を生じる可能性がある。
【0015】
本発明のある発明者により、近時、部分的に設計された1の現存のシステムは、前述した困難の双方を幾分扱っている。アーク灯がコールドミラーに入力放射線を向ける。前記コールドミラーは、光学システムへの近紫外線及び可視光を反射する一方、前記光学システムから離れる赤外線放射の90%以上を伝達し、連続した赤外線照射による前記光学システムの熱障害を回避する。前記コールドミラーからの放射線は、紫外線波長を減ずる間に前記光学システムを通過する可視光を伝達する長波通過フィルタを通過する。次いで、長波通過フィルタからの可視光は、ロータリフィルタ輪上の複数の異なるフィルタの1つを通して向けられる。前記フィルタの1つが、組織の正反射率画像のために均一な白色光を作り出す。他のフィルタは蛍光撮像のためのノッチバンドフィルタである。この方法は、すなわち、1つの光源が白色光反射率画像及び蛍光画像の双方のための照明を提供し、2つの光源間での内視鏡の切換の必要性を除去する。
【0016】
前記ノッチバンドフィルタ(notch−band filter)は450nmより短い青色波長を伝え、また前記コールドミラーの不完全性によるいくつかの赤外線波長を含む590nmより長い赤色波長を伝える。前記ノッチバンドフィルタは、これらの波長で組織によって自己蛍光放射を測定するための能力を妨げるこのような波長の組織による反射を回避するため、450nm及び590nm間の緑色波長を減ずる。青色波長は組織を励起して、緑色波長において組織により自己蛍光放射を生じさせ、次いでこれが測定され、緑色の自己蛍光画像を生じさせる。赤色波長は組織を照らし、緑色の自己蛍光画像の発生と同時に、組織の分離赤色反射率画像を生じさせる。この赤色反射率画像は、自己蛍光画像より高い強度を有し、このため、改善されたSN比、したがって減少した誤差を有する。次いで、赤色及び緑色の画像はディスプレイ上で重ねられ、幾何学的要因のための改善された補正を与える。
【0017】
しかし、前記した方法で採用された単一の光学システムの光源には、少なくともいくつかの点において、変更不能であるという傾向がある。例えば、励起に用いられる青色灯及び補正に用いられる赤色灯の両者が単一のノッチバンドフィルタを通過しなければならないため、励起及び補正に用いられる波長の選択は、このようなフィルタ上の制約を作ることにより制限される。例えば、病気に罹った組織及び正常な組織が赤色波長におけるよりいくつかのNIL波長バンドにおけるより一層類似の反射率強度を示すとき、補正目的のための反射率画像を提供するように赤色放射線よりNIR放射線を使用することが望ましい。しかし、450nmから750nmに波長を減ずるため、広いノッチバンドを有する単一のフィルタを設計することは実行可能でない。前記コールドミラーを単に除去しかつ前記光学システムを通して全ての赤外線波長を透過させることは、例えば反射率撮像フィルタのようなロータリフィルタ輪上の他のフィルタに熱障害を引き起こす可能性があるため、また前記光学システムのレンズ及び他の成分にこのような障害をもたらす可能性があるため、好ましくない。
【0018】
したがって、前記した現在の内視鏡撮像及び分光システムにおける欠陥に加えて、反射率及び蛍光撮像の双方に適する改善された照明源のニーズがある。
【0019】
同様に、反射率及び蛍光撮像のための現在のカメラが、反射率及び蛍光撮像間での切換を行うために含む多数の可動部分のために大きくしかも重い。このため、このようなカメラは医師又は外科医が用いることが困難である。したがって、カメラのサイズ及び重量を過度に増大させることなしに反射率撮像及び蛍光撮像の双方を実行することができる改善されたより軽量でコンパクトなカメラのニーズがある。
【0020】
最後に、癌性細胞の急速な成長のために増大した酸素消費によって引き起こされる、癌性組織が低酸素症を示すことが知られている。しかし、従来の内視鏡の撮像システムが典型的には組織酸素投与状態を検出することができない結果、関連のない発色団が可視撮像波長において低酸素症の効果を圧倒しかつ弱める傾向がある。したがって、内視鏡撮像システムにおいて、診断上の正確性を改善するために癌性組織のこの性状を利用する方法についてのニーズがある。
【0021】
発明の概要
本発明は、組織標本のような対象、コンピュータチップのような産業上の対象、又は顕微鏡、内視鏡、望遠鏡若しくはカメラのような光学システムで目視され得る他の任意の対象から画像及びスペクトルを同時に提供する光学システムを提供することにより、これらの及び他のニーズを提供する。ある実施例において、本発明は、さらに、対象のオリジナルイメージ内の様々な所望の波長範囲に対応する多数の画像を提供し、また所望であれば、スペクトルが得られまた前記装置を示す能力を強化する正確な場所の確認を提供することができる指向性のあるポインタを提供する
【0022】
1の態様において、本発明は、多数の測定装置を用いての電磁放射線の同時測定を容易にするための方法及び装置を提供する。前記方法は、第1の測定装置及び第2の測定装置のそれぞれによる受け取りのために向けられる電磁放射ビームの第1及び第2の隣接する放射線グループを生じさせることを含む。前記装置は、このような方法で向けられる前記第1及び第2の隣接する放射線グループを生じさせるように配置可能であるビーム指向装置を含む。
【0023】
したがって、前記第1の放射線グループは、例えば分光計による受け取りのために向けられ、他方、前記第2の隣接する放射線グループはカメラのような撮像装置に向けられる。このような場合、前記第2の放射線グループは前記分光計へは全く向けられず、したがって、前記第2の放射線グループは本質的に衰えないで前記カメラに到達し、例えば半透明なビームスプリッタを用いて可能である場合に比べてより鮮明な画像を生じる。多くの場合、これは、ノイズを生じさせまた撮像装置のコスト及び重量を増大させるイメージ増倍管のような高価な信号増幅装置の必要性をなくす。加えて、前記第2の放射線グループに応答してこのような撮像装置により発生される画像は、例えば分光計のような他の装置に向けられた前記第1の放射線グループの原通路に対応する黒斑を有する。このため、前記第2の放射線グループに応答して発生する前記画像における黒斑の位置を観察することにより、例えば外科医や医師のような観察者は、前記分光計によって標本抽出されている正確な点を直ちに知り、これにより前記分光計が、前記第2の放射線グループに応答して生じた前記画像における疑問のある熟視領域のような関心のある所望領域内の点を測定しているかどうかを知る。加えて、この方法は、例えばカメラ及び分光計のような前記第1及び第2の測定装置の双方が、例えば内視鏡の生検チャンネルを通る半透明のビームスプリッタ又は光ファイバを用いて、第2の分離ビームを生じさせる必要なしに、単一の電磁放射線ビームから測定を同時に生じさせることを可能であるように効果的に用いられる。また、より正確なスペクトルが、組織に接触するファイバプローブなしに、得ることができる。
【0024】
好ましくは、前記した方法において向けられる前記隣接した放射線グループを生じさせることは、前記第1の測定装置による受け取りのための前記第1の放射線グループを向けることを含む。前記ビーム指向装置はこれを達成するために配置することができる。
【0025】
より詳細には、前記第1の放射線グループを向けることは、好ましくは、前記第2の放射線グループが後記反射面を迂回することを可能とする間、前記ビームから前記第1の放射線グループを反射するように前記電磁放射線ビーム中に反射面を配置することを含む。前記ビーム指向装置は、この目的のために前記ビーム中に配置可能である反射面を含む。
【0026】
前記方法は、さらに、内視鏡の撮像チャンネルからの電磁放射線ビームを受け取ることを含む。例えば、前記電磁放射線ビームはハウジングの入力ポートで受け取られる。このような実施例では、前記第1及び第2の測定装置に向けられる前記第1及び第2の近接した放射線グループを生じさせることは、前記ハウジングの分光計のポートに向けて前記第1の放射線グループを向け、撮像装置に向けて前記第2の放射線グループを向けることを含む。前記第1の放射線グループを向けることは、前記ハウジング内で前記第1の放射線グループを反射させることを含み、また、追加的に又は代わりに前記第1の放射線グループを前記分光計のポートに焦点を合わせることを含む。前記第2の放射線グループは前記ハウジング内の電荷結合素子(CCD)において受け取られる。
【0027】
同様に、この装置は、前記ビーム指向装置を配置可能であるハウジングを含む。前記ハウジングは、内視鏡の撮像チャンネルから前記電磁放射線ビームを受け取るように、また前記ビームを前記ビーム指向装置に向けるように構成された入力ポートを有する。
【0028】
前記入力ポートに加えて、前記ハウジングは、前記第1の放射線グループを前記第1の測定装置に分配するため、例えば分光計のポートのような第1の測定ポートを有し、この場合において、前記ビーム指向装置は、前記入力ポートから前記電磁放射線ビームを受け取り、また前記第1の測定ポートに前記第1の放射線グループを向けるように前記ハウジング内に配置可能である。
【0029】
前記装置は、前記第1の放射線グループを前記第1の測定ポートに焦点を合わせるように前記ハウジング内に配置可能であるレンズを含む。
【0030】
前記方法は、さらに、前記第1及び第2の近接した放射線グループを前記測定装置に受け取ることを含む。例えば、前記第1の放射線グループは分光装置で受け取られ、また前記第2の放射線グループは画像装置で受け取られる。この点について、前記装置は、例えば画像装置又は分光装置のような第1及び第2の測定装置の少なくとも1つを含む。
【0031】
前記方法は、また、前記第2の放射線グループにおける各波長範囲の入射放射線を前記測定装置の1つの各対応検出器領域に向けることを含む。例えば、これは、4つの波長範囲の前記入射放射線を前記測定装置の1つにおける各対応する検出器領域に向けることを含む。この点について、前記装置は、さらに、前記第2の放射線グループにおける各波長範囲の入射放射線を前記撮像装置の各対応検出器領域に向けるように構成された放射線指向システムを含む。
【0032】
本発明の他の態様において、分光学で高い診断特異性を達成する間に高い診断鋭敏度を生じさせるための方法及び装置を提供する。前記方法は、対象の改善された画像を生じさせるために少なくとも1つの波長範囲における前記撮像装置のゲインに関して少なくとも1つの他の波長範囲における撮像装置のゲインを選択的に調節し、また、前記改善された画像に現れる前記対象の領域内の点からの放射線のスペクトルを測定することを含む。前記装置は、各波長範囲における放射線を受け取るための少なくとも2つの検出器を含み、該検出器の少なくとも1つが、入力放射線に応答して対象の改善された画像を生じさせるように調整可能である選択的に調節可能のゲインを有する。前記装置は、さらに、前記検出器を収容しまた前記改善された画像中に現れる前記対象の領域内の点からの入力放射線のスペクトルの測定を容易にするために分光計への少なくともいくつかの入力放射線を提供するための第1の測定ポートを有するハウジングを含む。この装置は、また、前記対象の改善された画像を生じさせるための前記検出器の少なくとも1つのゲインに関して他の前記検出器の1つにおいてゲインを選択的に調節するように構成されたプロセッサ回路を含む。
【0033】
したがって、前記撮像装置のゲインは、改善された画像を生じさせるように選択的に調節される。この点について、前記撮像装置のゲインは、所望の場合、現存のシステムで使用されているゲインより異なる相対レベルに調整される。結果として生じる高い診断鋭敏度は、偽陽性診断の発生を低減する分光法の使用のため、特異性の損失なしに達成される。
【0034】
選択的に調節するゲインは、前記対象の蛍光撮像のための所望の赤色から緑色の信号比を生じさせるように、赤色波長範囲のゲイン及び緑色波長範囲のゲインの少なくとも1つを調整することを含む。前記プロセッサ回路はこのような選択的調整を行うように構成される。例えば、前記蛍光画像の正常化ために先にここに記載した組み合わされた蛍光及び赤色の反射率方法を用いることは、前記赤色から緑色の信号範比が以前用いられたより高いレベルに増大され、緑色蛍光及び赤色反射率画像の重ね合わせにおける疑いのある組織領域のより高い赤色強度を与え、一方、別な方法では、この赤色から緑色の信号比を増大することから結果として生じる偽陽性の診断の生起を減少するために分光法を用いる。
【0035】
同様に、選択的にゲインを調整することは、前記対象の白色光反射率撮像のための所望のカラーバランスを生じさせるために赤色、緑色及び青色の範囲のゲインの少なくとも1つを調整することを含む。前記プロセッサ回路はこのようなゲインを選択的に調整するように構成される。
【0036】
好ましくは、選択的にゲインを調整することは、前記対象の蛍光画像における前記対象の異常領域の表示を高めるためにゲインレベルの第1のセットまで少なくとも1つの波長範囲及び少なくとも1つの他の波長範囲におけるゲインを設定することを含み、さらに前記対象の蛍光画像における前記対象の異常領域の表示を高めるためにゲインレベルの第2のセットまで前記ゲインを設定することを含む。前記プロセッサ回路はこのようなゲインレベルを設定するように構成される。
【0037】
好ましくは、前記検出器は、例えば青色範囲、緑色範囲、赤色乃至近赤外範囲及び第2の近赤外範囲のような4つのそれぞれの波長範囲の放射線を受け取るための4つの検出器を含む。前記装置は、さらに、前記ハウジング内に、前記対象から受け取った前記4つのそれぞれの波長範囲の入射放射線を前記4つのそれぞれの対応する検出器に向けるように構成された放射線指向システムを含む。
【0038】
例えば、前記放射線指向システムは第1の部分反射装置と、第2の部分反射装置と、第3の部分反射装置と、反射器とを含む。前記第1の部分反射装置は、前記第1の波長範囲の入射放射線を前記第1の検出器に反射させ、他の波長範囲の入射放射線を透過させるように配置することができる。前記第2の部分反射装置は、前記第1の部分的反射装置により透過された前記第2の波長範囲の入射放射線を前記第2の検出器に反射させ、他の波長範囲の入射放射線を透過させるように配置することができる。前記第3の部分反射装置は、前記第2の部分的反射装置により反射された前記第3の波長範囲の入射放射線を前記第3の検出器に反射させ、他の波長範囲の入射放射線を透過させるように配置することができる。前記反射器は、前記第3の部分反射装置により透過された放射線を前記第4の検出器に反射させるように配置することができる。
【0039】
前記装置は、好ましくは、それぞれ、無視することができる帯域外伝送特性を有する帯域フィルタを含む。このような帯域フィルタは、好ましくは、前記第2の部分反射装置と前記第2の検出器との間、前記第3の部分反射装置と前記第3の検出器との間、及び前記反射器と前記第4の検出器との間におかれる。
【0040】
前記した複数の検出器と放射線指向システムとの組み合わせが、蛍光及び反射率撮像と単一の撮像装置との組み合わせを可能にするために有利であり、また前記撮像装置内にいかなる可動部分をも必要とせず、これにより前記撮像装置の重量及びコストを低減することができることが判明した。
【0041】
代わりに、前記放射線指向システムは、それぞれの波長範囲の入射放射線を対応する各検出器に向けるように構成されたプリズムシステムを含むものとすることができる。
【0042】
本発明のさらなる態様に従い、蛍光及び反射率撮像のための照明放射線を生じさせるための方法及び装置が提供される。前記方法は、蛍光/近赤外線反射率撮像及び白色光反射率撮像のための電磁放射線の第1及び第2の分光分布を選択的に生じさせることを含む。第1の分光分布は、光学システムの第1の光学サブシステムから受け取った励起成分と、光学システムの第2の光学サブシステム受け取った近赤外成分とを含む。前記第2の分光分布は、前記第1の光学サブシステムから受け取った白色光照明成分を含む。前記装置は、選択的に前記第1及び第2の分光分布を生じさせるように操作可能である、前記第1及び第2の光学サブシステムを含む前記光学システムを含む。
【0043】
このため、前記第1及び第2の光学サブシステムの使用により、より優れた適応性を達成することができる。例えば、所望により、近赤外線の選択帯域のようなより長波長の正規化成分を用いることができ、性状及び異常な組織の前記選択された近赤外線波長における反射スペクトルのより大きい類似性のために蛍光画像における幾何学的要因の高められた補正を提供する。このような代表的なシステムでは、前記近赤外線成分が前記第2の光学サブシステムから受け取られるため、前記近赤外線成分が前記第1の光学サブシステムを進む必要はなく、これにより、前記第1の光学サブシステムの成分に対する不必要な熱障害が回避される。
【0044】
加えて、前記第1及び第2の光学サブシステムは単一の光学システムに設けられているため、蛍光及び反射率撮像が、手動により内視鏡への1の光源の接続を断ちまた他の光源を接続する必要なしに達成される。
【0045】
前記第1及び第2の分光分布を選択的に生じさせることは、好ましくは、前記第1の光学サブシステムで白色光照明成分と前記励起成分を受け取ること、及び前記第2の光学サブシステムで近赤外線成分を受け取ることを含む。選択的に生じさせることは、さらに、蛍光/近赤外線反射率撮像のための第1の操作モードにおいて前記第1の光学成分から前記励起成分をまた前記第2の光学サブシステムから前記近赤外線成分を透過させることと、白色光反射率撮像のための第2の操作モードにおいて前記近赤外線成分を遮断する間に前記第1の光学サブシステムから前記白色光照明を透過させることとを含む。
【0046】
同様に、前記装置に関して、前記第1の光学サブシステムは、好ましくは、前記白色光照明成分及び前記励起成分を受け取るように、蛍光撮像のための第1の操作モードにおいて前記励起成分を透過させるように、また、白色光反射率撮像のための第2の操作モードにおいて前記白色光照明成分を透過させるように操作可能である。同様に、前記第2の光学サブシステムは、好ましくは、前記近赤外線成分を受け取るように、前記第1の操作モードにおいて前記近赤外線成分を透過させ、また前記第2の操作モードにおいて前記近赤外線成分を遮断するように操作可能である。
【0047】
選択的に生じさせることは、さらに、前記第1及び第2の光学サブシステムにより透過された放射線を共通の光学通路に沿って進むように向けることを含む。
【0048】
この点について、前記光学システムは、前記第1及び第2の光学システムにより透過された放射線を前記共通の光学通路に沿って進むように向けるべく配置可能であるコンバイナを含む。例えば、前記コンバイナは、前記第1の光学サブシステムにより透過された放射線を前記通路に沿って進むように透過させ、また前記第2の光学システムにより透過された放射線を前記通路に沿って進むように反射させるべく配置可能であるダイクロイック反射装置を含む。前記光学システムは、好ましくは、前記第1及び第2の光学サブシステムにより透過された放射線を出口ポートに焦点を合わせるように前記通路内に配置可能であるレンズを含む。前記装置は、光ファイバ束と、前記出口ポートとして機能する開放端部とを有する。例えば、これは、内視鏡の照明光ファイバ束を含む。
【0049】
前記方法は、好ましくは、さらに、前記励起、近赤外線及び白色光照明の各成分を含む入力放射線を受け取ることを含み、前記励起成分と前記白色光照明成分とを前記第1の光学サブシステムに提供し、また前記近赤外線成分を前記第2の光学サブシステムに提供する。
【0050】
同様に、前記装置は、好ましくは、前記第1の光学サブシステム前記白色光照明成分と前記励起成分とを提供しかつ前記第2の光学サブシステムに前記近赤外線成分を提供するための少なくとも1つの電磁放射線源を含む。
【0051】
前記電放射線源は、入力電磁放射線を受け取り、前記第1の光学サブシステムによる受け取りのために前記白色光照明成分と前記励起成分とを反射し、また前記第2の光学サブシステムによる受け取りのために前記近赤外線成分を透過させるように操作可能であるビームスプリッタを含むものとすることができる。そうであれば、前記光学システムは、好ましくは、例えば光ファイバ束又は液体光導波管(液体ライトガイド)を含み、前記ビームスプリッタからの前記近赤外線成分を受け取りかつ前記第2の光学サブシステムに前記近赤外線成分を向け直すように配置可能である。
【0052】
前記電磁放射線源は、また、前記ビームスプリッタに前記入力電磁放射線を提供するように操作可能であるランプを含む。
【0053】
前記第1の分光分布を生じさせることは、前記励起成分として、青色及びより短い波長を有する放射線を生じさせることを含み、また前記近赤外線成分として、約750nm及び少なくとも約900nm間の波長を有する放射線を生じさせることを含む、
【0054】
前記第2の分光分布を生じさせることは、前記白色光照明成分として、可視光を生じさせることを含む。例えば、これは、400nmから700nmまでの波長を含む。この光学システムは、好ましくは、このような成分を生じさせるように操作可能である。
【0055】
より詳細には、前記第1の分光分布を生じさせることは、好ましくは、前記励起成分として、対象内で蛍光を生じさせるために十分に短い短波長成分を生じさせること、及び前記近赤外線成分として、前記対象の蛍光放出波長より長い長波長成分を生じさせることを含む。有利なことに、これは、完全な全波長範囲が前記反射された近赤外線成分放射線からの干渉なしに前記分光装置により測定されることを許す。このような成分を生じさせることは、さらに、前記蛍光放射線の検出を可能にすべく前記短波長成分に応答して前記対象により放出された蛍光放射線の強度を十分に下回る前記蛍光放出波長における強度を有するように前記第1の分光分布を生じさせることを含む。例えば、前記対象が組織である場合、前記第1の分光分布は、測定誤差を生じさせる前記蛍光放出波長における前記対象によるいかなる明らかな反射をも避けるため、緑色波長並びに赤色及び750nmより短い近赤外線波長における無視し得る強度を有するように発生される。前記光学システムは、好ましくは、このように方法で前記第1の分光分布を生じさせるように操作可能である。
【0056】
本発明の1の実施例では、例えば、前記第1の分光分布を生じさせることは、本質的に、短い及び長い波長成分からなる放射線を生じさせることを含み、前記短波長の成分は本質的に約(4と1/2)×102nm及び約4×102nm間の波長を有する放射線からなり、また前記長波長の成分は本質的に約(7と1/2)×102nm及び約9×102nm間の波長を有する放射線からなる。前記光学システムは、この分布を生じさせるように操作可能である。
【0057】
前記光学システムは、好ましくは、フィルタシステムを含む。
【0058】
前記第1の光学サブシステムは、前記第1の操作モードにおいて他の波長を減ずる間に前記励起成分を透過させるように操作可能であり、また前記第2の操作モードにおいて前記白色光照明成分を透過させるように操作可能であるフィルタ装置を含む。例えば、このフィルタ装置は、前記第1の操作モードにおいて前記励起成分を透過させるための青色バンドパスフィルタと、前記第2の操作モードにおいて前記白色光照明成分を透過させるために前記青色バンドパスフィルタと取り替えることができるカラーバランスフィルタとを含む。
【0059】
同様に、前記第2の光学サブシステムは、前記第1の操作モードにおいて他の波長を減ずる間に前記近赤外線成分を透過させるように操作可能であり、また前記第2の操作モードにおいて前記近赤外線成分を遮断するように操作可能であるフィルタ装置を含む。例えば、フィルタ装置は、前記第1の操作モードにおいて前記近赤外線成分を透過させるためのロングパスフィルタ及びバンドパスフィルタの少なくとも一方と、前記第2の操作モードにおいて前記近赤外線成分を遮断するための前記少なくとも1つのフィルタと取り替え可能であるライトストッパとを含む。
【0060】
所望であれば、前記装置は、前記光学システムによる受け取りのための入力電磁放射線を生じさせるように配置可能である電磁放射線源を含むものとすることができる。
【0061】
画像システムは、前記した照明放射線を生じさせるための装置を含み、さらに、前記装置により照明された対象から受け取られた入射放射線の各波長範囲を画像装置の対応する検出域に向けるように構成された放射線指向システムを含むように設けられている。
【0062】
同様に、本発明の他の態様に従うと、前記撮像装置の同じ検出器を使用する、蛍光結像及び反射結像の双方を行うための撮像システムが設けられている。この撮像システムは、前記したような照明放射線を生じさせるための装置を含み、さらに前記装置により照らされた対象から放射線を受け取るための複数の検出器と、放射線検出システムとを含む。この放射線検出システムは、前記対象からの放射線が回旋状であるスペクトル応答を各検出器のために規定すべく、各波長範囲の放射線を前記複数の検出器のそれぞれに向けるように構成されている。有利なことに、このようなシステムの実施例は、異なる照明放射線源又は撮像装置を手動で接続を断ちまた再接続する必要なしに、蛍光及び反射の撮像モード間の使いやすい自動切換を可能にする。同様に、前記放射線指向システムは、蛍光及び反射の撮像モード間を切り換えるための可動部分を要しない、蛍光及び反射率撮像の双方に適当な軽量で廉価なカメラ又は他の撮像装置の製造を可能にする。
【0063】
前記放射線検出システムは、好ましくは、5×102nmより小さい第1の波長範囲を第1の検出器に向け、5×102nmと6×102nmとの間の第2の波長範囲を第2の検出器に向け、6×102nmと8×102nmとの間の第3の波長範囲を第3の検出器に向け、また8×102nmと9×102nmとの間の第4の波長範囲を第4の検出器に向けるように構成されている。
【0064】
前記複数の検出器は、好ましくは、4つのそれぞれの波長範囲の放射線を受け取るための4つの検出器を含む。
【0065】
好ましくは、少なくとも1つの検出器が、入力放射線に応答して対象の改善された画像を生じさせるように調整可能である選択的に調整可能のゲインを有する。
【0066】
本発明の他の態様に従い、組織酸素投与を検出するための方法及び装置を提供する。前記方法は、第1の近赤外波長帯において組織により反射される放射線に応答して第1の信号を生じさせ、第2の波長帯におけるデオキシヘモグロビンの吸収係数に対するオキシヘモグロビンの吸収係数の比率が前記第1の波長帯における比率と異なるように選択された第2の近赤外波長帯において前記組織により反射された放射線に応答して第2の信号を生じさせることを含む。前記第1及び第2の信号は、前記組織の酸素投与画像を生じさせる使用のために操作可能である。前記装置は、前記第1及び第2の信号をそれぞれ生じさせるように操作可能である第1及び第2の検出器を含む。
【0067】
この点に関して、癌性細胞はその急速成長のために増大した酸素消費によって引き起こされる低酸素症を示し、このためオキシヘモグロビンより多量のデオキシヘモグロビンを含む。したがって、前記信号は、デオキシヘモグロビンの吸収係数に対するオキシヘモグロビンの吸収係数の比率が異なる2つの波長帯に応答して発生されるため、癌性細胞は、他の波長帯におけるより前記波長帯の1つにおいて正常組織に関して異なる強度で反射する傾向がある。これは、所望の場合、癌領域が明るくなる前記組織の酸素投与画像を生じさせ、診断の正確性を増大させるように組み合わされることを可能にする。実際、一つのみで取り出されるこれらの信号の一方は酸素投与画像を生じさせるように用いることができるが、それは、前記したように、前記2つの信号の組み合わせが幾何学的要因のために補正しまたは正規化するように役立つようにすることは望ましくはない。
【0068】
加えて、ヘム蛋白質すなわちオキシヘモグロビン及びデオキシヘモグロビンが近赤外波長で反射スペクトルを支配する傾向にあることに特に言及する。したがって、2つの異なる近赤外波長帯において前記組織により反射された放射線に応答して信号を生じさせることは、他の組織の発色団が反射スペクトルを支配し又はこれに寄与する可視波長のような他の波長に応答して前記信号の一方又は双方が発生される場合、生じるであろう誤差の測定を最少にするようにする。
【0069】
前記第1及び第2の信号を生じさせることは、好ましくは、前記第1及び第2の近赤外波長帯において前記組織によって反射された放射線をそれぞれ第1の検出器及び第2の検出器に向けることを含む。これは、前記第1の近赤外波長帯において前記組織により反射された放射線として、デオキシヘモグロビンの吸収係数がオキシヘモグロビンの吸収係数より大きい近赤外波長帯において放射線を前記第1の検出器に向けることを含む。同様に、これは、前記第2の近赤外波長帯において前記組織により反射された放射線として、オキシヘモグロビンの吸収係数がデオキシヘモグロビンの吸収係数より大きい近赤外波長帯において放射線を前記第2の検出器に向けることを含む。前記装置は、前記した方法で前記放射線を向けるように構成された放射線指向システムを含む。
【0070】
このような実施例は、診断の正確性をより高める。例えば、デオキシヘモグロビンの吸収係数がオキシヘモグラビンの吸収係数より大きい例えば750−800nmのような近赤外波長帯において、低酸素症のためにより多くのデオキシヘモグロビンを含む癌性組織は正常な組織より暗く現れる。逆に、オキシヘモグロビンの吸収係数がデオキシヘモグロビンの吸収係数より大きい例えば800−900nmのような近赤外波長帯において、癌性組織は、これらが正常細胞より比較的少ないオキシヘモグロビンを含むとき、正常細胞より明るく輝いてみえる。したがって、2つのこのような波長における組織の反射を示す信号は、癌性組織と正常な組織との間でより大きいコントラストを与える酸素投与画像を生じさせるように組み合わせることができる。
【0071】
前記方法は、好ましくは、さらに、前記第1及び第2の信号に応答して前記組織の酸素投与画像を生じさせることを含む。これは、多色ディスプレイ装置の第1のカラーチャンネル入力に与えられる前記第1の信号を生じさせること、及び前記ディスプレイ装置の第2のカラーチャンネル入力に与えられる前記第2の信号を生じさせることを含む。前記装置は、前記酸素投与画像を生じさせるように構成されたプロセッサ回路を含み、該プロセッサ回路は、各カラーチャンネル入力に与えられる信号を生じさせるように構成される。
【0072】
例えば、デオキシヘモグロビンの吸収係数がオキシヘモグロビンの吸収係数より大きい第1の近赤外波長帯において前記組織による反射に応答して生じた信号のような前記第1の信号がカラーモニタの緑色チャンネル入力に与えられ、正常な組織が明るい緑色を現すのに対して癌性組織が暗く現れる緑色画像を生じさせる。同時に、オキシヘモグロビンの吸収係数がヘモグロビンの吸収係数より大きい第2の波長帯において反射に応答して生じた信号のような前記第2の信号がカラーモニタの赤色チャンネル入力に与えられ、癌性組織が明るい赤色を現すのに対して正常組織が暗く現れる赤色画像を生じさせる。このため、前記モニタ上のこれらの2つの画像の重なり合いにおいて、癌性組織は明るい赤色を現す。癌性ではないが幾何学的要因のために暗く現れる前記組織内の点は、緑色及び赤色の両色で暗く現れる。
【0073】
代わりに又は加えて、前記酸素投与画像を生じさせることは、前記組織内の各点について、前記点に対応する前記第2の信号の強度に対する前記点に対応する前記第1の信号の強度の比率に比例する輝度で照らされるマルチピクセルディスプレイ装置の対応ピクセルを生じさせることを含む。前記プロセッサ回路はこれを達成するように構成される。
【0074】
同様に、前記酸素投与画像を生じさせることは、前記組織の各点について、前記点に対応する第3の信号の強度が、前記点に対応する前記第2の信号の強度に対する前記点に対応する前記第1の信号の強度の比率に比例するように、前記第3の信号を生じさせ、また前記ディスプレイ装置の第3のカラーチャンネル入力与えられる前記第3の信号を生じさせることを含む。前記プロセッサ回路は、前記第3の信号を生じさせ、これらが前記第3のカラーチャンネル入力に与えられるように構成されている。
【0075】
前記装置は、好ましくは、第3及び第4の波長帯のそれぞれにおいて電磁放射線に応答して各信号を生じさせるように操作可能である第3及び第4の検出器を含む。
【0076】
この例において、前記放射線指向システムは、前記第3及び第4の波長帯において前記放射線を前記第3及び第4の検出器に向けるように構成されている。例えば、このような放射線指向システムは、本発明の先述した態様に関して前記した放射線指向システムと同様に構成された、第1、第2及び第3の部分反射装置及び反射装置を含む。
【0077】
本発明の他の態様に従い、組織の蛍光画像を生じさせるための方法、装置、コンピュータ読み取り可能の媒体及び信号を提供する。前記方法は、前記組織内の各点について、前記点の蛍光の強度に対する第1の近赤外波長における前記点の強度の比率に比例する前記点に対応する比率信号の強度のような比率信号を生じさせることを含む。前記方法は、さらに、前記組織の蛍光画像を生じさせるためのディスプレイ装置の入力に与えられる前記比率信号を生じさせることを含む。前記装置は、前記方法を実施するように構成されたプロセッサ回路を含む。前記コンピュータ読み取り可能の媒体は前記蛍光画像を生じさせるためのプロセッサ回路に指示するためのコードを提供し、同様に、前記信号は搬送波において具体化され、前記方法を実施するようにプロセッサ回路に指示するためのコードセグメントを含む。
【0078】
前記入力に与えられる前記比率信号を生じさせることは、マルチカラーディスプレイ装置の第1のカラーチャンネル入力に与えられる前記比率信号を生じさせることを含む。前記方法は、さらに、前記ディスプレイ装置の第2のカラーチャンネル入力に与えられる前記蛍光に応答して発生される蛍光信号を生じさせることを含み、同様に、前記ディスプレイ装置の第3のカラーチャンネル入力に与えられる第1の近赤外波長帯における反射率に応答して発生される近赤外反射率信号を生じさせることを含む。例えば、前記比率信号、前記蛍光信号及び前記近赤外反射率信号は、前記ディスプレイ装置の青色チャンネル入力、緑色チャンネル入力及び赤色入力信号にそれぞれ与えられる。
【0079】
本発明の他の態様に従い、組織の蛍光画像を生じさせるための方法、装置、コンピュータ読み取り可能の媒体及び信号を含む。前記方法は、マルチカラーディスプレイ装置の第1のカラーチャンネル入力に与えられる前記組織の蛍光に応答して発生される蛍光信号を生じさせ、前記ディスプレイ装置の第2のカラーチャンネル入力に与えられる第1の近赤外波長帯の前記組織の反射率に応答して発生される第1の近赤外反射率信号を生じさせ、また前記ディスプレイ装置の第3のカラーチャンネル入力に与えられる第2の近赤外波長帯において前記組織の反射率に応答して発生される第2の近赤外反射率信号を生じさせることを含む。前記装置は、前記方法を実施するように構成されたプロセッサ回路を含む。前記コンピュータ読み取り可能の媒体は、前記蛍光画像を生じさせるようにプロセッサ回路に指示するためのコードを提供し、また、同様に、前記信号は搬送波において実施され、前記方法を実施するようにプロセッサ回路に指示するためのコードセグメントを含む。
【0080】
前記入力に与えられる前記信号を生じさせることは、前記ディスプレイ装置の緑色チャンネル入力、赤色チャンネル入力及び青色チャンネル入力にそれぞれ与えられる蛍光信号、第1の近赤外反射率信号及び第2の近赤外反射率信号を生じさせることを含む。
【0081】
本発明の他の態様に従い、画像装置またはカメラにおける同じ検出器を用いて蛍光撮像及び反射率撮像の双方を実行するための方法及び装置が提供される。前記方法は、蛍光撮像及び反射率撮像の双方のためのマルチスペクトルチャンネルが像装置において検出器を分けること、ここの画像チャンネルのスペクトル応答で照明制御された組織レミタンス(remittance)スペクトルを回旋状にするにより各撮像チャンネルのための所望の検出スペクトルプロファイルを生じさせること、及び、コンピュータ制御により検出器のゲイン調整及び照明モードの切換を調整することを含む。
【0082】
また、さらなる態様に目を向けると、本発明は、a)光ビームを受け取るサイズの領域と、b)分離された光ビームと残りの光ビームとを提供するために前記光ビームの残りから前記光ビームの僅かな部分を分離し、また前記分離された光ビームを分光装置に伝えるために前記領域に配置されたビーム分離器と、c)それから画像を提供するために前記残りの光ビームを操作可能に受け取るように前記領域に配置された画像装置と、d)それからスペクトルを提供するために前記分離された光ビームを受け取るように前記ビーム分離器に光学的に接続された分光装置とを含む。いくつかの実施例において、前記分光装置が前記光ビームの外部に配置可能であり、また前記ビーム分離器が前記光ビームの小さい領域を途中で遮りかつこの小さい領域の方向を前記分光装置へ変えるように寸法を定められかつ配置された光線再指向装置を含むものとすることができ、前記光再指向装置は、前記光ビームにおいて前記光線再指向装置の配置に対応する前記残りの光ビームに小さい残像を与える。所望であれば、前記光線再指向装置及び前記小さい残像は実質的に前記光ビームの中央に配置することができる。
【0083】
前記光線再指向装置は、前記残りの光ビームから前記光線再指向装置に入射する全ての光を実質的に分離することができ、また前記分光装置の測定ポート、ミラー、プリズム、ライトガイド又はレンズからなるものとすることができる。前記ビーム分離器は、ビームスプリッタからなるものとすることができる。前記ビーム分離器は、前記ビームスプリッタが前記残りの光ビームに大きな残像を残さないような光ビームの大部分を遮るビームスプリッタとすることができ、前記ビームスプリッタは前記光ビーム中の実質的に約50%、80%又は90%を超える電磁放射線を前記撮像装置に伝え、また前記光ビーム中の実質的に約50%、20%又は10%を下まわる電磁放射線を分光装置に反射する。
【0084】
前記撮像装置は、CCD、強められたCCD、CID、CMOS、フォトダイオードアレイ及び光電子増倍管アレイのようなピクセレートされた(pixelated)検出器、又はフィルムカメラのようなピクセレートされていない(non−pixelated)検出器からなる。前記分光装置は、分光計、単一のチャンネル検出器が結合された走査モノクロメータ又はフーリエ変換タイプの分光計に基礎付けられた干渉計からなるものとすることができる。
【0085】
ある実施例では、前記ビームセパレータは、前記撮像装置と実質的に同じ像平面、前記撮像装置の実質的に前方でかつ前記撮像装置に隣接するか接触しないところ、又は前記撮像装置の後方に配置することができる。前記システムは、さらに、前記ビームセパレータの前方のレンズ又は湾曲したミラーのような第1の焦点調節エレメントと、前記ビームセパレータと前記撮像装置との間の第2の焦点調節エレメントを含むものとすることができ、前記第1の焦点調節エレメントと前記第2の焦点調節エレメントとは、前記ビームセパレータにおける実質的な第1の共役像と前記撮像装置における実質的な第2の共役像とを与えるように配置される。
【0086】
前記システムは、さらに、前記撮像装置からの像を表示するために前記撮像装置に操作可能に接続されたディスプレイ装置、又は前記分光装置からのスペクトル表示するために前記分光装置に操作可能に接続されたディスプレイ装置を含むものとすることができる。前記装置は、前記撮像装置からの画像及び前記分光装置からのスペクトルの双方を同時に表示するように操作可能である単一又は多数のディスプレイ装置とすることができる。また、前記システムは、さらに、サンプルから直接に前記光ビームを受け取るように寸法が定められた集光ポートと、前記領域に前記光ビームを伝えるために前記集向ポートと前記領域との間で操作可能に接続された光学リレーシステムとを含むものとすることができる。
【0087】
さらに、前記システムは、さらに、前記画像を複数の選択された波長領域画像に分離する複数の光選択エレメントを含む画像セパレータを含むものとすることができ、各選択波長領域画像は、前記光ビーム中の波長範囲の異なる波長領域に対応する。前記画像セパレータは、前記選択された波長領域画像を与え、また前記選択された波長領域画像を異なる撮像装置に向けるように異なる選択された波長領域をそれぞれ選択する複数の撮像ビームスプリッタを含むものとすることができる。前記異なる撮像装置は、異なる領域の単一の画像検出器又は多数の検出器からなるものとすることができる。前記撮像ビームスプリッタは前記光ビームに沿って直線的に配置することができ、少なくとも3つの異なる放射方向に前記選択された波長領域画像を反射させるように少なくとも3つの画像ビームスプリッタを配置されていてもよく、また前記異なる撮像装置は、前記選択された異なる波長の画像を受け取るように前記光ビームの周りに放射的に配置することができる。前記撮像ビームスプリッタは、前記撮像ビームスプリッタの第1のサブセット(sub−set)が第1のセットの選択された波長領域画像を第1の方向に向け、前記撮像ビームスプリッタの第2のサブセットが、第2のセットの選択された波長領域画像を前記第1の方向から実質的に180°離れ得る第2の方向に向けるように、交互に配置することができる。
【0088】
前記撮像ビームスプリッタは、全ての所望の波長領域を選び出し、又は非選択の波長領域画像を提供するために非選択の異なる波長領域、所望のほとんど1つを選び出すことでき、前記画像セパレータは、さらに、前記非選択波長領域画像を直接に受け取るように前記光ビーム中で前記撮像ビームスプリッタの後方に配置された撮像装置を含む。前記異なる波長領域は、青色に至る少なくとも2つの紫外線と、可視光と、近赤外光と、赤外線とを含むものからなるものとすることができる。前記ディスプレイ装置は、前記青色に至る少なくとも2つの紫外線、前記可視光、近赤外光及び赤外線から選択された少なくとも2つの画像を同時に表示するように前記画像セパレータに操作可能に接続されたものとすることができ、また前記分光装置からのスペクトルを同時に表示することができるものとすることができる。
【0089】
前記システムは、さらに、前記撮像装置に操作可能に接続されたコントローラと前記分光装置とを含むものとすることができ、また前記撮像装置及び前記分光装置を制御し、所望であれば異なる波長領域の選択及び表示を制御するコンピュータ実行プログラミングを含む。
【0090】
他の態様において、本発明は、分光装置のための集光エレメントを有する実質的に同一平面上に配置された画像検出器を含む画像及びスペクトル検出システムを提供し、前記画像検出器及び前記集光エレメントは共に光ビームを受け取るように寸法が定められている。前記画像検出及び前記集光エレメントは例えば並べて配置することができ、前記集光エレメントは前記画像検出器に取り囲まれるように配置することができ、前記集光エレメントは実質的に前記画像検出器の中央に配置することができ、前記集光エレメントは前記画像検出器のすぐ後方に配置される分光装置のための測定ポートとすることができ、前記集光エレメントは離れた位置に配置された分光装置に集光を伝えるライトガイドの入力端部とすることができ、前記集光エレメントは離れた位置に配置された分光装置に集光を伝える焦点調節エレメントとすることができ、あるいは前記集光エレメントは離れた位置に配置された分光装置に集光を伝えるミラーとすることができる。さらに、前記撮像装置はスペクトルを決定することができるものとし、また前記集光エレメントはスペクトル決定の専用化された前記撮像装置の一部を含むことができる。前記画像検出器は前記光ビームを受け取る領域を有するものとすることができ、また前記集光エレメントは前記画像検出器の領域の約5%又は3%より少ないものとすることができる。
【0091】
さらに他の態様において、本発明は、原画像の異なる波長領域に対応する複数の画像を提供することができる撮像システムを提供する。前記撮像システムは、光ビーム通路と該光ビーム通路に配置された複数の撮像ビームスプリッタとを含む画像セパレータを含むものとすることができ、各撮像ビームスプリッタは対応する異なる選択波長領域画像を提供するために前記原画像の異なる選択波長領域を探し出し、また異なる撮像装置に前記異なる選択波長領域画像を向ける。前記システムは、さらに、前記異なる撮像装置から少なくとも1つの前記異なる選択波長領域画像を表示するように操作可能に接続された少なくとも1つのディスプレイ装置を含むものとすることができる。
【0092】
さらに他の態様において、本発明は、ここに記載した装置、システム及びこれらと同様のものを作り、使用する方法を提供する。例えば、前記方法は、a)ビームセパレータを通して、分離された光ビームおよび残りの光ビームを提供するために前記残りの光ビームから前記光ビームの小さい部分を分離すること、b)前記ビームセパレータに光学的に接続された分光装置に前記分離された光ビームを伝えること、及びc)前記残りの光ビームを受け取り、ここから画像を提供するように光学的に接続された撮像装置に残りの光ビームを伝えることを含む。前記方法は、さらに、前記分光装置からのスペクトルと前記撮像装置からの画像とをディスプレイ装置に表示し、また所望であれば、前記光線再指向装置を通して、前記光ビーム中の前記光線再指向装置の位置に対応する前記残りの光ビーム中に小さい残像を加えることを含むようにすることができる。前記小さい残像は前記光ビームの中央又は所望の位置に実質的に加えることができる。
【0093】
また、前記方法は原画像の異なる波長領域から得られた複数の画像を提供することができ、前記方法は、a)光ビーム通路内に配置された複数の撮像ビームスプリッタを含む画像セパレータ内の前記光ビーム通路に沿って前記原画像を搬送する光を通すこと、b)選択された波長領域画像を提供するために前記撮像ビームスプリッタを通して前記原画像の異なる選択波長領域を選択すること、及びc)前記選択された波長領域画像を異なる撮像装置に向けることを含む。
【0094】
さらに他の態様において、本発明は、ここに、種々のシステム、特徴、装置、方法等のミーンズ・プラス・ファンクション及びステップ・プラス・ファンクションの実施例を提供する。
【0095】
これらの及び他の態様、特徴及び実施例が、次の詳細な説明及び添付の図面を含むこの出願において明らかにされる。本発明は種々の態様、特徴及び実施例を含み、このような多くの態様、特徴及び実施例は任意の所望の方法で組み合わせまた変更することが可能である。加えて、ここで、関連出願の相互参照において、ある構成、装置、方法又は他の情報を議論することを含んで種々の関係が明らかにされ、全てのこのような関係はそのまま、また全てのそれらの教示及び開示について、前記関係がこの出願に表れるにも拘らず、ここに参照により組み込まれている。
【0096】
本発明の他の態様及び特徴は、添付図に関連して本発明の特別な実施例の次の記載を吟味することにより、当業者に明らかとなろう。
【0097】
本発明の実施例が図面に示されている。
【0098】
詳細な説明
本発明は、所与の対象又はサンプルの高質の画像及びスペクトルの双方を同時に提供するシステム、装置及び方法に向けられており、スペクトル決定のために光ビームから離された光は画像の質を著しく損ねないために、また、所望の場合には、一般の光学装置にねらいをつけ及び前記スペクトルが得られる正確な場所を決定するために有用な目的の指針を提供する。所望の場合、前記システムは、例えば前記サンプル及び/又は異なるスペクトルから放射する異なる波長領域の光に関する多数の画像を提供することができる。前記システム及び方法は、望遠鏡、顕微鏡、カメラ、内視鏡及び他の画像装置のような光学システムに有利に使用可能である。
【0099】
前記装置は、サンプルから放射する光ビーム(例えば蛍光又は反射率にもとづく)を受け取る領域を有する。前記領域内に、前記光ビームの一部を光学装置に向け、前記光ビームの残りを撮像装置に通すビームセパレータがある。典型的には、前記撮像装置は前記光ビーム中に直接に維持され、前記分光装置は前記光ビームの外部に配置されるが、両者を前記光ビーム外に維持することができ、前記撮像装置は前記光ビームの外部に配置することができ、あるいは、所望により、他の配列をすることができる。前記分光装置は、単一のチャンネル検出器に連結された走査型モノクロメータ、フーリエ変換型の分光計に基礎をおく干渉計、又は他の所望の装置のような、前記光ビームからスペクトルを与えることができる任意の所望の装置とすることができる。同様に、前記撮像装置は、CCD、強化されたCCD、CMOS、CID(charge injection device)、フォトダイオードアレイ、光電子像倍管又はフィルムカメラのような非ピクセレート装置のようなピクセレート撮像装置のような任意の所望の撮像素子からなるものとすることができる。
【0100】
図1を参照すると、多数の測定装置での電磁放射線の同時測定を容易にするための装置が、本発明の第1の実施例に従い全体に符号20で示されている。装置20は、電磁放射線ビーム28の第1の及び第2の隣接する光線のグループ24,26が第1及び第2の測定装置30,32のそれぞれによる受け取りのために向けられるように配置可能であるビーム指向装置22を含む。
【0101】
システム
図2を参照すると、電磁放射線測定システムが全体に符号40で示されている。システム40は、本発明の第2の実施例に従い、多数の測定装置による電磁放射線の同時測定を容易にするための装置42を含む。システム40は、この実施例では分光計48とこの実施例では電荷結合装置(CCD)カメラ50である撮像装置とをそれぞれ含む第1及び第2の測定装置44,46を含む。装置42は、電磁放射線ビーム58の光線の第1及び第2の隣接するグループ54,56がそれぞれ第1及び第2の測定装置44,46による受け取りのために向けられるように配置可能であるビーム指向装置52を含む。
【0102】
システム40は、さらに、この実施例では、モニタ45を含む汎用コンピュータ43の内部に収容され又はその外部に置かれたプロセッサ回路41を含む。プロセッサ回路41は分光計48と通じており、また前記分光計によって測定されたスペクトルの図形表現をモニタ45上に表示するようにプログラムされ又は構成されている。
【0103】
プロセッサ回路41は、また、RGBフレームグラバー47と通じ、CCDカメラ50を制御するためのカメラ制御電子装置49と通じている。通常、前記カメラ制御電子装置はCCDカメラ50内の4つの個々のCCD検出器領域を制御するように働き、後に詳述するように、この制御は、これらの信号を同調させかつこれらのゲインを調整することにより行う。また、カメラ制御電子装置49は、個々のCCDからRGBカラーフレームグラバー47へ信号を伝え、前記フレームグラバーは、このような信号をデジタル化し、デジタルカラー画像を表すデータをプロセッサ回路41に伝える。前記プロセッサ回路は、追加的に、前記CCDカメラで測定されたカラー画像を表示するために使用されるカラーモニタ51と通じている。
【0104】
さらに、プロセッサ回路41は、この実施例では電磁放射線プロバイダ53である、蛍光及び反射率画像のための照明放射線を発生させるための装置と通じている。電磁放射線プロバイダ53は、この実施例では内視鏡59を含む視認装置57に光ファイバ束55を通して照明電磁放射線を与える。光ファイバ束55は、システム40によって視認される対象63に前記照明放射線を向けるため、内視鏡59を経て伸びている。この実施例では、対象63は、人間又は動物の組織及び臓器を含む。しかし、より一般的には、請求の範囲を含むこの明細書を通じて、用語「対象」は、システム40によって撮像され又は測定され、視認される何者かを意味するように光学的センスにおいて用いられている。
【0105】
プロセッサ回路41は、さらに、所望のときにビーム58の通路の内部又はその外部にビーム指向装置52を移動させるように操作可能である運動機構61と通じている。前記運動機構は、例えばソレノイド又はモータを含む。代わりに、ビーム指向装置52がビーム58の通路内に永久的に固定されるものとすることができる。
【0106】
カメラモジュール
図2及び3を参照すると、この実施例では、ビーム指向装置52は、第1の測定装置44による受け取りのために光の第1のグループ54を指向させるように配置可能である。これを達成するため、ビーム指向装置52は、光の第2のグループ56が反射面60を迂回することを可能にする間にビーム58からの光の第1のグループ54を反射するようにビーム58中に配置可能である反射面60を含む。
【0107】
この実施例では、装置42は、さらに、ビーム指向装置52を配置可能であるハウジング62を含む。前記ハウジングは、内視鏡59の画像チャンネル66から電磁放射線ビーム58を受け取り、またビーム58をビーム指向装置52に向けるように構成された入力ポート64を有する。画像チャンネル66は、内視鏡59の接眼レンズ68を通して入力ポート64に一端部において取り付けられたコヒーレントな光ファイバ束67を含む。前記コヒーレントな光ファイバ束67の反対側の端部は、内視鏡59を経て対象63に近いその先端部69へ伸びている。しかし、代わりに、前記画像チャンネルが内視鏡59内に剛的な光学通路を含むようにしてもよい。
【0108】
この実施例では、ハウジング62が、第1の測定装置44又はより詳細には分光計48に光の第1のグループ54を与えるための第1の測定ポート70を有する。したがって、ビーム指向装置52は、入力ポート64からビーム58を受け取り、光の第1のグループ54を第1の測定ポート70に向けるように、前記ハウジング内に配置することができる。
【0109】
この実施例の装置42は、また、光の第1のグループ54を第1の測定ポート70に焦点を合わせるためにハウジング62内に配置可能であるレンズ71を含む。
【0110】
この実施例では、CCDカメラ50及び運動機構61もまたハウジング62の内部に収容されている。
【0111】
ビーム指向装置
図2及び3を参照すると、前記ビーム指向装置が図3の符号52で拡大して詳細に示されており、また取り外し可能のミラー72を含む。取り外し可能のミラー72は、透明なガラスプレート74を含む。この実施例では、反射面60がガラスプレート74の中央領域76に反射コーティングを含む。より詳細には、この実施例では、前記反射コーティングは、ここに入射した電磁放射線の可視及び近赤外の波長のほぼ100%を反射する。中央領域76から離れた反射表面60を有し、ガラスプレート74の残りは、電磁放射線の透過をほぼ100%にまで増大させるために反反射コーティングで被覆されている。
【0112】
この実施例では、反射面60は、取り外し可能のミラー72が入射電磁放射線ビーム58に対して45°の傾斜で配置されているとき、反射されたビーム54が円形の横断面を有するように楕円形状である。
【0113】
代わりに、他のタイプのビーム指向装置を用いることができる。例えば、反射面60は、取り外し可能のミラー72の中央部にある必要はない。より一般的には、他のタイプの反射面又は他のタイプのビーム指向装置を置き換えて、第1及び第2の近接した光のグループ54,56が、第1及び第2の測定装置44,46による受け取りのために向けられるようにすることができる。
【0114】
CCDカメラ
図2及び図4を参照すると、前記撮像装置、すなわちより詳細には前記CCDカメラが図4に全体に符号50で示されている。この実施例では、CCDカメラ50は、該カメラの個々の対応する検出器領域81に光の第2のグループ56における各波長範囲の入射放射線を向けるように構成された、全体に80で示された放射線指向システムを含む。より詳細には、放射線指向システム80は、CCDカメラ50における4つの対応検出器領域82,83,84,85にそれぞれ4つの波長範囲の前記入射放射線を向けるように構成されている。この実施例における検出器領域82,83,84,85は、この実施例ではそれぞれ電荷結合素子からなる第1、第2、第3及び第4の検出器86,87,88,89を含む。しかし、これに代えて、例えば単一のCCDのことなる領域のような他のタイプの検出器領域とすることができる。
【0115】
図4を参照すると、この実施例では、前記放射線指向システム80は、第1の部分反射装置90と、第2の部分反射装置92と、第3の部分反射装置と、反射器95とを含む。第1の部分反射装置90は、第1の波長範囲の前記入射放射線を反射し、他の波長のものを伝え又は透過させるように配置可能である。より詳細には、第1の部分反射装置90は、500nm以下の波長を有する電磁放射線すなわち青色及び短波長の放射線を第1の検出器領域82に反射し、500nmより大きい波長のものを第2の部分反射装置93に向けて透過させるダイクロックミラー又は2色ミラーを含む。
【0116】
第2の部分反射装置92は、第1の部分反射装置90により伝えられた第2の波長範囲の放射線を第2の検出器領域83に反射し、他の波長のものを透過させるように配置可能である。より詳細には、この実施例では、第2の部分反射装置92は、600nm以下の波長を有する電磁放射線を反射し、600nmより長い波長を有する放射線を透過させるダイクロクロックミラーを含む。
【0117】
第3の部分反射装置94は第2の部分反射装置92により伝えられた第3の波長範囲の放射線を第3の検出器領域84に反射し、他の波長のものを透過させるように配置可能である。より詳細には、この実施例では、第3の部分反射装置94は、800nm以下の波長を有する電磁放射線を反射し、800nmを超える波長を有する放射線を透過させるダイクロニックミラーを含む。
【0118】
反射器95は、第3の部分反射装置94により伝えられた放射線を第4の検出器領域85に反射するように配置可能である。
【0119】
したがって、図4及び図6を参照すると、第1、第2及び第3の部分反射装置90,92,94と反射器95との効果は、500nmより短い波長を有する「青色」電磁放射線を第1の検出領域82に向け、500及び600nm間の波長を有する「緑色」放射線を第2の検出領域83に向け、600nmおよび800nm間の波長を有する「赤色」及び近赤外放射線を第3の検出器領域84に向け、また800nmより長い波長を有する近赤外放射線を第4の検出器領域85に向けることである。これは、図6に示すようなスペクトル応答を有する4つの画像チャンネル、青色(B)、赤色/近赤外(R)及び近赤外(R1)に導く。このため、対象63が電磁放射線プロバイダ53により照らされるとき、前記対象からの放射線が前記検出器で受け取られる。より詳細には、放射線指向システム80が、前記対象からの各波長の放射線を複数の検出器に向け、前記対象からの放射線が回旋状にされている、図6に示すスペクトル応答を前記検出器のそれぞれのために規定するように構成されている。前記カメラのこの光学的構成は、図9に示す電磁放射線プロバイダ53と共に用いられるとき、同じ検出器を用いた蛍光撮像及び反射率撮像の双方の性能を促進する。
【0120】
図4を参照すると、この実施例では、CCDカメラ50はさらに複数のレンズ及びフィルタを含む。例えば、第1、第2、第3及び第4のレンズ96,98,100,101は、放射線指向システム80から受け取った放射線をそれぞれ第1、第2、第3及び第4の検出器領域82,83,84,85に焦点を合わせるように構成されている。
【0121】
図4を参照すると、この実施例では、放射線指向システム80は、さらに、第2の部分反射装置92と第2の検出器領域83との間におかれた、無視することができる帯域外伝送特性を有するバンドパスフィルタ104を含む。より詳細には、バンドパスフィルタ104は、500及び600nm間の放射線を伝え、またこの波長範囲外の放射線の105の一部より少なく伝える緑色バンドパスフィルタからなる。バンドパスフィルタ104は、白色光の反射率撮像のためのCCDカメラ50の性能を損ねることなしに、反射された励起光及び近赤外線により導入され得る測定誤差を回避することにより蛍光撮像の正確性を促進する。
【0122】
同様に、この実施例では、前記放射線指向システムは、第3の部分反射装置94と第3の検出領域84との間におかれた、無視できる帯域外伝送特性を有するバンドパスフィルタ106を含む。より詳細には、前記バンドパスフィルタは、600nm及び800nm間の放射線を伝え、この波長範囲外の放射線の105の一部以下を伝える赤色−近赤外バンドパスフィルタからなる。バンドパスフィルタ106は、白色光反射率撮像のためのCCDカメラ50の性能を損ねることなしに、反射された励起光又はこのバンド外の他の光により導入され得る測定誤差を回避することにより600から800nmの波長帯における赤色/近赤外画像収集の正確性を促進する。
【0123】
同様に、この実施例では、前記放射線指向システムは、反射器95と第4の部分検出領域85との間におかれた、無視できる帯域外伝送特性を有するバンドパスフィルタ108を含む。より詳細には、バンドパスフィルタ108は、800nm及び900nm間の放射線を伝え、この波長範囲外の放射線の105分の1以下を伝える近赤外バンドパスフィルタからなる。このバンドパスフィルタは、反射された励起光又はこの波長帯外の他の光により導入され得る測定誤差を回避することにより800から900nmの波長帯における近赤外画像収集の正確性を促進する。
【0124】
バンドパスフィルタ104,106,108は、前記第1、第2及び第3の部分反射装置それ自体により与えられるものを超える増大された色分解を与える。このような増大された色分解は、特に、この実施例において有利であり、CCDカメラ50は反射及び蛍光撮像の双方のために用いられる。対照的に、白色光反射率撮像のために用いられた従来のRGBカラーCCDカメラは、例えば、典型的には、第2の検出領域83で生じた蛍光画像並びに第3及び第4の検出領域84,85で生じた赤色/近赤外反射率画像における測定誤差を非常に増大させる、10%の高さの帯域外伝送特性を有する。このため、フィルタ104,106,108の無視することができる帯域外伝送特性は、従来のRGBカメラがこの目的のために使用されたならば生じるであろう重大な測定誤差なしに、CCDカメラ50が白色光反射率撮像及び蛍光/近赤外線反射率撮像の双方に使用されることを可能にする。代わりに、レンズ又はフィルタの他の組み合わせを用いることができ、あるいはこのようなレンズとフィルタとが除かれ、潜在的には低画像品質及び増大した測定誤差の結果に終わるかもしれない。
【0125】
この実施例では、前記したCCDカメラ50が、3つの撮像態様、すなわち1)従来の白色光反射率撮像、2)蛍光撮像、及び3)近赤外線反射率撮像をよくするように設計される。
【0126】
近赤外線反射率撮像としてここに言及した第3の撮像態様は、さらに診断の正確性の改善を見た上で血流量及び組織の酸素投与状態を評価するように設計された新しい撮像態様である。
【0127】
図5を参照すると、前記近赤外線波長における比較的大きい組織の発色団(オキシヘモグロビン(HbO2)、デオキシヘモグロビン(Hb)、及び水(H2O))の吸収スペクトルが全体に符号110で示されている。水の吸収スペクトル111は、700nm及び900nmの間では比較的平坦であり、920nm以後では鋭く上昇し、980nmで最大になる。オキシヘモグロビンの吸収スペクトル112は、700nmから始まる波長で次第に増大し、約900nmで最大値に達する。デオキシヘモグロビンの吸収スペクトル114は、760nmで最大値を有し、900nmまで減少する。オキシヘモグロビン及びデオキシヘモグロビンの吸収係数又は吸光係数は800nmにおいて等しい(等濃度点)。
【0128】
癌性組織と正常な組織との間の酸素投与の相違を視覚化するため、この実施例では、電磁放射線プロバイダ53の文脈において後に詳述するように、前記組織が近赤外線で照らされる。2つの明らかな近赤外線波長帯が前記組織の近赤外線反射率撮像のために選択され、750nmから800nmの第1の近赤外線波長帯116ではデオキシヘモグロビンの吸収がオキシヘモグロビンのそれより高く、また800nmから900nmの第2の近赤外線波長帯118ではオキシヘモグロビンの吸収がデオキシヘモグロビンのそれより高い。水の吸収は、第1及び第2の赤外線波長帯116,118においてほとんど一定である。癌性組織は、低酸素症のため、正常な組織と比べてオキシヘモグロビンより多くのデオキシヘモグロビンを含み、したがって第1の近赤外線波長帯116の前記組織の画像においては、癌性組織は正常な組織より暗く現れる。対照的に、第2の近赤外線波長帯118における前記組織の画像においては、癌性組織が正常組織より明るく現れる。
【0129】
本発明のこの実施例は、前記組織のこのような画像が生じることを可能とする。より詳細には、CCDカメラ50、放射線指向システム80及びバンドパスフィルタ106,108の前記構成のため、CCDカメラ50は組織の酸素投与状態を検出するための装置として働き、この装置は、第1の近赤外線波長帯116において組織により反射される放射線に応答して第1の信号を生じさせるように操作可能である第1の検出器(すなわち第3の検出器88)と、第2の近赤外線波長帯118において前記組織により反射される放射線に応答して第2の信号を生じさせるように操作可能である第2の検出器(すなわち第4の検出器)と含み、これは、前記第2の波長帯におけるデオキシヘモグロビンの吸収係数に対するオキシヘモグロビンの吸収係数の比が、前記第1の波長帯における比とは異なるように選択され、前記第1及び第2の信号は前記組織の酸素投与画像を生じさせる際の使用のために操作可能である。
【0130】
これらの信号は、次に、例えば前記組織の緑色画像を生じさせるために第3の検出器88により発生される信号を使用し、また前記緑色画像の上に重ねられる赤色画像を生じさせるために第4の検出器89により発生される信号を使用することにより組み合わされる。このような組み合わせは、正常な組織が明るい緑色を現しやすく、他方癌性組織が明るい赤色を現しやすいように、正常な組織から癌性組織を非常に明確に区別する。
【0131】
代わりに、前記第1及び第2の近赤外線波長帯の前記組織の反射情報を組み合わせる他の方法を用いることができる。加えて、前記した第1及び第2の近赤外線波長体の選択は癌性及び正常な細胞間の最適な区別を生じさせるように働くが、代わりに、1つのバンドにおけるデオキシヘモグロビンに対するオキシヘモグロビンの吸収係数の比が他におけるそれと異なる場合には、任意の他の2つの適当な近赤外線波長帯を用いることができる。好ましくは、オキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビン以外の発色団の吸収から結果として生じる明らかな測定誤差を回避するため、水の吸収係数は2つの近赤外線波長帯においておよそ等しくあるべきである。
【0132】
2つよりよりもむしろ1つのみの近赤外線波長帯における組織の反射をみることが可能であろうが、本実施例における前記第2の近赤外線波長帯が幾何学的要因のための正規化又は補正を可能とするように、これは好ましいものではない。
【0133】
例えば、前記組織内の所与の点が第1の近赤外線波長帯において暗く現れるであろう少なくとも2つの選択的理由がある。一方では、前記組織は前記点において病的であるか又は異常であり、したがって低酸素症を示している。しかし、他方では、前記組織は正常であるが、単に前記組織の他の点よりも前記内視鏡の先端部から離れているか、又は前記組織のその点からの光が、例えば湾曲した組織表面、くぼみ、ポリープ、又は前記組織表面に関する前記内視鏡の角度のような部分的障害若しくは他の幾何学的要因により減じられていることがある。単一の波長帯における領域の反射強度からこのような暗領域の原因を決定することは不可能である。
【0134】
しかし、異常又は病的な組織は第1の近赤外線波長帯116において正常な組織より低い反射率を有するが、このような病的な組織は第2の近赤外線波長帯118では正常な組織より高い反射率を有する。このため、幾何学的要因を正して正規化された酸素投与画像を生じさせるべく、本発明では、前記組織が第1及び第2の近赤外線波長帯116,118の第3及び第4の検出器88,89のそれぞれにより同時に観察される。先の実施例において、第3の検出器88により発生された信号は緑色画像を生じさせるように使用され、第4の検出器89により発生された信号は赤色が像を生じさせるように使用され、幾何学的要因のためにのみ前記緑色画像において暗く現れる任意の正常な組織は、幾何学的要因が典型的に波長に依存しないように、前記赤色画像においても暗く現れる。しかし、癌性であるために前記緑色画像で暗く現れる組織は、癌性組織の酸素投与及び前記第2の近赤外線波長帯におけるデオキシヘモグロビンの低吸収係数のため、前記赤色画像において明るく現れる。
【0135】
前記した近赤外線反射率撮像の態様における前記第3及び第4の検出器の効用に加えて、これらの検出器は前記蛍光撮像の態様における改善をも可能にする。より詳細には、蛍光画像は、可視波長と比べて近赤外線波長での正常及び病的な組織の反射率のより大きい類似性のため、蛍光画像を正規化するために本発明により先に使用された可視赤色光反射率画像よりもこの目的のためにより適している近赤外線反射率画像を用いる幾何学的要因のために正規化又は補正される。
【0136】
前記蛍光画像の正規化のための概念的基礎は、前記近赤外線反射率態様に関して前記したそれに類似する。正常な組織より非常に低い強度を有する異常又は病的な組織の蛍光、また、このため病的な組織は、蛍光画像において暗く現れる。また、正常な組織は、幾何学的要因のために蛍光画像において暗く現れる。しかし、病的な組織は、正常及び異常な組織の前記近赤外線反射率強度間の違いが、正常及び異常な組織の前記蛍光放射強度間の違いよりも非常に小さいように、正常組織の強度と幾分類似する強度で前記近赤外放射線を反射する。したがって、幾何学要因を補正するために前記蛍光画像を正常化すべく、本発明の実施例では、前記組織が、該組織に蛍光を引き起こすために青色光で、また前記組織の近赤外線反射率画像を生じさせるために750nmより長い近赤外線で同時に照らされる。このような照明放射線を生じさせることは、さらに、電磁放射線プロバイダ53の文脈において後に詳述する。
【0137】
図4に戻ってこれを参照すると、CCDカメラ50、放射線指向システム80及びフィルタ104,106,108は、前記組織により放射された蛍光性の放射線が第2の検出器87で受け取られ、他方、前記組織により反射された750および800nm間の近赤外線が第3の検出器88で受け取られ、また前記組織により反射された800および900nm間の近赤外線が第4の検出器89で受け取られることを可能にしている。第4の検出器89により発生された前記信号は、表示画面上に前記組織の可視赤色画像を生じさせるように用いられる。第2の検出器87により発生された前記信号は、前記赤色反射率画像上に重ねられた緑色蛍光画像を生じさせるように用いられる。このため、所与の点が前記内視鏡の先端部からずっと離れたところにあるため又は他の幾何学的要因のために前記所与の点が前記蛍光画像において暗い場合には、前記点はまた前記近赤外線反射率画像において暗く現れ、したがって、前記2つの緑色及び赤色画像の重ね合わせにおいて暗く現れる。しかし、前記組織における所与の点が異常又は病的であるために前記点が前記蛍光画像に暗く現れるときは、前記点は、前記近赤外線反射率画像に明るく現れ、このため前記重ね合わせの画像に赤色点として現れる。
【0138】
あるいは、第3の検出器88により発生された信号は前記蛍光画像を正規化するように使用される。もっとも、第4の検出器89により発生された前記信号は正常な組織から癌性組織への強度変化傾向として好ましい。これは、前記蛍光及び近赤外線反射率画像は、前記第4の検出器により発生された信号が使用される場合に逆方向になるからである。組織が正常から病的組織に変化するにつれて、その蛍光は減少するのに対し、第2の近赤外線波長帯118におけるその反射率は増大する。したがって、正規化のためには、第4の検出器89により発生された信号のほうが、前記第1の近赤外線波長帯の組織による反射率に応答して第3の検出器88により発生された信号より、癌性組織及び正常組織間のより良好な対照を与える。前記第1の近赤外線波長帯においては、正常から病的組織への移行が蛍光と同じ方向(強度が減少する)である。
【0139】
図7を参照すると、本発明の代わりの実施例において、放射線指向システム80は、各対応検出器領域に各波長範囲の入射放射線、すなわち第2の光グループ56を向けるように構成されたプリズムシステム119を含む。図4に示す実施例におけるように、好ましくはバンドパスフィルタ104,106,108が、最適な蛍光及び近赤外線反射率検出のために対応する検出器87,88,89の前方に配置されている。
【0140】
診断鋭敏度調整
図2及び4に戻ってこれらを参照すると、分光学による高診断特異性を達成する間に高診断鋭敏度画像を生じさせるための装置が、図2に全体に符号120で示されている。この実施例では、装置120はCCDカメラ50を含む。装置120は、各波長範囲の放射線を受け取るための少なくとも2つの検出器を含む。より詳細には、前記装置は、4つのそれぞれの波長範囲の放射線、すなわち前記した青色(B)、緑色(G)、赤色/近赤外(R)及び近赤外(R1)のそれぞれを受け取るための第1、第2、第3及び第4の検出器86,87,88,89を含む。
【0141】
少なくとも1つの検出器は、入力放射線に応答して対象63の最適画像を生じさせるために調整可能である選択的に調整可能のゲインを有する。より詳細には、この実施例では、各検出器86,87,88,89は、内視鏡59から受け取った電磁放射線に応答して、前記内視鏡により観察された組織の最適化された画像を生じさせるように調整可能である、調整可能のゲインを有する。
【0142】
この実施例では、装置120は、さらに、検出器86,87,88,89を収容し、また前記最適化された画像に現れる、対象63の1領域内の点すなわち前記組織からの入力放射線のスペクトルの測定を容易にするために分光計48に少なくともいくつかの入力放射線を与えるための第1の測定ポート70を有する。
【0143】
この実施例では、図2に示すプロセッサ回路41が、前記診断鋭敏度を選択的に調整するためにカメラ制御電子装置49を制御するようにプログラム又は構成されており、この実施例では、前記対象の改善された画像を生じさせるために検出器86,87,88,89の少なくとも1つのゲインを検出器86,87,88,89の他の少なくとも1つに関して調整することにより行われる。
【0144】
より詳細には、この実施例では、プロセッサ回路41は、近赤外線波長範囲のゲイン及び緑色波長範囲のゲインの少なくとも1つを選択的に調整するように構成され、所望の診断鋭敏度における対象63の蛍光撮像のための所望の近赤外対緑色のゲイン比、したがって所望の近赤外対緑色の信号比を生じさせる。
【0145】
このような選択的な診断鋭敏度の調整は、電磁放射線プロバイダ53に関して後に詳述するように、前記組織が励起及び近赤外成分で照らされる場合に特に有利である。励起システムにおいて、前記組織により放射された蛍光性放射線の強度が概して低いように、前記緑色のゲインが蛍光画像のために比較的高いものに設定される。赤色対緑色のゲイン比、したがって赤色対緑色の信号比が非常に低い場合は、潜在的に病的な領域が、前記重ね合わされた画像における赤色よりも暗く現れ、望ましくない「偽陰性」診断が結果として生じる。反対に、現存のシステムにおいて、それは、結果として非常に多くの「偽陽性」診断を生じさせる、赤色対緑色のゲイン比したがって赤色対緑色の信号比が非常に高くなることを回避し、正常な組織が緑色ではなく赤色に現れることを回避するために望ましいとみられてきた。しかし、本発明の実施例は、より高い診断特異性を達成するために同時蛍光分光を使用すべく、第1の測定ポート70を通して分光計48に電磁放射線ビーム58を与えることにより、この制限を効果的に除去する。したがって、第2、第3及び第4の検出器87,88,89の相対ゲイン関係の広い範囲は、以前に可能であったであろう場合よりも本発明の実施例において利用可能である。
【0146】
したがって、この実施例では、第4の検出器89からの信号が前記蛍光画像を正規化するために用いられ、プロセッサ回路41は、前記組織の改善された蛍光画像を生じさせるために予め定められたレベルに第2のすなわち緑色の検出器87及び第4の検出器89のゲインを選択的に調整するように構成されている。これらの予め定められたレベルが電磁放射線プロバイダ53の検出器86,87,88,89及び内視鏡59の特性に変化の程度で依存する。これらの予め定められたレベルは、特定のシステムのための改善された診断鋭敏度レベルに到達するため、ゲイン比を変えての統計的に多数の画像及び分光計テストを行い、また生検の結果を伴う各テストの結果を確認することにより、各システムにおいて経験的に定められる。あるいは、所望であれば、「特定の」システムのための予め定められたゲインレベルは、プロセッサ回路41により読み取り可能であるコンピュータ読み取り可能の記憶媒体の中に、装置120の製造者により貯蔵することができ、これにより、このような「特定の」予め定められたレベルが前記特定のシステムに特有の特性を必ずしも考慮に入れる必要はないが、このような経験的なテストを行う必要をなくす。
【0147】
同様に、この実施例では、プロセッサ回路41は、前記対象の白色光反射率撮像のための所望のカラーバランスを生じさせるために赤色、緑色及び青色の波長範囲ゲインを選択的に調整するように構成される。再度、このようなゲインは予め定められたレベルに設定され、これは前記特定のシステムの経験的テストによりより得ることができ、あるいは特定のシステムの先のテストに基づいてコンピュータと看取り可能の貯蔵媒体に貯蔵することができる。
【0148】
この実施例では、装置120は蛍光撮像、白色光反射率撮像及び近赤外線反射率撮像のために用いられる。したがって、この実施例では、プロセッサ回路41は、前記検出器の少なくとも1つ及び他の検出器の少なくとも1つにおけるゲインを前記対象の蛍光画像における目的の異常領域の表示性を高めるように第1のセットのゲインレベルに設定するように構成され、また前記ゲインを前記対象の白色光反射率画像における目的の異常領域の表示性を高めるように第2のセットのゲインレベルに設定するように構成される。この実施例では、蛍光撮像及び近赤外線反射率撮像は同時に実行され、このため、蛍光撮像のための前記ゲインもまた近赤外線反射率撮像のために用いられる。しかし、代わりに、前記プロセッサ回路は、前記ゲインを、前記対象の赤外線反射率画像における目的の異常領域の表示性を高めるために第3のセットのゲインレベルに設定するように構成される。
【0149】
分光計
図2及び8を参照すると、前記分光計が図8に全体に符号48で示されている。図2及び3に関連して前記したように、電磁放射線ビーム58の光の第1のグループ54が、反射面60及びレンズ71により、第1の測定ポート70に向けられている。この実施例では、光ファイバ束122の第1の開放端部121が、分光計48に光の第1のグループ54を与えるために第1の測定歩ポート70に接続されている。この実施例では、光ファイバ束122の第1の開放端部121における前記光ファイバが、レンズ71により第1の測定ポート70に結像するように反射面60の形状に対応して円形に配列されている。しかし、分光計48に接続されている光ファイバ束122の第2の開放端部123において、個々の光ファイバが直線的に再配列されている。
【0150】
この実施例では、前記光ファイバ束の直線的な第2の開放端部123が分光計48に入り、第1の測定ポート70から受け取った光を第2のレンズ124,125へ投射し、これらは直線的な第2の開放端部123を分光写真器127の入射スリット126に結像させる。加えて、フィルタ128が2つのレンズ124,125間に取り外し可能におかれている。この実施例において、フィルタ128は、475nmより長い電磁放射線を通し、また短波長において無視することができる伝送特性を有する。より詳細には、この実施例では、フィルタ128はGG475ショット(Schott)ガラスフィルタからなるが、他の適当なフィルタを代わりに用いることができる。
【0151】
フィルタ128は、内視鏡59での対象63の蛍光/近赤外線反射率撮像の間、前記2つのレンズの間におかれ、前記対象に蛍光を導入するために使用される短波長の励起放射線の反射を遮断する。前記対象の白色光反射率撮像のため、フィルタ128は前記2つのレンズの間の場所から取り除かれる。これを行うため、フィルタ128は、コンピュータ43のプロセッサ回路と通信するソレノイドスイッチと制御装置とを含み、これは、蛍光/近赤外線反射率分光のためにレンズ124,125間にフィルタ128を挿入するように、また可視反射率分光のために前記フィルタを取り除くように前記ソレノイドスイッチを制御する。代わりに、フィルタ128を取り除く他の手段を用いることができ、あるいは代わりに、可視反射率分光のみを希望する場合にはフィルタ128を取り除くことができ、あるいは蛍光/近赤外線反射率分光のみを希望するときは永久的に固定することができる。
【0152】
分光写真器127は、分光器48により受け取られる各波長における画像表示強度を生じさせるためのCCDアレイ検出器129と通信する。CCDアレイ検出器129は分光写真器からのスペクトル画像を捕らえ、高い信号対雑音比のスペクトルすなわち高SN比のスペクトルを与えるように前記画像を垂直に貯蔵する。CCDアレイ検出器129はコンピュータ43のプロセッサ回路41と通信し、これはモニタ45上にリアルタイムで前記スペクトルを表示するようにプログラムされている。
【0153】
電磁放射線プロバイダ
図2、9、10及び11を参照すると、蛍光及び反射率撮像のための照明放射線を発生するための装置が図9に全体に符号130で示されている。この実施例では、装置130は、図2に示す電磁放射線プロバイダ53を含む。電磁放射線プロバイダ53は、図9に全体に符号132示された光学システムを含み、これは、例えば蛍光/近赤外線反射撮像及び白色光反射率撮像のそれぞれのために図10に全体に符号138で示されまた図11に符号140で示された分光分布のような第1及び第2の分光分布を選択的に生じさせるように操作可能である。第1及び第2の光学サブシステム134,136を含む。図10に示す第1の分光分布138は、第1の光学サブシステム134から受け取った励起成分142と、第2の光学サブシステム136から受け取った近赤外線成分144とを含む。図11に示す第2の分光分布140は、第1の光学サブシステム134から受け取った白色光照明成分146を含む。
【0154】
励起成分だけが基本的な蛍光撮像に十分であるが、単一の短波長の励起周波数帯のみの使用は、それが撮像される組織の幾何学的配置を捕らえることに失敗するときは、不利であることがわかった。このため、この実施例では、蛍光撮像のために、CCDカメラ50の文脈において前記したように、幾何学的要因を補正すべく、図10に示すように、前記組織が励起成分142と近赤外線成分144とで同時に照射される。より詳細には、この実施例では、近赤外線成分144は、750nmおよび900nm間の近赤外線反射率周波数帯の放射線を含む。この追加の反射率周波数帯は、前記組織の2つの近赤外線反射率画像(750nm及び800nm間並びに800nm及び900nm間のそれぞれの第1及び第2の近赤外線波長周波数帯における)を生じさせるべく前記組織を照らすために使用され、同時に前記組織の蛍光画像を生じさせる。前記近赤外線反射率画像の一方は、次に、前記組織の幾何学的配列のための蛍光画像を補正又は正規化するために用いられる。前記2つの近赤外線画像は、また、組織の酸素投与状態を示す近赤外線反射率画像を表示するために、さらに前記したように診断の正確性の向上のために、使用される。
【0155】
本発明のこの実施例は、前記第1及び第2の光学的サブシステムのおかげで、先に存在するシステムよりもより大きい適応性を提供する。例えば、この実施例では、蛍光画像を正規化するための近赤外線成分の使用は、短い可視赤色波長におけるより正常及び異常な組織の近赤外線波長範囲の反射率スペクトルの類似性が大きいため、可視赤色正規化成分を採用するシステムと比べて、幾何学的要因の補正を高める。また、近赤外線成分144のような750nmより長い近赤外線の使用は、測定される450nmから750nmまでの範囲にある全波長範囲の蛍光スペクトルを可能とする。加えて、この実施例では、近赤外線成分144が第2の光学サブシステム136から受け取られるため、近赤外線成分144は第1の光学サブシステム134を経て進むことはなく、これにより、前記第1の光学サブシステムの要素に対する不必要な熱障害を回避する。代わりに、第1及び第2の光学サブシステムの使用は、前記励起及び正規化成分のための他の波長範囲の選択に大きい適応性または融通性を与え、先に存在するシステムとは対照的に、単一の光学フィルタの使用を準備する必要はない。
【0156】
加えて、第1及び第2の光学システム134,136が単一の光学システム132に提供されるため、蛍光及び反射率撮像は、内視鏡59に対して手動によって1光源の接続を断ち、また他のものに接続する必要なしに達成することができる。
【0157】
図9、10及び11を参照すると、この実施例では、第1の光学サブシステム134は白色光照明成分146と励起成分142とを受け取るように操作可能である。第1の光学サブシステム134は、蛍光撮像のための第1の操作モードにおいて励起成分142を伝えるように、また白色光反射率撮像のための第2の操作モードにおいて白色光照明成分146を伝えるように操作可能である。
【0158】
同様に、第2の光学サブシステム136は、近赤外線成分144を受け取るように操作可能である。第2の光学サブシステム136は、第1の操作モードにおいて前記近赤外線成分を伝えるように、また前記第2の操作モードにおいて前記近赤外線成分を遮断するように操作可能である。
【0159】
全体に、この実施例では、光学システム132はフィルタシステムを含む。より詳細には、この実施例では、第1の光学サブシステム134は、前記第1の操作モードにおいて他の波長を減ずる間に励起成分142を伝えるように操作可能であるフィルタ装置150を含む。フィルタ装置150は、前記第2の操作モードにおいて白色光照明成分146を伝えるように操作可能である。より詳細には、この実施例では、フィルタ装置150は、2つの交換可能であるフィルタ、すなわち、前記第1の操作モードにおいて励起成分142を伝えるための青色バンドパスフィルタ152と、前記第2の操作モードにおいて前記白色光照明成分を伝えるための、前記青色バンドパスフィルタと交換可能であるカラーバランスフィルタ154とを含む。
【0160】
より詳細には、前記第1の操作モードにおいて、前記第1の光学サブシステムにより受け取られる放射線の通路に青色バンドパスフィルタ152が配置される。この実施例では、青色バンドバスフィルタ152が400nmおよび450nm間の波長の電磁放射線を通し、励起成分142を提供する。青色バンドバスフィルタ152は、無視できる帯域外伝送特性を有し、400乃至450nmの波長帯外の電磁放射線の105分の1以下を透過させる。この青色伝送帯は、組織において蛍光放射を励起するのに適することが見出されており、また例えば紫外線と異なり、放射線を照射された組織に明らかな損傷を生じさせ乃至かし、代わりに、所望であれば、他の伝送波長及び帯域外伝送特性を選択することができる。したがって、前記第1の操作モードにおいて、フィルタ152は、第1の光学サブシステム134が該第1の光学サブシステムにより受け取られた放射線の励起成分142のみを透過させるようにする。
【0161】
前記第2の操作モードにおいて、第1の光学サブシステム134により受け取られた放射線の通路にカラーバランスフィルタ154が配置される。この実施例では、前記カラーバランスフィルタは、白色光照明成分146のような、400nmから700nmの範囲の可視光の平坦な分光分布を透過させ、白色光反射率画像のために前記組織を照らすための第2の分光分布140を提供するように設計される。カラーバランスフィルタ154は、無視できる帯域外伝送特性を有する。この平坦な分光分布を確保するため、カラーバランスフィルタ154が第1の光学サブシステム134により受け取られた放射線の特定のスペクトルを補償し、今度は使用されている特定の源148に依存するように設計されることが認められよう。代わりに、白色光反射率撮像のために前記組織の照明のための第2のスペクトル分布を提供すべく、他のタイプのカラーバランスフィルタを用いることができる。あるいは、さらなる選択として、前記第1の光学サブシステムにより受け取られた入力放射線の分光分布が前記組織の白色光反射率撮像のために既に適する場合には、前記カラーバランスフィルタを完全に省略することができる。
【0162】
図9を参照すると、この実施例では、第2の光学サブシステム136は、前記第1の操作モードにおいて他の波長を減ずる間に近赤外線成分144を透過させるように操作可能である、全体に符号162で示されたフィルタ装置を含む。フィルタ装置162は、前記第2の操作モードにおいて前記近赤外線成分を遮断するように操作可能である。
【0163】
より詳細には、この実施例では、フィルタ装置162は、2つの取り替え可能のフィルタ、すなわち前記第1の操作モードにおいて近赤外線成分144を透過させるための近赤外線ロングパスフィルタ164と、前記第2の操作モードにおいて前記近赤外線成分を遮断するための、前記ロングパスフィルタと交換可能である光ストッパ166とを含む。
【0164】
前記第1の操作モードにおいて、第2の光学サブシステム136により受け取られる入力放射線の通路に配置される。前記近赤外線ロングパスフィルタは、750nmより長い波長を透過させ、短波長において無視することができる伝送特性を有する。代わりに、所望であれば、他のタイプのフィルタ、例えば近赤外線バンドパスフィルタを前記第1の操作モードにおいて使用することができる。
【0165】
前記第2の操作モードにおいて、第2の光学サブシステム136により受け取られる入力放射線の通路に光ストッパ166が配置される。前記光ストッパは、第2の光学サブシステム136により受け取られる全ての波長を効果的に遮断する。代わりに、他のタイプの光ストッパ又はフィルタをこの目的のために使用することができる。
【0166】
図2及び9を参照すると、前記した第1及び第2の操作モードを切り換えるため、プロセッサ回路41が、図9に全体に符号156及び符号168で示した第1及び第2の切換装置と通信する。プロセッサ回路41は、第1の切換装置156を制御し、第1の光学サブシステム134により受け取られる入力放射線の通路における青色バンドパスフィルタ152及びカラーバランスフィルタ154の交換を行うようにプログラムされている。同様に、前記プロセッサ回路は、第2の切換装置168を制御し、第2の光学サブシステム136により受け取られる入力放射線の通路における近赤外線ロングパスフィルタ164及び光ストッパ166の交換を行うようにプログラムされている。前記第1及び第2の切換装置は、それぞれ、ソレノイドスイッチ158,170と、これらのソレノイドスイッチ158,170をそれぞれ作動させるための制御装置160,172とを含むものとすることができる。
【0167】
図2及び9をさらに参照すると、この実施例では、光学システム132が、さらに、第1及び第2の光学サブシステム134,136により透過される放射線を共通の光学通路175に沿って進むように向けるべく配置可能である、全体に符号173で示されたコンバイナを含む。
【0168】
より詳細には、この実施例では、コンバイナ173は、第1の光学サブシステム134により透過される放射線を前記通路に沿って進むように透過させ、また第2の光学サブシステム136により透過される放射線を前記通路に沿って進むように反射させるべく配置可能であるダイクロイック反射装置174を含む。この実施例では、前記ダイクロイック反射装置は、750nmより短い電磁放射線を透過させるが、750nmより長い放射線は反射する。このため、前記ダイクロイック反射装置は、第1の光学サブシステム134から受け取られた可視波長を通路175に沿うように透過させ、また第2の光学サブシステム136から受け取られた近赤外線波長を前記通路に沿うように反射させる。
【0169】
また、光学システム132は、第1及び第2の光学サブシステム134,136により透過された放射線を出口ポート178に焦点を合わせるように通路176に配置可能であるレンズ176を含む。より詳細には、この実施例では、出口ポート178は、第1の光学サブシステム134及び第2の光学サブシステム136により通された光を内視鏡59を経て対象63に伝えるため、図2に示す光ファイバ束55の開放端部を含む。
【0170】
図9を参照すると、装置130は、さらに、白色光照明成分146及び励起成分142を第1の光学サブシステム134に与え、また近赤外線成分144を第2の光学サブシステム136に与えるための、全体に符号148で示された少なくとも1つの電磁放射線源を含む。
【0171】
より詳細には、この実施例では、電磁放射線源148は、この実施例では約0.25mmのアークサイズを有する、米国コネチカット州ストラットフォードのオリール インスツルメンツ製の100W水銀アークランプ モデル6281からなるランプ180を含む。代わりに、単一の源が反射率及び蛍光画像の双方のために全ての必要な照明を与えることができることが望ましいけれども、キセノンアークランプ、ハロゲン金属ランプ若しくは任意の他の適当なランプ、又は他の放射源を用いることができる。アークランプが用いられる場合、好ましくは、この実施例においては0.25mmのアークサイズのランプ180のような小さいアークサイズを有し、このような小さいアークサイズは、小さい光ファイバ束への最終的な光の焦点合わせを容易にする。代わりに、前記ランプを完全に省略することができ、また装置130は存在する光源のスペクトル変更のための光学システムを提供することができるが、前記カラーバランスフィルタ(設けられている場合)は使用されているランプの特定のタイプに対応するように設計されることが望ましい。さらに選択として、少なくとも1つの電磁放射線源が、2以上の電磁放射源を含む。
【0172】
この実施例では、電磁放射原148が、さらに、楕円形状の反射鏡182を含む。ランプ180は楕円形状の反射鏡182の焦点に配置されている。
【0173】
図9、10及び11を参照すると、入力電磁放射線を受け取り、第1の光学サブシステムにより受け取られる白色光照明成分146及び励起成分142を反射し、また第2の光学サブシステム136により受け取られる近赤外線成分144を透過させるように操作可能であるビームスプリッタ184を含む。このため、この実施例では、ランプ180が、前記入力電磁放射線をビームスプリッタ184に与えるように操作可能である。ランプ180若しくはビームスプリッタ184のいずれか、又は双方が、光学システム132により受け取られる前記入力電磁放射線を生じさせるように配置可能である電磁放射線源の例とみることができる。
【0174】
より詳細には、ビームスプリッタ184はランプ180及び楕円形状反射鏡182から前記入力電磁放射線を受け取る。この実施例では、前記ビームスプリッタは、可視光は反射するが近赤外線は透過させるコールドミラーを含む。ビームスプリッタ184は、第1の光学サブシステム134により受け取られる、図11に示す白色光成分146及び図10に示す励起成分142の双方を含む可視光を反射するように配置されている。
【0175】
ビームスプリッタ184は、第2の光学サブシステム136により受け取られる、図10に示す近赤外線成分144を含む前記入力放射線の近赤外及び長波長を透過させる。より詳細には、この実施例では、光学システム132は、ビームスプリッタ184から近赤外線成分144を受け取り、また前記近赤外線成分を第2の光学サブシステム136に向け直すように配置可能である再指向装置188を含む。この実施例では、再指向装置188は光ファイバ束を含む。代わりに、再指向装置188は、符号189の縁取り鎖線で示すような液体ライトガイド又は他の適当な再指向装置を含む。
【0176】
光学システム132は、さらに、所望により、様々な追加の光学エレメントを含むものとすることができる。例えば、この実施例では、第1の光学サブシステム134は、レンズ190、又はより詳細にはビームスプリッタ184から受け取った前記入力放射線を平行にして、ダイクロイック反射装置174及びレンズ176に向けてフィルタ装置150に通すための平凸レンズを含む。同様に、第2の光学サブシステム136は、再指向装置188から受け取った前記入力放射線を平行にして、ダイクロイック反射装置174に向けてフィルタ装置162に通すためのレンズ192を含む。
【0177】
したがって、図9、10及び11を参照すると、この実施例では、光学システム132は、励起成分142のような、青色及び短波長を有する放射線を生じさせるように操作可能である。したがって、前記光学システムは、前記励起成分のような、この実施例では組織である対象63に蛍光を生じさせるのに十分に短い短波長成分を生じさせるように操作可能である。同様に、前記光学システムは、近赤外線成分144のような、前記対象の蛍光放射波長より長い長波長成分を生じさせるように操作可能である。この実施例では、前記蛍光放射波長は、典型的に、450nmから750nmの波長を含み、また、この実施例では、前記近赤外線成分は750nm以上の波長で発生される。
【0178】
図10に示すように、光学システム132は、前記蛍光放射線の検出を可能とすべく、前記短波長成分に応答して前記対象すなわち組織により放射される蛍光放射線の強度よりも十分に低い蛍光放射波長に強度を有する第1の分光分布138を生じさせるように操作可能である。より詳細には、この実施例では、前記第1の分光分布は蛍光放射波長に無視することができる強度、より詳細には、450および750nm間の無視可能の強度を有する。これは、蛍光放射波長における前記無視可能の強度がこれらの波長における反射率により生じる無視することができる測定誤差となるように、前記組織の全波長範囲の蛍光スペクトル測定を容易にする。
【0179】
したがって、図10に示すように、この実施例では、前記第1の分光分布は本質的に長短両波長成分からなり、短波長成分は本質的に約4と1/2×102nm及び約4×102nm間の波長を有する放射線からなり、また長波長成分は本質的に約7と1/2×102nm及び少なくとも約9×102nm間の波長を有する放射線からなる。したがって、この実施例では、緑色及び赤色蛍光放射波長における前記第1の分光分布の無視可能の強度は、前記組織の蛍光の強度の測定に測定誤差を導入するであろうこれらの波長における前記組織による反射を回避する。
【0180】
同様に、図9及び11を参照すると、光学システム132は、白色光照明成分のような可視光を生じさせるように操作可能である。
【0181】
操作
図2及び12を参照すると、プロセッサ回路41により実行される測定ルーチンが図12に全体に符号200で示されている。この実施例では、測定ルーチン200が、例えばハードディスク装置又はコンパクトディスクのような、プロセッサ回路41によりアクセス可能である図2に示すコンピュータ読み取り可能の貯蔵媒体202に貯蔵又は保存されている。代わりに、他の適当な媒体、あるいはプロセッサ回路に等価機能を実行するように指示するためのコード・セグメントを含む搬送波に盛り込まれた信号を発生するための任意の代わりの方法又は構造を用いることができる。
【0182】
この実施例では、測定ルーチン200は、プロセッサ回路41が図2に示す第1及び第2の測定装置44,46と電磁放射線プロバイダ53とに通じるように構成する様々な命令コードのブロックを含み、蛍光及び反射率撮像を行わせ及び分光法を行うようにこのような装置を制御する。測定ルーチン200は、ユーザ入力装置204、この実施例ではキーボードでの、図2に示すコンピュータ43でのユーザ入力を受けて実行される。代わりに、他のユーザ入力装置を使用することができる。
【0183】
一般的に、測定ルーチン200はビーム指向装置52を制御して、第1及び第2の測定装置44,46のそれぞれによる受け取りのために向けられる電磁放射線ビーム58の第1及び第2の隣接する光線グループ54,56を生じさせるようにプロセッサ回路41を構成又はプログラムする。前記測定ルーチンは、また、電磁放射線プロバイダ53を制御して、蛍光/近赤外線反射率撮像及び白色光反射率撮像のための電磁放射線の第1及び第2の分光分布138,140を選択的に生じさせる前記プロセッサ回路を構成し、前記第1の分光分布は光学システム132の第1の光学サブシステム134から受け取られる励起成分142と前記光学システムの第2の光学サブシステム136から受け取られる近赤外線成分144を含み、また前記第2の分光分布は前記第1の光学サブシステムから受け取られる白色光照明成分146を含む。加えて、前記測定ルーチンは、この実施例ではCCDカメラ50である撮像装置のゲインを少なくとも1つの波長範囲において、少なくとも1つの他の波長範囲における前記撮像装置のゲインに関連して調整し、対象63の改善された画像を生じさせ、また最適化された画像に現れる前記対象の領域における点からの放射線のスペクトルを測定する前記プロセッサ回路を構成する。前記測定ルーチンは、さらに、電磁放射線プロバイダ53及びCCDカメラ50を制御して、第1の近赤外線波長帯において組織により反射された放射線に応答して第1の信号を生じさせ、前記第2の波長帯におけるオキシヘモグロビンの吸収係数対デオキシヘモグロビンの吸収係数の比が前記第1の波長帯における比とは異なるように選択された第2の近赤外線波長において前記組織により反射された放射線に応答して第2の信号を生じさせる、前記第1及び第2の信号が前記組織の酸素投与を生じさせる際の使用のために操作可能である前記プロセッサ回路を構成する。
【0184】
測定ルーチン200は、図12に符号210で示す第1のブロックのコードで始まり、組み合わされた蛍光/近赤外線反射率撮像及び分光モードの選択を示すユーザ入力がユーザ入力装置204で受け取ったか否か決定することをプロセッサ回路41に指示する。
【0185】
このようなユーザ入力が受け取られると、ブロック211が、プロセッサ回路41に、ブロック210で受け取られた前記ユーザ入力が同時正規化された蛍光撮像及び分光の選択であるか、同時近赤外線反射率撮像及び分光の選択の指示であるかを決定するように指示する。この実施例では、蛍光及び近赤外線反射率の両撮像が単一の蛍光/近赤外線反射撮像態様において同時に達成されるが、この実施例では、図2に示すモニタ51が何時のときも1つのタイプの画像(蛍光又は近赤外線反射率)のみを表示する。
【0186】
ブロック211において、前記ユーザ入力が同時正規化蛍光撮像及び分光の選択を示すときは、ブロック212が、プロセッサ回路41に、電磁放射線プロバイダ53と、CCDカメラ50と、ビーム指向装置52と、分光計48とに次のような命令をする。
【0187】
図9、10及び12を参照すると、ブロック212が、初めに、プロセッサ回路41に、蛍光/近赤外線反射撮像のための第1の分光分布138を選択しかつ生じさせるように指示する。第1の分光分布138は、第1の光学サブシステム134から受け取られる励起成分142と、第2の光学サブシステム136から受け取られる近赤外線成分144とを含む。この点について、ブロック212が、前記プロセッサ回路に、前記第1の操作モードで機能する図9に示す第1及び第2の光学サブシステム134,136を生じさせるように指示する。より詳細には、ブロック212は、前記プロセッサ回路に、ランプ180を作動させ、また青色バンドパスフィルタ152が第1の光学サブシステム134を通過する放射線の通路に配置されかつ近赤外線ロングパスフィルタ164が第2の光学サブシステム136を通過する放射線の通路に配置されるように、制御装置160,172に信号を送ってソレノイドスイッチ158,170をそれぞれ引き込み位置におくように指示する。
【0188】
したがって、ビームスプリッタ184が、ランプ180から、励起成分、近赤外線成分及び白色光照明成分を含む入力放射線を受け取る。ビームスプリッタ184は可視光を提供し、したがって、第1の光学サブシステム134に励起及び白色光照明成分142,146を提供する。前記ビームスプリッタは近赤外線を提供し、したがって、第2の光学サブシステム136に近赤外線成分144を提供する。白色光照明及び励起成分146,142は、励起成分142を透過させまたこの実施例では400及び450nm間の青色光である第1の光学サブシステム134で前記ビームスプリッタから受け取られ、コンバイナ173に至る。近赤外線成分144は、前記ビームスプリッタから、再指向装置188を経て、近赤外線成分144を透過させ、この実施例では750nmより長い近赤外線である第2の光学サブシステム136において受け取られ、コンバイナ173に至る。
【0189】
この実施例ではダイクロイック反射装置174であるコンバイナ173が、前記第1及び第2の光学サブシステムにより透過された前記放射線を共通の光学通路175に沿うように向ける。より詳細には、ダイクロイック反射装置174は、第1の光学サブシステム134から受け取られた励起成分142を透過させ、また第2の光学サブシステム136から受け取られた近赤外線成分144を反射させ、共通の光学通路175に沿わせ、レンズ176を通して出口ポート178まで進める。したがって、第1の操作モードでは、光学システム132は、第1の光学サブシステム134から励起成分142を、また第2の光学サブシステム136から近赤外線成分144を透過させる。
【0190】
図2及び10を参照すると、第1の分光分布138の励起成分142及び近赤外線成分144が、次に、出口ポート178から内視鏡59へ伝えられ、光ファイバ束55を通して最終的に前記組織に伝えられる。
【0191】
図13を参照すると、励起成分142に応答して、前記組織が蛍光を発し始め、これにより、励起成分142の波長より一般的に長い蛍光性波長で蛍光成分214を放射する。このような蛍光性放射線は、典型的には450および750nm間にあり、約510乃至530nmの緑色波長範囲において最高になりやすい。病的又は異常な組織は、正常な組織よりもこれらの波長において非常に低い蛍光放射強度を示す。前記組織は、また、吸収も蛍光性再放射もしない少なくともいくつかの励起成分エネルギにおいて反射し、これにより、符号216で示すような反射された青色成分を生じさせる。
【0192】
近赤外線成分144に応答して、前記組織はこのような近赤外線のかなりの割合を反射し、これにより、符号218で示すような反射された近赤外線成分を生じさせる。正常及び病的な組織は、正常及び病的な組織の蛍光の強度よりも互いにより類似した強度を有する、後に詳述するような近赤外線反射率を生じさせるが、正常及び病的な組織の近赤外線反射率間に測定可能である相違はない。
【0193】
したがって、励起及び近赤外線成分の照射に応答して、前記組織は、蛍光成分214を放射し、また反射された青色及び近赤外成分216,218を反射する。これらの3つの成分は内視鏡59により受け取られ、前記内視鏡の画像チャンネル66のコヒーレントな光ファイバ束を通してハウジングに伝えられ、また前記ハウジングの入力ポート64で受け取られ電磁放射線ビーム58を形成する。
【0194】
図2及び図12を参照すると、ブロック212は、次に、プロセッサ回路41に対し、第1及び第2の測定装置44,46のそれぞれによる受け取りのために向けられる電磁放射線ビーム58の第1及び第2の隣接する光線グループ54,56を生じさせるように指示する。より詳細には、ブロック212は、前記プロセッサ回路に、前記第1の測定装置による受け取りのための第1の光線グループを向けるように命令し、運動機構61を制御することにより、内視鏡59の撮像チャンネル66から受け取られる電磁ビーム58の光学通路にビーム指向装置52の反射面を配置する。反射面60は、分光計48による受け取りのために第1の光線グループ54をビーム58から第1の測定ポート70へ反射し、他方、第2の光線グループ56がCCDカメラ50による受け取りのために前記反射面を迂回することを許す。より詳細には、第1の光線グループ54は、該第1の光線グループを第1の測定ポートに焦点を合わせるレンズ71へ前記ハウジング内で反射され又は向けられ、前記ポートは前記ハウジングの分光計ポートとして作用する。前記第2の光線グループは、前記撮像装置すなわちCCDカメラに向けられ、また該カメラに受け取られる。したがって、第1及び第2の隣接光線グループ54,56は、それぞれ、前記第1及び第2の測定装置すなわち分光装置及び撮像装置で受け取られる。
【0195】
図2、4及び12を参照すると、図4に示す放射線指向システム80が、図4及び5に関連して前記したように、第2の光線グループ56における各波長範囲の入射放射線をCCDカメラ50の各対応検出領域81に向ける。
【0196】
ブロック212は、プロセッサ回路41に、少なくとも1つの波長範囲における画像装置のゲインを少なくとも1つの他の波長範囲における前記撮像装置のゲインに関して選択的に調整して、対象の改善された画像を生じさせるように指示する。これを達成するため、この実施例では、ブロック212が、前記プロセッサ回路に、CCDカメラ50の個々の検出器87,88,89のゲイン設定値を選択的に調整するように、図2に示すカメラ制御電子装置49に信号で知らせるように指示する(しかし、この実施例では、検出器86はこの態様では使用されず、したがってそのゲイン設定値は調整される必要がない。)。より詳細には、この実施例では、前記プロセッサ回路は、カメラ制御電子装置49を制御して第3及び第4の検出器88,89を調整することによりCCDカメラ50の近赤外線波長範囲の信号を調整し、第2の検出器87のゲインを調整することにより前記緑色波長範囲の信号を調整し、内視鏡59により見られる組織の蛍光撮像のための所望の近赤外線対緑色信号比を生じさせるように命令される。これらの近赤外線及び緑色ゲインレベルは、前記CCDカメラのゲイン調整能力に関して先に詳述したように、前記蛍光画像における組織の異常領域の表示をよくするために第1のセットのゲインレベルに設定される。より詳細には、この実施例では、第2の検出器87の緑色ゲインレベルは、前記組織の蛍光の低強度を補償するために非常に高い値に設定され、他方、第3及び第4の検出器88,89の近赤外線源レベルは、前記組織による近赤外線の適度な強度を考慮して適度な値に設定される。この実施例では、前記蛍光画像を正規化するために第4の検出器89からの信号のみが用いられるが、代わりに、この目的のために第3の検出器88からの信号を用いることができ、さらにその代わりとして、後に詳述するように、第3及び第4の両検出器88,89からの信号を用いることができる。加えて、後述するように、第3及び第4の検出器により発生された信号を前記組織の組織酸素投与画像を生じさせるために用いることができる。
【0197】
したがって、図2、4、13及び14を参照すると、緑色系光成分214、反射された青色成分216及び反射された近赤外線成分218を含む第2の光線グループ56がCCDカメラ50で受け取られるとき、反射された青色成分が第1の部分反射装置90の効果により第1の検出器86で完全に受け取られる。第1及び第2の部分反射装置90,92とバンドパスフィルタ104の作用のため、第2の検出器87が、500及び600nm間の波長を有する緑色系光成分の一部を受け取る。第1、第2及び第3の部分反射装置90,92,94とバンドパスフィルタ106の作用のため、第3の検出器88が第1の近赤外線波長帯116(750乃至800nm)にある反射された近赤外線成分218の一部を受け取る。第3の検出器88もまた600nmおよび750nm間の波長を有する蛍光成分の一部を受け取るが、この成分は、前記第3の検出器により受け取られた反射近赤外線成分218の第1の近赤外線波長帯116の部分より非常に小さい強度を有する。第4の検出器89は、第1、第2及び第3の部分反射装置90,92,94と反射器95とバンドパスフィルタ108の作用のため、第2の近赤外線波長帯118(800nm乃至900nm)にある反射された近赤外線成分218の一部を受け取る。
【0198】
図14は、各撮像チャンネル(図6に示す)のスペクトル応答の回旋と蛍光/近赤外線反射率撮像モード(図13に示す)において前記組織から送られた放射線のスペクトルから生じた、各撮像チャンネル(B、G、R、R1)についての検出スペクトルの形を示す。しかし、第1の検出器86の信号はこの撮像態様においては捨てられている。第2、第3及び第4の検出器87,88,89の検出器は、蛍光成分214の500乃至600nm部分、反射された近赤外線成分218の第1の近赤外線波長帯116部分及び反射された近赤外線成分218の第2の赤外線波長帯118部分のそれぞれに応答して信号を生じさせ、前記ゲイン設定値に比例して発生されているこのような信号は、ブロック212で前記プロセッサ回路により設定される。
【0199】
図2及び図12を参照すると、第2、第3及び第4の検出器87,88,89により発生されたこれらの信号は、図2に示すカメラ制御電子装置49により受け取られる。
【0200】
ブロック212は、次に、プロセッサ回路41に、カメラ制御電子装置49を制御して、前記第2及び第4の検出器により前記信号を生じさせ、この実施例では前記RGBカラーフレームグラバー47である、ディスプレイ装置の緑色チャンネル入力215及び赤色チャンネル入力217のそれぞれで受け取られるように指示する。近赤外線波長における正常及び異常組織の反射率のそれぞれが可視赤色波長におけるより一層小さいとき、赤色チャンネル217で受け取られる近赤外線信号は、可視赤色光画像より、蛍光画像正規化のためにはより正確である。ブロック212は、前記プロセッサ回路に、前記カメラ制御電子装置と前記RGBカラーフレームグラバーを制御して、第2及び第4の検出器87,89により発生された信号に応答して、改善されたデジタル化された蛍光画像を表示するデータ信号を生じさせるように指示する。前記RGBカラーフレームグラバー47は、緑色チャンネル入力215で受け取られた信号に応答して発生されたデータ信号をカラーモニタ51に伝えて前記モニタ上に組織の緑色蛍光画像を生じさせ、同様に赤色チャンネル入力217で受け取られた信号に応答して発生されたデータ信号を前記カラーモニタに伝えて、同時に前記緑色蛍光画像表示を有する前記モニタ上に組織の赤色蛍光画像を生じさせる。したがって、これらの緑色及び赤色画像のモニタ51上に生じた重複像は、前記組織の正規化された蛍光画像234である。
【0201】
したがって、先に詳述したように、幾何学的要因のために前記緑色蛍光画像に正常な組織が暗く現れるときは、その組織はまた前記赤色近赤外線画像にも暗く現れ、したがって、これらの2つの画像の重なり像である正規化された蛍光画像234に暗く現れる。しかし、異常又は病的のために組織が緑色蛍光画像に暗く現れるときは、その組織は前記赤色チャンネル近赤外線画像に輝いて現れ、このため正規化された蛍光画像234に赤色に現れる。
【0202】
図8、12及び13を参照すると、ブロック212は、次に、プロセッサ回路41に、前記改善された画像すなわち正規化された蛍光画像234に現れる前記対象の領域内の点からの放射線のスペクトルを測定することを指示する。より詳細には、ブロック212は、前記プロセッサ回路に、図8に示す分光計48のフィルタ128の制御装置及びソレノイドスイッチに信号を送り、フィルタ128が、光ファイバ束122を経る第1の測定ポート70からの分光写真器127の入口スリット126で受け取られた放射線の通路に伸長するように指示する。したがって、フィルタ128は、第1の光線グループ54からの反射された青色成分216を遮断し、その結果、蛍光成分214及び反射された赤外線成分218のみが分光写真器127により受け取られる。
【0203】
図8、12、13及び15を参照すると、次に、ブロック212は、プロセッサ回路41に、蛍光成分214及び反射された近赤外線成分218の分光分布を現す分光計からの信号を受け取り、モニタ45を制御してこれに蛍光/近赤外線反射率分光分布を表示するように、指示する。例えば、図示を目的として、図15は、2つの異なるそれぞれの時間において前記組織の2つの異なる点に対応する2つの別々の分光分布画像222,224の重複像を示す。実線で示す第1の分光分布画像222は正常な組織に対応し、蛍光成分226及び反射された近赤外線成分228を有する。破線で示す第2の分光分布画像224は異常な組織に対応し、正常組織に対応する蛍光成分226より非常に低い強度の蛍光成分230を有する。第2の分光分布画像224は、また、反射された近赤外線成分232を有し、該成分の強度は、正常組織に対応する反射された近赤外線成分228の強度に似ている。しかし、近赤外線反射成分228,232間の差は、蛍光成分226,230間の差と比べて非常に小さいが、正常及び異常の組織間の組織酸素投与状態変化を反映するスペクトルの2つの近赤外線反射成分間にはある程度の差がある。800nmを下回るとき、前記正常組織の近赤外線反射率は前記異常組織のそれよりも高く、800nmを上回るときはその逆が成立する。
【0204】
したがって、図2に戻ってこれを参照すると、内視鏡59の操作者(図示せず)は、モニタ51上に正規化された蛍光画像234を見ることができ、同時に、モニタ45上に蛍光/近赤外線反射率分光分布220を見ることができる。ビーム指向装置52の反射面60が、分光計48による受け取りのために第1の光線グループ54を向けることにより、正規化された蛍光画像234に第1の光線グループ54に対応する場所で黒斑236が現れるようにすることを期待することができよう。したがって、前記スペクトルは、前記改善された画像すなわち正規化された蛍光画像234に現れる前記組織の領域237に、黒斑236に対応する前記組織内の点から測定される。
【0205】
したがって、蛍光画像234における黒斑236の位置を観察することにより、内視鏡59の操作者は、直ちに、モニタ45上の蛍光/近赤外線反射率分光分布画像220が正規化された蛍光画像234に現れる領域237内の黒斑236の点における組織により放射された放射線のスペクトルであることを知る。このため、操作者は、黒斑236を目標視域に近似的に使用して、蛍光/近赤外線反射率分光分布画像220が実際に組織領域237内の所望の点のスペクトルを現していることを保証することができる。このようにして、内視鏡の操作者は前記内視鏡を操作することができ、その結果、赤色でありしたがって疑いがある正規化された蛍光画像234内の領域237に黒斑236が現れ、これにより、操作者が、疑いのある赤色領域に対応する蛍光/近赤外線反射率分光分布画像220を見ることを可能にし、それが実際に病的であるか否かを確認し、また特定の病気を診断することさえも可能にする。このため、操作者は、例えば高い赤色対緑色信号比をもつ、以前に可能であったよりも高い診断鋭敏度蛍光画像を見ることができ、他方、分光法のすぐれた診断特異性に信頼をおいて、他の方法ではこのような高い赤色対緑色比から結論づけられるかもしれない偽陽性の診断を回避または減少させる。所望であれば、操作者は、さらに、プロセッサ回路41による実行のために貯蔵媒体202に貯蔵又は保存された分光解析アルゴリズム(図示せず)を実行することにより、この診断特異性について改善することができ、
【0206】
ブロック212は、さらに、プロセッサ回路41に、新しい選択を示すユーザ入力が受領されるまで、内視鏡59から受け取られた電磁放射線ビーム58に応答して、リアルタイムで、連続する蛍光/近赤外線反射率分光分布画像220と正規化された蛍光画像234とを生じさせることを継続するように、指示する。
【0207】
もし、これに反して、ブロック211において、ユーザ入力が同時の近赤外線反射率撮像及び分光の選択を示したことが決定されたときは、ブロック213が、プロセッサ回路41を、第2及び第4の検出器88,89により発生された第1及び第2の信号に応答して組織の酸素投与画像を生じさせるように構成し、同時に前記組織の反射率スペクトルをモニタ45に表示させる。これを行うため、ブロック213は、先ず、前記プロセッサ回路に、システム40がブロック212に従って分光を伴う前記蛍光/近赤外線反射率撮像態様のために構成されることを確実にするように指示する。この点について、もし、システム40が同時の正規化された蛍光撮像及び分光を実行していた場合、前記システムのさらなる再構成はブロック213のためのこの最初のステップは求められず、しかし、そうでなければ、ブロック213は、前記プロセッサ回路に、ブロック212に関して前述したように、電磁放射線プロバイダ53を制御して、第1の分光分布138を選択しかつ生じさせ、検出器87,88,89のゲインを選択的に調整し、ビーム指向装置52、分光計48のフィルタ128及びモニタ45をこれに蛍光/近赤外線反射率分光分布画像220が表示されるように制御するように、指示する。
【0208】
図2、4、5、12及び13を参照すると、この実施例では750nm及び900nm間の放射線波長を含む、第1の分光分布138の近赤外線成分144に応答して、前記組織がこのような波長を反射させ、反射された近赤外線成分218を生じさせる。ブロック212に関して前述したように、前記反射された近赤外線成分は、図4に示す放射線指向システム80へ、図2に示す内視鏡59により伝えられる。前記したように、放射線指向システム80(又は、より詳細には、第1、第2及び第3の部分反射装置90,92,94並びにバンドパスフィルタ106)は、第3の検出器88に、前記組織により第1の近赤外線波長帯116(750乃至800nm)において反射された放射線を向けるように構成されており、デオキシヘモグロビンの吸収係数はオキシヘモグロビンのそれより大きい。同様に、放射線システム80(特に、第1、第2及び第3の部分反射装置90,92,94、反射器95及びバンドパスフィルタ108)は、第4の検出器89に、前記組織により第2の近赤外線波長帯118(800乃至900nm)において反射された放射線を向けるように構成されており、オキシヘモグロビンの吸収係数はデオキシヘモグロビンの吸収係数より大きい。
【0209】
第3の検出器88は、前記組織により第1の近赤外線波長帯116において反射された放射線に応答して第1の信号を発生する。同様に、第4の検出器が前記組織により第2の近赤外線波長帯118において反射された放射線に応答して第2の信号を発生する。これらの第1及び第2の信号は、図2に示すカメラ制御電子装置49で受け取られる。この実施例では、第3及び第4の検出器のゲインレベルは、正規化された蛍光撮像に用いられたものと変わらない。代わりに、所望であれば、ブロック213は、前記プロセッサ回路に指示して、前記カメラ制御電子装置を制御し、前記第3及び第4の検出器のゲインレベルを第2のセットのゲインレベルに設定し、さらに、前記対象の結果として生じる近赤外線反射率画像における前記組織の異常領域の表示をよくするように変更することができる。
【0210】
ブロック213は、次いで、前記プロセッサ回路に、第3及び第4の検出器88,89によりそれぞれ発生されたこれらの第1及び第2の信号に応答して組織の酸素投与画像を生じさせるように、指示する。これを行うため、この実施例では、ブロック213は、前記プロセッサ回路に、前記カメラ制御電子装置を制御して、前記第1の信号がマルチカラーディスプレイ装置の第1のカラーチャンネル入力に与えられるようにし、また前記第2の信号が前記ディスプレイ装置の第2のカラーチャンネル入力に与えられるようにするように、指示する。より詳細には、前記プロセッサ回路は、前記カメラ制御電子装置を制御して、第3の検出器88により発生される信号がRGBカラーフレームグラバー47の緑色チャンネル入力215に提供されるようにし、また第4の検出器89により発生される信号がRGBカラーフレームグラバー47の赤色チャンネル入力217に提供されるように、指示される。ブロック213は、前記プロセッサ回路に、前記カメラ制御電子装置と前記RGBカラーフレームグラバーを制御して、第3及び第4の検出器88,89により発生される信号に応答して、改善されデジタル化された近赤外線反射率画像を表示するデータ信号を生じさせるように、指示する。RGBカラーフレームグラバー47はこれらのデータ信号をカラーモニタ51に伝達し、前記モニタ上に、第1の近赤外線波長帯116における前記組織の反射率強度を表示する前記組織の緑色画像と、第2の近赤外線波長帯118における前記組織の反射率強度を表示する前記組織の赤色画像とを同時に生じさせる。このため、これらの緑色及び赤色画像のモニタ51上に結果として生じる重複像は、前記組織の正規化された近赤外線反射率画像235である。
【0211】
病的組織に関する正常組織のより多くのオキシヘモグロビンの内容及び病的組織の対応するより多くのデオキシヘモグロビンの内容のため、前記緑色画像において、正常組織は病的組織より明るく現れやすく、一方、病的組織は前記赤色画像において、病的組織は正常組織より明るく現れやすい。幾何学的要因のために視界から部分的に遮られる組織は、前記緑色及び赤色の両画像において暗く現れる。このため、正規化された近赤外線反射率画像235では、病的組織は、緑色の正常組織の背景中に赤色領域として表示されやすい。
【0212】
正規化された蛍光画像234でのように、分光計48による受け取りのために電磁放射線ビーム58の第1の光線グループ54のビーム再指向装置52による再指向のため、黒斑236も、また、正規化された近赤外線反射率画像235の中央に現れる。このため、同時の正規化蛍光画像及び分光法でのように、前記内視鏡の操作者は前記内視鏡を操作し、その結果、黒斑236が、赤色でありこのために疑わしい、正規化された近赤外線反射率画像235の領域に現れ、これにより、操作者は、モニタ51上に疑わしい赤色領域に対応する近赤外線反射率分光分布220を見ることができ、前記疑わしい領域が病的であるか否かを確認し、および選択的に特定の病気を診断する。
【0213】
ブロック213は、さらに、プロセッサ回路41に、新しい選択を示すユーザ入力が受領されるまで、内視鏡59から受け取られた電磁放射線ビーム58に応答して、リアルタイムで、連続する近赤外線反射率分光分布画像220と正規化された近赤外線画像235とを生じさせることを継続するように、指示する。
【0214】
図2及び12を参照すると、組み合わされた蛍光撮像/近赤外線反射率撮像及び分光法の選択を示すユーザ入力がブロック210で検出されなかったとき、ブロック238は、プロセッサ回路41に、組み合わされた白色光反射率撮像及び分光モードの選択を示すユーザ入力がユーザ入力装置204で受け取られたか否かを決定するように、指示する。
【0215】
このようなユーザ入力が受け取られていると、ブロック240が、プロセッサ回路41に、電磁放射線プロバイダ53、CCDカメラ50、ビーム指向装置52及び分光計48を以下のように制御するように、指示する。
【0216】
図9、11及び12を参照すると、ブロック240が、先ず、プロセッサ回路41に、第1の光学サブシステム134から受け取った白色光照明成分146を含む、白色光反射率撮像のための第2の分光分布140を選択しかつ生じさせるように指示する。この点に関し、ブロック240は、前記プロセッサ回路に、図9に示す第1及び第2光学サブシステム134,136が前記第2の操作モードで機能するように、指示する。より詳細には、ブロック240は、前記プロセッサ回路に、カラーバランスフィルタ154が第1の光学サブシステム134を通過する放射線の通路に配置されかつ光ストッパ166が第2の光学サブシステム136を通過する放射線の通路に配置されるように、ランプ180を作動させ、制御装置160,172に信号を送ってソレノイドスイッチ158,170をそれぞれ伸長位置におくように指示する。
【0217】
したがって、ビームスプリッタ184が、ランプ180から、前記励起、近赤外線及び白色光照明成分を含む入力放射線を受け取る。ビープスプリッタ184は、可視光を提供し、またこのため、第1の光学サブシステム134に励起及び白色光照明の成分142,146を提供する。前記ビームスプリッタは、近赤外線を提供し、またこのため、第2の光学サブシステム136に近赤外線成分144を提供する。白色光照明及び励起の成分146,142は第1の光学サブシステム134で前記ビームスプリッタから受け取られ、前記第1のサブシステムは、この実施例では400nmから700nmの範囲の可視光の平坦な分光分布である、図11に示す白色光照明成分146をコンバイナ173へ透過させる。近赤外線成分144は、全てのこのような受け取られた近赤外線を遮断する第2の光学サブシステム136において再指向装置188を経て前記ビームスプリッタから受け取る。このため、前記第2の操作モードにおいて、コンバイナ173は、第2の光学サブシステム136からはいかなる放射線をも受け取らない。
【0218】
コンバイナ173、又はより正確にはダイクロイック反射装置174は、第1の光学サブシステム134から受け取った白色光照明成分146を共通の光学通路175に沿って、レンズ176を通して、出口ポート178に伝える。したがって、前記第2の操作モードにおいて、光学システム132は、近赤外線成分144を遮る間に第1の光学サブシステム134から白色光照明成分146を透過させる。
【0219】
図2及び11に戻ってこれらを参照すると、第2の分光分布140の白色光照明成分146は、次に、出口ポート178から内視鏡59へ伝達され、最終的に、写されている前記組織に、光ファイバ束55を経て送られる。
【0220】
図2、11及び16を参照すると、白色光照明成分146による前記組織の照明に応答して、前記組織が、図16に符号243で示す白色光反射率撮像成分を反射し、白色光照明成分146の前記波長におけるその強度は、前記組織の自然反射率特性すなわち色に比例して変化する。この白色光反射率撮像成分は内視鏡59により受け取られ、電磁放射線ビーム58を形成するように、前記内視鏡の撮像チャンネル66のコヒーレントな光ファイバ束を通して、ハウジング62の入力ポート64に送られる。
【0221】
図2及び12を参照すると、ブロック24は、プロセッサ回路41に、第1及び第2の測定装置44,46のそれぞれによる受け取りのために第1及び第2の隣接する光線グループ54,56が向けられるように、指示する。これを行うため、ブロック240は、前記プロセッサ回路に、運動機構61を制御して、内視鏡59から受け取られた電磁放射線ビーム58の光学通路にビーム指向装置52を配置し、その結果、第1の光線グループ54が分光計48による受け取りのために第1の測定ポート70に反射面60により反射され、また第2の光線グループ56がCCDカメラ50による受け取りのために前記反射面を迂回するように、指示する。
【0222】
図2、4及び12を参照すると、ブロック240は、プロセッサ回路41に、少なくとも1つの波長範囲におけるこの実施例ではCCDカメラ50である撮像装置のゲインを、少なくとも1つの他の波長範囲における前記撮像装置のゲインに関して選択的に調整し、対象の改善された画像を生じさせるように、指示する。より詳細には、ブロック240は、前記プロセッサ回路に、図2に示すカメラ制御電子装置49に信号を送り、CCDカメラ50の個々の検出器86,87,88のゲインの設定を選択的に調整するように、指示する。この実施例では、前記プロセッサ回路は、内視鏡59により見られている組織の白色光反射率撮像のための所望のカラーバランスを生じさせるために第1、第2及び第3の検出器86,87,88のゲインを調整することにより、CCDカメラ50の前記赤色、緑色及び青色波長範囲のゲインレベルを調整するように指示される。これらの赤色、緑色及び青色のゲインレベルは、前記CCDカメラのゲイン調整能力に関して先に詳述したように、結果として白色光反射率画像を生じる前記組織の異常領域の表示を良くするため、第3のセットのゲインレベルに設定される。典型的には、このセットのゲインレベルは、前記反射された放射線が青色、緑色及び赤色の波長範囲のそれぞれに適度な強度を有するため、全ての3つの検出器のための適度なゲイン値を含む。第4の検出器89は、前記組織が800nmおよび900nm間の波長範囲のいかなる放射線でも照らされず、またこのために反射しないように、いかなる信号をも発生させない。
【0223】
したがって、図2、4、11、16及び17を参照すると、白色光照明成分146での照明に応答して前記組織により発生された白色光反射率撮像成分243を含む第2の光線グループ56がCCDカメラ50により受け取られると、第1の部分反射装置90の作用のため、第1の検出器86が、400及び500nm間の波長を有する白色光反射率撮像成分243の青色部分245を受け取る。第2の検出器87は、第1及び第2の部分反射装置90,92並びにバンドパスフィルタ104の作用のため、500及び600nm間の波長を有する白色光反射率撮像成分243の緑色部分247を受け取る。第3の検出器88は、第1、第2及び第3の部分反射装置90,92,94並びにバンドパスフィルタ106の作用のため、600及び700nm間の波長を有する白色光反射率撮像成分243の赤色部分249を受け取る。検出器86,87,88は、それぞれ、青色(245)、緑色(247)及び赤色(249)の部分に応答して信号を生じさせ、これらの信号は、ブロック240で前記プロセッサ回路により設定された前記ゲイン設定値に比例して生じる。図17は、各撮像チャンネル(図6に示す)のスペクトル応答の回旋と白色光反射率撮像モードにおいて前記組織から送られた放射線のスペクトルとから生じた、各撮像チャンネル(B、G、R)についての検出スペクトルの形を示す。
【0224】
図2及び12を参照すると、第1、第2及び第3の検出器86,87,88により発生されたこれらの信号は、図2に示すカメラ制御電子装置49において受け取られる。
【0225】
ブロック240は、プロセッサ回路41に、カメラ制御電子装置49を制御して、第1、第2及び第3の検出器86,87,88により発生されたこれらの信号をRGBカラーフレームグラバー47の青色チャンネル入力219、緑色チャンネル入力215及び赤色入力チャンネル入力217にそれぞれ伝達するように、指示する。ブロック240は、前記プロセッサ回路に、前記カメラ制御電子装置及び前記RGBカラーフレームグラバーを制御して、第1、第2及び第3の検出器86,87,88により発生された信号に応答して前記組織の改善されかつデジタル化された白色光反射率画像246を示すデータ信号を発生させるように、指示する。RGBカラーフレームグラバー47は、カラーモニタ51にこれに白色光反射率画像246を表示するためにこれらのデータ信号を伝達する。
【0226】
図8及び12を参照すると、次に、ブロック240が、プロセッサ回路41に、前記改善された画像すなわち白色光反射率画像246に現れる前記対象の領域内の点からの放射線のスペクトルを測定するように、指示する。より詳細には、ブロック240が、前記プロセッサ回路に、図8に示す分光計48のフィルタ128の前記制御装置及びソレノイドスイッチに信号を送り、フィルタ128が、光ファイバ束122を経て第1の測定ポート70からの分光写真器127の入口スリット126で受け取られた放射線の通路の外へ引き込められるように、指示する。したがって、このモードにおいて白色光反射率成分243である前記電磁放射線ビームの第1の光線グループ54が、フィルタされない状態で分光写真器127により受け取られる。
【0227】
図2、8及び12を参照すると、ブロック240は、次いで、プロセッサ回路41に、白色光反射率撮像成分243の分光分布を表す分光計48から信号を受け取り、モニタ45を制御して、前記分光計から受け取った前記信号に応答して前記モニタ上に白色光反射率分光分布を表示するように、指示する。
【0228】
したがって、図2に戻ってこれを参照すると、内視鏡59の操作者(図示せず)は、白色光反射率画像246をモニタ51上に、また白色光反射率分光分布画像241をモニタ45上に同時に見ることができる。ブロック212に関して前記したように、操作者は、モニタ45上に可視の反射率分光分布画像241を生じさせるために分光計48により測定される前記組織の領域237の正確な点を示すようにモニタ51の白色光反射率画像246の中心に現れる黒斑236を使用することができる。
【0229】
ブロック240は、さらに、前記プロセッサ回路に、新しい選択を示す操作者入力が受け取られるまで、内視鏡59から受け取られたビーム58に応答してリアルタイムに白色光反射率分光分布画像241と白色光反射率画像246とを生じさせるように、指示する。
【0230】
図2及び12を参照すると、組み合わされた白色光反射率撮像及び分光の選択を示すユーザ入力がブロック238で検出されなかったとき、ブロック250は、プロセッサ回路41に、分光なしの蛍光/近赤外線反射率撮像モードの選択を示すユーザ入力がユーザ入力装置204で受け取られたか否かを決定するように、指示する。
【0231】
このようなユーザ入力が受け取られていると、ブロック251が、プロセッサ回路41に、ブロック250で受け取られた前記ユーザ入力が正規化された蛍光撮像か又は近赤外線反射率撮像の選択の指示であるかを決定するように、指示する。この実施例では、ブロック210乃至213に関して先に説明したように、蛍光及び近赤外線反射率の両撮像のための物理的測定が単一の蛍光/近赤外線反射率撮像態様において同時に行われる。
【0232】
図2、4及び12を参照すると、ブロック251でユーザ入力が分光法なしの正規化された蛍光撮像の選択を指示しているとき、ブロック252は、プロセッサ回路41に、ブロック212に関して前述したように、電磁放射線プロバイダ53を制御して、前記第1の操作モードにおいて機能するように、指示する。ブロック252は、さらに、ブロック212に関して前述したように、前記プロセッサ回路に、カメラ制御電子装置49に信号を送り、CCDカメラ50の検出器のゲインレベルを調整し、結果として生じる正規化された蛍光画像を改善し、前記組織の異常領域の表示を良くするように、指示する。しかし、この実施例では、ブロック252が、前記プロセッサ回路に、運動機構61を制御して、内視鏡59から受け取られる電磁放射線ビーム58の光学通路からビーム指向装置52を取り除き、その結果、第1及び第2の両隣接光線グループ54,56がCCDカメラ50で受け取られるように、指示する。次いで、ブロック252が、前記プロセッサ回路に、ブロック212に関して前述したように、カメラ制御電子装置49及びRGBカラーフレームグラバー47を制御して、前記対象の正規化された蛍光画像234を生じさせるように、指示する。電磁ビーム58の光学通路からのビーム指向装置52の除去のため、黒斑236はこのモードでは正規化された蛍光画像234に現れない。ブロック252は、前記プロセッサ回路に、新しい選択を示すユーザ入力が受け取られるまで、このような信号の監視を続けて、リアルタイムで連続した正規化された蛍光画像234を生じさせるように、指示する。
【0233】
もし、他方で、ブロック251において、分光法なしの近赤外線反射率撮像の選択が指示されると、ブロック253が、プロセッサ回路41に、運動機構61を制御して、内視鏡59から受け取られた電磁放射線ビーム58の光学通路からビーム指向装置52を取り除き、その結果第1及び第2の両隣接光線グループ54,56がCCDカメラ50で受け取られるように、指示する。あるいは、ブロック253が、前記プロセッサ回路に、ブロック213に関して前述したように、カメラ制御電子装置49、RGBカラーフレームグラバー47及び電磁放射線プロバイダ53を制御して、前記対象の近赤外線反射率画像235を生じさせるように、指示する。再度、電磁ビーム58の光学通路からのビーム指向装置52の除去のため、黒斑236はこのモードでは近赤外線反射率画像235に現れない。ブロック253は、前記プロセッサ回路に、新しい選択を示すユーザ入力が受け取られるまで、リアルタイムで連続した近赤外線反射率画像235を生じさせるように、指示する。
【0234】
分光法なしの蛍光/近赤外線反射率撮像の選択を示すユーザ入力がブロック250で検出されなかったとき、ブロック254は、プロセッサ回路41に、分光法なしの白色光反射率撮像モードの選択を示すユーザ入力がユーザ入力装置204で受け取られたか否かを決定するように、指示する。
【0235】
図2、4及び12を参照すると、もし、このようなユーザ入力がブロック254で検出されると、ブロック256は、プロセッサユニット41に、ブロック240に関して前述したように、電放射線プロバイダ53を制御して、前記第2の操作モードにおいて機能するように、指示する。ブロック256は、さらに、前記プロセッサ回路に、ブロック240に関して前述したように、カメラ制御電子装置49に信号を送り、CCDカメラ50の検出器のゲインレベルを調整し、結果として生じる白色光反射率画像を改善し、前記組織の異常領域の表示を良くするように、指示する。ブロック256は、次に、前記プロセッサ回路に、ブロック252に関して前述したように、運動機構61に信号を送り、電磁放射線ビーム58の光学通路からビーム指向装置52を取り除くように、指示する。次に、ブロック256は、前記プロセッサ回路に、前記CCDカメラの第1、第2及び第3の検出器86,87,88のそれぞれからRGBカラーフレームグラバー47の青色、緑色及び赤色チャンネルにおいて受け取られた信号に応答してデジタル画像を表す前記RGBカラーフレームグラバーからデータ信号を受け取るように、指示する。ブロック256は、前記プロセッサ回路に、ブロック240に関して前述したように、白色光反射率画像246である前記デジタル画像をモニタ51上に生じさせかつ表示するように、指示する。電磁ビーム58の光学通路からビーム指向装置52を除去しているため、黒斑236は、このモードでは白色光反射率画像246に現れない。ブロック256は、前記プロセッサ回路に、新しい選択を示すユーザ入力が受け取られるまで、このような信号の監視を続け、リアルタイムで連続した白色光反射率画像246を生じさせるように、指示する。
【0236】
分光なしの白色光反射率撮像の選択を表すユーザ入力がブロック254で検出されなかった場合、ブロック258が、プロセッサ回路41に、撮像工程を指示するユーザ入力が終了されるべきことがユーザ入力装置204で受け取られたか否かを決定するように、指示する。そうであるときは、測定ルーチン200が終了される。そうでないときは、前記プロセッサ回路は、ブロック210に戻って新しい選択を指示するユーザ入力の監視を続けることを指示される。
【0237】
変更
本発明は、前述したシステム、方法等に変わる種々のものを含み、このセクションで説明される代表的な変更例を含む。これらの変更例は典型的であるだけであり、他の適当な変更例も本発明の範囲内にある。
【0238】
いくつかの変更例について、図20−24がいくつかのさらなる変更例を示している。図20−22から始めると、これらの図は、光ビーム504を受け取るようなサイズの領域502を含む光ビーム検出システム500を示している。ここで他の図に示された他の実施例によるように、光ビーム504は、典型的には、人間の臓器又は皮膚あるいはコンピュータチップのようなサンプル又は対象から発する(例えば,から反射され、通して透過され、あるいはから蛍光又は燐光を発する)検出光ビームである。光ビーム504は、試されるべき光源からの光ビームのような任意の他の所望の光ビームであって良い。光ビーム検出システム500は、いくつかの図に示す内視鏡59又は、図20に示す顕微鏡571、図22に示す望遠鏡573、図21に示すカメラ575、図20に示すデジタル撮像システム574及び図21に示すフィルム撮像システム576のような任意の所望の検出システムであってよい。
【0239】
ビーム分離器506が、光ビーム504の僅かな一部を光ビーム504の残りから分離し、分離された光ビーム508及び残りの光ビーム510を提供するため、領域502内に配置されている。ビーム分離器506は分離された光ビーム508を分光装置512に伝達し、この間に残りの光ビーム510が撮像装置514に向けて進む。僅かな部分が、僅かな十分なパーセンテージの光ビーム504を示し、正確なスペクトル及び正確な画像の双方を提供する。前記僅かな部分は、例えば、光ビーム504の小さい断面又は光ビーム504かの大きい断面から得られた僅かなパーセンテージの光線である。代表的なビーム分離器は、ここのどこかで指摘したように、ビームスプリッタ、小さいミラー及びレンズを含む。所望の場合には、ビーム分離器506は、光ビーム504の大部分を画像装置に伝達することができ、この間、前記光線の僅かな部分は分光装置に向かい続けることを可能にする。所望の場合には、図20に示すように、また図4、7、23及び24に関して代表的に詳細に説明するように、前記撮像装置は画像分離器550を含むことができる。
【0240】
分光器512がビーム分離器506に光学的に接続され、分離された光ビーム508を受け止め、ここからスペクトルを供給する。分光器512は、スペクトルを測定しかつ伝えるための任意の所望の装置であってよく、所望であれば、グラフ又は数値の形態でスペクトルを表示することを含む。適切な分光器は、単一のチャンネル検出器が結合されたモノクロメータのような分光計48(例えば図2)、分光側光器537(例えば図20)、分光写真器539(例えば図21)、FT(フーリエ変換)型分光計のような干渉計に基礎をおく分光計541(例えば図22)を含む。
【0241】
撮像装置514が領域502内に配置され、残りの光ビーム510を操作可能に受け取り、ここから画像を提供する。この文脈において用いられているように、撮像装置514は、離れたところに配置することができる画像の調節器又は発生器に操作可能に連結された撮像検出器を含む。撮像装置514は、また、全体の装置又は画像を得て、これを離れた位置にある検出器/装置に運ぶチャンネルを指す。代表的な撮像装置は、CCD、増倍CCD、CMOS(相補型金属酸化物半導体)、CID(チャージ・インジェクション・デバイス)、フォトダイオードアレイ、光電子増倍管アレイのようなピクセートされた検出器532(例えば図20及び22に示すような)及びフィルムカメラのようなピクセレートされていない検出器534(図21に示すような)の双方を含む。
【0242】
図20及び21では、分光装置512は光ビーム504の外側に配置されている。図22では、分光装置512は光ビーム504の内側に配置されている。図21では、ビーム分離機506は、光ビーム504の小さい領域を遮るように寸法が設定されかつ配置され、このような光ビーム504の小さい領域の向きを分光装置512へ変える光線再指向装置516を含む。図21及び22では、光線再指向装置516は、光ビーム504内の光線再指向装置516の位置に対応する残りの光ビーム510内に小さい残像528を与える。ある実施例では、光線再指向装置516及び小さい残像528は、実質的に、光ビーム504の射線中心におかれる。しかし、光線再指向装置516は、中心から縁まで、光ビーム504の任意の所望の位置に配置することができる。典型的には、全光線再指向装置516は光ビーム504内に配置され、所望により、光線再指向装置516の一部のみをそのように配置することができる。光線再指向装置5162は、例えば、ミラー520、レンズ(先の図7に符号71で示されている)、分光計512の測定ポート518、図7のプリズム119のようなプリズム、又は図22のライトガイド524のようなライトガイド524(また、図2に符号55で示され、図8に符号122で示されている)からなるものとすることができる。
【0243】
図21及び22では、光線再指向装置516は残りの光ビーム510から光線再指向装置516上の全ての光入射を実質的に取り除き、これは、光線再指向装置516が典型的には残りの光ビーム510中に濃い影又は小さい残像を残すに十分な入射光の少なくとも90%で100%までを取り除くことを示す。
【0244】
図20では、光ビーム検出システム500は、ビームスプリッタ530からなるビーム分離器506を含む。ビームスプリッタ530は、これが多くの残像を残さないように光ビーム504の大部分を遮る。このような多くの残像を回避することは、例えば、ビームスプリッタ530が実質的に全ての光ビーム504を覆っており、残りの光ビーム510が一様であり、あるいはビームスプリッタ530が全光ビーム504のうちのパーセンテージとして僅かな光を反射するために達成することができる。ビームスプリッタ530は、光ビーム504中の実質的に50%を上回る電磁放射線を撮像装置514に透過させ、光ビーム504中の実質的に50%を下回る電磁放射線を分光装置512へ反射する(又は、分光装置512及び撮像装置514が逆に配置されている場合には逆も同様である。)典型的には、ビームスプリッタ530は、光ビーム504の少なくとも約80%、90%又は95−97%を透過させ、また光ビーム504の多くとも対応するパーセンテージを反射する。
【0245】
引き続き、図20に関して説明すると、光ビーム検出システム500は、ビーム分離器506の前方に、第1の集束レンズ540として示す第1の集束エレメントと、ビームスプリッタ506と撮像装置514との間に、第2の集束レンズ542として示す第2の集束エレメントとを含む。前記第1の集束エレメント及び前記第2の集束エレメントは、実質的にビーム分離器506における第1の共役像平面544と実質的に撮像装置514における第2の共役像平面544とを提供する。両共役像平面は、画像(例えば前記サンプル又は開口の図)が再現される光路に沿って位置する。図21及び22では、ビーム分離器506が、撮像装置514と実質的に同様の像平面536内に位置している。
【0246】
このため、ある実施例では、ビーム分離器506は、実質的に撮像装置514の前(上流)で撮像装置514に接触しない位置にあり、一方、他の実施例では、ビーム分離機506は、撮像装置514に隣接し、及び/又は撮像装置の後方(下流)にある。同様に、ビーム分離機506は、撮像装置514の共役像平面内、又は前記撮像装置と同様の共役平面内に位置させることができる。
【0247】
図20−22は、また、画像及びスペクトル検出システム578を示し、これは、光ビーム検出システム500の検出部分、並びに分光装置512及び撮像装置514の種々の関連のある実施例である。例えば、図22におけるように、前記撮像装置は、共に光ビーム504を受け取るように寸法が設定された分光装置512、前記撮像検出器及び前記ビーム分離器のためのビーム分離器506と実質的に同一の平面上に配置することができる。前記撮像検出器は、測定ポート518の周囲を取り巻く検出領域531を含む。ある実施例では、前記撮像検出器及び前記ビーム分離器は並べておくことができ、あるいは前記ビーム分離器は、例えば前記ビーム分離器が実質的に前記撮像検出器の中央に位置するように、前記撮像検出器により取り囲まれるようにすることができる。
【0248】
図22では、前記ビーム分離器は、前記撮像検出器のすぐ後方に配置された分光装置512のための測定ポート518として機能する光収集エレメントからなる。前記光収集エレメントは、また、集められた光を離れた位置の分光装置に伝えるライトガイドの入力端部529である。適切なライトガイドは、光ファイバ、ファイバ束、液体ライトガイド及び中空反射ライトガイド又はレンズシステムを含む。前記ビーム分離器は、また、例えば、集められた光を離れた位置の分光装置に伝えるミラーのような集束又は非集束エレメント、又はレンズ若しくは集束ミラーのような集束エレメントからなるものとすることができる。他の実施例では、撮像装置514がスペクトルを決定することができる場合、前記光収集エレメントは、スペクトルの決定に専用される撮像装置514の一部を含むものとすることができる。前記撮像検出器は、光ビーム504を受け取る検出領域531を含み、また前記ビーム分離器は、前記撮像検出器の検出領域531の約20%、10%、5%乃至3%、又は1%若しくはそれ以下より少ないものからなるものとすることができる。
【0249】
図20は、さらに、撮像装置514に操作可能に接続され撮像装置514からの画像547を表示し、また分光装置512に操作可能に接続され分光装置512からのスペクトルを表示するためのディスプレイ装置546が示されている。ディスプレイ装置546は、撮像装置514からの画像及び分光装置512からのスペクトルの双方を同時に又は連続的に表示するように操作可能である単一のディスプレイ装置からなるものとすることができ、あるいは前記ディスプレイ装置は、多数の異なるディスプレイ及び/又は装置を含むものとすることができる。加えて、ディスプレイ装置546は、例えば異なる波長領域の又は異なる対象の多数の画像(先の時点における理想対象又はその対象の保存された画像のような。画像は、次に、医師又は他のユーザにより現画像と対比することができる。)及び/又は多数のスペクトルを同時に又は連続的に表示するように操作可能であるものとすることができる。
【0250】
図20−22は、さらに、測定され試験されるサンプル又は光源又は他の光ビームから直接に光ビーム504を受け取るように寸法が設定された光収集ポート548を示す。所望であれば、光ビーム504を領域502に伝えるため、光学リレーが光収集ポート548を領域502に操作可能に接続する。
【0251】
図20は、また、システム撮像装置514及び分光装置512に操作可能に接続された、撮像装置514及び分光装置512を制御するコンピュータ実行プログラミングを含む制御機又はコンピュータ577を示す。所望であれば、1を上回る制御機が使用可能であり、また前記制御機は、撮像装置514、分光装置512及び前記システムの他の機能の任意の1つ又はそれ以上を制御することができる。例えば、所望の場合には、前記制御機はここのどこかで説明したように、異なる波長の選択及び表示を制御することができる。
【0252】
図23−24について、光ビーム検出システム500は画像分離器550を含み得る。光ビーム検出システムは、また、図4及び7に示されている。画像分離器550は、典型的には、ビームスプリッタ554,556,558のような複数の光選択エレメント552と、バンドパスフィルタ104,106と、ロングパスフィルタと、ショートパスフィルタと、プリズムと、他の所望の光学選択エレメント(図4及び7参照)とを含み、光ビーム504により複数の選択された波長領域画像に運ばれた画像を選択し、ここにおいて各選択された波長領域画像は光ビーム504における波長の範囲のことなる波長領域に対応する。
【0253】
図23及び24に示すように、前記画像分離器は複数の撮像ビームスプリッタ554,556,558を含む。「撮像ビームスプリッタ」は、例えば、撮像装置514の上流側にある光ビーム504内のビームスプリッタ530のような前記システム内の他の場所に配置されたビームスプリッタに対し、前記撮像モジュール/装置内のビームスプリッタを指す。図23及び24における各撮像ビームスプリッタ554,556は異なる選択された波長領域を選び出し、ここのいずれかで説明したように、前記選択された波長領域の画像を提供し、前記選択された波長領域の画像を異なる撮像装置へ向ける。しかし、所望の場合は、異なる撮像装置は単一の撮像検出器の異なる領域又は検出領域とすることができる。
【0254】
ある実施例では、前記異なる波長領域は、青色光、可視光、近赤外光及び赤外光に対して少なくとも2つ、3つ又は全ての紫外線を含む。前記異なる波長領域は、また、赤色、青色及び緑色のような任意の所望の波長範囲、あるいは特定の蛍光信号が選択的に検出され、例えばこれらの信号がオキシヘモグロビン及びデオキシヘモグロビンに対応し、あるいは信号が、癌性組織対非癌性組織又は健康な移植組織対拒絶反応を受けている移植組織のような対象又はサンプルの2以上の異なる状態に対応するような任意の所望の波長範囲を含むように選択されることができる。
【0255】
典型的には、図20及び他の箇所で示したように、ディスプレイ装置546は、所望の波長範囲から選択された少なくとも2つの画像を同時に又は連続的に表示するように前記画像分離機に操作可能に接続されている。好ましくは、ディスプレイ装置546は、さらに、分光装置512からのスペクトル549を同時に又は連続的に表示することができる。
【0256】
図4及び23では、前記撮像ビームスプリッタが光ビーム504に沿って直線的に配置されている。図23は、3つの異なる被選択波長範囲(2以上であってもよい。)を含む実施例を示し、このため、2つの撮像ビームスプリッタ554,556は、前記撮像ビームスプリッタの第1のサブセット(すなわち1又それ以上)が被選択波長領域画像568をレンズ96を経て撮像装置562に至る第1の方向に向け、前記撮像ビームスプリッタの第2のサブセット(すなわち1又はそれ以上)が被選択波長画像570をレンズ98を経て撮像装置564に至る第2の方向に向け、また被選択波長領域画像572の第3のサブセット(すなわち1又はそれ以上)が直接にレンズ102を通過して撮像装置566に至るように、交互に配置されている。図示の実施例では、前記第2の方向は、前記第1の方向から実質的に90°離れており、所望であれば45°又は180°のような他の角度も用いることができる。図23における構成及びここに示す他の構成は、コンパクトで軽量なカメラを組み立てるのに適切なバランスのとれた、コンパクトな機械的レイアウトをもたらす。
【0257】
図24では、3つの撮像ビームスプリッタ554,556,558が、被選択波長領域画像568,570,572を少なくとも3つの放射方向、及びこの実施例ではカメラであり、選択された異なる波長画像568,570,572を受け取るように光ビーム504の周りに放射状に配置された異なる撮像装置へ向けるように配置されている。図24では、撮像ビームスプリッタ554,556,558が、非選択波長領域画像を提供するため、全てのしかし好ましくは1つの選択された異なる波長領域を選択する。前記画像分離器は、さらに、前記非選択波長領域画像を直接に受け取るため、光ビーム504内であって撮像ビームスプリッタ554,556,558の後方に配置されている。このため、図4、723及び24に例示したように、ある実施例では、本発明は、原画像のことなる波長領域に対応する複数の画像を提供することができる。前記撮像システムは、光ビーム路と、該光ビーム路内に配置された複数の撮像ビームスプリッタ554,556,558又は他の所望の画像分離器を含む。撮像ビームスプリッタ554,556,558のそれぞれは、前記原画像の異なる非選択波長領域を選び出し、一致する異なる非選択波長領域画像を提供し、また前記異なる非選択波長領域画像を異なる撮像装置に向けることを提供する。前記撮像システムは、典型的には、さらに、前記異なる撮像装置からの前記異なる非選択波長領域画像の少なくとも1つを表示するために操作可能に接続された少なくとも1つのディスプレイ装置546を含む。前記異なる撮像装置は、例えば、単一の撮像検出器の異なる領域を含むことができ、又は前記異なる撮像装置が物理的に分離した撮像検出器を含むことができる。
【0258】
図26−27bは他の代わりの構成を示す。ミラー590は、スペクトル測定サンプリングのための光ファイバ588又は他の適当な光学ライトガイドを保持する予め開けられた穴を有する全反射ミラーからなるものとすることができる。光ファイバ288及びミラー590は、また、図27a−27bに示されている。前記光ファイバにより集められた光は、分光計又はスペクトル解析のための他の適当なスペクトル装置に送られる。ミラー590は、レンズ540の後に前記像平面の近くに配置され、また前記ファイバの平坦な切断端は、スペクトル解析のための画像の定められた領域からの光信号を集めるために常に焦点が合っている。ミラー592は、前記光ビームを曲げてその原方向に戻し、次いでレンズ542を通して画像収集のためのカメラに至らせるためにミラー590と平行に配置されている。代わりに、ミラー592を省略することができ、また前記カメラは原光路から90°の角度(又は任意の他の所望の方向に)に配置される。
【0259】
前記整列した黒斑なしのまた所望の場合にはスペクトル測定なしで画像を得るため、ミラー590が、光ファイバ588の端部が前記光ビームの外側におかれるように、前記ミラーの表面の平面に沿って移動される。代わりに、2つのミラーが互いに連結され、また前記ファイバの端部が前記光ビームの外側にあるように前記ミラーの表面の平面内又はこれと平行でない方向、例えば前記光路に沿って又は前記光路に直角に互いに移動される。これらの双方の場合、前記ミラー又は全部のミラーを移動させるときに一定の光路長さが維持される。
【0260】
図26に示す前記2つのミラーは、図示の目的のみのため、到来する光ビームに対して45°の角度に置かれている。これらは任意の他の所望の角度とすることができる。光ファイバ588の端面が次に前記ミラーの表面と平行に近くに維持されるため、90°に近い角度が好ましい。
【0261】
図20、21、22及び26におけるような本発明のある実施例では、前記ミラーの表面上のいかなるほこり又は汚れも、ビーム分離器506又はミラー590が前記像平面に配置されている場合には、最終的なカメラの画像にはっきりと際立つ。これは、少なくとも3つの方法で解決することができる。1つの方法は、図27bに示すように、好ましくは全光路の長さを同じに維持する間に、前記ミラーの僅かに外側に光ファイバ588の端部を配置する方法である。これは、ミラー590を前記像平面の僅かに外側に維持する間に、焦点を合わされた像平面に光ファイバ588の端部を維持すること可能にし、これは、ほこり又は汚れが前記カメラに撮像されないことを意味する。
【0262】
第2の試みは、ミラー590,592を結合し、これらを互いに前記焦点が合わされた像平面から移動させる(光ファイバ588の端部と共に。これは、ミラー590と同一平面上にある)ことである。しかし、この試みでは、スペクトル測定のときにミラー590を前記像平面に移動させることが好ましく、これは、また、いかなるほこりまたは汚れも前記カメラの画像に見られるように再配置される。
【0263】
第3の試みは、ミラー50又はビーム分離器506の上にカバーガラスをおくことである。この方法では、ほこり又は汚れが前記像平面にあるミラー590又はビーム分離器506上にではなく、前記ガラスカバーの表面上に落下する。このため、前記像平面にない前記カバーガラス上のほこり又は汚れは前記カメラに撮像されない。
【0264】
本発明は、また、ここに開示した装置を製造し又は使用する方法を提供する。ある実施例では、このような方法は、光ビームを検出することを含む。この方法は、ビーム分離器を通して(使用して)光ビームの僅かな部分を光ビームの残りから分離し、分離された光ビームと残りの光ビームとを提供することを含む。前記分離された光ビームはビーム分離器に光学的に接続された分光装置に伝えられ、残りの光ビームはこれを受け取りかつここから画像を提供するように光学的に接続された撮像装置に伝えられる。この方法は、さらに、分光装置からのスペクトル及び撮像装置からの画像をディスプレイ装置上に表示することを含む。
【0265】
前記方法のある実施例では、分光装置は光ビーム外に配置され、また前記ビーム分離器は光ビームの小さい領域を遮り、このような小さい領域を分光装置に向け変えるように寸法が設定されかつ配置された光再指向装置を含む(あるいは反対に前記光再指向装置は光を撮像装置に向ける)。前記方法は、さらに、光再指向装置を通して、光ビーム内の光線再指向装置の位置に対応する残りの光ビーム内の小さい残像を与えることを含む。前記小さい残像は、実質的に光ビームの中央に与えられる。前記方法は、残りの光ビームからの光線再指向装置上への実質的に全ての光入射を光線再指向装置を通して分離することを含む。
【0266】
前記ビーム分離器は、光ビームの大部分を遮るビームスプリッタからなるものとすることができ、前記ビームスプリッタは残りの光ビーム内に多くの残像を残さず、また、前記方法は、さらに、前記ビームスプリッタを通して光ビーム中の電磁放射線の実質的に50%を超える80%、90%又は99%以上を撮像装置へ透過させ、またビームスプリッタを通して光ビーム中の実質的に50%を下回る電放射線を分光器へ反射させることを含む。
【0267】
前記方法は、ピクセレートされた検出器又はピクセレートされていない検出器で実行することができる。ビーム分離器は実質的に撮像装置と同じ像平面に、実質的に撮像装置の前方及び該撮像装置に接触させないか隣接させて、又は実質的に撮像装置の後方及び撮像装置に接触させないか隣接させて配置することができる。前記方法は、さらに、ビーム分離器の前方の第1の集束エレメントとビーム分離器及び撮像装置間の第2の集束エレメントとを通して、前記第1の集束エレメントが実質的にビーム分離器で第1の共役像平面を提供しかつ第2の集束エレメントが実質的に撮像装置で第2の共役像平面を提供するように光ビームを通過させることを含む。
【0268】
前記方法は、撮像装置からの画像及び単一ディスプレイ装置上の分光装置からのスペクトルの双方を同時に又は連続的に表示することを含む。前記方法は、また、光ビームを画像分離器に通し、光ビームの等しい複数の異なる波長領域に対応する複数の波長領域画像に前記画像を分離すること、次いでディスプレイ装置上に前記波長領域画像を表示することを含む。この分離は、異なる被選択波長領域を選び出し、選択された異なる波長領域を異なる撮像装置に向ける複数の撮像ビームスプリッタに光ビームを通すことを含む。前記複数の異なる撮像ビームスプリッタは、光ビームに沿って所望の通りに直線的に、放射状に又は別の状態に配置することができる。前記方法は、さらに、全てのしかし望ましくは1つの選択されない異なる波長領域を選び出し、次いで前記望ましい1つの選択されない異なる波長領域を撮像装置に伝えることを含む。
【0269】
前記異なる波長領域は、青色光、可視光、近赤外光及び赤外光又は他の所望の波長範囲に対して少なくとも2つの紫外線を含むように選択されうる。
【0270】
前記方法は、例えば撮像装置及び/又は分光装置に操作可能に接続され、撮像装置及び分光装置を制御するコンピュータ実行プログラミングを含む制御機を通して実施することができる。前記方法は、また、例えば内視鏡、顕微鏡、望遠鏡またはカメラを通して実施することができる。
【0271】
本発明は、また、原画像の異なる波長領域から得られた複数の画像を提供する。ある実施例では、前記方法は、前記光ビーム路内に配置された複数の撮像ビームスプリッタを含む撮像分離器の光ビーム路に沿って原画像を運ぶ光ビームを通し、次いで選択された波長領域画像を提供するために前記撮像ビームスプリッタを通して前記原画像の異なる被選択波長領域を選択することを含む。前記選択された波長領域画像は、次に、異なる撮像装置に向けられる。前記方法は、さらに、前記選択された波長領域の1又はそれ以上を他の画像又は情報(スペクトルのような)をディスプレイ装置上に選択的に表示することを含む。
【0272】
撮像ビームスプリッタ及び対応する検出器は、所望であれば、前記光ビーム路に沿って直線的に又は放射状に配置することができる。例えば、前記撮像ビームスプリッタは、前記撮像ビームスプリッタの第1のサブセットが第1のセットの選択された異なる波長領域を第1の方向に向け、また第2のサブセットの撮像ビームスプリッタが第2のセットの選択された異なる波長領域を前記第1の方向から実質的に180°離すことができる第2の方向に向けるように、交互に配置することができる。前記非選択波長領域画像を直接受け取るために前記光ビーム内及び前記撮像ビームスプリッタの後方に撮像装置を配置することができる。前記異なる波長領域は、ここのいずれかの箇所で説明したように、任意の様々な所望の波長を含むものであってよい。
【0273】
本発明は、ここにミーンズ・プラス・ファンクション及びステップ・プラス・ファンクションによる様々なエレメント、システム、方法等を含む。
【0274】
図2に戻ってこれを参照すると、ビーム指向装置52が運動機構61によって移動可能であるように記載したが、これに代えて、ビーム指向装置52がハウジング62内に永久的に固定されるようにすることができる。さらなる変更として、ビーム指向装置52は本発明の少なくともいくつかの態様又は実施例に本質的ではなく、またいくつかの実施例では、前記ビーム指向装置は所望であれば省略することができる。いずれの場合にあっても、CCDカメラ50は、は、所望により、前記カメラの重量を軽減しやすい、任意の稼働部分なしで構成することができる。あるいは、所望により、運動機構61を設けるより、前記ビーム指向装置は、第1の測定装置44のユーザにより、電磁放射線ビーム58の光路内又は光路外に手動で移動させることができる。
【0275】
分光測定に関して、単にモニタ45上に蛍光及び反射率スペクトルを表示することに加えて、プロセッサ回路41が、前記スペクトルを分析し、前記スペクトルに応答して特定の病気のタイプを提案するか又は診断するアルゴリズムがプログラムされているようにすることができる。このようなアルゴリズムは、好ましくは、統計的に多数の患者のスペクトルの検討に基づく。
【0276】
図9、18及び19を参照すると、図9に示す装置130は、蛍光及び反射率撮像のための照明用放射線を生じさせるための装置の単なる1例である。代わりに、他のタイプの装置130又は他のタイプの光学システム132を用いることができる。
【0277】
例えば、代わりの1の実施例では、変更された再指向装置188は、光ファイバ束ではなく液体ライトガイドを含む。
【0278】
図8を参照すると、さらなる代わりの実施例において、変更された再指向装置300はレンズ302と第1の反射器304とを含み、変更された第2の光学システム301は、図9に関して前述したようなフィルタ装置162と、第2の反射器306とを含む。ビームスプリッタ184から受け取られた入力放射線はレンズ302により平行にされかつ第1の反射器304に向けられ、そこから反射され、フィルタ装置162を通して第2の反射器306に至り、該反射器は任意のこのような放射線をダイクロイック反射装置174に反射する。
【0279】
同様に、図9、18及び19を参照すると、蛍光及び反射率撮像のための照明用放射線を生じさせるための代わりの装置が図19に全体に符号310で示されている。装置310は、図9に示す第1の光学サブシステム134と同様であるがレンズ190を省略した代わりの第1の光学サブシステム312を含む。この装置は、さらに、図18に符号300で示すものと同様であるがレンズ302を除く変更された再指向装置を含む。この装置310は、また、図18に示す変更された第2の光学サブシステム301を含む。電磁放射線源148の楕円形状の反射器182が放物線状の反射器316と置き換えられており、その焦点にランプ180が配置されている。したがって、電磁放射線源148は、電磁放射線の平行光線をビームスプリッタ184に向け、前記したように前記第1及び第2の光学サブシステムに入力放射線を提供する。
【0280】
同様に、図19及び25を参照すると、蛍光及び反射率撮像のための照明用放射線を生じさせるための代わりの装置が、図25に全体に符号410で示されている。装置410は、第1の光学サブシステム312と、第2の光学サブシステム301と、ビームコンバイナ174と、ビーム再指向304とを含み、これらは全て図19に示すものと同一である。電磁放射線源148の放物線状の反射器316は球形状の反射器416と置き換えられており、その焦点にランプ180が配置されている。反射器416により反射された光線及びランプ180から直接に来る光線の双方は、集光レンズ409により集められかつ平行にされ、次いでビームスプリッタ484に向けられる。ビームスプリッタ484はホットミラーからなり、可視及び青色光を前記第1の光学サブシステムに透過させかつ近赤外光を前記第2の光学サブシステムに反射させる。
【0281】
さらなる実施例として、図9を参照すると、ビームスプリッタ184は代わりにコールドミラーではなくホットミラーを含む。前記ホットミラーは、近赤外線を反射するが、可視光は透過させる。このようなケースでは、前記第1及び第2の光学サブシステムの機能が交換される。したがって、ビームスプリッタ184は前記第1の光学サブシステムによる受け取りのために近赤外線成分を反射する。反射装置188は、前記第2の光学サブシステムによる受け取りのために前記励起及び白色光照明成分を再指向させる。前記第1の光学サブシステムのフィルタ装置150は、前記第2の光学サブシステムのフィルタ装置162と置き換えられ、また、逆も同様である。これらの及び他のこのような変更は、この明細書を検討することによりこの分野の当業者には明らかであろうし、また、添付の請求の範囲に従って構成されるように本発明の範囲から逸脱しては考慮されない。
【0282】
加えて、図2、4、5及び12を参照すると、蛍光画像を正規化して幾何学的要因を保証する代わりの方法が用いられる。例えば、ブロック212が、マルチカラーディスプレイ装置の第1のカラーチャンネル入力、又はより詳細にはRGBカラーフレームグラバー47の緑色チャンネル入力215に提供される500および600nm間の波長で前記組織の蛍光に応答して第2の検出器87により発生される蛍光信号を生じさせるように変更されうる。同様に、ブロック212は、前記RGBカラーフレームグラバーの赤色チャンネル入力217に提供されるように第1の近赤外線波長範囲116(750乃至800nm)において前記組織の近赤外線反射率に応答して第3の検出器88により発生される第1の近赤外線反射率信号を生じさせ、また前記RGBカラーフレームグラバー47の青色チャンネル入力219に提供されるように第2の近赤外線波長範囲118(800乃至900nm)において第4の検出器89により発生される第2の近赤外線反射率信号を生じさせるように変更されている。結果として生じる3チャンネルの正規化された蛍光画像は、ブロック212に関して説明した2チャンネル画像よりも明るい。このような3チャンネルの正規化された蛍光画像において、正常な組織は緑色の背景として現れやすく、一方、異常な又は病的な組織は明るいマゼンタ色として現れる。代わりに、前記第3及び第4の検出器の信号は青色及び赤色チャンネル入力と交換することができる。
【0283】
さらなる変更として、ブロック212は、プロセッサ回路41に、前記緑色蛍光画像を数値上の正規化をするように、指示する。より詳細には、図12に戻ってこれを参照すると、本発明の変更例において、ブロック212は、前記プロセッサ回路に、前記組織の各点について、前記点に対応する比率信号の強度が第1の近赤外線波長帯における前記点の反射率の強度対前記点の蛍光の強度の比率に比例するように比率信号を生じさせるように、指示する。変更されたブロック212は、さらに、前記プロセッサ回路に、前記組織の蛍光画像を生じさせるためにディスプレイ装置の入力に与えられる前記比率信号を生じさせるように、指示する。例えば、これは、前記組織の各点に対応する前記画像における各ピクセルの輝度が前記点により反射された近赤外線成分218に応答して発生される第4の検出器89(又は、代わりに第3の検出器)の信号対前記点により放射された蛍光成分214の信号の比率に比例する正規化されたモノクロ画像を生じさせることにより達成される。この比率が正常な組織についてよりも病的又は異常な組織についての方が高いであろうこと、及び病的な組織が正常な組織を表示する暗い背景上に輝点として現れるであろうことは認識されよう。
【0284】
あるいは、図12に戻ってこれを参照すると、本発明のさらなる変更例において、ブロック212は、前記プロセッサ回路に対し、この実施例では、前記組織の青色画像を生じさせるためのRGBカラーフレームグラバー47の青色チャンネル入力219であるマルチカラーディスプレイ装置の第1のカラーチャンネル入力に提供される前記比率信号を生じさせ、また同時に、前記組織の蛍光に応答して第2の検出器87により発生される蛍光信号が緑色チャンネル入力215に与えられ前記組織の緑色が像を生じさせ、また第4の検出器89(又は、代わりに第3の検出器88)により発生された前記近赤外線反射率信号が赤色チャンネル入力217に与えられモニタ51上に前記組織の赤色画像を生じさせるように、指示するように変更される。結果として得られる正規化された蛍光画像において、正常な組織は、より明るいシアン緑色の背景として現れ、また異常又は病的な組織は明るいマゼンタ色として現れる。
【0285】
同様に、図2、4、5及び12を参照すると、前記組織の正規化された近赤外線反射率画像を生じさせる他の方法が、その酸素投与状態を表示して、代わりに用いられる。例えば、変更されたブロック213は、前記プロセッサ回路に対して、前記組織の各点について前記点に対応する第1の信号の強度対前記点に対応する第2の信号の強度の比率に比例する明るさで照明されるようにマルチピクセルディプレイ装置の対応ピクセルをせるように、指示する。より詳細には、前記組織の各点に対応する前記画像の個々のピクセルの明るさは、第2の近赤外線波長帯118における前記組織の近赤外線反射率に応答して第4の検出器89により発生される信号の強度対第1の近赤外線波長帯116における前記組織の近赤外線反射率に応答して第3の検出器88により発生された信号の強度の比率に比例する。それは、この比率が正常な組織についてよりも病的又は異常な組織についての方が高いであろうこと、したがって、また、結果として生じたデジタル画像において、病的な組織は、正常組織の暗い背景に対して明るい領域として現れるであろうことは認識されよう。
【0286】
さらなる例として、変更されたブロック213は、前記プロセッサ回路に対して、前記した方法において第3の信号又は比率信号を生じさせ、また前記第3の信号が前記ディスプレイ装置の第3のカラーチャンネル入力に与えられるようにすることを、指示する。より詳細には、さらなる変更されたブロック213が、前記プロセッサ回路に対して、第2の近赤外線波長帯118における近赤外線反射率対第1の近赤外線波長帯116におけるそれの比率に応答して発生された前記したような信号が前記青色チャンネル入力に与えられて前記組織の青色画像を生じさせるようにさせ、また同時に、モニタ51に、第3の検出器88により発生された前記信号が前記組織の緑色画像を生じるように使用され、また第4の検出器89により発生された前記信号が前記組織の画像を生じさせるように使用されるように、指示する。結果として生じる正規化された赤外線反射率画像において、正常な組織はより明るいシアン緑色の背景として現れやすく、また異常又は病的な組織は明るいマゼンタ色として現れる。
【0287】
また、図2及び図12に戻ってこれらを参照すると、ブロック212,213は、正規化された蛍光画像234と正規化された赤外線反射率画像235とをモニタ51に交替に表示するように説明してきたが、代わりに、これらの画像は、画像234,235を生じさせるために必要な物理的測定が前記した主要な実施例において動に行われるように、同時に表示されるようにすることができる。このため、代わりの実施例では、追加のRGBカラーフレームグラバー(図示せず)と共に、追加のモニタ(図示せず)が準備される。変更されたブロック212が実行され、ブロック212に関して先に説明したように、正規化された蛍光画像234がモニタ51上に表示され、同時に、ブロック213に関して前述したように、カメラ制御装置49及び追加のRGBカラーフレームグラバーを制御して正規化された近赤外線反射率画像235が追加のモニターに表示されるように実行されように実行される。したがって、内視鏡59の操作者は、改善された診断能力のための、モニタ45上の蛍光/近赤外線反射率分光分布画像220と、モニタ51上の正規化された蛍光画像234と、前記追加モニタ上の正規化された近赤外線反射率画像235とを同時に見ることができる。
【0288】
さらに一般的には、本発明の特定の実施例はこの明細書を通して記載されまた説明されたが、このような実施例は、本発明の例証としてのみ考慮され、また添付の請求の範囲に従って解釈されるように、本発明の範囲を制限しないで考慮されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0289】
【図1】本発明の第1の実施例に従う、多数の測定装置での電磁放射線の同時測定を容易にする装置の概略図。
【図2】本発明の第2の実施例に従う、多数の測定装置での電磁放射線の同時測定を容易にする装置を含むシステムのブロック線図。
【図3】図2に示す装置のビーム指向装置の図。
【図4】放射線指向システムを有する、図2に示されたシステムの撮像装置の概略図。
【図5】近赤外(NIR)波長範囲における3つの主要な組織発色団(酸化ヘモグロビン、デオキシヘモグロビン及び水)の吸収スペクトルの概略図。
【図6】図4に示す撮像装置の4つの撮像チャンネルのスペクトル応答の概略図。
【図7】本発明の第3の実施例に従う、放射線指向システムを有する、図2に示すシステムの撮像装置の概略図。
【図8】図2に示すシステムの分光計の概略図。
【図9】本発明の第4の実施例に従う、蛍光及び反射率撮像のための照明放射線を生じさせる、図2に示す装置の概略図。
【図10】図9に示す装置によって生じた、蛍光/近赤外反射率撮像のための第1の分光分布図。
【図11】図9に示す装置によって生じた、白色光反射率撮像のための第2の分光分布図。
【図12】図2に示すシステムのプロセッサ回路により実行された測定ルーチンのフローチャート。
【図13】図10に示す第1の分光分布で照明されたときの、対象により反射され及び蛍光放射された放射線のグラフ。
【図14】図4に示す撮像装置が図13に示す放射線を受け取るとき(蛍光/近赤外反射率撮像モード)の図6に示す撮像チャンネルための検出スペクトル側面像のグラフ。
【図15】図10に示す第1の分光分布で照明されたときの、正常な組織及び異常な組織により発生した蛍光分光分布と、正常な組織及び異常な組織により生じた近赤外反射率分光分布のグラフ。
【図16】図11に示す第2の分光分布で照明されたときの、対象により反射された放射線のグラフ。
【図17】図4に示す撮像装置が図16に示す放射線を受け取るとき(白色光反射率撮像モード)の図6に示す撮像チャンネルための検出スペクトル側面像のグラフ。
【図18】本発明の第5の実施例に従う、蛍光及び反射率撮像のための照明放射線を生じさせる装置の概略図。
【図19】本発明の第6の実施例に従う、蛍光及び反射率撮像のための照明放射線を生じさせる装置の概略図。
【図20】ビーム分離器が撮像装置と共に共役像平面に配置されている、多数の測定装置で電磁放射線の同時測定を容易にするための装置の概略図。
【図21】ビーム分離器が撮像装置の直前に配置されている、多数の測定装置で電磁放射線の同時測定を容易にするための装置の概略図。
【図22】ビーム分離器が撮像装置の内部に配置されている、多数の測定装置で電磁放射線の同時測定を容易にするための装置の概略図。
【図23】ビーム分離器が交互に配置されている撮像装置の概略図。
【図24】ビーム分離器が光ビームに周りに放射関係に配置されかつ撮像装置がビーム分離器の直後に配置されている撮像装置の概略図。
【図25】本発明の他の実施例に従う、蛍光及び反射率撮像のための照明放射線を生じさせる装置の概略図。
【図26】図2に示すシステムの他の実施例の概略図。
【図27】図26で明らかにされたシステムの一部の概略図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織の蛍光画像を生じさせる方法であって、
a)前記組織の各点について、前記点に対応する比率信号の強度が、第1の近赤外線波長帯における前記点の反射率の強度対前記点の蛍光の強度の比率に比例するような前記比率信号を発生させること、及び
b)前記比率信号が前記組織の前記蛍光画像を生じさせるためにディスプレイ装置の入力に提供されるようにすることを含む、方法。
【請求項2】
前記比率信号が前記入力に提供されるようにすることは、前記比率信号がマルチカラーディスプレイ装置の第1のカラーチャンネル入力に提供されるようにすることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項3】
さらに、前記蛍光に応答して発生された蛍光信号が前記ディスプレイ装置の第2のカラーチャンネル入力に提供されるようにすることを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項4】
さらに、前記第1の近赤外線波長帯において前記反射率に応答して発生された近赤外線反射率信号が前記ディスプレイ装置の第3のカラーチャンネル入力に提供されるようにすることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記信号が前記入力に提供されるようにすることは、前記比率信号、前記蛍光信号及び前記近赤外線反射率信号がそれぞれ前記ディスプレイ装置の青色チャンネル入力、緑色チャンネル入力及び赤色チャンネル入力に提供されるようにすることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
組織の蛍光画像を生じさせるための装置であって、
a)前記組織の各点について、前記点に対応する比率信号の強度が、第1の近赤外線波長帯における前記点の反射率の強度対前記点の蛍光の強度の比率に比例するような前記比率信号を発生させ、また
b)前記比率信号が前記組織の前記蛍光画像を生じさせるためにディスプレイ装置の入力に提供されるようにするように構成されたプロセッサ回路を含む、装置。
【請求項7】
前記プロセッサ回路は、前記比率信号がマルチカラーディスプレイ装置の第1のカラーチャンネル入力に提供されるようにするように構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記プロセッサ回路は、前記蛍光に応答して発生された蛍光信号が前記ディスプレイ装置の第2のカラーチャンネル入力に提供されるようにするように構成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記プロセッサ回路は、前記第1の近赤外線波長帯における前記蛍光に応答して発生された近赤外線信号が前記ディスプレイ装置の第3のカラーチャンネル入力に提供されるようにするように構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記プロセッサ回路は、前記比率信号、前記蛍光信号及び前記近赤外線反射率信号がそれぞれ前記ディスプレイ装置の青色チャンネル入力、緑色チャンネル入力及び赤色チャンネル入力に提供されるようにするように構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
a)組織の各点について、前記点に対応する比率信号の強度が、第1の近赤外線波長帯における前記点の反射率の強度対前記点の蛍光の強度の比率に比例するような前記比率信号を発生させ、また
b)前記比率信号が前記組織の前記蛍光画像を生じさせるためにディスプレイ装置の入力に提供されるようにするようにすることにより、前記対象の蛍光画像を生じさせるためにプロセッサ回路に指示をするためのコードを提供するためのコンピュータ読み取り可能の媒体。
【請求項12】
搬送波に取り入れられた信号であって、
a)組織の各点について、前記点に対応する比率信号の強度が、第1の近赤外線波長帯における前記点の反射率の強度対前記点の蛍光の強度の比率に比例するような前記比率信号を発生させるようにプロセッサ回路に指示するための第1のコードセグメントと、
b)前記比率信号が前記組織の前記蛍光画像を生じさせるためにディスプレイ装置の入力に提供されるようにするように前記プロセッサ回路に指示するための第2のコードセグメントを含む、信号。
【請求項13】
組織の蛍光画像を生じさせる方法であって、
a)前記組織の蛍光に応答して発生される蛍光信号がマルチカラーディスプレイ装置の第1のカラーチャンネル入力に提供されるようにすること、
b)前記第1の赤外線波長帯において前記組織の反射率に応答して発生される第1の近赤外線反射率信号が前記ディスプレイ装置の第2のカラーチャンネル入力に提供されるようにすること、及び
c)第2の近赤外線波長帯において前記組織の反射率に応答して発生される第2の近赤外線反射率信号が前記ディスプレイ装置の第3のカラーチャンネル入力に提供されるようにすることを含む、方法。
【請求項14】
前記信号が前記入力に提供されるようにすることは、前記蛍光、第1の近赤外線反射率及び第2の近赤外線反射率信号がそれぞれ前記ディスプレイ装置の緑色チャンネル入力、赤色チャンネル入力及び青色チャンネル入力に提供されるようにすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
組織の蛍光画像を生じさせるための装置であって、
a)前記組織の蛍光に応答して発生される蛍光信号がマルチカラーディスプレイ装置の第1のカラーチャンネル入力に提供されるようにし、
b)前記第1の赤外線波長帯において前記組織の反射率に応答して発生される第1の近赤外線反射率信号が前記ディスプレイ装置の第2のカラーチャンネル入力に提供されるようにし、また
c)第2の近赤外線波長帯において前記組織の反射率に応答して発生される第2の近赤外線反射率信号が前記ディスプレイ装置の第3のカラーチャンネル入力に提供されるようにするように構成されたプロセッサ回路を含む、装置。
【請求項16】
a)前記組織の蛍光に応答して発生される蛍光信号がマルチカラーディスプレイ装置の第1のカラーチャンネル入力に提供されるようにし、
b)前記第1の赤外線波長帯において前記組織の反射率に応答して発生される第1の近赤外線反射率信号が前記ディスプレイ装置の第2のカラーチャンネル入力に提供されるようにし、また
c)第2の近赤外線波長帯において前記組織の反射率に応答して発生される第2の近赤外線反射率信号が前記ディスプレイ装置の第3のカラーチャンネル入力に提供されるようにすることにより、対象の蛍光画像を生じさせるためにプロセッサ回路に指示するためのコードを提供するためのコンピュータ読み取り可能の媒体。
【請求項17】
搬送波に取り入れられた信号であって、
a)組織の蛍光に応答して発生される蛍光信号がマルチカラーディスプレイ装置の第1のカラーチャンネル入力に提供されるようにすべくプロセッサ回路に指示するための第1のコードセグメントと、
b)前記第1の赤外線波長帯において前記組織の反射率に応答して発生される第1の近赤外線反射率信号が前記ディスプレイ装置の第2のカラーチャンネル入力に提供されるようにすべく前記プロセッサ回路に指示するための第2のコードセグメントと、
c)第2の近赤外線波長帯において前記組織の反射率に応答して発生される第2の近赤外線反射率信号が前記ディスプレイ装置の第3のカラーチャンネル入力に提供されるようにすべく前記プロセッサ回路に指示するための第3のコードセグメントとを含む、信号。
【請求項1】
組織の蛍光画像を生じさせる方法であって、
a)前記組織の各点について、前記点に対応する比率信号の強度が、第1の近赤外線波長帯における前記点の反射率の強度対前記点の蛍光の強度の比率に比例するような前記比率信号を発生させること、及び
b)前記比率信号が前記組織の前記蛍光画像を生じさせるためにディスプレイ装置の入力に提供されるようにすることを含む、方法。
【請求項2】
前記比率信号が前記入力に提供されるようにすることは、前記比率信号がマルチカラーディスプレイ装置の第1のカラーチャンネル入力に提供されるようにすることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項3】
さらに、前記蛍光に応答して発生された蛍光信号が前記ディスプレイ装置の第2のカラーチャンネル入力に提供されるようにすることを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項4】
さらに、前記第1の近赤外線波長帯において前記反射率に応答して発生された近赤外線反射率信号が前記ディスプレイ装置の第3のカラーチャンネル入力に提供されるようにすることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記信号が前記入力に提供されるようにすることは、前記比率信号、前記蛍光信号及び前記近赤外線反射率信号がそれぞれ前記ディスプレイ装置の青色チャンネル入力、緑色チャンネル入力及び赤色チャンネル入力に提供されるようにすることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
組織の蛍光画像を生じさせるための装置であって、
a)前記組織の各点について、前記点に対応する比率信号の強度が、第1の近赤外線波長帯における前記点の反射率の強度対前記点の蛍光の強度の比率に比例するような前記比率信号を発生させ、また
b)前記比率信号が前記組織の前記蛍光画像を生じさせるためにディスプレイ装置の入力に提供されるようにするように構成されたプロセッサ回路を含む、装置。
【請求項7】
前記プロセッサ回路は、前記比率信号がマルチカラーディスプレイ装置の第1のカラーチャンネル入力に提供されるようにするように構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記プロセッサ回路は、前記蛍光に応答して発生された蛍光信号が前記ディスプレイ装置の第2のカラーチャンネル入力に提供されるようにするように構成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記プロセッサ回路は、前記第1の近赤外線波長帯における前記蛍光に応答して発生された近赤外線信号が前記ディスプレイ装置の第3のカラーチャンネル入力に提供されるようにするように構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記プロセッサ回路は、前記比率信号、前記蛍光信号及び前記近赤外線反射率信号がそれぞれ前記ディスプレイ装置の青色チャンネル入力、緑色チャンネル入力及び赤色チャンネル入力に提供されるようにするように構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
a)組織の各点について、前記点に対応する比率信号の強度が、第1の近赤外線波長帯における前記点の反射率の強度対前記点の蛍光の強度の比率に比例するような前記比率信号を発生させ、また
b)前記比率信号が前記組織の前記蛍光画像を生じさせるためにディスプレイ装置の入力に提供されるようにするようにすることにより、前記対象の蛍光画像を生じさせるためにプロセッサ回路に指示をするためのコードを提供するためのコンピュータ読み取り可能の媒体。
【請求項12】
搬送波に取り入れられた信号であって、
a)組織の各点について、前記点に対応する比率信号の強度が、第1の近赤外線波長帯における前記点の反射率の強度対前記点の蛍光の強度の比率に比例するような前記比率信号を発生させるようにプロセッサ回路に指示するための第1のコードセグメントと、
b)前記比率信号が前記組織の前記蛍光画像を生じさせるためにディスプレイ装置の入力に提供されるようにするように前記プロセッサ回路に指示するための第2のコードセグメントを含む、信号。
【請求項13】
組織の蛍光画像を生じさせる方法であって、
a)前記組織の蛍光に応答して発生される蛍光信号がマルチカラーディスプレイ装置の第1のカラーチャンネル入力に提供されるようにすること、
b)前記第1の赤外線波長帯において前記組織の反射率に応答して発生される第1の近赤外線反射率信号が前記ディスプレイ装置の第2のカラーチャンネル入力に提供されるようにすること、及び
c)第2の近赤外線波長帯において前記組織の反射率に応答して発生される第2の近赤外線反射率信号が前記ディスプレイ装置の第3のカラーチャンネル入力に提供されるようにすることを含む、方法。
【請求項14】
前記信号が前記入力に提供されるようにすることは、前記蛍光、第1の近赤外線反射率及び第2の近赤外線反射率信号がそれぞれ前記ディスプレイ装置の緑色チャンネル入力、赤色チャンネル入力及び青色チャンネル入力に提供されるようにすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
組織の蛍光画像を生じさせるための装置であって、
a)前記組織の蛍光に応答して発生される蛍光信号がマルチカラーディスプレイ装置の第1のカラーチャンネル入力に提供されるようにし、
b)前記第1の赤外線波長帯において前記組織の反射率に応答して発生される第1の近赤外線反射率信号が前記ディスプレイ装置の第2のカラーチャンネル入力に提供されるようにし、また
c)第2の近赤外線波長帯において前記組織の反射率に応答して発生される第2の近赤外線反射率信号が前記ディスプレイ装置の第3のカラーチャンネル入力に提供されるようにするように構成されたプロセッサ回路を含む、装置。
【請求項16】
a)前記組織の蛍光に応答して発生される蛍光信号がマルチカラーディスプレイ装置の第1のカラーチャンネル入力に提供されるようにし、
b)前記第1の赤外線波長帯において前記組織の反射率に応答して発生される第1の近赤外線反射率信号が前記ディスプレイ装置の第2のカラーチャンネル入力に提供されるようにし、また
c)第2の近赤外線波長帯において前記組織の反射率に応答して発生される第2の近赤外線反射率信号が前記ディスプレイ装置の第3のカラーチャンネル入力に提供されるようにすることにより、対象の蛍光画像を生じさせるためにプロセッサ回路に指示するためのコードを提供するためのコンピュータ読み取り可能の媒体。
【請求項17】
搬送波に取り入れられた信号であって、
a)組織の蛍光に応答して発生される蛍光信号がマルチカラーディスプレイ装置の第1のカラーチャンネル入力に提供されるようにすべくプロセッサ回路に指示するための第1のコードセグメントと、
b)前記第1の赤外線波長帯において前記組織の反射率に応答して発生される第1の近赤外線反射率信号が前記ディスプレイ装置の第2のカラーチャンネル入力に提供されるようにすべく前記プロセッサ回路に指示するための第2のコードセグメントと、
c)第2の近赤外線波長帯において前記組織の反射率に応答して発生される第2の近赤外線反射率信号が前記ディスプレイ装置の第3のカラーチャンネル入力に提供されるようにすべく前記プロセッサ回路に指示するための第3のコードセグメントとを含む、信号。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
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【図8】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
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【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2008−261885(P2008−261885A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−199141(P2008−199141)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【分割の表示】特願2002−551368(P2002−551368)の分割
【原出願日】平成13年12月18日(2001.12.18)
【出願人】(508223804)パーセプトロニクス メディカル インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【分割の表示】特願2002−551368(P2002−551368)の分割
【原出願日】平成13年12月18日(2001.12.18)
【出願人】(508223804)パーセプトロニクス メディカル インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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