説明

蛍光顕微鏡装置及び焦点検出装置

【課題】本発明は、蛍光試薬の種類に依らずに高精度な焦点検出を行うことを目的とする。
【解決手段】本発明の蛍光顕微鏡装置は、対物レンズ(12)を介して蛍光試料(0)へ励起光を照射し、その蛍光試料で発生した蛍光を前記対物レンズを介して検出する観察用光学系(2)と、前記対物レンズを介して前記蛍光試料へ焦点検出用の光を照射し、その蛍光試料で反射した前記光を前記対物レンズを介して検出する焦点検出用光学系(3)と、前記焦点検出用光学系が照射し、かつ検出する光の波長である焦点検出波長を、互いに異なる少なくとも2種類の波長の間で切り換える第1切換手段(201)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対物レンズの焦点検出機能を備えた蛍光顕微鏡装置、及び焦点検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、生体顕微鏡に搭載されるスリット投影式の焦点検出装置が開示されている。スリット投影式の焦点検出装置は、特許文献1の図1に示すとおり、照明されたスリット(特許文献1の符号22)からの射出光を対物レンズ(特許文献1の符号12)の瞳の一部のみへ投光する。このとき標本(特許文献1の符号18)上にはスリット像が形成され、標本上で反射した光は対物レンズの瞳の他の一部を介してCCD(特許文献1の符号30)上にスリット像を形成する。この状態で対物レンズのデフォーカス量(対物レンズの焦点面と標本表面との位置関係)が変化すると、スリット像の形成位置がCCD上で移動する。よって、スリット投影式の焦点検出装置は、そのCCDの出力信号に応じてデフォーカス信号を生成する。
【0003】
このように、対物レンズを介して焦点検出用の光(AF光)を標本へ照射する焦点検出装置は、顕微鏡の中で観察像を生成するための光学系(観察用光学系)への影響を防ぐために、AF光の波長を観察光の波長域(可視光域)から外れた波長(例えば近赤外波長)に設定している。
【特許文献1】特開2004−70276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この焦点検出装置を使用して蛍光観察を行った場合、標本を染色した蛍光試薬の種類に依っては焦点検出精度が低下する可能性のあることが判明した。
【0005】
そこで本発明は、蛍光試薬の種類に依らずに高精度な焦点検出を行うことのできる蛍光顕微鏡装置、及びその蛍光顕微鏡装置に好適な焦点検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の蛍光顕微鏡装置は、対物レンズを介して蛍光試料へ励起光を照射し、その蛍光試料で発生した蛍光を前記対物レンズを介して検出する観察用光学系と、前記対物レンズを介して前記蛍光試料へ焦点検出用の光を照射し、その蛍光試料で反射した前記光を前記対物レンズを介して検出する焦点検出用光学系と、前記焦点検出用光学系が照射し、かつ検出する光の波長である焦点検出波長を、互いに異なる少なくとも2種類の波長の間で切り換える第1切換手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
なお、前記観察用光学系の光路と前記焦点検出用光学系の光路との交差箇所には波長分離ミラーが配置され、前記第1切換手段は、前記交差箇所に配置される波長分離ミラーを、分離波長の互いに異なる少なくとも2種類の波長分離ミラーの間で交換してもよい。
【0008】
また、本発明の蛍光顕微鏡装置は、前記観察用光学系が照射する励起光の波長である励起波長と、前記観察用光学系が検出する蛍光の波長である観察波長との組み合わせを、互いに異なる少なくとも2種類の組み合わせの間で切り換える第2切換手段を更に備えてもよい。
【0009】
また、前記観察用光学系の励起光路と観察光路との交差箇所には波長分離ミラーが配置され、前記第2切換手段は、前記交差箇所に配置される波長分離ミラーを、分離波長の異なる少なくとも2種類の波長分離ミラーの間で交換してもよい。
【0010】
また、前記第1切換手段は、前記第2切換手段に連動してもよい。
【0011】
また、前記焦点検出波長の切り換え先である前記2種類の波長の一方は赤外域の波長であり、他方は可視光域の波長であってもよい。
【0012】
また、本発明の焦点検出装置は、対物レンズを介して試料へ焦点検出用の光を照射し、その試料で反射した前記光を前記対物レンズを介して検出する焦点検出用光学系と、前記焦点検出用光学系が照射し、かつ検出する光の波長である焦点検出波長を、互いに異なる少なくとも2種類の波長の間で切り換える切換手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
なお、前記試料の観察に供される観察用光学系の光路と前記焦点検出用光学系の光路との交差箇所には波長分離ミラーが配置され、前記切換手段は、前記交差箇所に配置される波長分離ミラーを、分離波長の互いに異なる少なくとも2種類の波長分離ミラーの間で交換してもよい。
【0014】
また、前記焦点検出波長の切り換え先である前記2種類の波長の一方は赤外域の波長であり、他方は可視光域の波長であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、蛍光試料に使用された蛍光試薬の種類に依らずに高精度な焦点検出を行うことのできる蛍光顕微鏡装置、及びその蛍光顕微鏡装置に好適な焦点検出装置が実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[実施形態]
以下、蛍光顕微鏡装置の実施形態を説明する。
【0017】
図1は、蛍光顕微鏡装置の構成図である。図1に示すとおり、蛍光顕微鏡装置には観察用光学系3と、焦点検出用光学系2と、第一対物レンズ12と、ステージ40と、入力部43と、駆動部108と、駆動部109と、駆動部202と、CPU41と、メモリ42とが備えられる。なお、第一対物レンズ12は、倍率の異なる複数種類の第一対物レンズの間で交換可能であってもよい。
【0018】
ステージ40上には被観察物0として、スライドガラス15及びカバーガラス14に挟まれた標本112が載置されている。標本112は、蛍光試薬A〜Dの何れかで染色された生体試料を含む液体である。蛍光試薬A〜Dの詳細は後述する。
【0019】
観察用光学系3には、観察用照明光学系102と、ホイール101と、観察用結像光学系38とが備えられる。
【0020】
ホイール101は、4つのホイール番地1〜4を有しており、ホイール番地1〜4には、ユーザの用意した互いに種類の異なる蛍光フィルタブロック104−1〜104−4が個別に装填される。これら蛍光フィルタブロック104−1〜104−4の詳細は後述する。
【0021】
ホイール101が駆動部108によって駆動されると、有効なホイール番地がホイール番地1〜4の間で切り替わり、これによって観察用光学系3の光路に挿入される蛍光フィルタブロックが蛍光フィルタブロック104−1〜104−4の間で切り替わる。
【0022】
蛍光フィルタブロック104−1〜104−4の各々には、図1に示すとおりバリアフィルタ(BAフィルタ)106、励起フィルタ(EXフィルタ)107、ダイクロイックミラー100が設けられている。
【0023】
焦点検出用光学系2には、焦点検出用照明光学系5と、スライダー201と、焦点検出用結像光学系7とが備えられる。
【0024】
スライダー201は、2つのスライダー番地1、2を有しており、それらのスライダー番地1、2には、蛍光顕微鏡装置の製造者が用意した互いに種類の異なるAFフィルタブロック105−1、105−2が個別に装着されている。これらAFフィルタブロック105−1、105−2の詳細は後述する。
【0025】
スライダー201が駆動部109によって駆動されると、有効なスライダー番地がスライダー番地1、2の間で切り替わり、これによって焦点検出用光学系2の光路に挿入されるAFフィルタブロックがAFフィルタブロック105−1、105−2の間で切り替わる。
【0026】
AFフィルタブロック105−1、105−2の各々には、図1に示すとおりXフィルタ110、Yフィルタ111、ダイクロイックミラー16が設けられている。
【0027】
なお、図1に示した入力部43は、ユーザが蛍光顕微鏡装置へ各種の指示を入力するときに操作されるマウスやキーボードなどである。入力される指示の1つには、ホイール101の駆動指示がある。ホイール101の駆動指示が入力される際には、駆動先ホイール番地も一緒に入力される。
【0028】
また、入力部43は、ユーザが蛍光顕微鏡装置へ各種のデータを入力するときにも使用される。入力されるデータの1つには、ホイール101の登録データ、すなわちホイール番地1〜4に装填された蛍光フィルタブロック104−1〜104−4の特性データがある。図1に示したCPU41は、この入力部43から入力された指示やデータに応じて蛍光顕微鏡装置の各部を制御する。
【0029】
図2は、蛍光顕微鏡装置の光学系部分を詳しく示す図である。図2において図1に示す要素と同じ要素には同じ符号が付されている。ここでは、ホイール番地1及びスライダー番地1がそれぞれ有効である(つまり蛍光フィルタブロック104−1及びAFフィルタブロック105−1がそれぞれ光路に挿入されている)場合の光路を説明する。
【0030】
図2に示すとおり観察用光学系3には、少なくとも蛍光試薬A〜Dの励起波長と同じ波長成分を含んだ光を射出する光源(例えば、水銀ランプ、白色レーザなど)102aと、コレクタレンズ102b、102cと、蛍光フィルタブロック104−1と、第二対物レンズ38aと、リレーレンズ38bと、少なくとも400nm〜850nmの波長域に感度を有する撮像素子38cとが配置される。このうち光源102aからコレクタレンズ102cまでの要素が観察用照明光学系102を構成し、第二対物レンズ38aから撮像素子38cまでの要素が観察用結像光学系38を構成する。
【0031】
一方、焦点検出用光学系2には、少なくとも後述する2種類のAF光と同じ波長成分を含んだ光を射出する光源(例えば、白色LEDなど)5aと、コレクタレンズ5bと、スリット板5cと、コレクタレンズ5dと、瞳制限マスク5eと、ハーフミラー5fと、AFフィルタブロック105−1と、第二対物レンズ7aと、リレー用レンズ7bと、瞳制限マスク7cと、リレー用レンズ7dと、シリンドリカルレンズ7eと、少なくとも後述する2種類のAF光の波長域に感度を有するラインセンサ7dとが配置される。なお、ラインセンサの代わりに撮像素子が使用されてもよい。このうち光源5aから瞳制限マスク5eまでの要素が焦点検出用照明光学系5を構成し、第二対物レンズ7aからラインセンサ7dまでの要素が焦点検出用結像光学系7を構成する。
【0032】
観察用光学系3の光源102aから射出した光は、コレクタレンズ102b、102cを介してEXフィルタ107へ入射する。入射した光の一部の波長成分がEXフィルタ107を透過し、励起光としてダイクロイックミラー100へ入射する。その励起光は、ダイクロイックミラー100で反射した後にYフィルタ111を透過し、ダイクロイックミラー16へ入射し、そのダイクロイックミラー16を透過する。その励起光は、第一対物レンズ12を介して被観察物0へ入射し、標本112に含まれる蛍光物質を励起する。標本112で発生した蛍光は、第一対物レンズ12を介してダイクロイックミラー16へ入射し、ダイクロイックミラー16を透過する。その蛍光は、Yフィルタ111を透過した後にダイクロイックミラー100へ入射し、ダイクロイックミラー100を透過する。その蛍光は、BAフィルタ106を透過し、第二対物レンズ38a、リレーレンズ38bを介して撮像素子18cへ入射し、撮像素子18c上に標本112の蛍光像を形成する。
【0033】
撮像素子18cの出力信号は、図1のCPU41経由で不図示のモニタへ出力される。ユーザは、そのモニタ上で標本112の蛍光像を観察することができる。
【0034】
一方、焦点検出用光学系2の光源5aから射出した光は、コレクタレンズ5b、スリット板5c、コレクタレンズ5d、瞳制限マスク5e、ハーフミラー5fを介してXフィルタ110へ入射する。入射した光の一部の波長成分がXフィルタ110を透過し、AF光としてダイクロイックミラー16へ入射する。そのAF光は、ダイクロイックミラー16で反射し、第一対物レンズ12を介して被観察物0へ入射し、カバーガラス14の表面にスリット像を形成する。カバーガラス14の表面で反射したAF光は、第一対物レンズ12を介してダイクロイックミラー16へ入射し、そのダイクロイックミラー16で反射する。そのAF光は、Xフィルタ110を透過し、ハーフミラー5f、第二対物レンズ7a、リレー用レンズ7b、瞳制限マスク7c、リレー用レンズ7d、シリンドリカルレンズ7eを介してラインセンサ7dへ入射し、ラインセンサ7d上にスリット板5cのスリット像を形成する。
【0035】
ここで、ラインセンサ7dの長手方向とスリット像の長手方向とは交差しており、ラインセンサ7dにおけるスリット像の位置は、第一対物レンズ12のデフォーカス量(対物レンズの焦点面と標本表面との位置関係)に応じてラインセンサ7dの長手方向へ移動する。
【0036】
ラインセンサ7dの出力信号は、不図示の信号処理回路によってデフォーカス信号に変換されてから図1のCPU41経由で駆動部202へ入力される。駆動部202は、そのデフォーカス信号に応じてステージ40を上下動させることにより、被観察物0に対する第一対物レンズ12の焦点調節を行う。
【0037】
図3は、ホイール番地1〜4に装填された蛍光フィルタブロック104−1〜104−4を詳しく説明する図である。蛍光フィルタブロック104−1は、蛍光試薬Aの使用時に使用される蛍光フィルタブロックであり、蛍光フィルタブロック104−2は、蛍光試薬Bの使用時に使用される蛍光フィルタブロックであり、蛍光フィルタブロック104−3は、蛍光試薬Cの使用時に使用される蛍光フィルタブロックであり、蛍光フィルタブロック104−4は、蛍光試薬Dの使用時に使用される蛍光フィルタブロックである。
【0038】
図4は蛍光試薬Aの特性を示す図であり、図5は蛍光試薬Bの特性を示す図であり、図6は蛍光試薬Cの特性を示す図であり、図7は蛍光試薬Dの特性を示す図である。各図中、符号SEで示すのは蛍光試薬の吸収スペクトルであり、符号SFで示すのは蛍光試薬の発光スペクトルである。
【0039】
図4(及び図3)に示すとおり、蛍光試薬Aの励起波長(吸収スペクトルSEのピーク)は489nm、蛍光波長(発光スペクトルSFのピーク)は508nmである。
【0040】
図5(及び図3)に示すとおり、蛍光試薬Bの励起波長(吸収スペクトルSEのピーク)は514nm、蛍光波長(発光スペクトルSFのピーク)は527nmである。
【0041】
図6(及び図3)に示すとおり、蛍光試薬Cの励起波長(吸収スペクトルSEのピーク)は590nm、蛍光波長(発光スペクトルSFのピーク)は615nmである。
【0042】
図7(及び図3)に示すとおり、蛍光試薬Dの励起波長(吸収スペクトルSEのピーク)は735nm、蛍光波長(発光スペクトルSFのピーク)は779nmである。
【0043】
これらの図4、図5、図6、図7を比較すると明らかなとおり、蛍光試薬A、B、Cの吸収スペクトルSE及び発光スペクトルSFは可視光域内(700nm以下)に略収まっているのに対し、蛍光試薬Dの吸収スペクトルSE及び発光スペクトルSFは可視光域内(700nm以下)に収まらず、近赤外域(700nm超)に及ぶ。従来の焦点検出装置において焦点検出精度が低下するのは、このような蛍光試薬Dを使用したときであった。
【0044】
図8はホイール番地1に装填された蛍光フィルタブロック104−1の特性を示す図であり、図9はホイール番地2に装填された蛍光フィルタブロック104−2の特性を示す図であり、図10はホイール番地3に装填された蛍光フィルタブロック104−3の特性を示す図であり、図11はホイール番地4に装填された蛍光フィルタブロック104−4の特性を示す図である。各図中、符号EXで示すのがEXフィルタ107の分光透過特性であり、符号BAで示すのがBAフィルタ106の分光透過特性であり、符号DCで示すのがダイクロイックミラー100の分光透過特性である(ダイクロイックミラー100の分光透過特性において透過率がゼロである波長域は、反射波長域である。)。
【0045】
なお、図8には蛍光試薬Aの吸収スペクトルSE及び発光スペクトルSFを重畳表示し、図9には蛍光試薬Bの吸収スペクトルSE及び発光スペクトルSFを重畳表示し、図10には蛍光試薬Cの吸収スペクトルSE及び発光スペクトルSFを重畳表示し、図11には蛍光試薬Dの吸収スペクトルSE及び発光スペクトルSFを重畳表示した。
【0046】
図8(及び図3)から明らかなとおり、蛍光フィルタブロック104−1のEXフィルタ107は、蛍光試薬Aの吸収波長域の主要部に相当する波長域(460nm〜500nm)の光を選択的に透過する機能がある。また、蛍光フィルタブロック104−1のBAフィルタ106は、蛍光試薬Aの発光波長域の主要部に相当する波長域(510nm〜560nm)の光を選択的に透過する機能がある。また、蛍光フィルタブロック104−1のダイクロイックミラー100の分離波長は、蛍光試薬Aの吸収波長域の主要部と蛍光試薬Aの発光波長域の主要部との境界に相当する波長(505nm)に設定されている。
【0047】
したがって、蛍光フィルタブロック104−1には、励起光の波長を蛍光試薬Aに適した波長に設定し、かつ被観察物0から観察用結像光学系38へ入射可能な光(観察光)の波長域を蛍光試薬Aに適した波長域に設定する機能がある。
【0048】
また、図9(及び図3)から明らかなとおり、蛍光フィルタブロック104−2のEXフィルタ107は、蛍光試薬Bの吸収波長域の主要部に相当する波長域(490nm〜510nm)の光を選択的に透過する機能がある。また、蛍光フィルタブロック104−2のBAフィルタ106は、蛍光試薬Bの発光波長域の主要部に相当する波長域(520nm〜560nm)の光を選択的に透過する機能がある。また、蛍光フィルタブロック104−2のダイクロイックミラー100の分離波長は、蛍光試薬Bの吸収波長域の主要部と蛍光試薬Bの発光波長域の主要部と境界に相当する波長(515nm)に設定されている。
【0049】
したがって、蛍光フィルタブロック104−2には、励起光の波長を蛍光試薬Bに適した波長に設定し、かつ被観察物0から観察用結像光学系38へ入射可能な光(観察光)の波長域を蛍光試薬Bに適した波長域に設定する機能がある。
【0050】
また、図10(及び図3)から明らかなとおり、蛍光フィルタブロック104−3のEXフィルタ107は、蛍光試薬Cの吸収波長域の主要部に相当する波長域(520nm〜560nm)の光を選択的に透過する機能がある。また、蛍光フィルタブロック104−3のBAフィルタ106は、蛍光試薬Cの発光波長域の主要部に相当する波長域(600nm〜660nm)の光を選択的に透過する機能がある。また、蛍光フィルタブロック104−3のダイクロイックミラー100の分離波長は、蛍光試薬Cの吸収波長域の主要部と蛍光試薬Bの発光波長域の主要部との境界に相当する波長(595nm)に設定されている。
【0051】
したがって、蛍光フィルタブロック104−3には、励起光の波長を蛍光試薬Cに適した波長に設定し、かつ被観察物0から観察用結像光学系38へ入射可能な光(観察光)の波長域を蛍光試薬Cに適した波長域に設定する機能がある。
【0052】
また、図11(及び図3)から明らかなとおり、蛍光フィルタブロック104−4のEXフィルタ107は、蛍光試薬Dの吸収波長域の主要部に相当する波長域(670nm〜750nm)の光を選択的に透過する機能がある。また、蛍光フィルタブロック104−4のBAフィルタ106は、蛍光試薬Dの発光波長域の主要部に相当する波長域(770nm〜850nm)の光を選択的に透過する機能がある。また、蛍光フィルタブロック104−4のダイクロイックミラー100の分離波長は、蛍光試薬Dの吸収波長域の主要部と蛍光試薬Dの発光波長域の主要部との境界に相当する波長(750nm)に設定されている。
【0053】
したがって、蛍光フィルタブロック104−4には、励起光の波長を蛍光試薬Dに適した波長に設定し、かつ被観察物0から観察用結像光学系38へ入射可能な光(観察光)の波長域を蛍光試薬Dに適した波長域に設定する機能がある。
【0054】
図12は、スライダー番地1、2に装填されたAFフィルタブロック105−1、105−2を詳しく説明する図である。
【0055】
図13は、AFフィルタブロック105−1の特性を示す図であり、図14は、AFフィルタブロック105−2の特性を示す図である。各図中、符号Yで示すのはYフィルタ111の分光透過特性であり、符号Xで示すのはXフィルタ110の分光透過特性であり、符号DCで示すのがダイクロイックミラー16の分光透過特性である(ダイクロイックミラー16の分光透過特性において透過率がゼロである波長域は、反射波長域である。)。
【0056】
図13(及び図12)から明らかなとおり、AFフィルタブロック105−1のXフィルタ110は、近赤外域(730nm〜770nm)の光を選択的に透過する機能がある。また、AFフィルタブロック105−1のダイクロイックミラー16は、近赤外域(730nm〜770nm)の光を反射し、それ以外の光を透過する機能がある。また、AFフィルタブロック105−1のYフィルタ111は、近赤外域よりも短い波長域(700nm以下)の光を選択的に透過する機能がある。
【0057】
したがって、AFフィルタブロック105−1には、(1)AF光の波長を近赤外域に設定し、(2)AF光とは異なる波長の光が被観察物0から焦点検出用結像光学系7へ向かうのを防ぎ、(3)AF光が観察用光学系3へ入射するのを防ぎ、(4)AF光とは異なる波長の光が被観察物0と観察用光学系3との間で行き交うのを妨げない、という機能がある。このような特性のAFフィルタブロック105−1は、蛍光試薬A、B、Cの何れかと共に使用されるべきものである。
【0058】
一方、図14(及び図12)から明らかなとおり、AFフィルタブロック105−2のXフィルタ110は、緑光域(520nm〜560nm)の光を選択的に透過する機能がある。また、AFフィルタブロック105−2のダイクロイックミラー16は、緑光域(520nm〜560nm)の光を反射し、それ以外の光を透過する機能がある。また、AFフィルタブロック105−2のYフィルタ111は、緑光域(520nm〜560nm)以外の光を選択的に透過する機能がある。
【0059】
したがって、AFフィルタブロック105−2には、(1)AF光の波長を緑光域に設定し、(2)AF光とは異なる波長の光が被観察物0から焦点検出用結像光学系7へ向かうのを防ぎ、(3)AF光が観察用光学系3へ入射するのを防ぎ、(4)AF光とは異なる波長の光が被観察物0と観察用光学系3との間で行き交うのを妨げない、という機能がある。このような特性のAFフィルタブロック105−2は、蛍光試薬Dと共に使用されるべきものである。
【0060】
ここで仮に、蛍光試薬Dの使用時(つまり蛍光フィルタブロック104−4の使用時)にAFフィルタブロック105−1を使用してしまった場合は、蛍光フィルタブロック104−4によって設定される観察光の波長域(770nm〜850nm)と、AFフィルタブロック105−1によって設定されるAF光の波長域(730nm〜770nm)とが重複するので、AFフィルタブロック105−1は、観察光の一部(AF光と同じ波長の成分)がAF光と共に焦点検出用結像光学系7へ入射するのを防ぐことができない。この場合、ラインセンサ7d上に不要なスポット像(第一対物レンズ12のデフォーカス量に応じて移動しない不要なスポット像)が形成されてしまうので、ラインセンサ7上のスリット像の位置を高精度に検出することができなくなる。この問題は、従来の焦点検出装置では回避できなかった。
【0061】
しかし、本実施形態の蛍光顕微鏡装置は、AFフィルタブロックをAFフィルタブロック105−1、105−2の間で切り替えることが可能なので、蛍光試薬A、B、C、Dの何れかが使用されるときにはAFフィルタブロック105−1を使用し、蛍光試薬Dが使用されるときにはAFフィルタブロック105−2を使用する、といった切り換え使用を行えば、観察光の波長域とAF光の波長域との重複を避けることができるので、焦点検出精度の低下は生じない。
【0062】
したがって、AFフィルタブロック105−1、105−2の切り換えさえ適切に行われれば、蛍光試薬の種類に依らず常にピントの合った蛍光像が生成されることになる。
【0063】
図15は、メモリ42が格納している登録テーブルの内容を示す図である。なお、登録テーブルは、入力部43を介してユーザが入力した登録データに基づきCPU41が予め作成したものである。
【0064】
図15に示すとおり、登録テーブルには、ホイール番地1〜4の波長特性を示す情報と、ホイール番地1〜4の各々の適正スライダー番地を示す情報とが格納されている。
【0065】
ホイール番地1の波長特性は、ホイール番地1に装填された蛍光フィルタブロック104−1のダイクロイックミラー100の分離波長であり、本実施形態では、その分離波長を505nmとしたのでメモリ42の記憶値は「505」となる。
【0066】
ホイール番地2の波長特性は、ホイール番地2に装填された蛍光フィルタブロック104−2のダイクロイックミラー100の分離波長であり、本実施形態では、その分離波長を515nmとしたのでメモリ42の記憶値は「505」となる。
【0067】
ホイール番地3の波長特性は、ホイール番地3に装填された蛍光フィルタブロック104−3のダイクロイックミラー100の分離波長であり、本実施形態では、その分離波長を595nmとしたのでメモリ42の記憶値は「595」となる。
【0068】
ホイール番地4の波長特性は、ホイール番地4に装填された蛍光フィルタブロック104−4のダイクロイックミラー100の分離波長であり、本実施形態では、その分離波長を750nmとしたのでメモリ42の記憶値は「750」となる。
【0069】
また、ホイール番地1の適正スライダー番地は、ホイール番地1が有効であるときに有効とすべきスライダー番地である。本実施形態では、ホイール番地1に装填されている蛍光フィルタブロック104−1は蛍光試薬Aの使用時に使用されるものであり、その蛍光試薬Aの使用時に使用されるAFフィルタブロックはAFフィルタブロック105−1であり、その装着先はスライダー番地1である。よって、ホイール番地1の適正スライダー番地は「1」となる。
【0070】
また、ホイール番地2の適正スライダー番地は、ホイール番地2が有効であるときに有効とすべきスライダー番地である。本実施形態では、ホイール番地2に装填されている蛍光フィルタブロック104−2は蛍光試薬Bの使用時に使用されるものであり、その蛍光試薬Bの使用時に使用されるAFフィルタブロックはAFフィルタブロック105−1であり、その装着先はスライダー番地1である。よって、ホイール番地2の適正スライダー番地も「1」となる。
【0071】
また、ホイール番地3の適正スライダー番地は、ホイール番地3が有効であるときに有効とすべきスライダー番地である。本実施形態では、ホイール番地3に装填されている蛍光フィルタブロック104−3は蛍光試薬Cの使用時に使用されるものであり、その蛍光試薬Cの使用時に使用されるAFフィルタブロックはAFフィルタブロック105−1であり、その装着先はスライダー番地1である。よって、ホイール番地3の適正スライダー番地も「1」となる。
【0072】
また、ホイール番地4の適正スライダー番地は、ホイール番地4が有効であるときに有効とすべきスライダー番地である。本実施形態では、ホイール番地4に装填されている蛍光フィルタブロック104−4は蛍光試薬Dの使用時に使用されるものであり、その蛍光試薬Dの使用時に使用されるAFフィルタブロックはAFフィルタブロック105−2であり、その装着先はスライダー番地2である。よって、ホイール番地4の適正スライダー番地は「2」となる。
【0073】
図16は、ホイール101の駆動に関するCPU41の動作フローチャートである。以下、各ステップを順に説明する。
【0074】
ステップS11:CPU41は、ホイール101の駆動指示及び駆動先ホイール番地がユーザから入力されたか否かを判別する。ユーザは、蛍光試薬Aを使用するときには駆動先ホイール番地として「1」を入力し、蛍光試薬Bを使用するときには駆動先ホイール番地として「2」を入力し、蛍光試薬Cを使用するときには駆動先ホイール番地として「3」を入力し、蛍光試薬Dを使用するときには駆動先ホイール番地として「4」を入力する。CPU41は、駆動指示及び駆動ホイール番地が入力された場合にはステップS12へ移行し、入力されない場合には待機する。
【0075】
ステップS12:CPU41は、現時点で有効なホイール番地(駆動元ホイール番地)を駆動部108経由でチェックし、メモリ42に格納された登録テーブル上で、その駆動元ホイール番地に対応付けられた適正スライダー番地(A)をチェックする。
【0076】
ステップS13:CPU41は、メモリ42に格納された登録テーブル上で、ユーザの入力した駆動先ホイール番地に対応付けられた適正スライダー番地(B)をチェックする。
【0077】
ステップS14:CPU41は、適正スライダー番地(A)と適正スライダー番地(B)とが同じであるか否かを判別し、同じである場合はステップS16へ移行し、異なる場合はステップS15へ移行する。
【0078】
ステップS15:CPU41は、駆動部109へ指示を与えることによりスライダー201を駆動し、適正スライダー番地(B)を有効にしてからステップS16へ移行する。
【0079】
ステップS16:CPU41は、駆動部108へ指示を与えることによりホイール101を駆動し、駆動先ホイール番地を有効とし、フローを終了する。
【0080】
以上のフローによれば、蛍光フィルタブロック104−1〜104−4の切り換えと、AFフィルタブロック105−1、105−2の切り換えとが連動する。具体的には、蛍光フィルタブロック104−1〜104−3の何れかが光路に挿入されるときにはAFフィルタブロック105−1が自動的に光路に挿入され、蛍光フィルタブロック104−4が光路に挿入されるときにはAFフィルタブロック105−2が自動的に光路に挿入される。
【0081】
したがって、蛍光顕微鏡装置のユーザは、蛍光フィルタブロック104−〜104−4の切り換えさえ適切に行えば、蛍光試薬の種類に依らず常にピントの合った蛍光像を観察することができる。
【0082】
図17は、登録テーブルの作成に関するCPU41の動作フローチャートである。以下、各ステップを順に説明する。
【0083】
ステップS21:CPU41は、番地数iを初期値(1)に設定する。
【0084】
ステップS22:CPU41は、ホイール番地iに装填された蛍光フィルタブロック104−iのダイクロイックミラー100の分離波長liの数値をユーザに入力させる。なお、CPU41は、数値を入力させる代わりに蛍光フィルタブロックの種類を入力させ、その種類から分離波長を推定してもよい。
【0085】
ステップS23:CPU41は、ホイール番地iが有効とされたときに設定される観察光の最長波長Liを、例えばL=li+100nmの式により推定する。
【0086】
ステップS24:CPU41は、推定された最長波長Liと、スライダー番地1が有効とされたときに設定されるAF光の最短波長LAF(本実施形態では730nm)とを比較し、前者の方が小さければステップS25へ移行し、後者の方が小さければステップS26へ移行する。
【0087】
ステップS25:CPU41は、ホイール番地iの適正スライダー番地を「1」に設定し、ステップS27へ移行する。
【0088】
ステップS26:CPU41は、ホイール番地iの適正スライダー番地を「2」に設定し、ステップS27へ移行する。
【0089】
ステップS27:CPU41は、番地数iが最大値「4」に達したか否かを判別し、達していなければステップS28へ移行し、達していればフローを終了する。
【0090】
ステップS28:CPU41は、番地数iを1だけインクリメントしてステップS22に戻る。
【0091】
以上のフローにおいて、番地数iが「1」であるときには分離波長liの数値として「505nm」が入力されるので、観察光の最長波長Liは「605nm」と推定される。この場合、Li<LAFが成り立つので、適正スライダー番地は「1」となる。
【0092】
また、以上のフローにおいて、番地数iが「2」であるときには分離波長liの数値として「515nm」が入力されるので、観察光の最長波長Liは「615nm」と推定される。この場合も、Li<LAFが成り立つので、適正スライダー番地は「1」となる。
【0093】
また、以上のフローにおいて、番地数iが「3」であるときには分離波長liの数値として「595nm」が入力されるので、観察光の最長波長Liは「695nm」推定される。この場合も、Li<LAFが成り立つので、適正スライダー番地は「1」となる。
【0094】
また、以上のフローにおいて、番地数iが「4」であるときには分離波長liの数値として「750nm」が入力されるので、観察光の最長波長Liは「850nm」と推定される。この場合は、Li<LAFが成り立たないので、適正スライダー番地は「1」ではなく「2」となる。つまり、図17のフローによれば、図15に示した登録テーブルが自動的に作成される。
【0095】
したがって、蛍光顕微鏡装置のユーザは、ホイール101に関する登録データの入力さえ適切に行えば、蛍光試薬の種類に依らず常にピントの合った蛍光像を観察することができる。
【0096】
[実施形態の補足]
なお、上述した実施形態では、設定可能なAF光の波長を、近赤外光と緑光との組み合わせとしたが、近赤外光と他の可視光との組み合わせ、例えば、近赤外光と紫光との組み合わせ、近赤外光と青光との組み合わせ、近赤外光と橙光との組み合わせなどとしてもよい。但し、近赤外光に組み合わされる可視光は、近赤外光から或る程度離れた波長の光であることが望ましい。
【0097】
また、上述した実施形態では、設定可能なAF光の波長の一方を近赤外光としたが、設定可能なAF光の波長の双方を可視光としてもよい。但し、その場合も両者の波長は或る程度離れていることが望ましい。
【0098】
また、上述した実施形態では、AF光の波長の切り換え数を2としたが、3以上としてもよい。
【0099】
また、上述した実施形態では、AF光の波長が切り換えられた場合に、信号処理回路による演算内容も切り換えられることが望ましい。AF光の波長が変化すると、デフォーカス量とスリット像の移動量との関係が若干変化するからである。
【0100】
また、上述した実施形態の焦点検出用光学系は、被観察物0上へ投影するパターンがスリットであったが、スリット以外のパターンに代えてもよい。但し、その場合であっても、十字パターンのように位置の移動量が検出し易いパターンが選択されることが望ましい。
【0101】
また、上述した実施形態の焦点検出用光学系には、スリット投影方式が適用されたが、観察光とは異なる波長のAF光で焦点検出を行う他の方式が適用されてもよい。
【0102】
また、上述した実施形態では、AF光の波長の切り換えを1つの光源5aと複数のAFフィルタブロックとの組み合わせにより行ったが、波長の異なる複数の単波長光源により行ってもよい。
【0103】
但し、その場合であっても、AF光とは異なる波長の光が被観察物0から焦点検出用結像光学系7へ向かうのを防ぎ、かつAF光が観察用光学系3へ入射するのを防ぐために、複数のAFフィルタブロックを切り換え使用することが望ましい。
【0104】
また、上述した実施形態では、蛍光フィルタブロックの切り換えと、AFフィルタブロックの切り換えとがそれぞれ電動で行われたが、その一方又は双方が手動で行われてもよい。なお、蛍光フィルタブロックの切り換えが手動で行われる場合であっても、その切り換えにAFフィルタブロックの切り換えを連動させてもよい。また、その連動は、電気的連動、機械的連動の何れが採用されてもよい。
【0105】
また、上述した実施形態では、蛍光フィルタブロックの個数よりもAFフィルタブロックの個数の方が少なかったが、蛍光フィルタ毎にAFフィルタブロックを用意してもよい。その場合は、各蛍光フィルタを、それに適したAFフィルタブロックに予め固定しておくと共に、駆動部109を省略し、蛍光フィルタブロックとAFフィルタブロックとの双方を駆動部108が一緒に駆動するとよい。この場合、蛍光顕微鏡の構成をシンプルにすることができ、また連動に関するCPU41の処理(図16)を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】蛍光顕微鏡装置の構成図である。
【図2】蛍光顕微鏡装置の光学系部分を詳しく示す図である。
【図3】ホイール番地1〜4に装填された4種類の蛍光フィルタブロック104−1〜104−4を詳しく説明する図である。
【図4】蛍光試薬Aの特性を示す図である。
【図5】蛍光試薬Bの特性を示す図である。
【図6】蛍光試薬Cの特性を示す図である。
【図7】蛍光試薬Dの特性を示す図である。
【図8】蛍光フィルタブロック104−1の特性を示す図である。
【図9】蛍光フィルタブロック104−2の特性を示す図である。
【図10】蛍光フィルタブロック104−3の特性を示す図である。
【図11】蛍光フィルタブロック104−4の特性を示す図である。
【図12】スライダー番地1、2に装填されたAFフィルタブロック105−1、105−2を詳しく説明する図である。
【図13】AFフィルタブロック105−1の特性を示す図である。
【図14】AFフィルタブロック105−2の特性を示す図である。
【図15】メモリ42が格納している登録テーブルの内容を示す図である。
【図16】ホイール101の駆動に関するCPU41の動作フローチャートである。
【図17】登録テーブルの作成に関するCPU41の動作フローチャートである。
【符号の説明】
【0107】
2…焦点検出用光学系、3…観察用光学系、5…焦点検出用照明光学系、7…焦点検出用結像光学系、102…観察用照明光学系、38…観察用結像光学系、12…第1対物レンズ、40…ステージ、0…被観察物、15…スライドガラス、14…カバーガラス、112…標本、101…ホイール、104…蛍光フィルタブロック、201…スライダー、105…AFフィルタブロック、106…バリアフィルタ(BAフィルタ)、107…励起フィルタ(EXフィルタ)、100…ダイクロイックミラー、110…Xフィルタ、111…Yフィルタ、16…ダイクロイックミラー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物レンズを介して蛍光試料へ励起光を照射し、その蛍光試料で発生した蛍光を前記対物レンズを介して検出する観察用光学系と、
前記対物レンズを介して前記蛍光試料へ焦点検出用の光を照射し、その蛍光試料で反射した前記光を前記対物レンズを介して検出する焦点検出用光学系と、
前記焦点検出用光学系が照射し、かつ検出する光の波長である焦点検出波長を、互いに異なる少なくとも2種類の波長の間で切り換える第1切換手段と、
を備えたことを特徴とする蛍光顕微鏡装置。
【請求項2】
請求項1に記載の蛍光顕微鏡装置において、
前記観察用光学系の光路と前記焦点検出用光学系の光路との交差箇所には波長分離ミラーが配置され、
前記第1切換手段は、
前記交差箇所に配置される波長分離ミラーを、分離波長の互いに異なる少なくとも2種類の波長分離ミラーの間で交換する
ことを特徴とする蛍光顕微鏡装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の蛍光顕微鏡装置において、
前記観察用光学系が照射する励起光の波長である励起波長と、前記観察用光学系が検出する蛍光の波長である観察波長との組み合わせを、互いに異なる少なくとも2種類の組み合わせの間で切り換える第2切換手段を更に備えた
ことを特徴とする蛍光顕微鏡装置。
【請求項4】
請求項3に記載の蛍光顕微鏡装置において、
前記観察用光学系の励起光路と観察光路との交差箇所には波長分離ミラーが配置され、
前記第2切換手段は、
前記交差箇所に配置される波長分離ミラーを、分離波長の異なる少なくとも2種類の波長分離ミラーの間で交換する
ことを特徴とする蛍光顕微鏡装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の蛍光顕微鏡装置において、
前記第1切換手段は、
前記第2切換手段に連動する
ことを特徴とする蛍光顕微鏡装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の蛍光顕微鏡装置において、
前記焦点検出波長の切り換え先である前記2種類の波長の一方は赤外域の波長であり、他方は可視光域の波長である
ことを特徴とする蛍光顕微鏡装置。
【請求項7】
対物レンズを介して試料へ焦点検出用の光を照射し、その試料で反射した前記光を前記対物レンズを介して検出する焦点検出用光学系と、
前記焦点検出用光学系が照射し、かつ検出する光の波長である焦点検出波長を、互いに異なる少なくとも2種類の波長の間で切り換える切換手段と
を備えたことを特徴とする焦点検出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の焦点検出装置において、
前記試料の観察に供される観察用光学系の光路と前記焦点検出用光学系の光路との交差箇所には波長分離ミラーが配置され、
前記切換手段は、
前記交差箇所に配置される波長分離ミラーを、分離波長の互いに異なる少なくとも2種類の波長分離ミラーの間で交換する
ことを特徴とする焦点検出装置。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の焦点検出装置において、
前記焦点検出波長の切り換え先である前記2種類の波長の一方は赤外域の波長であり、他方は可視光域の波長である
ことを特徴とする焦点検出装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−26241(P2010−26241A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−187403(P2008−187403)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】