説明

蜂の子、プロポリス、およびローヤルゼリーを含有する経口摂取用組成物

【課題】本発明の目的は、特定の原料を組み合わせて含むことによる相乗的な抗酸化活性を有し、特に食品として安全に摂取可能な経口摂取用組成物を提供することである。
【解決手段】本発明により、蜂の子、プロポリス、およびローヤルゼリーを含む経口摂取用組成物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蜂の子、プロポリス、およびローヤルゼリーを含む経口摂取用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に酸素は、生命体にとって必須のものであるが、一方で生体に害を及ぼすことも知られている。特に、ヒドロキシラジカルなどの活性酸素および脂質などが酸化されて生じる過酸化物は、生体に大きな障害をもたらすことが指摘されている。近年、生活慣習病として位置づけられている血栓症や脳循環関連の疾患の発症にも酸化ストレス、特に血管内皮細胞の酸化ストレスが関与していることが知られている。さらに、酸化ストレスは、老化促進に関与し、皮膚のしわ、シミ、くすみなどを誘発することも知られている。このため、生体において有害な酸化反応を制御することは、健康の維持および美容にとって大変有用なことであり、種々の抗酸化作用を有する素材の探求が盛んに行われている。
【0003】
また、食品などの経口摂取用組成物の品質低下に酸化が関与することが知られている。特に油脂類の酸化は色や風味の悪化、栄養価の低下などを引き起こし、場合によっては酸化により生じた過酸化物が消化障害を引き起こすこともある。経口摂取用組成物の酸化を防止する抗酸化剤としては、アスコルビン酸、トコフェロール、カテキン、ジブチルヒドロキシトルエンなどが使用されている。
【0004】
従来、日本の一部の地域では、蜂の幼虫または蛹を「蜂の子」として食用に供している。蜂の子は、特定のアミノ酸組成を有する食品であり、疲労回復効果などを有するとの報告がなされている(特許文献1〜3)。
【0005】
ローヤルゼリーは、働き蜂の頭部の分泌腺(咽頭腺)から分泌される乳白色のクリーム状の物質で、ミツバチの女王蜂の餌となる物質である。ローヤルゼリーは滋養強壮を目的とした健康食品に多く用いられており、化粧品、医薬部外品などの皮膚外用剤の成分としても使用されている(特許文献4〜7)。
【0006】
蜂の巣の材料となる粘着性物質であるプロポリスは、蜂が野外から採取した植物の樹液などを成分として含み、抗酸化作用を含む種々の生理活性を有することが知られている(特許文献8〜11)。そのため、プロポリスは健康食品の原料として利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−17296号公報
【特許文献2】特開2006−197911号公報
【特許文献3】特開2001−204421号公報
【特許文献4】特開2001−292712号公報
【特許文献5】特開2002−20226号公報
【特許文献6】特開2003−219816号公報
【特許文献7】特開2006−280249号公報
【特許文献8】特開2000−44479号公報
【特許文献9】特開2002−235084号公報
【特許文献10】特開2002−306092号公報
【特許文献11】特開2005−220087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
酸化ストレスから体を守るための抗酸化活性を有し、また、経口摂取用組成物の酸化も抑えられ、安全で食品として日常的に摂取可能である組成物が求められている。本発明の目的は、特定の原料を組み合わせて含むことによる相乗的な抗酸化活性を有し、かつ食品として安全に摂取可能な組成物を提供することである。本発明のさらなる目的は、優れた抗酸化活性に基づいてアンチエイジング効果、美肌効果、および更年期障害による諸症状の改善・緩和効果を発揮する組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記の課題解決のために鋭意研究を進めたところ、蜂の子、プロポリス、およびローヤルゼリーを含む組成物に良好な抗酸化効果およびアンチエイジング効果を見いだし、本発明を完成させた。
【0010】
本発明の一つの側面によれば、蜂の子、プロポリス、およびローヤルゼリーを含む経口摂取用組成物が提供される。
【0011】
本発明の別の側面によれば、蜂の子、プロポリス、およびローヤルゼリーを含む飲食品が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の経口摂取用組成物は、優れた抗酸化作用を有する。これにより、経口摂取用組成物の変色、風味の悪化、および栄養価の低下を防止でき、ならびに当該経口摂取用組成物に含まれる有効成分の効果を長期間安定化することができる。また、経口摂取用組成物を摂取することで、生体内に存在する活性酸素に起因して生じる各種障害(心筋梗塞、動脈硬化、糖尿病、癌、脳卒中、白内障、肩こり、冷え性、高血圧、老人性痴呆症、シミ、ソバカス、しわ、肝斑、くすみ、その他の肌の衰えなど)を治療、改善および/または予防することができ;肌のハリ、肌のつや、化粧ののり、肌のきめ、肌の弾力性などを改善および/または維持することができ;肌のかさつき、肌のくすみ、肌の吹き出物・にきびを改善および/または予防することができ;ならびに更年期障害の諸症状、例えば、顔のほてり、多汗、腰や手足の冷え、動悸、息切れ、めまい、睡眠障害(寝付きが悪い、眠りが浅いなど)、不安感、気分不安定、逆上感、憂鬱感、頭痛、頭重、吐き気、疲労感、肩こり、腰痛、手足の痛みなどの改善および/または予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の組成物の投与による顔の皮膚弾力値の変化に関する試験結果を示すグラフである。図中のアスタリスク(*)は有意差p<0.05を示す。
【図2】本発明の組成物の投与による顔の皮膚水分値の変化に関する試験結果を示すグラフである。
【図3】表12のA〜E群マウスの皮膚組織断面の顕微鏡写真の一例である。スケールバーは200μmを示す。
【図4】本発明の組成物の投与したマウスの皮膚層厚(真皮層の厚み)に関する試験結果を示すグラフである。図中のアスタリスク(**)は、有意差p<0.01を、(***)は、有意差p<0.001を示す。
【図5】本発明の組成物の投与群(被検食品群)とプラセボ群の更年期指数(SMI)変化量を示すグラフである。図中のアスタリスク(*)は、プラセボに対する有意差p<0.05を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明で使用される蜂の子は、食用に供せられている蜂の幼虫または蛹であれば特に限定されず、例えば、ミツバチ科の蜂(例えば、セイヨウミツバチ(Apis mellifera)、トウヨウミツバチ(Apis cerana)、サバミツバチ(Apis koschevnikovi)、キナバルヤマミツバチ(Apis nuluensisi)、クロオビミツバチ(Apis nigrocincta)、オオミツバチ(Apis dorsata)、ヒマラヤオオミツバチ(Apis laboriosa)、コミツバチ(Apis florea)、クロコミツバチ(Apis andreniformis));スズメバチ科の蜂(例えば、オオスズメバチ(Vespa mandarinia japonica)、ヒメスズメバチ(Vespa ducalis)、キイロスズメバチ(Vespa simillima xanthoptera)、コガタスズメバチ(Vespa analis)、モンスズメバチ(Vespa crabro)、チャイロスズメバチ(Vespa dybowskii)、クロスズメバチ(Vespula flaviceps)、キオビホオナガスズメバチ(Dolichovespula media)、ヤミスズメバチ(Provespa属));およびアシナガバチ科の蜂(例えば、セグロアシナガバチ(Polistes jadwigae)、キアシナガバチ(Polistes rothneyi)、フタモンアシナガバチ(Polistes chinensis)、コアシナガバチ(Polistes snelleni)、キボシアシナガバチ(Polistes mandarinus))などの幼虫または蛹を使用することができる。本発明では、例えば、ミツバチ科の蜂(特に、セイヨウミツバチ)、オオスズメバチ、キイロスズメバチまたはクロスズメバチの蜂の子を、好ましくはセイヨウミツバチの蜂の子を使用することができる。
【0015】
蜂の子は、例えば、女王蜂、働き蜂および雄蜂、好ましくは雄蜂の幼虫または蛹を使用することができ、抗酸化効果に優れることから、例えば、孵化後10〜24日後、好ましくは20〜22日後の蛹を使用することができる。
【0016】
採取した蜂の子は、例えば、乾燥・粉砕し、粉末状にして使用することができ、例えば、特開2002−17296号公報(段落番号[0006])に開示された方法で調製した蜂の子の粉末を本発明に用いてもよい。本発明の1つの態様においては、採取後に−80℃〜−5℃で冷凍した蜂の子を使用前に自然解凍し、攪拌機で混合後、得られた混合物を10〜120分間煮沸殺菌し、凍結乾燥の後に篩分(10〜200メッシュ)して得られた粉末を使用することができる。
【0017】
また、本発明においては、前記蜂の子粉末から、例えば、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなど)および/または水を抽出溶媒として用いて得られる蜂の子抽出物を使用することができる。
【0018】
また、本発明においては、前記蜂の子粉末を、例えば、プロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼなどの酵素により分解して得られる酵素分解物を使用することができる。
【0019】
本発明の1つの態様において、蜂の子に水を加え、撹拌しながら25〜50℃で30分〜3時間加熱抽出し、室温まで冷却後、濾過して得られた溶液(蜂の子抽出液)に任意で賦形剤を加え、その後噴霧乾燥し、造粒・篩分して得られる粉末を本発明の蜂の子として使用することができる。
【0020】
本発明において、蜂の子抽出液に賦形剤を加えることで製造における取り扱いを容易にすることができる。本発明に使用できる賦形剤としては、医薬または食品に利用可能な賦形剤、例えば、デキストリン、コーンスターチ、米粉、乳糖、バレイショデンプン、還元澱粉糖化物、二酸化ケイ素などを使用することができる。
【0021】
本発明で使用されるプロポリスは、食品に通常使用されるプロポリスであれば特に限定されず、例えば、ミツバチ科の蜂(特に、セイヨウミツバチおよびその亜種(Apis mellifera、Apis mellifera adansonii、Apis mellifera scutellata))から採取されるプロポリスを使用することができる。プロポリスの起源植物も特には限定されず、例えば、バッカリス、ポプラ、サンザシ、ユーカリなどの植物を起源とするプロポリスを使用することができる。
【0022】
プロポリスとしては、例えば、プロポリス原塊を粉末化したもの、またはプロポリス原塊から適当な抽出方法により得られるプロポリス抽出物を使用することができ、例えば、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなど)および/または水を抽出溶媒として用いて得られるプロポリス抽出物を使用することができる。例えば、エタノールによるプロポリス抽出物、および特開2002−306092号公報に記載の方法により得られるプロポリス抽出物を本発明に使用することができる。プロポリス抽出物としては、例えば、森川健康堂株式会社、アルテクノ工業株式会社、日新蜂蜜株式会社から商業的に入手可能なものを本発明に使用することができる。
【0023】
また、本発明においては、前記プロポリス抽出物を、例えば、プロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼなどの酵素により分解して得られるプロポリスの酵素分解物を使用することができる。
【0024】
本発明の1つの態様において、プロポリス原塊にエタノールを加え、攪拌しながら30〜70℃で1〜3時間加熱し、室温まで冷却後、濾過して得られた溶液を濃縮して蝋状の固体物を得て、当該固体物(プロポリス抽出物)に任意で賦形剤を加え、その後噴霧乾燥し、造粒・篩分して得られる粉末を本発明のプロポリスとして使用することができる。
【0025】
本発明において、プロポリス抽出物に賦形剤を加えることで製造における取り扱いを容易にすることができる。本発明に使用できる賦形剤としては、医薬または食品に利用可能な賦形剤、例えば、デキストリン、コーンスターチ、米粉、乳糖、バレイショデンプン、還元澱粉糖化物、二酸化ケイ素などを使用することができる。
【0026】
本発明で使用されるローヤルゼリーは、食用に供せられているローヤルゼリーであれば特に限定されず、例えば、「ローヤルゼリーの表示に関する公正競争規約」(社団法人ローヤルゼリー公正取引協議会により作成)に記載されている「生ローヤルゼリー」、「乾燥ローヤルゼリー」および「調製ローヤルゼリー」を使用することができ、いずれも、例えば、ミツバチ科の蜂(特に、セイヨウミツバチおよびその亜種(Apis mellifera、Apis mellifera adansonii、Apis mellifera scutellata))から採取されるローヤルゼリー、好ましくはセイヨウミツバチから採取されるローヤルゼリーを使用することができる。本発明では、例えば、セイヨウミツバチから採取されるローヤルゼリーを乾燥して得られる粉末を使用することが好ましい。
【0027】
本発明の1つの態様において、採取後に−80〜−5℃で冷凍したローヤルゼリーの原液を使用前に解凍し、凍結乾燥の後に篩分(10〜200メッシュ)して得られた粉末を本発明のローヤルゼリーとして使用することができる。
【0028】
また、本発明においては、前記ローヤルゼリー粉末から、例えば、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなど)および/または水を抽出溶媒として用いて得られるローヤルゼリー抽出物を使用することができる。
【0029】
また、本発明においては、前記ローヤルゼリー粉末、およびローヤルゼリー抽出物を、例えば、プロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼなどの酵素により分解して得られる酵素分解物を使用することができる。
【0030】
本発明の1つの態様において、ローヤルゼリーに水を加え、撹拌しながら25〜50℃で30分〜3時間加熱抽出し、室温まで冷却後、濾過して得られた溶液(ローヤルゼリー抽出液)に任意で賦形剤を加え、その後噴霧乾燥し、造粒・篩分して得られる粉末を本発明のローヤルゼリーとして使用することができる。
【0031】
本発明において、ローヤルゼリー抽出液に賦形剤を加えることで製造における取り扱いを容易にすることができる。本発明で使用できる賦形剤としては、医薬または食品に利用可能な賦形剤、例えば、デキストリン、コーンスターチ、米粉、乳糖、バレイショデンプン、還元澱粉糖化物、二酸化ケイ素などを使用することができる。
【0032】
本発明の蜂の子、プロポリス、およびローヤルゼリーを含む経口摂取用組成物は、その配合比率はとくに制限されないが、プロポリス1重量部に対して蜂の子が6重量部以上であることが好ましく、12重量部以上であることがより好ましく、16重量部以上であることがさらに好ましく、24重量部以上であることが特に好ましい。また、プロポリス1重量部に対して蜂の子が240重量部以下であることが好ましく、120重量部以下であることがより好ましい。さらに、ローヤルゼリー1重量部に対して蜂の子が0.3重量部以上であることが好ましく、0.6重量部以上であることがより好ましく、0.86重量部以上であることがさらに好ましい。また、ローヤルゼリー1重量部に対して蜂の子が60重量部以下であることが好ましく、2重量部以下であることがより好ましい。この範囲内であれば、優れた抗酸化効果を奏する経口摂取用組成物とすることができる。
【0033】
本発明において使用される各原料には、それぞれの原料に特有の下記成分が含まれている。
【0034】
蜂の子に特有の成分としては、蛹や成虫の外殻成分であるキチンが挙げられ、蜂の子乾燥粉末に1〜10重量%含まれている。
【0035】
プロポリスに特有の成分としては、p−クマル酸が挙げられ、プロポリス抽出物50重量%の粉末に0.5〜5重量%含まれている。
【0036】
ローヤルゼリーに特有の成分としては、デセン酸が挙げられ、ローヤルゼリー乾燥粉末に2〜10重量%含まれている。
【0037】
本発明の一つの態様において、本発明の経口摂取用組成物に含まれる蜂の子由来のキチンの量は、例えば0.0005重量%以上、特に0.001重量%以上であり、例えば0.1重量%以下、特に0.05重量%以下である。また、本発明の経口摂取用組成物に含まれるプロポリス由来のp−クマル酸の量は、例えば0.00001重量%以上、特に0.00004重量%以上であり、例えば0.005重量%以下、特に0.002重量%以下である。さらに、本発明の経口摂取用組成物に含まれるローヤルゼリー由来のデセン酸の量は、例えば0.0015重量%以上、特に0.003重量%以上であり、例えば0.3重量%以下、特に0.08重量%以下である。
【0038】
なお、本発明の経口摂取用組成物における各成分は、当業者に周知の方法によって測定することができ、その測定値に基づいて配合量を算出することができる。
【0039】
本発明のさらなる側面において、蜂の子、プロポリス、およびローヤルゼリーを含む、飲食品の形態の経口摂取用組成物が提供される。
【0040】
本発明の飲食品の形態の経口摂取用組成物は、そのまま又は食品(健康食品(栄養機能食品、特定保健用食品、サプリメントなど)、病者用食品など)に調製して提供することができる。
【0041】
本発明の経口摂取用組成物は、蜂の子、プロポリスおよびローヤルゼリー(好ましくは、アスコルビン酸当量として0.0003重量%以上)を含み、アスコルビン酸やトコフェロールなどの公知の酸化防止剤を含まなくとも非常に優れた抗酸化効果を奏し、安全であり、色、風味、栄養価などの点で長期安定性に優れる。また、本発明の経口摂取用組成物は、高い抗酸化活性を有するので、当該経口摂取用組成物の摂取により、生体内に存在する活性酸素に起因して生じる各種障害(心筋梗塞、動脈硬化、糖尿病、癌、脳卒中、白内障、肩こり、冷え性、高血圧、老人性痴呆症、シミ、ソバカス、しわ、肝斑、くすみ、その他の肌の衰えなど)の改善および/または予防用;肌のハリ、肌のつや、化粧ののり、肌のきめ、肌の弾力性の改善および/または維持用;肌のくすみ、肌のかさつき、肌の吹き出物・にきびの改善および/または予防用;ならびに更年期障害の諸症状、例えば、顔のほてり、多汗、腰や手足の冷え、動悸、息切れ、めまい、睡眠障害(寝付きが悪い、眠りが浅いなど)、不安感、気分不安定、逆上感、憂鬱感、頭痛、頭重、吐き気、疲労感、肩こり、腰痛、手足の痛みなどの改善および/または予防用として摂取することができる。
【0042】
本発明の経口摂取用組成物は、必要に応じ、従来公知の着色剤、保存剤、香料、風味剤、コーティング剤等の成分を配合することもできる。
【0043】
また、本発明の経口摂取用組成物は、植物の加工物、機能性成分、または薬効成分を配合することができる。なお、これらの成分は、1種単独で上記経口摂取用組成物と組み合わせて使用してもよいし、また、2種以上を任意に組み合わせて上記経口摂取用組成物と併用することもできる。
【0044】
併用できる植物の例としては、本発明の経口摂取用組成物と同様に、抗酸化作用などを有する植物抽出物(例えば、アカメガシワ、カキノキ、クワ、セイヨウオトギリソウ、ツボクサ、サクヨウガレーガ、ヤーバサンタ、ローズヒップ、アスナロ、アセンヤク、イタドリ、イチヤクソウ、アンズ、ケイカンカ、ハクカユマトウ、シラカバ、セイヨウサンザシ、セイヨウノコギリソウ、タラヨウ、ドクダミ、トルメンチラ、バクモンドウ、ヒバ、ブドウ、ムクロジ、モッカ、レイシ、ローマカツミレなどの植物抽出物);ヒアルロニダーゼを阻害する作用を有する植物抽出物(例えば、ブドウの種子、ひじき、モロヘイヤ、ハマスゲ、穀類(例えば、豆,米および麦など)、ハーブ類(例えば、ミルラ、バジル、タイムなど)、カカオエキス、コーヒーエキス、梅肉エキス、サンザシエキス、およびクロレラなどの植物抽出物);女性ホルモン様作用を有する大豆抽出物やブラックコホシュエキス;血圧降下作用および精神安定を有する米胚芽抽出物などを挙げることができる。
【0045】
また、本発明の経口摂取用組成物の栄養面を向上させる成分の例としては、フィチン酸、黒ニンニク、黒酢、ローヤルゼリー、黒胡椒、エゾウコギ、トンカットアリ、パフィア、ムイラプアマ、タヒボ、田七人参、紅景天、羅漢果、レイシ、ニガウリ、カイアポ、ヤーコン、マテ茶、スギナ、トナカイの角などを挙げることができる。
【0046】
機能性成分の例としては、抗酸化剤、血糖降下剤、抗コレステロール剤、免疫賦活剤などを挙げることができる。
【0047】
ここで、抗酸化剤の例としては、制限されないが、乾燥酵母、グルタチオン、リポ酸、ケルセチン、カテキン、コエンザイムQ10、エンゾジノール、プロアントシアニジン類、アントシアニジン、アントシアニン、カロチン類、リコピン、フラボノイド、リザベラトロール、イソフラボン類、亜鉛、イチョウ葉、月桃葉、ハイビスカス、メラトニンを挙げることができる。
【0048】
血糖降下剤の例としては、制限されないが、難消化性デキストリン、グアバ葉、小麦アルブミン、L-アラビノース、豆鼓エキス、桑葉、しょうが、サラシア、α-リノレン酸、アマチャヅル、オオムギ、キダチアロエ、セイヨウタンポポ、ダイダイ、チョウセンアザミ、ニンニク、ハトムギ、バナバ、ビルベリー、ブラックコホシュ、マコモ、コタラヒム、杜仲葉を挙げることができる。
【0049】
抗コレステロール剤の例としては、制限されないが、大豆タンパク質、リン脂質結合大豆ペプチド、キトサン、植物ステロールエステル、植物ステロール、植物スタノールエステル、難消化性デキストリン、アルギン酸ナトリウム、サイリウム種皮、アスタキサンチン、イノシトール、コエンザイムA、カルシウム、マグネシウム、カルニチン、シルクプロテイン、タウリン、メチオニン、α-リノレン酸、グアガム、コンドロイチン硫酸、アマチャヅル、アルファルファ、イチョウ、オオバコ、オオムギ、オーツ麦、オリーブ、ガジュツ、ギムネマ、キャッツクロー、クコ、クロレラ、スピルリナ、西洋サンザシ、大豆サポニン、唐辛子、ニンニク、ビルベリー、ベニバナ、ユッカ、ラフマ、アガリクス、紅麹を挙げることができる。
【0050】
免疫賦活剤の例としては、アガリクス、ラクトフェリン、冬虫夏草、アルギニン、トリプトファン、バリン、ロイシン、キチン、キトサン、アロエ、キダチアロエ、エキナセア、オウギ、キャッツクロー、クコ、スピルリナ、ハトムギ、紅花、マカ、マコモ、ラフマを挙げることができる。
【0051】
薬効成分の例としては、ビタミン、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ミネラル分(鉄、亜鉛、マグネシム、ヨードなど)、脂肪酸(EPA、DHAなど)を挙げることができる。
【0052】
ここでビタミンの例としては、ビタミンA群に属するビタミン〔例えば、レチナール、レチノール、レチノイン酸、カロチン、デヒドロレチナール、リコピン及びそれらの薬理学的に許容される塩類(例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールなど)など〕、ビタミンB群に属するビタミン〔例えば、チアミン、チアミンジスルフィド、ジセチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、フルスルチアミン、リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチド、ピリドキシン、ピリドキサール、ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン、メチルコバラミン、デオキシアデノコバラミン、葉酸、テトラヒドロ葉酸、ジヒドロ葉酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチニックアルコール、パントテン酸、パンテノール、ビオチン、コリン、イノシトール、パンガミン酸及びそれらの薬理学的に許容されるこれらの塩類(例えば、塩酸チアミン、硝酸チアミン、塩酸ジセチアミン、塩酸フルスルチアミン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサール、リン酸ピリドキサールカルシウム、塩酸ヒドロキソコバラミン、酢酸ヒドロキソコバラミン、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウムなど)など〕、ビタミンC群に属するビタミン〔アスコルビン酸及びその誘導体、エリソルビン酸及びその誘導体及びそれらの薬理学的に許容される塩類(例えば、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウムなど)など〕、ビタミンD群に属するビタミン〔例えば、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロタキステロール及びそれらの薬理学的に許容される塩類など〕、ビタミンE群に属するビタミン〔例えば、トコフェロール及びその誘導体、ユビキノン誘導体及びそれらの薬理学的に許容される塩類(酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールカルシウムなど)など〕、その他のビタミン〔例えば、カルニチン、フェルラ酸、γ−オリザノール、オロチン酸、ルチン(ビタミンP)、エリオシトリン、ヘスペリジン及びそれらの薬理学的に許容される塩類(塩化カルニチンなど)など〕を挙げることができる。
【0053】
またアミノ酸の例としては、ロイシン、イソイロイシン、バリン、メチオニン、トレオニン、アラニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、グリシン、アスパラギン、アスパラギン酸、セリン、グルタミン、グルタミン酸、プロリン、チロシン、システイン、ヒスチジン、オルニチン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、グリシルグリシン、アミノエチルスルホン酸(タウリン)、シスチンまたはこれらの薬理学的に許容される塩類(例えばアスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、塩酸システインなど)、などを挙げることができる。好ましい例は、バリン、ロイシンおよびイソロイシン等の分岐鎖アミノ酸、グルタチオン、システイン、グルタミン酸、グリシン、セリン、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン、ヒスチジン、メチオニン、スレオニン、リジン、シスチン、アルギニン、アラニン、アスパラギン酸、プロリン、アミノエチルスルホン酸である。
【0054】
本発明の経口摂取用組成物は、継続的な摂取が行いやすいように、例えば顆粒剤(ドライシロップを含む)、カプセル剤(軟カプセル剤、硬カプセル剤)、錠剤(チュアブル剤などを含む)、散剤(粉末剤)、丸剤などの各種の固形製剤、または内服用液剤(液剤、懸濁剤、シロップ剤を含む)などの液状製剤等の形態で調製することが望ましく、なかでもカプセル剤、錠剤の形態が各成分の安定性や摂取の簡便さの点からは好ましいが、特に限定されるものではない。
【0055】
カプセル剤、錠剤形態の本発明の経口摂取用組成物は、薬学的に許容される公知の担体を用いることができ、医薬や食品(特にサプリメント)の分野で採用されている通常の製剤化手法を適用することができる。例えば、錠剤は、各成分を処方に従って添加配合し、粉砕、造粒、乾燥、整粒および混合を行い、得られた調製混合物を打錠することによって調製することができる。
【0056】
さらに、必要に応じて、製剤化のための添加物、例えば、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、流動化剤、分散剤、湿潤剤、防腐剤、粘稠剤、pH調整剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、溶解補助剤などを配合することができる。また、液剤の形態にする場合は、ペクチン、キサンタンガム、グアガムなどの増粘剤を配合することができる。これにより、蜂の子など水に溶けにくい成分を多く配合した場合であっても液剤中に首尾よく分散させることができ、また安定性も向上させることができる。また、コーティング剤を用いてコーティング錠剤にしたり、ペースト状の膠剤とすることもできる。さらに、他の形態に調製する場合であっても、従来の方法に従えばよい。
【0057】
さらに、顆粒状、粉末状、液状等の形態の本発明の経口摂取用組成物を、例えば、飲料、菓子類、パン類、スープ類等の各種飲食品;ドッグフード、キャットフード等の各種ペットフード等に添加して各種飲食品として調製することもできる。これらの飲食品の製造方法は、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されず、各用途で当業者によって使用されている方法に従えばよい。
【0058】
本発明の経口摂取用組成物の摂取量は、対象の体型、年齢、体調、重篤度等により、適宜選択することができる。例えば、体重60kgの成人を基準として、蜂の子、プロポリスおよびローヤルゼリーを合計で100〜3000mg/日、好ましくは300〜2000mg/日、さらに好ましくは500〜1000mg/日の用量を目安として使用される。
【実施例】
【0059】
以下、本発明の好適な実施例についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本明細書において示されるパーセンテージは特に言及がなければ重量%を意味する。
【0060】
各試料の調製
試験に使用した蜂の子、プロポリス、およびローヤルゼリーは以下の方法で調製した。
【0061】
[蜂の子]
セイヨウミツバチの孵化後20〜22日の蛹を採取後に−18℃で冷凍した。その後使用前に自然解凍した蜂の子を攪拌機で混合後、30〜60分間煮沸殺菌した。凍結乾燥の後に篩分(50メッシュ)し、蜂の子粉末を得た。当該蜂の子粉末を以下の試験(「抗酸化活性測定試験」、「ヒトにおける有効性確認試験」および「マウス皮膚層厚測定試験」など)において使用した。
【0062】
また、得られた蜂の子粉末のキチン含量をキチン・キトサン実験マニュアル(キチン・キトサン研究会編 技報堂出版)の「第5章 キチン,キトサンの分析」に従って測定した結果、キチン含有率は5.0重量%(乾燥粉末重量あたり)であった。
【0063】
[プロポリス]
蜂の巣箱から採取したプロポリス原塊にエタノールを加えて攪拌しながら50℃で2時間過熱し、室温まで冷却後、ろ過して得られた溶液を濃縮して蝋状の固体物を得た(プロポリス抽出物)。得られた固体物に当該固体物と同重量のデキストリン剤を添加してプロポリス粉末を得た。当該プロポリス粉末を以下の試験において使用した。
【0064】
また、得られたプロポリス粉末を高速液体クロマトグラフィー法(高速液体クロマトグラフィーハンドブック(改定2版)、日本分析化学学会関東支部編参照)に供し、p−クマル酸の含有率を測定した結果、p−クマル酸の含有率は2.1重量%(プロポリス抽出物50%の粉末重量あたり)であった。
【0065】
また、「抗酸化活性測定試験」の表3および5におけるプロポリス量は、当該プロポリス粉末(プロポリス抽出物含有率50%)に含まれるプロポリス抽出物の量を示す。なお、賦形剤に使用したデキストリンには抗酸化活性がないことを確認している。
【0066】
[ローヤルゼリー]
採取後に−18℃で冷凍したローヤルゼリーの原液を凍結乾燥して得られた固体を粉砕機で粉砕し、篩分(50メッシュ)して得られた粉末をローヤルゼリーとして使用した。
【0067】
また、得られたローヤルゼリー粉末を高速液体クロマトグラフィー法(高速液体クロマトグラフィーハンドブック(改定2版)、日本分析化学学会関東支部編参照)に供し、デセン酸含有率を測定した結果、デセン酸含有率は5.9重量%(乾燥粉末重量あたり)であった。
【0068】
[試験例1]抗酸化活性測定試験
[試料溶液の調製]
以下、表1〜5に従い、所定の濃度となるように調製した各試料の粉末のジメチルスルホキシド溶液から100μLを取り、遠心分離(5000rpm×5分)の後に、上澄み液から10μLを採取し、試料として添加した。
【0069】
[測定方法]
ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(以下、DPPHと称する;ナカライテスク、#13933−61)をエタノール(Wako、特級)に溶解させ、200μMのDPPH/エタノール溶液を調製した。96ウェルマイクロプレートの各ウェルに、DPPH溶液(190μL)および試料溶液(10μL)を加え、5分間撹拌後、30分間室温にて放置し、その後マイクロプレートリーダー(テカンジャパン株式会社製、製品名:GENios)にて530〜550nmの波長の吸光度を測定した。
【0070】
[検量線の作成]
まず、試料溶液としてL−アスコルビン酸を用いて濃度と吸光度の変化を測定した。その結果を表1に示す。表中、AscはL−アスコルビン酸の濃度(重量%)、Absは試料の550nmにおける吸光度、(Bla−Abs(550nm))は(ブランク吸光度測定値−試料吸光度測定値)を示す。また、表1より検量線を作成し、以下の式を得て、各試料の抗酸化活性をL−アスコルビン酸当量(Asc(%)[EQ])で示した。
(ブランク吸光度測定値−試料吸光度測定値)=24.566×(L−アスコルビン酸濃度)+0.0029
【0071】
【表1】

【0072】
蜂の子、プロポリス、およびローヤルゼリーの抗酸化活性測定試験
蜂の子粉末、プロポリス粉末、およびローヤルゼリー粉末のそれぞれを試料溶液として抗酸化活性を測定し、L−アスコルビン酸当量を算出した。結果を表2〜表4に示す。
【0073】
【表2】

【0074】
【表3】

【0075】
【表4】

【0076】
表2の結果より蜂の子が抗酸化活性を有することが確認された。また、プロポリスには抗酸化効果が確認された(表3)。一方、ローヤルゼリーの抗酸化効果は非常に低いものであった(表4)。
【0077】
蜂の子、プロポリス、およびローヤルゼリーの混合物の抗酸化活性測定試験
蜂の子粉末、プロポリス粉末、およびローヤルゼリー粉末の混合物を試料として抗酸化活性測定を行った。その結果を表5に示す。表中の理論値は、蜂の子、プロポリス、およびローヤルゼリーを各濃度で単独で使用した場合のAsc(%)[EQ]測定値(表2〜4)の和であり、相乗効果は、混合物のAsc(%)[EQ]測定値と当該理論値の比である。
【0078】
【表5】

【0079】
表5では、プロポリス抽出物1重量部に対して蜂の子粉末を6〜240重量部含む場合、またはローヤルゼリー粉末1重量部に対して蜂の子粉末を0.3〜60重量部含む場合において理論値を上回る抗酸化効果を確認した。この結果から、これら3種の成分を混合することで、抗酸化活性が相乗的に高まることが分かった。
【0080】
ここで、飲食品や化粧品およびその原材料の酸化防止剤として一般的に使用されているアスコルビン酸は、例えば、食品素材に注入または配合される場合、0.0003〜0.0005重量%程度で酸化防止剤として有効である(食品添加物公定書解説書(第8版)、谷村顕雄著、廣川書店、2007年参照)。
【0081】
本試験の結果、蜂の子、プロポリス、およびローヤルゼリーを含む経口摂取用組成物は、L−アスコルビン酸と同様に優れた抗酸化活性を有しており、経口摂取用組成物自身の酸化防止能に優れ、また、酸化に起因する肌などの種々の障害を治療、改善および/または予防するための経口摂取用組成物として有用であることが分かった。
【0082】
[試験例2]ヒトにおける有効性確認試験
抗酸化活性を有する組成物を摂取することにより、酸化に起因する種々の障害を治療、改善および/または予防することができる。そこで、本発明の経口摂取用組成物の有効性を確認するために、ヒトモニターを使った摂取試験を行い、肌への影響を調べた。
【0083】
[錠剤の調製]
表6に示す処方の錠剤を慣用法に従って作成した。具体的には、各原材料を処方に従って配合し、粉砕、造粒、乾燥、整粒および混合を行い、それを定法により打錠して錠剤の形態にした。蜂の子粉末、プロポリス粉末、およびローヤルゼリー粉末としては、前述のとおり調製したものを使用した。また、各成分の配合比率は、プロポリス抽出物1重量部に対して蜂の子粉末が65.6重量部、ローヤルゼリー粉末1重量部に対して蜂の子粉末が1.3重量部である。
【0084】
【表6】

【0085】
アンケートによる肌の評価
前記錠剤を1日5粒ずつ1ヶ月間摂取した、20〜40歳の女性モニター19名に、摂取開始時および摂取開始後1ヶ月時点で主観的な顔の肌状態についてアンケートを行った。その結果を表7に示す。
【0086】
【表7】

【0087】
表7の結果から、摂取開始時に比較して摂取開始1ヵ月後では、肌のはり、肌のつや、化粧ののり、肌のかさつき、肌のきめ、肌のくすみ、肌の吹き出物・にきびの全ての項目において、評価が高まる傾向が認められた。
【0088】
肌の弾力性および水分量の変化の測定
客観的な肌状態の変化を確認するために、11名のモニターについては、投与開始時および開始後1ヶ月時に、顔の皮膚(頬骨の部分)の弾力性および水分量を測定した。
【0089】
[測定方法]
測定は洗顔後、湿度60%、温度25℃に調整された部屋で20分馴化した後に行い、弾力値は、Cutometer MPA580(Courage + Khazaka electronic社製)を用い、付属のマニュアルに従ってUf値測定した。肌の弾力性が高いほどUf値は高くなる。水分値は、Skicon200EX(アイ・ビイ・エス株式会社製)を使用し、付属のマニュアルに従い、電気伝導度(μS)として測定した。肌表面の水分含量が多いほど電気伝導度は高くなる。
【0090】
結果を図1および図2に示す。肌の弾力値は摂取開始時に比較して、摂取開始1ヶ月時および2ヶ月時に有意な向上が確認された(p<0.05)。水分値については、有意差は認められなかったが、摂取開始1ヶ月時に増加傾向が確認された。
【0091】
上記試験により、本発明の経口摂取用組成物が美容効果を有することが明らかとなった。
【0092】
[試験例3]マウス皮膚層厚測定試験
本発明の組成物の肌組織への影響をより詳細に調べるために、マウスを用いて以下の給餌試験を行った。
【0093】
[試料の調製]
下記の表8に示す試料を調製した。蜂の子粉末、ローヤルゼリー粉末およびプロポリス粉末は、前述のとおり調製したものを6:5:0.3(プロポリス抽出物として0.15)の重量比で混合したものを使用した。ビタミンMixおよびミネラルMixは日本クレア株式会社製のCLEA精製用を使用した。使用したミルクカゼインはタンパク質を86.2重量%、コーンスターチは炭水化物86.3重量%、コーンオイルは脂質重量の100重量%含有しており、飼料1〜3は全てタンパク質含有量が20重量%となるように調製した。
【0094】
【表8】

【0095】
[試験方法]
ヘアレスマウス(日本エルエスシー株式会社:BALB/c Slc−nu/nu(SPF)3週齢)をA〜E群(各群n=6)に分け、上記表8に示した飼料を表9の給餌スケジュールに従って給餌した。具体的には、各群に低タンパク飼料(6%タンパク質含有)を3週間与えて馴化させ、その後A群には飼料1を、B群には飼料2を、C群には飼料3を与え、D群には低タンパク飼料を引き続き与えた。E群は対照群として3週間後に屠殺し皮膚層厚を測定した。
【0096】
【表9】

【0097】
試験開始7週間経過後にA〜D群のマウスを屠殺し、皮膚層厚(真皮層の厚み)を測定した。具体的には、背中中央の脊柱線から右側部分の皮膚約1cm四方を切り取り、ホルマリンにて固定後、エラスチカ・ワンギ−ソン(EVG)染色標本作製を施し、標本の顕微鏡写真(図3)を撮影した。真皮層の厚さは、写真上で濃紫色に染色された真皮層部分の任意の10箇所の距離を測定し、その平均値を顕微鏡の拡大倍率で割ることによって求めた。
【0098】
測定結果を図4に示す。蜂の子、ローヤルゼリーおよびプロポリス混合物を含む飼料1を与えたA群のマウスの真皮層の厚みは、同量のタンパク質を含有する飼料を与えたB群およびC群のマウスと比べて有意に増加した。また、顕微鏡観察から、A群のマウスでは、コラーゲンを多く含む真皮層の厚みが増加していることがわかる。
【0099】
[試験例4]更年期症状に対する効果確認試験
本発明の組成物の摂取が更年期症状に及ぼす影響を確認するために、40〜50歳の女性モニター25名を被験食品群12名、プラセボ群13名に分けた。被検食品として上記表6の処方で上記調製法により調製した錠剤を使用した。プラセボの錠剤は、以下の表10に示す処方で被験食品と同様の方法により調製した。
【0100】
【表10】

【0101】
被験者はいずれかの錠剤の1日5粒ずつの摂取を8週間継続した。摂取前、摂取開始後4週間後、摂取開始後8週間後に表11に示す簡易更年期指数(SMI)アンケートを行った(小山嵩夫、麻生武志、産婦人科漢方研究のあゆみ、1992年;9巻:30〜34頁;堂地勉、水沼英樹、藤野敏則、大蔵健義、日本産科婦人科學會雜誌、2007年9月、59巻、9号、N−482〜N−487)。表11のアンケート結果より合計点を算出した。
【0102】
【表11】

【0103】
【表12】

【0104】
摂取前の判定で更年期の傾向が認められた者(表12の更年期指数判定表による判定が「正常」以外、スコア26点以上;被検食品群8名、プラセボ群9名)に関して、摂取前、摂取4週間後、摂取8週間後のデータを比較した。摂取前のスコアを基準とした数値の変化量を表13および図5に示す。
【0105】
【表13】

【0106】
表13および図5より摂取4週間後および8週間後で被験食品群はプラセボ群に対して有意に更年期症状の改善が確認された。
【0107】
[処方例]
処方例1〜13(錠剤)
表14に記載する処方からなる組成物を(処方例1〜13)を、慣用法に従って錠剤として調製した。具体的には、各成分を処方に従って配合し、粉砕、造粒、乾燥、整粒および混合を行い、それを定法に従って打錠して錠剤の形態で調製した。
【0108】
【表14】

【0109】
処方例14〜26(顆粒剤)
表15に記載する処方からなる組成物(処方例14〜26)を、慣用法に従って顆粒剤として調製した。具体的には、各成分を処方に従って配合し、定法に従って混合、造粒、乾燥および整粒して顆粒剤の形態にした。
【0110】
【表15】

【0111】
処方例27〜34(液剤)
表16に記載する処方からなる組成物(処方例27〜34)を、慣用法に従って液剤として調製した。具体的には、各成分を処方に従って配合し、定法に従って混合して液剤の形態にした。
【0112】
【表16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
蜂の子、プロポリス、およびローヤルゼリーを含む経口摂取用組成物。
【請求項2】
飲食品の形態である、請求項1に記載の経口摂取用組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−51313(P2010−51313A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179562(P2009−179562)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】