説明

血液の有無についての卵の検査

本発明は卵の血液の有無について検査する装置に関する。本装置は、血液によって選択的に吸収されない第1の波長の光と、血液によって選択的に吸収される第2の波長の光を、検査対象卵に通過させるための光源を有する。さらに、本装置は、検査対象卵を通過した光透過率を、二つの波長の各々について、対応する信号に変換するための検出手段を有し、前記信号の各々は該当する波長の光透過率を表す。本装置はまた、検出手段から出力される信号に基づき、第1の波長に関する光透過率と第2の波長に関する光透過率の比率を決定し、この比率に基づき、卵が血液を含むか否かの判定を表す判定信号を出力するように設計された信号処理手段を有する。本発明によれば、光源は、卵を通過する光を発生するための一つ以上の同一のLED(発光ダイオード)からなる。使用時に、一つ以上のLEDは、特定の狭いスペクトル内の光を出射し、このスペクトルは第1及び第2の波長の両方を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵の血液の有無について検査するための装置に関する。この装置は、血液によって選択的に吸収されない第1の波長の光と、血液によって選択的に吸収される第2の波長の光を、検査対象卵に透過させるための光源と、前記二つの波長の各々について、検査対象卵を通過した光透過率(light transmission)を対応する信号に変換し、前記信号の各々が該当する波長の光透過率を表すようにした検出手段と、前記検出手段から出力される信号に基づき、第1の波長に関する光透過率と第2の波長に関する光透過率の比率を決定し、この比率に基づき、卵が血液を含むか否かの判定を表す判定信号を出力するように設計された信号処理手段とを有する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置は、特許文献1から公知である。光透過率(light transmission)は、二つの波長において卵を透過する光エネルギーである。血液を含まない卵では、二つの異なる波長における透過光エネルギーの測定値の比率は、ほぼ一定である。血液を含む卵では、卵内に血液が存在する結果、第2の波長の光は第1の波長の光より多く吸収され、このことにより二つの波長の透過光エネルギー間の比率が乱れる。この乱れは、当該装置により、卵が血液を含んでいるため不合格とされねばならないことを示す判定信号に変換される。この公知の装置では、第1の波長と第2の波長の光のために、それぞれ異なる光源が使用される。特に、第1の波長については、干渉フィルターを有するハロゲンランプが公知の装置において使用されている。第2の波長については、干渉フィルターを有する水銀スペクトルランプが用いられている。公知の装置はさらに、二つの光源の両方あるいは二者択一的に一方を覆い、その結果、一方の光源からの光線及び他方の光源からの光線が交互に卵に当たるようにした回転バタフライとして知られるものを有する。このバタフライが両方のランプを覆うと、検出手段に光は当たらず、検出手段のオフセットを補償するために、ゼロ測定として知られるものを行うことができる。
【0003】
【特許文献1】オランダ国特許出願公開第7504011号
【特許文献2】米国特許第6、504、603号
【特許文献3】特開2001−41882号公報
【特許文献4】特開2003−65961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、卵の血液の有無について検査するための改良された装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、光源が、卵を透過する光を発生するための一つ以上の同一のLED(発光ダイオード)からなり、前記一つ以上の同一のLEDは、使用時に、特定の狭いスペクトル内の光を出射し、このスペクトルは第1及び第2の波長の両方を含むことを特徴とする、請求項1の序文に説明された種類の装置によって達成される。
【0006】
好適な好ましい態様において、使用時に550〜620nmのスペクトル内のアンバー光を発する一つ以上の同一のLEDが用いられ、このスペクトルは、第1及び第2の波長の両方を含み、第1及び第2の波長は、好ましくは、それぞれ約600nmと約577nmである。このことは、卵内の血液を検出するという用途に該当するスペクトル内で高強度の光が発生されるという利点、言い換えれば、二つの波長において卵を透過する光透過率の測定に有用でない光はほとんど発生されないという利点をもたらす。
【0007】
一つの好ましい態様において、検出手段は、第1の波長の光を選択的に通過させる第1のフィルターを正面に配置した第1のセンサーと、第2の波長の光を選択的に通過させる第2のフィルターを正面に配置した第2のセンサーとを有する。この好ましい態様では、第1のセンサー、例えば光ダイオードは、第1の波長における光透過率を、対応する第1の信号に変換するために用いられる。第2のセンサー、例えば光ダイオードは、第2の波長における光透過率を、対応する第2の信号に変換するために用いられる。各センサーの正面に設置されたフィルターは、好ましくは干渉フィルターとして設計され、二つの波長の光を除き、卵を透過した光を遮断する。
【0008】
好ましくは、検出手段は半透明ミラーを有し、この半透明ミラーは、卵を透過した光の一部を一方のセンサーへ偏向させ、また一部を他方のセンサーに向けて通過させる。良好な血液検出のためには、透過測定が、卵を透過した一つの光線に基づくことが重要である。半透明ミラーを使用することにより、一つの光線からの光を二つのセンサーに容易に送ることができる。
【0009】
別の態様において、検出手段は二色ミラーを有し、この二色ミラーは、一方の波長に対してはミラーとして作用し、他方の波長の光は通過させる。その結果、一つの光線からの光を二つのセンサーに容易に送ることができる。
【0010】
LEDの特性の一つは、出射スペクトル内の出射光強度が温度に依存することである。LEDの温度が変化したときの出射光のスペクトルシフトの結果、第1及び第2の信号間の比率に変動が生じ、本来は良品の卵が血液を含む卵と認識されたり、その逆の恐れもある。本発明の特に好適な好ましい態様において、信号処理手段は、複数個の卵を連続して検査する間の第1の波長に関する光透過率と第2の波長に関する光透過率の比率の変動を検出し、卵が血液を含むか否かの判定に対する前記比率の変動の影響を修正するように設計される。このような手段により、通過する卵群に基づいて測定値を継続的に修正することができ、LEDによって出射される光のスペクトルシフトによる、卵の評価に対する影響を取り除くことができる。
【0011】
本発明はさらに、請求項14〜20のうちの一つ以上による、血液の有無について卵を検査する方法に関する。
【0012】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面を参照しての、以下の好ましい実施例の説明により明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、参照番号1で示された卵検査装置を示す。装置1は、正面に置かれた卵3に光を透過させるための光源として機能するLED(発光ダイオード)2を有する。一つのLEDの代わりに数個のLEDからなるグループを使用することも可能である。卵は、コンベヤーベルト7等を用いて、一個ずつLED2を通過して搬送される。検出手段4は、LED2に対向して、卵3の進路の他側に配置されている。
【0014】
図示された実施例において、検出手段4は、光学センサー4a及び4bを有し、これらのセンサーは、特定の波長λ1及びλ2の光をそれぞれ感受する。第1の波長λ1の光は血液によって選択的に吸収されず、第2の波長λ2の光は血液によって選択的に吸収される。LED2によって出射され、検査対象卵3を照射透過する光は、センサー4a及び4bによって受光され、それぞれ卵を透過する二つの波長λ1及びλ2の光の光透過率(light transmission)をそれぞれ表す第1の信号S1及び第2の信号S2にそれぞれ変換される。
【0015】
信号S1及びS2は、信号処理部5に入力され、信号処理部5は、センサー4a及び4bから出力された信号S1及びS2に基づき、卵3を透過する第1の波長λ1に関する光透過率と、卵3を透過する第2の波長λ2に関する光透過率の比率を決定する。この、光透過率の比率に基づき、信号処理部は、卵3が血液を含むか否かの判定を表す判定信号を発生する。卵3が血液を含むと判定されると、信号処理部5は、イジェクタ部6に制御信号Scを与え、イジェクタ部6は、コンベヤーベルト7上の列から卵を除去する。イジェクタ部6に代わるものとして、制御信号をマルチトラック卵選別機(図示せず)に与え、その結果、血液を含む卵が、この目的のために意図された選別機トラックに送られ排出されるようにしてもよい。卵が血液を含むか否かの判定は、第1の波長における光透過率と第2の波長における光透過率の比率を閾値と比較することにより行なわれる。この比率が閾値を上回る場合、卵が血液を含むという判定が下される。
【0016】
図示された本発明の第1の好ましい実施例において、信号処理部5(図3参照)は、一定値に保たれた増幅係数V1を有する増幅器8と、増幅係数V2を有する調節可能な増幅器9とを有する。各々の増幅器は、増幅後の信号が除算部11に与えられた後、比率(S1*V1)/(S2*V2)が所定の定数、好ましくは1に等しくなるように、センサー4a及び4bから出力された信号をそれぞれ増幅するためのものである。
【0017】
信号処理部5のこのような設計によれば、例えば、下記のように、本装置を設定することができる。まず、第1の卵3をLED2と検出手段4との間に置き、比率(S1*V1)/(S2*V2)が1に等しくなるように増幅係数を調整する。続いて、次の卵3をLED2と検出手段4との間に置く。第2の波長λ2に関する信号S2が第1の卵3に関する信号より弱い場合、増幅係数V2を、比率が再び1に等しくなるように調整する。信号S2が第1の卵3に関する信号より強い場合、増幅係数V2はそのままにしておく。これらのステップは、例えば30から100個の卵のグループに対して繰り返される。この設定方法を用いて、信号処理部は、λ2において比較的強い吸収率をもつ卵3に対して調整される。
【0018】
さらなる好ましい実施例(図3参照)において、電子部品10、好ましくはマイクロプロセッサが、イジェクタ部6のための制御信号Scを生成するために使用される。さらに、電子部品10は、増幅器9の増幅係数V2を継続的に調整するために用いることができる。設定は、マイクロプロセッサを用いて自動的に行なうことも可能である。また、部品10及び11を一つのマイクロプロセッサに組み込むこともできる。
【0019】
別の好適な好ましい実施例(図4参照)において、信号処理部5は、信号S1及びS2をデジタル信号に変換するための二つのA/D変換器15及び16を有する。さらに、信号処理部5は、信号S1及びS2の比率を決定するための部品11を有する。比率S1/S2は、モニタ部12に与えられ、ここで、特定数の卵に基づき、比率S1/S2の平均値をその都度計算する。その都度得られた平均値を用いて、比率S1/S2の経過を監視し、比率S1/S2の平均値が過剰に逸脱した場合、比率S1/S2の変動を補償できるような補正係数を比率S1/S2に乗算する。モニタ部12からの信号は、電子部品10に与えられ、電子部品10は、判定信号を生成し制御信号Scをイジェクタ部6に送る。好ましくは、部品10、11、12は、図4に示されるように、マイクロプロセッサ14に組み込まれる。
【0020】
上述では、比率S1/S2が、この比率の平均値を用いて監視される好ましい実施例を説明した。しかしながら、比率S1/S2を監視するために平均値を用いることは必須ではない。例えば中央値等、統計的に決定される別の適当な値を用いて比率S1/S2を監視することも可能である。
【0021】
上記信号処理部は、LEDとともに用いられる場合に特別な利点を有する。
【0022】
LEDは、出射スペクトル内で出射する光強度が温度依存性をもつという特徴を有する。LEDの温度変化は、出射光のスペクトル内での光強度のシフトによって、第1の信号S1と第2の信号S2との比率に変化が生じ、本来は良品の卵3が血液を含む卵と判断されたり、その逆もまた起こり得る。LEDの温度を測定し、温度依存補正係数を用いることにより、スペクトルシフトを補償することができる。しかしながら、温度測定には別の測定手段が必要であり、装置はさらに複雑かつ高価になる。
【0023】
図3に示された実施例では、マイクロプロセッサ10が、とにかく既に行なわれた透過測定に継続的に基づき、増幅を調整する場合にさらに有利である。そうすれば、当該時点において装置1を通過して搬送される卵3のグループに基き、装置は常にその増幅について較正される。この場合、卵3のグループは30から100個の卵のグループでよい。通過する一群の卵に対して増幅を常に適合させることによって、卵3が誤って不合格とされることが回避される。
【0024】
比率S1/S2を監視する、図4に示す信号処理部5の実施例を用い、LED2のスペクトルシフトの結果比率S1/S2の変動が検出される場合に補正係数を適用することが最も好適である。その結果、卵が血液を含むか否かの判定に対する、LED2のスペクトルシフトの影響を排除することができる。実際に、比率S1/S2の平均値は、その都度約30〜100個の卵からなるグループに対して決定される。平均値が変動し始めていることが検出されると、補正係数が適用される。例えば、決定されたばかりの平均値の逆数を補正係数として用いることができた。通過する卵群に対し継続的に修正を調整することは、卵が誤って不合格とされることを防止する。好ましくは、比率S1/S2の平均値を決定するとき、グループ内の比率S1/S2の極値を除くことにより、修正に対する、血液を含むいかなる卵の影響も排除される。
【0025】
尚、前記比率の変動を修正するために、第1の波長における光透過率と第2の波長における光透過率の比率の平均値を修正する必要はない。前記比率が変動したときに閾値を修正する方法もまた考えられる。
【0026】
当該スペクトルにおける光透過率は、白色や茶色といった卵の色によっても影響を受ける。特許文献2による公知の検査装置では、個々の卵ごとにその色を判定する。したがって、血液検出が白色と茶色のどちらの卵に対して行われるかわかっているので、茶色の卵に対して測定値を修正することができる。図3及び4を参照して上記で説明したように、LEDの温度依存性を克服するために、継続的に信号の増幅あるいは補正係数の増幅を調整することは、色の異なる卵群の問題を取り除き、特許文献2で行われるような個々の卵についての修正が必要ないというさらなる利点を有する。
【0027】
信号処理部5の適応性は、LED以外の光源をもつ検査装置においても好適に利用することができる。白色卵の一群をまず検査し、次に茶色卵の一群が続くときも、信号処理部5は自動的に適応する。
【0028】
LEDによって発生される光を利用した卵検査装置は、それ自体は先行技術から公知である。しかし、これらの装置では、光は、それぞれ異なる波長を出射する異なるLEDによって発生される。例えば、特許文献3には、それぞれが異なる波長の光を発生する異なるLEDグループを備えた装置が開示されている。
【0029】
特許文献4から、それぞれ異なる波長の光を発生する二つの異なる発光素子を利用した卵検査装置が公知である。
【0030】
しかしながら、本発明によれば、LED2は、第1及び第2の波長λ1及びλ2を含む狭いスペクトル内の光を発生する。
【0031】
好ましくは、LEDは、550〜620nmのスペクトル内のアンバー光を発生するために用いられ、波長λ1及びλ2はそれぞれ約600nm及び約577nmであることが好ましい。これは、当該スペクトルにおいて高強度の光が発生されるという利点を提供する。これは、血液について卵を検査する先行技術から公知の光源、例えばハロゲンランプやキセノンランプなどの光源、に優る利点を提供する。これらのランプは非常に広いスペクトルの光を生成するが、卵3を透過する光透過率を測定するためには、特定の限られた帯域幅内の二つの波長λ1及びλ2の光だけが必要である。公知の装置では、ハロゲン及びキセノンランプの広いスペクトルは干渉フィルターを用いて減衰される。それでもなお、この光は、広いスペクトルに渡り、減衰された状態で検出手段に当たり、光透過率の測定に大きく寄与し、故に、測定結果を乱す。そこで、限られたスペクトルのLED2を用いれば、二つの波長λ1及びλ2において卵3を透過する光透過率測定に不要な光はほとんど生成されない。
【0032】
LED2の電源オンオフを切り換えることによって、その都度、一つの光パルスが出射される。LED2の電源を切ったとき、検出手段4のオフセットを補償するために、ゼロ測定を毎回行うことが好ましい。LED2は光パルスを出射するので、ゼロ測定のために光源2あるいは検出手段4を覆うための機械的部品を必要としない。
【0033】
例えば、キセノンフラッシュランプなどのフラッシュランプは、それ自体は先行技術から公知であり、このようなフラッシュランプによって、特許文献1に開示されているようなメカニカルバタフライは時代遅れとなる。しかしながら、この種のフラッシュランプは大抵高価であり、耐用年数が限られている。公知のフラッシュランプは、例えば、0.1ms以下の超短光パルスしか生成できない。超短光パルスの一つの欠点は、卵を透過する光透過率の測定中に高周波信号が生成されることである。測定に影響を及ぼす雑音は、通常、大きな高周波成分を有する。それでもなお、良好な信号対雑音比、すなわち、卵を透過する光はごくわずかであることから測定される信号は非常に弱いために重要なものである良好な信号対雑音比を得るために、光パルスが非常に短い場合には、高い光強度を利用する必要がある。このことはフラッシュランプの耐用年数に対して悪影響を及ぼす。
【0034】
LED2を用いて、任意の持続期間の光パルス、例えば、10msの光パルスを生成することができる。その結果、公知のフラッシュランプの使用と比べて、比較的低周波の信号が生成され、ローパスフィルターを用いてフィルタリングすることにより、光透過率の測定に対する高周波雑音妨害の影響を軽減することができる。これによって、かなり強度の低い光の使用が可能となり、エネルギー節約につながるとともに光源の耐用年数を増加させる。さらに、フラッシュランプと比較して、LEDは低電圧しか必要とせず、フラッシュランプを使用する際に必要とされる高電圧に比べて大幅に安全であるという利点を有する。さらにまた、サービスエンジニアが検査装置の動作確認を必要とするとき、LEDはエンジニアの目をくらませることはないが、フラッシュランプは目をくらませるので、実際のところその作業を大幅に妨害する恐れがある。
【0035】
図2は、図1の検査装置の一部をより詳細に示す。参照番号2はここでもやはりLEDを示す。LED2は、細い光線の焦点を卵3に合わせることができるように、組み込まれた光学部材を有することが好ましい。
【0036】
さらに、図2は、ハウジング40を有する検出手段4を示す。卵3を透過した光は開口41を介してハウジング40内に入り、光線に対してある角度をなして、好ましくは45度の角度をなして位置するミラー42に当たる。光線はハウジング40の管状部40aによって第2のミラー43へ向けられる。第2のミラー43は、半透明ミラーとして設計されるので、光線の一部は反射され、また一部は通過を許される。ミラー43は、ハウジング管状部40a内の光線に対してある角度をなして、好ましくは45度の角度をなして配置される。ミラー43を透過した光は第1のセンサー4aに当たり、反射されその結果偏向された光は第2のセンサー4bに当たる。ハウジング40の管状部40aとその内部に配置された二つのミラー42及び43によって、開口41から入った散乱光が、センサー4a及び4bに到達し、その結果、光透過率測定を乱すことができるだけ少なくなることが保証される。
【0037】
センサー4a及び4bは光ダイオードとして設計されることが好ましい。レンズ46が第1のセンサー4aの正面に置かれ、センサー4aに光線の焦点を合わせる。さらに、干渉フィルター44がセンサー4aの正面に置かれ、この干渉フィルター44は第1の波長λ1、すなわち、約600nmの光を通過させる。レンズ47が第2のセンサー4bの正面に置かれ、センサー4bに光線の焦点を合わせる。さらに、第2の干渉フィルター45が第2のセンサー4bの正面に置かれ、第2の波長λ1、すなわち、約577nmの光を通過させる。
【0038】
検出手段は、図2を参照して説明したものとは異なる設計であってもよいことは明らかである。したがって、例えば、半透明ミラーの代わりに二色ミラーを用いることが可能である。二色ミラーは、第1の波長λ1の光を通過させ、第2の波長λ2の光を反射する。また、本発明の概念から逸脱することなく、異なる構成の他の適当なセンサーやフィルターを用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明による、卵の血液について検査するための装置の好ましい実施例を概略的に示す図である。
【図2】図1の装置の好ましい実施例の一部を示す図である。
【図3】図1の装置の信号処理部の一例を概略的に示す図である。
【図4】図1の装置の信号処理部の別の例を概略的に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液によって選択的に吸収されない第1の波長の光と、血液によって選択的に吸収される第2の波長の光を、検査対象卵に通過させるための光源と、
前記二つの波長の各々について、検査対象卵を通過した光透過率(light transmission)を対応する信号に変換し、前記信号の各々が該当する波長の光透過率を表すようにした検出手段と、
前記検出手段から出力される信号に基づき、前記第1の波長に関する光透過率と前記第2の波長に関する光透過率の比率を決定し、この比率に基づき、卵が血液を含むか否かの判定を表す判定信号を出力するように設計された信号処理手段とを有し、
前記光源は、卵を透過する光を発生するための一つ以上の同一のLED(発光ダイオード)からなり、前記一つ以上の同一のLEDは、使用時に、特定の狭いスペクトル内の光を出射し、前記スペクトルは前記第1及び前記第2の波長の両方を含むことを特徴とする、血液の有無について卵を検査するための装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記LEDは、アンバー色の光、特に550〜620nmのスペクトル内のアンバー光を出射することを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1又は2の内のいずれか一項に記載の装置前記第1の波長は約600nmであり、前記第2の波長は約577nmであることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の内のいずれか一項に記載の装置において、前記検出手段は、前記第1の波長の光を選択的に通過させる第1のフィルターを正面に配置した第1のセンサーと、前記第2の波長の光を選択的に通過させる第2のフィルターを正面に配置した第2のセンサーとを有することを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置において、前記第1のセンサー及び前記第2のセンサーは、光ダイオードを有することを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の装置において、前記第1のフィルターと前記第2のフィルターは干渉フィルターを有することを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項4に記載の装置において、前記検出手段は半透明ミラーを有し、前記半透明ミラーは卵を透過した光の一部を前記センサーの一方へ偏向させ、また、光の一部を他方のセンサーに向けて透過させることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項4に記載の装置において、前記検出手段は二色ミラーを有し、前記二色ミラーは一方の波長に対してミラーとして作用し、他方の波長の光の通過を許すことを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の内のいずれか一項に記載の装置前記LEDは、光線の焦点を卵に合わせるために、組み込まれた光学部材を備えていることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の内のいずれか一項に記載の装置前記信号処理手段は、複数個の卵を連続して検査する間の前記第1の波長に関する光透過率と前記第2の波長に関する光透過率の比率の変動を検出し、卵が血液を含むか否かの判定に対する前記比率の変動の影響を修正するように設計されたことを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置において、前記信号処理手段はマイクロプロセッサを有することを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の装置において、前記信号処理手段は、前記検出手段から出力された信号を増幅するための調整可能な増幅器を有し、前記増幅器は、前記信号間の比率の変動を補償するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1乃至12の内のいずれか一項による装置を用いることを特徴とする、卵を検査するための方法。
【請求項14】
LEDを用いて検査対象卵に光を透過させ、前記光は血液によって選択的に吸収されない第1の波長と血液によって選択的に吸収される第2の波長を含み、前記二つの波長において検査対象卵を透過する光透過率を対応する信号に変換し、前記信号は各々、該当する波長における光透過率を表し、前記信号に基づいて、前記第1の波長に関する光透過率と前記第2の波長に関する光透過率の比率を決定し、この比率に基づき、卵が血液を含むか否かを判定することを特徴とする卵の血液の有無について検査するための方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、前記第1の波長の光透過率と前記第2の波長の光透過率の比率と、閾値との比較によって、卵が血液を含むか否かを判定し、前記比率が閾値を超えている場合、卵が血液を含むと判定することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、前記第1の波長に関する光透過率と前記第2の波長に関する光透過率の比率を監視することを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、前記第1の波長に関する光透過率と前記第2の波長に関する光透過率の比率を、前記比率について統計的に決定された値、好ましくは平均値を用いて監視し、前記値を、特定数の卵のグループごとにその都度決定することを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項16又は17に記載の方法において、前記第1の波長に関する光透過率と前記第2の波長に関する光透過率の比率が変動した場合、閾値が一定に保たれるように前記比率を修正することを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項16又は17に記載の方法において、前記第1の波長に関する光透過率と前記第2の波長に関する光透過率の比率が変動した場合、前記閾値を修正することを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項13〜19のいずれか一項に記載の方法において、前記LEDを交互に電源オンオフし、オフセット補償を行うためにLEDを電源オフしたとき、暗測定(dark measurement)を行うことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−513770(P2008−513770A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532263(P2007−532263)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【国際出願番号】PCT/NL2005/000639
【国際公開番号】WO2006/031100
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(506088540)スタールカット インターナショナル ベスローテン フェンノートシャップ (4)
【Fターム(参考)】