説明

血液ポンプ

【課題】2つのハウジング部材によりハウジングが形成される血液ポンプであって、血液室内に露出する突合線内への血液の侵入を抑制し、突合線部分に起因する血栓形成を防止することができる血液ポンプを提供する。
【解決手段】血液ポンプ1は、血液室24を有するハウジング2と、ハウジング2の内部にて回転するインペラ7を備える。ハウジング2は、第1ハウジング側接合部34を備える第1ハウジング部材3と、第2ハウジング側接合部44を備える第2ハウジング部材4とからなり、第1ハウジング側接合部34と第2ハウジング側接合部44を接合させることにより、血液室24内に露出する突合線25を備える。第1ハウジング側接合部34または第2ハウジング側接合部44の突合線側となる部分には、水膨潤性物質35,45が被覆されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
人工心臓に用いられる遠心ポンプやペースメーカーなど長期間体内に埋め込む医療器具においては、機器内部の機械部品、電子回路、それらと接続されるケーブル等を湿気や水分から保護し、また、機器内部の気体もしくは液体が外部へ漏出することを防止する必要がある。そこで、機器の接合面等を吸水性あるいはガス透過性の低いプラスチック材料を用いてシールして密封することが行われている。また、機器を密封するため、埋込型医療器具を、ハウジングごとシリコン樹脂等でモールドするなどの方法が採られている。
【0003】
しかし、プラスチック材料は、生体内のような多湿環境下において、わずかながらガス透過性、吸湿性を有しているため、長期間機器内部の部品等を湿気から守り、また、ハウジング内の気体等の生体への漏出を防止することは困難である。さらに、プラスチック材料は、長期間体内に埋め込んでおくと劣化して、上記漏出等を生ずるおそれがある。
このため、長期的使用を目的とする医療器具のハウジングは金属に形成されたものが多い。しかし、ハウジングを金属により形成すると、ハウジングを組み立てるときに溶接を行うことが必要となる。この溶接時の加熱によりハウジングに歪みが生じることがある。また、接着剤による組み立ても可能であるが、接着剤の溶出ならびに劣化の問題がある。
そこで、本願出願人は、特開2003−135592号公報(特許文献1)および特開2002−306591(特許文献2)に示すように、2つの金属製のハウジング組立部材を組み立てることによりハウジングを形成する医療器具において、溶接ならびに接着剤を利用することなく組み立て部を確実に液密かつ気密にシールした液体ポンプを提供している。
【0004】
【特許文献1】特開2003−135592号公報
【特許文献2】特開2002−306591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のものも十分な効果を奏するが、血液室内に露出する突合線部分に隙間が生じ、血液が侵入する可能性があり、血栓形成の可能性が否定できない。
そこで、本発明は、2つのハウジング部材によりハウジングが形成される血液ポンプであって、血液室内に露出する突合線内への血液の侵入を抑制し、突合線部分に起因する血栓形成を防止することができる血液ポンプを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) 第1ハウジング部材と該第1ハウジング部材と接合される第2ハウジング部材とからなり、かつ血液流入ポート、血液流出ポートおよび前記血液流入ポートおよび前記血液流出ポートと連通する血液室を有するハウジングと、該ハウジング内部にて回転し、血液を送液するインペラを備える血液ポンプであって、前記第1ハウジング部材は、第1ハウジング側接合部を備え、前記第2ハウジング部材は、前記第1ハウジング側接合部と接合される第2ハウジング側接合部を備え、前記ハウジングは、前記第1ハウジング部材の前記第1ハウジング側接合部と前記第2ハウジング部材の前記第2ハウジング側接合部を接合させることにより、前記血液室内に露出する突合線を備え、さらに、前記第1ハウジング側接合部および/または前記第2ハウジング側接合部の少なくとも前記突合線側となる部分には、水膨潤性物質が被覆されている血液ポンプ。
【0007】
(2) 前記水膨潤性物質は、前記第1ハウジング側接合部および/または前記第2ハウジング側接合部のほぼ全面に被覆されている上記(1)に記載の血液ポンプ。
(3) 前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材は、前記第1ハウジング側接合部と前記第2ハウジング側接合部とを接合させた状態にて、締結部材により固定されている上記(1)または(2)に記載の血液ポンプ。
【0008】
(4) 前記水膨潤性物質が、ヒドロゲルである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の血液ポンプ。
(5) 前記水膨潤性物質が、(メタ)アクリル酸系、ポリビニルアルコール系、(メタ)アクリルアミド系、ポリアルキレンオキサイド系、ポリアルキレンイミン系、デンプン系、セルロース系よりなる群から選ばれた少なくとも1種の水膨潤性高分子化合物である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の血液ポンプ。
(6) 前記水膨潤性物質が、アクリレート系のデンプングラフト化物、部分的にけん化したポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−ビニルアルコール重合体、ポリエチレンオキサイド、セルロース系重合体、架橋型N−ビニルカルボン酸アミド樹脂、ポリエチレンオキシド系重合体、アルファー化デンプン、デンプン・アクリル酸ナトリウムグラフト共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、変性アクリル系架橋重合体、ポリアクリルアミド /アクリル酸混合物からなるヒドロゲルよりなる群から選ばれた少なくとも1種の水膨潤性高分子化合物である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0009】
(7) 前記血液ポンプは、前記インペラが、前記ハウジング内面に対して非接触状態にて回転し、血液を送液するものである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の血液ポンプ。
(8) 前記血液ポンプは、前記インペラを前記ハウジング外より吸引しかつ回転させるためのインペラ回転トルク発生部と、前記インペラの前記ハウジング内での非接触状態での回転を可能とする非接触式軸受機構とを備えるものである上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0010】
(9) 前記非接触軸受機構は、前記インペラを前記インペラ回転トルク発生部の吸引方向と反対側に吸引する磁性体もしくは電磁石により構成されている上記(8)に記載の血液ポンプ。
(10) 前記非接触軸受機構は、前記インペラ回転トルク発生部側の前記ハウジング内面もしくは前記インペラの前記インペラ回転トルク発生部側の表面に設けられた動圧溝により構成されている上記(8)に記載の血液ポンプ。
(11) 前記インペラ回転トルク発生部は、前記インペラを吸引するための磁石を備えるロータと、該ロータを回転させるモータとを備えるものである上記(8)ないし(10)のいずれかに記載の血液ポンプ。
(12) 前記インペラ回転トルク発生部は、前記インペラを吸引するとともに該インペラを回転させるために円周上に配置された複数のステータコイルを備えるものである上記(8)ないし(10)のいずれかに記載の血液ポンプ。
【発明の効果】
【0011】
本発明の血液ポンプは、第1ハウジング部材と該第1ハウジング部材と接合される第2ハウジング部材とからなり、かつ血液流入ポート、血液流出ポートおよび前記血液流入ポートおよび前記血液流出ポートと連通する血液室を有するハウジングと、該ハウジング内部にて回転し、血液を送液するインペラを備える血液ポンプであって、前記第1ハウジング部材は、第1ハウジング側接合部を備え、前記第2ハウジング部材は、前記第1ハウジング側接合部と接合される第2ハウジング側接合部を備え、前記ハウジングは、前記第1ハウジング部材の前記第1ハウジング側接合部と前記第2ハウジング部材の前記第2ハウジング側接合部を接合させることにより、前記血液室内に露出する突合線を備え、さらに、前記第1ハウジング側接合部および/または前記第2ハウジング側接合部の少なくとも前記突合線側となる部分には、水膨潤性物質が被覆されている。
【0012】
このため、第1ハウジング部材と第2ハウジング部材との接合部により形成され、かつ血液室内に露出する突合線部分に隙間が仮に生じたとしても、その隙間に血液もしくはプライミング時のプライミング液が侵入することにより、その隙間に存在する水膨潤性物質が膨潤し、膨潤した水膨潤性物質により、隙間が補綴され、それ以上の液体の侵入を阻止する。このため、突合線部分に起因する血栓の発生を防止し、また、水と接触することにより膨潤した水膨潤性物質は、第1ハウジング側接合部と前記第2ハウジング側接合部間により押圧された状態となり、その離脱は極めて少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
本発明の血液ポンプ1は、第1ハウジング部材3と第1ハウジング部材3と接合される第2ハウジング部材4とからなり、かつ血液流入ポート5、血液流出ポート6および血液流入ポート5および血液流出ポート6と連通する血液室24を有するハウジング2と、ハウジング2の内部にて回転し、血液を送液するインペラ7を備える。第1ハウジング部材3は、第1ハウジング側接合部34を備え、第2ハウジング部材4は、第1ハウジング側接合部34と接合される第2ハウジング側接合部44を備え、ハウジング2は、第1ハウジング部材3の第1ハウジング側接合部34と第2ハウジング部材4の第2ハウジング側接合部44を接合させることにより、血液室24内に露出する突合線25を備える。さらに、第1ハウジング側接合部34および/または第2ハウジング側接合部44の少なくとも突合線側となる部分には、水膨潤性物質35,45が被覆されている。
【0014】
図1は、本発明の血液ポンプを遠心式血液ポンプに応用した実施例の正面図である。図2は、図1に示した血液ポンプの平面図である。図3は、図2のA−A線断面図である。図4は、図1の血液ポンプより、第1のハウジング部材を取り外した状態の平面図である。図5は、図1に示した血液ポンプの第1のハウジング部材の底面図である。図6は、図1に示した血液ポンプの第2のハウジング部材の平面図である。図7は、図1に示した血液ポンプのインペラの平面図である。
【0015】
この実施例の血液ポンプ1は、ハウジング2と、ハウジング2内にて回転するインペラ7とからなる。また、ハウジング2は、第1のハウジング部材3と第2のハウジング部材4を備える。
ハウジング2は、図1ないし図6に示すように、内部に空間を有する円盤状に形成されており、第1ハウジング部材3と第2ハウジング部材4とからなる。
第1ハウジング部材3の上部には、血液流入ポート5がほぼ中央より垂直方向上方に突出するように設けられている。第1ハウジング部材3および第2ハウジング部材4の側面には、図1ないし図6に示すように、血液流出ポート6が側面の接線方向に突出するように設けられている。また、第1ハウジング部材3と第2ハウジング部材4を組み合わせることによりハウジング2が形成されるとともに、ハウジング2内には、血液流入ポート5と血液流出ポート6とを連通する血液室24が形成されている。そして、血液室24内には、インペラ7が収容されている。また、第1ハウジング部材3と第2ハウジング部材4を組み合わせることにより、突合線25が形成される。
【0016】
第1ハウジング部材3は、第2ハウジング部材4と組み合わされる部分に、図1ないし図3および図5に示すように、第1ハウジング部材3の底部周縁部を取り囲みかつ外方に突出した第1ハウジング側接合部34を備えている。第1ハウジング側接合部34は、フランジ状となっているとともに、その底面は平坦面となっている。また、第1ハウジング部材3は、血液流入ポートを備える第1ハウジング部材本体31とこの本体31を被包するドーナツ状のカバー部材33により構成されている。
第2ハウジング部材4は、第1ハウジング部材3と組み合わされる部分に、図1ないし図4および図6に示すように、第2ハウジング部材4の上部周縁部を取り囲みかつ外方に突出した第2ハウジング側接合部44を備えている。第2ハウジング側接合部44は、フランジ状となっているとともに、その上面は平坦面となっている。また、第2ハウジング部材4は、第2ハウジング部材本体41とこの本体41の底部を被包するカバー部材43により構成されている。
【0017】
そして、第1ハウジング側接合部34と第2ハウジング側接合部44が面接触するように、第1ハウジング部材3と第2ハウジング部材4とを組み合わせることにより、血液室内に露出する突合線25が形成される。また、第1ハウジング側接合部34または第2ハウジング側接合部44の少なくとも突合線側となる部分には、水膨潤性物質35,45が被覆されている。この実施例の血液ポンプ1では、第1ハウジング側接合部34の接合面のほぼ全体に水膨潤性物質35が被覆されており、第2ハウジング側接合部44の接合面のほぼ全体に水膨潤性物質45が被覆されている。なお、水膨潤性物質は、第1ハウジング側接合部34または第2ハウジング側接合部44の一方の接合面のみに被覆するものであってもよく、また、接合部の全体ではなく、突合線側となる部分にのみ設け、接合部の外縁部となる部分には、被覆しないものであってもよい。
【0018】
また、第2ハウジング部材4は、側面にケーブル用ポート66を備えている。具体的には、図1、図2および図4に示すように、第2ハウジング部材本体41の底部を被包するカバー部材43の側面に、ケーブル用ポート66が形成されている。そして、後述するインペラ回転トルク発生部13(具体的には、モータ64)に接続されたコードは外層に補強体が巻き付けられるなどによりケーブル65を形成し、ケーブル65は、ケーブル用ポート66より外部に延出している。
【0019】
水膨潤性物質としては、水膨潤性物質が、(メタ)アクリル酸系、ポリビニルアルコール系、(メタ)アクリルアミド系、ポリアルキレンオキサイド系、ポリアルキレンイミン系、デンプン系、セルロース系よりなる群から選ばれた少なくとも1種の水膨潤性高分子化合物が好適に使用できる。
また、水膨潤性物質としては、アクリレート系のデンプングラフト化物、部分的にけん化したポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−ビニルアルコール重合体、ポリエチレンオキサイド、セルロース系重合体、架橋型N−ビニルカルボン酸アミド樹脂、ポリエチレンオキシド系重合体、アルファー化デンプン、デンプン・アクリル酸ナトリウムグラフト共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、変性アクリル系架橋重合体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の水膨潤性高分子化合物も好適に使用できる。
【0020】
また、水膨潤性物質としては、いわゆるヒドロゲル(hydrogel)が好ましい。ヒドロゲルは、水もしくは他の水性流体を吸収し得ると共にポリマ・マトリクスの溶解を蒙らずに膨潤し得るポリマ材料を指す。典型的には、ヒドロゲルが膨潤するにつれ、そのポリマ・マトリクス内の細孔のサイズは増大する。ヒドロゲルとしては、ポリアクリルアミド/アクリル酸の混合物が好適である。
具体的には、ヒドロゲルの好ましい処方としては、単量体溶液は、エチレン性不飽和単量体、エチレン性不飽和架橋剤、ポロシゲン及び溶媒からなる。選択される単量体の少なくとも一部分、好ましくは10%〜50%、より好ましくは10%〜30%がpH感受性であることが好ましい。好ましいpH感受性単量体はアクリル酸である。また、メタクリル酸及び両方の酸の誘導体もpH感受性を与える。これらの酸で製造されたヒドロゲルの機械的性質は比較的貧弱であり、追加の機械的性質を与えるための単量体を選択することが好ましい。機械的性質を与えるための好ましい単量体はアクリルアミドであり、このものを上記のpH感受性単量体の1種以上と併用して追加の圧縮強度その他の機械的性質を与えることができる。該単量体の溶媒中での好ましい濃度は、20%(w/w)〜30%(w/w)の範囲にある。架橋剤としては、任意の多官能性のエチレン性不飽和化合物、好ましくはN,N'−メチレンビスアクリルアミドが好ましい。ヒドロゲル材料の生体分解性を望む場合には、生体分解性架橋剤を選択することが好ましい。溶媒中の架橋剤濃度は、約1%(w/w)以下が好ましく、特に、約0.1%(w/w)以下であることが好ましい。
【0021】
そして、第1ハウジング側接合部34および第2ハウジング側接合部44の当接面は、ハウジング2の中心軸に対して垂直に形成されているとともに、重ね合わせた時に、適合する対照形態となっている。
そして、第1ハウジング部材3と第2ハウジング部材4は、第1ハウジング側接合部34と第2ハウジング側接合部44とを接合させた状態にて、締結部材9により固定されている。具体的には、第1ハウジング側接合部34および第2ハウジング側接合部44には、第1ハウジング部材3と第2ハウジング部材4とを固定するための締結部材9を取り付けるためのねじ穴が形成されている。ねじ穴は、複数設けられており、特に、ハウジングの中心軸に対してほぼ等角度となるように設けられる。また、血液流出ポート付近にも、ねじ穴が形成され、このねじ穴に締結部材9が取り付けられている。
【0022】
第1ハウジング部材3および第2ハウジング部材4の構成材料としては、金属が用いられる。特に、生体適合性を有する金属が好適である。生体適合性金属としては、例えば、チタン、チタン合金、ステンレス等が好ましい。
さらに、この実施例の遠心式血液ポンプ1では、第1ハウジング部材3および第2ハウジング部材4は、血液流出ポート6に向かう血液流を2分するための仕切部37,47を備えている。そして、この仕切部37と仕切部47の接触面の両者もしくは片方には、上述した水膨潤性物質が被覆されている。
【0023】
そして、この実施例の血液ポンプ1は、インペラ7が、ハウジング2の内面に対して非接触状態にて回転し、血液を送液するポンプ部12を備えるタイプのものとなっている。このため、血液ポンプ1は、インペラ7をハウジング外より吸引しかつ回転させるためのインペラ回転トルク発生部13と、インペラ7のハウジング2内での非接触状態での回転を可能とする非接触式軸受機構14とを備えるものとなっている。
特に、この血液ポンプ1では、非接触軸受機構14が、インペラ7に設けられた第1の磁性体79と、第1の磁性体79をインペラ回転トルク発生部13の吸引方向と反対側に吸引する磁性体もしくは電磁石(この実施例では、永久磁石51)と、インペラ回転トルク発生部側のハウジング内面もしくはインペラのインペラ回転トルク発生部側の表面に設けられた動圧溝38により構成されているタイプのものとなっている。
【0024】
具体的には、遠心式血液ポンプ1は、インペラ回転トルク発生部13は、インペラ7の第2の磁性体75を吸引するための磁石63を備えるロータ61と、ロータ61を回転させるモータ64を備えている。また、遠心ポンプ部内において、インペラ7に対するインペラ回転トルク発生部13の磁力発生源による吸引力と永久磁石51による吸引力の合力が、ハウジング2内のインペラ7の可動範囲の中央付近にて釣り合うものとなっている。
このため、第2ハウジング部材4には、図3および図6に示すように、ロータ61側となるハウジング内面46に設けられた動圧溝48を備えている。そして、インペラ7は、所定以上の回転数にて回転することにより発生する動圧溝48とインペラ7間に形成される動圧軸受効果により、非接触状態にて回転する。
【0025】
動圧溝48は、図6に示すように、インペラ7の底面(ロータ側面)に対応する大きさに形成されている。この実施例のポンプ1では、動圧溝48は、第2ハウジング部材4の底面46の中心より若干離間した円形部分の周縁(円周)上に一端を有し、渦状に(言い換えれば、湾曲して)底面46の外縁付近まで、幅が徐々に広がるように延びている。また、動圧溝48は複数個設けられており、それぞれの動圧溝48はほぼ同じ形状であり、かつほぼ同じ間隔に配置されている。動圧溝48は、凹部であり、深さとしては、0.005〜0.4mm程度が好適である。動圧溝としては、6〜36個程度設けることが好ましい。この実施例では、12個の動圧溝がインペラの中心軸に対して等角度に配置されている。この実施例のポンプにおける動圧溝38は、いわゆる内向スパイラル溝形状となっており、インペラが反時計方向に回転することにより、この動圧溝の作用による流体のポンピングは、溝部の外径から内径に向け圧力が高められるために、インペラ7とこの動圧溝を形成しているハウジング2間に反発力が得られ、これが動圧力となる。
なお、動圧溝は、ハウジング側ではなくインペラ7のロータ側の面に設けてもよい。この場合も上述した動圧溝と同様の構成とすることが好ましい。
【0026】
そして、この血液ポンプ1では、さらに、永久磁石51側となる第1ハウジング部材の内側上面36にも動圧溝38を設けることが好ましい。具体的には、図5に図示すように、インペラ7の上面に対応する大きさに形成されている。この実施例のポンプ1では、第1ハウジング部材3の内側上面36の中心より若干離間した円形部分の周縁(円周)上に一端を有し、渦状に(言い換えれば、湾曲して)上面36の外縁付近まで、幅が徐々に広がるように延びている。また、動圧溝38は複数個設けられており、それぞれの動圧溝38はほぼ同じ形状であり、かつほぼ同じ間隔に配置されている。動圧溝38は、凹部であり、深さとしては、0.005〜0.4mm程度が好適である。動圧溝としては、6〜36個程度設けることが好ましい。この実施例では、12個の動圧溝がインペラの中心軸に対して等角度に配置されている。
【0027】
そして、血液ポンプ1のハウジング2内に形成された血液室24内には、中央に貫通口を有する円板状のインペラ7が収納されている。インペラ7は、下面を形成するドーナツ板状部材(下部シュラウド)77と、上面を形成する中央が開口したドーナツ板状部材(上部シュラウド)78と、両者間に形成された複数(例えば、7つ)のベーン71を有する。そして、下部シュラウドと上部シュラウドの間には、隣り合うベーン71で仕切られた複数(例えば、7つ)の血液通路26が形成されている。血液通路は、図4に示すように、インペラ7の中央開口と連通し、インペラ7の中央開口を始端とし、外周縁まで徐々に幅が広がるように延びている。言い換えれば、隣り合う血液通路間にベーンが形成されている。なお、この実施例では、それぞれの血液通路およびそれぞれのベーン形成部は、等角度間隔にかつほぼ同じ形状に設けられている。
そして、シュラウドとベーンとの接合部にも上述した水膨潤性物質が被覆されていることが好ましい。具体的には、上部シュラウド78とベーン71との接合部および下部シュラウド77とベーン71との接合部に、水膨潤性物質が被覆されていることが好ましい。
【0028】
また、インペラ7には、複数の磁性体75(永久磁石、従動マグネット)が埋設されている。埋設された磁性体75(永久磁石)は、インペラ回転トルク発生部13のロータ61に設けられた永久磁石63によりインペラ7を血液流入ポート5と反対側に吸引し、かつ回転トルクをインペラ回転トルク発生部より伝達可能にするために設けられている。また、インペラ7は、上部シュラウドそのものもしくは上部シュラウド内に設けられた磁性部材79を備える。磁性部材79は、磁石51によりインペラ7を血液流入ポート5側に吸引するために設けられている。
インペラ回転トルク発生部13は、第2ハウジング部材4内に収納されたロータ61とロータ61を回転させるためのモータ64(内部構造を省略する)からなる。ロータ61は、ポンプ部12側の面に設けられた複数の永久磁石63を備えている。
【0029】
また、本発明の血液ポンプとしては、上述したようなタイプのものに限定されるものではない。
例えば、図8ないし図10に示すようなタイプの血液ポンプ10であってもよい。
図8は、本発明の血液ポンプを遠心式血液ポンプに応用した他の実施例の正面図である。図9は、図8に示した血液ポンプの平面図である。図10は、図9のC−C線断面図である。
この実施例の血液ポンプ10と上述した血液ポンプ1との相違は、非接触式軸受機構のみである。
【0030】
この血液ポンプ10では、非接触式軸受機構(インペラ位置制御部)14は、図9および図10に示すように、インペラ7の磁性部材79を吸引するための固定された複数の電磁石52と、インペラ7の磁性部材79の位置を検出するための位置センサ53を備えている。具体的には、インペラ位置制御部14は、第1ハウジング部材内に収納された複数の電磁石52と、複数の位置センサ53を有する。インペラ位置制御部の複数(3つ)の電磁石52および複数(3つ)の位置センサ53は、それぞれ等角度間隔に設けられており、電磁石52と位置センサ53も等角度間隔に設けられている。電磁石52は、鉄心とコイルからなる。電磁石52は、この実施例では、3個設けられている。電磁石52は、3個以上、例えば、4つでもよい。3個以上設け、これらの電磁力を位置センサ53の検知結果を用いて調整することにより、インペラ7の回転軸(z軸)方向の力を釣り合わせ、かつ回転軸(z軸)に直交するx軸およびy軸まわりのモーメントを制御することができる。
位置センサ53は、電磁石52と磁性部材79との隙間の間隔を検知し、この検知出力は、電磁石52のコイルに与えられる電流もしくは電圧を制御する制御機構(図示せず)の制御部に送られる。
【0031】
そして、この実施例の血液ポンプ10においても、第2ハウジング部材4は、側面にケーブル用ポート66を備えている。具体的には、図8および図9に示すように、第2ハウジング部材本体41の底部を被包するカバー部材43の側面に、ケーブル用ポート66が形成されている。そして、インペラ回転トルク発生部13(具体的には、モータ64)および上述した電磁石に接続されたコードは束ねられるととともに、外層に補強体が巻き付けられるなどによりケーブル65を形成し、ケーブル65は、ケーブル用ポート66より外部に延出している。なお、ケーブル用ポート66は、第1ハウジング部材3に設けてもよい。
【0032】
また、上述したすべての実施例の血液ポンプにおいて、インペラ回転トルク発生部13は、図11ないし図13に示す血液ポンプが備えるタイプのものであってもよい。
図11は、本発明の血液ポンプを遠心式血液ポンプに応用した他の実施例の正面図である。図12は、図11に示した血液ポンプの断面図である。図13は、図11に示した血液ポンプの底面図である。
この血液ポンプ20では、インペラ回転トルク発生部13は、図12および図13に示すように、第2ハウジング部材4内に収納され、通電時にインペラ7の磁性体75をインペラ7の一方の面側より吸引し、かつ回転させるために円状に配置された複数のステータコイル91を備えるステータコイル式モータにより構成されている。
【0033】
ステータコイル91は、円周上にほぼその円周の中心軸に対して等角度となるように複数配置されている。具体的には、6個のステータコイルが用いられている。また、ステータコイルとしては、多層巻きのステータコイルが用いられる。各ステータコイル91に流れる電流の方向を切り換えることにより、回転磁界が発生し、この回転磁界により、インペラは吸引されるとともに回転する。
そして、図13に示すように、インペラ7には、複数(例えば、6〜12個)の磁性体75(永久磁石、従動マグネット)が埋設されている。インペラに埋設された磁性体75(永久磁石)は、インペラ回転トルク発生部13のステータコイル91により血液流入ポート5と反対側に吸引され、ステータコイル91の作動とカップリングするとともに回転トルクをインペラに伝達する。
【0034】
そして、この実施例の血液ポンプ20においても、第2ハウジング部材4は、側面にケーブル用ポート66を備えている。具体的には、図11および図13に示すように、第2ハウジング部材本体41の底部を被包するカバー部材43の側面に、ケーブル用ポート66が形成されている。そして、インペラ回転トルク発生部13(具体的には、複数のステータコイル91)に接続されたコードは束ねられるととともに、外層に補強体が巻き付けられるなどによりケーブル65を形成し、ケーブル65は、ケーブル用ポート65より外部に延出している。
【0035】
また、本発明の血液ポンプとしては、上述したようなインペラ非接触タイプのものに限定されるものではない。
例えば、図14ないし図17に示すようなタイプの血液ポンプ30であってもよい。
図14は、本発明の血液ポンプを体外循環用遠心式血液ポンプに応用した実施例の正面図である。図15は、図14に示した血液ポンプの平面図である。図16は、図14に示した血液ポンプの断面図である。図17は、図14の血液ポンプより、第1のハウジング部材を取り外した状態の平面図である。図18は、図14に示した血液ポンプの第1のハウジング部材の底面図である。
【0036】
この血液ポンプ30は、ハウジング2と、このハウジング2内にて回転可能に収納されたインペラ7を備える。ハウジング2は、中央より上方に突出する血液流入ポート5と下部に配置されるとともに接線方向に延びる血液流出ポート6とを有する第1ハウジング部材3と、インペラ7を回転可能に軸支する第2ハウジング部材4とからなる。そして、第2ハウジング部材の底面には、ポンプ駆動部(図示せず)との装着用突出部95を備えている。インペラ7は、ボールベアリング93によりシャフト94に回転可能に軸支されており、かつ、シール部材により、インペラ7はシャフト94に対して液密状態で回転する。インペラ7の上面は円錐状となっており、さらに、インペラ7には、インペラ7のほぼ中央より外周方向に延びる複数の血液誘導路76が形成されている。血液流入ポートより流入した血液は、インペラ7の頂点部分にて分散された後、インペラ7の回転により遠心力が与えられて、血液誘導路76内を流れ、インペラ7の側面とハウジング2の側面間を経て、血液流出ポート6より流出する。インペラ7の内部には、インペラ7に外部より回転力を伝達するための磁性部材(具体的には、永久磁石)75が複数設けられている。
【0037】
そして、この血液ポンプ30においても、第1ハウジング側接合部34と第2ハウジング側接合部44が面接触するように、第1ハウジング部材3と第2ハウジング部材4とを組み合わせることにより、血液室内に露出する突合線25が形成される。また、第1ハウジング側接合部34または第2ハウジング側接合部44の少なくとも突合線側となる部分には、図17および図18に示すように、水膨潤性物質35,45が被覆されている。この実施例の血液ポンプ30では、第1ハウジング側接合部34のほぼ全体に水膨潤性物質35が被覆されており、第2ハウジング側接合部44のほぼ全体に水膨潤性物質45が被覆されている。なお、水膨潤性物質は、第1ハウジング側接合部34または第2ハウジング側接合部44の一方のみに被覆するものであってもよく、また、接合部の全体ではなく、突合線側となる部分にのみ設け、接合部の外縁部となる部分には、被覆しないものであってもよい。
【0038】
そして、この血液ポンプは、使用時に、遠心ポンプ駆動部(図示せず)が装着される。駆動部は、通常、モータと、このモータの回転軸に固定された回転部材(例えば、回転板)と、この回転板に取り付けられた永久磁石を備える。永久磁石は、インペラ7に設けられた磁性部材75に対応する位置に設けられる。このため、駆動部の回転板は遠心ポンプのインペラにハウジングを介して磁気的吸引力により接続される。そして、モータが回転することにより、回転板が回転し、回転板の回転につられてインペラ7も回転する。モータとしては、ACモータ、DCモータなどいずれでもよいが、可変速モータが好適である。さらに、流量の制御が容易なものが好ましく、例えば、ACモータであるステッピングモータが好適である。
【0039】
また、上述したすべての実施例の血液ポンプにおいて、図19に示す実施例の血液ポンプ100のように、血液流入ポート5に、ダクト81が接続されていてもよい。図19は、本発明の血液ポンプを遠心式血液ポンプに応用した他の実施例の縦断面図(垂直断面図)である。
血液流入ポート5とダクト81の間には、血液流路内に露出する突合線84が形成されている。そして、血液流入ポート5の端面および/またはダクト81の端面の少なくとも突合線84側となる部分には、水膨潤性物質が被覆されている。この実施例の血液ポンプ100では、血液流入ポート5の端面のほぼ全体に水膨潤性物質が被覆されており、ダクト81の端面のほぼ全体にも水膨潤性物質が被覆されている。なお、水膨潤性物質は、血液流入ポート5またはダクト81の一方のみに被覆するものであってもよく、また、血液流入ポート5とダクト81の接合部の全体ではなく、突合線側となる部分にのみ設け、接合部の外縁部となる部分には、被覆しないものであってもよい。また、水膨潤性物質としては、上述したものが好適に使用できる。
【0040】
また、図19に示す実施例の血液ポンプ100では、血液流入ポート5とダクト81は、締結部材82により固定されている。具体的には、血液流入ポート5は、開口部が膨出部となっているとともに、外面に螺合部83(雄ねじ部)を備えている。また、ダクト81の開口部も膨出部となっている。そして、締結部材82は、ダクト81の膨出開口部を収納するとともに、ポート5の螺合部83と螺合する螺合部(雌ねじ部)を備えている。締結部材82の雌ねじ部とポートの雄ねじ部の螺合の進行により、血液流入ポート5とダクト81を連結するものとなっている。
【0041】
また、上述したすべての実施例の血液ポンプにおいて、図20に示す実施例の血液ポンプ110のように、血液流出ポート6に、ダクト85が接続されていてもよい。図20は、本発明の血液ポンプを遠心式血液ポンプに応用した他の実施例の横断面図(水平断面図)である。
血液流出ポート6とダクト85の間には、血液流路内に露出する突合線88が形成されている。そして、血液流出ポート6の端面および/またはダクト85の端面の少なくとも突合線88側となる部分には、水膨潤性物質が被覆されている。この実施例の血液ポンプ110では、血液流出ポート6の端面のほぼ全体に水膨潤性物質が被覆されており、ダクト85の端面のほぼ全体にも水膨潤性物質が被覆されている。なお、水膨潤性物質は、血液流出ポート6またはダクト85の一方のみに被覆するものであってもよく、また、血液流出ポート6とダクト85の接合部の全体ではなく、突合線88側となる部分にのみ設け、接合部の外縁部となる部分には、被覆しないものであってもよい。また、水膨潤性物質としては、上述したものが好適に使用できる。
【0042】
また、図20に示す実施例の血液ポンプ110では、血液流出ポート6とダクト85は、締結部材86により固定されている。具体的には、血液流出ポート6は、開口部が膨出部となっているとともに、外面に螺合部87(雄ねじ部)を備えている。また、ダクト85の開口部も膨出部となっている。そして、締結部材86は、ダクト85の膨出開口部を収納するとともに、ポート6の螺合部87と螺合する螺合部(雌ねじ部)を備えている。締結部材86の雌ねじ部とポートの雄ねじ部の螺合の進行により、血液流出ポート6とダクト85を連結するものとなっている。
また、本発明の血液ポンプとしては、上述したような遠心式のものに限定されるものではなく、いわゆる軸流式血液ポンプであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、本発明の血液ポンプを遠心式血液ポンプに応用した実施例の正面図である。
【図2】図2は、図1に示した血液ポンプの平面図である。
【図3】図3は、図2のA−A線断面図である。
【図4】図4は、図1の血液ポンプより、第1のハウジング部材を取り外した状態の平面図である。
【図5】図5は、図1に示した血液ポンプの第1のハウジング部材の底面図である。
【図6】図6は、図1に示した血液ポンプの第2のハウジング部材の平面図である。
【図7】図7は、図1に示した血液ポンプのインペラの平面図である。
【図8】図8は、本発明の血液ポンプを遠心式血液ポンプに応用した他の実施例の正面図である。
【図9】図9は、図8に示した血液ポンプの平面図である。
【図10】図10は、図9のC−C線断面図である。
【図11】図11は、本発明の血液ポンプを遠心式血液ポンプに応用した他の実施例の正面図である。
【図12】図12は、図11に示した血液ポンプの断面図である。
【図13】図13は、図11に示した血液ポンプの底面図である。
【図14】図14は、本発明の血液ポンプを体外循環用遠心式血液ポンプに応用した実施例の正面図である。
【図15】図15は、図14に示した血液ポンプの平面図である。
【図16】図16は、図14に示した血液ポンプの断面図である。
【図17】図17は、図14の血液ポンプより、第1のハウジング部材を取り外した状態の平面図である。
【図18】図18は、図14に示した血液ポンプの第1のハウジング部材の底面図である。
【図19】図19は、本発明の血液ポンプを遠心式血液ポンプに応用した他の実施例の縦断面図である。
【図20】図20は、本発明の血液ポンプを遠心式血液ポンプに応用した他の実施例の横断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 血液ポンプ
2 ハウジング
3 第1ハウジング部材
4 第2ハウジング部材
5 血液流入ポート
6 血液流出ポート
7 インペラ
24 血液室
25 突合線
34 第1ハウジング側接合部
35,45 水膨潤性物質
44 第2ハウジング側接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ハウジング部材と該第1ハウジング部材と接合される第2ハウジング部材とからなり、かつ血液流入ポート、血液流出ポートおよび前記血液流入ポートおよび前記血液流出ポートと連通する血液室を有するハウジングと、該ハウジング内部にて回転し、血液を送液するインペラを備える血液ポンプであって、前記第1ハウジング部材は、第1ハウジング側接合部を備え、前記第2ハウジング部材は、前記第1ハウジング側接合部と接合される第2ハウジング側接合部を備え、前記ハウジングは、前記第1ハウジング部材の前記第1ハウジング側接合部と前記第2ハウジング部材の前記第2ハウジング側接合部を接合させることにより、前記血液室内に露出する突合線を備え、さらに、前記第1ハウジング側接合部および/または前記第2ハウジング側接合部の少なくとも前記突合線側となる部分には、水膨潤性物質が被覆されていることを特徴とする血液ポンプ。
【請求項2】
前記水膨潤性物質は、前記第1ハウジング側接合部および/または前記第2ハウジング側接合部のほぼ全面に被覆されている請求項1に記載の血液ポンプ。
【請求項3】
前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材は、前記第1ハウジング側接合部と前記第2ハウジング側接合部とを接合させた状態にて、締結部材により固定されている請求項1または2に記載の血液ポンプ。
【請求項4】
前記水膨潤性物質が、ヒドロゲルである請求項1ないし3のいずれかに記載の血液ポンプ。
【請求項5】
前記水膨潤性物質が、(メタ)アクリル酸系、ポリビニルアルコール系、(メタ)アクリルアミド系、ポリアルキレンオキサイド系、ポリアルキレンイミン系、デンプン系、セルロース系よりなる群から選ばれた少なくとも1種の水膨潤性高分子化合物である請求項1ないし3のいずれかに記載の血液ポンプ。
【請求項6】
前記水膨潤性物質が、アクリレート系のデンプングラフト化物、部分的にけん化したポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−ビニルアルコール重合体、ポリエチレンオキサイド、セルロース系重合体、架橋型N−ビニルカルボン酸アミド樹脂、ポリエチレンオキシド系重合体、アルファー化デンプン、デンプン・アクリル酸ナトリウムグラフト共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、変性アクリル系架橋重合体、ポリアクリルアミド /アクリル酸混合物からなるヒドロゲルよりなる群から選ばれた少なくとも1種の水膨潤性高分子化合物である請求項1ないし3のいずれかに記載の血液ポンプ。
【請求項7】
前記血液ポンプは、前記インペラが、前記ハウジング内面に対して非接触状態にて回転し、血液を送液するものである請求項1ないし6のいずれかに記載の血液ポンプ。
【請求項8】
前記血液ポンプは、前記インペラを前記ハウジング外より吸引しかつ回転させるためのインペラ回転トルク発生部と、前記インペラの前記ハウジング内での非接触状態での回転を可能とする非接触式軸受機構とを備えるものである請求項1ないし7のいずれかに記載の血液ポンプ。
【請求項9】
前記非接触軸受機構は、前記インペラを前記インペラ回転トルク発生部の吸引方向と反対側に吸引する磁性体もしくは電磁石により構成されている請求項8に記載の血液ポンプ。
【請求項10】
前記非接触軸受機構は、前記インペラ回転トルク発生部側の前記ハウジング内面もしくは前記インペラの前記インペラ回転トルク発生部側の表面に設けられた動圧溝により構成されている請求項8に記載の血液ポンプ。
【請求項11】
前記インペラ回転トルク発生部は、前記インペラを吸引するための磁石を備えるロータと、該ロータを回転させるモータとを備えるものである請求項8ないし10のいずれかに記載の血液ポンプ。
【請求項12】
前記インペラ回転トルク発生部は、前記インペラを吸引するとともに該インペラを回転させるために円周上に配置された複数のステータコイルを備えるものである請求項8ないし10のいずれかに記載の血液ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−295(P2010−295A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163400(P2008−163400)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】