説明

血管内皮増殖因子受容体に特異的な阻害剤

本出願は、VEGFRの有用な阻害剤であるイソインドールおよびその誘導体または薬学的に許容されるその塩形態について記述する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、広くは、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)阻害剤である置換イソインドール、それを含有する薬学的組成物、ならびにがん(例えば、乳がん、結腸直腸がん、肺がん、前立腺がんおよび卵巣がん)の処置のための抗腫瘍剤としてそれを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
腫瘍血管形成は、ヒトでの固形腫瘍の増殖および転移に必要とされる不可欠な段階の一つである。血管形成または新血管形成は、既存の脈管構造からの伸長の結果として生じる新しい毛細血管をもたらす過程である。血管形成の過程に主に関与する細胞は、増殖し組織化して新しい血管を形成する内皮細胞である。新しい血管形成を達成するためには、内皮細胞は、まずはじめに、基底膜を通り抜けることによりその安定な位置から逃避しなければならず、この分解は血管通路からの血管新生刺激の方向への内皮細胞の移動と関連している。この過程の間に、内皮下基底膜、つまりコラーゲン、糖タンパク質およびプロテオグリカンの高密度な網目構造がタンパク質分解的に破壊されて新しい毛細管の形成を可能にする。それは再生および創傷治癒のような正常過程の不可欠な成分であるが、腫瘍増殖、転移から炎症にまで及ぶ他の病的過程、および眼疾患において重要な役割を果たすことが知られている。
【0003】
血管形成過程は、VEGFと呼ばれる重要な一連の内皮細胞分裂促進因子の一つによって強力に支持される。血管内皮増殖因子(VEGF)は固形腫瘍の新血管形成において重要な役割を果たす。VEGFの発現は、さまざまな腫瘍において微小血管の密度と相関すること、およびより高い転移能を示すことが明らかにされている。VEGFファミリーのいくつかのメンバー(すなわちA、B、CおよびD)ならびにいくつかのVEGF受容体: VEGF受容体-1 (Flt-1、fms-様チロシンキナーゼ1としても公知)、Flk-1/KDR (胎児肝臓キナーゼ-1/キナーゼインサートドメイン含有受容体)として公知のVEGF受容体-2およびVEGF受容体-3 (Flt-4として公知)が同定されている。それらの全てがその細胞外部分における7個の免疫グロブリン相同ドメインおよびキナーゼインサートによって分割された細胞内チロシンキナーゼシグナル伝達ドメインを有する。VEGFは、これらの受容体の一つまたは複数に結合することにより、血管形成および血管透過化を誘導し、それによって脈管形成の調節において中心的な役割を果たす。最近になって、VEGFR1の細胞外ドメインは、リガンド結合ドメインを細胞膜に固定し、細胞表面近傍のリガンドのレベルを直接的に調節することにより脈管形成および血管形成において重要な役割を有することが実証された。
【0004】
腫瘍増殖の制御における血管形成の最重要性によって、抗血管形成薬の開発はあらゆる種類のがんに対する新規の治療法をもたらす可能性が想定された。現時点では、実際の臨床での使用でVEGFR活性を阻害するのに、二つの手法が利用可能である: 治療用モノクローナル抗体(mAb)は細胞外領域を標的化して二量体化を遮断し、低分子薬はVEGFR媒介性のシグナル伝達に必要なキナーゼ活性を遮断する。例えば、Genentechは、動物モデルにおいて抗血管形成および抗腫瘍形成作用を有する抗VEGF抗体を開発した。これまでのところ、結腸直腸がんを有する患者の臨床試験においてこの手法によりある程度の成功が達成されている。また、キナーゼドメインを標的とする低分子も臨床においてある程度の成功を示している。SugenのSU5416およびSU6668、Astra-ZenecaのZD4190、ならびにNovartisのPTK787/ZK2284は、この範疇に属する化合物であり、なかには臨床試験において現在試験中のものもある。つい最近になって、μMの範囲でVEGF受容体1細胞(fms-様チロシンキナーゼ-1発現NIH3T3細胞)とVEGF受容体2 (KDR/flk-1; VEGF受容体2トランスフェクト)細胞の両方に結合することによって血管形成を抑制する新規の低分子量VEGFRアンタゴニスト5-{3-[4-(オクタデシルオキシ)フェニル]プロピオニルアミノ}-2,4'-オキシ二安息香酸(VGA1102)および5-[N-メチル-N-(4-オクタデシルオキシフェニル)アセチル]アミノ-2-エチルチオ安息香酸(VGA1155)が報告された。VGA1102およびVGA1155 (VGA化合物)は、VEGFR-1 (flt-1)およびVEGFR-2 (KDR/flk-1)に対する非常に特異的な阻害剤であるものと思われる。これらの化合物は、EGF、PDGF、IL-8、PAF、IL-1b、IL-2、IL-4、IL-6、MIP、TNF-aおよびインスリンのような、他のリガンドのその受容体との結合を阻害しない。
【0005】
それゆえ、がんの処置のための潜在的に有益な治療剤としてVEGFRの有効かつ特異的な阻害剤が必要とされる。かくして新しいVEGFR阻害剤を発見することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の一つの目的は、VEGFR阻害剤として有用である新規のイソインドールまたは薬学的に許容されるその塩を提供することである。
【0007】
薬学的に許容される担体および治療上有効量の少なくとも一つの本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩を含む薬学的組成物を提供することが本発明の別の目的である。
【0008】
がん(例えば、乳がん、結腸直腸がん、肺がん、前立腺がんおよび卵巣がん)を処置するための方法であって、このような処置を必要とする宿主に治療上有効量の少なくとも一つの本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩を投与する段階を含む方法を提供することが本発明の別の目的である。
【0009】
治療法で用いる新規のイソインドールを提供することが本発明の別の目的である。
【0010】
がんの処置用の医薬の製造のための新規のイソインドールの使用を提供することが本発明の別の目的である。
【0011】
以下の詳細な説明のなかで明らかになるものと考えられる、これらのおよびその他の目的は、本主張のイソインドールまたは薬学的に許容されるその塩がVEGFR阻害剤であるという本発明者らの発見によって達成された。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましい態様の詳細な説明
したがって、一つの態様において、本発明は、治療上有効量の式Iの化合物もしくはその立体異性体または薬学的に許容されるその塩を投与する段階を含む、がんを処置する新規の方法を提供する。
【0013】
別の態様において、本発明は、治療上有効量の式Iの化合物もしくはその立体異性体または薬学的に許容されるその塩を投与する段階を含む、がんを処置する新規の方法を提供する:

式中:
環Aはフェニル、ピリジルおよびピリミジルから選択され;
環Aは
(a) O-C7〜20アルキル、O-C7〜20アルケニルおよびO-C7〜20アルキニルから選択される0〜1個の基;
(b) 0〜3個のR基; および、
(c) メチレン-ジオキシル(-OCH2O-)およびエチレン-ジオキシル(-OCH2CH2O-)から選択される0〜1個の基
で置換され;
Rはハロゲン、NO2、NRaRb、-CN、C1〜2ハロアルキル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、CHO、C(O)C1〜6アルキル、CO2-C1〜6アルキル、C(O)NRaRb、S(O)2NRaRb、S(O)p-C1〜6アルキル、フェニル、ベンジルおよびC3〜6シクロアルキルから選択され;
Lはn-プロピレン、n-ブチレンおよびn-ペンチレンから選択される直鎖であり、ここで
(a) 0〜2個のメチレン単位がC=Oに置き換えられ;
(b) Lの0〜3個のメチレン単位が、O、NおよびS(O)Pから選択されるヘテロ原子で置き換えられ、ただし少なくとも一つのメチレンが存在しかつN-OまたはO-O結合以外がL内でまたはLのどちらかの接続点で形成されるものとし; ならびに
(c) 0〜1個の二重結合がLの鎖原子間に存在し;
Lは、C1〜4アルキル、フェニル、ベンジル、C3〜6シクロアルキルおよびNRaRbから選択される0〜2個の基で置換され;
あるいは、Lが4〜5原子長であるなら、鎖原子の三つが2原子の架橋と任意で組み合わさって、炭素原子とO、NおよびS(O)Pから選択される0〜2個のヘテロ原子とからなる5員環を形成してもよく、ここで環が0〜2個の環二重結合を有し、かつ2原子の架橋の0〜1個の原子がカルボニル基に置き換えられ;
あるいは、リンカーLが接続される炭素原子に隣接した環A中の炭素原子を(CH2)1〜2架橋によりリンカーLに接続して5〜6員環を形成させてもよく、ここで任意で架橋の1個のメチレンがカルボニル基に置き換えられ;
RaおよびRbはそれぞれの場合でHおよびC1〜6アルキルから独立して選択され;
あるいは、NRaRbは、それぞれの場合で独立して、示されている窒素原子および4〜5個のメチレンからなる5〜6員環状アミンを形成し;
環Bはフェニル、ピリジル、ピリミジルおよび

から選択され、ここでフェニル、ピリジルおよびピリミジル環が1〜3個のR1基で置換され;
R1はCO2H、ハロゲン、NO2、NRaRb、-CN、C1〜2ハロアルキル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、CHO、C(O)C1〜6アルキル、CO2-C1〜6アルキル、C(O)NRaRb、S(O)2NRaRb、S(O)p-C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、0〜2個のR2基で置換されたフェニル、0〜2個のR2基で置換されたベンジル、0〜2個のR2基で置換されたS-フェニル、0〜2個のR2基で置換されたO-フェニルおよび0〜2個のR2基で置換されたNRa-フェニルから独立して選択され;
あるいは、環Bは、メチレン-ジオキシル(-OCH2O-)およびエチレン-ジオキシル(-OCH2CH2O-)から選択される0〜1個の基で置換され;
R2はCO2H、ハロゲン、NH2、C1〜2ハロアルキル、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C(O)C1〜6アルキルおよびCO2C1〜6アルキルから独立して選択され; ならびに、
pは0、1および2から独立して選択される。
【0014】
別の態様において、本発明は新規の方法を提供し、その中で:
環Aはフェニルおよびピリジルから選択され;
環Aは0〜3個のR基で置換され;
環Aは0〜1個のメチレン-ジオキシル(-OCH2O-)で置換され;
Rはハロゲン、NO2、NRaRb、-CN、CF3、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C1〜4アルコキシ、CHO、C(O)C1〜4アルキル、CO2-C1〜4アルキル、C(O)NRaRb、S(O)2NRaRbおよびS(O)P-C1〜6アルキルから選択され;
Lはn-プロピレンおよびn-ブチレンから選択される直鎖であり、ここで
(a) 0〜1個のメチレン単位がC=Oに置き換えられ; ならびに、
(b) Lの0〜2個のメチレン単位が、OおよびNから選択されるヘテロ原子で置き換えられ、ただしN-OまたはO-O結合以外がL内でまたはLのどちらかの接続点で形成されるものとし;
Lは、C1〜4アルキル、フェニルおよびベンジルから選択される0〜2個の基で置換され;
あるいは、Lが4原子長であるなら、鎖原子の三つが2原子の架橋と任意で組み合わさって、炭素原子とO、NおよびS(O)Pから選択される0〜2個のヘテロ原子とからなる5員環を形成してもよく、ここで環が0〜1個の環二重結合を有し;
あるいは、リンカーLが接続される炭素原子に隣接した環A中の炭素原子を(CH2)1〜2架橋によりリンカーLに接続して5〜6員環を形成させてもよく、ここで任意で架橋の1個のメチレンがカルボニル基に置き換えられ;
RaおよびRbはそれぞれの場合でHおよびC1〜6アルキルから独立して選択され;
環Bは

であり;
pは0、1および2から独立して選択される。
【0015】
別の態様において、本発明は、化合物が

または薬学的に許容されるその塩から選択される、新規の方法を提供する。
【0016】
別の態様において、本発明は、がんが乳がん、結腸直腸がん、肺がん、前立腺がんおよび卵巣がんから選択される、新規の方法を提供する。
【0017】
別の態様において、本発明は新規の方法を提供し、その中で:
環Aはフェニルおよびピリジルから選択され;
環Aは、O-C7〜20アルキル、O-C7〜20アルケニルおよびO-C7〜20アルキニルから選択される1個の基で置換され;
環Aは、0〜1個のR基で置換され;
Rはハロゲン、CF3、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C(O)C1〜4アルキルおよびCO2-C1〜4アルキルから選択され;
Lはn-プロピレン、n-ブチレンおよびn-ペンチレンから選択される直鎖であり、ここで
(a) 0〜2個のメチレン単位がC=Oに置き換えられ;
(b) Lの0〜3個のメチレン単位が、O、NおよびS(O)Pから選択されるヘテロ原子で置き換えられ、ただし少なくとも一つのメチレンが存在するものとし; ならびに、
(c) 0〜1個の二重結合がLの鎖原子間に存在し;
Lは、C1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキルおよびNRaRbから選択される0〜2個の基で置換され;
RaおよびRbはそれぞれの場合でHおよびC1〜6アルキルから独立して選択され;
あるいは、NRaRbは、それぞれの場合で独立して、示されている窒素原子および4〜5個のメチレンからなる5〜6員環状アミンを形成し;
環Bはフェニルおよびピリジルから選択され、ここでフェニルおよびピリジル環が1〜2個のR1基で置換され;
R1はCO2H、ハロゲン、NRaRb、CF3、C1〜4アルキル、C1〜6アルコキシ、C3〜6シクロアルキル、0〜2個のR2基で置換されたS-フェニル、0〜2個のR2基で置換されたO-フェニルおよび0〜2個のR2基で置換されたNRa-フェニルから独立して選択され;
R2はCO2H、ハロゲン、CF3、C1〜4アルキルおよびC1〜4アルコキシから独立して選択され;
pは0、1および2から独立して選択される。
【0018】
別の態様において、本発明は、化合物が

または薬学的に許容されるその塩から選択される、新規の方法を提供する。
【0019】
別の態様において、本発明は、がんが乳がん、結腸直腸がん、肺がん、前立腺がんおよび卵巣がんから選択される、新規の方法を提供する。
【0020】
別の態様において、本発明は、新規の式Iの化合物もしくはその立体異性体または薬学的に許容されるその塩を提供する:

式中:
環Aはフェニル、ピリジルおよびピリミジルから選択され;
環Aは、O-C7〜20アルキル、O-C7〜20アルケニルおよびO-C7〜20アルキニルから選択される0〜1個の基で置換され;
環Aは、ハロゲン、NO2、NRaRb、-CN、C1〜2ハロアルキル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、CHO、C(O)C1〜6アルキル、CO2-C1〜6アルキル、C(O)NRaRb、S(O)2NRaRb、S(O)p-C1〜6アルキル、フェニル、ベンジルおよびC3〜6シクロアルキルから選択される0〜3個の基で置換され;
環Aは、メチレン-ジオキシル(-OCH2O-)およびエチレン-ジオキシル(-OCH2CH2O-)から選択される0〜1個の基で置換され;
Lはn-プロピレン、n-ブチレンおよびn-ペンチレンから選択される直鎖であり、ここで
(a) 0〜2個のメチレン単位がC=Oに置き換えられ;
(b) Lの0〜3個のメチレン単位が、O、NおよびS(O)Pから選択されるヘテロ原子で置き換えられ、ただし少なくとも一つのメチレンが存在しかつN-OまたはO-O結合以外がL内でまたはLのどちらかの接続点で形成されるものとし; ならびに
(c) 0〜1個の二重結合がLの鎖原子間に存在し;
Lは、C1〜4アルキル、フェニル、ベンジル、C3〜6シクロアルキルおよびNRaRbから選択される0〜2個の基で置換され;
あるいは、Lが4〜5原子長であるなら、鎖原子の三つが2原子の架橋と任意で組み合わさって、炭素原子とO、NおよびS(O)Pから選択される0〜2個のヘテロ原子とからなる5員環を形成してもよく、ここで環が0〜2個の環二重結合を有し、かつ2原子の架橋の0〜1個の原子がカルボニル基に置き換えられ;
あるいは、リンカーLが接続される炭素原子に隣接した環A中の炭素原子を(CH2)1〜2架橋によりリンカーLに接続して5〜6員環を形成させてもよく、ここで任意で架橋の1個のメチレンがカルボニル基に置き換えられ;
RaおよびRbはそれぞれの場合でHおよびC1〜6アルキルから独立して選択され;
あるいは、NRaRbは、それぞれの場合で独立して、示されている窒素原子および4〜5個のメチレンからなる5〜6員環状アミンを形成し;
環Bはフェニル、ピリジル、ピリミジルおよび

から選択され、ここでフェニル、ピリジルおよびピリミジル環が1〜3個のR基で置換され;
RはCO2H、ハロゲン、NO2、NRaRb、-CN、C1〜2ハロアルキル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、CHO、C(O)C1〜6アルキル、CO2-C1〜6アルキル、C(O)NRaRb、S(O)2NRaRb、S(O)p-C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、0〜2個のR1基で置換されたフェニル、0〜2個のR1基で置換されたベンジル、0〜2個のR1基で置換されたS-フェニル、0〜2個のR1基で置換されたO-フェニルおよび0〜2個のR1基で置換されたNRa-フェニルから独立して選択され;
あるいは、環Bは、メチレン-ジオキシル(-OCH2O-)およびエチレン-ジオキシル(-OCH2CH2O-)から選択される0〜1個の基で置換され;
R1はCO2H、ハロゲン、NH2、C1〜2ハロアルキル、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C(O)C1〜6アルキルおよびCO2C1〜6アルキルから独立して選択され; ならびに、
pは0、1および2から独立して選択され;
ただし式Iの化合物は以下の化合物:

のうちの一つ以外であるものとする。
【0021】
別の態様において、本発明は、表2もしくはその立体異性体または薬学的に許容されるその塩から選択される新規の化合物を提供する。
【0022】
別の態様において、本発明は、がんが乳がん、結腸直腸がん、肺がん、前立腺がんおよび卵巣がんから選択される、がんを処置する新規の方法を提供する。
【0023】
別の態様において、本発明は、薬学的に許容される担体および治療上有効量の本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩形態を含む、新規の薬学的組成物を提供する。
【0024】
別の態様において、本発明は、がん(例えば、乳がん、結腸直腸がん、肺がん、前立腺がんおよび卵巣がん)を処置するための新規の方法であって、それを必要とする患者に治療上有効量の本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩形態を投与する段階を含む方法を提供する。
【0025】
別の態様において、本発明は、治療で用いる本発明の化合物を提供する。
【0026】
別の態様において、本発明は、がんの処置用の医薬の製造のための本発明の化合物の使用を提供する。
【0027】
本発明は他の特定の形態においても、その趣旨または本質的特性から逸脱することなく具現化されうる。本発明は、本明細書に記載する本発明の好ましい局面の全ての組み合わせを包含する。本発明のありとあらゆる態様を他のいずれかの態様と併用して、さらなるより好ましい態様を記述できるものと理解されたい。好ましい態様の各個々の要素は、それ自体独立した好ましい態様と個別に見なされるよう意図されることも理解されるべきである。さらに、態様のいずれかの要素をいずれかの態様からのありとあらゆる他の要素と組み合わせて、さらなる態様を記述することも意図される。
【0028】
定義
本明細書に引用される全ての参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0029】
本明細書において提供する全ての例は、記述がない限り、限定するものであると意図されない。
【0030】
本明細書に記述される化合物は不斉中心を有することができる。非対称に置換された原子を含む本発明の化合物は、光学活性体またはラセミ体として単離することができる。例えばラセミ体の分割により、または光学的に活性な出発材料からの合成により、光学活性体を調製する方法は当技術分野において周知である。本明細書に記述される化合物には多くのオレフィン幾何異性体、C=N二重結合なども存在することができ、本発明ではこのような全ての安定異性体が企図される。本発明の化合物のシスおよびトランス幾何異性体が記述され、異性体の混合物としてまたは分離された異性体として単離されうる。特定の立体化学または異性体が特に示されない限り、構造の全ての鏡像異性体、ジアステレオ異性体、ラセミ体および幾何異性体が意図される。本発明の化合物およびその際に作出される中間体を調製するために使われる全ての工程は、本発明の一部であるものと考えられる。示されまたは記述される化合物の全ての互変異性体も本発明の一部であるものと考えられる。
【0031】
本発明の化合物の分子量の例としては、(a) 500、550、600、650、700、750、800、850、900、950または1000グラム/モル未満、(b) 950グラム/モル未満、(c) 850グラム/モル未満および(d) 750グラム/モル未満であるものが挙げられる。
【0032】
「置換された」とは、指定された原子上の任意の一つまたは複数の水素が指定された群からの選択により置き換えられることを意味し、ただし指定された原子の通常の原子価を超えないこと、かつ置換の結果、安定な化合物が得られることを条件とする。置換基がケト(すなわち、=O)であるなら、その原子上の2つの水素が置き換えられる。ケト置換基は芳香族部分に存在しない。
【0033】
本発明は、本化合物に存在する原子の全ての同位体を含む。同位体は、同じ原子番号を有するが、異なる質量数を有する原子を含む。例えば、水素の同位体は三重水素および重水素を含む。炭素の同位体はC-13およびC-14を含む。
【0034】
化合物の任意の成分または式の中に二度以上、任意の変数記号(例えば、R4)が現れる場合、それぞれの場合のその定義は、出現ごとにその定義と無関係である。したがって、例えば、ある基が0〜2個のR4で置換されるように示されているなら、該基は二つまでのR4基で置換されてもよく、それぞれの場合のR4は、R4の定義とは独立して選択される。また、置換基および/または変数記号の組み合わせが許容されるのは、そのような組み合わせの結果、安定な化合物が得られる場合だけである。
【0035】
置換基との結合が、環中の二つの原子を接続する結合と交差するように示されているなら、そのような置換基は環上の任意の原子に結合されうる。ある置換基を、どの原子を介してその置換基が所与の式の化合物の残部に結合するかを示さずに記載しているなら、そのような置換基は、そのような置換基中の任意の原子を介して結合されうる。置換基および/または変数記号の組み合わせが許容されるのは、そのような組み合わせの結果、安定な化合物が得られる場合だけである。
【0036】
本発明の化合物にアミンが存在する場合には、これらをMCPBAおよびまたは過酸化水素での処理によりアミンN-オキシドに変換して、本発明の他の化合物を得ることができる。したがって、示した全てのアミンは示したアミンもそのN-オキシド(N→O)誘導体もともに網羅する。
【0037】
「アルキル」は、特定の数の炭素原子を有する分枝および直鎖飽和脂肪族炭化水素基の両方を含む。C1〜6アルキルは、C1、C2、C3、C4、C5およびC6アルキル基を含む。アルキルの例としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチルおよびs-ペンチルが挙げられる。「ハロアルキル」は、1個または複数個のハロゲンで置換された、特定の数の炭素原子を有する分枝および直鎖飽和脂肪族炭化水素基の両方(例えば-CVFW、ここでv = 1〜3かつw = 1〜(2v+1))を含む。ハロアルキルの例としては、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチルおよびペンタクロロエチルが挙げられる。「アルコキシ」は、示した数の炭素原子が酸素架橋を通じて結合されている上記に定義のアルキル基を表す。C1〜6アルコキシは、C1、C2、C3、C4、C5およびC6アルコキシ基を含む。アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシおよびs-ペントキシが挙げられる。「シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチルまたはシクロペンチルのような、飽和環基を含む。C3〜7シクロアルキルはC3、C4、C5、C6およびC7シクロアルキル基を含む。「アルケニル」はエテニルおよびプロペニルのような、直鎖状または分枝状のいずれかの立体配置の炭化水素鎖および鎖沿いのいずれかの安定点に生じうる一つまたは複数の不飽和炭素-炭素結合を含む。C2〜6アルケニルはC2、C3、C4、C5およびC6アルケニル基を含む。「アルキニル」はエチニルおよびプロピニルのような、直鎖状または分枝状のいずれかの立体配置の炭化水素鎖および鎖沿いのいずれかの安定点に生じうる一つまたは複数の三重の炭素-炭素結合を含む。C2〜6アルキニルはC2、C3、C4、C5およびC6アルキニル基を含む。
【0038】
「ハロ」または「ハロゲン」はフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードをいい; ならびに「対イオン」は塩化物、臭化物、水酸化物、酢酸塩および硫酸塩などの、小さな負荷電種を表すように用いられる。
【0039】
「炭素環」は、いずれかが飽和環、部分不飽和環または芳香環であってよい、安定な任意の単環式もしくは二環式3、4、5、6もしくは7員環、または二環式もしくは三環式7、8、9、10、11、12もしくは13員環を意味する。このような炭素環の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、シクロオクチル、[3.3.0]ビシクロオクタン、[4.3.0]ビシクロノナン、[4.4.0]ビシクロデカン、[2.2.2]ビシクロオクタン、フルオレニル、フェニル、ナフチル、インダニル、アダマンチルおよびテトラヒドロナフチルが挙げられる。
【0040】
「複素環」は、飽和環、部分不飽和環または不飽和(芳香)環であり、かつ炭素原子、ならびにN、OおよびSからなる群より独立して選択される1、2、3もしくは4個のヘテロ原子からなる安定な単環式もしくは二環式複素5、6もしくは7員環、または二環式複素7、8、9もしくは10員環を意味し、このように定義した任意の複素環がベンゼン環に縮合した任意の二環式基を含む。窒素原子は、環およびそうかどうかならびに任意の置換基の位置に応じて、N、NHまたはN-置換基であることができる。窒素および硫黄ヘテロ原子は酸化されてもよい。複素環は、安定な構造をもたらす任意のヘテロ原子または炭素原子の位置でその側基に結合することができる。得られる化合物が安定なら、本明細書に記述の複素環を、炭素上でまたは窒素原子上で置換することができる。複素環中の窒素は任意で四級化されてもよい。複素環中のSおよびO原子の総数が1を超えるなら、これらのヘテロ原子は互いに隣接しない。典型的な複素環においては、複素環中のSおよびO原子の総数は1以下である。
【0041】
「ヘテロアリール」は、炭素原子、ならびにN、OおよびSからなる群より独立して選択される1、2、3もしくは4個のヘテロ原子からなる安定な単環式もしくは二環式複素5、6もしくは7員芳香環、または二環式複素7、8、9もしくは10員芳香環を意味する。窒素原子は、環およびそうかどうかならびに任意の置換基の位置に応じて、N、NHまたはN-置換基であることができる。芳香族複素環中のSおよびO原子の総数は1以下である。ヘテロアリールが二つ以上の環を含むなら、環のうちの一つだけが芳香性であればよい。
【0042】
複素環およびヘテロアリールの例としては、アクリジニル、アゾシニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサゾリニル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダゾリニル、カルバゾリル、4aH-カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3-b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H-インドリル、イサチノイル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキシインドリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4-ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H-ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H-1,2,5-チアジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,5-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、およびキサンテニルが挙げられる。同様に含まれるのは、例えば、上記の複素環を含んだ縮合環およびスピロ化合物である。
【0043】
「薬学的に許容される」という語句は、健全な医学的判断の範囲内にあり、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、またはその他の問題もしくは合併症なく人および動物の組織と接触させて用いるのに適し、合理的な損益比に相応した、化合物、材料、組成物および/または剤形をいう。
【0044】
「薬学的に許容される塩」は、親化合物がその酸性または塩基性塩の作出によって修飾された開示化合物の誘導体をいう。薬学的に許容される塩の例としてはアミンのような塩基性残基の無機または有機酸塩、カルボン酸のような酸性残基のアルカリまたは有機塩などが挙げられる。薬学的に許容される塩には、例えば、無毒性の無機または有機酸から形成された親化合物の従来の無毒性塩または第四級アンモニウム塩が含まれる。例えば、このような従来の無毒性塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などのような無機酸から誘導されるもの、および酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタン二スルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸などのような有機酸から調製される塩が含まれる。
【0045】
本発明の薬学的に許容される塩は、塩基性または酸性部分を含む親化合物から従来の化学的方法によって合成することができる。このような塩は一般に、これらの化合物の遊離の酸または塩基の形態を、水中もしくは有機溶媒中、またはこの二つの混合物中で、化学量論量の適切な塩基または酸と反応させることによって調製することができる。溶媒は一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルのような非水性媒質が好ましい。適当な塩のリストはRemington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA, 1985, p. 1418において見出され、この開示は参照により本明細書に組み入れられる。
【0046】
プロドラッグは、薬剤の望ましい多くの品質(例えば溶解度、生物学的利用能、製造など)を増強することが公知であるため、本発明の化合物は、プロドラッグの形態で送達することができる。したがって、本発明は、本主張の化合物のプロドラッグ、これを送達する方法、およびこれを含む組成物を網羅するよう意図される。「プロドラッグ」は、このようなプロドラッグが哺乳類被験体に投与された際に、インビボで本発明の活性な親薬物を放出する共有結合した任意の担体を含むよう意図される。本発明のプロドラッグは、修飾が慣例の操作でまたはインビボで、親化合物に壊裂されるように、化合物中に存在する官能基を修飾することによって調製される。プロドラッグは、ヒドロキシ、アミノまたはスルフヒドリル基が、本発明のプロドラッグを哺乳類被験体に投与した際に壊裂して、それぞれ、遊離ヒドロキシル、遊離アミノまたは遊離スルフヒドリル基を形成する任意の基に結合された本発明の化合物を含む。プロドラッグの例としては、本発明の化合物中のアルコールおよびアミン官能基の酢酸、ギ酸および安息香酸誘導体が挙げられる。
【0047】
「安定な化合物」および「安定な構造」は、反応混合物からの有用な純度への単離および効果的な治療剤への調剤を耐え抜くのに十分に頑丈な化合物を意味する。
【0048】
「置換された」とは、表現のなかで「置換された」を用いて示された原子上の一つまたは複数の水素が、指定された群からの選択により置き換えられることを意味し、ただし指定された原子の通常の原子価を超えないこと、かつ置換の結果、安定な化合物が得られることを条件とする。置換基がケト(すなわち、=O)基であるなら、その原子上の2つの水素が置き換えられる。
【0049】
「処置する」または「処置」は、哺乳類での、特にヒトでの病状の処置を網羅し、(a) 哺乳類において、特に、そのような哺乳類が病状に罹りやすい素因を有するが、未だ病状を有すると診断されていない場合に、病状が発現するのを予防すること; (b) 病状を抑制すること、すなわち、その進行を抑止すること; および/または(c) 病状を軽減すること、すなわち、病状の退行をもたらすことを含む。
【0050】
「治療上有効量」は単独でまたは組み合わせで投与された場合にVEGFRを阻害するのに有効な、本発明の化合物の量を含む。「治療上有効量」はVEGFRを阻害するのに有効な、主張する化合物の組み合わせの量を含む。化合物の組み合わせは、相乗作用の組み合わせであることが好ましい。相乗作用は、例えば、Chou and Talalay, Adv. Enzyme Regul. 1984, 22:27-55によって記述されるように、組み合わせで投与される場合に化合物の作用が、単一の薬剤として単独で投与される場合の化合物の相加作用よりも大きい場合に生じる。一般に、相乗作用は、化合物の準最適濃度で端的に示される。相乗作用は、細胞毒性の低下、抗ウイルス作用の増大、または個々の成分の場合と比べて組み合わせによる他の何らかの有益な作用という点であることができる。
【0051】
合成
本発明の化合物は、有機合成分野の当業者に公知のいくつかの方法で調製することができる。本発明の化合物は、有機合成化学分野において公知の合成法とともに、以下に記述する方法を用いて、または当業者によって認識されるようなそれらの変法によって合成することができる。反応は、利用する試薬および材料に適した、かつ変換を行うのに適した溶媒中で行われる。分子上に存在する官能性は、提案される変換に合致すべきであることを有機合成分野の当業者なら理解するであろう。これには本発明の所望の化合物を得るために、合成段階の順序を変え、またはある特定の工程スキームを別のものと比べて選択する判断が必要とされることもあろう。この分野における任意の合成経路を計画するうえでの他の主要な考慮事項は、本発明において記述される化合物中に存在する反応性官能基の保護に使われる保護基に関する賢明な選択であることも認識されよう。熟練した施術者に向けて多くの代替物を記述している権威ある説明書には、Greene and Wuts (Protective Groups In Organic Synthesis, Wiley and Sons, 1991)がある。
【0052】
本発明の化合物に対する典型的な合成経路の例を以下のスキーム1〜2に示す。
【0053】
スキーム1

【0054】
スキーム2

【0055】
有用性
本発明の化合物は、がん(例えば、乳がん、結腸直腸がん、肺がん、前立腺がんおよび卵巣がん)の処置のための抗腫瘍剤抗凝固剤として有用であるものと期待される。
【0056】
VEGFRの阻害剤としての本発明の化合物のいくつかの有効性を、実施例に記述されるようにVEGF受容体チロシンキナーゼアッセイ法およびインビトロでの血管形成アッセイ法にて判定した。
【0057】
本発明の化合物は、単独でまたは一つもしくは複数のさらなる治療剤との組み合わせで投与することができる。これらには、本発明のさらなる化合物、他の抗腫瘍剤、または本発明の化合物とともに有益に投与できる他の薬剤が含まれる。
【0058】
「組み合わせで投与される」または「組み合わせ療法」は、処置される哺乳類に本発明の化合物および一つまたは複数のさらなる治療剤が同時に投与されることを意味する。組み合わせで投与される場合、各成分は同時にまたは異なる時点で任意の順序にて逐次的に投与することができる。したがって、各成分は別々にしかし所望の治療効果をもたらすよう時間内に十分に近づけて投与することができる。
【0059】
そのようなさらなる治療剤との組み合わせでの本発明の化合物の投与は、本化合物および薬剤単独でよりも効力の利点を与えることができ、それぞれのさらに低い用量での使用を可能にしながらそれをすることができる。より低い投与量は副作用の可能性を最小限に抑え、それにより安全域の増大をもたらす。
【0060】
投与量および製剤
本発明の化合物は錠剤、カプセル(このそれぞれが徐放性または持続放出性製剤を含む)、丸剤、粉末、顆粒、エリキシル、チンキ、懸濁液、シロップおよび乳液のような経口投与量形態にて投与することができる。これらは、静脈内(急速静注もしくは注入)、腹腔内、皮下または筋肉内の形態にて、全て製薬学分野の当業者に周知の投与量形態を用いて投与することもできる。これらは単独で投与することができるが、一般的には、選んだ投与経路および標準的な薬学的実践に基づいて選択される薬学的担体とともに投与されよう。
【0061】
本発明の化合物の投与計画は、もちろん、既知因子、例えば特定の薬剤の薬力学的特性ならびにその投与方法および投与経路; レシピエントの種、年齢、性別、健康状態、医学的状態および体重; 症状の性質および程度; 併用処置の種類; 処置の頻度; 投与経路、患者の腎機能および肝機能、ならびに所望の効果に応じて変わるであろう。医師または獣医師はがんの進行を抑制、阻止または抑止するのに必要な薬物の有効量を判定かつ処方することができる。
【0062】
表示した効果について使用される場合、各活性成分の1日あたりの経口投与量の例は、(a) 0.001〜1000 mg/kg体重、(b) 1日につき0.01〜100 mg/kg体重、および(c) 1.0〜20 mg/kg/日に及ぶことができる。静脈内用量は一定の注入速度の間に1〜約10 mg/kg/分に及ぶことができる(投与量は体表面積を用いて計算することもできる)。本発明の化合物は単回の日用量にて投与されてもよく、または一日の総投与量が1日2回、3回もしくは4回の分割用量にて投与されてもよい。
【0063】
本発明の化合物は適当な鼻腔内媒体の局所使用により鼻腔内の形態にて、または経皮的皮膚パッチを用いて経皮経路により投与することができる。経皮送達系の形態で投与される場合、投与量の投与は、もちろん、投与計画の全体を通じて断続的ではなく持続的であろう。
【0064】
化合物は、典型的には、意図した投与形態、すなわち、経口錠剤、カプセル、エリキシル、シロップなどに関して適当に選択され、かつ従来の薬学的実践と合致する適当な薬学的希釈剤、賦形剤、または担体(本明細書ではまとめて薬学的担体といわれる)と混合して投与される。
【0065】
例えば、錠剤またはカプセルの形態での経口投与の場合、活性薬成分を経口、無毒性の、薬学的に許容される不活性担体、例えばラクトース、デンプン、スクロース、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトールなどと組み合わせることができ、液体形態での経口投与の場合、経口薬成分を任意の経口、無毒性の、薬学的に許容される不活性担体、例えばエタノール、グリセロール、水などと組み合わせることができる。さらに、所望とされまたは必要とあれば、適当な結合剤、滑沢剤、崩壊剤および着色剤を混合物中に組み入れることもできる。適当な結合剤はデンプン、ゼラチン、グルコースもしくはβ-ラクトースのような天然糖、コーンシロップ、アラビアゴム、トラガカントゴムのような天然および合成ゴムまたはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ろうなどを含む。これらの投与量形態で使用される滑沢剤はオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを含む。崩壊剤は、非限定的に、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴムなどを含む。
【0066】
本発明の化合物は、小型単層小胞、大型単層小胞および多層小胞のような、リポソーム送達系の形態にて投与することもできる。リポソームはコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンのような、種々のリン脂質から形成することができる。
【0067】
本発明の化合物は、標的を設定可能な薬物担体としての可溶性重合体とカップリングすることもできる。このような重合体は、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシド-ポリリジンを含むことができる。さらに、本発明の化合物は、薬物の制御放出を達成するのに有用な生分解性重合体の部類、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸およびポリグリコール酸の共重合体、ポリエプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアシレート、ならびにヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロック共重合体とカップリングすることができる。
【0068】
投与に適した投与量形態(薬学的組成物)は、投与量単位あたり約1ミリグラムから約100ミリグラムの活性成分を含有することができる。これらの薬学的組成物において、活性成分は通常、組成物の全重量に基づいて約0.5〜95重量%の量で存在するであろう。
【0069】
ゼラチンカプセルは活性成分および粉末状担体、例えばラクトース、デンプン、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などを含有することができる。同様の希釈剤を用いて圧縮錠剤を作出することができる。錠剤もカプセルもともに、数時間かけて医薬の連続的放出をもたらす徐放性製剤として製造することができる。圧縮錠剤は不快な味を覆い隠し、錠剤を大気から保護するために糖衣コーティングもしくはフィルムコーティングされてもよく、または腸溶コーティングされてもよい。
【0070】
経口投与用の液体投与量形態は、患者の許容を増すために着色料および香味料を含有することができる。
【0071】
一般に、水、適当な油、生理食塩水、水性デキストロース(グルコース)、ならびに関連の糖溶液およびプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールのようなグリコールは非経口溶液に適した担体である。非経口投与用の溶液は、活性成分の水溶性塩、適当な安定剤、および必要なら、緩衝物質を含有することが好ましい。重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムまたはアスコルビン酸のような抗酸化剤は、単独でまたは組み合わせで、適当な安定剤である。同様に使用されるのは、クエン酸およびその塩ならびにナトリウムEDTAである。さらに、非経口溶液は塩化ベンザルコニウム、メチル-またはプロピル-パラベン、およびクロロブタノールのような、保存料を含有することもできる。
【0072】
適当な薬学的担体はこの分野における標準的な参考テキストRemington's the Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkinsに記述されている。
【0073】
本発明の化合物の投与に有用な、代表的な薬学的投与量形態は、以下のように例証することができる。
【0074】
カプセル
標準的な2個構成の硬質ゼラチンカプセルにそれぞれ粉末状活性成分100ミリグラム、ラクトース150ミリグラム、セルロース50ミリグラム、およびステアリン酸マグネシウム6ミリグラムを充填することにより、多数の単位カプセルを調製することができる。
【0075】
軟質ゼラチンカプセル
活性成分の消化性油、例えば大豆油、綿実油またはオリーブ油中の混合物を調製し、容量形ポンプによりゼラチン中に注入して、活性成分100ミリグラムを含有する軟質ゼラチンカプセルを形成することができる。カプセルは洗浄され乾燥される必要がある。
【0076】
錠剤
投与量単位が活性成分100ミリグラム、コロイド状二酸化ケイ素0.2ミリグラム、ステアリン酸マグネシウム5ミリグラム、微結晶性セルロース275ミリグラム、デンプン11ミリグラムおよびラクトース98.8ミリグラムであるように、慣用の手順によって錠剤を調製することができる。味を良くするためまたは吸収を遅らせるため、適切なコーティングを施すことができる。
【0077】
注射剤
注射による投与に適した非経口組成物は、1.5重量%の活性成分を10容量%のプロピレングリコールおよび水中で撹拌することによって調製することができる。溶液は塩化ナトリウムで等張にされ、滅菌される必要がある。
【0078】
懸濁液
各5 mLに微細な活性成分100 mg、ナトリウムカルボキシメチルセルロース200 mg、安息香酸ナトリウム5 mg、ソルビトール溶液、米国薬局方1.0 gおよびバニリン0.025 mLが含まれるように、経口投与に向けて水性懸濁液を調製することができる。
【0079】
本発明の化合物が他の抗腫瘍剤と組み合わされる場合、例えば、1日の投与量は、患者の体重1キログラムあたり、本発明の化合物およそ0.1〜100ミリグラムおよび第二の薬剤およそ1〜7.5ミリグラムであることができる。錠剤の投与量形態の場合、本発明の化合物は一般に、投与量単位あたり約5〜10ミリグラムの量で存在することができ、第二の抗凝固剤は投与量単位あたり約1〜5ミリグラムの量で存在することができる。
【0080】
本発明の他の特徴は、本発明の例証のために与えられ、本発明を限定することを意図しない例示的な態様に関する以下の記述の過程において明らかになるであろう。
【実施例】
【0081】
インビトロでの血管形成アッセイ法
ヒト臍帯静脈内皮細胞をCambrex Co. (East Rutherford, New Jersey)から購入し、2% FBS、0.1% EGF、0.1%ヒドロコルチゾン、0.1% GA-1000および0.4% BBEを補充したEGM (内皮増殖培地)中で維持した。
【0082】
製造元の使用説明書(Chemicon International)にしたがって、Matrigel上での形態形成アッセイを行った。ECMatrix(商標)キットは、ラミニン、IV型コラーゲン、ヘパラン硫酸、プロテオグリカン、エンタクチンおよびニドジェンからなる。これには、EHS腫瘍において通常産生されるさまざまな増殖因子(TGF-β、FGF)およびタンパク質分解酵素(プラスミノーゲン、tPA、MMP)も含まれる。最大の管形成のためにインキュベーション条件を次のように最適化した: EC Matrix(商標) 50 μlを10×希釈緩衝液により9:1の比率で適当に希釈し、96ウェルプレートをコーティングするために用いた。コーティングされたプレートを37℃で1時間インキュベートして、Matrix溶液を凝固させた。その間に、2% FBS入りのEGM中で24時間培養されたHUVECをトリプシン処理し、増殖培地中に再懸濁し、細胞をカウントした。Matrix溶液とのプレートの1時間のプレインキュベーション後、異なるVEGFR阻害剤(1 mMおよび10 mM)の非存在下または存在下においてHUVECを細胞104個/ウェルでプレーティングした。37℃で8時間のインキュベーション後、細胞三次元組織(細胞ネットワーク構造)を倒立顕微鏡写真機で調べた。各処理は三つ組で行った。
【0083】
活性化内皮細胞は間質腔へと発芽している毛細管に似た細胞ネットワーク(メッシュ様構造)を形成する。これらの細胞ネットワークの形成は動力学過程であり、これは細胞の移動および整列に始まり、続けて毛細管様構造の発達、新しい枝の発芽と最終的には細胞ネットワークの形成が起こる。このインビトロでの血管形成キットは定性的アッセイとしてのみデザインされているが、本発明者らは採点法を用いて血管形成の度合いを定量化しようと試みた。採点は、次のように観察された細胞ネットワークの程度に基づいた:
個々の細胞、十分に分離(+++++)
細胞が移動し自身を整列し始める(++++)
細胞が並び始めるが発芽していない(+++)
可視的な発芽(++)
閉じられた多角形が生じ始める(+)。
【0084】
本発明者らの定性的評価によれば、採点が高いほど、内皮細胞を介した血管形成を阻害することに対する化合物の効率は高い。
【0085】
以下の表1は実施例1〜6の結果を示す。表1のものは市販されている。
【0086】
(表1) インビトロでの血管形成アッセイ法


【0087】
実施例1の抗-抗原性効果のEC50値は0.25 μMであると推定された。
【0088】
VEGF受容体チロシンキナーゼ活性のアッセイ法:
タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)は、細胞増殖、分化、代謝およびアポトーシスを制御するシグナル伝達経路において重要な役割を行う。PTKによるタンパク質のリン酸化は、これらの生物学的機構の調節に不可欠であり、これらの経路の欠陥はがんを含め、いくつかのヒト疾患を引き起こしうる。細胞調節におけるこれらの酵素の重要な局面は、多数のキナーゼに対し、対応するウイルスがん遺伝子産物が同定されているという事実によって強調される。タンパク質チロシンキナーゼ活性は、膜受容体タンパク質チロシンキナーゼ(例えばEGF-、PDGF-、CFS-、IGF-1およびインスリン受容体)ならびに可溶性非受容体チロシンキナーゼ(例えばp60c-Src、yes、lck、lyn、fyn)と結び付けられることが多い。PTK活性をアッセイすることにより、タンパク質チロシンキナーゼの精製および特徴付け、その生物学的機能の解明ならびに特異的なPTK阻害剤の開発の補助が可能になる。CHEMICONの非放射性チロシンキナーゼ活性アッセイ法は、広範なPTKの定量化および比較判定のための簡素、便利かつ特異的な方法を提供する。可溶性および受容体チロシンキナーゼの試験、インビトロでの阻害剤スクリーニングならびにPTK調節の研究は、このアッセイ法で行うことができる。本発明者らのアッセイ法は、セリン/トレオニンキナーゼに適合する免疫沈降法であり、セリン/トレオニンキナーゼと交差反応しないであろう。
【0089】
非放射性チロシンキナーゼ活性アッセイキットは、合成ビオチン化ペプチド基質、ビオチン化ホスホペプチド、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)に結合された精製ホスホチロシン特異的モノクローナル抗体および96 ELISAに基づくアッセイを行うのに必要な他の成分からなる。合成ビオチン化基質ポリ[Glu:Tyr], 4:1は、複数のチロシン残基を含んでおり、広範なPTKによってリン酸化されうる。酵素反応を阻害剤で停止した後に、リン酸化基質と脱リン酸化基質の両方を、ストレプトアビジンでコーティングされたプレートとの結合により固定化する。HRPに結合されたホスホチロシンモノクローナル抗体とその後の発色性基質反応を用いてリン酸化基質の画分を可視化する。ホスホペプチド標準曲線を利用して、チロシンキナーゼ基質に組み入れられたリン酸の量を判定する。ATP/MgCl2溶液10 μlを加えることにより、アッセイ混合物および反応開始の準備を行った。反応混合物を30℃でプレインキュベートした。反応時間は個々のチロシンキナーゼに左右され、標準化された。120 mM EDTAのような、キナーゼ阻害剤10 μlを加えることによって、酵素反応を停止した。停止後、反応混合物50 μLを、ストレプトアビジンでコーティングされたストリップウェルに移し、37℃で30分間インキュベートした。1×洗浄緩衝液を用いてウェルを4回洗浄し、その後、ブロッキング緩衝溶液200 μlを各ウェルに加え、37℃で30分間インキュベートする。ブロッキング緩衝液を除去した後に、希釈したマウス抗ホスホチロシンHRP結合体100 μLを各ウェルに加え、室温で60分間インキュベートした。1×洗浄緩衝液を用いてウェルを4回洗浄し、その後、TMB基質溶液100 μlを加え、プレートを室温で5〜15分間インキュベートする。停止溶液100 μlの添加によってアッセイ反応を停止し、最後に、標準的なマイクロプレートリーダー上にて450 nmで吸光度を測定した。
【0090】
実施例1の抗-抗原性効果を試験した後に、VEGFR連関チロシンキナーゼ活性を阻害するこの化合物の能力を測定した。VEGFR特異的抗体(Upstate, VA)を用いて細胞溶解物を特異的に免疫沈降し、PTKアッセイ法を用いてその活性を測定することにより、VEGFR活性を測定した。実施例1ではVEGFR関連チロシンキナーゼ活性を阻害することができ、阻害のレベルは、化合物の濃度が増大するにつれて増大した。VEGFRキナーゼ阻害のIC50は、0.4 μMであるものと判定された。
【0091】
インビトロの条件下で血管形成を阻害することに加えて、実施例1では乳がん細胞株GI-101AおよびMCF-7に対する細胞毒性も生じた。
【0092】
本発明の代表例には以下の表中のものが含まれる。
【0093】
(表2)


【0094】
本発明の多数の変更および変形は、上記の教示に照らして可能である。それゆえ、添付の特許請求の範囲内で、本明細書において具体的に記述されているのとは別のやり方で本発明を実践できるものと理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療上有効量の式Iの化合物もしくはその立体異性体または薬学的に許容されるその塩を投与する段階を含む、がんを処置する方法:

式中:
環Aはフェニル、ピリジルおよびピリミジルから選択され;
環Aは
(a) O-C7〜20アルキル、O-C7〜20アルケニルおよびO-C7〜20アルキニルから選択される0〜1個の基;
(b) 0〜3個のR基; および、
(c) メチレン-ジオキシル(-OCH2O-)およびエチレン-ジオキシル(-OCH2CH2O-)から選択される0〜1個の基
で置換され;
Rはハロゲン、NO2、NRaRb、-CN、C1〜2ハロアルキル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、CHO、C(O)C1〜6アルキル、CO2-C1〜6アルキル、C(O)NRaRb、S(O)2NRaRb、S(O)p-C1〜6アルキル、フェニル、ベンジルおよびC3〜6シクロアルキルから選択され;
Lはn-プロピレン、n-ブチレンおよびn-ペンチレンから選択される直鎖であり、ここで
(a) 0〜2個のメチレン単位がC=Oに置き換えられ;
(b) Lの0〜3個のメチレン単位が、O、NおよびS(O)Pから選択されるヘテロ原子で置き換えられ、ただし少なくとも一つのメチレンが存在しかつN-OまたはO-O結合以外がL内でまたはLのどちらかの接続点で形成されるものとし; ならびに
(c) 0〜1個の二重結合がLの鎖原子間に存在し;
Lは、C1〜4アルキル、フェニル、ベンジル、C3〜6シクロアルキルおよびNRaRbから選択される0〜2個の基で置換され;
あるいは、Lが4〜5原子長であるなら、鎖原子の三つが2原子の架橋と任意で組み合わさって、炭素原子とO、NおよびS(O)Pから選択される0〜2個のヘテロ原子とからなる5員環を形成してもよく、ここで環が0〜2個の環二重結合を有し、かつ2原子の架橋の0〜1個の原子がカルボニル基に置き換えられ;
あるいは、リンカーLが接続される炭素原子に隣接した環A中の炭素原子を(CH2)1〜2架橋によりリンカーLに接続して5〜6員環を形成させてもよく、ここで任意で架橋の1個のメチレンがカルボニル基に置き換えられ;
RaおよびRbはそれぞれの場合でHおよびC1〜6アルキルから独立して選択され;
あるいは、NRaRbは、それぞれの場合で独立して、示されている窒素原子および4〜5個のメチレンからなる5〜6員環状アミンを形成し;
環Bはフェニル、ピリジル、ピリミジルおよび

から選択され、ここでフェニル、ピリジルおよびピリミジル環が1〜3個のR1基で置換され;
R1はCO2H、ハロゲン、NO2、NRaRb、-CN、C1〜2ハロアルキル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、CHO、C(O)C1〜6アルキル、CO2-C1〜6アルキル、C(O)NRaRb、S(O)2NRaRb、S(O)p-C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、0〜2個のR2基で置換されたフェニル、0〜2個のR2基で置換されたベンジル、0〜2個のR2基で置換されたS-フェニル、0〜2個のR2基で置換されたO-フェニルおよび0〜2個のR2基で置換されたNRa-フェニルから独立して選択され;
あるいは、環Bは、メチレン-ジオキシル(-OCH2O-)およびエチレン-ジオキシル(-OCH2CH2O-)から選択される0〜1個の基で置換され;
R2はCO2H、ハロゲン、NH2、C1〜2ハロアルキル、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C(O)C1〜6アルキルおよびCO2C1〜6アルキルから独立して選択され; ならびに、
pは0、1および2から独立して選択される。
【請求項2】
環Aはフェニルおよびピリジルから選択され;
環Aは0〜3個のR基で置換され;
環Aは0〜1個のメチレン-ジオキシル(-OCH2O-)で置換され;
Rはハロゲン、NO2、NRaRb、-CN、CF3、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C1〜4アルコキシ、CHO、C(O)C1〜4アルキル、CO2-C1〜4アルキル、C(O)NRaRb、S(O)2NRaRbおよびS(O)P-C1〜6アルキルから選択され;
Lはn-プロピレンおよびn-ブチレンから選択される直鎖であり、ここで
(a) 0〜1個のメチレン単位がC=Oに置き換えられ; ならびに、
(b) Lの0〜2個のメチレン単位が、OおよびNから選択されるヘテロ原子で置き換えられ、ただしN-OまたはO-O結合以外がL内でまたはLのどちらかの接続点で形成されるものとし;
Lは、C1〜4アルキル、フェニルおよびベンジルから選択される0〜2個の基で置換され;
あるいは、Lが4原子長であるなら、鎖原子の三つが2原子の架橋と任意で組み合わさって、炭素原子とO、NおよびS(O)Pから選択される0〜2個のヘテロ原子とからなる5員環を形成してもよく、ここで環が0〜1個の環二重結合を有し;
あるいは、リンカーLが接続される炭素原子に隣接した環A中の炭素原子を(CH2)1〜2架橋によりリンカーLに接続して5〜6員環を形成させてもよく、ここで任意で架橋の1個のメチレンがカルボニル基に置き換えられ;
RaおよびRbはそれぞれの場合でHおよびC1〜6アルキルから独立して選択され;
環Bは

であり;
pは0、1および2から独立して選択される、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
化合物が

または薬学的に許容されるその塩から選択される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
がんが乳がん、結腸直腸がん、肺がん、前立腺がんおよび卵巣がんから選択される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
環Aはフェニルおよびピリジルから選択され;
環Aは、O-C7〜20アルキル、O-C7〜20アルケニルおよびO-C7〜20アルキニルから選択される1個の基で置換され;
環Aは、0〜1個のR基で置換され;
Rはハロゲン、CF3、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C(O)C1〜4アルキルおよびCO2-C1〜4アルキルから選択され;
Lはn-プロピレン、n-ブチレンおよびn-ペンチレンから選択される直鎖であり、ここで
(a) 0〜2個のメチレン単位がC=Oに置き換えられ;
(b) Lの0〜3個のメチレン単位が、O、NおよびS(O)Pから選択されるヘテロ原子で置き換えられ、ただし少なくとも一つのメチレンが存在するものとし; ならびに、
(c) 0〜1個の二重結合がLの鎖原子間に存在し;
Lは、C1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキルおよびNRaRbから選択される0〜2個の基で置換され;
RaおよびRbはそれぞれの場合でHおよびC1〜6アルキルから独立して選択され;
あるいは、NRaRbは、それぞれの場合で独立して、示されている窒素原子および4〜5個のメチレンからなる5〜6員環状アミンを形成し;
環Bはフェニルおよびピリジルから選択され、ここでフェニルおよびピリジル環が1〜2個のR1基で置換され;
R1はCO2H、ハロゲン、NRaRb、CF3、C1〜4アルキル、C1〜6アルコキシ、C3〜6シクロアルキル、0〜2個のR2基で置換されたS-フェニル、0〜2個のR2基で置換されたO-フェニルおよび0〜2個のR2基で置換されたNRa-フェニルから独立して選択され;
R2はCO2H、ハロゲン、CF3、C1〜4アルキルおよびC1〜4アルコキシから独立して選択され;
pは0、1および2から独立して選択される、
請求項1記載の方法。
【請求項6】
化合物が

または薬学的に許容されるその塩から選択される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
がんが乳がん、結腸直腸がん、肺がん、前立腺がんおよび卵巣がんから選択される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
式Iの化合物もしくはその立体異性体または薬学的に許容されるその塩:

式中:
環Aはフェニル、ピリジルおよびピリミジルから選択され;
環Aは、O-C7〜20アルキル、O-C7〜20アルケニルおよびO-C7〜20アルキニルから選択される0〜1個の基で置換され;
環Aは、ハロゲン、NO2、NRaRb、-CN、C1〜2ハロアルキル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、CHO、C(O)C1〜6アルキル、CO2-C1〜6アルキル、C(O)NRaRb、S(O)2NRaRb、S(O)p-C1〜6アルキル、フェニル、ベンジルおよびC3〜6シクロアルキルから選択される0〜3個の基で置換され;
環Aは、メチレン-ジオキシル(-OCH2O-)およびエチレン-ジオキシル(-OCH2CH2O-)から選択される0〜1個の基で置換され;
Lはn-プロピレン、n-ブチレンおよびn-ペンチレンから選択される直鎖であり、ここで
(a) 0〜2個のメチレン単位がC=Oに置き換えられ;
(b) Lの0〜3個のメチレン単位が、O、NおよびS(O)Pから選択されるヘテロ原子で置き換えられ、ただし少なくとも一つのメチレンが存在しかつN-OまたはO-O結合以外がL内でまたはLのどちらかの接続点で形成されるものとし; ならびに
(c) 0〜1個の二重結合がLの鎖原子間に存在し;
Lは、C1〜4アルキル、フェニル、ベンジル、C3〜6シクロアルキルおよびNRaRbから選択される0〜2個の基で置換され;
あるいは、Lが4〜5原子長であるなら、鎖原子の三つが2原子の架橋と任意で組み合わさって、炭素原子とO、NおよびS(O)Pから選択される0〜2個のヘテロ原子とからなる5員環を形成してもよく、ここで環が0〜2個の環二重結合を有し、かつ2原子の架橋の0〜1個の原子がカルボニル基に置き換えられ;
あるいは、リンカーLが接続される炭素原子に隣接した環A中の炭素原子を(CH2)1〜2架橋によりリンカーLに接続して5〜6員環を形成させてもよく、ここで任意で架橋の1個のメチレンがカルボニル基に置き換えられ;
RaおよびRbはそれぞれの場合でHおよびC1〜6アルキルから独立して選択され;
あるいは、NRaRbは、それぞれの場合で独立して、示されている窒素原子および4〜5個のメチレンからなる5〜6員環状アミンを形成し;
環Bはフェニル、ピリジル、ピリミジルおよび

から選択され、ここでフェニル、ピリジルおよびピリミジル環が1〜3個のR基で置換され;
RはCO2H、ハロゲン、NO2、NRaRb、-CN、C1〜2ハロアルキル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、CHO、C(O)C1〜6アルキル、CO2-C1〜6アルキル、C(O)NRaRb、S(O)2NRaRb、S(O)p-C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、0〜2個のR1基で置換されたフェニル、0〜2個のR1基で置換されたベンジル、0〜2個のR1基で置換されたS-フェニル、0〜2個のR1基で置換されたO-フェニルおよび0〜2個のR1基で置換されたNRa-フェニルから独立して選択され;
あるいは、環Bは、メチレン-ジオキシル(-OCH2O-)およびエチレン-ジオキシル(-OCH2CH2O-)から選択される0〜1個の基で置換され;
R1はCO2H、ハロゲン、NH2、C1〜2ハロアルキル、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C(O)C1〜6アルキルおよびCO2C1〜6アルキルから独立して選択され; ならびに、
pは0、1および2から独立して選択され;
ただし式Iの化合物は以下の化合物:

のうちの一つ以外であるものとする。
【請求項9】
表2もしくはその立体異性体または薬学的に許容されるその塩から選択される、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
薬学的に許容される担体および治療上有効量の請求項8記載の化合物または薬学的に許容されるその塩形態を含む、薬学的組成物。
【請求項11】
薬学的に許容される担体および治療上有効量の請求項9記載の化合物または薬学的に許容されるその塩形態を含む、薬学的組成物。

【公表番号】特表2011−519923(P2011−519923A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508452(P2011−508452)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/005861
【国際公開番号】WO2009/136889
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(510293947)ノヴァ サウスイースタン ユニバーシティ− (1)
【Fターム(参考)】