説明

衛星ギアセットを含むコンパクトな伝動装置

伝動装置1は、ハウジング3と、2つの入力/出力シャフト5,7とを有する。ハウジング3の内側には、3つの回転可能な部材を備える衛星ギアセット9が存在し、3つの回転可能な部材は、ハウジング及び2つの入力/出力シャフトに接続される。ハウジングの内側には、クラッチ17が更に存在し、クラッチは、3つの回転可能な部材のうちの2つと共に接続する。クラッチが閉塞されるとき、入力/出力シャフトは相関的に共に接続される。クラッチの加圧板23がブレーキシステム27のブレーキディスク29に接続され、ブレーキシステムは、回転可能な部材のうちの1つに接続される。ブレーキシステムが閉塞されるとき、入力/出力シャフトは、衛星ギアセットを介して共に接続される。伝動装置1は、レバー45を更に含み、レバーは、ブレーキディスク29を軸方向に移動することができ、よって、動作中にクラッチ17を開放することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の入力/出力シャフトと、第2の入力/出力シャフトと、3つの回転可能な部材を含む衛星ギアセットとを含み、3つの回転可能な部材のうちの第1の回転可能な部材は、第1の入力/出力シャフトに接続され、第2の回転可能な部材は、第2の入力/出力シャフトに接続される伝動装置に関し、当該伝動装置は、更に、クラッチを含み、クラッチは、回転可能な部材のうちの1つに接続される第1のクラッチ部分と、回転可能な部材のうちの他の1つに接続され且つ第1のクラッチ部分に対して軸方向に移動可能である第2のクラッチ部分と、軸方向に移動可能な加圧板とを含み、当該伝動装置は、ブレーキを含み、ブレーキは、加圧板に固定的に取り付けられるブレーキディスクと、ブレーキディスクの回転方向において堅い物体に固定的に接続され且つブレーキディスクの軸方向において前記堅い物体に移動可能に接続される少なくとも1つのブレーキパッドとを備え、ブレーキディスクは、回転可能な部材のうちの第3の部材に軸方向において移動可能に接続され、且つ、回転可能な部材のうちの第3の部材に回転方向において固定的に接続される。
【背景技術】
【0002】
この種類の伝動装置は、FR−A−1.134.821から既知である。この従来的な伝動装置は、ブレーキが閉塞されるときの間接結合及びによって決定され且つクラッチが閉塞されるときの2つの入力/出力シャフト間の直接結合によって決定される入力/出力シャフト間のギア減速を有する。ブレーキが閉塞されるとき、クラッチは同時に開放されるので、両者は決して共に閉塞されない。従来的な伝動装置は比較的多くの空間を占める。加えて、従来的な伝動装置を用いるならば、動作中の切換えは不可能である。何故ならば、その場合には、伝動装置は2つのギアを利用し、結果的に遮断されるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来的な伝動装置よりもコンパクトな冒頭段落に提示された種類の伝動装置を提供することが本発明の目的である。この目的のために、本発明に従った伝動装置は、伝動装置がハウジングを含み、ハウジング内には、衛星ギアセット及びクラッチが配置されるのに対し、第3の回転可能な部材がハウジングに取り付けられる。結果的に、コンパクトな構造が得られる。入力/出力シャフトとハウジングとの間の封止リングを用いて簡単な方法でハウジングを封止し得るので、衛星ギアセットを簡単な方法で潤滑することができ、且つ/或いは、クラッチを湿式板クラッチとして配置することができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に従ったブレーキディスクの実施態様は、ブレーキディスクが、ハウジングの軸方向側部から離れて位置付けられ、ハウジングの反対側のブレーキディスク側部は、ブレーキパッドと協働する制動面を形成し、ハウジングの他の軸方向側部は、更なる制動面を形成し、ブレーキは、更なる制動面と協働する更なるブレーキパッドを含む点で特徴付けられる。結果的に、追加的な空間を殆ど必要としない頑丈な構造のブレーキが得られる。
【0005】
本発明に従ったブレーキディスクの更なる実施態様は、伝動装置が解放手段を含み、解放手段は、ブレーキディスクを軸方向に移動することができ、よって、クラッチ部分の加圧板を離し、クラッチを開放する点で特徴付けられる。結果的に、2つの入力/出力シャフトが解放される状態に伝動装置を移行し得る。
【0006】
本発明に従ったブレーキディスクの一層更なる実施態様は、解放手段がレバーを含み、レバーは、ハウジング上に軸受取付けされる旋回軸の周りで回転可能であり、レバーの一端部は動作可能であり、レバーの他端部はブレーキディスク上に軸受取付けされる点で特徴付けられる。この構造の結果、動作中にさえも、2つの入力/出力シャフトを解放し得る。
【0007】
それらの全てが本発明に従った伝動装置の非限定的な実施例によって与えられる、付属図面に関連する以下の記載は、本発明がどのように実現され得るかの最良の理解をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に従った伝動装置の第1実施態様を示す断面図である。
【図2】本発明に従った伝動装置の第2実施態様を示す断面図である。
【図3】本発明に従った伝動装置の第3実施態様を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明に従った伝動装置の第1実施態様の断面図を示している。伝動装置1は、ハウジング1と、2つの入力/出力シャフト5,7とを含み、第1入力/出力シャフト5の第1端部のボア内には、第2入力/出力シャフト7の端部に取り付けられるシャフト頭端部が配置される。ハウジング3の内側には、3つの回転可能な部材を有する衛星ギアセット9が配置され、3つの回転可能な部材は、太陽ギア11と、衛星ギア14をその上に備える衛星ギア支持体13と、環状ギア15とによって形成される。太陽ギア11は、第1入力/出力シャフト5に接続され、衛星ギア支持体13は、第2入力/出力シャフト7に接続され、環状ギア15は、ハウジング3に剛的に接続される。
【0010】
ハウジング3は、クラッチ17を更に含み、その第1クラッチ部分19は、ハウジング3を用いて環状ギア15に接続され、第2クラッチ部分21は、第2入力/出力シャフト7を用いて衛星ギア支持体13に接続される。第1クラッチ部分19は、ハウジング3に取り付けられる歯車と、ハウジング3に対して軸方向において移動可能であり且つ回転方向においてハウジング3に固定される更なる歯車とによって構成される。第2クラッチ部分21は、第2入力/出力シャフト7に対して軸方向において移動可能であり且つ回転方向において第2入力/出力シャフト7に固定的に取り付けられる2つのクラッチディスクによって構成される。一方のクラッチディスクは、第1クラッチ部分19の2つの歯車の間に存在し、他方のクラッチディスクは、クラッチの軸方向において移動可能な加圧板23と移動可能なディスクとの間に存在する。この加圧板23はバネ25によって押し付けられ、クラッチ板及び歯車を共に加圧する。
【0011】
伝動装置1は、更に、ブレーキディスク29と堅い物体に接続される2つのブレーキパッド31及び33とを備えるブレーキ27を含む。ブレーキディスク29は、ハウジング3の軸方向側部の傍にある距離で存在し、ロッド35を用いて加圧板23に固定的に適合される。油圧シリンダ37を用いてブレーキパッド31,33をブレーキディスク29の側部39及びハウジング3の側部41に押し付け得る。その場合、これらの側部39及び41は制動面を構成する。ブレーキディスクは軸方向に移動可能であり、且つ、回転方向において環状ギア15に固定的に適合される。
【0012】
伝動装置1は、解放手段43を更に含み、解放手段43は、ブレーキディスク29を軸方向において移動することが可能であり、よって、クラッチ手段19及び21の加圧板23を離し、クラッチ17を開放する。これらの解放手段43は、レバー45を有し、レバー45は、ハウジング3上に軸受取付けされる旋回軸47の周りで回転し得る。レバー45の自由端部49は操作可能であり、他端部51は、ブレーキディスク29上に軸受取付けされる。レバー45は堅い物体に対して回転せず、よって、機能中に簡単な方法で操作可能であると共に、このレバー45は、ブレーキ板29を介して、バネ25の力に抗して加圧板23を2つのクラッチ部分19及び21から離れる方向に押し、よって、クラッチ17を開放する。
【0013】
図2及び図3は、本発明に従った伝動装置の2つの更なる実施態様を示しており、衛星ギアセット9は、ハウジング3に並びに2つの入力シャフト/出力シャフト5,7に異なる方法で接続される。図2に示される伝動装置53において、太陽ギア11は、ハウジング3に適合され、衛星ギア支持体13は、第1入力/出力シャフト5に接続され、環状ギア15は、第2入力/出力シャフト7に接続されている。図3に示される伝動装置55において、太陽ギア11は、第1入力/出力シャフト5に適合され、衛星ギア支持体13は、ハウジング3に適合され、環状ギア15は、第2入力/出力シャフト7に接続されている。
【0014】
本発明は図面を参照して前述のように記載されたが、本発明は、如何なる方法でも如何なる手段でも、図面中に示される実施態様に限定されないことが指摘されなければならない。本発明は、請求項によって定められる精神及び範囲内で、図面中に示される実施態様から逸れる如何なる実施態様にも及ぶ。例えば、構成を適合することによって、油圧的に調節可能な方法の代わりに、ブレーキパッド31及び33を電気的に調節可能な方法で配置し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の入力/出力シャフトと、第2の入力/出力シャフトと、3つの回転可能な部材を含む衛星ギアセットとを含み、前記3つの回転可能な部材のうちの第1の回転可能な部材は、前記第1の入力/出力シャフトに接続され、第2の回転可能な部材は、前記第2の入力/出力シャフトに接続される伝動装置であって、
当該伝動装置は、更に、クラッチを含み、該クラッチは、前記回転可能な部材のうちの1つに接続される第1のクラッチ部分と、前記回転可能な部材のうちの他の1つに接続され且つ前記第1のクラッチ部分に対して軸方向に移動可能である第2のクラッチ部分と、軸方向に移動可能な加圧板とを含み、
当該伝動装置は、ブレーキを含み、該ブレーキは、前記加圧板に固定的に取り付けられるブレーキディスクと、該ブレーキディスクの回転方向において堅い物体に固定的に接続され且つ前記ブレーキディスクの軸方向において前記堅い物体に移動可能に接続される少なくとも1つのブレーキパッドとを備え、前記ブレーキディスクは、前記回転可能な部材のうちの第3の部材に軸方向において移動可能に接続され、且つ、前記回転可能な部材のうちの前記第3の部材に回転方向において固定的に接続され、
当該伝動装置は、ハウジングを含み、該ハウジング内には、前記衛星ギアセット及び前記クラッチが配置され、前記第3の回転可能な部材は、前記ハウジングに取り付けられることを特徴とする、
伝動装置。
【請求項2】
前記ブレーキディスクは、前記ハウジングの軸方向側部から離れて位置付けられ、前記ハウジングの反対側のブレーキディスク側部は、前記ブレーキパッドと協働する制動面を形成し、前記ハウジングの前記他の軸方向側部は、更なる制動面を形成し、前記ブレーキは、前記更なる制動面と協働する更なるブレーキパッドを含むことを特徴とする、請求項1に記載の伝動装置。
【請求項3】
当該伝動装置は、解放手段を含み、該解放手段は、前記ブレーキディスクを軸方向に移動することができ、よって、前記クラッチ部分の前記加圧板を離し、前記クラッチを開放することを特徴とする、請求項1又は2に記載の伝動装置。
【請求項4】
前記解放手段は、レバーを含み、該レバーは、前記ハウジング上に軸受取付けされる旋回軸の周りで回転可能であり、前記レバーの一端部は、動作可能であり、前記レバーの他端部は、前記ブレーキディスク上に軸受取付けされることを特徴とする、請求項3に記載の伝動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−522182(P2011−522182A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511533(P2011−511533)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【国際出願番号】PCT/NL2009/000124
【国際公開番号】WO2009/145616
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(510313463)
【Fターム(参考)】