説明

衣料用洗浄剤組成物

【課題】 洗濯による型崩れ防止効果に優れる衣料用洗浄剤組成物の提供。
【解決手段】 式(I)で表される陽イオン界面活性剤0.1〜10質量%、及び式(II)で表され、25℃における粘度が500〜5500mPa・sであるシリコーン化合物0.05〜5質量%を含有し、JIS K3362:1998記載の界面活性剤相当分が10〜60質量%であり、界面活性剤相当分中のポリオキシアルキレン(C2-3)アルキル(C8-16)エーテル(平均付加モル数3〜15)の含有量が20質量%以上である衣料用洗浄剤組成物、及びこれを用いた洗濯方法。


〔式中、R1及びR2はC6-22のアルキル基等、R3及びR4はH、炭素数C1-4のアルキル基等、X-はハロゲンイオン等を示す。〕


〔式中、d:e=100:1〜10:1、且つe:f=1:10〜10:1、RはC1-4のアルキル基等、R5はC1-4のアルキル基、Aは−(CH2)3-NH-CO-CH2-O-(C2H4O)5-C12H25等、Bは−(CH2)3-O-(C2H4O)10-CH3又は-CH3等を示す。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣料用洗浄剤組成物に関し、更に詳しくは洗濯による型崩れ防止効果に優れる衣料用洗浄剤組成物、及び該衣料用洗浄剤組成物を用いた洗濯方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭での衣料の洗浄における所有者の要求は多岐にわたり高く、洗浄力は元より、洗浄操作による被洗浄物の型崩れ、色合い、風合い等の変化がないこと、洗浄後の匂いといった点の要求が高い。
【0003】
中でも、被洗浄物の型崩れ防止という要求に応えるために、洗濯機においては、低攪拌力のドライコースやソフトコースといった洗濯コースが開発され、洗濯補助具として、洗濯ネットが開発されている。また、つけこみ洗いや、押し洗いといった手洗いが行われている。このように、被洗浄物の型崩れを起こしにくい低機械力の洗濯条件では洗浄力が低下する傾向にあり、洗浄力を向上させることが課題となっている。
【0004】
被洗浄物の型崩れ防止という要求に応えるために、洗浄剤組成物としては、特定のアミノ変性シリコーンアミドを用いた衣類の縮み防止性に優れた洗浄剤(例えば、特許文献1、2、3参照)、非イオン界面活性剤及びモノ長鎖アルキル陽イオン界面活性剤を含有する洗浄剤による縮み及びしわを防止した洗浄方法(例えば、特許文献4参照)、非イオン界面活性剤及び/又は陰イオン界面活性剤と繊維保護剤で洗浄した後にシリコーンを含有する水性仕上げ剤で処理する型崩れ、しわ、縮みを防止した洗浄方法(例えば、特許文献5参照)等が知られている。また、ウール製品の傷みを抑制する洗浄剤として、アルキルグリコシド、陽イオン界面活性剤、アミノ変性シリコーン及び陰イオン界面活性剤を含有する洗浄剤(例えば、特許文献6参照)が知られている。これらの技術は部分的には使用者の要求を満たすが、使用者の要求を十分に満足させることはできない。
【特許文献1】特開平3−207798号公報
【特許文献2】特開平9−67594号公報
【特許文献3】特開2004−204157号公報
【特許文献4】特表2001−526741号公報
【特許文献5】特開平10−158693号公報
【特許文献6】特開平5−239493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、洗濯による型崩れ防止効果に優れる衣料用洗浄剤組成物及び該衣料用洗浄剤組成物を用いた洗濯方法を提供することにある。より詳しくは、例えば、従来洗濯ネットに入れて洗濯していた衣料を洗濯ネットに入れずに洗浄することが可能となる、或いは全自動洗濯機のドライコースやソフトコースで洗濯していた衣料を標準コースで洗浄することが可能となる、或いは従来の洗浄剤では家庭での洗濯に取り込めなかった衣料を家庭での洗濯に取り込むことが可能な衣料用洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記〔1〕、〔2〕及び〔3〕に関する。
〔1〕(a)下記一般式(I)で表される陽イオン界面活性剤0.1〜10質量%、及び(b)下記一般式(II)で表され、25℃における粘度が500〜5500mPa・sであるシリコーン化合物0.05〜5質量%を含有し、JIS K3362:1998記載の界面活性剤相当分が10〜60質量%であり、界面活性剤相当分中の(c)下記一般式(III)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルの含有量が20質量%以上である衣料用洗浄剤組成物。
【0007】
【化4】

【0008】
〔式中、R1及びR2は同一又は異なって、炭素数6〜22のアルキル基もしくはアルケニル基、R3及びR4は同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基又は−(CH2CH2O)mH(ここでmは1〜15の数)、X-はハロゲンイオン、CH3SO4-、C25SO4-、CH3COO-又はHCOO-を示す。〕
【0009】
【化5】

【0010】
〔式中、d,e及びfは、d:e=100:1〜10:1、且つe:f=1:10〜10:1となる数である。Rはヒドロキシ基、炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基、R5は炭素数1〜4のアルキル基であり、複数個のR及びR5はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。Aは下記(イ−1)及び(イ−2)から選ばれる少なくとも1種の基(イ)であるか、又は基(イ)と下記(ロ−1)及び(ロ−2)から選ばれる少なくとも1種の基(ロ)との混合基
【0011】
【化6】

【0012】
(ここで、g=2〜6の数、h=2〜6の数、R6は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、i=1〜6の数、j=1〜20の数、k=0〜20の数、R7は炭素数1〜18のアルキル基、R5は前記の意味を示す。)
であり、後者の混合基の場合、A中の基(ロ)の割合は5〜80モル%である。Bは−(CH2)g−O−(C24O)x−(C36O)y−R5'又はR5(ここで、g及びR5は前記の意味を示し、R5'は炭素数1〜10のアルキル基、x=1〜20の数、y=0〜20の数である。)を示す。〕
8−O−(R9O)n−H (III)
(式中、R8は炭素数8〜16のアルキル基、R9は炭素数2〜3のアルキレン基、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す3〜15の数であり、n個のR9は同一でも異なっていても良い。)
〔2〕洗濯による被洗浄物の型崩れ防止効果を訴求した、上記〔1〕記載の衣料用洗浄剤組成物。
〔3〕ウール、おしゃれ着、ドライマーク衣料を、上記〔1〕又は〔2〕記載の衣料用洗浄剤組成物を用いて、洗濯ネットを用いることなく、全自動洗濯機の標準コースで洗濯する洗濯方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の衣料用洗浄剤組成物は、洗濯による型崩れ防止効果に優れるため、機械力の高い洗濯(例えば、従来洗濯ネットに入れて洗濯していた衣料を洗濯ネットに入れずに洗浄する、或いは全自動洗濯機のドライコースやソフトコースで洗濯していた衣料を標準コースで洗浄すること)が可能となり、高機械力による洗浄効果向上が期待できる。また、従来の洗浄剤では家庭での洗濯に取り込めなかった衣料も家庭で洗濯することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[(a)成分]
本発明の(a)成分は、前記一般式(I)で表される陽イオン界面活性剤であり、型崩れ防止効果の点で、一般式(I)中のR1及びR2は同一又は異なって、炭素数12〜18、更には12〜14のアルキル基もしくはアルケニル基が好ましく、R3及びR4はメチル基、又は−(CH2CH2O)mHが好ましく、メチル基が更に好ましい。X-はハロゲンイオンが好ましく、Cl-が更に好ましい。
【0015】
(a)成分の具体例としては、ジアルキル(炭素数12〜18)ジメチルアンモニウムクロライド(例えば花王(株)製コータミンD2345P)、ジアルキル(炭素数16〜18)ジメチルアンモニウムクロライド(例えば花王(株)製コータミンD86P)、ジアルキル(炭素数12〜14)ジメチルアンモニウムクロライド(例えば花王(株)製コータミンD24E)、ジ牛脂アルキルジポリオキシエチレン(平均エチレンオキサイド付加モル数5乃至12)アンモニウムクロライド等があげられるが、型崩れ防止効果の点で、ジアルキル(炭素数12〜14)ジメチルアンモニウムクロライドが好ましい。
【0016】
[(b)成分]
本発明の(b)成分は、前記一般式(II)で表されるシリコーン化合物で、25℃における粘度が500〜5500mPa・sである。なお、粘度はB型粘度計(ローターNo.3、12rpm、2分間、温度25℃、TOKYO KEIKI、DIGITAL VISCOMETER DUM−B)を用いて測定することができる。
【0017】
一般式(II)で表されるシリコーン化合物において、柔軟化効果の点で、d,e,fは、d=100〜600、特にd=100〜400、d:e=60:1〜10:1、e:f=1:5〜5:1となる数が好ましい。またR及びR5はメチル基が好ましい。Aは基(イ)、又は基(イ)と基(ロ)の混合基で、後者の混合基の場合、A中の基(ロ)の割合が15モル%以上50モル%以下、基(イ)/基(ロ)=5/1〜1/1(モル比)、g=2〜4、h=2〜6、R6が水素原子、i=1〜3、j=1〜15、k=0〜10、R7が炭素数6〜16のアルキル基であるものが好ましい。Bは−(CH2)g−O−(C24O)x−(C36O)y−R5'又はR5で、R5'がメチル基、x=5〜20、y=0〜10のものが好ましい。
【0018】
[衣料用洗浄剤組成物]
本発明の組成物中の(a)成分の含有量は0.1〜10質量%であり、型崩れ防止効果、洗浄性能の点で0.2〜8質量%が好ましく、0.3〜6質量%がより好ましく、0.4〜4質量%が更に好ましく、0.5〜2質量%が特に好ましい。
【0019】
本発明の組成物中の(b)成分の含有量は、0.05〜5質量%であり、型崩れ防止効果、洗浄性能の点で0.1〜4質量%が好ましく、0.2〜3質量%がより好ましく、0.3〜2質量%が更に好ましく、0.4〜1質量%が特に好ましい。
【0020】
また、本発明の組成物中の(a)成分と(b)成分の質量比は、型崩れ防止効果の点で、(a)/(b)=10/1〜1/10が好ましく、8/1〜1/8がより好ましく、5/1〜1/5が更に好ましく、2/1〜1/2が特に好ましい。
【0021】
本発明の組成物中のJIS K3362:1998記載の界面活性剤相当分は、10〜60質量%であり、型崩れ防止効果、洗浄性能の点で、12〜50質量%が好ましく、14〜40質量%がより好ましく、16〜30質量%が更に好ましく、18〜25質量%が特に好ましい。また、界面活性剤相当分中の(c)成分の含有量は、20質量%以上であり、型崩れ防止効果、洗浄性能の点で、40〜99質量%が好ましく、60〜98質量%がより好ましく、80〜97質量%が更に好ましく、90〜96質量%が特に好ましい。
【0022】
(c)成分としては、型崩れ防止効果、洗浄性能の点で、R8が炭素数8〜16、更に炭素数12〜14のアルキル基で、R9がエチレン基で、nが平均3〜15、更に5〜12であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。
【0023】
界面活性剤相当分としては、本発明の(a)成分及び(c)成分の他、従来、衣料用洗浄剤組成物に配合することが知られている界面活性剤が挙げられる。なお洗浄性を高める観点から、界面活性剤は、再汚染防止性の点で陰イオン界面活性剤、皮脂汚れ洗浄性の点で非イオン界面活性剤を主界面活性剤として使用することが好ましい。
【0024】
陰イオン界面活性剤としては、炭素数10〜18のアルキル鎖を持つ直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、アルキル硫酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル、アルファスルホ脂肪酸アルキル(例えばメチル)エステル、炭素数8〜20の脂肪酸等、及びこれらの塩が好ましい。
【0025】
陰イオン界面活性剤の対イオンとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム等のアルカリ土類金属、モノ、ジ、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられるが、特にアルカノールアミン塩を用いることで液安定性が向上することから好適である。
【0026】
(c)成分以外の非イオン界面活性剤としては、脂肪酸アルカノールアミド、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド等が挙げられる。
【0027】
また、更に被洗浄物などの柔軟性を向上させるためには、(a)成分以外のモノ長鎖アルキル4級アンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤を、好ましくは組成物中0.5〜10質量%、特に1〜5質量%含有することが好ましい。柔軟性向上効果の点で、長鎖アルキル基が炭素数12〜22、特に14〜20のアルキル基である長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩が好ましい。陽イオン界面活性剤の対イオンとしては、ハロゲンイオン、CH3S04-、C25S04-、CH3COO-又はHCOO-が好ましい。更に柔軟性を高めるため、陽イオン界面活性剤を陰イオン界面活性剤に対して、陽イオン界面活性剤/陰イオン界面活性剤=3/1〜1/2、更に2/1〜1/2、特に1.2/1〜1/1.2のモル比で配合することが好ましい。
【0028】
その他の界面活性剤として、液の安定性及び泥汚れ洗浄性の点で、両性界面活性剤を配合してもよい。両性界面活性剤としてアルキルカルボベタイン、アルキルアミドプロピルアミンオキサイド、アルキルスルホベタイン、アルキルアミドヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドアミン型ベタイン及びアルキルイミダゾリン型ベタインなどが配合できる。両性界面活性剤は、好ましくは組成物中1〜20質量%含有される。
【0029】
更に本発明の衣料用洗浄剤組成物には、次の成分を配合できる。
即ち、アルカリ金属の水酸化物、ケイ酸塩、炭酸ナトリウム等の炭酸塩、及びアルカノールアミン等のアルカリ剤0.01〜10質量%;エタノール等のアルコール類、エチレングリコール及びプロピレングリコール等のグリコール類、パラトルエンスルホン酸、安息香酸塩(防腐剤としての効果もある)並びに尿素等の減粘剤及び可溶化剤0.01〜30質量%;ポリオキシアルキレンベンジルエーテル、ポリオキシアルキレンフェニルエーテル等の相調整剤及び洗浄力向上剤0.01〜10質量%;ニトリロ三酢酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩、イミノ二酢酸塩、ジエチレントリアミン五酢酸塩、グリコールエーテルジアミン四酢酸塩、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸塩及びトリエチレンテトラミン六酢酸塩等のアミノポリ酢酸塩、マロン酸、コハク酸、ジグリコール酸、リンゴ酸、酒石酸及びクエン酸等の酸の塩等の金属イオン捕捉剤0.1〜20質量%;ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、カルボキシメチルセルロース、平均分子量5000以上のポリエチレングリコール、無水マレイン酸−ジイソブチレン共重合体、無水マレイン酸−メチルビニルエーテル共重合体、無水マレイン酸−イソブチレン共重合体、無水マレイン酸−酢酸ビニル共重合体、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、及び特開昭59−62614号公報の請求項1〜21(1頁3欄5行〜3頁4欄14行)記載のポリマー等の再汚染防止剤及び分散剤0.01〜10質量%;ポリビニルピロリドン等の色移り防止剤0.01〜10質量%;過炭酸ナトリウム又は過硼酸ナトリウム等の漂白剤0.01〜10質量%;テトラアセチルエチレンジアミン、特開平6−316700号公報の一般式(I−2)〜(I−7)で表される漂白活性化剤等の漂白活性化剤0.01〜10質量%;アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ及びセルラーゼ等の酵素0.001〜2質量%;塩化カルシウム、硫酸カルシウム、ギ酸、ホウ酸(ホウ素化合物)等の酵素安定化剤0.001〜2質量%;チノパールCBS(チバガイギー社製)やホワイテックスSA(住友化学社製)等の蛍光染料0.001〜1質量%;シリカ、(b)成分以外のシリコーン化合物等の消泡剤0.01〜2質量%;ブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム等の酸化防止剤0.01〜2質量%;青味付け剤;香料;抗菌防腐剤等が挙げられる。
【0030】
本発明の組成物のJIS K3362:1998記載の方法による20℃における0.1質量%水溶液のpHは、被洗浄物の変形・変質防止の点で、6〜8が好ましく、6.5〜8がより好ましく、7〜7.8が更に好ましく、7〜7.6が特に好ましい。
【0031】
本発明の衣料用洗浄剤組成物は、錠剤、粉末、ペースト、液体等のいずれの形態でも良いが、溶解性、使い易さの点で液体が好ましい。本発明の組成物が液体である場合、20℃における粘度は、取り扱いの容易さの点で5〜400mPa・sが好ましく、10〜100mPa・sがより好ましく、10〜50mPa・sが更に好ましい。粘度調整剤によりこのような範囲になるように調整することが好ましい。なお、これらの粘度は、B型粘度計((株)東京計器製、VISCOMETER MODEL DVM-B)を用い、回転数60r/min、測定時間60秒の条件で測定されたものである。
【0032】
粘度調整剤としては、減粘剤としてエタノール、メタノール、プロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール等の炭素数1〜4の低級アルコール、トルエンスルホン酸(塩)、キシレンスルホン酸(塩)等を用いることができ、増粘剤として水溶性高分子、無機電解質を用いることができる。水溶性高分子としては、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合物、ポリプロピレングリコール(分子量100〜1000)等が挙げられる。無機電解質としては、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が挙げられる。
【0033】
本発明の衣料用洗浄剤組成物が液体である場合、保存安定性向上の点で溶存酸素濃度を5ppm以下にすることが好ましく、3ppm以下がより好ましく、1ppm以下が更に好ましい。組成物中の溶存酸素を低下させるために、配合時や貯蔵時に配合槽や貯槽を減圧しても良いし、気体透過性・液体不透過性の隔膜の片側に組成物を流し、他の側を減圧することにより溶存酸素を低下させても良いし、チッソガス等の不活性ガスにより置換しても良い。
【0034】
[洗濯方法]
本発明の洗濯方法は、型崩れ防止効果が極めて高いため、従来、洗濯ネットを用いて洗濯していたウール、おしゃれ着、ドライマーク衣料等の衣料を、本発明の衣料用洗浄剤組成物を用い、洗濯ネットを用いることなく全自動洗濯機の標準コースで洗濯する方法である。また、従来、全自動洗濯機のドライコースやソフトコースで洗濯していた衣料を、本発明の衣料用洗浄剤組成物を用いて、標準コースで洗濯する方法である。
【実施例】
【0035】
実施例1
下記に示す界面活性剤、シリコーン化合物、及びその他の成分を用い、表1及び2に示す組成の衣料用液体洗浄剤組成物を調製した。得られた組成物を用いて下記方法で型崩れ防止性能評価を行った。結果を表1及び2に示す。
【0036】
<配合成分>
(a−1):ジアルキル(炭素数12〜14)ジメチルアンモニウムクロライド
(a−2):ジアルキル(炭素数16〜18)ジメチルアンモニウムクロライド
(a’−1):モノアルキル(炭素数12〜14)トリメチルアンモニウムクロライド
(a’−2):モノアルキル(炭素数16〜18)トリメチルアンモニウムクロライド
(b−1):一般式(II)において、R:CH3、R5:CH3、A:(イ)−(CH2)3−NH−CO−CH2−O−(C24O)5−C1225及び(ロ)−(CH2)3−NH2の混合基、(イ)/(ロ)=7/3(モル比)、B:−(CH2)3−O−(C24O)10−CH3、d=300、e=7、f=4であるシリコーン化合物
(b−2):一般式(II)において、R:CH3、R5:CH3、A:(イ)−(CH2)3−NH−CO−CH2−O−(C24O)5−C1225、B:−CH3、d=300、e=7、f=4であるシリコーン化合物
(b−3):一般式(II)において、R:CH3、R5:CH3、A:(イ−1−1)−(CH2)3−NH−CO−CH2−O−(C24O)5−C1225及び(イ−1−2)−(CH2)3−NH−CO−CH2−O−(C24O)5−C1429の混合基、(イ−1−1)/(イ−1−2)=7/3(モル比)、B:−(CH2)3−O−(C24O)10−CH3、d=200、e=14、f=8であるシリコーン化合物
(c−1):炭素数10〜14の直鎖第1級アルコールにEOを平均12モル付加させたポリオキシエチレンアルキルエーテル
(c−2):炭素数10〜14の第2級アルコールにEOを平均7モル付加させたポリオキシエチレンアルキルエーテル
(c−3):炭素数10〜14の第2級アルコールにEOを平均3モル付加させたポリオキシエチレンアルキルエーテル
(c−4):炭素数10〜14の直鎖第1級アルコールにEOを平均3モル、POを平均2モル、EOを平均で5モルの順にブロック付加させたポリオキシアルキレンアルキルエーテル
(d−1):炭素数10〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
(d−2):ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(アルキル基の炭素数12、平均EO付加モル数3)
(d−3):炭素数12〜14のヤシ油系脂肪酸
(d−4):デシルグルコシド(マイドール10:花王(株)製)
<型崩れ防止性評価方法>
全自動洗濯機(東芝AW−D802VP)の洗濯槽に水道水30リットルを入れ、300gのアクリル:ウール=50:50の混紡セーター(ユニクロ社製)を1枚入れる。更に表1及び2の衣料用液体洗浄剤組成物を40ml入れ、ドライコースにて洗濯する。尚、水道水は20℃に調整して用いた。洗濯終了後、20℃、65%RHの恒温恒湿室に24時間静置乾燥した。
【0037】
・型崩れ防止性判定基準
乾燥後のセーターと未洗浄品とを、全体・肩・首・肘・袖・横のラインについて目視にて比較し、型崩れを下記の基準で、熟練したパネラー8名により評価した。評価点は8名の合計点とした。
0点:未洗浄品と比較して、著しい型崩れがある
1点:未洗浄品と比較して、若干型崩れがある
2点:未洗浄品と比較して、ほとんど型崩れがない
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
*1 高分子化合物:ペンテン/マレイン酸コポリマー(モル比50/50、平均分子量1万)
*2 ポリオキシエチレンモノフェニルエーテル:平均EO付加モル数3
*3 ポリエチレングリコール:平均分子量1000のポリエチレングリコール
*4 酵素:デュラザイム16.0L(プロテアーゼ、ノボノルディスクバイオインダストリー(株)製)
*5 蛍光染料:チノパールCBS−X(日本チバガイギー(株)製)
*6 混酸:塩酸/硫酸(モル比50/50)
*7 pH調整:目的のpHにするための量
*8 バランス:全体を100質量%にするための量
実施例2
表1に示す本発明品1、表2に示す比較品1を衣料用液体洗浄剤組成物として用い、下記方法で洗浄性能を評価し、実施例1と同様の方法で型崩れ防止性を評価した。結果を表3に示す。また、本発明品1を用い標準コースで洗浄し、型崩れ防止性の判定を行った乾燥後のセーター、及び比較品1を用いドライコースで洗浄し、型崩れ防止性の判定を行った乾燥後のセーターの写真を取り、それぞれ図1及び図2に示した。
【0041】
<洗浄性能評価法>
・人工汚垢布の調製
四塩化エチレン75Lに、下記に示す組成の有機汚垢を1531.2g、及び同じく下記に示す組成のカーボンペースト240gを加えて10分間超音波分散を行い、この浴中に幅10cmの清浄布(ウールモスリン)を浸し、汚染後風乾して汚染布とする。この汚染布を10cm×10cmに裁断し、洗浄試験に供した。
【0042】
なお、有機汚垢の組成は、綿実油44.8%、コレステロール10.8%、オレイン酸10.8%、パルミチン酸7.8%、セチルアルコール2.0%、固形パラフィン5.1%、流動パラフィン5.1%(合計86.4%)であり、カーボンペーストの組成は旭カーボンブラック0.2%、綿実油13.4%(合計13.6%)である。ここで、%は、有機汚垢とカーボンペーストの混合物における割合である。
【0043】
120cm×40cmの清浄布(ウールモスリン)を2つ折り(60cm×40cm)にして筒状に縫い合わせ、片面・表面側中央部分に上記人工汚垢布を3枚縫い付けた試験布を作成した。
【0044】
・洗浄処理
全自動洗濯機(東芝AW−D802VP)の洗濯槽に水道水30リットルを入れ、上記試験布を3枚(人工汚垢布9枚)入れる。更に衣料用液体洗浄剤組成物を40ml入れ、ドライコース又は標準コースにて洗濯する。尚、水道水は20℃に調整して用いた。また、ドライコースにて洗濯する場合、試験布を洗濯ネットに入れ洗濯を行った。
洗濯終了後、20℃65%RHの恒温恒湿室に24時間静置乾燥した。
【0045】
・洗浄性能評価
洗浄後の人工汚垢布反射率を測定し(λ=550μm)、次式により洗浄率を計算し、下記の基準で評価した。この時、9枚の人工汚垢布のうち、洗浄率の高いサンプル2枚及び低いサンプル2枚を除外し、残り5枚の平均値で評価した。
【0046】
【数1】

【0047】
○:洗浄率40%以上
△:洗浄率20%以上40%未満
×:洗浄率20%未満
【0048】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明品1を用い標準コースで洗浄し、型崩れ防止性の判定を行った乾燥後のセーターの写真である。
【図2】比較品1を用いドライコースで洗浄し、型崩れ防止性の判定を行った乾燥後のセーターの写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記一般式(I)で表される陽イオン界面活性剤0.1〜10質量%、及び(b)下記一般式(II)で表され、25℃における粘度が500〜5500mPa・sであるシリコーン化合物0.05〜5質量%を含有し、JIS K3362:1998記載の界面活性剤相当分が10〜60質量%であり、界面活性剤相当分中の(c)下記一般式(III)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルの含有量が20質量%以上である衣料用洗浄剤組成物。
【化1】

〔式中、R1及びR2は同一又は異なって、炭素数6〜22のアルキル基もしくはアルケニル基、R3及びR4は同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基又は−(CH2CH2O)mH(ここでmは1〜15の数)、X-はハロゲンイオン、CH3SO4-、C25SO4-、CH3COO-又はHCOO-を示す。〕
【化2】

〔式中、d,e及びfは、d:e=100:1〜10:1、且つe:f=1:10〜10:1となる数である。Rはヒドロキシ基、炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基、R5は炭素数1〜4のアルキル基であり、複数個のR及びR5はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。Aは下記(イ−1)及び(イ−2)から選ばれる少なくとも1種の基(イ)であるか、又は基(イ)と下記(ロ−1)及び(ロ−2)から選ばれる少なくとも1種の基(ロ)との混合基
【化3】

(ここで、g=2〜6の数、h=2〜6の数、R6は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、i=1〜6の数、j=1〜20の数、k=0〜20の数、R7は炭素数1〜18のアルキル基、R5は前記の意味を示す。)
であり、後者の混合基の場合、A中の基(ロ)の割合は5〜80モル%である。Bは−(CH2)g−O−(C24O)x−(C36O)y−R5'又はR5(ここで、g及びR5は前記の意味を示し、R5'は炭素数1〜10のアルキル基、x=1〜20の数、y=0〜20の数である。)を示す。〕
8−O−(R9O)n−H (III)
(式中、R8は炭素数8〜16のアルキル基、R9は炭素数2〜3のアルキレン基、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す3〜15の数であり、n個のR9は同一でも異なっていても良い。)
【請求項2】
(a)成分/(b)成分の質量比が、10/1〜1/10である請求項1記載の衣料用洗浄剤組成物。
【請求項3】
JIS K3362:1998記載の方法による20℃における0.1質量%水溶液のpHが6〜8である請求項1又は2記載の衣料用洗浄剤組成物。
【請求項4】
洗濯による被洗浄物の型崩れ防止効果を訴求した、請求項1〜3いずれか記載の衣料用洗浄剤組成物。
【請求項5】
ウール、おしゃれ着、ドライマーク衣料を、請求項1〜4いずれか記載の衣料用洗浄剤組成物を用いて、洗濯ネットを用いることなく、全自動洗濯機の標準コースで洗濯する洗濯方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−182947(P2006−182947A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−379415(P2004−379415)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】