説明

衣類

【課題】長時間の着用後の伸長回復性が良好で、洗濯後も接着部位がはがれにくく、低温環境下においても接着部である端縁部や接合部が硬くならず、風合いの良好な衣類を得る。
【解決手段】熱可塑性ポリウレタン樹脂で衣類生地を溶融接着した接着部を有する衣類であって、接着部が衣類の端縁部、及び/又は、生地部品を複数接合して衣類を構成するための部品接合部であり、該接着部が、生地内部に熱可塑性ポリウレタン樹脂が浸透してなる樹脂浸透部と、該樹脂浸透部に接して生地表面に熱可塑性ポリウレタン樹脂によって形成される樹脂層とを有し、接着部における樹脂層厚みの樹脂浸透部厚みに対する比が0.1〜1.5である、衣類。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性ポリウレタン樹脂を衣類の端縁部及び/又は衣類を構成する複数の部品の接合部に配置し、加熱によって該熱可塑性ポリウレタン樹脂を溶融させて、該端縁部及び/又は該接合部を溶融接着させた衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣類の端縁部や衣類を構成する複数の生地部品の接合部は、糸により縫製されることが一般的であったが、近年、縫製を行うことなく接着樹脂テープを用いて衣類の端縁部を形成する方法(特許文献1参照)や熱融着テープにより複数の生地部品を接合して製作された衣類(特許文献2参照)が提案されている。
【0003】
こうした接着樹脂テープとして一般的に用いられるホットメルト樹脂としては、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエチレン系、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アタクチックポリプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル系、ポリ酢酸ビニル系及びアクリル系等の樹脂が挙げられるが、伸縮性、耐水性及び接着部分のソフト感を保つにはポリウレタン系の樹脂が好適である。
【0004】
通常、ポリウレタン樹脂のソフトセグメント成分はポリエーテルであり、中でもテトラヒドロフラン(以下、THFと記す)の重合体であるポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、PTMGと記す)を用いたポリウレタン樹脂は、弾性特性、耐加水分解性等の点に優れている。しかしながら、PTMGを用いたポリウレタン樹脂から得られたテープを接着した生地及び衣類は、テープの伸長時や低温環境下でソフトセグメントが結晶化し、伸縮性が低下したり回復性が悪い、あるいは低温環境下で硬化するという問題がある。このような衣類を一日着用した際には、回復性が悪く、伸びきった状態になったり、あるいは生地を低温環境下で使用すると硬化する等の問題がある。、さらに、上記のテープ類を用いた生地及び衣類は、長時間の着用や洗濯の後に接着部位が剥がれやすいといった問題や、上記テープ類を用いた生地及び衣類は、着用時のパワーが不十分であるといった問題を抱えており、さらなる改良が望まれている。
【0005】
こうした伸縮性の改良を目的として、共重合タイプのポリエーテルポリオールをポリウレタンのソフトセグメントとして使用することが従来提案されている。ネオペンチルグリコール基が共重合したポリエーテルグリコール(特許文献3)、及び共重合ポリエーテルグリコールを用いたポリウレタン(特許文献4)が夫々記載されている。しかしこれらの技術では、共重合率が低いため、テープやフィルム状に成型した場合の強度、伸度及び弾性回復率、低温環境下での風合い等の機械的特性を向上させたポリウレタンテープを得ることは難しい。また、THFと3−アルキルテトラヒドロフランとの共重合ポリオールを用いたポリウレタン(特許文献5)が記載されているが、この文献には伸縮時の伸長回復性及び低温環境下での風合いの改善についての記述はない。また、ネオペンチルグリコール及び/又は3−メチル−1,5−ペンタンジオールを8〜85モル%共重合したポリウレタンによって弾性機能が改良されることが記載されている(特許文献6)が、熱可塑性ポリウレタン及びそれを用いた衣類等に関する開示はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−211369号公報
【特許文献2】特開2005−226175号公報
【特許文献3】特開昭61−120830号公報
【特許文献4】米国特許第4,658,065号明細書
【特許文献5】特開平5−239177号公報
【特許文献6】特開平2−49022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、熱可塑性ポリウレタン樹脂を用いて、端縁部を処理し、及び/又は生地部品を接合させて得られる衣類であって、長時間の着用後の伸長回復性が良好で、洗濯後も接着部位がはがれにくく、低温環境下においても接着部である端縁部や接合部が硬くならず、風合いの良好な衣類を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の構成は以下のとおりである。
【0009】
(1) 熱可塑性ポリウレタン樹脂で衣類生地を溶融接着した接着部を有する衣類であって、
接着部が衣類の端縁部、及び/又は、生地部品を複数接合して衣類を構成するための部品接合部であり、
該接着部が、生地内部に熱可塑性ポリウレタン樹脂が浸透してなる樹脂浸透部と、該樹脂浸透部に接して生地表面に熱可塑性ポリウレタン樹脂によって形成される樹脂層とを有し、
接着部における樹脂層厚みの樹脂浸透部厚みに対する比が0.1〜1.5である、衣類。
【0010】
(2) 上記接着部における接着強度が20〜200cN/mmである、上記(1)に記載の衣類。
(3) 上記熱可塑性ポリウレタン樹脂が、1Hz条件下での温度依存性の動的粘弾性測定において、35℃における複素弾性率の絶対値が3.0〜15.0MPaであり、35℃における弾性成分量が0.995以上であり、かつ80℃における弾性成分量が0.990以上である、上記(1)または(2)に記載の衣類。
【0011】
(4) 上記熱可塑性ポリウレタン樹脂が、170℃条件下での周波数依存性の動的粘弾性測定において、0.1Hzにおける複素粘度の絶対値が300〜7000Pa・sであり、かつ100Hzにおける複素粘度の絶対値が50〜300Pa・sである、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の衣類。
【0012】
(5) 上記熱可塑性ポリウレタン樹脂の流動開始温度が80〜180℃である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の衣類。
【0013】
(6) 上記接着部が、フィルム状、テープ状及び繊維状のいずれかである熱可塑性ポリウレタン樹脂を用いて形成されている、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の衣類。
【0014】
(7) 上記樹脂層が上記生地上に単層構造で形成されている、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の衣類。
【0015】
(8) 上記熱可塑性ポリウレタン樹脂が、
(i)有機ポリイソシアネート化合物を、
(ii)分子量が300〜30,000のポリアルキレンエーテルジオール化合物であって、下記の構造単位(A):
【化1】

と、構造単位(B)、(C)及び(D):
【化2】

【化3】

【化4】

から選ばれる1種以上の構造単位とからなり、かつ下記式(1):
0.08≦(MB+MC+MD)/(MA+MB+MC+MD)≦0.85 (1)
{式中、MA、MB、C及びMDは、それぞれ、ポリアルキレンエーテルジオール化合物中に存在する構造単位(A)、(B)、(C)及び(D)のモル数である。}
を満たすもの
と反応させて得られる構造を含有する、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の衣類。
【0016】
(9) 上記(ii)ポリアルキレンエーテルジオール化合物に対する(i)有機ポリイソシアネート化合物の当量比が、1.3〜3.0である、上記(8)に記載の衣類。
【0017】
(10) 上記熱可塑性ポリウレタン樹脂が、(iii)イソシアネート基と反応する活性水素含有化合物から得られる構造をさらに含有する、上記(8)又は(9)に記載の衣類。
【0018】
(11) 上記(i)有機ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に対する、上記(ii)ポリアルキレンエーテルジオール化合物の水酸基及び上記(iii)イソシアネート基と反応する活性水素含有化合物の活性水素の合計の当量比が0.90〜1.10である、上記(10)に記載の衣類。
【0019】
(12) 上記(iii)イソシアネート基と反応する活性水素含有化合物がジオール類である、上記(10)又は(11)に記載の衣類。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、熱可塑性ポリウレタン樹脂を用いて端縁部を処理し、及び/又は生地部品を接合させて得られる衣類であって、長時間の着用後の伸長回復性が良好で、さらに洗濯後も接着部位がはがれにくく、常温下のみならず低温環境下においても接着部である端縁部や接合部が硬くならず、風合いの良好な衣類が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】浸透比を算出する方法を示す図である。
【図2】TMAチャートから流動開始温度を算出する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明について、以下具体的に説明する。
【0023】
本発明の衣類は、熱可塑性ポリウレタン樹脂で衣類生地を溶融接着してなる接着部を有する。該接着部は、衣類の端縁部、及び/又は、生地部品を複数接合して衣類を構成するための部品接合部である。
【0024】
本発明における衣類の端縁部の構造例として、以下の3種類が挙げられるが、これに限定するものではない。
(a)衣類を構成する生地(布帛)の端縁部を折り返し、その内面同士を接着固定した、折り返し構造の端縁部。
(b)衣類を構成する生地の内面側あるいは外面側の端縁部に縁取りテープを接着固定した貼付け構造の端縁部。
(c)2つ折りした縁取りテープに衣類を構成する生地の端縁部を挿入して接着固定した、パイピング構造の端縁部。
【0025】
また、本発明における衣類を構成する生地部品の接合例としては、以下の例が挙げられるが、これに限定するものではない。
(d)衣類を構成する主たる生地からなる部品、例えば前身頃生地部品と後身頃生地部品の接合。
(e)衣類本体と装飾部品や付属部品、例えばポケット、レース、リボン、モチーフ、アップリケ、ファスナー等との接合。
【0026】
本発明において、接着部は、生地内部に熱可塑性ポリウレタン樹脂が浸透してなる樹脂浸透部と、該樹脂浸透部に接して生地表面に熱可塑性ポリウレタン樹脂によって形成される樹脂層とを有する。樹脂層とは、生地に浸透せずに生地表面に存在している熱可塑性ポリウレタン樹脂の層であり、樹脂浸透部とは、生地内の熱可塑性ポリウレタン樹脂が浸透している部分である。樹脂浸透部は、典型的には、生地表面から熱可塑性ポリウレタン樹脂を生地内に含浸させることによって形成できる。本発明においては、熱可塑性ポリウレタン樹脂を用いて生地が溶融接着され、接着部が樹脂層と樹脂浸透部とを有し、かつ樹脂層厚みと樹脂浸透部厚みとの比が所定範囲内に制御されることによって、接着部の接着強度が良好であるとともに長期間の着用後の伸長回復性が良好であり、洗濯後も接着部位がはがれにくく、低温環境下においても接着部が硬くならず、風合いの良好な衣類を得ることができる。
【0027】
本発明においては、接着部における樹脂層厚みの樹脂浸透部厚みに対する比(以下、浸透比と記載することがある)が0.1〜1.5である。樹脂層厚み及び樹脂浸透部厚みは、生地への樹脂の浸透度合い(染み込み具合)の指標となり、これらは樹脂の性質及び接着条件により決定される。樹脂使用量が一定の場合、樹脂層厚みが大きくなれば、樹脂浸透部厚みは小さくなり、逆に樹脂層厚みが小さくなれば、樹脂浸透部厚みは大きくなる。接着部の接着強度は、樹脂層の樹脂強度と樹脂浸透部厚みによる強度との総和で決まると考えられる。従って、接着後に、樹脂層厚みと樹脂浸透部厚みとが各々適度に存在している必要がある。また、樹脂層厚みが小さすぎ、樹脂浸透部厚みが大きすぎると、生地内に染み込んだ樹脂の量が多すぎて、接着生地の風合いが悪くなる。逆に樹脂層厚みが大きすぎ、樹脂浸透部厚みが小さすぎると、表面樹脂層の厚みにより、接着生地の風合いが悪くなる。上記浸透比が0.1未満では、樹脂層の樹脂強度が不足し接着強度が十分でない上に、樹脂が生地に浸透しすぎて接着生地の風合いが悪くなる。一方浸透比が1.5を超えると、樹脂が十分に生地に浸透しておらず、十分な接着強度を発現できない上に、表面樹脂層の厚みによって、接着生地の風合いが悪くなる。浸透比は、好ましくは0.2〜1.3、さらに好ましくは0.5〜1.2である。上記浸透比は、接着部の生地厚み方向の切断面を走査型電子顕微鏡で観察し、生地内部に樹脂が浸透している部分の厚みを樹脂浸透部厚みとして、該樹脂浸透部の表面に形成されている樹脂層の厚みを樹脂層厚みとしてそれぞれ測長し、(浸透比)=(樹脂層厚み)/(樹脂浸透部厚み)、の式に従って求めることができる。
【0028】
本発明においては、接着部の接着強度が20〜200cN/mmであることが好ましい。該接着強度が20cN/mm未満では、長時間の着用後や洗濯後に、接着部位が剥がれやすい傾向があり、200cN/mmを超えると、接着生地及び衣類の風合いが硬くなる傾向がある。上記接着強度は、より好ましくは、50〜190cN/mm、さらに好ましくは、70〜180cN/mmである。なお上記接着強度は、接着部を含むように幅2.5cm、長さ2cm以上にカットした短冊状試料の接着部端部から長さ方向に1cm程度2枚に剥離し、剥離部分を各々チャックして、テンシロンにて例えば300mm/分で伸長させ、応力チャートの最大応力と最小応力との平均値と、接着部の幅とから求めたときの値である。
【0029】
上述の接着後の浸透比及び接着強度を満たすために、接着に用いられる熱可塑性ポリウレタン樹脂として、特定の動的粘弾性を有する樹脂を用いれば、好適に本発明の衣類を得ることができるため好ましい。
【0030】
熱可塑性ポリウレタン樹脂としては、1Hz条件下での温度依存性の動的粘弾性測定において、35℃における複素弾性率の絶対値が3.0〜15.0MPaであり、35℃における弾性成分量が0.995以上であり、かつ80℃における弾性成分量が0.990以上である樹脂が好ましい。
【0031】
35℃における複素弾性率の絶対値は、通常の着用条件下における、接着生地及び衣類の物理的強度(パワー)の指標となり、弾性成分量は、接着生地及び衣類の伸長回復性の指標となる。35℃における複素弾性率の絶対値が、3.0MPa以上の場合、接着生地及び衣類のパワーが良好であり、15.0MPa未満の場合、締め付け感が強すぎず着用感が良好である。また35℃における弾性成分量が0.995以上である場合、伸長回復性が良好である。
【0032】
80℃における弾性成分量は、タンブラー乾燥時の耐久性の指標となる。該弾性成分量が0.990以上の場合、タンブラー乾燥を施された接着生地及び衣類の寸法安定性が良好である。
【0033】
より好ましくは、35℃における複素弾性率の絶対値が4.0〜12.0MPa、35℃における弾性成分量が0.997以上、かつ80℃における弾性成分量が0.995以上であり、さらに好ましくは、35℃における複素弾性率の絶対値が5.0〜10.0MPa、35℃における弾性成分量が0.999以上、かつ80℃における弾性成分量が0.997以上である。なお上記複素弾性率及び弾性成分量は、動的粘弾性測定装置を用いて、35℃及び80℃における、貯蔵弾性率E’(MPa)及び損失弾性率E”(MPa)から、複素弾性率の絶対値|E*|=√(E’2+E”2)、弾性成分量=E’/|E*|、の式に従って求められる値である。
【0034】
また、熱可塑性ポリウレタン樹脂としては、170℃条件下での周波数依存性の動的粘弾性測定において、0.1Hzにおける複素粘度の絶対値が300〜7000Pa・sであり、かつ100Hzにおける複素粘度の絶対値が50〜300Pa・sである樹脂が好ましい。
【0035】
170℃における複素粘度の絶対値の周波数依存性は、接着強度の指標となる。低周波数における複素粘度が高く、高周波数における複素粘度が低いほど、接着に適している。すなわち、熱と圧力とで熱可塑性ポリウレタン樹脂を接着する際、接着部位にかかる圧力によって、樹脂が流動し、生地内へ浸透していくが、圧力を除した時には熱可塑性ポリウレタン樹脂が流動しないことが好ましい。低周波数〜高周波数において複素粘度の絶対値が低いと、接着部位にかかる圧力によって樹脂が流動し生地へ浸透しやすいが、圧力を除しても、温度が下がるまでは樹脂が流動しつづけ、生地裏側まで樹脂が染み込んで接着部位の外観や風合いが悪化する傾向がある。また低周波数〜高周波数において複素粘度の絶対値が高いと、接着時に樹脂が流動しにくく、生地内へ浸透しにくくなり、接着強度が低くなる傾向がある。
【0036】
以上から、170℃条件下での周波数依存性の動的粘弾性測定において、0.1Hzにおける複素粘度の絶対値が300〜7000Pa・sであり、かつ100Hzにおける複素粘度の絶対値が50〜300Pa・sであることが好ましい。0.1Hzにおける複素粘度の絶対値が300Pa・s以上でかつ100Hzにおける複素粘度の絶対値が50Pa・s以上の場合、接着部位の外観及び風合いが良好であり、0.1Hzにおける複素粘度の絶対値が7000Pa・s以下でかつ100Hzにおける複素粘度の絶対値が300Pa・s以下の場合、接着強度が良好である。より好ましくは、0.1Hzにおける複素粘度の絶対値が400〜6000Pa・s、かつ100Hzにおける複素粘度の絶対値が70〜250Pa・sであり、さらに好ましくは、0.1Hzにおける複素粘度の絶対値が500〜5000Pa・s、かつ100Hzにおける複素粘度の絶対値が80〜200Pa・sである。なお上記複素粘度は、レオメーターを用い、例えば、測定モード:ギャップ間距離50μの回転モード 25mmφのパラレルプレート使用、負荷応力:ひずみ20%、の条件で測定される複素粘度の絶対値|η*|(Pa・s)である。
【0037】
熱可塑性ポリウレタン樹脂の流動開始温度は、80〜180℃であることが好ましい。通常、熱可塑性ポリウレタン樹脂の生地への熱接着温度としては、生地に使われている繊維の風合い、外観を損なわないよう、100〜170℃が選ばれる。例えば、ナイロン繊維等は、180℃程度の熱接着温度で接着すると、アタリ等によって外観を損なう場合がある。また100℃より低い温度では、十分な接着強度が得られにくい。
【0038】
このような接着温度に対し、熱可塑性ポリウレタン樹脂の流動開始温度が80℃以上の場合、接着時の流動性が高すぎず、生地裏側まで樹脂が染み込んで接着部位の外観や風合いを損なう恐れが少ない。また熱可塑性樹脂の流動開始温度が180℃以下の場合、接着時に流動しやすく、生地への浸透がしやすいため、接着強度が良好である。より好ましい流動開始温度は、100〜170℃であり、さらに好ましい流動開始温度は、120〜160℃である。なお上記流動開始温度は、TMA(熱機械分析)装置を用い、後述する方法、条件で測定される値である。
【0039】
接着部は、フィルム状、テープ状及び繊維状のいずれかである熱可塑性ポリウレタン樹脂を用いて形成されていることが好ましい。フィルム状又はテープ状の場合、熱可塑性ポリウレタン樹脂が接着された生地あるいは衣類の接着部の厚みを適度な範囲に制御することが容易になり、着用感に優れ、かつ良好な外観を有する衣類を得ることができる。また繊維状の場合、曲線部の接着が容易となる。
【0040】
熱可塑性ポリウレタン樹脂は、公知の熱可塑性ポリウレタン押出成型方法によりフィルム、テープ、あるいは繊維状にすることができる。フィルムとしては、Tダイを使用して、広幅シート状に押出して成形したもの、またテープとしては、上記フィルムを所定の幅に切断してテープ状にしたものや、押出成型において、例えばスリットダイを使用することにより、直接テープ状に押出成形したもの、繊維としては、押出成型において、紡口を使用して繊維状に押出成型したものが挙げられる。
【0041】
このようにして得られる熱可塑性ポリウレタン樹脂のフィルム又はテープの幅及び厚み、又は繊維状にする場合の繊度等は、用途及び目的によって任意に選ぶことができる。フィルム及びテープの厚みは、通常、それぞれ0.02〜0.5mm程度が好ましく、さらに好ましくは、0.04〜0.3mmである。繊維状にする場合の繊度は、5dtex〜30000dtexが好ましく、より好ましくは100dtex〜20000dtex、さらに好ましくは1000dtex〜10000dtexである。
【0042】
本発明においては、熱可塑性ポリウレタン樹脂が生地上に単層構造で形成されていることが好ましい。例えば、接着層と、熱接着時には融解せずパワーを発現する層とを有するような、2層以上の構造体では、熱接着部が厚くなりすぎ、着用感及び外観を損なう場合がある。本発明において形成される樹脂層が単層構造である場合には、熱接着部の厚みが適度になり、着用感及び外観が良好となる。また本発明の衣類は、樹脂層と樹脂浸透部とを有するため、樹脂層が単層構造であっても、熱接着後に十分な接着強度及びパワーを発現することができる。
【0043】
熱可塑性ポリウレタン樹脂は、有機ポリイソシアネート化合物とポリアルキレンエーテルジオール化合物とを反応させて得られた構造を含有することが好ましい。さらに、必要に応じて、イソシアネート基と反応する活性水素含有化合物を鎖延長剤として用いることができる。
【0044】
より好ましくは、本発明において用いられる熱可塑性ポリウレタン樹脂は、
(i)有機ポリイソシアネート化合物を、
(ii)分子量が300〜30,000のポリアルキレンエーテルジオール化合物であって、下記の構造単位(A):
【化5】

と、構造単位(B)、(C)及び(D):
【化6】

【化7】

【化8】

から選ばれる1種以上の構造単位とからなり、かつ下記式(1):
0.08≦(MB+MC+MD)/(MA+MB+MC+MD)≦0.85 (1)
{式中、MA、MB、C及びMDは、それぞれ、ポリアルキレンエーテルジオール化合物中に存在する構造単位(A)、(B)、(C)及び(D)のモル数である。}
を満たすもの
と反応させて得られる構造を含有する。
【0045】
有機ポリイソシアネート化合物(i)としては、分子内に少なくとも2個以上のイソシアネート基を有する化合物、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、メチレン−ビス(4−フェニルイソシアネート)、メチレン−ビス(3−メチル−4−フェニルイソシアネート)、2,4−トリレンジイソシアネート、2、6−トリレンジイソシアネート、m−又はp−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−キシリレンジイソシアネート、m−又はp−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジメチル−1,3−キシリレンジイソシアネート、1−アルキルフェニレン−2,4又は2,6−ジイソシアネート、3−(α−イソシアネートエチル)フェニルイソシアネート、2,6−ジエチルフェニレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニル−ジメチルメタン−4,4−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレン−ビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−又は1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソフォロンジイソシアネート等が挙げられる。
【0046】
本発明において用いられるポリアルキレンエーテルジオール化合物(ii)は、上記の構造単位(A)を含有し、さらに側鎖にメチル基を有する構造として、構造単位(B)、(C)及び(D)から選ばれる1種以上の構造単位とからなり、かつ上記式(1)で定義されるように、側鎖にメチル基を持つセグメントを8モル%以上かつ85モル%以下含むことが好ましい。側鎖にメチル基を持つセグメントが8モル%以上85モル%以下である場合、種々の弾性機能、例えば破断伸度及び弾性回復性に優れた熱接着ポリウレタンフィルムを形成できる熱可塑性ポリウレタン樹脂が好適に得られる。よって熱可塑性ポリウレタン樹脂を該熱接着ポリウレタンフィルムの形状で衣類の接着に用いることにより、衣服の端縁部や接合部の伸縮性をより向上させることができる。側鎖にメチル基を持つセグメントの範囲は、より好ましくは、下記式(2)で示す範囲、特に好ましくは、下記式(3)で示す範囲である。
【0047】
0.09≦(MB+MC+MD)/(MA+MB+MC+MD)≦0.45 (2)
0.09≦(MB+MC+MD)/(MA+MB+MC+MD)≦0.30 (3)
(式(2)及び(3)中、MA、MB、C及びMDは前述の式(1)において説明したのと同じ意味である。)
【0048】
ポリアルキレンエーテルジオール化合物(ii)は、例えば、THFと、ネオペンチルグリコール及び/若しくは3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,4−ブチレンジオール又はそれらの脱水環状低分子化合物、例えば、3,3−ジメチルオキセタン又は、3−メチル−テトラヒドロフランとを、特開昭61−123628号公報に記載の方法に従って、水和数を制御したヘテロポリ酸を触媒として反応させることにより好適に製造される。その共重合ジオールは、所定の分子量、共重合成分構成及び共重合比となるように、反応の方法及び条件を種々変化させることによって容易に製造することができる。
【0049】
該ポリアルキレンジオール化合物(ii)を構成するネオペンチル単位、3−メチル−1,5−ペンチレン単位、及び/又は2−メチル−1,4−ブチレン単位は、テトラメチレン単位に対してランダム状あるいはブロック状のいずれで分布していてもよく、ヘテロポリ酸触媒を用いた反応ではブロック状又はランダム状いずれにも分布させることができ、得られるポリアルキレンエーテルジオール化合物(ii)の結晶性を種々効果的に変えることが可能であり、本発明で用いる熱可塑性ポリウレタン樹脂の特性に合わせて各々の結晶性を持つジオールを製造することができる。
【0050】
本発明で用いられるポリアルキレンエーテルジオール化合物(ii)の数平均分子量は300〜30,000であることが好ましく、より好ましくは500〜5,000で、さらに好ましくは900〜2,000である。数平均分子量が300より小さいとテープの伸度が低くなり、着用時に引き伸ばすことが難しい傾向がある。また、数平均分子量が30,000より大きいとテープの強度が低くなる傾向がある。
【0051】
本発明で用いられるポリアルキレンエーテルジオール化合物(ii)は、他のジオールとして、例えば数平均分子量250〜20,000程度のジオール、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール及びポリオキシペンタメチレングリコール等のホモポリエーテルジオール、炭素原子数2から6の2種以上のオキシアルキレンから構成される共重合ポリエーテルジオール、アジピン酸、セバチン酸、マレイン酸、イタコン酸、アゼライン酸及びマロン酸等の二塩基酸の1種又は2種以上とエチレングリコール、1,2ープロピレングリコール,1,3−プロピレングリコール,2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール,1,4ーブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、1,10−デカンジオール、1,3−ジメチロールシクロヘキサン及び1,4−ジメチロールシクロヘキサン等のグリコールの1種又は2種以上とから得られたポリエステルジオール、ポリエステルアミドジオール、ポリエステルエーテルジオール、ポリ−ε−カプロラクトンジオール及びポリバレロラクトンジオール等のポリラクトンジオール、ポリカーボネートジオール、ポリアクリルジオール、ポリチオエーテルジオール若しくはポリチオエステルジオール、又はこれらジオールの共重合物、等と任意の割合に混合すること等により併用できる。
【0052】
熱可塑性ポリウレタン樹脂は、イソシアネート基と反応する活性水素含有化合物(iii)からなる鎖延長剤に由来する構造をさらに含有できる。イソシアネート基と反応する活性水素含有化合物(iii)としては、例えば、(イ)低分子量のグリコール、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、1,10−デカンジオール、1,3−ジメチロールシクロヘキサン又は1,4−ジメチロールシクロヘキサンヒドラジン、(ロ)炭素原子数2〜10の直鎖又は分岐した脂肪族、脂環族又は芳香族の活性水素を有するアミノ基を持つ化合物で例えばエチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヒドラジン、カルボジヒドラジド、アジペン酸ジヒドラジド又はセバシン酸ジヒドラジド、(ハ)1官能性アミノ化合物、例えば第2級アミン、すなわちジメチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、メチル−n−プロピルアミン、メチル−イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、メチル−n−ブチルアミン、メチル−イソブチルアミン又はメチルイソアミルアミン、(ニ)水、(ホ)上記ポリアルキレンエーテルジオール化合物(ii)のうち有機ポリイソシアネート化合物(i)と反応していないもの、(ヘ)公知の数平均分子量250〜5,000程度のジオール類及び(ト)一価のアルコール類等が挙げられる。好ましくはジオール類であり、特に1,4−ブタンジオール及び/又は炭素原子数が4〜8のジアルキレングリコールがさらに好ましい。
【0053】
有機ポリイソシアネート化合物(i)と、イソシアネート基と反応する活性水素含有化合物(iii)とは、各々単独で用いてもよいが、必要に応じて予め混合して用いてもよい。
【0054】
ポリウレタン化反応の操作に関しては、公知のポリウレタン化反応の技術を用いることができる。例えば、ポリアルキレンエーテルジオール化合物(ii)と有機ポリイソシアネート化合物(i)とを、有機ポリイソシアネート化合物(i)過剰の条件下で反応させ、ウレタンプレポリマーを合成した後、該プレポリマー中のイソシアネート基に対して、イソシアネート基と反応する活性水素含有化合物(iii)を添加し、反応させることもできる。あるいは、有機ポリイソシアネート化合物(i)、ポリアルキレンエーテルジオール化合物(ii)及びイソシアネート基と反応する活性水素含有化合物(iii)を同時に1段で反応させるワンショット重合法でも反応させることができる。
【0055】
ポリアルキレンエーテルジオール化合物(ii)に対する有機ポリイソシアネート化合物(i)の当量比としては、1.3〜3.0が望ましい。以下、該当量比をN値と記載することがある(すなわち、N値は、(有機ポリイソシアネート化合物(i))/(ポリアルキレンエーテルジオール化合物(ii))の当量比である)。上記当量比1.3より有機ポリイソシアネート化合物(i)の比率が小さい場合、接着時の流動性が高くなり、生地裏側まで樹脂が染み出し、接着部位の外観や風合いが低下する傾向がある。また上記当量比3.0より有機ポリイソシアネート化合物(i)の比率が大きい場合、接着時に流動しにくく、生地へ浸透しにくくなり、接着強度が小さくなる傾向がある。上記当量比は、さらに好ましくは、1.5〜2.0である。
【0056】
また、下記(4)式で表されるような、有機ポリイソシアネート化合物(i)中のイソシアネート基に対する、ポリアルキレンエーテルジオール化合物(ii)中の水酸基、及びイソシアネート基と反応する活性水素含有化合物(iii)中の活性水素の合計の当量比αが0.90〜1.10となるような仕込み比が好ましい。
【0057】
α=(ポリアルキレンエーテルジオール化合物(ii)中の水酸基当量+活性水素含有化合物(iii)中の活性水素当量)/(有機ポリイソシアネート化合物(i)中のイソシアネート当量) (4)
【0058】
αは、接着強度と関連付けられる。αが0.90未満である場合、有効架橋度が大きくなり、前述のように接着時の流動性が低くなり生地へ樹脂が染み込みにくく、接着強度が低くなる傾向がある。αが1.10超である場合、重合したポリマーの分子量が小さくなり、接着時の流動性が高くなり、生地裏側まで樹脂が染み出し、接着部位の外観や風合いが低くなる傾向がある。また接着後の樹脂層の強度が低くなり、接着強度が低くなる傾向もある。上記αは、より好ましくは、0.92〜1.08であり、さらに好ましくは0.95〜1.05である。
【0059】
上記のポリウレタン化反応においては、必要に応じ、触媒及び安定剤等を添加することができる。触媒としては例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジブチル錫ジラウレート及びオクチル酸第一錫等が挙げられ、安定剤としては、ポリウレタン樹脂に通常用いられる他の化合物、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、耐ガス安定剤、帯電防止剤、着色剤、艶消し剤及び充填剤、膠着防止剤等が挙げられる。
【0060】
本発明の衣類に使用される繊維としては、繊維全般が適用可能であり、例えば、綿、ウール、麻、シルク等の天然繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、アセテート、トリアセテート等の半合成繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成繊維から、1種又は2種以上から選ばれ、またこれらは、先染め糸であってもよい。また上記繊維と弾性繊維、例えば、ポリウレタン弾性繊維や、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等からなるポリエステル系弾性繊維等と交編織してもよい。本発明における熱可塑性ポリウレタン樹脂の特性を十分に発現させるためには、弾性繊維との交編織が好ましく、弾性繊維は裸糸又は被覆弾性糸として使用できる。
【0061】
本発明において、生地とは、丸編地、緯編地、経編地等の各種編成組織を有する編地、及び織物の全般をいう。例えば緯編地で使用可能な編成組織としては、平編の基本組織、タック編、浮編、片畦編、レース編、添糸編、ジャガード編等が挙げられる。また経編地で使用可能な編成組織としては、鎖編、デンビー編、コード編、アトラス編、挿入編等の基本組織、またこれらの組み合わせによる変化組織等が挙げられる。各種繊維を弾性繊維と交編する場合は、弾性繊維を全面に編みこんでもよいし、所望する間隔に編みこんでもよい。また弾性繊維を挿入することも可能である。
【0062】
丸編地の編成には、一列針床を有する通常のシングルニット丸編機、二列針床を有する通常のダブルニット丸編機のような、給糸口数が多数あり、同時に複数本の糸を供給し得るフィーダーのある編機を使用できる。編機のゲージは、通常、5〜50ゲージであるが、使用目的によって適宜選定すればよい。
【0063】
緯編地の編成には、大緯編機、小緯編機、両頭機、両面機、ジャガード機等の緯編機、シングルニードル機、ダブルニードル機等のフルファッション編機を使用できる。編機のゲージとしては、通常、3〜50ゲージであるが、使用目的によって適宜選定すればよい。
【0064】
経編地の編成では、カールマイヤー整経機、リバー整経機等を用いた整経工程により、例えば弾性繊維及び/又は被覆弾性糸並びに非弾性繊維を各々、目的とする商品に合わせた本数を揃えてビームに巻き取る。その後、後述の編機に、弾性繊維及び/又は被覆弾性糸、並びに非弾性繊維のビームを設置し、編成して所望の経編地を得る。
【0065】
経編地の編成にはトリコット編機、ラッセル編機、ダブルラッセル編機が使用でき、使用する糸のデニール数や商品の狙いにより適宜使用デニール、編機種、及びゲージを選択すればよい。編成組織としては、上述の基本編成組織、これらの組み合わせによる変化組織を用いて、トリコット編機では2枚筬組織のハーフ組織、サテン組織、ジャガード組織、またこれらの組織の組み合わせによる変化組織等、ラッセル編機、ダブルラッセル編機では、パワーネット組織、サテンネット組織、ジャガード組織等によって所望の経編地が得られる。トリコット編機、ラッセル編機とも、3枚以上の筬組織で編成してもよい。編機のゲージは、通常10〜50ゲージであるが、使用目的によって適宜選定すればよい。
【0066】
織物としては、綿、麻等の天然繊維、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン(製品名キュプラ)、特定セルロース(商品名テンセル)等の再生セルロース系繊維、ポリエステル、ポリアミド,PVA等の合成繊維等から選ばれる1種又は2種以上を常法で織って得られる織物が挙げられる。また本発明における熱可塑性ポリウレタン樹脂の特性を十分に発現させるために、織物は、ポリウレタン弾性繊維や、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等からなるポリエステル系弾性繊維等が交織されたものでもよい。弾性繊維は原糸のまま製織されていても良いが(裸糸使い)、耐久性や風合い等の点から他の繊維と複合して用いることが好ましい。複合糸としては引き揃え糸、エアーカバーリング、カバーリング、合撚糸等が挙げられる。複合は1種類だけではなく複数の組み合わせで行ってもよい。得られる複合糸には通常知られているスチームセットを行ってもよい。複合糸の準備工程としては従来知られている工程を用いればよく、サイジング剤あるいはワックスとして従来使用されている剤が使用可能である。
【0067】
糸の配列方法は通常知られている方法でよく、組織及び密度によって適宜配列方法を決めればよい。また製織には従来知られている織機、例えばWJL、AJL、レピア等を使用できる。
【0068】
本発明の衣類に用いる丸編地、緯編地、経編地、又は織物には、生機を開反し、リラックス処理を施した後、染色工程を経て、樹脂加工を含めた仕上げセット等を行う一般的な染色工程を適用することができる。
【0069】
本発明が対象とする衣類は、衣類全般を包含し、例えば、ショーツ、シャツ、キャミソール、スリップ、ボディスーツ、ブリーフ、トランクス、肌着、ガードル、ブラジャー、スパッツ、腹巻き、パンティストッキング、タイツ、靴下等のインナーウェア、水着、トレーニングウェア、レオタード、スキーウェア、各種競技用スポーツウェア、アウトドア用ウェア等のスポーツウェア、Tシャツ、ジャケット、セーター、ベスト、パンツ、スカート、カットソー、コート、ジャンパー等のアウターウェア、手袋、帽子、マフラー等の服飾品、パジャマ、ガウン等のナイトウェア、介護用ウェア等が挙げられるがこれらに限定するものではない。
【実施例】
【0070】
本発明を実施例でさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。後述の実施例及び比較例における測定値は、下記の測定法により求めたものである。
【0071】
(1)樹脂層厚みの樹脂浸透部厚みに対する比(浸透比)
熱可塑性ポリウレタン樹脂から成形したテープが接着された生地において、接着部位を鋭利なカミソリで切断し、走査型顕微鏡JSM−5510LV(日本電子データム(株)製)にて、切断面を観察し、樹脂層厚み及び樹脂浸透部厚みを測長した。図1は、浸透比を算出する方法を示す図である。図1に示すように、上下2枚の生地の間に形成されている樹脂層の厚みを樹脂層厚みとして求め、上下2枚の生地において、生地内部に樹脂が染み込んでいる部分の厚みの平均値(上側生地と下側生地との平均値)を樹脂浸透部厚みとして求め、樹脂層厚みの樹脂浸透部厚みに対する比、[(浸透比)=(樹脂層厚み)/(樹脂浸透部厚み)]を求めた。
【0072】
(2)接着強度
熱可塑性ポリウレタン樹脂から成形したテープが接着された生地において、接着部位を含むように幅2.5cm、長さ2cm以上にカットして短冊状試料を作製した。この試料の一端を長さ方向に1cm程度剥離し、剥離された上下の生地をテンシロンRTC−1310A((株)オリエンテック製)にチャックし、300mm/分で伸長し、チャート紙に描かれた応力チャートの最大応力と最小応力の平均値と、テープの幅とから接着強度(cN/mm)を求めた。
【0073】
(3)動的粘弾性測定(周波数一定、温度依存性)
動的粘弾性測定装置DMA800(TA・インスツルメントジャパン(株)製)を用いて、熱可塑性ポリウレタン樹脂から成形したテープの動的粘弾性(周波数一定、温度依存性)を下記条件にて測定した。35℃及び80℃における、貯蔵弾性率E’(MPa)及び損失弾性率E”(MPa)から、複素弾性率の絶対値|E*|=√(E’2+E”2)、弾性成分量=E’/|E*|、の式に従って、複素弾性率の絶対値及び弾性成分量を求めた。
【0074】
測定条件:
測定温度:室温〜100℃(昇温速度3℃/分)
測定モード:チャック間距離15mmの伸縮モード
負荷応力:ひずみ1%、周波数1Hz
【0075】
(4)動的粘弾性測定(温度一定、周波数依存性)
レオメーターAR2000(TA・インスツルメントジャパン(株)製)を用いて、熱可塑性ポリウレタン樹脂から成形したフィルム(作製方法は実施例1に記載)の動的粘弾性(温度一定、周波数依存性)を下記条件にて測定した。0.1Hz及び100Hzにおける、複素粘度の絶対値|η*|(Pa・s)を求めた。
【0076】
測定条件:
測定温度:170℃
測定モード:ギャップ間距離50μの回転モード 25mmφのパラレルプレート使用
負荷応力:ひずみ20%、周波数0.01〜100Hz
【0077】
(5)流動開始温度
TMA(熱機械分析)装置としてTMA8310(理学電機(株)製)を用いて、熱可塑性樹脂から成形したテープ類の流動開始温度を下記条件で測定した。
測定条件
測定温度:室温〜270℃
昇温速度:10℃/min
測定モード:圧縮モード
押込プローブ径:φ1.2mm
荷重:−10mN一定
図2は、TMAチャートから流動開始温度を算出する方法を示す図である。測定されたTMAチャートが急激に減少する直前の極大点における接線と、減少傾きがほぼ一定になる点における接線との交点を流動開始温度(℃)とした。
【0078】
(6)風合い・伸長回復性評価
タテ15cm、ヨコ5cmの2枚の生地を熱可塑性ポリウレタン樹脂がタテ方向の中心にくるように配置し、加熱によって生地と該樹脂とを溶融接着させて短冊サンプルを作製した。この短冊サンプルの外観観察を行い、生地裏側への樹脂の染み出しの有無を評価した。続いて同じ条件で作製したサンプルを−10℃の環境下に24時間放置したものにつき、−10℃の環境下でパネラー10名に風合い評価をしてもらい、常温20℃の環境下での風合いと比べて低温環境下で風合いが変化したかどうかを以下の基準で判定してもらった。
○ : 常温下で風合いが良好であり、かつ低温環境下で、接着部の風合いに変化が見られない。
△ : 常温と低温環境下で、若干風合いの変化が見られる。
× : 常温と低温環境下で、著しく風合いが変化し、低温環境下で風合いが硬くなる。
【0079】
また伸長回復性は、接着された衣類の一日着用後の寸法安定性を想定し、短冊サンプルを伸長率80%で伸長したまま、40℃で8時間加熱した後室温に戻し、加熱前後での寸法変化率((加熱後の寸法−加熱前の寸法)/(加熱前の寸法)×100%)にて評価した。
【0080】
(6)洗濯評価
風合い評価で作製した短冊サンプルを、AATCC136−2003の50回洗濯評価に供したのち、以下の基準で外観評価を行った。
○ : 洗濯前と比べ、外観に変化が認められない。
△ : 洗濯前と比べ、若干接着部位が波打っているか、縮んでいる。
× : 洗濯後、接着部位の少なくとも一部に剥離が認められる。
【0081】
[実施例1]
ポリアルキレンエーテルジオールとして、前述の式(1)における共重合組成MB/(MA+MB)が0.1である、旭化成せんい株式会社製PTXG1800を使用し、PTXG1500g及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート365gを、窒素ガス気流下80℃において180分間攪拌しつつ反応させて、両末端にイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを得た。次いで、これを急速に25℃まで冷却した後、1,4−ブタンジオール56.3gを上記プレポリマーに添加して30分間攪拌した。このポリウレタンに、酸化防止剤としてアデカ製AO−60を9g、紫外線吸収剤としてアデカ製LA−36を9g混合した後、テフロン(登録商標)トレイに払い出した。この混合物をテフロン(登録商標)トレイに入れたまま、130℃の熱風オーブン中で3時間アニーリングしてポリウレタン樹脂を得た。
【0082】
このポリウレタン樹脂を、ホーライ社製粉砕機UG−280型にて、粒径3mm程度の粉末に粉砕し、テクノベル社製二軸押出機KZW15TW−45HGにて溶融押出し成形した。幅150mm、リップ幅1.0mmのTダイスよりダイス温度200℃で剥離紙リンテック62AA(リンテック(株)社製)上に押出し、厚み200μmのフィルムを得た。このフィルムをスリット加工し、6mm幅のテープを得た。
【0083】
40ゲージ2枚筬のトリコット編機を使用し、フロント筬(F)にナイロン22dtex/7fフルダル糸、バック筬(M)にスパンデックス22dTを用い、組織はデンビー組織で編成、通常の方法で染色、仕上げを行い、コース数72/インチ、ウェル数72/インチ、厚み320μmの編地を得た。この編地を、編方向をタテ方向として、タテ15cm、ヨコ5cmとなるよう裁断し、こうして得た2枚の生地を、ニードルループ側を中にして合わせ、熱可塑性ポリウレタン樹脂を、生地タテ方向の中心にくるようにして生地間に配置し、熱プレス機(OA350型;アサヒ試験用プレス機(大阪アサヒ(株)社製)で圧力2kgf/cm2、温度100℃で10秒接着して、実施例1の衣類想定サンプルを得た。こうして得た実施例1のサンプルにつき、パネラー10名による風合い評価、伸長回復性、洗濯評価を実施した。
【0084】
[実施例2]
フィルムの厚みを100μmとする以外は、実施例1と同様の方法でテープを得た。このテープを用い、実施例1と同様の方法で生地に熱プレスして実施例2のサンプルを作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0085】
[実施例3]
実施例1で得た熱可塑性ポリウレタン樹脂粉末を直径50mmの単軸押出機にて溶融押出し、幅30mm、厚み0.2mmのスリットダイよりテープ状に押出し、延伸後、巻取って幅8mm、厚み170μmのテープを得た。このテープを用い、実施例1と同様の方法で、生地に熱プレスして実施例3のサンプルを作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0086】
[実施例4]
実施例1と同様の方法で得たポリウレタン樹脂粉末を直径50mmの単軸押出機にて溶融押出し、丸断面の紡口を使用して繊維状に押出し、延伸後、巻取って繊度6000dTのモノフィラメント繊維を得た。この繊維を用い、実施例1と同様の方法で生地に熱プレスして、実施例4のサンプルを作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0087】
[実施例5]
実施例3におけるPTXG1800の使用量を1400g、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの使用量を389.4g、1,4−ブタンジオールの使用量を69.8gに変更し、丸断面紡口の代わりに扁平断面紡口を用いる以外は実施例3と同様にして繊維を得た。この繊維を用い、実施例1と同様の方法で生地に熱プレスして、実施例5のサンプルを作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0088】
[実施例6]
実施例4におけるPTXG1800の使用量を1400g、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの使用量を389.4g、1,4−ブタンジオールの使用量を69.8gに変更する以外は実施例4と同様にして繊維を得た。この繊維を用い、実施例1と同様の方法で生地に熱プレスして、実施例6のサンプルを作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0089】
[実施例7]
実施例1における1,4−ブタンジオールの量を53.5gに変更して重合した以外は、実施例1と同様の方法でテープを得た。このテープを用い、実施例1と同様の方法で生地に熱プレスして実施例7のサンプルを作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0090】
[実施例8]
実施例1における1,4−ブタンジオールの量を59.1gに変更して重合した以外は、実施例1と同様の方法でテープを得た。このテープを用い、実施例1と同様の方法で生地に熱プレスして実施例8のサンプルを作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0091】
[比較例1]
ポリアルキレンエーテルジオールとして、旭化成せんい株式会社製PTMG1,000を使用し、当該PTMG1400g及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート490.6gを、窒素ガス気流下80℃において180分間攪拌しつつ反応させて、両末端にイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを得た。次いで、これを25℃まで冷却した後、1,4−ブタンジオール50.4gを上記プレポリマーに添加して30分間攪拌した。このポリウレタンに、酸化防止剤としてアデカ製AO−60を9g、紫外線吸収剤としてアデカ製LA−36を9g混合した後、テフロン(登録商標)トレイに払い出した。この混合物をテフロン(登録商標)トレイに入れたまま、130℃の熱風オーブン中で3時間アニーリングしてポリウレタン樹脂を得た。
【0092】
このポリウレタン樹脂を、ホーライ社製粉砕機UG−280型にて、粒径3mm程度の粉末に粉砕し、テクノベル社製二軸押出機KZW15TW−45HGにて溶融押出し成形した。幅150mm、リップ幅1.0mmのTダイスよりダイス温度200℃で剥離紙上に押出し、厚み200μmのフィルムを得た。このフィルムをスリット加工し、6mm幅のテープを得た。
【0093】
このテープを実施例1と同様の方法で生地に熱プレスして、比較例1のサンプルを作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0094】
[比較例2]
フィルムの厚みを100μmとする以外は、比較例1と同様の方法で、比較例2のサンプルを得、実施例1と同様の評価を行った。
【0095】
[比較例3]
比較例1で得たポリウレタン樹脂粉末を実施例3と同様の方法で押出して幅8mm、厚み170μmのテープとし、このテープを用いて実施例3と同様の方法で、生地に熱プレスし比較例3のサンプルを作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0096】
[比較例4]
比較例1で得たポリウレタン樹脂粉末を実施例4と同様の方法で押出して繊度6000dTの繊維とし、この繊維を用いて実施例4と同様の方法で、生地に熱プレスし比較例4のサンプルを作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0097】
[比較例5]
実施例1における1,4−ブタンジオールの量を45.0gに変更して重合した以外は、実施例1と同様にテープを得た。このテープを用い、実施例1と同様の方法で生地に熱プレスして比較例5のサンプルを作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0098】
[比較例6]
実施例1における1,4−ブタンジオールの量を64.3gに変更して重合した以外は、実施例1と同様にテープを得た。このテープを用い、実施例1と同様の方法で生地に熱プレスして比較例6のサンプルを作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0099】
以上の各実施例及び比較例における風合い評価の結果を表1に示す。表1の結果より、本発明の衣類は、常温下での風合いがよく、低温環境下においても生地の端縁部や接合部が硬くならず、また長時間着用後の寸法安定性もよく、洗濯後も風合いが変化せず、良好な特性を有していることが分かる。
【0100】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の衣類は、常温下での風合いがよく、低温環境下においても衣類を構成する生地の端縁部や接合部が硬くならず、また長時間着用後の寸法安定性もよく、洗濯後も風合いが変化せず、良好な特性を有するため、インナーウェア、アウターウェア、スポーツウェア、ナイトウェア、介護用ウェア、服飾品等の各種衣類に好適に適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリウレタン樹脂で衣類生地を溶融接着した接着部を有する衣類であって、
前記接着部が衣類の端縁部、及び/又は、生地部品を複数接合して衣類を構成するための部品接合部であり、
前記接着部が、生地内部に前記熱可塑性ポリウレタン樹脂が浸透してなる樹脂浸透部と、前記樹脂浸透部に接して生地表面に前記熱可塑性ポリウレタン樹脂によって形成される樹脂層とを有し、
前記接着部における樹脂層厚みの樹脂浸透部厚みに対する比が0.1〜1.5である、衣類。
【請求項2】
前記接着部の接着強度が20〜200cN/mmである、請求項1に記載の衣類。
【請求項3】
前記熱可塑性ポリウレタン樹脂が、1Hz条件下での温度依存性の動的粘弾性測定において、35℃における複素弾性率の絶対値が3.0〜15.0MPaであり、35℃における弾性成分量が0.995以上であり、かつ80℃における弾性成分量が0.990以上である、請求項1又は2に記載の衣類。
【請求項4】
前記熱可塑性ポリウレタン樹脂が、170℃条件下での周波数依存性の動的粘弾性測定において、0.1Hzにおける複素粘度の絶対値が300〜7000Pa・sであり、かつ100Hzにおける複素粘度の絶対値が50〜300Pa・sである、請求項1〜3のいずれかに記載の衣類。
【請求項5】
前記熱可塑性ポリウレタン樹脂の流動開始温度が80〜180℃である、請求項1〜4のいずれかに記載の衣類。
【請求項6】
前記接着部が、フィルム状、テープ状及び繊維状のいずれかである熱可塑性ポリウレタン樹脂を用いて形成されている、請求項1〜5のいずれかに記載の衣類。
【請求項7】
前記樹脂層が前記生地上に単層構造で形成されている、請求項1〜6のいずれかに記載の衣類。
【請求項8】
前記熱可塑性ポリウレタン樹脂が、
(i)有機ポリイソシアネート化合物を、
(ii)分子量が300〜30,000のポリアルキレンエーテルジオール化合物であって、下記の構造単位(A):
【化1】

と、構造単位(B)、(C)及び(D):
【化2】

【化3】

【化4】

から選ばれる1種以上の構造単位とからなり、かつ下記式(1):
0.08≦(MB+MC+MD)/(MA+MB+MC+MD)≦0.85 (1)
{式中、MA、MB、C及びMDは、それぞれ、ポリアルキレンエーテルジオール化合物中に存在する構造単位(A)、(B)、(C)及び(D)のモル数である。}
を満たすもの
と反応させて得られる構造を含有する、請求項1〜7のいずれかに記載の衣類。
【請求項9】
前記(ii)ポリアルキレンエーテルジオール化合物に対する(i)有機ポリイソシアネート化合物の当量比が、1.3〜3.0である、請求項8に記載の衣類。
【請求項10】
前記熱可塑性ポリウレタン樹脂が、(iii)イソシアネート基と反応する活性水素含有化合物から得られる構造をさらに含有する、請求項8又は9に記載の衣類。
【請求項11】
前記(i)有機ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に対する、前記(ii)ポリアルキレンエーテルジオール化合物の水酸基及び前記(iii)イソシアネート基と反応する活性水素含有化合物の活性水素の合計の当量比が0.90〜1.10である、請求項10に記載の衣類。
【請求項12】
前記(iii)イソシアネート基と反応する活性水素含有化合物がジオール類である、請求項10又は11記載の衣類。

【図2】
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【図1】
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【公開番号】特開2010−203008(P2010−203008A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50857(P2009−50857)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(303046303)旭化成せんい株式会社 (548)
【Fターム(参考)】