説明

表皮への活性物質の送達のための水分散性フィルム

水散逸性フィルム形成性製剤は、少なくとも1種の水可溶化又は水散逸化部分を有するポリマー;活性成分又は活性剤;及び可塑剤又はヒューメクタントの少なくとも一方を含む。本発明はまた、活性剤を患者の表皮に送達する方法を含む。この方法は、フィルム形成性製剤を皮膚の所定の領域に適用することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の皮膚への適用時に柔軟な水分散性若しくは水散逸性で且つ/又は剥離性の密着性フィルムを形成する、化粧品、皮膚用又は医薬活性成分を含む水性非定形組成物又は製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
湿疹、乾癬、皮膚炎並びに細菌、真菌、寄生虫による感染、アレルギー、ホルモン又は他の環境要因のような、ほとんどの皮膚又は粘膜の疾病又は疾患は、炎症反応を引き起こす。皮膚若しくは粘膜を治療するための1種若しくはそれ以上の薬物又は他の活性剤の1つの重要な投与経路は、活性剤の皮膚への局所適用による。体組織、疾病及び創傷の局部的な治療には、個々の活性成分又は活性剤が有効期間の間、治療部位に保持されることが必要である。
【0003】
経皮的(transdermal)又は皮膚を通しての(percutaneous)薬物送達のためのデバイスは当業界でよく知られている。このようなデバイスは典型的には、活性剤又は薬物を所定の速度で患者の皮膚に送達することを特徴とする。一般に、このようなデバイスは、裏打ちフィルムに貼り合わされた活性成分又は他の添加剤を含む加圧性接着剤を含む。場合によっては、生物活性物質を感圧性接着剤マトリックスと混合し且つその中に配合し、それをその後に単一の感圧性接着層として塗布できる。このようなデバイスに関連する1つの問題は、連続使用が皮膚感作及び刺激を引き起こし得ることである。活性剤の皮膚適用に関連する、特にペトロラタム(petrolatum)又は石油ゼリーのようなろう状フィルム形成性材料に関連する別の問題は、このようなフィルムが粘着性であり且つこすられた場合に移動し得ることである。このような皮膚又は経皮的デバイスに関連する更に別の問題は、デバイス又はフィルムの厚み及び非弾性のため、着用者が使用中に不快感を感じることである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、化粧品、皮膚用及び医薬活性成分を皮膚に送達するための、より快適で、美的に優れており且つより目立たない局所用パッチ又はフィルムに対するニーズが依然としてある。
【0005】
更に、皮膚への適用時に密着性の水溶性若しくは水分散性若しくは水散逸性で且つ/又は剥離性のフィルムを皮膚上に形成するが、皮膚上の水分又は皮膚からの汗によって溶解しない活性剤含有製剤に対するニーズがある。最小限の水暴露によって皮膚から洗い流すことができるが、不意の水はね又は降雨への短時間の暴露によって除去されるほどは繊細でないように、形成される活性剤含有フィルムは急速に水中に溶解するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、表皮上又は表皮中への活性剤の局所又は経皮適用のための、皮膚上で水分散性若しくは水散逸性で且つ/又は剥離性のフィルムを形成する非定形の水性フィルム形成性組成物である。このフィルム形成性組成物は5〜40重量%のスルホン化又は硫酸化ポリマー、0.001〜40重量%の活性成分又は活性剤、i)可塑剤又はii)ヒューメクタント(humectant)のうちの少なくとも一方を含み、前記フィルム形成性組成物は5〜5000cPsの粘度を有し、前記フィルムは15分未満の非粘着時間を有する。
【0007】
本明細書中で使用する用語「非定形(non-finite)」は、組成物が、それに適切な剪断力を適用した場合に延展(spreading)、塗りつけ(smearing)、被覆(coating)、はけ塗り(brushing)、噴霧又は他の適用手段を可能にする流動学的性質を特徴とすることを意味する。非定形の非限定的例としては、ペースト剤、延展可能なゲル剤、ローション剤、乳剤、分散剤、クリーム剤、噴霧剤、滴剤又は軟膏剤が挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、以下の発明の詳細な説明及びそれに含まれる実施例を参照することによってより理解し易くなるであろう。
【0009】
本発明の物質組成及び方法を開示及び説明する前に、本発明は、特に断らない限り、特定の方法又は個々の製剤に限定しないこと、従って開示とは異なることができることを理解すべきである。また、使用する用語は個々の実施態様の説明のみを目的とし、本発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。
【0010】
単数形(a,an,the)は、前後関係からそうでないことが明白に指示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0011】
「任意の」又は「場合によっては」は、その後に記載される事象又は状況が起こっても起こらなくてもよいことを意味する。その記載は、その事象又は状況が起こる場合とそれが起こらない場合を含む。
【0012】
範囲は、本明細書中では、「1つの特定値」から、及び/又は「別の特定値」までと表すことができる。このような範囲が表される場合、「一方の特定値」から及び/又は「他方の特定値」までは別の態様であることを理解すべきである。
【0013】
特許又は刊行物を引用する場合、本発明が関連する最新技術をより十分に説明するために、これらの引用文献の開示全体を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0014】
本発明の組成物の配合に使用する物質は全て、既知の製品又は既知の技術を用いて製造することができる製品であり、そのいくつかは市販されている。本明細書中で使用する用語「経皮(的)(transdermal)」は、経皮的又は皮膚を通しての投与、即ち、治療すべき皮膚への皮膚治療用組成物の直接適用を意味する。従って、用語「皮膚(skin)」、「真皮(derma)」、「表皮(epidemis)」などはまた、特に断らない限り、同義で使用するものとする。
【0015】
本発明の一実施態様において、製剤はフィルム形成性材料を含み、使用者の選択された部位への製剤の適用時にフィルムが形成される。フィルムは、組成物を噴霧又は他の方法で皮膚上に適用し且つ乾燥時にそれが皮膚上にフィルムを形成した後に、適用部位に直接形成される。好ましくは、乾燥フィルムは0.01〜5mil(0.00001〜0.005インチ)の厚さを有する。ここで使用する用語「フィルム形成(性)」は、湿潤製剤を温血哺乳動物の皮膚に0.005インチの厚さを有する被覆として適用する場合に、それが2時間後に乾燥してフィルムになり且つ少なくとも50%の伸びを有することを意味する。
【0016】
本発明の一実施態様において、本発明の水分散性又は水散逸性フィルム形成性製剤は、スルホン化又は硫酸化ポリマー5〜40重量%;活性剤0.001〜40重量%;i)前記ポリマーと相溶性の可塑剤25重量%以下及び/又はii)ヒューメクタント10重量%以下の少なくとも一方を含み、フィルム形成性製剤の残りは水である。フィルム形成性組成物は5〜5000cPsの粘度及び15分未満の非粘着時間を有する。成分全てに関する重量百分率は製剤の総重量に基づく。
【0017】
別の実施態様において、本発明の水分散性又は水散逸性フィルム形成性製剤は、スルホン化ポリマー5〜35重量%;活性剤0.1〜30重量%;i)前記ポリマーと相溶性の可塑剤0.1〜20重量%及び/又はii)ヒューメクタント10重量%以下の少なくとも一方を含み、フィルム形成性製剤の残りは水である。フィルム形成性組成物は5〜5000cPsの粘度及び15分未満の非粘着時間を有する。成分全てに関する重量百分率は製剤の総重量に基づく。
【0018】
別の実施態様において、本発明の水分散性又は水散逸性フィルム形成性製剤は、少なくとも1種の水分散性又は水散逸性部分を有するポリマー10〜20重量%;活性剤1〜15重量%;i)可塑剤1〜15重量%及び/又はii)ヒューメクタント10重量%以下の少なくとも一方を含み、フィルム形成性製剤の残りは水である。フィルム形成性組成物は5〜5000cPsの粘度及び15分未満の非粘着時間を有する。成分全てに関する重量百分率は製剤の総重量に基づく。
【0019】
本発明の更に別の実施態様において、本発明の水分散性又は水散逸性フィルム形成性製剤は、少なくとも1種の水可溶化部分又は散逸化部分を有するポリマー10〜20重量%;活性剤1〜15重量%;i)可塑剤1〜10重量%及び/又はii)ヒューメクタント10重量%以下の少なくとも一方を含み、フィルム形成性製剤の残りは水である。フィルム形成性組成物は5〜5000cPsの粘度及び15分未満の非粘着時間を有する。成分全てに関する重量百分率は製剤の総重量に基づく。
【0020】
本発明の延展可能な(spreadable)製剤は、25℃において測定された粘度が5〜5000cPsであり、相対湿度50%において30分未満で指触乾燥状態になる。好ましくは、本発明の製剤は乾燥して、5mil(0.005インチ)未満の厚さを有する柔軟な、好ましくは伸縮性の薄いフィルムになる。望ましくは、フィルムは、15分未満で、別の実施態様では10分未満で、別の実施態様では5分未満で指触乾燥状態になるか又は不粘着性になる。ここで使用する用語「指触乾燥状態になる」は、皮膚上に配置された流体がもはや湿っておらず且つ乾燥した指を乾燥フィルム上に軽く押し付けても、もはや指に移らなくなることを示す。この時、フィルムはまた一般に非粘着性であり、これは、フィルム表面に押しつけた清浄な指が、フィルム表面から引き上げている最中にフィルムによってもはや引っ張られなくなることを意味する。非粘着時間は、以下のより詳細に記載する綿ボール試験を用いて測定できる。乾燥フィルムは0.2〜5mil(5〜125μm)のフィルム厚を有し、0.6〜0.7milの乾燥フィルム厚に関して相対湿度50%において24時間周囲温度硬化させた後に評価した場合にASTM法にD882よって測定した伸びは50%より大きい。
【0021】
ここに明示した全ての構成成分に関する範囲は、中間の全ての範囲を暗黙的に含むことを理解すべきである。例えば5〜40重量%の範囲は5〜39重量%、5〜38重量%、5〜37重量%、〜36重量%、6〜40重量%、6〜39重量%などを含む。
【0022】
本発明のフィルム形成性製剤において有用なポリマーは、サルフェート、スルホネート並びにそれらの酸及び塩から選ばれた少なくとも1種の水分散性又は水散逸性部分を含む。多くの型のポリマーを、活性物質を含むフィルムの形成に使用できるが、スルホン化又は硫酸化ポリエステル、ポリアクリル酸樹脂、スルホン化若しくは硫酸化ポリエステルを有するハイブリッドポリマー及びそれらの混合物が特に好ましい。合成及び天然ポリマーは共に適当である。これらのポリマーは一般に皮膚中に吸収性であってはならない。望ましい量の活性物質をポリマーフィルム中に混和できるように、ポリマーは活性物質とある程度の相溶性を有するのが望ましい。スルホン化又は硫酸化ポリエステル及びポリアクリル樹脂と共に含ませることができる適当なポリマーとしては、ポリエステル、アクリル樹脂、アクリルアミド樹脂、ポリペプチド、ビニルエーテルポリマー及びコポリマー、アルキル部分の炭素数が3〜20であるポリアルキレングリコール、ポリウレタン、シリコーン樹脂、ポリアルキド、ポリエポキシド、ポリオレフィン、炭水化物、例えば、高アミロース及び高アミロペクチン変種を含む種々の植物源に由来する澱粉が挙げられる。
【0023】
本明細書中で使用する用語「水散逸化部分」はポリマーを水中に散逸させることができる部分を意味する。これは典型的には、ポリマーを水中に分散又は散逸させることができるポリマー鎖にぶら下がった(ポリマー鎖に結合して、ポリマー鎖から突出する)極性基である。用語「散逸性ポリマー」はポリマー鎖に結合したその散逸化部分のために水中に分散又は散逸させることができるポリマーを意味する。ポリマーを水中に分散又は散逸させる場合には、それは微粒子特性を有し、これは、それが1つの粒子内にいくつかのポリマー鎖を一緒に含むことを意味する。可溶化ポリマーは、各ポリマー鎖が溶媒で取り囲まれ且つポリマー鎖が通常は溶液中で互いに触れないことを意味する。
【0024】
本発明において使用するスルホン化ポリエステル及びポリアクリルと併用できる他の生体接着性水溶性ポリマーは、セルロース誘導体、多糖類ガム誘導体、ポリプロピレングリコール、混合ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールポリマー−ブロック若しくはランダムコポリマー、水溶性若しくは水分散性アクリルポリマー、水溶性若しくは水分散性ポリエステル、ヒドロキシアルキル澱粉、カルボキシメチル澱粉、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリジノンポリマー及びコポリマー、カゼイン、ゼラチン、可溶化タンパク質、ポリアクリルアミド、水溶性若しくは水分散性ポリウレタン、アクリル樹脂及びポリウレタンを両方含むハイブリッドポリマー、アクリル樹脂及びポリエステルを両方含むハイブリッドポリマー、スチレンマレイン酸エステル樹脂、ポリ(オレフィン−マレイン酸エステル)樹脂並びに任意の他の常用の水溶性若しくは水分散性ポリマー又は前記物質とそれらの組合せである。好ましいのは、真に水溶性であるのではなく水分散性であるそれらのポリマーである。これらのポリマーは、脱イオン水中に分散させると、Polymer Laboratories,Inc.から入手可能なParticle Size Distribution Analyzerによって測定した場合に2〜500nm若しくはそれ以上、例えば5〜400nm又は10〜300nmの有限の測定可能な平均粒径を有する。
【0025】
ポリマーフィルムは架橋していてもいなくてもよい。使用できる適当な架橋剤はアミノプラスト、ジイソシアネート、ポリイソシアネート、ポリエポキシド、ポリアジリジン、ポリカルボジイミド、ポリアミン、ポリケトエステルなどである。適当なポリマー分子量(架橋前)は1000〜10,000,000ダルトン、より適当には2000〜5,000,000である。更に適当なのは3000〜1,000,000ダルトンのポリマーである。
【0026】
適当には、ポリマーは、グリコール残基及びジカルボン酸残基並びに芳香核に結合した金属塩の形態のスルホン酸基を含む少なくとも1種の二官能価コモノマーを有する、エーテル基及びスルホネート基を含む水分散性又は水散逸性スルホポリエステル又はポリエステルアミドから選ばれる。このようなポリマーは当業者にはよく知られており、Eastman Chemical CompanyからEastman AQポリエステルポリマーの商標名で入手できる。詳細には、このようなスルホポリエステルは水性分散液中に、好ましくは80℃未満の温度で溶解、分散又は別の方法で散逸させることができる。このようなコポリエステルは、1973年5月22日にCharles Kiblerに対して発行された米国特許第3,734,874号により詳細に記載されており、この特許の開示を引用することによって本明細書中に組み入れる。当業者には、本明細書及び特許請求の範囲において使用する用語「残基」又は「成分」が、その部分がその化学種から実際に得られるか否かにかかわらず、その反応スキーム又はその結果生じた製剤若しくは化学生成物中のその化学種の得られる生成物である部分を意味することがわかるであろう。従って、例えばポリエステル中のエチレングリコール残基は、そのポリエステルの製造にエチレングリコールが用いられるか否かにかかわらず、ポリエステル中の1つ又はそれ以上の−OCH2CH2O−反復単位を意味する。前記説明及び添付した特許請求の範囲中における用語「酸」の使用は、これらの特許中に記載された製造において使用されるそれらのジメチルエステルのような酸反応体の種々のエステル形成性又は縮合性誘導体を含む。好ましいスルホモノマーには、スルホン酸基がベンゼン、ナフタレン、ジフェニルなどのような芳香核に結合したもの及び核が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の場合のような脂環式であるものがある。
【0027】
他のポリマーはALCO Chemical Company(Chattanooga,Tennessee)から入手可能なスルホネート安定化水分散性アクリルポリマーとして知られているポリマーである。例えばVERSA−TLスルホン化ポリマーのようなスルホン化ポリスチレンポリマーが適当である。更に、アルカリ金属塩として中和された部分スルホン化ポリスチレンポリマーも適当である。これらは、単独で又は他のポリマーと共に、使用できる。他のこのような水分散性ポリマーは、スルホン化ポリスチレンポリマー、例えばNational Starchから商標名FLEXAN(登録商標)IIとして入手可能なものである。
【0028】
本発明における使用に適当な他のポリマーはアクリルアミド又はアクリル酸型モノマー、例えばLubrizolから入手可能な2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS(登録商標))又はPolysciences,Inc.から入手可能なメタクリル酸スルホエチル(SEM)から製造されたスルホン化又は硫酸化アクリル酸コポリマーである。AMPS又はSEMはアクリルポリマーを形成するためのメタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、スチレンなどのような他のモノマーと重合させることができる。AMPS又はSEMは、ポリマー中に、アンモニア、アミン又はアルカリ金属との塩として存在できる。
【0029】
本発明において使用する更に他の適当なポリマーは、ビニルスルホン酸及びその塩、例えばProviron Fine Chemicals NV(Ostend,Belgium)から入手可能なビニルスルホン酸ナトリウムに由来するスルホン化ポリマーである。
【0030】
本発明によれば、別の適当なポリマーは、米国特許第6,001,922号に記載されたようなスルホポリエステルとアクリル樹脂とのハイブリッドラテックスである。アクリル系モノマーがスルホポリエステル分散液の存在下で重合された、このようなスルホポリエステル−アクリルハイブリッドポリマーの他の例は米国特許第4,946,932号に記載されており、この開示全体を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0031】
ハイブリッドコポリマーの形成に関しては、共重合に適当なモノマーとしては、スチレン系モノマー、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン及びクロロメチルスチレン;エチレン性不飽和種、例えば炭素数30以下の炭素鎖長を有するアクリル(メタクリル)酸類及びそのエステル、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、オクタフルオロペンタアクリレート及びトリメチルシロキシエチルアクリレート(これらに限定するものではないが)のようなフルオロ又は珪素含有モノマー、アクリル酸デシル、メタクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、メタクリル酸トリデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸セチルなどが挙げられるが、これらに限定するものではない。更に、官能性モノマー、例えばアクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸グリシジル、カルボジイミドメタクリレート(例えばシクロヘキシルカルボジイミドエチルメタクリレート、t−ブチルカルボジイミドエチルメタクリレート)及びクロトン酸アルキルも挙げられる。また、酢酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソプレン、マレイン酸ジ−n−ブチル及びマレイン酸ジオクチル;ビニルエーテル、例えばメチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、スチレンスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又はその塩、2−スルホエチルメタクリレート又はその塩;並びに窒素含有モノマー、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、2−t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N−(メタクリロイルオキシ−エチル)エチレン尿素及びメタクリルアミドエチルエチレン尿素、更にそれらの混合物も適当である。
【0032】
本発明に使用するハイブリッドコポリマーの製造において、スルホン化若しくは硫酸化ポリエステル又はポリアクリルはハイブリッド重合の主成分を構成し、重合性モノマーはハイブリッドコポリマーの微量成分を構成する。一実施態様において、スルホン化若しくは硫酸化ポリエステル又はポリアクリルはコポリマーの3〜95重量%を構成し、別の実施態様においては、スルホン化若しくは硫酸化ポリエステル又はポリアクリルはコポリマーの5〜80重量%を構成し、更に別の実施態様においては、スルホン化若しくは硫酸化ポリエステル又はポリアクリルはコポリマーの10〜60重量%を構成する。
【0033】
皮膚への使用に許容され得る性質を有する可塑剤は、ポリマーフィルムの形成を助けるのに有用である。可塑剤は、ポリマーフィルムの皮膚への密着性を改善すると共に、ポリマーフィルムの柔軟性を改善する。可塑剤の量は、製剤中で種々の量の可塑剤を試験することによって評価できる。可塑剤は好ましくは水中に少なくともわずかに又は部分的に可溶であり、分散液中のポリマーに対すて親和性を有する。可塑剤は、示差走査熱量測定法(DSC)によって測定されるポリマーのTgを低下させる。従って、可塑剤を含むフィルムは可塑剤を含まない同一ポリマーのTgよりも低いTgを有するであろう。可塑剤の添加量を選ぶための指針は任意の可塑剤を添加する前のポリマーTgに基づく。例えばTgが60℃のポリマーの場合には、20〜25%の可塑剤を添加できる。Tgが50℃のポリマーの場合には、10〜20%の可塑剤を添加できる。Tgが40℃のポリマーの場合には、5〜15%の可塑剤を添加できる。Tgが30℃又はそれ以下のポリマーの場合には、0〜10%の可塑剤を添加できる。可塑剤の正確な量は所望のポリマーフィルムの性質並びに正確なポリマー構造及び選択された可塑剤の構造によって決まるので、これらは指針に過ぎない。いくつかの型の可塑剤を任意の1種のポリマーについて試験することができ、最適な可塑剤又は可塑剤の組合せを、特定の用途に必要な性質を得るために選択できる。
【0034】
本発明において有用な可塑剤は、一般にジオール、トリオール、アルコールエーテル、アルコールエステル、エステル、エーテル、ヒドロキシ酸、アミド、カーボネート及びそれらの混合物である。適当なジオールは、炭素数が10以下の1,2−プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオールなどである。適当なトリオールは、グリセリン、トリヒドロキシブタン、トリヒドロキシヘキサンなどである。6個以下のヒドロキシル基を有するアルコールが可塑剤として適当である。適当なアルコールエーテルは、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールなど、アルコキシル化アルコール、例えばエトキシル化アルコール、プロポキシル化アルコール、エトキシル化及びプロポキシル化アルコール(前記アルコキシル化アルコールは1〜10個の炭素原子及び1〜6個のヒドロキシル部分を含む脂肪族、芳香族、アルカリール及びアルアルキルヒドロキシ官能性化合物から選ばれる)である。これらの例は、ヒドロキノンビス(ヒドロキシエチルエーテル)、シクロヘキサノールヒドロキシエチルエーテル、ソルビトールトリヒドロキシエチルエーテル、カテコールビス(ヒドロキシエチルエーテル)及びそれらの混合物である。
【0035】
適当なアルコールエステル可塑剤としては、プロピレングリコールアセテート、グリセリンジアセテート(ジアセチン)、エチレングリコールプロピオネート、酒石酸ジエチル、クエン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、ソルビトールテトラアセテート、プロピレングリコールモノオクテートなどが挙げられる。適当なエステルは、トリアセチン、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、マロン酸ジメチル、コハク酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、ジエチルオキシレート、安息香酸エチル及びそれらの組合せである。
【0036】
適当なエーテル可塑剤としては、メトキシベンゼン、ジメトキシベンゼン、ジエトキシベンゼン、トリエチレングリコールジメトキシエーテルなどが挙げられる。適当なヒドロキシ酸可塑剤としては、グリコール酸、β−ヒドロキシプロピオン酸、乳酸、サリチル酸、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。適当なアミドとしては、アルキルホルムアミド、例えばメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ヘキシルホルムアミド、アセトアミド、エチルベンズアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、N−エチル−β−ラクタム、N−メチルカプロラクタム、カプロラクタム、N,N−ジメチルデカンアミドなどが挙げられる。適当なカーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、グリセロールカーボネート、ソルビトールビス−カーボネートなどが挙げられる。皮膚接触用の可塑剤として使用するための、前に示された物質を選択する際には、一部は皮膚上への使用時に規制制限がある場合があるので、注意しなければならない。
【0037】
更に別のクラスの可塑剤は、前記クラスの1種又はそれ以上の成分を含むことができる。非限定的例としては、ポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ランダム若しくはブロックポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールポリマー及びランダム若しくはブロックポリエチレングリコール−ポリブチレングリコールが挙げられる。他のこのようなポリマー可塑剤としては、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルセルロース、ポリヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエーテルグアー、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸−コ−マレイン酸、ポリアクリルアミド−コ−アクリル酸、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースアセテート−ブチレート、ポリ(ナトリウムビニルベンゼンスルホネート)並びにそれらのコポリマー及び組合せが挙げられる。これらのポリマー可塑剤の量は、本発明の水分散性又は水散逸性ポリマーの重量に基づき、1〜10重量%であることができる。
【0038】
ヒューメクタントは、使用する場合には、製剤の10%未満でなければならない。別の実施態様において、ヒューメクタントの量は製剤0.5〜10%の範囲の任意の値であることができ、別の実施態様においては、ヒューメクタントは組成物の1〜約5%であることができる。一般に、ポリマーに対してこれより多い量のヒューメクタントは、乾燥フィルムに不所望な粘着性をもたらし、乾燥時間が皮膚コーティングに望ましい乾燥時間より長くする可能性がある。
【0039】
多価アルコール型のヒューメクタントは、化粧品として許容され得る担体として及び活性物質として使用できる。典型的な多価アルコールとしては、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、ポリグリセロール、ポリアルキレングリコール、より好ましくはアルキレンポリオール及びそれらの誘導体、例えばプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びそれらの誘導体、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、エトキシル化グリセロール、プロポキシル化グリセロール並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0040】
様々な医薬品、化粧品、皮膚治療剤、コンディショニング剤又はモイスチャライザー(moisturizing agent)を、本発明の組成物中に種々の目的で活性剤として混和することができる。種々の実施態様において、活性剤は抗炎症剤、局所麻酔剤、キサンチン誘導体、抗ヒスタミン剤、抗真菌剤、抗菌剤、抗生物質、心血管作動剤、ホルモン、勃起不全治療剤、血管拡張剤、鎮痛剤、抗リウマチ剤、かゆみ止め成分、化学療法剤、アドレナリン作動薬又は拮抗薬、抗酸化剤、モイスチャライザー、抗色素沈着剤、抗シミ剤(anti-blotching agent)、老化防止剤、抗コラーゲナーゼ物質、フリーラジカル捕捉剤、皮脂調節剤(seboregulator)、ハイドレイティブ(hydrative)、角質溶解剤及びα−又はβ−ヒドロキシ酸、種々の創傷治療剤のいずれか並びにそれらの混合物であることができる。他の活性成分としては、皮膚美白剤、皮膚栄養剤、スティング防止成分(anti-sting ingredient)、垂れ防止成分、抗セルライト成分、ボトックス(botox)及び代替物、サンスクリーンフィルター、うおのめ/いぼ/たこ剥離剤(corn/wart/callus remover)、吸収剤、育毛促進剤、育毛阻害剤、頭皮ケア成分、皮脂油流れ防止剤(sebaceous oil flow inhibitor)、くま(eye-circle)ケア成分、フェイシャルマスク成分、ネイルコンディショニング剤、皮膚モイスチャライザー及び皮膚吸収促進剤であることができる。
【0041】
1つの成分は更に、製剤中で複数の機能を有することができ、例えばグリセロールのようなエモリエントはまた、より良好なフィルム形成をもたらすためのポリマー可塑剤としても働くことによって、製剤に望ましい物理的性質を与えることができる。別の例は、可塑剤としても働く、昆虫忌避剤N,N−ジエチル−m−トルアミド(DEET)である。この後者の場合には、皮膚表面のDEETの滞留は、乾燥フィルム中に閉じ込められることによって延長され、フィルムは虫さされに対するバリアーを提供する。
【0042】
場合によっては、活性成分はアルコール系溶剤系に配合できる。一実施態様において、炭素数12以下又は8以下の低級アルキルアルコールを使用できる。例えば適当なアルコールとしては、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール又はアルコール溶液若しくは懸濁液、例えばエタノール溶液若しくは懸濁液が挙げられるが、これらに限定するものではない。サリチル酸、亜硫酸水素ナトリウム及びdl−α−トコフェロールのような活性成分はアルコール中で製造できる。便宜上、製剤は、活性成分がアルコール溶剤中に溶解された2種の混合物又は溶液のみを用いて製造できる。アルコール溶剤中に溶解された成分は、ポリマーを含む水性相に添加することもできるし、或いは界面活性剤を含む水性相に添加して、その後にポリマーを添加することもできる。得られる製剤の安定性は、ルーチン実験を用いて当業者によって決定できる、添加順序を含む製造方法によって左右され得る。
【0043】
本発明の一実施態様において、活性成分は局所用の皮膚コンディショニング剤、治療剤又はモイスチャライザーである。このような皮膚コンディショニング剤、治療剤又はモイスチャライザーの例としては、以下:アロエ(例えばAloe vera)、カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)(緑茶)、カモミール、朝鮮人参、ブドウ、甘草、キュウリ、ヤグルマギク(corn flower)、オレンジピール、ドッグローズのローズヒップのいずれかのエキス、海藻、昆布及び藻類のエキス、米ぬか油、植物ステロール、例えばデヒドロ−カンペステロール、デヒドロ−シトステロール、B−シトステロール、カンペステロール、δ−スチグマステロール、ブラシカステロール及びスチグマステロール、炭素数2〜30の酸の植物ステロールエステル、米ぬか植物脂質、ヤシ油、スクアレン、コエンザイムQ、エルカ酸アミド、炭酸ジカプリリル、大豆油若しくはマレイン酸化大豆油、オリーブ油、小麦胚芽油、カフェイン、カルニチン、蜜ろう、パラフィンワックス、カルナバワックス、シアバター、ココバター、ヒマワリバター、マンゴーバター、コカウムバター(kokaum butter)、サルバター、オリーブバター、植物油バター、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸及びクエン酸、サリチル酸、ポリマーヒドロキシ酸、β−グルカン、コルチコステロイド類、尿素、パンテノール、アントシアニジン、フィチン酸、並びにアミノ酸、例えばグリシン、プロリン、リジン、ロイシン、アラニン、アルギニン及びセリン、アボカド油、ナッツ及びベリー油、例えばアーモンド油、クルミ油、鉱油、ペトロラタム、ジメチコン、ジメチコンコポリオール、ペプチド(天然ペプチド及び合成ペプチドの両方)、ユビキノン、ヒドロキシプロピルグアー、塩化トリモニウム、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、更にそれらの混合物の1種又はそれ以上が挙げられるが、これらに限定するものではない。モイスチャライザーとしては更にポリオール、例えばソルビトール、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ヘキシレングリコール、イソプレングリコール、キシリトール、フルクトース及びそれらの混合物が挙げられる。混和に適当な活性成分は、天然物のエキス、例えば植物又は植物生成物から水、グリコール、グリコール/水ブレンド、超臨界CO2、グリセリン及びアルコールによって抽出されたものを含む。望ましくは、局所用皮膚コンディショニング剤、治療剤又はモイスチャライザーは使用者の表皮に移行でき、使用者への局所用皮膚コンディショニング剤、治療剤又はモイスチャライザーの有益な効果はそこで得られる。
【0044】
所定の用途又は活性剤から得られる利益に応じて、本発明のフィルムは、使用者の表皮に活性剤の1〜100重量%を移動させる逃散性(fugitive)活性成分を含むことができる。例えば、一実施態様においては10〜100重量%の、別の実施態様においては80重量%より多い逃散性活性成分が使用者の表皮に移される。
【0045】
本発明の別の実施態様において、活性成分は、実質的に移行しないように、乾燥時に皮膚科学的に許容され得るフィルム内に実質的に固定することができる。活性剤が移行性でない製剤においては、活性成分の望ましくは50重量%未満、例えば25重量%未満又は15重量%未満又は更には5重量%未満が皮膚表面に移される。このような活性剤の例は、光吸収剤、例えば多くの日焼け止め剤(サンスクリーン)中に存在する紫外線吸収剤である。これらの物質は、ポリマー分散液中に混和することによってポリマーフィルム中に含ませることができる。これらは、UVA及び/又はUVB線を吸収する化学物質を含むことができる。これらの一般に疎水性の物質は、熱、高剪断又は低剪断撹拌の組合せによって分散液中に混和できる。このようにして混和されるこれらの成分は有機でも無機でもよい(例えば二酸化チタン又は酸化亜鉛、特に200ナノメーター又はそれ以下の粒径を有する超微粒グレードのもの)。ポリマーフィルムが皮膚上で乾燥すると、系の設計に応じて、UV吸収性化学物質はフィルム内に保持され且つ皮膚への移行が妨げられるか、或いはおそらくは皮膚に又はフィルムから環境に徐々に放出されることができる。適当なUV吸収剤としては、米国、ヨーロッパ又は日本で現在使用が認可されているそれらの成分、例えば桂皮酸オクチルのような桂皮酸エステル;オキシベンゾンのようなベンゾフェノン類;サリチル酸2−エチルヘキシルのようなサリチル酸エステル;p−アミノ安息香酸(PABA)のようなベンゾエート類;アントラニル酸メンチルのようなアントニル酸エステル;アヴォベンゾンのようなジベンゾイルメタン類;3−ベンジリデンボルナン−2−オン、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸のようなショウノウ(champhor)誘導体;5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシベンゼンスルホン酸及び3,3’−(1,4−フェニレンジメチリデン)−ビス(7,7−ジメチル−2−オキソ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−メタンスルホン酸)ナトリウム塩のような日焼け止め効果のある化学物質、これらの化合物の混合物並びに”Sunscreens,Development,Evalutation and Regulatory Aspects”(N.J.Lowe及びN.A.Shaath編,Marcel Dekker,Inc.,1990)のChapter 1(引用することによって本明細書中に組み入れる)に記載された他の化学物質が挙げられる。
【0046】
製剤は更にポリビニルピロリジノン、シリコーン油、エステルエモリエント、結晶品として許容され得る炭化水素、脂肪酸、脂肪アルコール、増粘剤、ヒューメクタント、保存剤、ビタミン類、皮膚美白剤、落屑剤(desquamation agent)、着色剤、香料、不透明剤(乳白剤)、研磨剤及びスクラブ剤のような二次的な有益成分を10重量%未満含むことができる。望ましくは、製剤は0.001〜8重量%又は0.5〜5重量%の二次的な有益成分を含む。
【0047】
シリコーン油は、揮発性のもの及び不揮発性のものに分けられる。ここで使用する用語「揮発性」は、周囲温度において測定可能な蒸気圧を有するそれらの物質を意味する。揮発性シリコーン油は、環状(シクロメチコン若しくはシクロヘキサシロキサン)又は3〜9個、例えば4〜5個の珪素原子を含む線状ポリジメチルシロキサンから選ばれるのが適当である。不揮発性シリコーン油はポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン及びポリエーテルシロキサンコポリマーを含む。本質的に不揮発性のポリアルキルシロキサンは、例えば25℃において5×106〜0.1m2/秒の粘度を有するポリジメチルシロキサンを含む。本発明の組成物中で有用な好ましい不揮発性エモリエントには、25℃において1×10-5〜4×10-42/秒の粘度を有するポリジメチルシロキサンがある。
【0048】
エステルエモリエントとしては、炭素数8〜30の脂肪酸のアルケニル若しくはアルキルエステル、例えばネオペンタン酸イソアラキジル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、ミリスチン酸イソプロピル、ヘキサン酸シクロヘキシル2−エチル及びオレイン酸オレイル;エーテル−エステル、例えばエトキシル化脂肪アルコールの脂肪酸エステル;多価アルコールエステル、例えばエチレングリコールモノ−及びジ−脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ−及びジ−脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200〜6000)モノ−及びジ−脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ−及びジ−脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール2000モノオレエート、ポリプロピレングリコール2000モノステアレート、エトキシル化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノ−、ジ−及びトリ−脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ−脂肪酸エステル、エトキシル化グリセリルモノステアレート、1,3−ブチレングリコールモノステアレート、1,3−ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは申し分ない多価アルコールエステルである)、炭素数2〜30の酸のペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン及びネオペンチルグリコールエステル;蜜ろう、鯨ろう及びトリベヘニンワックスのエステル;ステロールエステル、例えばコレステロール脂肪酸エステル;脂肪酸の糖エステル、例えばスクロースポリベヘネート及びスクロースポリコットンシーデート(sucrose polycottonseedate)が挙げられる。また、酸の脂肪アルコールエステル、例えばヘキサン酸オクチル2−エチル、安息香酸ドデシル、ミリスチン酸ヘキサデシル、ヒドロキシステアリン酸イソドデシル、プロピオン酸ステアリル、アジピン酸ジイソオクチルなども適当なエモリエントである。別の許容され得るエモリエントは、脂肪族エーテル、脂肪族カーボネートなどであり、この用語「脂肪族」はアルキル鎖中に存在する8個又はそれ以上の隣接した又は結合した炭素原子を示す。
【0049】
許容され得る活性物質、担体又は溶剤である、化粧品として許容され得る炭化水素としては、イソヘキサデカン、ペトロラタム(石油ゼリー)、鉱油、炭素数11〜13のイソパラフィン及びポリα−オレフィン並びにそれらの混合物が挙げられる。特に好ましいのは、分子量が1000〜100,000ダルトンのポリビニルピロリジノンである。これらは他の活性物質、エモリエント、シリコーン類又は添加剤と組合せて使用できる。
【0050】
炭素数10〜30の脂肪酸もまた、結晶品として許容され得る担体であることができる。このカテゴリーの例は、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸及びエルカ酸である。
【0051】
炭素数10〜30の脂肪アルコールは、化粧品として許容され得る担体又は活性剤の別の有用なカテゴリーである。このカテゴリーの例はステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール及びそれらの混合物である。
【0052】
増粘剤(thickener)を、本発明に係る組成物の化粧品として許容され得る担体の一部として使用できる。典型的な増粘剤としてはセルロース系誘導体及び天然ガムが挙げられる。有用なセルロース系誘導体には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース及びヒドロキシメチルセルロースがある。本発明に適当な天然ガムとしては、グアー、キサンタン、菌核(sclerotium)、カラギーナン、ペクチン並びにこれらのガムの組合せが挙げられる。ポリアクリル酸、例えばNoveonから商標名Carbomer(登録商標)として入手可能なものも適当である。疎水性物質変性増粘剤のクラスも、製剤の粘度の調整に適当である。無機物質、特にベントナイト及びヘクトナイトのようなクレイ、ヒュームドシリカ並びに珪酸マグネシウムアルミニウムのような珪酸塩も増粘剤として使用できる。天然又は合成クレイを使用できる。前記クラスの増粘剤の任意の組合せが有用であり得る。
【0053】
保存剤(preservative)は、望ましくは有害な可能性のある微生物の増殖を防ぐために、本発明の化粧品組成物中に混和できる。本発明の組成物に適当な従来の保存剤はp−ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル並びにソルビン酸及びその塩である。最近になって使われるようになった他の保存剤としては、ヒダントイン誘導体、プロピオン酸塩及び種々の四級アンモニウム化合物が挙げられる。化粧品化学者は、適切な保存料に熟知しており、保存剤負荷試験をクリアーし且つ製品安定性を提供するように、ルーチン的にそれらを選ぶ。特に好ましい保存剤はフェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニル尿素及びオクタンジオール並びにそれらのブレンドである。Optiphenの商標名で入手可能なブレンド生成物(International Specialty Products,Wayne,NJ 07470)も好ましい。保存剤は、組成物の用途及び製剤中の保存剤と他の成分との予想される不相溶性を考慮して選択すべきである。保存剤は好ましくは、組成物の0.01〜2重量%の範囲の量で使用する。
【0054】
他の抗菌剤も本発明の組成物中に含ませることができる。実例となるのは、トリクロサン、トリクロカルバン、Octopyrox(登録商標)及び亜鉛ピリチオンである。適当には、量は組成物の0.01〜5重量%又は0.1〜0.5重量%の範囲であることができる。
【0055】
本発明の組成物に適当な他の活性剤にはビタミン類がある。水溶性ビタミン類の例は、ナイアシンアミド、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンK及びビオチンである。有用な水不溶性ビタミン類には、ビタミンA(レチノール)、ビタミンAパルミチン酸エステル、テトライソパルミチン酸アスコルビル、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンE酢酸エステル、レチノールリノレエート、ビタミンCエステル類、トコトリエノール類及びDL−パンテノールがある。ビタミン類の総量は、本発明に係る組成物中に存在する場合には、0.001〜10重量%、例えば0.01〜1重量%又は0.1〜0.5重量%の範囲であることができる。
【0056】
皮膚美白剤(skin lightening agent)もまた、本発明の組成物中に含ませることができる適当な活性剤である。このような物質の例は胎盤エキス、乳酸、ナイアシンアミド、アルブチン、コウジ酸、ハイドロキノン、レソルシノール及び4−置換レソルシノール類を含む誘導体並びにそれらの組合せである。これらの物質の適当な量は製剤の0.1〜10重量%、例えば0.5〜2重量%の範囲であることができる。
【0057】
落屑剤(desquamation agent)は本発明の組成物に含ませることができる適当な活性剤である更なる任意成分である。その例はα−ヒドロキシカルボン酸及びβ−ヒドロキシカルボン酸である。前者にはグリコール酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸の塩及びそれらの混合物がある。サリチル酸はβ−ヒドロキシカルボン酸の代表である。
【0058】
着色剤、香料、不透明剤、キレート化剤、例えばEDTA(エチレンジアミン四酢酸)及びその塩並びにクエン酸及びその塩、酸化防止剤、例えばビタミンE及びtert−ブチルヒドロキノン、更に研磨剤も本発明の組成物中に含ませることができる。これらの物質は、それぞれ、組成物の0.05〜5重量%、例えば0.1〜3重量%の範囲であることができる。
【0059】
本発明のフィルム形成性製剤は更に乳化剤を含むことができる。安定なフィルム形成性エマルジョンを得るのに適当な乳化剤を使用できる。ここで使用する用語「乳化剤」及び「界面活性剤」は同義と見なし、区別なく使用できる。本発明において使用するのに適切な乳化剤の選択は、選択される他の成分の組成によって左右されるであろう。所定の系に適切な乳化剤の選択は、当業者の認識範囲内である。存在する場合には、本発明のフィルム形成性組成物中の界面活性剤又は乳化剤の総濃度は、フィルム製剤の総重量に基づき、15重量%以下、例えば1〜10重量%又は1.5〜7重量%の範囲であることができる。
【0060】
適当な乳化剤/界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、アルコールエトキシレート硫酸塩(このクラスの界面活性剤の例は、ドデシルアルコール4エチレンオキシドスルフェートのナトリウム塩である)、脂肪アルキルアルコールエトキシレートホスフェート、脂肪アルコール燐酸エステル、ノニオン性アルコールエトキシレート、例えばヘキサデカノール14モルエトキシレート、ドデシルアルコール20モルエトキシレート、ノニルフェノール10モルエトキシレート、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。天然及び合成界面活性剤はいずれも、水溶性又は水分散性又は水散逸性ポリマー、可塑剤及び活性成分を含む製剤の安定化に使用できる。適当な天然界面活性剤としては、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、例えば大豆レシチン、ステアリン酸及びその塩の塩並びにそれらの混合物が挙げられる。適当な天然由来の界面活性剤及び乳化剤としては、コレステロールエトキシレート類、ステアリン酸グリセリル、ビタミンEエトキシレート、脂肪酸のグリセシル、ジグリセリル、ポリグリセリルモノエステル、エステルエトキシレート、例えばd−α−トコフェリルPolyethylene Glycol−100 Succinate(Vitamin E−TPGS(Eastman Chemical Companyから入手可能)としても知られる)などが挙げられる。前記パラグラフにおいて、「脂肪」は、10個若しくはそれ以上の結合炭素原子の飽和脂肪族炭化水素基又は10個若しくはそれ以上のアリール若しくはアルカリール炭化水素基を意味する。
【0061】
他の界面活性剤又は乳化剤は、アニオン性、ノニオン性、カチオン性及び両性物質からなる群から選ばれることができる。一実施態様において、適当なノニオン性界面活性剤は、疎水性物質モル当たり2〜100モルのエチレンオキシドと縮合したC10〜C30脂肪アルコール又は脂肪酸疎水性物質;アルキレンオキシド2〜50モルと縮合したC2〜C12アルキルフェノール;脂肪酸モノグリセリド;ソルビタン、モノ−及びジ−C8〜C20脂肪酸ソルビタンエステル;及びポリオキシエチレンソルビタンエステル並びにそれらの組合せを含むものである。
【0062】
適当なアニオン性界面活性剤としては、アルキルエーテルスルフェート及びスルホネート、アルキルスルフェート及びスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキル及びジアルキルスルホスクシネート、C8〜C20アリールイセチオネート、C8〜C20アルキルエーテルホスフェート、C8〜C20サルコシネート並びにそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0063】
適当な天然界面活性剤としては、レシチン及びレシチン誘導体(ADM Company,Decatur,IL 62526からStandard Lecithin類、Thermolec(登録商標)Lecithin類及びUltralec(登録商標)Deoiled Lecithin類として入手可能)が挙げられるが、これらに限定するものではない。他の適当な天然界面活性剤は、大豆、ヤシ及び植物源に由来するモノグリセリド(ADMから商標名Panalite(登録商標)として入手可能)である。他の適当なリン脂質としては、合成燐酸エステル、例えば燐酸ジセチル及び燐酸セチル、セテス−10ホスフェート及びブレンド[Croda,Inc,Edison,NJ 08837−3907から商標名Crodafos(登録商標)、例えばCrodafos−CES、―CS20 Acid、−CP50及び−HCEとして入手可能]が挙げられる。アルキルポリグリコシド及びサッカライド脂肪アミド(例えばメチルグルコナミド)も適当なノニオン性界面活性剤である。
【0064】
本発明の別の実施態様においては、活性剤を表皮又は皮膚に送達する方法が提供される。この方法は、望ましい活性成分を含む本発明の製剤を製造し、そして前記製剤を皮膚の所定の領域に適用する工程を含む。所望の濃度の活性物質を製剤に混和することによって、接触面積の大きさを変えることによって種々の量の活性物質を患者(ヒト、哺乳類又は爬虫類)に投与することが可能であるので有利である。
【0065】
本発明の組成物は、ローション剤、クリーム剤、ロールオン式製剤、スティック剤、ムース剤、エアゾール型及びノンエアゾール型スプレー剤のような任意の非定形であることができる。従って、製剤は、ローレットアプリケーター(rollette applicator)、アピカルマニュアルポンプを有するジャーのような種々の装置で用いるために送達し、アトマイザーをも用いて噴霧し、又はチューブ若しくはボトルから直接延展することができる。「ローレット」アプリケーターは、脱臭剤の適用のために普通用いられる先端ボール付き容器である。「アピカルマニュアルポンプを有するジャー」は、患者の皮膚への送達のための本明細書中に記載した組成物の容量を圧縮空気に与える、可動ピストンの手動押し下げ及び解放によって作り出した圧縮空気を用いることができる容器を含む。「チューブ」は、例えばクリーム剤、軟膏剤、ゲル剤及びパスタ剤の形態で局所的に作用する活性物質を送達するために典型的に用いられるような、キャップ又はカバーを有する圧縮性送達容器である。
【0066】
望ましくは、製剤から形成される乾燥ポリマーフィルムの有効ガラス転移温度、Tgは−40℃〜+40℃、例えば−30℃〜+30℃、又は更には−25℃〜+25℃でなければならない。「有効ガラス転移温度」とは、配合物に活性成分、可塑剤、粘着付与剤、界面活性剤、溶剤又は他の成分を添加した後に、示差走査熱量測定法によって測定される、ガラス相からゴム相へのポリマー相転移を意味する。このTgは、ポリマーが徐々により液状になり(より粘稠でなくなり)、固体でガラス状からエラストマー性でゴム状に変化する温度範囲の中点である。活性成分、可塑剤、粘着付与剤、界面活性剤、溶剤などのような添加剤は、フィルム形成性ポリマーの有効Tgを低下させる作用を有することが多い。
【0067】
用語「乾燥フィルム又は乾燥ポリマーフィルム」は、乾燥プロセスにおいて強制空気流を用いずに周囲湿度50%の乾燥条件下で、ガラス又は金属のような非孔質の平滑な基材に適用された湿潤フィルム厚5milの適用配合物に関して32℃において2時間のフィルム乾燥時間によって定義されるような、溶剤(水及び/他の溶剤)のほとんどが蒸発した場合を意味する。この2時間の乾燥時間で、フィルムは最終的なフィルム特性のほとんどを獲得している。本発明の方法に関して定義したような、乾燥させるフィルムがその最終特性に達する時間は、相対湿度50%及び22〜25℃で24時間の乾燥時間である。
【0068】
本発明の製剤の製造において、水散逸性ポリマー、水の少なくとも一部分及び使用する場合には、可塑剤を含む水性第1混合物を、製造する。次いで、固体の油性又はろう状成分を合し且つ液化させた油性相からなる第2混合物を製造する。固体の油性又はろう状成分の液化に必要ならば、熱を加えることができる。望ましくは、第1混合物への添加前に、固体又はろう状成分を最初に融解させるか又は軟化させるか又は適当な油若しくは溶剤中に溶解させる。次に、合した混合物又は第3混合物を、第2混合物が冷めるまで高速剪断を用いて均質化する。
【0069】
別の実施態様において、本発明の製剤は、軟化させた固体又はろう状成分、乳化剤及び、場合によっては、界面活性剤を含む第1混合物を作ることによって製造できる。水中に分散された水散逸性ポリマーを含む水性相を次に、混合しながら第1混合物に添加して、第2混合物を作る。前述のように均質化を使用できる。
【0070】
更に別の実施態様においては、全ての成分を一緒にブレンドする。次に、水及び/又は他の液体をブレンドに添加して、第1混合物を作る。次いで、混合物を撹拌し、必要ならば加熱及び/又は均質化して、均一な第2混合物を形成する。
【実施例】
【0071】
本発明を、以下の具体例によってより詳細に示す。これらの例は実施態様であり、本発明を限定することを目的とせず、添付した「特許請求の範囲」の範囲及び内容の中で広範に解釈すべきであることを理解すべきである。例中の全ての部及び百分率は、特に断らない限り、重量ベースである。
【0072】
製剤の乾燥及びフィルム形成能を測定するための標準条件
フィルムが皮膚上に存在する場合の製剤及びフィルムの特性の測定は不確実であるので、適当な代替法を考案した。これを以下に示す。これらの試験は、再現性のある、特性の実験室測定を可能にするであろう。
【0073】
ポリマー組成物の粘度は、TA Insttruments(New Castle,Delaware)から入手可能なAR 2000平行平板型レオメーターを用いて、100/秒の剪断速度で測定することによって求める。
【0074】
フィルムは、5mil(125μm)ギャップアプリケーター、8−Path Wet Film Applicator[the Paul N.Gardner Company,Inc.,(Pompano Beach,FL)から入手可能]を用いて均一厚さで適用した。このアプリケーターは32℃の制御基材温度において平らな金属基材に2インチ幅のフィルムを適用した。乾燥させるフィルムと接触する強制空気流が存在しない場所で周囲空気温度を22〜25℃に制御した。相対湿度は45〜55%に制御した。ドローダウン直後に測定した湿潤フィルム厚は典型的には3〜3.5milであった。用語「湿潤フィルム厚」は、塗装業において典型的に使用される任意の湿潤フィルム厚ゲージ、例えばthe Paul N. Gardner Company,Inc.(Pompano Beach,FL)から入手可能なNordson−Gardco湿潤フィルム厚ゲージによって測定した、乾燥前の、適用したばかりのフィルムのその厚さを意味する。
【0075】
基材表面温度を制御するために、Rhopoint Minimum Flim Forming Temperature Bar(Paul N. Gardner Company,Inc.(Pompano Beach,FL)から入手可能)を用いた。32℃である金属下地の部分の位置に、溶剤可溶性マーカーで印を付けた。下地の32℃の部分がドローダウンによって完全に被覆され且つ位置の印が乾燥させるドローダウンフィルムを縦方向に二分するように、2インチ幅のアプリケーターを用いて下地の幅方向に湿潤フィルムを適用した。計器のふたは試験の間中、開けたままにしておいた。
【0076】
「非粘着時間(tack-free time)」は、フィルムの乾燥の間に測定する。「非粘着時間」は、フィルム形成(ドローダウン)から、32℃の基材温度においてフィルムが、乾燥させるフィルムの幅方向にゆっくりと転がした綿ボール(重量0.6〜0.8g)からもはや繊維を獲得しなくなるまでの時間と定義する。この時間は、清浄な指でそっと押した場合に、指を引っ込めてもフィルムがもはや指を引っ張らない時間にほぼ相当する。本発明によれば、フィルムは15分又はそれ以下、好ましい実施態様においては5分未満の非粘着時間を有するであろう。
【0077】
「指触乾燥(dry-to-touch)」時間は、ドローダウンの時点から、フィルムを清浄な指でそっと探った場合に、乾燥させるフィルムから指に移る物質が全くなくなるまでの時間である。
【0078】
伸び(elongation): 伸びは、ASTM Method D882の方法に従って独立フィルム(基材又は表面と接触していないフィルム)について測定した。独立フィルムは、剥離基材上に適当なアプリケーターでドローダウンすることによって0.6〜0.7mil(0.0006〜0.0007インチ)の乾燥フィルム厚で製造した。剥離基材は、平らで非孔質であるならば、種々の基材のいずれであることもでき、乾燥時にフィルムを基材から容易に引き離すことができるように低表面エネルギーを有する。使用する適当な基材としては、ポリ(テトラフルオロエチレン)、シリコーン処理ポリエステルフィルム、シリコーン処理紙及びワックスペーパーが挙げられる。この試験の乾燥条件は、空気及び基材温度22〜25℃で24時間とした。その後、乾燥フィルムを基材からはがし、伸び率を測定した。本発明によれば、サンプルを10インチ/分の速度で引いた場合に、フィルムは少なくとも50%、好ましくは200%より大きい伸びを有さなければならない。
【0079】
例1(比較例)
フィルム形成性ゲルを、米国特許第4,950,475号の実施例1に明記されたようにして、適当な容器中に40重量%のプロピレングリコール及び30重量%の水を入れ且つ混合物を80℃に加熱することによって、製造した。生成された加熱水相をブレンダーに移し、ブレンダーによって固形分を溶解させるための高剪断混合を提供しながら、30重量%のEastman AQ55Sポリマー(Eastman Chemical Companyから入手可能)を徐々に加えた。全ての固形分を添加したら、透明な淡黄色の粘稠なゲルが生成されるまで高剪断混合を続けた。
【0080】
試験患者の前腕掌側(volar forearm)の4cm2の領域にゲルを0.11gのせることによって、ゲルの乾燥時間を評価した。ゲルは、ゲルが触っても湿っていない点まで乾燥するのに52時間を要し、不粘着になるには180分より長い時間を要した。
【0081】
例2
すりガラスヘッド、撹拌機軸、窒素注入口及びサイドアームを装着した丸底フラスコに、ジカルボン酸100モル%及びジオール100モル%に基づき、82モル%のイソフタル酸、18モル%のジメチル−5−ソジオスルホイソフタレート(SIP)、54モル%のジエチレングリコール(DEG)及び46モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)を装入した。触媒を加え、フラスコを窒素スイープ(nitrogen sweep)下で200℃のベルモント(Belmont)浴に1時間浸漬した。浴の温度を1時間230℃に上昇させた。1時間後、浴の温度を280℃に上昇させ、フラスコを0.5〜0.1mmHgの減圧下で更に45分間加熱した。フラスコを室温まで冷ました。コポリエステルをこのフラスコから取り出し、3mm未満のグラニュールに粉砕した。スルホポリエステルAは、53℃のTg(示差走査熱量測定法によって測定)と0.33dl/gのインヘレント粘度(I.V.)(フェノール60重量%及びテトラクロロエタン40重量%からなる溶媒100ml当たりポリマー0.50gを用いて23℃において測定)を有していた。
【0082】
脱イオン水136gを500mlのビーカー中で80℃に加熱することによって、スルホポリエステルAポリマーグラニュールの分散液を製造した。次いで、ポリマーグラニュール64gを撹拌しながら加え、撹拌を30分間続けた。加熱時に蒸発した水の重量は、配合物の冷却につれて元に戻され、ほぼ透明なポリマー分散液が得られた。
【0083】
例3
スルホポリエステルBの製造
すりガラスヘッド、撹拌機軸、窒素注入口及びサイドアームを装着した丸底フラスコに、ジカルボン酸100モル%及びジオール100モル%に基づき、78.0モル%のイソフタル酸、22.0モル%のジメチル−5−ソジオスルホイソフタレート(SIP)、77.0モル%のジエチレングリコール(DEG)及び23.0モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールを装入した。触媒を加え、フラスコを窒素スイープ下で200℃のBelmont浴に1時間浸漬した。浴の温度を1時間230℃に上昇させた。1時間後、浴の温度を280℃に上昇させ、フラスコを0.5〜0.1mmHgの減圧下で更に45分間加熱した。フラスコを室温まで冷まし、コポリエステルをこのフラスコから取り出した。スルホポリエステルを3mm未満のグラニュールに粉砕した。スルホポリエステルBは、47℃のTgと0.33dl/gのI.V.(フェノール60重量%及びテトラクロロエタン40重量%からなる溶媒100ml当たりポリマー0.50gを使用)を有していた。
【0084】
脱イオン水136gを500mlのビーカー中で80℃に加熱することによって、スルホポリエステルBポリマーグラニュールの分散液を製造した。次いで、ポリマーグラニュール64gを撹拌しながら加え、撹拌を30分間続けた。加熱時に蒸発した水の重量は、配合物の冷却につれて元に戻され、ほぼ透明なポリマー分散液が得られた。
【0085】
例4
スルホポリエステルCの製造
ジカルボン酸100モル%及びジオール100モル%に基づき、11モル%のジメチル−5−ソジオスルホイソフタレート及び89モル%のイソフタル酸並びに21.5モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び78.5モル%のジエチレングリコールを用いる以外は前記例2の方法に従って、スルホポリエステルCを製造した。得られたスルホポリエステルCは、35℃のTgと0.32dl/gのI.V.(フェノール60重量%及びテトラクロロエタン40重量%からなる溶媒100ml当たりポリマー0.50gを使用)を有していた。
【0086】
脱イオン水136gを500mlのビーカー中で80℃に加熱することによって、スルホポリエステルCポリマーグラニュールの分散液を製造した。次いで、ポリマーグラニュール64gを撹拌しながら加え、撹拌を30分間続けた。加熱時に蒸発した水の重量は、配合物の冷却につれて元に戻され、わずかに濁ったポリマー分散液が得られた。
【0087】
例5
スルホポリエステルDの製造
すりガラスヘッド、撹拌機軸、窒素注入口及びサイドアームを装着した1000mL丸底フラスコに、シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル184.0g(0.92モル)、ジメチル−5−ソジオスルホイソフタレート23.7g(0.08モル)、ジエチレングリコール95.4g(0.90モル)、1,4−シクロヘキサンジメタノール43.2g(0.30モル)、トリメチロールプロパン6.70g(0.05モル)及びチタンイソプロポキシドのn−ブタノール中1.46%(w/v)溶液1.17mLを装入した。フラスコを窒素でパージし、緩慢な窒素スイープ下で充分に撹拌しながらBelmont金属浴中に200℃で90分間、220℃で更に90分間浸漬した。温度を280℃に上昇させた後、0.5mmHg又はそれ以下の真空を10分間導入して、重縮合を実施した。次いで、真空を窒素雰囲気と置き換え、フラスコを金属から取り出した後に、ポリマーを冷ました。スルホポリエステルDは0.210dL/gのインヘレント粘度(ASTM D3835−79に従って測定)及び−4℃のガラス転移温度(DSCによって熱分析を用いて得た)を有していた。ポリマーは透明で、ほぼ無色であった。
【0088】
脱イオン水160gを500mLビーカー中で80℃に加熱することによって、スルホポリエステルDポリマーの水中分散液を製造した。次いで、ポリマー40gを撹拌しながら添加し、30分間撹拌を続けた。加熱時に蒸発した水の重量は、配合物の冷却につれて元に戻され、わずかに濁ったポリマー分散液が得られた。
【0089】
例6
本発明に従って、以下の成分:(a)例2からの分散液20.44g;(b)トリアセチン(Eastman Chemical Companyから入手可能)1.2g;(c)DG Petroleum Jelly(Dolgen Corp.,Inc.,100 Mission Ridge,Boodlettsville,TN 37072から入手可能)1.2g;及び(d)Clearate Lecithin乳化剤(W.A.Cleary Corp.,1049 Route 27,P.O.Box 10,Somerset,NJ 08875−0100から入手可能)0.47gを1オンスの広口ジャー中で合することによって、製剤を製造した。ボトルを80℃の水浴中に1時間入れた。ボトルを取り出し、Brinkman Vibratory Mill上で冷めるまで急速に振盪した。エマルジョンはクリーム状で、放置時に分離しなかった。
【0090】
この製剤は、分量を試験患者の手の甲にはけ塗りし且つ乾燥させると、5分未満でフィルムを形成した。このフィルムは触っても油っぽくなく、5分間の乾燥時間後には触っても粘着性でなかった。2時間後、フィルムを、水洗によって試験患者の手から取り除いた。フィルムが存在していた箇所の真下の皮膚は触ると滑らかな触感であった。
【0091】
この製剤を、剥離フィルム(Stil−Tech,222 Mound Avenue,Miamisburg,OH 45342から入手可能なPolyester Liner L−25X)上に、約2mil(0.002インチ)厚の湿潤フィルムを付着させる4mil(0.004インチ)ギャップフィルムアプリケーターを用いてドローダウンした。フィルムを周囲温度で一晩乾燥させた。乾燥フィルムは伸長前には0.66mil(0.00066インチ)の厚さを有していた。乾燥塗膜は、ASTM Method D882によって測定した場合に600%より大きい伸びを有していた。これは、フィルムの高い柔軟性を示している。
【0092】
例7
高剪断条件下で、水59.6重量%に分散させた例2からのポリマー28.1重量%、トリアセチン5.15重量%、ペトロラタム5.15重量%及びレシチン2重量%を合することによって、製剤を製造した。固体を全て添加した後、安定な分散液が生成されるまで高剪断混合を続けた。
【0093】
液体の乾燥時間を、試験患者の前腕掌側の4cm2の領域に液体製剤0.12gを延展することによって評価した。この製剤は、フィルムの厚さが約4.8mil(0.12ミリメーター)であっても、乾燥して不粘着性になるのに要する時間が9分であった。
【0094】
例8
ペトロラタム0.0036gの試験サンプルを、試験患者の前腕掌側の4cm2の領域に延展した。ペトロラタムは、1時間以内に乾燥もしないし、不粘着性にもならなかった。
【0095】
例9
本発明に従って、以下の成分:(a)例2からの分散液20.44g;(b)グリコール酸1.2g;(c)DG石油ゼリー1.2g;及び(d)Clearate Lecithin乳化剤0.47gを1オンスの広口ジャー中で合することによって、製剤を製造した。ボトルを80℃の水浴中に1時間入れた。ボトルを取り出し、Brinkman Vibratory Mill上で冷めるまで急速に振盪した。エマルジョンは粘稠で、放置時に分離しなかった。
【0096】
このエマルジョンは、手で皮膚に適用すると、5分未満でフィルムを形成した。このフィルムは触っても油っぽくなく、粘着性でなかった。2時間後、フィルムを、水洗によって手から取り除いた。フィルムの真下の皮膚は触ると滑らかな触感であった。
【0097】
例10
本発明に従って、以下の成分:(a)例2からの分散液17.79g;(b)NutriLayer(登録商標)植物脂質(phytolipid)(Eastman Chemical Companyから入手可能な米ぬか製品)1.04g;及び(c)ヤシ油脂肪酸(COFA)1.04gを1オンスの広口ジャー中で合することによって、製剤を製造した。ボトルを80℃の水浴中に4時間入れた。ボトルを取り出し、Brinkman Vibratory Mill上で冷めるまで急速に振盪した。エマルジョンは低粘度で(thin)、分離に対して安定であった。この第1混合物に以下:(d)グリセリン0.74g及び(e)グリコール酸0.37gを添加した。ボトルを80℃の水浴中に1時間入れた。ボトルを取り出し、Brinkman Vibratory Mill上で冷めるまで急速に振盪した。エマルジョンはクリーム状で、放置時に分離しなかった。
【0098】
この混合物は、小さいブラシで手に適用すると、3分未満で乾燥フィルムを形成した。フィルムは柔軟であり、触っても油っぽくなく、粘着性でなかった。2時間後、フィルムを、水洗によって手から取り除いた。フィルムの真下の皮膚は触ると滑らかな触感であった。
【0099】
例11(実施例)
本発明に従って、以下の成分:(a)例3からの分散液9.38g;(b)例4からの分散液9.38g;(c)トリアセチン0.75g;(d)乳化剤(Crodafos CES(Croda,Inc.))0.75g;(e)Thermolec 57レシチン(ADM Companyから入手可能)0.75g;(f)石油ゼリー(Unileverから入手可能なVaseline(登録商標))2.7g;及び(g)水6.3gを1オンスの広口ジャー中で合することによって、製剤を製造した。ボトルを85℃の水浴中に1時間入れた。ボトルを取り出し、Brinkman Vibratory Mill上で冷めるまで急速に振盪した。エマルジョンは粘稠で、分離に対して安定であった。
【0100】
例12及び13
例11で用いた方法に従って、表1に明記した材料の表1に示した量でのブレンドを、90℃に1時間加熱した後に例11と同様にして振盪することによって製造した。フィルムは、5milの湿潤ドローダウンを一晩、周囲温度硬化させることによって製造した。
【0101】
【表1】

【0102】
例14
本発明に従って、以下の成分:(a)例2の分散液47.7g;及び(b)クエン酸トリエチル2.61gを合することによって、紫外線吸収剤を含む、皮膚上にフィルムを生じる製剤を製造した。これらを一緒にブレンドして、ポリマー−可塑剤ブレンド50.3gを生成した。これに、(c)メトキシ桂皮酸エチルヘキシル(BASF,Incから入手可能なUninul(登録商標)MC−80)4.08gを添加した。更にブレンドし且つ1時間60℃に加熱後、ブレンドを冷ました。粘稠でわずかに不透明な分散液が生成された。
【0103】
分散液を、小さいブラシを用いて試験患者の前腕掌側に0.01g/cm2の割合で適用した。液体は急速に(5分未満で)フィルムに乾燥した。乾燥フィルムは皮膚上に3時間とどまり、これを次に取り除き、完全に集め、メトキシ桂皮酸エチルヘキシルについて液体クロマトグラフィーで分析した。フィルムは紫外線吸収化学物質のほとんど(2つの実験において69〜78%)を保持していた。
【0104】
逆に、活性なメトキシ桂皮酸エチルヘキシルを前記のほぼ2倍の用量で皮膚に適用すると、活性成分の全量が1時間以内に皮膚中に吸収された。これは、製剤を液体として適用したとしても、化学物質が乾燥フィルム中に含まれる場合には紫外線吸収物質ははるかに少量しか皮膚中に吸収されないことを示している。
【0105】
例15
例2に従って製造した分散液50gにサリチル酸1.0gを加えることによって、フィルム形成性製剤を製造した。この製剤を、成分を含むボトルをボトルローラー上で転がすことによってブレンドした。この製剤の粘度は、酸の添加前の元の分散液の粘度から著しく増加した。粘度の増加は、サリチル酸は、粒子中に吸収されていったのでポリマーを可塑化していってことを示している。3milギャップドローバーを用いたガラス上へのドローダウンによって、透明でむらのないフィルムが得られた。
【0106】
例16
例2に従って製造した分散液50gにジプロピレングリコールジベンゾエート(Velsicol Chemical Corporation,Rosemont,Illinois 60018−3713から入手可能なBenzoflex 9−88)1.0gを加えることによって、フィルム形成性製剤を製造した。この材料を、成分を含むボトルをボトルローラー上で転がすことによってブレンドした。この製剤の粘度は、Benzoflex 9−88の添加前の元の分散液の粘度から著しく増加した。ブレンドのサンプルを、3milギャップドローバーを用いてガラス表面にドローダウンした。透明な乾燥フィルムが得られたが、鋭い刃で掻き取ることによってガラスから取り除いた場合にはフィルムは依然として脆かった。これは、フィルムが脆かったので可塑剤のこの濃度は低すぎたことを示している。
【0107】
例2に従って製造した分散液50gにBenzoflex 9−88を8g添加した場合には、得られるフィルムは柔軟であったが、曇っていた。これは、ドローダウンにおいて相分離が明白であったので可塑剤のこの濃度は高すぎたことを示している。
【0108】
例17
例2の分散液を、3milギャップアプリケーターを用いてドローダウンした。得られた乾燥フィルムは約1.2mil(30μm)の厚さを有しており、透明であったが、鋭い刃でガラス基材から掻き取った場合に粉末になったので脆かった。この例は、Tgが53℃のフィルムには可塑剤を添加することが必要であることを示している。
【0109】
例18
(a)例2に従って製造した分散液335.24g;(b)トリアセチン20.74g;及び(c)Thermolec 57レシチン(ADM Companyから入手可能)10.56gを含む製剤を製造した。材料を、高剪断混合を用いて均質になるまで一緒にブレンドした。Ultra−Turrax分散装置による混合からのブレンドを55℃に加熱した。次いで、(d)ペトロラタム26.91g及び(e)EDTA二ナトリウム塩の2%溶液4.17gを加えた。ブレンドを撹拌せずに1.25時間90℃に加熱した。冷ましながら、ブレンドを再びUltra−Turraxによる高剪断混合に5〜10分間供した。次に、ブレンドを冷めるまで低剪断混合によって撹拌した。
【0110】
例19
a)例2のポリマーの32%水性分散液335.24g;b)トリアセチン20.74g;c)レシチン10.56g;d)ペトロラタム26.91g;及びe)EDTA・2Na・H2Oの2%水溶液4.17gをブレンドすることによって、製剤を製造した。固形分を全て添加後、安定な分散液が生成されるまで高剪断混合を続けた。このブレンド75.25gに、ACEMATT(登録商標)OK412沈降シリカ(Degussaから入手可能)4.01gを添加し、これを木製舌圧子を用いて手で撹拌した。粘稠なブレンドを手首又は指関節の皮膚に適用した場合、乾燥フィルムは視覚的に明らかでなかった。この系は皺を埋めて、皺の様相を少なくするように見えた。更に、皮膚上における乾燥フィルムの亀裂抵抗が、シリカを含まない同一フィルムに比較して改善されることが観察された。アルミニウムQ−パネル上の同一混合物の、3milギャップバーを用いたドローダウンは、60°の光沢測定値が10.2であり、これに対して対照フィルムの光沢測定値は62.6であった。これは、シリカの添加によって、フィルム光沢度の実質的な低下が起こっていることを示している。
【0111】
例20
例2に従って製造したポリマー分散液50gを、グリコール酸4g及びThermolec 57レシチン1gと合した。この分散液を、5milギャップアプリケーターを用いて平たいガラス基材上にドローダウンし、得られたフィルムを、室温で一晩乾燥させることによって評価した。フィルムは透明であったが曇った斑点を含んでおり、しかもなお極めて柔軟で丈夫であった。このフィルムを少なくとも100%の伸びまで伸長させることによって、伸びを評価した。
【0112】
例21〜23
以下の成分を別々の1オンス広口ジャーに入れた:
【0113】
【表2】

【0114】
各例を85℃の水浴中に1時間入れた。ボトルを取り出し、冷めるまでBrinkman Vibratory Mill上で急速に振盪した。これらの例を、5mlギャップアプリケーターを用いてガラス上にドローダウンした。得られた空気乾燥フィルムは非常に透明で且つ柔軟であり、伸び及び回復が良好であった。
【0115】
例24
以下の成分:(a)例3のスルホポリエステル分散液11.8g;(b)グリセリン0.38g;(c)グリコール酸0.19g;及び(d)NutriLayer Phytolipid(Eastman Chemical Company)2.0gを、1オンス広口ジャー中に入れた。ボトルを85℃の水浴中に1時間入れた。ボトルを取り出し、冷めるまでBrinkman Vibratory Mill上で急速に振盪した。このエマルジョンは粘稠でなく(thin)、分離に対して安定であった。
【0116】
混合物は、細かいブラシで手に適用すると、2分未満で乾燥フィルムを形成した。この乾燥フィルムは柔軟であり、油っぽくなく、手触りが粘着性でなかった。フィルムを水洗によって除去した。フィルムの下の皮膚は滑らかであった。このエマルジョンを5milギャップアプリケーターを用いてガラスに適用し且つ空気乾燥させることによって作った半透明のフィルムは強靱であり、伸び及び回復が良好であった。
【0117】
例25
以下の成分:(a)例2のスルホポリエステル分散液17.81g;(b)NutriLayer Phytolipid(Eastman Chemical Company)1.04g;(c)COFA 1.04g;(d)グリセリン0.74g;及び(e)グリコール酸0.37gを、1オンス広口ジャー中に入れた。ボトルを85℃の水浴中に1時間入れた。ボトルを取り出し、冷めるまでBrinkman Vibratory Mill上で急速に振盪した。このエマルジョンはクリーム状で、分離に対して安定であった。
【0118】
この混合物は、細かいブラシで手に適用すると、2分未満で乾燥フィルムを形成した。乾燥フィルムは柔軟であり、手触りが油っぽくなく、粘着性でなかった。乾燥フィルムを水洗によって除去した。フィルムの下の皮膚は滑らかであった。このエマルジョンを5milギャップアプリケーターを用いてガラスに適用し且つ空気乾燥させることによって作った半透明のフィルムは強靱であり、伸び及び回復が良好であった。
【0119】
例26
スルホポリエステルAの存在下で重合された、重量比2:1のスルホポリエステルA:(80/20)メタクリル酸メチル/メタクリル酸ブチルコポリマーであるポリエステル−アクリルハイブリッドを、以下を除いて、米国特許第4,946,932号の例1に記載したようにして製造した:米国特許第4,946,932号の例1のスルホポリエステルの代わりにスルホポリエステルAを用い;米国特許第4,946,932号の例1に記載したモノマー混合物の代わりに前記モノマー混合物を用い;且つスルホポリエステルAとアクリルモノマーの比を、スルホポリエステル対アクリルポリマーの質量比2:1が得られるような割合に製造した。
【0120】
以下の成分:(a)固形分40%のポリエステル−アクリルハイブリッド15.6g;(b)ペトロラタム1.56g;(c)Thermalec 57レシチン(Archer Daniels Midland Company)1.04g;及び(d)トリアセチン(Eastman Chemical Company)0.94gを、1オンス広口瓶に入れた。ボトルを85℃の水浴中に1時間入れた。ボトルを取り出し、冷めるまでBrinkman Vibratory Mill上で急速に振盪した。このエマルジョンは粘稠でなく(thin)、分離に対して安定であった。このエマルジョンを5milギャップアプリケーターを用いてガラスに適用し且つ空気乾燥させることによって作ったフィルムはワックス状で、脆かった。
【0121】
例27
AQ48ポリエステル(Eastman Chemical Co)0.6部及びモノマーミックス(Tg:−5℃)1部並びにペトロラタム20重量%を含む水分散性ハイブリッドミニエマルジョンを以下のようにして製造した:
水(535g)及びAQ48(230g)ポリエステルペレットを、凝縮器、窒素パージ及び水面下供給管を装着した2000mL樹脂反応器に加えた。窒素パージを開始し、内容物を80℃に加熱した。
【0122】
1.アクリル酸2−エチルヘキシル/メタクリル酸(重量比65/35)345.0g、
2.水300g、及び
3.Aerosol OT−NV(Cytec Industriesから入手可能)及び/又はHintenol BC1025(DKSから入手可能)(比1.1:0.4)を含む界面活性剤ブレンド15.5g
を含むモノマープレミックスを製造した。
【0123】
Petroleum Jellyとして購入したペトロラタム(69g)を、モノマープレミックスにゆっくりと加え、3時間撹拌して、乳状の外観の分散液を得た。この分散液を、IKA(Model SD−45)ローター/ステーター・ホモジナイザーを用いて、最大rpmで運転されるフローセルに通して分散液をポンプ輸送することによって剪断して、ミニエマルジョンを形成した。
【0124】
水90.0g、ペルオクソ二硫酸アンモニウム(過硫酸アンモニウム)1g及び炭酸アンモニウム1gを含む反応開始剤供給材料を製造した。
【0125】
ペルオクソ二硫酸アンモニウム(0.65g)を水12g中で混合し、反応混合物に装入した。1分後、ミニエマルジョンを180分間にわたって反応器に供給した。ミニエマルジョンの供給と同時に、開始剤供給材料も反応器に供給したが、この供給は195分にわたって行った。
【0126】
供給の終了後、反応器を80℃に60分保持し、次いで50℃に冷却した。水10g、イソアスコルビン酸1.0g、及び0.5%硫酸鉄七水和物1.2g、及び28重量%水酸化アンモニウム0.34gからなる還元剤溶液を反応器に加えた。
【0127】
次いで、水25.0g及び70重量%t−ブチルヒドロペルオキシド1.2gの溶液を48分かけて反応器に供給した。次に、反応生成物を室温に冷却した。得られたラテックスを100メッシュ・ワイヤースクリーンに通して濾過し、濾過性固形分(スクラップ)は、総バッチ重量に基づき、0.1重量%未満と測定された。完成ラテックスの平均粒径は262nmであった。液滴及びラテックスの粒径は、Microtrac UPA Particle Size Analyzerレーザー光散乱装置(後方散乱180°)を用いて測定した。粒径を測定するために、サンプルを約1:50v/vの比で水中で稀釈した。得られたミニエマルジョンラテックスをドローダウンしてガラス上にフィルムを形成し、次いで80℃で5分間加熱して水を蒸発させた。フィルムは、水を用いて少しこすることによってガラス表面から容易に除去できることがわかった。
【0128】
例28
この例は、皮膚への適用時にフィルムの亀裂を制限する二次的な有益添加剤を含む組成物を示す。
【0129】
水性相: 75℃に撹拌し且つ穏やかに撹拌しながら、ビーカーに以下の成分:1)固形分32%のEastman AQ55ポリエステル分散液71.4g;2)脱イオン水11.3g;3)グリセリン1.83g;4)ポリビニルピロリジノンポリマー(MW 90,000ダルトン)0.57g;4)EDTA二ナトリウム四水和物0.05%;及び5)燐酸セチルカリウム塩(DSMから入手可能なAmphisol K)0.76gを逐次添加した。
【0130】
有機相: この場合もやはり撹拌及び80〜90℃に加熱しながら、別のビーカー中に有機相成分:a)ペトロラタム5.00g;b)クエン酸トリエチル2.29g;c)セテアリルアルコール(Cognisから入手可能なLanette O)1.52g;及びd)グリセロールモノステアレート(Cognisから入手可能なCutina GMA V)1.00gを添加した。
【0131】
次いで、有機相を水性相中に撹拌しながら注いだ。次に、Silica MSS−500/3H4(Kobo Products,Inc.,Plainfield,NJ,USAから入手可能)4.00gを撹拌しながら添加した。次いで、全混合物を、ローター・ステーター・ミキサーを8000rpmで10分間用いて均質化させた。得られた乳化ブレンドを、冷めるまで低剪断速度撹拌で撹拌した。次に、保存剤、Phenonip(Clariant International,Ltd.から入手可能)0.48gをブレンド中に入れて撹拌した。このブレンドは、1ヶ月より長い間、分離に対して安定であることがわかった。
【0132】
液体を、男性のボランティアの左手の指関節に、4milの湿潤フィルム厚に近い厚さで適用した。乾燥時間は3分間であり、優れた柔軟性及び皮膚への適合性を有する乾燥フィルムをになった。繰り返し屈曲しても、亀裂もフレーキングも起こらなかった。このフィルムは皮膚上に顕著な光沢をほとんど有しておらず、1回の適用について2時間皮膚に留まり、次の適用時には一晩皮膚上に留まった。各フィルムを、温かい水道水を用いて軽くこすることによって皮膚から除去した。下にある皮膚は滑らかで、手触りが柔らかかった。
【0133】
例29
ジャーに、例2の分散液92.7g、クエン酸トリエチル4.46g及びEastman Chemical Company(Kingsport,Tennessee)から入手可能なNutrilayer(登録商標)植物脂質7.32gを加えた。ジャーの内容物を低剪断力で撹拌し、次いで80℃に2時間加熱し、次にUltraturrax高速分散装置を用いて8000rpmの高剪断で5分間の撹拌に供した。次いで、蓋を被せたジャーを、内容物が室温に達するまで、内容物を穏やかに混合するために転がした。この均質ブレンド10.5gにメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルUV吸収剤(BASF製のUvinul MC−80)を添加し、ブレンドを、均質になるまで撹拌した。このブレンドを前腕掌側の皮膚に適用すると、それはすぐ乾燥してフィルムになった。フィルムを適用した場合の皮膚の螢光の欠如からも明らかなように、フィルムは365nm及び254nmの両方のUV光を吸収した。
【0134】
本発明を詳細に説明したが、当業者には、本明細書中に開示及び説明した本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、本発明の種々の態様に変更を加えることが可能なことがわかるであろう。従って、本発明の範囲は示し且つ説明した具体的実施態様に限定するものではなく、むしろ本発明の範囲は添付した「特許請求の範囲」及びその相当物によって決定されるものである。更に、本明細書中で提示した全ての特許、特許出願、刊行物及び引用文献を、本発明の実施に関連する全ての開示について引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ポリエステル、アクリル樹脂、ハイブリッドコポリマー及びそれらの混合物からなる群から選ばれたスルホン化又は硫酸化ポリマー5〜40重量%;
b)活性成分又は活性剤0.001〜40重量%;
c)i)可塑剤25重量%以下;又は
ii)ヒューメクタント10重量%以下
の少なくとも一方;並びに
d)重量%の合計が100に等しくなる水の量
を含んでなる水性フィルム形成性組成物であって、前記フィルム形成性組成物が5〜5000cPsの粘度を有し且つ前記フィルムが15分未満の非粘着時間を有する水性組成物。
【請求項2】
5〜35重量%の前記ポリマーを含む請求項1に記載の水性組成物。
【請求項3】
10〜20重量%の前記ポリマーを含む請求項1に記載の水性組成物。
【請求項4】
0.1〜30重量%の活性成分又は活性剤を含む請求項1に記載の水性組成物。
【請求項5】
1〜15重量%の活性成分を含む請求項1に記載の水性組成物。
【請求項6】
15重量%以下の乳化剤を更に含む請求項1に記載の水性組成物。
【請求項7】
1.5〜7重量%の乳化剤を含む請求項6に記載の水性組成物。
【請求項8】
前記ポリマーが35℃未満のTgを有し且つ前記製剤が0.1〜20重量%の可塑剤を含む請求項1に記載の水性組成物。
【請求項9】
前記製剤が1〜15重量%の可塑剤を含む請求項8に記載の水性組成物。
【請求項10】
前記製剤が1〜10重量%の可塑剤を含む請求項8に記載の水性組成物。
【請求項11】
前記ポリマーがスルホポリエステルである請求項1に記載の水性組成物。
【請求項12】
前記フィルムが、10インチ/分の速度で引いた場合に、少なくとも50%の伸びを有する請求項1に記載の水性組成物。
【請求項13】
前記フィルムが、10インチ/分の速度で引いた場合に、200%より大きい伸びを有する請求項1に記載の水性組成物。
【請求項14】
ヒューメクタントの量が前記製剤の0.5〜10重量%である請求項1に記載の水性組成物。
【請求項15】
ヒューメクタントの量が前記製剤の1〜5重量%である請求項1に記載の水性組成物。
【請求項16】
前記活性成分が医薬活性剤である請求項1に記載の水性組成物。
【請求項17】
前記活性成分が局所皮膚剤である請求項1に記載の水性組成物。
【請求項18】
前記局所皮膚剤がアロエ、カメリア・シネンシス(緑茶)、カモミール、朝鮮人参、ブドウ、甘草、キュウリ、ヤグルマギク、オレンジピール、ドッグローズのローズヒップ、海藻、昆布及び藻類からのエキス、米ぬか油、植物ステロール、例えばデヒドロ−カンペステロール、デヒドロ−シトステロール、B−シトステロール、カンペステロール、δ−スチグマステロール、ブラシカステロール及びスチグマステロール、炭素数2〜30の酸の植物ステロールエステル、米ぬか植物脂質、ヤシ油、スクアレン、コエンザイムQ、エルカ酸アミド、炭酸ジカプリリル、大豆油若しくはマレイン酸化大豆油、オリーブ油、小麦胚芽油、カフェイン、カルニチン、蜜ろう、パラフィンワックス、カルナウバワックス、シアバター、ココバター、ヒマワリバター、マンゴーバター、コカウムバター、サルバター、オリーブバター、植物油バター、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸及びクエン酸、サリチル酸、ポリマーヒドロキシ酸、β−グルカン、コルチコステロイド類、尿素、パンテノール、アントシアニジン、フィチン酸、並びにアミノ酸、例えばグリシン、プロリン、リジン、ロイシン、アラニン、アルギニン及びセリン、アボカド油、ナッツ及びベリー油、例えばアーモンド油、クルミ油、鉱油、ペトロラタム、ジメチコン、ジメチコンコポリオール、天然ペプチド及び合成ペプチド、ユビキノン、ヒドロキシプロピルグアー、塩化トリモニウム、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ソルビトール、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ヘキシレングリコール、イソプレングリコール、キシリトール、フルクトース又はそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項17に記載の水性組成物。
【請求項19】
前記乳化剤がラウリル硫酸ナトリウム、アルコールエトキシレート硫酸塩、脂肪アルキルアルコール、ステロールエトキシレート、ステアリン酸及びその塩、脂肪酸のグリセリル、ジグリセリル、ポリグリセリルモノエステル、エステルエトキシレート、アルキルポリグリコシド及びサッカライド脂肪族アミド、エトキシレートホスフェート、脂肪アルコール燐酸エステル、ノニオン性アルコールエトキシレート又はそれらの混合物からなる群から得ばれる請求項6に記載の水性組成物。
【請求項20】
前記乳化剤がホスファチジルグリセロール、レシチン、ステアリン酸及びその塩、コレステロールエトキシレート、ステアリン酸グリセリル、ビタミンEエトキシレート、d−α−トコフェリルポリエチレングリコール−100スクシネート、燐酸ジセチル、燐酸セチル、セテス−10又はそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項19に記載の水性組成物。
【請求項21】
前記可塑剤が1,2−プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセリン、トリヒドロキシブタン、トリヒドロキシヘキサン、6個以下のヒドロキシル基を有するアルコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール、エトキシル化アルコール、プロポキシル化アルコール、エトキシル化及びプロポキシル化アルコール、ヒドロキノンビス(ヒドロキシエチルエーテル)、シクロヘキサノールヒドロキシエチルエーテル、ソルビトールトリヒドロキシエチルエーテル、カテコールビス(ヒドロキシエチルエーテル)又はそれらの混合物からなる群から選ばれ留請求項1に記載の水性組成物。
【請求項22】
更に、ポリビニルピロリジノン、シリコーン油、エステルエモリエント、化粧品として許容され得る炭化水素、脂肪酸、脂肪アルコール、増粘剤、保存剤、ビタミン類、皮膚美白剤、落屑剤、抗菌剤、着色剤、香料、不透明剤(乳白剤)、研磨剤又はスクラブ剤からなる群から選ばれた二次的な有益成分を10重量%未満含む請求項1に記載の水性組成物。
【請求項23】
前記ポリマーがハイブリッドコポリマーである請求項1に記載の水性組成物。
【請求項24】
前記ハイブリッドコポリマーがスルホン化又は硫酸化ポリエステル及び少なくとも1つのアクリルモノマー残基を含む成分を含む請求項23に記載の水性組成物。
【請求項25】
前記スルホン化又は硫酸化ポリエステルが前記ハイブリッドコポリマーの3〜95重量%を構成する請求項24に記載の水性組成物。
【請求項26】
前記スルホン化又は硫酸化ポリエステルが前記ハイブリッドコポリマーの5〜80重量%を構成する請求項24に記載の水性組成物。
【請求項27】
前記スルホン化又は硫酸化ポリエステルが前記ハイブリッドコポリマーの10〜60重量%を構成する請求項24に記載の水性組成物。
【請求項28】
請求項1に記載の組成物から形成される皮膚科学的に許容され得るフィルム。
【請求項29】
前記活性剤が、前記フィルムから逃散性であり、且つアロエ、カメリア・シネンシス(緑茶)、カモミール、朝鮮人参、ブドウ、甘草、キュウリ、ヤグルマギク、オレンジピール、ドッグローズのローズヒップ、海藻、昆布及び藻類からのエキス、米ぬか油、植物ステロール、例えばデヒドロ−カンペステロール、デヒドロ−シトステロール、B−シトステロール、カンペステロール、δ−スチグマステロール、ブラシカステロール及びスチグマステロール、炭素数2〜30の酸の植物ステロールエステル、米ぬか植物脂質、ヤシ油、スクアレン、コエンザイムQ、エルカ酸アミド、炭酸ジカプリリル、大豆油若しくはマレイン酸化大豆油、オリーブ油、小麦胚芽油、カフェイン、カルニチン、蜜ろう、パラフィンワックス、カルナウバワックス、シアバター、ココバター、ヒマワリバター、マンゴーバター、コカウムバター、サルバター、オリーブバター、植物油バター、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸及びクエン酸、サリチル酸、ポリマーヒドロキシ酸、β−グルカン、コルチコステロイド類、尿素、パンテノール、アントシアニジン、フィチン酸、並びにアミノ酸、例えばグリシン、プロリン、リジン、ロイシン、アラニン、アルギニン及びセリン、アボカド油、ナッツ及びベリー油、例えばアーモンド油、クルミ油、鉱油、ペトロラタム、ジメチコン、ジメチコンコポリオール、天然ペプチド及び合成ペプチド、ユビキノン、ヒドロキシプロピルグアー、塩化トリモニウム、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ソルビトール、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ヘキシレングリコール、イソプレングリコール、キシリトール、フルクトース又はそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項28に記載のフィルム。
【請求項30】
前記活性剤が逃散性であり且つ前記逃散性活性剤の1〜100%が前記フィルムから使用者の表皮に移行する請求項28に記載のフィルム。
【請求項31】
前記活性剤が逃散性であり且つ前記逃散性活性剤の10〜100%が前記フィルムから使用者の表皮に移行する請求項28に記載のフィルム。
【請求項32】
前記活性剤が逃散性であり且つ前記逃散性活性剤の80%超が前記フィルムから使用者の表皮に移行する請求項28に記載のフィルム。
【請求項33】
前記活性剤が前記フィルム中に実質的に閉じ込められ且つ桂皮酸オクチル、オキシベンゾン、サリチル酸2−エチルヘキシル、p−アミノ安息香酸、アントラニル酸メンチル、アヴォベンゾン、3−ベンジリデンボルナン−2−オン、5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシベンゼンスルホン酸、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、3,3’−(1,4−フェニレンジメチリデン)−ビス(7,7−ジメチル−2−オキソ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−メタンスルホン酸)ナトリウム塩又はそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項28に記載のフィルム。
【請求項34】
前記活性剤の25%未満が使用者の表皮に移される請求項33に記載のフィルム。
【請求項35】
前記活性剤の15%未満が使用者の表皮に移される請求項34に記載のフィルム。
【請求項36】
前記活性剤の5%未満が使用者の表皮に移される請求項34に記載のフィルム。
【請求項37】
前記ヒューメクタントの量が前記製剤の0.5〜10重量%である請求項28に記載のフィルム。
【請求項38】
1〜10重量%の乳化剤を更に含む請求項28に記載のフィルム。
【請求項39】
前記ポリマーが35℃より高いTgを有する場合に0.1〜20重量%の可塑剤を含む請求項28に記載のフィルム。
【請求項40】
請求項1に記載のフィルム形成性組成物を用意し、そして前記製剤を皮膚の所定の領域に適用することを含んでなる表皮への活性剤の送達方法。
【請求項41】
前記適用工程がはけ塗り、噴霧及び延展から選ばれる請求項40に記載の方法。

【公表番号】特表2009−536646(P2009−536646A)
【公表日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−509777(P2009−509777)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/011035
【国際公開番号】WO2007/133508
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】