説明

表示システム、及び、表示システムの制御方法

【課題】表示ユニットに劣化が生じ、表示している画像の見た目に違和感を生じた場合で
あっても、速やかに画像の見た目の違和感を緩和できる表示システムを提供する。
【解決手段】表示パネル27,37を有する複数の表示ユニット5を並べて構成される表
示装置10を備え、複数の表示ユニット5の各々に画像を表示する表示システム1におい
て、表示ユニット5毎の劣化状態を検出する劣化状態検出部と、各々の表示ユニット5が
表示する画像の傾向を、各々の表示ユニット5の配置場所毎に検出する画像傾向検出部と
を備え、劣化状態検出部によって検出された表示ユニット5毎の劣化状態と、画像傾向検
出部によって検出された配置場所毎の画像の傾向とに基づいて、各々の表示ユニット5に
適した配置場所を定める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の表示ユニットを接続して構成される表示システム、及び、表示システ
ムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の表示ユニットを並べて一つの大型の画面を構成する手法が知られている(
例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、複数の画像表示部を並べて配設することで
、大型の画面として機能するマルチディスプレイシステム装置を構成する場合に、各々の
画像表示部に対し、表示データをそれぞれ入力するものが開示されている。このように複
数の表示装置を並べて全体として一つの画面のようにし、この画面に画像を表示させるこ
とは、一般に、タイリング表示と呼ばれる。
【特許文献1】特開2001−275137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、タイリング表示によって画像の表示を行う装置では、複数の表示ユニットの
うち一部の表示ユニットに劣化が生じてしまうことがある。そして、一部の表示ユニット
に劣化が生じた場合、例えば輝度が他の表示ユニットと合わなくなり、表示している画像
の見た目に違和感を生じる、という問題があった。
そこで、本発明は、表示ユニットに劣化が生じ、表示している画像の見た目に違和感を
生じた場合であっても、速やかに画像の見た目の違和感を緩和できる表示システムを提供
することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明は、表示パネルを有する複数の表示ユニットを並べて
構成される表示装置を備え、前記複数の表示ユニットの各々に画像を表示する表示システ
ムにおいて、前記表示ユニット毎の劣化状態を検出する劣化状態検出部と、各々の前記表
示ユニットが表示する画像の傾向を、各々の前記表示ユニットの配置場所毎に検出する画
像傾向検出部とを備え、前記劣化状態検出部によって検出された前記表示ユニット毎の劣
化状態と、前記画像傾向検出部によって検出された前記配置場所毎の前記画像の傾向とに
基づいて、各々の前記表示ユニットに適した前記配置場所を定めること、を特徴とする。
この構成によれば、表示ユニット毎の劣化状態と、表示ユニットの配置場所毎の画像の
傾向とに基づいて、各々の表示ユニットに適した配置場所を定めることができる。ここで
、表示ユニットに適した配置場所とは、一つの表示ユニットがこの表示ユニットに適した
配置場所に配置されたときに、この表示ユニットの劣化状態とこの配置場所の画像の傾向
との関係により、この表示ユニットが最も違和感なく画像を表示することができるような
配置場所のことである。
このように、各々の表示ユニットに適した配置場所を定めることができるため、表示ユ
ニットの劣化に起因して、表示する画像に見た目の違和感が生じた場合であっても、この
表示ユニットを上記配置場所に配置することにより、速やかに違和感を緩和することがで
きる。
【0005】
また、上記構成において、前記劣化状態検出部は、前記表示ユニットの輝度に基づいて
前記表示ユニット毎に劣化状態を検出し、前記画像傾向検出部は、前記表示ユニットが表
示する画像の輝度に基づいて前記配置場所毎に前記画像の傾向を検出するようにしてもよ
い。
この構成によれば、表示ユニットの輝度に基づいて検出された劣化状態と、画像の輝度
に基づいて検出された画像の傾向とによって、表示ユニットに適した配置場所が定められ
る。このため、表示ユニットの輝度が他の表示ユニットと合わなくなることに起因して生
じる画像の見た目の違和感を緩和する配置場所を定めることができる。従って、表示ユニ
ットの輝度が他の表示ユニットと合わなくなることに起因して、表示する画像に見た目の
違和感が生じた場合であっても、表示ユニットを上記配置場所に配置することにより速や
かに違和感を緩和することができる。
【0006】
また、上記構成において、前記劣化状態検出部は、前記表示ユニットの特定の色に対す
る輝度に基づいて前記表示ユニット毎に劣化状態を検出し、前記画像傾向検出部は、前記
表示ユニットが表示する画像の特定の色に対する輝度に基づいて前記配置場所毎に前記画
像の傾向を検出するようにしてもよい。
この構成によれば、表示パネルの特定の色に対する輝度に基づいて検出された劣化状態
と、画像の特定の色に対する輝度に基づいて検出された画像の傾向とによって表示ユニッ
トに適した配置場所が定められる。このため、表示ユニットの特定の色に対する輝度が他
の表示ユニットと合わなくなることに起因して生じる画像の見た目の違和感を緩和する配
置場所を定めることができる。従って、表示ユニットの特定の色に対する輝度が他の表示
ユニットと合わなくなることに起因して、表示する画像に見た目の違和感が生じた場合で
あっても、表示ユニットを上記配置場所に配置することにより速やかに違和感を緩和する
ことができる。
【0007】
また、上記構成において、前記劣化状態検出部によって検出された前記劣化状態に基づ
いて、劣化を生じている劣化表示ユニットを検出する劣化検出部をさらに有し、前記劣化
状態検出部によって検出された前記劣化表示ユニットの前記劣化状態と、前記画像傾向検
出部によって検出された前記配置場所毎の前記画像の傾向とに基づいて、前記劣化表示ユ
ニットに適した配置場所を定めるようにしてもよい。
この構成によれば、劣化を生じている表示ユニットを検出できると共に、この表示ユニ
ットについて、この表示ユニットの劣化に起因して生じる画像の見た目の違和感を緩和す
る配置場所を定めることができる。このため、例えば、表示ユニットの劣化に起因して、
表示する画像に見た目の違和感が生じた場合であっても、その表示ユニットを上記配置場
所に配置することにより速やかに違和感を緩和することができる。
【0008】
また、上記構成において、前記画像傾向検出部によって検出された前記配置場所毎の前
記画像の傾向に基づいて、前記劣化表示ユニットに適する順に各々の配置場所を順位付け
するようにしてもよい。
この構成によれば、劣化が生じている画像ユニットに適した順に配置場所が順位付けら
れるため、この画像ユニットの最も適した配置場所を定めることができる。
【0009】
また、上記構成において、前記画像が動画像の場合、前記画像傾向検出部は、各々の前
記表示ユニットが表示する前記画像の動きの傾向を、各々の前記表示ユニットの配置場所
毎に検出し、前記劣化状態検出部によって検出された前記表示ユニット毎の劣化状態と、
前記画像傾向検出部によって検出された前記配置場所毎の前記画像の傾向及び前記画像の
動きの傾向とに基づいて、各々の前記表示ユニットに適した前記配置場所を定めるように
してもよい。
この構成によれば、画像の傾向だけでなく画像の動きの傾向に基づいて、各表示ユニッ
トに適した配置場所が定められることとなり、動画像を表示する表示ユニットに適した配
置場所を好適に定めることができる。
【0010】
また、上記構成において、前記表示ユニットに適した前記配置場所を表示する表示部を
さらに有するようにしてもよい。
この構成によれば、表示部を参照することにより作業者が各表示ユニットに適した配置
場所を容易かつ迅速に認識することができ、この認識に基づいて表示ユニットを適した配
置場所へ実際に配置することができる。
【0011】
また、上記課題を解決するため、本発明は、表示パネルを有する複数の表示ユニットを
並べて構成される表示装置を備えた表示システムの制御方法であって、前記表示ユニット
毎の劣化状態を検出すると共に、各々の前記表示ユニットが表示する画像の傾向を、各々
の前記表示ユニットの配置場所毎に検出し、検出された前記表示ユニット毎の劣化状態と
、検出された前記配置場所毎の前記画像の傾向とに基づいて、各々の前記表示ユニットに
適した前記配置場所を定めること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、表示ユニットに適した配置場所が定められる。このため、表示ユニッ
トに劣化が生じ、表示ユニットが表示する画像の見た目の違和感が生じている場合であっ
ても、この表示ユニットを、この表示ユニットに適した配置場所に配置することにより、
速やかに画像の見た目の違和感を緩和できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明を適用した実施形態に係る表示システム1の概略構成を示す図である。
表示システム1は、表示ユニットとしてのマスタパネルユニット2及びパネルユニット
3をつなげて構成され、一つの表示画面として機能する表示装置10と、通信線11を介
して表示装置10に接続されたホストコンピュータ4とを含んで構成される。
表示装置10は、少なくとも一つのマスタパネルユニット2と、1以上のパネルユニッ
ト3とを連結して構成され、本実施形態では、一つのマスタパネルユニット2と8つのパ
ネルユニット3とを縦3列×横3列に並べて連結し、矩形の表示装置10を構成する場合
を例に挙げる。
なお、以下の説明において、マスタパネルユニット2とパネルユニット3を特に区別し
ない場合は、表示ユニット5と表すものとする。
【0014】
図2は、マスタパネルユニット2及びパネルユニット3の構成を示す外観図であり、図
2(A)はマスタパネルユニット2の構成を示し、図2(B)はパネルユニット3の構成
を示し、図2(C)はマスタパネルユニット2とパネルユニット3との連結部分の構成を
示す。
図2(A)に示すように、マスタパネルユニット2は、矩形の表示パネル27を、この
表示パネル27とほぼ同サイズの矩形の筐体28に収めたものであり、マスタパネルユニ
ット2の表面は、ほぼ全体が表示パネル27で覆われる。また、パネルユニット3は、図
2(B)に示すように、矩形の表示パネル37を、表示パネル37とほぼ同サイズの矩形
の筐体38に収めたものであり、パネルユニット3の表面は、ほぼ全体が表示パネル37
で覆われる。筐体28と筐体38の外形形状及びサイズは揃えられているので、マスタパ
ネルユニット2とパネルユニット3とを縦横方向に並べて連結できる。
【0015】
また、図2(A)〜(B)に示すように、マスタパネルユニット2は、それぞれ上下左
右の各辺の方向を向けて配設された4つのインタフェース26を備えている。パネルユニ
ット3も同様に、それぞれ上下左右の各辺の方向を向けて配設された4つのインタフェー
ス35(接続部)を備えている。マスタパネルユニット2とパネルユニット3とが隣り合
う場合は、インタフェース26とインタフェース35とが接続され、パネルユニット3ど
うしが隣り合う場合はインタフェース35どうしが接続される。
インタフェース26及びインタフェース35の具体的な構成としては、例えば図2(C
)に拡大して示すように、凹部と凸部とが並ぶコネクタを備え、対向するコネクタを噛み
合わせることで後述するデータバス等が相互に接続される構成が挙げられる。図2(C)
の例ではインタフェース26、35が備えるコネクタは同一形状であり、その向きに対し
て右側に凹部、左側に凸部が位置するよう配設されているので、向かい合うコネクタどう
しの凹部と凸部とが常に対向する。図2(C)にはインタフェース26、35を接続する
例を示したが、インタフェース35どうしを接続する場合も全く同様である。
【0016】
表示パネル27、37は、静止画像、動画像を含む各種画像を表示するものであり、例
えば、有機EL(Electro Luminescence)パネルが挙げられる。有機ELパネルはバック
ライト等を必要としないため薄型化が可能であり、壁面に貼り付けるように設置する用途
には特に好適である。なお、表示ユニット5に、液晶表示パネル、プラズマディスプレイ
パネル、FED(Field Emission Display)パネル(SED:Surface-conduction Elect
ron-emitter Displayパネルを含む)、LED(発光ダイオード)ディスプレイ等の各種
のフラットパネルディスプレイや、電子ペーパー等を用いることも可能であり、CRT(
Cathode Ray Tube)を用いてもよい。
【0017】
また、マスタパネルユニット2は、図2(A)に示すように、四隅にそれぞれホスト接
続用インタフェース25を備えている。ホスト接続用インタフェース25は、図1に示す
ように通信線11を介してホストコンピュータ4に接続されるインタフェースである。マ
スタパネルユニット2は4個のホスト接続用インタフェース25を備えているが、いずれ
か一つのホスト接続用インタフェース25がホストコンピュータ4に接続されればよいの
で、表示装置10の設置状態に応じて最も通信線11を接続しやすいホスト接続用インタ
フェース25を選択できるようになっている。
通信線11は、例えばIEEE標準802.3、IEEE802.11等により規定される有線又は無線の
通信回線であり、この通信線11を用いて、ホストコンピュータ4とマスタパネルユニッ
ト2とは有線LAN(または無線LAN)を構成する。
【0018】
図3は、マスタパネルユニット2及びホストコンピュータ4の構成を示す機能ブロック
図である。また、図4はパネルユニット3の構成を示す図であり、図4(A)はパネルユ
ニット3の機能ブロック図、図4(B)はインタフェース35の構成図である。
図3に示すように、マスタパネルユニット2が備える4つのインタフェース26は、そ
れぞれ設置方向が指定され、上方向インタフェース26A、右方向インタフェース26B
、下方向インタフェース26C、及び左方向インタフェース26Dとなっている。マスタ
パネルユニット2は、上方向インタフェース26Aが上、右方向インタフェース26Bが
右、下方向インタフェース26Cが下、左方向インタフェース26Dが左になるよう設置
する必要があり、例えばマスタパネルユニット2の裏面には、施工業者等が設置方向を確
認できるように、設置方向を示す文字や記号が付されている。
また、図4に示すように、パネルユニット3が備える4つのインタフェース35は、パ
ネルユニット3の4辺に対応する方向を向いて配設され、それぞれ、A方向インタフェー
ス35A、B方向インタフェース35B、C方向インタフェース35C、及びD方向イン
タフェース35Dとなっている。これら4つのインタフェース35の設置時における方向
は任意である。つまり、A〜Dの方向が実際にどの方向を向くかは任意であり、例えば、
図4とは逆にA方向インタフェース35Aが下を向くようにパネルユニット3を設置して
もよい。
【0019】
マスタパネルユニット2は、表示パネル27における表示処理とともに表示装置10全
体の制御を行う制御部20を備えている。制御部20は、CPU21と、CPU21によ
り実行される各種制御プログラム及びこれら制御プログラムに係るデータを記憶したRO
M22と、CPU21により実行されるプログラム及び処理されるデータ等を一時的に格
納するRAM23と、CPU21の処理により生成されたデータ等を不揮発的に記憶する
不揮発性メモリ24とを備える。
制御部20は、上方向インタフェース26A、右方向インタフェース26B、下方向イ
ンタフェース26C及び左方向インタフェース26Dに個別に接続され、これら4つのイ
ンタフェース26を区別して、個々のインタフェース26に対して情報を入出力する。ま
た、制御部20には、マスタパネルユニット2の四隅に配設された4つのホスト接続用イ
ンタフェース25が接続されている。さらに、CPU21は4つのホスト接続用インタフ
ェース25に接続され、これらホスト接続用インタフェース25を介してホストコンピュ
ータ4との間で制御情報や画像データ等を送受信する。
不揮発性メモリ24には、マスタパネルユニット2に特有の識別情報としてのIDが記
憶されている。本実施形態では、一例として、マスタパネルユニット2に16進数のID
(=FF)が付与されており、CPU21は、インタフェース26に接続されたパネルユ
ニット3や、ホスト接続用インタフェース25に接続されたホストコンピュータ4に対し
、不揮発性メモリ24に記憶しているID(=FF)を出力する。
また、制御部20は、マスタパネルユニット2が消費する消費電流を検出して、検出し
た電流量をCPU21に出力する電流検出部60と、CPU21の制御に従って表示パネ
ル27に流れる電流を調整する電流調整回路65とを備えている。これら電流検出部60
及び電流調整回路65の詳細な構成については後述する。
【0020】
パネルユニット3は、図4(A)に示すように、表示パネル37における表示処理等を
行う制御部30を備えている。制御部30は、CPU31と、CPU31により実行され
る各種制御プログラム及びこれら制御プログラムに係るデータを記憶したROM32と、
CPU31により実行されるプログラム及び処理されるデータ等を一時的に格納するRA
M33と、CPU31の処理により生成されたデータ等を不揮発的に記憶する不揮発性メ
モリ34とを備える。
制御部30は、A方向インタフェース35A、B方向インタフェース35B、C方向イ
ンタフェース35C、及びD方向インタフェース35Dに個別に接続され、これら4つの
インタフェース35を区別して、個々のインタフェース35に対して信号の送受信等を行
える。
また、不揮発性メモリ34は、後述する処理において、パネルユニット3に対して付与
された固有の識別情報としてのIDを記憶する。一つの表示装置10を構成する各パネル
ユニット3には、それぞれ異なるIDが付与され、CPU31は、必要に応じて、インタ
フェース35に接続されたマスタパネルユニット2や他のパネルユニット3に、不揮発性
メモリ34に記憶しているIDを出力する。
さらに、制御部30は、パネルユニット3が消費する電流を検出して、検出した電流量
をCPU31に出力する電流検出部60と、CPU31の制御に従って表示パネル37に
流れる電流を調整する電流調整回路65とを備えている。これら電流検出部60及び電流
調整回路65の詳細な構成については後述する。
【0021】
図4(B)には、表示装置10における全てのインタフェース26、35に共通する構
成を示す。この図4(B)に示すように、インタフェース26、35は、2本の電源供給
ライン(Vcc)に加え、制御情報通信用バスと、表示ユニット5により表示するための
画像データを送信するための画像配信用バスを有する。制御情報通信用バスは、マスタパ
ネルユニット2とパネルユニット3との間、及び、パネルユニット3同士の間で、設定等
に関する制御情報を送受信するためのデータ線(data)、及び、同期用のクロック信
号線(CLK)により構成される。また、画像配信用バスは、表示ユニット5において表
示すべき画像の画像データを送受信するためのデータ線(D+、D−)、及び、同期用の
クロック信号線(CLK)により構成される。なお、インタフェース26、35の電源ラ
イン、データ線及びクロック信号線の間には適宜接地線(GND)が配置される。
制御部20は、各インタフェース26の制御情報通信用バスを介した制御情報の入出力
、及び、画像配信用バスを介した画像データの入出力を行う。同様に、制御部30は、各
インタフェース35の制御情報通信用バスを介した制御情報の入出力、及び、画像配信用
バスを介した画像データの入出力を行う。
【0022】
図5は、電流検出部60及び電流調整回路65の構成を示す図であり、図5(A)は電流
検出部60の構成を示し、図5(B)は電流調整回路65の構成を示す。
この電流検出部60及び電流調整回路65は、マスタパネルユニット2及びパネルユニ
ット3の両方に配設され、その構成及び機能は共通である。
図5(A)に示す電流検出部60は、入力される電流量を測定する電流測定回路61と
、電流測定回路61における測定値をデジタルデータとして出力するA/Dコンバータ6
3とを備えている。電流測定回路61は供給される電流量の総和を測定し、測定値をA/
Dコンバータ63へ出力する。ここで、電流測定回路61はアナログ電圧値として測定値
を出力するので、電流測定回路61の出力端とA/Dコンバータ63の入力端との間には
ダイオード62が介設されている。A/Dコンバータ63は、電流測定回路61が出力し
たアナログ電圧値としての測定値を量子化して、デジタルデータとして出力する。
制御部20に配設された電流検出部60では、電流測定回路61は、図4(B)に示す
ように4つのインタフェース26が各々備える2本の電源供給ライン(Vcc)からマス
タパネルユニット2に供給される電流量の総和を測定し、この測定値はA/Dコンバータ
63によりデジタルデータに変換されてCPU21に出力される。また、制御部30に配
設された電流検出部60では、電流測定回路61により、4つのインタフェース35が各
々備える2本の電源供給ライン(Vcc)からパネルユニット3へ供給される電流量の総
和が測定され、この測定値がA/Dコンバータ63によりデジタルデータに変換されてC
PU31に出力される。
【0023】
また、図5(B)に示す電流調整回路65には、表示パネル27が備える表示体27A
又は表示パネル37が備える表示体37Aへ供給される電流が、図中矢印のように入力さ
れる。電流調整回路65は、CPU21又はCPU31の制御により抵抗値が変化する可
変抵抗として機能し、表示体27A、37Aへ供給する電流を適宜制限する。この電流調
整回路65により、例えば、あるパネルユニット3において、表示パネル37の表示体3
7Aの消費電流を通常時よりも多くして、表示パネル37の輝度を高めることができる。
ここで、表示体27A、37Aとは、電流を消費して表示パネル27、37における表
示を実現する素子又は構成を指し、例えば、表示パネル27、37が有機ELパネルで構
成される場合は、有機材料で構成される個々の表示素子を指す。
【0024】
一方、図3に示すように、ホストコンピュータ4は、CPU41、CPU41により実
行される各種制御プログラム及びこれら制御プログラムに係るデータを記憶したROM4
2、CPU41により実行されるプログラム及び処理されるデータ等を一時的に格納する
RAM43、CPU41の処理により生成されたデータ等を記憶する記憶部44、ユーザ
やオペレータによる入力操作を受け付ける入力部45、入力部45により入力された内容
やCPU41による処理結果等を表示する表示部46、通信線11を介してマスタパネル
ユニット2との間で各種情報や制御情報等を送受信する通信インタフェース47、各種情
報を放音する放音部49を備え、これらの各部はバス48を介して相互に接続されている

【0025】
ホストコンピュータ4が備える記憶部44は、磁気的、光学的記録媒体、或いは半導体
記憶素子を用いて構成される記憶装置であり、初期設定プログラム44A、パネル配置情
報44B、画像データ分割処理プログラム44C、データ配信プログラム44D、及び、
画像データ記憶プログラム44Eを含む各種プログラムやデータを記憶する。
初期設定プログラム44Aは、マスタパネルユニット2及びパネルユニット3をつなげ
て表示装置10を新規に設置した場合や、表示装置10の構成を変更した場合等に、表示
装置10におけるマスタパネルユニット2及びパネルユニット3の配置状態を検出するた
めに実行されるプログラムである。
初期設定プログラム44AがCPU41により実行されると、ホストコンピュータ4と
マスタパネルユニット2及びパネルユニット3の機能により、表示装置10におけるパネ
ルユニット3の各々に固有のIDが付与されると共に、表示装置10の構成に応じて、各
表示ユニット5が配置されている配置場所B毎に固有の配置番号Dが付与される。そして
、パネルユニット3に付与されたID及びマスタパネルユニット2に付与されているID
と、配置番号Dとを対応付けた情報であるパネル配置情報44Bが生成される。
【0026】
図6は、パネル配置情報44Bの構成例を示す図である。ここで、配置場所Bとは、表
示装置10を形成するべく表示ユニット5が配置される場所のことであり、各配置場所B
に各表示ユニット5が配置されることにより、一つの表示装置10の構成が定まる。
図6に示すように、パネル配置情報44Bでは、表示装置10における各表示ユニット
5のIDと、各表示ユニット5が配置されている配置場所Bの配置番号Dとが対応付けら
れている。例えば図6では、正面左斜め下の配置場所Bに配置番号D=D01が付与され
、この配置場所BにID=06のパネルユニット3が配置されているため、ID=06と
配置番号D=D01とが関連付けられている。
ここで、表示システム1は、表示ユニット5の配置を変更することにより、表示装置1
0の構成を自由に変更することができるが、配置場所B毎に付与された配置番号Dについ
ては、表示装置10の構成が変更されない限り変更されない。すなわち、図6のように表
示ユニット5が縦3列×横3列に並べて配置される構成を有する表示装置10においては
、この構成が異なる構成(例えば、縦2列×横5列)に変更されない限り、表示ユニット
5の間で配置場所Bの交換があったり、ある表示ユニット5を90°回転させて設置した
り、また、表示ユニット5が新しい表示ユニット5と交換されたりした場合であっても、
配置場所B毎の配置番号Dは変更されない。
また、パネル配置情報44Bには、表示装置10の構成に、表示装置10の上下左右の
方向を対応づける情報も含まれている。このため、図6に例示するパネル配置情報44B
から、パネルユニット2が表示装置10の下端に配置され、マスタパネルユニット2の左
右にパネルユニット3が配置され、その上に2列のパネルユニット3が配置されて、全体
として縦3列×横3列に並ぶ9個のパネルユニットで表示装置10が構成されていること
が示される。
【0027】
また、画像データ分割処理プログラム44Cは、一つの画像を表示装置10の構成に合
わせて配置場所B毎に分割し、各配置場所Bに配置された表示ユニット5に表示すべき画
像データを生成するために実行されるプログラムである。
また、データ配信プログラム44Dは、画像データを、この画像データを表示すべき配
置場所Bに配置された表示ユニット5に送信し、また、制御情報等の各種情報を表示ユニ
ット5に個別に送信するために実行されるプログラムである。
また、画像データ記憶プログラム44Eは、画像データを、この画像データが送信され
た配置場所Bと関連付けた状態で一定量だけ画像データ情報44Fとして記憶部44に記
憶するために実行されるプログラムである。本実施形態では、この画像データ記憶プログ
ラム44Eが実行されることにより、直近30分の間に各表示ユニット5に送信された画
像データが配置場所B毎に付与された配置番号Dと対応付けられた状態で画像データ情報
44Fとして記憶部44に記憶される。
【0028】
図7は、表示装置10に画像を表示する処理を説明する図であり、図7(A)は表示装
置10に画像を表示した状態を示し、図7(B)は表示用の画像データの送信状態を模式
的に示す図である。
表示装置10において表示する画像の画像データは、ホストコンピュータ4が有するC
PU41の処理により、表示ユニット5毎に生成される。例えば図7(A)に示すように
、ホストコンピュータ4は、表示用の画像Pを、表示装置10を構成するパネルユニット
の数に合わせて、例えば9個の部分に分割し、分割した部分毎に表示用の画像データを生
成して送信する。これにより、分割された画像が各々のマスタパネルユニット2及びパネ
ルユニット3により表示され、表示装置10全体を使って一つの画像Pが表示される。各
画像データには、その画像データを表示するパネルユニットのIDが付加されている。
【0029】
ここで、マスタパネルユニット2及びパネルユニット3が実行する転送機能について説
明する。表示装置10において、ホストコンピュータ4はマスタパネルユニット2にのみ
接続されているので、マスタパネルユニット2から各パネルユニット3へ画像データを送
信したり、パネルユニット3からホストコンピュータ4へ制御情報を送信したりする場合
、制御情報や画像データ等を、マスタパネルユニット2やパネルユニット3によって中継
(転送)する必要がある。そこで、マスタパネルユニット2及びパネルユニット3は、制
御情報や画像データ等を転送する機能を備えている。
マスタパネルユニット2は、ホストコンピュータ4から通信線11を介して制御情報や
画像データ等を受信した場合、受信した制御情報や画像データ等に宛先として付加された
IDを参照する。そして、宛先のIDが自己のIDであれば、この制御情報や画像データ
をRAM23に一時的に格納し、CPU21によって処理を行い、例えば、受信した画像
データに基づく描画処理を実行して表示パネルに画像を表示する。
【0030】
一方、通信線11を介して受信した制御情報や画像データ等に宛先として付加されたI
Dが自己のIDでない場合、マスタパネルユニット2は、パネルユニット3が接続されて
いる全てのインタフェース26から、上記の制御情報や画像データ等を出力する。
なお、マスタパネルユニット2が、パネルユニット3に付与されているIDと、そのI
Dを有するパネルユニット3がどのインタフェース26の側に接続されているかを対応づ
ける情報を有しており、パネルユニット3に転送すべき制御情報や画像データ等を受信し
た場合に、その制御情報や画像データ等を、どのインタフェース26から出力すべきかを
特定できるようにしてもよい。
【0031】
パネルユニット3は、いずれかのインタフェース35から入力された制御情報や画像デ
ータ等を転送する機能を有する。パネルユニット3は、4つのインタフェース35のうち
、マスタパネルユニット2に直接又は他のパネルユニット3を介して接続されたインタフ
ェース35と、次のIDを有するパネルユニット3に接続されたインタフェース35とを
特定する情報を、不揮発性メモリ24に記憶している。
いずれかのインタフェース35から制御情報や画像データ等が入力された場合、パネル
ユニット3は、その宛先のIDを判別する。そして、このIDがマスタパネルユニット2
に特有のID(例えば、16進数のFF)であれば、入力された制御情報や画像データ等
を、マスタパネルユニット2に接続されたインタフェース35から出力する。
また、宛先のIDが自己以外のパネルユニット3のIDであった場合、パネルユニット
3は、入力された制御情報や画像データ等を、次のIDを有するパネルユニット3に接続
されたインタフェース35から出力する。入力された制御情報や画像データ等の宛先のI
Dが自己のIDと一致した場合、パネルユニット3は、入力された制御情報や画像データ
等をRAM33に格納して、CPU31によって処理する。
【0032】
このようにして、ホストコンピュータ4からパネルユニット3へ宛てて送信された制御
情報や画像データ等は、図7(B)に示すように、マスタパネルユニット2からパネルユ
ニット3へ転送され、IDの順に各々のパネルユニット3により転送され、宛先のパネル
ユニット3へ届く。また、パネルユニット3からホストコンピュータ4又はマスタパネル
ユニット2へ宛てて送信された制御情報等は、IDの順とは逆の順で各々のパネルユニッ
ト3により転送され、マスタパネルユニット2により受信される。
なお、例えば図7(B)のパネルユニット3(ID=05)は、次のIDを有するパネ
ルユニット3に接続されていない。このようなパネルユニット3は、初期設定動作時に転
送先がないことが設定され、自己のIDとは異なる宛先が付加された制御情報や画像デー
タは、転送せず全て破棄する。
【0033】
このように、表示装置10においては、マスタパネルユニット2及びパネルユニット3
の間で制御情報や画像データを転送することで、ホストコンピュータ4とマスタパネルユ
ニット2及びパネルユニット3が、個々に画像データや制御情報を送受信できる。この機
能を用い、表示システム1においては、表示時におけるマスタパネルユニット2及びパネ
ルユニット3の消費電流に基づいて、マスタパネルユニット2及びパネルユニット3の劣
化状態を検出し、検出した劣化状態に基づいて各表示ユニット5が配置される配置場所B
として適した配置場所Bを特定する機能を有している。
【0034】
図8は、配置場所特定処理を示すフローチャートである。配置場所特定処理とは、各表
示ユニット5に最も適した配置場所Bを特定する処理であり、本実施形態では、ホストコ
ンピュータ4がマスタパネルユニット2に対して指示を行うことで実行される。
なお、図8の配置場所特定処理において、表示ユニット5の劣化状態とは、表示ユニッ
ト5の輝度の劣化の度合いを示す値のことであり、詳細は後述するが本実施形態では表示
ユニット5毎に劣化レベルRLとして表される。また、画像の傾向とは、一つの配置場所
Bに配置された一つの表示ユニット5に表示される画像の輝度の傾向を、表示ユニット5
が配置されている配置場所B毎に示す値のことであり、詳細は後述するが本実施形態では
傾向レベルKLとして表される。
また、図8の配置場所特定処理においては、一例として、マスタパネルユニット2が劣
化状態検出部として各表示ユニット5の劣化状態を検出し、画像傾向検出部として配置場
所B毎の画像の傾向を検出し、さらに、劣化検出部として劣化が生じている表示ユニット
5を検出するが、これをホストコンピュータ4が行うようにしてもよい。
【0035】
配置場所特定処理では、まず、マスタパネルユニット2には、ホストコンピュータ4か
ら配置場所特定処理の開始が指示される(ステップS11)。この指示に従い、マスタパ
ネルユニット2は、マスタパネルユニット2及びパネルユニット3の劣化状態を検出する
処理である劣化状態検出処理を実行する(ステップS12)。ここで、劣化状態検出処理
について図9を用いて詳述する。
【0036】
図9は、ステップS12の劣化状態検出処理を詳細に示すフローチャートである。
劣化状態検出処理において、マスタパネルユニット2は、まず、表示ユニット5の表示
パネル27,37の全面に赤色、青色及び緑色のうちいずれかの色を表示する。ここでは
、説明の便宜のため、表示パネル27,37の全面に赤色を表示するものとする(ステッ
プS21)。次いで、マスタパネルユニット2は、各々のパネルユニット3に対して消費
電流の測定を指示するとともに、自己の制御部20が有する電流検出部60によって消費
電流を測定する(ステップS22)。
ここで、マスタパネルユニット2からの指示に従って、パネルユニット3は、制御部3
0が備える電流検出部60によって消費電流を測定し、その測定値をマスタパネルユニッ
ト2へ送信する。マスタパネルユニット2は、パネルユニット3から送信される測定値を
受信するとともに、全てのパネルユニット3から測定値を受信するまで待機する(ステッ
プS23)。
全てのパネルユニット3から測定値を受信した後、マスタパネルユニット2は、受信し
た測定値と自己の電流検出部60の測定値とを合わせて集計する(ステップS24)。
【0037】
続いて、マスタパネルユニット2は、集計した値に基づいて各表示ユニット5の消費電
流の平均値Hを求め、この平均値Hと、各表示ユニット5の消費電流値とを比較し、比較
結果に基づいて各表示ユニット5の赤色に対する輝度の劣化の度合いを検出する。そして
、この劣化の度合いに基づいて、マスタパネルユニット2は、全ての表示ユニット5に対
して、赤色に対する輝度の劣化の度合いを示す赤色劣化レベルRRLを設定する(ステッ
プS25)。
具体的には、一つの表示ユニット5の消費電流値が平均値Hに対し所定の値T1の範囲
内にある場合、マスタパネルユニット2は、この表示ユニット5に対し赤色劣化レベルR
RLとして「A」を設定する。一方、一つの表示ユニット5の消費電流値が平均値Hに対
し所定の値T1を越えて離れている場合、マスタパネルユニット2は、この表示ユニット
5に対し赤色劣化レベルRRLとして「B」を設定する。
ここで所定の値T1は、見た目に違和感を覚えるほどに表示ユニット5の赤色に対する
輝度が劣化しているか否かを判定するための閾値であり、パネルユニット3の消費電流値
が平均値Hに対しこの所定の値T1の範囲内にある場合は見た目に違和感を覚えるほどに
パネルユニット3の赤色に対する輝度が劣化した状態になく、逆に、所定の値T1の範囲
外にある場合見た目に違和感を覚えるほどにパネルユニット3の赤色に対する輝度が劣化
している状態にあるような値となっている。従って、あるパネルユニット3の赤色劣化レ
ベルRRLが「A」のときは、このパネルユニット3は、見た目に違和感を覚えるほど赤
色に対する輝度が劣化していない状態にあり、逆に、赤色劣化レベルRRLが「B」のと
きは、このパネルユニット3は、見た目に違和感を覚えるほどに赤色に対する輝度が劣化
している状態にある。
【0038】
以上、図9のフローチャートを用いて、全ての表示パネル27,37の全面に赤色を表
示した後、各表示ユニット5に赤色劣化レベルRRLを設定するまでの劣化状態検出処理
を説明したが、この劣化状態検出処理は、赤色のみならず、緑色、青色についても行われ
る。すなわち、マスタパネルユニット2は、表示ユニット5の全面に緑色、青色の各色を
それぞれ表示し、上述した手順と同様の手順によって、全ての表示ユニット5に対し緑色
劣化レベルGRL、青色劣化レベルBRLを設定する。
【0039】
図10は、赤色、緑色及び青色の各色について劣化状態検出処理を実行した後に、各表
示ユニット5に設定された各色の劣化レベルRLの状態の一例を示す図である。
図10に示すように、劣化状態検出処理実行後においては、表示ユニット5毎に各色の
劣化レベルRLが設定されることとなる。例えば、正面左上に配置されたパネルユニット
3(ID=08)には、赤色劣化レベルRRLとして値「B」が、緑色劣化レベルGRL
として値「A」が、そして、青色劣化レベルBRLとして値「A」が、それぞれ設定され
ている。
【0040】
以上説明したように、本実施形態では、赤色、緑色及び青色の各色について劣化状態検
出処理を実行し、それぞれの色について劣化レベルRLを設定しているが、これは以下の
理由による。
すなわち、有機ELパネル、液晶パネル、プラズマディスプレイパネル等の各種表示パ
ネルでは、フルカラー表示を行うため、赤色、青色及び緑色の3原色に対応する表示体を
制御して画像を表示する。そこで、表示パネル27,37の全面に赤色、青色又は緑色を
表示した状態で消費電流を測定すると、赤色の表示体だけ発色させた状態、青色の表示体
だけ発色させた状態、緑色の表示体だけ発色させた状態の各々の消費電流を測定すること
になる。このため、表示体の色毎の消費電流に基づいて、劣化レベルRLを確実に設定す
ることができる。
また、例えば有機ELパネルのように電流駆動型発光素子を表示体として用いる場合に
は、消費電流と画面の輝度との間に比例関係が存在する。例えば、赤の表示体(発光素子
)が見た目に違和感を覚える程に劣化している場合、全面に赤を表示した状態の消費電流
が通常より低くなる。このため、表示体の色毎の消費電流に基づいて、表示体の各色に対
する輝度の劣化の度合いを検出し、確実に劣化レベルRLを設定することができる。
【0041】
さて、前掲図8に戻り、ステップS12の劣化状態検出処理を実行後、マスタパネルユ
ニット2は、配置場所B毎に、各配置場所Bに配置された表示ユニット5が表示する画像
の輝度の傾向を検出する処理である画像傾向検出処理を実行する(ステップS13)。具
体的には、マスタパネルユニット2は、ホストコンピュータ4に対し、記憶部44に記憶
されている画像データ情報44Fをマスタパネルユニット2へ送信する旨の制御信号を送
信する。この制御信号を受信したホストコンピュータ4は、画像データ情報44Fをマス
タパネルユニット2に送信する。画像データ情報44Fを受信したマスタパネルユニット
2は、この画像データ情報44Fを解析し、配置場所B毎に上記画像の輝度の傾向を示す
値である傾向レベルKLを設定する。
傾向レベルKLについて詳述すると、本実施形態では、傾向レベルKLとして、赤色傾
向レベルRKL、緑色傾向レベルGKL及び青色傾向レベルBKLがある。赤色傾向レベ
ルRKLとは、一つの配置場所Bに配置された表示ユニット5が表示する画像の赤色の成
分の傾向を示す値であり、他の配置場所Bとの比較において、赤色の成分を多く含む画像
を表示する傾向にあったり、また、赤色の成分を含む画像を頻繁に表示する傾向にあった
りする場合は値「A」が設定され、そうでない場合は値「B」が設定される。同様に、緑
色傾向レベルGKLは、一つの配置場所Bに配置された表示ユニット5が表示する画像の
緑色の成分の傾向を示す値であり、青色傾向レベルBKLは、一つの配置場所Bに配置さ
れた表示ユニット5が表示する画像の青色の成分の傾向を示す値である。
【0042】
図11は、ステップS13の画像傾向検出処理を実行することにより、全ての配置場所
Bに対し、各色の傾向レベルKLが設定された状態の一例を示す図である。
図11に示すように、画像傾向検出処理実行後にあっては全ての配置場所Bに対し、各
色の傾向レベルKLが設定される。例えば、正面左下の配置場所B(配置番号D=D01
)においては、赤色傾向レベルRKLとして値「B」が、緑色傾向レベルGKLとして値
「A」が、青色傾向レベルBKLとして値「A」が設定されている。
【0043】
前掲図8に戻り、ステップS13の画像傾向検出処理を実行後、マスタパネルユニット
2は、表示ユニット5毎に設定された劣化レベルRLと、配置場所B毎に設定された傾向
レベルKLとに基づいて、表示ユニット5毎に、表示ユニット5を配置すべき配置場所B
として適した配置場所Bを特定する(ステップS14)。例えば、マスタパネルユニット
2は、各表示ユニット5に設定された赤色劣化レベルRRLを参照し、赤色に対する輝度
が見た目に違和感を覚える程に劣化している表示ユニット5を特定する(図10の例では
、ID=08のパネルユニット3)。さらに、マスタパネルユニット2は、各配置場所B
に設定された赤色傾向レベルRKLを参照し、赤色の成分を有する画像を表示しない傾向
にある配置場所Bを特定する(図11の例では、配置番号D=D01の配置場所B)。そ
して、上記特定した表示ユニット5に適した配置場所Bとして、上記特定した配置場所B
を定める。これは、上記特定した表示ユニット5を上記特定した配置場所Bに配置した場
合、この表示ユニット5は、赤色の成分を多く含む画像を表示することや、赤色の成分を
含む画像を表示する頻度が減少することになり、上記特定した表示ユニット5の赤色に対
する輝度の劣化が目立たなくなり、これにより、赤色に対する輝度の劣化に起因する見た
目の違和感が緩和されるからである。
同様にして、マスタパネルユニット2は、緑色劣化レベルGRLと緑色傾向レベルGK
Lとの比較結果、青色劣化レベルBRLと青色傾向レベルBKLとの比較結果、及び、赤
色劣化レベルRRL、緑色劣化レベルGRL及び青色劣化レベルBRLとの組み合わせと
、赤色傾向レベルRKL、緑色傾向レベルGKL及び青色傾向レベルBKLとの組み合わ
せとの比較結果に基づいて、各表示ユニット5の適した配置場所Bを特定する。
【0044】
なお、上述した画像傾向検出処理において、画像の輝度の傾向を検出しているが、各表
示ユニット5が表示する画像が動画像である場合には、マスタパネルユニット2は、画像
の輝度の傾向のみならず当該画像の動きの傾向を検出するようにしてもよい。そして、ス
テップS14において表示ユニット5に適した配置場所Bを特定する際、劣化レベルRL
及び傾向レベルKLだけでなく、この画像の動きの傾向を利用するようにしてもよい。こ
の構成によれば、適した配置場所Bを特定する際に画像の動きの傾向を利用することによ
り、動画像を表示する表示ユニット5に適した配置場所Bを好適に特定することができる

また、画像傾向検出処理において、マスタパネルユニット2は、配置場所B毎に傾向レ
ベルKLを設定しているが、例えば、画像データ情報44Fを解析することにより、表示
ユニット5が表示する画像の赤色、緑色及び青色の各色の成分の傾向の順に、配置場所B
を順位付けするようにしてもよい。これによれば、ステップS14において各表示ユニッ
ト5に適した配置場所Bを特定する際、マスタパネルユニット2は、上記順位を参照する
ことにより、輝度が劣化している表示ユニット5の配置場所Bとして適した配置場所Bを
容易に特定することができる。
また、全ての配置場所Bがほとんど同じような色成分を有する画像を表示しており、傾
向レベルKLを参照しても、上記特定した表示ユニット5に適した配置場所Bが特定でき
ない場合は、表示装置10の正面左下の位置する配置場所B(図6のパネル配置情報44
Bの例では、配置番号D=D01)に近い配置場所Bから優先的に適した配置場所Bとし
て特定する。これは、人間が表示装置10を正面から見た場合、左下に配置された表示ユ
ニット5に表示された画像に最も視線がいかないという傾向があるからである。
【0045】
ステップS14において各表示ユニット5毎に適した配置場所Bを特定した後、マスタ
パネルユニット2は、その旨の情報をホストコンピュータ4へ送信する(ステップS15
)。情報を受信したホストコンピュータ4は、この情報に基づいて、例えば以下の処理を
実行することができる。
例えば、ホストコンピュータ4は、表示ユニット5毎に適した配置場所Bを一覧表等に
よって表示部46に表示することができる。これによれば、作業者は、表示部46を参照
することにより、表示ユニット5毎の適した配置場所Bを迅速かつ容易に認識することが
できるようになる。そして、この認識に基づいて作業者が表示ユニット5を適した配置場
所Bに配置した場合、上述したように、表示ユニット5が見た目に違和感を覚える程度に
劣化している場合であっても、この見た目の違和感を緩和することができる。特に、表示
ユニット5が修理が必要な程度、又は、新しい表示ユニット5と交換が必要な程度に劣化
している場合、従来は、これら修理又は交換が行われるまでの間、見た目の違和感を生じ
た状態で画像が表示されていた。しかしながら、修理又は交換が必要な程度に表示ユニッ
ト5が劣化した場合であっても、この表示ユニット5を適した配置場所Bに配置すること
により、速やかに見た目の違和感が緩和されることになり、修理又は交換が行われるまで
の間も見た目の違和感が緩和された状態で画像の表示が行われることになる。
【0046】
また例えば、ホストコンピュータ4は、表示部46に、現在の表示ユニット5の配列で
一つの画像Pを表示装置10に表示した場合の画像Pの状態を擬似的に表示すると共に、
受信した情報に基づいて、表示ユニット5を適した配置場所Bに配置した場合において上
記一つの画像Pを表示装置10に表示した場合の画像Pの状態を擬似的に表示することが
できる。これによれば、作業者は、表示部46を参照することにより、表示ユニット5を
適した配置場所Bに配置した場合、表示装置10の表示状態がどのように変化するかを認
識することができ、実際に配置するか否かを好適に判断することができる。
また例えば、ホストコンピュータ4は、マスタパネルユニット2を制御し、各表示ユニ
ット5のうち、図8のステップS14の処理によって見た目に違和感を覚える程度に劣化
している表示ユニット5として特定されたものの表示パネル27,37にその旨を表示す
ると共に、この表示ユニット5に適した配置場所Bとして特定された配置場所Bに現在配
置されている表示ユニット5の表示パネル27,37にその旨を表示するようにしてもよ
い。これによれば、作業者は、劣化した表示ユニット5及びこの表示ユニット5に適した
配置場所Bを速やかに認識することができ、この表示ユニット5を適した配置場所Bに配
置する作業の迅速化、容易化を図ることができる。
【0047】
また例えば、ホストコンピュータ4は、受信した情報により見た目に違和感を覚える程
に輝度が劣化した表示ユニット5が存在することを取得した場合、表示部46にその旨の
警告を表示したり、放音部49によってその旨を示す音を放音したり、予め登録された作
業者のメールアドレスへメールしたりすることができる。これによれば、作業者は、迅速
に見た目に違和感を覚える程に輝度が劣化した表示ユニット5が存在することを認識する
ことができる。
【0048】
図8に示す配置場所特定処理は、ホストコンピュータ4からマスタパネルユニット2及
びパネルユニット3に制御情報を送信することによって開始されてもよいが、例えば、1
日に1回、予め設定された時刻にマスタパネルユニット2及びパネルユニット3が処理を
開始してもよいし、表示装置10の起動時に処理が開始されるものであってもよい。さら
に、例えば、作業者が表示装置10を見て、表示ユニット5の劣化に気づいたとき、又は
、表示装置10の表示の状態に何らかの違和感を覚えたときに、この作業者がホストコン
ピュータ4の入力部45を操作して開始するようにしてもよい。
【0049】
以上説明したように、本実施形態によれば、各表示ユニット5毎に設定された劣化レベ
ルRLと、各配置場所B毎に設定された傾向レベルKLとに基づいて、各表示ユニット5
に適した配置場所Bが特定される。ここで、上述したように、一つの表示ユニット5をこ
の表示ユニット5に適した配置場所Bとして特定された配置場所Bに配置した場合、この
表示ユニット5の輝度の劣化が目立たなくなる。このため、例えば、表示ユニット5が劣
化し、表示する画像に見た目の違和感が生じた場合であっても、その表示ユニット5を特
定された配置場所Bに配置することにより、速やかに違和感を緩和することができる。
また、本実施形態によれば、劣化レベルRLは、表示ユニット5の輝度に基づいて検出
され、傾向レベルKLは、配置場所B毎の画像の輝度に基づいて検出される。従って、こ
れら劣化レベルRL及び傾向レベルKLに基づいて特定された配置場所Bは、表示ユニッ
ト5の輝度及び配置場所B毎の画像の輝度が考慮されたうえで特定されることになる。こ
のため、表示ユニット5の輝度が他の表示ユニット5と合わなくなることに起因して、表
示する画像に見た目の違和感が生じた場合であっても、表示ユニット5を特定された配置
場所Bに配置することにより速やかに違和感を緩和することができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、劣化レベルRLは、表示ユニット5の赤色、緑色及び青色
に対する輝度に基づいて検出され、傾向レベルKLは、配置場所B毎の画像の赤色、緑色
及び青色に対する輝度に基づいて検出される。従って、これら劣化レベルRL及び傾向レ
ベルKLに基づいて特定された配置場所Bは、表示ユニット5の赤色、緑色及び青色に対
する輝度及び配置場所B毎の画像の赤色、緑色及び青色に対する輝度が考慮されたうえで
特定されることになる。このため、表示ユニット5の赤色、緑色又は青色に対する輝度が
他の表示ユニット5と合わなくなることに起因して、表示する画像に見た目の違和感が生
じた場合であっても、表示ユニット5を特定された配置場所Bに配置することにより速や
かに違和感を緩和することができる。
また、本実施形態によれば、マスタパネルユニット2は、各色の劣化レベルRLを参照
することにより、表示する画像の見た目に違和感を生じるほど劣化している表示ユニット
5を検出し、この表示ユニット5に適した配置場所Bを特定する。このため、表示する画
像の見た目に違和感を生じるほど劣化している表示ユニット5の劣化に起因して、表示す
る画像に見た目の違和感が生じた場合であっても、その表示ユニット5を特定した配置場
所Bに配置することにより速やかに違和感を緩和することができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、図8のステップS13の画像傾向検出処理においては、画
像データ情報44Fを解析することにより、表示ユニット5が表示する画像の赤色、緑色
及び青色の各色の成分の傾向の順に、配置場所Bを順位付けすることもできる。これによ
れば、ステップS14において各表示ユニット5に適した配置場所Bを特定する際、マス
タパネルユニット2は、上記順位を参照することにより、輝度が劣化している表示ユニッ
ト5の配置場所Bとして適した配置場所Bを容易に特定することができる。
また、本実施形態では、上述したように、図8のステップS13の画像傾向検出処理に
おいて、画像の輝度の傾向を検出しているが、各表示ユニット5が表示する画像が動画像
である場合には、マスタパネルユニット2は、画像の輝度の傾向のみならず当該画像の動
きの傾向を検出するようにしてもよい。そして、図8のステップS14において表示ユニ
ット5に適した配置場所Bを特定する際、劣化レベルRL及び傾向レベルKLだけでなく
、この画像の動きの傾向を利用するようにしてもよい。この構成によれば、配置場所Bを
特定する際に画像の動きの傾向を利用することにより、マスタパネルユニット2は、動画
像を表示する表示ユニット5に適した配置場所Bを好適に特定することができる。
【0052】
また、本実施形態では、各表示ユニット5に適した配置場所Bに関する情報を受信した
ホストコンピュータ4は、表示ユニット5毎に適した配置場所Bを一覧表等によって表示
部46に表示することができる。これによれば、作業者は、表示部46を参照することに
より、表示ユニット5毎に適した配置場所Bを迅速かつ容易に認識することができ、この
認識に基づき実際に表示ユニット5を適した配置場所Bに配置できるようになる。そして
、この認識に基づいて作業者が表示ユニット5を適した配置場所Bに配置した場合、上述
したように、表示ユニット5が見た目に違和感を覚える程度に劣化している場合であって
も、この見た目の違和感を緩和することができる。特に、表示ユニット5が修理が必要な
程度、又は、新しい表示ユニット5と交換が必要な程度に劣化している場合、従来は、こ
れら修理又は交換が行われるまでの間、見た目の違和感を生じた状態で画像が表示されて
いた。しかしながら、修理又は交換が必要な程度に表示ユニット5が劣化した場合であっ
ても、この表示ユニット5を適した配置場所Bに配置することにより、速やかに見た目の
違和感が緩和されることになり、修理又は交換が行われるまでの間も見た目の違和感が緩
和された状態で画像の表示が行われることになる。
【0053】
なお、上記施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で
任意に変形及び応用が可能である。
例えば、上記実施形態では、画像データ情報44Fは、配置場所B毎に直近30分の間
に各表示ユニット5に送信された画像データを配置場所B毎に配置番号Dと対応付けした
ものとしたが、画像データ情報44Fとして記憶する時間は記憶部44の記憶容量に応じ
て任意に設計すればよい。また、画像データ情報44Fは、画像データそのものでなく、
画像データの輝度に係るデータや、画像データの色深度に係るデータ等であってもよい。
これによれば、図8のステップS13において配置場所B毎の表示傾向を検出する際、画
像データそのものを分析する必要がなくなり、処理時間の短縮を図ることができる。
【0054】
また、上記実施形態では、表示ユニット5毎に赤色、緑色及び青色の各色に対する輝度
の劣化に基づいて劣化レベルRLを求めていたが、さらに白色に対する輝度の劣化に基づ
いて劣化レベルRLを求めるようにしてもよい。この場合において、図8のステップS1
3の画像傾向検出処理において、赤色、緑色及び青色の各色に対する傾向レベルKLだけ
でなく、各配置場所Bに配置された表示ユニット5が表示する画像の色全体に対する輝度
の傾向を配置場所B毎に検出し、色全体に対する傾向レベルKLを求めるようにしてもよ
い。ここで、白色の劣化レベルRLを求める場合、劣化状態検出処理において表示パネル
27,37の全面に白色を表示するが、これは全ての表示体を発色させた状態である。従
って、この状態で消費電流を測定し、この消費電流に基づいて劣化状態を検出すれば、各
表示ユニット5の色全体に対する劣化を検出することができる。そして、白色の劣化レベ
ルRLと色全体に対する傾向レベルKLとの比較結果に基づいて表示ユニット5に適した
配置場所Bを特定することにより、見た目に違和感を覚える程度に色全体に対する輝度が
劣化している表示ユニット5が存在する場合であっても、この表示ユニット5に適した配
置場所Bに配置することにより、速やかに見た目の違和感を緩和することができる。
【0055】
さらに、図8のステップS12の劣化状態検出処理において、白色に対する劣化レベル
RLのみを求めると共に、ステップS13の画像傾向検出処理において、色全体に対する
傾向レベルKLのみを求めるようにし、これら白色に対する劣化レベルRLと色全体に対
する傾向レベルKLとによって各表示ユニット5に適した配置場所Bを特定するようにし
てもよい。これによれば、配置場所Bを特定する際、赤色、緑色及び青色の各色の劣化レ
ベルRL及び傾向レベルKLを利用しない分、処理時間の短縮を図ることができる。
また、上記実施形態では、劣化レベルRLとして「A」「B」の2つの値を設定するこ
とができる構成となっていたが、劣化レベルRLはより細かい値を設定するようにしても
よい。例えば、表示ユニット5が多少劣化しているものの見た目に違和感を覚えるほどに
は劣化が進んでないことを示す値「C」や、すぐに新しい表示ユニット5と交換し、また
、修理をする必要があることを示す値「D」等を設定することができるようにしてもよい
。同様のことは、傾向レベルKLについても言うことができる。
これによれば、作業者が取得できる情報が多くなり、作業者の取りえる行動の選択肢を
増やすことができる。例えば、作業者は、交換や修理を必要な表示ユニット5が存在する
場合にのみ、その表示ユニット5を適した配置場所Bに配置し、交換や修理が行われるま
での間見た目の違和感を緩和する、といった行動を取ることができる。
【0056】
また、上記実施形態では、マスタパネルユニット2は、図8のステップS12の劣化状
態検出処理S12において、各表示ユニット5の色に対する輝度の劣化を検出しているが
、その際、表示体のHLS色空間によって輝度の劣化を検出するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、4個のインタフェース26を有するマスタパネルユニット2
、及び、4個のインタフェース35を有するパネルユニット3を例に挙げて説明したが、
本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、マスタパネルユニット2を表示装置1
0の隅に配置することにすれば、マスタパネルユニット2は少なくとも2個のインタフェ
ース26を有するものであればよい。また、マスタパネルユニット2を表示装置10の上
下左右の縁(端)に配置する場合は、マスタパネルユニット2は3個のインタフェース2
6を有するものであればよい。パネルユニット3についても同様に、隅部に配置される場
合は2個のインタフェース35を備えていればよく、上下左右の縁に配置される場合は3
個のインタフェース35を備えていればよい。
また、表示装置10を構成するマスタパネルユニット2及びパネルユニット3の数は任
意であり、複数のマスタパネルユニット2が一つの表示装置10を構成する場合には、い
ずれかのマスタパネルユニット2がパネルユニット3と同様に動作するようにしてもよい
し、他のパネルユニット3をマスタパネルユニット2と同数のグループに分割して、グル
ープ毎に上述した処理を実行してもよい。その他、上記実施形態で説明した表示システム
1の細部構成についても、任意に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態に係る表示システムの構成を示す図である。
【図2】マスタパネルユニット及びパネルユニットの構成を示す外観図である。
【図3】マスタパネルユニット及びホストコンピュータの機能ブロック図である。
【図4】パネルユニットの機能ブロック図及びインタフェースの構成図である。
【図5】消費電流検出部及び電流調整回路の構成図である。
【図6】ホストコンピュータが有するパネル配置情報の構成例を示す図である。
【図7】表示パネルに画像を表示する処理を説明する図である。
【図8】配置場所特定処理を示すフローチャートである。
【図9】劣化状態検出処理を示すフローチャートである。
【図10】劣化状態検出処理実行後の表示装置の状態の一例を示す図である。
【図11】画像傾向検出処理実行後の表示装置の状態の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1…表示システム、2…マスタパネルユニット(表示ユニット、劣化状態検出部、画像
傾向検出部、劣化検出部)、3…パネルユニット(表示ユニット)、4…ホストコンピュ
ータ(劣化状態検出部、画像傾向検出部、劣化検出部)、5…表示ユニット、10…表示
装置、27,37…表示パネル、46…表示部、B…配置場所。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルを有する複数の表示ユニットを並べて構成される表示装置を備え、前記複数
の表示ユニットの各々に画像を表示する表示システムにおいて、
前記表示ユニット毎の劣化状態を検出する劣化状態検出部と、
各々の前記表示ユニットが表示する画像の傾向を、各々の前記表示ユニットの配置場所
毎に検出する画像傾向検出部とを備え、
前記劣化状態検出部によって検出された前記表示ユニット毎の劣化状態と、前記画像傾
向検出部によって検出された前記配置場所毎の前記画像の傾向とに基づいて、各々の前記
表示ユニットに適した前記配置場所を定めること、
を特徴とする表示システム。
【請求項2】
前記劣化状態検出部は、前記表示ユニットの輝度に基づいて前記表示ユニット毎に劣化
状態を検出し、
前記画像傾向検出部は、前記表示ユニットが表示する画像の輝度に基づいて前記配置場
所毎に前記画像の傾向を検出すること、
を特徴とする請求項1記載の表示システム。
【請求項3】
前記劣化状態検出部は、前記表示ユニットの特定の色に対する輝度に基づいて前記表示
ユニット毎に劣化状態を検出し、
前記画像傾向検出部は、前記表示ユニットが表示する画像の特定の色に対する輝度に基
づいて前記配置場所毎に前記画像の傾向を検出すること、
を特徴とする請求項1又は2記載の表示システム。
【請求項4】
前記劣化状態検出部によって検出された前記劣化状態に基づいて、劣化を生じている劣
化表示ユニットを検出する劣化検出部をさらに有し、
前記劣化状態検出部によって検出された前記劣化表示ユニットの前記劣化状態と、前記
画像傾向検出部によって検出された前記配置場所毎の前記画像の傾向とに基づいて、前記
劣化表示ユニットに適した配置場所を定めること、
を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の表示システム。
【請求項5】
前記画像傾向検出部によって検出された前記配置場所毎の前記画像の傾向に基づいて、
前記劣化表示ユニットに適する順に各々の配置場所を順位付けすること、
を特徴とする請求項4記載の表示システム。
【請求項6】
前記画像が動画像の場合、前記画像傾向検出部は、各々の前記表示ユニットが表示する
前記画像の動きの傾向を、各々の前記表示ユニットの配置場所毎に検出し、
前記劣化状態検出部によって検出された前記表示ユニット毎の劣化状態と、前記画像傾
向検出部によって検出された前記配置場所毎の前記画像の傾向及び前記画像の動きの傾向
とに基づいて、各々の前記表示ユニットに適した前記配置場所を定めること、
を特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の表示システム。
【請求項7】
前記表示ユニットに適した前記配置場所を表示する表示部をさらに有すること、
を特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の表示システム。
【請求項8】
表示パネルを有する複数の表示ユニットを並べて構成される表示装置を備えた表示シス
テムの制御方法であって、
前記表示ユニット毎の劣化状態を検出すると共に、各々の前記表示ユニットが表示する
画像の傾向を、各々の前記表示ユニットの配置場所毎に検出し、
検出された前記表示ユニット毎の劣化状態と、検出された前記配置場所毎の前記画像の
傾向とに基づいて、各々の前記表示ユニットに適した前記配置場所を定めること、
を特徴とする表示システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−186539(P2009−186539A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−23569(P2008−23569)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】