説明

表示システム、投影装置及び撮像装置

【課題】投影装置の歪み補正による画質劣化を軽減する。
【解決手段】プロジェクタ100は、投影光軸が投影面に直交しないことによる歪みに関する歪み情報を撮像装置200に送信する。撮像装置200は、歪み情報から、投影装置において歪み補正をしたと仮定した後の有効画像領域を示す枠線を、撮像部の出力画像に重畳表示する。ユーザは、枠線内に被写体が入るように撮像装置200を傾けて撮影する。プロジェクタ100は、撮像装置200からの撮影画像を、歪み補正無しで投影表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示システム、投影装置及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−128112号公報
【特許文献2】特開2010−16552号公報
【0004】
従来、撮像した画像を出力機器に転送して印刷/表示する撮像装置が知られており、また、出力機器の情報に基づいて撮像装置の動作を変更する技術が知られている。
【0005】
特許文献1には、印刷装置付き撮像装置において、撮影画角と印刷画角の画角差により印刷画像が切れてしまうことを防止すべく、LCDに表示された撮影画像に印刷範囲を示す枠を重ねて表示する技術が記載されている。
【0006】
特許文献2には、外部接続される表示機器の解像度に応じて、撮影する画像の解像度を変化させる撮像装置が記載されている。
【0007】
また、書画カメラに代表される撮像装置の撮影画像を投影装置に転送して投影表示する表示システムも、会議用途などで一般的に広く普及している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
投影装置は、設置場所が限られる場合や、観測者の視界を妨げないように設置する場合等、スクリーン等の投影面に対して正対しない位置から上向きや下向き等の方法で投影しなければならないことがある。このような状況で、光軸と投影面のなす角度が予め設定された適切に投影可能な角度と異なる場合、投影面に表示される画像には歪みが生じる。
【0009】
このような投影画像の歪みは、被投影画像に予め歪み補正(台形補正、キーストーン補正)を行うことによって補正できる。ただし、この歪み補正処理は、一般に画素の補間を含む再配置を行うデジタル信号処理であり、投影画像の画質を劣化させる。
【0010】
撮影画像を投影装置で投影する場合、従来技術では、撮像装置が投影装置の解像度に合わせて画像を投影装置に転送するが、投影装置内での歪み補正処理による画質劣化を避けえない。
【0011】
本発明は、撮影画像を投影装置で投影する場合のこのような問題点を解決する表示システム、投影装置及び撮像装置を提示すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る表示システムは、撮像装置と、前記撮像装置により撮影された画像を投影表示する投影装置とからなる表示システムであって、前記投影装置は、前記撮像装置からの画像を歪み補正する画像処理手段と、前記画像処理手段からの画像を表示する表示パネルと、前記表示パネルに表示される画像を投影面に投影表示する投影光学系と、前記画像処理手段の歪み補正を制御する制御手段であって、前記投影光学系により前記投影面に投影表示される画像の歪みを示す歪み情報を前記撮像装置に送信する投影装置制御手段とを具備し、前記撮像装置は、撮影レンズによる被写体光学像を光電変換して画像信号を生成する撮像手段と、前記画像信号に基づく画像を表示する表示手段と、前記投影装置から、前記投影装置の投影光学系により投影面に投影表示される画像の歪みを示す歪み情報を受信し、前記撮像手段により撮影された画像信号を前記投影装置に送信する通信手段と、前記歪み情報に従い、前記表示手段に、前記投影装置における前記歪みの下での有効画像領域を示す画像を重畳表示させる撮像装置制御手段とを具備することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る投影装置は、入力画像を歪み補正する画像処理手段と、前記画像処理手段からの画像を表示する表示パネルと、前記表示パネルに表示される画像を投影面に投影表示する投影光学系と、外部の撮像装置と通信する通信手段と、前記画像処理手段の歪み補正を制御する制御手段とを有し、前記制御手段は、前記投影光学系により前記投影面に投影表示される画像の歪みを示す歪み情報を、前記通信手段を介して前記撮像装置に送信することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る撮像装置は、撮影レンズによる被写体光学像を光電変換して画像信号を生成する撮像手段と、前記画像信号に基づく画像を表示する表示手段と、投影装置と通信する通信手段であって、前記投影装置から、前記投影装置の投影光学系により投影面に投影表示される画像の歪みを示す歪み情報を受信し、前記撮像手段により撮影された画像信号を前記投影装置に送信する通信手段と、前記歪み情報に従い、前記表示手段に、前記投影装置における前記歪みの下での有効画像領域を示す画像を重畳表示させる制御手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、投影装置の被投影画像の歪み補正を行う際の画質劣化を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例の概略構成ブロック図である。
【図2】本実施例の撮影対象と投影画像との関係を示す模式図である。
【図3】本実施例のシーケンスを示す図である。
【図4】本実施例の撮像装置における画像例である。
【図5】撮像装置の構図判断以降の別の動作シーケンスを示す図である。
【図6】図5に示すシーケンスにおける撮像装置の画像例である。
【図7】本実施例の撮像装置の別の構成を示す概略構成ブロック図である。
【図8】図7に示す構成の、構図判断以降の別の動作シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明に係る表示システムの一実施例の概略構成ブロック図を示す。本実施例の表示システムは、互いに通信可能なプロジェクタ(投影装置)100と撮像装置200からなる。
【0019】
プロジェクタ100の構成を説明する。制御部101は、プロジェクタ100の各ブロックを制御する。操作部102は、ユーザからの操作を受け付ける。液晶ユニット103は、1枚又は3枚の液晶表示パネル、及び液晶パネルを駆動して画像を表示させる液晶ドライバからなる。光源104は、液晶ユニット103を照明する。光源制御部105は、光源104の点灯/非点灯の切り替え、及び光量を調整する。投影光学系106は、ズームレンズ、シフトレンズ及びフォーカスレンズ等からなり、液晶パネル03上に形成された画像を不図示の投影面上に投影する。
【0020】
表示部107は、プロジェクタ100本体に配置され、プロジェクタの状態や警告等を表示する。表示制御部108は、表示部107を制御する。
【0021】
画像入力部109には、外部からの画像データが入力する。画像入力部109に入力された画像データは、画像処理部110により処理され、液晶ユニット103の液晶パネル上に画像を形成する。画像処理部110における画像処理は、画像の解像度変換、回転、ガンマ補正及び歪み補正等である。
【0022】
撮像部111は、投影光学系106による投影面を含む不図示のスクリーン方向を撮影する。
【0023】
通信部112は、外部機器と通信する手段である。プロジェクタ100は、通信部112を通じて撮像装置200と通信する。例えば、プロジェクタ100の制御部101は、通信部112を介して、撮影構図を判断するための情報(撮影構図判断情報)を撮像装置200に送信する。
【0024】
撮像装置200の構成を説明する。制御部201は、撮像装置200の各ブロックを制御する。操作部202は、ユーザからの操作を受け付ける。撮像部203は、撮影レンズと、撮影レンズによる被写体光学像を光電変換して画像信号を生成する撮像素子とを具備する。画像処理部204は、撮像部203の出力画像信号に各種の画像処理を施す。また、画像処理部204は、撮像部203の出力画像信号の任意の画素に対し、無信号を表す無信号情報(例えば、黒を表す情報)を付加する機能を具備する。詳細は後述するが、プロジェクタ100が撮影画像を投影する場合、画像処理部204が無投影領域の画素に無信号情報を付加することで、被投影画像を事前に矩形に変形できる。
【0025】
符号化処理部206は、撮像部203で撮影され、画像処理部204で所定の処理を施された画像信号を符号化する。メモリ207は、撮像装置200のユーザ設定情報及び撮影画像等を一時的に記憶する。表示部230は、撮像部203の出力画像、及び撮像装置200の状態等を表す情報等を表示する。制御部201は、表示部230を制御する。
【0026】
記録媒体241は撮像装置200に着脱自在であり、主に撮影画像データが記録される。記録再生部240は、記録媒体241への画像データの記録/読み出しを制御する。
【0027】
画像出力部250は、撮像部203の出力画像信号、画像処理部204の出力画像信号、メモリ207に記憶される画像信号、及び記録媒体241から読み出された画像信号を外部機器に出力する。
【0028】
通信部251は、外部機器、ここでは、プロジェクタ100と通信する。撮像装置200の制御部201は、通信部251を介してプロジェクタ100に撮影構図判断情報を要求する。
【0029】
構図判断部252は、プロジェクタ100からの撮影構図判断情報に応じて、撮影構図を判断する。詳細は後述する。
【0030】
図2を参照して、撮影構図判断情報の内容を説明する。図2は、本実施例の使用時の、被写体と、プロジェクタ100により投影表示される画像との関係を示す。
【0031】
プロジェクタ100の通信部112と撮像装置200の通信部251は、有線又は無線の接続手段300を介して接続し、互いの機器情報をやりとりする。また、撮像装置200は、撮影画像データをプロジェクタ100に送信し、プロジェクタ100は上述の撮影構図判断情報を撮像装置200に送信する。プロジェクタ100の画像入力部109に撮像装置200の画像出力部250が接続する。
【0032】
図2に示すように、プロジェクタ100の被投影画像を矩形に歪み補正してから投影表示した場合の画像表示領域を、有効画像領域301と定義する。また、有効画像領域301の周囲にあって、歪み補正により画像が表示されなくなる領域を、無効画像領域302と定義する。この無効画像領域302は、プロジェクタ100が歪み補正を実行しない場合に画像が投影される領域である。
【0033】
撮影構図判断情報は、プロジェクタ100の被投影画像の歪み又は投影画像の歪み補正に関する情報のことであり、有効画像領域301と無効画像領域302が区別できる情報であればよい。
【0034】
被投影画像歪み情報は、プロジェクタ100の傾斜角情報、投影光学系情報、プロジェクタ100の設置状況と表示解像度の情報を含む。投影光学系情報は、投影光学系106のズームレンズ及びシフトレンズの状態、並びに投影光の投影角度を含む。プロジェクタ100の設置状況は、例えば、天吊り(180度回転)か、地上に設置されているかである。
【0035】
歪み補正情報は、プロジェクタ100の画像処理部110における歪み補正に関する情報であり、例えば、液晶ユニット103のパネル上における、歪み補正された投影画像の4隅の座標情報、すなわち表示位置情報である。また、歪み補正情報は、歪み補正処理のユーザ設定値であってもよく、歪み補正後の投影画像の形状に対応付けられる情報であれば良い。この場合、プロジェクタ100の画像処理部110におけるユーザ設定値と、歪み補正後の投影画像の4隅座標に関する対応表(LUT:Look Up Table)をメモリ207に格納しておく。制御部201は、プロジェクタ100からの歪み補正処理のユーザ設定値で対応表を探索し、プロジェクタ100の歪み補正後の投影画像の4隅座標を得ることができる。これにより、撮像装置200は、プロジェクタ100における歪み補正を定量的に知ることができる。
【0036】
構図判断部252は、撮影構図判断情報を基に、撮像部203で撮影された画像のうち、プロジェクタ100で投影される際の有効画像領域301と無効画像領域302に相当する領域を判断する。構図判断部252は、撮像画像がプロジェクタ100で投影された際の、有効画像領域301の外縁を示す枠線を示す構図情報を生成し、表示制御部231に送る。表示制御部231は、構図判断部252からの構図情報に従い枠線の画像を生成し、表示部230に撮影画像に重畳して表示させる。図4(a)は、この際の表示部230の表示例を示す。図4(a)の台形の枠線500が構図情報に従って生成表示される。有効画像領域301の外縁を示す枠線以外に、無効画像領域302に相当する領域を特定の色、例えば、黒色で塗りつぶしたり、一律に輝度を落としたりしてもよい。要は、有効画像領域301に相当する領域と、無効画像領域302に相当する領域をユーザが識別できればよい。ここで、図4の原稿400は、机の上などに置かれている撮影対象の原稿である。
【0037】
図3は、本実施例の動作フローチャートを示す。図3を参照して、本実施例の動作を説明する。
【0038】
ユーザが、プロジェクタ100と撮像装置200を接続する(S401)。プロジェクタ100と撮像装置200は、接続すると(S401)、通信を確立する(S402)。
【0039】
通信が確立すると(S402)、制御部201は、通信部251を通じて、接続されている機器がプロジェクタか否かを判断する(S403)。制御部201は、接続されている機器がプロジェクタであると判断すると(S403)、接続されているプロジェクタ100に対し、撮影構図判断情報の送信を要求する(S404)。一方、制御部201は、接続されている機器がプロジェクタ以外であると判断すると(S403)、ステップS406〜S408の処理を行わずに、操作者の撮影指示を待つ。
【0040】
撮像装置200からの撮影構図判断情報の送信要求を受けると(S404)、プロジェクタ100の制御部101は、通信部112を通じて、撮像装置200に撮影構図判断情報を送信する(S405)。プロジェクタ100の制御部101は、画像入力部109に画像データが入力するのを待つ。
【0041】
撮影構図判断情報(S405)を受信すると、撮像装置200の構図判断部252は、撮影構図判断情報を基に構図を判断し、構図情報を生成する(S406)。
【0042】
制御部201は、撮像装置200が撮影を完了し、撮影画像をプロジェクタ100に送信する準備が整うのを待つ(S407)。例えば、撮像装置200が、撮影モードと、撮影画像を表示する表示モードの2種類の動作モードを持つ場合、撮影モードに入っていれば準備が整っていると判断する。
【0043】
制御部201が撮像装置200の画像撮影/送信準備が整っていると判断すると(S407)、構図判断部252は、表示制御部231に構図情報を送信し、表示制御部231は構図情報を基に表示部230の表示を変更する(S408)。すなわち、図4(a)に示すように、表示部230は、有効画像領域301に相当する領域と無効画像領域302に相当する領域の境界を示す台形の枠線500を、撮影画像に重ねて表示する。
【0044】
撮像装置200のユーザは、表示部230の表示内容に応じて撮像装置200による撮影の構図を決定する(S409)。例えば、投影表示したい被写体が、図4(b)に示すように、表示部230に表示されている台形枠500内に収まるように、撮像装置200を被写体に対して傾ける。
【0045】
次に、撮像装置200のユーザは操作部202を操作して、撮影の実行と、撮影画像データのプロジェクタ100への送信を撮像装置200に指示する(S410)。制御部201は、ユーザからの撮影実行及び画像転送の指示に従い、撮像部203に撮影を実行させる(S411)。画像処理部204は、構図判断部252からの構図情報に従い、撮影画像の、無効画像領域302となる領域に相当する画素の信号を、無信号情報(例えば黒)で置換する(S412)。このとき、撮影画像は図4(c)のようになる。
【0046】
画像処理部204は、S412で無信号情報を付加した撮影画像データを画像出力部250に供給し、画像出力部250は、プロジェクタ100に送信する(S413)。
【0047】
プロジェクタ100の制御部101は、画像入力部109への画像入力を検知すると、その画像データが撮像装置200から送られたものか否かを判断する(S414)。例えば、制御部101は、ステップS402で確立された通信が切断されていない限り、入力画像データは撮像装置200から送られたものと判断してよい。また、例えば、プロジェクタ100が複数の画像入力部109を備える場合、予め、撮像装置200と接続する画像入力部109をユーザに設定又は指定させれば良い。
【0048】
制御部101は、画像入力部109の入力画像データが撮像装置200からのものであると判断すると(S414)、画像処理部110に画像の歪み補正処理の解除を指示する。画像処理部110は、制御部101からの指示を受け、歪み補正処理を解除し、画像入力部109からのデータデータを、歪み補正処理無しで液晶ユニット103に出力する(S415)。これにより、撮像装置200からの画像データの画像が液晶ユニット103上に形成され、投影面上に投影される(S416)。
【0049】
撮像装置200による撮影の段階で、予めプロジェクタ100の投影の際の台形歪みを解消するような変形を持たせて被写体を撮影するので、プロジェクタ100内での歪み補正処理が不要になる。歪み補正処理が一般に大きな画質劣化を伴うものであり、本実施例では、これを省略できることで、従来例に比べ大幅な画質向上を期待できる。
【0050】
撮像装置200における構図決定時に、表示部230には撮影しようとする被写体400をそのままに表示し、枠線500を重畳表示した。別の方法として、被写体400の画像に、プロジェクタ100の投影による変形をシミュレートする変形を施して表示部230に表示しても良い。これにより、ユーザは、表示部230の画面上で、プロジェクタ100により投影表示された状態を視覚的に確認できる。具体的には、ユーザが操作部202のシャッタボタンを半押しすると、制御部201は、画像処理部204に指示して、撮像部203の出力画像のうち有効画像領域301に相当する領域を矩形に変形させる。このような画像変形方法としては、例えば、射影変換等の既知の幾何変形方法を用いる。表示制御部231は、画像処理部204により変形された画像を表示部230に表示する。
【0051】
撮像装置200は、プロジェクタ100と接続すると判断したときに(S403)、プロジェクタ100に撮影構図判断情報の送信を要求しているが、情報要求のタイミングはこれに限定されない。例えば、撮影準備が整ったと判断した時に情報を要求してもよい。また、ユーザが構図を決定する前に、構図判断部252が構図を判断し、表示部230が、例えば有効画像領域301と無効画像領域302の境界を表す台形枠等を表示すればよい。
【0052】
撮像装置200を使って被写体をどの方向にどの程度傾けて撮像するかは、プロジェクタ100の投影面に対する傾斜の方向と程度に依存することは明らかである。撮影操作の都合によっては、表示部230に表示される被写体画像が上下反転してしまい、構図の確認が困難になることがある。このような問題は、撮像装置200として、図3のステップS406以降の動作を、図5に示す動作に変更することで解決できる。
【0053】
構図判断部252は、撮影構図判断情報を基に構図情報を作成する(S701)。制御部201は、撮像装置200の撮影の実行および撮影画像データのプロジェクタ100への送信の準備が整うのを待つ(S702)。撮影及び撮影画像データの送信準備が整うと(S702)、構図判断部252は、S701で判断した構図情報より、被写体を回転すべきかどうかを判断する(S703)。例えば、撮影画像中の有効画像領域301に相当する領域が、下辺が短い台形状になる場合、構図判断部252は、被写体を180度回転すべきと判断する。逆に境界が上辺の短い台形状になると判断した場合は、被写体の回転は不要と判断する。
【0054】
構図判断部252が被写体を回転すべきではないと判断した場合(S703)、S707に進む。
【0055】
構図判断部252が被写体を回転すべきだと判断した場合(S703)、構図判断部252は、表示制御部231に指示して、表示部230に図6(a)に示すような、被写体の回転を促すメッセージ600を表示させる(S704)。制御部201は、ユーザが指示通りに被写体を回転したか否かを判断する(S705)。具体的には、図6(a)に示すように、表示部230に選択肢を表示し、ユーザに確認させればよい。
【0056】
ユーザが被写体を回転していない場合(S705)、S707に進む。一方、ユーザが被写体を回転した場合(S705)、制御部201は、回転撮影モードに遷移し、構図判断部252に回転撮影モードへの遷移を通知し(S706)、S707に進む。
【0057】
構図判断部252は、表示制御部231に指示して、例えば図6(b)に示すような台形枠500を表示させる(S707)。この際、構図判断部252は、回転撮影モードでは、台形枠500をS704で判断した被写体の回転角と同様に回転させて表示するように表示制御部231に指示する。
【0058】
制御部201は、ユーザからの撮影指示を待つ(S708)。制御部201は、操作部202による撮影指示を受信すると、撮像部203に撮影指示を行う(S709)。
【0059】
画像処理部204は、構図判断部252からの構図情報を基に、S709で撮像された画像データのうち、無効画像領域302となる領域に相当する画素の信号を、無信号情報に置換する(S710)。
【0060】
制御部201は、回転撮影モードに入っていない場合(S711)、S713に進む。回転撮影モードに入っている場合(S711)、制御部201は、画像処理部204に、S703でユーザに指示した回転角とは逆周りに同じ角度だけ画像を回転するよう指示する(S712)。画像処理部204で回転された撮影画像の一例を、図6(c)に示す。
【0061】
画像処理部204で回転された画像データは、画像出力部250を通じてプロジェクタ100に送信される(S713)。
【0062】
図5を参照して説明した動作により、ユーザは、撮像装置200を自身の方向に向けることなく被写体を撮影することが可能となる。このため、表示部の表示が確認しやすくなり、撮影が容易となる。
【実施例2】
【0063】
図7は、撮像装置の別の概略構成ブロック図を示す。図7に示す撮像装置800は、図1に示す撮像装置200から表示部230及び表示制御部231を削除し、画角変更部260及び画角判断部261を追加した構成からなる。図1に示す撮像装置200と同じ機能の構成要素には、同じ符号を付してある。
【0064】
画角判断部261は、構図判断部252が生成する構図情報を基に撮像部203の画角を判断する。画角判断部261が判断する画角は、撮影画像がプロジェクタ100によって投影された際に、有効画像領域301に相当する領域に被写体が収まるような画角であることが望ましい。
【0065】
画角変更部260は、撮像部203の画角を変更することで、撮像部203で撮影される画像の構図を制御する。画角変更部260は、例えば、撮像部203を支持する移動可能なアームのような機構を備えていてもよいし、撮像部203を回転させる機構を備えていても良い。画角変更部260は、画角判断部261から指示された画角情報に従いこれらの機構を動作させ、撮像部203の画角を変更する。
【0066】
撮像装置800は、実施例1と同様に、プロジェクタ100と有線・無線の接続手段300で接続し、互いの機器情報及び撮像装置800の撮影画像を通信する。
【0067】
図8は、ステップS406以降の撮像装置800の動作フローチャートを示す。構図判断部252は、撮影構図判断情報を基に構図情報を作成する(S901)。制御部201は、撮像装置200の撮影の実行及び撮影画像データのプロジェクタ100への送信の準備が整うのを待つ(S902)。制御部201が、画像の撮影/送信準備が整ったと判断すると(S902)、画角判断部261は、撮像部203の画角を判断する(S903)。
【0068】
画角判断部261は、画角変更部260に指示して、撮像部203の画角をS903で判断した画角に変更させる(S904)。撮像部203は、画角変更が終了した後、被写体を撮影する(S905)。
【0069】
画像処理部204は、構図判断部252からの構図情報を基に、S905で撮影された画像の、無効画像領域302となる領域に相当する画素の信号を、無信号情報に置換する(S906)。
【0070】
画像出力部250は、画像処理部204で処理された撮影画像データをプロジェクタ100に送信する(S907)。
【0071】
このような動作により、撮像装置800は、プロジェクタ100による投影に適したサイズで被写体を撮影でき、プロジェクタ100は、台形歪みに関わらず、大きなサイズで撮影画像を投影できる。
【0072】
本発明の目的は、前述した実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を装置に供給することによっても、達成される。このとき、供給された装置の制御部を含むコンピュータ(またはCPUやMPU)は、記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行する。記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が、上述の実施例の機能を実現することになり、プログラムコード自体及びそのプログラムコードを記憶した記憶媒体は、本発明を構成することになる。
【0073】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、磁気ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード又はROM等を用いることができる。
【0074】
上述のプログラムコードの指示に基づき、装置上で稼動しているOS(基本システムやオペレーティングシステム)などが処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施例の機能が実現される場合も含まれる。
【0075】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、装置に挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれ、前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。このとき、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行う。
【0076】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明は、これらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置と、前記撮像装置により撮影された画像を投影表示する投影装置とからなる表示システムであって、
前記投影装置は、前記撮像装置からの画像を歪み補正する画像処理手段と、
前記画像処理手段からの画像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルに表示される画像を投影面に投影表示する投影光学系と、
前記画像処理手段の歪み補正を制御する制御手段であって、前記投影光学系により前記投影面に投影表示される画像の歪みを示す歪み情報を前記撮像装置に送信する投影装置制御手段
とを具備し、
前記撮像装置は、
撮影レンズによる被写体光学像を光電変換して画像信号を生成する撮像手段と、
前記画像信号に基づく画像を表示する表示手段と、
前記投影装置から、前記投影装置の投影光学系により投影面に投影表示される画像の歪みを示す歪み情報を受信し、前記撮像手段により撮影された画像信号を前記投影装置に送信する通信手段と、
前記歪み情報に従い、前記表示手段に、前記投影装置における前記歪みの下での有効画像領域を示す画像を重畳表示させる撮像装置制御手段
とを具備することを特徴とする表示システム。
【請求項2】
入力画像を歪み補正する画像処理手段と、
前記画像処理手段からの画像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルに表示される画像を投影面に投影表示する投影光学系と、
外部の撮像装置と通信する通信手段と、
前記画像処理手段の歪み補正を制御する制御手段
とを有し、
前記制御手段は、前記投影光学系により前記投影面に投影表示される画像の歪みを示す歪み情報を、前記通信手段を介して前記撮像装置に送信する
ことを特徴とする投影装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記入力画像が前記撮像装置からの画像かどうかを判断する手段を具備し、前記入力画像が前記撮像装置からの画像である場合に、前記画像処理手段に前記歪み補正を行わせないことを特徴とする請求項2に記載の投影装置。
【請求項4】
前記歪み情報は、前記投影面に対する傾斜角、前記投影光学系の状態、前記表示パネルの表示解像度、及び前記投影装置が天吊り状態にあるか否かを示す情報の何れかを含むことを特徴とする請求項2に記載の投影装置。
【請求項5】
前記歪み情報は、前記投影光学系により前記投影面に投影表示される画像の歪みを前記画像処理手段で補正するためのユーザ設定値、及び、前記投影光学系により前記投影面に投影表示される画像の歪みを補正した後の画像の、前記表示パネルでの表示位置情報の何れか一方を含むことを特徴とする請求項4に記載の投影装置。
【請求項6】
撮影レンズによる被写体光学像を光電変換して画像信号を生成する撮像手段と、
前記画像信号に基づく画像を表示する表示手段と、
投影装置と通信する通信手段であって、前記投影装置から、前記投影装置の投影光学系により投影面に投影表示される画像の歪みを示す歪み情報を受信し、前記撮像手段により撮影された画像信号を前記投影装置に送信する通信手段と、
前記歪み情報に従い、前記表示手段に、前記投影装置における前記歪みの下での有効画像領域を示す画像を重畳表示させる制御手段
とを具備することを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
前記撮影レンズはズームを変更でき、
前記制御手段は、前記歪み情報に従い、前記投影装置における前記歪みの下での有効画像領域のなかに撮影画像が入るように前記撮影レンズの前記ズームを制御する
ことを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
更に、前記歪み情報に従い、前記撮像手段による撮影画像のなかで、前記投影装置において前記歪みを補正した後の有効画像領域の外に相当する画素に無信号情報を付加する手段を具備することを特徴とする請求項6又は7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記撮像手段の撮影準備の際の前記撮像手段の出力画像を、前記歪みを補正した後の有効画像領域に対応する形状に変形して、前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項6、7又は8に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−19295(P2012−19295A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154321(P2010−154321)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】