表示システム
【課題】各々の表示装置に適用される閲覧制限がユーザにより更新された場合であっても、表示用データの生成及び配信を繰り返すことなく更新後の閲覧制限に従って表示画像の閲覧を制限することができる表示システムを提供する。
【解決手段】各々の表示装置(電子ペーパ)に適用される閲覧制限を示す閲覧制限情報を一元管理する情報管理装置(サーバ)を備えた表示システムであって、情報管理装置(サーバ)上で各々の表示装置(電子ペーパ)についての閲覧制限情報が更新された場合には、更新後の閲覧制限情報である更新情報が送信され(S212)、その更新情報に基づいて当該表示装置(電子ペーパ)内の閲覧制限情報が更新される(S213)。
【解決手段】各々の表示装置(電子ペーパ)に適用される閲覧制限を示す閲覧制限情報を一元管理する情報管理装置(サーバ)を備えた表示システムであって、情報管理装置(サーバ)上で各々の表示装置(電子ペーパ)についての閲覧制限情報が更新された場合には、更新後の閲覧制限情報である更新情報が送信され(S212)、その更新情報に基づいて当該表示装置(電子ペーパ)内の閲覧制限情報が更新される(S213)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペーパ等の表示装置を含む表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紙に代わる表示媒体として電子ペーパ(電子ブック)の開発が進められている。電子ペーパによる表示方式としては、マイクロカプセル中に格納された白・黒の荷電粒子を電界によって移動させることで白/黒の表示を切り換える電気泳動方式やマイクロカプセル方式等が一般的である。このようにして移動された荷電粒子の位置は電界除去後も不変であるので、一旦表示された内容は次回の書き換えまでそのまま保持されることになる。このような特徴により電子ペーパは紙媒体(印刷物)に取って代わるものとして期待されている。
【0003】
ところで、電子ペーパを社内会議の配布資料として使用する際には、出席者の所属や階級等に応じて電子ペーパの表示画像の一部に閲覧制限を付加しなければならない場合がある(例:開発部限りの技術情報、役員限りの人事情報)。そこで、以下の特許文献1には、転送装置を介して個々の電子ペーパのID情報を認識し、当該ID情報に対して予め定められた手順で電子ペーパ表示用の出力情報を作成するための情報管理プログラムが提案されている。
【0004】
しかし、上記の技術によると、個々の電子ペーパのID情報に応じた配信用の画像データが生成されるので、複数の電子ペーパに画像データを配信する際には電子ペーパごとに別々の画像データが生成されることになる。また、個々の電子ペーパに適用される閲覧制限が変更された場合にも、変更後の閲覧制限に応じた新たな画像データが生成されることになる。そのため、上記の技術によると、個々の電子ペーパに適用される閲覧制限が変更された場合には、画像データの生成及び配信をその都度実行しなければならず、システムに過剰な負荷がかかってしまう虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−172207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、複数の表示装置を備えた表示システムであって、各々の表示装置に適用される閲覧制限がユーザにより更新された場合であっても、表示用データの生成及び配信を繰り返すことなく更新後の閲覧制限に従って表示画像の閲覧を制限することができる表示システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0008】
(1)各々の構成要素に対して表示装置ごとの閲覧制限が付加されている単一の文書データに基づく画像を表示する複数の前記表示装置と、各々の前記表示装置に適用される前記閲覧制限を示す閲覧制限情報を前記表示装置ごとに管理する情報管理装置と、を備えた表示システムであって、前記情報管理装置は、各々の前記表示装置についての前記閲覧制限情報を記憶する閲覧制限情報記憶部と、前記情報管理装置の管理者の指示に応じて前記閲覧制限情報記憶部に記憶されている各々の前記表示装置についての前記閲覧制限情報を更新する第1更新部と、前記第1更新部による更新後の前記閲覧制限情報である更新情報を送信する更新情報送信部と、を有し、各々の前記表示装置は、当該表示装置についての前記閲覧制限情報を保持する閲覧制限情報保持部と、前記閲覧制限情報保持部に保持されている前記閲覧制限情報に従って当該表示装置により表示される前記画像中の各々の前記構成要素の閲覧を制限する閲覧制限部と、前記更新情報送信部により当該表示装置についての前記更新情報が送信された場合に当該更新情報を受信する更新情報受信部と、前記更新情報受信部により受信された前記更新情報に基づき前記閲覧制限情報保持部に保持されている前記閲覧制限情報を更新する第2更新部と、を有することを特徴とする表示システム。
【0009】
(2)前記情報管理装置は、当該情報管理装置の管理者の認証可否を判定する管理者認証部をさらに有し、前記第1更新部は、前記管理者認証部により認証可能と判定された管理者の指示に応じて前記閲覧制限情報を更新することを特徴とする上記(1)に記載の表示システム。
【0010】
(3)外部装置から受信した文書ファイルに基づき前記文書データを生成するデータ生成部と、各々の前記表示装置の保有者の認証可否を判定する保有者認証部と、前記保有者認証部により認証可能と判定された保有者の前記表示装置に前記文書データを送信するデータ送信部と、を有するデータ処理装置をさらに備えていることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の表示システム。
【0011】
(4)前記データ処理装置は、各々の前記表示装置の認証可否を判定する表示装置認証部と、前記更新情報送信部により送信された前記更新情報のうち、前記表示装置認証部により認証可能と判定された前記表示装置についての前記更新情報を転送する更新情報転送部と、をさらに有し、前記更新情報受信部は、前記更新情報転送部により転送された前記更新情報を受信することを特徴とする上記(3)に記載の表示システム。
【0012】
(5)前記情報管理装置は、各々の前記表示装置に固有の装置識別情報及び当該表示装置の保有者の認証情報の組み合わせを記憶する識別情報記憶部をさらに有し、各々の前記表示装置は、当該表示装置についての前記装置識別情報及び当該表示装置の保有者から取得した認証情報の組み合せを保持する識別情報保持部をさらに有し、前記表示装置認証部は、前記識別情報記憶部に記憶されている前記組み合わせ及び前記識別情報保持部に保持されている前記組み合せが互いに一致する前記表示装置を認証可能と判定することを特徴とする上記(4)に記載の表示システム。
【0013】
(6)前記データ処理装置は、前記外部装置の認証可否を判定する外部装置認証部と、前記外部装置認証部により認証可能と判定された前記外部装置から前記文書ファイルを受信するファイル受信部と、さらに有することを特徴とする上記(3)〜(5)のいずれか1つに記載の表示システム。
【0014】
(7)各々の前記表示装置は、前記情報管理装置の通信を確立する通信部をさらに有し、前記更新情報受信部は、前記通信部により確立された前記通信を介して、前記更新情報送信部により送信された前記更新情報を受信することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の表示システム。
【0015】
(8)各々の前記表示装置についての前記閲覧制限情報は、当該表示装置の保有者の属性に応じて決定されることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の表示システム。
【0016】
(9)前記構成要素は、前記文書データに含まれるオブジェクト又はページであることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれか1つに記載の表示システム。
【0017】
(10)前記表示装置は、電子ペーパであることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれか1つに記載の表示システム。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る表示システムは、各々の表示装置に適用される閲覧制限を示す閲覧制限情報を一元管理する情報管理装置を備えており、その情報管理装置上で各々の表示装置についての閲覧制限情報が更新された場合には、更新後の閲覧制限情報である更新情報が送信され、その更新情報に基づいて当該表示装置内の閲覧制限情報が更新される。
【0019】
よって、本発明によると、各々の表示装置に適用される閲覧制限がユーザにより更新された場合であっても、表示用データの生成及び配信を繰り返すことなく、更新後の閲覧制限に従って表示画像の閲覧を制限することができる。その結果、各々の表示装置に適用される閲覧制限が更新された際にシステムに過剰な負荷がかかることを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る表示システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電子ペーパの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る電子ペーパの電子情報保持部に保持されている情報の一例を示す概略図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る電子ペーパの表示部の構造を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るMFPの構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るMFPの制御部の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るサーバの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る文書ファイルの一例を示す概略図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る文書ファイルの一例を示す概略図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る登録情報管理テーブルの一例を示す概略図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る閲覧制限情報管理テーブルの一例を示す概略図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る配布状況管理テーブルの一例を示す概略図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る文書データの一例を示す概略図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る文書データの一例を示す概略図である。
【図15】本発明の一実施形態に係るPC、MFP、及びサーバの処理の手順を示すシーケンスチャートである。
【図16】本発明の一実施形態に係る電子ペーパ、MFP、及びサーバの処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る表示システムSの構成を示すブロック図である。図1のように、表示システムSは、文書データに基づく画像を表示する表示装置である複数の電子ペーパ1、所定フォーマットの文書ファイルを受信して上記の文書データを生成するデータ処理装置であるMFP2、個々の電子ペーパについての各種登録情報を管理する情報管理装置であるサーバ3、及び上記の文書ファイルを生成してMFP2に送信するクライアント装置であるPC4を備えている。
【0023】
また、MFP2、サーバ3、及びPC4は、ネットワークNを介して相互通信可能に接続されており、MFP2及び各々の電子ペーパ1は、USB等の規格に準拠したシリアルバスを介してローカル接続されている。ここで、ネットワークNは、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格に準拠したLANや、LANどうしを専用線で接続したWAN等である。なお、ネットワークNに接続された機器の種類及び台数は図中の例に限定されない。
【0024】
続いて、本実施形態に係るPC4により生成される文書ファイルについて説明する。図8は、本実施形態に係る文書ファイルの一例を示す概略図である。同図のように、文書ファイルの個々の構成要素(オブジェクト)には複数段階からなる閲覧制限レベル(例:0〜5)のいずれかを示すタグ情報が付加されている。この閲覧制限レベルを表す数値が大きい構成要素ほど閲覧が厳しく制限されることになる。そして、実際に個々の電子ペーパ1に適用される閲覧制限の内容は、上述した閲覧制限レベルに応じて電子ペーパ1ごとに個別に設定されているものとする。この点についてはさらに後述する。
【0025】
なお、図8の例では文書ファイル内のオブジェクトごとにタグ情報が付加されているが、その代わりに文書ファイル内のページごとにタグ情報が付加されることとしてもよい。図9は、ページごとにタグ情報が付加された文書ファイルの一例を示す概略図である。また、図8及び図9のように文書ファイル自体にタグ情報を付加する代わりに、プリンタドライバ等の専用アプリケーションにより文書ファイルとは独立した閲覧制限用のコマンドを生成することとしてもよい。
【0026】
続いて、各々の装置の構成について以下に順に説明する。ただし、PC4は一般的なPCであるためその構成についての詳細な説明は省略する。図2は、本実施形態に係る電子ペーパ1の構成を示すブロック図である。図2のように、電子ペーパ1は、制御部11、電子情報保持部12、文書データ保持部13、表示部14、操作部15、及び通信インタフェース16を備えており、これらはバス17により相互通信可能に接続されている。これらの構成要素について以下に順に説明する。
【0027】
制御部11は、電子ペーパ1の中央処理装置(CPU)であり、プログラムに従って各部の動作を制御する。電子情報保持部12は、フラッシュメモリやHDD等の不揮発性メモリからなる補助記憶装置であり、当該電子ペーパ1に関する各種情報を保持している。図3は、電子情報保持部12に保持されている情報を示す概略図である。同図のように電子情報保持部12には、当該電子ペーパ1に固有の識別番号である装置ID(例:2D)、及び当該電子ペーパ1に適用される閲覧制限の識別IDである閲覧制限ID(例:400)が保持されている。この閲覧制限IDについてはさらに後述する。
【0028】
図11は、個々の閲覧制限ID(100〜600)及び上述の閲覧制限レベル(0〜5)の対応関係を示すテーブルである。同図の例によると、閲覧制限IDが「300」である電子ペーパ1においては閲覧制限レベルが2以上である構成要素の閲覧が制限され、閲覧制限IDが「400」である電子ペーパ1においては閲覧制限レベルが3以上である構成要素の閲覧が制限されることになる。なお、本実施形態に係る閲覧制限IDは、個々の電子ペーパ1の保有者の属性に応じて決定されるものとする。図中の例によると、その保有者の属性が役員、管理職、研究部門、開発部門、外部委託先、ファイル作成者である電子ペーパ1の閲覧制限IDは、それぞれ、600、500、400、300、200、100とされる。図11に示すような対応関係は、後述する閲覧制限情報管理テーブルT2としてサーバ3上で管理されており必要に応じてMFP2等により参照される
文書データ保持部13は、情報保持部12と同様にフラッシュメモリやHDD等の不揮発性メモリからなる保持記憶装置であり、当該電子ペーパ1による表示用の文書データを保持している。本実施形態に係る全ての電子ペーパ1の文書データ保持部13には同一の文書データが保持されているものとする。
【0029】
表示部14は、文書データ保持部13内の文書データに基づく画像を表示するための表示パネルである。表示部14の詳細な構造についてはさらに後述する。操作部15は、ユーザから各種指示を受け付けるための入力装置であり、所定のキーパッドやページ送り/戻しボタン等からなる。例えば、操作部15は、当該電子ペーパ1の保有者から認証情報等を受け付けるために用いられる。通信インタフェース16は、シリアルバス等を介したMFP2との通信のためのインタフェースである。
【0030】
続いて、図4は、本実施形態に係る表示部14の主要部の構造を示す断面図である。同図のように、表示部14は、負電荷を帯びた黒色顔料a1及び正電荷を帯びた白色顔料a2がオイル等の透明分散媒とともに封入されたマイクロカプセルaによる電気泳動方式の表示技術を採用した電子ペーパである。図中の他の構成要素について以下に説明する。
【0031】
表面層bは、PET(Polyethylene Terephthalate)フィルム等の透明な材料からなる前面基板であり、その背面側にはITO(Indium Tin Oxide)等の透明な電導膜からなる透明電極cが配置されている。また、支持層dはポリイミドフィルム等の絶縁性を有する材料からなる背面基板であり、その前面側には個々のマイクロカプセルaに対応する微小な金属板からなる背面電極(セグメント電極)eが配置されている。
【0032】
そして、個々の背面電極eと透明電極cとの間には前述のマイクロカプセルaが配置されており、個々のマイクロカプセルaは接着層fを介して個々の背面電極eと接合されている。このように2枚の電極板c、eを介して前面基板(表面層b)と背面基板(支持層d)との間の空間に2次元的に配置された無数のマイクロカプセルaが表示部14の表示領域を形成している。
【0033】
このように配置されたマイクロカプセルaによる表示原理は次の通りである。一のマイクロカプセルaに対応する背面電極eに正電位が与えられると、負電荷を帯びた黒色顔料a1が背面電e側に移動するとともに正電荷を帯びた白色顔料a2が透明電極c側に移動するので、当該マイクロカプセルaは表示領域の前面側から見て白色を表示することになる。同様に、一のマイクロカプセルaに対応する背面電極eに負電位が与えられると、正電荷を帯びた白色顔料a2が背面電極e側に移動するとともに負電荷を帯びた黒色顔料a1が透明電極c側に移動するので、当該マイクロカプセルaは表示領域の前面側から見て黒色を表示することになる。
【0034】
以上のような構成を有する電子ペーパ1は、文書データ保持部13内の文書データに基づく画像を表示部14に表示する際に、電子情報保持部12内の閲覧制限IDに従って文書データ内の特定の構成要素の閲覧を制限する機能を備えている。なお、本実施形態において「閲覧を制限する」とは、その構成要素を電子ペーパ保有者が閲覧できないように当該構成要素を非表示にしたり当該構成要素にマスク処理を施したりすることを意味する。
【0035】
続いて、図5は、本実施形態に係るMFP2の構成を示すブロック図である。同図のように、MFP2は、制御部21、電子情報保持部22、文書データ保持部23、画像読取部24、印刷部25、及び通信インタフェース26を備えており、これらはバス27によって双方向通信可能に接続されている。これらの構成要素について以下に順に説明する。
【0036】
制御部21は、MFP2の中央処理装置(CPU)であり、制御プログラムに従ってMFP2各部の動作を制御するとともに各種演算処理を実行する。図6は、制御部21のさらに詳細な構成を示すブロック図である。同図のように、制御部21は、フォーマット変換部21a、コマンド生成部21b、及び認証処理部21cをさらに有している。これらの構成要素について順に説明する。
【0037】
フォーマット変換部21aは、PC4から受信した文書ファイルに対してフォーマット変換を実施することにより電子ペーパ1側で処理可能な文書データを生成する。そして、コマンド生成部21bは、文書ファイル内の各構成要素のタグ情報(レベル0〜5)を上述の閲覧制限情報管理テーブルT2に従って閲覧制限ID(100〜600)に変換することにより、電子ペーパ1に対して各構成要素の閲覧制限を指示するための閲覧制限コマンドを生成する。
【0038】
図13は、フォーマット変換部21a及びコマンド生成部21bによる処理済みの文書データの一例を示す概略図である。なお、同図の文書データは図8の文書ファイルに対応している。同図の例による閲覧制限コマンドは、文書データ中の構成要素(オブジェクト)の一覧であり、閲覧制限コマンド中の各構成要素(オブジェクト)には、その閲覧制限レベル(0〜5)に対応する閲覧制限ID(100〜600)が付与されている。また、図14は、図9の文書ファイルに対応する文書データの一例を示す概略図である。同図の例による閲覧制限コマンド中の各構成要素(ページ)には、その閲覧制限レベル(0〜5)に対応する閲覧制限ID(100〜600)が付与されている。なお、文書データがカラー(RGB)やモノクロ2値のビットマップデータである場合は、図13又は図14のようにオブジェクトまたはページごとに閲覧制限IDを付与するのではなく、画素ごとに閲覧制限IDを付与することとしてもよい。
【0039】
再び図6を参照すると、認証処理部21cは、PC4及び電子ペーパ1から受信した各種認証情報に基づいて文書ファイル作成者や電子ペーパ保有者等の認証可否を判定する。より具体的に、認証処理部21cは、PC4から受信した文書ファイル作成者の認証情報を所定の認証情報リストと照合することにより文書ファイル作成者の認証可否を判定する。また、認証処理部21cは、電子ペーパ1から受信した当該電子ペーパ1の保有者の認証情報を所定の認証情報リストと照合することにより当該保有者の認証可否を判定する。この点についてはさらに後述する。
【0040】
再び図5を参照すると、文書データ保持部23は、HDD等の不揮発性の補助記憶装置であり、フォーマット変換部21a及びコマンド生成部21bによる処理済みの文書データを保持している。画像読取部24は、イメージスキャナであり、所定の原稿台にセットされた原稿、又はADF(Auto Document Feeder)により読み取り位置に搬送された原稿に対して蛍光ランプ等の光源から光を照射したときの反射光をCCDやCMOSイメージセンサ等の受光素子でスキャンすることにより原稿画像のデジタルデータを生成する。
【0041】
印刷部25は、印刷エンジンであり、記録用紙やOHPシート等に文書データに基づく画像を電子写真方式の印刷処理により出力する。ただし、印刷部25が採用する印刷方式は、インパクト方式、熱転写方式、及びインクジェット方式等の他の印刷方式であってもよい。通信インタフェース26は、NIC等の通信モジュールであり、ネットワークNを介したサーバ3等との通信処理、及び外部バスBを介した電子ペーパ1等との通信処理を実行する。
【0042】
続いて、図7は、本実施形態に係るサーバ3の構成を示すブロック図である。同図のように、サーバ3は、制御部31、管理情報記憶部32、表示部33、操作部34、及び通信インタフェース35を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス36を介して双方向通信可能に接続されている。これらの構成要素について順に説明する。
【0043】
制御部31は、サーバ3の中央処理装置(CPU)であり、プログラムに従って上記各部の動作を制御するとともに各種演算処理を実行する。情報管理記憶部32は、HDD等の不揮発性記憶領域であり、上述の閲覧制限情報管理テーブルT2に加えて、個々の電子ペーパ1に関する登録情報を管理するための登録情報管理テーブルT1及び個々の電子ペーパへの文書データ等の配布状況等を管理するための配布状況管理テーブルT3を記憶している。登録情報管理テーブルT1及び配布状況管理テーブルT3について以下に詳細に説明する。
【0044】
図10は、本実施形態に係る登録情報管理テーブルT1の一例を示す概略図である。同図のように、登録情報管理テーブルT1は、個々の電子ペーパ1の装置ID、保有者ID、閲覧制限IDに加えて保有者の従業員番号、メールアドレス、認証情報等の各種登録情報を記憶している。登録情報管理テーブルT1の内容はサーバ3の管理者により適宜更新される。また、図12は、本実施形態に係る配布状況管理テーブルT3の一例を示す概略図である。同図のように、配布状況管理テーブルT3は、個々の電子ペーパ1への文書データの配布状況(「完了」又は「未受領」)を記憶している。配布状況管理テーブルT3の内容はMFP2等からの通知に従って随時更新される。
【0045】
表示部33は、LCD等の表示装置であり、サーバ3の管理者に各種情報を表示する。操作部34は、キーボードやマウス等の入力装置であり、サーバ3の管理者から各種動作指示を取得する。例えば、操作部34は、サーバ3の管理者から登録情報管理テーブルT1内の登録情報(閲覧制限ID等)を更新すべきとの指示を取得する。通信インタフェース35は、NIC等の通信モジュールであり、ネットワークNを介したMFP2等との通信処理を実行する。
【0046】
次に、本実施形態に係る表示システムSの動作の概要について説明する。図15は、本実施形態に係る表示システムSにおいてMFP2により文書データが生成される際のPC4、MFP2、及びサーバ3の処理の手順を示すシーケンスチャートである。
【0047】
図15を参照すると、先ず、PC4が、各種文書アプリケーションにより図8又は図9のようなタグ情報付きの文書ファイルを作成する(S101)。その後、PC4からMFP2に、文書ファイル作成者の認証依頼とともに同作成者の認証情報が送信される(S102)。
【0048】
続いて、S102で認証依頼を受信したMFP2が、併せて受信した認証情報を所定の認証情報リストと照合することにより文書ファイル作成者の認証可否を判定する(S103)。なお、S103で参照される認証情報リストは電子情報保持部22内に予め保持されていてもよいし認証の都度サーバ3側から取得されてもよい。
【0049】
そして、文書作成者の認証に成功したら、PC4からMFP2に、S101で生成された文書ファイル及び当該文書ファイルの配布先を示す配布先情報が送信される(S104)。ここで、配布先情報は、サーバ3側で当該文書ファイルの配布先(電子ペーパ1)を特定可能な情報であればいかなるものであってもよく、例えば、電子ペーパ1の装置IDや保有者ID等である。また、配布先情報は、S104で送信されるのではなくMFP2でのフォーマット変換(S107)後に送信されることとしてもよい。
【0050】
続いて、文書ファイルを受信したMFP2からサーバ3に、S101で作成された文書ファイルについての配布状況管理テーブルT3の作成依頼が送信される(S105)。この際、配布状況管理テーブルT3の作成依頼とともに当該文書ファイルの文書名及び配布先情報等が送信される。そして、同作成依頼を受信したサーバ3が、S101で作成された文書ファイルについて図12のような配布状況管理テーブルT3を作成する(S106)。
【0051】
続いて、MFP2が、S104で受信した文書ファイルに対するフォーマット変換を実行することにより電子ペーパ1側で処理可能な文書データを生成する(S107)。その後、MFP2からサーバ3に、閲覧制限情報テーブルT2の参照依頼が送信され(S108)、同参照依頼を受信したサーバ3からMFP2に、閲覧制限情報テーブルT2が返信される(S109)。
【0052】
続いて、MFP2が、S104で受信した文書ファイルのタグ情報(閲覧制限レベル)をS109で受信した閲覧制限情報テーブルT2に従って閲覧制限IDに変換することにより図13及び図14のような閲覧制限コマンドを生成する(S110)。そして、MFP2が、S107で生成された文書データにS110で生成された閲覧制限コマンドを追加してから当該文書データを文書データ保持部に保存する(S111)。
【0053】
その後、MFP2からPC4及びサーバ3に、文書データの生成完了通知がそれぞれ送信される(S112)。そして、S112で生成完了通知を受信したサーバ3が、配布先情報から特定した電子ペーパ1の保有者に電子メール等により生成完了通知を送信する(S113)。
【0054】
続いて、図16は、本実施形態に係る表示システムSにおいて文書データに基づく画像が電子ペーパ1により表示される際の電子ペーパ1、MFP2、及びサーバ3の処理の手順を示すシーケンスチャートである。
【0055】
図16を参照すると、先ず、電子ペーパ1がUSB等によりMFP2に物理的に接続されたら、電子ペーパ1からMFP2に接続依頼とともに当該電子ペーパ1の装置IDが送信される(S201)。この際、MFP2には、当該電子ペーパ1の操作部15により取得された当該電子ペーパ1の保有者認証情報が併せて送信される。
【0056】
続いて、S201で接続依頼及び装置IDを受信したMFP2が、併せて受信した認証情報を電子情報保持部22内の認証情報リストと照合することにより電子ペーパ保有者の認証可否を判定する(S202)。そして、電子ペーパ保有者の認証に成功したら、MFP2からサーバ3に、当該電子ペーパ1についての登録情報管理テーブルT1の参照依頼が送信され(S203)、同参照依頼を受信したサーバ3からMFP2に、当該電子ペーパ1についての登録情報管理テーブルT1内の装置ID及び保有者認証情報の組み合せが返信される(S204)。
【0057】
その後、MFP2が、S201で受信した装置ID及び保有者認証情報の組み合わせとS204で受信した同組み合わせとを照合することにより当該電子ペーパ1の認証可否を判定する(S205)。そして、電子ペーパ1の認証に成功したら、MFP2が電子ペーパ1の接続を許可する(S206)。
【0058】
続いて、MFP2から電子ペーパ1に閲覧制限IDの参照依頼が送信され(S207)、同参照依頼を受信した電子ペーパ1からMFP2に閲覧制限IDが返信される(S208)。その後、MFP2からサーバ3に、当該電子ペーパ1についての登録情報管理テーブルT1の参照依頼が送信され(S209)、同参照依頼を受信したサーバ3からMFP2に、当該電子ペーパ1についての登録情報管理情報テーブルT1内の閲覧制限IDが返信される(S210)。
【0059】
続いて、MFP2が、S208及びS210で受信した閲覧制限IDどうしを比較することによりサーバ3(登録情報管理テーブルT1)上の閲覧制限IDが更新済みであるかどうかを判定する(S211)。そして、MFP2から電子ペーパ1にS211での判定結果が通知される(S212)。より具体的に、S211において閲覧制限IDどうしが一致しなかった場合は、電子ペーパ1側の閲覧制限IDを更新する旨の通知とともにS210で受信された更新後の閲覧制限ID(以下「更新ID」ともいう)が送信される。他方、S211において閲覧制限IDどうしが一致した場合は、電子ペーパ1側の閲覧制限IDを更新しない旨の通知が送信される。
【0060】
続いて、電子ペーパ1が、S212での通知内容に応じて電子情報保持部12内の閲覧制限IDを更新する(S213)。より具体的に、S212で閲覧制限IDを更新する旨の通知とともに更新IDが送信された場合は、当該更新IDにより電子情報保持部12内の閲覧制限情報IDを更新する。他方、S212で閲覧制限IDを更新しない旨の通知が送信された場合は、S213は省略される。
【0061】
続いて、S213で閲覧制限IDを更新した電子ペーパ1からMFP2に閲覧制限IDの更新完了通知が送信される(S214)。この更新完了通知はMFP2からサーバ3にさらに転送される(S215)。そして、S215で転送された更新完了通知を受信したサーバ3が、当該更新完了通知に基づき配布状況管理テーブルT3を更新する(S216)。
【0062】
続いて、MFP2から電子ペーパ1に図13及び図14のような文書データが送信され(S217)、MFP2からサーバ3に文書データの送信完了通知が送信される(S218)。そして、S218で送信された送信完了通知を受信したサーバ3が、当該送信完了通知に基づき配布状況管理テーブルT3を更新する(S219)。
【0063】
続いて、S217で送信された文書データを受信した電子ペーパ1が、当該文書データを文書データ保持部13に保存する(S220)。その後、電子ペーパ1が、表示部14により文書データ保持部13内の文書データに基づく画像を表示する(S221)。この際、電子ペーパ1は、閲覧制限コマンド内の各構成要素(オブジェクト又はページ)と関連付けられた閲覧制限IDを参照し、電子情報保持部12内の閲覧制限IDと等しいか又はそれよりも大きい閲覧制限IDが付与された構成要素のみを閲覧可能とし、電子情報保持部12内の閲覧制限IDよりも大きい閲覧制限IDが付与された構成要素の閲覧を制限する。
【0064】
以上のように、本実施形態に係る表示システムSは、各々の電子ペーパ1に適用される閲覧制限を示す閲覧制限IDを一元管理するサーバ3を備えており、サーバ3上で各々の電子ペーパ1についての閲覧制限IDが更新された場合には、更新後の閲覧制限IDである更新IDがサーバ3から送信され、その更新IDに基づいて当該電子ペーパ1内の閲覧制限IDが更新される。
【0065】
よって、本実施形態によると、各々の電子ペーパ1に適用される閲覧制限がユーザにより更新された場合であっても、表示用データの生成及び配信を繰り返すことなく、更新後の閲覧制限に従って表示画像の閲覧を制限することができる。その結果、各々の電子ペーパ1に適用される閲覧制限が更新された際に表示システムSに過剰な負荷がかかることを効果的に防止することができる。
【0066】
本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲において種々改変することができる。例えば、上記実施形態に係る電子ペーパ1は、電気泳動方式の表示技術を採用することとしたが、本発明に係る表示装置としての電子ペーパは、マイクロカプセル方式、電子粉流体方式、液晶方式、エレクトロウェッティング方式、化学変化方式等の他の表示技術を採用してもよい。また、上記実施形態に係る電子ペーパ1はMFP2とローカル接続されることとしたが、本発明に係る表示装置としての電子ペーパはネットワークにより他の装置と接続されてもよい。
【0067】
なお、本発明に係る表示システムは、上記手順を実行するための専用のハードウェア回路によっても、上記手順を記述したプログラムをCPUが実行することによっても実現可能である。後者により本発明を実現する場合、表示システムを作動させるプログラムは、フロッピー(登録商標)ディスクやCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、記録装置に内蔵されたROMやハードディスク等に転送される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、表示システムの一機能としてソフトウェアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 電子ペーパ、
11 制御部、
12 電子情報保持部、
13 文書データ保持部、
14 表示部、
15 操作部、
16 通信インタフェース、
2 MFP、
21 制御部、
21a フォーマット変換部、
21b コマンド生成部、
21c 認証処理部、
22 電子情報保持部、
23 文書データ保持部、
24 画像読取部、
25 印刷部、
26 通信インタフェース、
3 サーバ、
31 制御部、
32 電子情報記憶部、
33 操作部、
34 表示部、
35 通信インタフェース、
S 表示システム、
T1 登録情報管理テーブル、
T2 閲覧制限情報管理テーブル、
T3 配信状況管理テーブル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペーパ等の表示装置を含む表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紙に代わる表示媒体として電子ペーパ(電子ブック)の開発が進められている。電子ペーパによる表示方式としては、マイクロカプセル中に格納された白・黒の荷電粒子を電界によって移動させることで白/黒の表示を切り換える電気泳動方式やマイクロカプセル方式等が一般的である。このようにして移動された荷電粒子の位置は電界除去後も不変であるので、一旦表示された内容は次回の書き換えまでそのまま保持されることになる。このような特徴により電子ペーパは紙媒体(印刷物)に取って代わるものとして期待されている。
【0003】
ところで、電子ペーパを社内会議の配布資料として使用する際には、出席者の所属や階級等に応じて電子ペーパの表示画像の一部に閲覧制限を付加しなければならない場合がある(例:開発部限りの技術情報、役員限りの人事情報)。そこで、以下の特許文献1には、転送装置を介して個々の電子ペーパのID情報を認識し、当該ID情報に対して予め定められた手順で電子ペーパ表示用の出力情報を作成するための情報管理プログラムが提案されている。
【0004】
しかし、上記の技術によると、個々の電子ペーパのID情報に応じた配信用の画像データが生成されるので、複数の電子ペーパに画像データを配信する際には電子ペーパごとに別々の画像データが生成されることになる。また、個々の電子ペーパに適用される閲覧制限が変更された場合にも、変更後の閲覧制限に応じた新たな画像データが生成されることになる。そのため、上記の技術によると、個々の電子ペーパに適用される閲覧制限が変更された場合には、画像データの生成及び配信をその都度実行しなければならず、システムに過剰な負荷がかかってしまう虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−172207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、複数の表示装置を備えた表示システムであって、各々の表示装置に適用される閲覧制限がユーザにより更新された場合であっても、表示用データの生成及び配信を繰り返すことなく更新後の閲覧制限に従って表示画像の閲覧を制限することができる表示システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0008】
(1)各々の構成要素に対して表示装置ごとの閲覧制限が付加されている単一の文書データに基づく画像を表示する複数の前記表示装置と、各々の前記表示装置に適用される前記閲覧制限を示す閲覧制限情報を前記表示装置ごとに管理する情報管理装置と、を備えた表示システムであって、前記情報管理装置は、各々の前記表示装置についての前記閲覧制限情報を記憶する閲覧制限情報記憶部と、前記情報管理装置の管理者の指示に応じて前記閲覧制限情報記憶部に記憶されている各々の前記表示装置についての前記閲覧制限情報を更新する第1更新部と、前記第1更新部による更新後の前記閲覧制限情報である更新情報を送信する更新情報送信部と、を有し、各々の前記表示装置は、当該表示装置についての前記閲覧制限情報を保持する閲覧制限情報保持部と、前記閲覧制限情報保持部に保持されている前記閲覧制限情報に従って当該表示装置により表示される前記画像中の各々の前記構成要素の閲覧を制限する閲覧制限部と、前記更新情報送信部により当該表示装置についての前記更新情報が送信された場合に当該更新情報を受信する更新情報受信部と、前記更新情報受信部により受信された前記更新情報に基づき前記閲覧制限情報保持部に保持されている前記閲覧制限情報を更新する第2更新部と、を有することを特徴とする表示システム。
【0009】
(2)前記情報管理装置は、当該情報管理装置の管理者の認証可否を判定する管理者認証部をさらに有し、前記第1更新部は、前記管理者認証部により認証可能と判定された管理者の指示に応じて前記閲覧制限情報を更新することを特徴とする上記(1)に記載の表示システム。
【0010】
(3)外部装置から受信した文書ファイルに基づき前記文書データを生成するデータ生成部と、各々の前記表示装置の保有者の認証可否を判定する保有者認証部と、前記保有者認証部により認証可能と判定された保有者の前記表示装置に前記文書データを送信するデータ送信部と、を有するデータ処理装置をさらに備えていることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の表示システム。
【0011】
(4)前記データ処理装置は、各々の前記表示装置の認証可否を判定する表示装置認証部と、前記更新情報送信部により送信された前記更新情報のうち、前記表示装置認証部により認証可能と判定された前記表示装置についての前記更新情報を転送する更新情報転送部と、をさらに有し、前記更新情報受信部は、前記更新情報転送部により転送された前記更新情報を受信することを特徴とする上記(3)に記載の表示システム。
【0012】
(5)前記情報管理装置は、各々の前記表示装置に固有の装置識別情報及び当該表示装置の保有者の認証情報の組み合わせを記憶する識別情報記憶部をさらに有し、各々の前記表示装置は、当該表示装置についての前記装置識別情報及び当該表示装置の保有者から取得した認証情報の組み合せを保持する識別情報保持部をさらに有し、前記表示装置認証部は、前記識別情報記憶部に記憶されている前記組み合わせ及び前記識別情報保持部に保持されている前記組み合せが互いに一致する前記表示装置を認証可能と判定することを特徴とする上記(4)に記載の表示システム。
【0013】
(6)前記データ処理装置は、前記外部装置の認証可否を判定する外部装置認証部と、前記外部装置認証部により認証可能と判定された前記外部装置から前記文書ファイルを受信するファイル受信部と、さらに有することを特徴とする上記(3)〜(5)のいずれか1つに記載の表示システム。
【0014】
(7)各々の前記表示装置は、前記情報管理装置の通信を確立する通信部をさらに有し、前記更新情報受信部は、前記通信部により確立された前記通信を介して、前記更新情報送信部により送信された前記更新情報を受信することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の表示システム。
【0015】
(8)各々の前記表示装置についての前記閲覧制限情報は、当該表示装置の保有者の属性に応じて決定されることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の表示システム。
【0016】
(9)前記構成要素は、前記文書データに含まれるオブジェクト又はページであることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれか1つに記載の表示システム。
【0017】
(10)前記表示装置は、電子ペーパであることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれか1つに記載の表示システム。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る表示システムは、各々の表示装置に適用される閲覧制限を示す閲覧制限情報を一元管理する情報管理装置を備えており、その情報管理装置上で各々の表示装置についての閲覧制限情報が更新された場合には、更新後の閲覧制限情報である更新情報が送信され、その更新情報に基づいて当該表示装置内の閲覧制限情報が更新される。
【0019】
よって、本発明によると、各々の表示装置に適用される閲覧制限がユーザにより更新された場合であっても、表示用データの生成及び配信を繰り返すことなく、更新後の閲覧制限に従って表示画像の閲覧を制限することができる。その結果、各々の表示装置に適用される閲覧制限が更新された際にシステムに過剰な負荷がかかることを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る表示システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電子ペーパの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る電子ペーパの電子情報保持部に保持されている情報の一例を示す概略図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る電子ペーパの表示部の構造を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るMFPの構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るMFPの制御部の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るサーバの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る文書ファイルの一例を示す概略図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る文書ファイルの一例を示す概略図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る登録情報管理テーブルの一例を示す概略図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る閲覧制限情報管理テーブルの一例を示す概略図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る配布状況管理テーブルの一例を示す概略図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る文書データの一例を示す概略図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る文書データの一例を示す概略図である。
【図15】本発明の一実施形態に係るPC、MFP、及びサーバの処理の手順を示すシーケンスチャートである。
【図16】本発明の一実施形態に係る電子ペーパ、MFP、及びサーバの処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る表示システムSの構成を示すブロック図である。図1のように、表示システムSは、文書データに基づく画像を表示する表示装置である複数の電子ペーパ1、所定フォーマットの文書ファイルを受信して上記の文書データを生成するデータ処理装置であるMFP2、個々の電子ペーパについての各種登録情報を管理する情報管理装置であるサーバ3、及び上記の文書ファイルを生成してMFP2に送信するクライアント装置であるPC4を備えている。
【0023】
また、MFP2、サーバ3、及びPC4は、ネットワークNを介して相互通信可能に接続されており、MFP2及び各々の電子ペーパ1は、USB等の規格に準拠したシリアルバスを介してローカル接続されている。ここで、ネットワークNは、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格に準拠したLANや、LANどうしを専用線で接続したWAN等である。なお、ネットワークNに接続された機器の種類及び台数は図中の例に限定されない。
【0024】
続いて、本実施形態に係るPC4により生成される文書ファイルについて説明する。図8は、本実施形態に係る文書ファイルの一例を示す概略図である。同図のように、文書ファイルの個々の構成要素(オブジェクト)には複数段階からなる閲覧制限レベル(例:0〜5)のいずれかを示すタグ情報が付加されている。この閲覧制限レベルを表す数値が大きい構成要素ほど閲覧が厳しく制限されることになる。そして、実際に個々の電子ペーパ1に適用される閲覧制限の内容は、上述した閲覧制限レベルに応じて電子ペーパ1ごとに個別に設定されているものとする。この点についてはさらに後述する。
【0025】
なお、図8の例では文書ファイル内のオブジェクトごとにタグ情報が付加されているが、その代わりに文書ファイル内のページごとにタグ情報が付加されることとしてもよい。図9は、ページごとにタグ情報が付加された文書ファイルの一例を示す概略図である。また、図8及び図9のように文書ファイル自体にタグ情報を付加する代わりに、プリンタドライバ等の専用アプリケーションにより文書ファイルとは独立した閲覧制限用のコマンドを生成することとしてもよい。
【0026】
続いて、各々の装置の構成について以下に順に説明する。ただし、PC4は一般的なPCであるためその構成についての詳細な説明は省略する。図2は、本実施形態に係る電子ペーパ1の構成を示すブロック図である。図2のように、電子ペーパ1は、制御部11、電子情報保持部12、文書データ保持部13、表示部14、操作部15、及び通信インタフェース16を備えており、これらはバス17により相互通信可能に接続されている。これらの構成要素について以下に順に説明する。
【0027】
制御部11は、電子ペーパ1の中央処理装置(CPU)であり、プログラムに従って各部の動作を制御する。電子情報保持部12は、フラッシュメモリやHDD等の不揮発性メモリからなる補助記憶装置であり、当該電子ペーパ1に関する各種情報を保持している。図3は、電子情報保持部12に保持されている情報を示す概略図である。同図のように電子情報保持部12には、当該電子ペーパ1に固有の識別番号である装置ID(例:2D)、及び当該電子ペーパ1に適用される閲覧制限の識別IDである閲覧制限ID(例:400)が保持されている。この閲覧制限IDについてはさらに後述する。
【0028】
図11は、個々の閲覧制限ID(100〜600)及び上述の閲覧制限レベル(0〜5)の対応関係を示すテーブルである。同図の例によると、閲覧制限IDが「300」である電子ペーパ1においては閲覧制限レベルが2以上である構成要素の閲覧が制限され、閲覧制限IDが「400」である電子ペーパ1においては閲覧制限レベルが3以上である構成要素の閲覧が制限されることになる。なお、本実施形態に係る閲覧制限IDは、個々の電子ペーパ1の保有者の属性に応じて決定されるものとする。図中の例によると、その保有者の属性が役員、管理職、研究部門、開発部門、外部委託先、ファイル作成者である電子ペーパ1の閲覧制限IDは、それぞれ、600、500、400、300、200、100とされる。図11に示すような対応関係は、後述する閲覧制限情報管理テーブルT2としてサーバ3上で管理されており必要に応じてMFP2等により参照される
文書データ保持部13は、情報保持部12と同様にフラッシュメモリやHDD等の不揮発性メモリからなる保持記憶装置であり、当該電子ペーパ1による表示用の文書データを保持している。本実施形態に係る全ての電子ペーパ1の文書データ保持部13には同一の文書データが保持されているものとする。
【0029】
表示部14は、文書データ保持部13内の文書データに基づく画像を表示するための表示パネルである。表示部14の詳細な構造についてはさらに後述する。操作部15は、ユーザから各種指示を受け付けるための入力装置であり、所定のキーパッドやページ送り/戻しボタン等からなる。例えば、操作部15は、当該電子ペーパ1の保有者から認証情報等を受け付けるために用いられる。通信インタフェース16は、シリアルバス等を介したMFP2との通信のためのインタフェースである。
【0030】
続いて、図4は、本実施形態に係る表示部14の主要部の構造を示す断面図である。同図のように、表示部14は、負電荷を帯びた黒色顔料a1及び正電荷を帯びた白色顔料a2がオイル等の透明分散媒とともに封入されたマイクロカプセルaによる電気泳動方式の表示技術を採用した電子ペーパである。図中の他の構成要素について以下に説明する。
【0031】
表面層bは、PET(Polyethylene Terephthalate)フィルム等の透明な材料からなる前面基板であり、その背面側にはITO(Indium Tin Oxide)等の透明な電導膜からなる透明電極cが配置されている。また、支持層dはポリイミドフィルム等の絶縁性を有する材料からなる背面基板であり、その前面側には個々のマイクロカプセルaに対応する微小な金属板からなる背面電極(セグメント電極)eが配置されている。
【0032】
そして、個々の背面電極eと透明電極cとの間には前述のマイクロカプセルaが配置されており、個々のマイクロカプセルaは接着層fを介して個々の背面電極eと接合されている。このように2枚の電極板c、eを介して前面基板(表面層b)と背面基板(支持層d)との間の空間に2次元的に配置された無数のマイクロカプセルaが表示部14の表示領域を形成している。
【0033】
このように配置されたマイクロカプセルaによる表示原理は次の通りである。一のマイクロカプセルaに対応する背面電極eに正電位が与えられると、負電荷を帯びた黒色顔料a1が背面電e側に移動するとともに正電荷を帯びた白色顔料a2が透明電極c側に移動するので、当該マイクロカプセルaは表示領域の前面側から見て白色を表示することになる。同様に、一のマイクロカプセルaに対応する背面電極eに負電位が与えられると、正電荷を帯びた白色顔料a2が背面電極e側に移動するとともに負電荷を帯びた黒色顔料a1が透明電極c側に移動するので、当該マイクロカプセルaは表示領域の前面側から見て黒色を表示することになる。
【0034】
以上のような構成を有する電子ペーパ1は、文書データ保持部13内の文書データに基づく画像を表示部14に表示する際に、電子情報保持部12内の閲覧制限IDに従って文書データ内の特定の構成要素の閲覧を制限する機能を備えている。なお、本実施形態において「閲覧を制限する」とは、その構成要素を電子ペーパ保有者が閲覧できないように当該構成要素を非表示にしたり当該構成要素にマスク処理を施したりすることを意味する。
【0035】
続いて、図5は、本実施形態に係るMFP2の構成を示すブロック図である。同図のように、MFP2は、制御部21、電子情報保持部22、文書データ保持部23、画像読取部24、印刷部25、及び通信インタフェース26を備えており、これらはバス27によって双方向通信可能に接続されている。これらの構成要素について以下に順に説明する。
【0036】
制御部21は、MFP2の中央処理装置(CPU)であり、制御プログラムに従ってMFP2各部の動作を制御するとともに各種演算処理を実行する。図6は、制御部21のさらに詳細な構成を示すブロック図である。同図のように、制御部21は、フォーマット変換部21a、コマンド生成部21b、及び認証処理部21cをさらに有している。これらの構成要素について順に説明する。
【0037】
フォーマット変換部21aは、PC4から受信した文書ファイルに対してフォーマット変換を実施することにより電子ペーパ1側で処理可能な文書データを生成する。そして、コマンド生成部21bは、文書ファイル内の各構成要素のタグ情報(レベル0〜5)を上述の閲覧制限情報管理テーブルT2に従って閲覧制限ID(100〜600)に変換することにより、電子ペーパ1に対して各構成要素の閲覧制限を指示するための閲覧制限コマンドを生成する。
【0038】
図13は、フォーマット変換部21a及びコマンド生成部21bによる処理済みの文書データの一例を示す概略図である。なお、同図の文書データは図8の文書ファイルに対応している。同図の例による閲覧制限コマンドは、文書データ中の構成要素(オブジェクト)の一覧であり、閲覧制限コマンド中の各構成要素(オブジェクト)には、その閲覧制限レベル(0〜5)に対応する閲覧制限ID(100〜600)が付与されている。また、図14は、図9の文書ファイルに対応する文書データの一例を示す概略図である。同図の例による閲覧制限コマンド中の各構成要素(ページ)には、その閲覧制限レベル(0〜5)に対応する閲覧制限ID(100〜600)が付与されている。なお、文書データがカラー(RGB)やモノクロ2値のビットマップデータである場合は、図13又は図14のようにオブジェクトまたはページごとに閲覧制限IDを付与するのではなく、画素ごとに閲覧制限IDを付与することとしてもよい。
【0039】
再び図6を参照すると、認証処理部21cは、PC4及び電子ペーパ1から受信した各種認証情報に基づいて文書ファイル作成者や電子ペーパ保有者等の認証可否を判定する。より具体的に、認証処理部21cは、PC4から受信した文書ファイル作成者の認証情報を所定の認証情報リストと照合することにより文書ファイル作成者の認証可否を判定する。また、認証処理部21cは、電子ペーパ1から受信した当該電子ペーパ1の保有者の認証情報を所定の認証情報リストと照合することにより当該保有者の認証可否を判定する。この点についてはさらに後述する。
【0040】
再び図5を参照すると、文書データ保持部23は、HDD等の不揮発性の補助記憶装置であり、フォーマット変換部21a及びコマンド生成部21bによる処理済みの文書データを保持している。画像読取部24は、イメージスキャナであり、所定の原稿台にセットされた原稿、又はADF(Auto Document Feeder)により読み取り位置に搬送された原稿に対して蛍光ランプ等の光源から光を照射したときの反射光をCCDやCMOSイメージセンサ等の受光素子でスキャンすることにより原稿画像のデジタルデータを生成する。
【0041】
印刷部25は、印刷エンジンであり、記録用紙やOHPシート等に文書データに基づく画像を電子写真方式の印刷処理により出力する。ただし、印刷部25が採用する印刷方式は、インパクト方式、熱転写方式、及びインクジェット方式等の他の印刷方式であってもよい。通信インタフェース26は、NIC等の通信モジュールであり、ネットワークNを介したサーバ3等との通信処理、及び外部バスBを介した電子ペーパ1等との通信処理を実行する。
【0042】
続いて、図7は、本実施形態に係るサーバ3の構成を示すブロック図である。同図のように、サーバ3は、制御部31、管理情報記憶部32、表示部33、操作部34、及び通信インタフェース35を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス36を介して双方向通信可能に接続されている。これらの構成要素について順に説明する。
【0043】
制御部31は、サーバ3の中央処理装置(CPU)であり、プログラムに従って上記各部の動作を制御するとともに各種演算処理を実行する。情報管理記憶部32は、HDD等の不揮発性記憶領域であり、上述の閲覧制限情報管理テーブルT2に加えて、個々の電子ペーパ1に関する登録情報を管理するための登録情報管理テーブルT1及び個々の電子ペーパへの文書データ等の配布状況等を管理するための配布状況管理テーブルT3を記憶している。登録情報管理テーブルT1及び配布状況管理テーブルT3について以下に詳細に説明する。
【0044】
図10は、本実施形態に係る登録情報管理テーブルT1の一例を示す概略図である。同図のように、登録情報管理テーブルT1は、個々の電子ペーパ1の装置ID、保有者ID、閲覧制限IDに加えて保有者の従業員番号、メールアドレス、認証情報等の各種登録情報を記憶している。登録情報管理テーブルT1の内容はサーバ3の管理者により適宜更新される。また、図12は、本実施形態に係る配布状況管理テーブルT3の一例を示す概略図である。同図のように、配布状況管理テーブルT3は、個々の電子ペーパ1への文書データの配布状況(「完了」又は「未受領」)を記憶している。配布状況管理テーブルT3の内容はMFP2等からの通知に従って随時更新される。
【0045】
表示部33は、LCD等の表示装置であり、サーバ3の管理者に各種情報を表示する。操作部34は、キーボードやマウス等の入力装置であり、サーバ3の管理者から各種動作指示を取得する。例えば、操作部34は、サーバ3の管理者から登録情報管理テーブルT1内の登録情報(閲覧制限ID等)を更新すべきとの指示を取得する。通信インタフェース35は、NIC等の通信モジュールであり、ネットワークNを介したMFP2等との通信処理を実行する。
【0046】
次に、本実施形態に係る表示システムSの動作の概要について説明する。図15は、本実施形態に係る表示システムSにおいてMFP2により文書データが生成される際のPC4、MFP2、及びサーバ3の処理の手順を示すシーケンスチャートである。
【0047】
図15を参照すると、先ず、PC4が、各種文書アプリケーションにより図8又は図9のようなタグ情報付きの文書ファイルを作成する(S101)。その後、PC4からMFP2に、文書ファイル作成者の認証依頼とともに同作成者の認証情報が送信される(S102)。
【0048】
続いて、S102で認証依頼を受信したMFP2が、併せて受信した認証情報を所定の認証情報リストと照合することにより文書ファイル作成者の認証可否を判定する(S103)。なお、S103で参照される認証情報リストは電子情報保持部22内に予め保持されていてもよいし認証の都度サーバ3側から取得されてもよい。
【0049】
そして、文書作成者の認証に成功したら、PC4からMFP2に、S101で生成された文書ファイル及び当該文書ファイルの配布先を示す配布先情報が送信される(S104)。ここで、配布先情報は、サーバ3側で当該文書ファイルの配布先(電子ペーパ1)を特定可能な情報であればいかなるものであってもよく、例えば、電子ペーパ1の装置IDや保有者ID等である。また、配布先情報は、S104で送信されるのではなくMFP2でのフォーマット変換(S107)後に送信されることとしてもよい。
【0050】
続いて、文書ファイルを受信したMFP2からサーバ3に、S101で作成された文書ファイルについての配布状況管理テーブルT3の作成依頼が送信される(S105)。この際、配布状況管理テーブルT3の作成依頼とともに当該文書ファイルの文書名及び配布先情報等が送信される。そして、同作成依頼を受信したサーバ3が、S101で作成された文書ファイルについて図12のような配布状況管理テーブルT3を作成する(S106)。
【0051】
続いて、MFP2が、S104で受信した文書ファイルに対するフォーマット変換を実行することにより電子ペーパ1側で処理可能な文書データを生成する(S107)。その後、MFP2からサーバ3に、閲覧制限情報テーブルT2の参照依頼が送信され(S108)、同参照依頼を受信したサーバ3からMFP2に、閲覧制限情報テーブルT2が返信される(S109)。
【0052】
続いて、MFP2が、S104で受信した文書ファイルのタグ情報(閲覧制限レベル)をS109で受信した閲覧制限情報テーブルT2に従って閲覧制限IDに変換することにより図13及び図14のような閲覧制限コマンドを生成する(S110)。そして、MFP2が、S107で生成された文書データにS110で生成された閲覧制限コマンドを追加してから当該文書データを文書データ保持部に保存する(S111)。
【0053】
その後、MFP2からPC4及びサーバ3に、文書データの生成完了通知がそれぞれ送信される(S112)。そして、S112で生成完了通知を受信したサーバ3が、配布先情報から特定した電子ペーパ1の保有者に電子メール等により生成完了通知を送信する(S113)。
【0054】
続いて、図16は、本実施形態に係る表示システムSにおいて文書データに基づく画像が電子ペーパ1により表示される際の電子ペーパ1、MFP2、及びサーバ3の処理の手順を示すシーケンスチャートである。
【0055】
図16を参照すると、先ず、電子ペーパ1がUSB等によりMFP2に物理的に接続されたら、電子ペーパ1からMFP2に接続依頼とともに当該電子ペーパ1の装置IDが送信される(S201)。この際、MFP2には、当該電子ペーパ1の操作部15により取得された当該電子ペーパ1の保有者認証情報が併せて送信される。
【0056】
続いて、S201で接続依頼及び装置IDを受信したMFP2が、併せて受信した認証情報を電子情報保持部22内の認証情報リストと照合することにより電子ペーパ保有者の認証可否を判定する(S202)。そして、電子ペーパ保有者の認証に成功したら、MFP2からサーバ3に、当該電子ペーパ1についての登録情報管理テーブルT1の参照依頼が送信され(S203)、同参照依頼を受信したサーバ3からMFP2に、当該電子ペーパ1についての登録情報管理テーブルT1内の装置ID及び保有者認証情報の組み合せが返信される(S204)。
【0057】
その後、MFP2が、S201で受信した装置ID及び保有者認証情報の組み合わせとS204で受信した同組み合わせとを照合することにより当該電子ペーパ1の認証可否を判定する(S205)。そして、電子ペーパ1の認証に成功したら、MFP2が電子ペーパ1の接続を許可する(S206)。
【0058】
続いて、MFP2から電子ペーパ1に閲覧制限IDの参照依頼が送信され(S207)、同参照依頼を受信した電子ペーパ1からMFP2に閲覧制限IDが返信される(S208)。その後、MFP2からサーバ3に、当該電子ペーパ1についての登録情報管理テーブルT1の参照依頼が送信され(S209)、同参照依頼を受信したサーバ3からMFP2に、当該電子ペーパ1についての登録情報管理情報テーブルT1内の閲覧制限IDが返信される(S210)。
【0059】
続いて、MFP2が、S208及びS210で受信した閲覧制限IDどうしを比較することによりサーバ3(登録情報管理テーブルT1)上の閲覧制限IDが更新済みであるかどうかを判定する(S211)。そして、MFP2から電子ペーパ1にS211での判定結果が通知される(S212)。より具体的に、S211において閲覧制限IDどうしが一致しなかった場合は、電子ペーパ1側の閲覧制限IDを更新する旨の通知とともにS210で受信された更新後の閲覧制限ID(以下「更新ID」ともいう)が送信される。他方、S211において閲覧制限IDどうしが一致した場合は、電子ペーパ1側の閲覧制限IDを更新しない旨の通知が送信される。
【0060】
続いて、電子ペーパ1が、S212での通知内容に応じて電子情報保持部12内の閲覧制限IDを更新する(S213)。より具体的に、S212で閲覧制限IDを更新する旨の通知とともに更新IDが送信された場合は、当該更新IDにより電子情報保持部12内の閲覧制限情報IDを更新する。他方、S212で閲覧制限IDを更新しない旨の通知が送信された場合は、S213は省略される。
【0061】
続いて、S213で閲覧制限IDを更新した電子ペーパ1からMFP2に閲覧制限IDの更新完了通知が送信される(S214)。この更新完了通知はMFP2からサーバ3にさらに転送される(S215)。そして、S215で転送された更新完了通知を受信したサーバ3が、当該更新完了通知に基づき配布状況管理テーブルT3を更新する(S216)。
【0062】
続いて、MFP2から電子ペーパ1に図13及び図14のような文書データが送信され(S217)、MFP2からサーバ3に文書データの送信完了通知が送信される(S218)。そして、S218で送信された送信完了通知を受信したサーバ3が、当該送信完了通知に基づき配布状況管理テーブルT3を更新する(S219)。
【0063】
続いて、S217で送信された文書データを受信した電子ペーパ1が、当該文書データを文書データ保持部13に保存する(S220)。その後、電子ペーパ1が、表示部14により文書データ保持部13内の文書データに基づく画像を表示する(S221)。この際、電子ペーパ1は、閲覧制限コマンド内の各構成要素(オブジェクト又はページ)と関連付けられた閲覧制限IDを参照し、電子情報保持部12内の閲覧制限IDと等しいか又はそれよりも大きい閲覧制限IDが付与された構成要素のみを閲覧可能とし、電子情報保持部12内の閲覧制限IDよりも大きい閲覧制限IDが付与された構成要素の閲覧を制限する。
【0064】
以上のように、本実施形態に係る表示システムSは、各々の電子ペーパ1に適用される閲覧制限を示す閲覧制限IDを一元管理するサーバ3を備えており、サーバ3上で各々の電子ペーパ1についての閲覧制限IDが更新された場合には、更新後の閲覧制限IDである更新IDがサーバ3から送信され、その更新IDに基づいて当該電子ペーパ1内の閲覧制限IDが更新される。
【0065】
よって、本実施形態によると、各々の電子ペーパ1に適用される閲覧制限がユーザにより更新された場合であっても、表示用データの生成及び配信を繰り返すことなく、更新後の閲覧制限に従って表示画像の閲覧を制限することができる。その結果、各々の電子ペーパ1に適用される閲覧制限が更新された際に表示システムSに過剰な負荷がかかることを効果的に防止することができる。
【0066】
本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲において種々改変することができる。例えば、上記実施形態に係る電子ペーパ1は、電気泳動方式の表示技術を採用することとしたが、本発明に係る表示装置としての電子ペーパは、マイクロカプセル方式、電子粉流体方式、液晶方式、エレクトロウェッティング方式、化学変化方式等の他の表示技術を採用してもよい。また、上記実施形態に係る電子ペーパ1はMFP2とローカル接続されることとしたが、本発明に係る表示装置としての電子ペーパはネットワークにより他の装置と接続されてもよい。
【0067】
なお、本発明に係る表示システムは、上記手順を実行するための専用のハードウェア回路によっても、上記手順を記述したプログラムをCPUが実行することによっても実現可能である。後者により本発明を実現する場合、表示システムを作動させるプログラムは、フロッピー(登録商標)ディスクやCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、記録装置に内蔵されたROMやハードディスク等に転送される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、表示システムの一機能としてソフトウェアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 電子ペーパ、
11 制御部、
12 電子情報保持部、
13 文書データ保持部、
14 表示部、
15 操作部、
16 通信インタフェース、
2 MFP、
21 制御部、
21a フォーマット変換部、
21b コマンド生成部、
21c 認証処理部、
22 電子情報保持部、
23 文書データ保持部、
24 画像読取部、
25 印刷部、
26 通信インタフェース、
3 サーバ、
31 制御部、
32 電子情報記憶部、
33 操作部、
34 表示部、
35 通信インタフェース、
S 表示システム、
T1 登録情報管理テーブル、
T2 閲覧制限情報管理テーブル、
T3 配信状況管理テーブル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々の構成要素に対して表示装置ごとの閲覧制限が付加されている単一の文書データに基づく画像を表示する複数の前記表示装置と、各々の前記表示装置に適用される前記閲覧制限を示す閲覧制限情報を前記表示装置ごとに管理する情報管理装置と、を備えた表示システムであって、
前記情報管理装置は、各々の前記表示装置についての前記閲覧制限情報を記憶する閲覧制限情報記憶部と、前記情報管理装置の管理者の指示に応じて前記閲覧制限情報記憶部に記憶されている各々の前記表示装置についての前記閲覧制限情報を更新する第1更新部と、前記第1更新部による更新後の前記閲覧制限情報である更新情報を送信する更新情報送信部と、を有し、
各々の前記表示装置は、当該表示装置についての前記閲覧制限情報を保持する閲覧制限情報保持部と、前記閲覧制限情報保持部に保持されている前記閲覧制限情報に従って当該表示装置により表示される前記画像中の各々の前記構成要素の閲覧を制限する閲覧制限部と、前記更新情報送信部により当該表示装置についての前記更新情報が送信された場合に当該更新情報を受信する更新情報受信部と、前記更新情報受信部により受信された前記更新情報に基づき前記閲覧制限情報保持部に保持されている前記閲覧制限情報を更新する第2更新部と、を有することを特徴とする表示システム。
【請求項2】
前記情報管理装置は、当該情報管理装置の管理者の認証可否を判定する管理者認証部をさらに有し、
前記第1更新部は、前記管理者認証部により認証可能と判定された管理者の指示に応じて前記閲覧制限情報を更新することを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
外部装置から受信した文書ファイルに基づき前記文書データを生成するデータ生成部と、各々の前記表示装置の保有者の認証可否を判定する保有者認証部と、前記保有者認証部により認証可能と判定された保有者の前記表示装置に前記文書データを送信するデータ送信部と、を有するデータ処理装置をさらに備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の表示システム。
【請求項4】
前記データ処理装置は、各々の前記表示装置の認証可否を判定する表示装置認証部と、前記更新情報送信部により送信された前記更新情報のうち、前記表示装置認証部により認証可能と判定された前記表示装置についての前記更新情報を転送する更新情報転送部と、をさらに有し、
前記更新情報受信部は、前記更新情報転送部により転送された前記更新情報を受信することを特徴とする請求項3に記載の表示システム。
【請求項5】
前記情報管理装置は、各々の前記表示装置に固有の装置識別情報及び当該表示装置の保有者の認証情報の組み合わせを記憶する識別情報記憶部をさらに有し、
各々の前記表示装置は、当該表示装置についての前記装置識別情報及び当該表示装置の保有者から取得した認証情報の組み合せを保持する識別情報保持部をさらに有し、
前記表示装置認証部は、前記識別情報記憶部に記憶されている前記組み合わせ及び前記識別情報保持部に保持されている前記組み合せが互いに一致する前記表示装置を認証可能と判定することを特徴とする請求項4に記載の表示システム。
【請求項6】
前記データ処理装置は、前記外部装置の認証可否を判定する外部装置認証部と、前記外部装置認証部により認証可能と判定された前記外部装置から前記文書ファイルを受信するファイル受信部と、をさらに有することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1つに記載の表示システム。
【請求項7】
各々の前記表示装置は、前記情報管理装置の通信を確立する通信部をさらに有し、
前記更新情報受信部は、前記通信部により確立された前記通信を介して、前記更新情報送信部により送信された前記更新情報を受信することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の表示システム。
【請求項8】
各々の前記表示装置についての前記閲覧制限情報は、当該表示装置の保有者の属性に応じて決定されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の表示システム。
【請求項9】
前記構成要素は、前記文書データに含まれるオブジェクト又はページであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の表示システム。
【請求項10】
前記表示装置は、電子ペーパであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の表示システム。
【請求項1】
各々の構成要素に対して表示装置ごとの閲覧制限が付加されている単一の文書データに基づく画像を表示する複数の前記表示装置と、各々の前記表示装置に適用される前記閲覧制限を示す閲覧制限情報を前記表示装置ごとに管理する情報管理装置と、を備えた表示システムであって、
前記情報管理装置は、各々の前記表示装置についての前記閲覧制限情報を記憶する閲覧制限情報記憶部と、前記情報管理装置の管理者の指示に応じて前記閲覧制限情報記憶部に記憶されている各々の前記表示装置についての前記閲覧制限情報を更新する第1更新部と、前記第1更新部による更新後の前記閲覧制限情報である更新情報を送信する更新情報送信部と、を有し、
各々の前記表示装置は、当該表示装置についての前記閲覧制限情報を保持する閲覧制限情報保持部と、前記閲覧制限情報保持部に保持されている前記閲覧制限情報に従って当該表示装置により表示される前記画像中の各々の前記構成要素の閲覧を制限する閲覧制限部と、前記更新情報送信部により当該表示装置についての前記更新情報が送信された場合に当該更新情報を受信する更新情報受信部と、前記更新情報受信部により受信された前記更新情報に基づき前記閲覧制限情報保持部に保持されている前記閲覧制限情報を更新する第2更新部と、を有することを特徴とする表示システム。
【請求項2】
前記情報管理装置は、当該情報管理装置の管理者の認証可否を判定する管理者認証部をさらに有し、
前記第1更新部は、前記管理者認証部により認証可能と判定された管理者の指示に応じて前記閲覧制限情報を更新することを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
外部装置から受信した文書ファイルに基づき前記文書データを生成するデータ生成部と、各々の前記表示装置の保有者の認証可否を判定する保有者認証部と、前記保有者認証部により認証可能と判定された保有者の前記表示装置に前記文書データを送信するデータ送信部と、を有するデータ処理装置をさらに備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の表示システム。
【請求項4】
前記データ処理装置は、各々の前記表示装置の認証可否を判定する表示装置認証部と、前記更新情報送信部により送信された前記更新情報のうち、前記表示装置認証部により認証可能と判定された前記表示装置についての前記更新情報を転送する更新情報転送部と、をさらに有し、
前記更新情報受信部は、前記更新情報転送部により転送された前記更新情報を受信することを特徴とする請求項3に記載の表示システム。
【請求項5】
前記情報管理装置は、各々の前記表示装置に固有の装置識別情報及び当該表示装置の保有者の認証情報の組み合わせを記憶する識別情報記憶部をさらに有し、
各々の前記表示装置は、当該表示装置についての前記装置識別情報及び当該表示装置の保有者から取得した認証情報の組み合せを保持する識別情報保持部をさらに有し、
前記表示装置認証部は、前記識別情報記憶部に記憶されている前記組み合わせ及び前記識別情報保持部に保持されている前記組み合せが互いに一致する前記表示装置を認証可能と判定することを特徴とする請求項4に記載の表示システム。
【請求項6】
前記データ処理装置は、前記外部装置の認証可否を判定する外部装置認証部と、前記外部装置認証部により認証可能と判定された前記外部装置から前記文書ファイルを受信するファイル受信部と、をさらに有することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1つに記載の表示システム。
【請求項7】
各々の前記表示装置は、前記情報管理装置の通信を確立する通信部をさらに有し、
前記更新情報受信部は、前記通信部により確立された前記通信を介して、前記更新情報送信部により送信された前記更新情報を受信することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の表示システム。
【請求項8】
各々の前記表示装置についての前記閲覧制限情報は、当該表示装置の保有者の属性に応じて決定されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の表示システム。
【請求項9】
前記構成要素は、前記文書データに含まれるオブジェクト又はページであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の表示システム。
【請求項10】
前記表示装置は、電子ペーパであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の表示システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図4】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図4】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2012−155685(P2012−155685A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16867(P2011−16867)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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