説明

表示パネルおよびそれを製造する方法

本発明は、少なくとも一つの発光層(10)と、該発光層の直上または該発光層の上部に設置された少なくとも一つの電極層(7)とを備える複数の表示画素(3)を有する表示パネル(2)に関する。第1の表示画素(3A)は、第1のバリア構造(20)によって定められ、前記第1の表示画素と隣接する第2の表示画素(3B)は、第2のバリア構造(21)によって定められる。前記第1のバリア構造および前記第2のバリア構造は、前記電極層と電気的に接触する導電性構造(22)によって分離される。これにより、電極層(7)の電気的な分路のため、バリア構造(20、21)の間の空間を利用することが可能となる。また本発明は、そのような表示パネルを有する電気装置、およびそのような表示パネルを製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つの発光層と、該発光層の直上または該発光層の上部に設置された少なくとも一つの電極層とを備える複数の表示画素を有する表示パネルに関する。また本発明は、表示パネルを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に設けられた発光素子を有する表示画素を用いた表示パネルは、徐々に一般的なものになってきている。これらの発光素子は、発光ダイオード(LED)であっても良く、この発光ダイオードは、行と列のマトリクス状に配置された表示画素の中に、または表示画素を構成するように組み込まれる。そのようなLEDに使用される発光材料またはエレクトロルミネッセント材料は、これらの材料内に電流が通電された際に、光を発生させることに適しており、特に高分子(PLED)材料または小型分子有機(SMLED)材料が挙げられる。PLEDおよびSMOLED表示パネルは、高品質ディスプレイを製作するための新たな方向を開拓してきた。これらの表示パネルの利点は、これらが自己発光技術であり、高輝度で、広い視角を有し、応答時間が短いことである。LEDは、電流がこれらのエレクトロルミネッセント材料を通って駆動するように配置される。通常の場合、ディスプレイは、パッシブマトリクス駆動方式とアクティブマトリクス駆動方式とに区別される。アクティブマトリクス式ディスプレイの場合、表示画素は、それ自身が1または2以上のトランジスタのような活性回路を有する。
【0003】
PLED材料は、熱安定性、柔軟性、および水溶液または溶媒中での溶解性という、それらの固有の特性により、SMOLED材料を凌駕する利点を有する。そのため、PLED材料は、スピンコート法またはインクジェット設置法などの、湿式化学の技術によって設置することができる。
【0004】
欧州特許出願第EP−A−0892028号には、有機EL素子が示されており、この有機EL素子では、透明基板上に透明画素電極が形成される。画素電極の間には、写真リソグラフィ法により定形されたフォトレジストバンクが形成され、これによりエレクトロルミネッセント材料を有する液体インクが落下して、隣接する表示画素の方に流れ出すことが回避される。
【0005】
ある表示パネル、例えば、上部放射式表示パネルまたは半透明表示パネルの場合、エレクトロルミネッセント材料の電流を搬送する上部電極層は、発光層から放射される光に対して透明である必要がある。そのような透明電極層には、インジウムスズ酸化物(ITO)インジウム亜鉛酸化物(IZO)またはアルミニウム亜鉛酸化物(AZO)などがあるが、これらは、本質的に比較的大きな電気抵抗を有する。これとは別にまたはこれに加えて、極めて薄い金属層を使用しても良いが、これらの層は、通常、電気的に大きなシート抵抗を有する。従って、そのような表示パネルでは、電極層の材料安定性を犠牲にして、電気抵抗を低下させるため電極層の厚さを厚くするか、または透明性を高めるため、上部電極層の厚さを薄くして、そのような表示パネルを用いた装置の消費電力に悪影響を及ぼすような電気抵抗の増大を認めるかに関して、相反する対立が生じる。
【特許文献1】欧州特許出願第0892028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、低抵抗の光学的に透明な電極層を有する表示パネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、少なくとも第1の表示画素は、第1のバリア構造によって定められ、前記第1の表示画素と隣接する第2の表示画素は、第2のバリア構造によって定められ、前記第1のバリア構造および前記第2のバリア構造は、前記電極層と電気的に接触する導電性構造によって分離されていることを特徴とする表示パネルによって実現される。
【0008】
そのような表示パネルでは、電極層の電気抵抗は、導電性構造の分路効果によって低減され、電極層の厚さには影響を及ぼさない。従って、電極層の厚さは、合理的に十分に薄く維持したままでも、電極層の電気抵抗に、許容できない程の増大が生じることはない。第1および第2のバリア構造は、相互にある距離だけ離して設置されるため、そのような導電性構造を収容し得る領域が利用される。
【0009】
請求項2に記載の本発明の実施例では、同一の材料を用いて、導電性構造の導電層と、表示画素の別の電極層とが、同時に設置されるという利点が得られる。この材料は、インジウムスズ酸化物(ITO)のような、表示画素の電極層に対する電気的接触抵抗が低い材料であることが好ましい。さらにITOは、これが発光層から放射される光に対して透明であるという利点を有し、これにより表示パネルを底部放射式のディスプレイとすることができる。
【0010】
請求項4に記載の本発明の実施例では、電極層のより有効な分路が得られるという利点が得られる。別の導電層は、電極層とは電気的に直接接触しないため、電極層に対する接触抵抗については、あまり考慮する必要がなくなる。別の導電層または層構造は、電気抵抗が低下するように十分に調整することができる。
【0011】
請求項5に記載の本発明の実施例では、絶縁層内の貫通孔は、十分な広さが確保できる領域に設けられるという利点が得られる。
【0012】
請求項6に記載の本発明の実施例では、金属層または層構造が、低い電気抵抗を有し、効果的な分路動作が提供されるという利点が得られる。
【0013】
請求項7に記載の本発明の実施例では、上部放射式ディスプレイにおいて、発光層の光を基板から離れるように反射させる反射層として使用される、表示画素の別の金属層を、導電性構造の金属層と同一の材料を用いて、同時に設置することができるという利点が得られる。
【0014】
請求項8に記載の本発明の実施例では、表示画素の下側に、構造部を定形する際の自由度が広がるという利点が得られる。金属層は、電気抵抗が極めて低い材料から選定され、別の金属層を用いて、他の接続を行うことができる。
【0015】
請求項9に記載の本発明の実施例では、バリア構造の側壁にまたは側壁の近傍に、親水性材料を設置することにより、表示画素に、PLED材料に対するより良好な濡れ性が得られるという利点が得られる。
【0016】
請求項10に記載の本発明の実施例では、外部カソード接触部が省略され、より小型の表示パネルの製造が可能になる。
【0017】
請求項11に記載の本発明の実施例では、発光層から放射される光に対して、表示パネルを十分に透明にすることが可能となる。
【0018】
また、本発明は、少なくとも一つの発光層と、該発光層の直上または該発光層の上部に設置された少なくとも一つの電極層とを備える複数の表示画素を有し、基板上に形成された表示パネルであって、少なくとも第1の表示画素は、第1の有機バリア構造によって定められ、前記第1の表示画素と隣接する第2の表示画素は、第2の有機バリア構造によって定められ、前記第1のバリア構造および前記第2のバリア構造は、導電性構造によって分離されていることを特徴とする表示パネルに関する。
【0019】
本質的に有機バリア構造では、発光層から相当の水の拡散が生じ得るが、バリア構造同士の間に形成された導電性構造は、水の拡散を有効に抑制するため、有機バリア構造の使用が可能となる。有機バリア構造を使用することは、そのようなバリア構造が、標準的な製造プロセスに適合し、濡れ性を容易に調整することができるため有意である。
【0020】
請求項13に記載の本発明の実施例では、電極層によって水の拡散が生じ得る場合でも、この拡散経路が、薄膜被覆層で遮断されるという利点が得られる。
【0021】
また、本発明は、前述の1または2以上の実施例による表示パネルと、該表示パネルに通信可能に接続された信号制御器と、を有する電気装置に関する。
【0022】
また本発明は、表示パネルを製造する方法であって、
基板上に第1のバリア構造を設置して、発光層および電極層を有する第1の表示画素を定めるステップと、
基板上に第2のバリア構造を設置して、前記第1の表示画素に隣接する、発光層および電極層を有する第2の表示画素を定めるステップと、
前記第1のバリア構造と前記第2のバリア構造を分離する導電性構造であって、前記電極層と電気的に接触された導電性構造を提供するステップと、
を有する方法に関する。
【0023】
この製造方法では、電極層が分路され、電気抵抗が適度に低下された薄い電極層を有する表示パネルが得られる。
【0024】
請求項16および17に記載の本発明の実施例では、電極層の有効な電気的分路が可能となる。
【0025】
出願番号EP03104322号の非公開の欧州特許出願には、カソード層を分路する導電性構造を有する表示パネルが示されていることに留意する必要がある。導電性構造は、同時にバリア構造としての役割を果たす。しかしながら、この出願では、本発明とは異なり、隣接する表示画素は、単一のバリア構造を共有する。また、欧州特許出願第EP03104322号のバリア構造は、導電性材料で製造される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
添付図面を参照して、本発明をさらに説明する。図面には、本発明による好適実施例が概略的に示されている。本発明は、これらの特定のおよび好適な実施例に限定されるものではないことを理解する必要がある。
【0027】
図1は、電気装置1の概略図であり、この電気装置1は、表示画素3を有する表示パネル2と、接触配線Cを介して、表示画素3を駆動する信号プロセッサ4とを有する。
【0028】
図2には、表示画素3の典型的な層スタックを示す。「層」という用語は、2または3以上の材料層の層スタックを含み、この層スタックは、図2に示すような単一の層の機能の役割を果たすことが可能であることを理解する必要がある。また図2の層スタックは、1または2以上の絶縁層のような、さらに別の層を有しても良いことに留意する必要がある。
【0029】
表示画素3は、基板5上に形成される。基板5は、例えばガラスまたはシリコンで構成される。底部放射式の表示パネルの場合、基板5は、表示画素3の光に対して透明である必要がある。当然のことながら、透過性の表示パネルの場合も、このことが考慮される。
【0030】
上部放射式の表示パネル2の場合、基板5の上部には、反射層6が設置される。反射層6は、金属層または層スタックであっても良く、例えばCr/Al/CrもしくはMb/Al/Mbスタックである。通常の場合、基板5と反射層6の間には、一連の層により、トランジスタのような活性デバイス(図示されていない)が定形されることに留意する必要がある。
【0031】
表示画素3のコア部は、従来より、それぞれ、カソード層およびアノード層と呼ばれている、電極層7および別の電極層8によって構成され、これらの電極間には、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)層のような第1の高分子層9のスタックと、ポリフェニレンビニレン(PPV)のような発光高分子層10とが挟まれている。赤、緑および青の発光層を設計することにより、フルカラー表示パネルを得ることができる。カソード層7とアノード層8のうち少なくとも一つは、発光高分子層10から放射される光に対して透明である。例えば、そのような透明層7、8は、インジウムスズ酸化物(ITO)で構成されても良い。
【0032】
上部放射式の表示パネルの場合、すなわち発光が基板5から遠ざかるように誘導される表示パネル2の場合、カソード層7は、透明である必要がある。カソード層は、例えばITO、インジウム亜鉛酸化物(IZO)またはアルミニウム亜鉛酸化物(AZO)で構成される。これとは別にまたはこれに加えて、薄い金属層(通常、数十ナノメートル)が設置されても良く、この層は、小さな仕事関数を有することが好ましい。通常の組成には、Ba、Mg、LiF、または例えばAgもしくはAlの薄膜層を有するCaのような、仕事関数の低い金属が含まれる。
【0033】
このコア部の上部には、例えば光出力を高めるための多機能層11、薄膜被覆層12、高分子被覆層13、および表示パネル2のコントラストを高める円偏光板14のような別の層が設置されても良い。
【0034】
図2の層スタック内のいくつかの層、例えば、基板5、アクティブマトリクス上部放射式表示パネル2の場合の透明カソード7、および円偏光板14等は、複数の表示画素3で共有されても良いことに留意する必要がある。
【0035】
図3、4Aおよび4Bには、本発明の第1の実施例による表示パネル2の、III-III断面、表示パネル2の一部の上面図、および第1の表示画素3Aと、隣接する第2の表示画素3Bとの詳細上面図を概略的に示す。図3には、上部および底部構造Sが示されており、これらは、例えば、それぞれ、基板5および図2の高分子被覆層13を有するが、ここではこれ以上詳しく説明しない。単純化のため、高分子層9、10は、単一の層10として示されている。図4Aと4Bでは、明確化のため、カソード層7および発光層10は、示されていない。図2を参照して説明した層または層スタックと同様のものには、同一の参照符号が付されている。
【0036】
第1の表示画素3Aは、第1のバリア構造20によって定められ、第1の表示画素3Aと隣接する第2の表示画素3Bは、第2のバリア構造21によって定められる。第1および第2のバリア構造21、22は、JSR1400Gのようなフォトレジスト等の有機材料で構成されても良い。バリア構造21、22は、1乃至10μmの範囲の幅を有し、例えば幅は5μmであり、高さは、0.5μmから5μmの間であり、例えば2μmである。
【0037】
第1のバリア構造20および第2のバリア構造21は、距離dだけ離されており、これらのバリア構造20、21の間には、例えば、導電層22Aを有する導電性構造22の形態で、導電性材料が設置され、この導電性材料は、カソード層7と接触している。導電性構造に対するバリア構造20、21の位置合わせは、厳格なものではない。
【0038】
距離dを定める際には、距離dが極端に大きくなった場合の、表示パネル2の好ましくない解像度の低下と、接触面積が極端に減少した場合の、カソード層7と導電性構造22の間の電気的接触抵抗の好ましくない上昇とのバランスを考慮する必要がある。バリア構造20、21の間の距離dは、例えば0.5μm程度まで小さくすることができる。一般的には、距離dは、1〜10μmの範囲にあり、例えば、5μmである。電気的接触抵抗は、大きな表面積を有する場合は別として、導電性構造22に適当な材料を選定することにより低下させることができる。例えば、ITOの導電層22Aでは、カソード層7との間に、低い電気的接触抵抗が得られる。しかしながら、これとは別にまたはこれに加えて、構造22に、1もしくは2以上の金属層を使用しても良い。
【0039】
図3に示すように、導電性構造22は、発光層10の下側の別の電極層8、すなわちアノード層と同じ高さで提供され、例えばITOなど、別の電極層8と同じ材料で提供される。ただし、導電層22Aおよびアノード層8は、異なる材料であっても良いことを理解する必要がある。
【0040】
アノード層8および導電性構造22は、二酸化ケイ素または窒化ケイ素等の絶縁層23の直上または上方側に設置される。
【0041】
例えば導電層22がITOで形成されている場合、導電性構造22は、それでもなお相当の電気的シート抵抗を有するため、絶縁層23内に貫通孔24を設けて、別の導電層または層スタック25と接触させても良い。層または層スタック25は、金属層を有し、例えば、Cr/Al/CrあるいはMo/Al/Moスタックである。これにより、カソード層7は、別の導電層25と電気的に接続される。導電性構造22がカソード層7に対して適当な電気的接触抵抗を有するとともに、カソード層7の電流搬送の際に、適切な高い導電性を有する場合、貫通孔24および別の導電層25は、省略しても良いことに留意する必要がある。さらに、貫通孔24は、別の導電層25の高さレベルに応じて、絶縁層23以外の層も貫通しても良いことを理解する必要がある。
【0042】
導電性構造は、カソード層7自身の突起部によって形成されても良く、すなわちカソード層7は、孔24を介してバリア構造20、21の間を延伸し、別の導電層または層スタック25と接触しても良いことに留意する必要がある。ただし、この場合、カソード層7と層または層スタック25の間の界面を清浄化して、接触抵抗を下げることが難しくなる。
【0043】
図4Bに具体的に示すように、貫通孔24は、バリア構造20、21の曲面コーナーRの間の領域Aに配置される。これらの領域Aには、そのような貫通孔24に対して十分な空間があるためである。その結果、カソード層7は、導電性構造22を介して別の導電層25と電気的に接続され、これにより、カソード層7が分路され、すなわちカソード層7単独の場合に比べて、カソード層7と別の導電層25の結合による電気抵抗は、十分に小さくなる。通常の場合、結合による電気抵抗は、カソード層7単独の電気抵抗の10%またはこれ以下に過ぎない。
【0044】
カソード層7の分路効果は別として、導電性構造22の存在により、発光層10を構成する高分子材料中に含まれる水に対する有効な拡散バリアが形成される。これにより、水に対して浸透性のある有機材料で、バリア構造20、21を製作することが可能となるが、これは、そのようなバリア構造が、既に従来の表示パネルの製造プロセスの一部となっているため有意である。バリア構造20、21の間に存在する導電性材料のこの拡散バリア効果は、貫通孔24および別の導電層25の存在とは無関係である。また、導電性構造22の導電性が十分に高い場合、この構造22は、必ずしもカソード層7と接触する必要はない。ある事例では、カソード層7自体により、水の拡散が生じ得ることが観測されている。カソード層7の上部への薄膜被覆層12(図2)の設置により、カソード層7を介した、一つの表示画素から別の表示画素への水の拡散が遮断される。
【0045】
本発明のさらに別の利点は、導電性構造22または別の導電層25は、信号配線Sを介して、信号プロセッサ4と直接接触することが可能であるため、カソードとの接続のための外部接触部を省略することができることである。これにより、本発明では、底部放射式の表示パネルの場合と同様の利点が得られる。
【0046】
さらに、図3、4Aおよび4Bに示すように、発光層10を設置する前に、表示画素3A、3Bの内部に親水性材料の層26を設置しても良い。二酸化ケイ素のような親水性材料は、分路領域Aを狭小化させずに、表示画素3A、3Bの濡れ性を改善する。
【0047】
図5乃至7には、それぞれ、本発明の第2、第3および第4の実施例による、表示パネル部分の第1および第2の表示画素3A、3Bの断面図を概略的に示す。図2および3と同一の参照符号は、これらが図2および3と同一のまたは同様の層であることを示している。図3の別の層スタックSは、明確化のため省略されている。
【0048】
図5では、ITOで構成されることが好ましいアノード層8の下側に、追加の反射層30が設置されている。通常の場合、そのような反射層30は、金属層または層スタックを有し、上部放射式の表示パネル2に使用され、発光層10からの光を、基板5から遠ざけるように反射させる。また、導電層22Aの下側には、金属層22Bとして、同一の材料が設置され、これにより導電性構造22が形成される。従って、この金属層22Bは、図3の別の導電層25と置換され、貫通孔24が省略されても良い。
【0049】
図6には、別の実施例を概略的に示すが、この実施例では、導電性構造22は、ITO導電層22Aの上部に設置された金属層22Cを有する。この実施例では、追加の製造ステップが必要となるが、表示画素3A、3Bの下側の構造の自由度がより広がる。金属層22CおよびITO導電層22Aは、同時に構造化することができる。図6の層構造では、表示画素3A、3B用の導体配線を、導電層22Aの上部に定形することが可能となる。
【0050】
図7には、本発明の別の実施例を概略的に示すが、この実施例では、導電性構造22は、二酸化ケイ素層31の直上にまたはこの上部に設置された金属層もしくは層スタック22Dを有する。二酸化ケイ素層は、図3を参照して説明したように、親水性層26と組み合わされる。
【0051】
図5乃至7に記載の実施例では、導電性構造22は、配線Cを介して、カソード層7と直接接触することができることを理解する必要がある。また、カソード層7と接触する導電性構造22により、表示画素3A、3Bの高分子材料中に含まれる水に対しての、有効な拡散バリアが提供される。
【0052】
前述の実施例は、本発明を限定するために示されたものではなく、当業者には、添付の特許請求の範囲の記載から逸脱しないで、多くの代替実施例を設計することができることに留意する必要がある。本発明の要点は、各表示画素用の分離バリア構造を提供することであり、本発明では、カソード層の電気的分路のため、解像度を多少犠牲にして、これらのバリア構造の間の空間が利用される。
【0053】
請求項において、括弧内に示されたいかなる参照符号も、請求項を限定するものと解してはならない。「有する」という用語は、請求項に記載されている素子またはステップ以外の存在を否定するものではない。素子の前の「一つの」という用語は、そのような素子が複数あることを否定するものではない。単に、ある手段が相互に異なる従属請求項に記載されていることのみから、これらの手段の組み合わせの使用が有意ではないと解してはならない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施例による表示パネルを有する電気装置の概略図である。
【図2】PLED上部放射式表示パネルの表示画素の、従来の層スタックの断面図である。
【図3】本発明の第1の実施例による表示パネルの部分の第1および第2の表示画素の断面を概略的に示した図である。
【図4A】図3の第1の実施例による表示パネルの概略的な上面図である。
【図4B】図3の第1の実施例による表示パネルの概略的な上面図である。
【図5】本発明の第2の実施例による表示パネル部分の第1および第2の表示画素の概略的な断面図である。
【図6】本発明の第3の実施例による表示パネル部分の第1および第2の表示画素の概略的な断面図である。
【図7】本発明の第4の実施例による表示パネル部分の第1および第2の表示画素の概略的な断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの発光層と、該発光層の直上または該発光層の上部に設置された少なくとも一つの電極層とを備える複数の表示画素を有する表示パネルであって、
少なくとも第1の表示画素は、第1のバリア構造によって定められ、前記第1の表示画素と隣接する第2の表示画素は、第2のバリア構造によって定められ、
前記第1のバリア構造および前記第2のバリア構造は、前記電極層と電気的に接触する導電性構造によって分離されていることを特徴とする表示パネル。
【請求項2】
前記導電性構造は、導電層を有し、
前記第1の表示画素および前記第2の表示画素は、別の電極層を有し、
該別の電極層は、前記発光層の下側に形成され、前記導電層と同様の導電性材料を有することを特徴とする請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記別の電極層および前記導電層は、インジウムスズ酸化物を有することを特徴とする請求項2に記載の表示パネル。
【請求項4】
さらに当該表示パネルは、前記導電性構造の下側に形成された絶縁層と、別の導電層とを有し、
前記接触構造および前記別の導電層は、前記絶縁層内の貫通孔を介して、電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記表示画素は、行列状に配置された曲面コーナー部を有するバリア構造によって定められ、前記貫通孔は、前記バリア構造の前記曲面コーナー部の間の領域に配置されることを特徴とする請求項4に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記導電性構造は、金属層を有することを特徴とする請求項1に記載の表示パネル。
【請求項7】
前記第1の表示画素および前記第2の表示画素は、別の金属層を有し、該金属層は、前記発光層の下側に形成され、前記金属層と同様の金属を有することを特徴とする請求項6に記載の表示パネル。
【請求項8】
前記導電性構造は、前記金属層の下側に導電層を有し、
前記第1の表示画素および前記第2の表示画素は、別の電極層を有し、該電極層は、前記発光層の下側に形成され、前記導電層と同様の導電性材料を有することを特徴とする請求項6に記載の表示パネル。
【請求項9】
前記発光層と接触する前記第1のバリア構造および前記第2のバリア構造には、親水性層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示パネル。
【請求項10】
当該表示パネルは、接触配線を有し、前記導電性構造を介して、前記電極層用の信号が提供されることを特徴とする請求項1に記載の表示パネル。
【請求項11】
当該表示パネルは、前記第1および/または第2の表示画素用の低電気抵抗配線を少なくとも有し、
前記低電気抵抗配線は、前記導電性構造の直上にまたは前記導電性構造の上部に定形されることを特徴とする請求項1に記載の表示パネル。
【請求項12】
少なくとも一つの発光層と、該発光層の直上または該発光層の上部に設置された少なくとも一つの電極層とを備える複数の表示画素を有し、基板上に形成された表示パネルであって、
少なくとも第1の表示画素は、第1の有機バリア構造によって定められ、前記第1の表示画素と隣接する第2の表示画素は、第2の有機バリア構造によって定められ、
前記第1のバリア構造および前記第2のバリア構造は、導電性構造によって分離されていることを特徴とする表示パネル。
【請求項13】
前記電極層の上部には、薄膜被覆層が設置されていることを特徴とする請求項12に記載の表示パネル。
【請求項14】
請求項1または12に記載の表示パネルと、該表示パネルに通信可能に接続された信号制御器とを有する電気装置。
【請求項15】
表示パネルを製造する方法であって、
基板上に第1のバリア構造を設置して、発光層および電極層を有する第1の表示画素を定めるステップと、
基板上に第2のバリア構造を設置して、前記第1の表示画素に隣接する、発光層および電極層を有する第2の表示画素を定めるステップと、
前記第1のバリア構造と前記第2のバリア構造を分離する導電性構造であって、前記電極層と電気的に接触された導電性構造を提供するステップと、
を有する方法。
【請求項16】
前記導電性構造は、導電層を有し、前記第1および第2の表示画素は、別の電極層を有し、
当該方法は、さらに、
前記第1および第2の表示画素の前記別の電極層と、前記導電性構造の前記導電層とを、同時に形成するステップを有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
当該方法は、さらに、
前記導電性構造の下側に絶縁層を形成するステップと、
別の導電層を形成するステップと、
前記絶縁層内の貫通孔を介して、前記別の導電層を前記導電性構造に電気的に接続するステップと、
を有することを特徴とする請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−524648(P2008−524648A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546257(P2007−546257)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【国際出願番号】PCT/IB2005/054173
【国際公開番号】WO2006/064443
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】