表示パネルの製造方法および表示パネル
【課題】ケミカルエッチングによって基板を薄化処理する場合に、スクライブ溝を良好に形成し、また、基板厚さを容易に違えることである。
【解決手段】スクライブ溝160の形成後に大判基板110,120をケミカルエッチングすることにより、基板110,120を薄化するとともにスクライブ溝160を深くする。その後、基板110,120を機械的に分断する。または、スクライブ溝160をケミカルエッチングによって主面110S1,120S1にまで到達させることにより基板110,120を分断する。一方の基板110,120上にコーティング膜を設けた状態で上記ケミカルエッチングを実施することにより、基板110,120の厚さを違える。または、基板110,120に厚さの異なる下地ガラス基板を利用することにより、コーティング膜を用いずに、基板110,120の厚さを違える。
【解決手段】スクライブ溝160の形成後に大判基板110,120をケミカルエッチングすることにより、基板110,120を薄化するとともにスクライブ溝160を深くする。その後、基板110,120を機械的に分断する。または、スクライブ溝160をケミカルエッチングによって主面110S1,120S1にまで到達させることにより基板110,120を分断する。一方の基板110,120上にコーティング膜を設けた状態で上記ケミカルエッチングを実施することにより、基板110,120の厚さを違える。または、基板110,120に厚さの異なる下地ガラス基板を利用することにより、コーティング膜を用いずに、基板110,120の厚さを違える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルの製造方法および表示パネルに係り、具体的にはケミカルエッチングによって薄化処理された表示パネル等に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルの製造方法として、大判(大板)の基板を用いて複数個の液晶パネルを製造する方法が知られている。大判基板を用いる場合、液晶パネルの薄型化の要請に応えるため、大判のまま基板をケミカルエッチングすることによって薄くする製造方法が知られている(特許文献1参照)。また、大判基板を用いる場合、大判基板から個々の液晶パネルを分断(ブレイク)する際に、分断箇所にカッター等でスクライブ線と呼ばれる溝を形成し(スクライブ溝形成工程)、衝撃を与えて分断する(ブレイク工程)(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平4−116619号公報
【特許文献2】特開2001−215480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ケミカルエッチングによって基板を薄化する場合、スクライブ線(スクライブ溝)を形成する作業が困難になるという課題がある。具体的には、薄化された基板にスクライブ溝を形成すると、図24の断面図および平面図に示すように、基板310に割れAが発生したり、スクライブ溝360を形成しただけで基板310が割れしまい所望の分断を行えない(図24中の符号Bの箇所を参照)。また、ケミカルエッチングによれば、対向配置された基板が両方とも同じ厚さだけエッチングされるので、基板厚さが異なる構造の液晶パネルを製造するのは容易ではないという課題がある。
【0005】
本発明の目的は、液晶パネル等の表示パネルの基板をケミカルエッチングによって薄化する場合に、スクライブ溝を良好に形成可能な手段を提供することである。また、本発明の他の目的は、上記のケミカルエッチングによる薄化を行う場合に、基板厚さを容易に違えることが可能な手段を提供することである。以下の手段は、上記目的の少なくとも1つに貢献する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る表示パネルの製造方法は、表示パネルのための1対の基板を互いの一方主面を向き合わせて貼り合わせる貼り合わせ工程と、前記貼り合わせ工程で形成された貼り合わせ体にケミカルエッチングを実施するエッチング工程と、を備え、前記ケミカルエッチングによって前記貼り合わせ体を薄化する表示パネルの製造方法であって、前記1対の基板の少なくとも一方の基板の他方主面にスクライブ溝を形成するスクライブ溝形成工程をさらに備え、前記スクライブ溝形成工程よりも後に前記エッチング工程を実施して前記ケミカルエッチングによって前記貼り合わせ体を薄化するとともに前記スクライブ溝を深くすることを特徴とする。
【0007】
また、前記ケミカルエッチングによって深くなった前記スクライブ溝の底部で前記少なくとも一方の基板を機械的に分断するブレイク工程をさらに備えることが好ましい。
【0008】
また、前記スクライブ溝を前記ケミカルエッチングによって前記一方主面にまで到達させることにより前記エッチング工程で前記少なくとも一方の基板を分断することが好ましい。
【0009】
また、前記貼り合わせ工程で前記ケミカルエッチングに対して耐性を有するエッチング耐性部材を前記1対の基板で挟み、前記スクライブ溝形成工程で前記スクライブ溝を前記エッチング耐性部材に対向させて形成することが好ましい。
【0010】
また、前記貼り合わせ工程では前記1対の基板をシールで互いに固定し、前記エッチング耐性部材を前記シールと同じ材料で形成することが好ましい。
【0011】
また、前記ケミカルエッチングは複数回のケミカルエッチング処理によって構成され、前記複数回のケミカルエッチング処理の途中で前記1対の基板の一方の基板の前記他方主面上に前記ケミカルエッチングに対する耐性が前記1対の基板の他方の基板よりも高いコーティング膜を形成するコーティング膜形成工程をさらに備え、前記コーティング膜を有した状態で残りのケミカルエッチング処理を実施することが好ましい。
【0012】
また、前記エッチング工程よりも前に前記1対の基板の一方の基板の前記他方主面上に前記ケミカルエッチングに対する耐性が前記1対の基板の他方の基板よりも高いコーティング膜を形成するコーティング膜形成工程をさらに備え、前記コーティング膜を有した状態で前記エッチング工程を実施することが好ましい。
【0013】
また、前記コーティング膜形成工程を前記スクライブ溝形成工程よりも前に実施し、前記スクライブ溝形成工程で前記コーティング膜越しに前記スクライブ溝を形成することが好ましい。
【0014】
また、前記貼り合わせ工程で前記1対の基板として厚さが異なる1対の基板を用いることが好ましい。
【0015】
また、前記貼り合わせ体は複数のマークを有し、前記スクライブ溝形成工程で前記複数のマークのうちの2つを結ぶ直線状に前記スクライブ溝を形成することが好ましい。
【0016】
また、前記複数のマークは前記貼り合わせ工程で利用するアライメントマークを含むことが好ましい。
【0017】
また、本発明に係る表示パネルの製造方法は、表示パネルのための1対の基板を互いの一方主面を向き合わせて貼り合わせる貼り合わせ工程と、前記貼り合わせ工程で形成された貼り合わせ体にケミカルエッチングを実施するエッチング工程と、を備え、前記ケミカルエッチングによって前記貼り合わせ体を薄化する表示パネルの製造方法であって、前記貼り合わせ工程で前記1対の基板として厚さが異なる1対の基板を用いることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る表示パネルは、対向して配置された第1基板と第2基板とを備える表示パネルであって、前記第1基板は、前記第2基板の側に位置する第1主面と、前記第1主面よりも前記第2基板から遠くに位置する第2主面と、前記第1主面のエッジから連続して前記第1主面とともに第1角部を構成しかつ前記第2主面のエッジから連続して前記第2主面とともに第2角部を構成する端面と、を含んで構成され、前記第2角部は前記第1角部よりも前記表示パネルの中央部側に位置し、前記端面のうち少なくとも前記第2主面側の部分は鏡面状態であることを特徴とする。
【0019】
また、前記第2基板は、前記第1基板の側に位置する第3主面と、前記第3主面よりも前記第1基板から遠くに位置する第4主面と、前記第3主面のエッジから連続して前記第3主面とともに第3角部を構成しかつ前記第4主面のエッジから連続して前記第4主面とともに第4角部を構成する端面と、を含んで構成され、前記第4角部は前記第3角部よりも前記表示パネルの前記中央部側に位置し、前記第2基板の前記端面のうち少なくとも前記第4主面の側の部分は鏡面状態であることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
上記構成により、表示パネルの基板をケミカルエッチングによって薄化する場合に、スクライブ溝を良好に形成することができる。また、上記のケミカルエッチングによる薄化を行う場合に、基板厚さの異なる表示パネルを容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に図面を用いて本発明に係る実施形態について詳細に説明する。
【0022】
図1の(a)および(b)に本発明に係る実施形態の液晶パネル1を説明する平面図および断面図を示す。なお、図1において(a)中の1B−1B線における断面図が(b)にあたる。
【0023】
図1に示すように、液晶パネル1は、対向配置された2枚の基板10,20と、当該2枚の基板10,20間に配置された液晶90と、液晶90を基板10,20とともに基板10,20間に封入するためのシール30とを含んで構成されている。
【0024】
液晶パネル1は、カラー表示、モノクロ表示のいずれでもよいし、透過型、半透過型、反射型のいずれでもよい。また、液晶パネル1における液晶90の配向制御の方式も特に限定されるものではなく、基板10,20間の電界(縦電界)によって配向状態を制御する方式、例えばTN(Twisted Nematic)方式であってもよいし、基板10に設けられた2種の電極間での電界(横電界または斜め電界)によって配向状態を制御する方式、例えばIPS(In-Plane Switching)方式やFFS(Fringe Field Switching)方式であってもよい。すなわち、基板10,20はどのような構成を有していても構わない。
【0025】
基板20は、説明をわかりやすくするために、ここでは、液晶90の配向状態を制御するための電極や当該電極の電位を制御するためのスイッチング素子等(いずれも不図示)が下地基板の一方の主面上に形成された構成を有するアレイ基板とする。アレイ基板は、素子基板等とも呼ばれ、上記スイッチング素子がTFT(Thin Film Transistor)の場合にはTFT基板とも呼ばれる。なお、下地基板はここでは主面が四角形のガラス基板とする。
【0026】
他方、基板10は、ここでは、対向基板とする。対向基板10は、下地基板の一方の主面上に例えば不図示のカラーフィルタ等が配置された構成を有し、カラーフィルタを有する場合にはカラーフィルタ基板とも呼ばれる。なお、下地基板はここでは主面が四角形のガラス基板とする。
【0027】
アレイ基板20は、対向基板10よりも広く、対向基板10に重なる部分21と対向基板10に重ならない部分22とを有している。対向基板10に重ならない部分22には外部接続端子領域とチップ搭載領域との少なくとも一方が設けられている。
【0028】
シール30は両基板10,20に固着して両基板10,20を支持する部材であり、これにより両基板10,20が互いに固定される。シール30は大略、対向基板10の周縁に沿って延在している。ここでは、シール30が液晶注入口31を有し液晶注入口31が不図示の封口部材で封止される構造を例示するが、液晶パネル1は、液晶注入口31を有さず、いわゆる液晶滴下法(ワン・ドロップ・フィル法)によって製造される構造であってもよい。
【0029】
液晶パネル1は両基板10,20よりも大判の基板を用いて製造される。なお、大判の基板から複数個の液晶パネルを製造する場合には、当該大判基板は多数個取り基板、多面取り基板、マザー基板とも呼ばれる。
【0030】
図2に液晶パネル1の製造方法の手順を説明するフローチャートを示す。図2に示すように、この製造方法は、大判対向基板製造工程ST10と、大判アレイ基板製造工程ST20と、シール形成工程ST30と、貼り合わせ工程ST40と、エッチング液阻止部材形成工程ST50と、スクライブ溝形成工程ST60と、エッチング工程ST70と、ブレイク工程ST80と、液晶封入工程ST90とを含んでいる。図3〜図7に各工程ST10〜ST90を説明する図を示し、図1〜図7を参照しつつ各工程ST10〜ST90を説明する。
【0031】
大判対向基板製造工程ST10では、完成品の液晶パネル1における対向基板10の下地ガラス基板よりも大判のガラス基板を用いて複数個分の対向基板10がマトリクス状に繋がった状態の大判対向基板110(図3参照)を製造する。具体的には、各種の成膜技術やパターニング技術等を利用して、大判ガラス基板上に各対向基板10の形成領域にそれぞれ対向基板10の各種要素を形成する。
【0032】
大判アレイ基板製造工程ST20では、完成品の液晶パネル1におけるアレイ基板20の下地ガラス基板よりも大判のガラス基板を用いて複数個分のアレイ基板20がマトリクス状に繋がった状態の大判アレイ基板120(図3参照)を製造する。具体的には、各種の成膜技術やパターニング技術等を利用して、大判ガラス基板上に各アレイ基板20の形成領域にそれぞれアレイ基板20の各種要素を形成する。なお、ここでは、基板10,20用の大判ガラス基板は同じ厚さとする。
【0033】
シール形成工程ST30では、大判対向基板110上に各対向基板10に対応させてシール30を形成する(図3参照)。なお、大判アレイ基板120上に、または、両大判基板110,120上にシール30を形成してもよい。
【0034】
貼り合わせ工程ST40は、シール形成工程ST30の後に実施する。貼り合わせ工程ST40では、両大判基板110,120をシール30によって貼り合わせる(図3参照)。具体的には、大判対向基板110と大判アレイ基板120とを、シール30を介して向き合わせて重ね合わせ、シール30を硬化することによって互いに固着する。この際、大判対向基板110における上記各種要素側の主面110S1(図6参照)と大判アレイ基板120における上記各種要素側の主面120S1(図6参照)とを互いに向き合わせる。また、両大判基板110,120は、シール30を硬化する以前に、アライメントマークを利用してアライメント(位置決め)される。
【0035】
ここで、貼り合わせ工程ST40によって得られる、大判基板110,120およびシール30を含んで構成される構造体を貼り合わせ体100と呼ぶことにする。また、大判対向基板110において、上記主面110S1を内側主面110S1と呼び、内側主面110S1に対して裏面にあたる主面110S2を外側主面110S2と呼ぶことにする(図6参照)。同様に、大判アレイ基板120において、上記主面120S1を内側主面120S1と呼び、内側主面120S1に対して裏面にあたる主面120S2を外側主面120S2と呼ぶことにする(図6参照)。なお、各外側主面110S2,120S2は各大判基板110,120を構成する各下地ガラス基板の主面である。
【0036】
エッチング液阻止部材形成工程ST50は、貼り合わせ工程ST40の後に実施する。エッチング液阻止部材150(図4および図5参照)は、後のエッチング工程ST70においてエッチング液が大判基板110,120間へ、より具体的には大判基板110,120とシール30とで囲まれた内部空間へ浸入するのを阻止するための部材である。エッチング液阻止部材形成工程ST50では、貼り合わせ体100の周縁部にエッチング液阻止部材150を設けて貼り合わせ体100の上記内部空間を外部と遮断する。
【0037】
エッチング液阻止部材150は、例えば液晶注入口31を封止する封口材に用いられる紫外線硬化性樹脂で構成することできる。エッチング液阻止部材形成工程ST50では、液状またはペースト状のエッチング液阻止部材150を、貼り合わせ体100の周縁端面に例えばディスペンス法で塗布することにより大判基板110,120間の隙間へ注入し硬化する。これにより、貼り合わせ体100の全周縁部にエッチング液阻止部材150を設ける。
【0038】
スクライブ溝形成工程ST60は、エッチング液阻止部材形成工程ST50の後に実施する。スクライブ溝形成工程ST60では、貼り合わせ体100を個々の液晶パネル1に対応させて分断(ブレイク)するためのスクライブ溝160を、両大判基板110,120の外側主面110S2,120S2に形成する(図5および図6参照)。なお、図5等の平面図では図面の煩雑化を避けるためにスクライブ溝160を一点鎖線で図示している。
【0039】
スクライブ溝はスクライブ線とも呼ばれる。スクライブ溝160は、カッターやレーザ光等の各種手段で形成可能である。スクライブ溝160の各外側主面110S2,120S2からの深さは、例えば大判基板110,120の厚さの10%程度である。なお、各大判基板110,120の下地ガラス基板上に形成された上記各種要素は下地ガラス基板に比べて非常に薄いので、各大判基板110,120の厚さは各下地ガラス基板の厚さにほぼ等しい。また、鋭利な溝形成手段によれば、図6等に一点鎖線で図示するように、スクライブ溝160の断面(延在方向に垂直な断面)はV字形状になる。なお、スクライブ溝160は人工的に形成する溝であるので、深さ、断面形状、外側主面110S2,120S2における開口幅等を延在方向に垂直な各断面において同じにすなわち均質に形成することが可能であり、均質であることが好ましい。
【0040】
スクライブ溝160は、大判対向基板110には対向基板10の外形に合わせて直線状に形成し、大判アレイ基板120にはアレイ基板20の外形に合わせて直線状に形成する。このため、液晶パネル1において両基板10,20の端面が揃っている箇所に対応する位置では両大判基板110,120のスクライブ溝160は互いに対向して形成され、液晶パネル1においてアレイ基板20の2つの部分21,22(図1参照)の境界に対応する位置では大判対向基板110にのみスクライブ溝160が形成される。
【0041】
ここで、上記のように大判対向基板110は対向基板10がマトリクス状に配列された状態に相当するので、各対向基板10用のスクライブ溝160同士を連続させ大判対向基板110全体において直線状に形成することができる。この点は大判アレイ基板120に形成するスクライブ溝160についても同様である。
【0042】
また、スクライブ溝160の形成位置を規定するマークMを貼り合わせ体100に設けることにより、2つのマークMを結んでスクライブ溝160を形成することができる。マークMは、対向基板10およびアレイ基板20の各角に相当する位置に設けてもよいし(図5参照)、上記のように基板10,20のマトリクス配列を利用して大判基板110、120全体に渡って直線状に形成する場合には大判基板110,120の外周部にのみ設けてもよい。さらに、マークMの一部または全部を、貼り合わせ工程ST40で大判基板110,120を位置決めする際に利用するアライメントマークと共用してもよい。
【0043】
マークMは、スクライブ溝形成工程ST60までに形成すればよく、例えば、大判対向基板製造工程ST10で大判対向基板110内に作り込んでもよいし、大判アレイ基板製造工程ST20で大判アレイ基板120内に作り込んでもよいし、両大判基板110,120内に作り込んでもよい。これらの場合、マークMは、アライメントマークと同様の形成方法によって形成可能であり、また、アライメントマークと同時に形成してもよい。また、貼り合わせ工程ST40以降に大判対向基板110の外側主面110S2と大判アレイ基板120の外側主面120S2との少なくとも一方に例えば印刷によってマークMを形成してもよい。
【0044】
また、マークMは、貼り合わせ体100に形成されていればよい。すなわち、図5等に例示した“+”(プラス形状)のパターン自体を上記のように大判基板110,120の少なくとも一方に形成してもよいし、 “+”の縦棒部分を大判対向基板110に形成し “+”の横棒部分を大判アレイ基板120に形成しこれら両部分が貼り合わせ体100において重なることによって“+”のパターンを形成するようにしてもよい。なお、マークMの平面パターンは図5等に例示した“+”に限られない。
【0045】
エッチング工程ST70は、スクライブ溝形成工程ST60の後に実施する。エッチング工程ST70では、貼り合わせ体100に対してケミカルエッチング処理を実施する。具体的には、貼り合わせ体100を例えばフッ酸溶液へ浸漬することによって大判基板110,120の下地ガラス基板をエッチングする。なお、図6等ではエッチング工程ST70前の大判基板110,120を一点鎖線で図示している。図6に示すように、エッチング工程ST70によって、大判基板110,120が外側主面110S2,120S2側からエッチングされて全体的に薄くなるとともに、スクライブ溝160もエッチングされて深くなり、開口も広がる。エッチング工程ST70でのケミカルエッチング処理は複数回の処理で構成してもよく、例えば複数のエッチング液槽を順次に移動させてエッチング工程ST70を実施してもよい(後述する)。
【0046】
なお、エッチング液阻止部材150(図4および図5参照)によって、貼り合わせ体100の内部空間がエッチング液にさらされるのが防止される。
【0047】
ブレイク工程ST80は、エッチング工程ST70の後に実施する。ブレイク工程ST80では、上記ケミカルエッチングによって深くなったスクライブ溝160を利用して大判基板110,120を機械的に分断する。具体的には、例えばブレイクバー等によって衝撃を与えることにより、各大判基板110,120においてスクライブ溝160の底面と内側主面110S1,120S1との間のエッチングされずに残った部分を基板厚さ方向に破断する。これにより、貼り合わせ体100が、後に液晶パネル1になる液晶90を封入するための容器に切り分けられる(図7参照)。
【0048】
液晶封入工程ST90はブレイク工程ST80の後に実施する。液晶封入工程ST90では、ブレイク工程ST80で得られた上記容器内に液晶90を注入し、液晶注入口31(図1参照)を封口する。
【0049】
上記製造方法によって製造された液晶パネル1の対向基板10の表面は、図7の断面図に示すように、内側主面(第1主面または第3主面)10S1と、外側主面(第2主面または第4主面)10S2と、端面10Tとを含んで構成されている。ここで、内側主面10S1は、大判対向基板110の内側主面110S1に対応し、外側主面10S2よりもアレイ基板20の側に位置している。外側主面10S2は、大判対向基板110の外側主面110S2に対応し、内側主面10S1よりもアレイ基板20から遠くに位置している。端面10Tは、両主面10S1,10S2のエッジから連続し両主面10S1,10S2間を繋いでいる面である。
【0050】
端面10Tは、内側主面10S1の側の第1部分10T1と、外側主面10S2の側の第2部分10T2とに大別される。端面10Tの第1部分10T1は、内側主面10S1から連続した面であり、内側主面10S1との交差によって角部(第1角部または第3角部)10C1を形成している。端面10Tの第2部分10T2は、外側主面10S2から連続した面であり、外側主面10S2との交差によって角部(第2角部または第4角部)10C2を形成している。端面10Tの第2部分10T2は、スクライブ溝160の内表面にあたり、このためケミカルエッチング処理された鏡面状態になっている。これに対し、端面10Tの第1部分10T1は、ブレイク工程ST80によって形成された大判対向基板110の破断面であり、鏡面状態の第2部分10T2よりも表面状態が粗い。また、両部分10T1,10T2の形成過程の違いに起因して、外側主面10S2側の角部10C2の方が内側主面10S1側の角部10C1よりも液晶パネル1の中央部側に位置しており、第1部分10T1は内側主面10S1に略垂直な平面であり、第2部分10T2は外側主面10S2付近では当該主面10S2に略垂直を成しつつ外側主面10S2と第1部分10T1とをなだらかに繋ぐ曲面である。
【0051】
同様に、アレイ基板20の表面は、大判アレイ基板120の内側主面120S1に対応する内側主面(第3主面または第1主面)20S1と、大判アレイ基板120の外側主面120S2に対応する外側主面(第4主面または第2主面)20S2と、端面20Tとを含んで構成されている。端面20Tは、内側主面20S1のエッジから連続して内側主面20S1との交差によって角部(第3角部または第1角部)20C1を形成する第1部分20T1と、外側主面20S2のエッジから連続して外側主面20S2との交差によって角部(第4角部または第2角部)20C2を形成する第2部分20T2とに大別される。端面20Tの第2部分20T2はケミカルエッチング処理された鏡面状態になっているのに対して、端面20Tの第1部分20T1は第2部分20T2よりも表面状態が粗い。外側主面20S2側の角部20C2の方が内側主面20S1側の角部20C1よりも液晶パネル1の中央部側に位置しており、第1部分20T1は内側主面20S1に略垂直な平面であり、第2部分20T2は外側主面20S2付近では当該主面20S2に略垂直を成しつつ外側主面20S2と第1部分20T1とをなだらかに繋ぐ曲面である。
【0052】
なお、図7には液晶パネル1において両端面10T,20Tが揃っている端部を図示しているが、アレイ基板20の2つの部分21,22(図1参照)の境界に対向する位置における対向基板10の端部も上記と同様である。
【0053】
上記構成により、スクライブ溝160を薄化前の厚い状態の大判基板110,120に対して形成するので、薄化後に形成するよりも、大判基板110,120の割れ等を低減することができる。また、スクライブ溝160は形成後にケミカルエッチングによって深くするので従来よりも浅くてもよく、このためスクライブ溝形成時の上記割れ等をいっそう低減することができる。したがって、スクライブ溝160を良好に形成することができる。また、ケミカルエッチングによってスクライブ溝160を深くするので、大判基板110,120を容易かつ安定的に分断することができる。また、スクライブ溝160の深化と大判基板110,120の薄化とをケミカルエッチングによって同時に行うので、スクライブ溝160の深化のために別途の工程を設ける必要がない。このように、ケミカルエッチングによって基板薄化を実施する製造方法において、生産性が向上する。
【0054】
また、上記のようにスクライブ溝160はケミカルエッチングによって深くなるとともに開口が広がる。このため、大判基板110,120においてスクライブ溝160の形成によってストレスを受けた部分をケミカルエッチングによって除去することができる。その結果、完成品の液晶パネル1において基板10,20の角部10C2,20C2および端面10T,20Tの第2部分10T2,20T2にはストレスが残っていないので、スクライブ溝160にケミカルエッチングをしない場合に比べて強度が高い。
【0055】
図8に液晶パネル1の実施形態2の製造方法の手順を説明するフローチャートを示す。図8に示すように、実施形態2の製造方法は、実施形態1の製造方法からブレイク工程ST80を削除し、実施形態1の製造方法にエッチング耐性部材形成工程ST100を追加した構成を有する。
【0056】
まず、図9の断面図を参照して、本製造方法を概説する。本製造方法のエッチング工程ST70では、実施形態1の製造方法と同様に大判基板110,120を薄化するとともにスクライブ溝160を深化するのであるが、図9に示すようにスクライブ溝160の深化をスクライブ溝160が大判基板110,120の内側主面110S1,120S1に到達するまで行う。つまり、本製造方法ではスクライブ溝160の深化によって大判基板110,120を分断し、これによりブレイク工程ST80を省略するものである。
【0057】
このエッチング工程ST70によれば、分断された大判基板110,120間の隙間へエッチング液が浸入したり、分断された貼り合わせ体100がエッチング液槽内でばらばらに散乱したりする可能性がある。このため、本製造方法ではエッチング耐性部材200を利用する。
【0058】
すなわち、エッチング耐性部材形成工程ST100では、図10の平面図に示すように、大判アレイ基板120の内側主面120S1上であって、各大判基板110,120のスクライブ溝160の形成位置にエッチング耐性部材200を配置する。なお、図10には、説明のために、エッチング耐性部材形成工程ST100よりも後で形成されるスクライブ溝160を図示している。
【0059】
エッチング耐性部材200は、エッチング液に対して耐性を有する材料、例えばエッチング液がフッ酸溶液の場合にはエポキシ樹脂や塩化ビニル等の樹脂で構成され、例えばシール30と同じ材料で構成することができる。エッチング耐性部材200は、例えば、液状またはペースト状の上記エッチング耐性材料を印刷法やディスペンス法で塗布することにより、あるいは、上記エッチング耐性部材で構成されたテープ状部材を貼り付けることにより、配置可能である。なお、図8とは逆に、エッチング耐性部材200を大判対向基板110上に形成し、シール30を大判アレイ基板120上に形成してもよい。そして、エッチング耐性部材形成工程ST100の後に、貼り合わせ工程ST40を実施する。
【0060】
貼り合わせ工程ST40で、エッチング耐性部材200を有する大判アレイ基板120とシール30を有する大判対向基板110とを貼り合わせることによって、エッチング耐性部材200を大判基板110,120で挟み込んで支持する。そして、その後のスクライブ溝形成工程ST60では、エッチング耐性部材200に対向してスクライブ溝160を形成する。
【0061】
エッチング工程ST70では、上記のようにスクライブ溝160を大判基板110,120の内側主面110S1,120S1に到達させる。これにより、別途のブレイク工程を設けることなく、エッチング工程ST70において大判基板110,120を分断することができる。このとき、エッチング耐性部材200が大判基板110,120間に挟み込まれているので、エッチング液の浸入や分割された貼り合わせ体100の散乱を防止することができる。なお、例えばエッチング耐性部材200をエッチング工程ST70の後にカッター等で切断することにより、貼り合わせ体100を、後に液晶90を封入するための容器に切り分けることができる。
【0062】
図11に実施形態2の製造方法により製造された液晶パネル1の断面図を示す。図11と上記図7とを比較すればわかるように、スクライブ溝160の深化の度合いの違いに起因して、実施形態2の製造方法による液晶パネル1の端面10T,20Tは全体がスクライブ溝160の内表面にあたり、このため全体が鏡面状態になっている。換言すれば、当該端面10T,20Tは上記第2部分10T2,20T2(図7参照)のみで構成されている。その他の点は実施形態1の製造方法による図7の液晶パネル1と同様である。このため、液晶パネル1において端面10T,20T全体および角部10C2,20C2においてスクライブ溝160の形成時のストレスが除去されており強度が向上している。
【0063】
なお、図11では液晶パネル1においてエッチング耐性部材200を残しているが、当該部材200と基板10,20との接着性が無いまたは弱い場合には、エッチング工程ST70後に取り除いてもよい。
【0064】
図12に実施形態2の他の製造方法の手順を説明するフローチャートを示す。図12に示すように、本製造方法は、実施形態2の上記製造方法において、エッチング耐性部材形成工程ST100を削除し、シール形成工程ST30をシールおよびエッチング耐性部材形成工程ST30Bに替えた構成を有する。工程ST30Bでは、例えばディスペンサ法によってシール30とエッチング耐性部材200とを順次に形成してもよいし(順序は問わない)、エッチング耐性部材200をシール30と同じ材料で構成し印刷法によってシール30と同時に形成してもよい。なお、シール30およびエッチング耐性部材200の両方を、大判アレイ基板120上に、または、両大判基板110,120上に形成してもよい。
【0065】
その後、貼り合わせ工程ST40で、シール30およびエッチング耐性部材200を有する大判対向基板110と大判アレイ基板110とを貼り合わせることによって、エッチング耐性部材200を大判基板110,120で挟み込む。
【0066】
上記のようにエッチング耐性部材200をシール30と同じ材料で構成し単一の大判基板110,120上に同時に印刷する場合には、両者200,30を同時に形成可能である。他方、耐性部材200とシール30とを別々の大判基板110,120上に形成する場合には、両者200,30の形成工程を並行して実施可能である。つまり、エッチング耐性部材200を追加しても全体の製造時間の増加は抑制可能である。
【0067】
ところで、液晶パネル1において対向基板10とアレイ基板20とで厚さを違える場合がある。例えば、いわゆるパララックスバリア方式による3D用液晶モジュールは液晶パネルと対向基板側に配置されたパララックスバリアとを含んで構成され、対向基板の内側主面とパララックスバリアとの距離が短いほど好ましいので、対向基板は薄い方が好ましい。そこで、実施形態3〜6ではケミカルエッチングを利用して製造された両基板10,20の厚さが異なる液晶パネル1を説明する。
【0068】
図13に液晶パネル1の実施形態3の製造方法の手順を説明するフローチャートを示し、図14に本製造方法を説明する断面図を示す。本製造方法では、コーティング膜220を利用して、ケミカルエッチングによるエッチング量を大判対向基板110と大判アレイ基板120とで違える。このため、本製造方法は、図2の実施形態1の製造方法に、コーティング膜形成工程ST110およびコーティング膜除去工程ST120を追加した構成を有する。
【0069】
コーティング膜形成工程ST110は、エッチング工程ST70よりも前に実施し、ここではスクライブ溝形成工程ST60の後からエッチング工程ST70の前までの間に実施する。コーティング膜形成工程ST110では、大判アレイ基板120の外側主面120S2上に、エッチング工程ST70でのエッチング液に対して耐性を有する部材でコーティング膜220を形成する。コーティング膜220は、例えば上記エッチング耐性部材200と同じ材料やフォトレジスト等で構成することができ、液状またはペースト状の当該材料をスピンコート法で塗布することによって大判アレイ基板120の外側主面120S2上に形成することができる。また、コーティング膜220を上記エッチング耐性材料から成るフィルムで構成し、当該フィルムを外側主面120S2上に貼り付けてもよい。また、例えばエッチング液がフッ酸溶液の場合にはコーティング膜220としてシリコン窒化膜を外側主面120S2上に成膜してもよい。
【0070】
そして、エッチング工程ST70ではコーティング膜220を有した状態でケミカルエッチング処理を実施する。このため、コーティング膜220の有無によって、大判対向基板110と大判アレイ基板120とでエッチング量を違えることができる。その結果、対向基板10の方が薄い液晶パネル1を製造することができる。
【0071】
コーティング膜除去工程ST120は、エッチング工程ST70よりも後に、ここではエッチング工程ST70の後からブレイク工程ST80の前までの間に実施する。なお、コーティング膜220が完成品において影響を及ぼさない場合、例えばコーティング膜220が透明な場合、コーティング膜除去工程120を省略してコーティング膜220を残してもよい。
【0072】
ブレイク工程ST80では、上記と同様に、ブレイクバー等によって衝撃を与えて機械的に大判基板110,120を分断する。このとき、コーティング膜220で覆われる大判アレイ基板120にもスクライブ溝形成工程ST60でスクライブ溝160を形成しておくことにより(図14参照)、ブレイク工程ST80でそのスクライブ溝160を利用することができる。このように大判アレイ基板120にも基板薄化前にスクライブ溝160を形成しておけば、薄化された大判対向基板110に割れ等を発生させずに、スクライブ溝160を形成することができる。
【0073】
上記ではコーティング膜220がエッチング工程ST70でのエッチング液に対して耐性を有する場合を例示したが、コーティング膜220は、薄くする大判対向基板110よりも上記エッチング耐性が高ければよく、換言すれば大判対向基板110よりも上記エッチング液に対するエッチングレートが低ければよい。このようなコーティング膜220によれば、エッチング工程ST70の実施中にコーティング膜220の全部がエッチングされてしまい大判アレイ基板120がエッチングされる場合もあるが、大判アレイ基板120の外側主面120S2のエッチング開始時を大判対向基板110の外側主面110S2のエッチング開始時よりも遅らせることが可能である。このエッチング開始時の時間差により、大判アレイ基板120を大判対向基板110よりも厚く残すことができる。
【0074】
図15に液晶パネル1の実施形態4の製造方法の手順を説明するフローチャートを示し、図16に本製造方法を説明する断面図を示す。本製造方法は、上記実施形態3の製造方法においてスクライブ溝形成工程ST60とコーティング膜形成工程ST110との実施順序を入れ替えた構成を有する。すなわち、コーティング膜220を形成した後にスクライブ溝160を形成する。
【0075】
したがって、スクライブ溝形成工程ST60では、大判アレイ基板120に対しては外側主面120S2にコーティング膜220越しにスクライブ溝160を形成する。このため、大判アレイ基板120にスクライブ溝160が形成されるとともに、コーティング膜220はスクライブ溝160上で開口される。その結果、コーティング膜220の上記開口を介してスクライブ溝160へエッチング液が浸入するので、実施形態1,2の製造方法と同様に、大判アレイ基板120のスクライブ溝160を深化することができる。
【0076】
図17に実施形態5の製造方法の手順を説明するフローチャートを示し、図18および図19に本製造方法でのエッチング工程ST70を説明する断面図を示す。図17に示すように、本製造方法は、上記と同様に工程ST10〜ST90,ST110,ST120を含んでいるが、エッチング工程ST70を2回のケミカルエッチング処理ST71,ST72に分けて行い、また、工程の実施順序が異なる。
【0077】
本製造方法では、実施形態1の製造方法(図2参照)と同様に、大判対向基板製造工程ST10、大判アレイ基板製造工程ST20、シール形成工程ST30、貼り合わせ工程ST40、エッチング液阻止部材形成工程ST50およびスクライブ溝形成工程ST60をこの順序で実施する。その後、エッチング工程ST70を2回に分けて行い、1回目のエッチング処理ST71と2回目のエッチング処理ST72との間にコーティング膜形成工程ST110を実施する。2回目のエッチング処理ST72の後、コーティング膜除去工程ST120、ブレイク工程ST80および液晶封入工程ST90をこの順序で実施する。
【0078】
1回目のケミカルエッチング処理ST71では、図18に示すようにコーティング膜220を用いずに両大判基板110,120をエッチングし、大判アレイ基板120が所定の厚さに達したらエッチング処理を終了する。この1回目の処理ST71により大判アレイ基板120が所定の厚さに薄化される。
【0079】
コーティング膜形成工程ST110では、図19に示すように、所定の厚さに薄化された大判アレイ基板120の外側主面120S2上にコーティング膜220を形成する。なお、大判アレイ基板120のスクライブ溝160は、コーティング膜220で塞がれるが、1回目のケミカルエッチング処理ST71によってエッチングされ形成当初よりも深くなっている。
【0080】
エッチング工程ST70の2回目のケミカルエッチング処理ST72は、図19に示すようにコーティング膜220を有した状態で実施する。このため、コーティング膜220の有無によって、大判対向基板110と大判アレイ基板120とでエッチング量を違えることができる。
【0081】
エッチング工程ST70に含まれるケミカルエッチング処理は上記例示の2回に限られない。すなわち、本製造方法では、エッチング工程ST70が複数回のケミカルエッチング処理で構成される場合、例えば複数のエッチング液槽を順次に移動してエッチング工程ST70をする場合、その複数回のケミカルエッチング処理の途中で大判アレイ基板120上にコーティング膜220を形成し、コーティング膜220を有した状態で残りのケミカルエッチング処理を実施する。なお、上記複数のエッチング液槽でのエッチング条件は同じでもよいし異なっていてもよい。
【0082】
図20および図21に実施形態6の製造方法を説明する断面図を示す。本製造方法ではコーティング膜220を用いずに大判基板110,120の厚さを違える。なお、本製造方法の手順は実施形態1の製造方法と同じなので、図2のフローチャートも参照する。
【0083】
実施形態6の製造方法では、大判対向基板製造工程ST10では、大判アレイ基板製造工程ST20で用いる下地ガラス基板よりも薄い下地ガラス基板を用い、大判アレイ基板120よりも薄い大判対向基板110を製造する。これにより、その後の貼り合わせ工程ST40では、図20に示すように、薄い対向基板110と厚い大判アレイ基板120とを貼り合わせる。その後の工程ST50〜ST90は実施形態1と同様である。
【0084】
上記構成により、エッチング工程ST70では、図21に示すように、両大判基板110,120は同じ厚さだけケミカルエッチングされる。このため、コーティング膜220を用いることなく、大判対向基板110を大判アレイ基板120よりも薄くすることができる。したがって、コーティング膜220の形成および除去が必要ないので、その分、基板10,20の厚さの異なる液晶パネル1を容易に製造することができ、生産性を向上させることができる。
【0085】
実施形態3〜6では大判対向基板110、すなわち対向基板10の方を薄くする場合を説明したが、同様にしてアレイ基板120の方を薄くすることも可能である。また、実施形態3〜6の製造方法と実施形態2の製造方法とを組み合わせることも可能である。
【0086】
実施形態1〜6ではスクライブ溝形成工程ST60をエッチング液阻止部材形成工程ST50の後に実施する場合を例示したが、両工程ST50,ST60はエッチング工程ST70よりも前に実施すればよく、工程ST50,ST60のいずれを先に実施してもよい。
【0087】
また、実施形態1〜6では大判基板110,120から複数個の液晶パネル1を製造する場合を例示したが、図22の平面図に示すように大判基板110,120から液晶パネル1を1つだけ製造する場合にも上記各製造方法は適用可能である。例えば一般的な規格寸法のガラス基板を用いる場合が考えられる。
【0088】
また、下地基板がガラス以外の材料の場合にも上記各製造方法は適用可能である。
【0089】
また、実施形態1〜6ではスクライブ溝160によって、大判基板110,120から基板10,20を抽出する場合、換言すれば貼り合わせ体100から、液晶90を封入することで後に液晶パネル1となる上記容器を抽出する場合を説明したが、例えば製造設備で取り扱い可能な大きさに合わせるために貼り合わせ体100を分断する場合にも上記各製造方法は適用可能である。
【0090】
また、エッチング液阻止部材150に替えて、図23の平面図に示すエッチング液阻止部材150Bを大判基板110,120間に設けてもよい。エッチング液阻止部材150Bの第1部分151Bは、大判基板110,120全体に対するシール30に相当し、全てのシール30を囲むように大判基板110,120の周縁に沿って大判基板110,120の周縁部に設けられている。第1部分151Bは貼り合わせ工程ST40よりも前に、例えばシール形成工程ST30において大判基板110,120上の一方または両方に塗布される。第1部分151Bは、塗布後の貼り合わせ工程ST40のために、液晶注入口31に相当する通気口を設けて形成される。この通気口はエッチング液阻止部材150Bの第2部分152Bによって大判基板110,120の周縁部において封止される。第2部分152Bは液晶注入口31を封口するのと同様にして形成される。
【0091】
また、液晶パネル1だけでなく、各種の表示パネル、例えばプラズマディスプレイパネルやEL(Electro Luminescence)パネルにも上記各製造方法を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明に係る実施形態の液晶パネルを説明する模式図である。
【図2】本発明に係る実施形態1の液晶パネルの製造方法の手順を説明するフローチャートである。
【図3】本発明に係る実施形態1のシール形成工程および貼り合わせ工程を説明する平面図である。
【図4】本発明に係る実施形態1のエッチング液阻止部材形成工程を説明する断面図である。
【図5】本発明に係る実施形態1のエッチング液阻止部材形成工程およびスクライブ溝形成工程を説明する平面図である。
【図6】本発明に係る実施形態1のスクライブ溝形成工程およびエッチング工程を説明する断面図である。
【図7】本発明に係る実施形態1のブレイク工程および完成後の液晶パネルを説明する断面図である。
【図8】本発明に係る実施形態2の液晶パネルの製造方法の手順を説明するフローチャートである。
【図9】本発明に係る実施形態2の液晶パネルの製造方法を説明する断面図である。
【図10】本発明に係る実施形態2のエッチング耐性部材形成工程を説明する平面図である。
【図11】本発明に係る実施形態2の液晶パネルを説明する断面図である。
【図12】本発明に係る実施形態2の液晶パネルの他の製造方法の手順を説明するフローチャートである。
【図13】本発明に係る実施形態3の液晶パネルの製造方法の手順を説明するフローチャートである。
【図14】本発明に係る実施形態3のスクライブ溝形成工程、コーティング膜形成工程およびエッチング工程を説明する断面図である。
【図15】本発明に係る実施形態4の液晶パネルの製造方法の手順を説明するフローチャートである。
【図16】本発明に係る実施形態4のコーティング膜形成工程、スクライブ溝形成工程およびエッチング工程を説明する断面図である。
【図17】本発明に係る実施形態5の液晶パネルの製造方法の手順を説明するフローチャートである。
【図18】本発明に係る実施形態5のエッチング工程(1回目のケミカルエッチング処理)を説明する断面図である。
【図19】本発明に係る実施形態5のエッチング工程(2回目のケミカルエッチング処理)を説明する断面図である。
【図20】本発明に係る実施形態6の貼り合わせ工程およびスクライブ溝形成工程を説明する断面図である。
【図21】本発明に係る実施形態6のエッチング工程を説明する断面図である。
【図22】本発明に係る実施形態1〜6の他の製造方法を説明する平面図である。
【図23】本発明に係る実施形態1〜6の製造方法に適用可能な他のエッチング液阻止部材形成工程を説明する平面図である。
【図24】従来の液晶パネルの製造方法を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0093】
1 液晶パネル(表示パネル)、10 対向基板、20 アレイ基板、30 シール、90 液晶、100 貼り合わせ体、110 大判対向基板、120 大判アレイ基板、160 スクライブ溝、110S1,120S1 内側主面、110S2,120S2 外側主面、200 エッチング耐性部材、220 コーティング膜、10S1,20S1 内側主面(第1主面,第3主面)、10S2,20S2 外側主面(第2主面,第4主面)、10C1,20C1 角部(第1角部,第3角部)、10C2,20C2 角部(第2角部,第4角部)、10T,20T 端面、M マーク、ST40 貼り合わせ工程、ST50 エッチング液阻止部材形成工程、ST60 スクライブ溝形成工程、ST70 エッチング工程、ST71,ST72 ケミカルエッチング処理、ST80 ブレイク工程、ST110 コーティング膜形成工程。
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルの製造方法および表示パネルに係り、具体的にはケミカルエッチングによって薄化処理された表示パネル等に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルの製造方法として、大判(大板)の基板を用いて複数個の液晶パネルを製造する方法が知られている。大判基板を用いる場合、液晶パネルの薄型化の要請に応えるため、大判のまま基板をケミカルエッチングすることによって薄くする製造方法が知られている(特許文献1参照)。また、大判基板を用いる場合、大判基板から個々の液晶パネルを分断(ブレイク)する際に、分断箇所にカッター等でスクライブ線と呼ばれる溝を形成し(スクライブ溝形成工程)、衝撃を与えて分断する(ブレイク工程)(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平4−116619号公報
【特許文献2】特開2001−215480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ケミカルエッチングによって基板を薄化する場合、スクライブ線(スクライブ溝)を形成する作業が困難になるという課題がある。具体的には、薄化された基板にスクライブ溝を形成すると、図24の断面図および平面図に示すように、基板310に割れAが発生したり、スクライブ溝360を形成しただけで基板310が割れしまい所望の分断を行えない(図24中の符号Bの箇所を参照)。また、ケミカルエッチングによれば、対向配置された基板が両方とも同じ厚さだけエッチングされるので、基板厚さが異なる構造の液晶パネルを製造するのは容易ではないという課題がある。
【0005】
本発明の目的は、液晶パネル等の表示パネルの基板をケミカルエッチングによって薄化する場合に、スクライブ溝を良好に形成可能な手段を提供することである。また、本発明の他の目的は、上記のケミカルエッチングによる薄化を行う場合に、基板厚さを容易に違えることが可能な手段を提供することである。以下の手段は、上記目的の少なくとも1つに貢献する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る表示パネルの製造方法は、表示パネルのための1対の基板を互いの一方主面を向き合わせて貼り合わせる貼り合わせ工程と、前記貼り合わせ工程で形成された貼り合わせ体にケミカルエッチングを実施するエッチング工程と、を備え、前記ケミカルエッチングによって前記貼り合わせ体を薄化する表示パネルの製造方法であって、前記1対の基板の少なくとも一方の基板の他方主面にスクライブ溝を形成するスクライブ溝形成工程をさらに備え、前記スクライブ溝形成工程よりも後に前記エッチング工程を実施して前記ケミカルエッチングによって前記貼り合わせ体を薄化するとともに前記スクライブ溝を深くすることを特徴とする。
【0007】
また、前記ケミカルエッチングによって深くなった前記スクライブ溝の底部で前記少なくとも一方の基板を機械的に分断するブレイク工程をさらに備えることが好ましい。
【0008】
また、前記スクライブ溝を前記ケミカルエッチングによって前記一方主面にまで到達させることにより前記エッチング工程で前記少なくとも一方の基板を分断することが好ましい。
【0009】
また、前記貼り合わせ工程で前記ケミカルエッチングに対して耐性を有するエッチング耐性部材を前記1対の基板で挟み、前記スクライブ溝形成工程で前記スクライブ溝を前記エッチング耐性部材に対向させて形成することが好ましい。
【0010】
また、前記貼り合わせ工程では前記1対の基板をシールで互いに固定し、前記エッチング耐性部材を前記シールと同じ材料で形成することが好ましい。
【0011】
また、前記ケミカルエッチングは複数回のケミカルエッチング処理によって構成され、前記複数回のケミカルエッチング処理の途中で前記1対の基板の一方の基板の前記他方主面上に前記ケミカルエッチングに対する耐性が前記1対の基板の他方の基板よりも高いコーティング膜を形成するコーティング膜形成工程をさらに備え、前記コーティング膜を有した状態で残りのケミカルエッチング処理を実施することが好ましい。
【0012】
また、前記エッチング工程よりも前に前記1対の基板の一方の基板の前記他方主面上に前記ケミカルエッチングに対する耐性が前記1対の基板の他方の基板よりも高いコーティング膜を形成するコーティング膜形成工程をさらに備え、前記コーティング膜を有した状態で前記エッチング工程を実施することが好ましい。
【0013】
また、前記コーティング膜形成工程を前記スクライブ溝形成工程よりも前に実施し、前記スクライブ溝形成工程で前記コーティング膜越しに前記スクライブ溝を形成することが好ましい。
【0014】
また、前記貼り合わせ工程で前記1対の基板として厚さが異なる1対の基板を用いることが好ましい。
【0015】
また、前記貼り合わせ体は複数のマークを有し、前記スクライブ溝形成工程で前記複数のマークのうちの2つを結ぶ直線状に前記スクライブ溝を形成することが好ましい。
【0016】
また、前記複数のマークは前記貼り合わせ工程で利用するアライメントマークを含むことが好ましい。
【0017】
また、本発明に係る表示パネルの製造方法は、表示パネルのための1対の基板を互いの一方主面を向き合わせて貼り合わせる貼り合わせ工程と、前記貼り合わせ工程で形成された貼り合わせ体にケミカルエッチングを実施するエッチング工程と、を備え、前記ケミカルエッチングによって前記貼り合わせ体を薄化する表示パネルの製造方法であって、前記貼り合わせ工程で前記1対の基板として厚さが異なる1対の基板を用いることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る表示パネルは、対向して配置された第1基板と第2基板とを備える表示パネルであって、前記第1基板は、前記第2基板の側に位置する第1主面と、前記第1主面よりも前記第2基板から遠くに位置する第2主面と、前記第1主面のエッジから連続して前記第1主面とともに第1角部を構成しかつ前記第2主面のエッジから連続して前記第2主面とともに第2角部を構成する端面と、を含んで構成され、前記第2角部は前記第1角部よりも前記表示パネルの中央部側に位置し、前記端面のうち少なくとも前記第2主面側の部分は鏡面状態であることを特徴とする。
【0019】
また、前記第2基板は、前記第1基板の側に位置する第3主面と、前記第3主面よりも前記第1基板から遠くに位置する第4主面と、前記第3主面のエッジから連続して前記第3主面とともに第3角部を構成しかつ前記第4主面のエッジから連続して前記第4主面とともに第4角部を構成する端面と、を含んで構成され、前記第4角部は前記第3角部よりも前記表示パネルの前記中央部側に位置し、前記第2基板の前記端面のうち少なくとも前記第4主面の側の部分は鏡面状態であることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
上記構成により、表示パネルの基板をケミカルエッチングによって薄化する場合に、スクライブ溝を良好に形成することができる。また、上記のケミカルエッチングによる薄化を行う場合に、基板厚さの異なる表示パネルを容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に図面を用いて本発明に係る実施形態について詳細に説明する。
【0022】
図1の(a)および(b)に本発明に係る実施形態の液晶パネル1を説明する平面図および断面図を示す。なお、図1において(a)中の1B−1B線における断面図が(b)にあたる。
【0023】
図1に示すように、液晶パネル1は、対向配置された2枚の基板10,20と、当該2枚の基板10,20間に配置された液晶90と、液晶90を基板10,20とともに基板10,20間に封入するためのシール30とを含んで構成されている。
【0024】
液晶パネル1は、カラー表示、モノクロ表示のいずれでもよいし、透過型、半透過型、反射型のいずれでもよい。また、液晶パネル1における液晶90の配向制御の方式も特に限定されるものではなく、基板10,20間の電界(縦電界)によって配向状態を制御する方式、例えばTN(Twisted Nematic)方式であってもよいし、基板10に設けられた2種の電極間での電界(横電界または斜め電界)によって配向状態を制御する方式、例えばIPS(In-Plane Switching)方式やFFS(Fringe Field Switching)方式であってもよい。すなわち、基板10,20はどのような構成を有していても構わない。
【0025】
基板20は、説明をわかりやすくするために、ここでは、液晶90の配向状態を制御するための電極や当該電極の電位を制御するためのスイッチング素子等(いずれも不図示)が下地基板の一方の主面上に形成された構成を有するアレイ基板とする。アレイ基板は、素子基板等とも呼ばれ、上記スイッチング素子がTFT(Thin Film Transistor)の場合にはTFT基板とも呼ばれる。なお、下地基板はここでは主面が四角形のガラス基板とする。
【0026】
他方、基板10は、ここでは、対向基板とする。対向基板10は、下地基板の一方の主面上に例えば不図示のカラーフィルタ等が配置された構成を有し、カラーフィルタを有する場合にはカラーフィルタ基板とも呼ばれる。なお、下地基板はここでは主面が四角形のガラス基板とする。
【0027】
アレイ基板20は、対向基板10よりも広く、対向基板10に重なる部分21と対向基板10に重ならない部分22とを有している。対向基板10に重ならない部分22には外部接続端子領域とチップ搭載領域との少なくとも一方が設けられている。
【0028】
シール30は両基板10,20に固着して両基板10,20を支持する部材であり、これにより両基板10,20が互いに固定される。シール30は大略、対向基板10の周縁に沿って延在している。ここでは、シール30が液晶注入口31を有し液晶注入口31が不図示の封口部材で封止される構造を例示するが、液晶パネル1は、液晶注入口31を有さず、いわゆる液晶滴下法(ワン・ドロップ・フィル法)によって製造される構造であってもよい。
【0029】
液晶パネル1は両基板10,20よりも大判の基板を用いて製造される。なお、大判の基板から複数個の液晶パネルを製造する場合には、当該大判基板は多数個取り基板、多面取り基板、マザー基板とも呼ばれる。
【0030】
図2に液晶パネル1の製造方法の手順を説明するフローチャートを示す。図2に示すように、この製造方法は、大判対向基板製造工程ST10と、大判アレイ基板製造工程ST20と、シール形成工程ST30と、貼り合わせ工程ST40と、エッチング液阻止部材形成工程ST50と、スクライブ溝形成工程ST60と、エッチング工程ST70と、ブレイク工程ST80と、液晶封入工程ST90とを含んでいる。図3〜図7に各工程ST10〜ST90を説明する図を示し、図1〜図7を参照しつつ各工程ST10〜ST90を説明する。
【0031】
大判対向基板製造工程ST10では、完成品の液晶パネル1における対向基板10の下地ガラス基板よりも大判のガラス基板を用いて複数個分の対向基板10がマトリクス状に繋がった状態の大判対向基板110(図3参照)を製造する。具体的には、各種の成膜技術やパターニング技術等を利用して、大判ガラス基板上に各対向基板10の形成領域にそれぞれ対向基板10の各種要素を形成する。
【0032】
大判アレイ基板製造工程ST20では、完成品の液晶パネル1におけるアレイ基板20の下地ガラス基板よりも大判のガラス基板を用いて複数個分のアレイ基板20がマトリクス状に繋がった状態の大判アレイ基板120(図3参照)を製造する。具体的には、各種の成膜技術やパターニング技術等を利用して、大判ガラス基板上に各アレイ基板20の形成領域にそれぞれアレイ基板20の各種要素を形成する。なお、ここでは、基板10,20用の大判ガラス基板は同じ厚さとする。
【0033】
シール形成工程ST30では、大判対向基板110上に各対向基板10に対応させてシール30を形成する(図3参照)。なお、大判アレイ基板120上に、または、両大判基板110,120上にシール30を形成してもよい。
【0034】
貼り合わせ工程ST40は、シール形成工程ST30の後に実施する。貼り合わせ工程ST40では、両大判基板110,120をシール30によって貼り合わせる(図3参照)。具体的には、大判対向基板110と大判アレイ基板120とを、シール30を介して向き合わせて重ね合わせ、シール30を硬化することによって互いに固着する。この際、大判対向基板110における上記各種要素側の主面110S1(図6参照)と大判アレイ基板120における上記各種要素側の主面120S1(図6参照)とを互いに向き合わせる。また、両大判基板110,120は、シール30を硬化する以前に、アライメントマークを利用してアライメント(位置決め)される。
【0035】
ここで、貼り合わせ工程ST40によって得られる、大判基板110,120およびシール30を含んで構成される構造体を貼り合わせ体100と呼ぶことにする。また、大判対向基板110において、上記主面110S1を内側主面110S1と呼び、内側主面110S1に対して裏面にあたる主面110S2を外側主面110S2と呼ぶことにする(図6参照)。同様に、大判アレイ基板120において、上記主面120S1を内側主面120S1と呼び、内側主面120S1に対して裏面にあたる主面120S2を外側主面120S2と呼ぶことにする(図6参照)。なお、各外側主面110S2,120S2は各大判基板110,120を構成する各下地ガラス基板の主面である。
【0036】
エッチング液阻止部材形成工程ST50は、貼り合わせ工程ST40の後に実施する。エッチング液阻止部材150(図4および図5参照)は、後のエッチング工程ST70においてエッチング液が大判基板110,120間へ、より具体的には大判基板110,120とシール30とで囲まれた内部空間へ浸入するのを阻止するための部材である。エッチング液阻止部材形成工程ST50では、貼り合わせ体100の周縁部にエッチング液阻止部材150を設けて貼り合わせ体100の上記内部空間を外部と遮断する。
【0037】
エッチング液阻止部材150は、例えば液晶注入口31を封止する封口材に用いられる紫外線硬化性樹脂で構成することできる。エッチング液阻止部材形成工程ST50では、液状またはペースト状のエッチング液阻止部材150を、貼り合わせ体100の周縁端面に例えばディスペンス法で塗布することにより大判基板110,120間の隙間へ注入し硬化する。これにより、貼り合わせ体100の全周縁部にエッチング液阻止部材150を設ける。
【0038】
スクライブ溝形成工程ST60は、エッチング液阻止部材形成工程ST50の後に実施する。スクライブ溝形成工程ST60では、貼り合わせ体100を個々の液晶パネル1に対応させて分断(ブレイク)するためのスクライブ溝160を、両大判基板110,120の外側主面110S2,120S2に形成する(図5および図6参照)。なお、図5等の平面図では図面の煩雑化を避けるためにスクライブ溝160を一点鎖線で図示している。
【0039】
スクライブ溝はスクライブ線とも呼ばれる。スクライブ溝160は、カッターやレーザ光等の各種手段で形成可能である。スクライブ溝160の各外側主面110S2,120S2からの深さは、例えば大判基板110,120の厚さの10%程度である。なお、各大判基板110,120の下地ガラス基板上に形成された上記各種要素は下地ガラス基板に比べて非常に薄いので、各大判基板110,120の厚さは各下地ガラス基板の厚さにほぼ等しい。また、鋭利な溝形成手段によれば、図6等に一点鎖線で図示するように、スクライブ溝160の断面(延在方向に垂直な断面)はV字形状になる。なお、スクライブ溝160は人工的に形成する溝であるので、深さ、断面形状、外側主面110S2,120S2における開口幅等を延在方向に垂直な各断面において同じにすなわち均質に形成することが可能であり、均質であることが好ましい。
【0040】
スクライブ溝160は、大判対向基板110には対向基板10の外形に合わせて直線状に形成し、大判アレイ基板120にはアレイ基板20の外形に合わせて直線状に形成する。このため、液晶パネル1において両基板10,20の端面が揃っている箇所に対応する位置では両大判基板110,120のスクライブ溝160は互いに対向して形成され、液晶パネル1においてアレイ基板20の2つの部分21,22(図1参照)の境界に対応する位置では大判対向基板110にのみスクライブ溝160が形成される。
【0041】
ここで、上記のように大判対向基板110は対向基板10がマトリクス状に配列された状態に相当するので、各対向基板10用のスクライブ溝160同士を連続させ大判対向基板110全体において直線状に形成することができる。この点は大判アレイ基板120に形成するスクライブ溝160についても同様である。
【0042】
また、スクライブ溝160の形成位置を規定するマークMを貼り合わせ体100に設けることにより、2つのマークMを結んでスクライブ溝160を形成することができる。マークMは、対向基板10およびアレイ基板20の各角に相当する位置に設けてもよいし(図5参照)、上記のように基板10,20のマトリクス配列を利用して大判基板110、120全体に渡って直線状に形成する場合には大判基板110,120の外周部にのみ設けてもよい。さらに、マークMの一部または全部を、貼り合わせ工程ST40で大判基板110,120を位置決めする際に利用するアライメントマークと共用してもよい。
【0043】
マークMは、スクライブ溝形成工程ST60までに形成すればよく、例えば、大判対向基板製造工程ST10で大判対向基板110内に作り込んでもよいし、大判アレイ基板製造工程ST20で大判アレイ基板120内に作り込んでもよいし、両大判基板110,120内に作り込んでもよい。これらの場合、マークMは、アライメントマークと同様の形成方法によって形成可能であり、また、アライメントマークと同時に形成してもよい。また、貼り合わせ工程ST40以降に大判対向基板110の外側主面110S2と大判アレイ基板120の外側主面120S2との少なくとも一方に例えば印刷によってマークMを形成してもよい。
【0044】
また、マークMは、貼り合わせ体100に形成されていればよい。すなわち、図5等に例示した“+”(プラス形状)のパターン自体を上記のように大判基板110,120の少なくとも一方に形成してもよいし、 “+”の縦棒部分を大判対向基板110に形成し “+”の横棒部分を大判アレイ基板120に形成しこれら両部分が貼り合わせ体100において重なることによって“+”のパターンを形成するようにしてもよい。なお、マークMの平面パターンは図5等に例示した“+”に限られない。
【0045】
エッチング工程ST70は、スクライブ溝形成工程ST60の後に実施する。エッチング工程ST70では、貼り合わせ体100に対してケミカルエッチング処理を実施する。具体的には、貼り合わせ体100を例えばフッ酸溶液へ浸漬することによって大判基板110,120の下地ガラス基板をエッチングする。なお、図6等ではエッチング工程ST70前の大判基板110,120を一点鎖線で図示している。図6に示すように、エッチング工程ST70によって、大判基板110,120が外側主面110S2,120S2側からエッチングされて全体的に薄くなるとともに、スクライブ溝160もエッチングされて深くなり、開口も広がる。エッチング工程ST70でのケミカルエッチング処理は複数回の処理で構成してもよく、例えば複数のエッチング液槽を順次に移動させてエッチング工程ST70を実施してもよい(後述する)。
【0046】
なお、エッチング液阻止部材150(図4および図5参照)によって、貼り合わせ体100の内部空間がエッチング液にさらされるのが防止される。
【0047】
ブレイク工程ST80は、エッチング工程ST70の後に実施する。ブレイク工程ST80では、上記ケミカルエッチングによって深くなったスクライブ溝160を利用して大判基板110,120を機械的に分断する。具体的には、例えばブレイクバー等によって衝撃を与えることにより、各大判基板110,120においてスクライブ溝160の底面と内側主面110S1,120S1との間のエッチングされずに残った部分を基板厚さ方向に破断する。これにより、貼り合わせ体100が、後に液晶パネル1になる液晶90を封入するための容器に切り分けられる(図7参照)。
【0048】
液晶封入工程ST90はブレイク工程ST80の後に実施する。液晶封入工程ST90では、ブレイク工程ST80で得られた上記容器内に液晶90を注入し、液晶注入口31(図1参照)を封口する。
【0049】
上記製造方法によって製造された液晶パネル1の対向基板10の表面は、図7の断面図に示すように、内側主面(第1主面または第3主面)10S1と、外側主面(第2主面または第4主面)10S2と、端面10Tとを含んで構成されている。ここで、内側主面10S1は、大判対向基板110の内側主面110S1に対応し、外側主面10S2よりもアレイ基板20の側に位置している。外側主面10S2は、大判対向基板110の外側主面110S2に対応し、内側主面10S1よりもアレイ基板20から遠くに位置している。端面10Tは、両主面10S1,10S2のエッジから連続し両主面10S1,10S2間を繋いでいる面である。
【0050】
端面10Tは、内側主面10S1の側の第1部分10T1と、外側主面10S2の側の第2部分10T2とに大別される。端面10Tの第1部分10T1は、内側主面10S1から連続した面であり、内側主面10S1との交差によって角部(第1角部または第3角部)10C1を形成している。端面10Tの第2部分10T2は、外側主面10S2から連続した面であり、外側主面10S2との交差によって角部(第2角部または第4角部)10C2を形成している。端面10Tの第2部分10T2は、スクライブ溝160の内表面にあたり、このためケミカルエッチング処理された鏡面状態になっている。これに対し、端面10Tの第1部分10T1は、ブレイク工程ST80によって形成された大判対向基板110の破断面であり、鏡面状態の第2部分10T2よりも表面状態が粗い。また、両部分10T1,10T2の形成過程の違いに起因して、外側主面10S2側の角部10C2の方が内側主面10S1側の角部10C1よりも液晶パネル1の中央部側に位置しており、第1部分10T1は内側主面10S1に略垂直な平面であり、第2部分10T2は外側主面10S2付近では当該主面10S2に略垂直を成しつつ外側主面10S2と第1部分10T1とをなだらかに繋ぐ曲面である。
【0051】
同様に、アレイ基板20の表面は、大判アレイ基板120の内側主面120S1に対応する内側主面(第3主面または第1主面)20S1と、大判アレイ基板120の外側主面120S2に対応する外側主面(第4主面または第2主面)20S2と、端面20Tとを含んで構成されている。端面20Tは、内側主面20S1のエッジから連続して内側主面20S1との交差によって角部(第3角部または第1角部)20C1を形成する第1部分20T1と、外側主面20S2のエッジから連続して外側主面20S2との交差によって角部(第4角部または第2角部)20C2を形成する第2部分20T2とに大別される。端面20Tの第2部分20T2はケミカルエッチング処理された鏡面状態になっているのに対して、端面20Tの第1部分20T1は第2部分20T2よりも表面状態が粗い。外側主面20S2側の角部20C2の方が内側主面20S1側の角部20C1よりも液晶パネル1の中央部側に位置しており、第1部分20T1は内側主面20S1に略垂直な平面であり、第2部分20T2は外側主面20S2付近では当該主面20S2に略垂直を成しつつ外側主面20S2と第1部分20T1とをなだらかに繋ぐ曲面である。
【0052】
なお、図7には液晶パネル1において両端面10T,20Tが揃っている端部を図示しているが、アレイ基板20の2つの部分21,22(図1参照)の境界に対向する位置における対向基板10の端部も上記と同様である。
【0053】
上記構成により、スクライブ溝160を薄化前の厚い状態の大判基板110,120に対して形成するので、薄化後に形成するよりも、大判基板110,120の割れ等を低減することができる。また、スクライブ溝160は形成後にケミカルエッチングによって深くするので従来よりも浅くてもよく、このためスクライブ溝形成時の上記割れ等をいっそう低減することができる。したがって、スクライブ溝160を良好に形成することができる。また、ケミカルエッチングによってスクライブ溝160を深くするので、大判基板110,120を容易かつ安定的に分断することができる。また、スクライブ溝160の深化と大判基板110,120の薄化とをケミカルエッチングによって同時に行うので、スクライブ溝160の深化のために別途の工程を設ける必要がない。このように、ケミカルエッチングによって基板薄化を実施する製造方法において、生産性が向上する。
【0054】
また、上記のようにスクライブ溝160はケミカルエッチングによって深くなるとともに開口が広がる。このため、大判基板110,120においてスクライブ溝160の形成によってストレスを受けた部分をケミカルエッチングによって除去することができる。その結果、完成品の液晶パネル1において基板10,20の角部10C2,20C2および端面10T,20Tの第2部分10T2,20T2にはストレスが残っていないので、スクライブ溝160にケミカルエッチングをしない場合に比べて強度が高い。
【0055】
図8に液晶パネル1の実施形態2の製造方法の手順を説明するフローチャートを示す。図8に示すように、実施形態2の製造方法は、実施形態1の製造方法からブレイク工程ST80を削除し、実施形態1の製造方法にエッチング耐性部材形成工程ST100を追加した構成を有する。
【0056】
まず、図9の断面図を参照して、本製造方法を概説する。本製造方法のエッチング工程ST70では、実施形態1の製造方法と同様に大判基板110,120を薄化するとともにスクライブ溝160を深化するのであるが、図9に示すようにスクライブ溝160の深化をスクライブ溝160が大判基板110,120の内側主面110S1,120S1に到達するまで行う。つまり、本製造方法ではスクライブ溝160の深化によって大判基板110,120を分断し、これによりブレイク工程ST80を省略するものである。
【0057】
このエッチング工程ST70によれば、分断された大判基板110,120間の隙間へエッチング液が浸入したり、分断された貼り合わせ体100がエッチング液槽内でばらばらに散乱したりする可能性がある。このため、本製造方法ではエッチング耐性部材200を利用する。
【0058】
すなわち、エッチング耐性部材形成工程ST100では、図10の平面図に示すように、大判アレイ基板120の内側主面120S1上であって、各大判基板110,120のスクライブ溝160の形成位置にエッチング耐性部材200を配置する。なお、図10には、説明のために、エッチング耐性部材形成工程ST100よりも後で形成されるスクライブ溝160を図示している。
【0059】
エッチング耐性部材200は、エッチング液に対して耐性を有する材料、例えばエッチング液がフッ酸溶液の場合にはエポキシ樹脂や塩化ビニル等の樹脂で構成され、例えばシール30と同じ材料で構成することができる。エッチング耐性部材200は、例えば、液状またはペースト状の上記エッチング耐性材料を印刷法やディスペンス法で塗布することにより、あるいは、上記エッチング耐性部材で構成されたテープ状部材を貼り付けることにより、配置可能である。なお、図8とは逆に、エッチング耐性部材200を大判対向基板110上に形成し、シール30を大判アレイ基板120上に形成してもよい。そして、エッチング耐性部材形成工程ST100の後に、貼り合わせ工程ST40を実施する。
【0060】
貼り合わせ工程ST40で、エッチング耐性部材200を有する大判アレイ基板120とシール30を有する大判対向基板110とを貼り合わせることによって、エッチング耐性部材200を大判基板110,120で挟み込んで支持する。そして、その後のスクライブ溝形成工程ST60では、エッチング耐性部材200に対向してスクライブ溝160を形成する。
【0061】
エッチング工程ST70では、上記のようにスクライブ溝160を大判基板110,120の内側主面110S1,120S1に到達させる。これにより、別途のブレイク工程を設けることなく、エッチング工程ST70において大判基板110,120を分断することができる。このとき、エッチング耐性部材200が大判基板110,120間に挟み込まれているので、エッチング液の浸入や分割された貼り合わせ体100の散乱を防止することができる。なお、例えばエッチング耐性部材200をエッチング工程ST70の後にカッター等で切断することにより、貼り合わせ体100を、後に液晶90を封入するための容器に切り分けることができる。
【0062】
図11に実施形態2の製造方法により製造された液晶パネル1の断面図を示す。図11と上記図7とを比較すればわかるように、スクライブ溝160の深化の度合いの違いに起因して、実施形態2の製造方法による液晶パネル1の端面10T,20Tは全体がスクライブ溝160の内表面にあたり、このため全体が鏡面状態になっている。換言すれば、当該端面10T,20Tは上記第2部分10T2,20T2(図7参照)のみで構成されている。その他の点は実施形態1の製造方法による図7の液晶パネル1と同様である。このため、液晶パネル1において端面10T,20T全体および角部10C2,20C2においてスクライブ溝160の形成時のストレスが除去されており強度が向上している。
【0063】
なお、図11では液晶パネル1においてエッチング耐性部材200を残しているが、当該部材200と基板10,20との接着性が無いまたは弱い場合には、エッチング工程ST70後に取り除いてもよい。
【0064】
図12に実施形態2の他の製造方法の手順を説明するフローチャートを示す。図12に示すように、本製造方法は、実施形態2の上記製造方法において、エッチング耐性部材形成工程ST100を削除し、シール形成工程ST30をシールおよびエッチング耐性部材形成工程ST30Bに替えた構成を有する。工程ST30Bでは、例えばディスペンサ法によってシール30とエッチング耐性部材200とを順次に形成してもよいし(順序は問わない)、エッチング耐性部材200をシール30と同じ材料で構成し印刷法によってシール30と同時に形成してもよい。なお、シール30およびエッチング耐性部材200の両方を、大判アレイ基板120上に、または、両大判基板110,120上に形成してもよい。
【0065】
その後、貼り合わせ工程ST40で、シール30およびエッチング耐性部材200を有する大判対向基板110と大判アレイ基板110とを貼り合わせることによって、エッチング耐性部材200を大判基板110,120で挟み込む。
【0066】
上記のようにエッチング耐性部材200をシール30と同じ材料で構成し単一の大判基板110,120上に同時に印刷する場合には、両者200,30を同時に形成可能である。他方、耐性部材200とシール30とを別々の大判基板110,120上に形成する場合には、両者200,30の形成工程を並行して実施可能である。つまり、エッチング耐性部材200を追加しても全体の製造時間の増加は抑制可能である。
【0067】
ところで、液晶パネル1において対向基板10とアレイ基板20とで厚さを違える場合がある。例えば、いわゆるパララックスバリア方式による3D用液晶モジュールは液晶パネルと対向基板側に配置されたパララックスバリアとを含んで構成され、対向基板の内側主面とパララックスバリアとの距離が短いほど好ましいので、対向基板は薄い方が好ましい。そこで、実施形態3〜6ではケミカルエッチングを利用して製造された両基板10,20の厚さが異なる液晶パネル1を説明する。
【0068】
図13に液晶パネル1の実施形態3の製造方法の手順を説明するフローチャートを示し、図14に本製造方法を説明する断面図を示す。本製造方法では、コーティング膜220を利用して、ケミカルエッチングによるエッチング量を大判対向基板110と大判アレイ基板120とで違える。このため、本製造方法は、図2の実施形態1の製造方法に、コーティング膜形成工程ST110およびコーティング膜除去工程ST120を追加した構成を有する。
【0069】
コーティング膜形成工程ST110は、エッチング工程ST70よりも前に実施し、ここではスクライブ溝形成工程ST60の後からエッチング工程ST70の前までの間に実施する。コーティング膜形成工程ST110では、大判アレイ基板120の外側主面120S2上に、エッチング工程ST70でのエッチング液に対して耐性を有する部材でコーティング膜220を形成する。コーティング膜220は、例えば上記エッチング耐性部材200と同じ材料やフォトレジスト等で構成することができ、液状またはペースト状の当該材料をスピンコート法で塗布することによって大判アレイ基板120の外側主面120S2上に形成することができる。また、コーティング膜220を上記エッチング耐性材料から成るフィルムで構成し、当該フィルムを外側主面120S2上に貼り付けてもよい。また、例えばエッチング液がフッ酸溶液の場合にはコーティング膜220としてシリコン窒化膜を外側主面120S2上に成膜してもよい。
【0070】
そして、エッチング工程ST70ではコーティング膜220を有した状態でケミカルエッチング処理を実施する。このため、コーティング膜220の有無によって、大判対向基板110と大判アレイ基板120とでエッチング量を違えることができる。その結果、対向基板10の方が薄い液晶パネル1を製造することができる。
【0071】
コーティング膜除去工程ST120は、エッチング工程ST70よりも後に、ここではエッチング工程ST70の後からブレイク工程ST80の前までの間に実施する。なお、コーティング膜220が完成品において影響を及ぼさない場合、例えばコーティング膜220が透明な場合、コーティング膜除去工程120を省略してコーティング膜220を残してもよい。
【0072】
ブレイク工程ST80では、上記と同様に、ブレイクバー等によって衝撃を与えて機械的に大判基板110,120を分断する。このとき、コーティング膜220で覆われる大判アレイ基板120にもスクライブ溝形成工程ST60でスクライブ溝160を形成しておくことにより(図14参照)、ブレイク工程ST80でそのスクライブ溝160を利用することができる。このように大判アレイ基板120にも基板薄化前にスクライブ溝160を形成しておけば、薄化された大判対向基板110に割れ等を発生させずに、スクライブ溝160を形成することができる。
【0073】
上記ではコーティング膜220がエッチング工程ST70でのエッチング液に対して耐性を有する場合を例示したが、コーティング膜220は、薄くする大判対向基板110よりも上記エッチング耐性が高ければよく、換言すれば大判対向基板110よりも上記エッチング液に対するエッチングレートが低ければよい。このようなコーティング膜220によれば、エッチング工程ST70の実施中にコーティング膜220の全部がエッチングされてしまい大判アレイ基板120がエッチングされる場合もあるが、大判アレイ基板120の外側主面120S2のエッチング開始時を大判対向基板110の外側主面110S2のエッチング開始時よりも遅らせることが可能である。このエッチング開始時の時間差により、大判アレイ基板120を大判対向基板110よりも厚く残すことができる。
【0074】
図15に液晶パネル1の実施形態4の製造方法の手順を説明するフローチャートを示し、図16に本製造方法を説明する断面図を示す。本製造方法は、上記実施形態3の製造方法においてスクライブ溝形成工程ST60とコーティング膜形成工程ST110との実施順序を入れ替えた構成を有する。すなわち、コーティング膜220を形成した後にスクライブ溝160を形成する。
【0075】
したがって、スクライブ溝形成工程ST60では、大判アレイ基板120に対しては外側主面120S2にコーティング膜220越しにスクライブ溝160を形成する。このため、大判アレイ基板120にスクライブ溝160が形成されるとともに、コーティング膜220はスクライブ溝160上で開口される。その結果、コーティング膜220の上記開口を介してスクライブ溝160へエッチング液が浸入するので、実施形態1,2の製造方法と同様に、大判アレイ基板120のスクライブ溝160を深化することができる。
【0076】
図17に実施形態5の製造方法の手順を説明するフローチャートを示し、図18および図19に本製造方法でのエッチング工程ST70を説明する断面図を示す。図17に示すように、本製造方法は、上記と同様に工程ST10〜ST90,ST110,ST120を含んでいるが、エッチング工程ST70を2回のケミカルエッチング処理ST71,ST72に分けて行い、また、工程の実施順序が異なる。
【0077】
本製造方法では、実施形態1の製造方法(図2参照)と同様に、大判対向基板製造工程ST10、大判アレイ基板製造工程ST20、シール形成工程ST30、貼り合わせ工程ST40、エッチング液阻止部材形成工程ST50およびスクライブ溝形成工程ST60をこの順序で実施する。その後、エッチング工程ST70を2回に分けて行い、1回目のエッチング処理ST71と2回目のエッチング処理ST72との間にコーティング膜形成工程ST110を実施する。2回目のエッチング処理ST72の後、コーティング膜除去工程ST120、ブレイク工程ST80および液晶封入工程ST90をこの順序で実施する。
【0078】
1回目のケミカルエッチング処理ST71では、図18に示すようにコーティング膜220を用いずに両大判基板110,120をエッチングし、大判アレイ基板120が所定の厚さに達したらエッチング処理を終了する。この1回目の処理ST71により大判アレイ基板120が所定の厚さに薄化される。
【0079】
コーティング膜形成工程ST110では、図19に示すように、所定の厚さに薄化された大判アレイ基板120の外側主面120S2上にコーティング膜220を形成する。なお、大判アレイ基板120のスクライブ溝160は、コーティング膜220で塞がれるが、1回目のケミカルエッチング処理ST71によってエッチングされ形成当初よりも深くなっている。
【0080】
エッチング工程ST70の2回目のケミカルエッチング処理ST72は、図19に示すようにコーティング膜220を有した状態で実施する。このため、コーティング膜220の有無によって、大判対向基板110と大判アレイ基板120とでエッチング量を違えることができる。
【0081】
エッチング工程ST70に含まれるケミカルエッチング処理は上記例示の2回に限られない。すなわち、本製造方法では、エッチング工程ST70が複数回のケミカルエッチング処理で構成される場合、例えば複数のエッチング液槽を順次に移動してエッチング工程ST70をする場合、その複数回のケミカルエッチング処理の途中で大判アレイ基板120上にコーティング膜220を形成し、コーティング膜220を有した状態で残りのケミカルエッチング処理を実施する。なお、上記複数のエッチング液槽でのエッチング条件は同じでもよいし異なっていてもよい。
【0082】
図20および図21に実施形態6の製造方法を説明する断面図を示す。本製造方法ではコーティング膜220を用いずに大判基板110,120の厚さを違える。なお、本製造方法の手順は実施形態1の製造方法と同じなので、図2のフローチャートも参照する。
【0083】
実施形態6の製造方法では、大判対向基板製造工程ST10では、大判アレイ基板製造工程ST20で用いる下地ガラス基板よりも薄い下地ガラス基板を用い、大判アレイ基板120よりも薄い大判対向基板110を製造する。これにより、その後の貼り合わせ工程ST40では、図20に示すように、薄い対向基板110と厚い大判アレイ基板120とを貼り合わせる。その後の工程ST50〜ST90は実施形態1と同様である。
【0084】
上記構成により、エッチング工程ST70では、図21に示すように、両大判基板110,120は同じ厚さだけケミカルエッチングされる。このため、コーティング膜220を用いることなく、大判対向基板110を大判アレイ基板120よりも薄くすることができる。したがって、コーティング膜220の形成および除去が必要ないので、その分、基板10,20の厚さの異なる液晶パネル1を容易に製造することができ、生産性を向上させることができる。
【0085】
実施形態3〜6では大判対向基板110、すなわち対向基板10の方を薄くする場合を説明したが、同様にしてアレイ基板120の方を薄くすることも可能である。また、実施形態3〜6の製造方法と実施形態2の製造方法とを組み合わせることも可能である。
【0086】
実施形態1〜6ではスクライブ溝形成工程ST60をエッチング液阻止部材形成工程ST50の後に実施する場合を例示したが、両工程ST50,ST60はエッチング工程ST70よりも前に実施すればよく、工程ST50,ST60のいずれを先に実施してもよい。
【0087】
また、実施形態1〜6では大判基板110,120から複数個の液晶パネル1を製造する場合を例示したが、図22の平面図に示すように大判基板110,120から液晶パネル1を1つだけ製造する場合にも上記各製造方法は適用可能である。例えば一般的な規格寸法のガラス基板を用いる場合が考えられる。
【0088】
また、下地基板がガラス以外の材料の場合にも上記各製造方法は適用可能である。
【0089】
また、実施形態1〜6ではスクライブ溝160によって、大判基板110,120から基板10,20を抽出する場合、換言すれば貼り合わせ体100から、液晶90を封入することで後に液晶パネル1となる上記容器を抽出する場合を説明したが、例えば製造設備で取り扱い可能な大きさに合わせるために貼り合わせ体100を分断する場合にも上記各製造方法は適用可能である。
【0090】
また、エッチング液阻止部材150に替えて、図23の平面図に示すエッチング液阻止部材150Bを大判基板110,120間に設けてもよい。エッチング液阻止部材150Bの第1部分151Bは、大判基板110,120全体に対するシール30に相当し、全てのシール30を囲むように大判基板110,120の周縁に沿って大判基板110,120の周縁部に設けられている。第1部分151Bは貼り合わせ工程ST40よりも前に、例えばシール形成工程ST30において大判基板110,120上の一方または両方に塗布される。第1部分151Bは、塗布後の貼り合わせ工程ST40のために、液晶注入口31に相当する通気口を設けて形成される。この通気口はエッチング液阻止部材150Bの第2部分152Bによって大判基板110,120の周縁部において封止される。第2部分152Bは液晶注入口31を封口するのと同様にして形成される。
【0091】
また、液晶パネル1だけでなく、各種の表示パネル、例えばプラズマディスプレイパネルやEL(Electro Luminescence)パネルにも上記各製造方法を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明に係る実施形態の液晶パネルを説明する模式図である。
【図2】本発明に係る実施形態1の液晶パネルの製造方法の手順を説明するフローチャートである。
【図3】本発明に係る実施形態1のシール形成工程および貼り合わせ工程を説明する平面図である。
【図4】本発明に係る実施形態1のエッチング液阻止部材形成工程を説明する断面図である。
【図5】本発明に係る実施形態1のエッチング液阻止部材形成工程およびスクライブ溝形成工程を説明する平面図である。
【図6】本発明に係る実施形態1のスクライブ溝形成工程およびエッチング工程を説明する断面図である。
【図7】本発明に係る実施形態1のブレイク工程および完成後の液晶パネルを説明する断面図である。
【図8】本発明に係る実施形態2の液晶パネルの製造方法の手順を説明するフローチャートである。
【図9】本発明に係る実施形態2の液晶パネルの製造方法を説明する断面図である。
【図10】本発明に係る実施形態2のエッチング耐性部材形成工程を説明する平面図である。
【図11】本発明に係る実施形態2の液晶パネルを説明する断面図である。
【図12】本発明に係る実施形態2の液晶パネルの他の製造方法の手順を説明するフローチャートである。
【図13】本発明に係る実施形態3の液晶パネルの製造方法の手順を説明するフローチャートである。
【図14】本発明に係る実施形態3のスクライブ溝形成工程、コーティング膜形成工程およびエッチング工程を説明する断面図である。
【図15】本発明に係る実施形態4の液晶パネルの製造方法の手順を説明するフローチャートである。
【図16】本発明に係る実施形態4のコーティング膜形成工程、スクライブ溝形成工程およびエッチング工程を説明する断面図である。
【図17】本発明に係る実施形態5の液晶パネルの製造方法の手順を説明するフローチャートである。
【図18】本発明に係る実施形態5のエッチング工程(1回目のケミカルエッチング処理)を説明する断面図である。
【図19】本発明に係る実施形態5のエッチング工程(2回目のケミカルエッチング処理)を説明する断面図である。
【図20】本発明に係る実施形態6の貼り合わせ工程およびスクライブ溝形成工程を説明する断面図である。
【図21】本発明に係る実施形態6のエッチング工程を説明する断面図である。
【図22】本発明に係る実施形態1〜6の他の製造方法を説明する平面図である。
【図23】本発明に係る実施形態1〜6の製造方法に適用可能な他のエッチング液阻止部材形成工程を説明する平面図である。
【図24】従来の液晶パネルの製造方法を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0093】
1 液晶パネル(表示パネル)、10 対向基板、20 アレイ基板、30 シール、90 液晶、100 貼り合わせ体、110 大判対向基板、120 大判アレイ基板、160 スクライブ溝、110S1,120S1 内側主面、110S2,120S2 外側主面、200 エッチング耐性部材、220 コーティング膜、10S1,20S1 内側主面(第1主面,第3主面)、10S2,20S2 外側主面(第2主面,第4主面)、10C1,20C1 角部(第1角部,第3角部)、10C2,20C2 角部(第2角部,第4角部)、10T,20T 端面、M マーク、ST40 貼り合わせ工程、ST50 エッチング液阻止部材形成工程、ST60 スクライブ溝形成工程、ST70 エッチング工程、ST71,ST72 ケミカルエッチング処理、ST80 ブレイク工程、ST110 コーティング膜形成工程。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルのための1対の基板を互いの一方主面を向き合わせて貼り合わせる貼り合わせ工程と、前記貼り合わせ工程で形成された貼り合わせ体にケミカルエッチングを実施するエッチング工程と、を備え、前記ケミカルエッチングによって前記貼り合わせ体を薄化する表示パネルの製造方法であって、
前記1対の基板の少なくとも一方の基板の他方主面にスクライブ溝を形成するスクライブ溝形成工程をさらに備え、
前記スクライブ溝形成工程よりも後に前記エッチング工程を実施して前記ケミカルエッチングによって前記貼り合わせ体を薄化するとともに前記スクライブ溝を深くすることを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の表示パネルの製造方法であって、
前記ケミカルエッチングによって深くなった前記スクライブ溝の底部で前記少なくとも一方の基板を機械的に分断するブレイク工程をさらに備えることを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の表示パネルの製造方法であって、
前記スクライブ溝を前記ケミカルエッチングによって前記一方主面にまで到達させることにより前記エッチング工程で前記少なくとも一方の基板を分断することを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の表示パネルの製造方法であって、
前記貼り合わせ工程で前記ケミカルエッチングに対して耐性を有するエッチング耐性部材を前記1対の基板で挟み、
前記スクライブ溝形成工程で前記スクライブ溝を前記エッチング耐性部材に対向させて形成することを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の表示パネルの製造方法であって、
前記貼り合わせ工程では前記1対の基板をシールで互いに固定し、
前記エッチング耐性部材を前記シールと同じ材料で形成することを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一つに記載の表示パネルの製造方法であって、
前記ケミカルエッチングは複数回のケミカルエッチング処理によって構成され、
前記複数回のケミカルエッチング処理の途中で前記1対の基板の一方の基板の前記他方主面上に前記ケミカルエッチングに対する耐性が前記1対の基板の他方の基板よりも高いコーティング膜を形成するコーティング膜形成工程をさらに備え、
前記コーティング膜を有した状態で残りのケミカルエッチング処理を実施することを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5のいずれか一つに記載の表示パネルの製造方法であって、
前記エッチング工程よりも前に前記1対の基板の一方の基板の前記他方主面上に前記ケミカルエッチングに対する耐性が前記1対の基板の他方の基板よりも高いコーティング膜を形成するコーティング膜形成工程をさらに備え、
前記コーティング膜を有した状態で前記エッチング工程を実施することを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の表示パネルの製造方法であって、
前記コーティング膜形成工程を前記スクライブ溝形成工程よりも前に実施し、前記スクライブ溝形成工程で前記コーティング膜越しに前記スクライブ溝を形成することを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項9】
請求項1ないし請求項5のいずれか一つに記載の表示パネルの製造方法であって、
前記貼り合わせ工程で前記1対の基板として厚さが異なる1対の基板を用いることを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれか一つに記載の表示パネルの製造方法であって、
前記貼り合わせ体は複数のマークを有し、前記スクライブ溝形成工程で前記複数のマークのうちの2つを結ぶ直線状に前記スクライブ溝を形成することを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の表示パネルの製造方法であって、
前記複数のマークは前記貼り合わせ工程で利用するアライメントマークを含むことを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項12】
表示パネルのための1対の基板を互いの一方主面を向き合わせて貼り合わせる貼り合わせ工程と、前記貼り合わせ工程で形成された貼り合わせ体にケミカルエッチングを実施するエッチング工程と、を備え、前記ケミカルエッチングによって前記貼り合わせ体を薄化する表示パネルの製造方法であって、
前記貼り合わせ工程で前記1対の基板として厚さが異なる1対の基板を用いることを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項13】
対向して配置された第1基板と第2基板とを備える表示パネルであって、
前記第1基板は、
前記第2基板の側に位置する第1主面と、
前記第1主面よりも前記第2基板から遠くに位置する第2主面と、
前記第1主面のエッジから連続して前記第1主面とともに第1角部を構成しかつ前記第2主面のエッジから連続して前記第2主面とともに第2角部を構成する端面と、
を含んで構成され、
前記第2角部は前記第1角部よりも前記表示パネルの中央部側に位置し、前記端面のうち少なくとも前記第2主面側の部分は鏡面状態であることを特徴とする表示パネル。
【請求項14】
請求項13に記載の表示パネルであって、
前記第2基板は、
前記第1基板の側に位置する第3主面と、
前記第3主面よりも前記第1基板から遠くに位置する第4主面と、
前記第3主面のエッジから連続して前記第3主面とともに第3角部を構成しかつ前記第4主面のエッジから連続して前記第4主面とともに第4角部を構成する端面と、
を含んで構成され、
前記第4角部は前記第3角部よりも前記表示パネルの前記中央部側に位置し、前記第2基板の前記端面のうち少なくとも前記第4主面の側の部分は鏡面状態であることを特徴とする表示パネル。
【請求項1】
表示パネルのための1対の基板を互いの一方主面を向き合わせて貼り合わせる貼り合わせ工程と、前記貼り合わせ工程で形成された貼り合わせ体にケミカルエッチングを実施するエッチング工程と、を備え、前記ケミカルエッチングによって前記貼り合わせ体を薄化する表示パネルの製造方法であって、
前記1対の基板の少なくとも一方の基板の他方主面にスクライブ溝を形成するスクライブ溝形成工程をさらに備え、
前記スクライブ溝形成工程よりも後に前記エッチング工程を実施して前記ケミカルエッチングによって前記貼り合わせ体を薄化するとともに前記スクライブ溝を深くすることを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の表示パネルの製造方法であって、
前記ケミカルエッチングによって深くなった前記スクライブ溝の底部で前記少なくとも一方の基板を機械的に分断するブレイク工程をさらに備えることを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の表示パネルの製造方法であって、
前記スクライブ溝を前記ケミカルエッチングによって前記一方主面にまで到達させることにより前記エッチング工程で前記少なくとも一方の基板を分断することを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の表示パネルの製造方法であって、
前記貼り合わせ工程で前記ケミカルエッチングに対して耐性を有するエッチング耐性部材を前記1対の基板で挟み、
前記スクライブ溝形成工程で前記スクライブ溝を前記エッチング耐性部材に対向させて形成することを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の表示パネルの製造方法であって、
前記貼り合わせ工程では前記1対の基板をシールで互いに固定し、
前記エッチング耐性部材を前記シールと同じ材料で形成することを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一つに記載の表示パネルの製造方法であって、
前記ケミカルエッチングは複数回のケミカルエッチング処理によって構成され、
前記複数回のケミカルエッチング処理の途中で前記1対の基板の一方の基板の前記他方主面上に前記ケミカルエッチングに対する耐性が前記1対の基板の他方の基板よりも高いコーティング膜を形成するコーティング膜形成工程をさらに備え、
前記コーティング膜を有した状態で残りのケミカルエッチング処理を実施することを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5のいずれか一つに記載の表示パネルの製造方法であって、
前記エッチング工程よりも前に前記1対の基板の一方の基板の前記他方主面上に前記ケミカルエッチングに対する耐性が前記1対の基板の他方の基板よりも高いコーティング膜を形成するコーティング膜形成工程をさらに備え、
前記コーティング膜を有した状態で前記エッチング工程を実施することを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の表示パネルの製造方法であって、
前記コーティング膜形成工程を前記スクライブ溝形成工程よりも前に実施し、前記スクライブ溝形成工程で前記コーティング膜越しに前記スクライブ溝を形成することを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項9】
請求項1ないし請求項5のいずれか一つに記載の表示パネルの製造方法であって、
前記貼り合わせ工程で前記1対の基板として厚さが異なる1対の基板を用いることを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれか一つに記載の表示パネルの製造方法であって、
前記貼り合わせ体は複数のマークを有し、前記スクライブ溝形成工程で前記複数のマークのうちの2つを結ぶ直線状に前記スクライブ溝を形成することを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の表示パネルの製造方法であって、
前記複数のマークは前記貼り合わせ工程で利用するアライメントマークを含むことを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項12】
表示パネルのための1対の基板を互いの一方主面を向き合わせて貼り合わせる貼り合わせ工程と、前記貼り合わせ工程で形成された貼り合わせ体にケミカルエッチングを実施するエッチング工程と、を備え、前記ケミカルエッチングによって前記貼り合わせ体を薄化する表示パネルの製造方法であって、
前記貼り合わせ工程で前記1対の基板として厚さが異なる1対の基板を用いることを特徴とする表示パネルの製造方法。
【請求項13】
対向して配置された第1基板と第2基板とを備える表示パネルであって、
前記第1基板は、
前記第2基板の側に位置する第1主面と、
前記第1主面よりも前記第2基板から遠くに位置する第2主面と、
前記第1主面のエッジから連続して前記第1主面とともに第1角部を構成しかつ前記第2主面のエッジから連続して前記第2主面とともに第2角部を構成する端面と、
を含んで構成され、
前記第2角部は前記第1角部よりも前記表示パネルの中央部側に位置し、前記端面のうち少なくとも前記第2主面側の部分は鏡面状態であることを特徴とする表示パネル。
【請求項14】
請求項13に記載の表示パネルであって、
前記第2基板は、
前記第1基板の側に位置する第3主面と、
前記第3主面よりも前記第1基板から遠くに位置する第4主面と、
前記第3主面のエッジから連続して前記第3主面とともに第3角部を構成しかつ前記第4主面のエッジから連続して前記第4主面とともに第4角部を構成する端面と、
を含んで構成され、
前記第4角部は前記第3角部よりも前記表示パネルの前記中央部側に位置し、前記第2基板の前記端面のうち少なくとも前記第4主面の側の部分は鏡面状態であることを特徴とする表示パネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2007−298747(P2007−298747A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−126631(P2006−126631)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】
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