表示パネル及び表示装置とこれを備える機器
【課題】
高性能な反射防止膜を有する表示パネルを低コストに実現すること。
【解決手段】
第1の透明基板と第2の透明基板と、これら2つの透明基板の間に液晶層を有する液晶表示パネル、もしくは発光素子を有する有機発光ダイオード表示パネルにおいて、少なくともその表示領域であって、なおかつ観察者側の面(表面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域の表面とは逆の面と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
高性能な反射防止膜を有する表示パネルを低コストに実現すること。
【解決手段】
第1の透明基板と第2の透明基板と、これら2つの透明基板の間に液晶層を有する液晶表示パネル、もしくは発光素子を有する有機発光ダイオード表示パネルにおいて、少なくともその表示領域であって、なおかつ観察者側の面(表面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域の表面とは逆の面と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射防止膜を備える液晶表示パネル、及び該液晶表示パネルとバックライト装置とを組み合わせた液晶表示装置、あるいは、反射防止膜を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置などの表示装置とこれを備える機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やPDA(パーソナルディジタルアシスタント)などの携帯機器では、薄型軽量な表示装置が求められており、このような表示装置とし液晶表示装置や有機発光ダイオード表示装置(以下、OLED表示装置と呼ぶ)が採用されている。尚、液晶表示装置は一般に光の透過率や反射率を制御することで画像を形成する液晶表示パネルと光源としてのバックライト装置、もしくはフロントライト装置と組み合わせることで表示装置を実現する。また、OLED表示装置はOLED表示パネル自身が画像光を放射するため特に光源と組み合わせなくとも表示装置が実現できる。
【0003】
表示装置を明るい環境の下で観察する場合、画面の表面で外光が反射して画像が見づらくなることがある。そこで、画面の表面に反射防止膜を設けて外光の反射を抑制することが行われる。
【0004】
反射防止膜としては多層膜,単層膜どちらも利用されている。多層構造による反射防止膜は蒸着,スパッタリング,イオンプレーティング等の成膜方法により高屈折率層と低屈折率層を交互に積層することで反射防止性能に優れた膜を実現できる反面、製造コストが高くなる。
【0005】
一方、工程数が少なく塗布成膜が可能な単層による反射防止膜は低コスト化に有利であるため、その反射防止性能の向上が望まれている。
【0006】
単層膜の場合、外界の屈折率をn0、表示装置表面の屈折率をn1、反射防止膜の屈折率をn2とすると、反射率R′は、次式で表される。
【0007】
R′={(n22−n0×n1)/(n22+n0×n1)}2 …(1)
外界は通常空気であり、その屈折率n0は凡そ1.0であるため、反射率R′は
R′={(n22−n1)/(n22+n1)}2 …(2)
となり、n2=√n1のとき反射率は理論的に0%になる。
【0008】
通常、表示装置の表面は屈折率が1.5 程度なので反射防止膜の屈折率としては約1.22が好適となる。しかしながら、現状、屈折率が低いといわれるフッ素系の樹脂は屈折率が約1.34 程度であり、単層で十分な反射防止を得ることは極めて困難である。
【0009】
近年、単層膜で屈折率をより低くする方法が提案されており、その1つに下記特許文献1に記載の薄膜がある。この薄膜は内部に空洞のある微粒子(中空微粒子)と、この中空微粒子を保持するバインダーを有した薄膜である。この薄膜の内部の空洞は、実質的に空気と同じ屈折率(屈折率1.0 )であるため、その中空微粒子の材質や中空微粒子を保持するバインダーの屈折率が大きくても、膜としてみれば結果的に空気に近い屈折率となる。即ち、この膜を基板に形成することで反射率を低減できるというものである。
【0010】
また、別の方法で、単層膜で屈折率をより低くする方法の1つに、下記特許文献2に記載の低屈折率膜がある。これは、空気に近い側に有機超微粒子の表面が露出し、表面に凹凸を生じさせることで、表面の密度を下げ、結果として屈折率の低い膜を形成すると開示されている。
【0011】
また、別の方法では、下記特許文献3に記載のハニカム構造の細孔を有する低屈折率膜がある。これは、ハニカム状に形成された複数の細孔が、シリカ微粒子を貫通するようにかつ互いに平行に形成されることにより、シリカ微粒子自体の強度を低下させること無く、最大の空隙率を得ることができる。これによって、機械的強度に優れた低屈折率膜を形成することができると開示されている。
【0012】
【特許文献1】特開2003−201443号公報
【特許文献2】特開平7−92305号公報
【特許文献3】特開2004−83307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記特許文献1に記載の薄膜は、低い屈折率を実用しようとする場合、空孔率を高くする必要があるため膜の機械的強度は低くなる。
【0014】
また、上記特許文献2や特許文献3に記載の膜では、架橋や重合によって膜の機械的強度は高いと考えられるが、膜表面の凹凸に汚れが入り込むこと除去が困難であり、屈折が高くなってしまう可能性がある。さらにこれらの構造では、単層膜による反射防止膜として理想的な屈折率の値(一般によく利用される基材が1.5程度であり、この場合は約
1.22程度)を実現することが困難である。
【0015】
また、これら従来技術は、板状或いはフィルム状の基材に膜を塗布することを前提としており、表示パネルに直接反射防止膜を塗布することは考慮されていなかった。
【0016】
本発明はこのような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、その目的は高い反射防止性能を有する膜を直接表示パネルに形成することでより低コストな表示装置やこれを備える機器を実現することにある。また、この膜により反射防止機能以外の機能を付加することでより高いコストパフォーマンスの表示装置を実現することにある。
【0017】
本発明のその他の課題と新規な特徴については本明細書の記述及び添付図面を参照して明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は上記目的を達成するため、例えば以下の手段を採用する。
【0019】
第1の透明基板と第2の透明基板と、これら透明基板の間に液晶層を有する液晶表示パネルであって、この液晶表示パネルは少なくともその表示領域であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【0020】
あるいは、マトリクス状に配置した複数の画素を構成する発光素子を有する基板と、封止手段とを有する有機発光ダイオード表示パネル(以下、OLED表示パネルとも称する)であって、このOLED表示パネルは少なくともその表示領域であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【0021】
また、反射防止膜を構成する膜として、膜表面の抵抗が1011Ω未満となる膜を採用する。
【0022】
さらに、この表示パネルは、画像信号などの電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とし、その方向の端面以外であって、なおかつ、おもて面以外の面にも反射防止膜と同じ材料の膜を有する構成とする。
【0023】
また、第1の透明基板と第2の透明基板と、これら透明基板の間に液晶層を有する液晶表示パネルにおいて、第2の透明基板は第1の透明基板よりも面積が大きく、第2の透明基板と第1の透明基板が重なる領域に表示領域を有するものであり、第2の透明基板の第1の透明基板側の面上であって、第1の透明基板に覆われない領域の少なくとも一部には、第1の透明基板の第2の透明基板とは逆側の面においてその高さが略同じとなる平坦化膜を備え、さらにこの液晶表示パネルは少なくともその表示領域及び平坦化膜の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【0024】
尚、本明細書における面積の大小は、特に説明がない場合には観察者が表示パネルの画面を正面から観察した場合の観察者の方向における投影面積の大小のことである。
【0025】
あるいは、第1の透明基板と第2の透明基板と、これら透明基板の間に液晶層を有する液晶表示パネルであって、第1の透明基板には第2の透明基板とは反対側の面に少なくとも一つの偏光層を含む第1の光学フィルムを備え、第2の透明基板には第1の透明基板とは反対側の面に少なくとも一つの偏光層を含む第2の光学フィルムを備え、第2の透明基板は第1の透明基板よりも面積が大きく、第2の透明基板と第1の透明基板が重なる領域に表示領域を有するものであり、第2の透明基板の第1の透明基板側の面上であって、第1の透明基板に覆われない領域の少なくとも一部には、第1の光学フィルムの第1の透明基板側とは反対側の面においてその高さが略同じとなる第1の平坦化膜を備え、第2の透明基板の第1の透明基板とは逆側の面上であって、第1の透明基板に覆われない領域の少なくとも一部には、第2の光学フィルムの第2の透明基板側とは反対側の面においてその高さが略同じとなる第2の平坦化膜を備え、さらにこの液晶表示パネルは少なくともその表示領域及び第1または第2の平坦化膜の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【0026】
或いは、マトリクス状に配置した複数の画素を構成する発光素子を有する基板と、封止手段とを有するOLED表示パネルにおいて、発光素子を有する基板は封止手段よりも面積が大きく、発光素子を有する基板と封止手段が重なる領域に表示領域を有するものであり、発光素子を有する基板の封止手段側の面上であって、封止手段に覆われない領域の少なくとも一部には、封止手段の発光素子を有する基板とは逆側の面においてその高さが略同じとなる平坦化膜を備え、さらにこのOLED表示パネルは少なくともその表示領域及び平坦化膜の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【0027】
或いはマトリクス状に配置した複数の画素を構成する発光素子を有する基板と、封止手段とを有するOLED表示パネルにおいて、画像光は発光素子を有する基板側から取り出すものであり、さらに発光素子を有する基板の封止手段とは反対の面には少なくとも一つの偏光層を含む光学フィルムを備え、発光素子を有する基板の封止手段とは逆側の面上であって、なおかつ光学フィルムに覆われない領域の少なくとも一部には、光学フィルムの発光素子を有する基板とは反対側の面において、その高さが略同じとなる平坦化膜を備え、さらにこのOLED表示パネルは少なくともその表示領域及び平坦化膜の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【0028】
また、液晶表示パネルの場合であれば、第2の透明基板にマトリクス状に配置した複数の画素を構成する電極を備え、さらに画像信号などの電気的信号を外部と接続する領域を有し、この電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とし、平坦化膜を設ける領域は電気的信号を外部と接続する領域と兼用する。
【0029】
或いはOLED表示パネルの場合であれば、発光素子を有する基板に画像信号などの電気的信号を外部と接続する領域を有し、この電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とし、平坦化膜を設ける領域は電気的信号を外部と接続する領域と兼用する。
【0030】
また、第1の透明基板と第2の透明基板と、これら透明基板の間に液晶層を有する液晶表示パネルであって、第1の透明基板には第2の透明基板とは反対側の面に少なくとも一つの偏光層を含む第1の光学フィルムを備え、第2の透明基板には第1の透明基板とは反対側の面に少なくとも一つの偏光層を含む第2の光学フィルムを備え、第2の透明基板は第1の透明基板よりも面積が大きく、第2の透明基板と第1の透明基板が重なる領域に表示領域を有するものであり、第1の光学フィルム及び第2の光学フィルムは第1の透明基板よりもその面積が大きく、さらに第2の透明基板の第1の透明基板に覆われない領域の少なくとも一部を覆うものであり、さらにこの液晶表示パネルは第1または第2の光学フィルム上であって、少なくともその表示領域及び第2の透明基板の第1の透明基板に覆われない領域の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【0031】
或いは、マトリクス状に配置した複数の画素を構成する発光素子を有する基板と、封止手段とを有するOLED表示パネルにおいて、発光素子を有する基板と封止手段のうち、画像光を取り出す側の最表面に少なくとも一つの偏光層を含む光学フィルムを備え、発光素子を有する基板は封止手段よりも面積が大きく、これらが重なる領域に表示領域を有するものであり、光学フィルムは封止手段よりも面積が大きく、さらに発光素子を有する基板の封止手段に覆われない領域の少なくとも一部を覆うものであり、さらにこのOLED表示パネルは光学フィルム上であって、少なくともその表示領域及び発光素子を有する基板の封止手段に覆われない領域の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【0032】
また、液晶表示パネルの場合であれば、第2の透明基板にマトリクス状に配置した複数の画素を構成する電極を備え、さらに画像信号などの電気的信号を外部と接続する領域を有し、この電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とし、光学フィルムの面積を拡大した領域と電気的信号を外部と接続する領域を重ね合わす。
【0033】
或いはOLED表示パネルの場合であれば、発光素子を有する基板に画像信号などの電気的信号を外部と接続する領域を有し、この電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とし、光学フィルムの面積を拡大した領域と電気的信号を外部と接続する領域と重ね合わせる。
【0034】
また、本願発明に適用する反射防止膜としては、無機酸化物からなる微粒子と、バインダーと、空隙とを有する反射防止膜であって、膜の一方の表面における算術平均粗さ(Ra)が6nm未満とする。
【0035】
また、他の反射防止膜としては、無機酸化物からなる微粒子と、バインダーと、空隙とを有する反射防止膜において、前記バインダーは前記基板の部材と同じ部材を主成分とする。
【0036】
また、他の反射防止膜としては、無機酸化物からなる微粒子と、バインダーと、空隙とを有する反射防止膜において、前記空隙の密度は、空気と接する膜表面より、膜内部の方が高いものとする。
【0037】
また、表示パネルと、その前面側に配置する透明な保護板と、前記表示パネル及び前記保護板の間に空気層を有する表示装置を備える機器において、前記保護板は前記表示パネルの表示領域よりも面積が大きく、さらに前記表示装置と前記保護板は独立して筐体に固定されることで、機器に固定する。
【0038】
上記以外の手段については以下の記述で明らかとする。
【発明の効果】
【0039】
本発明により、高い反射防止性能を備える表示パネルまたは表示装置を実現できる。また、これらを備える機器が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明するが、種々の変更は可能であり、また、下記実施形態同士の組み合わせは本発明に包含されるものである。
【0041】
(液晶表示パネルの実施形態1)
本発明に係る液晶表示パネルの実施の形態について図面を参照して説明する。図1及び図2はそれぞれ本発明に係る液晶表示パネルの1実施例の概略構成を示す斜視図及び断面構造の概略を示す模式図である。
【0042】
液晶表示パネル1は後述するバックライト装置と組み合わせ、バックライト装置からの光の透過光量を調整することで映像を表示する透過型、或いは半透過反射型の液晶表示パネルである。尚、液晶表示パネルにはパッシブ駆動方式やアクティブ駆動方式があるが、詳細な構成や動作については周知であるのでここではその説明は省略する。
【0043】
液晶表示パネルは偏光板を備え、液晶層に入射する光の偏光状態を制御することで映像表示を行うものが比較的低い駆動電圧でコントラスト比の高い映像が得られることから望ましい。また、液晶表示パネルとしては例えばTN(Twisted Nematic )方式,STN
(Super Twisted Nematic)方式,ECB(Electrical Controlled Birefringence)方式などを用いることができる。また、広視野角を特徴とするIPS(In Plane Switching)方式,VA(Vertical Alingned)方式を用いることができる。
【0044】
あるいは液晶表示パネルとしては上記方式を応用した半透過反射型を用いることができる。
【0045】
ここでは以下、液晶表示パネルとしてアクティブマトリクス方式を用いる場合の概要を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】
液晶表示パネル1は、平坦かつ透明で光学的に等方なガラス、あるいはプラスチックからなる第1の透明基板20および第2の透明基板21とを有する。
【0047】
第1の透明基板20には、カラーフィルタや、ポリイミド系高分子からなる配向膜(いずれも不図示)が積層されている。第2の透明基板21には、マトリクス状に配置した複数の画素を形成する電極,信号電極,走査電極,薄膜トランジスタ等からなるスイッチング素子,配向膜等(いずれも不図示)が形成されている。
【0048】
2枚の透明基板20,21は配向膜形成面を向かい合わせ、図示しないスペーサーにより一定の間隙を設けた状態で枠状のシール材23で周囲を接着して内部に空間を形成する。この空間に液晶を封入し、封止することで液晶層22が設けられる。
【0049】
液晶層22は2枚の透明基板20,21上に形成された配向膜に施される配向処理により、その液晶分子長軸の配向方向が規定される。
【0050】
第1の透明基板20の観察者側の面(おもて面)と第2の透明基板21の観察者側とは反対側の面(うら面)にはそれぞれ第1の光学フィルム30と第2の光学フィルム31を備える。
【0051】
第1の光学フィルム30と第2の光学フィルム31はそれぞれ少なくとも一つの偏光層を含むものであり、適用する液晶表示モードに応じて適切な位相差層を含んでもよい。偏光層はこれに入射する光のうち互いに直交する直線偏光成分の一方を透過し、他方を吸収するものである。偏光層としては例えば、ヨウ素や有機染料などの2色性の材料を染色あるいは吸着させたポリビニルアルコールなどからなる基材フィルムを延伸し、2色性の材料を配向させることで吸収2色性を発現したものを用い、その両側をトリアセチルセルロースフィルムなどからなる2枚の透明保護フィルムで挟んだ構造のものを用いることができる。
【0052】
尚、第2の光学フィルム31を構成するフィルムとしては偏光層で吸収される直線偏光成分は反射し、これ以外の光は透過する反射型の偏光フィルムを含んでも良い。この場合、偏光層で吸収される光の量が減り、より明るい画像が得られるようになる。
【0053】
第1の光学フィルム30と第2の光学フィルム31はそれぞれ図示しない粘着層を介して、第1の透明基板20と第2の透明基板21に固定される。
【0054】
第2の透明基板は第1の透明基板よりも面積が大きく、第2の透明基板と第1の透明基板が重なる領域内にバックライト装置からの光の透過量を変調することで2次元画像を形成する表示領域を有する。また、第1の光学フィルム30と第2の光学フィルム31は共に表示領域以上の面積を有し、表示領域を全て覆うように配置する。この際、第1の光学フィルム30と第2の光学フィルム31は第1の透明基板、もしくは第2の透明基板と外形寸法が同じ、またはそれよりやや小さめにすることが液晶表示パネルの外形寸法を無駄に大きくしないこと、及び反射防止膜が表示領域内で均一になるために重要である。
【0055】
つまり、光学フィルムの端部では反射防止膜の膜厚が均一になりにくいため、光学フィルムは表示領域よりもできるだけ大きいことが望ましいが、液晶表示パネルの外形寸法を無駄に大きくしないためには第1の透明基板、もしくは第2の透明基板の外形寸法と同じもしくはそれより小さくする必要がある。
【0056】
尚、本明細書における面積とは、特に説明がない場合には観察者が表示パネルの画面を正面から観察した場合における観察者の方向での投影面積のことである。
【0057】
第2の透明基板21の第1の透明基板20側の面上であって、第1の透明基板20に覆われない領域には画像信号などの電気的信号を外部と接続する領域を有する。つまり、液晶表示パネル1は第2の透明基板21上であって、第1の透明基板20が重なっていない領域にフレキシブルプリント回路板(以下、FPCとも呼ぶ)50を備え、このFPC50を介して外部と電気的に接続する。また、この領域には必要に応じてドライバとして機能する半導体チップ40を実装してもよい。
【0058】
液晶表示パネル1は少なくとも表示領域を覆う第1の光学フィルムの観察者側の面(おもて面)上に反射防止膜10を有し、さらに表示領域のおもて面とは逆の面(うら面)、つまり、第2の光学フィルムが配置された面と、図1中、液晶表示パネル1の2つの側面(左右の端面)と底面(下方向の端面)の3つの端面に反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【0059】
この場合、液晶表示パネルのおもて面とうら面に同じ材質の膜が形成されるため、反射防止膜と表示パネルを構成する部材とで温度による体積変化の比率が異なっていても、液晶表示パネルのおもて面とうら面で収縮または膨張の方向が同じになるため、表示パネルが反る等の変形が抑制される。
【0060】
また、液晶表示パネルを構成する基板の端面が膜で覆われ保護されるため、特に液晶表示パネルを薄型化するために薄いガラス基板を採用する場合に基板端面の小さなクラックなどから割れやすくなることを防止する効果が得られる場合がある。
【0061】
さらに、反射防止膜を構成する膜として、膜表面の抵抗が1011Ω未満となる膜を採用することで、液晶表示パネルの表示領域のみならず、端部や端面への埃の付着を抑制することができる。尚、本発明に好適な反射防止膜については後に詳述する。
【0062】
ここで、液晶表示パネルは電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とすることが重要である。つまり、本実施の形態の通り、液晶表示パネル1に接続するFPC50は観察者が表示領域を正面から観察した際、矩形である液晶表示パネルの一つの辺に相当する部分に接続する。
【0063】
この場合、液晶表示パネルをFPC50が接続される領域、つまり、第2の透明基板において、第1の透明基板と重ならない部分で直接あるいは適切なじ具を介して固定し、ディップコート法で反射防止膜を塗布すると一回の工程で、液晶表示パネルのおもて面とうら面、及び、3つの端面に反射防止膜と同じ材料の膜を形成することができる。このため塗布材料のロスが少なく、低コストな成膜が可能となる。
【0064】
図3は上記液晶表示パネルを備える液晶表示装置の断面構造の概略を示す模式図である。液晶表示装置は、液晶表示パネル1と、その背面に配置するバックライト装置2とから構成される。バックライト装置2は液晶表示パネル1の表示領域をその背面側から照明するものである。バックライト装置2としてはエッジライト方式(導光体方式),直下方式(反射板方式),面状光源方式などがある。バックライト装置2はこれらの方式やその他の方式の中から用途や目的,表示領域の大きさに合わせて最適な方式を選べばよい。ここでは、エッジライト方式のバックライトについて説明する。
【0065】
バックライト装置2は裏面に白色顔料によるドット印刷、或いは微細な凹凸形状やレンズ形状等の光の進行方向を変える手段を形成した透明な樹脂からなる導光板60と、導光板60の端面に配置した光源61と、導光板60の裏面側に配置した反射板62と、導光板60の表面側に配置したプリズムシートや、マイクロレンズアレイ,拡散シートなどの光学部材63とを有している。
【0066】
光源61としては冷陰極管や熱陰極管などの線状光源や発光ダイオード(LED)などの点状光源を使用することができる。ここでは以下、光源61としてLEDを使用する場合を説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
【0067】
光源61としてLEDを用いる場合は、光源からの光を導光板60に効率よく入射させるため、図示しない反射体を設けたり、発光部の周囲に形成するモールド樹脂の形状を工夫すると良い。
【0068】
この構成において、光源61から出射し、導光板60に入射する光は全反射しながら導光板60内を伝播する。導光板60内を伝播する光のうち導光体裏面に施された、光の進行方向を変える手段に至った光は、その進行方向が変わり、導光板60の表面側から出射する。導光板60から出射する光は、プリズムシートや、マイクロレンズアレイ,拡散シートなどの光学部材により出射角度の分布や、面内での輝度分布が調整された後、液晶表示パネル1に照射される。
【0069】
液晶表示パネル1はバックライト装置2からの光の透過光量を画像データに応じて調整することで映像を形成する。
【0070】
この場合、反射防止膜10は液晶表示パネルの両面に形成されているため、外光の反射低減による明環境下での視認性の向上のほか、液晶表示パネルの透過率向上により、より明るい映像が実現できる。また、反射防止膜10として、膜表面の抵抗が1011Ω未満となる膜を採用することで、液晶表示パネルのおもて面だけでなく、側面や裏面への異物の付着が減り、バックライト装置と液晶表示パネルとの間に混入する異物による不良が低減できる。
【0071】
(OLED表示パネルの実施形態1)
次に本発明に係るOLED表示パネルの実施の形態について図面を参照して説明する。図4は本発明に係るOLED表示パネルの1実施例の概略構成を示す斜視図であり、図5及び図6はそれぞれ本発明に係るOLED表示パネルの1実施例の断面構造の概略を示す模式図である。
【0072】
OLED表示パネル3は液晶表示パネルと異なり、自ら発光する素子を備えるためバックライト装置などの補助光源を必要とすることなく画像を表示することができるものである。また、OLED表示パネルとしては、薄膜トランジスタ(以下、TFTとも称する)などのスイッチング素子を備えるアクティブマトリクス駆動型と、有機発光ダイオード素子を構成する電極をそれぞれ走査線とデータ線に直結して駆動する単純マトリクス駆動型が考えられる。
【0073】
ここでは以下、アクティブマトリクス駆動型のOLED表示パネルについて説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
【0074】
OLED表示パネル3はマトリクス状に配置した複数の画素を構成する有機発光ダイオード素子からなる発光素子を有する基板121と、少なくとも可視光に対して透明な封止手段120と、封止手段120のおもて面に配置する光学フィルム130と、を有し、少なくともその表示領域であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【0075】
尚、OLED表示パネル3は有機発光ダイオード素子が形成された基板121とは反対方向から光を取り出す、所謂トップエミッション型のOLED表示パネルである。トップエミッション型の場合には図5に例示する通り、封止手段120として可視光に対して透明でガスバリア性を有する透明な封止板を用い、表示領域の周囲に枠状に塗布した接着性のあるシール剤により基板121と密閉封止する。透明な封止板としてはガラス板や、ガスバリヤー処理を施した樹脂フィルム,薄いガラス板と樹脂フィルムを積層したものなどを用いることができる。
【0076】
この場合、封止手段120と基板121との空隙122は封止手段120との屈折率差が小さくなるように屈折率1.4〜2.0程度の透明体で満たすことが望ましい。これは空隙122と封止手段120との界面での反射を小さくするためである。
【0077】
このように透明な封止板を封止手段として用いる代わりに、図6に例示する通り、ガスバリア性のある無機の透明材料を積層形成する、あるいは無機の透明材料と有機の透明材料を交互に繰り返し積層することでガスバリア性を持たせた膜を積層形成することで封止してもよい。
【0078】
画素を構成する発光素子としては有機発光ダイオード素子が用いられる。有機発光ダイオード素子としは陽極として機能する電極と、陰極として機能する電極と、これらの電極間に陽極側からホール輸送層,発光層,電子輸送層を順次積層した三層構造の素子が知られているが本発明はこれに限定されるものではない。
【0079】
また、発光素子を有する基板121としてはガラスやプラスチックなどの絶縁性の基板、あるいはインバ−など熱膨張率をガラスに近づけた金属基板の表面に絶縁膜を施した基板を用いることができる。表示領域は基板121のほぼ中央の部分に設けられ、その周辺には図示しないデータ駆動回路や走査駆動回路が設置され、これらの駆動回路はNチャネル型とPチャネル型のTFT(Thin Film Transistor)による相補型回路から構成されるシフトレジスタ回路,レベルシフタ回路,アナログスイッチ回路などから構成される。
【0080】
アクティブマトリクス駆動型OLED表示パネルの典型的な画素駆動回路はスイッチトランジスタとドライバトランジスタの2つのTFTと蓄積容量で構成され、この画素駆動回路により有機発光ダイオード素子の発光が制御されるものである。
【0081】
尚、OLED表示パネルの詳細な構成や動作については周知であるのでここではその説明は省略する。
【0082】
光学フィルム130は外光の反射を抑制するために必要に応じて配置するもので、少なくとも一つの偏光層を含み、1/4波長板として機能する位相差層と組み合わせることで円偏光板として機能するものである。偏光層はこれに入射する光のうち互いに直交する直線偏光成分の一方を透過し、他方を吸収するものである。偏光層としては例えば、ヨウ素や有機染料などの2色性の材料を染色あるいは吸着させたポリビニルアルコールなどからなる基材フィルムを延伸し、2色性の材料を配向させることで吸収2色性を発現したものを用い、その両側をトリアセチルセルロースフィルムなどからなる2枚の透明保護フィルムで挟んだ構造のものを用いることができる。また、位相差層はシクロオレフィンポリマーやポリカーボネートなどの透明な高分子フィルムを用いることができる。
【0083】
光学フィルム130は表示領域以上の面積を有し、図示しない粘着層を介して表示領域を全て覆うように封止手段120に固定される。
【0084】
この際、光学フィルム130は封止手段120、もしくは発光素子を有する基板と外形寸法が同じ、またはそれよりやや小さめにすることがOLED表示パネルの外形寸法を無駄に大きくしないこと、及び反射防止膜が表示領域内で均一になるために重要である。
【0085】
つまり、光学フィルムの端部では反射防止膜の膜厚が均一になりにくいため、光学フィルムは表示領域よりもできるだけ大きいことが望ましいが、OLED表示パネルの外形寸法を無駄に大きくしないためには封止手段、もしくは発光素子を有する基板の外形寸法と同じもしくはそれより小さくする必要がある。
【0086】
発光素子を有する基板121のおもて面上であって、封止手段120に覆われない領域には画像信号などの電気的信号を外部と接続する領域を有し、この領域にフレキシブルプリント回路板(以下、FPCとも呼ぶ)150を備え、このFPC150を介して外部と電気的に接続する。また、この領域には必要に応じてドライバとして機能する半導体チップ140を実装してもよい。
【0087】
OLED表示パネル3は少なくとも表示領域を覆う光学フィルム130の観察者側の面(おもて面)上に反射防止膜100を有し、さらに基板121のうら面と、図4中、OLED表示パネル3の2つの側面(左右の端面)と底面(下方向の端面)の3つの端面に反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【0088】
この場合、OLED表示パネルのおもて面とうら面に同じ材質の膜が形成されるため、反射防止膜と表示パネルを構成する部材とで温度による体積変化の比率が異なっていても、OLED表示パネルのおもて面とうら面で収縮または膨張の方向が同じになるため、表示パネルが反る等の変形が抑制される。
【0089】
また、OLED表示パネルを構成する基板の端面が膜で覆われ保護されるため、特に
OLED表示パネルを薄型化するために薄いガラス基板を採用する場合に基板端面の小さなクラックなどから割れやすくなることを防止する効果が得られる場合がある。
【0090】
さらに、反射防止膜を構成する膜として、膜表面の抵抗が1011Ω未満となる膜を採用することで、OLED表示パネルの表示領域のみならず、端部や端面への埃の付着を抑制することができる。尚、本発明に好適な反射防止膜については後に詳述する。
【0091】
ここで、OLED表示パネルは電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とすることが重要である。つまり、本実施の形態の通り、OLED表示パネル3に接続するFPC150は観察者が表示領域を正面から観察した際、矩形であるOLED表示パネルの一つの辺に相当する部分に接続する。
【0092】
この場合、OLED表示パネルをFPC150が接続される領域、つまり、発光素子を有する基板121において、封止手段120と重ならない部分で直接あるいは適切な治具を介して固定し、ディップコート法で反射防止膜を塗布すると一回の工程で、OLED表示パネルのおもて面とうら面、及び、3つの端面に反射防止膜と同じ材料の膜を形成することができる。このため塗布材料のロスが少なく、低コストな成膜が可能となる。
【0093】
(OLED表示パネルの実施形態2)
次に本発明に係るOLED表示パネルの他の実施の形態について図面を参照して説明する。図7は本発明に係るOLED表示パネルの1実施例の概略構成を示す斜視図であり、図8及び図9はそれぞれ本発明に係るOLED表示パネルの1実施例の断面構造の概略を示す模式図である。
【0094】
OLED表示パネル4は発光素子を有する基板側から光を取り出す、所謂ボトムエミッション型のOLED表示パネルであり、上記実施の形態(OLED表示パネルの実施形態1)に記載のOLED表示パネルと同様な部分については詳細な説明は省略する。
【0095】
OLED表示パネル4はマトリクス状に配置した複数の画素を構成する有機発光ダイオード素子からなる発光素子を有する透明な基板123と、封止手段124と、発光素子を有する基板123のおもて面に配置する光学フィルム131と、を有し、少なくともその表示領域であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【0096】
ボトムエミッション型の場合には封止手段124として透明な封止板を用いる必要はない。このため、図8に例示する通り、封止手段124としてより安価なステンレスなどの金属製の封止管を用い表示領域の周囲に枠状に塗布した接着性のあるシール剤により透明な基板123と密閉封止する。この場合、封止手段124と透明な基板123との空隙
125は窒素などの不活性なガスを封入し、有機発光ダイオード素子の長寿命化のために図示しない吸湿材(デシカント)を設けても良い。
【0097】
このように封止手段として封止管を用いる代わりに、図9に例示する通り、ガスバリア性のある無機材料を積層形成する、あるいは無機の材料と有機の材料を交互に繰り返し積層することでガスバリア性を持たせた膜を積層形成することで封止してもよい。
【0098】
光学フィルム131は外光の反射を抑制するために必要に応じて配置するもので、少なくとも一つの偏光層を含み、1/4波長板として機能する位相差層と組み合わせることで円偏光板として機能するものである。偏光層はこれに入射する光のうち互いに直交する直線偏光成分の一方を透過し、他方を吸収するものである。偏光層としては例えば、ヨウ素や有機染料などの2色性の材料を染色あるいは吸着させたポリビニルアルコールなどからなる基材フィルムを延伸し、2色性の材料を配向させることで吸収2色性を発現したものを用い、その両側をトリアセチルセルロースフィルムなどからなる2枚の透明保護フィルムで挟んだ構造のものを用いることができる。また、位相差層はシクロオレフィンポリマーやポリカーボネートなどの透明な高分子フィルムを用いることができる。
【0099】
光学フィルム131は表示領域以上の面積を有し、図示しない粘着層を介して表示領域を全て覆うように透明な基板123に固定される。
【0100】
発光素子を有する透明な基板123のうら面上であって、封止手段120に覆われない領域には画像信号などの電気的信号を外部と接続する領域を有し、この領域にフレキシブルプリント回路板(以下、FPCとも呼ぶ)151を備え、このFPC151を介して外部と電気的に接続する。また、この領域には必要に応じてドライバとして機能する半導体チップ141を実装してもよい。
【0101】
OLED表示パネル4は少なくとも表示領域を覆う光学フィルム131の観察者側の面(おもて面)上に反射防止膜100を有し、さらに封止手段124のうら面と、図7中、OLED表示パネル4の2つの側面(左右の端面)と底面(下方向の端面)の3つの端面に反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【0102】
この場合、OLED表示パネルのおもて面とうら面に同じ材質の膜が形成されるため、反射防止膜と表示パネルを構成する部材とで温度による体積変化の比率が異なっていても、OLED表示パネルのおもて面とうら面で収縮または膨張の方向が同じになるため、表示パネルが反る等の変形が抑制される。
【0103】
また、OLED表示パネルを構成する基板の端面が膜で覆われ保護されるため、特に
OLED表示パネルを薄型化するために薄いガラス基板を採用する場合に基板端面の小さなクラックなどから割れやすくなることを防止する効果が得られる場合がある。
【0104】
さらに、反射防止膜を構成する膜として、膜表面の抵抗が1011Ω未満となる膜を採用することで、OLED表示パネルの表示領域のみならず、端部や端面への埃の付着を抑制することができる。尚、本発明に好適な反射防止膜については後に詳述する。
【0105】
ここで、OLED表示パネルは電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とすることが重要である。つまり、本実施の形態の通り、OLED表示パネル4に接続するFPC151は観察者が表示領域を正面から観察した際、矩形であるOLED表示パネルの一つの辺に相当する部分に接続する。
【0106】
この場合、OLED表示パネルをFPC151が接続される領域、つまり、発光素子を有する透明な基板123において、封止手段124と重ならない部分で直接あるいは適切な治具を介して固定し、ディップコート法で反射防止膜を塗布すると一回の工程で、OLED表示パネルのおもて面とうら面、及び、3つの端面に反射防止膜と同じ材料の膜を形成することができる。このため塗布材料のロスが少なく、低コストな成膜が可能となる。
【0107】
(液晶表示パネルの実施形態2)
次に本発明に係る液晶表示パネルの他の実施の形態について図面を参照して説明する。図10及び図11はそれぞれ本発明に係る液晶表示パネルの1実施例の概略構成を示す斜視図及び断面構造の概略を示す模式図である。また、図12は本発明に係る液晶表示パネルとバックライト装置を組み合わせた表示装置の断面構造の概略を示す模式図である。
【0108】
本実施の形態の液晶表示パネルは上記液晶表示パネル(液晶表示パネルの実施形態1)において、第2の透明基板21の第1の透明基板20側の面上であって、第1の透明基板20に覆われない領域の少なくとも一部に、第1の透明基板20の第2の透明基板21とは逆側の面においてその高さが略同じとなる平坦化膜70を備えるものである。さらに、液晶表示パネルは少なくともその表示領域及び平坦化膜70の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜10を有し、さらに少なくとも表示領域のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備えるものであって、上記実施形態と同じ部材には同じ符号を付け詳細な説明は省略する。
【0109】
本実施の形態の液晶表示パネルは、第2の透明基板21のおもて面側であって、第1の透明基板20が重なっていない領域に新に平坦化膜70を設けることで液晶表示パネルのおもて面の段差を減らし、平坦な領域を増やすものである。この際、第1の光学フィルム30の厚みも考慮して、液晶表示パネルのおもて面を平坦化することが望ましい。したがって、平坦化膜70は第2の透明基板上だけでなく、第1の透明基板20上や第1の光学フィルム30上にも形成することで液晶表示パネルのおもて面をより広い領域に渡って平坦化するようにしても良い。
【0110】
平坦化膜70としては有機材料や無機材料を使用することができ、透明であっても不透明であってもよい。ただし、平坦化膜70を第1の光学フィルム30のおもて面上にも形成する場合は、可視光に対して透明であることが望ましい。比較的容易に段差をなくすためには有機系の材料を用いることが望ましい。また、反射防止膜を塗布する際の耐性も考慮することが必要である。
【0111】
ここで、塗布法により反射防止膜を形成する場合、反射防止膜を形成すべき面に段差があると、その段差に起因して膜厚が均一にならない。このため段差部とその近傍では光学特性が均質な反射防止膜が形成できない。
【0112】
しかしながら、本実施の形態の様に液晶表示パネルのおもて面の段差を平坦化膜により減らし、段差部を表示領域から遠ざけることで、少なくとも表示領域では光学特性の均一性の高い反射防止膜が実現できる。
【0113】
尚、液晶表示パネルの場合、平坦化膜を設ける領域を液晶表示パネルが電気的信号を外部と接続する領域と兼用することで、特に額縁の大きさを拡大することなく、表示領域において光学特性の均一性の高い反射防止膜が実現できる。
【0114】
換言すると、表示領域において光学特性の均一性の高い反射防止膜を有し、なおかつ額縁の小さな表示パネルを実現することができる。
【0115】
尚、表示パネルにおいて、電気的信号の外部と接続する領域に平坦化膜を設けることはその部分を保護するという効果もある。つまり、平坦化膜には表示パネルに直接、反射防止膜を塗布する際に電気的な接続箇所を保護するという効果も期待できる。
【0116】
(液晶表示パネルの実施形態3)
次に本発明に係る液晶表示パネルのその他の実施の形態について図面を参照して説明する。図13及び図14はそれぞれ本発明に係る液晶表示パネルの1実施例の概略構成を示す斜視図及び断面構造の概略を示す模式図である。また、図15は本発明に係る液晶表示パネルとバックライト装置を組み合わせた表示装置の断面構造の概略を示す模式図である。
【0117】
本実施の形態の液晶表示パネルは上記液晶表示パネル(液晶表示パネルの実施形態1)において、第2の透明基板21の第1の透明基板20側の面上であって、第1の透明基板20に覆われない領域の少なくとも一部に、第1の光学フィルム30の第1の透明基板
20側とは反対側の面においてその高さが略同じとなる第1の平坦化膜70を備える。また、第2の透明基板21の第1の透明基板20とは逆側の面上であって、第1の透明基板20に覆われない領域に相当する部分の少なくとも一部には、第2の光学フィルム31の第2の透明基板21側とは反対側の面においてその高さが略同じとなる第2の平坦化膜
71を備え、さらにこの液晶表示パネルは少なくともその表示領域及び第1または第2の平坦化膜の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜10を有し、さらに少なくとも表示領域のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備えるもので、上記実施形態と同じ部材には同じ符号を付け詳細な説明は省略する。
【0118】
本実施の形態の液晶表示パネルは、第2の透明基板21のおもて面側であって、第1の透明基板20が重なっていない領域に新に平坦化膜70を設けることで液晶表示パネルのおもて面の段差を減らし、平坦な領域を増やすものである。この際、第1の光学フィルム30の厚みも考慮して、液晶表示パネルのおもて面を平坦化することが望ましい。したがって、平坦化膜70は第2の透明基板上だけでなく、第1の透明基板20上や第1の光学フィルム30上にも形成することで液晶表示パネルのおもて面をより広い領域に渡って平坦化するようにしても良い。
【0119】
また、本実施の形態の液晶表示パネルは、第2の透明基板21のうら面側であって、第1の透明基板20が重なっていない領域に相当する部分に新に平坦化膜71を設けることで液晶表示パネルのうら面の段差を減らし、平坦な領域を増やすものである。この際、第2の光学フィルム31の厚みも考慮して、液晶表示パネルのうら面を平坦化することが望ましい。したがって、平坦化膜71は第2の透明基板上だけでなく、第2の光学フィルム31上にも形成することで液晶表示パネルのうら面をより広い領域に渡って平坦化するようにしても良い。
【0120】
平坦化膜70,71としては有機材料や無機材料を使用することができ、透明であっても不透明であってもよい。ただし、平坦化膜70,71を第1の光学フィルム30のおもて面や第2の光学フィルムのうら面上にも形成する場合は、可視光に対して透明であることが望ましい。比較的容易に段差をなくすためには有機系の材料を用いることが望ましい。また、反射防止膜を塗布する際の耐性も考慮することが必要である。
【0121】
ここで、塗布法により反射防止膜を形成する場合、反射防止膜を形成すべき面に段差があると、その段差に起因して膜厚が均一にならない。このため段差部とその近傍では光学特性が均質な反射防止膜が形成できない。
【0122】
しかしながら、本実施の形態の様に液晶表示パネルのおもて面とうら面の両面の段差を平坦化膜により減らし、段差部を表示領域から遠ざけることで、少なくとも表示領域では光学特性の均一性の高い反射防止膜が実現できる。
【0123】
尚、液晶表示パネルの場合には、第2の透明基板にマトリクス状に配置した複数の画素を構成する電極を備え、さらに画像信号などの電気的信号を外部と接続する領域を有し、この電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とすると、平坦化膜を設ける領域は電気的信号を外部と接続する領域と兼用できるため、特に額縁の大きさを拡大することなく、表示領域において光学特性の均一性の高い反射防止膜が実現できる。
【0124】
換言すると、表示領域において光学特性の均一性の高い反射防止膜を有し、なおかつ額縁の小さな表示パネルを実現することができる。
【0125】
(OLED表示パネルの実施形態3)
次に本発明に係るOLED表示パネルの他の実施の形態について図面を参照して説明する。図16は本発明に係るOLED表示パネルの1実施例の概略構成を示す斜視図であり、図17及び図18はそれぞれ本発明に係るOLED表示パネルの1実施例の断面構造の概略を示す模式図である。
【0126】
本実施の形態のOLED表示パネルは上記OLED表示パネル(OLED表示パネルの実施形態1)において、発光素子を有する基板121は封止手段120よりも面積が大きく、発光素子を有する基板121と封止手段120が重なる領域に表示領域を有するものである。また、発光素子を有する基板121の封止手段120側の面上であって、封止手段120に覆われない領域の少なくとも一部には、封止手段120の発光素子を有する基板121とは逆側の面においてその高さが略同じとなる平坦化膜170を備える。さらにこのOLED表示パネルは少なくともその表示領域及び平坦化膜の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜100を有し、さらに少なくとも表示領域のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【0127】
従って、上記実施形態と同じ部材には同じ符号を付け詳細な説明は省略する。
【0128】
本実施の形態のOLED晶表示パネルは発光素子を有する基板121のおもて面側であって、封止手段120が重なっていない領域に新に平坦化膜170を設けることでOLED表示パネルのおもて面の段差を減らし、平坦な領域を増やすものである。この際、光学フィルム130の厚みも考慮して、OLED表示パネルのおもて面を平坦化することが望ましい。したがって、平坦化膜170は発光素子を有する基板121上だけでなく、封止手段120上や光学フィルム130上にも形成することでOLED表示パネルのおもて面をより広い領域に渡って平坦化するようにしても良い。
【0129】
平坦化膜170としては有機材料や無機材料を使用することができ、透明であっても不透明であってもよい。ただし、平坦化膜170を光学フィルム130のおもて面上にも形成する場合は、可視光に対して透明であることが望ましい。比較的容易に段差をなくすためには有機系の材料を用いることが望ましい。また、反射防止膜を塗布する際の耐性も考慮することが必要である。
【0130】
ここで、塗布法により反射防止膜を形成する場合、反射防止膜を形成すべき面に段差があると、その段差に起因して膜厚が均一にならない。このため段差部とその近傍では光学特性が均質な反射防止膜が形成できない。しかしながら、本実施の形態の様にOLED表示パネルのおもて面の段差を平坦化膜により減らし、段差部を表示領域から遠ざけることで、少なくとも表示領域では光学特性の均一性の高い反射防止膜が実現できる。
【0131】
尚、OLED表示パネルの場合、発光素子を有する基板に画像信号などの電気的信号を外部と接続する領域を有し、この電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とすると、平坦化膜を設ける領域は電気的信号を外部と接続する領域と兼用することで、特に額縁の大きさを拡大することなく、表示領域において光学特性の均一性の高い反射防止膜が実現できる。
【0132】
換言すると、表示領域において光学特性の均一性の高い反射防止膜を有し、なおかつ額縁の小さな表示パネルを実現することができる。
【0133】
尚、表示パネルにおいて、電気的信号の外部と接続する領域に平坦化膜を設けることはその部分を保護するという効果もある。つまり、平坦化膜には表示パネルに直接、反射防止膜を塗布する際に電気的な接続箇所を保護するという効果も期待できる。
【0134】
(OLED表示パネルの実施形態4)
次に本発明に係るOLED表示パネルのその他の実施の形態について図面を参照して説明する。図19は本発明に係るOLED表示パネルの1実施例の概略構成を示す斜視図であり、図20及び図21はそれぞれ本発明に係るOLED表示パネルの1実施例の断面構造の概略を示す模式図である。
【0135】
本実施の形態のOLED表示パネルは上記OLED表示パネル(OLED表示パネルの実施形態2)において、画像光は発光素子を有する透明な基板123側から取り出すものであり、さらに透明な基板123の封止手段124とは反対側の面には少なくとも一つの偏光層を含む光学フィルム131を備える。また、透明な基板123の封止手段124とは逆側の面上であって、なおかつ光学フィルム131に覆われない領域の少なくとも一部には、光学フィルム131の透明な基板123とは反対側の面において、その高さが略同じとなる平坦化膜171を備える。さらにこのOLED表示パネルは少なくともその表示領域及び平坦化膜171の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜100を有し、さらに少なくとも表示領域のおもて面とは逆の面
(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備えるものである。
【0136】
従って、上記実施形態と同じ部材には同じ符号を付け詳細な説明は省略する。本実施の形態のOLED表示パネルは発光素子を有する基板123のおもて面側であって、光学フィルム131が配置されていない領域に新に平坦化膜171を設けることでOLED表示パネルのおもて面の段差を減らし、平坦な領域を増やすものである。したがって、平坦化膜171は発光素子を有する基板123上だけでなく、光学フィルム131上にも形成することでOLED表示パネルのおもて面をより広い領域に渡って平坦化するようにしても良い。
【0137】
平坦化膜171としては有機材料や無機材料を使用することができ、透明であっても不透明であってもよい。ただし、平坦化膜171を光学フィルム131のおもて面上にも形成する場合は、可視光に対して透明であることが望ましい。比較的容易に段差をなくすためには有機系の材料を用いることが望ましい。また、反射防止膜を塗布する際の耐性も考慮することが必要である。
【0138】
ここで、塗布法により反射防止膜を形成する場合、反射防止膜を形成すべき面に段差があると、その段差に起因して膜厚が均一にならない。このため段差部とその近傍では光学特性が均質な反射防止膜が形成できない。しかしながら、本実施の形態の様にOLED表示パネルのおもて面の段差を平坦化膜により減らし、段差部を表示領域から遠ざけることで、少なくとも表示領域では光学特性の均一性の高い反射防止膜が実現できる。
【0139】
尚、OLED表示パネルの場合、発光素子を有する基板に画像信号などの電気的信号を外部と接続する領域を有し、この電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とすると、平坦化膜を設ける領域は電気的信号を外部と接続する領域と兼用することで、特に額縁の大きさを拡大することなく、表示領域において光学特性の均一性の高い反射防止膜が実現できる。
換言すると、表示領域において光学特性の均一性の高い反射防止膜を有し、なおかつ額縁の小さな表示パネルを実現することができる。
【0140】
(液晶表示パネルの実施形態4)
次に本発明に係る液晶表示パネルのその他の実施の形態について図面を参照して説明する。図22及び図23はそれぞれ本発明に係る液晶表示パネルの1実施例の概略構成を示す斜視図及び断面構造の概略を示す模式図である。また、図24は本発明に係る液晶表示パネルとバックライト装置を組み合わせた表示装置の断面構造の概略を示す模式図である。
【0141】
本実施の形態の液晶表示パネルは上記液晶表示パネル(液晶表示パネルの実施形態1)において、第2の透明基板21が第1の透明基板20よりも面積が大きく、第2の透明基板21と第1の透明基板20が重なる領域に表示領域を有するものである。また、第1の光学フィルム32及び第2の光学フィルム33は第1の透明基板20よりもその面積が大きく、さらに第2の透明基板21の第1の透明基板に覆われない領域の少なくとも一部を覆うものである。さらにこの液晶表示パネルは第1または第2の光学フィルム上であって、少なくともその表示領域及び第2の透明基板21の第1の透明基板20に覆われない領域の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備えるものである。
【0142】
従って、上記実施形態と同じ部材には同じ符号を付け詳細な説明は省略する。
【0143】
本実施の形態の液晶表示パネルでは、面積を拡大した光学フィルム上に反射防止膜を形成することになる。つまり、液晶表示パネル上の段差の影響を受けることなく、表示領域よりも広い領域に反射防止膜を形成することができるため、少なくとも表示領域では光学特性の均一性の高い反射防止膜が実現できる。換言すると、表示領域において光学特性の均一性の高い反射防止膜を有し、なおかつ額縁の小さな表示パネルを実現することができる。
【0144】
尚、液晶表示パネルの場合であれば、光学フィルムの面積を拡大した領域と電気的信号を外部と接続する領域を重ね合わすことができるため、特に表示パネルの額縁の大きさを拡大することなく、表示領域において光学特性の均一性の高い反射防止膜が実現できる。
【0145】
また、第1の光学フィルムと第2の光学フィルムの面積は第1の透明基板よりも大きく、第2の透明基板以下とすることが望ましい。第1の光学フィルムと第2の光学フィルムの面積は第1の透明基板よりも大きくするのは液晶表示パネル上の段差の影響を受けることなく、表示領域よりも広い領域に反射防止膜を形成することができるため望ましい。また、第1の光学フィルムと第2の光学フィルムの面積を第2の透明基板以下にすることは液晶表示パネルの外形寸法を無駄に大きくしないためである。
【0146】
従って、望ましい光学フィルムの外形は、液晶表示パネルが電気的信号を外部と接続する方向(辺)と直交する方向の長さは第1の透明基板と略一致させ、これと直交する方向の長さは第1の透明基板以上、第2の透明基板以下の長さにすることである。
【0147】
尚、本液晶表示パネルの場合、大面積化した第1の光学フィルム32が第2の透明基板22上に備えられる構造物、例えばドライバなどの半導体チップ40に当たりゆがむことがないよう、第1の透明基板20の厚み以下に薄くする、或いは光学フィルムが接触しない場所、例えばFPC上に備えるようにする必要がある。
【0148】
(OLED表示パネルの実施形態5)
次に本発明に係るOLED表示パネルのその他の実施の形態について図面を参照して説明する。図25は本発明に係るOLED表示パネルの1実施例の概略構成を示す斜視図であり、図26及び図27はそれぞれ本発明に係るOLED表示パネルの1実施例の断面構造の概略を示す模式図である。
【0149】
本実施の形態のOLED表示パネルは上記OLED表示パネル(OLED表示パネルの実施形態1)において、発光素子を有する基板121は封止手段120よりも面積が大きく、これらが重なる領域に表示領域を有するものであり、光学フィルム132は封止手段120よりも面積が大きく、さらに発光素子を有する基板121の封止手段120に覆われない領域の少なくとも一部を覆うものである。
【0150】
さらにこのOLED表示パネルは光学フィルム132上であって、少なくともその表示領域及び発光素子を有する基板121の封止手段120に覆われない領域の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜100を有し、さらに少なくとも表示領域のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備えるものである。
【0151】
従って、上記実施形態と同じ部材には同じ符号を付け詳細な説明は省略する。
【0152】
本OLED表示パネルは面積を拡大した光学フィルム上に反射防止膜を形成することになる。つまり、OLED表示パネル上の段差の影響を受けることなく、表示領域よりも広い領域に反射防止膜を形成することができるため、少なくとも表示領域では光学特性の均一性の高い反射防止膜が実現できる。
【0153】
また、OLED表示パネルの場合、発光素子を有する基板に画像信号などの電気的信号を外部と接続する領域を有し、この電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とすると、光学フィルムの面積を拡大した領域と電気的信号を外部と接続する領域とを重ね合わせられるため、特に表示パネルの額縁の大きさを拡大することなく、表示領域において光学特性の均一性の高い反射防止膜が実現できる。換言すると、表示領域において光学特性の均一性の高い反射防止膜を有し、なおかつ額縁の小さな表示パネルを実現することができる。
【0154】
尚、光学フィルムの面積は封止手段以上、発光素子を有する基板以下とすることが望ましい。光学フィルムの面積は封止手段よりも大きくするのはOLED表示パネル上の段差の影響を受けることなく、表示領域よりも広い領域に反射防止膜を形成することができるため望ましい。また、光学フィルムの面積を発光素子を有する基板以下とすることは表示パネルの外形寸法を無駄に大きくしないためである。
【0155】
従って、望ましい光学フィルムの外形は、表示パネルが電気的信号を外部と接続する方向(辺)と直交する方向の長さは発光素子を有する基板と略一致させ、これと直交する方向の長さは封止手段以上、発光素子を有する基板以下の長さにすることである。
【0156】
(OLED表示パネルの実施形態6)
次に本発明に係るOLED表示パネルのその他の実施の形態について図面を参照して説明する。図28は本発明に係るOLED表示パネルの1実施例の概略構成を示す斜視図であり、図29及び図30はそれぞれ本発明に係るOLED表示パネルの1実施例の断面構造の概略を示す模式図である。
【0157】
本実施の形態のOLED表示パネルは上記OLED表示パネル(OLED表示パネルの実施形態2)において、発光素子を有する透明な基板123は封止手段124よりも面積が大きく、これらが重なる領域に表示領域を有するものであり、光学フィルム133は封止手段124よりも面積が大きく、さらに発光素子を有する透明な基板123の封止手段124に覆われない領域に相当する部分の少なくとも一部を覆うものである。
【0158】
さらにこのOLED表示パネルは光学フィルム133上であって、少なくともその表示領域及び発光素子を有する透明な基板123の封止手段124に覆われない領域に相当する部分の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜100を有し、さらに少なくとも表示領域のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備えるものである。
【0159】
従って、上記実施形態と同じ部材には同じ符号を付け詳細な説明は省略する。
【0160】
本OLED表示パネルは面積を拡大した光学フィルム上に反射防止膜を形成することになる。つまり、OLED表示パネル上の段差の影響を受けることなく、表示領域よりも広い領域に反射防止膜を形成することができるため、少なくとも表示領域では光学特性の均一性の高い反射防止膜が実現できる。
【0161】
また、OLED表示パネルの場合、発光素子を有する基板に画像信号などの電気的信号を外部と接続する領域を有し、この電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とすると、光学フィルムの面積を拡大した領域と電気的信号を外部と接続する領域とを重ね合わせられるため、特に表示パネルの額縁の大きさを拡大することなく、表示領域において光学特性の均一性の高い反射防止膜が実現できる。換言すると、表示領域において光学特性の均一性の高い反射防止膜を有し、なおかつ額縁の小さな表示パネルを実現することができる。
【0162】
尚、光学フィルムの面積は発光素子を有する基板と同等かそれより少し小さめとすることが望ましい。光学フィルムの面積は大きければ大きいほど表示領域内でより均一性の高い反射防止膜を実現しやすくなるため望ましい。また、光学フィルムの面積を発光素子を有する基板以下とすることは表示パネルの外形寸法を無駄に大きくしないためである。
【0163】
従って、望ましい光学フィルムの外形は、表示パネルが電気的信号を外部と接続する方向(辺)と直交する方向の長さは発光素子を有する基板と略一致させ、これと直交する方向の長さは封止手段以上、発光素子を有する基板以下の長さにすることである。
【0164】
(反射防止膜の実施形態)
次に本発明に係る反射防止膜に好適な実施の形態ついて説明する。本発明に係る反射防止膜は、無機酸化物微粒子とバインダーから形成されていることが望ましい。バインダーは反射防止膜のバインダーとして機能するものである。また基本的にこの膜は少なくとも無機酸化物微粒子、及びバインダーと溶剤を混合した塗料を基板に塗布・加熱によって成膜する。バインダーがシリカゾル,エポキシ樹脂モノマー,メラミン樹脂モノマー等の熱硬化性物質の場合は重合、即ち塗膜の熱硬化を促進するための触媒も塗料に極少量添加される。また、本実施形態にかかわる反射防止膜は、単層プロセスで形成可能であり、多層プロセスで形成しても良い。ただし、低コスト化のためには単層プロセスであることが望ましい。
【0165】
本実施形態にかかわる反射防止膜の形成方法の概略について図33を用いて説明する。
【0166】
バインダーと溶剤の混合物11と無機酸化物微粒子12からなる反射防止膜塗料13を表示パネル上に膜厚が均一になるように塗布する(工程A)。
【0167】
加熱して塗膜を固化させる際、溶剤が気化して空隙15が内部にある反射防止膜10
(または100)が形成される(工程B)。
【0168】
図34は本実施形態の反射防止膜の一例についての走査電子顕微鏡(SEM)の断面写真であり、基板上に図33[B]で示した反射防止膜を形成したものの一例である(なお、図34の膜表面には極薄く白金が蒸着されている)。
【0169】
膜中の粒子は無機酸化物の酸化ケイ素であり、それらをシリカゾルのバインダーで固定している。図34のSEM写真から膜内に明るい部分と、暗い部分があるが、エネルギー分散型X線分光法(EDX)で測定した結果明るい部分には酸化ケイ素が多く存在し、反対に暗い部分には酸化ケイ素の存在割合が小さいことが確認できた。よって、酸化ケイ素が少ない部分は反射防止膜塗料を加熱する際溶剤が気化することで形成された空隙15と考えられる。
【0170】
膜の主成分である酸化ケイ素の屈折率は約1.5であり、空隙の屈折率は約1.0であるので、膜中に占める空隙の割合を適切化することで屈折率を所望の値に制御することができる。
【0171】
また、熱硬化時の溶剤の気化が空隙形成に寄与することから用いる溶剤の沸点、及び基板に塗料を塗布後の熱硬化温度によっても空隙の形成は制御できる。次に、SEMの断面写真から、空隙は膜内部には存在するが、膜表面には少ないことがわかる。空隙が膜表面に多いと膜表面の凹凸が大きくなり、それによって布などで拭いたときに引っ掛かりやすくなるが、表面凹凸が小さいと引っ掛かりが少なくなるので、膜が剥がれたり傷ついたりしにくい。よって、膜の物理的強度が高くなる。
【0172】
以下に反射防止膜用の塗料材料の説明、及び成膜の詳細を記述する。
(1)塗料材料
塗料材料はバインダー,無機酸化物微粒子,溶剤からなる。これらに関して下記に記述する。
(1−1)バインダー
塗膜材料としては、透明性の高い有機系或いは無機系の高分子材料,高分子化可能な材料が挙げられる。
【0173】
有機系の高分子材料としては、熱可塑性の高分子材料が挙げられる。具体的にはアクリル樹脂,ポリスチレン,スチレン−アクリル共重合体,ポリエステル樹脂,ポリ塩化ビニル,エチレン−酢酸ビニル共重合体,ポリエチレンテレフタレート樹脂,ポリ塩化ビニリデン樹脂,ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。有機系の高分子化可能な材料としては、熱硬化性の高分子材料が挙げられる。具体的には脂肪族骨格のポリアミック酸誘導体等が挙げられる。
【0174】
無機系の高分子材料としては、加水分解性残基を有するケイ素化合物(一般名はシリカゾル),加水分解性残基を有するチタン化合物(一般名はチタニアゾル)等が挙げられる。これらはアルコキシシラン、あるいはアルコキシチタンが分子量数千程度に重合した化合物であり、アルコール系の溶剤に可溶の状態である。これらを加熱することにより酸化ケイ素、或いは酸化チタンのバインダーを形成できる。
【0175】
無機系の高分子化可能な材料としてはアミノ基やクロル基,メルカプト基等各種置換基を有するアルコキシシラン等が挙げられる。具体的な材料は後述する加水分解性残基を有するケイ素化合物の記述の中で示す。
【0176】
加水分解性残基を有するケイ素化合物の一つとしてシリカゾルが挙げられる。これは加熱によって酸化ケイ素に変化する物質である。次にシリカゾルの一般的な調製方法は以下の通りである。テトラアルコキシシランを弱酸性条件で加温するとアルコキシ基が加水分解して水酸基となり、これが近傍のアルコキシシラン基と反応しケイ素−酸素―ケイ素の結合を形成しながら高分子量化したものを示す。一般に平均分子量は数千である。
【0177】
シリカゾルを作製する際用いられるテトラアルコキシシランとしてはテトラメトキシシラン,テトラエトキシシラン,テトラプロポキシシラン,テトライソプロポキシシラン,テトライソブトキシシラン,テトラブトキシシラン等が挙げられる。これ以外にはアルコキシシラン基の代わりに塩素基を有するケイ素化合物、例えば四塩化ケイ素等も挙げられる。
【0178】
シリカゾル以外に加水分解性残基を有するケイ素化合物としては、テトラアルコキシシラン以外に、アミノ基やクロル基,メルカプト基等を有する化合物を含まれる。具体的には3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
(1−2)無機酸化物微粒子
無機酸化物微粒子としては酸化ケイ素,酸化アルミニウム,酸化チタン,酸化セリウム等の無色の微粒子が挙げられる。
(1−2−1)無機酸化物微粒子の粒子径・形状
無機酸化物微粒子は球形の場合、膜に入射した光が散乱しないよう粒子径は波長の1/2以下が望ましい。可視光の波長領域が380nm〜780nmであるので、この範囲で散乱しないための粒子径は190nm以下が望ましい。可視領域については、納谷嘉信著、1984年2月10日第2版 産業色彩学、朝倉書店、2ページに記載がある。これより大きいと入射した光が散乱するため膜が濁って見える。また無機酸化物微粒子が鎖状の場合も上記と同様の理由で粒子の短軸の径は190nm以下にすることが望ましい。また、無機酸化物微粒子は、粒子径の異なるもの、あるいは形状の異なるものを複数種類用いても構わない。
(1−2−2)無機酸化物微粒子選定の付帯事項
用いる溶剤への分散性が不十分であると、凝集により大きな二次粒子になってしまい、やはり膜が濁って見えてしまうという問題がある。そこで、できれば酸化ケイ素微粒子を良好に分散できる溶剤を使用するのが良いのであるが、基板の種類によってはそのような溶剤を使用できない場合も考えられる。そこでそのような場合には適切な分散剤を添加することでこの問題に対処する。
【0179】
酸化ケイ素微粒子としてはコロイダルシリカが好適である。コロイダルシリカとしては例えば日産化学製オルガノシリカゾル,スノーテックス等が挙げられる。これら微粒子は表面に水酸基を多数有しているため親水性が高い。またこれらを部材として形成した反射防止膜は親水性であると同時に極めて抵抗が低い。具体的には1×1010〜10×1010Ω程度である。この値はガラス(1012〜1016台),アクリル樹脂(1016台),ポリカーボネート樹脂(1016台),PET樹脂(1016台)等の100分の1〜百万分の1と非常に小さい。そのため、チリ等の埃が付着しにくい。よって、本発明の膜を基板表面に設けた表示装置は、乾燥した室内でも長時間にわたりチリが付着しくい。故に、一般家庭,オフィス等に設置される表示装置に形成する膜の部材としては好適である。
【0180】
また、後述するアルコキシシラン基を有するパーフルオロポリエーテル化合物系、或いはパーフルオロアルキル化合物系の撥液剤を処理し、撥液性を持たせることも可能である。
【0181】
酸化ケイ素以外に屈折率が小さく好適な酸化アルミニウムに関しても表面に水酸基を多数有するアルミナゾルは低抵抗率の膜を形成する点で好適である。
(1−3)溶剤
塗料の溶剤はバインダーを溶解、或いは一様に分散できるものが有効である。前述のバインダーとして好適の加水分解性残基を有するケイ素化合物と、無機酸化物微粒子として好適である酸化ケイ素微粒子を有する塗料の場合はアルコール系の溶剤が好適である。具体的にはエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、tert−ペンタノール等が挙げられる。
(2)製膜方法
本実施形態の反射防止膜は基板の前処理,塗布,加熱によって形成される。単層プロセスで形成可能であり、多層プロセスで形成しても良いが低コスト化のためには単層プロセスとすることが望ましい。更に耐擦性を向上させるため、加熱後の後処理を行うこともある。これらの詳細について記述する。
(2−1)前処理
前処理では塗料を均一に付着させるため、表示パネル表面の洗浄,濡れ性向上を行うことが望ましい。通常、表示パネルの表面には偏光板が配置され、偏光板を構成する保護フィルムは鹸化処理されており、このまま使用することが可能である。
(2−2)塗布方法
塗布はスピンコート,ディップコート,バーコート,アプリケーターによるコート,スプレーコート,フローコート等の方法が考えられるが、表示パネルに直接膜を形成すること、及び、表示パネルの5つの面を同時に成膜することを考慮すると、ディップコート
(浸漬)が好適である。
【0182】
適切な膜厚に制御するためには塗料の濃度、及び塗布条件を適正化する必要がある。例えば、ディップコートの場合は浸漬時間と引き上げ速度などが塗布条件として挙げられる。
【0183】
また、波長λの光線において反射率を最小にするための屈折率nの層の厚さdは、d=λ/(4n)で表される。反射率は、可視光である380〜780nmの波長の中でも、人間の視感度の最も高い波長で反射率が最小になるように反射防止膜の膜厚dを設定することが好ましい。人間の視感度には個人差があるが、納谷嘉信著、1984年2月10日第2版 産業色彩学、朝倉書店、4〜8ページに記載の明所視比視感度曲線で、相対分光感度の極大値の波長、つまり明るい環境で人間の視感度が最も高い波長(λ)は555nm付近である。また、反射率を理論的に0%にできる反射防止膜の屈折率は、適用する基材の屈折率で決まり、基材の屈折率の平方根が反射防止膜の屈折率となる。表示パネルの最表面には偏光板の保護フィルムなどの透明樹脂フィルムが配置され、これらの屈折率は
1.49〜1.54程度なので屈折率1.22〜1.24の反射防止膜を用いることが望まれる。以上より、555nmの波長において、屈折率1.5 の基材の反射光を理論的に0%にできる反射防止膜の膜厚は、116nmである。反射防止膜が無い場合の表示パネル表面の反射率は約4%あるので、少なくとも反射率を4%以下にできる反射防止膜の膜厚は90nmから140nmの範囲である。このときの反射率と膜厚の関係を図35に示す。
(2−3)加熱
塗布工程後、溶剤を揮発させる、或いはバインダーによっては重合を進行させるために加熱を行う。
【0184】
ところで、加熱温度は溶剤の沸点以外に表示パネルの耐熱温度以下にする必要があり、またバインダーとして熱硬化性の材料を用いた場合は熱硬化温度以上にする必要がある。そのためこれら要求を満たすよう溶剤の選定,バインダー材料の選定を行う必要がある。更に加熱後の冷却で膜と表示パネルの体積収縮率に差があると、膜の剥離,表示パネルの変形等の問題が起こる可能性があるので、表示パネルと膜は材質の似通ったもの、或いは線膨張率の近いものを選択することが望ましい。さらに、表示パネルの前面と後面に同じ膜厚の膜を形成することが膜と表示パネルの線膨張率の違いによる反りを防止するためには望ましい。
(2−4)後処理概要
熱硬化によって本発明の反射防止膜は形成されるが、これに撥液性を有する含フッ素化合物からなる層が形成されることによって、表面の防汚性が向上する。ただし撥液性を有する含フッ素化合物からなる層の厚さは形成された反射防止膜の反射防止効果を低下させることがないよう、極めて薄く製膜する必要がある。人間の視感度の高い555nmの波長において、反射率への影響が1%未満となる撥液層の膜厚は、6nm未満である。
【0185】
なお撥液性を有する含フッ素化合物からなる層の形成形態は下記2種類挙げられる。
・撥液性を有する含フッ素化合物からなる塗膜
撥液性を有する含フッ素化合物からなる塗膜を形成する方法である。表面を塗膜で被覆することにより撥液性を発揮するものである。そのため、反射防止膜が低抵抗の場合、撥液性の含フッ素化合物が被覆されるため、表面抵抗が高まり、結果的にチリ等の埃を付着しやすくなる可能性がある。
【0186】
この膜を形成する材料としては、サイトップ(旭硝子社製),INT304VC(INTスクリーン社製)等が挙げられる。これらを溶剤で希釈後、塗布し、加熱することにより溶剤を揮発させ、場合によっては熱硬化させることにより製膜する。
・パーフルオロポリエーテル化合物、或いはパーフルオロアルキル化合物を結合
末端に水酸基等と結合可能なアルコキシシラン基を有するパーフルオロポリエーテル化合物、或いはパーフルオロアルキル化合物を反射防止膜に結合させる方法である。具体的には下記で示されるような化合物を反射防止膜に結合される。
【0187】
【化1】
【0188】
この場合、反射防止膜表面を完全に被覆するのではなく、反射防止膜上に草のようにパーフルオロポリエーテル鎖、或いはパーフルオロアルキル鎖が生えているような状況になる。反射防止膜の表面が完全に被覆されているわけではないので膜が1011Ω以下の低抵抗の場合、この方法を行った後も膜は低抵抗性を維持することが可能となる。
【0189】
更にこれらパーフルオロポリエーテル鎖、或いはパーフルオロアルキル鎖を表面に形成することで、表面の潤滑性も向上する。そのため、擦れによる表面の物理的ダメージを緩和し、耐擦性の高い表面を形成することができる。
(2−5)後処理で用いる撥液剤
(2−4)で記述したように撥液剤としては末端にアルコキシシラン基を有するパーフルオロポリエーテル化合物、或いはパーフルオロアルキル化合物が有効である。下記に撥液剤、及び撥液膜形成方法を示す。
(a)撥液剤
末端にアルコキシシラン基を有するパーフルオロポリエーテル化合物、或いはパーフルオロアルキル化合物としては具体的には以下の化合物1〜12があげられる。
【0190】
【化2】
【0191】
【化3】
【0192】
【化4】
【0193】
【化5】
【0194】
【化6】
【0195】
【化7】
【0196】
【化8】
【0197】
【化9】
【0198】
【化10】
【0199】
【化11】
【0200】
【化12】
【0201】
【化13】
【0202】
このうち化合物1〜8は以下に示す合成方法を実行することで得られる。化合物9〜
12は化合物名がそれぞれ1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトキシシラン、1H,
1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシランとしてヒドラス化学社より上市されている。また、その他の市販材料としてはダイキン工業社製オプツールDSXが挙げられる。これら化合物を一般式で表すと以下のようになる。
【0203】
【化14】
【0204】
(化合物1の合成)
デュポン社製クライトックス157FS−L(平均分子量2500)(25重量部)を3M社製PF−5080(100重量部)に溶解し、これに塩化チオニル(20重量部)を加え、攪拌しながら48時間還流する。塩化チオニルとPF−5080をエバポレーターで揮発させクライトックス157FS−Lの酸クロライド(25重量部)を得る。これにPF−5080(100重量部),チッソ(株)製サイラエースS330(3重量部),トリエチルアミン(3重量部)を加え、室温で20時間攪拌する。反応液を昭和化学工業製ラジオライトファインフローAでろ過し、ろ液中のPF−5080をエバポレーターで揮発させ、化合物1(20重量部)を得た。
(化合物2の合成)
チッソ(株)製サイラエースS330(3重量部)の代わりにチッソ(株)製サイラエースS360(3重量部)を用いる以外は化合物1の合成と同様にして化合物2(20重量部)を得た。
(化合物3の合成)
デュポン社製クライトックス157FS−L(平均分子量2500)(25重量部)の代わりにダイキン工業社製デムナムSH(平均分子量3500)(35重量部)を用いる以外は化合物1の合成と同様にして化合物3(30重量部)を得た。
(化合物4の合成)
チッソ(株)製サイラエースS330(3重量部)の代わりにチッソ(株)製サイラエースS360を用い、デュポン社製クライトックス157FS−L(平均分子量2500)(25重量部)の代わりにダイキン工業社製デムナムSH(平均分子量3500)(35重量部)を用いる以外は化合物1の合成と同様にして化合物4(30重量部)を得た。
(化合物5の合成)
デュポン社製クライトックス157FS−L(平均分子量2500)(25重量部)の代わりにダイキン工業社製7H−ドデカフルオロヘプタン酸(分子量346.06)(3.5重量部)を用いる以外は化合物1の合成と同様にして化合物5(3.5重量部)を得た。
(化合物6の合成)
デュポン社製クライトックス157FS−L(平均分子量2500)(25重量部)の代わりにダイキン工業社製7H−ドデカフルオロヘプタン酸(分子量346.06)(3.5重量部)を用い、チッソ(株)社製サイラエースS310(2重量部)の代わりにチッソ(株)社製サイラエースS320(2重量部)を用いる以外は化合物1の合成と同様にして化合物6(3.5重量部)を得た。
(化合物7の合成)
デュポン社製クライトックス157FS−L(平均分子量2500)(25重量部)の代わりにダイキン工業社製9H−ヘキサデカフルオロノナン酸(分子量446.07)
(4.5重量部)を用いる以外は化合物1の合成と同様にして化合物7(4.5重量部)を得た。
(化合物8の合成)
デュポン社製クライトックス157FS−L(平均分子量200)(25重量部)の代わりにダイキン工業社製9H−ヘキサデカフルオロノナンサン(分子量446.07)
(4.5重量部)を用い、チッソ(株)製サイラエースS310(2重量部)の代わりにチッソ(株)サイラエースS320(2重量部)を用いる以外は化合物1の合成と同様にして化合物8(4.5重量部)を得た。
(b)撥液膜形成方法
末端にアルコキシシラン基を有するパーフルオロポリエーテル化合物、或いはパーフルオロアルキル化合物を用いる撥液膜形成方法は以下の通りである。
【0205】
まず末端にアルコキシシラン基を有するパーフルオロポリエーテル化合物、或いはパーフルオロアルキル化合物を溶剤に溶解する。濃度は塗布方法によっても異なってくるが、概ね0.01〜1.0重量%程度である。フッ素系の溶剤として具体的には3M社のFC−72,FC−77,PF−5060,PF−5080,HFE−7100,HFE−7200、デュポン社製バートレルXF等が挙げられる。こうしてパーフルオロポリエーテル化合物、或いはパーフルオロアルキル化合物を溶解した液(以後撥液処理剤と記述)を調製する。
【0206】
次に反射防止膜表面に撥液処理剤を塗布し、加熱する。塗布方法としてディップコート法が好適である。
【0207】
(表示装置を備える機器の実施の形態)
次に本発明の表示装置を備える機器の実施の形態について説明する。図31は本発明の表示装置を備える機器の一実施例の概略構成を模式的に示す断面図である。また、図32は本発明の表示装置を備える機器の表示装置近傍の概略構成を模式的に示す一部断面図である。
【0208】
この機器は、テンキー等から構成される入力手段400と、保護板300と、表示装置5と、これらを保持する筐体を備える。
【0209】
保護板300は透明で割れにくく、その表面の機械的な強度が強いことが望まれる。保護板としてはアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などの樹脂板を使用することができる。
【0210】
表示装置5は上記実施の形態で例示した液晶表示パネルとバックライト装置を組み合わせた液晶表示装置、あるいはOLED表示パネル(OLED表示装置)を用いる。この場合、反射防止膜は光学フィルム上に形成されており、低反射を実現するような低屈折率な膜の場合には、硬度や耐擦はガラス表面の様に高くはできない。そこで、本機器では表示装置5の前面に透明な保護板300を備え、保護板300と表示装置5の間には空隙500を設ける。さらに、保護板300は機器前面側の筐体200で保持し、表示装置5は機器裏面側の筐体210で保持するようにする。
【0211】
この場合、前面側の外部より表示装置近傍に加わる機械的な力は保護板と機器の筐体に加わり、表示装置表面に機械的力が加わることを防止できるため、表示装置表面の反射防止膜に強度の弱い膜を使用していても不具合の発生を防止することできる。
【図面の簡単な説明】
【0212】
【図1】本発明の液晶表示パネルの概略構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の液晶表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図3】本発明の液晶表示装置の断面構造の概略を示す模式図である。
【図4】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの概略構成を示す斜視図である。
【図5】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図6】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図7】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの概略構成を示す斜視図である。
【図8】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図9】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図10】本発明の液晶表示パネルの概略構成を示す斜視図である。
【図11】本発明の液晶表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図12】本発明の液晶表示装置の断面構造の概略を示す模式図である。
【図13】本発明の液晶表示パネルの概略構成を示す斜視図である。
【図14】本発明の液晶表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図15】本発明の液晶表示装置の断面構造の概略を示す模式図である。
【図16】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの概略構成を示す斜視図である。
【図17】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図18】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図19】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの概略構成を示す斜視図である。
【図20】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図21】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図22】本発明の液晶表示パネルの概略構成を示す斜視図である。
【図23】本発明の液晶表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図24】本発明の液晶表示装置の断面構造の概略を示す模式図である。
【図25】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの概略構成を示す斜視図である。
【図26】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図27】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図28】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの概略構成を示す斜視図である。
【図29】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図30】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図31】本発明の表示装置を備える機器の一実施例の概略構成を模式的に示す断面図である。
【図32】本発明の表示装置を備える機器の表示装置近傍の概略構成を模式的に示す一部断面図である。
【図33】本発明の反射防止膜の形成方法の概略説明図である。
【図34】本発明の反射防止膜の一例を示す断面写真である。
【図35】本発明の反射防止膜の膜厚と反射率の関係の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0213】
1…液晶表示パネル、2…バックライト装置、3…有機発光ダイオード表示パネル、5…表示装置、10,100…反射防止膜、11…バインダーと溶剤の混合物、12…無機酸化物微粒子、13…反射防止膜塗料、15,122,125,500…空隙、20…第1の透明基板、21…第2の透明基板、22…液晶層、23…シール材、30,32…第1の光学フィルム、31,33…第2の光学フィルム、40,140,141…半導体チップ、50,150,151…フレキシブルプリント回路板(FPC)、60…導光板、61…光源、62…反射板、63…光学部材、70,170,171…平坦化膜、120,124…封止手段、121,123…基板、130,131,132,133…光学フィルム、200,210…筐体、300…保護板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射防止膜を備える液晶表示パネル、及び該液晶表示パネルとバックライト装置とを組み合わせた液晶表示装置、あるいは、反射防止膜を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置などの表示装置とこれを備える機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やPDA(パーソナルディジタルアシスタント)などの携帯機器では、薄型軽量な表示装置が求められており、このような表示装置とし液晶表示装置や有機発光ダイオード表示装置(以下、OLED表示装置と呼ぶ)が採用されている。尚、液晶表示装置は一般に光の透過率や反射率を制御することで画像を形成する液晶表示パネルと光源としてのバックライト装置、もしくはフロントライト装置と組み合わせることで表示装置を実現する。また、OLED表示装置はOLED表示パネル自身が画像光を放射するため特に光源と組み合わせなくとも表示装置が実現できる。
【0003】
表示装置を明るい環境の下で観察する場合、画面の表面で外光が反射して画像が見づらくなることがある。そこで、画面の表面に反射防止膜を設けて外光の反射を抑制することが行われる。
【0004】
反射防止膜としては多層膜,単層膜どちらも利用されている。多層構造による反射防止膜は蒸着,スパッタリング,イオンプレーティング等の成膜方法により高屈折率層と低屈折率層を交互に積層することで反射防止性能に優れた膜を実現できる反面、製造コストが高くなる。
【0005】
一方、工程数が少なく塗布成膜が可能な単層による反射防止膜は低コスト化に有利であるため、その反射防止性能の向上が望まれている。
【0006】
単層膜の場合、外界の屈折率をn0、表示装置表面の屈折率をn1、反射防止膜の屈折率をn2とすると、反射率R′は、次式で表される。
【0007】
R′={(n22−n0×n1)/(n22+n0×n1)}2 …(1)
外界は通常空気であり、その屈折率n0は凡そ1.0であるため、反射率R′は
R′={(n22−n1)/(n22+n1)}2 …(2)
となり、n2=√n1のとき反射率は理論的に0%になる。
【0008】
通常、表示装置の表面は屈折率が1.5 程度なので反射防止膜の屈折率としては約1.22が好適となる。しかしながら、現状、屈折率が低いといわれるフッ素系の樹脂は屈折率が約1.34 程度であり、単層で十分な反射防止を得ることは極めて困難である。
【0009】
近年、単層膜で屈折率をより低くする方法が提案されており、その1つに下記特許文献1に記載の薄膜がある。この薄膜は内部に空洞のある微粒子(中空微粒子)と、この中空微粒子を保持するバインダーを有した薄膜である。この薄膜の内部の空洞は、実質的に空気と同じ屈折率(屈折率1.0 )であるため、その中空微粒子の材質や中空微粒子を保持するバインダーの屈折率が大きくても、膜としてみれば結果的に空気に近い屈折率となる。即ち、この膜を基板に形成することで反射率を低減できるというものである。
【0010】
また、別の方法で、単層膜で屈折率をより低くする方法の1つに、下記特許文献2に記載の低屈折率膜がある。これは、空気に近い側に有機超微粒子の表面が露出し、表面に凹凸を生じさせることで、表面の密度を下げ、結果として屈折率の低い膜を形成すると開示されている。
【0011】
また、別の方法では、下記特許文献3に記載のハニカム構造の細孔を有する低屈折率膜がある。これは、ハニカム状に形成された複数の細孔が、シリカ微粒子を貫通するようにかつ互いに平行に形成されることにより、シリカ微粒子自体の強度を低下させること無く、最大の空隙率を得ることができる。これによって、機械的強度に優れた低屈折率膜を形成することができると開示されている。
【0012】
【特許文献1】特開2003−201443号公報
【特許文献2】特開平7−92305号公報
【特許文献3】特開2004−83307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記特許文献1に記載の薄膜は、低い屈折率を実用しようとする場合、空孔率を高くする必要があるため膜の機械的強度は低くなる。
【0014】
また、上記特許文献2や特許文献3に記載の膜では、架橋や重合によって膜の機械的強度は高いと考えられるが、膜表面の凹凸に汚れが入り込むこと除去が困難であり、屈折が高くなってしまう可能性がある。さらにこれらの構造では、単層膜による反射防止膜として理想的な屈折率の値(一般によく利用される基材が1.5程度であり、この場合は約
1.22程度)を実現することが困難である。
【0015】
また、これら従来技術は、板状或いはフィルム状の基材に膜を塗布することを前提としており、表示パネルに直接反射防止膜を塗布することは考慮されていなかった。
【0016】
本発明はこのような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、その目的は高い反射防止性能を有する膜を直接表示パネルに形成することでより低コストな表示装置やこれを備える機器を実現することにある。また、この膜により反射防止機能以外の機能を付加することでより高いコストパフォーマンスの表示装置を実現することにある。
【0017】
本発明のその他の課題と新規な特徴については本明細書の記述及び添付図面を参照して明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は上記目的を達成するため、例えば以下の手段を採用する。
【0019】
第1の透明基板と第2の透明基板と、これら透明基板の間に液晶層を有する液晶表示パネルであって、この液晶表示パネルは少なくともその表示領域であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【0020】
あるいは、マトリクス状に配置した複数の画素を構成する発光素子を有する基板と、封止手段とを有する有機発光ダイオード表示パネル(以下、OLED表示パネルとも称する)であって、このOLED表示パネルは少なくともその表示領域であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【0021】
また、反射防止膜を構成する膜として、膜表面の抵抗が1011Ω未満となる膜を採用する。
【0022】
さらに、この表示パネルは、画像信号などの電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とし、その方向の端面以外であって、なおかつ、おもて面以外の面にも反射防止膜と同じ材料の膜を有する構成とする。
【0023】
また、第1の透明基板と第2の透明基板と、これら透明基板の間に液晶層を有する液晶表示パネルにおいて、第2の透明基板は第1の透明基板よりも面積が大きく、第2の透明基板と第1の透明基板が重なる領域に表示領域を有するものであり、第2の透明基板の第1の透明基板側の面上であって、第1の透明基板に覆われない領域の少なくとも一部には、第1の透明基板の第2の透明基板とは逆側の面においてその高さが略同じとなる平坦化膜を備え、さらにこの液晶表示パネルは少なくともその表示領域及び平坦化膜の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【0024】
尚、本明細書における面積の大小は、特に説明がない場合には観察者が表示パネルの画面を正面から観察した場合の観察者の方向における投影面積の大小のことである。
【0025】
あるいは、第1の透明基板と第2の透明基板と、これら透明基板の間に液晶層を有する液晶表示パネルであって、第1の透明基板には第2の透明基板とは反対側の面に少なくとも一つの偏光層を含む第1の光学フィルムを備え、第2の透明基板には第1の透明基板とは反対側の面に少なくとも一つの偏光層を含む第2の光学フィルムを備え、第2の透明基板は第1の透明基板よりも面積が大きく、第2の透明基板と第1の透明基板が重なる領域に表示領域を有するものであり、第2の透明基板の第1の透明基板側の面上であって、第1の透明基板に覆われない領域の少なくとも一部には、第1の光学フィルムの第1の透明基板側とは反対側の面においてその高さが略同じとなる第1の平坦化膜を備え、第2の透明基板の第1の透明基板とは逆側の面上であって、第1の透明基板に覆われない領域の少なくとも一部には、第2の光学フィルムの第2の透明基板側とは反対側の面においてその高さが略同じとなる第2の平坦化膜を備え、さらにこの液晶表示パネルは少なくともその表示領域及び第1または第2の平坦化膜の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【0026】
或いは、マトリクス状に配置した複数の画素を構成する発光素子を有する基板と、封止手段とを有するOLED表示パネルにおいて、発光素子を有する基板は封止手段よりも面積が大きく、発光素子を有する基板と封止手段が重なる領域に表示領域を有するものであり、発光素子を有する基板の封止手段側の面上であって、封止手段に覆われない領域の少なくとも一部には、封止手段の発光素子を有する基板とは逆側の面においてその高さが略同じとなる平坦化膜を備え、さらにこのOLED表示パネルは少なくともその表示領域及び平坦化膜の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【0027】
或いはマトリクス状に配置した複数の画素を構成する発光素子を有する基板と、封止手段とを有するOLED表示パネルにおいて、画像光は発光素子を有する基板側から取り出すものであり、さらに発光素子を有する基板の封止手段とは反対の面には少なくとも一つの偏光層を含む光学フィルムを備え、発光素子を有する基板の封止手段とは逆側の面上であって、なおかつ光学フィルムに覆われない領域の少なくとも一部には、光学フィルムの発光素子を有する基板とは反対側の面において、その高さが略同じとなる平坦化膜を備え、さらにこのOLED表示パネルは少なくともその表示領域及び平坦化膜の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【0028】
また、液晶表示パネルの場合であれば、第2の透明基板にマトリクス状に配置した複数の画素を構成する電極を備え、さらに画像信号などの電気的信号を外部と接続する領域を有し、この電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とし、平坦化膜を設ける領域は電気的信号を外部と接続する領域と兼用する。
【0029】
或いはOLED表示パネルの場合であれば、発光素子を有する基板に画像信号などの電気的信号を外部と接続する領域を有し、この電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とし、平坦化膜を設ける領域は電気的信号を外部と接続する領域と兼用する。
【0030】
また、第1の透明基板と第2の透明基板と、これら透明基板の間に液晶層を有する液晶表示パネルであって、第1の透明基板には第2の透明基板とは反対側の面に少なくとも一つの偏光層を含む第1の光学フィルムを備え、第2の透明基板には第1の透明基板とは反対側の面に少なくとも一つの偏光層を含む第2の光学フィルムを備え、第2の透明基板は第1の透明基板よりも面積が大きく、第2の透明基板と第1の透明基板が重なる領域に表示領域を有するものであり、第1の光学フィルム及び第2の光学フィルムは第1の透明基板よりもその面積が大きく、さらに第2の透明基板の第1の透明基板に覆われない領域の少なくとも一部を覆うものであり、さらにこの液晶表示パネルは第1または第2の光学フィルム上であって、少なくともその表示領域及び第2の透明基板の第1の透明基板に覆われない領域の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【0031】
或いは、マトリクス状に配置した複数の画素を構成する発光素子を有する基板と、封止手段とを有するOLED表示パネルにおいて、発光素子を有する基板と封止手段のうち、画像光を取り出す側の最表面に少なくとも一つの偏光層を含む光学フィルムを備え、発光素子を有する基板は封止手段よりも面積が大きく、これらが重なる領域に表示領域を有するものであり、光学フィルムは封止手段よりも面積が大きく、さらに発光素子を有する基板の封止手段に覆われない領域の少なくとも一部を覆うものであり、さらにこのOLED表示パネルは光学フィルム上であって、少なくともその表示領域及び発光素子を有する基板の封止手段に覆われない領域の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【0032】
また、液晶表示パネルの場合であれば、第2の透明基板にマトリクス状に配置した複数の画素を構成する電極を備え、さらに画像信号などの電気的信号を外部と接続する領域を有し、この電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とし、光学フィルムの面積を拡大した領域と電気的信号を外部と接続する領域を重ね合わす。
【0033】
或いはOLED表示パネルの場合であれば、発光素子を有する基板に画像信号などの電気的信号を外部と接続する領域を有し、この電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とし、光学フィルムの面積を拡大した領域と電気的信号を外部と接続する領域と重ね合わせる。
【0034】
また、本願発明に適用する反射防止膜としては、無機酸化物からなる微粒子と、バインダーと、空隙とを有する反射防止膜であって、膜の一方の表面における算術平均粗さ(Ra)が6nm未満とする。
【0035】
また、他の反射防止膜としては、無機酸化物からなる微粒子と、バインダーと、空隙とを有する反射防止膜において、前記バインダーは前記基板の部材と同じ部材を主成分とする。
【0036】
また、他の反射防止膜としては、無機酸化物からなる微粒子と、バインダーと、空隙とを有する反射防止膜において、前記空隙の密度は、空気と接する膜表面より、膜内部の方が高いものとする。
【0037】
また、表示パネルと、その前面側に配置する透明な保護板と、前記表示パネル及び前記保護板の間に空気層を有する表示装置を備える機器において、前記保護板は前記表示パネルの表示領域よりも面積が大きく、さらに前記表示装置と前記保護板は独立して筐体に固定されることで、機器に固定する。
【0038】
上記以外の手段については以下の記述で明らかとする。
【発明の効果】
【0039】
本発明により、高い反射防止性能を備える表示パネルまたは表示装置を実現できる。また、これらを備える機器が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明するが、種々の変更は可能であり、また、下記実施形態同士の組み合わせは本発明に包含されるものである。
【0041】
(液晶表示パネルの実施形態1)
本発明に係る液晶表示パネルの実施の形態について図面を参照して説明する。図1及び図2はそれぞれ本発明に係る液晶表示パネルの1実施例の概略構成を示す斜視図及び断面構造の概略を示す模式図である。
【0042】
液晶表示パネル1は後述するバックライト装置と組み合わせ、バックライト装置からの光の透過光量を調整することで映像を表示する透過型、或いは半透過反射型の液晶表示パネルである。尚、液晶表示パネルにはパッシブ駆動方式やアクティブ駆動方式があるが、詳細な構成や動作については周知であるのでここではその説明は省略する。
【0043】
液晶表示パネルは偏光板を備え、液晶層に入射する光の偏光状態を制御することで映像表示を行うものが比較的低い駆動電圧でコントラスト比の高い映像が得られることから望ましい。また、液晶表示パネルとしては例えばTN(Twisted Nematic )方式,STN
(Super Twisted Nematic)方式,ECB(Electrical Controlled Birefringence)方式などを用いることができる。また、広視野角を特徴とするIPS(In Plane Switching)方式,VA(Vertical Alingned)方式を用いることができる。
【0044】
あるいは液晶表示パネルとしては上記方式を応用した半透過反射型を用いることができる。
【0045】
ここでは以下、液晶表示パネルとしてアクティブマトリクス方式を用いる場合の概要を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】
液晶表示パネル1は、平坦かつ透明で光学的に等方なガラス、あるいはプラスチックからなる第1の透明基板20および第2の透明基板21とを有する。
【0047】
第1の透明基板20には、カラーフィルタや、ポリイミド系高分子からなる配向膜(いずれも不図示)が積層されている。第2の透明基板21には、マトリクス状に配置した複数の画素を形成する電極,信号電極,走査電極,薄膜トランジスタ等からなるスイッチング素子,配向膜等(いずれも不図示)が形成されている。
【0048】
2枚の透明基板20,21は配向膜形成面を向かい合わせ、図示しないスペーサーにより一定の間隙を設けた状態で枠状のシール材23で周囲を接着して内部に空間を形成する。この空間に液晶を封入し、封止することで液晶層22が設けられる。
【0049】
液晶層22は2枚の透明基板20,21上に形成された配向膜に施される配向処理により、その液晶分子長軸の配向方向が規定される。
【0050】
第1の透明基板20の観察者側の面(おもて面)と第2の透明基板21の観察者側とは反対側の面(うら面)にはそれぞれ第1の光学フィルム30と第2の光学フィルム31を備える。
【0051】
第1の光学フィルム30と第2の光学フィルム31はそれぞれ少なくとも一つの偏光層を含むものであり、適用する液晶表示モードに応じて適切な位相差層を含んでもよい。偏光層はこれに入射する光のうち互いに直交する直線偏光成分の一方を透過し、他方を吸収するものである。偏光層としては例えば、ヨウ素や有機染料などの2色性の材料を染色あるいは吸着させたポリビニルアルコールなどからなる基材フィルムを延伸し、2色性の材料を配向させることで吸収2色性を発現したものを用い、その両側をトリアセチルセルロースフィルムなどからなる2枚の透明保護フィルムで挟んだ構造のものを用いることができる。
【0052】
尚、第2の光学フィルム31を構成するフィルムとしては偏光層で吸収される直線偏光成分は反射し、これ以外の光は透過する反射型の偏光フィルムを含んでも良い。この場合、偏光層で吸収される光の量が減り、より明るい画像が得られるようになる。
【0053】
第1の光学フィルム30と第2の光学フィルム31はそれぞれ図示しない粘着層を介して、第1の透明基板20と第2の透明基板21に固定される。
【0054】
第2の透明基板は第1の透明基板よりも面積が大きく、第2の透明基板と第1の透明基板が重なる領域内にバックライト装置からの光の透過量を変調することで2次元画像を形成する表示領域を有する。また、第1の光学フィルム30と第2の光学フィルム31は共に表示領域以上の面積を有し、表示領域を全て覆うように配置する。この際、第1の光学フィルム30と第2の光学フィルム31は第1の透明基板、もしくは第2の透明基板と外形寸法が同じ、またはそれよりやや小さめにすることが液晶表示パネルの外形寸法を無駄に大きくしないこと、及び反射防止膜が表示領域内で均一になるために重要である。
【0055】
つまり、光学フィルムの端部では反射防止膜の膜厚が均一になりにくいため、光学フィルムは表示領域よりもできるだけ大きいことが望ましいが、液晶表示パネルの外形寸法を無駄に大きくしないためには第1の透明基板、もしくは第2の透明基板の外形寸法と同じもしくはそれより小さくする必要がある。
【0056】
尚、本明細書における面積とは、特に説明がない場合には観察者が表示パネルの画面を正面から観察した場合における観察者の方向での投影面積のことである。
【0057】
第2の透明基板21の第1の透明基板20側の面上であって、第1の透明基板20に覆われない領域には画像信号などの電気的信号を外部と接続する領域を有する。つまり、液晶表示パネル1は第2の透明基板21上であって、第1の透明基板20が重なっていない領域にフレキシブルプリント回路板(以下、FPCとも呼ぶ)50を備え、このFPC50を介して外部と電気的に接続する。また、この領域には必要に応じてドライバとして機能する半導体チップ40を実装してもよい。
【0058】
液晶表示パネル1は少なくとも表示領域を覆う第1の光学フィルムの観察者側の面(おもて面)上に反射防止膜10を有し、さらに表示領域のおもて面とは逆の面(うら面)、つまり、第2の光学フィルムが配置された面と、図1中、液晶表示パネル1の2つの側面(左右の端面)と底面(下方向の端面)の3つの端面に反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【0059】
この場合、液晶表示パネルのおもて面とうら面に同じ材質の膜が形成されるため、反射防止膜と表示パネルを構成する部材とで温度による体積変化の比率が異なっていても、液晶表示パネルのおもて面とうら面で収縮または膨張の方向が同じになるため、表示パネルが反る等の変形が抑制される。
【0060】
また、液晶表示パネルを構成する基板の端面が膜で覆われ保護されるため、特に液晶表示パネルを薄型化するために薄いガラス基板を採用する場合に基板端面の小さなクラックなどから割れやすくなることを防止する効果が得られる場合がある。
【0061】
さらに、反射防止膜を構成する膜として、膜表面の抵抗が1011Ω未満となる膜を採用することで、液晶表示パネルの表示領域のみならず、端部や端面への埃の付着を抑制することができる。尚、本発明に好適な反射防止膜については後に詳述する。
【0062】
ここで、液晶表示パネルは電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とすることが重要である。つまり、本実施の形態の通り、液晶表示パネル1に接続するFPC50は観察者が表示領域を正面から観察した際、矩形である液晶表示パネルの一つの辺に相当する部分に接続する。
【0063】
この場合、液晶表示パネルをFPC50が接続される領域、つまり、第2の透明基板において、第1の透明基板と重ならない部分で直接あるいは適切なじ具を介して固定し、ディップコート法で反射防止膜を塗布すると一回の工程で、液晶表示パネルのおもて面とうら面、及び、3つの端面に反射防止膜と同じ材料の膜を形成することができる。このため塗布材料のロスが少なく、低コストな成膜が可能となる。
【0064】
図3は上記液晶表示パネルを備える液晶表示装置の断面構造の概略を示す模式図である。液晶表示装置は、液晶表示パネル1と、その背面に配置するバックライト装置2とから構成される。バックライト装置2は液晶表示パネル1の表示領域をその背面側から照明するものである。バックライト装置2としてはエッジライト方式(導光体方式),直下方式(反射板方式),面状光源方式などがある。バックライト装置2はこれらの方式やその他の方式の中から用途や目的,表示領域の大きさに合わせて最適な方式を選べばよい。ここでは、エッジライト方式のバックライトについて説明する。
【0065】
バックライト装置2は裏面に白色顔料によるドット印刷、或いは微細な凹凸形状やレンズ形状等の光の進行方向を変える手段を形成した透明な樹脂からなる導光板60と、導光板60の端面に配置した光源61と、導光板60の裏面側に配置した反射板62と、導光板60の表面側に配置したプリズムシートや、マイクロレンズアレイ,拡散シートなどの光学部材63とを有している。
【0066】
光源61としては冷陰極管や熱陰極管などの線状光源や発光ダイオード(LED)などの点状光源を使用することができる。ここでは以下、光源61としてLEDを使用する場合を説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
【0067】
光源61としてLEDを用いる場合は、光源からの光を導光板60に効率よく入射させるため、図示しない反射体を設けたり、発光部の周囲に形成するモールド樹脂の形状を工夫すると良い。
【0068】
この構成において、光源61から出射し、導光板60に入射する光は全反射しながら導光板60内を伝播する。導光板60内を伝播する光のうち導光体裏面に施された、光の進行方向を変える手段に至った光は、その進行方向が変わり、導光板60の表面側から出射する。導光板60から出射する光は、プリズムシートや、マイクロレンズアレイ,拡散シートなどの光学部材により出射角度の分布や、面内での輝度分布が調整された後、液晶表示パネル1に照射される。
【0069】
液晶表示パネル1はバックライト装置2からの光の透過光量を画像データに応じて調整することで映像を形成する。
【0070】
この場合、反射防止膜10は液晶表示パネルの両面に形成されているため、外光の反射低減による明環境下での視認性の向上のほか、液晶表示パネルの透過率向上により、より明るい映像が実現できる。また、反射防止膜10として、膜表面の抵抗が1011Ω未満となる膜を採用することで、液晶表示パネルのおもて面だけでなく、側面や裏面への異物の付着が減り、バックライト装置と液晶表示パネルとの間に混入する異物による不良が低減できる。
【0071】
(OLED表示パネルの実施形態1)
次に本発明に係るOLED表示パネルの実施の形態について図面を参照して説明する。図4は本発明に係るOLED表示パネルの1実施例の概略構成を示す斜視図であり、図5及び図6はそれぞれ本発明に係るOLED表示パネルの1実施例の断面構造の概略を示す模式図である。
【0072】
OLED表示パネル3は液晶表示パネルと異なり、自ら発光する素子を備えるためバックライト装置などの補助光源を必要とすることなく画像を表示することができるものである。また、OLED表示パネルとしては、薄膜トランジスタ(以下、TFTとも称する)などのスイッチング素子を備えるアクティブマトリクス駆動型と、有機発光ダイオード素子を構成する電極をそれぞれ走査線とデータ線に直結して駆動する単純マトリクス駆動型が考えられる。
【0073】
ここでは以下、アクティブマトリクス駆動型のOLED表示パネルについて説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
【0074】
OLED表示パネル3はマトリクス状に配置した複数の画素を構成する有機発光ダイオード素子からなる発光素子を有する基板121と、少なくとも可視光に対して透明な封止手段120と、封止手段120のおもて面に配置する光学フィルム130と、を有し、少なくともその表示領域であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【0075】
尚、OLED表示パネル3は有機発光ダイオード素子が形成された基板121とは反対方向から光を取り出す、所謂トップエミッション型のOLED表示パネルである。トップエミッション型の場合には図5に例示する通り、封止手段120として可視光に対して透明でガスバリア性を有する透明な封止板を用い、表示領域の周囲に枠状に塗布した接着性のあるシール剤により基板121と密閉封止する。透明な封止板としてはガラス板や、ガスバリヤー処理を施した樹脂フィルム,薄いガラス板と樹脂フィルムを積層したものなどを用いることができる。
【0076】
この場合、封止手段120と基板121との空隙122は封止手段120との屈折率差が小さくなるように屈折率1.4〜2.0程度の透明体で満たすことが望ましい。これは空隙122と封止手段120との界面での反射を小さくするためである。
【0077】
このように透明な封止板を封止手段として用いる代わりに、図6に例示する通り、ガスバリア性のある無機の透明材料を積層形成する、あるいは無機の透明材料と有機の透明材料を交互に繰り返し積層することでガスバリア性を持たせた膜を積層形成することで封止してもよい。
【0078】
画素を構成する発光素子としては有機発光ダイオード素子が用いられる。有機発光ダイオード素子としは陽極として機能する電極と、陰極として機能する電極と、これらの電極間に陽極側からホール輸送層,発光層,電子輸送層を順次積層した三層構造の素子が知られているが本発明はこれに限定されるものではない。
【0079】
また、発光素子を有する基板121としてはガラスやプラスチックなどの絶縁性の基板、あるいはインバ−など熱膨張率をガラスに近づけた金属基板の表面に絶縁膜を施した基板を用いることができる。表示領域は基板121のほぼ中央の部分に設けられ、その周辺には図示しないデータ駆動回路や走査駆動回路が設置され、これらの駆動回路はNチャネル型とPチャネル型のTFT(Thin Film Transistor)による相補型回路から構成されるシフトレジスタ回路,レベルシフタ回路,アナログスイッチ回路などから構成される。
【0080】
アクティブマトリクス駆動型OLED表示パネルの典型的な画素駆動回路はスイッチトランジスタとドライバトランジスタの2つのTFTと蓄積容量で構成され、この画素駆動回路により有機発光ダイオード素子の発光が制御されるものである。
【0081】
尚、OLED表示パネルの詳細な構成や動作については周知であるのでここではその説明は省略する。
【0082】
光学フィルム130は外光の反射を抑制するために必要に応じて配置するもので、少なくとも一つの偏光層を含み、1/4波長板として機能する位相差層と組み合わせることで円偏光板として機能するものである。偏光層はこれに入射する光のうち互いに直交する直線偏光成分の一方を透過し、他方を吸収するものである。偏光層としては例えば、ヨウ素や有機染料などの2色性の材料を染色あるいは吸着させたポリビニルアルコールなどからなる基材フィルムを延伸し、2色性の材料を配向させることで吸収2色性を発現したものを用い、その両側をトリアセチルセルロースフィルムなどからなる2枚の透明保護フィルムで挟んだ構造のものを用いることができる。また、位相差層はシクロオレフィンポリマーやポリカーボネートなどの透明な高分子フィルムを用いることができる。
【0083】
光学フィルム130は表示領域以上の面積を有し、図示しない粘着層を介して表示領域を全て覆うように封止手段120に固定される。
【0084】
この際、光学フィルム130は封止手段120、もしくは発光素子を有する基板と外形寸法が同じ、またはそれよりやや小さめにすることがOLED表示パネルの外形寸法を無駄に大きくしないこと、及び反射防止膜が表示領域内で均一になるために重要である。
【0085】
つまり、光学フィルムの端部では反射防止膜の膜厚が均一になりにくいため、光学フィルムは表示領域よりもできるだけ大きいことが望ましいが、OLED表示パネルの外形寸法を無駄に大きくしないためには封止手段、もしくは発光素子を有する基板の外形寸法と同じもしくはそれより小さくする必要がある。
【0086】
発光素子を有する基板121のおもて面上であって、封止手段120に覆われない領域には画像信号などの電気的信号を外部と接続する領域を有し、この領域にフレキシブルプリント回路板(以下、FPCとも呼ぶ)150を備え、このFPC150を介して外部と電気的に接続する。また、この領域には必要に応じてドライバとして機能する半導体チップ140を実装してもよい。
【0087】
OLED表示パネル3は少なくとも表示領域を覆う光学フィルム130の観察者側の面(おもて面)上に反射防止膜100を有し、さらに基板121のうら面と、図4中、OLED表示パネル3の2つの側面(左右の端面)と底面(下方向の端面)の3つの端面に反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【0088】
この場合、OLED表示パネルのおもて面とうら面に同じ材質の膜が形成されるため、反射防止膜と表示パネルを構成する部材とで温度による体積変化の比率が異なっていても、OLED表示パネルのおもて面とうら面で収縮または膨張の方向が同じになるため、表示パネルが反る等の変形が抑制される。
【0089】
また、OLED表示パネルを構成する基板の端面が膜で覆われ保護されるため、特に
OLED表示パネルを薄型化するために薄いガラス基板を採用する場合に基板端面の小さなクラックなどから割れやすくなることを防止する効果が得られる場合がある。
【0090】
さらに、反射防止膜を構成する膜として、膜表面の抵抗が1011Ω未満となる膜を採用することで、OLED表示パネルの表示領域のみならず、端部や端面への埃の付着を抑制することができる。尚、本発明に好適な反射防止膜については後に詳述する。
【0091】
ここで、OLED表示パネルは電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とすることが重要である。つまり、本実施の形態の通り、OLED表示パネル3に接続するFPC150は観察者が表示領域を正面から観察した際、矩形であるOLED表示パネルの一つの辺に相当する部分に接続する。
【0092】
この場合、OLED表示パネルをFPC150が接続される領域、つまり、発光素子を有する基板121において、封止手段120と重ならない部分で直接あるいは適切な治具を介して固定し、ディップコート法で反射防止膜を塗布すると一回の工程で、OLED表示パネルのおもて面とうら面、及び、3つの端面に反射防止膜と同じ材料の膜を形成することができる。このため塗布材料のロスが少なく、低コストな成膜が可能となる。
【0093】
(OLED表示パネルの実施形態2)
次に本発明に係るOLED表示パネルの他の実施の形態について図面を参照して説明する。図7は本発明に係るOLED表示パネルの1実施例の概略構成を示す斜視図であり、図8及び図9はそれぞれ本発明に係るOLED表示パネルの1実施例の断面構造の概略を示す模式図である。
【0094】
OLED表示パネル4は発光素子を有する基板側から光を取り出す、所謂ボトムエミッション型のOLED表示パネルであり、上記実施の形態(OLED表示パネルの実施形態1)に記載のOLED表示パネルと同様な部分については詳細な説明は省略する。
【0095】
OLED表示パネル4はマトリクス状に配置した複数の画素を構成する有機発光ダイオード素子からなる発光素子を有する透明な基板123と、封止手段124と、発光素子を有する基板123のおもて面に配置する光学フィルム131と、を有し、少なくともその表示領域であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【0096】
ボトムエミッション型の場合には封止手段124として透明な封止板を用いる必要はない。このため、図8に例示する通り、封止手段124としてより安価なステンレスなどの金属製の封止管を用い表示領域の周囲に枠状に塗布した接着性のあるシール剤により透明な基板123と密閉封止する。この場合、封止手段124と透明な基板123との空隙
125は窒素などの不活性なガスを封入し、有機発光ダイオード素子の長寿命化のために図示しない吸湿材(デシカント)を設けても良い。
【0097】
このように封止手段として封止管を用いる代わりに、図9に例示する通り、ガスバリア性のある無機材料を積層形成する、あるいは無機の材料と有機の材料を交互に繰り返し積層することでガスバリア性を持たせた膜を積層形成することで封止してもよい。
【0098】
光学フィルム131は外光の反射を抑制するために必要に応じて配置するもので、少なくとも一つの偏光層を含み、1/4波長板として機能する位相差層と組み合わせることで円偏光板として機能するものである。偏光層はこれに入射する光のうち互いに直交する直線偏光成分の一方を透過し、他方を吸収するものである。偏光層としては例えば、ヨウ素や有機染料などの2色性の材料を染色あるいは吸着させたポリビニルアルコールなどからなる基材フィルムを延伸し、2色性の材料を配向させることで吸収2色性を発現したものを用い、その両側をトリアセチルセルロースフィルムなどからなる2枚の透明保護フィルムで挟んだ構造のものを用いることができる。また、位相差層はシクロオレフィンポリマーやポリカーボネートなどの透明な高分子フィルムを用いることができる。
【0099】
光学フィルム131は表示領域以上の面積を有し、図示しない粘着層を介して表示領域を全て覆うように透明な基板123に固定される。
【0100】
発光素子を有する透明な基板123のうら面上であって、封止手段120に覆われない領域には画像信号などの電気的信号を外部と接続する領域を有し、この領域にフレキシブルプリント回路板(以下、FPCとも呼ぶ)151を備え、このFPC151を介して外部と電気的に接続する。また、この領域には必要に応じてドライバとして機能する半導体チップ141を実装してもよい。
【0101】
OLED表示パネル4は少なくとも表示領域を覆う光学フィルム131の観察者側の面(おもて面)上に反射防止膜100を有し、さらに封止手段124のうら面と、図7中、OLED表示パネル4の2つの側面(左右の端面)と底面(下方向の端面)の3つの端面に反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【0102】
この場合、OLED表示パネルのおもて面とうら面に同じ材質の膜が形成されるため、反射防止膜と表示パネルを構成する部材とで温度による体積変化の比率が異なっていても、OLED表示パネルのおもて面とうら面で収縮または膨張の方向が同じになるため、表示パネルが反る等の変形が抑制される。
【0103】
また、OLED表示パネルを構成する基板の端面が膜で覆われ保護されるため、特に
OLED表示パネルを薄型化するために薄いガラス基板を採用する場合に基板端面の小さなクラックなどから割れやすくなることを防止する効果が得られる場合がある。
【0104】
さらに、反射防止膜を構成する膜として、膜表面の抵抗が1011Ω未満となる膜を採用することで、OLED表示パネルの表示領域のみならず、端部や端面への埃の付着を抑制することができる。尚、本発明に好適な反射防止膜については後に詳述する。
【0105】
ここで、OLED表示パネルは電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とすることが重要である。つまり、本実施の形態の通り、OLED表示パネル4に接続するFPC151は観察者が表示領域を正面から観察した際、矩形であるOLED表示パネルの一つの辺に相当する部分に接続する。
【0106】
この場合、OLED表示パネルをFPC151が接続される領域、つまり、発光素子を有する透明な基板123において、封止手段124と重ならない部分で直接あるいは適切な治具を介して固定し、ディップコート法で反射防止膜を塗布すると一回の工程で、OLED表示パネルのおもて面とうら面、及び、3つの端面に反射防止膜と同じ材料の膜を形成することができる。このため塗布材料のロスが少なく、低コストな成膜が可能となる。
【0107】
(液晶表示パネルの実施形態2)
次に本発明に係る液晶表示パネルの他の実施の形態について図面を参照して説明する。図10及び図11はそれぞれ本発明に係る液晶表示パネルの1実施例の概略構成を示す斜視図及び断面構造の概略を示す模式図である。また、図12は本発明に係る液晶表示パネルとバックライト装置を組み合わせた表示装置の断面構造の概略を示す模式図である。
【0108】
本実施の形態の液晶表示パネルは上記液晶表示パネル(液晶表示パネルの実施形態1)において、第2の透明基板21の第1の透明基板20側の面上であって、第1の透明基板20に覆われない領域の少なくとも一部に、第1の透明基板20の第2の透明基板21とは逆側の面においてその高さが略同じとなる平坦化膜70を備えるものである。さらに、液晶表示パネルは少なくともその表示領域及び平坦化膜70の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜10を有し、さらに少なくとも表示領域のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備えるものであって、上記実施形態と同じ部材には同じ符号を付け詳細な説明は省略する。
【0109】
本実施の形態の液晶表示パネルは、第2の透明基板21のおもて面側であって、第1の透明基板20が重なっていない領域に新に平坦化膜70を設けることで液晶表示パネルのおもて面の段差を減らし、平坦な領域を増やすものである。この際、第1の光学フィルム30の厚みも考慮して、液晶表示パネルのおもて面を平坦化することが望ましい。したがって、平坦化膜70は第2の透明基板上だけでなく、第1の透明基板20上や第1の光学フィルム30上にも形成することで液晶表示パネルのおもて面をより広い領域に渡って平坦化するようにしても良い。
【0110】
平坦化膜70としては有機材料や無機材料を使用することができ、透明であっても不透明であってもよい。ただし、平坦化膜70を第1の光学フィルム30のおもて面上にも形成する場合は、可視光に対して透明であることが望ましい。比較的容易に段差をなくすためには有機系の材料を用いることが望ましい。また、反射防止膜を塗布する際の耐性も考慮することが必要である。
【0111】
ここで、塗布法により反射防止膜を形成する場合、反射防止膜を形成すべき面に段差があると、その段差に起因して膜厚が均一にならない。このため段差部とその近傍では光学特性が均質な反射防止膜が形成できない。
【0112】
しかしながら、本実施の形態の様に液晶表示パネルのおもて面の段差を平坦化膜により減らし、段差部を表示領域から遠ざけることで、少なくとも表示領域では光学特性の均一性の高い反射防止膜が実現できる。
【0113】
尚、液晶表示パネルの場合、平坦化膜を設ける領域を液晶表示パネルが電気的信号を外部と接続する領域と兼用することで、特に額縁の大きさを拡大することなく、表示領域において光学特性の均一性の高い反射防止膜が実現できる。
【0114】
換言すると、表示領域において光学特性の均一性の高い反射防止膜を有し、なおかつ額縁の小さな表示パネルを実現することができる。
【0115】
尚、表示パネルにおいて、電気的信号の外部と接続する領域に平坦化膜を設けることはその部分を保護するという効果もある。つまり、平坦化膜には表示パネルに直接、反射防止膜を塗布する際に電気的な接続箇所を保護するという効果も期待できる。
【0116】
(液晶表示パネルの実施形態3)
次に本発明に係る液晶表示パネルのその他の実施の形態について図面を参照して説明する。図13及び図14はそれぞれ本発明に係る液晶表示パネルの1実施例の概略構成を示す斜視図及び断面構造の概略を示す模式図である。また、図15は本発明に係る液晶表示パネルとバックライト装置を組み合わせた表示装置の断面構造の概略を示す模式図である。
【0117】
本実施の形態の液晶表示パネルは上記液晶表示パネル(液晶表示パネルの実施形態1)において、第2の透明基板21の第1の透明基板20側の面上であって、第1の透明基板20に覆われない領域の少なくとも一部に、第1の光学フィルム30の第1の透明基板
20側とは反対側の面においてその高さが略同じとなる第1の平坦化膜70を備える。また、第2の透明基板21の第1の透明基板20とは逆側の面上であって、第1の透明基板20に覆われない領域に相当する部分の少なくとも一部には、第2の光学フィルム31の第2の透明基板21側とは反対側の面においてその高さが略同じとなる第2の平坦化膜
71を備え、さらにこの液晶表示パネルは少なくともその表示領域及び第1または第2の平坦化膜の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜10を有し、さらに少なくとも表示領域のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備えるもので、上記実施形態と同じ部材には同じ符号を付け詳細な説明は省略する。
【0118】
本実施の形態の液晶表示パネルは、第2の透明基板21のおもて面側であって、第1の透明基板20が重なっていない領域に新に平坦化膜70を設けることで液晶表示パネルのおもて面の段差を減らし、平坦な領域を増やすものである。この際、第1の光学フィルム30の厚みも考慮して、液晶表示パネルのおもて面を平坦化することが望ましい。したがって、平坦化膜70は第2の透明基板上だけでなく、第1の透明基板20上や第1の光学フィルム30上にも形成することで液晶表示パネルのおもて面をより広い領域に渡って平坦化するようにしても良い。
【0119】
また、本実施の形態の液晶表示パネルは、第2の透明基板21のうら面側であって、第1の透明基板20が重なっていない領域に相当する部分に新に平坦化膜71を設けることで液晶表示パネルのうら面の段差を減らし、平坦な領域を増やすものである。この際、第2の光学フィルム31の厚みも考慮して、液晶表示パネルのうら面を平坦化することが望ましい。したがって、平坦化膜71は第2の透明基板上だけでなく、第2の光学フィルム31上にも形成することで液晶表示パネルのうら面をより広い領域に渡って平坦化するようにしても良い。
【0120】
平坦化膜70,71としては有機材料や無機材料を使用することができ、透明であっても不透明であってもよい。ただし、平坦化膜70,71を第1の光学フィルム30のおもて面や第2の光学フィルムのうら面上にも形成する場合は、可視光に対して透明であることが望ましい。比較的容易に段差をなくすためには有機系の材料を用いることが望ましい。また、反射防止膜を塗布する際の耐性も考慮することが必要である。
【0121】
ここで、塗布法により反射防止膜を形成する場合、反射防止膜を形成すべき面に段差があると、その段差に起因して膜厚が均一にならない。このため段差部とその近傍では光学特性が均質な反射防止膜が形成できない。
【0122】
しかしながら、本実施の形態の様に液晶表示パネルのおもて面とうら面の両面の段差を平坦化膜により減らし、段差部を表示領域から遠ざけることで、少なくとも表示領域では光学特性の均一性の高い反射防止膜が実現できる。
【0123】
尚、液晶表示パネルの場合には、第2の透明基板にマトリクス状に配置した複数の画素を構成する電極を備え、さらに画像信号などの電気的信号を外部と接続する領域を有し、この電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とすると、平坦化膜を設ける領域は電気的信号を外部と接続する領域と兼用できるため、特に額縁の大きさを拡大することなく、表示領域において光学特性の均一性の高い反射防止膜が実現できる。
【0124】
換言すると、表示領域において光学特性の均一性の高い反射防止膜を有し、なおかつ額縁の小さな表示パネルを実現することができる。
【0125】
(OLED表示パネルの実施形態3)
次に本発明に係るOLED表示パネルの他の実施の形態について図面を参照して説明する。図16は本発明に係るOLED表示パネルの1実施例の概略構成を示す斜視図であり、図17及び図18はそれぞれ本発明に係るOLED表示パネルの1実施例の断面構造の概略を示す模式図である。
【0126】
本実施の形態のOLED表示パネルは上記OLED表示パネル(OLED表示パネルの実施形態1)において、発光素子を有する基板121は封止手段120よりも面積が大きく、発光素子を有する基板121と封止手段120が重なる領域に表示領域を有するものである。また、発光素子を有する基板121の封止手段120側の面上であって、封止手段120に覆われない領域の少なくとも一部には、封止手段120の発光素子を有する基板121とは逆側の面においてその高さが略同じとなる平坦化膜170を備える。さらにこのOLED表示パネルは少なくともその表示領域及び平坦化膜の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜100を有し、さらに少なくとも表示領域のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備える。
【0127】
従って、上記実施形態と同じ部材には同じ符号を付け詳細な説明は省略する。
【0128】
本実施の形態のOLED晶表示パネルは発光素子を有する基板121のおもて面側であって、封止手段120が重なっていない領域に新に平坦化膜170を設けることでOLED表示パネルのおもて面の段差を減らし、平坦な領域を増やすものである。この際、光学フィルム130の厚みも考慮して、OLED表示パネルのおもて面を平坦化することが望ましい。したがって、平坦化膜170は発光素子を有する基板121上だけでなく、封止手段120上や光学フィルム130上にも形成することでOLED表示パネルのおもて面をより広い領域に渡って平坦化するようにしても良い。
【0129】
平坦化膜170としては有機材料や無機材料を使用することができ、透明であっても不透明であってもよい。ただし、平坦化膜170を光学フィルム130のおもて面上にも形成する場合は、可視光に対して透明であることが望ましい。比較的容易に段差をなくすためには有機系の材料を用いることが望ましい。また、反射防止膜を塗布する際の耐性も考慮することが必要である。
【0130】
ここで、塗布法により反射防止膜を形成する場合、反射防止膜を形成すべき面に段差があると、その段差に起因して膜厚が均一にならない。このため段差部とその近傍では光学特性が均質な反射防止膜が形成できない。しかしながら、本実施の形態の様にOLED表示パネルのおもて面の段差を平坦化膜により減らし、段差部を表示領域から遠ざけることで、少なくとも表示領域では光学特性の均一性の高い反射防止膜が実現できる。
【0131】
尚、OLED表示パネルの場合、発光素子を有する基板に画像信号などの電気的信号を外部と接続する領域を有し、この電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とすると、平坦化膜を設ける領域は電気的信号を外部と接続する領域と兼用することで、特に額縁の大きさを拡大することなく、表示領域において光学特性の均一性の高い反射防止膜が実現できる。
【0132】
換言すると、表示領域において光学特性の均一性の高い反射防止膜を有し、なおかつ額縁の小さな表示パネルを実現することができる。
【0133】
尚、表示パネルにおいて、電気的信号の外部と接続する領域に平坦化膜を設けることはその部分を保護するという効果もある。つまり、平坦化膜には表示パネルに直接、反射防止膜を塗布する際に電気的な接続箇所を保護するという効果も期待できる。
【0134】
(OLED表示パネルの実施形態4)
次に本発明に係るOLED表示パネルのその他の実施の形態について図面を参照して説明する。図19は本発明に係るOLED表示パネルの1実施例の概略構成を示す斜視図であり、図20及び図21はそれぞれ本発明に係るOLED表示パネルの1実施例の断面構造の概略を示す模式図である。
【0135】
本実施の形態のOLED表示パネルは上記OLED表示パネル(OLED表示パネルの実施形態2)において、画像光は発光素子を有する透明な基板123側から取り出すものであり、さらに透明な基板123の封止手段124とは反対側の面には少なくとも一つの偏光層を含む光学フィルム131を備える。また、透明な基板123の封止手段124とは逆側の面上であって、なおかつ光学フィルム131に覆われない領域の少なくとも一部には、光学フィルム131の透明な基板123とは反対側の面において、その高さが略同じとなる平坦化膜171を備える。さらにこのOLED表示パネルは少なくともその表示領域及び平坦化膜171の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜100を有し、さらに少なくとも表示領域のおもて面とは逆の面
(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備えるものである。
【0136】
従って、上記実施形態と同じ部材には同じ符号を付け詳細な説明は省略する。本実施の形態のOLED表示パネルは発光素子を有する基板123のおもて面側であって、光学フィルム131が配置されていない領域に新に平坦化膜171を設けることでOLED表示パネルのおもて面の段差を減らし、平坦な領域を増やすものである。したがって、平坦化膜171は発光素子を有する基板123上だけでなく、光学フィルム131上にも形成することでOLED表示パネルのおもて面をより広い領域に渡って平坦化するようにしても良い。
【0137】
平坦化膜171としては有機材料や無機材料を使用することができ、透明であっても不透明であってもよい。ただし、平坦化膜171を光学フィルム131のおもて面上にも形成する場合は、可視光に対して透明であることが望ましい。比較的容易に段差をなくすためには有機系の材料を用いることが望ましい。また、反射防止膜を塗布する際の耐性も考慮することが必要である。
【0138】
ここで、塗布法により反射防止膜を形成する場合、反射防止膜を形成すべき面に段差があると、その段差に起因して膜厚が均一にならない。このため段差部とその近傍では光学特性が均質な反射防止膜が形成できない。しかしながら、本実施の形態の様にOLED表示パネルのおもて面の段差を平坦化膜により減らし、段差部を表示領域から遠ざけることで、少なくとも表示領域では光学特性の均一性の高い反射防止膜が実現できる。
【0139】
尚、OLED表示パネルの場合、発光素子を有する基板に画像信号などの電気的信号を外部と接続する領域を有し、この電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とすると、平坦化膜を設ける領域は電気的信号を外部と接続する領域と兼用することで、特に額縁の大きさを拡大することなく、表示領域において光学特性の均一性の高い反射防止膜が実現できる。
換言すると、表示領域において光学特性の均一性の高い反射防止膜を有し、なおかつ額縁の小さな表示パネルを実現することができる。
【0140】
(液晶表示パネルの実施形態4)
次に本発明に係る液晶表示パネルのその他の実施の形態について図面を参照して説明する。図22及び図23はそれぞれ本発明に係る液晶表示パネルの1実施例の概略構成を示す斜視図及び断面構造の概略を示す模式図である。また、図24は本発明に係る液晶表示パネルとバックライト装置を組み合わせた表示装置の断面構造の概略を示す模式図である。
【0141】
本実施の形態の液晶表示パネルは上記液晶表示パネル(液晶表示パネルの実施形態1)において、第2の透明基板21が第1の透明基板20よりも面積が大きく、第2の透明基板21と第1の透明基板20が重なる領域に表示領域を有するものである。また、第1の光学フィルム32及び第2の光学フィルム33は第1の透明基板20よりもその面積が大きく、さらに第2の透明基板21の第1の透明基板に覆われない領域の少なくとも一部を覆うものである。さらにこの液晶表示パネルは第1または第2の光学フィルム上であって、少なくともその表示領域及び第2の透明基板21の第1の透明基板20に覆われない領域の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備えるものである。
【0142】
従って、上記実施形態と同じ部材には同じ符号を付け詳細な説明は省略する。
【0143】
本実施の形態の液晶表示パネルでは、面積を拡大した光学フィルム上に反射防止膜を形成することになる。つまり、液晶表示パネル上の段差の影響を受けることなく、表示領域よりも広い領域に反射防止膜を形成することができるため、少なくとも表示領域では光学特性の均一性の高い反射防止膜が実現できる。換言すると、表示領域において光学特性の均一性の高い反射防止膜を有し、なおかつ額縁の小さな表示パネルを実現することができる。
【0144】
尚、液晶表示パネルの場合であれば、光学フィルムの面積を拡大した領域と電気的信号を外部と接続する領域を重ね合わすことができるため、特に表示パネルの額縁の大きさを拡大することなく、表示領域において光学特性の均一性の高い反射防止膜が実現できる。
【0145】
また、第1の光学フィルムと第2の光学フィルムの面積は第1の透明基板よりも大きく、第2の透明基板以下とすることが望ましい。第1の光学フィルムと第2の光学フィルムの面積は第1の透明基板よりも大きくするのは液晶表示パネル上の段差の影響を受けることなく、表示領域よりも広い領域に反射防止膜を形成することができるため望ましい。また、第1の光学フィルムと第2の光学フィルムの面積を第2の透明基板以下にすることは液晶表示パネルの外形寸法を無駄に大きくしないためである。
【0146】
従って、望ましい光学フィルムの外形は、液晶表示パネルが電気的信号を外部と接続する方向(辺)と直交する方向の長さは第1の透明基板と略一致させ、これと直交する方向の長さは第1の透明基板以上、第2の透明基板以下の長さにすることである。
【0147】
尚、本液晶表示パネルの場合、大面積化した第1の光学フィルム32が第2の透明基板22上に備えられる構造物、例えばドライバなどの半導体チップ40に当たりゆがむことがないよう、第1の透明基板20の厚み以下に薄くする、或いは光学フィルムが接触しない場所、例えばFPC上に備えるようにする必要がある。
【0148】
(OLED表示パネルの実施形態5)
次に本発明に係るOLED表示パネルのその他の実施の形態について図面を参照して説明する。図25は本発明に係るOLED表示パネルの1実施例の概略構成を示す斜視図であり、図26及び図27はそれぞれ本発明に係るOLED表示パネルの1実施例の断面構造の概略を示す模式図である。
【0149】
本実施の形態のOLED表示パネルは上記OLED表示パネル(OLED表示パネルの実施形態1)において、発光素子を有する基板121は封止手段120よりも面積が大きく、これらが重なる領域に表示領域を有するものであり、光学フィルム132は封止手段120よりも面積が大きく、さらに発光素子を有する基板121の封止手段120に覆われない領域の少なくとも一部を覆うものである。
【0150】
さらにこのOLED表示パネルは光学フィルム132上であって、少なくともその表示領域及び発光素子を有する基板121の封止手段120に覆われない領域の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜100を有し、さらに少なくとも表示領域のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備えるものである。
【0151】
従って、上記実施形態と同じ部材には同じ符号を付け詳細な説明は省略する。
【0152】
本OLED表示パネルは面積を拡大した光学フィルム上に反射防止膜を形成することになる。つまり、OLED表示パネル上の段差の影響を受けることなく、表示領域よりも広い領域に反射防止膜を形成することができるため、少なくとも表示領域では光学特性の均一性の高い反射防止膜が実現できる。
【0153】
また、OLED表示パネルの場合、発光素子を有する基板に画像信号などの電気的信号を外部と接続する領域を有し、この電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とすると、光学フィルムの面積を拡大した領域と電気的信号を外部と接続する領域とを重ね合わせられるため、特に表示パネルの額縁の大きさを拡大することなく、表示領域において光学特性の均一性の高い反射防止膜が実現できる。換言すると、表示領域において光学特性の均一性の高い反射防止膜を有し、なおかつ額縁の小さな表示パネルを実現することができる。
【0154】
尚、光学フィルムの面積は封止手段以上、発光素子を有する基板以下とすることが望ましい。光学フィルムの面積は封止手段よりも大きくするのはOLED表示パネル上の段差の影響を受けることなく、表示領域よりも広い領域に反射防止膜を形成することができるため望ましい。また、光学フィルムの面積を発光素子を有する基板以下とすることは表示パネルの外形寸法を無駄に大きくしないためである。
【0155】
従って、望ましい光学フィルムの外形は、表示パネルが電気的信号を外部と接続する方向(辺)と直交する方向の長さは発光素子を有する基板と略一致させ、これと直交する方向の長さは封止手段以上、発光素子を有する基板以下の長さにすることである。
【0156】
(OLED表示パネルの実施形態6)
次に本発明に係るOLED表示パネルのその他の実施の形態について図面を参照して説明する。図28は本発明に係るOLED表示パネルの1実施例の概略構成を示す斜視図であり、図29及び図30はそれぞれ本発明に係るOLED表示パネルの1実施例の断面構造の概略を示す模式図である。
【0157】
本実施の形態のOLED表示パネルは上記OLED表示パネル(OLED表示パネルの実施形態2)において、発光素子を有する透明な基板123は封止手段124よりも面積が大きく、これらが重なる領域に表示領域を有するものであり、光学フィルム133は封止手段124よりも面積が大きく、さらに発光素子を有する透明な基板123の封止手段124に覆われない領域に相当する部分の少なくとも一部を覆うものである。
【0158】
さらにこのOLED表示パネルは光学フィルム133上であって、少なくともその表示領域及び発光素子を有する透明な基板123の封止手段124に覆われない領域に相当する部分の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜100を有し、さらに少なくとも表示領域のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備えるものである。
【0159】
従って、上記実施形態と同じ部材には同じ符号を付け詳細な説明は省略する。
【0160】
本OLED表示パネルは面積を拡大した光学フィルム上に反射防止膜を形成することになる。つまり、OLED表示パネル上の段差の影響を受けることなく、表示領域よりも広い領域に反射防止膜を形成することができるため、少なくとも表示領域では光学特性の均一性の高い反射防止膜が実現できる。
【0161】
また、OLED表示パネルの場合、発光素子を有する基板に画像信号などの電気的信号を外部と接続する領域を有し、この電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とすると、光学フィルムの面積を拡大した領域と電気的信号を外部と接続する領域とを重ね合わせられるため、特に表示パネルの額縁の大きさを拡大することなく、表示領域において光学特性の均一性の高い反射防止膜が実現できる。換言すると、表示領域において光学特性の均一性の高い反射防止膜を有し、なおかつ額縁の小さな表示パネルを実現することができる。
【0162】
尚、光学フィルムの面積は発光素子を有する基板と同等かそれより少し小さめとすることが望ましい。光学フィルムの面積は大きければ大きいほど表示領域内でより均一性の高い反射防止膜を実現しやすくなるため望ましい。また、光学フィルムの面積を発光素子を有する基板以下とすることは表示パネルの外形寸法を無駄に大きくしないためである。
【0163】
従って、望ましい光学フィルムの外形は、表示パネルが電気的信号を外部と接続する方向(辺)と直交する方向の長さは発光素子を有する基板と略一致させ、これと直交する方向の長さは封止手段以上、発光素子を有する基板以下の長さにすることである。
【0164】
(反射防止膜の実施形態)
次に本発明に係る反射防止膜に好適な実施の形態ついて説明する。本発明に係る反射防止膜は、無機酸化物微粒子とバインダーから形成されていることが望ましい。バインダーは反射防止膜のバインダーとして機能するものである。また基本的にこの膜は少なくとも無機酸化物微粒子、及びバインダーと溶剤を混合した塗料を基板に塗布・加熱によって成膜する。バインダーがシリカゾル,エポキシ樹脂モノマー,メラミン樹脂モノマー等の熱硬化性物質の場合は重合、即ち塗膜の熱硬化を促進するための触媒も塗料に極少量添加される。また、本実施形態にかかわる反射防止膜は、単層プロセスで形成可能であり、多層プロセスで形成しても良い。ただし、低コスト化のためには単層プロセスであることが望ましい。
【0165】
本実施形態にかかわる反射防止膜の形成方法の概略について図33を用いて説明する。
【0166】
バインダーと溶剤の混合物11と無機酸化物微粒子12からなる反射防止膜塗料13を表示パネル上に膜厚が均一になるように塗布する(工程A)。
【0167】
加熱して塗膜を固化させる際、溶剤が気化して空隙15が内部にある反射防止膜10
(または100)が形成される(工程B)。
【0168】
図34は本実施形態の反射防止膜の一例についての走査電子顕微鏡(SEM)の断面写真であり、基板上に図33[B]で示した反射防止膜を形成したものの一例である(なお、図34の膜表面には極薄く白金が蒸着されている)。
【0169】
膜中の粒子は無機酸化物の酸化ケイ素であり、それらをシリカゾルのバインダーで固定している。図34のSEM写真から膜内に明るい部分と、暗い部分があるが、エネルギー分散型X線分光法(EDX)で測定した結果明るい部分には酸化ケイ素が多く存在し、反対に暗い部分には酸化ケイ素の存在割合が小さいことが確認できた。よって、酸化ケイ素が少ない部分は反射防止膜塗料を加熱する際溶剤が気化することで形成された空隙15と考えられる。
【0170】
膜の主成分である酸化ケイ素の屈折率は約1.5であり、空隙の屈折率は約1.0であるので、膜中に占める空隙の割合を適切化することで屈折率を所望の値に制御することができる。
【0171】
また、熱硬化時の溶剤の気化が空隙形成に寄与することから用いる溶剤の沸点、及び基板に塗料を塗布後の熱硬化温度によっても空隙の形成は制御できる。次に、SEMの断面写真から、空隙は膜内部には存在するが、膜表面には少ないことがわかる。空隙が膜表面に多いと膜表面の凹凸が大きくなり、それによって布などで拭いたときに引っ掛かりやすくなるが、表面凹凸が小さいと引っ掛かりが少なくなるので、膜が剥がれたり傷ついたりしにくい。よって、膜の物理的強度が高くなる。
【0172】
以下に反射防止膜用の塗料材料の説明、及び成膜の詳細を記述する。
(1)塗料材料
塗料材料はバインダー,無機酸化物微粒子,溶剤からなる。これらに関して下記に記述する。
(1−1)バインダー
塗膜材料としては、透明性の高い有機系或いは無機系の高分子材料,高分子化可能な材料が挙げられる。
【0173】
有機系の高分子材料としては、熱可塑性の高分子材料が挙げられる。具体的にはアクリル樹脂,ポリスチレン,スチレン−アクリル共重合体,ポリエステル樹脂,ポリ塩化ビニル,エチレン−酢酸ビニル共重合体,ポリエチレンテレフタレート樹脂,ポリ塩化ビニリデン樹脂,ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。有機系の高分子化可能な材料としては、熱硬化性の高分子材料が挙げられる。具体的には脂肪族骨格のポリアミック酸誘導体等が挙げられる。
【0174】
無機系の高分子材料としては、加水分解性残基を有するケイ素化合物(一般名はシリカゾル),加水分解性残基を有するチタン化合物(一般名はチタニアゾル)等が挙げられる。これらはアルコキシシラン、あるいはアルコキシチタンが分子量数千程度に重合した化合物であり、アルコール系の溶剤に可溶の状態である。これらを加熱することにより酸化ケイ素、或いは酸化チタンのバインダーを形成できる。
【0175】
無機系の高分子化可能な材料としてはアミノ基やクロル基,メルカプト基等各種置換基を有するアルコキシシラン等が挙げられる。具体的な材料は後述する加水分解性残基を有するケイ素化合物の記述の中で示す。
【0176】
加水分解性残基を有するケイ素化合物の一つとしてシリカゾルが挙げられる。これは加熱によって酸化ケイ素に変化する物質である。次にシリカゾルの一般的な調製方法は以下の通りである。テトラアルコキシシランを弱酸性条件で加温するとアルコキシ基が加水分解して水酸基となり、これが近傍のアルコキシシラン基と反応しケイ素−酸素―ケイ素の結合を形成しながら高分子量化したものを示す。一般に平均分子量は数千である。
【0177】
シリカゾルを作製する際用いられるテトラアルコキシシランとしてはテトラメトキシシラン,テトラエトキシシラン,テトラプロポキシシラン,テトライソプロポキシシラン,テトライソブトキシシラン,テトラブトキシシラン等が挙げられる。これ以外にはアルコキシシラン基の代わりに塩素基を有するケイ素化合物、例えば四塩化ケイ素等も挙げられる。
【0178】
シリカゾル以外に加水分解性残基を有するケイ素化合物としては、テトラアルコキシシラン以外に、アミノ基やクロル基,メルカプト基等を有する化合物を含まれる。具体的には3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
(1−2)無機酸化物微粒子
無機酸化物微粒子としては酸化ケイ素,酸化アルミニウム,酸化チタン,酸化セリウム等の無色の微粒子が挙げられる。
(1−2−1)無機酸化物微粒子の粒子径・形状
無機酸化物微粒子は球形の場合、膜に入射した光が散乱しないよう粒子径は波長の1/2以下が望ましい。可視光の波長領域が380nm〜780nmであるので、この範囲で散乱しないための粒子径は190nm以下が望ましい。可視領域については、納谷嘉信著、1984年2月10日第2版 産業色彩学、朝倉書店、2ページに記載がある。これより大きいと入射した光が散乱するため膜が濁って見える。また無機酸化物微粒子が鎖状の場合も上記と同様の理由で粒子の短軸の径は190nm以下にすることが望ましい。また、無機酸化物微粒子は、粒子径の異なるもの、あるいは形状の異なるものを複数種類用いても構わない。
(1−2−2)無機酸化物微粒子選定の付帯事項
用いる溶剤への分散性が不十分であると、凝集により大きな二次粒子になってしまい、やはり膜が濁って見えてしまうという問題がある。そこで、できれば酸化ケイ素微粒子を良好に分散できる溶剤を使用するのが良いのであるが、基板の種類によってはそのような溶剤を使用できない場合も考えられる。そこでそのような場合には適切な分散剤を添加することでこの問題に対処する。
【0179】
酸化ケイ素微粒子としてはコロイダルシリカが好適である。コロイダルシリカとしては例えば日産化学製オルガノシリカゾル,スノーテックス等が挙げられる。これら微粒子は表面に水酸基を多数有しているため親水性が高い。またこれらを部材として形成した反射防止膜は親水性であると同時に極めて抵抗が低い。具体的には1×1010〜10×1010Ω程度である。この値はガラス(1012〜1016台),アクリル樹脂(1016台),ポリカーボネート樹脂(1016台),PET樹脂(1016台)等の100分の1〜百万分の1と非常に小さい。そのため、チリ等の埃が付着しにくい。よって、本発明の膜を基板表面に設けた表示装置は、乾燥した室内でも長時間にわたりチリが付着しくい。故に、一般家庭,オフィス等に設置される表示装置に形成する膜の部材としては好適である。
【0180】
また、後述するアルコキシシラン基を有するパーフルオロポリエーテル化合物系、或いはパーフルオロアルキル化合物系の撥液剤を処理し、撥液性を持たせることも可能である。
【0181】
酸化ケイ素以外に屈折率が小さく好適な酸化アルミニウムに関しても表面に水酸基を多数有するアルミナゾルは低抵抗率の膜を形成する点で好適である。
(1−3)溶剤
塗料の溶剤はバインダーを溶解、或いは一様に分散できるものが有効である。前述のバインダーとして好適の加水分解性残基を有するケイ素化合物と、無機酸化物微粒子として好適である酸化ケイ素微粒子を有する塗料の場合はアルコール系の溶剤が好適である。具体的にはエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、tert−ペンタノール等が挙げられる。
(2)製膜方法
本実施形態の反射防止膜は基板の前処理,塗布,加熱によって形成される。単層プロセスで形成可能であり、多層プロセスで形成しても良いが低コスト化のためには単層プロセスとすることが望ましい。更に耐擦性を向上させるため、加熱後の後処理を行うこともある。これらの詳細について記述する。
(2−1)前処理
前処理では塗料を均一に付着させるため、表示パネル表面の洗浄,濡れ性向上を行うことが望ましい。通常、表示パネルの表面には偏光板が配置され、偏光板を構成する保護フィルムは鹸化処理されており、このまま使用することが可能である。
(2−2)塗布方法
塗布はスピンコート,ディップコート,バーコート,アプリケーターによるコート,スプレーコート,フローコート等の方法が考えられるが、表示パネルに直接膜を形成すること、及び、表示パネルの5つの面を同時に成膜することを考慮すると、ディップコート
(浸漬)が好適である。
【0182】
適切な膜厚に制御するためには塗料の濃度、及び塗布条件を適正化する必要がある。例えば、ディップコートの場合は浸漬時間と引き上げ速度などが塗布条件として挙げられる。
【0183】
また、波長λの光線において反射率を最小にするための屈折率nの層の厚さdは、d=λ/(4n)で表される。反射率は、可視光である380〜780nmの波長の中でも、人間の視感度の最も高い波長で反射率が最小になるように反射防止膜の膜厚dを設定することが好ましい。人間の視感度には個人差があるが、納谷嘉信著、1984年2月10日第2版 産業色彩学、朝倉書店、4〜8ページに記載の明所視比視感度曲線で、相対分光感度の極大値の波長、つまり明るい環境で人間の視感度が最も高い波長(λ)は555nm付近である。また、反射率を理論的に0%にできる反射防止膜の屈折率は、適用する基材の屈折率で決まり、基材の屈折率の平方根が反射防止膜の屈折率となる。表示パネルの最表面には偏光板の保護フィルムなどの透明樹脂フィルムが配置され、これらの屈折率は
1.49〜1.54程度なので屈折率1.22〜1.24の反射防止膜を用いることが望まれる。以上より、555nmの波長において、屈折率1.5 の基材の反射光を理論的に0%にできる反射防止膜の膜厚は、116nmである。反射防止膜が無い場合の表示パネル表面の反射率は約4%あるので、少なくとも反射率を4%以下にできる反射防止膜の膜厚は90nmから140nmの範囲である。このときの反射率と膜厚の関係を図35に示す。
(2−3)加熱
塗布工程後、溶剤を揮発させる、或いはバインダーによっては重合を進行させるために加熱を行う。
【0184】
ところで、加熱温度は溶剤の沸点以外に表示パネルの耐熱温度以下にする必要があり、またバインダーとして熱硬化性の材料を用いた場合は熱硬化温度以上にする必要がある。そのためこれら要求を満たすよう溶剤の選定,バインダー材料の選定を行う必要がある。更に加熱後の冷却で膜と表示パネルの体積収縮率に差があると、膜の剥離,表示パネルの変形等の問題が起こる可能性があるので、表示パネルと膜は材質の似通ったもの、或いは線膨張率の近いものを選択することが望ましい。さらに、表示パネルの前面と後面に同じ膜厚の膜を形成することが膜と表示パネルの線膨張率の違いによる反りを防止するためには望ましい。
(2−4)後処理概要
熱硬化によって本発明の反射防止膜は形成されるが、これに撥液性を有する含フッ素化合物からなる層が形成されることによって、表面の防汚性が向上する。ただし撥液性を有する含フッ素化合物からなる層の厚さは形成された反射防止膜の反射防止効果を低下させることがないよう、極めて薄く製膜する必要がある。人間の視感度の高い555nmの波長において、反射率への影響が1%未満となる撥液層の膜厚は、6nm未満である。
【0185】
なお撥液性を有する含フッ素化合物からなる層の形成形態は下記2種類挙げられる。
・撥液性を有する含フッ素化合物からなる塗膜
撥液性を有する含フッ素化合物からなる塗膜を形成する方法である。表面を塗膜で被覆することにより撥液性を発揮するものである。そのため、反射防止膜が低抵抗の場合、撥液性の含フッ素化合物が被覆されるため、表面抵抗が高まり、結果的にチリ等の埃を付着しやすくなる可能性がある。
【0186】
この膜を形成する材料としては、サイトップ(旭硝子社製),INT304VC(INTスクリーン社製)等が挙げられる。これらを溶剤で希釈後、塗布し、加熱することにより溶剤を揮発させ、場合によっては熱硬化させることにより製膜する。
・パーフルオロポリエーテル化合物、或いはパーフルオロアルキル化合物を結合
末端に水酸基等と結合可能なアルコキシシラン基を有するパーフルオロポリエーテル化合物、或いはパーフルオロアルキル化合物を反射防止膜に結合させる方法である。具体的には下記で示されるような化合物を反射防止膜に結合される。
【0187】
【化1】
【0188】
この場合、反射防止膜表面を完全に被覆するのではなく、反射防止膜上に草のようにパーフルオロポリエーテル鎖、或いはパーフルオロアルキル鎖が生えているような状況になる。反射防止膜の表面が完全に被覆されているわけではないので膜が1011Ω以下の低抵抗の場合、この方法を行った後も膜は低抵抗性を維持することが可能となる。
【0189】
更にこれらパーフルオロポリエーテル鎖、或いはパーフルオロアルキル鎖を表面に形成することで、表面の潤滑性も向上する。そのため、擦れによる表面の物理的ダメージを緩和し、耐擦性の高い表面を形成することができる。
(2−5)後処理で用いる撥液剤
(2−4)で記述したように撥液剤としては末端にアルコキシシラン基を有するパーフルオロポリエーテル化合物、或いはパーフルオロアルキル化合物が有効である。下記に撥液剤、及び撥液膜形成方法を示す。
(a)撥液剤
末端にアルコキシシラン基を有するパーフルオロポリエーテル化合物、或いはパーフルオロアルキル化合物としては具体的には以下の化合物1〜12があげられる。
【0190】
【化2】
【0191】
【化3】
【0192】
【化4】
【0193】
【化5】
【0194】
【化6】
【0195】
【化7】
【0196】
【化8】
【0197】
【化9】
【0198】
【化10】
【0199】
【化11】
【0200】
【化12】
【0201】
【化13】
【0202】
このうち化合物1〜8は以下に示す合成方法を実行することで得られる。化合物9〜
12は化合物名がそれぞれ1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトキシシラン、1H,
1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシランとしてヒドラス化学社より上市されている。また、その他の市販材料としてはダイキン工業社製オプツールDSXが挙げられる。これら化合物を一般式で表すと以下のようになる。
【0203】
【化14】
【0204】
(化合物1の合成)
デュポン社製クライトックス157FS−L(平均分子量2500)(25重量部)を3M社製PF−5080(100重量部)に溶解し、これに塩化チオニル(20重量部)を加え、攪拌しながら48時間還流する。塩化チオニルとPF−5080をエバポレーターで揮発させクライトックス157FS−Lの酸クロライド(25重量部)を得る。これにPF−5080(100重量部),チッソ(株)製サイラエースS330(3重量部),トリエチルアミン(3重量部)を加え、室温で20時間攪拌する。反応液を昭和化学工業製ラジオライトファインフローAでろ過し、ろ液中のPF−5080をエバポレーターで揮発させ、化合物1(20重量部)を得た。
(化合物2の合成)
チッソ(株)製サイラエースS330(3重量部)の代わりにチッソ(株)製サイラエースS360(3重量部)を用いる以外は化合物1の合成と同様にして化合物2(20重量部)を得た。
(化合物3の合成)
デュポン社製クライトックス157FS−L(平均分子量2500)(25重量部)の代わりにダイキン工業社製デムナムSH(平均分子量3500)(35重量部)を用いる以外は化合物1の合成と同様にして化合物3(30重量部)を得た。
(化合物4の合成)
チッソ(株)製サイラエースS330(3重量部)の代わりにチッソ(株)製サイラエースS360を用い、デュポン社製クライトックス157FS−L(平均分子量2500)(25重量部)の代わりにダイキン工業社製デムナムSH(平均分子量3500)(35重量部)を用いる以外は化合物1の合成と同様にして化合物4(30重量部)を得た。
(化合物5の合成)
デュポン社製クライトックス157FS−L(平均分子量2500)(25重量部)の代わりにダイキン工業社製7H−ドデカフルオロヘプタン酸(分子量346.06)(3.5重量部)を用いる以外は化合物1の合成と同様にして化合物5(3.5重量部)を得た。
(化合物6の合成)
デュポン社製クライトックス157FS−L(平均分子量2500)(25重量部)の代わりにダイキン工業社製7H−ドデカフルオロヘプタン酸(分子量346.06)(3.5重量部)を用い、チッソ(株)社製サイラエースS310(2重量部)の代わりにチッソ(株)社製サイラエースS320(2重量部)を用いる以外は化合物1の合成と同様にして化合物6(3.5重量部)を得た。
(化合物7の合成)
デュポン社製クライトックス157FS−L(平均分子量2500)(25重量部)の代わりにダイキン工業社製9H−ヘキサデカフルオロノナン酸(分子量446.07)
(4.5重量部)を用いる以外は化合物1の合成と同様にして化合物7(4.5重量部)を得た。
(化合物8の合成)
デュポン社製クライトックス157FS−L(平均分子量200)(25重量部)の代わりにダイキン工業社製9H−ヘキサデカフルオロノナンサン(分子量446.07)
(4.5重量部)を用い、チッソ(株)製サイラエースS310(2重量部)の代わりにチッソ(株)サイラエースS320(2重量部)を用いる以外は化合物1の合成と同様にして化合物8(4.5重量部)を得た。
(b)撥液膜形成方法
末端にアルコキシシラン基を有するパーフルオロポリエーテル化合物、或いはパーフルオロアルキル化合物を用いる撥液膜形成方法は以下の通りである。
【0205】
まず末端にアルコキシシラン基を有するパーフルオロポリエーテル化合物、或いはパーフルオロアルキル化合物を溶剤に溶解する。濃度は塗布方法によっても異なってくるが、概ね0.01〜1.0重量%程度である。フッ素系の溶剤として具体的には3M社のFC−72,FC−77,PF−5060,PF−5080,HFE−7100,HFE−7200、デュポン社製バートレルXF等が挙げられる。こうしてパーフルオロポリエーテル化合物、或いはパーフルオロアルキル化合物を溶解した液(以後撥液処理剤と記述)を調製する。
【0206】
次に反射防止膜表面に撥液処理剤を塗布し、加熱する。塗布方法としてディップコート法が好適である。
【0207】
(表示装置を備える機器の実施の形態)
次に本発明の表示装置を備える機器の実施の形態について説明する。図31は本発明の表示装置を備える機器の一実施例の概略構成を模式的に示す断面図である。また、図32は本発明の表示装置を備える機器の表示装置近傍の概略構成を模式的に示す一部断面図である。
【0208】
この機器は、テンキー等から構成される入力手段400と、保護板300と、表示装置5と、これらを保持する筐体を備える。
【0209】
保護板300は透明で割れにくく、その表面の機械的な強度が強いことが望まれる。保護板としてはアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などの樹脂板を使用することができる。
【0210】
表示装置5は上記実施の形態で例示した液晶表示パネルとバックライト装置を組み合わせた液晶表示装置、あるいはOLED表示パネル(OLED表示装置)を用いる。この場合、反射防止膜は光学フィルム上に形成されており、低反射を実現するような低屈折率な膜の場合には、硬度や耐擦はガラス表面の様に高くはできない。そこで、本機器では表示装置5の前面に透明な保護板300を備え、保護板300と表示装置5の間には空隙500を設ける。さらに、保護板300は機器前面側の筐体200で保持し、表示装置5は機器裏面側の筐体210で保持するようにする。
【0211】
この場合、前面側の外部より表示装置近傍に加わる機械的な力は保護板と機器の筐体に加わり、表示装置表面に機械的力が加わることを防止できるため、表示装置表面の反射防止膜に強度の弱い膜を使用していても不具合の発生を防止することできる。
【図面の簡単な説明】
【0212】
【図1】本発明の液晶表示パネルの概略構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の液晶表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図3】本発明の液晶表示装置の断面構造の概略を示す模式図である。
【図4】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの概略構成を示す斜視図である。
【図5】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図6】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図7】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの概略構成を示す斜視図である。
【図8】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図9】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図10】本発明の液晶表示パネルの概略構成を示す斜視図である。
【図11】本発明の液晶表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図12】本発明の液晶表示装置の断面構造の概略を示す模式図である。
【図13】本発明の液晶表示パネルの概略構成を示す斜視図である。
【図14】本発明の液晶表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図15】本発明の液晶表示装置の断面構造の概略を示す模式図である。
【図16】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの概略構成を示す斜視図である。
【図17】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図18】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図19】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの概略構成を示す斜視図である。
【図20】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図21】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図22】本発明の液晶表示パネルの概略構成を示す斜視図である。
【図23】本発明の液晶表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図24】本発明の液晶表示装置の断面構造の概略を示す模式図である。
【図25】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの概略構成を示す斜視図である。
【図26】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図27】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図28】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの概略構成を示す斜視図である。
【図29】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図30】本発明の有機発光ダイオード表示パネルの断面構造の概略を示す模式図である。
【図31】本発明の表示装置を備える機器の一実施例の概略構成を模式的に示す断面図である。
【図32】本発明の表示装置を備える機器の表示装置近傍の概略構成を模式的に示す一部断面図である。
【図33】本発明の反射防止膜の形成方法の概略説明図である。
【図34】本発明の反射防止膜の一例を示す断面写真である。
【図35】本発明の反射防止膜の膜厚と反射率の関係の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0213】
1…液晶表示パネル、2…バックライト装置、3…有機発光ダイオード表示パネル、5…表示装置、10,100…反射防止膜、11…バインダーと溶剤の混合物、12…無機酸化物微粒子、13…反射防止膜塗料、15,122,125,500…空隙、20…第1の透明基板、21…第2の透明基板、22…液晶層、23…シール材、30,32…第1の光学フィルム、31,33…第2の光学フィルム、40,140,141…半導体チップ、50,150,151…フレキシブルプリント回路板(FPC)、60…導光板、61…光源、62…反射板、63…光学部材、70,170,171…平坦化膜、120,124…封止手段、121,123…基板、130,131,132,133…光学フィルム、200,210…筐体、300…保護板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の透明基板と第2の透明基板と、これら透明基板の間に液晶層を有する液晶表示パネルであって、前記液晶表示パネルは少なくともその表示領域であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも前記表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備えることを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項2】
マトリクス状に配置した複数の画素を構成する発光素子を有する基板と、封止手段とを有する有機発光ダイオード表示パネルであって、前記有機発光ダイオード表示パネルは少なくともその表示領域であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備えることを特徴とする有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項3】
第1の透明基板と第2の透明基板と、これら透明基板の間に液晶層を有する液晶表示パネルにおいて、第2の透明基板は第1の透明基板よりも面積が大きく、第2の透明基板と第1の透明基板が重なる領域に表示領域を有するものであり、第2の透明基板の第1の透明基板側の面上であって、第1の透明基板に覆われない領域の少なくとも一部には、第1の透明基板の第2の透明基板とは逆側の面においてその高さが略同じとなる平坦化膜を備え、さらにこの液晶表示パネルは少なくともその表示領域及び平坦化膜の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備えることを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項4】
第1の透明基板と第2の透明基板と、これら透明基板の間に液晶層を有する液晶表示パネルであって、第1の透明基板には第2の透明基板とは反対側の面に少なくとも一つの偏光層を含む第1の光学フィルムを備え、第2の透明基板には第1の透明基板とは反対側の面に少なくとも一つの偏光層を含む第2の光学フィルムを備え、第2の透明基板は第1の透明基板よりも面積が大きく、第2の透明基板と第1の透明基板が重なる領域に表示領域を有するものであり、第2の透明基板の第1の透明基板側の面上であって、第1の透明基板に覆われない領域の少なくとも一部には、第1の光学フィルムの第1の透明基板側とは反対側の面においてその高さが略同じとなる第1の平坦化膜を備え、第2の透明基板の第1の透明基板とは逆側の面上であって、第1の透明基板に覆われない領域の少なくとも一部には、第2の光学フィルムの第2の透明基板側とは反対側の面においてその高さが略同じとなる第2の平坦化膜を備え、さらにこの液晶表示パネルは少なくともその表示領域及び第1または第2の平坦化膜の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備えることを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項5】
マトリクス状に配置した複数の画素を構成する発光素子を有する基板と、封止手段とを有する有機発光ダイオード表示パネルにおいて、発光素子を有する基板は封止手段よりも面積が大きく、発光素子を有する基板と封止手段が重なる領域に表示領域を有するものであり、発光素子を有する基板の封止手段側の面上であって、封止手段に覆われない領域の少なくとも一部には、封止手段の発光素子を有する基板とは逆側の面においてその高さが略同じとなる平坦化膜を備え、さらにこのOLED表示パネルは少なくともその表示領域及び平坦化膜の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面
(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備えることを特徴とする有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項6】
マトリクス状に配置した複数の画素を構成する発光素子を有する基板と、封止手段とを有する有機発光ダイオード表示パネルにおいて、画像光は発光素子を有する基板側から取り出すものであり、さらに発光素子を有する基板の封止手段とは反対の面には少なくとも一つの偏光層を含む光学フィルムを備え、発光素子を有する基板の封止手段とは逆側の面上であって、なおかつ光学フィルムに覆われない領域の少なくとも一部には、光学フィルムの発光素子を有する基板とは反対側の面において、その高さが略同じとなる平坦化膜を備え、さらにこのOLED表示パネルは少なくともその表示領域及び平坦化膜の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備えることを特徴とする有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項7】
第1の透明基板と第2の透明基板と、これら透明基板の間に液晶層を有する液晶表示パネルであって、第1の透明基板には第2の透明基板とは反対側の面に少なくとも一つの偏光層を含む第1の光学フィルムを備え、第2の透明基板には第1の透明基板とは反対側の面に少なくとも一つの偏光層を含む第2の光学フィルムを備え、第2の透明基板は第1の透明基板よりも面積が大きく、第2の透明基板と第1の透明基板が重なる領域に表示領域を有するものであり、第1の光学フィルム及び第2の光学フィルムは第1の透明基板よりもその面積が大きく、さらに第2の透明基板の第1の透明基板に覆われない領域の少なくとも一部を覆うものであり、さらにこの液晶表示パネルは第1または第2の光学フィルム上であって、少なくともその表示領域及び第2の透明基板の第1の透明基板に覆われない領域の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備えることを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項8】
マトリクス状に配置した複数の画素を構成する発光素子を有する基板と、封止手段とを有する有機発光ダイオード表示パネルにおいて、発光素子を有する基板と封止手段のうち、画像光を取り出す側の最表面に少なくとも一つの偏光層を含む光学フィルムを備え、発光素子を有する基板は封止手段よりも面積が大きく、これらが重なる領域に表示領域を有するものであり、光学フィルムは封止手段よりも面積が大きく、さらに発光素子を有する基板の封止手段に覆われない領域の少なくとも一部を覆うものであり、さらにこのOLED表示パネルは光学フィルム上であって、少なくともその表示領域及び発光素子を有する基板の封止手段に覆われない領域の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備えることを特徴とする有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項9】
第2の透明基板にマトリクス状に配置した複数の画素を構成する電極を備え、さらに画像信号などの電気的信号を外部と接続する領域を有し、この電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とし、光学フィルムの面積を拡大した領域と電気的信号を外部と接続する領域を重ね合わすことを特徴とする請求項7に記載の液晶表示パネル。
【請求項10】
発光素子を有する基板に画像信号などの電気的信号を外部と接続する領域を有し、この電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とし、光学フィルムの面積を拡大した領域と電気的信号を外部と接続する領域と重ね合わせること特徴とする請求項8に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項11】
無機酸化物からなる微粒子と、バインダーと、空隙とを有する反射防止膜であって、膜の一方の表面における算術平均粗さ(Ra)が6nm未満とする反射防止膜であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示パネル。
【請求項12】
無機酸化物からなる微粒子と、バインダーと、空隙とを有する反射防止膜において、前記バインダーは前記基板の部材と同じ部材を主成分とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示パネル。
【請求項13】
無機酸化物からなる微粒子と、バインダーと、空隙とを有する反射防止膜において、前記空隙の密度は、空気と接する膜表面より、膜内部の方が高いものとすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示パネル。
【請求項14】
反射防止膜の膜表面の抵抗が1011Ω未満であることを特徴とする請求項11〜請求項13に記載の表示パネル。
【請求項15】
反射防止膜の表面に撥液層を有し、該撥液層と水との接触角が100°以上180°以下であることを特徴とする請求項11〜請求項13に記載の表示パネル。
【請求項16】
表示パネルと、その前面側に配置する透明な保護板と、前記表示パネル及び前記保護板の間に空気層を有する表示装置を備える機器において、前記保護板は前記表示パネルの表示領域よりも面積が大きく、さらに前記表示装置と前記保護板は独立して筐体に固定されることを特徴とする機器。
【請求項1】
第1の透明基板と第2の透明基板と、これら透明基板の間に液晶層を有する液晶表示パネルであって、前記液晶表示パネルは少なくともその表示領域であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも前記表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備えることを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項2】
マトリクス状に配置した複数の画素を構成する発光素子を有する基板と、封止手段とを有する有機発光ダイオード表示パネルであって、前記有機発光ダイオード表示パネルは少なくともその表示領域であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備えることを特徴とする有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項3】
第1の透明基板と第2の透明基板と、これら透明基板の間に液晶層を有する液晶表示パネルにおいて、第2の透明基板は第1の透明基板よりも面積が大きく、第2の透明基板と第1の透明基板が重なる領域に表示領域を有するものであり、第2の透明基板の第1の透明基板側の面上であって、第1の透明基板に覆われない領域の少なくとも一部には、第1の透明基板の第2の透明基板とは逆側の面においてその高さが略同じとなる平坦化膜を備え、さらにこの液晶表示パネルは少なくともその表示領域及び平坦化膜の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備えることを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項4】
第1の透明基板と第2の透明基板と、これら透明基板の間に液晶層を有する液晶表示パネルであって、第1の透明基板には第2の透明基板とは反対側の面に少なくとも一つの偏光層を含む第1の光学フィルムを備え、第2の透明基板には第1の透明基板とは反対側の面に少なくとも一つの偏光層を含む第2の光学フィルムを備え、第2の透明基板は第1の透明基板よりも面積が大きく、第2の透明基板と第1の透明基板が重なる領域に表示領域を有するものであり、第2の透明基板の第1の透明基板側の面上であって、第1の透明基板に覆われない領域の少なくとも一部には、第1の光学フィルムの第1の透明基板側とは反対側の面においてその高さが略同じとなる第1の平坦化膜を備え、第2の透明基板の第1の透明基板とは逆側の面上であって、第1の透明基板に覆われない領域の少なくとも一部には、第2の光学フィルムの第2の透明基板側とは反対側の面においてその高さが略同じとなる第2の平坦化膜を備え、さらにこの液晶表示パネルは少なくともその表示領域及び第1または第2の平坦化膜の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備えることを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項5】
マトリクス状に配置した複数の画素を構成する発光素子を有する基板と、封止手段とを有する有機発光ダイオード表示パネルにおいて、発光素子を有する基板は封止手段よりも面積が大きく、発光素子を有する基板と封止手段が重なる領域に表示領域を有するものであり、発光素子を有する基板の封止手段側の面上であって、封止手段に覆われない領域の少なくとも一部には、封止手段の発光素子を有する基板とは逆側の面においてその高さが略同じとなる平坦化膜を備え、さらにこのOLED表示パネルは少なくともその表示領域及び平坦化膜の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面
(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備えることを特徴とする有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項6】
マトリクス状に配置した複数の画素を構成する発光素子を有する基板と、封止手段とを有する有機発光ダイオード表示パネルにおいて、画像光は発光素子を有する基板側から取り出すものであり、さらに発光素子を有する基板の封止手段とは反対の面には少なくとも一つの偏光層を含む光学フィルムを備え、発光素子を有する基板の封止手段とは逆側の面上であって、なおかつ光学フィルムに覆われない領域の少なくとも一部には、光学フィルムの発光素子を有する基板とは反対側の面において、その高さが略同じとなる平坦化膜を備え、さらにこのOLED表示パネルは少なくともその表示領域及び平坦化膜の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備えることを特徴とする有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項7】
第1の透明基板と第2の透明基板と、これら透明基板の間に液晶層を有する液晶表示パネルであって、第1の透明基板には第2の透明基板とは反対側の面に少なくとも一つの偏光層を含む第1の光学フィルムを備え、第2の透明基板には第1の透明基板とは反対側の面に少なくとも一つの偏光層を含む第2の光学フィルムを備え、第2の透明基板は第1の透明基板よりも面積が大きく、第2の透明基板と第1の透明基板が重なる領域に表示領域を有するものであり、第1の光学フィルム及び第2の光学フィルムは第1の透明基板よりもその面積が大きく、さらに第2の透明基板の第1の透明基板に覆われない領域の少なくとも一部を覆うものであり、さらにこの液晶表示パネルは第1または第2の光学フィルム上であって、少なくともその表示領域及び第2の透明基板の第1の透明基板に覆われない領域の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備えることを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項8】
マトリクス状に配置した複数の画素を構成する発光素子を有する基板と、封止手段とを有する有機発光ダイオード表示パネルにおいて、発光素子を有する基板と封止手段のうち、画像光を取り出す側の最表面に少なくとも一つの偏光層を含む光学フィルムを備え、発光素子を有する基板は封止手段よりも面積が大きく、これらが重なる領域に表示領域を有するものであり、光学フィルムは封止手段よりも面積が大きく、さらに発光素子を有する基板の封止手段に覆われない領域の少なくとも一部を覆うものであり、さらにこのOLED表示パネルは光学フィルム上であって、少なくともその表示領域及び発光素子を有する基板の封止手段に覆われない領域の少なくとも一部であって、なおかつ観察者側の面(おもて面)となる部分に反射防止膜を有し、さらに少なくとも表示領域に相当する部分のおもて面とは逆の面(うら面)と、3つの端面に前記反射防止膜と同じ材料の膜を備えることを特徴とする有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項9】
第2の透明基板にマトリクス状に配置した複数の画素を構成する電極を備え、さらに画像信号などの電気的信号を外部と接続する領域を有し、この電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とし、光学フィルムの面積を拡大した領域と電気的信号を外部と接続する領域を重ね合わすことを特徴とする請求項7に記載の液晶表示パネル。
【請求項10】
発光素子を有する基板に画像信号などの電気的信号を外部と接続する領域を有し、この電気的信号の外部との接続を所定の一方向から行う構造とし、光学フィルムの面積を拡大した領域と電気的信号を外部と接続する領域と重ね合わせること特徴とする請求項8に記載の有機発光ダイオード表示パネル。
【請求項11】
無機酸化物からなる微粒子と、バインダーと、空隙とを有する反射防止膜であって、膜の一方の表面における算術平均粗さ(Ra)が6nm未満とする反射防止膜であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示パネル。
【請求項12】
無機酸化物からなる微粒子と、バインダーと、空隙とを有する反射防止膜において、前記バインダーは前記基板の部材と同じ部材を主成分とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示パネル。
【請求項13】
無機酸化物からなる微粒子と、バインダーと、空隙とを有する反射防止膜において、前記空隙の密度は、空気と接する膜表面より、膜内部の方が高いものとすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示パネル。
【請求項14】
反射防止膜の膜表面の抵抗が1011Ω未満であることを特徴とする請求項11〜請求項13に記載の表示パネル。
【請求項15】
反射防止膜の表面に撥液層を有し、該撥液層と水との接触角が100°以上180°以下であることを特徴とする請求項11〜請求項13に記載の表示パネル。
【請求項16】
表示パネルと、その前面側に配置する透明な保護板と、前記表示パネル及び前記保護板の間に空気層を有する表示装置を備える機器において、前記保護板は前記表示パネルの表示領域よりも面積が大きく、さらに前記表示装置と前記保護板は独立して筐体に固定されることを特徴とする機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【公開番号】特開2007−65523(P2007−65523A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−254306(P2005−254306)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】
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