表示パネル検査装置及び表示パネル検査方法
【課題】電子部品などに設けたアライメントマークを撮影画像から検出できない場合でも、表示パネルへの電子部品などの取付状態の検査が行えるようにする。
【解決手段】被検査対象となる表示パネルと電子部品又は電子部品搭載基板との接続部を、表示パネルの面に対してレンズの光軸をほぼ直交させた配置として、照明光を投射させて撮影する。そして、撮影して得た画像の輝度を検出する。その検出した輝度値が第1の輝度値の箇所を、電子部品又は電子部品搭載基板の電極部と判別する。また、検出した輝度値が第2の輝度値の箇所を、表示パネルの電極部と判別する。そして、判別した第1の輝度値の箇所と第2の輝度値の箇所との中間の点から、第1の輝度値または第2の輝度値が連続する長さを、接続部の接続状態の評価値とする処理を行う。
【解決手段】被検査対象となる表示パネルと電子部品又は電子部品搭載基板との接続部を、表示パネルの面に対してレンズの光軸をほぼ直交させた配置として、照明光を投射させて撮影する。そして、撮影して得た画像の輝度を検出する。その検出した輝度値が第1の輝度値の箇所を、電子部品又は電子部品搭載基板の電極部と判別する。また、検出した輝度値が第2の輝度値の箇所を、表示パネルの電極部と判別する。そして、判別した第1の輝度値の箇所と第2の輝度値の箇所との中間の点から、第1の輝度値または第2の輝度値が連続する長さを、接続部の接続状態の評価値とする処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどのFPD(Flat Panel Display)を構成するパネルの組み立て時の検査に使用して好適な、表示パネル検査装置及び表示パネル検査方法に関し、特にパネルに電子部品が接続された状態の検査を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどのFPDを構成する表示パネルは、パネル組み立て装置によって、パネル周囲に様々な電子部品(搭載部品)が接続又は実装される。実装される電子部品の具体例としては、COG(Chip on glass)と称されるものや、COF(Chip on Film)と称されるものがある。
COGは、ベアチップを、異方性導電材料を介してパネル上のリード部に直接接続する技術である。COFは、ベアチップが実装されたフィルムを、異方性導電材料を介してパネル上のリード部に接続する技術である。以下の説明では、COGの技術でパネルに接続されるチップそのものをCOGと称し、COFの技術で接続されるフィルムをCOFと称する。
【0003】
COGを構成するチップは、非常に細かいピッチ(例えば40μm)で、パッドと称される電極部が配置されている。そして、このパッドに対応して、パネル側のCOG接続箇所のリードと称される電極部も、同様の細かいピッチで配置されている。
【0004】
COGを構成するチップと、パネル側のリードとの接続は、異方性導電材料を介して行われる。すなわち、パネルとCOGの間に、フィルム状又はペースト状の異方性導電材料を配置する。そして、パネルなどから異方性導電材料に圧力をかけた上で加熱し、異方性導電フィルム内に分散された導電性粒子を、圧力がかかった方向にだけ接触させて導通状態にする。圧力がかかった方向と直交する方向では、異方性導電フィルム内の導電性粒子絶縁性が分散したままの状態であり、絶縁性が維持される。
【0005】
このように異方性導電材料を使用して電子部品を表示パネルに取り付ける際には、リードやパッドの位置は、正確に一致させる必要がある。したがって、FPDの組み立て装置でパネルの組み立てを行う際には、パネルに正しく電子部品が取り付けられているか否かを検査し、接続状態にずれがある場合には、組み立て装置を調整する。
【0006】
特許文献1には、液晶表示パネルに電子部品を取り付ける場合の、表示パネル側のリードに対する電子部品側のリードの位置ずれを、カメラで撮影して検出することについての記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−201932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
表示パネルの電子部品の接続箇所をカメラで撮影して検査する場合、例えば、ガラスなどで構成されるパネルの縁部の上側に電子部品が取り付けられているときには、その表示パネルの下側からカメラで撮影しなければならない。つまり、下側から撮影しないと、表示パネルの表面と電子部品の接続面との状態の画像を得ることができない。特許文献1に記載の技術では、表示パネルの平面に対して直交した方向にカメラのレンズの光軸を配置して、撮影している。
【0009】
このようなカメラ配置で検査用の撮影を行う際には、通常、チップに設けられたアライメントマークの位置を撮影して、表示パネル側の基準位置とアライメントマークとのずれ量を、撮影画像から判別して、取付誤差を測定している。アライメントマークは、例えばチップ表面にエッチングで形成してある。
【0010】
したがって、検査用の撮影画像は、チップ表面のアライメントマークと、表示パネル側の基準位置のマークの双方が明確に写った画像である必要がある。
ところが、表示パネル上に取り付けられたチップを撮影した場合、アライメントマークが不鮮明な画像になることが多い。すなわち、チップ上にアライメントマークが形成された箇所は、表面の平坦度が低く、且つ、表示パネル基板とチップとの間に配置された異方性導電材料の影響で、照明して撮影しても、チップ表面からの充分な反射光が得られない。このため、撮影画像中のアライメントマークが不鮮明になって、アライメントマークの位置の検出が困難になり、アライメントマークを基準とした検検査ができない恐れがあった。
【0011】
なお、ここまでの説明では、パネルに接続したCOGを検査する場合の課題について説明したが、パネルに接続したCOFを検査する場合の課題も同様である。
【0012】
本発明の目的は、電子部品などに設けたアライメントマークを撮影画像から検出できない場合でも、表示パネルへの電子部品などの取付状態の検査が行える表示パネル検査装置及び表示パネル検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、被検査対象となる表示パネルと電子部品又は電子部品搭載基板との接続部を、表示パネルの面に対してレンズの光軸をほぼ直交させた配置として、照明光を投射させて撮影する。そして、撮影して得た画像の輝度を検出する。その検出した輝度値が第1の輝度値の箇所を、前記電子部品又は電子部品搭載基板の電極部と判別し、検出した輝度値が第2の輝度値の箇所を、表示パネルの電極部と判別し、第1の輝度値の箇所と第2の輝度値の箇所との中間の点から、第1の輝度値または第2の輝度値が連続する長さを、接続部の接続ずれ量の第1の評価値とする。
【0014】
このように第1の評価値を得ることで、表示パネルの電極部と、その表示パネルに搭載された電子部品(又は電子部品搭載基板)の電極部との接続状態のずれ量が、基準値との比較などで判別できるようになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、表示パネルと電子部品(又は電子部品搭載基板)との接続部の状態を、表示パネルの電極部と、その表示パネルに搭載された電子部品(又は電子部品搭載基板)の電極部との接続箇所を撮影した画像から、良好に検査できるようになる。
特に、電子部品(又は電子部品搭載基板)に設けた位置決め用のマークの表面が平滑でないために、撮影した画像からそのマークを適正に検出できない場合でも、比較的平面性のよい電極部については、比較的良好に撮影できる可能性が高く、その電極部を基準として接続状態の良好な検査が行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態例による検査装置の例を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施の形態例による検査装置の配置例を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施の形態例による検査画像の例を示した説明図である。
【図4】本発明の一実施の形態例による各照明を個別に照射した場合の検査画像の例を示した説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態例による検査処理時の照明設定例を示したフローチャートである。
【図6】本発明の一実施の形態例による搭載位置検査処理例を示したフローチャートである。
【図7】本発明の一実施の形態例による搭載位置検査処理の具体例(例1:水平方向と垂直方向を同じ領域から検出する例)を示した説明図である。
【図8】本発明の一実施の形態例による搭載位置検査処理の具体例(例2:水平方向と垂直方向を別の領域から検出する例)を示した説明図である。
【図9】本発明の他の実施の形態例による搭載位置検査処理の具体例(2値化して水平方向と垂直方向を同じ領域から検出する例)を示した説明図である。
【図10】本発明の他の実施の形態例による搭載位置検査処理の具体例(2値化して水平方向と垂直方向を同じ領域から検出する場合のさらに別の例)を示した説明図である。
【図11】本発明の他の実施の形態例による搭載位置検査処理の具体例(2値化して水平方向と垂直方向を別の領域から検出する例)を示した説明図である。
【図12】本発明の他の実施の形態例による搭載位置検査処理例(検査方法を自動選択する例)を示したフローチャートである。
【図13】本発明の他の実施の形態例による検査装置の例(照明部が1つの例)を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態例を、以下の順序で説明する。
1.一実施の形態例
1−1.検査装置の構成例(図1,図2)
1−2.検査画像の例(図3、図4)
1−3.検査処理例(図5、図6)
1−4.具体的な検出例(例1、図7)
1−5.具体的な検出例(例2、図8)
2.2値化して検出する例(例1、図9,図10)
3.2値化して検出する例(例2、図11)
4.検査方法を自動選択する例(図12)
5.検査装置の照明部が1つの例(図13)
6.その他の変形例
【0018】
[1.一実施の形態例]
[1−1.検査装置の構成例]
図1及び図2を参照して、本発明の一実施の形態例(以下「本例」と称する)の検査装置の構成を説明する。
図1は、撮影を行う検査装置と、検査装置で検査を行うための処理ブロックを示した図である。
検査装置は、液晶表示パネルの組み立てを行う組み立て装置に取り付けて用いられる。つまり、この検査装置は、図2に示すように、組み立てライン40上に搬送されて来る液晶表示パネル10の被検査箇所である電子部品取り付け箇所を、液晶表示パネル10の裏側から撮影して、その撮影した画像から、電子部品の取り付け状態を検査する装置である。
【0019】
本例の検査装置は、ガラス基板で構成される液晶表示パネル10の縁部に、電子部品(半導体部品)20としてのベアチップを接続した接続部を検査する。以下の説明では、ベアチップをCOGと称する。なお、図1の検査装置構成と、図2の組み立てライン40上の配置とは、上下方向が逆になっており、図1では液晶表示パネル10の下側に撮影する機構を配置しているのに対し、図2では液晶表示パネル10の上側に撮影する機構を配置しているが、いずれの配置でもよいことは勿論である。
また、図2では、説明を簡単にするために、組み立てライン40上を搬送される液晶表示パネル10の搬送位置で、液晶表示パネル10の被検査箇所が撮影される位置に検査装置を配置している。なお、カメラや照明部などで構成される検査装置自体を、図示しない駆動機構により移動させるようにしてもよい。すなわち、検査装置をその駆動機構により移動させながら、液晶表示パネル10上の複数の被検査箇所を順に撮影するようにしてもよい。また、組み立てライン40上とは異なる場所で、検査装置により検査をしてもよい。
【0020】
COG20には、液晶表示パネル10と接続される面に、接続用の電極部であるパッド221〜230が比較的狭いピッチで複数配置されている。また、COG20が接続される液晶表示パネル10の表面側にも、接続用の電極部であるパネルリード211〜219が配置されている。パッド221〜230とパネルリード211〜219の具体的な配置例については後述する。
なお、パッド221〜230が配置されるCOG20の表面は、比較的粗い面となっているが、ここでいう「粗い面」とは、ガラスなどで構成される液晶表示パネル10の比較的平滑な表面よりも粗い面であることを意味する。
また、後述する図3に示すように、COG20のパッド21配置面に、位置決め用のCOGアライメントマーク232が形成されている。さらに、液晶表示パネル10のパネルリード211〜219配置面に、パネルアライメントマーク231が形成してある。COGアライメントマーク232は、例えばCOG20の表面をエッチング処理することで形成されており、表面が比較的粗い面となっている。
【0021】
また、図1に示すように、液晶表示パネル10とCOG20との間に、異方性導電フィルム(ACF)30を配置し、ある程度圧力を加えた状態でACF30を加熱する。このように、加圧しながら加熱することで、ACF30内の導電粒子がCOG20側のパッド221〜230と液晶表示パネル10側のパネルリード211〜219との両方に接触し、これらを導通させる。ACF30内に配置された導電粒子は微細な粒子であり、ACF30自体は、ほぼ透明又は半透明なフィルムからなる素材で形成されている。
なお、ACF30を使用した液晶表示パネル10へのCOG20の取り付け作業は、COG20の配置位置を決める仮圧着を行った後、完全に固定させる本圧着を行って完成するが、検査装置による検査は、仮圧着時と本圧着時のどちらの作業時に行ってもよい。
【0022】
図1に示すように、検査装置は、液晶表示パネル10の被検査箇所を撮影する。つまり、液晶表示パネル10の被検査箇所の真下に、撮影を行うためのセットであるレンズ101とハーフミラー部102とカメラ103を配置し、液晶表示パネル10の被検査箇所の上側が、COG20の接続部となるように配置する。
また、レンズ101は、その光軸が液晶表示パネル10のガラス面と直交するように配置してあり、レンズ101の下側にはハーフミラー部102を配置している。ハーフミラー部102は、内部のハーフミラー102aにより、側方の同軸落射照明部104からの光をレンズ101側に入射させると共に、外部からレンズ101に入射した光を、カメラ103のイメージャ103aに入射させる光学部材である。
【0023】
すなわち、外部の液晶表示パネル10からレンズ101に入射した像光は、ハーフミラー102aを直進してカメラ103のイメージャ103aに到達し、イメージャ103aで電気信号に変換され、画像信号として出力される。カメラ103は、例えばモノクロ画像の撮影を行う撮影部を備える。なお、図1では、カメラ103は、レンズ101とは別に、ハーフミラー102aとイメージャ103aとの間に、撮影用のレンズを備えるようにしてもよい。
【0024】
同軸落射照明部104は、発光ダイオードなどから構成される光源104aと、その光源104aからの光を直進させるレンズ104bとを備え、そのレンズ104bが出射した光を、照明光としてハーフミラー部102に入射させる。ハーフミラー部102に入射した照明光は、ハーフミラー102aにより曲折されて、レンズ101を介して液晶表示パネル10の被検査箇所に照射される。したがって、レンズ101を介してカメラ103のイメージャ103aに向かう像光の光軸L1と、同軸落射照明部104からハーフミラー部102を介して出射される照明光の中心光軸L2とはほぼ一致した状態となる。この光軸L1,L2は、液晶表示パネル10のガラス面と直交する方向の軸である。
【0025】
また、検査装置は、この同軸落射照明部104の他に斜方照明部105を備える。この斜方照明部105は、発光ダイオードなどの光源105aと、その光源105aからの光を直進させるレンズ105bとを備え、光源105aからの光がレンズ105bを介して、液晶表示パネル10の被検査箇所に、照明光として照射される。
ここで、斜方照明部105は、図1に示すように、レンズ105bが出射した光の中心光軸L3を、上述した光軸L1,L2に対して、所定の角度を持たせるようにしている。この所定の角度は、任意に設定されるものであり、例えば30°などの、液晶表示パネル10に斜めから照射可能な角度であればよい。ただし、照明光を斜めから照射する角度は、カメラ103で撮影したとき、比較的粗い面であるCOG20のパッド221〜230を配置した面が、良好に観察できる角度とするのが好ましい。
【0026】
なお、図1では、斜方照明部105は、1個の光源105aからの光を照射する照明部としてあるが、複数の光源を直線状に並べたバー状の照明装置や、複数の光源を環状に並べたリング状の照明装置としてもよい。リング状の照明装置の場合には、例えばレンズ101の周囲を囲むように複数の光源を配置する。
また、図1に示した同軸落射照明部104や斜方照明部105は、照明光を被検査箇所に集光させるためのレンズ104b,105bを配置したが、レンズ104b,105bは省略して、光源104a,105aからの光を直接、照明光として照射させるようにしてもよい。
【0027】
図1に示した各照明部104,105による照明状態と、カメラ103での撮影処理は、この検査装置が備える撮影制御処理部である制御部111により制御される。制御部111は、パネル搬送部114での液晶表示パネル10の搬送状態についての情報を取得して、液晶表示パネル10上の被検査箇所が、カメラ103で撮影する位置になったと判断したとき、その箇所についての検査を行う。
【0028】
検査時には、同軸落射照明部104と斜方照明部105の光源104a,105aを点灯させ、その点灯に連動して、カメラ103で撮影を行う。例えば、同軸落射照明部104の光源104aの点灯と斜方照明部105の光源105aの点灯とを異なるタイミングとし、それぞれの光源104a,105aが点灯した際に、カメラ103で1回ずつ合計2回の撮影を行う。
あるいは、同軸落射照明部104と斜方照明部105の光源104a,105aを同時に点灯させ、その2つの光源104a,105aからの光を同時に投射した状態で、カメラ103で1回だけ撮影を行う。この同時に光を投射した状態での撮影時には、同軸落射照明部104の光源104aと、斜方照明部105の光源105aとで、発光色を変えてもよい。
【0029】
撮影した画像データは、実質的に画像処理部を構成する画像解析部112に供給され、この画像データに基づいて画像解析を行うことによって、液晶表示パネル10に対するCOG20の取付位置についての検査結果が得られる。そして、画像解析部112で得られた検査結果のデータを、出力部113から外部に出力する。出力部113から出力される検査結果のデータは、例えば表示装置に表示されたり、データ蓄積装置に蓄積されて、その後の解析に利用される。
【0030】
[1−2.検査画像の例]
次に、検査装置が備えるカメラ103で撮影される画像の例について説明する。
図3は、検査時の撮影画像200の例を示したものである。図3に示した撮影画像200は、表示パネル10のガラス面201にパネルアライメントマーク231を形成した箇所の周囲を写した画像である。パネルアライメントマーク231は、この例では四角の枠形状とされており、その四角の枠内に、COG20の側に配置した十字形状のCOGアライメントマーク232が入るようになっている。すなわち、COG20が表示パネル10に誤差なく正確に取り付けられた状態になっていれば、四角の枠で形成されるパネルアライメントマーク231の中央部分に、COGアライメントマーク232が位置するようになる。
したがって、撮影画像200から、パネルアライメントマーク231とCOGアライメントマーク232の位置関係が判れば、正確な接続状態が検査できる。
【0031】
また、撮影画像200で写した範囲内には、表示パネル10のガラス面201の電極であるパネルリード211〜219と、COG20側の電極であるパッド221〜230とが形成してある。
図3に示すように、7本並列に配置してあるパネルリード211〜217は、7個のパッド221〜227と個別に接続される。また、これらのパネルリード211〜217とは別の位置に配置したパネルリード218,219についても、それぞれ別のパッド229,230と接続される。
【0032】
ところで、撮影画像200として、図3に示すように各アライメントマーク231,232とパネルリード211〜219とパッド221〜230との全てが明確に写っているのは、理想的な状態である。実際には、[発明が解決しようとする課題]で説明したように、COG20の表面の粗さや、接続箇所に配置したACF30の作用で、一部が不鮮明に写る場合がある。特に、撮影画像200中のCOGアライメントマーク232が不鮮明であることが多い。
【0033】
ここで、図1に示した構成の検査装置で検査を行う際には、1カ所の検査毎に、同軸落射照明部104の光源104aと斜方照明部105の光源105aとを個別に点灯させ、それぞれの光源104a,105aの点灯毎に合計2回撮影する。
図4(a)は、同軸落射照明部104の光源104aを点灯して撮影した画像200′を示したものである。このように表示パネル10のガラス面にほぼ直交した状態で入射する照明光で撮影した画像200′は、表示パネル10のガラス面に設けられたパネルアライメントマーク231とパネルリード211〜219が比較的鮮明に写った画像である。この同軸落射照明部104を使って撮影した画像200′には、COGの表面に形成されたCOGアライメントマーク232とCOG側のパッド221〜230とが、殆ど写っていない。
【0034】
図4(b)は、斜方照明部105の光源105aを点灯して撮影した画像200″を示したものである。このように表示パネル10のガラス面に対して、ある程度の角度を持って入射する照明光で撮影した画像200″は、表面が比較的荒い面であるCOGアライメントマーク232と、COG側のパッド221〜230とが比較的鮮明に写った画像である。但し、導電部材で構成されたパッド221〜230は、COG20の表面よりも平滑であり、比較的鮮明に写る。これに対して、表面が荒い面であるCOGアライメントマーク232は、この画像200″でもそれほど鮮明には写らない場合がある。
また、表示パネル10に形成されたパネルアライメントマーク231とパネルリード211〜219についても、画像200″には殆ど写っていない。
【0035】
すなわち、図4(a)、(b)に示したように、同軸落射照明部104と斜方照明部105とを個別に照明して撮像することで、各アライメントマーク231、232とパネルリード211〜219とパッド221〜230が区別された画像が得られる。
例えば2つの画像から、パネルアライメントマーク231とCOGアライメントマーク232の位置をそれぞれ検出して、画像解析部112内で座標処理することでアライメントマーク231、232間の相対位置を算出して、接続部の取り付け精度を検査することができる。
このような画像200が得られることで、例えばパネルアライメントマーク231とCOGアライメントマーク232との相対位置を検出して、接続部の取り付け精度を検査することができる。
【0036】
なお、図4の例は、同軸落射照明部104と斜方照明部105とを個別に発光させて2回の撮像で2つの画像を得る撮像処理で例を示している。これに対して、同軸落射照明部104と斜方照明部105とを個別に発光させて得た2つの画像200′、200″とを画像合成することで図3に示した撮像画像200を得るようにしてもよい。あるいは、同軸落射照明部104と斜方照明部105とを同時に発光させて、1回の撮像で撮像画像200を得るようにしてもよい。
また、両方の照明部を発光させて1回の撮像で撮像画像を得る場合には、2つの照明部で照明された箇所を分離可能に撮像してもよい。例えば、同軸落射照明部104の光源104aと、斜方照明部105の光源105aとを別の発光色とし、カメラ103でカラー撮像を行う場合、それぞれの光源104a,105aで照明された箇所が異なる色となる撮像画像200にしてもよい。
したがって、検査装置で検査を行う例としては、2つの照明部を同時に発光させて、1回の撮像でモノクロ画像を得る例と、光源の色を変えて1回の撮像でカラー画像を得る例と、2つの光源を個別に発光させて2回の撮像でモノクロ画像を得る例の、3つの例が考えられる。
【0037】
[1−3.検査処理例]
次に、検査装置での検査処理例について、図5及び図6のフローチャートを参照して説明する。
図5のフローチャートで設定する輝度値の範囲A,Bの一例を示すと、例えば1回の撮像でモノクロ画像を得る例(つまり図3の画像200を1回の撮像で得る例)の場合には、撮像画像から得られる輝度値が256値(最小0〜最大255)であるとき、範囲Aを70〜120の輝度値とし、範囲Bを170〜220の輝度値とする。
また、図4で説明した2回の撮像を行うことで、表示パネル10側とCOG20側とが分離できる場合、並びに、1回のカラー撮像で色から表示パネル10側とCOG20側とが分離できる場合には、範囲Aと範囲Bは同じ輝度範囲とする。例えば範囲Aと範囲Bを、256値で120〜220の輝度値とする。
【0038】
図5は、検査前に行う照明部の発光輝度調整処理例を示したフローチャートである。
まず、同軸落射照明部104の光源104aのみを点灯し(ステップS11)、カメラ103で撮像して得た画像中の測定エリアの輝度が、予め決められた範囲A内であるか否かを判断する(ステップS12)。ステップS12の判断で、測定エリアの輝度が範囲A内でない場合には、光源104aの発光輝度を調整して(ステップS13)、ステップS12の判断に戻る。このとき判断する測定エリアは、例えば表示パネル10のパネルアライメントマーク231又はパネルリード211〜219が配置された箇所とする。ステップS13での調整は、検査作業者による手動調整と、検査装置による自動的な調整のいずれでもよい。
【0039】
ステップS12の判断で、測定エリアの輝度が範囲A内であると判断した場合には、同軸落射照明部104の光源104aを消灯し、斜方照明部105の光源105aを点灯する(ステップS14)。そして、カメラ103で撮像して得た画像中の測定エリアの輝度が、予め決められた範囲B内であるか否かを判断する(ステップS15)。この判断で、測定エリアの輝度が範囲B内でない場合には、光源105aの発光輝度を調整して(ステップS16)、ステップS15の判断に戻る。このとき判断する測定エリアは、例えばCOGアライメントマーク232又はパッド221〜230が配置された箇所とする。ステップS16での調整は、検査作業者による手動調整と、検査装置による自動的な調整のいずれでもよい。
【0040】
次に、検査装置で表示パネル10とCOG20の接続部を検査する処理例を、図6のフローチャートを参照して説明する。
図6において、フローチャートの右側に示した撮影画像200のうち点線で示した部分は、各ステップで設定される検査範囲を示す。
まず、同軸落射照明部104と斜方照明部105とを点灯し、カメラ103で撮像を行い、出力部113に接続された不図示のモニタに撮像画像を表示する(ステップS21)。ここでの各照明部の点灯と撮像は、上述した3つの例のいずれでもよい。なお、同軸落射照明部104による照明と、斜方照明部105による照明を個別に行って、2つの画像を得た場合には、例えば、その2つの画像を合成せずに、それぞれの画像から個別に位置検出を行ってもよい。
【0041】
次に、現在の検査装置での検査方法を、検査作業者による操作などで指定する(ステップS22)。ここでの検査方法は、アライメントマークを検出する検査と、端子を検出する検査と、アライメントマークと端子の双方を検出する検査の3種類のいずれかの中から指定される。なお、このステップS22での検査方法の指定は、検査開始前に予め設定してもよい。また、変形例で後述するように、検査結果に応じて自動的に適切な検査方法を設定してもよい。
【0042】
続いて、その指定した検査方法がアライメントマークの検査であるか否かを判断する(ステップS23)。ここで、アライメントマークの検査が指定されていると判断した場合には、撮影画像200から、パネルアライメントマーク231を検出する範囲を設定する(ステップS24)。例えば、図6に示した撮像画像200の中から、パネルアライメントマーク231が存在する可能性が高い範囲200aを、検出範囲とする。パネルアライメントマーク231が存在する可能性が高い範囲200aとは、つまり、表示パネル10とCOG20の接続の精度が高いパネルを撮影したとき、パネルアライメントマーク231がほぼ中央の位置になる範囲である。後述する他の範囲200b〜200dについても同様である。
【0043】
次に、COGアライメントマーク232を検出する範囲を設定する(ステップS25)。例えば、図6に示した撮像画像200の中から、COGアライメントマーク232が存在する可能性が高い範囲200bを、検出範囲とする。図6では、検出範囲200bは、パネルアライメントマーク231の検出範囲200aより若干狭めた範囲としてあるが、検出範囲200aと検出範囲200bは同じ範囲でもよい。
【0044】
そして、検出範囲200a内の画像からパネルアライメントマーク231を検出し、検出範囲200b内の画像からCOGアライメントマーク232を検出する処理を行う。例えば、図6の画像200に示すように、パネルアライメントマーク231の中心位置231aとCOGアライメントマーク232の中心位置232aを検出する。
そして、パネルアライメントマーク231の中心位置231aと、COGアライメントマーク232の中心位置232aとの水平方向(以下、水平方向を「X方向」と称する)の相対距離X0及び垂直方向(以下、垂直方向を「Y方向」と称する)の相対距離Y0を検出する。そして、検出した各相対距離X0、Y0を、検査装置が予め持つ基準値と比較して、接続部の精度を検出する。また、パネルアライメントマーク231とCOGアライメントマーク232の外形のX方向の相対距離X1及びY方向の相対距離Y1を検出して、同様に検査装置が予め持つ基準値と比較して、接続部の精度を検出してもよい。
なお、ステップS23でアライメントマークの検査が指定されていないと判断した場合には、ステップS24,S25の処理は実行しない。
【0045】
次に、ステップS22で指定した検査方法が端子の検査であるか否かを判断する(ステップS26)。ここで、端子の検査が指定されていると判断した場合には、現在の設定が、端子のX方向とY方向の検査を1つの検出範囲から共通で行う設定であるか否かを判断する(ステップS27)。
ここで、端子のX方向とY方向の検査を1つの検出範囲から共通で行う設定である場合には、1つの端子検出範囲を設定する(ステップS28)。例えば、図6に示した撮像画像200の中から、パネルリード211,212とパッド221,222が配置された範囲200cを、検出範囲とする。この範囲200cは、パネルリード211,212とパッド221,222との位置関係から、X方向とY方向の双方の検査が可能な範囲に設定する。
【0046】
そして、検出範囲200c内の画像から、パネルリード211,212とパッド221,222との位置関係をX方向とY方向で検出し、接続状態の検査に必要な評価値を得る。このパネルリード211,212とパッド221,222から検査を行う例の詳細については、後述する。
【0047】
また、ステップS27で、端子のX方向とY方向の検査を個別に行う設定であると判断した場合には、X方向の検出範囲を設定し(ステップS29)、続いて、Y方向の検出範囲を設定する(ステップS30)。例えば、図6に示した撮像画像200の中から、パネルリード211,212とパッド221,222が配置された範囲200cを、X方向の検出範囲とし、パネルリード218,219とパッド229,230が配置された範囲200dを、Y方向の検出範囲とする。
そして、検出範囲200c内の画像から、パネルリード211,212とパッド221,222との位置関係をX方向で検出し、検出範囲200d内の画像から、パネルリード218,219とパッド229,230との位置関係をY方向で検出し、接続状態の検査に必要な評価値を得る。この場合の検査例の詳細についても後述する。
なお、ステップS26で端子の検査が指定されていないと判断した場合には、ステップS27〜S30の処理は実行しない。
【0048】
ここまでの処理が終わると、1画像内の全ての測定箇所の検査が完了したか否かを判断し(ステップS31)、完了していない場合には、ステップS22に戻って、処理を繰り返す。ステップS31で全ての検査範囲の検査が終了したと判断した場合には、撮影した画像200による検査を終了し、別の検査位置の撮影に移る。
【0049】
[1−4.具体的な検出例(例1)]
図7は、検出範囲200c内の画像から、パネルリード211,212とパッド221,222との位置関係をX方向とY方向で検出する例を示したものである。
まず、図7(a)に示す1枚の撮影画像200から、図7(b)に示す検出範囲200cの画像を抽出する。そして、この検出範囲200cの画像から、図7(c)に示すように、X方向の輝度値の変化を検出し、図7(d)に示すように、Y方向の輝度値の変化を検出する。
【0050】
検出範囲200cの画像には、図7(b)に示すように、パネルリード211とパッド221とが重なる箇所211aがあり、また、パネルリード212とパッド222とが重なる箇所212aがある。
このパネルリード211,212とパッド221,222とが重なる箇所211a,212aは、図7(c),(d)に示すような輝度値の変化が現れる箇所である。すなわち、パネルリード211,212に相当する輝度値V2から、パッド221,222に相当する輝度値V1に変化する箇所である。ここで、パネルリードとパッドとが重なる箇所の境界は、エッジにパネルリードの輝度値とパッドの輝度値の中間もしくは両者の輝度値とは違った輝度値が生じることがある。なお、輝度値V2は、図4のフローチャートで設定した範囲A内の輝度値であり、輝度値V1は、図4のフローチャートで設定した範囲B内の輝度値である。また、輝度値V2よりも低い輝度値の箇所は、パネルのガラス面に相当する。
【0051】
その上で、その輝度値V2から輝度値V1に変化する点を始点として、輝度値V1が連続する長さを、検査用の評価値とする。具体的には、図7(c)に示すように、輝度値V1がX方向に連続する長さX2を、X方向の評価値とする。
また、図7(d)に示すように、輝度値V2から輝度値V1に変化する点を始点として、輝度値V1がY方向に連続する長さY2を、Y方向の評価値とする。
そして、それぞれの方向の評価値を、予め検査装置が保持している基準値と比較して、接続部の接続状態のずれ量を検出する。
【0052】
[1−5.具体的な検出例(例2)]
図7の例は、X方向とY方向を1つの検出範囲200c内の画像から検出した例としたが、図6のフローチャートのステップS29,S30に示すように、検出範囲200cからはX方向の評価値だけを得て、別の検出範囲200d内の画像からY方向の評価値を得るようにしてもよい。
図8は、検出範囲200d内の画像からY方向の評価値を得る例である。
まず、図8(a)に示す1枚の撮影画像200から、図8(b)に示す検出範囲200dの画像を抽出する。そして、この検出範囲200dの画像から、図8(c)に示すように、Y方向の輝度値の変化を検出する。
【0053】
検出範囲200dの画像には、図8(b)に示すように、パネルリード218とパッド229とが重なる箇所218aがあり、また、パネルリード219とパッド230とが重なる箇所219aがある。
このパネルリード218,219とパッド229,230とが重なる箇所218a,219aは、図8(c)に示す輝度値の変化として、パネルリード218,219に相当する輝度値V2から、パッド229,230に相当する輝度値V1に変化する箇所であり、該当する輝度値の変化から検出する。
【0054】
その上で、その輝度値V2から輝度値V1に変化する点を始点として、Y方向に輝度値V1が連続する長さY3を、Y方向の評価値とする。X方向の評価値については、図7(c)に示した長さX2をそのまま使用する。
そして、それぞれの方向の評価値を、予め検査装置が保持している基準値と比較して、接続部の接続状態のずれ量を検出する。
【0055】
このように本例の検査装置によると、表示パネル10と電子部品(COG20)との接続部の状態が、電極(パネルリード,パッド)の重なり状態を示す評価値から検出できるので、接続部の接続状態の検査を良好に行うことができる。特に、アライメントマークの検査とは独立して検査を行うので、例えばアライメントマークの検出が困難な状況でも、良好に検出でき、検査に成功する可能性が向上する。
【0056】
[2.2値化して検出する例(例1)]
図7,図8の例では、範囲Bの輝度値V1と、範囲Aの輝度値V2の検出から、ずれ量を示す評価値を得る処理を行ったが、カメラ103で撮影した1つの画像の輝度値を2値化して、その2値化した画像から、ずれ量を示す評価値を得るようにしてもよい。
例えば図9(a)に示した撮影画像200の範囲200cから検出する場合に、図9(b)に示す範囲200cの画像から、図9(c)に示す2値化した画像200c′を得る。この例では、パッド221,222が配置された箇所と、それ以外の箇所とで区別した2値化画像200c′となっている。
【0057】
そして、図9(c)に示す2値された画像200c′から、図9(d)に示すように、X方向のパッド221の長さX2を検出し、図9(e)に示すように、Y方向のパッド221の長さY2を検出する。なお、図9の例では、輝度値からはパッド221,222とパネルリード211,212とが重なる箇所211a,212aを検出することはできない。しかしながら、検出範囲200c内のパッドとパネルリードとが重なる箇所211a,212aは、図形的に特徴がある形状のため、その特徴部分の画像を認識処理することにより検出することが可能である。
また、カメラ103で撮影した元の画像が、図4で説明したように2回の撮影で得た画像である場合には、それぞれの画像からパッドの箇所とパネルリードの箇所を区別できるので、同様にパッドとパネルリードとが接する箇所211a,212aを検出することができる。
【0058】
また、例えば、図9と同様の処理で図10(a)〜図10(c)に示すように画像200c′を取得した場合に、その図10(c)の画像200c′のパッド221,222が配置された箇所の形状に対して、画素に平行な外接する矩形221a、222aを作成する。そして、検出した矩形221a,222aとパッド221,222が配置された箇所の位置の差分を下記に示す数1式及び数2式で算出して、パッドとリードが重なる箇所211a,212aを検出できる。
(数1)Xg=Xb−X2
(数2)Yg=Yb−Y2
数1式のXgはパッドとリードがX方向に重なる箇所の長さ、Xbはパッドが配置された箇所の形状に外接する矩形のX方向の長さを表す。
数2式のYgはパッドとリードがY方向に重なる箇所の長さ、Ybはパッドが配置された箇所の形状に外接する矩形のY方向の長さを表す。
これらのパッドが配置された箇所の形状に外接する矩形のX方向の長さXbおよびY方向の長さYbは、図10(c)の画像200′から検出したとき、図10(d)に示す状態である。
【0059】
[3.2値化して検出する例(例2)]
図11は、撮影画像200の検出範囲200dを2値化して、Y方向の評価値を検出する例である。
すなわち、図11(a)に示した撮影画像200から、図11(b)に示す検出範囲200dの画像を取り出し、その検出範囲200dの画像から、図11(c)に示す2値化した画像200d′を得る。この例では、パッド229,230が配置された箇所と、それ以外の箇所とで区別した2値化画像200d′となっている。
そして、図11(c)に示す2値化された画像200d′から、図11(d)に示すように、Y方向のパッド230の長さY3を検出する。この図11の例の場合には、Y方向にパッドの輝度値が連続する箇所を取り出すことで、どの位置で検出しても、同じ値Y2を検出できる。
【0060】
[4.検査方法を自動選択する例]
図6のフローチャートに示した検査処理例では、ステップS22で検査方法の指定を行うようにしている。これに対して、例えばアライメントマークでずれ量の検出ができない場合に、端子位置の検出でずれ量の検出を行うようにしてもよい。
例えば図12に示すように、ステップS21で撮影及び表示を行った後、撮影画像200から、パネルアライメントマーク231を検出する範囲を設定する(ステップS24)。その後、COGアライメントマーク232を検出する範囲を設定する(ステップS25)。
【0061】
そして、それぞれのアライメントマーク231,232の検出で、ずれ量の検出が行えたか否かを判断する(ステップS32)。ここで検出が行えない場合とは、画像中のアライメントマーク231又は232が不鮮明な場合に相当する。ステップS32で、ずれ量の検出が行えた場合には、検査処理を終了する。
そして、ステップS32でずれ量の検出ができないと判断した場合には、図6のフローチャートで説明したステップS27〜S30の端子検出処理を行う。この図12のフローチャートに示した検出処理を行うことで、アライメントマークから適正な検査ができない場合に、端子の検出処理からずれ量の検出処理が行われ、自動的に適正な検出処理が行われる。
【0062】
[5.検査装置の照明部が1つの例]
図1に示した検査装置では、同軸落射照明部104と斜方照明部105の双方を備えた検査装置としたが、いずれか一方の照明部だけを備えた検査装置としてもよい。
例えば、図13に示すように、光源104aとレンズ104bからなる同軸落射照明部104を設け、同軸落射照明部104から照明した状態で、カメラ103で1回撮影した画像から検査を行う構成としてもよい。図13の検査装置の他の部分は、図1の検査装置と同様の構成である。
【0063】
[6.その他の変形例]
以上説明した実施の形態例の検査装置では、液晶表示パネルに接続される電子部品と、液晶表示パネルとの接続部の接続位置のずれを検査する装置として説明したが、フレキシブル配線基板で構成されたCOFなどの電子部品搭載基板と、液晶表示パネルとの接続部の接続位置のずれを検査する装置に適用してもよい。
また、各実施の形態例の検査装置では、液晶表示パネルを組み立てる際の検査装置としたが、液晶表示パネル以外の各種表示パネル(有機EL表示パネルなど)と電子部品又は電子部品搭載基板との接続部の検査を行う検査装置にも適用することができる。
また、図2の例では、表示パネルの組み立てラインに検査装置を配置して、組み立て時に検査を行う例を示したが、組立ラインとは異なる場所で、表示パネルと電子部品又は電子部品搭載基板の接続部の検査を行う検査装置に適用してもよい。
また、図1や図13に示した検査装置の構成は、一例を示したものであり、本発明は図示のものに限定されるものではない。
また、上述した実施の形態例では、アライメントマークとして、位置検出用に部品などに設けたアライメントマークを使用したが、電極部の一部を、位置検出に使用できる形状として、その電極部をアライメントマークとして使用してもよい。
【0064】
また、図1に示した構成で照明を行う場合には、3つの照明処理があると説明した。この3つの照明処理の内で、同軸落射照明部104による照明と、斜方照明部105による照明を個別に行って、2回の撮像を行って2つの画像を得る場合には、その2つの画像を合成せずに、それぞれの画像から個別に位置検出を行うようにしてもよい。すなわち、個別に検出した位置を、画像解析部内にて同一座標系において、相対位置を算出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10…液晶表示パネル、11…パネルリード、20…電子部品(COG)、21…パッド、30…異方性導電フィルム(ACF)、40…組み立てライン、101…レンズ、102…ハーフミラー部、103…カメラ、104…同軸落射照明部、104a…光源、105…斜方照明部、105a…光源、111…制御部、112…画像解析部、113…出力部、114…パネル搬送部、211〜219…パネルリード、221〜230…パッド、231…パネルアライメントマーク、232…COGアライメントマーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどのFPD(Flat Panel Display)を構成するパネルの組み立て時の検査に使用して好適な、表示パネル検査装置及び表示パネル検査方法に関し、特にパネルに電子部品が接続された状態の検査を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどのFPDを構成する表示パネルは、パネル組み立て装置によって、パネル周囲に様々な電子部品(搭載部品)が接続又は実装される。実装される電子部品の具体例としては、COG(Chip on glass)と称されるものや、COF(Chip on Film)と称されるものがある。
COGは、ベアチップを、異方性導電材料を介してパネル上のリード部に直接接続する技術である。COFは、ベアチップが実装されたフィルムを、異方性導電材料を介してパネル上のリード部に接続する技術である。以下の説明では、COGの技術でパネルに接続されるチップそのものをCOGと称し、COFの技術で接続されるフィルムをCOFと称する。
【0003】
COGを構成するチップは、非常に細かいピッチ(例えば40μm)で、パッドと称される電極部が配置されている。そして、このパッドに対応して、パネル側のCOG接続箇所のリードと称される電極部も、同様の細かいピッチで配置されている。
【0004】
COGを構成するチップと、パネル側のリードとの接続は、異方性導電材料を介して行われる。すなわち、パネルとCOGの間に、フィルム状又はペースト状の異方性導電材料を配置する。そして、パネルなどから異方性導電材料に圧力をかけた上で加熱し、異方性導電フィルム内に分散された導電性粒子を、圧力がかかった方向にだけ接触させて導通状態にする。圧力がかかった方向と直交する方向では、異方性導電フィルム内の導電性粒子絶縁性が分散したままの状態であり、絶縁性が維持される。
【0005】
このように異方性導電材料を使用して電子部品を表示パネルに取り付ける際には、リードやパッドの位置は、正確に一致させる必要がある。したがって、FPDの組み立て装置でパネルの組み立てを行う際には、パネルに正しく電子部品が取り付けられているか否かを検査し、接続状態にずれがある場合には、組み立て装置を調整する。
【0006】
特許文献1には、液晶表示パネルに電子部品を取り付ける場合の、表示パネル側のリードに対する電子部品側のリードの位置ずれを、カメラで撮影して検出することについての記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−201932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
表示パネルの電子部品の接続箇所をカメラで撮影して検査する場合、例えば、ガラスなどで構成されるパネルの縁部の上側に電子部品が取り付けられているときには、その表示パネルの下側からカメラで撮影しなければならない。つまり、下側から撮影しないと、表示パネルの表面と電子部品の接続面との状態の画像を得ることができない。特許文献1に記載の技術では、表示パネルの平面に対して直交した方向にカメラのレンズの光軸を配置して、撮影している。
【0009】
このようなカメラ配置で検査用の撮影を行う際には、通常、チップに設けられたアライメントマークの位置を撮影して、表示パネル側の基準位置とアライメントマークとのずれ量を、撮影画像から判別して、取付誤差を測定している。アライメントマークは、例えばチップ表面にエッチングで形成してある。
【0010】
したがって、検査用の撮影画像は、チップ表面のアライメントマークと、表示パネル側の基準位置のマークの双方が明確に写った画像である必要がある。
ところが、表示パネル上に取り付けられたチップを撮影した場合、アライメントマークが不鮮明な画像になることが多い。すなわち、チップ上にアライメントマークが形成された箇所は、表面の平坦度が低く、且つ、表示パネル基板とチップとの間に配置された異方性導電材料の影響で、照明して撮影しても、チップ表面からの充分な反射光が得られない。このため、撮影画像中のアライメントマークが不鮮明になって、アライメントマークの位置の検出が困難になり、アライメントマークを基準とした検検査ができない恐れがあった。
【0011】
なお、ここまでの説明では、パネルに接続したCOGを検査する場合の課題について説明したが、パネルに接続したCOFを検査する場合の課題も同様である。
【0012】
本発明の目的は、電子部品などに設けたアライメントマークを撮影画像から検出できない場合でも、表示パネルへの電子部品などの取付状態の検査が行える表示パネル検査装置及び表示パネル検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、被検査対象となる表示パネルと電子部品又は電子部品搭載基板との接続部を、表示パネルの面に対してレンズの光軸をほぼ直交させた配置として、照明光を投射させて撮影する。そして、撮影して得た画像の輝度を検出する。その検出した輝度値が第1の輝度値の箇所を、前記電子部品又は電子部品搭載基板の電極部と判別し、検出した輝度値が第2の輝度値の箇所を、表示パネルの電極部と判別し、第1の輝度値の箇所と第2の輝度値の箇所との中間の点から、第1の輝度値または第2の輝度値が連続する長さを、接続部の接続ずれ量の第1の評価値とする。
【0014】
このように第1の評価値を得ることで、表示パネルの電極部と、その表示パネルに搭載された電子部品(又は電子部品搭載基板)の電極部との接続状態のずれ量が、基準値との比較などで判別できるようになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、表示パネルと電子部品(又は電子部品搭載基板)との接続部の状態を、表示パネルの電極部と、その表示パネルに搭載された電子部品(又は電子部品搭載基板)の電極部との接続箇所を撮影した画像から、良好に検査できるようになる。
特に、電子部品(又は電子部品搭載基板)に設けた位置決め用のマークの表面が平滑でないために、撮影した画像からそのマークを適正に検出できない場合でも、比較的平面性のよい電極部については、比較的良好に撮影できる可能性が高く、その電極部を基準として接続状態の良好な検査が行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態例による検査装置の例を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施の形態例による検査装置の配置例を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施の形態例による検査画像の例を示した説明図である。
【図4】本発明の一実施の形態例による各照明を個別に照射した場合の検査画像の例を示した説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態例による検査処理時の照明設定例を示したフローチャートである。
【図6】本発明の一実施の形態例による搭載位置検査処理例を示したフローチャートである。
【図7】本発明の一実施の形態例による搭載位置検査処理の具体例(例1:水平方向と垂直方向を同じ領域から検出する例)を示した説明図である。
【図8】本発明の一実施の形態例による搭載位置検査処理の具体例(例2:水平方向と垂直方向を別の領域から検出する例)を示した説明図である。
【図9】本発明の他の実施の形態例による搭載位置検査処理の具体例(2値化して水平方向と垂直方向を同じ領域から検出する例)を示した説明図である。
【図10】本発明の他の実施の形態例による搭載位置検査処理の具体例(2値化して水平方向と垂直方向を同じ領域から検出する場合のさらに別の例)を示した説明図である。
【図11】本発明の他の実施の形態例による搭載位置検査処理の具体例(2値化して水平方向と垂直方向を別の領域から検出する例)を示した説明図である。
【図12】本発明の他の実施の形態例による搭載位置検査処理例(検査方法を自動選択する例)を示したフローチャートである。
【図13】本発明の他の実施の形態例による検査装置の例(照明部が1つの例)を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態例を、以下の順序で説明する。
1.一実施の形態例
1−1.検査装置の構成例(図1,図2)
1−2.検査画像の例(図3、図4)
1−3.検査処理例(図5、図6)
1−4.具体的な検出例(例1、図7)
1−5.具体的な検出例(例2、図8)
2.2値化して検出する例(例1、図9,図10)
3.2値化して検出する例(例2、図11)
4.検査方法を自動選択する例(図12)
5.検査装置の照明部が1つの例(図13)
6.その他の変形例
【0018】
[1.一実施の形態例]
[1−1.検査装置の構成例]
図1及び図2を参照して、本発明の一実施の形態例(以下「本例」と称する)の検査装置の構成を説明する。
図1は、撮影を行う検査装置と、検査装置で検査を行うための処理ブロックを示した図である。
検査装置は、液晶表示パネルの組み立てを行う組み立て装置に取り付けて用いられる。つまり、この検査装置は、図2に示すように、組み立てライン40上に搬送されて来る液晶表示パネル10の被検査箇所である電子部品取り付け箇所を、液晶表示パネル10の裏側から撮影して、その撮影した画像から、電子部品の取り付け状態を検査する装置である。
【0019】
本例の検査装置は、ガラス基板で構成される液晶表示パネル10の縁部に、電子部品(半導体部品)20としてのベアチップを接続した接続部を検査する。以下の説明では、ベアチップをCOGと称する。なお、図1の検査装置構成と、図2の組み立てライン40上の配置とは、上下方向が逆になっており、図1では液晶表示パネル10の下側に撮影する機構を配置しているのに対し、図2では液晶表示パネル10の上側に撮影する機構を配置しているが、いずれの配置でもよいことは勿論である。
また、図2では、説明を簡単にするために、組み立てライン40上を搬送される液晶表示パネル10の搬送位置で、液晶表示パネル10の被検査箇所が撮影される位置に検査装置を配置している。なお、カメラや照明部などで構成される検査装置自体を、図示しない駆動機構により移動させるようにしてもよい。すなわち、検査装置をその駆動機構により移動させながら、液晶表示パネル10上の複数の被検査箇所を順に撮影するようにしてもよい。また、組み立てライン40上とは異なる場所で、検査装置により検査をしてもよい。
【0020】
COG20には、液晶表示パネル10と接続される面に、接続用の電極部であるパッド221〜230が比較的狭いピッチで複数配置されている。また、COG20が接続される液晶表示パネル10の表面側にも、接続用の電極部であるパネルリード211〜219が配置されている。パッド221〜230とパネルリード211〜219の具体的な配置例については後述する。
なお、パッド221〜230が配置されるCOG20の表面は、比較的粗い面となっているが、ここでいう「粗い面」とは、ガラスなどで構成される液晶表示パネル10の比較的平滑な表面よりも粗い面であることを意味する。
また、後述する図3に示すように、COG20のパッド21配置面に、位置決め用のCOGアライメントマーク232が形成されている。さらに、液晶表示パネル10のパネルリード211〜219配置面に、パネルアライメントマーク231が形成してある。COGアライメントマーク232は、例えばCOG20の表面をエッチング処理することで形成されており、表面が比較的粗い面となっている。
【0021】
また、図1に示すように、液晶表示パネル10とCOG20との間に、異方性導電フィルム(ACF)30を配置し、ある程度圧力を加えた状態でACF30を加熱する。このように、加圧しながら加熱することで、ACF30内の導電粒子がCOG20側のパッド221〜230と液晶表示パネル10側のパネルリード211〜219との両方に接触し、これらを導通させる。ACF30内に配置された導電粒子は微細な粒子であり、ACF30自体は、ほぼ透明又は半透明なフィルムからなる素材で形成されている。
なお、ACF30を使用した液晶表示パネル10へのCOG20の取り付け作業は、COG20の配置位置を決める仮圧着を行った後、完全に固定させる本圧着を行って完成するが、検査装置による検査は、仮圧着時と本圧着時のどちらの作業時に行ってもよい。
【0022】
図1に示すように、検査装置は、液晶表示パネル10の被検査箇所を撮影する。つまり、液晶表示パネル10の被検査箇所の真下に、撮影を行うためのセットであるレンズ101とハーフミラー部102とカメラ103を配置し、液晶表示パネル10の被検査箇所の上側が、COG20の接続部となるように配置する。
また、レンズ101は、その光軸が液晶表示パネル10のガラス面と直交するように配置してあり、レンズ101の下側にはハーフミラー部102を配置している。ハーフミラー部102は、内部のハーフミラー102aにより、側方の同軸落射照明部104からの光をレンズ101側に入射させると共に、外部からレンズ101に入射した光を、カメラ103のイメージャ103aに入射させる光学部材である。
【0023】
すなわち、外部の液晶表示パネル10からレンズ101に入射した像光は、ハーフミラー102aを直進してカメラ103のイメージャ103aに到達し、イメージャ103aで電気信号に変換され、画像信号として出力される。カメラ103は、例えばモノクロ画像の撮影を行う撮影部を備える。なお、図1では、カメラ103は、レンズ101とは別に、ハーフミラー102aとイメージャ103aとの間に、撮影用のレンズを備えるようにしてもよい。
【0024】
同軸落射照明部104は、発光ダイオードなどから構成される光源104aと、その光源104aからの光を直進させるレンズ104bとを備え、そのレンズ104bが出射した光を、照明光としてハーフミラー部102に入射させる。ハーフミラー部102に入射した照明光は、ハーフミラー102aにより曲折されて、レンズ101を介して液晶表示パネル10の被検査箇所に照射される。したがって、レンズ101を介してカメラ103のイメージャ103aに向かう像光の光軸L1と、同軸落射照明部104からハーフミラー部102を介して出射される照明光の中心光軸L2とはほぼ一致した状態となる。この光軸L1,L2は、液晶表示パネル10のガラス面と直交する方向の軸である。
【0025】
また、検査装置は、この同軸落射照明部104の他に斜方照明部105を備える。この斜方照明部105は、発光ダイオードなどの光源105aと、その光源105aからの光を直進させるレンズ105bとを備え、光源105aからの光がレンズ105bを介して、液晶表示パネル10の被検査箇所に、照明光として照射される。
ここで、斜方照明部105は、図1に示すように、レンズ105bが出射した光の中心光軸L3を、上述した光軸L1,L2に対して、所定の角度を持たせるようにしている。この所定の角度は、任意に設定されるものであり、例えば30°などの、液晶表示パネル10に斜めから照射可能な角度であればよい。ただし、照明光を斜めから照射する角度は、カメラ103で撮影したとき、比較的粗い面であるCOG20のパッド221〜230を配置した面が、良好に観察できる角度とするのが好ましい。
【0026】
なお、図1では、斜方照明部105は、1個の光源105aからの光を照射する照明部としてあるが、複数の光源を直線状に並べたバー状の照明装置や、複数の光源を環状に並べたリング状の照明装置としてもよい。リング状の照明装置の場合には、例えばレンズ101の周囲を囲むように複数の光源を配置する。
また、図1に示した同軸落射照明部104や斜方照明部105は、照明光を被検査箇所に集光させるためのレンズ104b,105bを配置したが、レンズ104b,105bは省略して、光源104a,105aからの光を直接、照明光として照射させるようにしてもよい。
【0027】
図1に示した各照明部104,105による照明状態と、カメラ103での撮影処理は、この検査装置が備える撮影制御処理部である制御部111により制御される。制御部111は、パネル搬送部114での液晶表示パネル10の搬送状態についての情報を取得して、液晶表示パネル10上の被検査箇所が、カメラ103で撮影する位置になったと判断したとき、その箇所についての検査を行う。
【0028】
検査時には、同軸落射照明部104と斜方照明部105の光源104a,105aを点灯させ、その点灯に連動して、カメラ103で撮影を行う。例えば、同軸落射照明部104の光源104aの点灯と斜方照明部105の光源105aの点灯とを異なるタイミングとし、それぞれの光源104a,105aが点灯した際に、カメラ103で1回ずつ合計2回の撮影を行う。
あるいは、同軸落射照明部104と斜方照明部105の光源104a,105aを同時に点灯させ、その2つの光源104a,105aからの光を同時に投射した状態で、カメラ103で1回だけ撮影を行う。この同時に光を投射した状態での撮影時には、同軸落射照明部104の光源104aと、斜方照明部105の光源105aとで、発光色を変えてもよい。
【0029】
撮影した画像データは、実質的に画像処理部を構成する画像解析部112に供給され、この画像データに基づいて画像解析を行うことによって、液晶表示パネル10に対するCOG20の取付位置についての検査結果が得られる。そして、画像解析部112で得られた検査結果のデータを、出力部113から外部に出力する。出力部113から出力される検査結果のデータは、例えば表示装置に表示されたり、データ蓄積装置に蓄積されて、その後の解析に利用される。
【0030】
[1−2.検査画像の例]
次に、検査装置が備えるカメラ103で撮影される画像の例について説明する。
図3は、検査時の撮影画像200の例を示したものである。図3に示した撮影画像200は、表示パネル10のガラス面201にパネルアライメントマーク231を形成した箇所の周囲を写した画像である。パネルアライメントマーク231は、この例では四角の枠形状とされており、その四角の枠内に、COG20の側に配置した十字形状のCOGアライメントマーク232が入るようになっている。すなわち、COG20が表示パネル10に誤差なく正確に取り付けられた状態になっていれば、四角の枠で形成されるパネルアライメントマーク231の中央部分に、COGアライメントマーク232が位置するようになる。
したがって、撮影画像200から、パネルアライメントマーク231とCOGアライメントマーク232の位置関係が判れば、正確な接続状態が検査できる。
【0031】
また、撮影画像200で写した範囲内には、表示パネル10のガラス面201の電極であるパネルリード211〜219と、COG20側の電極であるパッド221〜230とが形成してある。
図3に示すように、7本並列に配置してあるパネルリード211〜217は、7個のパッド221〜227と個別に接続される。また、これらのパネルリード211〜217とは別の位置に配置したパネルリード218,219についても、それぞれ別のパッド229,230と接続される。
【0032】
ところで、撮影画像200として、図3に示すように各アライメントマーク231,232とパネルリード211〜219とパッド221〜230との全てが明確に写っているのは、理想的な状態である。実際には、[発明が解決しようとする課題]で説明したように、COG20の表面の粗さや、接続箇所に配置したACF30の作用で、一部が不鮮明に写る場合がある。特に、撮影画像200中のCOGアライメントマーク232が不鮮明であることが多い。
【0033】
ここで、図1に示した構成の検査装置で検査を行う際には、1カ所の検査毎に、同軸落射照明部104の光源104aと斜方照明部105の光源105aとを個別に点灯させ、それぞれの光源104a,105aの点灯毎に合計2回撮影する。
図4(a)は、同軸落射照明部104の光源104aを点灯して撮影した画像200′を示したものである。このように表示パネル10のガラス面にほぼ直交した状態で入射する照明光で撮影した画像200′は、表示パネル10のガラス面に設けられたパネルアライメントマーク231とパネルリード211〜219が比較的鮮明に写った画像である。この同軸落射照明部104を使って撮影した画像200′には、COGの表面に形成されたCOGアライメントマーク232とCOG側のパッド221〜230とが、殆ど写っていない。
【0034】
図4(b)は、斜方照明部105の光源105aを点灯して撮影した画像200″を示したものである。このように表示パネル10のガラス面に対して、ある程度の角度を持って入射する照明光で撮影した画像200″は、表面が比較的荒い面であるCOGアライメントマーク232と、COG側のパッド221〜230とが比較的鮮明に写った画像である。但し、導電部材で構成されたパッド221〜230は、COG20の表面よりも平滑であり、比較的鮮明に写る。これに対して、表面が荒い面であるCOGアライメントマーク232は、この画像200″でもそれほど鮮明には写らない場合がある。
また、表示パネル10に形成されたパネルアライメントマーク231とパネルリード211〜219についても、画像200″には殆ど写っていない。
【0035】
すなわち、図4(a)、(b)に示したように、同軸落射照明部104と斜方照明部105とを個別に照明して撮像することで、各アライメントマーク231、232とパネルリード211〜219とパッド221〜230が区別された画像が得られる。
例えば2つの画像から、パネルアライメントマーク231とCOGアライメントマーク232の位置をそれぞれ検出して、画像解析部112内で座標処理することでアライメントマーク231、232間の相対位置を算出して、接続部の取り付け精度を検査することができる。
このような画像200が得られることで、例えばパネルアライメントマーク231とCOGアライメントマーク232との相対位置を検出して、接続部の取り付け精度を検査することができる。
【0036】
なお、図4の例は、同軸落射照明部104と斜方照明部105とを個別に発光させて2回の撮像で2つの画像を得る撮像処理で例を示している。これに対して、同軸落射照明部104と斜方照明部105とを個別に発光させて得た2つの画像200′、200″とを画像合成することで図3に示した撮像画像200を得るようにしてもよい。あるいは、同軸落射照明部104と斜方照明部105とを同時に発光させて、1回の撮像で撮像画像200を得るようにしてもよい。
また、両方の照明部を発光させて1回の撮像で撮像画像を得る場合には、2つの照明部で照明された箇所を分離可能に撮像してもよい。例えば、同軸落射照明部104の光源104aと、斜方照明部105の光源105aとを別の発光色とし、カメラ103でカラー撮像を行う場合、それぞれの光源104a,105aで照明された箇所が異なる色となる撮像画像200にしてもよい。
したがって、検査装置で検査を行う例としては、2つの照明部を同時に発光させて、1回の撮像でモノクロ画像を得る例と、光源の色を変えて1回の撮像でカラー画像を得る例と、2つの光源を個別に発光させて2回の撮像でモノクロ画像を得る例の、3つの例が考えられる。
【0037】
[1−3.検査処理例]
次に、検査装置での検査処理例について、図5及び図6のフローチャートを参照して説明する。
図5のフローチャートで設定する輝度値の範囲A,Bの一例を示すと、例えば1回の撮像でモノクロ画像を得る例(つまり図3の画像200を1回の撮像で得る例)の場合には、撮像画像から得られる輝度値が256値(最小0〜最大255)であるとき、範囲Aを70〜120の輝度値とし、範囲Bを170〜220の輝度値とする。
また、図4で説明した2回の撮像を行うことで、表示パネル10側とCOG20側とが分離できる場合、並びに、1回のカラー撮像で色から表示パネル10側とCOG20側とが分離できる場合には、範囲Aと範囲Bは同じ輝度範囲とする。例えば範囲Aと範囲Bを、256値で120〜220の輝度値とする。
【0038】
図5は、検査前に行う照明部の発光輝度調整処理例を示したフローチャートである。
まず、同軸落射照明部104の光源104aのみを点灯し(ステップS11)、カメラ103で撮像して得た画像中の測定エリアの輝度が、予め決められた範囲A内であるか否かを判断する(ステップS12)。ステップS12の判断で、測定エリアの輝度が範囲A内でない場合には、光源104aの発光輝度を調整して(ステップS13)、ステップS12の判断に戻る。このとき判断する測定エリアは、例えば表示パネル10のパネルアライメントマーク231又はパネルリード211〜219が配置された箇所とする。ステップS13での調整は、検査作業者による手動調整と、検査装置による自動的な調整のいずれでもよい。
【0039】
ステップS12の判断で、測定エリアの輝度が範囲A内であると判断した場合には、同軸落射照明部104の光源104aを消灯し、斜方照明部105の光源105aを点灯する(ステップS14)。そして、カメラ103で撮像して得た画像中の測定エリアの輝度が、予め決められた範囲B内であるか否かを判断する(ステップS15)。この判断で、測定エリアの輝度が範囲B内でない場合には、光源105aの発光輝度を調整して(ステップS16)、ステップS15の判断に戻る。このとき判断する測定エリアは、例えばCOGアライメントマーク232又はパッド221〜230が配置された箇所とする。ステップS16での調整は、検査作業者による手動調整と、検査装置による自動的な調整のいずれでもよい。
【0040】
次に、検査装置で表示パネル10とCOG20の接続部を検査する処理例を、図6のフローチャートを参照して説明する。
図6において、フローチャートの右側に示した撮影画像200のうち点線で示した部分は、各ステップで設定される検査範囲を示す。
まず、同軸落射照明部104と斜方照明部105とを点灯し、カメラ103で撮像を行い、出力部113に接続された不図示のモニタに撮像画像を表示する(ステップS21)。ここでの各照明部の点灯と撮像は、上述した3つの例のいずれでもよい。なお、同軸落射照明部104による照明と、斜方照明部105による照明を個別に行って、2つの画像を得た場合には、例えば、その2つの画像を合成せずに、それぞれの画像から個別に位置検出を行ってもよい。
【0041】
次に、現在の検査装置での検査方法を、検査作業者による操作などで指定する(ステップS22)。ここでの検査方法は、アライメントマークを検出する検査と、端子を検出する検査と、アライメントマークと端子の双方を検出する検査の3種類のいずれかの中から指定される。なお、このステップS22での検査方法の指定は、検査開始前に予め設定してもよい。また、変形例で後述するように、検査結果に応じて自動的に適切な検査方法を設定してもよい。
【0042】
続いて、その指定した検査方法がアライメントマークの検査であるか否かを判断する(ステップS23)。ここで、アライメントマークの検査が指定されていると判断した場合には、撮影画像200から、パネルアライメントマーク231を検出する範囲を設定する(ステップS24)。例えば、図6に示した撮像画像200の中から、パネルアライメントマーク231が存在する可能性が高い範囲200aを、検出範囲とする。パネルアライメントマーク231が存在する可能性が高い範囲200aとは、つまり、表示パネル10とCOG20の接続の精度が高いパネルを撮影したとき、パネルアライメントマーク231がほぼ中央の位置になる範囲である。後述する他の範囲200b〜200dについても同様である。
【0043】
次に、COGアライメントマーク232を検出する範囲を設定する(ステップS25)。例えば、図6に示した撮像画像200の中から、COGアライメントマーク232が存在する可能性が高い範囲200bを、検出範囲とする。図6では、検出範囲200bは、パネルアライメントマーク231の検出範囲200aより若干狭めた範囲としてあるが、検出範囲200aと検出範囲200bは同じ範囲でもよい。
【0044】
そして、検出範囲200a内の画像からパネルアライメントマーク231を検出し、検出範囲200b内の画像からCOGアライメントマーク232を検出する処理を行う。例えば、図6の画像200に示すように、パネルアライメントマーク231の中心位置231aとCOGアライメントマーク232の中心位置232aを検出する。
そして、パネルアライメントマーク231の中心位置231aと、COGアライメントマーク232の中心位置232aとの水平方向(以下、水平方向を「X方向」と称する)の相対距離X0及び垂直方向(以下、垂直方向を「Y方向」と称する)の相対距離Y0を検出する。そして、検出した各相対距離X0、Y0を、検査装置が予め持つ基準値と比較して、接続部の精度を検出する。また、パネルアライメントマーク231とCOGアライメントマーク232の外形のX方向の相対距離X1及びY方向の相対距離Y1を検出して、同様に検査装置が予め持つ基準値と比較して、接続部の精度を検出してもよい。
なお、ステップS23でアライメントマークの検査が指定されていないと判断した場合には、ステップS24,S25の処理は実行しない。
【0045】
次に、ステップS22で指定した検査方法が端子の検査であるか否かを判断する(ステップS26)。ここで、端子の検査が指定されていると判断した場合には、現在の設定が、端子のX方向とY方向の検査を1つの検出範囲から共通で行う設定であるか否かを判断する(ステップS27)。
ここで、端子のX方向とY方向の検査を1つの検出範囲から共通で行う設定である場合には、1つの端子検出範囲を設定する(ステップS28)。例えば、図6に示した撮像画像200の中から、パネルリード211,212とパッド221,222が配置された範囲200cを、検出範囲とする。この範囲200cは、パネルリード211,212とパッド221,222との位置関係から、X方向とY方向の双方の検査が可能な範囲に設定する。
【0046】
そして、検出範囲200c内の画像から、パネルリード211,212とパッド221,222との位置関係をX方向とY方向で検出し、接続状態の検査に必要な評価値を得る。このパネルリード211,212とパッド221,222から検査を行う例の詳細については、後述する。
【0047】
また、ステップS27で、端子のX方向とY方向の検査を個別に行う設定であると判断した場合には、X方向の検出範囲を設定し(ステップS29)、続いて、Y方向の検出範囲を設定する(ステップS30)。例えば、図6に示した撮像画像200の中から、パネルリード211,212とパッド221,222が配置された範囲200cを、X方向の検出範囲とし、パネルリード218,219とパッド229,230が配置された範囲200dを、Y方向の検出範囲とする。
そして、検出範囲200c内の画像から、パネルリード211,212とパッド221,222との位置関係をX方向で検出し、検出範囲200d内の画像から、パネルリード218,219とパッド229,230との位置関係をY方向で検出し、接続状態の検査に必要な評価値を得る。この場合の検査例の詳細についても後述する。
なお、ステップS26で端子の検査が指定されていないと判断した場合には、ステップS27〜S30の処理は実行しない。
【0048】
ここまでの処理が終わると、1画像内の全ての測定箇所の検査が完了したか否かを判断し(ステップS31)、完了していない場合には、ステップS22に戻って、処理を繰り返す。ステップS31で全ての検査範囲の検査が終了したと判断した場合には、撮影した画像200による検査を終了し、別の検査位置の撮影に移る。
【0049】
[1−4.具体的な検出例(例1)]
図7は、検出範囲200c内の画像から、パネルリード211,212とパッド221,222との位置関係をX方向とY方向で検出する例を示したものである。
まず、図7(a)に示す1枚の撮影画像200から、図7(b)に示す検出範囲200cの画像を抽出する。そして、この検出範囲200cの画像から、図7(c)に示すように、X方向の輝度値の変化を検出し、図7(d)に示すように、Y方向の輝度値の変化を検出する。
【0050】
検出範囲200cの画像には、図7(b)に示すように、パネルリード211とパッド221とが重なる箇所211aがあり、また、パネルリード212とパッド222とが重なる箇所212aがある。
このパネルリード211,212とパッド221,222とが重なる箇所211a,212aは、図7(c),(d)に示すような輝度値の変化が現れる箇所である。すなわち、パネルリード211,212に相当する輝度値V2から、パッド221,222に相当する輝度値V1に変化する箇所である。ここで、パネルリードとパッドとが重なる箇所の境界は、エッジにパネルリードの輝度値とパッドの輝度値の中間もしくは両者の輝度値とは違った輝度値が生じることがある。なお、輝度値V2は、図4のフローチャートで設定した範囲A内の輝度値であり、輝度値V1は、図4のフローチャートで設定した範囲B内の輝度値である。また、輝度値V2よりも低い輝度値の箇所は、パネルのガラス面に相当する。
【0051】
その上で、その輝度値V2から輝度値V1に変化する点を始点として、輝度値V1が連続する長さを、検査用の評価値とする。具体的には、図7(c)に示すように、輝度値V1がX方向に連続する長さX2を、X方向の評価値とする。
また、図7(d)に示すように、輝度値V2から輝度値V1に変化する点を始点として、輝度値V1がY方向に連続する長さY2を、Y方向の評価値とする。
そして、それぞれの方向の評価値を、予め検査装置が保持している基準値と比較して、接続部の接続状態のずれ量を検出する。
【0052】
[1−5.具体的な検出例(例2)]
図7の例は、X方向とY方向を1つの検出範囲200c内の画像から検出した例としたが、図6のフローチャートのステップS29,S30に示すように、検出範囲200cからはX方向の評価値だけを得て、別の検出範囲200d内の画像からY方向の評価値を得るようにしてもよい。
図8は、検出範囲200d内の画像からY方向の評価値を得る例である。
まず、図8(a)に示す1枚の撮影画像200から、図8(b)に示す検出範囲200dの画像を抽出する。そして、この検出範囲200dの画像から、図8(c)に示すように、Y方向の輝度値の変化を検出する。
【0053】
検出範囲200dの画像には、図8(b)に示すように、パネルリード218とパッド229とが重なる箇所218aがあり、また、パネルリード219とパッド230とが重なる箇所219aがある。
このパネルリード218,219とパッド229,230とが重なる箇所218a,219aは、図8(c)に示す輝度値の変化として、パネルリード218,219に相当する輝度値V2から、パッド229,230に相当する輝度値V1に変化する箇所であり、該当する輝度値の変化から検出する。
【0054】
その上で、その輝度値V2から輝度値V1に変化する点を始点として、Y方向に輝度値V1が連続する長さY3を、Y方向の評価値とする。X方向の評価値については、図7(c)に示した長さX2をそのまま使用する。
そして、それぞれの方向の評価値を、予め検査装置が保持している基準値と比較して、接続部の接続状態のずれ量を検出する。
【0055】
このように本例の検査装置によると、表示パネル10と電子部品(COG20)との接続部の状態が、電極(パネルリード,パッド)の重なり状態を示す評価値から検出できるので、接続部の接続状態の検査を良好に行うことができる。特に、アライメントマークの検査とは独立して検査を行うので、例えばアライメントマークの検出が困難な状況でも、良好に検出でき、検査に成功する可能性が向上する。
【0056】
[2.2値化して検出する例(例1)]
図7,図8の例では、範囲Bの輝度値V1と、範囲Aの輝度値V2の検出から、ずれ量を示す評価値を得る処理を行ったが、カメラ103で撮影した1つの画像の輝度値を2値化して、その2値化した画像から、ずれ量を示す評価値を得るようにしてもよい。
例えば図9(a)に示した撮影画像200の範囲200cから検出する場合に、図9(b)に示す範囲200cの画像から、図9(c)に示す2値化した画像200c′を得る。この例では、パッド221,222が配置された箇所と、それ以外の箇所とで区別した2値化画像200c′となっている。
【0057】
そして、図9(c)に示す2値された画像200c′から、図9(d)に示すように、X方向のパッド221の長さX2を検出し、図9(e)に示すように、Y方向のパッド221の長さY2を検出する。なお、図9の例では、輝度値からはパッド221,222とパネルリード211,212とが重なる箇所211a,212aを検出することはできない。しかしながら、検出範囲200c内のパッドとパネルリードとが重なる箇所211a,212aは、図形的に特徴がある形状のため、その特徴部分の画像を認識処理することにより検出することが可能である。
また、カメラ103で撮影した元の画像が、図4で説明したように2回の撮影で得た画像である場合には、それぞれの画像からパッドの箇所とパネルリードの箇所を区別できるので、同様にパッドとパネルリードとが接する箇所211a,212aを検出することができる。
【0058】
また、例えば、図9と同様の処理で図10(a)〜図10(c)に示すように画像200c′を取得した場合に、その図10(c)の画像200c′のパッド221,222が配置された箇所の形状に対して、画素に平行な外接する矩形221a、222aを作成する。そして、検出した矩形221a,222aとパッド221,222が配置された箇所の位置の差分を下記に示す数1式及び数2式で算出して、パッドとリードが重なる箇所211a,212aを検出できる。
(数1)Xg=Xb−X2
(数2)Yg=Yb−Y2
数1式のXgはパッドとリードがX方向に重なる箇所の長さ、Xbはパッドが配置された箇所の形状に外接する矩形のX方向の長さを表す。
数2式のYgはパッドとリードがY方向に重なる箇所の長さ、Ybはパッドが配置された箇所の形状に外接する矩形のY方向の長さを表す。
これらのパッドが配置された箇所の形状に外接する矩形のX方向の長さXbおよびY方向の長さYbは、図10(c)の画像200′から検出したとき、図10(d)に示す状態である。
【0059】
[3.2値化して検出する例(例2)]
図11は、撮影画像200の検出範囲200dを2値化して、Y方向の評価値を検出する例である。
すなわち、図11(a)に示した撮影画像200から、図11(b)に示す検出範囲200dの画像を取り出し、その検出範囲200dの画像から、図11(c)に示す2値化した画像200d′を得る。この例では、パッド229,230が配置された箇所と、それ以外の箇所とで区別した2値化画像200d′となっている。
そして、図11(c)に示す2値化された画像200d′から、図11(d)に示すように、Y方向のパッド230の長さY3を検出する。この図11の例の場合には、Y方向にパッドの輝度値が連続する箇所を取り出すことで、どの位置で検出しても、同じ値Y2を検出できる。
【0060】
[4.検査方法を自動選択する例]
図6のフローチャートに示した検査処理例では、ステップS22で検査方法の指定を行うようにしている。これに対して、例えばアライメントマークでずれ量の検出ができない場合に、端子位置の検出でずれ量の検出を行うようにしてもよい。
例えば図12に示すように、ステップS21で撮影及び表示を行った後、撮影画像200から、パネルアライメントマーク231を検出する範囲を設定する(ステップS24)。その後、COGアライメントマーク232を検出する範囲を設定する(ステップS25)。
【0061】
そして、それぞれのアライメントマーク231,232の検出で、ずれ量の検出が行えたか否かを判断する(ステップS32)。ここで検出が行えない場合とは、画像中のアライメントマーク231又は232が不鮮明な場合に相当する。ステップS32で、ずれ量の検出が行えた場合には、検査処理を終了する。
そして、ステップS32でずれ量の検出ができないと判断した場合には、図6のフローチャートで説明したステップS27〜S30の端子検出処理を行う。この図12のフローチャートに示した検出処理を行うことで、アライメントマークから適正な検査ができない場合に、端子の検出処理からずれ量の検出処理が行われ、自動的に適正な検出処理が行われる。
【0062】
[5.検査装置の照明部が1つの例]
図1に示した検査装置では、同軸落射照明部104と斜方照明部105の双方を備えた検査装置としたが、いずれか一方の照明部だけを備えた検査装置としてもよい。
例えば、図13に示すように、光源104aとレンズ104bからなる同軸落射照明部104を設け、同軸落射照明部104から照明した状態で、カメラ103で1回撮影した画像から検査を行う構成としてもよい。図13の検査装置の他の部分は、図1の検査装置と同様の構成である。
【0063】
[6.その他の変形例]
以上説明した実施の形態例の検査装置では、液晶表示パネルに接続される電子部品と、液晶表示パネルとの接続部の接続位置のずれを検査する装置として説明したが、フレキシブル配線基板で構成されたCOFなどの電子部品搭載基板と、液晶表示パネルとの接続部の接続位置のずれを検査する装置に適用してもよい。
また、各実施の形態例の検査装置では、液晶表示パネルを組み立てる際の検査装置としたが、液晶表示パネル以外の各種表示パネル(有機EL表示パネルなど)と電子部品又は電子部品搭載基板との接続部の検査を行う検査装置にも適用することができる。
また、図2の例では、表示パネルの組み立てラインに検査装置を配置して、組み立て時に検査を行う例を示したが、組立ラインとは異なる場所で、表示パネルと電子部品又は電子部品搭載基板の接続部の検査を行う検査装置に適用してもよい。
また、図1や図13に示した検査装置の構成は、一例を示したものであり、本発明は図示のものに限定されるものではない。
また、上述した実施の形態例では、アライメントマークとして、位置検出用に部品などに設けたアライメントマークを使用したが、電極部の一部を、位置検出に使用できる形状として、その電極部をアライメントマークとして使用してもよい。
【0064】
また、図1に示した構成で照明を行う場合には、3つの照明処理があると説明した。この3つの照明処理の内で、同軸落射照明部104による照明と、斜方照明部105による照明を個別に行って、2回の撮像を行って2つの画像を得る場合には、その2つの画像を合成せずに、それぞれの画像から個別に位置検出を行うようにしてもよい。すなわち、個別に検出した位置を、画像解析部内にて同一座標系において、相対位置を算出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10…液晶表示パネル、11…パネルリード、20…電子部品(COG)、21…パッド、30…異方性導電フィルム(ACF)、40…組み立てライン、101…レンズ、102…ハーフミラー部、103…カメラ、104…同軸落射照明部、104a…光源、105…斜方照明部、105a…光源、111…制御部、112…画像解析部、113…出力部、114…パネル搬送部、211〜219…パネルリード、221〜230…パッド、231…パネルアライメントマーク、232…COGアライメントマーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査対象となる表示パネルと電子部品又は電子部品搭載基板との接続部を、前記表示パネルの面に対してレンズの光軸をほぼ直交させた配置として撮影する撮影部と、
前記接続部に照明光を投射する照明部と、
前記照明部からの照明光を投射させた状態で、前記撮影部で撮影して得た画像の第1の検出範囲内の輝度を検出し、検出した輝度値が第1の輝度値の箇所を、前記電子部品又は電子部品搭載基板の電極部と判別し、検出した輝度値が第2の輝度値の箇所を、前記表示パネルの電極部と判別し、前記第1の輝度値の箇所と前記第2の輝度値の箇所との中間の点から、前記第1の輝度値または前記第2の輝度値が連続する長さを、前記接続部の接続ずれ量の第1の評価値とする画像処理部と、
を備えた表示パネル検査装置。
【請求項2】
前記第1の検出範囲として、画像中の水平方向の前記第1の評価値を得るための検出範囲と、画像中の垂直方向の前記第1の評価値を得るための検出範囲を、個別に設定した
請求項1記載の表示パネル検査装置。
【請求項3】
前記照明部として、前記光軸と同じ方向から前記接続部に照明光を投射する第1の照明部と、前記光軸と所定の角度を持った方向から前記接続部に照明光を投射する第2の照明部とを備え、
前記第1の照明部からの照明光と前記第2の照明部からの照明光とを投射させて、前記撮影部で撮影を行う
請求項1記載の表示パネル検査装置。
【請求項4】
前記第1の照明部からの照明光を投射させた状態で、前記撮影部により第1の撮影を行い、前記第1の照明部からの照明光を投射させたタイミングとは異なるタイミングで、前記第2の照明部からの照明光を投射させた状態で、前記撮影部により第2の撮影を行い、
前記画像処理部は、前記第1の撮影で得た第1の画像から前記第1の輝度値の箇所を検出し、前記第2の撮影で得た第2の画像から前記第2の輝度値の箇所を検出し、前記第1の輝度値または前記第2の輝度値が連続する長さを前記第1の評価値とする
請求項3記載の表示パネル検査装置。
【請求項5】
前記第1の照明部からの第1の色の照明光を投射させ、前記第2の照明部からの第2の色の照明光を投射させた状態で、前記撮影部により撮影を行い、
前記画像処理部は、前記撮影で得た画像中の第1の色の成分から前記第1の輝度値の箇所を検出し、前記撮影で得た画像中の第2の色の成分から前記第2の輝度値の箇所を検出し、前記第1の輝度値または前記第2の輝度値が連続する長さを前記第1の評価値とする
請求項3記載の表示パネル検査装置。
【請求項6】
前記画像処理部は、前記撮影部で撮影して得た画像中の前記第1の検出範囲から、前記第1の評価値を得、
前記撮影部で撮影して得た画像中の前記第1の検出範囲とは異なる第2の検出範囲から、前記電子部品又は電子部品搭載基板の表面に設けられたマークと、前記表示パネルの面に設けられたマークとを検出し、前記電子部品または電子部品搭載基板の表面に設けられたマークと前記表示パネルの面に設けられたマークとの位置の差から、前記接続部の接続ずれ量の第2の評価値を得る
請求項1記載の表示パネル検査装置。
【請求項7】
被検査対象となる表示パネルと電子部品又は電子部品搭載基板との接続部を、前記表示パネルの面に対してレンズの光軸をほぼ直交させた配置として、照明光を投射させて撮影するステップと、
撮影して得た画像の第1の検出範囲内の輝度を検出するステップと、
検出した輝度値が第1の輝度値の箇所を、前記電子部品又は電子部品搭載基板の電極部と判別し、検出した輝度値が第2の輝度値の箇所を、表示パネルの電極部と判別し、前記第1の輝度値の箇所と前記第2の輝度値の箇所との中間の点から、前記第1の輝度値または前記第2の輝度値が連続する長さを、前記接続部の接続ずれ量の第1の評価値とするステップと、
を含む表示パネル検査方法。
【請求項8】
前記第1の検出範囲として、画像中の水平方向の前記第1の評価値を得るための検出範囲と、画像中の垂直方向の前記第1の評価値を得るための検出範囲を、個別に設定した
請求項7記載の表示パネル検査方法。
【請求項9】
撮影して得た画像中の前記第1の検出範囲から、前記第1の評価値を得、
撮影して得た画像中の前記第1の検出範囲とは異なる第2の検出範囲から、前記電子部品又は電子部品搭載基板の表面に設けられたマークと、前記表示パネルの面に設けられたマークとを検出し、前記電子部品または電子部品搭載基板の表面に設けられたマークと前記表示パネルの面に設けられたマークとの位置の差から、前記接続部の接続ずれ量の第2の評価値を得る
請求項7記載の表示パネル検査方法。
【請求項1】
被検査対象となる表示パネルと電子部品又は電子部品搭載基板との接続部を、前記表示パネルの面に対してレンズの光軸をほぼ直交させた配置として撮影する撮影部と、
前記接続部に照明光を投射する照明部と、
前記照明部からの照明光を投射させた状態で、前記撮影部で撮影して得た画像の第1の検出範囲内の輝度を検出し、検出した輝度値が第1の輝度値の箇所を、前記電子部品又は電子部品搭載基板の電極部と判別し、検出した輝度値が第2の輝度値の箇所を、前記表示パネルの電極部と判別し、前記第1の輝度値の箇所と前記第2の輝度値の箇所との中間の点から、前記第1の輝度値または前記第2の輝度値が連続する長さを、前記接続部の接続ずれ量の第1の評価値とする画像処理部と、
を備えた表示パネル検査装置。
【請求項2】
前記第1の検出範囲として、画像中の水平方向の前記第1の評価値を得るための検出範囲と、画像中の垂直方向の前記第1の評価値を得るための検出範囲を、個別に設定した
請求項1記載の表示パネル検査装置。
【請求項3】
前記照明部として、前記光軸と同じ方向から前記接続部に照明光を投射する第1の照明部と、前記光軸と所定の角度を持った方向から前記接続部に照明光を投射する第2の照明部とを備え、
前記第1の照明部からの照明光と前記第2の照明部からの照明光とを投射させて、前記撮影部で撮影を行う
請求項1記載の表示パネル検査装置。
【請求項4】
前記第1の照明部からの照明光を投射させた状態で、前記撮影部により第1の撮影を行い、前記第1の照明部からの照明光を投射させたタイミングとは異なるタイミングで、前記第2の照明部からの照明光を投射させた状態で、前記撮影部により第2の撮影を行い、
前記画像処理部は、前記第1の撮影で得た第1の画像から前記第1の輝度値の箇所を検出し、前記第2の撮影で得た第2の画像から前記第2の輝度値の箇所を検出し、前記第1の輝度値または前記第2の輝度値が連続する長さを前記第1の評価値とする
請求項3記載の表示パネル検査装置。
【請求項5】
前記第1の照明部からの第1の色の照明光を投射させ、前記第2の照明部からの第2の色の照明光を投射させた状態で、前記撮影部により撮影を行い、
前記画像処理部は、前記撮影で得た画像中の第1の色の成分から前記第1の輝度値の箇所を検出し、前記撮影で得た画像中の第2の色の成分から前記第2の輝度値の箇所を検出し、前記第1の輝度値または前記第2の輝度値が連続する長さを前記第1の評価値とする
請求項3記載の表示パネル検査装置。
【請求項6】
前記画像処理部は、前記撮影部で撮影して得た画像中の前記第1の検出範囲から、前記第1の評価値を得、
前記撮影部で撮影して得た画像中の前記第1の検出範囲とは異なる第2の検出範囲から、前記電子部品又は電子部品搭載基板の表面に設けられたマークと、前記表示パネルの面に設けられたマークとを検出し、前記電子部品または電子部品搭載基板の表面に設けられたマークと前記表示パネルの面に設けられたマークとの位置の差から、前記接続部の接続ずれ量の第2の評価値を得る
請求項1記載の表示パネル検査装置。
【請求項7】
被検査対象となる表示パネルと電子部品又は電子部品搭載基板との接続部を、前記表示パネルの面に対してレンズの光軸をほぼ直交させた配置として、照明光を投射させて撮影するステップと、
撮影して得た画像の第1の検出範囲内の輝度を検出するステップと、
検出した輝度値が第1の輝度値の箇所を、前記電子部品又は電子部品搭載基板の電極部と判別し、検出した輝度値が第2の輝度値の箇所を、表示パネルの電極部と判別し、前記第1の輝度値の箇所と前記第2の輝度値の箇所との中間の点から、前記第1の輝度値または前記第2の輝度値が連続する長さを、前記接続部の接続ずれ量の第1の評価値とするステップと、
を含む表示パネル検査方法。
【請求項8】
前記第1の検出範囲として、画像中の水平方向の前記第1の評価値を得るための検出範囲と、画像中の垂直方向の前記第1の評価値を得るための検出範囲を、個別に設定した
請求項7記載の表示パネル検査方法。
【請求項9】
撮影して得た画像中の前記第1の検出範囲から、前記第1の評価値を得、
撮影して得た画像中の前記第1の検出範囲とは異なる第2の検出範囲から、前記電子部品又は電子部品搭載基板の表面に設けられたマークと、前記表示パネルの面に設けられたマークとを検出し、前記電子部品または電子部品搭載基板の表面に設けられたマークと前記表示パネルの面に設けられたマークとの位置の差から、前記接続部の接続ずれ量の第2の評価値を得る
請求項7記載の表示パネル検査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−15328(P2013−15328A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146453(P2011−146453)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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