表示ユニットおよび映像表示装置
【課題】複数の発光画素が配置された表示ユニットにおいて、表示ユニットを複数配置した際に表示ユニット間における線状のノイズを目立たなくし、線状のノイズを低減することを目的とする。
【解決手段】複数の発光画素4がX方向及びY方向の2次元に配置され、X方向に隣接する2個の発光画素4は、発光画素中心のY方向における座標が互いに異なるとともに、Y方向に隣接する2個の発光画素4は、発光画素中心のX方向における座標が互いに異なり、X方向及びY方向のそれぞれにおいて、表示ユニット1の外周13とこの外周13に近接する2個の発光画素4とのそれぞれの長さm、k、p、qの和であるX方向端長(m+k)及びY方向端長(p+q)が、表示ユニット1の基準ピッチの2倍以下である。
【解決手段】複数の発光画素4がX方向及びY方向の2次元に配置され、X方向に隣接する2個の発光画素4は、発光画素中心のY方向における座標が互いに異なるとともに、Y方向に隣接する2個の発光画素4は、発光画素中心のX方向における座標が互いに異なり、X方向及びY方向のそれぞれにおいて、表示ユニット1の外周13とこの外周13に近接する2個の発光画素4とのそれぞれの長さm、k、p、qの和であるX方向端長(m+k)及びY方向端長(p+q)が、表示ユニット1の基準ピッチの2倍以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は映像表示装置に関し、特に映像表示装置を構成する表示ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、発光ダイオード等の発光表示素子(単に発光素子とも称す)を用いた大型の映像表示装置は、特開平2−304843号公報の図8に示すように、基板上にマトリクス状に配置された多数の発光素子からなる表示ユニットを複数個組み合わせて構成されていた。このとき、隣接する表示ユニットは、その最も外側の素子間の距離が、表示ユニット内の発光素子ピッチに等しくなるように配置されることで、表示ユニット間の継ぎ目を目立たないようにしていた。しかしながら、一般に複数の表示ユニットを用いた大型の映像表示装置は、表示ユニットの継ぎ目部分で発光素子間隔が不均一になりやすく、この部分で発光素子間隔が近いと明るく、離れると暗くなるために発生する線状のノイズが見える問題があった。
【0003】
隣接する表示ユニット間における発光素子間隔が、表示ユニット内の発光素子間隔と等しくなるように表示ユニットを精度よく並べれば、上記の問題である線状のノイズを抑えることができる。そこで、特開平2−304843号公報の図3に示すように、表示ユニット内の4画素を1組として、隣接する組間の組間距離をその組内の画素間距離より長くし、隣接する表示ユニットの発光素子間の距離を長くした組間距離と等しくなるように並べることで、表示ユニットの配置を高精度に並べやすくなるようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−304843号公報(図3、図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の大型の映像表示装置は、デバイスの進展にともない、高画質化、高解像度化、狭ピッチ化が要求される近年においては、全ての隣接する表示ユニットの発光素子間の距離をある一定の距離に保つことが困難となり、設置条件等によりその距離がばらつくと隣接する表示ユニット間に線状のノイズが発生するという問題があった。
【0006】
この発明は、複数の発光画素が配置された表示ユニットにおいて、表示ユニットを複数配置した際に表示ユニット間における線状のノイズを目立たなくし、線状のノイズを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る表示ユニットは複数の発光画素がX方向及びY方向の2次元に配置され、X方向に隣接する2個の発光画素は、発光画素中心のY方向における座標が互いに異なるとともに、Y方向に隣接する2個の発光画素は、発光画素中心のX方向における座標が互いに異なり、X方向及びY方向のそれぞれにおいて、表示ユニットの外周とこの外周に近接する2個の発光画素とのそれぞれの長さの和が、表示ユニットの基準ピッチの2倍以下である。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る表示ユニットは、表示ユニット間における線状のノイズを目立たなくし
、線状のノイズを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1における映像表示装置を示す図である。
【図2】図1の表示ユニットを示す図である。
【図3】図1の表示ユニットの組み合わせを示す図である。
【図4】図1の表示ユニットにおける垂直方向の境界長を示す図である。
【図5】図1の表示ユニットにおける水平方向の境界長を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態2における映像表示装置を示す図である。
【図7】図6の表示ユニットを示す図である。
【図8】この発明の実施の形態3における発光画素配置を説明する図である。
【図9】この発明の実施の形態3における表示マトリクスを示す図である。
【図10】この発明の実施の形態3における他の表示マトリクスを示す図である。
【図11】この発明の実施の形態3における表示ユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における映像表示装置を示す図であり、図2は表示ユニットを示す図である。映像表示装置30は複数の表示ユニット1が配置されて、映像表示装置30の表示面を構成する。表示ユニット1は4行4列マトリクスに配列された16個の発光画素4を有している。表示ユニット1の発光画素4の中心dの位置は、それぞれマトリクスX軸2a、2b、2c、2dとマトリクスY軸3a、3b、3c、3dとの交点を中心とする半径a/2の配置円12内の偏りのない適当な位置に配置する。ここでマトリクスX軸2及びマトリクスY軸3のピッチaは表示ユニット1の基準ピッチである。言い換えれば、基準ピッチは、発光画素4のそれぞれが配置される同一直径の配置円12を複数個接して配置した場合における配置円12の直径である。
【0011】
このようにすることで、表示ユニット1の発光画素4におけるX方向である水平方向の隣接画素間長bx及びY方向である垂直方向の隣接画素間長byは、それぞれ0<bx≦2a、0<by≦2aの範囲でランダムに配置することができる。また発光画素4を配置円12内にばらばらに配置することで、発光画素4を0より大きく2a以下の範囲でのランダム配置が容易に実現することができる。なお表示ユニット1の外周13は、外側に位置する12個の配置円12に接した四角形である。
【0012】
表示ユニット1における発光画素4の隣接画素間長bの平均値bbについて説明する。まず水平方向の隣接画素間長bxの平均値bbxを考える。水平方向の隣接画素間長bxは、各行に4個の発光画素4があるので、各行ごとに3個ある。4個の発光画素4の内側の2個は水平方向の座標が変化しても、一方が増えれば他方が減るので平均値に影響はしない。そこで、内側の2個がマトリクスY軸3b、3cにある場合を考える。水平方向の隣接画素間長bxの平均値bbxが最大になるのは、外側の2個の発光画素4が外周13に位置する場合であり、この場合の平均値は(1.5a+a+1.5a)/3=4a/3となる。水平方向の隣接画素間長bxの平均値bbxが最小になるのは、外側の2個の発光画素4が表示ユニット1の内側に位置する場合であり、この場合の平均値は(0.5a+a+0.5a)/3=2a/3となる。したがって、水平方向の隣接画素間長bxの平均値bbxは、2a/3≦bbx≦4a/3となる。
【0013】
垂直方向の隣接画素間長byの平均値bbyも、水平方向の隣接画素間長bxの平均値bbxと同様に考えることができるので、垂直方向の隣接画素間長byの平均値bbyは、2a/3≦bby≦4a/3となる。表示ユニット1における発光画素4の隣接画素間長の平均値bbは、水平方向の隣接画素間長bxの平均値bbxと垂直方向の隣接画素間長byの平均値bbyの平均値なので、隣接画素間長bの平均値bbは2a/3≦bb≦4a/3となる。
【0014】
図3は、図1の表示ユニット1の組み合わせを示す図である。表示ユニット1a、1b、1c、1dは、発光画素4の配置が同一のものである。水平方向において、表示ユニット1aの外周13に隣接する発光画素4は、隣接する表示ユニット1bにおける外周13に隣接する発光画素4に対して、水平方向の隣接画素間長txがそれぞれtx1、tx2、tx3、tx4で配置される。水平方向の隣接画素間長tx1、tx2、tx3、tx4はそれぞれ0より大きく2a以下である。また、垂直方向において、表示ユニット1aの外周13に隣接する発光画素4は、隣接する表示ユニット1cにおける外周13に隣接する発光画素4に対して、垂直方向の隣接画素間長tyがそれぞれty1、ty2、ty3、ty4で配置される。垂直方向の隣接画素間長ty1、ty2、ty3、ty4はそれぞれ0より大きく2a以下である。
【0015】
表示ユニット1aの水平方向において、表示ユニット1aの外周13に隣接する2個の発光画素4と外周13との長さである境界長p、qとの和である水平方向端長(X方向端長)は、基準ピッチaの2倍以下である。また、表示ユニット1aの垂直方向において、表示ユニット1aの外周13に隣接する2個の発光画素4と外周13との長さである境界長m、kとの和である垂直方向端長(Y方向端長)は、基準ピッチaの2倍以下である。図3では境界長k、m、p、qは表示ユニット1aの一部の発光画素4について示したが、図4、図5に表示ユニット1aの外周13側の発光画素4についてそれぞれ示した。図4は表示ユニットにおける垂直方向の境界長を示す図であり、図5は表示ユニットにおける水平方向の境界長を示す図である。
【0016】
このような表示ユニット1を互いに接して配置する。表示ユニット1内において、各発光画素4は隣接する発光画素4の水平方向の隣接画素間長bx及び垂直方向の隣接画素間長byがそれぞれ0<bx≦2a、0<by≦2aの範囲でランダムである。さらに、隣接する表示ユニット1間において、外周13を挟んで隣接する2個の発光画素4は水平方向の隣接画素間長txn及び垂直方向の隣接画素間長tynもそれぞれ0<txn≦2a、0<tyn≦2a(nは1から4までの整数)の範囲でランダムである。このように互いに接して配置することで、隣接する表示ユニット1間の水平方向及び垂直方向の隣接画素間長txn、tynのばらつきは、表示ユニット1内の水平方向及び垂直方向の隣接画素間長bx、byのばらつき範囲内にすることができる。したがって表示ユニット1を接して配置することで、容易に表示ユニット間における線状のノイズを目立たなくし、線状のノイズを低減することができる。
【0017】
さらに、隣接する表示ユニット1間において、外周13を挟んで隣接する2個の発光画素4は水平方向の隣接画素間長txn及び垂直方向の隣接画素間長tynをそれぞれ0<txn≦2bbx、0<tyn≦2bby(nは1から4までの整数)の範囲でランダムに配置するように発光画素4の配置を選択する。このような表示ユニット1を互いに接して配置し、水平方向の隣接画素間長txnを平均値bbxの2倍以下にし、垂直方向の隣接画素間長tynを平均値bbyの2倍以下することで、隣接する表示ユニット1間における水平方向及び垂直方向の隣接画素間長txn、tynのばらつきは、表示ユニット1内の水平方向及び垂直方向の隣接画素間長bx、byの平均値bbx、bbyのばらつき範囲内にすることができる。水平方向及び垂直方向の隣接画素間長bx、byの平均値bbx、bbyは外周13に近接した発光画素4の配置に大きく依存するので、水平方向の隣接画素間長txn及び垂直方向の隣接画素間長tynのばらつきを表示ユニット1内の水平方向及び垂直方向の隣接画素間長bx、byの平均値bbx、bbyのばらつき範囲内にすることで、さらに画質を向上させることができる。
【0018】
実施の形態1の映像表示装置30は、複数配置する表示ユニットの外周を若干小さく作っておき、表示ユニットの配置後に、表示ユニット内の隣接する表示ユニット間の水平方向及び垂直方向の隣接画素間長がずれた場所にスペーサーを挿入して調整していた従来の映像表示装置とは異なり、外周13が配置円12に接した四角形で構成した表示ユニット1をそれぞれ接して配置することで、隣接する表示ユニット1間の水平方向の隣接画素間長txn及び垂直方向の隣接画素間長tynのばらつきを、表示ユニット1内の発光画素4の隣接画素間長bのばらつきに吸収されるようにすることができる。したがって容易に表示ユニット間における線状のノイズを目立たなくし、線状のノイズを低減することができる。さらに、水平方向の隣接画素間長txn及び垂直方向の隣接画素間長tynのばらつきを、表示ユニット1内の水平方向及び垂直方向の隣接画素間長bx、byの平均値bbx、bbyのばらつき範囲内にすることで、さらに画質を向上させることができる。
【0019】
次に隣接する表示ユニット1間の水平方向及び垂直方向の隣接画素間長tx1乃至tx4及びty1乃至ty4を基準ピッチaと等しくした例について説明する。水平方向端長及び垂直方向端長は基準ピッチaと等しい。隣接する表示ユニット1が設置条件等により、わずかなばらつきが発生する場合を考える。ばらつき長さを±cとすると、隣接する表示ユニット1間の発光画素4の隣接画素間長はa±cの範囲でばらつくことになる。表示ユニット1内において、各発光画素4は隣接する発光画素4の水平方向の隣接画素間長bx及び垂直方向の隣接画素間長byがそれぞれ0<bx≦2a、0<by≦2aの範囲でランダムである。さらに、隣接する表示ユニット1間において、外周13を挟んで隣接する2個の発光画素4は水平方向の隣接画素間長tx1乃至tx4、及び垂直方向の隣接画素間長ty1乃至ty4がそれぞれ基準ピッチaに等しい。ここでばらつき長さcの範囲は、0≦c≦aである。このようにすることで、隣接する表示ユニット1間の発光画素4の隣接画素間長tx1乃至tx4及びty1乃至ty4のばらつきが、表示ユニット1内の発光画素4の水平方向の隣接画素間長bx及び垂直方向の隣接画素間長byのばらつき範囲以下になり、すなわち表示ユニット1内の発光画素4の隣接画素間長bのばらつきに吸収される。したがって表示ユニット1の外周部分で発生しやすい線状のノイズを抑制することができる。
【0020】
さらに、cの範囲を0≦c≦a/3にすることで、a+c≦4a/3にすることができ、隣接する表示ユニット1間の発光画素4の隣接画素間長tx1乃至tx4及びty1乃至ty4のばらつきが、表示ユニット1内の発光画素4の水平方向の隣接画素間長bx及び垂直方向の隣接画素間長byの平均値bbx、bbyのばらつき範囲内になるので、さらに画質を向上させることができる。
【0021】
以上のように実施の形態1の表示ユニット1によれば、水平方向に隣接する2個の発光画素4は、発光画素中心の垂直方向における座標が互いに異なるとともに、垂直方向に隣接する2個の発光画素4は、発光画素中心の水平方向における座標が互いに異なり、水平方向及び垂直方向のそれぞれにおいて、表示ユニット1の外周13とこの外周13に近接する2個の発光画素4とのそれぞれの長さの和は、表示ユニット1の基準ピッチの2倍以下であるので、表示ユニット間における線状のノイズを目立たなくし、線状のノイズを低減することができる。
【0022】
実施の形態1の映像表示装置30によれば、複数配列した表示ユニットが、水平方向に隣接する2個の発光画素4は、発光画素中心の垂直方向における座標が互いに異なるとともに、垂直方向に隣接する2個の発光画素4は、発光画素中心の水平方向における座標が互いに異なり、水平方向及び垂直方向のそれぞれにおいて、表示ユニット1の外周13とこの外周13に近接する2個の発光画素4とのそれぞれの長さの和は、表示ユニット1の基準ピッチの2倍以下であるので、表示ユニット間における線状のノイズを目立たなくし、線状のノイズを低減することができる。
【0023】
なお、複数の表示ユニット1を組み合わせた例として発光画素4の配置が同一のもので説明したが、複数の表示ユニット1は同一の基準ピッチを有するものであれば、発光画素4の配置が異なるものであってもよい。隣接する表示ユニット1間において、発光画素4の隣接画素間長bの平均値bbが異なる場合は、水平方向及び垂直方向において、隣接する表示ユニット1間の隣接画素間長bbxの平均値bbx及び隣接画素間長bbyの平均値bbyのそれぞれの最小値を適用すればよい。表示ユニット1の発光画素4の配置パターンの数が多い場合には、例えば表示ユニット1の外周側の発光画素4の配置パターンを同一にして、外周側以外である内部の発光画素4の配置パターンを異なるようにしてもよい。このようにすると、映像表示装置30に適用する際に、発光画素4の配置パターンが異なる表示ユニット1を容易に設計することができる。
【0024】
実施の形態2.
実施の形態1では、表示ユニット1として発光画素4が比較的少ない画素数の4行4列マトリクスに配置された例で説明したが、実施の形態2では数が多い発光画素4をランダムに配置した表示ユニット及び映像表示装置について説明する。
【0025】
図6はこの発明の実施の形態2における映像表示装置30を示す図であり、図7は図6の表示ユニット5を示す図である。映像表示装置30は複数の表示ユニット5が配置されて、映像表示装置30の表示面を構成する。表示ユニット5は複数の4行4列の基準マトリクス11を有している。図7には、第1行目にn個の基準マトリクス11aa乃至11anが配置され、第2行目にn個の基準マトリクス11ba乃至11bnが配置され、第n行目にn個の基準マトリクス11na乃至11nnが配置されている。基準マトリクス11は、例えば実施の形態1で示した発光画素4がランダム配置された表示ユニット1の4行4列マトリクスを用いる。
【0026】
発光画素4がランダム配置された基準マトリクス11を複数配置して画素数の多い表示ユニット5を構成するので、多数の発光画素4をランダムに配置した表示ユニット5を容易に実現することができる。
【0027】
実施の形態2の表示ユニット5は、その基準マトリクス11がそれぞれ実施の形態1の効果を有するので、隣接する表示ユニット5間の発光画素4の隣接画素間長tx、tyのばらつきが、表示ユニット5内の発光画素4の隣接画素間長bx、byのばらつきに吸収され、表示ユニット5の外周部分で発生しやすい線状のノイズを抑制することができる。したがって、表示ユニット5間における線状のノイズを目立たなくし、線状のノイズを低減することができる。
【0028】
実施の形態2の映像表示装置30は、複数配列した表示ユニット5が外周部分で発生しやすい線状のノイズを抑制するので、表示ユニット5間における線状のノイズを目立たなくし、線状のノイズを低減することができる。
【0029】
実施の形態3.
実施の形態1及び実施の形態2ではそれぞれの発光画素4の配置領域が広いランダム配置の例を説明したが、実施の形態3では、それぞれの発光画素4の配置領域を狭くすることで発光画素4の偏りを容易に低減できるランダム配置を有する表示ユニットについて説明する。
【0030】
図8はこの発明の実施の形態3における発光画素配置を説明する図である。図8において、マトリクスX軸2a、2b、2c、2dとマトリクスY軸3a、3b、3c、3dとの交点dを中心とする一辺の長さがeである配置正方形6を考える。この配置正方形6の
頂点を、それぞれf、g、h、iとする。発光画素4は、その中心が配置正方形6の頂点f、g、h、iのいずれかに一致するように配置する。このように配置した例を図9及び図10に示す。
【0031】
図9はこの発明の実施の形態3における表示マトリクスである4行4列マトリクス7を示す図である。図9(a)は発光画素4の配置図であり、図9(b)は各発光画素4の中心dが位置する配置正方形6の頂点を示す図である。ここで、図9(b)におけるX1乃至X4はそれぞれ図8のマトリクスX軸2a、2b、2c、2dに対応し、図9(b)におけるY1乃至Y4はそれぞれマトリクスY軸3a、3b、3c、3dに対応する。
【0032】
図10はこの発明の実施の形態3における他の表示マトリクスである4行4列マトリクス8を示す図である。図10(a)は発光画素4の配置図であり、図10(b)は各発光画素4の中心dが位置する配置正方形6の頂点を示す図である。
【0033】
図9及び図10のいずれも、水平方向に隣接する2個の発光画素4について、その中心dの垂直方向座標が互いに異なるとともに、垂直方向に隣接する2個の発光画素4について、その中心dの水平方向座標が互いに異なるように、発光画素4が配置されている。さらに、発光画素4が水平方向及び垂直方向において、隣接する2個の発光画素4の隣接画素間長bx、byは、長い、短い、中間の長さの3種類が使用されている。隣接する2個の発光画素4の隣接画素間長bbを限定した複数個のみ使用することで、発光画素4の再配置を行うことなく、ばらつきの範囲を一定の範囲にすることができる。
【0034】
発光画素4が水平方向及び垂直方向において、ピッチaから+eだけ異なった長い隣接画素間長(a+e)とピッチaから−eだけ異なった短い隣接画素間長(a−e)とが交互に配置され、すなわち隣接する2個の発光画素4間の隣接画素間長が異なっていた場合でかつe≦a/5である場合には、その発光画素4の位置のばらつきに起因する画質への影響が少ないことが知られている。そこで、配置正方形6の一辺の長さeが、a/5以下の場合を考える。この場合、図9及び図10においてe≦a/5となるので、図9及び図10に示すように、水平方向に隣接する2個の発光画素4について、その中心dの垂直方向座標が互いに異なるとともに、垂直方向に隣接する2個の発光画素4について、その中心dの水平方向座標が互いに異なるように、発光画素4が配置されている場合にも発光画素4の位置のばらつきに起因する画質への影響を少なくすることができる。
【0035】
次に4行4列マトリクス7や4行4列マトリクス8を基準マトリクスとして、これを複数配置することで、多数の発光画素4をランダムに配置した表示ユニットを実現できる。図11はこの発明の実施の形態3における表示ユニットを示す図である。図11(a)は4行4列マトリクス7を複数配置したものであり、図11(b)は4行4列マトリクス8を複数配置したものである。
【0036】
実施の形態3の表示ユニットは、実施の形態1および実施の形態2の表示ユニットよりも発光画素4の偏りが低減できる。したがって、実施の形態1および実施の形態2の表示ユニットに比べて、発光画素4の配置の再配置などをすることなく容易に発光画素4の偏りに起因するノイズの発生を抑制でき、画質を向上させることができる。実施の形態3の表示ユニットを図6のように複数配置して映像表示装置30を構成することで、発光画素4の偏りに起因するノイズの発生を抑制でき、画質を向上させることができる。なお、表示マトリクス7、8を表示ユニットとしてもよい。
【0037】
なお、実施の形態3では配置正方形6の一辺の長さeがa/5以下の場合で説明したが、発光画素4の偏りを容易に少なくできる配置方法はeがa/5より大きくてもよい。上述した発光画素4の偏りを容易に少なくできる配置方法は、実施の形態1及び実施の形態
2にも適用できる。配置正方形6が実施の形態1で説明した配置円12に接する正方形であっても構わない。配置正方形6が配置円12に接する場合、配置正方形6の一辺の長さeはe=a/√2となる。この場合でも実施の形態1の表示ユニット1よりも発光画素4の偏りを低減することができる。したがって、実施の形態3の配置方法を適用することで、実施の形態1及び実施の形態2の表示ユニットに比べて、発光画素4の配置の再配置などをする箇所を低減できる。これにより、容易に発光画素4の偏りに起因するノイズの発生を抑制でき、画質を向上させることができる。
【0038】
なお、表示ユニットの外周13は実際の端ではなく仮想的なものであっても構わない。表示ユニットの外周13が仮想的な場合であっても、上記で説明したような条件を満たす発光画素4の配置パターンを使用することで、複数の表示ユニットを接して配置することができる。また、複数の表示ユニットが接して配置されていなくても、隣接する表示ユニット間における外周側の発光画素4が互いに上記で説明したような条件を満たしていればよい。この場合でも表示ユニット間における線状のノイズを目立たなくし、線状のノイズを低減することができる。
【0039】
発光画素4は、単色でも、カラーであっても構わない。発光画素4は、単色の場合には1個の発光素子であってもよく、カラーの場合は3原色の発光素子を組み合わせたものが使用される。
【産業上の利用可能性】
【0040】
この発明に係る表示ユニットおよび映像表示装置は、競馬場などの公営競技場、野球場、サッカー場等のスタジアム、商業施設等に設置される大画面の映像表示装置に好適に適用できる。
【符号の説明】
【0041】
1 表示ユニット 4 発光画素
5 表示ユニット 10 表示ユニット
12 配置円 13 外周
30 映像表示装置 a マトリクス軸ピッチ
b 隣接画素間長 bb 隣接画素間長の平均値
d マトリクス軸の交点 k 境界長
m 境界長 p 境界長
q 境界長
【技術分野】
【0001】
この発明は映像表示装置に関し、特に映像表示装置を構成する表示ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、発光ダイオード等の発光表示素子(単に発光素子とも称す)を用いた大型の映像表示装置は、特開平2−304843号公報の図8に示すように、基板上にマトリクス状に配置された多数の発光素子からなる表示ユニットを複数個組み合わせて構成されていた。このとき、隣接する表示ユニットは、その最も外側の素子間の距離が、表示ユニット内の発光素子ピッチに等しくなるように配置されることで、表示ユニット間の継ぎ目を目立たないようにしていた。しかしながら、一般に複数の表示ユニットを用いた大型の映像表示装置は、表示ユニットの継ぎ目部分で発光素子間隔が不均一になりやすく、この部分で発光素子間隔が近いと明るく、離れると暗くなるために発生する線状のノイズが見える問題があった。
【0003】
隣接する表示ユニット間における発光素子間隔が、表示ユニット内の発光素子間隔と等しくなるように表示ユニットを精度よく並べれば、上記の問題である線状のノイズを抑えることができる。そこで、特開平2−304843号公報の図3に示すように、表示ユニット内の4画素を1組として、隣接する組間の組間距離をその組内の画素間距離より長くし、隣接する表示ユニットの発光素子間の距離を長くした組間距離と等しくなるように並べることで、表示ユニットの配置を高精度に並べやすくなるようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−304843号公報(図3、図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の大型の映像表示装置は、デバイスの進展にともない、高画質化、高解像度化、狭ピッチ化が要求される近年においては、全ての隣接する表示ユニットの発光素子間の距離をある一定の距離に保つことが困難となり、設置条件等によりその距離がばらつくと隣接する表示ユニット間に線状のノイズが発生するという問題があった。
【0006】
この発明は、複数の発光画素が配置された表示ユニットにおいて、表示ユニットを複数配置した際に表示ユニット間における線状のノイズを目立たなくし、線状のノイズを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る表示ユニットは複数の発光画素がX方向及びY方向の2次元に配置され、X方向に隣接する2個の発光画素は、発光画素中心のY方向における座標が互いに異なるとともに、Y方向に隣接する2個の発光画素は、発光画素中心のX方向における座標が互いに異なり、X方向及びY方向のそれぞれにおいて、表示ユニットの外周とこの外周に近接する2個の発光画素とのそれぞれの長さの和が、表示ユニットの基準ピッチの2倍以下である。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る表示ユニットは、表示ユニット間における線状のノイズを目立たなくし
、線状のノイズを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1における映像表示装置を示す図である。
【図2】図1の表示ユニットを示す図である。
【図3】図1の表示ユニットの組み合わせを示す図である。
【図4】図1の表示ユニットにおける垂直方向の境界長を示す図である。
【図5】図1の表示ユニットにおける水平方向の境界長を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態2における映像表示装置を示す図である。
【図7】図6の表示ユニットを示す図である。
【図8】この発明の実施の形態3における発光画素配置を説明する図である。
【図9】この発明の実施の形態3における表示マトリクスを示す図である。
【図10】この発明の実施の形態3における他の表示マトリクスを示す図である。
【図11】この発明の実施の形態3における表示ユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における映像表示装置を示す図であり、図2は表示ユニットを示す図である。映像表示装置30は複数の表示ユニット1が配置されて、映像表示装置30の表示面を構成する。表示ユニット1は4行4列マトリクスに配列された16個の発光画素4を有している。表示ユニット1の発光画素4の中心dの位置は、それぞれマトリクスX軸2a、2b、2c、2dとマトリクスY軸3a、3b、3c、3dとの交点を中心とする半径a/2の配置円12内の偏りのない適当な位置に配置する。ここでマトリクスX軸2及びマトリクスY軸3のピッチaは表示ユニット1の基準ピッチである。言い換えれば、基準ピッチは、発光画素4のそれぞれが配置される同一直径の配置円12を複数個接して配置した場合における配置円12の直径である。
【0011】
このようにすることで、表示ユニット1の発光画素4におけるX方向である水平方向の隣接画素間長bx及びY方向である垂直方向の隣接画素間長byは、それぞれ0<bx≦2a、0<by≦2aの範囲でランダムに配置することができる。また発光画素4を配置円12内にばらばらに配置することで、発光画素4を0より大きく2a以下の範囲でのランダム配置が容易に実現することができる。なお表示ユニット1の外周13は、外側に位置する12個の配置円12に接した四角形である。
【0012】
表示ユニット1における発光画素4の隣接画素間長bの平均値bbについて説明する。まず水平方向の隣接画素間長bxの平均値bbxを考える。水平方向の隣接画素間長bxは、各行に4個の発光画素4があるので、各行ごとに3個ある。4個の発光画素4の内側の2個は水平方向の座標が変化しても、一方が増えれば他方が減るので平均値に影響はしない。そこで、内側の2個がマトリクスY軸3b、3cにある場合を考える。水平方向の隣接画素間長bxの平均値bbxが最大になるのは、外側の2個の発光画素4が外周13に位置する場合であり、この場合の平均値は(1.5a+a+1.5a)/3=4a/3となる。水平方向の隣接画素間長bxの平均値bbxが最小になるのは、外側の2個の発光画素4が表示ユニット1の内側に位置する場合であり、この場合の平均値は(0.5a+a+0.5a)/3=2a/3となる。したがって、水平方向の隣接画素間長bxの平均値bbxは、2a/3≦bbx≦4a/3となる。
【0013】
垂直方向の隣接画素間長byの平均値bbyも、水平方向の隣接画素間長bxの平均値bbxと同様に考えることができるので、垂直方向の隣接画素間長byの平均値bbyは、2a/3≦bby≦4a/3となる。表示ユニット1における発光画素4の隣接画素間長の平均値bbは、水平方向の隣接画素間長bxの平均値bbxと垂直方向の隣接画素間長byの平均値bbyの平均値なので、隣接画素間長bの平均値bbは2a/3≦bb≦4a/3となる。
【0014】
図3は、図1の表示ユニット1の組み合わせを示す図である。表示ユニット1a、1b、1c、1dは、発光画素4の配置が同一のものである。水平方向において、表示ユニット1aの外周13に隣接する発光画素4は、隣接する表示ユニット1bにおける外周13に隣接する発光画素4に対して、水平方向の隣接画素間長txがそれぞれtx1、tx2、tx3、tx4で配置される。水平方向の隣接画素間長tx1、tx2、tx3、tx4はそれぞれ0より大きく2a以下である。また、垂直方向において、表示ユニット1aの外周13に隣接する発光画素4は、隣接する表示ユニット1cにおける外周13に隣接する発光画素4に対して、垂直方向の隣接画素間長tyがそれぞれty1、ty2、ty3、ty4で配置される。垂直方向の隣接画素間長ty1、ty2、ty3、ty4はそれぞれ0より大きく2a以下である。
【0015】
表示ユニット1aの水平方向において、表示ユニット1aの外周13に隣接する2個の発光画素4と外周13との長さである境界長p、qとの和である水平方向端長(X方向端長)は、基準ピッチaの2倍以下である。また、表示ユニット1aの垂直方向において、表示ユニット1aの外周13に隣接する2個の発光画素4と外周13との長さである境界長m、kとの和である垂直方向端長(Y方向端長)は、基準ピッチaの2倍以下である。図3では境界長k、m、p、qは表示ユニット1aの一部の発光画素4について示したが、図4、図5に表示ユニット1aの外周13側の発光画素4についてそれぞれ示した。図4は表示ユニットにおける垂直方向の境界長を示す図であり、図5は表示ユニットにおける水平方向の境界長を示す図である。
【0016】
このような表示ユニット1を互いに接して配置する。表示ユニット1内において、各発光画素4は隣接する発光画素4の水平方向の隣接画素間長bx及び垂直方向の隣接画素間長byがそれぞれ0<bx≦2a、0<by≦2aの範囲でランダムである。さらに、隣接する表示ユニット1間において、外周13を挟んで隣接する2個の発光画素4は水平方向の隣接画素間長txn及び垂直方向の隣接画素間長tynもそれぞれ0<txn≦2a、0<tyn≦2a(nは1から4までの整数)の範囲でランダムである。このように互いに接して配置することで、隣接する表示ユニット1間の水平方向及び垂直方向の隣接画素間長txn、tynのばらつきは、表示ユニット1内の水平方向及び垂直方向の隣接画素間長bx、byのばらつき範囲内にすることができる。したがって表示ユニット1を接して配置することで、容易に表示ユニット間における線状のノイズを目立たなくし、線状のノイズを低減することができる。
【0017】
さらに、隣接する表示ユニット1間において、外周13を挟んで隣接する2個の発光画素4は水平方向の隣接画素間長txn及び垂直方向の隣接画素間長tynをそれぞれ0<txn≦2bbx、0<tyn≦2bby(nは1から4までの整数)の範囲でランダムに配置するように発光画素4の配置を選択する。このような表示ユニット1を互いに接して配置し、水平方向の隣接画素間長txnを平均値bbxの2倍以下にし、垂直方向の隣接画素間長tynを平均値bbyの2倍以下することで、隣接する表示ユニット1間における水平方向及び垂直方向の隣接画素間長txn、tynのばらつきは、表示ユニット1内の水平方向及び垂直方向の隣接画素間長bx、byの平均値bbx、bbyのばらつき範囲内にすることができる。水平方向及び垂直方向の隣接画素間長bx、byの平均値bbx、bbyは外周13に近接した発光画素4の配置に大きく依存するので、水平方向の隣接画素間長txn及び垂直方向の隣接画素間長tynのばらつきを表示ユニット1内の水平方向及び垂直方向の隣接画素間長bx、byの平均値bbx、bbyのばらつき範囲内にすることで、さらに画質を向上させることができる。
【0018】
実施の形態1の映像表示装置30は、複数配置する表示ユニットの外周を若干小さく作っておき、表示ユニットの配置後に、表示ユニット内の隣接する表示ユニット間の水平方向及び垂直方向の隣接画素間長がずれた場所にスペーサーを挿入して調整していた従来の映像表示装置とは異なり、外周13が配置円12に接した四角形で構成した表示ユニット1をそれぞれ接して配置することで、隣接する表示ユニット1間の水平方向の隣接画素間長txn及び垂直方向の隣接画素間長tynのばらつきを、表示ユニット1内の発光画素4の隣接画素間長bのばらつきに吸収されるようにすることができる。したがって容易に表示ユニット間における線状のノイズを目立たなくし、線状のノイズを低減することができる。さらに、水平方向の隣接画素間長txn及び垂直方向の隣接画素間長tynのばらつきを、表示ユニット1内の水平方向及び垂直方向の隣接画素間長bx、byの平均値bbx、bbyのばらつき範囲内にすることで、さらに画質を向上させることができる。
【0019】
次に隣接する表示ユニット1間の水平方向及び垂直方向の隣接画素間長tx1乃至tx4及びty1乃至ty4を基準ピッチaと等しくした例について説明する。水平方向端長及び垂直方向端長は基準ピッチaと等しい。隣接する表示ユニット1が設置条件等により、わずかなばらつきが発生する場合を考える。ばらつき長さを±cとすると、隣接する表示ユニット1間の発光画素4の隣接画素間長はa±cの範囲でばらつくことになる。表示ユニット1内において、各発光画素4は隣接する発光画素4の水平方向の隣接画素間長bx及び垂直方向の隣接画素間長byがそれぞれ0<bx≦2a、0<by≦2aの範囲でランダムである。さらに、隣接する表示ユニット1間において、外周13を挟んで隣接する2個の発光画素4は水平方向の隣接画素間長tx1乃至tx4、及び垂直方向の隣接画素間長ty1乃至ty4がそれぞれ基準ピッチaに等しい。ここでばらつき長さcの範囲は、0≦c≦aである。このようにすることで、隣接する表示ユニット1間の発光画素4の隣接画素間長tx1乃至tx4及びty1乃至ty4のばらつきが、表示ユニット1内の発光画素4の水平方向の隣接画素間長bx及び垂直方向の隣接画素間長byのばらつき範囲以下になり、すなわち表示ユニット1内の発光画素4の隣接画素間長bのばらつきに吸収される。したがって表示ユニット1の外周部分で発生しやすい線状のノイズを抑制することができる。
【0020】
さらに、cの範囲を0≦c≦a/3にすることで、a+c≦4a/3にすることができ、隣接する表示ユニット1間の発光画素4の隣接画素間長tx1乃至tx4及びty1乃至ty4のばらつきが、表示ユニット1内の発光画素4の水平方向の隣接画素間長bx及び垂直方向の隣接画素間長byの平均値bbx、bbyのばらつき範囲内になるので、さらに画質を向上させることができる。
【0021】
以上のように実施の形態1の表示ユニット1によれば、水平方向に隣接する2個の発光画素4は、発光画素中心の垂直方向における座標が互いに異なるとともに、垂直方向に隣接する2個の発光画素4は、発光画素中心の水平方向における座標が互いに異なり、水平方向及び垂直方向のそれぞれにおいて、表示ユニット1の外周13とこの外周13に近接する2個の発光画素4とのそれぞれの長さの和は、表示ユニット1の基準ピッチの2倍以下であるので、表示ユニット間における線状のノイズを目立たなくし、線状のノイズを低減することができる。
【0022】
実施の形態1の映像表示装置30によれば、複数配列した表示ユニットが、水平方向に隣接する2個の発光画素4は、発光画素中心の垂直方向における座標が互いに異なるとともに、垂直方向に隣接する2個の発光画素4は、発光画素中心の水平方向における座標が互いに異なり、水平方向及び垂直方向のそれぞれにおいて、表示ユニット1の外周13とこの外周13に近接する2個の発光画素4とのそれぞれの長さの和は、表示ユニット1の基準ピッチの2倍以下であるので、表示ユニット間における線状のノイズを目立たなくし、線状のノイズを低減することができる。
【0023】
なお、複数の表示ユニット1を組み合わせた例として発光画素4の配置が同一のもので説明したが、複数の表示ユニット1は同一の基準ピッチを有するものであれば、発光画素4の配置が異なるものであってもよい。隣接する表示ユニット1間において、発光画素4の隣接画素間長bの平均値bbが異なる場合は、水平方向及び垂直方向において、隣接する表示ユニット1間の隣接画素間長bbxの平均値bbx及び隣接画素間長bbyの平均値bbyのそれぞれの最小値を適用すればよい。表示ユニット1の発光画素4の配置パターンの数が多い場合には、例えば表示ユニット1の外周側の発光画素4の配置パターンを同一にして、外周側以外である内部の発光画素4の配置パターンを異なるようにしてもよい。このようにすると、映像表示装置30に適用する際に、発光画素4の配置パターンが異なる表示ユニット1を容易に設計することができる。
【0024】
実施の形態2.
実施の形態1では、表示ユニット1として発光画素4が比較的少ない画素数の4行4列マトリクスに配置された例で説明したが、実施の形態2では数が多い発光画素4をランダムに配置した表示ユニット及び映像表示装置について説明する。
【0025】
図6はこの発明の実施の形態2における映像表示装置30を示す図であり、図7は図6の表示ユニット5を示す図である。映像表示装置30は複数の表示ユニット5が配置されて、映像表示装置30の表示面を構成する。表示ユニット5は複数の4行4列の基準マトリクス11を有している。図7には、第1行目にn個の基準マトリクス11aa乃至11anが配置され、第2行目にn個の基準マトリクス11ba乃至11bnが配置され、第n行目にn個の基準マトリクス11na乃至11nnが配置されている。基準マトリクス11は、例えば実施の形態1で示した発光画素4がランダム配置された表示ユニット1の4行4列マトリクスを用いる。
【0026】
発光画素4がランダム配置された基準マトリクス11を複数配置して画素数の多い表示ユニット5を構成するので、多数の発光画素4をランダムに配置した表示ユニット5を容易に実現することができる。
【0027】
実施の形態2の表示ユニット5は、その基準マトリクス11がそれぞれ実施の形態1の効果を有するので、隣接する表示ユニット5間の発光画素4の隣接画素間長tx、tyのばらつきが、表示ユニット5内の発光画素4の隣接画素間長bx、byのばらつきに吸収され、表示ユニット5の外周部分で発生しやすい線状のノイズを抑制することができる。したがって、表示ユニット5間における線状のノイズを目立たなくし、線状のノイズを低減することができる。
【0028】
実施の形態2の映像表示装置30は、複数配列した表示ユニット5が外周部分で発生しやすい線状のノイズを抑制するので、表示ユニット5間における線状のノイズを目立たなくし、線状のノイズを低減することができる。
【0029】
実施の形態3.
実施の形態1及び実施の形態2ではそれぞれの発光画素4の配置領域が広いランダム配置の例を説明したが、実施の形態3では、それぞれの発光画素4の配置領域を狭くすることで発光画素4の偏りを容易に低減できるランダム配置を有する表示ユニットについて説明する。
【0030】
図8はこの発明の実施の形態3における発光画素配置を説明する図である。図8において、マトリクスX軸2a、2b、2c、2dとマトリクスY軸3a、3b、3c、3dとの交点dを中心とする一辺の長さがeである配置正方形6を考える。この配置正方形6の
頂点を、それぞれf、g、h、iとする。発光画素4は、その中心が配置正方形6の頂点f、g、h、iのいずれかに一致するように配置する。このように配置した例を図9及び図10に示す。
【0031】
図9はこの発明の実施の形態3における表示マトリクスである4行4列マトリクス7を示す図である。図9(a)は発光画素4の配置図であり、図9(b)は各発光画素4の中心dが位置する配置正方形6の頂点を示す図である。ここで、図9(b)におけるX1乃至X4はそれぞれ図8のマトリクスX軸2a、2b、2c、2dに対応し、図9(b)におけるY1乃至Y4はそれぞれマトリクスY軸3a、3b、3c、3dに対応する。
【0032】
図10はこの発明の実施の形態3における他の表示マトリクスである4行4列マトリクス8を示す図である。図10(a)は発光画素4の配置図であり、図10(b)は各発光画素4の中心dが位置する配置正方形6の頂点を示す図である。
【0033】
図9及び図10のいずれも、水平方向に隣接する2個の発光画素4について、その中心dの垂直方向座標が互いに異なるとともに、垂直方向に隣接する2個の発光画素4について、その中心dの水平方向座標が互いに異なるように、発光画素4が配置されている。さらに、発光画素4が水平方向及び垂直方向において、隣接する2個の発光画素4の隣接画素間長bx、byは、長い、短い、中間の長さの3種類が使用されている。隣接する2個の発光画素4の隣接画素間長bbを限定した複数個のみ使用することで、発光画素4の再配置を行うことなく、ばらつきの範囲を一定の範囲にすることができる。
【0034】
発光画素4が水平方向及び垂直方向において、ピッチaから+eだけ異なった長い隣接画素間長(a+e)とピッチaから−eだけ異なった短い隣接画素間長(a−e)とが交互に配置され、すなわち隣接する2個の発光画素4間の隣接画素間長が異なっていた場合でかつe≦a/5である場合には、その発光画素4の位置のばらつきに起因する画質への影響が少ないことが知られている。そこで、配置正方形6の一辺の長さeが、a/5以下の場合を考える。この場合、図9及び図10においてe≦a/5となるので、図9及び図10に示すように、水平方向に隣接する2個の発光画素4について、その中心dの垂直方向座標が互いに異なるとともに、垂直方向に隣接する2個の発光画素4について、その中心dの水平方向座標が互いに異なるように、発光画素4が配置されている場合にも発光画素4の位置のばらつきに起因する画質への影響を少なくすることができる。
【0035】
次に4行4列マトリクス7や4行4列マトリクス8を基準マトリクスとして、これを複数配置することで、多数の発光画素4をランダムに配置した表示ユニットを実現できる。図11はこの発明の実施の形態3における表示ユニットを示す図である。図11(a)は4行4列マトリクス7を複数配置したものであり、図11(b)は4行4列マトリクス8を複数配置したものである。
【0036】
実施の形態3の表示ユニットは、実施の形態1および実施の形態2の表示ユニットよりも発光画素4の偏りが低減できる。したがって、実施の形態1および実施の形態2の表示ユニットに比べて、発光画素4の配置の再配置などをすることなく容易に発光画素4の偏りに起因するノイズの発生を抑制でき、画質を向上させることができる。実施の形態3の表示ユニットを図6のように複数配置して映像表示装置30を構成することで、発光画素4の偏りに起因するノイズの発生を抑制でき、画質を向上させることができる。なお、表示マトリクス7、8を表示ユニットとしてもよい。
【0037】
なお、実施の形態3では配置正方形6の一辺の長さeがa/5以下の場合で説明したが、発光画素4の偏りを容易に少なくできる配置方法はeがa/5より大きくてもよい。上述した発光画素4の偏りを容易に少なくできる配置方法は、実施の形態1及び実施の形態
2にも適用できる。配置正方形6が実施の形態1で説明した配置円12に接する正方形であっても構わない。配置正方形6が配置円12に接する場合、配置正方形6の一辺の長さeはe=a/√2となる。この場合でも実施の形態1の表示ユニット1よりも発光画素4の偏りを低減することができる。したがって、実施の形態3の配置方法を適用することで、実施の形態1及び実施の形態2の表示ユニットに比べて、発光画素4の配置の再配置などをする箇所を低減できる。これにより、容易に発光画素4の偏りに起因するノイズの発生を抑制でき、画質を向上させることができる。
【0038】
なお、表示ユニットの外周13は実際の端ではなく仮想的なものであっても構わない。表示ユニットの外周13が仮想的な場合であっても、上記で説明したような条件を満たす発光画素4の配置パターンを使用することで、複数の表示ユニットを接して配置することができる。また、複数の表示ユニットが接して配置されていなくても、隣接する表示ユニット間における外周側の発光画素4が互いに上記で説明したような条件を満たしていればよい。この場合でも表示ユニット間における線状のノイズを目立たなくし、線状のノイズを低減することができる。
【0039】
発光画素4は、単色でも、カラーであっても構わない。発光画素4は、単色の場合には1個の発光素子であってもよく、カラーの場合は3原色の発光素子を組み合わせたものが使用される。
【産業上の利用可能性】
【0040】
この発明に係る表示ユニットおよび映像表示装置は、競馬場などの公営競技場、野球場、サッカー場等のスタジアム、商業施設等に設置される大画面の映像表示装置に好適に適用できる。
【符号の説明】
【0041】
1 表示ユニット 4 発光画素
5 表示ユニット 10 表示ユニット
12 配置円 13 外周
30 映像表示装置 a マトリクス軸ピッチ
b 隣接画素間長 bb 隣接画素間長の平均値
d マトリクス軸の交点 k 境界長
m 境界長 p 境界長
q 境界長
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光画素がX方向及びY方向の2次元に配列された表示ユニットであって、
前記表示ユニット内のX方向に隣接する2個の発光画素は、発光画素中心のY方向における座標が互いに異なるとともに、前記表示ユニット内のY方向に隣接する2個の発光画素は、前記発光画素中心のX方向における座標が互いに異なり、
前記発光画素のそれぞれが配置される同一直径の配置円を複数個接して配置した場合における前記配置円の直径を基準ピッチとし、
前記表示ユニット内のX方向における前記表示ユニットの外周に隣接する2個の発光画素と前記外周とのそれぞれの長さの和であるX方向端長が、前記基準ピッチの2倍以下であり、
前記表示ユニット内のY方向における前記表示ユニットの外周に隣接する2個の発光画素と前記外周とのそれぞれの長さの和であるY方向端長が、前記基準ピッチの2倍以下であることを特徴とした表示ユニット。
【請求項2】
前記X方向端長はX方向における前記表示ユニット内の隣接する前記発光画素の長さである隣接画素間長の平均値の2倍以下であり、前記Y方向端長はY方向における前記隣接画素間長の平均値の2倍以下であることを特徴とした請求項1記載の表示ユニット。
【請求項3】
前記基準ピッチをaとし、前記発光画素はこのaにて等間隔に2次元座標に配列された基準点に対して、e=a/5とした場合に、前記発光画素は、その中心のX方向座標が前記基準点のX方向座標から±e/2以内の範囲であるとともに、その中心のY方向座標が前記基準点のY方向座標から±e/2以内の範囲であることを特徴とした請求項1記載の表示ユニット。
【請求項4】
前記基準ピッチをaとし、前記発光画素はこのaにて等間隔に2次元座標に配列された基準点に対して、e=a/√2とした場合に、前記発光画素は、その中心のX方向座標が前記基準点のX方向座標から±e/2以内の範囲であるとともに、その中心のY方向座標が前記基準点のY方向座標から±e/2以内の範囲であることを特徴とした請求項1記載の表示ユニット。
【請求項5】
前記発光画素は、その中心のX方向座標が前記基準点のX方向座標から±e/2のいずれかであるとともに、その中心のY方向座標が前記基準点のY方向座標から±e/2のいずれかであることを特徴とした請求項3または4記載の表示ユニット。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の表示ユニットが複数配列され、
前記表示ユニットのそれぞれの前記基準ピッチは等しいことを特徴とした映像表示装置。
【請求項1】
複数の発光画素がX方向及びY方向の2次元に配列された表示ユニットであって、
前記表示ユニット内のX方向に隣接する2個の発光画素は、発光画素中心のY方向における座標が互いに異なるとともに、前記表示ユニット内のY方向に隣接する2個の発光画素は、前記発光画素中心のX方向における座標が互いに異なり、
前記発光画素のそれぞれが配置される同一直径の配置円を複数個接して配置した場合における前記配置円の直径を基準ピッチとし、
前記表示ユニット内のX方向における前記表示ユニットの外周に隣接する2個の発光画素と前記外周とのそれぞれの長さの和であるX方向端長が、前記基準ピッチの2倍以下であり、
前記表示ユニット内のY方向における前記表示ユニットの外周に隣接する2個の発光画素と前記外周とのそれぞれの長さの和であるY方向端長が、前記基準ピッチの2倍以下であることを特徴とした表示ユニット。
【請求項2】
前記X方向端長はX方向における前記表示ユニット内の隣接する前記発光画素の長さである隣接画素間長の平均値の2倍以下であり、前記Y方向端長はY方向における前記隣接画素間長の平均値の2倍以下であることを特徴とした請求項1記載の表示ユニット。
【請求項3】
前記基準ピッチをaとし、前記発光画素はこのaにて等間隔に2次元座標に配列された基準点に対して、e=a/5とした場合に、前記発光画素は、その中心のX方向座標が前記基準点のX方向座標から±e/2以内の範囲であるとともに、その中心のY方向座標が前記基準点のY方向座標から±e/2以内の範囲であることを特徴とした請求項1記載の表示ユニット。
【請求項4】
前記基準ピッチをaとし、前記発光画素はこのaにて等間隔に2次元座標に配列された基準点に対して、e=a/√2とした場合に、前記発光画素は、その中心のX方向座標が前記基準点のX方向座標から±e/2以内の範囲であるとともに、その中心のY方向座標が前記基準点のY方向座標から±e/2以内の範囲であることを特徴とした請求項1記載の表示ユニット。
【請求項5】
前記発光画素は、その中心のX方向座標が前記基準点のX方向座標から±e/2のいずれかであるとともに、その中心のY方向座標が前記基準点のY方向座標から±e/2のいずれかであることを特徴とした請求項3または4記載の表示ユニット。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の表示ユニットが複数配列され、
前記表示ユニットのそれぞれの前記基準ピッチは等しいことを特徴とした映像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−282009(P2010−282009A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135058(P2009−135058)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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