説明

表示制御方法及び表示装置

【課題】表示部の表示面に外圧が加わって変色したときにのみ、直ちに表示画面を書き換えることにより、表示部の書き替えをタイミングよく行う。
【解決手段】コントロールICは、外部検出部から外圧の検出値を受け取ると(ステップS105)、外圧検出値が閾値を超えているか否かを判断し(ステップS107)、超えている場合(ステップS107でYesと判断された場合)には、コレステリックLCD16の書き替え準備状態にはいる(ステップS108)。次に、外圧検出値が閾値以下になったか否かを監視し(ステップS109)、外圧検出値が閾値以下になったとき(ステップS109でYesと判断されると)、表示データをRAM143から読み出して(ステップS110)、コレステリックLCD16に表示データを再描画する(ステップS111)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリ性を有する表示部を備えた表示装置の表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリ性を有する表示部を備えた表示装置としてコレステリック液晶を用いて表示部を構成した表示装置が知られている。コレステリック液晶は、電力を常時供給しなくても、表示部の表示状態を維持することが可能であるが、その一方で、表示画面に外圧が加わると、表示面が変色するという性質がある。
【0003】
図14は、コレステリック液晶の表示装置を例えば電子棚札100として使用した場合の表示例を示している。
【0004】
この電子棚札100は、コレステリック液晶の表示部101を筐体102内に収納保持した構造となっており、筐体102の正面全体が表示面(透明の表示窓)103となっている。そして、この表示面103に例えば同図(a)に示すような商品情報が表示されている。この状態で同図(b)に斜線を付して示すように、人等が指先で表示面103を押すと、その指等を離したとき、同図(c)に示すように、その押された部分104だけ変色してしまう(すなわち、白く色抜けしたような状態となってしまう)。そのため、コレステリック液晶の表示面と、その表示面を保護する筐体102の表示面103との間の距離を十分に確保する必要がある。すなわち、筐体102の表示面103が人の指等で押圧されて撓んでも、コレステリック液晶の表示面に筐体102の表示面103が触れない程度の距離を確保する必要があるため、表示装置の薄型化に限界があるといった問題があった。
【0005】
また、コレステリック液晶は、それ自体表示画面の変色を認識できないので、表示画面が変色した場合には、表示内容を読み取れない状態のまま放置されることになる。そのため、表示画面が変色した場合は、直ちに再描画を行なう必要があるが、従来はこの表示内容の復元(再描画)を使用者が目視により確認して手動操作により行なわなければならず、手間のかかる作業となっていた。
【0006】
そこで、表示画面が変色した場合に、表示内容を読み取れない状態のまま放置される状態となることを回避すべく、従来から種々の再描画手法が提案されている(例えば、特許文献1,2等参照)。
【0007】
特許文献1に記載のものは、コレステリック相を示す液晶を透明基板間に挟持した液晶表示素子に対して、マトリクス状に配置した走査電極と信号電極とにパルス電圧を印加して交差位置にある液晶をプレーナ状態またはフォーカルコニック状態に選択して情報を表示する情報表示装置において、情報(画像データ)がメモリに記憶され、信号コントローラに内蔵されている計時タイマによる所定のタイミングで書き換えられる(再描画する)ようになっている。
【0008】
また、特許文献2に記載のものは、メモリ性液晶を用いて表示画面を構成した液晶表示素子を貼着したメモリカードを使用するデジタルカメラにおいて、記憶画像の再生を行う場合、所定時間走査がないかどうかの判別に使用するタイマをスタートさせ、最大コマ番号の画像を表示かつ記憶させる。その後、キー操作がなくて所定時間が経過すると、表示状態を更新(再描画)するようになっている。
【特許文献1】特開2000−147465号公報
【特許文献2】特開2000−278572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1,2記載のものはいずれも、タイマを用いて定期的に表示画面を書き換えることで、自動的に表示画面を更新(再描画)するものである。すなわち、表示画面が変色したかどうかに係わらず、定期的に表示画面の更新(再描画)を行うため、無駄な電力消費が発生するといった問題があった。そのため、主に電池で駆動する電子棚札等では電池交換の頻度が増し、使用者の負担が増えるといった問題があった。
【0010】
また、定期的な更新では、その間に表示画面が変色した場合でも、次の更新まで表示内容を読み取れない状態のまま放置されることになるといった問題もあった。
【0011】
本発明はかかる問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、表示部の表示面に外圧が加わって変色したときにのみ、直ちに表示画面を書き換えることにより上記課題を解決した、メモリ性を有する表示部を備えた表示装置の表示制御方法及び表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の表示制御方法は、メモリ性を有する表示部を備えた表示装置の表示制御方法であって、前記表示部に対する外圧を検出する外圧検出ステップと、前記外圧検出ステップにて検出した外圧の有無を判断する第1の判断ステップと、前記第1の判断ステップにより外圧有りと判断した場合に、前記表示部の表示情報を再描画する描画ステップと、と備えたことを特徴としている。
【0013】
すなわち、本発明によれば、表示部に対する外圧を検出し、その検出した外圧の有無を判断し、外圧有りと判断した場合にのみ、表示部の表示情報を再描画するようになっている。すなわち、表示部の表示面に外圧が加わって変色したときにのみ、直ちに表示画面を再描画することで、表示内容が読み取れない状態のまま放置されることを確実に防止することができる。また、表示部の表示面に外圧が加わって変色したときにのみ再描画することで、電池の消耗を極力抑えることができ、電池寿命を延ばすことができる。また、これにより使用者による電池交換の負担も軽減することができる。さらに、コレステリック液晶の表示面とこれを保護する筐体表面との間の距離を短くすることができるので、視認性が向上するとともに、表示装置の薄型化を実現することが可能となる。
【0014】
また、本発明の表示制御方法は、メモリ性を有する表示部を備えた表示装置の表示制御方法であって、前記表示部に対する外圧を検出する外圧検出ステップと、前記外圧検出ステップにて検出した外圧の有無を判断する第1の判断ステップと、前記第1の判断ステップにて外圧有りと判断した後、当該外圧の解除を判断する第2の判断ステップと、前記第2の判断ステップにより外圧解除と判断した場合に、前記表示部の表示情報を再描画する描画ステップと、と備えたことを特徴としている。
【0015】
すなわち、本発明によれば、表示部に対する外圧を検出し、その検出した外圧の有無を判断し、外圧有りと判断した後、当該外圧が解除されたと判断したときに、表示部の表示情報を再描画するようになっている。このように、外圧が解除されたときに再描画を行うことで、表示画面の再描画を確実に行うことが可能となる。すなわち、外圧を検出した時点で再描画を行うと、その後長く押された後に外圧を解除された場合には、依然として押された箇所が変色していることになるが、本発明によれば、このような不具合は発生しない。
【0016】
ここで、前記第1の判断ステップは、所定の値以上の外圧で外圧有りと判断し、前記第2の判断ステップは、所定の値以下の外圧で外圧の解除と判断するように構成すればよい。
【0017】
また、前記描画ステップは、前記表示装置の記憶部に記憶された表示情報を表示部に再描画するように構成してもよい。ただし、表示情報については、例えば電子棚札の場合には、外部の棚札サーバーに表示情報を格納しておき、この棚札サーバーから最新の表示情報を取得して再描画を行うように構成してもよい。
【0018】
また、前記外圧検出ステップは、表示部の筐体に設けられたセンサの検出値に基づいて外圧を検出するように構成してもよい。この場合のセンサとしては、ひずみゲージや圧力センサ等のアナログ的にデータを取得する方式のもの、スイッチのオン、オフによってデジタル的にデータを取得する方式のものなどがある。また、表面にタッチパネルを備えているものにおいては、タッチパネル自体をセンサとして利用することも可能である。
【0019】
また、本発明の表示装置は、メモリ性を有する表示部を備えた表示装置において、前記表示部の表示情報の描画を行う表示制御手段と、前記表示部に対する外圧の有無を検出する外圧検出手段とを備え、前記表示制御手段は、前記外圧検出手段による外圧の検出値に基づいて、外圧有りと判断した後、当該外圧が解除されたと判断した場合に、前記表示部の表示情報を再描画することを特徴としている。
【0020】
本発明によれば、表示部の表示面に外圧が加わって変色したときにのみ、直ちに表示画面を再描画することで、表示内容が読み取れない状態のまま放置されることを確実に防止することができる。また、表示部の表示面に外圧が加わって変色したときにのみ再描画することで、電池の消耗を極力抑えることができ、電池寿命を延ばすことができる。また、これにより使用者による電池交換の負担も軽減することができる。さらに、コレステリック液晶の表示面とこれを保護する筐体表面との間の距離を短くすることができるので、視認性が向上するとともに、表示装置の薄型化を実現することが可能となる。さらにまた、表示部に対する外圧を検出し、その検出した外圧の有無を判断し、外圧有りと判断した後、当該外圧が解除されたと判断したときに、表示部の表示情報を再描画することで、表示画面の再描画を確実に行うことができる。すなわち、外圧を検出した時点で再描画を行うと、その後長く押された後に外圧を解除された場合には、依然として押された箇所が変色していることになるが、本発明によれば、このような不具合は発生しない。
【発明の効果】
【0021】
本発明は上記のように構成したので、表示部の表示面に外圧が加わって変色したときにのみ、直ちに表示画面を再描画することで、表示内容が読み取れない状態のまま放置されることを確実に防止することができる。また、表示部の表示面に外圧が加わって変色したときにのみ再描画することで、電池の消耗を極力抑えることができ、電池寿命を延ばすことができる。また、これにより使用者による電池交換の負担も軽減することができる。さらに、コレステリック液晶の表示面とこれを保護する筐体表面との間の距離を短くすることができるので、視認性が向上するとともに、表示装置の薄型化を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の表示制御方法を実施する表示装置の一例として、電子棚札に適用した場合について、図面を参照して説明する。
【0023】
<実施形態1>
図1は、本実施形態1に係わる電子棚札1の電気的構成を示す機能ブロック図である。
【0024】
電子棚札1は、電源部であるバッテリー11、LCD電源を生成するLCD電源回路12、ボタンやタッチパネル等からなる入力部13、電子棚札1を制御するコントロールIC14、アンテナ15、表示部16、表示部16のコレステリックLCDとコレステリック液晶(メモリ性液晶)を駆動するCOMMONドライバ17、SEGMENTドライバ18、時間を計時するRTC(Real Time Clock)19、及び表示部16に対する外圧を検出する外圧検出部20で構成されている。
【0025】
コントロールIC14は、電子棚札1を制御するためのCPU141、制御プログラムを格納するROM142、表示部16で表示するデータを記憶したり、通信の送受信バッファ等として利用するRAM143、バッテリー11の電圧や外圧検出部20による表示部16への外圧を検知するためのA/Dコンバータ(ADC)145、無線通信部であるRF回路146、LCD電源回路12の制御信号やLCD駆動信号を出力するI/O回路147で構成されている。
【0026】
バッテリー11は、LCD電源回路12とコントロールIC14に供給される。外圧検出部20は、表示部16を保護する筐体に設けられたセンサであり、筐体の変形を検出し、その検出値をADC145に供給する。
【0027】
LCD電源回路12は、バッテリー11から供給された電源を、LCDを駆動する電源に変換する回路である。LCD駆動に適した電源電圧は、コントロールIC14に入力されたバッテリー11の電圧に基づいて生成される。すなわち、コントロールIC14のCPU141で最適な電圧を生成するための制御信号を生成し、この制御信号をI/O回路147からLCD電源回路12へ送ることで、LCD電源回路12においてLCD駆動に適した電源電圧が生成される。
【0028】
コントロールIC14は、RF回路146からアンテナ15を介して図示しない棚札サーバーの棚札コントローラ31と通信を行う。また、コントロールIC14は、棚札コントローラ31からの表示データをRAM143に格納する。そして、RTC144で現在時刻を計時し、定められた時刻になると、コントロールIC14は、コレステリックLCDに表示するための必要な領域のデータをRAM143から読み出し、I/O回路147からCOMMONドライバ17やSEGMENTドライバ18へ出力する。そして、COMMONドライバ17及びSEGMENTドライバ18からコレステリックLCDに信号が送られ、コレステリックLCDに商品に関する情報が表示(描画)される。
【0029】
また、コントロールIC14は、外圧検出部20にて検出された外圧の有無を判断し、外圧有りと判断した場合に、RAM143に格納されている表示データを読み出し、I/O回路147からCOMMONドライバ17やSEGMENTドライバ18へ出力して、表示部16のコレステリックLCDに表示情報を再描画させるようになっている。このような再描画の処理手順のプログラムはROM142に予め格納されている。
【0030】
外圧検出部20は、後述する電子棚札1の筐体50部分に配置されており、ひずみゲージや圧力センサ、オン/オフスイッチ等の使用が可能である。
【0031】
図2は、本実施形態1に係わる電子棚札1の概略構造を示す断面図である。
【0032】
この電子棚札1は、厚みの薄い略直方体形状に形成された筐体50内の底面50a上に、バッテリー11、LCD電源回路12、コントロールIC14、アンテナ15、COMMONドライバ17、SEGMENTドライバ18、RTC19などが搭載された回路基板51が支持脚52に支持された状態で配置されており、この回路基板51の上に、スペーサでもある支持片53を介して表示部16であるコレステリックLCDが配置された構成となっている。そして、筐体50の上面50bのうち、コレステリックLCD16の表示面16aに対向する部分が筐体50側の表示面(透明の表示窓)55となっている。上記したように、コレステリックLCD16は表示面16aに外圧が加わるとその部分が変色することから、コレステリックLCD16の表示面16aと筐体側表示面55との間に一定の隙間t1が設けられている。しかし、筐体側表示面55が強く押されると、筐体側表示面55がコレステリックLCD16の表示面16aに接触することは避けられないため、本実施形態1ではこの接触を検出するために、筐体50に外圧検出部20を配置している。
【0033】
図2に示す例では、この外圧検出部20は、筐体50の筐体側表示面55を除く上面50b(すなわち、上面50bの外周部)の内側に直接取り付けられたひずみゲージ20aとなっており、このひずみゲージ20aの検出値がコントロールIC14に入力されるようになっている。これにより、筐体50の上面50b(すなわち、筐体側表示面55)が押されることによって撓むと、この撓み量をひずみゲージ20aで検出するようになっている。
【0034】
図3は、外圧検出部20の他の実施例を示している。
【0035】
本実施例の外圧検出部20は上記実施例と同様ひずみゲージ20aであるが、その配置位置が上記実施例とは異なっている。すなわち、本実施例では、ひずみゲージ20aが、筐体50の筐体側表示面55を除く上面50bの外側、または筐体50の側面50cの外側のいずれかの位置に直接取り付けられている。なお、図3では、筐体50の側面50cの外側に取り付けられているが、側面50cの内側に取り付けられていてもよい。このひずみゲージ20aの検出値がコントロールIC14に入力されるようになっている。これにより、筐体50の上面50b(すなわち、筐体側表示面55)が押されることによって撓むと、この撓み量をひずみゲージ20aで検出するようになっている。
【0036】
図4は、外圧検出部20の他の実施例を示している。
【0037】
本実施例の外圧検出部20は圧力センサ20bであり、筐体50の底面50aに立設された支持杆61の上部に取り付け固定されて、筐体50の上面50bにほぼ接触するように配置されている。この圧力センサ20bの検出値がコントロールIC14に入力されるようになっている。これにより、筐体50の上面50b(すなわち、筐体側表示面55)が押されることによって撓むと、この撓みを圧力センサ20bで検出するようになっている。
【0038】
図5及び図6は、外圧検出部20のさらに他の実施例を示している。
【0039】
本実施例の外圧検出部20は、リミットスイッチ等のオン/オフスイッチ20cであり、図5では、筐体50の底面50aに立設された支持杆62の上部に取り付け固定されて、筐体50の上面50bとほぼ接触するように(若しくは、若干の隙間を存して)配置されている。このオン/オフスイッチ20cの検出値(オン信号)がコントロールIC14に入力されるようになっている。これにより、筐体50の上面50b(すなわち、筐体側表示面55)が押されることによって撓むと、この撓みをオン/オフスイッチ20cで検出するようになっている。
【0040】
一方、図6では、オン/オフスイッチ20cが、筐体50の筐体側表示面55を除く上面5bの内側に直接取り付けられており、このオン/オフスイッチ20cに対向するようにして、筐体50の底面50aにスイッチ作動杆63が立設されている。スイッチ作動杆63上端部とオン/オフスイッチ20cのスイッチ部(作動部)とがほぼ接触するように(若しくは、若干の隙間を存して)対向配置されている。このオン/オフスイッチ20cの検出値(オン信号)がコントロールIC14に入力されるようになっている。これにより、筐体50の上面50b(すなわち、筐体側表示面55)が押されることによって撓むと、この撓みをオン/オフスイッチ20cで検出するようになっている。
【0041】
図7は、外圧検出部20のさらに他の実施例を示している。
【0042】
本実施例の外圧検出部20は、ひずみゲージまたは圧力センサのいずれかのセンサ20dであり、回路基板51とコレステリックLCD16との隙間において、コレステリックLCD16と接触するように、回路基板51上に配置されている。これにより、筐体50の上面50b(すなわち、筐体側表示面55)が押されることによって撓み、コレステリックLCD16の表面16aに接触すると、この接触をセンサ20dで検出するようになっている。
【0043】
図8は、外圧検出部20のさらに他の実施例を示している。
【0044】
電子棚札1は、通常、図8に示すように、店舗の陳列ケース等に取り付け用治具71を介して取り付けられている。すなわち、取り付け用治具71に設けられた左右(または上下)一対の鉤形状の係止部72に、筐体50の底面50aに設けられた前記係止部72に係止する左右(または上下)一対の鉤形状の被係止部57が設けられており、これらを互いに係止することで陳列ケース等に電子棚札1が取り付けられるようになっている。そのため、筐体50の底面50aと取り付け用治具71との間に若干の隙間Pが生じている。従って、本実施例では、筐体50の底面50aの中央部の隙間Pに外圧検出部20を配置している。本実施例の外圧検出部20は、圧力センサやオン/オフスイッチ等の各種センサ20eである。このセンサ20eの検出値がコントロールIC14に入力されるようになっている。これにより、筐体50の上面50b(すなわち、筐体側表示面55)が押されることによって筐体50全体が撓むと、この撓みをセンサ20eで検出するようになっている。
【0045】
図9は、外圧検出部20のさらに他の実施例を示している。
【0046】
上記各実施例では、外圧検出部20としてひずみゲージや圧力センサやオン/オフスイッチを用いているが、本実施例では、筐体50の筐体側表示面55上に配置された入力部13としてのタッチパネル13aを外圧検出部20として利用する実施例である。
【0047】
この場合、電子棚札1は、タッチパネル13aから情報を入力する入力モードと、表示モードとを備えており、タッチパネル13aから情報を入力する場合には、表示モードから入力モードに切り替えて入力を行うことになる。そこで、本実施例では、表示モードの状態においてタッチパネル13aが押された場合にこれをコントロールIC14で検出するようになっている。
【0048】
次に、上記のように外圧検出部20が配置された電子棚札1において、コレステリックLCD16の再描画処理について、図10に示すフローチャート及び図11に示すタイミングチャートを参照して説明する。ただし、図11(a)に示すタイミングチャートは、外圧検出部20がひずみゲージや圧力センサといった、検出値としてアナログ値を出力する場合のタイミングチャート、図11(b)に示すタイミングチャートは、外圧検出部20がオン/オフスイッチのような、検出値としてデジタル値を出力する場合のタイミングチャートである。
【0049】
コントロールIC14は、棚札コントローラ31から送信されてきた表示データを受信すると(ステップS101)、その受信データが自装置に送信されてきた表示データであるのか否かを、例えば自装置のIDコードが含まれているか否かで確認し(ステップS102)、自装置に対して送信されてきた表示データである場合には、その表示データをRAM143に記憶する(ステップS103)。そして、RTC144で現在時刻を計時し、定められた時刻になると、コントロールIC14は、コレステリックLCD16に表示するための表示データをRAM143から読み出し、I/O回路147からCOMMONドライバ17やSEGMENTドライバ18へ出力する。そして、COMMONドライバ17及びSEGMENTドライバ18からコレステリックLCD16に信号を送り、コレステリックLCD16に表示データを描画する(ステップS104)。例えば、図14(a)に示す内容がコレステリックLCD16に表示される。
【0050】
この状態において、コントロールIC14は、外部検出部20から外圧の検出値を受け取ると(ステップS105)、まず自装置が書き替え準備状態であるか否かを判断し(ステップS106)、書き替え準備状態でない場合(ステップS106でNoと判断された場合)には、外部検出部20からの外圧検出値が書き替えを必要とするレベルに設定されている閾値(この閾値の設定方法については後述する)を超えているか否かを判断する(ステップS107)。その結果、外圧検出値が書き替えを必要とする閾値を超えていない場合(ステップS107でNoと判断された場合)には、筐体50の筐体側表示面55が押されているものの、コレステリックLCD16の表示面16aが変色するとこまでは至っていないと判断できるので、この場合には何もせずにステップS101に戻る。
【0051】
一方、外圧検出値が書き替えを必要とする閾値を超えている場合(ステップS107でYesと判断された場合)には、コレステリックLCD16の書き替え準備状態にはいる(ステップS108)。すなわち、図11(a)または(b)のタイミングT1でコレステリックLCD16の書き替え準備状態にはいる。これにより、ステップS106での判断がYesとなるので、コントロールIC14は、次に外圧検出値が閾値以下になったか否かを監視する(ステップS109)。そして、外圧検出値が閾値以下になったとき(ステップS109でYesと判断されると)、すなわち図11(a)または(b)のタイミングT2になったとき、コントロールIC14は、コレステリックLCD16に表示している表示データをRAM143から読み出し(ステップS110)、I/O回路147からCOMMONドライバ17やSEGMENTドライバ18へ出力する。そして、COMMONドライバ17及びSEGMENTドライバ18からコレステリックLCD16に信号を送り、コレステリックLCD16に表示データを再描画する(ステップS111)。これにより、例えば図14(c)に示す状態となっていたコレステリックLCD16の表示画面を、同図(a)に示すように元の表示内容に再描画することができる。
【0052】
この後、コントロールIC14は、書き替え準備状態を解除して(ステップS112)、再びステップS10に戻り、棚札コントローラ31からの表示データの受信待ち状態に復帰する。
【0053】
次に、再描画のタイミングを決定するための閾値の設定方法の一例について、以下に場合分けして説明する。
【0054】
(1)外圧検出部20がひずみゲージや圧力センサ等のアナログ的にデータを取得する場合
この場合には、実際の電子棚札1の筐体50に外圧検出部20を取り付け、筐体50の筐体側表示面55を実際に押して筐体50を撓ませ、筐体側表示面55がコレステリックLCD16の表示面16aに軽く接触する程度(変色を起こさない程度)の外圧を受けたときの、外圧検出部20の外圧値をシミュレーション等の実施により取得し、その取得した外圧値を閾値としてROM142に記憶させる。
【0055】
(2)外圧検出部20がオン/オフスイッチ等のデジタル的にデータを取得する場合
実際の電子棚札1の筐体50に外圧検出部20を取り付け、筐体50に外圧が加わっていない通常時において、外圧検出部20と筐体50の上面5bとの間に隙間を設けて外圧検出部20をオフ状態としておく。そして、この状態から、筐体50の筐体側表示面55を実際に押して筐体50を撓ませ、筐体側表示面55がコレステリックLCD16の表示面16aに接触する直前に外圧検出部20がオフからオンになるような位置関係に設定する。従って、この場合の図10のステップS107及びステップS109の判断は、外圧検出値がオン信号であるか否か、ということになる。すなわち、ステップS107及びステップS109でいうところの閾値は、オン信号の電圧値ということになる。
【0056】
(3)外圧検出部20がタッチパネル13aである場合
タッチパネル13aを使用する場合には閾値を設けない。従って、図10のステップS107の判断は、表示モードにおいて、タッチパネル13aの入力信号がコントロールIC14のCPU141に入力されたか否か、ということになる。また、ステップS109の判断は、表示モードにおいて、タッチパネル13aの入力信号のCPU142への入力が解除されたか否か、ということになる。
【0057】
なお、本実施形態1では、再描画処理のタイミングとして、外圧検出値が閾値を超えた場合のタイミング(図11(a)または(b)のタイミングT1)と、外圧検出値が閾値以下になった場合のタイミング(図11(a)または(b)のタイミングT2)の両方のタイミングを見ているが、後の方のタイミング、すなわち外圧検出値が閾値以下になった場合のタイミング(図11(a)または(b)のタイミングT2)のみを見て、書き替え準備と再描画処理とを連続的に実施するように構成してもよい。
【0058】
<実施形態2>
図12は、実施形態2に係る電子棚札1の電気的構成を示す機能ブロック図である。
【0059】
本実施形態2の電子棚札1と上記実施形態1の電子棚札1との違いは、上記閾値の設定を使用者側で事後登録できる点である。そのため、本実施形態2では、操作部13に閾値設定用スイッチ13bが設けられている。その他の構成は図1に示す実施形態1の電子棚札1の構成と同様であるので、ここでは同ブロックに同符号を付すこととし、詳細な説明を省略する。
【0060】
ここで、本実施形態2の特徴である閾値の事後登録処理について、図13に示すフローチャートを参照して説明する。
【0061】
事後登録処理では、使用者が、まず閾値設定用スイッチ13bを押した状態に維持する(ステップS121)。これにより、コントロールIC14は、閾値の設定モードに移行する。そして、この状態で、使用者は筐体50の筐体側表示面55のほぼ中央部を指等で押して、筐体側表示面55を含む筐体上面5bを撓ませていく。このとき、コントロールIC14は、外部検出部20から外圧の検出値を受け取るとともに(ステップS122)、閾値設定用スイッチ13bがオフされたか否か(すなわち、閾値設定用スイッチ13bから指等が離されたか否か)を監視する(ステップS123)。
【0062】
そして、使用者は、筐体側表示面55がコレステリックLCD16の表示面16aに接触する直前の状態まで筐体側表示面55を押し込むと、その押し込んだ状態で閾値設定用スイッチ13bから指等を離す。これにより、ステップS123でYesと判断されるので、これを受けてコントロールIC14は、その時点で外部検出部20から受け取った外圧の検出値を新たな閾値としてROM142等に記憶し(ステップS124)、閾値の設定モードを解除する。すなわち、事後登録処理を終了する。
【0063】
なお、ここで設定された新たな閾値は、デフォルトとして既にROM142に登録されている閾値と区別するため、例えばRAM143に登録するようにしてもよいし、また別の不揮発性メモリを用意して、このメモリに記憶するようにしてもよい。そして、再描画処理の実施に際しては、このRAM143や別の不揮発性メモリに記憶している閾値をROM142に既にデフォルト値として登録されている閾値に優先して使用するように構成しておけばよい。
【0064】
このように、閾値を使用者側で自由に設定変更できるようにすることで、実際の使用現場にあったタイミングでの再描画処理の実施が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
上記実施形態では、本発明の表示制御方法を適用した表示装置として電子棚札を例示しているが、この電子棚札に限定されるものではない。最近では、電子ブックや携帯電話機などにも表示部にコレステリックLCDが搭載されているので、このような電子ブックや携帯電話機をはじめ、コレステリックLCDを表示部として搭載している全ての表示装置において本発明の表示制御方法を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施形態1に係わる電子棚札の電気的構成を示す機能ブロック図である。
【図2】実施形態1に係わる電子棚札の概略構造を示す断面図である。
【図3】外圧検出部の他の実施例を示す断面図である。
【図4】外圧検出部のさらに他の実施例を示す断面図である。
【図5】外圧検出部のさらに他の実施例を示す断面図である。
【図6】外圧検出部のさらに他の実施例を示す断面図である。
【図7】外圧検出部のさらに他の実施例を示す断面図である。
【図8】外圧検出部のさらに他の実施例を示す断面図である。
【図9】外圧検出部のさらに他の実施例を示す断面図である。
【図10】実施形態1に係わる電子棚札の再描画処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】実施形態1に係わる電子棚札の再描画処理を説明するためのタイミングチャートである。
【図12】実施形態2に係わる電子棚札の電気的構成を示す機能ブロック図である。
【図13】実施形態2の特徴である閾値の事後登録処理を説明するためのフローチャートである。
【図14】コレステリック液晶の表示装置を電子棚札として使用した場合の表示例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0067】
1 電子棚札
11 バッテリー
12 LCD電源回路
13 入力部
13a タッチパネル
13b 閾値設定用スイッチ
14 コントロールIC
15 アンテナ
16 表示部(コレステリックLCD)
16a 表示面
17 COMMONドライバ
18 SEGMENTドライバ
19 RTC
20 外圧検出部
20a ひずみゲージ
20b 圧力センサ
20c オン/オフスイッチ
20d,20e センサ
31 棚札コントローラ
50 筐体
50a 底面
50b 上面
50c 側面
55 表示面
141 CPU
142 ROM
143 RAM
145 A/Dコンバータ(ADC)
146 RF回路
147 I/O回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリ性を有する表示部を備えた表示装置の表示制御方法であって、
前記表示部に対する外圧を検出する外圧検出ステップと、
前記外圧検出ステップにて検出した外圧の有無を判断する第1の判断ステップと、
前記第1の判断ステップにより外圧有りと判断した場合に、前記表示部の表示情報を再描画する描画ステップと、を備えたことを特徴とする表示装置の表示制御方法。
【請求項2】
メモリ性を有する表示部を備えた表示装置の表示制御方法であって、
前記表示部に対する外圧を検出する外圧検出ステップと、
前記外圧検出ステップにて検出した外圧の有無を判断する第1の判断ステップと、
前記第1の判断ステップにて外圧有りと判断した後、当該外圧の解除を判断する第2の判断ステップと、
前記第2の判断ステップにより外圧解除と判断した場合に、前記表示部の表示情報を再描画する描画ステップと、を備えたことを特徴とする表示装置の表示制御方法。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置の表示制御方法において
前記第1の判断ステップは、所定の値以上の外圧で外圧有りと判断し、
前記第2の判断ステップは、所定の値以下の外圧で外圧の解除と判断することを特徴とする表示装置の表示制御方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の表示装置の表示制御方法において、
前記描画ステップは、前記表示装置の記憶部に記憶された表示情報を表示部に再描画することを特徴とする表示装置の表示制御方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の表示装置の表示制御方法において、
前記外圧検出ステップは、表示部の筐体に設けられたセンサの検出値に基づいて外圧を検出することを特徴とする表示装置の表示制御方法。
【請求項6】
メモリ性を有する表示部を備えた表示装置において、
前記表示部の表示情報の描画を行う表示制御手段と、
前記表示部に対する外圧の有無を検出する外圧検出手段を備え、
前記表示制御手段は、前記外圧検出手段による外圧の検出値に基づいて、外圧有りと判断した後、当該外圧が解除されたと判断した場合に、前記表示部の表示情報を再描画することを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−258382(P2009−258382A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107145(P2008−107145)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】