説明

表示制御装置、方法およびプログラム

【課題】運転者の注意を惹くように表示対象を背景に重ねて表示させる技術を提供する。
【解決手段】背景に対して表示対象を重ねて表示する車載表示部を制御するにあたり、車両が第1区間を走行する場合における背景の色である第1背景色と、車両が第1区間に続いて第2区間を走行する場合における背景の色である第2背景色とが異なる場合に、第2背景色と異なる色であって、車両が第1区間を走行する場合における表示対象の色である第1表示色と第1背景色との少なくとも一方と異なる色を、第2区間を走行する場合における表示対象の色である第2表示色として設定し、車両が第2区間を走行する場合に表示対象を第2表示色で表示するように車載表示部を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示対象の色を設定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のフロントウィンドウの一部に表示対象の画像を投影することにより、フロントウィンドウを介して視認される実風景に表示対象の画像を重ねて表示する技術が開示されている(特許文献1、参照。)。特許文献1において、実風景の色と異なる色を表示対象の色とすることにより、実風景に表示対象の画像が紛れることを防止し、表示対象の視認性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−162442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、実風景の色と表示対象の色とが異なっていても、表示対象の色そのものが運転者の注意を惹く色でなくなる場合が生じるという問題があった。すなわち、表示対象の色が実風景の色と異なっていても、表示対象の色が継続して運転者に視認されていた色となっていれば、運転者は表示対象に対して目新しさを感じなくなり、運転者の注意を十分に惹くことができないという問題があった。さらに、人間の視覚の感度は、継続して視認していた色に対して低下するという順応特性を有しているため、運転者が継続して視認していた色で表示対象を表示した場合には表示対象に運転者の注意を十分に惹くことができないという問題があった。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、運転者の注意を惹くように表示対象を背景に重ねて表示させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明において、表示制御手段は、背景に対して表示対象を重ねて表示させるように表示制御部を制御する。
ここで、第1背景色は車両が第1区間を走行する場合における背景の色であり、第2背景色は車両が第2区間を走行する場合における背景の色である。また、第1表示色は車両が第1区間を走行する場合における表示対象の色であり、第2表示色は車両が第2区間を走行する場合における表示対象の色である。
色設定手段は、背景の色が第1背景色から第2背景色へと変化する場合、すなわち背景色が互いに異なる第1区間から第2区間へ車両が進入する場合に、第2表示色を第2背景色と異なる色であって、第1表示色と第1背景色の少なくとも一方と異なる色に設定する。そして、車両が第2区間を走行する場合において、表示制御手段は、色設定手段が設定した第2表示色によって表示対象を表示させる。
【0006】
以上の構成において、第2表示色は第2背景色と異なる色とされる。従って、車両が第2区間を走行する場合に表示対象が背景に紛れることが防止でき、表示対象を明瞭に視認させることができる。また、第2表示色は第1表示色と第1背景色との少なくとも一方と異なる色とされる。従って、車両が第2区間を走行する場合に、車両が第2区間に到達する前に運転者が視認してきた第1表示色や第1背景色と異なる色によって、表示対象を表示できる。すなわち、第2表示色を運転者にとって目新しい色とすることにより、運転者の注意を惹くように表示対象を表示させることができる。さらに、車両が第1区間を走行する期間において運転者の視覚の感度が第1表示色や第1背景色に対して低下していても、車両が第2区間を走行する場合において運転者の視覚の感度が低下していない色で表示対象を表示させることができ、車両が第2区間を走行する場合において表示対象の視認性を確保することができる。
【0007】
ここで、背景とは車両の走行にともなって変化するものであればよく、車両のフロントガラス等の透明部材を介して車両内から視認される実風景が例に挙げられる。また、背景は、車両の走行にともなってスクロールする地図等であってもよい。また、第1表示色と第1背景色とは車両が第1区間を走行する期間の少なくとも一部における表示対象と背景の色であればよく、第2表示色と第2背景色も車両が第2区間を走行する期間の少なくとも一部における表示対象と背景の色であればよい。なお、本発明において色が異なる場合には、色相や彩度が異なる場合のほか明度が異なる場合も含まれる。
【0008】
色設定手段は、第2表示色を第1表示色と第1背景色のいずれか一方と異ならせてもよいし、第2表示色を第1表示色と第1背景色の双方と異ならせてもよい。第2表示色を第1表示色と異なる色とすれば、車両が第2区間を走行する場合に、表示対象そのものに目新しさを感じさせることができ、運転者の注意を表示対象に惹きつけることができる。また、運転者は背景と表示対象の双方を視野に捉えるため、第1表示色と第1背景色の双方に対して視覚の感度が低下すると考えられる。従って、第2表示色を第1表示色と第1背景色の一方のみと異ならせた場合でも、第2表示色を運転者の視覚の感度が低下していない色とすることができる。
【0009】
ところで、色設定手段が第2表示色を設定するタイミングは、車両が第2区間に到達するのと同時であってもよいし、車両が第2区間に到達する前であってもよい。前者の場合、背景の色を監視するセンサによって背景の色が第1背景色から第2背景色に変化したことを検知し、当該検知に応じて色設定手段が第2背景色を設定すればよい。後者の場合、第1背景色から第2背景色へと変化することを事前に予測することが必要となる。そこで、第1区間と第2区間のそれぞれに第1背景色と第2背景色とを対応付けた背景色情報を予め記憶手段に記憶させておけば、当該背景色情報を参照することにより背景の色が第1背景色から第2背景色へと変化することを事前に予測することができる。
【0010】
背景の色が第1背景色から第2背景色へと変化することを事前に予測できる場合において好適な具体的態様を以下に挙げる。
すなわち、色設定手段は、車両が第2区間への進入を開始する所定の進入開始動作を行ってから第2区間への進入が終了する所定の進入終了動作を行うまでの進入期間における表示対象の色である第3表示色を、第1表示色から第2表示色へと段階的に変化する色に設定してもよい。車両が第1区間に続いて第2区間を走行する場合に、表示対象の色が第1表示色から第2表示色へと変化する。この場合において、表示対象の色を第1表示色から第2表示色へと段階的に変化させることにより、表示対象の色が第1表示色から第2表示色へと急激に変化することを防止し、運転者に違和感を与えることが防止できる。なお、進入期間は、第1区間と第2区間とが接続する接続地点を車両が走行する期間であると捉えることができる。従って、車両が接続地点を走行する期間を進入期間とし、当該進入期間において表示対象を第3表示色で表示させてもよい。例えば、進入期間は、第1区間と第2区間とを接続する接続地点としての交差点の全部または一部を含む区間を車両が走行する期間であってもよい。
【0011】
進入開始動作は、例えば車両が第2区間まで所定距離以内に接近することや、車両の進行方向が第1区間の方向から第2区間の方向へと所定角度以上傾いたこととすることができる。前者の進入開始動作は車両が道なりに走行して第2区間へ進入する場合に好適であるし、後者の進入開始動作は車両が旋回をともなって第2区間へ進入する場合に好適である。進入終了動作は、例えば車両が第2区間に到達することや、車両の進行方向が第2区間の方向と平行になることとすることができる。前者の進入終了動作は車両が道なりに走行して第2区間へ進入する場合に好適であるし、後者の進入終了動作は車両が旋回をともなって第2区間へ進入する場合に好適である。
【0012】
第3表示色を第1表示色から第2表示色へ変化させる具体的手法の一例として、車両が第2区間に近いほど第2表示色の混色比が大きくなるように第1表示色と第2表示色とを混色した第3表示色を設定してもよい。このようにすることにより、車両が第2区間へと進入する際に背景色が第1背景色から第2背景色へと変化していくのにつれて、段階的に表示対象の色を第1表示色から第2表示色へと近づけていくことができる。なお、車両が第2区間に近いほど第2表示色の混色比が大きくなればよく、車両と第2区間との距離と混色比との関係は線形であっても非線形であってもよい。
【0013】
第1区間と第2区間とが道なりに接続していない場合等には、第2区間への進入に旋回がともなうこととなる。このような場合に好適な手法の例として、車両の進行方向が第2区間に対して平行に近くなるほど第2表示色の混色比が大きくなるように第1表示色と第2表示色とを混色した第3表示色を設定してもよい。このようにすることにより、車両が旋回しながら第2区間へと進入する際に背景色が第1背景色から第2背景色へと変化していくのにつれて、段階的に表示対象の色を第1表示色から第2表示色へと近づけていくことができる。第2区間への進入に旋回がともなう場合、背景色の変化は、第2区間に対する車両の距離よりも車両の進行方向に相関する。従って、車両の進行方向の第2区間に対する平行度に応じて混色することにより、車両が旋回して第2区間に進入する場合の背景色の変化に同期して表示色を変化させることができる。
【0014】
さらに、第1区間に対して複数の第2区間が接続する場合、複数の前記第2区間のそれぞれについての前記第2背景色のいずれとも異なる色を、複数の前記第2区間のそれぞれに対して共通する前記第2表示色として設定するのが望ましい。このようにすることにより、複数の第2区間のそれぞれについて異なる第2表示色を設定しなくても済むし、車両がどの第2区間を走行したとしても第2背景色と異なる色で表示対象を表示できる。また、第3表示色を第1表示色から変化させる変化先の第2表示色が共通となるため、車両がどの第2区間に進入するか不確定な場合でも、第3表示色を第1表示色から第2表示色へと変化させることができる。
【0015】
さらに、本発明のように案内を表示する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のような装置、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような装置を備えたナビゲーション装置や方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ナビゲーション装置のブロック図である。
【図2】表示制御処理のフローチャートである。
【図3】(3A)〜(3B)は車両が第2区間に進入する様子を示す模式図である。
【図4】(4A)〜(4C)は第2表示色を設定する様子を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーション装置の構成:
(2)表示制御処理:
(3)背景色情報作成処理:
(4)他の実施形態:
【0018】
(1)ナビゲーション装置の構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる表示制御装置を含むナビゲーション装置10を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、CPU、RAM、ROM等を備える制御部11と記録媒体12と表示I/F部13とを備えており、制御部11は、記録媒体12やROMに記憶されたプログラムを実行する。このプログラムの一つとして、制御部11はナビゲーションプログラム100を実行する。記録媒体12には、地図情報12aと背景色情報12bとが記憶される。地図情報12aには、車両が走行する道路上に設定された複数のノードを示すノードデータと、始点と終点とがノードによって構成される道路のリンク(以下、本明細書において特に示さない限り、リンクは区間に対応する。)の形状を特定するための形状補間点データと、区間の道路種別や車線等を示すリンクデータ等が含まれる。ノードには、交差点に対応するノードが含まれる。背景色情報12bには、区間ごとに背景色を示す情報が含まれる。背景色情報12bが示す背景色は、フロントガラス越しに視認される実風景のうち、プロジェクタ45によって画像が投影されるフロントガラス上の表示領域46を含む所定の重畳領域Aにて視認される部分の平均色である。本実施形態では、表示領域46は矩形状であり、重畳領域Aは表示領域46を中央に含む矩形状の領域である。運転者に視認される実風景は、車両の走行にともなって変化する。表示I/F部13は、制御部11から車載表示部としてのプロジェクタ45へ映像信号を送信するためのインタフェース部である。
【0019】
本実施形態においては、ナビゲーションプログラム100による機能を実現するため、車両には、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43とユーザI/F部44とプロジェクタ45と表示領域46とカメラ47とが備えられている。GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在位置を算出するための信号を制御部11に出力する。車速センサ42は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を制御部11に出力する。制御部11は、車輪の回転速度に対応した信号に基づいて車速を取得する。ジャイロセンサ43は、車両の角加速度を検出し、当該角加速度に対応する信号を制御部11に出力する。制御部11は、角加速度に対応する信号に基づいて、車両の前方が向く方向(以下、進行方向と表記する。)を取得する。ユーザI/F部44は、利用者に各種の情報を提供し、または利用者の指示を入力するためのインタフェース部であり、図示しないタッチパネルディスプレイやスピーカーなどを備えている。
【0020】
プロジェクタ45は、車両のフロントガラスの一部に形成された表示領域46に対して制御部11から出力された映像信号に基づくカラー画像を投影する。表示領域46は、プロジェクタ45からの投影光を反射させ、車両外から車両内に光を透過させる。すなわち、運転者から表示領域46を視認した場合に、車両外の実風景にプロジェクタ45によって投影された画像が重ね合わされる。本実施形態では、表示領域46において車速を示すアイコンIが表示対象として表示される。アイコンIは、車速を示す文字を下地に重ねた画像である。アイコンIの下地の色を、以下、単にアイコンIの色と表記する。カメラ47は、運転者の視点位置から所定距離以内の範囲に備えられ、重畳領域Aを画角に含む。カメラ47は、重畳領域Aの画像を撮影し、当該画像を示す画像データを制御部11に出力する。
【0021】
次に、ナビゲーションプログラム100の構成について説明する。ナビゲーションプログラム100は、背景色情報取得部110と色設定部120と表示制御部130と背景色登録部140とを備える。ここでは、ナビゲーションプログラム100の各モジュールを説明するにあたり、以下の文言を定義する。
・第1区間は車両が現在走行している区間を指す。
・第2区間は車両が第1区間に続いて走行する区間を指す。
・第1背景色は車両が第1区間を走行する場合における背景色を指す。
・第2背景色は車両が第2区間を走行する場合における背景色を指す。
・第1表示色は車両が第1区間を走行する場合におけるアイコンIの色を指す。
・第2表示色は車両が第2区間を走行する場合におけるアイコンIの色を指す。
・第3表示色は車両が第2区間への進入を開始する進入開始動作を行ってから第2区間への進入が終了する進入終了動作を行うまでの進入期間におけるアイコンIの色を指す。
【0022】
背景色情報取得部110は、第2背景色を取得する機能を制御部11に実行させるモジュールである。すなわち、背景色情報取得部110の機能により制御部11は、地図情報12aと車両の現在位置と進行方向とに基づいて、車両が第1区間の終点にて到達する交差点を特定する。そして、背景色情報取得部110の機能により制御部11は、地図情報12aと車両の現在位置と進行方向とに基づいて車両が交差点を退出した後に進入する第2区間を特定し、背景色情報12bを参照して当該第2区間を車両が走行する場合の第2背景色を取得する。第1背景色と第2背景色とが互いに異なる場合、車両がこれから第2区間へ進入することにより、表示領域46の重畳領域Aにて視認される背景色が第1背景色から第2背景色へと変化する。
【0023】
色設定部120は、第1表示色と第1背景色と第2背景色とのいずれとも異なる色を、第2表示色として設定する機能を制御部11に実行させるモジュールである。すなわち、色設定部120の機能により制御部11は、現在、表示領域46に表示させているアイコンIの色を第1表示色として取得し、第1表示色と第1背景色と第2背景色のいずれとも異なる色を、第2表示色として設定する。
【0024】
さらに、色設定部120は、車両が道なりに第2区間へと進入する場合の進入期間におけるアイコンIの色である第3表示色を、車両が第2区間に近いほど第2表示色の混色比が大きくなるように第1表示色と第2表示色とを混色した色に設定する機能を制御部11に実行させるモジュールである。すなわち、色設定部120の機能により制御部11は、車両が第1区間の終点としての交差点を道なりに走行することにより、第2区間に進入する場合には、車両が第2区間に接近するほど第2表示色の混色比が大きくなるように第1表示色と第2表示色とを混色する。この場合において、進入期間の始期を規定する進入開始動作は車両が第2区間に対して所定距離以内に接近することであり、進入期間の終期を規定する進入終了動作は車両が第2区間に到達することである。これにより、第3表示色は、車両が第2区間に接近するにつれて、段階的に第1表示色から第2表示色へと変化していくこととなる。なお、進入期間は、第1区間と第2区間とが接続する接続地点を車両が走行する期間であると捉えることができる。従って、車両が接続地点を走行する期間を進入期間とし、当該進入期間において表示対象を第3表示色で表示させてもよい。例えば、進入期間は、第1区間と第2区間とを接続する接続地点としての交差点の全部または一部を含む区間を車両が走行する期間であってもよい。
【0025】
また、色設定部120は、車両が道なりを逸脱して第2区間へと進入する場合の進入期間におけるアイコンIの色である第3表示色を、車両の進行方向が第2区間に対して平行に近くなるほど第2表示色の混色比が大きくなるように第1表示色と第2表示色とを混色した色に設定する機能を制御部11に実行させるモジュールである。すなわち、色設定部120の機能により制御部11は、車両が第1区間の終点としての交差点を道なりに走行するのではなく、道なりから逸脱し、旋回をともなって第2区間に進入する場合には、車両の進行方向が第2区間に対して平行に近くなるほど第2表示色の混色比が大きくなるように第1表示色と第2表示色とを混色する。この場合において、進入期間の始期を規定する進入開始動作は車両の進行方向が第1区間の方向から第2区間の方向へと所定角度以上傾いたことであり、進入期間の終期を規定する進入終了動作は車両の進行方向が第2区間の方向と平行になることである。これにより、第3表示色は、車両が第2区間に平行となるように旋回していくにつれて、段階的に第1表示色から第2表示色へと変化していくこととなる。
【0026】
表示制御部130は、車両が第1区間と第2区間を走行する場合にそれぞれアイコンIを第1表示色と第2表示色で表示する機能を制御部11に実行させるモジュールである。すなわち、表示制御部130の機能により制御部11は、車両が第1区間と第2区間とを走行する場合に、アイコンIを表示させるための画像を生成するに際し、当該アイコンIの色を色設定部120の機能によって設定された第1表示色と第2表示色とする。そして、表示制御部130の機能により制御部11は、車両が第1区間と第2区間とを走行する場合に、アイコンIを表示領域46に表示させるようプロジェクタ45に映像信号を出力する。プロジェクタ45は、映像信号に基づいて投影光を投影し、表示領域46にアイコンIを表示させる。また、表示制御部130の機能により制御部11は、進入期間においては、アイコンIを表示させるための画像を生成するに際し、当該アイコンIの色を色設定部120の機能によって設定された第3表示色とする。すなわち、進入期間においては、アイコンIの色が段階的に第1表示色から第2表示色へと変化していくこととなる。
【0027】
背景色登録部140は、区間ごとに背景色を特定し、当該背景色を区間と対応付けて背景色情報12bに登録する機能を制御部11に実行させるモジュールである。すなわち、背景色登録部140の機能により制御部11は、車両の現在位置と地図情報12aとに基づいて車両が走行する区間を特定し、当該区間を走行する期間において重畳領域Aを撮影した画像データをカメラ47から取得する。そして、背景色登録部140の機能により制御部11は、当該期間における重畳領域Aの平均色を取得し、当該平均色を背景色として区間に対応付けて背景色情報12bに登録する。
【0028】
以上の構成において、第2表示色は第2背景色と異なる色とされる。従って、車両が第2区間を走行する場合に表示対象が背景に紛れることが防止でき、表示対象を明瞭に視認させることができる。また、第2表示色は第1表示色と第1背景色のいずれとも異なる色とされる。第2表示色が第1表示色と第1背景色と異なる色となるため、車両が第2区間を走行する場合に目新しさを感じさせることができ、運転者の注意を表示対象に惹きつけることができる。特に、第2表示色が第1表示色と異なる色となるため、アイコンIそのものの色に目新しさを感じさせることができ、より効果的に運転者の注意を表示対象に惹きつけることができる。また、車両が第1区間を走行する期間において運転者の視覚の感度が第1表示色や第1背景色に対して低下しても、車両が第2区間を走行する場合において運転者の視覚の感度が低下していない色でアイコンIを表示させることができ、車両が第2区間を走行する場合においてアイコンIの視認性を確保することができる。
【0029】
本実施形態では、第1区間と第2区間とを含む区間のそれぞれに背景色を対応付けて登録した背景色情報12bを記録媒体12に記憶させている。従って、制御部11は、背景色情報12bを参照することにより、背景の色が第1背景色から第2背景色へと変化することを事前に予測することができる。
【0030】
本実施形態では、車両が道なりに第2区間へと進入する場合の進入期間において、車両が第2区間に近いほど第2表示色の混色比が大きくなるように第1表示色と第2表示色とを混色した第3表示色を設定している。このようにすることにより、車両が道なりに第2区間へと進入する際に背景色が第1背景色から第2背景色に変化していくのにつれて、段階的に表示対象の色を第2表示色へと近づけていくことができる。すなわち、表示対象の色が第1表示色から第2表示色へと変化する際に、表示対象の色を第1表示色から第2表示色へと段階的に変化させることにより、アイコンIの色が第1表示色から第2表示色へ急激に変化することを防止し、運転者に違和感を与えることが防止できる。
【0031】
さらに、本実施形態では、車両が道なりから逸脱して第2区間へと進入する場合の進入期間において、車両の進行方向が第2区間に対して平行に近くなるほど第2表示色の混色比が大きくなるように第1表示色と第2表示色とを混色した第3表示色を設定している。このようにすることにより、車両が道なりから逸脱して第2区間へと進入する場合に、車両の旋回にともなって背景色が第1背景色から第2背景色に変化していくのにつれて、段階的に表示対象の色を第2表示色へと近づけていくことができる。従って、第2区間への進入に旋回がともなう場合において、アイコンIの色が第1表示色から第2表示色へ急激に変化することを防止し、運転者に過剰な注意を喚起することが防止できる。第2区間への進入に旋回がともなう場合、背景色の変化は、第2区間に対する車両の距離よりも車両の方向に相関する。従って、車両の進行方向の第2区間に対する平行度に応じて混色することにより、第2区間への進入に旋回がともなう場合の背景色の変化に同期した混色を行うことができる。
【0032】
(2)表示制御処理:
次にナビゲーション装置10が実行する表示制御処理の流れを説明する。図2は、ナビゲーション装置10にて実行される表示制御処理のフローチャートである。図3A,3Bは、車両が第2区間に進入する様子を示す模式図である。ステップS100において、背景色情報取得部110の機能により制御部11は、地図情報12aと車両の現在位置とに基づいて車両が現在走行している第1区間を特定し、車両が当該第1区間の終点である交差点から所定距離D1(例えば、30m。)以内に位置しているか否かを判定する。交差点の位置は第1区間の終点をなすノードが示す位置である。交差点の位置と車両の現在位置との距離をDと表記する。また、図3A,3Bにおいて車両の現在位置と進行方向とを、それぞれ黒点と当該黒点から引き出された矢印で表す。
【0033】
車両が交差点から距離D1以内に位置している場合には、ステップS110において、背景色情報取得部110の機能により制御部11は、現在の進行方向と第1区間の方向とが交差点においてなす角度αを取得し、当該角度αが所定角度γ以上となるか否かを判定する。すなわち、背景色情報取得部110の機能により制御部11は、車両が道なりを逸脱して第2区間に進入する場合の進入開始動作を行ったか否かを判定する。γは、例えば5度とされる。角度αが角度γ以下である場合には、ステップS120において、背景色情報取得部110の機能により制御部11は、車両の現在位置が交差点に対して所定距離D2以内となっているか否かを判定する。すなわち、背景色情報取得部110の機能により制御部11は、車両が道なりに第2区間に進入する場合の進入開始動作を行ったか否かを判定する。車両の現在位置が交差点に対して距離D2以内となっていない場合には、ステップS110に戻る。
【0034】
ステップS110〜S120は、時間の経過とともに逐次更新される進行方向と現在位置とに基づいて繰り返して行われる。ステップS120にて車両の現在位置が区間Aに対して距離D2以内となったと判定された場合、背景色情報取得部110の機能により制御部11は、ステップS130において車両が交差点を道なりに走行すると判定する。すなわち、車両が交差点を道なりに走行し、第1区間に道なりに接続する区間Aに進入する進入期間が開始したものと判定(道なり判定)する。一方、ステップS110において角度αが所定角度よりも大きくなったと判定された場合、背景色情報取得部110の機能により制御部11は、ステップS140において車両が交差点を道なりに走行しないと判定(道なり逸脱判定)する。すなわち、車両が交差点において第1区間の道なりから逸脱し、第1区間に道なりに接続する区間A以外の区間に進入する進入期間が開始したものと判定する。
【0035】
道なり判定がなされた場合、ステップS150において、背景色情報取得部110の機能により制御部11は、第1区間に対して道なり方向に接続する区間Aを第2区間として特定する。一方、道なり逸脱判定がなされた場合、ステップS160において、背景色情報取得部110の機能により制御部11は、逸脱方向の区間である区間Bを第2区間として特定する。逸脱方向の区間とは、角度αがそのまま増加するように車両が旋回した場合に、車両の進行方向と最初に平行となる区間を指す。以上のように、道なり判定がされた場合と、道なり逸脱判定がされた場合とで、異なる区間A,Bが第2区間として特定されることとなる。
【0036】
ステップS170において、背景色情報取得部110の機能により制御部11は、背景色情報12bを参照して第1区間と第2区間にそれぞれ対応付けられた第1背景色と第2背景色とを取得する。ステップS180において、色設定部120の機能により制御部11は、第1背景色と第2背景色とが異なるか否かを判定し、第1背景色と第2背景色とが異ならない場合には、アイコンIの色を変更する必要がないとして処理を終了させる。ここで、第1背景色と第2背景色とが異なるか否かは種々の手法に基づいて判定できる。例えば、第1背景色と第2背景色とをCIELAB色空間(JIS Z 8729)で表した場合における第1背景色と第2背景色とのユークリッド距離である色差(CIE1976の色差)が所定の閾値(例えば、10。)よりも大きい場合に、第1背景色と第2背景色とが異なると判定してもよい。なお、第1背景色と第2背景色とが異なる場合、車両が第1区間に続いて第2区間を走行した場合に背景色が変化することとなる。
【0037】
第1背景色と第2背景色とが実質的に異なる場合、ステップS190において、色設定部120の機能により制御部11は、現在、表示制御部130の機能により表示領域46において表示させているアイコンIの色である第1表示色を取得する。そして、ステップS200において、色設定部120の機能により制御部11は、第2表示色を、第1表示色と第1背景色と第2背景色のいずれとも異なる色に設定する。
【0038】
図4A,4Bは、本実施形態において第2表示色を設定する様子を示すグラフである。同図においてCIELAB色空間を明度軸(L*軸:原点)方向から見て示しており、第1背景色と第2背景色と第1表示色を表すL*軸からの色ベクトルB1(灰系),B2(青系),T1(橙系)が示されている。図4Aは、車両がビル群に囲まれた第1区間に続いて前方に空が開けた道なりの第2区間(区間A)を走行する場合を想定したものである。また、図4Aにおいてプロジェクタ45が表示領域46にて表示させることが可能な色域Gを実線により示している。まず、制御部11は、L*軸を中心とした周方向おいて隣接する色ベクトルB1,B2,T1がなす3個の相対角を特定し、当該3個の相対角のなかで最も大きい角(破線で図示。)を二等分する色相方向Hを特定する。色相方向Hが特定できると、色域Gのうち当該色相方向Hにおいて最も彩度の高い色を第2表示色(色ベクトルT2(緑系))として特定する。
【0039】
一方、図4Bにおいて、第1背景色と第2背景色と第1表示色を表すL*軸からの色ベクトルB1(灰系),B2(緑系),T1(橙系)が示されている。図4Bは、車両がビル群に囲まれた第1区間から旋回をしながら山を前方に臨む第2区間(区間B)に進入する場合を想定したものである。この場合、色ベクトルB1,B2,T1のいずれとも色相が異なる色ベクトルT2(青系)に対応する第2表示色が設定される。以上のように、制御部11は、第1表示色と第1背景色と第2背景色のいずれとも色相が異なる色のうち、最も鮮やかに表示させることが可能な色を第2表示色として設定する。色域Gのうち最も彩度の高い色を第2表示色とすることにより、運転者の注意を惹くようにアイコンIを表示させることができる。
【0040】
第2背景色を設定すると、ステップS210において、色設定部120の機能により制御部11は、ステップS130にて道なり判定がなされていたか否かを判定する。道なり判定がなされていた場合には、ステップS220において、色設定部120の機能により制御部11は、車両が第2区間に到達したか否かを判定する。すなわち、色設定部120の機能により制御部11は、車両の現在位置と第2区間との距離Dが0となったか否かを判定する。車両が第2区間に到達すると、進入終了動作が行われたとして進入期間が終了する。車両が第2区間に到達していない場合には、ステップS230において、色設定部120の機能により制御部11は、距離Dに応じて第1表示色と第2表示色とを混色した第3表示色を設定する。すなわち、車両の現在位置が第2区間に近くなるほど第2表示色の混色比を大きくするように第1表示色と第2表示色とを混色した第3表示色を設定する。まず、色設定部120の機能により制御部11は、車両の現在位置と第2区間(交差点)との距離Dに基づいて混色比Rを算出する。混色比Rは、例えば以下の(1)式で与えられる。
R=(D2−D)/D2 ・・・(1)
距離D2は進入開始動作が行われたタイミングにおける車両と第2区間との距離Dであり、進入開始動作が行われたタイミングから現在までに車両が進行した距離(D2−D)を距離D2で除算した値が混色比Rとなる。混色比Rは、車両の現在位置の関数であり、進入開始動作が行われたタイミングにおいて0となり、車両が第2区間に到達する場合に1となる性質を有する。
【0041】
車両の現在位置に基づいて混色比Rが得られると、色設定部120の機能により制御部11は、混色比Rに基づいて第1表示色と第2表示色とを混色する。例えば、CIELAB色空間において第3表示色を表す色ベクトルをT3と表記すると、色ベクトルT3は、以下の(2)式で与えられる。
3=(1−R)×T1+R×T2 ・・・(2)
このようにして第3表示色を表す色ベクトルT3を求めると、図4Aに図示するように第3表示色は、第1表示色と第2表示色とを結ぶ線分(一点鎖線で図示。)上を推移する色となる。このように、色空間において直線的に色が推移するように混色してもよいし、例えば無彩色(L*軸)を経由するように混色してもよいし、彩度(L*軸との距離)を維持するように混色してもよい。混色比Rは車両の現在位置の線形関数に限られず、現在位置の非線形関数であってもよい。なお、色相を説明するためにCIELAB色空間を例示したが、他のいかなる色空間において第2表示色や第3表示色を設定してもよい。
【0042】
以上のように第3表示色が設定できると、ステップS240において、表示制御部130の機能により制御部11は、表示領域46において第3表示色でアイコンIを表示させる。なお、第3表示色が最初に設定されるまでは、表示領域46においてアイコンIは第1表示色で表示されることとなる。ステップS240が完了すると、ステップS220に戻る。すなわち、ステップS220〜S240は所定の時間周期ごとに行われるループ処理である。従って、時間の経過とともに逐次更新される現在位置に基づいてステップS230における第3表示色の設定が繰り返して行われる。すなわち、車両が第2区間に接近するほど混色比Rが1に近づいていき、第1表示色(橙系)から第2表示色(緑系)へと段階的に変化するように第3表示色が設定される。そして、車両が道なりに第2区間に到達した場合、すなわち進入期間が終了した場合に、第3表示色の設定のループ処理が終了する。
【0043】
第3表示色の設定のループ処理が終了すると、ステップS250において、表示制御部130の機能により制御部11は、表示領域46において第2表示色でアイコンIを表示させ、表示制御処理の最初に戻る。これにより、将来、車両が第2区間の終点としての交差点に対して距離D1以内まで接近した場合には、第2区間と第2表示色とがそれぞれ第1区間と第1表示色として扱われ、同様に表示制御処理が実行されることとなる。なお、車両が道なりに第2区間へ進入する場合、進入期間は、第1区間と第2区間とを接続する接続地点としての交差点から距離D2以内の区間を車両が走行する期間であると換言できる。
【0044】
一方、ステップS210において道なり判定がなされていなかったと判定されなかった場合、すなわちステップS140にて道なり逸脱判定がされた場合、ステップS260において、色設定部120の機能により制御部11は、進行方向が第2区間の方向と平行であるか否かを判定する。すなわち、色設定部120の機能により制御部11は、第2区間へ進入するための旋回が終了したか否かを判定する。具体的には、第1区間と第2区間の方向が交差点においてなす角度βと、進行方向と第2区間の方向とが交差点においてなす角度αが実質的に等しい場合には、進行方向が第2区間の方向と平行であると判定する。車両の進行方向が第2区間の方向と平行になると、進入終了動作が行われたとして進入期間が終了する。例えば、(β−α)が5度以内の場合に、進行方向が第2区間の方向と平行であると判定する。
【0045】
進行方向が第2区間の方向と平行でない場合には、ステップS270において、色設定部120の機能により制御部11は、角度αに基づいて第1表示色と第2表示色とを混色した第3表示色を設定する。すなわち、車両の進行方向が第2区間の方向に対して平行に近くなるほど第2表示色の混色比を大きくするように第1表示色と第2表示色とを混色した第3表示色を設定する。ここでは、第1区間と第2区間の方向が交差点においてなす角度βと、進行方向と第2区間の方向とが交差点においてなす角度αとを取得し、これらに基づいて混色比Rを算出する。混色比Rは、例えば以下の(3)式で与えられる。
R=α/β ・・・(3)
混色比Rは、車両の進行方向の関数であり、道なり逸脱判定がなされたタイミングにおいてγ/βとなり、第2区間へ進入するための旋回が終了した場合に1となる性質を有する。混色比Rは車両の進行方向の線形関数に限られず、進行方向の非線形関数であってもよい。混色比Rが得られると、色設定部120の機能により制御部11は、前記の(2)式により、第1表示色と第2表示色とを混色して、第3表示色を設定する。
【0046】
以上のように第3表示色が設定できると、ステップS280において、表示制御部130の機能により制御部11は、表示領域46において第3表示色でアイコンIを表示させる。ステップS280が完了すると、ステップS260に戻る。すなわち、ステップS260〜S280も所定の時間周期(例えば、0.1秒)ごとに行われるループ処理であり、時間の経過とともに逐次更新される車両の進行方向に基づいてステップS270における第3表示色の設定が繰り返して行われる。従って、進行方向が第2区間に対して平行に近くなるほど混色比Rが1に近づいていき、第2区間に進入するための旋回が終了するのに近づくにつれて第1表示色から第2表示色へと段階的に変化するように第3表示色が設定されることとなる。第2区間に進入するための旋回が終了した場合には、すなわち進入期間が終了した場合に、第3表示色の設定のループ処理を終了させ、道なり判定がなれた場合と同様にステップS250において第2表示色でアイコンIを表示させる。なお、車両が道なりを逸脱して第2区間へ進入する場合、進入期間は、第1区間と第2区間とを接続する接続地点として交差点から距離D1よりも第2区間側の区間を車両が走行する期間であると換言できる。
【0047】
以上説明したように、道なり判定がなされた場合と、道なり逸脱判定がなされた場合のいずれにおいても、第2背景色と第1表示色と第1背景色のいずれとも異なる第2表示色(それぞれ緑系と青系)でアイコンIを表示することができ、運転者にとって目新しい色、かつ、視覚の感度が低下していない色でアイコンIを表示できる。
【0048】
(3)背景色情報作成処理:
上述した表示制御処理を実行するよりも前に、背景色登録部140の機能により制御部11は、背景色情報作成処理を実行することにより、背景色情報12bを作成する。背景色登録部140の機能により制御部11は、車両の現在位置と地図情報12aとに基づいて車両が走行する区間を特定し、当該区間を走行する期間における複数の時刻において重畳領域Aを撮影した画像データをカメラ47から取得する。そして、背景色登録部140の機能により制御部11は、各時刻において撮影した画像データが示す画像の平均画像を算出し、さらに当該平均画像の各画素が示す色の平均色を算出する。そして、背景色登録部140の機能により制御部11は、当該平均色を背景色として車両が走行した区間と対応付けて背景色情報12bに登録する。
【0049】
(4)他の実施形態:
前記実施形態においては、車両が道なりに走行するか否かを判定することにより、第2区間を一意に特定したが、車両が第1区間に続いて走行しうる複数の区間を第2区間と特定し、複数の第2区間のそれぞれについての第2背景色のいずれとも異なる色を、複数の第2区間のそれぞれに対して共通する第2表示色として設定してもよい。図4Cは、本実施形態において、前記実施形態と同じ交差点に車両が接近した場合に設定される第2表示色を説明するグラフである。同図に示すように、第1背景色と第2背景色(区間A)と第2背景色(区間B)と第1表示色を表すL*軸からの色ベクトルB1(灰系),B2(青系:区間A),B2(緑系:区間B),T1(橙系)が示されている。車両が区間A,区間Bのどちらに進入するかを予め判定することなく、前記の各色ベクトルB1,B2,B2,T1と異なる色相の色ベクトルT2(赤系)に対応する第2表示色を設定しておく。すなわち、4個の相対角のなかで最も大きい角(破線で図示。)を二等分する色相方向Hにある色ベクトルT2に対応する第2表示色を設定する。
【0050】
このようにすることにより、車両が区間A,区間Bのどちらに進入したとしても、第1表示色と第1背景色と第2背景色のいずれとも異なる第2表示色へと変化する第3表示色を設定できる。本実施形態の場合、車両が道なりに走行するか否かを判定しないが、車両が区間A,区間Bのどちらに進入する場合でも、前実施形態の距離Dに基づいて混色比Rを取得すればよい。車両が旋回をともなって区間Bに進入する場合でも、第2区間に接近することには変わりはないため、車両が旋回をともなって区間Bに進入する場合でも段階的に第1表示色から第2表示色へとアイコンIの色を変化させていくことができる。なお、第1表示色から第2表示色へとアイコンIの色を変化させる手法は、第1表示色と第2表示色との混色に限られない。また、第1表示色から第2表示色へと変化させる段階数は多段階であることが望ましいが、第1表示色と第2表示色とでアイコンIを表示させる間に、少なくとも第1表示色と第2表示色との間の1段階の色でアイコンIを表示させればよい。
【0051】
以上の実施形態においては、背景色情報12bを参照することにより、実際に背景色が第1背景色から第2背景色へと変化するよりも前に第2背景色を設定したが、第1背景色から第2背景色へと変化するのと同時(直後)に第2背景色を設定してもよい。前記実施形態の構成において車両の走行中においてカメラ47から、常時、画像データを取得し、当該画像データが示す画像を解析することにより、実際に背景色が第1背景色から第2背景色へと変化したことを検知することができる。むろん、この時点で第1背景色と第2背景色とが画像データに基づいて得られていることとなる。従って、色設定部120の機能により制御部11は、表示制御部130の機能により、現在、表示領域46において表示させているアイコンIの色である第1表示色を取得し、第1表示色と第1背景色と第2背景色のいずれとも異なる第2表示色を設定すればよい。第2表示色が設定されれば、表示制御部130の機能により制御部11は、アイコンIの色を第2表示色で表示させることができる。すなわち、運転者にとって目新しい色でアイコンIを表示させることができる。本実施形態によれば、予め背景色情報12bを用意する必要がない。また、第1表示色と第2表示色を混色する必要がないため、表示領域46において表示可能な色数が少ない場合に有効である。例えば、12色程度の色相が異なる色が表示可能な場合であっても、十分に第1表示色と第1背景色と第2背景色のいずれとも異なる第2表示色を設定できる。
【0052】
背景は、車両の走行にともなってスクロールする地図等であってもよい。前記実施形態では、色相に注目して第2表示色を設定するものを例示したが、彩度や明度が大きく異なるように第2表示色を設定してもよい。また、第2表示色を第1表示色と第1背景色のいずれか一方と異ならせてもよい。少なくとも第2表示色を第1表示色と第2背景色と異なる色とすれば、車両が第2区間を走行する場合に、表示対象が背景に紛れることなく、かつ、表示対象そのものに目新しさを感じさせることができる。また、運転者は背景と表示対象の双方を同時に視野に捉えるため、第1表示色と第1背景色とに対して総合的に視覚の感度が低下すると考えられる。従って、第2表示色を第1表示色と第1背景色の一方のみを異ならせた場合でも、第2表示色を運転者の視覚の感度の低下していない色とすることができる。表示領域46に対して重畳領域Aが大きい場合、視覚の感度の低下に対して第1表示色よりも第1背景色の方が大きく寄与すると考えることができる。この場合、第1表示色よりも優先させて、第1表示色を第1背景色と異ならせるのが望ましい。
さらに、前記実施形態においては、アイコンIの下地の色を第2表示色として設定するものを例示したが、文字の色を第2表示色として設定してもよい。この場合、アイコンIは下地を有さなくてもよい。
【0053】
また、前記実施形態においては車両が走行する際に、第2表示色を設定するものを例示したが、経路探索を行った場合等、予め車両の走行経路が特定されている場合には、車両の走行経路上の各区間について背景色を順に設定していくことも可能である。さらに、前記実施形態は、始点と終点がノードによって定義されるリンクに対応する区間ごとに表示制御処理や背景色情報作成処理を実行することとしたが、交差点以外のカーブや巨大地物の前後等においても背景色が変化する場合もあるため、ノード間に背景色が変化する地点を単一リンク内において新たに定義し、当該地点によって区分される詳細な区間ごとに表示制御処理や背景色情報作成処理を実行してもよい。
【符号の説明】
【0054】
10…ナビゲーション装置、11…制御部、12…記録媒体、12a…地図情報、12b…背景色情報、13…表示I/F部、41…GPS受信部、42…車速センサ、43…ジャイロセンサ、44…ユーザ部I/F、45…プロジェクタ、46…表示領域、47…カメラ、100…ナビゲーションプログラム、110…背景色情報取得部、120…色設定部、130…表示制御部、140…背景色登録部、G…色域、I…アイコン、R…混色比。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背景に対して表示対象を重ねて表示する車載表示部を制御する表示制御装置であって、
前記背景の色が、車両が第1区間を走行する場合における前記背景の色である第1背景色から前記車両が第2区間を走行する場合における前記背景の色である第2背景色へと変化する場合に、
前記第2背景色と異なる色であって、前記車両が前記第1区間を走行する場合における前記表示対象の色である第1表示色と前記第1背景色との少なくとも一方と異なる色を、前記第2区間を走行する場合における前記表示対象の色である第2表示色として設定する色設定手段と、
前記車両が前記第2区間を走行する場合に前記表示対象を前記第2表示色で表示するように前記車載表示部を制御する表示制御手段と、
を備える表示制御装置。
【請求項2】
前記色設定手段は、前記車両が前記第2区間への進入を開始する所定の進入開始動作を行ってから前記第2区間への進入が終了する所定の進入終了動作を行うまでの進入期間における前記表示対象の色である第3表示色を、前記第1表示色から前記第2表示色へと段階的に変化する色に設定し、
前記表示制御手段は、前記進入期間において、前記表示対象を前記第3表示色で表示するように前記車載表示部を制御する、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記色設定手段は、前記第3表示色を、前記車両が前記第2区間に近いほど前記第2表示色の混色比が大きくなるように前記第1表示色と前記第2表示色とを混色した色に設定し、
前記表示制御手段は、前記進入期間において、前記表示対象を前記第3表示色で表示するように前記車載表示部を制御する、
請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記色設定手段は、前記第3表示色を、前記車両の進行方向が前記第2区間に対して平行に近くなるほど前記第2表示色の混色比が大きくなるように前記第1表示色と前記第2表示色とを混色した色に設定し、
前記表示制御手段は、前記進入期間において、前記表示対象を前記第3表示色で表示するように前記車載表示部を制御する、
請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記色設定手段は、前記第1区間に対して複数の前記第2区間が接続する場合に、複数の前記第2区間のそれぞれについての前記第2背景色のいずれとも異なる色を、複数の前記第2区間のそれぞれに対して共通する前記第2表示色として設定する、
請求項1から請求項4のいずれかに記載の表示制御装置。
【請求項6】
背景に対して表示対象を重ねて表示する車載表示部を制御する表示制御方法であって、
前記背景の色が、車両が第1区間を走行する場合における前記背景の色である第1背景色から前記車両が第2区間を走行する場合における前記背景の色である第2背景色へと変化する場合に、
前記第2背景色と異なる色であって、前記車両が前記第1区間を走行する場合における前記表示対象の色である第1表示色と前記第1背景色との少なくとも一方と異なる色を、前記第2区間を走行する場合における前記表示対象の色である第2表示色として設定する色設定工程と、
前記車両が前記第2区間を走行する場合に前記表示対象を前記第2表示色で表示するように前記車載表示部を制御する表示制御工程と、
を含む表示制御方法。
【請求項7】
背景に対して表示対象を重ねて表示する車載表示部を制御する機能をコンピュータに実行させる表示制御プログラムであって、
前記背景の色が、車両が第1区間を走行する場合における前記背景の色である第1背景色から前記車両が第2区間を走行する場合における前記背景の色である第2背景色へと変化する場合に、
前記第2背景色と異なる色であって、前記車両が前記第1区間を走行する場合における前記表示対象の色である第1表示色と前記第1背景色との少なくとも一方と異なる色を、前記第2区間を走行する場合における前記表示対象の色である第2表示色として設定する色設定機能と、
前記車両が前記第2区間を走行する場合に前記表示対象を前記第2表示色で表示するように前記車載表示部を制御する表示制御機能と、
をコンピュータに実行させる表示制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−214868(P2011−214868A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80758(P2010−80758)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】