説明

表示制御装置及びその制御方法、プログラム並びに記憶媒体

【課題】縦横で持ち替えたときもアイコン等の表示が操作者に対して正対して視認しやすく、かつ、方向ボタンによる操作方法が変わらない表示制御装置を提供する。
【解決手段】画像と複数のアイコン7001〜7013を表示する表示部28を備えた表示制御装置の一例であるデジタルカメラ100では、アイコン7001〜7013の中の所定のアイコンが、四方向ボタン74の方向ボタン7014〜7017によって、順次、選択することができるように表示部28に表示される。傾きセンサ120が表示部28の表示面に垂直な軸を中心軸として表示部28が回転した角度を検出し、システム制御部50は、検出された角度に応じてアイコン7001〜7013をアイコン単位で回転させ、回転されたアイコンは、回転後も回転前と同じ方向ボタンによって同じ順序で選択可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデジタルカメラのように、操作者が縦向きまたは横向きに持ち替えて使用することができる表示制御装置及びその制御方法、表示制御装置に用いられるプログラム、このプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル等の画像表示部を備えた携帯型の表示制御装置として、操作者が縦横を持ち替えると画像表示部における画面表示全体の縦横が切り替わり、操作者が常に正対して画面を見ることができるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、画像表示部の表示方向を切り替えたとき、切り替え前の画面の状態を保存し、切り替え後に表示されない場所にのみ含まれる図形や画像、文字列等の情報を、切り替え後にのみ表示される場所に移動させ、切り替え後に再表示する表示制御装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
更に、画像表示部の表示領域の全域又は略全域に画像が表示されているときに、操作者により操作スイッチの表示が指示された場合、画像を縮小して表示すると共に、これによって生じた空き領域に操作スイッチを表示する表示制御装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−094838号公報
【特許文献2】特開平6−110837号公報
【特許文献3】特開2006−344168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような表示制御装置に対して、操作者がアイコン等の画面上の操作部位を、ハードウェアとして設けられた方向ボタンで操作する場合がある。
【0007】
しかしながら、このような場合、従来の表示制御装置では、操作者の操作の途中で表示の縦横が切り替わると、方向ボタンの方向と画像表示部上のアイコン等が操作される方向が異なってしまうという問題がある。すなわち、表示の縦横の切り換え前後で継続した操作が困難になるという問題がある。
【0008】
本発明は、縦横で持ち替えたとき、アイコン等の表示されている操作部位が操作者に対して正対し見えやくなるようにしながら、方向ボタンによる操作方法が変わらない表示制御装置を提供することを目的とする。また、本発明は、表示制御装置の制御方法、表示制御装置に用いられるプログラム、このプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1の表示制御装置は、画像と複数のアイコンとを表示する表示部を備えた表示制御装置であって、少なくとも一対の方向ボタンを備え、前記方向ボタンの操作によって前記表示部に表示された前記複数のアイコンの中から所定のアイコンを選択するアイコン選択手段と、前記複数のアイコンを、前記少なくとも一対の方向ボタンによって、順次、選択することができるように前記表示部に表示する表示手段と、前記表示部の表示面に垂直な軸を中心軸として前記表示部が回転した角度を検出する傾き検出手段と、前記傾き検出手段によって検出された角度に応じて前記表示部に表示された前記アイコンをアイコン単位で回転させ、当該回転させたアイコンを前記表示手段を介して前記表示部に表示させる制御手段と、を備え、前記制御手段によって回転されたアイコンは、前記制御手段による回転の前と同じ前記方向ボタンによって同じ順序で選択可能であることを特徴とする。
【0010】
請求項6の表示制御装置の制御方法は、画像と複数のアイコンとを表示する表示部と、少なくとも一対の方向ボタンの操作によって前記表示部に表示された前記複数のアイコンの中から所定のアイコンを選択するアイコン選択手段とを備えた表示制御装置の制御方法であって、表示手段が、前記複数のアイコンを、前記少なくとも一対の方向ボタンによって、順次、選択することができるように前記表示部に表示する表示ステップと、傾き検出手段が、前記表示部の表示面に垂直な軸を中心軸として前記表示部が回転した角度を検出する傾き検出ステップと、制御手段が、前記傾き検出ステップで検出された角度に応じて前記表示部に表示された前記アイコンをアイコン単位で回転させ、当該回転されたアイコンを前記回転の前と同じ前記方向ボタンによって同じ順序で選択可能となるように、前記表示手段を介して前記表示部に表示させる回転表示ステップと、を有することを特徴とする。
【0011】
請求項7のプログラムは、画像と複数のアイコンとを表示する表示部と、少なくとも一対の方向ボタンの操作によって前記表示部に表示された前記複数のアイコンの中から所定のアイコンを選択するアイコン選択手段とを備えた表示制御装置の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記制御方法は、前記複数のアイコンを、前記少なくとも一対の方向ボタンによって、順次、選択することができるように前記表示部に表示する表示ステップと、前記表示部の表示面に垂直な軸を中心軸として前記表示部が回転した角度を検出する傾き検出ステップと、前記傾き検出ステップで検出された角度に応じて前記表示部に表示された前記アイコンをアイコン単位で回転させ、当該回転されたアイコンを前記回転の前と同じ前記方向ボタンによって同じ順序で選択可能となるように、前記表示部に表示させる回転表示ステップと、を有することを特徴とする。
【0012】
請求項8のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体は、請求項7記載のプログラムを記憶したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、操作者がアイコン等の画面上の操作部位をハードウェアとして設けた方向ボタンで操作する場合に、操作中に表示制御装置の縦横を持ち替えても、操作部位が操作者に正対した状態で表示される。これにより、方向ボタンの各方向と画面上の操作部位が操作される方向とが一致したままでの操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係るデジタルカメラの外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示すデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態に係る、デジタルカメラが操作者により、(A)は横向きで(B)は縦向きで、それぞれ保持されている状態を示す図である。
【図4】デジタルカメラが横向きから縦向きに持ち替えられたときに、アイコンが表示部に対してGUI操作部全体がデジタルカメラの回転方向の逆方向に回転して表示される参考例を示す図である。
【図5】図3(A),(B)に示される状態間の遷移を実現する、アイコン単位の回転表示の制御処理を示すフローチャートである。
【図6】図5に示される、アイコンのグラフィックデータを回転表示するステップS503の処理の詳細を示すフローチャートである。
【図7】第1実施形態に係る、デジタルカメラにおいて四方向ボタンの押下によってアイコン選択を行う例を示す図である。
【図8】第1実施形態に係る、デジタルカメラにおいて四方向ボタンの押下によってアイコン選択を行う別の例を示す図である。
【図9】第1実施形態に係る、デジタルカメラにおいて表示部に表示されたアイコンの選択を遷移させる処理を示すフローチャートである。
【図10】第2実施形態に係る、デジタルカメラが操作者により縦向きに保持されている状態を示す図である。
【図11】第2実施形態における、設定状態アイコン群の回転表示の制御処理を示すフローチャートである。
【図12】第3実施形態に係る、デジタルカメラが操作者により、(A)は横向きで(B)は縦向きで、それぞれ保持されている状態を示す図である。
【図13】図12(A),(B)にそれぞれ示されるファンクション選択用アイコン群の拡大図である。
【図14】第3実施形態に係る、アイコンの縮小処理を伴いながらアイコン単位で回転させて表示する制御処理を示すフローチャートである。
【図15】第4実施形態に係る、デジタルカメラが縦向きに保持されている状態において表示部に表示されるファンクション選択アイコン群の表示例を示す図である。
【図16】第4実施形態に係る、アイコンの回転表示の制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。ここでは、本発明をデジタルカメラに適用して説明することとする。
【0016】
<デジタルカメラの概略構成>
図1は、本発明の実施の形態に係るデジタルカメラの外観を示す斜視図である。
【0017】
図1に示されるデジタルカメラ100は、操作者による各種操作を受け付ける各種スイッチ、ボタン等の操作部材より成る操作部と、画像や各種情報を表示する表示部28を備えている。
【0018】
デジタルカメラ100は、操作部として、各種モードを切り替えるモードダイヤル60と、撮影指示を行うシャッタボタン61と、選択項目を指示等する回転操作可能なコントローラホイール73と、電源のオン/オフを切り替える電源スイッチ72を備える。また、デジタルカメラ100は、操作部として、コントローラホイール73の内側に配置された、二対の方向ボタンを有する四方向ボタン74(十字に配置された略楕円形が刻印等された円形の部材)を備えている。また、四方向ボタン74の内側には、セット(SET)ボタン75が配置されている。
【0019】
さらに、デジタルカメラ100には、デジタルカメラ100で実行可能な各種機能を選択、設定するためのアイコンを表示部28に表示するためのファンクション表示ボタン76が設けられている。
【0020】
デジタルカメラ100には、コネクタ112を介して接続ケーブル111を接続することができるようになっている。デジタルカメラ100は、記憶媒体200を格納するための記憶媒体スロット201を備えており、記憶媒体スロット201は、蓋203により開閉される。図1では、蓋203が開かれ、記憶媒体スロット201に記憶媒体200が挿入される途中の状態が示されている。記憶媒体200は、メモリカードやハードディスク、光磁気ディスク等であり、記憶媒体スロット201に格納されると、デジタルカメラ100の本体と通信可能になる。
【0021】
図2は、デジタルカメラ100の構成を示すブロック図である。
【0022】
デジタルカメラ100は、フォーカスレンズを含む撮影レンズ103と、絞り機能を備えるシャッタ101と、光学像を電気信号に変換するCCDやCMOS素子等で構成される撮像部22を備えている。また、デジタルカメラ100は、撮像部22から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器23と、撮影レンズ103を含む撮像部を覆うバリア102を備えている。バリア102によって、撮影レンズ103やシャッタ101、撮像部22を含む撮像系の汚れや破損が防止される。
【0023】
デジタルカメラ100では、システム制御部50が、デジタルカメラ100全体の統括制御を行い、画像処理部24が、A/D変換器23からのデータやメモリ制御部15からのデータに対し所定の画素補間、縮小等のリサイズ処理や色変換処理を行う。また、画像処理部24が、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、システム制御部50は、画像処理部24によって得られた演算結果に基づいて、露光制御や測距制御を行う。これにより、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理が行われる。
【0024】
なお、画像処理部24は、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行う。
【0025】
A/D変換器23からの出力データは、画像処理部24及びメモリ制御部15を介して、或いは、メモリ制御部15を介して、メモリ32に直接書き込まれる。メモリ32は、A/D変換器23によりデジタルデータに変換された画像データや、表示部28に表示するための画像データを格納する。メモリ32は、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像および音声を格納するために十分な記憶容量を備えている。
【0026】
メモリ32は、画像表示用のメモリ(ビデオメモリ)を兼ねている。メモリ32に格納されている画像表示用のデータは、D/A変換器13によってアナログ信号に変換されて、表示部28に供給され、こうして、表示部28に画像が表示される。表示部28は、LCD等の表示器を備えており、D/A変換器13からのアナログ信号に応じて画像を表示する。
【0027】
デジタルカメラ100は、電気的に消去・記憶可能なメモリ(例えば、EEPROM等)である不揮発性メモリ56を備えており、不揮発性メモリ56には、システム制御部50の動作用の定数、プログラム等が記憶されている。不揮発性メモリ56に記憶されたプログラムがシステム制御部50によって実行されることにより、後述する各種のフローチャートに示される処理が実現される。
【0028】
システム制御部50の動作用の定数や変数、不揮発性メモリ56から読み出したプログラム等の展開は、システムメモリ52において行われ、システムメモリ52には、例えば、RAMが用いられる。システム制御部50は、メモリ32、D/A変換器13、表示部28等を制御することにより、表示部28における画像表示に関する制御も行う。
【0029】
操作部70は、システム制御部50に各種の動作指示を入力するための操作手段であり、主なものとして、モードダイヤル60と、シャッタボタン61に備えられた第1シャッタスイッチ62及び第2シャッタスイッチ64とを備えている。
【0030】
モードダイヤル60の操作によって、システム制御部50の動作モードを、静止画記録モード、動画記録モード、再生モード等に切り替えることができる。
【0031】
第1シャッタスイッチ62は、シャッタボタン61の操作途中の、所謂、半押し(撮影準備指示)でオンとなり、第1シャッタスイッチ信号SW1を発生させる。第1シャッタスイッチ信号SW1により、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の動作が開始される。
【0032】
第2シャッタスイッチ64は、シャッタボタン61の操作完了、所謂、全押し(撮影指示)でオンとなり、第2シャッタスイッチ信号SW2を発生させる。システム制御部50は、第2シャッタスイッチ信号SW2により、撮像部22からの信号読み出しから記憶媒体200に画像データを書き込むまでの一連の撮影処理の動作を開始する。記憶媒体200は、インターフェース18を介してシステム制御部50等と通信可能となる。
【0033】
操作部70として設けられている各部材(図2に不図示)には、表示部28に表示される種々の機能アイコンの選択、操作等の為に、適宜、場面毎に機能が割り当てられ、各種機能ボタンとして作用する。機能ボタンとしては、例えば、メニューボタン、終了ボタン、戻るボタン、画像送りボタン、ジャンプボタン、絞込みボタン、属性変更ボタン等が挙げられる。メニューボタンが押されると各種の設定可能なメニュー画面が表示部28に表示される。
【0034】
操作者は、表示部28に表示されたメニュー画面と、コントローラホイール73や四方向ボタン74、セットボタン75を用いて、直感的に各種の設定を行うことができる。
【0035】
コントローラホイール73を回転操作すると、操作量に応じて電気的なパルス信号が発生する。このパルス信号は、コントローラホイール73が回転操作された角度や回転した回数等を判定する情報を含んでおり、システム制御部50はこのパルス信号に基づいてデジタルカメラ100の各部を制御する。
【0036】
なお、コントローラホイール73は、回転操作を検出できる構成であれば、どのようなものであってもよい。例えば、操作者の回転操作に応じて、コントローラホイール73自体が回転してパルス信号を発生させるダイヤル操作部材であってもよい。また、タッチセンサよりなる操作部材であって、操作部材自体は回転せず、操作部材上での操作者の指の回転動作等を検出する、所謂、タッチホイールであってもよい。
【0037】
四方向ボタン74とセットボタン75の各機能の詳細については、表示部28に表示されるアイコンに対する操作に関連付けて、後に説明する。
【0038】
デジタルカメラ100は、電源部30から供給される電力によって、各種の駆動部品及び電子部品が動作する。電源部30は、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池又はACアダプタ等であり、ACアダプタは家庭用電源等に接続されることで、電源として機能する。
【0039】
電源部30からの電力供給は電源制御部80によって制御される。電源制御部80は、電池検出回路、DC−DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等によって構成されており、電池又はACアダプタの装着の有無、電池の種類、電池残量を検出する。また、電源制御部80は、その検出結果及びシステム制御部50の指示に基づいてDC−DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記憶媒体200を含む各部へ供給する。
【0040】
デジタルカメラ100は、表示部28の表示面が鉛直方向と平行な状態において、デジタルカメラ100が横向き(後述の図3(A)参照)であるか縦向きであるか(後述の図3(B)参照)を検出する傾き検出手段としての傾きセンサ120を備えている。この傾きセンサ120には公知の縦横検出センサや、加速度センサが用いられ、重力方向に対するデジタルカメラ100の傾き(姿勢)を検出可能である。
【0041】
上述したデジタルカメラ100の概略構成におけるハードウェア構成は、以下の第1〜5実施形態に共通しており、プログラム(ソフトウェア)の内容に従って各種ハードウェアが共同して動作することにより、以下に説明する種々の機能が実行される。
【0042】
<第1実施形態>
第1実施形態は、デジタルカメラ100が操作者によって横向きと縦向きとで持ち替えられたとき、表示部28に表示されるアイコンのうち、四方向ボタン74で選択可能なアイコンの選択方法に関する。また、第1実施形態は、表示部28に表示されたアイコンをアイコン単位で回転表示させる構成に関する。
【0043】
図3は、デジタルカメラ100が操作者により、横向きで保持されている状態を示す図(A)と、縦向きで保持されている状態を示す図(B)である。図3(A)において、下向き矢印2001は重力方向を示している。
【0044】
表示部28に表示された画像3001は、電子ファインダー機能を実現するために逐次表示している撮像画像データの1コマであり、撮像レンズの前にある被写体(本図の場合は、建物を含む風景)を写している。デジタルカメラ100の操作者による横向きと縦向きに応じて、図3(A)では横長画像で被写体が捉えられ、図3(B)では縦長画像で被写体が捉えられている。
【0045】
表示部28に表示された画像3001上に、各種ファンクションを実行するためのアイコン7001〜7007が表示されている。これらのアイコン7001〜7007は、ファンクション表示ボタン76が押下されることで、表示/非表示が切り替わる。
【0046】
アイコン7001〜7007はそれぞれこの順に、動作モード、露出補正、ホワイトバランス、マイカラー、測光、画質、解像度を表している。ここでは、動作モードとして撮影モードが選択されており、静止画記録モードと動画記録モードを総称して撮影モードと呼ぶこととする。また、以下の説明においては、アイコン7001〜7007の総称を「ファンクション選択用アイコン群」と呼ぶこととする。
【0047】
表示部28に表示された画像3001上には、設定されたファンクションに応じて選択可能な項目を示すアイコン7008〜7013が表示される。アイコン7008〜7013の表示/非表示は、アイコン7001〜7007の表示/非表示に連動する。
【0048】
アイコン7008〜7013はそれぞれこの順番に、マニュアル、デジタルマクロ、ワンポイントカラー、スイッチカラー、スティッチアシスト(右から左)、スティッチアシスト(左から右)を表している。以下の説明においては、アイコン7008〜7013の総称を「ファンクション設定用アイコン群」と呼ぶこととする。
【0049】
アイコン7001〜7013は、ファンクションの設定・変更等の際に使用される。四方向ボタン74の操作によって、アイコン7001〜7013の中から所定のアイコンを、順次、選択可能であり、セットボタン75の押下によってその選択が決定される。つまり、四方向ボタン74は、アイコン選択手段として機能する。
【0050】
画像3001上には、また、デジタルカメラ100の設定状態を表すアイコン7020〜7024が表示されている。アイコン7020〜7024はそれぞれこの順番に、ISO感度、ストロボ、撮影方法、縦横自動回転、バッテリー残量を表している。以下の説明においては、アイコン7020〜7024の総称を「設定状態アイコン群」と呼ぶこととする。
【0051】
設定状態アイコン群は、四方向ボタン74等によっては選択不可能、つまり操作できないものであり、撮影モードが選択されている場合に、定常的に表示される。例えば、操作部70を操作してISO感度を変更した場合に、アイコン7020の表示が自動的に変更された値に変わる。
【0052】
図3(B)において、アイコン7001〜7013,7020〜7024は、図3(A)の状態から表示部28に対する位置関係を保ったまま、アイコン単位でデジタルカメラ100の回転方向とは逆の方向に回転して表示されている。このアイコン表示の制御については、後に図5,図6に示すフローチャートを参照して詳細に説明する。
【0053】
デジタルカメラ100を、図3(A)の状態から時計回りに90度回転させて図3(B)の状態としたとき、ファンクション選択用アイコン群は表示部28の短辺に沿ったまま、アイコン単位では操作者から見ると結果的に回転することなく(上下左右が変化せず)表示される。デジタルカメラ100に対しては、図3(A)の状態と比較して、他のアイコンとの位置関係を保ったまま、それぞれ元の表示位置で90度回転している。また、ファンクション設定用アイコン群は表示部28の長辺に沿ったまま、アイコン単位では操作者から見ると結果的に回転することなく表示される。デジタルカメラ100に対しては、図3(A)の状態と比較して、他のアイコンとの位置関係を保ったまま、それぞれ元の表示位置で90度回転している。設定状態アイコン群は、表示部28の右上隅から右下隅へ移動するが、アイコン単位では結果的に回転することなく表示される。
【0054】
デジタルカメラ100では、表示部28と四方向ボタン74はハードウェアとして一体に構成されているため、表示部28と四方向ボタン74の方向との位置関係が保持され、各アイコンの四方向ボタン74に対する相互の位置関係も保たれる。
【0055】
例えば、図3(A)に示される状態で、操作者が所定のGUI操作方法に則って“撮影モード”から“露出補正”に選択状態を変更するとき、操作者は四方向ボタン74の中の方向ボタン7014を押下する必要がある。操作者がこの操作の途中でデジタルカメラ100を横向きから縦向きに持ち替えても、図3(B)に示されるように各アイコンがアイコン単位で回転するので、四方向ボタン74の各方向と対応するアイコンとの相互の位置関係は、持ち替えの前後で保たれる。よって、操作者は、選択状態の変更を同じ順序で方向ボタン7014の押下によって行うことができる。
【0056】
勿論、デジタルカメラ100を縦向きから横向きに持ち替えた場合、図3(B)に示される状態から図3(A)に示される状態へと遷移し、このとき、四方向ボタン74との操作性が保持される。
【0057】
図4に、デジタルカメラ100が横向きから縦向き持ち替えられたときに、表示部28に対しアイコン単位でなくアイコン等のGUI操作部全体が、デジタルカメラ100の回転方向の逆方向に回転して表示される参考例を示す。
【0058】
図4の状態では、ファンクション選択用アイコン群は表示部28の左辺となる長辺に沿って、ファンクション設定用アイコン群は表示部28の下辺となる短辺に沿って、設定状態アイコン群は、表示部28の右上隅にそれぞれ表示される。
【0059】
この参考例の場合には、操作者の持ち替えにより、四方向ボタン74の各方向と表示部28に表示されたアイコン等との相互の対応が変わってしまうという問題がある。
【0060】
つまり、例えば、図3(A)に示される状態で、操作者が所定のGUI操作方法に則って“撮影モード”から“露出補正”に選択状態を変更するとき、操作者は四方向ボタン74の中の方向ボタン7014を押下する必要がある。
【0061】
しかし、図4の状態では、操作者は、操作の途中でデジタルカメラを横向きから縦向きに持ち替えたときの“撮影モード”から“露出補正”への選択状態の変更を方向ボタン7016の押下によって行わなければならず、押下のための指位置を変更する必要がある。図3(A),(B)の関係が満たされる構成では、このような問題が生じない。
【0062】
図5は、図3(A),(B)に示される状態間の遷移を実現する、アイコン単位の回転表示の制御処理を示すフローチャートである。このアイコン単位の回転表示の制御処理における各処理は、システム制御部50が不揮発性メモリ56に格納されたプログラムをシステムメモリ52に展開して実行することにより実現される。
【0063】
先ず、傾きセンサ120が、表示部28の表示面に垂直な軸を中心軸としてデジタルカメラ100が回転した角度を、重力方向を基準として90度単位で検出する(ステップS501)。そして、システム制御部50が、傾きセンサ120の検出信号に基づいて、方形である表示部28のいずれの辺が底辺となっているかを判断する(ステップS502)。
【0064】
次いで、システム制御部50は、表示部28に表示する各種アイコンのグラフィックデータを、ステップS502において底辺と判断された辺が下となるように回転させ(ステップS503)、表示部28に表示する(ステップS504)。
【0065】
ここで、アイコンのグラフィックデータを回転表示させるステップS503の処理について詳細に説明する。アイコンのグラフィックデータの回転は、アイコンを囲む方形の中心点を回転軸として回転させて描画処理することにより達成される。すなわち、表示部28の表示面上における各アイコンを囲む方形の中心点は、回転の前後で位置が変わらない。
【0066】
これに限らす、デジタルカメラ100の姿勢毎に、表示するアイコンのグラフィックデータを登録しておき、傾きセンサ120で検出された姿勢に応じて、グラフィックデータを切り換えて表示することも可能である。この場合のデジタルカメラ100の姿勢とは、通常使用時の姿勢(図3(A)参照)と、通常使用時の姿勢から90度(図3(B)参照)、180度、270度回転時の各姿勢の4段階の姿勢である。
【0067】
ここでは、デジタルカメラ100の姿勢毎に表示するアイコンのグラフィックデータを登録しておき、検出された姿勢に応じてグラフィックデータを切り換えることでアイコンを表示部28に表示する方法を取り上げて、以下に説明する。
【0068】
図6は、図5に示される、アイコンのグラフィックデータを回転表示するステップS503の処理の詳細を示すフローチャートである。
【0069】
先ず、システム制御部50は、表示部28に表示するN個のアイコンに対してアイコン番号iを付与し、アイコン番号iの小さいものから、順次、回転表示を行うものとする。そのため、システム制御部50は、最初に、アイコン番号i=1として処理を開始し(ステップS601)、次に、アイコン番号iがN以上であるかを判定し(ステップS602)、i≧Nの場合(S602で“YES”)は処理を終了する。
【0070】
i<Nの場合(S602で“NO”)、そのアイコン番号iのアイコンが四方向ボタン74によって選択可能なアイコンか否かが判定される(ステップS603)。選択可能なアイコンである場合(S603で“YES”)、処理はステップS604に進み、選択可能なアイコンでない場合(S603で“NO”)、処理はステップS604をスキップしてステップS605に進む。
【0071】
ステップS604では、i番目のアイコン用に登録されたグラフィックデータから、ステップS502で底辺と判断された辺を下として表示可能なものを読み出す。その後、アイコン番号iをインクリメントして(ステップS605)、ステップS602に戻り、以降、ステップS602の条件が満たされるまで、次のアイコン番号iを対象としてステップS602以降の処理が繰り返される。
【0072】
次に、四方向ボタン74の押下によるアイコンの選択操作について詳細に説明する。図7は、四方向ボタン74の押下によってアイコン選択を行う例を示す図であり、図8は、四方向ボタン74の押下によってアイコン選択を行う別の例を示す図である。
【0073】
アイコン7001〜7007は、上記説明の通り、ファンクション選択用アイコン群であり、各種のファンクションを選択するためのアイコンである。また、アイコン7008〜7013はファンクション設定用アイコン群であり、選択されたファンクションに応じて、設定のための選択肢を示すアイコンである。これらのアイコンには通し番号iが付与されており、四方向ボタン74において押下された各方向ボタンに割り当てられた機能により、アイコンの選択が行われる。
【0074】
四方向ボタン74における各方向のボタンに以下の機能の割り付けが行われているものとする。一対の方向ボタン7014,7015は、ファンクション選択用アイコン群(アイコン7001〜7007)の中から所望のアイコンを選択する際に使用される。ここで、方向ボタン7014が+(プラス)方向ボタン、方向ボタン7015が−(マイナス)方向ボタンとなっている。また、一対の方向ボタン7016,7017は、ファンクション設定用アイコン群(アイコン7008〜7013)の中から所望のアイコンを選択する際に使用される。ここで、方向ボタン7016が+(プラス)方向ボタン、方向ボタン7017が−(マイナス)方向ボタンとなっている。
【0075】
+(プラス)方向ボタンが押下されると、現在選択されているアイコンから、そのアイコンよりも1つ大きな番号が付与されたアイコンに、同じアイコン群の範囲内で選択がなされる。また、−(マイナス)方向ボタンが押下されると、現在選択されているアイコンから、そのアイコンよりも1つ小さな番号が付与されたアイコンに、同じアイコン群の範囲内で選択がなされる。番号が付与されたアイコンの配列と押下する方向ボタンの配置を同方向とすることで、所望のアイコンの選択を行う際に押下する方向ボタンを操作者に直感的に理解させることができる。なお、既に説明している通り、アイコンの選択後にセットボタン75が押下されると、そのアイコンの選択が確定される。
【0076】
図7(A)において、アイコン7001の背景は、他のアイコン7002〜7007の背景と異なっており、これは、アイコン7001が現在、選択中であることを示している。例えば、選択されているアイコンの背景を赤色とし、非選択のアイコンの背景を黒色とすることで、選択されているアイコンを明示することができる。図7及び図8の各図では、選択されているアイコンについては、画像(文字や図形)を黒色、背景を斜線で表し、非選択のアイコンは白抜き(背景は黒色)で表している。
【0077】
例えば、操作者が、“撮影モード”(アイコン7001)から“露出補正”(アイコン7002)に選択を変更したい場合、現在選択中のアイコン7001から1つ大きな番号が付与されたアイコン7002へ選択を遷移させる操作を行う必要がある。この場合、番号のより大きなアイコンの選択を行うので、ファンクション選択用アイコン群を選択するために使用される方向ボタン7014,7015のうち、+(プラス)方向ボタンである方向ボタン7014を押下すればよい。
【0078】
上述したように、番号が付与されたアイコン配列と四方向ボタン74に対して押下する方向ボタンの配置は、同じ方向に揃えてある。これにより、操作者は、“撮影モード”から“露出補正”への選択を行う際に、番号を意識することなく、押下すべき方向ボタンを直感的に把握することができる。
【0079】
こうして、操作者によって方向ボタン7014が押下されると、図7(B)に示されるように、“撮影モード”よりも1つ大きな番号が付与された“露出補正”に選択中のアイコン位置を示す表示(背景が斜線)が遷移する。
【0080】
図7(B)に示される状態で更に+(プラス)方向の方向ボタン7014が押下されると、同様の処理がなされて、より1つ大きな番号が付与された“ホワイトバランス”(アイコン7003)が選択される。この状態で、セットボタン75が押下されると、アイコン7003の選択が完了する。反対に、図7(B)に示されるように“露出補正”が選択されている状態から、−(マイナス)方向の方向ボタン7015が押下されると、“露出補正”よりも1つ小さな番号が付与された“撮影モード”に遷移する。
【0081】
操作者がデジタルカメラ100を縦向きに構えて“撮影モード”から“露出補正”に選択状態を変更する場合について説明する。
【0082】
先に図3を参照して説明したように、図7(A)に示される状態から図8(A)に示される状態にデジタルカメラ100を持ち替えると、各アイコンが相対位置関係を保持し、操作者に正対するように表示部28に表示される。
【0083】
“撮影モード”よりも1つ大きな番号が付与された“露出補正”を選択するには、ファンクション選択アイコン群の中から所望のアイコンを選択する際に使用される方向ボタン7014,7015のうち、+(プラス)方向の方向ボタン7014を押下すればよい。方向ボタン7014が押下されると、“露出補正”(アイコン7002)が選択されて、図8(B)に示すように、“露出補正”に選択中のアイコン位置を示す表示(背景が斜線)がされた状態に遷移する。
【0084】
上記説明の通り、番号が付与されたアイコンの配列と押下する四方向ボタン74の各方向ボタンの配置が同方向に揃えられており、その関係性がデジタルカメラ100の縦横状態によらず一定である。これにより、デジタルカメラ100の横向きと縦向きとを変えても、共通の操作が可能となる。
【0085】
図9は、表示部28に表示されたアイコンの選択を遷移させる処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示される各処理は、システム制御部50が、不揮発性メモリ56に格納されたプログラムをシステムメモリ52に展開して実行することにより実現される。
【0086】
システム制御部50は、ファンクション表示ボタン76(図1参照)が押下されたか否かを検出し(ステップS801)、ファンクション表示ボタン76の押下が検出されない場合(S801で“NO”)、処理を終了させる。ファンクション表示ボタン76の押下が検出された場合(S801で“YES”)、ファンクション選択アイコン群とファンクション設定アイコン群が表示部28に表示される(ステップS802)。
【0087】
続いて、システム制御部50は、四方向ボタン74の中のどの方向ボタンが押下されたかを検出する(ステップS803)。方向ボタンの押下が検出された場合(S803で“YES”)、システム制御部50は、押下された方向ボタンを確定する(ステップS8041,S8042,S8043,S8044)。更に、システム制御部50は、確定した方向ボタンに割り当てられた機能を発現させる(ステップS8051,S8052,S8053,S8054)。例えば、押下された方向ボタンがファンクション選択用の+(プラス)方向の方向ボタン7014であった場合(S8041で“YES”)、システム制御部50は、ファンクション選択用アイコン群の中の現在選択されているアイコンよりも1つ大きな番号が付与されたアイコンに選択を遷移する(ステップS8051)。
【0088】
次に、システム制御部50は、セットボタン75が押下されたかを検出し(ステップS806)。セットボタン75の押下が検出された場合は処理を終了する。一方、セットボタン75の押下が検出されない場合は、ステップS803の処理に戻り、上述の処理を繰り返して行う。
【0089】
以上、第1実施形態によれば、操作者が表示部28に表示されたファンクション選択・設定のためのアイコンを、ハードウェアとして設けられた方向ボタンで操作する際の操作性が向上する。すなわち、デジタルカメラ100が横向きであるか縦向きであるかにかかわらず、アイコンが操作者に正対して表示され、四方向ボタン74の各方向とアイコンが操作される方向との対応関係が保持されるので、継続した操作が可能となる。
【0090】
なお、図3では、表示部28を電子ファインダーとして使用した“撮影モード”の場合の表示部28における表示例を示したが、表示部28を画像再生ビューワとして使用する、所謂、“再生モード”でも、同様の機能設定が可能である。操作者は、閲覧する画像の撮影方向が縦であるか横であるかに応じてデジタルカメラ100を持ち替える。このとき、余白等を設けることなく画像を表示部28の全体に表示することが可能であり、四方向ボタン74の各方向ボタンとアイコンの操作方向との対応関係が保持されるので、快適な操作を行うことができる。
【0091】
<第2実施形態>
第2実施形態は、デジタルカメラ100が操作者により縦横で持ち替えられた場合に、四方向ボタン74で操作可能でないアイコンについて、それらを操作者と正対するように全体として回転させて表示する構成に関する。なお、表示部28に表示されたアイコンのうち、四方向ボタン74で操作可能なアイコンは、第1実施形態の通り、アイコン単位で回転表示されるものとする。
【0092】
図10は、デジタルカメラ100が操作者により縦向きで保持されている状態を示す図である。図3(B)と図10はそれぞれ、デジタルカメラ100を図3(A)に示される横向きから縦向きに持ち替えたときの別の形態を示している。
【0093】
図10に示されるアイコンは、図3を参照して説明したものと同じでありある。つまり、アイコン7001〜7007はファンクション選択用アイコン群、アイコン7008〜7013はファンクション設定用アイコン群、アイコン7020〜7024は設定状態アイコン群である。アイコン7001〜7007,8〜13に対しては、四方向ボタン74による操作が可能であるが、アイコン7020〜7024に対しては、四方向ボタン74によるファンクションの選択・設定等の操作は行えない。
【0094】
ファンクション選択用アイコン群とファンクション設定用アイコン群では、図3(A)と図10との間において、相互の位置関係を保ったままアイコン単位では回転して操作者に正対するように表示され、四方向ボタン74の各方向との位置関係が保持される。
【0095】
一方、設定状態アイコン群は、四方向ボタン74により操作がなされるものではないから、アイコン単位で回転させなくとも、四方向ボタン74の操作性に影響を与えることはない。むしろ、設定状態アイコン群は、四方向ボタン74による操作性に関係しないため、デジタルカメラ100の横向き/縦向きに依存せずに、常に同じレイアウト(操作者から見て右上)で表示される方が、操作者は設定状態を把握しやすい。
【0096】
そこで、第2実施形態では、図10に示されるように、設定状態アイコン群はアイコン単位で相互の位置関係を保って回転するのではなく、全体として回転させて表示される。これにより、操作者は、デジタルカメラ100の横向き/縦向きにかかわらず、共通のレイアウトで設定状態に関する情報を視認することができる。
【0097】
また、図10に示されるように、設定状態アイコン群は、例えば、表示部28の画面右上等、画面内で常に一定の位置にレイアウトされている。これにより、第2実施形態では、操作者は、横向き/縦向きにかかわらず、設定状態を容易に把握することができる。
【0098】
図11は、設定状態アイコン群の回転表示の制御処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示される各処理は、システム制御部50が、不揮発性メモリ56に格納されたプログラムをシステムメモリ52に展開して実行することにより実現される。
【0099】
先ず、傾きセンサ120が、表示部28の表示面に垂直な軸を中心軸としてデジタルカメラ100が回転した角度を、重力方向を基準として90度単位で検出する(ステップS1201)。次に、システム制御部50が、傾きセンサ120の検出信号に基づいて、方形である表示部28のいずれの辺が底辺となっているかを判断する(ステップS1202)。
【0100】
続いて、システム制御部50は、四方向ボタン74によって操作が可能なアイコンについて、ステップS1202において底辺と判断された辺が下となるように回転させる(ステップS1203)。このステップ1203の処理は、先に説明した図5のフローチャートのステップS503、つまり、図6のフローチャートに示す処理と同じであるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0101】
ステップ1203で回転させないアイコン群(つまり、設定状態アイコン群)について、底辺と判断された辺が下となるように位置関係を保って回転させる(ステップS1204)。そして、システム制御部50は、回転させたアイコンのグラフィックデータの表示位置を、デジタルカメラ100の回転前とは異なる位置(操作者から見て同等となる位置)に変更したレイアウトで、回転された設定状態アイコン郡等を表示部28に表示する(S1205)。ステップS1205の処理は、図5のフローチャートに示されるステップS504の処理と同じである。
【0102】
上記説明の通り、第2実施形態によれば、ファンクション選択アイコン群とファンクション設定アイコン群に対する操作では、第1実施形態と同じ効果が得られる。また、第2実施形態では、四方向ボタン74による操作に関係しない設定状態アイコン群を全体として回転させ、また、画面内の一定の位置にレイアウトさせる。これにより、デジタルカメラ100が横向きであるか縦向きであるかにかかわらず、設定状態に関する情報の視認性が向上し、操作者は設定状態を容易に把握することができる。
【0103】
<第3実施形態>
第3実施形態は、デジタルカメラ100が操作者により縦横で持ち替えられたとき、表示部28に表示されたアイコンをそのままアイコン単位で回転させると隣接するアイコンと重なるアイコンがある場合に、アイコン同士の重複を回避する構成に関する。具体的には、所定のアイコンを縮小することで、アイコン同士の重複を回避する。
【0104】
図12は、デジタルカメラ100が操作者により、横向きで保持されている状態を示す図(A)と、縦向きで保持されている状態を示す図(B)であり、図13は、図12の各図に示されるファンクション選択用アイコン群の拡大図である。
【0105】
図12及び図13に示されるアイコン7001,7003〜7007,7008〜7013,7020〜7024は、図3を参照して説明したアイコンと同じである。アイコン7002a,7002bは、ファンクション選択用アイコン群に含まれ、現在の撮影設定状態で撮影して記憶可能な枚数を表している。
【0106】
ファンクション選択用アイコン群とファンクション設定用アイコン群にそれぞれ含まれるアイコンは、四方向ボタン74による操作が可能である。一方、設定状態アイコン群に含まれるアイコンに対しては、四方向ボタン74によるファンクションの選択・設定等の操作を行うことができない。
【0107】
また、ファンクション選択用アイコン群とファンクション設定用アイコン群では、図12(A),(B)間では、相互の位置関係を保ったままアイコン単位では回転して操作者に正対するように表示され、四方向ボタン74の各方向との位置関係が保持される。
【0108】
図12(A)及び図13(A)に示されるように、アイコン7002aは、デジタルカメラ100が横向きの姿勢の場合に、横長の長方形で表示部28に表示されるようになっている。そのため、操作者がデジタルカメラ100を縦向きに持ち替えた場合に、第1実施形態のように相互の位置関係を保ったままアイコン単位で回転させると、隣接するアイコン7001,7003と重なりあってしまうという問題が生じる。
【0109】
そこで、図12(B)及び図13(B)に示されるように、相互の位置関係を保ったままアイコン単位で回転させた場合に隣接するアイコン7001,7003と重なりを生じるアイコン7002aについて、これを縮小したアイコン7002bを表示させる。これにより、アイコン同士の重複を生じさせることなく、操作者に正対するように各アイコンが表示されることとなる。
【0110】
図12(A)に示す状態から図12(B)に示す状態への遷移は、基本的には、第1実施形態において説明した図5のフローチャートに従って行われ、そのときにステップS503の処理を図14のフローチャートに従って行うことで実行される。そこで、ここでは、図5のフローチャートに示されるステップS501,502,504の処理の内容については、説明を省略する。
【0111】
図14は、図12及び図13に示される、アイコンの縮小処理を伴いながらアイコン単位で回転させて表示する制御処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示される各処理は、システム制御部50が、不揮発性メモリ56に格納されたプログラムをシステムメモリ52に展開して実行することにより実現される。
【0112】
システム制御部50は、表示部28に表示するN個のアイコンに対してアイコン番号iを付与し、アイコン番号iの小さいものから、順次、回転表示を行う。そこで、システム制御部50は、最初に、アイコン番号i=1として処理を開始し(ステップS1501)、次に、アイコン番号iがN以上であるかを判定し(ステップS1502)、i≧Nの場合(S1502で“YES”)は処理を終了する。
【0113】
i<Nの場合(S1502で“NO”)、そのアイコン番号iのアイコンを回転させた場合に、隣接するアイコンと重ならないかが判断される(ステップS1503)。アイコン同士が重ならないと判断された場合(S1503で“YES”)、処理はステップS1504に進み、アイコン同士が重なると判断された場合(S1503で“NO”)、処理はステップS1505に進む。
【0114】
ステップS1504では、i番目のアイコン用に登録されたグラフィックデータから、ステップS502(図5参照)で底辺と判断された辺を下として表示可能なものを読み出す。一方、ステップS1505では、i番目のアイコンを、回転させても隣接するアイコンと重ならないサイズに縮小して、ステップS502(図5参照)で底辺と判断された辺が下となるように、グラフィックデータを回転させる。
【0115】
ステップS1504,1505の後には、アイコン番号iをインクリメントして(ステップS1506)、ステップS1502に戻る。以降、ステップS1502の条件が満たされるまで、次のアイコン番号iを対象としてステップS1502以降の処理が繰り返される。
【0116】
上記説明の通り、第3実施形態では、操作者がデジタルカメラ100を縦横で持ち替えたときに、アイコン同士に重なりを生じさせることなく、常に操作者に正対するようにアイコンを表示することができる。これによって、操作者は、アイコンに表示された情報を正確に視認して、的確な操作を行うことができるようになる。
【0117】
<第4実施形態>
第4実施形態は、デジタルカメラ100が操作者により縦横で持ち替えられたとき、表示部28に表示されたアイコンをそのままアイコン単位で回転させると隣接するアイコンと重なるアイコンがある場合に、アイコン同士の重複を回避する別の構成に関する。具体的には、所定のアイコンに隣接するアイコン同士の間隔を変更することにより、アイコン同士の重複を回避する。
【0118】
図15は、デジタルカメラ100が縦向きに保持されている状態において、表示部28に表示されるファンクション選択アイコン群の表示例を示す図である。図15に対応して、デジタルカメラ100が横向きに保持された場合のファンクション選択アイコン群の表示例は、図12(A)及び図13(A)に示されるものと同じである。
【0119】
図15に示されるアイコン7002cは、図12(B)及び図13(B)に示されるアイコン7002bと同様に、現在の撮影設定状態で撮影して記憶可能な枚数を表している。なお、アイコン7001,7003〜7007は、図3や図13に示されるものと同じである。
【0120】
先に説明したように、図13(A)に示される状態では、アイコン7002aは横長の長方形であるため、相互の位置関係を保ったまま、アイコン単位で回転させると、隣接するアイコン7001,7003と重なりを生じてしまう。そこで、第4実施形態では、図15に示されるように、相互の位置関係を保ったまま、アイコン7002aに隣接するアイコン7001,7003同士の間隔を変更して、アイコン7002aをアイコン7002cとして表示する。これにより、ファンクション選択アイコン群を、アイコン同士が重なることなく、操作者に正対した状態で表示部28に表示させることができる。
【0121】
図12(A)及び図13(A)に示す状態から図15に示す状態への遷移は、基本的には、第1実施形態において説明した図5のフローチャートに従って行われ、そのときにステップS503の処理を図16のフローチャートに従って行うことで実行される。そこで、ここでは、図5のフローチャートに示されるステップS501,502,504の処理の内容については、説明を省略する。
【0122】
図16は、所定のアイコンに隣接するアイコン同士の間隔を広げてこれらのアイコンをアイコン単位で回転表示させる制御処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示される各処理は、システム制御部50が、不揮発性メモリ56に格納されたプログラムをシステムメモリ52に展開して実行することにより実現される。
【0123】
システム制御部50は、表示部28に表示するN個のアイコンに対してアイコン番号iを付与し、アイコン番号iの小さいものから、順次、回転表示を行う。そこで、システム制御部50は、最初に、アイコン番号i=1として処理を開始し(ステップS1701)、次に、アイコン番号iがN以上であるかを判定し(ステップS1702)、i≧Nの場合(S1702で“YES”)は処理を終了する。
【0124】
i<Nの場合(S1702で“NO”)、そのアイコン番号iのアイコンを回転させた場合に、隣接するアイコンと重ならないかが判断される(ステップS1703)。アイコン同士が重ならないと判断された場合(S1703で“YES”)、処理はステップS1704に進み、アイコン同士が重なると判断された場合(S1703で“NO”)、処理はステップS1705に進む。
【0125】
ステップS1704では、i番目のアイコン用に登録されたグラフィックデータから、ステップS502(図5参照)で底辺と判断された辺を下として表示可能なものを読み出す。一方、ステップS1705では、i番目のアイコンが隣接するアイコンと重ならないようにi番目のアイコンと隣接するアイコン同士の間隔を変更して、ステップS502(図5参照)で底辺と判断された辺が下となるように、グラフィックデータを回転させる。
【0126】
ステップS1704,1705の後には、アイコン番号iをインクリメントして(ステップS1706)、ステップS1702に戻る。以降、ステップS1702の条件が満たされるまで、次のアイコン番号iを対象としてステップS1702以降の処理が繰り返される。
【0127】
上記説明の通り、第4実施形態では、操作者がデジタルカメラ100を縦横で持ち替えたときに、アイコン同士に重なりを生じさせることなく、常に操作者に正対するようにアイコンを表示することができる。これによって、操作者は、アイコンに表示された情報を正確に視認して、的確な操作を行うことができるようになる。
【0128】
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施形態ついて詳述してきたが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。また、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0129】
例えば、デジタルカメラ100では、1つのハードウェアであるシステム制御部50がデジタルカメラ100の統括制御を行うとしたが、複数のハードウェアが処理を分担することによって、デジタルカメラ100全体の制御が行われる構成であってもよい。
【0130】
また、デジタルカメラ100では、表示部28にファンクション選択アイコン群とファンクション設定アイコン群とが表示されるため、二対の方向ボタンを備える四方向ボタン74を設けていた。しかし、これに限られず、例えば、表示部28には、例えば、ファンクション選択アイコン群のみが表示される構成では、四方向ボタン74に限られず、少なくとも一対の方向ボタンを備えたボタンを使用することができる。
【0131】
また、上記実施形態においては、本発明をデジタルカメラに適用した場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、本発明は、パーソナルコンピュータやPDA等の機器にも適用可能である。更に、携帯電話端末や携帯型の画像ビューワ、プリンタ装置に設けられた印刷画像選択及び確認のためのディスプレイ、デジタルフォトフレーム等の表示制御装置についても、本発明を適用することができる。
【0132】
更に、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0133】
28 表示部
50 システム制御部
60 モードダイヤル
72 電源スイッチ
73 コントローラホイール
74 四方向ボタン
75 セットボタン
76 ファンクション表示ボタン
100 デジタルカメラ(表示制御装置)
7001〜7013,7020〜7024 アイコン
7002a〜7002c アイコン
7014〜7017 ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像と複数のアイコンとを表示する表示部を備えた表示制御装置であって、
少なくとも一対の方向ボタンを備え、前記方向ボタンの操作によって前記表示部に表示された前記複数のアイコンの中から所定のアイコンを選択するアイコン選択手段と、
前記複数のアイコンを、前記少なくとも一対の方向ボタンによって、順次、選択することができるように前記表示部に表示する表示手段と、
前記表示部の表示面に垂直な軸を中心軸として前記表示部が回転した角度を検出する傾き検出手段と、
前記傾き検出手段によって検出された角度に応じて前記表示部に表示された前記アイコンをアイコン単位で回転させ、当該回転させたアイコンを前記表示手段を介して前記表示部に表示させる制御手段と、を備え、
前記制御手段によって回転されたアイコンは、前記制御手段による回転の前と同じ前記方向ボタンによって同じ順序で選択可能であることを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記表示部に表示される複数のアイコンは、前記アイコン選択手段によって選択可能なアイコンと選択不可能なアイコンとを有し、
前記制御手段は、前記表示部に表示された複数のアイコンのうち、前記アイコン選択手段によって選択可能なアイコンのみをアイコン単位で回転させることを特徴とする請求項1記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記アイコン選択手段によって選択不可能なアイコンが複数ある場合に、それら複数のアイコンを全体として回転させることを特徴とする請求項2記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記アイコン選択手段によって選択可能なアイコンの中にそのまま回転させると隣接するアイコンと重なってしまうアイコンがある場合に、当該アイコンを縮小させて前記隣接するアイコンと重ならないようにすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記アイコン選択手段によって選択可能なアイコンの中にそのまま回転させると隣接するアイコンと重なってしまうアイコンがある場合に、前記隣接するアイコン同士の間隔を変更してそれらのアイコン同士が重ならないようにすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項6】
画像と複数のアイコンとを表示する表示部と、少なくとも一対の方向ボタンの操作によって前記表示部に表示された前記複数のアイコンの中から所定のアイコンを選択するアイコン選択手段とを備えた表示制御装置の制御方法であって、
表示手段が、前記複数のアイコンを、前記少なくとも一対の方向ボタンによって、順次、選択することができるように前記表示部に表示する表示ステップと、
傾き検出手段が、前記表示部の表示面に垂直な軸を中心軸として前記表示部が回転した角度を検出する傾き検出ステップと、
制御手段が、前記傾き検出ステップで検出された角度に応じて前記表示部に表示された前記アイコンをアイコン単位で回転させ、当該回転されたアイコンを前記回転の前と同じ前記方向ボタンによって同じ順序で選択可能となるように、前記表示手段を介して前記表示部に表示させる回転表示ステップと、を有することを特徴とする表示制御装置の制御方法。
【請求項7】
画像と複数のアイコンとを表示する表示部と、少なくとも一対の方向ボタンの操作によって前記表示部に表示された前記複数のアイコンの中から所定のアイコンを選択するアイコン選択手段とを備えた表示制御装置の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記制御方法は、
前記複数のアイコンを、前記少なくとも一対の方向ボタンによって、順次、選択することができるように前記表示部に表示する表示ステップと、
前記表示部の表示面に垂直な軸を中心軸として前記表示部が回転した角度を検出する傾き検出ステップと、
前記傾き検出ステップで検出された角度に応じて前記表示部に表示された前記アイコンをアイコン単位で回転させ、当該回転されたアイコンを前記回転の前と同じ前記方向ボタンによって同じ順序で選択可能となるように、前記表示部に表示させる回転表示ステップと、を有することを特徴とするプログラム。
【請求項8】
請求項7記載のプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータで読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−170764(P2011−170764A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36121(P2010−36121)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】