説明

表示制御装置,表示装置,画像形成装置

【課題】一つの7セグメント表示器で表示可能な文字種別数以上の段階表示を実現することのできる表示制御装置,表示装置,及びこれらを備えた画像形成装置を提供すること。
【解決手段】8の字状に配置された7セグメントLED各々の発光の有無の組み合わせによって文字を表示する7セグメント表示器の表示を制御する表示制御装置が,予め設定されたトナー残量と文字及び表示輝度の組み合わせとが対応付けられた表示対応情報に基づいて,前記7セグメント表示器により表示される文字の表示輝度を複数段階に変更するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,8の字状に配置された7セグメントの点灯部を有する7セグメント表示器の表示制御技術に関し,特に,一つの7セグメント表示器で表示可能な文字種別数以上の段階表示を実現するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,8の字状に配置された7セグメントの発光ダイオード(LED)を有する7セグメント表示器では,その7セグメントのLEDの点灯の組み合わせによって,数字やアルファベットなどの各種の文字が表示される。
例えば,特許文献1では,複写機やプリンタ装置,ファクシミリ装置,複合機などの画像形成装置における用紙残量の表示に,前記7セグメント表示器が用いられている。しかし,前記7セグメント表示器で同時に表示することのできる文字は一つであるため,一つの7セグメント表示器で表示することのできる用紙残量の段階数には限界がある。例えば,数字で用紙残量を表示する場合には,0〜9までの10段階が限界である。そのため,前記特許文献1では,二つの前記7セグメント表示器を設けることによって,用紙残量を二桁の数字で表示している。
【特許文献1】特開平4−179653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら,前記特許文献1のように前記7セグメント表示器を複数設けることはコスト高となるという問題がある。一方,一つの前記7セグメント表示器で10段階以上の段階表示を実現するための手法として,例えば数字とアルファベットなどの記号とを混同して用紙残量を表示することが考えられる。しかし,数字と記号とを混同すると,ユーザがその表示を見て用紙残量がどのくらいあるのかを認識しにくいという問題がある。また,文字と記号とを混同させたとしても,前記7セグメント表示器で表示可能な文字種別数よりも多くの段階表示を実現することはできない。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,一つの7セグメント表示器で表示可能な文字種別数以上の段階表示を実現することのできる表示制御装置,表示装置,及びこれらを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明は,8の字状に配置された7セグメントの発光部各々の発光の有無の組み合わせによって文字を表示する7セグメント表示器の表示を制御する表示制御装置に適用されるものであって,予め設定された前記複数段階の情報各々と文字及び表示輝度の組み合わせとが対応付けられた表示対応情報に基づいて,前記7セグメント表示器により表示される文字の表示輝度を複数段階に変更することを特徴とする表示制御装置として構成される。例えば,前記文字は0〜9の数字である。
本発明によれば,前記7セグメント表示器における文字の表示輝度を複数段階に変更することにより,一つの前記7セグメント表示器で表示可能な文字種別数以上の段階表示を実現することができる。例えば,表示輝度を3段階に変更させる場合には,前記7セグメント表示器で表示可能な文字種別数の3倍の段階表示が可能となる。具体的に,0〜9の数字各々の表示輝度を3段階に変更すれば,数字だけで合計30段階の段階表示が可能である。また,一般に人間の感覚では,文字の表示濃度が濃い場合の方が薄い場合よりもレベルが高いことが連想される。例えば,数字の“3”の濃度が濃い場合には“4”に近く,薄い場合には“2”に近い段階であることを連想させることができる。したがって,前記7セグメント表示器で表示可能な文字種別数以上の段階表示を,ユーザに簡単に認識させることができる。
【0005】
具体的に,前記7セグメント表示器における表示輝度の変更手法としては,前記7セグメントの発光部の発光の入切に関するディーティー比を複数段階に変更することが考えられる。これにより,単位時間当たりの前記7セグメントの発光部の発光の入時間が変更され,該7セグメントの発光部による文字の表示輝度が変更される。
また,前記7セグメントの発光部に供給する電力を複数段階に変更することで,前記7セグメントの発光部の発光強度を変更することも考えられる。
さらに,前記7セグメント表示器が,小数点表示用の発光部を備えてなる場合には,その小数点表示用の発光部を,前記7セグメントの発光部の表示輝度の基準となる既定の基準輝度で発光させることが望ましい。これにより,前記小数点表示用の発光部の基準輝度を基準にすることで,前記7セグメント表示器の表示輝度の段階を見分けやすくなる。
【0006】
また,本発明は,前記7セグメント表示器及び前記表示制御装置を備えてなる表示装置として捉えてもよい。
さらに,本発明は,前記表示装置を備えてなる画像形成装置,即ち前記7セグメント表示器及び前記表示制御装置を備えてなる画像形成装置として捉えてもよい。具体的には,当該画像形成装置における現像剤の残量,用紙の残量,各種消耗品の残寿命のいずれか一つ又は複数を検出する状態検出手段を設けておき,前記表示制御装置が,前記状態検出手段による検出結果を前記7セグメント表示器に表示させるように構成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば,前記7セグメント表示器における文字の表示輝度を複数段階に変更することにより,一つの前記7セグメント表示器で表示可能な文字種別数以上の段階表示を実現することができる。また,一般に人間の感覚では,文字の表示濃度が濃い場合の方が薄い場合よりもレベルが高いことが連想されるため,前記7セグメント表示器で表示可能な文字種別数以上の段階表示を,ユーザに簡単に認識させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係るプリンタ装置Xの概略構成を示すブロック図,図2は前記表示装置Xに設けられたトナー残量検知部4の概略構成を示すブロック図,図3は前記プリンタ装置Xの外観図,図4は前記表示装置Xに設けられた7セグメント表示器8の概略構成を示す模式図,図5は表示対応情報の一例を示す図,図6は前記7セグメント表示器8の表示制御の具体例を説明するための図である。
まず,図1のブロック図を用いて,本発明の実施の形態に係るプリンタ装置Xの概略構成について説明する。なお,前記プリンタ装置Xは,本発明に係る画像形成装置の一例であって,他に,複写機やファクシミリ装置,これらの複合機なども本発明に係る画像形成装置に該当する。
図1に示すように,前記プリンタ装置Xは,通信処理部1,画像メモリ2,画像形成部3,トナー残量検知部4,操作表示部5,及びこれらを統括的に制御する制御部9などを備えて概略構成されている。
【0009】
前記通信処理部1は,外部のパーソナルコンピュータ等の情報処理装置との間でデータ通信を行うためのものであって,該情報処理装置から送信される画像データを受信する。前記通信処理部1で受信された画像データは,前記画像メモリ2に一時的に記憶される。
前記画像メモリ2は,DRAMなどの読み書き可能な半導体メモリである。この画像メモリ2には,前記通信処理部1で受信された画像データ等が一時的に格納される。
前記画像形成部3は,前記画像メモリ2に格納された画像データに応じた可視像(例えばトナー像)を記録紙に転写させて定着させるものであり,感光体ドラム,該感光体ドラムの表面を所定電位に一様に帯電させる帯電装置,前記感光体ドラムの表面を露光走査して静電潜像を形成するLSU,前記静電潜像にトナーを付着させて現像(可視像化)する現像装置,現像されたトナー像を給紙カセットから供給された記録紙に転写する転写装置,転写されたトナー像を記録紙に定着させる定着装置などの周知の各種装置を備えて構成されている。
【0010】
前記トナー残量検知部4(状態検出手段の一例)は,前記プリンタ装置Xにおけるトナー残量を検知するものであって,該トナー残量検知部4で検知されたトナー残量は前記制御部9に入力される。
ここで,図2を用いて,前記トナー残量検知部4の具体例について説明する。図2に示すように,前記トナー残量検知部4は,印刷濃度設定部41,環境温湿度情報取得部42,印字率算出部43,劣化トナー排出制御部44,消費トナー量算出部45,消費トナー量積算部46,トナー有無検知センサ47,トナー容量入力部48,トナー量残量算出部49などを備えて構成されている。
【0011】
前記印刷濃度設定部41は,前記画像データに基づいて前記画像形成部3による画像形成の印刷濃度を設定するものであって,該印刷濃度設定部41で設定された印刷濃度情報は,前記消費トナー量算出部45に入力される。
前記環境温湿度情報取得部42は,温度や湿度などを検出する温湿度センサを有しており,該温湿度センサによって検出された温湿度情報は,前記消費トナー量算出部45に入力される。
前記印字率算出部43は,前記画像データに基づいて該画像データにおける印字率を算出するものであって,該印字率算出部43で算出された印字率情報は,前記消費トナー量算出部45に入力される。
前記劣化トナー排出制御部44は,前記現像装置内で劣化したトナーを排出するための制御を行うものであって,該劣化トナー排出制御部44でトナーの排出が行われた排出時間は,前記消費トナー量算出部45に入力される。
【0012】
そして,前記消費トナー量算出部45では,前記印刷濃度設定部41から入力された印刷濃度情報,前記環境温湿度情報取得部42から入力された温湿度情報,前記印字率算出部43から入力された印字率情報,前記劣化トナー排出制御部44から入力された排出時間などに基づいて,トナー消費量が算出される。前記消費トナー量算出部45で算出された消費トナー量算出値は,前記消費トナー量積算部46に入力される。
前記消費トナー積算部46では,前記消費トナー量算出部45から入力された消費トナー量算出値の積算値が算出され,該消費トナー積算部46で算出された消費トナー量積算値は前記トナー残量算出部49に入力される。
【0013】
一方,前記トナー有無検知センサ47は,前記現像装置内のトナーの有無を検知するものであって,該トナー有無検知センサ47による検知結果は,前記トナー残量算出部49に入力される。
また,前記トナー容量入力部48は,前記現像装置内のトナー容量に関する情報を,例えばその現像装置から取得して前記トナー残量算出部49に入力する。
そして,前記トナー残量算出部49では,前記消費トナー量積算部46から入力された消費トナー量積算値,前記トナー有無検知センサ47から入力された検知結果,前記トナー容量入力部48から入力されたトナー容量などに基づいて,前記現像装置内のトナー残量が算出される。前記トナー残量算出部49で算出されたトナー残量は,前記制御部9に入力される。
【0014】
前記操作表示部5は,前記プリンタ装置Xの各種の状態を表示する状態表示部6と,操作入力を行うための操作部7と,前記プリンタ装置Xにおけるトナー残量などの情報を表示する7セグメント表示器8と,を備えている。
図3に示すように,前記操作表示部5は,前記プリンタ装置Xの上面に設けられている。
前記状態表示部6には,印字可能状態やオンライン状態などを示すオンラインインジケータ61,データ受信中やデータ処理中などを示すデータインジケータ62,本体カバーが開いていることや紙詰まりなどを示す注意インジケータ63,トナー残量が無いこと等を示すトナーインジケータ64などが設けられている。なお,前記トナーインジケータ64は,前記トナー残量検知部4から前記制御部9に,前記現像装置内にトナーが残存していないことが通知された場合に,該制御部9によって点灯される。
前記操作部7には,実行中の処理を中止するためのキャンセルキー71や,オンライン状態とオフライン状態とを切り替える操作や,トナー残量を表示させるための操作などの各種の操作を行うための実行キー72などが設けられている。
【0015】
前記7セグメント表示器8は,前記トナー残量検出部4によって検出された前記プリンタ装置Xにおけるトナー残量などの情報を表示するためのものであって,該7セグメント表示器8の表示は前記制御部9によって制御される。
ここで,図4を用いて,前記7セグメント表示器8について説明する。
図4に示すように,前記7セグメント表示器8は,8の字状に配置された7セグメントの発光ダイオード(以下「7セグメントLED」という)81a〜81g及び小数点表示用の発光ダイオード(以下「小数点表示用LED」という)81hを有する表示部81と,前記7セグメントLED81a〜81g各々の発光の有無を切り替える7セグメントデコーダ82と,前記小数点表示用LED81hの発光の有無を切り替えるトランジスタ等を有する駆動回路83と,を備えて構成されている。
【0016】
前記7セグメントLED81a〜81g各々に接続された電源Vccからの供給電力は,前記7セグメントデコーダ82を介してGNDに流れる。前記7セグメントデコーダ82は,前記制御部9から入力されるBCDデータ(図4のP1〜P4)に基づいて前記7セグメントLED81a〜81g各々の通電の有無を個別に切り替えることにより,該7セグメントLED81a〜81gの発光の有無を個別に切り替える。ここに,前記BCDデータは,前記7セグメント表示器8に表示させる十進数の数字を二進数で表現した二進化十進数(BCD,Binary−coded decimal)のデータである。
前記7セグメント表示器8では,前記制御部9から入力される前記BCDデータに基づいて前記7セグメントLED81a〜81g各々の発光の有無の組み合わせが変更されることにより,複数段階の情報が前記表示部81に文字で表示される。このように,前記BCDデータを入力することにより前記7セグメント表示器8の表示を制御するときの前記制御部9が本発明に係る表示制御装置の一例である。また,前記7セグメント表示器8及び前記制御部9が,本発明に係る表示装置の一例を構成している。
【0017】
さらに,前記7セグメントデコーダ82は,前記7セグメントLED81a〜81gの発光の有無を個別に切り替える機能の他に,該7セグメントLED81a〜81gの発光の有効及び無効を一括で切り替える一括切替機能を有している。具体的には,前記制御部9から入力される切替制御信号(図4のP5)の有無に応じて,前記7セグメントLED81a〜81gの発光の有効及び無効を一括で切り替える。
この一括切替機能により,例えば,前記制御部9から前記7セグメントデコーダ82に前記BCDデータが入力されている場合であっても,前記切替制御信号が入力されていない場合には,前記BCDデータにかかわらず前記7セグメントLED81a〜81gは消灯された状態となる。従来,前記一括切替機能は,例えば前記プリンタ装置Xの電源投入時などに前記7セグメントLED81a〜81gを点滅させるためなどに用いられていた。また,前記トナー残量が無くなって前記トナーインジケータ64が点灯されるときに,前記7セグメントLED81a〜81gで数字の“0”を点滅させる場合にも用いられる。
【0018】
また,前記小数点表示用LED81hに接続された電源Vccからの供給電力は,前記駆動回路83を介してGNDに流れる。前記駆動回路83は,前記制御部9から入力される駆動信号(図4のP6)に基づいて前記小数点表示用LED81hへの通電の有無を切り替えることにより,該小数点表示用LED81hの発光の有無を切り替える。
本発明に係る前記プリンタ装置Xでは,後段で詳述するように,前記制御部9によって前記切替制御信号(P5)や前記駆動信号(P6)のデューティー比が変更されることにより,前記7セグメントLED81a〜81gや前記小数点表示用LED81hの発光輝度が変更される。
【0019】
前記制御部9は,CPU91やROM92,RAM93等からなり,前記CPU91が前記ROM92に格納された制御プログラムに従った処理を実行することにより当該プリンタ装置Xを統括的に制御するものである。
また,前記制御部9のROM92には,前記トナー残量検知部4で検知されるトナー残量を前記7セグメント表示器8に表示させる際に用いられる表示対応情報が記憶されている。
ここに,図5は,前記表示対応情報の一例を示すものである。図5に示すように,前記表示対応情報は,トナー残量の各範囲各々と0〜9の数字及び表示輝度の組み合わせとが対応付けられたものであって,予め設定されて前記ROM92に記憶されている。
例えば,トナー残量31%には数字“3”及び表示輝度“暗”の組み合わせ,トナー残量34%には数字“3”及び表示輝度“中”の組み合わせ,トナー残量37%には数字“3”及び表示輝度“明”の組み合わせが対応している。即ち,前記表示対応情報では,数字“3”の表示輝度が“明”,“中”,“暗”の3段階に分けられており,この数字“3”だけで異なる3段階のトナー残量が表現されている。
【0020】
前記制御部9は,前記トナー残量検知部4から入力されたトナー残量と前記表示対応情報とに基づいて前記BCDデータを生成し,前記7セグメントデコーダ82に入力する。
また,前記制御部9は,前記7セグメントデコーダ82に,1kHz程度の周波数のパルス信号で前記切替制御信号(P5)を入力することにより,前記7セグメントLED81a〜81gを発光させる。さらに,前記制御部9は,前記切替制御信号(P5)のデューティー比(入時間/入時間及び切時間)を,前記表示輝度“明”,“中”,“暗”の3段階に対応する“100%”,“30%”,“10%”の3段階に変更することにより,前記7セグメントLED81a〜81gの発光輝度を変更する。
一方,前記制御部9は,前記7セグメントデコーダ82にトナー残量を表示させる際には,前記小数点表示用LED81hを常時発光させるように,前記駆動信号(P6)を前記駆動回路83に入力する。このとき,前記制御部9は,前記駆動信号(P6)を,前記切替制御信号(P5)と同じ周波数(1kHz程度)のパルス信号で入力する。また,前記制御部9は,前記駆動信号(P6)のデューティー比が,前記表示輝度“中”に対応する“30%”(基準輝度の一例)となるようにPWM制御を行う。即ち,前記小数点表示用LED81hは,前記7セグメントLED81a〜81gの表示輝度“中”と同じ表示輝度で常時発光することになる。ここに,かかる制御を行うときの前記制御部9が基準輝度表示手段に相当する。
【0021】
以下,図6を用いて,前記制御部9による前記7セグメント表示器8の表示制御の具体例について説明する。
ここに,図6の期間t1及び期間t2はトナー残量が30%より多く33%以下,期間t3はトナー残量が33%より多く36%以下,期間t4はトナー残量が36%より多く40%以下であるそれぞれの場合に,前記制御部9から出力される各種の信号を示している。ここでは,前記トナー残量が31%,34%,37%である場合についてそれぞれ説明する。
【0022】
(トナー残量31%,期間t1)
前記トナー残量検知部4によって検知されたトナー残量が31%である場合,前記制御部9は,前記ROM92に記憶された前記表示対応情報(図5参照)に基づいて,そのトナー残量31%に対応する数字及び表示輝度の組み合わせを抽出する。具体的には,数字の“3”及び表示輝度“暗”が抽出される。
そして,前記制御部9は,前記トナー残量31%に対応する数字の“3”のBCDデータ“1100”を,前記7セグメントデコーダ82に入力する(P1〜P4)。
このとき,前記期間t1では,前記制御部9が,前記7セグメントデコーダ82に前記切替制御信号(P5)を入力していないため(即ちデューティー比“0%”),前述したように,前記BCDデータにかかわらず,前記7セグメントLED81a〜81gは消灯した状態となる。
【0023】
(トナー残量31%,期間t2)
一方,前記制御部9が,前記トナー残量31%に対応する数字の“3”のBCDデータ“1100”を前記7セグメントデコーダ82に入力する(P1〜P4)と共に,前記切替制御信号(P5)を入力した場合(期間t2)には,前記7セグメントデコーダ82によって前記BCDデータ“1100”に基づいて前記7セグメントLED81a〜81gの発光の有無が切り替えられることにより,前記7セグメントLED81a〜81gによって数字の“3”が表示される。
このとき,前記制御部9は,前記切替制御信号(P5)のデューティー比が,前記表示輝度“暗”に対応する“10%”となるようにPWM制御を行う。したがって,前記7セグメントLED81a〜81gでは,数字の“3”が,トナー残量31%に対応する表示輝度“暗”で表示されることになる。これにより,ユーザは,数字の“3”及び表示輝度“暗”の組み合わせによって,トナー残量が30%よりも多く33%以下であることを認識することができる。
さらに,前記7セグメント表示器8では,前述したように,前記トナー残量を表示する際に,前記制御部9によって,前記小数点表示用LED81hが前記表示輝度“中”で点灯されるように制御される。したがって,ユーザは,前記小数点表示用LED81hの表示輝度を基準にすることによって,前記7セグメントLED81a〜81gで表示された数字の“3”の表示輝度が,前記表示輝度“明”,“中”,“暗”のいずれの段階であるかを容易に認識することができる。なお,前記小数点表示用LED81hの表示輝度は,前記7セグメントLED81a〜81gの表示輝度の基準となる既定の基準輝度であればよいが,前記7セグメントLED81a〜81gの表示輝度の中間段階に設定しておくことが望ましい。
【0024】
(トナー残量34%,期間t3)
この場合にも同様に,前記制御部9が,前記トナー残量34%に対応する数字の“3”のBCDデータ“1100”を前記7セグメントデコーダ82に入力する(P1〜P4)と共に,前記切替制御信号(P5)を入力することにより,前記7セグメントLED81a〜81gによって数字の“3”が表示される。
このとき,前記制御部9は,前記切替制御信号(P5)のデューティー比が,前記表示輝度“中”に対応する“30%”となるようにPWM制御を行う。したがって,前記7セグメントLED81a〜81gでは,数字の“3”が,トナー残量34%に対応する表示輝度“中”で表示されることになる。これにより,ユーザは,数字の“3”及び表示輝度“中”の組み合わせによって,トナー残量が33%よりも多く36%以下であることを認識することができる。なお,この場合にも同様に,前記小数点表示用LED81hは,前記制御部9によって,前記表示輝度“中”で点灯されるように制御されている。
【0025】
(トナー残量37%,期間t4)
同じく,前記制御部9が,前記トナー残量37%に対応する数字の“3”のBCDデータ“1100”を前記7セグメントデコーダ82に入力する(P1〜P4)と共に,前記切替制御信号(P5)を入力することにより,前記7セグメントLED81a〜81gによって数字の“3”が表示される。
このとき,前記制御部9は,前記切替制御信号(P5)のデューティー比が,前記表示輝度“明”に対応する“100%”となるようにPWM制御を行う。したがって,前記7セグメントLED81a〜81gでは,数字の“3”が,トナー残量37%に対応する表示輝度“明”で表示されることになる。これにより,ユーザは,数字の“3”及び表示輝度“明”の組み合わせによって,トナー残量が36%よりも多く40%以下であることを認識することができる。なお,この場合にも同様に,前記小数点表示用LED81hは,前記制御部9によって,前記表示輝度“中”で点灯されるように制御されている。
【0026】
以上,説明したように,前記プリンタ装置Xでは,前記制御部9によって,予め設定された前記表示対応情報に基づいて,一つの前記7セグメント表示器8により表示される文字の表示輝度が複数段階に変更されることにより,該7セグメント表示器8で表示可能な0〜9の10段階以上の段階表示が実現される。ここに,かかる制御を実行するときの前記制御部9が表示輝度変更手段に相当する。
具体的に,本実施の形態では,前記7セグメント表示器8の表示輝度を3段階に変更することによって,0〜9の数字で合計30段階のトナー残量を表示させている。もちろん,前記表示輝度を2段階や4段階以上に変更してもよいことはいうまでもない。
また,本発明は,人間の感覚では,文字の表示濃度が濃い場合の方が薄い場合よりもレベルが高いことが連想されることを利用している。具体的には,数字の“3”の濃度が濃い場合には“4”に近く,薄い場合には“2”に近い段階であることが容易に連想される。したがって,前記7セグメント表示器8における数字と表示輝度との組み合わせによって,0〜9の10段階以上の段階表示をユーザに簡単に認識させることができる。
なお,本実施の形態では,数字を用いる場合を例に挙げて説明したが,記号などを用いてもかまわない。例えば,アルファベットのa〜zと表示輝度との組み合わせによる段階表示が考えられる。
【0027】
また,本実施の形態では,前記トナー残量を表示する場合について説明したが,前記プリンタ装置Xに設けられた不図示の給紙カセットに残存する用紙量や,不図示の感光体ドラムなどの各種消耗品の残寿命などに関する前記表示対応情報を予め設定しておき,該用紙残量や該残寿命などを検出し,その用紙の残量や各種消耗品の残寿命などを,その表示対応情報に基づいて前記7セグメント表示器8に表示させることも考えられる。なお,前記感光体ドラムの残寿命は,例えば前記感光体ドラムの寿命と使用回数や使用時間とに基づいて算出される。
例えば,前記制御部9が,待機中は前記給紙カセットの用紙残量,印刷中はトナー残量を,前記7セグメント表示器に表示させるように制御することが考えられる。また,前記7セグメント表示器8に表示させる他の情報としては,前記プリンタ装置Xの起動完了や処理完了までの待ち時間(カウントダウン)や,紙詰まり位置の情報,エラー発生時のエラーコードなどが考えられる。
【0028】
また,本実施の形態では,前記制御部9が前記7セグメントデコーダ82や前記駆動回路83を介して,前記7セグメントLED81a〜81gや前記小数点表示用LED81hの発光の有無を制御する場合を例に挙げて説明したが,これに限られず,前記制御部9が直接前記7セグメントLED81a〜81gや前記小数点表示用LED81hの発光の有無を切り替えるように構成してもよい。
なお,前記7セグメントLED81a〜81gや前記小数点表示用LED81hの表示輝度を,前記7セグメントデコーダ82や前記駆動回路83への前記切替制御信号(P5)や前記駆動回路(P6)のPWM制御によって複数段階に変更する場合を例に挙げて説明したが,これに限られるものではない。例えば,前記7セグメントLED81a〜81gに供給する電力を複数段階に変更することも考えられる。具体的には,抵抗値の切替回路やD/A変換回路などを用いることによって,前記7セグメントLED81a〜81gや前記小数点表示用LED81hに供給する電力を変更すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係るプリンタ装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施の形態に係る表示装置に設けられたトナー残量検知部の概略構成を示すブロック図。
【図3】本発明の実施の形態に係るプリンタ装置の外観図。
【図4】本発明の実施の形態に係る表示装置に設けられた7セグメント表示器の概略構成を示す模式図。
【図5】表示対応情報の一例を示す図。
【図6】7セグメント表示器の表示制御の具体例を説明するための図。
【符号の説明】
【0030】
1…通信処理部
2…画像メモリ
3…画像形成部
4…トナー残量検知部
5…操作表示部
6…状態表示部
7…操作部
8…7セグメント表示器
81…表示部
81a〜81g…7セグメントLED(7セグメントの発光部の一例)
81h…小数点表示用LED(小数点表示用の発光部の一例)
82…7セグメントデコーダ
83…駆動回路
9…制御部
X…プリンタ装置(画像形成装置の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
8の字状に配置された7セグメントの発光部各々の発光の有無の組み合わせによって複数段階の情報を文字で表示する7セグメント表示器の表示を制御する表示制御装置であって,
予め設定された前記複数段階の情報各々と文字及び表示輝度の組み合わせとが対応付けられた表示対応情報に基づいて,前記7セグメント表示器により表示される文字の表示輝度を複数段階に変更する表示輝度変更手段を備えてなることを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記文字が0〜9の数字である請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記表示輝度変更手段が,前記7セグメントの発光部の発光の入切に関するディーティー比を複数段階に変更するものである請求項1又は2のいずれかに記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記表示輝度変更手段が,前記7セグメントの発光部に供給する電力を複数段階に変更するものである請求項1又は2のいずれかに記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記7セグメント表示器に小数点表示用の発光部が設けられている場合に,該小数点表示用の発光部を前記7セグメントの発光部の表示輝度の基準となる既定の基準輝度で発光させる基準輝度表示手段を更に備えてなる請求項1〜4のいずれかに記載の表示制御装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の表示制御装置及び前記7セグメント表示器を備えてなる表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の表示装置と,当該画像形成装置における現像剤の残量,用紙の残量,各種消耗品の残寿命のいずれか一つ又は複数を検出する状態検出手段と,を備えてなり,前記複数段階の情報が前記状態検出手段による検出結果である画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−134344(P2008−134344A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−319073(P2006−319073)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】