説明

表示方法、表示装置、電子機器および照明装置

【課題】観察者の姿勢に応じて良好な立体映像、その表示装置を備えた電子機器、その表示装置に搭載される照明装置を提供する。
【解決手段】表示装置は、二次元配列された複数の発光部と、それら複数の発光部を個別に駆動する駆動部とを有する照明装置と、複数の画素を有すると共に発光部からの光を利用して映像表示を行う表示部とを備えたものであって、観察者に対する表示装置の姿勢を検出するステップと、複数の発光部を個別に駆動することにより表示装置の姿勢に応じた発光パターンを形成するステップと、外部からの映像信号に基づき表示装置の姿勢に応じた複数の視点映像を表示部に同時に表示するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、立体映像表示が可能な表示装置、その表示装置を備えた電子機器、その表示装置に搭載される照明装置、およびその表示装置を用いて立体映像表示を行う表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、立体映像表示を実現できる表示装置が注目を集めている。立体映像表示は、互いに視差のある(視点の異なる)左眼映像と右眼映像を表示するものであり、観察者が左右の目でそれぞれを見ることにより奥行きのある立体的な映像として認識することができる。また、互いに視差がある3つ以上の映像を表示することにより、観察者に対してより自然な立体映像を提供することが可能な表示装置も開発されている。
【0003】
このような表示装置は、専用の眼鏡が必要なものと不要なものとに大別されるが、観察者にとっては専用の眼鏡は煩わしく感じるものであり、専用の眼鏡が不要なものが望まれている。専用の眼鏡が不要な表示装置としては、例えば、レンチキュラーレンズ方式や、視差バリア(パララックスバリア)方式などがある。これらの方式では、互いに視差がある複数の映像(視点映像)を画像表示パネルに同時に表示し、表示装置と観察者の視点との相対的な位置関係(角度)によって見える映像が異なるようになっている。パララックスバリア方式の表示装置としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−119889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のレンチキュラーレンズ方式やパララックスバリア方式の表示装置においてはバックライトと呼ばれる照明光源が用いられており、そのバックライトからの照射光が、レンチキュラーレンズもしくはパララックスバリアを選択的に透過するようになっている。このため、バックライトからの照射光の利用効率の向上が望まれる。また、レンチキュラーレンズもしくはパララックスバリアを用いて立体映像表示を行った場合、バックライトからの照射光が透過する光透過領域およびその照射光が遮蔽される遮光領域は、画像表示パネルに対して固定された位置となっている。したがって、観察者の視点位置に対して表示装置の向きを変えた場合(例えば表示装置を、光軸を中心軸として回転させた場合)、観察者は適切な立体映像を視認することができなくなってしまう。なお、画像表示パネルと、レンチキュラーレンズもしくはパララックスバリアとの相対位置を機械的に変更する方法も考えられるが、表示装置自体の全体構成の複雑化、大型化を招いてしまう。
【0006】
本開示はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、観察者の姿勢に応じて良好な立体映像を形成可能な表示装置、その表示装置を備えた電子機器、その表示装置に搭載される照明装置を提供することにある。また、本開示の第2の目的は、そのような表示装置を用い、観察者の姿勢に応じて良好な立体表示を実現する表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の表示方法は、二次元配列された複数の発光部を有する照明装置と、発光部からの光を利用して映像表示を行う表示部とを備えた表示装置を用いた立体映像の表示を行うものであって、観察者に対する表示装置の姿勢を検出するステップと、複数の発光部を個別に駆動することにより表示装置の姿勢に応じた発光パターンを形成するステップと、外部からの映像信号に基づき表示装置の姿勢に応じた複数の視点映像を表示部に同時に表示するステップとを含むものである。
【0008】
本開示の表示方法では、観察者に対する表示装置の姿勢、すなわち、観察者に対する表示装置の向きや角度の状態を検出し、その状態に応じて、複数の発光部を発光させて所定の発光パターンを形成すると共に複数の視点映像を表示する。これにより、観察者と表示装置との相対的な向きや角度が変化したときであっても、観察者に視認される立体映像の画質が良好に保たれる。
【0009】
本開示の表示装置は、二次元配列された複数の発光部とそれら複数の発光部を個別に駆動する駆動部とを有する照明装置と、複数の画素を有すると共に発光部からの光を利用して画像表示を行う表示部とを備えたものである。また、本開示の電子機器は、上記の表示装置を備えたものである。
【0010】
本開示の表示装置および電子機器では、照明装置において、駆動部により、二次元配列された複数の発光部において個別に点灯または消灯の動作が行われる。よって、この照明装置を表示部のバックライトとして利用することで、二次元映像表示(平面映像表示)と三次元映像表示(立体映像表示)との切り替えが可能となる。すなわち、立体映像表示の際には、照明装置において同一方向へ帯状に連なる発光部が所定の間隔で隣り合うように複数並んでなる発光パターンを形成し、線状照明光を複数発生させると共に、表示部において複数の視点映像を同時に表示する。一方、二次元映像表示の際には、照明装置において例えば全ての発光部を点灯させるなどして、全面に亘って明るさのばらつきが少ない均質な照明光を発生させる。
【0011】
本開示の照明装置は、表示装置用のものであって、二次元配列された複数の発光部と、それら複数の発光部を個別に駆動する駆動部とを備えたものである。
【0012】
本開示の照明装置では、駆動部により、二次元配列された複数の発光部において個別に点灯または消灯の動作が行われる。よって、任意のタイミングで任意の発光パターンを形成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示の表示方法によれば、観察者に対する表示装置の姿勢を検出し、それに応じて照明装置の発光パターンの形成および視点映像の表示を行うようにしたので、観察者は任意の向きに表示装置を回転させた場合であっても良好な立体映像を認識することができる。
【0014】
本開示の照明装置によれば、同一方向へ帯状に連なる複数の発光部を所定の間隔で並べた発光パターンを形成し、線状照明光を複数発生させることができる。よって、この照明装置をバックライトとして用いた本開示の表示装置および電子機器によれば、発光パターンと、表示部と、観察者の左右の眼の視点位置との相対的な位置関係(角度)により、その観察者が左右の眼において認識する映像を相互に異なるものとすることができる。その結果、観察者が立体映像を認識することができる。ここで、線状照明光の延伸方向は任意の方向に設定可能であるので、表示部と観察者の左右の眼の視点位置との相対関係の変化に対応可能である。また、任意のタイミングで任意の発光パターンを形成することができるので、時分割表示にも対応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本開示の第1の実施の形態に係る表示装置の一構成例を表すブロック図である。
【図2】図1に示した表示部および表示駆動部の一構成例を表す説明図である。
【図3】図2に示した画素回路の一構成例および画素の断面構成例を表す説明図である。
【図4】図1に示した表示部およびバックライトの一構成例を表す断面図である。
【図5】図4に示した光変調素子の一構成例を表す断面図である。
【図6】図5に示した光変調素子の電極構造を表す斜視図である。
【図7】図4に示した光変調素子の作用の一例を説明するための模式図である。
【図8】図4に示した光変調素子の作用の他の例を説明するための模式図である。
【図9】図1に示したバックライトの作用の一例を説明するための模式図である。
【図10】図4に示した光変調素子において、三次元表示を行う際に選択的に電圧を印加される下部電極の第1のパターンを説明するための模式図である。
【図11】図1に示したバックライトにおいて形成される発光パターンおよび線状照明光の一例を説明するための模式図である。
【図12】図1に示した表示装置における三次元表示を説明するための模式図である。
【図13】図1に示した表示装置における二次元表示を説明するための模式図である。
【図14】図4に示した光変調素子において、三次元表示を行う際に選択的に電圧を印加される下部電極の第2のパターンを説明するための他の模式図である。
【図15】図1に示したバックライトにおいて形成される発光パターンおよび線状照明光の一例を説明するための他の模式図である。
【図16】図1に示した表示装置における三次元表示を説明するための他の模式図である。
【図17】図4に示した光変調素子において、三次元表示を行う際に選択的に電圧を印加される下部電極の第3のパターンを説明するための他の模式図である。
【図18】変形例としての光変調素子の電極構造を表す斜視図である。
【図19】本開示の第2の実施の形態に係る表示装置のバックライトに用いられる電子ペーパの一構成例を表す断面図である。
【図20】図19に示した電子ペーパの動作を説明するための断面図である。
【図21】本開示の第3の実施の形態に係る表示装置におけるバックライトの一構成例を表す断面図である。
【図22】本開示の第4の実施の形態に係る表示装置におけるバックライトの一構成例を表す断面図である。
【図23】本開示の第5の実施の形態に係る表示装置におけるバックライトの一構成例を表す断面図である。
【図24】表示装置を用いた電子機器の構成を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(図1〜図18)
光変調素子(水平方向PDLC)を含むバックライトを使用した例(表示装置)
2.第2の実施の形態(図19,図20)
電気泳動素子を含むバックライトを使用した例(表示装置)
3.第3の実施の形態(図21)
有機発光素子を含むバックライトを使用した例(表示装置)
4.第4の実施の形態(図22)
発光ダイオードを含むバックライトを使用した例(表示装置)
5.第5の実施の形態(図23):
電子粉粒体素子を含むバックライトを使用した例(表示装置)
6.第6の実施の形態(図24):表示装置の適用例(電子機器)
【0017】
<第1の実施の形態>
[全体構成]
図1は、本実施の形態としての表示装置1の一構成例を表すブロック図である。表示装置100は、立体表示(3次元表示)および通常表示(2次元表示)の双方を実現可能なものである。表示装置100は、センサ部10、表示部20、バックライト30、制御部40、表示駆動部50およびバックライト駆動部60を備えている。
【0018】
センサ部10は、制御部40からの指令に基づき表示装置100の姿勢を逐次検出し、検出された姿勢に関する姿勢情報を制御部40へ送るように機能する。センサ部10は、観察者に対する表示装置1の姿勢(向き、角度)を検出するものであり、例えば加速度センサまたは画像認識装置である。センサ部10として例えば画像認識装置を用いた場合には、観察者の左右の眼の位置を判別することにより、表示部20において適切な向きで映像を表示するための情報が得られる。
【0019】
制御部40は、外部より供給される映像信号Vdispと、制御部40からの姿勢情報とに基づいて、表示駆動部50およびバックライト駆動部60に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらがお互いに同期して動作するように制御する回路である。具体的には、制御部40は、表示駆動部50に対して映像信号Vdispに基づく映像信号S1を供給し、バックライト駆動部60に対してバックライト制御信号S2を供給するようになっている。また、制御部40は、センサ部10の動作制御をも行う。
【0020】
表示駆動部50は、制御部40から供給される映像信号S1に基づいて表示部20を駆動するものである。表示部20は、液晶素子を駆動して、バックライト30から射出した光を変調することにより映像表示を行うものである。
【0021】
バックライト駆動部60は、制御部40から供給されるバックライト制御信号S2に基づいてバックライト30を駆動するものである。バックライト30は、表示部20に対してその背後から面状照明光または複数の線状照明光を照射する機能を有する照明装置である。
【0022】
表示部20は、例えば、映像信号S1に応じて各画素が駆動される透過型の液晶表示パネル(LCD:Liquid Crystal Display)であり、液晶層を一対の透明基板で挟み込んだ構造となっている。
【0023】
図2は、表示駆動部50および表示部20のブロック図の一例を表すものである。画素Pixは、表示部20において、マトリクス状に配置されている。表示駆動部50は、タイミング制御部51と、ゲートドライバ52と、データドライバ53とを備えている。タイミング制御部51は、ゲートドライバ52およびデータドライバ53の駆動タイミングを制御するとともに、制御部40から供給された映像信号S1を映像信号S11としてデータドライバ53へ供給するものである。ゲートドライバ52は、タイミング制御部51によるタイミング制御に従って、表示部20内の画素Pixを行ごとに順次選択して、線順次走査するものである。データドライバ53は、表示部20の各画素Pixへ、映像信号S1に基づく画素信号を供給するものである。具体的には、データドライバ53は、映像信号S11に基づいてD/A(デジタル/アナログ)変換を行うことによりアナログ信号である画素信号を生成し、各画素Pixへ供給するようになっている。
【0024】
表示部20は、例えばガラスなどから構成される2枚の透明基板の間に液晶材料を封入したものである。これらの透明基板の液晶材料に面した部分には、例えばITO(IndiumTin Oxide)などから構成される透明電極が形成され、液晶材料とともに画素Pixを構成している。この表示部20における液晶材料としては、例えばネマチック液晶を用いたVAモード、IPSモードおよびTNモード等の液晶が用いられる。
【0025】
図3(A)は、画素Pixの回路図の一例を表すものである。画素Pixは、TFT(Thin Film Transistor)素子Trと、液晶素子LCと、保持容量素子Cとを備えている。TFT素子Trは、例えばMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)からなり、ゲートがゲート線Gに接続され、ソースがデータ線Dに接続され
、ドレインが液晶素子LCの一端と保持容量素子Cの一端に接続されている。液晶素子LCは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端は接地されている。保持容量素子Cは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端は保持容量線Csに接続されている。ゲート線Gはゲートドライバ52に接続され、データ線Dはデータドライバ53に接続されている。
【0026】
図3(B)は、画素Pixを含む表示部20の断面構成を表すものである。このように表示部20は、断面でみると、駆動基板201と対向基板205との間に、液晶層203を封止したものである。駆動基板201は、上記TFT素子Trを含む画素駆動回路が形成されたものであり、この駆動基板201上には、画素Pix毎に画素電極202が配設されている。対向基板205には、図示しないカラーフィルタやブラックマトリクスが形成されており、更に液晶層203側の面には、対向電極204が各画素Pixに共通の電極として配設されている。表示部20の光入射側(ここでは、バックライト30側)および光射出側(ここでは、観察者側)には、偏光板206A,206Bが、互いにクロスニコルまたはパラレルニコルとなるように貼り合わせられている。
【0027】
図4は、表示装置100の断面構成の一例を表したものである。なお、図4は、模式的に表したものであり、実際の寸法や形状と同一であるとは限らない。図4に示したように、表示装置100において、バックライト30は表示部20の背後に配置されている。なお、バックライト30が「照明装置」の一具体例に相当する。バックライト30は、例えば、導光板1と、導光板1の端面と対向するように配置された光源2と、導光板1の背後に配置した光変調素子3および反射板4とを備えている。
【0028】
導光板1は、光源2からの光を導光板1の上面に導くものである。この導光板1は、その上面と重なるように配置された表示部20と対応した形状、例えば、上面、下面およびそれらを繋ぐ端面で囲まれた直方体状となっている。なお、以下では、導光板1の端面のうち光源2からの光が入射する端面を光入射面1Aと称するものとする。導光板1は、例えば、上面および下面の少なくとも一方の面から、光入射面1Aからの入射光を散乱し、均一化して射出する機能を有している。なお、バックライト30に印加する電圧を変調することによって輝度の均一化を行う場合には、パターン化されていない平坦な導光板を導光板1として用いることも可能である。導光板1は、例えば、ポリカーボネート樹脂(PC)やアクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート(PMMA)などの透明熱可塑性樹脂を主に含んで構成されている。
【0029】
光源2は、線状光源であり、例えば、熱陰極管(HCFL;Hot Cathode Fluorescent Lamp)、冷陰極管(CCFL;Cold Cathode Fluorescent Lamp)、または複数のLED(Light Emitting Diode)を一列に配置したものなどからなる。光源2が複数のLEDからなる場合には、効率、薄型化、均一性の観点から、全てのLEDが白色LEDであることが好ましい。なお、光源2が、例えば、赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDを含んで構成されていてもよい。光源2は、導光板1の一の端面の対向する位置にのみ設けられていてもよいし(図3参照)、導光板1における2以上の端面と対向するように設けられていてもよい。
【0030】
反射板4は、導光板1の背後から光変調素子3を介して漏れ出てきた光を導光板1側に戻すものであり、例えば、反射、拡散、散乱などの機能を有している。これにより、光源2からの射出光を効率的に利用することができ、また、正面輝度の向上にも役立っている。この反射板4は、例えば、発泡PET(ポリエチレンテレフタレート)や銀蒸着フィルム、多層膜反射フィルム、白色PETなどからなる。なお、反射板4は必要に応じて設ければよく、省略することも可能である。
【0031】
光変調素子3は、本実施の形態において、導光板1の背後(表示部20と反対側)に設けられ、空気層を介することなく、例えば接着剤(図示せず)により導光板1の背面と接着されている。光変調素子3は、光源2から導光板1を伝播した光を利用して発光する発光部としての光変調セル3S(後出)を複数有している。光変調素子3は、高分子分散液晶(PDLC;Polymer Dispersed Liquid Crystal)を利用したものであり、複数の光変調セル3Sをアクティブマトリックス駆動することで透明領域3A(後出)と散乱領域3B(後出)とを、表示部20の表示面に沿って任意のパターンで形成することができる。光変調素子3は、例えば、図5に示したように、透明基板31、下部電極32、配向膜33、光変調層34、配向膜35、上部電極36および透明基板37を反射板4側から順に配置されたものである。ここで、透明電極37の外面(上部電極36が設けられた面と反対側の面)が導光板1の背面と接着される。なお、図5は、光変調素子3の一構成例を表す断面図である。
【0032】
透明基板31,37は、光変調層34を支持するものであり、一般に、可視光に対して透明な基板、例えば、ガラス板や、プラスチックフィルムによって構成されている。下部電極32は、透明基板31における透明基板37と対向する面上において、例えば図5および図6に示したように複数設けられている。複数の下部電極32は、相互に分離して絶縁されている。一方、上部電極36は、例えば図5および図6に示したように、透明基板37における透明基板31と対向する面上に設けられ、複数の下部電極32の全てと対向するように一体化されたベタ膜からなる。なお、図6は、光変調素子3における電極構造を表す斜視図である。但し、図6では、下部電極32、光変調層34および上部電極36のみを示し、光変調素子3における他の構成要素を省略している。また、図6では、下部電極32の形状および配置を視認し易くするため、透明基板31の側から眺めた様子を表している。
【0033】
複数の下部電極32は、透明基板31の表面に沿って、すなわちXY平面においてマトリックス状に二次元配列されており、それぞれ矩形(あるいは正方形)の平面形状を有している。複数の下部電極32は、それぞれ、例えば透明基板31に埋設されたTFT素子などの駆動素子(図示せず)と1つずつ接続され、個別に印加電圧の制御が可能となっている。各駆動素子は、例えばMOS−FETからなり、例えばX軸方向へ延伸されたゲート線(図示せず)にゲートが接続されると共に、Y軸方向へ延伸されたデータ線(図示せず)にソースが接続されている。バックライト駆動部60には、複数のゲート線およびデータ線に対し、制御部40から供給されるバックライト制御信号S2に応じて選択的に所定の電圧を供給する電圧供給部が設けられている。このため、バックライト駆動部60により、各駆動素子は個別に駆動可能となっている。したがって、表示装置100において3次元表示を行う際には、バックライト30において各種の発光パターンの形成が可能となり、任意の方向に伸びる線状照明光が形成される。一方、表示装置100において二次元表示を行うときには、面状照明光を生成するために、全ての下部電極32が通電される。これらの動作等については後述する。
【0034】
下部電極32および上部電極36は、透明な導電性材料、例えば酸化インジウムスズ(ITO;Indium Tin Oxide)からなる。但し、下部電極32については、透明な材料でなくてもよく、例えば、金属によって構成されていてもよい。なお、下部電極32が金属によって構成されている場合には、下部電極32は、反射板4と同様、導光板1の背後から光変調素子3に入射する光を反射する機能も兼ね備えていることになる。従って、この場合には、反射板4を設けなくてもよい。
【0035】
光変調素子3の積層方向(Z軸方向)において各々の下部電極32が投影される領域、すなわち下部電極32と上部電極36とが互いに重なり合う領域には、それぞれ、図5において破線で示したように光変調セル3Sが構成されている。したがって、光変調素子3には、複数の光変調セル3SがXY平面に沿って所定間隔でマトリックス状に二次元配列されている。
【0036】
各光変調セル3Sは、下部電極32と上部電極36との間に所定の電圧を印加することにより別個独立に駆動することの可能なものである。具体的には、下部電極32と上部電極36との間に印加される電圧の大きさに応じて、光源2からの光に対して透明性を示したり、散乱性を示したりする。なお、透明性、散乱性については、光変調層34を説明する際に詳細に説明する。
【0037】
配向膜33,35は、例えば、光変調層34に用いられる液晶やモノマーを配向させるものである。配向膜の種類としては、例えば、垂直用配向膜および水平用配向膜があるが、本実施の形態では、配向膜33,35には水平用配向膜が用いられる。水平用配向膜としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリビニルアルコールなどをラビング処理することにより形成された配向膜、転写やエッチングなどにより溝形状が付与された配向膜が挙げられる。また、水平用配向膜としては、例えば、酸化ケイ素などの無機材料を斜方蒸着することにより形成された配向膜、イオンビーム照射により形成されたダイヤモンドライクカーボン配向膜、電極パターンスリットの形成された配向膜が挙げられる。透明基板31,37としてプラスチックフィルムを用いる場合には、配向膜33,35として、100℃以下の温度で形成可能なポリアミドイミドを用いることが好ましい。製造工程において、透明基板31,37の表面に配向膜33,35を塗布したのちに行う焼成処理の際の焼成温度をできるだけ低くすることが望ましいからである。
【0038】
また、垂直、水平いずれの配向膜においても、液晶とモノマーを配向させる機能があれば十分であり、通常の液晶ディスプレイに要求される電圧の繰り返し印加による信頼性などは必要ない。デバイス作成後の電圧印加による信頼性は、モノマーを重合したものと液晶との界面で決まるためである。また、配向膜を用いなくても、例えば、下部電極32および上部電極36の間に電場や磁場を印加することによっても、光変調層34に用いられる液晶やモノマーを配向させることが可能である。つまり、下部電極32および上部電極36の間に電場や磁場を印加しながら、紫外線照射して電圧印加状態での液晶やモノマーの配向状態を固定させることができる。配向膜の形成に電圧を用いる場合には、配向用と駆動用とで別々の電極を形成するか、液晶材料に周波数によって誘電率異方性の符号が反転する二周波液晶などを用いることができる。また、配向膜の形成に磁場を用いる場合、配向膜として磁化率異方性の大きい材料を用いることが好ましく、例えば、ベンゼン環の多い材料を用いることが好ましい。
【0039】
光変調層34は、電場の大きさに応じて、光源20からの光に対して散乱性もしくは透明性を示すものである。光変調層34は、例えば、図5に示したように、バルク34Aと、バルク34A内に分散された微粒子状の複数の微粒子34Bとを含んだ複合層となっている。バルク34Aおよび微粒子34Bは光学異方性を有している。また、バルク34Aおよび微粒子34Bは、電場に対する応答速度が互いに異なっている。バルク34Aは、例えば、電場に対して応答しない筋状構造もしくは多孔質構造となっているか、または微粒子34Bの応答速度よりも遅い応答速度を有する棒状構造となっている。
【0040】
バルク34Aは、例えば、低分子モノマーを重合化することにより得られた高分子材料によって形成されている。バルク34Aは、例えば、微粒子34Bの配向方向または配向膜33,35の配向方向に沿って配向した、配向性および重合性を有する材料(例えばモノマー)を熱および光の少なくとも一方によって重合させることにより形成されている。バルク34Aの筋状構造、多孔質構造もしくは棒状構造は、例えば、導光板1の光入射面1Aと平行となると共に透明基板31,37の表面と僅かな角度θ1(後出)で交差する方向に長軸を有している。バルク34Aが筋状構造となっている場合に、短軸方向の平均的な筋状組織サイズは、導光の散乱性を高くするという観点からは、0.1μm以上10μm以下となっていることが好ましく、0.2μm以上2.0μm以下の範囲であることがより好ましい。また、散乱の波長依存性を少なくするという観点からは、短軸方向の平均的な筋状組織サイズは、0.5μm以上5μm以下の範囲であることが好ましく、1〜3μmの範囲であることがより好ましい。筋状組織のサイズは、偏光顕微鏡、共焦点顕微鏡、電子顕微鏡などで観察することができる。
【0041】
一方、微粒子34Bは、例えば、液晶材料を主に含んで構成されており、バルク34Aの応答速度よりも十分に早い応答速度を有している。微粒子34B内に含まれる液晶材料(液晶分子)は、例えば棒状分子である。微粒子34B内に含まれる液晶分子として、正の屈折率異方性を有するもの(いわゆるポジ型液晶)を用いることが好ましい。
【0042】
図7(A)は、下部電極32および上部電極36の間に電圧が印加されていない時の、微粒子34B内の配向状態の一例を模式的に表したものである。なお、図7(A)において、バルク34A内の配向状態についての記載を省略した。図7(B)は、下部電極32および上部電極36間に電圧が印加されていない時の、バルク34Aおよび微粒子34Bの屈折率異方性を示す屈折率楕円体の一例を表したものである。この屈折率楕円体は、様々な方向から入射した直線偏光の屈折率をテンソル楕円体で表したものであり、光が入射する方向からの楕円体の断面を見ることによって、幾何的に屈折率を知ることができるものである。図7(C)は、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない時の、正面方向に向かう光L1と、斜め方向に向かう光L2とが光変調層34を透過する様子の一例を模式的表したものである。
【0043】
図8(A)は、下部電極32および上部電極36間に電圧が印加されている時の、微粒子34B内の配向状態の一例を模式的に表したものである。なお、図8(A)において、バルク34A内の配向状態についての記載を省略した。図8(B)は、下部電極32および上部電極36間に電圧が印加されている時の、バルク34Aおよび微粒子34Bの屈折率異方性を示す屈折率楕円体の一例を表したものである。図8(C)は、下部電極32および上部電極36間に電圧が印加されている時の、正面方向に向かう光L1と、斜め方向に向かう光L2とが光変調層34において散乱される様子の一例を模式的表したものである。
【0044】
バルク34Aおよび微粒子34Bは、例えば、図7(A),(B)に示したように、下部電極32および上部電極36間に電圧が印加されていない時に、バルク34Aの光軸AX1および微粒子34Bの光軸AX2の向きが互いに一致する(平行となる)構成となっている。なお、光軸AX1,AX2とは、偏光方向によらず屈折率が一つの値になるような光線の進行方向と平行な線を指している。また、光軸AX1および光軸AX2の向きは常に互いに一致している必要はなく、光軸AX1の向きと光軸AX2の向きとが、例えば製造誤差などによって多少ずれていてもよい。
【0045】
また、微粒子34Bは、例えば、下部電極32および上部電極36の間に電圧が印加されていない時に、光軸AX2が導光板1の光入射面1Aと平行となる構成となっている。微粒子34Bは、さらに、例えば、下部電極32および上部電極36の間に電圧が印加されていない時に、光軸AX2が透明基板31,37の表面と僅かな角度θ1で交差する構成となっている(図7(B)参照)。なお、角度θ1については、微粒子34Bを構成する材料を説明する際に詳述する。
【0046】
一方、バルク34Aは、例えば、下部電極32および上部電極36の間への電圧印加の有無に拘らず、バルク34Aの光軸AX1が一定となる構成となっている。具体的には、バルク34Aは、例えば、図7(A),(B)および図8(A),(B)に示したように、バルク34Aの光軸AX1が導光板1の光入射面1Aと平行となると共に透明基板31,37の表面と所定の角度θ1で交差する構成となっている。つまり、バルク34Aの光軸AX1は、下部電極32および上部電極36間に電圧が印加されていない時に、微粒子34Bの光軸AX2と平行となっている。
【0047】
なお、光軸AX2が常に、導光板1の光入射面1Aと平行となると共に透明基板31,37の表面と角度θ1で交差している必要はなく、例えば製造誤差などによって透明基板31,37の表面と、角度θ1とは若干異なる角度で交差していてもよい。また、光軸AX1,AX2が常に導光板1の光入射面1Aと平行となっている必要はなく、例えば製造誤差などによって導光板1の光入射面1Aに対して小さな角度を有していてもよい。
【0048】
ここで、バルク34Aおよび微粒子34Bの常光屈折率が互いに等しく、かつバルク34Aおよび微粒子34Bの異常光屈折率が互いに等しいことが好ましい。この場合に、例えば、下部電極32および上部電極36の間に電圧が印加されていない時には、図7(A)に示したように、正面方向および斜め方向を含むあらゆる方向において屈折率差がほとんどなく、高い透明性が得られる。これにより、例えば、図7(C)に示したように、正面方向に向かう光L1および斜め方向に向かう光L2は、光変調層34内で散乱されることなく、光変調層34を透過する。その結果、例えば、図9(A),(B)に示したように、光源2からの光L(斜め方向からの光)は、透明領域3Aの界面(透明基板31および導光板1と空気との界面)において全反射され、透明領域3Aの輝度(黒表示の輝度)が、光変調素子3を設けていない場合(図9(B)中の一点鎖線)と比べて下がる。
【0049】
また、バルク34Aおよび微粒子34Bは、例えば、下部電極32および上部電極36の間に電圧が印加されている時には、図8(A)に示したように、光軸AX1および光軸AX2の向きが互いに異なる(交差する)構成となっている。また、微粒子34Bは、例えば、下部電極32および上部電極36の間に電圧が印加されている時に、微粒子34Bの光軸AX2が導光板1の光入射面1Aと平行となると共に透明基板31,37の表面と角度θ1よりも大きな角度θ2(例えば90°)で交差する構成となっている。なお、角度θ2については、微粒子34Bを構成する材料を説明する際に詳述する。
【0050】
したがって、下部電極32および上部電極36の間に電圧が印加されている時には、光変調層34において、正面方向および斜め方向を含むあらゆる方向において屈折率差が大きくなり、高い散乱性が得られる。これにより、例えば、図8(C)に示したように、正面方向に向かう光L1および斜め方向に向かう光L2は、光変調層34内で散乱される。その結果、例えば、図9(A)に示したように、光源2からの光L(斜め方向からの光)は、散乱領域3Bの界面(透明基板31および導光板1と空気との界面)を透過すると共に、反射板4側に透過した光は反射板4で反射され、光変調素子3を透過する。従って、散乱領域3Bの輝度は、光変調素子3を設けていない場合(図9(B)中の一点鎖線)と比べて極めて高くなり、しかも、透明領域3Aの輝度が低下した分だけ、部分的な白表示の輝度(輝度突き上げ)が大きくなる。
【0051】
なお、バルク34Aおよび微粒子34Bの常光屈折率は、例えば製造誤差などによって多少ずれていてもよいが、例えば、0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。また、バルク34Aおよび微粒子34Bの異常光屈折率についても、例えば製造誤差などによって多少ずれていてもよいが、例えば、0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。
【0052】
また、バルク34Aの屈折率差(ΔnP=異常光屈折率neP−常光屈折率noP)や、微粒子34Bの屈折率差(ΔnL=異常光屈折率neL−常光屈折率noL)は、できるだけ大きいことが好ましく、0.05以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、0.15以上であることがさらに好ましい。バルク34Aおよび微粒子34Bの屈折率差が大きい場合には、光変調層34の散乱能が高くなり、導光条件を容易に破壊することができ、導光板1からの光を取り出しやすいからである。
【0053】
ここで、下部電極32および上部電極36間に電圧が印加されていない時には、微粒子34B内において、液晶分子の長軸方向は、光軸AX2と平行となっている。このとき、微粒子34B内の液晶分子の長軸は、導光板1の光入射面1Aと平行となると共に透明基板31,37の表面と僅かな角度θ1をなしている。すなわち、微粒子34B内の液晶分子は、下部電極32および上部電極36の間に電圧が印加されていない時には、導光板1の光入射面1Aと平行な面内において角度θ1だけ傾斜した状態で配向している。この角度θ1は、プレチルト角と呼ばれるもので、例えば0.1°以上30°以下の範囲であることが好ましい。この角度θ1は、0.5°以上10°以下の範囲であることがより好ましく、0.7°以上2°以下の範囲であることがさらにより好ましい。角度θ1を大きくすると、後述するような理由から散乱の効率が低下する傾向にある。また、角度θ1を小さくし過ぎると、電圧印加時に液晶の立ち上がる方位角がばらつく。例えば、180°反対側の方位(リバースチルト)に液晶が立ち上がることもある。これにより、微粒子34Bとバルク34Aとの屈折率差を有効に利用できないので、散乱効率が低くなり、輝度が小さくなる傾向にある。
【0054】
また、下部電極32および上部電極36の間に電圧が印加されている時には、微粒子34B内において、液晶分子の長軸方向は、光軸AX2と交差(もしくは直交)している。このとき、微粒子34B内の液晶分子の長軸は、導光板1の光入射面1Aと平行となると共に透明基板31,37の表面と角度θ1よりも大きな角度θ2(例えば90°)をなしている。すなわち、微粒子34B内の液晶分子は、下部電極32および上部電極36の間に電圧が印加されている時には、導光板1の光入射面1Aと平行な面内において角度θ2だけ傾斜した状態で配向している。
【0055】
なお、バルク34Aを構成する上記の配向性および重合性を有するモノマーとしては、光学的に異方性を有しており、かつ液晶と複合する材料であればよいが、本実施の形態では紫外線で硬化する低分子モノマーであることが好ましい。電圧無印加の状態で、液晶と、低分子モノマーを重合化することにより形成されたもの(高分子材料)との光学的異方性の方向が一致していることが好ましいので、紫外線硬化前において、液晶と低分子モノマーが同一方向に配向していることが好ましい。微粒子34Bとして液晶が用いられる場合に、その液晶が棒状分子であるときには、使用するモノマー材料の形状も棒状であることが好ましい。以上のことから、モノマー材料としては重合性と液晶性を併せ持つ材料を用いることが好ましく、例えば、重合性官能基として、アクリレート基、メタクリレート基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルエーテル基およびエポキシ基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を有することが好ましい。これらの官能基は、紫外線、赤外線または電子線を照射したり、加熱したりすることによって重合させることができる。紫外線照射時の配向度低下を抑制するために、多官能基をもつ液晶性材料を添加することもできる。バルク34Aを上述した筋状構造とする場合には、バルク34Aの原料として、2官能液晶性モノマーを用いることが好ましい。また、バルク34Aの原料に対して、液晶性を示す温度の調整を目的に単官能モノマーを添加したり、架橋密度向上を目的に3官能以上のモノマーを添加したりすることもできる。
【0056】
バックライト駆動部60は、例えば、一の光変調セル3Sにおいて微粒子34Bの光軸AX2がバルク34Aの光軸AX1と平行もしくはほぼ平行となり、他の光変調セル3Sにおいて微粒子34Bの光軸AX2がバルク34Aの光軸AX1と交差もしくは直交するように各光変調セル3Sの一対の電極(下部電極32および上部電極36)へ印加する電圧の大きさを制御するようになっている。すなわち、駆動回路50は、電場制御によって、バルク34Aおよび微粒子34Bの光軸AX1,AX2の向きを互いに一致(もしくはほぼ一致)させたり、互いに異ならせたり(もしくは直交させたり)することができるようになっている。
【0057】
バックライト駆動部60は、バックライト制御信号S2として三次元表示を指定する信号が入力されたときには、バックライト30から複数の線状照明光を出力させるようになっている。具体的には、バックライト駆動部60は、特定の複数の下部電極32に対し光変調層34が散乱性を示す電圧を印加するとともに、残りの下部電極32に対し光変調層34が透明性を示す電圧を印加するようになっている。換言すれば、バックライト駆動部60は、選択した複数の光変調セル3Sにおいて微粒子34Bの光軸AX2がバルク34Aの光軸AX1と交差することとなるように、それぞれの下部電極32および上部電極36へ印加する電圧の大きさを制御する。同時に、バックライト駆動部60は、選択しなかった他の全ての光変調セル3Sにおいて微粒子34Bの光軸AX2がバルク34Aの光軸AX1と平行となるように、それぞれの下部電極32および上部電極36へ印加する電圧の大きさを制御する。
【0058】
また、バックライト駆動部60は、バックライト制御信号S2として二次元表示を指定する信号が入力されたときには、バックライト30から面状照明光を出力させるようになっている。具体的には、バックライト駆動部60は、複数の下部電極32の全てに対し、光変調層34が散乱性を示す電圧を印加するようになっている。換言すれば、バックライト駆動部60は、光変調素子3に含まれる全ての光変調セル3Sにおいて微粒子34Bの光軸AX2がバルク34Aの光軸AX1と交差することとなるように、それぞれの下部電極32および上部電極36へ印加する電圧の大きさを制御する。
【0059】
[表示方法]
次に、本実施の形態の表示装置100を用いた立体映像の表示方法について説明する。併せて、表示装置100の作用および効果について説明する。
【0060】
表示装置100において三次元映像表示(立体映像表示)を行う際には、まず、観察者に対する表示装置100の姿勢を検出する。具体的には、センサ部10によって例えば観察者の左右の眼の位置を検出することにより、制御部40において観察者にとっての水平方向(左右方向)および上下方向がどの方向であるかを判別する。次に、映像信号S1に基づき、表示装置100の姿勢に応じた複数の視点映像を表示部20に同時に表示する。また、これと同期して、複数の光変調セル3Sを個別に駆動することにより、表示装置100の姿勢に応じた発光パターンを形成する。
【0061】
バックライト30では、選択した光変調セル3Sにおいて微粒子34Bの光軸AX2がバルク34Aの光軸AX1と異なる方向に傾くように一対の電極(下部電極32および上部電極36)に電圧が印加される。これにより、光変調素子3において、選択された光変調セル3Sが散乱領域3Bとなり、それ以外の(非選択の)光変調セル3Sが透過領域3Aとなる。その結果、光源2から射出されて導光板1内に入射した光は、透過領域3Aを透過し、散乱領域3Bにおいて散乱されることとなる(図9)。この散乱光のうち散乱領域3Bの下面を透過した光は反射板4で反射され、再度、導光板1へ戻されたのち、バックライト30の上面から射出される。また、散乱光のうち、散乱領域3Bの上面へ向かった光は、導光板1を透過したのち、その上面(すなわちバックライト30の上面)から射出される(図9)。このように、三次元表示のときには、透明領域3Aの上面からは光はほとんど射出されず、散乱領域3Bの上面から光が射出される。ここで、センサ部10からの情報により観察者にとっての水平方向がX軸方向であると判断した場合、例えば図10に示したように、それぞれY軸方向に連なる下部電極32からなる列LY1〜LY4のうち、列LY2を構成する下部電極32にのみ電圧を印加する。すると、列LY2の下部電極32を含む各光変調セル3Sがそれぞれ散乱領域3Bとなる。このとき、隣り合う下部電極32同士の間隔は狭いので、各散乱領域3Bからの射出光(散乱光)はY軸方向において実質的に連続することとなる。よって、図11に示したように、バックライト30では、Y軸方向に連なる複数の散乱領域3Bにより、Y軸方向に伸びる線状の発光パターン30PAがX軸方向において所定間隔で複数並ぶように形成される。この発光パターン30PAは選択された下部電極32の配置位置に対応する。この結果、Y軸方向に伸びる複数の線状照明光LAが、表示部20へ向かうように出力される。なお、発光パターン30PAの配置間隔は、表示部20の画素の寸法や配置状態、あるいは視点数に応じて適宜選択することができる。
【0062】
バックライト30から出力された各線状照明光LAは、例えば図12に示したように表示部20の背面に入射する。ここで、例えば4種類の視点映像(第1〜第4の視点映像)を同時に表示部20において表示するとする。その場合、X軸方向に順次繰り返し並ぶ画素P1〜P4が、それぞれ第1〜第4の視点映像を表示することとなる。各々の散乱領域3Bからの線状照明光LAは、X軸方向に順次繰り返し並ぶ画素P1〜P4に入射することとなるが、散乱領域3Bに対する各画素P1〜P4の相対位置は、それぞれ表示装置100の全面に亘って一定となっている。すなわち、例えば散乱領域3Bからの線状照明光LAは、表示部20における全ての画素P1に対して実質的に同一の角度で入射する。画素P2〜P4についても同様である。その結果、各画素P1〜P4からは、それぞれにおいて変調された映像光が所定の角度で出力される。観察者は、左右の眼により互いに異なる視点映像を観察することになるので、表示部20において三次元映像(立体映像)が表示されているものと認識する。なお、視点数は4つに限定されるものではなく、任意に設定可能である。
【0063】
この表示装置100では、立体映像表示を行う場合に、例えば表示駆動部50に2種類の映像信号を交互に供給し、表示部20においてそれら2種類の映像信号に基づいて時分割的に2種類の映像表示を交互に行うようにしてもよい。その場合、バックライト30では、その時分割的な映像表示と同期して2種の発光パターン30PAを逐次形成する必要がある。このような時分割表示を行うことにより、立体映像の解像度を向上させることができる。
【0064】
一方、二次元映像表示を行う場合には、上部電極36と、全ての光変調セル3Sにおける下部電極32との間に電圧を印加する。これにより全ての光変調セル3Sが散乱領域3Bとなり、その結果、光源2から射出されて導光板1内に入射した光は散乱領域3Bにおいて散乱され、あるいは反射板4で反射されたのち、バックライト30の上面全体から面状に射出される。すなわち、バックライト30では、表示部20へ向かうように面状照明光L(後出)が出力される。
【0065】
バックライト30から出力された面状照明光Lは、例えば図13に示したように表示部20の背面に入射する。このとき、表示部20では、二次元映像表示用の単一視点映像が表示される。各画素Pixには面状照明光L0があらゆる角度で入射し、各画素Pixからは各々において変調された映像光が出力される。観察者は、両目で互いに同一の映像を観察することになるので、観察者は、表示部20において二次元映像(平面映像)が表示されているものと認識する。
【0066】
ところで、本実施の形態のバックライト30では、散乱領域3Bとする光変調セル3Sを適宜選択することにより、観察者に対する表示装置100の姿勢に応じて任意の発光パターンを形成することができる。すなわち、任意の方向に伸びる線状照明光を発生させることができる。
【0067】
ここではセンサ部10からの情報により、例えば観察者にとっての水平方向がY軸方向であると判断した場合について説明する。この場合、バックライト30では、例えば図14に示したように、それぞれX軸方向に連なる下部電極32からなる列LX1〜LX4のうち、例えば列LX2を構成する下部電極32にのみ電圧を印加する。すると、列LX2の下部電極32を含む各光変調セル3Sがそれぞれ散乱領域3Bとなる。このとき、隣り合う下部電極32同士の間隔は狭いので、各散乱領域3Bからの射出光(散乱光)はX軸方向において実質的に連続することとなる。よって、図15に示したように、バックライト30では、X軸方向に連なる複数の散乱領域3Bにより、X軸方向に伸びる線状の発光パターン30PBがX軸方向において所定間隔で複数並ぶように形成される。この発光パターン30PBは選択された下部電極32の配置位置に対応する。この結果、X軸方向に伸びる複数の線状照明光LBが、表示部20へ向かうように出力される。線状照明光LBが入射する表示部20では、例えば図16に示したように、Y軸方向に順次繰り返し並ぶ画素PY1〜PY4が第1〜第4の視点映像を同時に表示する。各画素PY1〜PY4からは、それぞれにおいて変調された映像光が所定の角度で出力される。観察者は、左右の眼により互いに異なる視点映像を観察することになるので、表示部20において三次元映像(立体映像)が表示されているものと認識する。なお、この場合においても視点数は4つに限定されるものではなく、任意に設定可能である。
【0068】
また、センサ部10からの情報により、例えば観察者にとっての水平方向がX軸およびY軸の双方に対して45°の方向(斜め方向)であると判断した場合には、以下のようにすればよい。すなわちバックライト30では、例えば図17に示したように、それぞれ斜め方向に連なる下部電極32からなる列LXY1〜LXY4のうち、例えば列LXY2を構成する下部電極32にのみ電圧を印加する。すると、列LXY2の下部電極32を含む各光変調セル3Sがそれぞれ散乱領域3Bとなる。よって、バックライト30では、斜め方向に連なる複数の散乱領域3Bにより、斜め方向に伸びる線状の発光パターンが複数形成される。この結果、斜め方向に伸びる複数の線状照明光が、表示部20へ向かうように出力される。表示部20では、線状照明光の延伸方向と交差する方向に順次繰り返し並ぶ画素において複数の視点映像を同時に表示する。これにより観察者は、左右の眼により互いに異なる視点映像を観察することができ、表示部20において立体映像が表示されているものと認識することができる。
【0069】
このように、本実施の形態のバックライト30によれば、同一方向へ帯状に連なる複数の光変調セル3Sを所定の間隔で並べた発光パターンを形成し、線状照明光を複数発生させることができる。よって、このバックライト30を備えた表示装置100によれば、発光パターンと、表示部20と、観察者の左右の眼の視点位置との相対的な位置関係(角度)により、その観察者が左右の眼において認識する映像を相互に異なるものとすることができる。その結果、観察者が立体映像を認識することができる。ここで、線状照明光の延伸方向は任意の方向に設定可能であるので、表示部と観察者の左右の眼の視点位置との相対関係の変化に対応可能である。すなわち、観察者に対する表示装置の姿勢をセンサ部10により検出し、それに応じてバックライト30の発光パターンの形成および視点映像の表示を行うようにしたので、観察者は任意の向きに表示装置100を回転させた場合であっても良好な立体映像を認識することができる。また、任意のタイミングで任意の発光パターンを形成することができるので、表示部20における時分割表示にも対応可能である。なお、線状照明光の延伸方向は、表示部20の画素Pix(カラーフィルタ)の配列方向と異なる方向とすることが望ましい。立体映像表示の際のモアレの発生を回避するためである。したがって、例えば表示部20の画素Pix(カラーフィルタ)がX軸方向およびY軸方向に沿ってマトリックス状に配列されている場合には、下部電極32をX軸方向およびY軸方向の双方と交差する方向(斜め方向)へ配列するとよい。これにより、画素Pix(カラーフィルタ)の配列方向に対して交差する方向へ延在する線状照明光が得られ、モアレ発生を回避することができる。
【0070】
さらに、本実施の形態では、三次元表示に際して、パララックスバリアを設ける必要がないことから、パララックスバリアを用いた場合と比較して、光源2からの光をより効率的に線状照明光として利用することができる。また、本実施の形態では、三次元表示に際して、シリンドリカルレンズを必要としないので、シリンドリカルレンズに起因する収差の問題が生じるおそれがない。さらに、パララックスバリアやシリンドリカルレンズを必要としないことにより、全体構成の簡素化を図ることができる。
【0071】
[変形例]
上記第1の実施の形態では、光変調セル3Sごとに駆動素子を設け、各光変調セル3Sをアクティブマトリックス駆動することで透明領域3Aおよび散乱領域3Bを形成するようにした。これに対し、本変形例は、各光変調セル3Sをパッシブマトリックス駆動することで透明領域3Aおよび散乱領域3Bを形成する光変調素子5を備えたものである。図18に、本変形例としての光変調素子3Aにおける要部斜視構成を表す。光変調素子5は、下部電極32および上部電極36の代わりに下部電極42および上部電極46を設けるようにした点を除き、他は光変調素子3と同様の構成である。下部電極42および上部電極46は、いずれも、例えば矩形状の平面形状を有する帯状電極であり、それぞれ複数設けられている。複数の下部電極42は例えばX軸方向に延伸し、Y軸方向に並ぶように配置されている。一方、複数の上部電極46は例えばY軸方向に延伸し、X軸方向に並ぶように配置されている。光変調素子3Aでは、下部電極42と上部電極46とが交差する各領域が光変調セル3Sとなる。よって、所定の下部電極42および上部電極46を選択し、それらの間に電圧を印加することで、所望の光変調セル3Sを散乱領域3Bとすることができる。したがって、本変形例においても、上記実施の形態と同様の効果が得られる。また、駆動素子を光変調セル3Sごとに設ける必要がないので、光変調素子3Aにおける駆動回路の構成が簡素化できる。なお、下部電極42および上部電極46の延伸方向は、互いに直交する場合に限定されるものではなく、任意に選択可能である。但し、立体映像表示の際のモアレの発生を回避するため、光変調セル3Sの並び方向を、表示部20の画素Pix(カラーフィルタ)の配列方向と異なる方向とすることが望ましい。したがって、例えば表示部20の画素Pix(カラーフィルタ)がX軸方向およびY軸方向に沿ってマトリックス状に配列されている場合には、下部電極42および上部電極46を、いずれもX軸方向およびY軸方向の双方と交差する方向(斜め方向)へ延伸させるとよい。これにより、画素Pix(カラーフィルタ)の配列方向に対して交差する方向へ延在する線状照明光が得られ、モアレの発生を回避することができる。
【0072】
<第2の実施の形態>
以下、本開示の第2の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。上記第1の実施の形態では、照明装置として、PDLCを利用した光変調素子3,5を含むバックライト30を例示して説明した。これに対し、本実施の形態の表示装置は、照明装置としてのバックライト30において、例えば図19に示したように電気泳動素子を含む電子ペーパ7を光変調素子3,5の替わりに用いるようにしたものである。本実施の形態の表示装置は電子ペーパ7を用いるようにした点を除き、他は表示装置100と同様の構成である。このため、以下では電子ペーパ7についての説明を行う。
【0073】
[電子ペーパの構成]
この電子ペーパ7は、駆動基板71と対向基板72とが複数のマイクロカプセル73Aからなる電気泳動素子層73を介して対向配置されたものである。電子ペーパ7では、対向基板72の側から照明光が照射される。
【0074】
駆動基板71は、例えば支持基体711の表面に互いに立体交差する信号線および走査線(いずれも図示せず)を各々複数含む配線層712と、TFT素子などの駆動素子(図示せず)を含む半導体層713と、複数の画素電極714とがこの順に形成されたものである。駆動トランジスタおよび画素電極714は、例えば表示部20の画素Pix(図2)の配置に応じてマトリクス状に配置されている。
【0075】
支持基体711は、例えば、無機材料、金属材料またはプラスチック材料などにより形成されている。無機材料は、例えば、ケイ素(Si)、酸化ケイ素(SiOx )、窒化ケイ素(SiNx )または酸化アルミニウム(AlOx )などである。この酸化ケイ素には、ガラスまたはスピンオングラス(SOG)などが含まれる。金属材料は、例えば、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)またはステンレスなどである。プラスチック材料は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)またはポリエチルエーテルケトン(PEEK)などである。
【0076】
この支持基体711は、光透過性でもよいし非光透過性でもよい。対向基板72から照明光が射出されるからである。また、支持基体711は、ウェハなどの剛性を有する基板でもよいし、可撓性を有する薄層ガラスまたはフィルムでもよい。
【0077】
駆動素子は、画素を選択するためのスイッチング用素子である。なお、配線層712および半導体層713では、信号線および走査線、ならびに駆動素子が、例えば、ポリイミドなどの絶縁性樹脂材料により埋設されている。
【0078】
画素電極714は、例えば、金(Au)、銀(Ag)もしくは銅(Cu)などの金属材料、酸化インジウム−酸化スズ(ITO)などの化合物、またはその他の合金などの、各種導電性材料により形成されている。この画素電極714は、例えば半導体層713に設けられたコンタクトホール(図示せず)を通じて駆動素子と接続されている。
【0079】
対向基板72は、例えば、支持基体721の一面に対向電極722が全面形成されたものである。すなわち、対向電極722は、複数の画素に対して共通に設けられた共通電極である。ただし、対向電極722は、帯状に配置されていてもよい。
【0080】
支持基体721は、光透過性であることを除き、支持基体711と同様の材料により形成されている。対向電極722は、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO)、酸化アンチモン−酸化スズ(ATO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)またはアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)などの光透光性導電性材料(透明電極材料)により形成されている。また、支持基体721は、導光板1(図4参照)と接しており、かつ導光板1と同一の屈折率を有する材料によって形成されている。導光性を確保するためである。あるいは、導光板1を支持基体721として兼用するようにしてもよい。
【0081】
電気泳動素子層73は、例えば電気泳動素子74を封入した複数のマイクロカプセル73Aが密に配列されたものであり、駆動基板71と対向基板72との間に設けられている。なお、マイクロカプセル73Aと画素電極714とは必ずしも同数ずつ存在する必要はない。電気泳動素子74は、電気泳動現象を利用してコントラストを生じさせるものであり、絶縁性液体75および複数の電気泳動粒子76を含んでいる。
【0082】
絶縁性液体75は、例えば、有機溶媒のいずれか1種類または2種類以上であり、具体的には、パラフィンまたはイソパラフィンなどである。この絶縁性液体51の粘度および屈折率は、できるだけ低いことが好ましい。電気泳動粒子76の移動性(応答速度)が向上すると共に、それに応じて電気泳動粒子76を移動させるために必要なエネルギー(消費電力)が低くなるからである。
【0083】
なお、絶縁性液体75は、必要に応じて、各種材料を含んでいてもよい。このような材料は、例えば、着色剤、電荷制御剤、分散安定剤、粘度調製剤、界面活性剤または樹脂などである。
【0084】
電気泳動粒子76は、絶縁性液体75中に分散された荷電粒子であり、電界に応じてマイクロカプセル73Aの内部を移動可能になっている。この電気泳動粒子76は、例えば、有機顔料、無機顔料、染料、炭素材料、金属材料、金属酸化物、ガラスまたは高分子材料(樹脂)などの粒子(粉末)のいずれか1種類または2種類以上である。また、電気泳動粒子76は、上記した粒子を含む樹脂固形分の粉砕粒子またはカプセル粒子などでもよい。なお、炭素材料、金属材料、金属酸化物、ガラスまたは高分子材料に該当する材料は、有機顔料、無機顔料または染料に該当する材料から除かれることとする。
【0085】
有機顔料は、例えば、アゾ系顔料、メタルコンプレックスアゾ系顔料、ポリ縮合アゾ系顔料、フラバンスロン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、アントラピリジン系顔料、ピランスロン系顔料、ジオキサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料またはインダンスレン系顔料などである。無機顔料は、例えば、亜鉛華、アンチモン白、カーボンブラック、鉄黒、硼化チタン、ベンガラ、マピコエロー、鉛丹、カドミウムエロー、硫化亜鉛、リトポン、硫化バリウム、セレン化カドミウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クロム酸鉛、硫酸鉛、炭酸バリウム、鉛白またはアルミナホワイトなどである。染料は、例えば、ニグロシン系染料、アゾ系染料、フタロシアニン系染料、キノフタロン系染料、アントラキノン系染料またはメチン系染料などである。炭素材料は、例えば、カーボンブラックなどである。金属材料は、例えば、金、銀または銅などである。金属酸化物は、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸カリウムなどである。高分子材料は、例えば、可視光領域に光吸収域を有する官能基が導入された高分子化合物などである。このように可視光領域に光吸収域を有する高分子化合物であれば、その種類は特に限定されない。
【0086】
電気泳動粒子76の色は、白色もしくは白色に近い色が好ましい。電気泳動粒子76による可視光の散乱を効率的に生じさせることで電気泳動粒子76からの反射光の強度を向上させ、より明るい照明光を得るためである。したがって、電気泳動粒子76の具体的な構成材料として、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウムまたはチタン酸カリウムなどの金属酸化物が好ましい。
【0087】
なお、電気泳動粒子76は、絶縁性液体75中において、長期間に亘って分散および帯電しやすいことが好ましい。このため、静電反発により電気泳動粒子76を分散させるために分散剤(または電荷調整剤)を用いたり、電気泳動粒子76に表面処理を施したりしてもよいし、両者を併用してもよい。
【0088】
[電子ペーパの作用・効果]
この電子ペーパ7では、図19に示したように、初期状態では複数の電気泳動粒子76が対向基板72から離れた位置に存在している。この場合には、対向基板72側から電気泳動素子層73を見ると、コントラストが生じていない(反射光が生じていない)状態にある。
【0089】
対向電極722と、駆動素子により選択された所定の画素電極714との間に電圧が印加されて電界が生ずると、例えば図20に示したように、その電界が生じた領域にある電気泳動粒子76が対向電極722の近傍に移動する。その結果、電気泳動素子層73においては、対向基板72から離れている電気泳動粒子76と、対向基板72の近くに存在する電気泳動粒子76とが併存することとなる。その結果、対向基板72側から電気泳動素子層73を見ると、コントラストが生じている状態になる。すなわち、導光板1から電気泳動素子層73に入射した光が、対向電極722の近傍に移動した電気泳動粒子76によって反射、散乱されるので、その領域が散乱領域7Bとなり、それ以外の領域(非散乱領域7A)よりも輝度が向上する。したがって、電子ペーパ7は、平面内において任意の発光パターンを形成することができる。これにより、電子ペーパ7を用いたバックライト30においても、表示部20へ向かうように例えば線状照明光を出力することができ、本実施の形態は上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することとなる。なお、電気泳動粒子76として例えばカーボンブラックのような黒色粒子を用いた場合には、入射光の一部を吸収してしまい、白色粒子を使用した場合と比較して反射光の強度が低下してしまう。このため、電気泳動粒子76として白色粒子を用いることで、光源2の光エネルギーを効率的に利用することができる。
【0090】
なお、本実施の形態では、マトリクス状に配置された複数の画素電極714の各々に対し駆動素子を設け、電気泳動素子層73をアクティブマトリックス駆動するようにしたが、電気泳動素子層73をパッシブマトリックス駆動することで任意の発光パターンを形成するようにしてもよい。
【0091】
<第3の実施の形態>
以下、本開示の第3の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。上記第1の実施の形態では、照明装置として、PDLCを利用した光変調素子3,5を含むバックライト30を例示して説明した。これに対し、本実施の形態の表示装置は、照明装置としてのバックライト30に替えて、例えば図21に示した有機発光素子80を含むバックライト8を用いるようにしたものである。図21は、バックライト8の要部を拡大して表した断面図である。本実施の形態の表示装置はバックライト8を用いるようにした点を除き、他は表示装置100と同様の構成である。このため、以下ではバックライト8についての説明を行う。
【0092】
[バックライトの構成]
バックライト8は、表示部20の光入射側と対向するように配置される。バックライト8は、表示部20と反対側から順に、例えば支持基板81の上に、駆動回路形成層L81と、有機発光素子80を含む発光素子形成層L82と、封止層87と、対向基板88とが順に積層されたものである。有機発光素子80は、支持基板81および対向基板88の対向面に沿ってマトリクス状に複数配置されている。
【0093】
支持基板81は、例えば、水分(水蒸気)および酸素の透過を遮断可能なガラスまたはプラスチック材料などにより形成されている。トップエミッション型では対向基板88から光が取り出されるため、支持基板81は、透過性材料または非透過性材料のいずれにより形成されていてもよい。なお、表示装置をフレキシブルディスプレイとする場合には、可撓性を有するプラスチック材料によって支持基板81を構成するとよい。
【0094】
駆動回路形成層L81には、有機発光素子80を個別に駆動するためのTFTなどの駆動素子82を複数含む駆動回路が設けられている。駆動回路は、駆動素子82のほか、例えば信号線、走査線および電源供給線などを含んでおり、それらが保護層83によって全体的に覆われている。
【0095】
発光素子形成層L82には、有機発光素子80および絶縁層89と、それらを覆う封止層87とが設けられている。
【0096】
[有機発光素子の構成]
有機発光素子80は、支持基板81の側から、アノード電極としての第1電極84、発光層を含む有機層85、およびカソード電極としての第2電極86が各々順に積層されたものである。有機層85および第1電極84は、絶縁層89によって有機発光素子80ごとに分離されている。一方、第2電極86は、全ての有機発光素子80に共通して設けられている。
【0097】
有機層85は、例えば第1電極84の側から正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層が順に積層された構成を有する。但し、発光層以外の層は、必要に応じて設ければよい。
【0098】
絶縁層89は、隣り合う有機発光素子80における第1電極84および有機層85同士の隙間を埋めるように設けられている。すなわち、絶縁層89は、第1電極84と第2電極86との絶縁性を確保すると共に、有機発光素子80の発光領域を正確に画定するものでもある。
【0099】
封止層87は、保護層83と同様に、例えば、ポリイミドなどの絶縁性樹脂材料により形成されている。
【0100】
対向基板88は、封止層87、および熱硬化型樹脂などの接着層(図示せず)などと共に有機発光素子80を封止するものであり、有機層85に含まれる発光層において発生した光を透過する透明なガラスまたはプラスチック材料により構成されている。
【0101】
[バックライトの作用・効果]
このバックライト8では、所望の有機発光素子80に対応した駆動素子82を起動し、その有機発光素子80における第1電極84と第2電極86との間に電圧を印加することにより、その有機層85を発光させることができる。したがって、バックライト8は、発光させたい有機発光素子80を適宜選択し、各々の有機発光素子80に対応したTFT素子82を起動させることにより、XY平面内において任意の発光パターンを形成することができる。これにより、このバックライト8においても、表示部20へ向かうように例えば線状照明光を出力することができる。よって、本実施の形態は上記第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0102】
なお、本実施の形態では、有機発光素子80ごとに駆動素子82を設け、各有機発光素子80をアクティブマトリックス駆動するようにしたが、各有機発光素子80をパッシブマトリックス駆動することで任意の発光パターンを形成するようにしてもよい。
【0103】
<第4の実施の形態>
以下、本開示の第4の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。上記第1の実施の形態では、照明装置として、PDLCを利用した光変調素子3,5を含むバックライト30を例示して説明した。これに対し、本実施の形態の表示装置は、照明装置としてのバックライト30に替えて、例えば図22に示した発光ダイオード90を含むバックライト9を用いるようにしたものである。図22は、バックライト9の要部を拡大して表した断面図である。本実施の形態の表示装置はバックライト9を用いるようにした点を除き、他は表示装置100と同様の構成である。このため、以下ではバックライト9についての説明を行う。
【0104】
[バックライトの構成]
バックライト9は、表示部20の光入射側と対向するように配置される。バックライト9は、表示部20と反対側から順に、例えば支持基板91の上に、アノード取出電極92と、コンタクト部93と、アノードコンタクト電極94と、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)90とが順に積層されたものである。LED90は、例えば窒化ガリウム系の発光ダイオードであり、例えばp−GaNからなるクラッド層90Aと、GaInNからなる活性層90Bと、n−GaNからなる窓層90Cとの積層構造を有している。LED90は、支持基板91の表面に沿ってマトリクス状に複数配置されており、各LED90から、電圧の印加により図中の矢印方向へ光が射出する。LED90の周囲は、絶縁層95によって満たされている。窓層90Cの光射出面の一部には、カソードコンタクト電極96が設けられている。カソードコンタクト電極96は、カソード取出電極97を介して外部と接続されている。
【0105】
このようなバックライト9においても、マトリクス状に配置された複数のLED90を選択的に発光させることにより、XY平面内において任意の発光パターンを形成することができる。これにより、バックライト9は、表示部20へ向かうように例えば線状照明光を出力することができる。よって、本実施の形態は上記第1の実施の形態と同様の効果を奏する。なお、本実施の形態においても、アクティブマトリックス駆動方式およびパッシブマトリックス駆動方式のいずれをも選択することができる。また、LEDとして、他の構造を採用することもできる。
【0106】
<第5の実施の形態>
以下、本開示の第5の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態の表示装置は、照明装置としてのバックライト30において、例えば図23(A)に示したように電子トナー63Bを含む電子粉粒体素子6を用いるようにしたものである。なお、図23(A)は、電子粉粒体素子6の一構成例を表す断面図である。本実施の形態の表示装置は電子粉粒体素子6を用いるようにした点を除き、他は表示装置100と同様の構成である。このため、以下では電子粉粒体素子6についての説明を行う。
【0107】
[電子粒粉体素子の構成]
この電子粒粉体素子6は、下部基板61と、複数の下部電極62と、複数の電子トナー63Bを含む光変調層63と、複数の上部電極65と、上部基板66とが反射板4に近い位置から順に配置されたものである。ここで、上部基板66の外面(上部電極65が設けられた面と反対側の面)が導光板1の背面と接着される。光変調層63には、上部基板66の側から照明光が照射される。
【0108】
下部基板61は、例えば、無機材料、金属材料またはプラスチック材料などにより形成されている。無機材料は、例えば、ケイ素(Si)、酸化ケイ素(SiOx )、窒化ケイ素(SiNx )または酸化アルミニウム(AlOx )などである。この酸化ケイ素には、ガラスまたはスピンオングラス(SOG)などが含まれる。金属材料は、例えば、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)またはステンレスなどである。プラスチック材料は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)またはポリエチルエーテルケトン(PEEK)などである。
【0109】
下部基板61は光透過性でもよいし非光透過性でもよい。上部基板66から照明光が射出されるからである。また、下部基板61は、ウェハなどの剛性を有する基板でもよいし、可撓性を有する薄層ガラスまたはフィルムでもよい。
【0110】
上部基板66は、下部基板61と同様の材料により形成されている。但し、光透過性を有する。
【0111】
下部基板61および上部電極66の対向面にそれぞれ設けられた複数の下部電極62および複数の上部電極65は、いずれも、例えば矩形の平面形状を有する帯状電極である。複数の下部電極62は例えばY軸方向を長手方向とするように延伸し、X軸方向に並ぶように相互に分離して配置されている。一方、複数の上部電極65は、下部電極62と異なる方向、例えばX軸方向を長手方向とするように延伸し、Y軸方向に並ぶように相互に分離して配置されている。すなわち、この電子粒粉体6では、下部電極62と上部電極65とが立体交差する各領域が一の光変調セル6Sとなる。
【0112】
下部電極62は、例えば、金(Au)、銀(Ag)もしくは銅(Cu)などの金属材料、酸化インジウム−酸化スズ(ITO)などの化合物、またはその他の合金などの、各種導電性材料により形成されている。上部電極65は、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO)、酸化アンチモン−酸化スズ(ATO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)またはアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)などの光透光性導電性材料(透明電極材料)により形成されている。また、上部基板66は、導光板1(図4参照)と接しており、かつ導光板1と同一の屈折率を有する材料によって形成されている。導光性を確保するためである。あるいは、導光板1を上部基板66として兼用するようにしてもよい。
【0113】
光変調層63は、空気63Aで満たされた空間に複数の電子トナー63Bが封入されたものである。光変調層63は、下部電極62と上部電極65との間に電圧を印加することで電子トナー63BをZ軸方向に移動させ、電子トナー63Bの光散乱特性を利用してコントラストを生じさせるものである。電子トナー63Bは、白色もしくは白色に近い色を呈する帯電性の微粒子である。具体的には、電子トナー63Bは、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウムまたはチタン酸カリウムなどの金属酸化物を構成材料として含んでいる。電子トナー63Bが白色もしくは白色に近い色を呈することにより、可視光の散乱を効率的に生じさせ、電子トナー63Bからの反射光の強度が向上するので、より明るい照明光が得られる。
【0114】
なお、電子トナー63Bは、長期間に亘って分散および帯電しやすいことが好ましい。したがって、静電反発により電子トナー63Bを分散させるために分散剤(または電荷調整剤)を用いたり、電子トナー63Bに表面処理を施したりしてもよいし、それら両者を併用してもよい。
【0115】
[電子粒粉体素子の作用・効果]
本実施の形態では、各光変調セル6Sをパッシブマトリックス駆動することで非散乱領域6A(後出)および散乱領域6B(後出)を選択的に形成するようになっている。この電子粉粒体素子6では、下部電極62と上部電極65との間に電圧を印加すると、電極間に生じた電界の作用によって帯電した電子トナー63BがZ軸方向に移動し、例えば図23(A)に示したように上部電極65の表面近傍に位置することとなる。ここでは、例えば負電荷を有する電子トナー63Bが正極としての上部電極65に吸着している。なお、図23(A)は、全ての下部電極62と全ての上部電極65との間に電圧を印加した状態を表している。この場合、上部基板66の上方から電子粉粒体素子6を眺めると、電子トナー63Bによって可視光が全面に亘って散乱し、コントラストが実質的に生じていない全面発光状態にある。
【0116】
ここで、例えば一部の下部電極62および上部電極66を選択し、それらの間に図23(A)と反対の極性となるように電圧を印加する。すなわち、図23(B)に示したように、例えば選択した下部電極62Aが正極となり、上部電極66Aが負極となるように電圧を印加する。選択された下部電極62Aと上部電極66Aとの間に電界が生ずると、図23(B)に示したように、その電界が生じた領域にある電子トナー63Bが上部電極65Aの表面近傍から下部電極62Aの表面近傍に移動する。その結果、下部電極62Aと上部電極65Aとが立体交差した領域である光変調セル6S2では、下部電極62Aの表面近傍において電子トナー63Bによる可視光の散乱が生じることとなるので、この領域では導光板1の全反射が維持される。そのため、上部基板66の上方から電子粉粒体素子6を眺めると、光変調セル6S2は非散乱領域6Aとなる一方、それ以外の光変調セル6Sは散乱領域6Bとなり非散乱領域6Aよりも輝度が向上する。このため、面内方向において選択的に発光が生じ、コントラストが生じている状態になる。
【0117】
したがって、電子粉粒体素子6は、平面内において任意の発光パターンを形成することができる。これにより、この電子粉粒体素子6を用いたバックライト30においても、表示部20へ向かうように例えば線状照明光を出力することができ、本実施の形態は上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することとなる。なお、電子トナー63Bとして例えばカーボンブラックのような可視光を吸収する黒色粒子を用いた場合にもコントラストを生じさせ、任意の発光パターンを形成することができる。但し、電子トナー63Bとして白色粒子を用いたほうが、光源2の光エネルギーを効率的に利用することができるので好ましい。
【0118】
また、本実施の形態では、光変調層63において空気63A中に電子トナー63Bを存在させるようにした。このため、液相中に電気泳動粒子76を分散した電子ペーパ7と比較して、電子トナー63Bが極めて動きやすく優れた動作応答性を確保することができる。
【0119】
なお、本実施の形態では、光変調層63をパッシブマトリックス駆動することで任意の発光パターンを形成するようにしたが、アクティブマトリックス駆動するようにしてもよい。その場合、複数の下部電極62(もしくは複数の上部電極65)をマトリクス状に配置すると共に、各下部電極62(もしくは上部電極65)に対応した駆動素子を設けるようにすればよい。また、電子トナー63BのXY平面内での偏りを避けるため、光変調素子6Sごとに光変調層63の空間を仕切る隔壁を設けるようにしてもよい。
【0120】
<第6の実施の形態>
次に、上記した表示装置の適用例について説明する。
【0121】
本技術の表示装置は、各種用途の電子機器に適用可能であり、その電子機器の種類は特に限定されない。この表示装置は、例えば、以下の電子機器に搭載可能である。ただし、以下で説明する電子機器の構成はあくまで一例であるため、その構成は適宜変更可能である。
【0122】
図24は、いわゆるタブレット型パーソナルコンピュータ(PC)の外観構成を表している。このタブレット型PCは、例えば、表示部110と、それを保持する筐体などの非表示部120と、電源スイッチなどの操作部130とを備えている。なお、操作部130は、図24(A)に示したように非表示部120の前面に設けられていてもよいし、図24(B)に示したように上面に設けられていてもよい。表示部120は、映像表示機能のほか、位置入力機能(ポインティング機能)を備えたタッチスクリーン(タッチパネル)である。
【0123】
本技術の表示装置は、図24に示したタブレット型PCのほか、例えばノート型PC、モバイルフォン、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラあるいはカーナビゲーションシステムにおける映像表示部分として用いることができる。
【0124】
以上、いくつかの実施の形態および変形例を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。例えば上記実施の形態等では、照明装置として、PDLCを利用した光変調素子を含むバックライト、電子ペーパを含むバックライト、有機発光素子(OLED)を含むバックライトおよびLEDを含むバックライトをそれぞれ例示して説明したが、本技術はこれに限定されるものではない。
【0125】
また、本技術は以下のような構成を取り得るものである。
(1)
二次元配列された複数の発光部を有する照明装置と、前記発光部からの光を利用して映像表示を行う表示部とを備えた表示装置を用いた立体映像の表示方法であって、
観察者に対する表示装置の姿勢を検出するステップと、
前記複数の発光部を個別に駆動することにより、前記表示装置の姿勢に応じた発光パターンを形成するステップと、
外部からの映像信号に基づき、前記表示装置の姿勢に応じた複数の視点映像を前記表示部に同時に表示するステップと
を含む表示方法。
(2)
前記複数の視点映像の表示と同期して前記発光パターンを形成する
上記(1)記載の表示方法。
(3)
線状照明光を発生するように前記発光パターンを形成する
上記(1)または(2)に記載の表示方法。
(4)
二次元配列された複数の発光部と、前記複数の発光部を個別に駆動する駆動部とを有する照明装置と、
複数の画素を有すると共に前記発光部からの光を利用して映像表示を行う表示部と
を備えた表示装置。
(5)
観察者に対する自らの姿勢を検出するセンサ部を備えた
上記(4)記載の表示装置。
(6)
前記センサ部は、加速度センサまたは画像認識装置である
上記(5)記載の表示装置。
(7)
前記複数の発光部は、複数の線状照明光を発生する発光パターンを形成するものである
上記(4)または(5)に記載の表示装置。
(8)
前記映像表示として複数の視点映像の表示を同時に行うように前記表示部を駆動させると共に、前記複数の視点映像の表示と同期して前記発光パターンを形成するように前記照明装置を駆動させる制御部を備えた
上記(7)記載の表示装置。
(9)
表示装置を備えた電子機器であって、
前記表示装置は、
二次元配列された複数の発光部と、前記複数の発光部を個別に駆動する駆動部とを有する照明装置と、
複数の画素を有すると共に前記発光部からの光を利用して映像表示を行う表示部と
を含む
電子機器。
(10)
表示装置用の照明装置であって、
二次元配列された複数の発光部と、
前記複数の発光部を個別に駆動する駆動部と
を備えた照明装置。
(11)
前記駆動部は、
第1の方向へ延在する複数の第1の配線と、
前記第1の方向と異なる第2の方向へ延在する複数の第2の配線と、
前記複数の発光部の各々に対応して設けられた複数の駆動素子と
を有する
上記(10)記載の照明装置。
(12)
前記駆動部は、前記複数の第1の配線および第2の配線に対し、入力信号に応じて選択的に所定の電圧を供給する電圧供給部を有する
上記(11)記載の照明装置。
【符号の説明】
【0126】
1…導光板、1A…光入射面、2…光源、3,5…光変調素子、4…反射板、6…電子粉粒体素子、7…電子ペーパ、10…センサ部、20…表示部、8,9,30…バックライト、31…透明基板、32…下部電極、33…配向膜、34…光変調層、35…配向膜、36…上部電極、37…透明基板、40…制御部、50…表示駆動部、60…バックライト駆動部、100…表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次元配列された複数の発光部を有する照明装置と、前記発光部からの光を利用して映像表示を行う表示部とを備えた表示装置を用いた立体映像の表示方法であって、
観察者に対する表示装置の姿勢を検出するステップと、
前記複数の発光部を個別に駆動することにより、前記表示装置の姿勢に応じた発光パターンを形成するステップと、
外部からの映像信号に基づき、前記表示装置の姿勢に応じた複数の視点映像を前記表示部に同時に表示するステップと
を含む表示方法。
【請求項2】
前記複数の視点映像の表示と同期して前記発光パターンを形成する
請求項1記載の表示方法。
【請求項3】
線状照明光を発生するように前記発光パターンを形成する
請求項1記載の表示方法。
【請求項4】
二次元配列された複数の発光部と、前記複数の発光部を個別に駆動する駆動部とを有する照明装置と、
複数の画素を有すると共に前記発光部からの光を利用して映像表示を行う表示部と
を備えた表示装置。
【請求項5】
観察者に対する自らの姿勢を検出するセンサ部を備えた
請求項4記載の表示装置。
【請求項6】
前記センサ部は、加速度センサまたは画像認識装置である
請求項5記載の表示装置。
【請求項7】
前記複数の発光部は、複数の線状照明光を発生する発光パターンを形成するものである
請求項4記載の表示装置。
【請求項8】
前記映像表示として複数の視点映像の表示を同時に行うように前記表示部を駆動させると共に、前記複数の視点映像の表示と同期して前記発光パターンを形成するように前記照明装置を駆動させる制御部を備えた
請求項7記載の表示装置。
【請求項9】
表示装置を備えた電子機器であって、
前記表示装置は、
二次元配列された複数の発光部と、前記複数の発光部を個別に駆動する駆動部とを有する照明装置と、
複数の画素を有すると共に前記発光部からの光を利用して映像表示を行う表示部と
を含む
電子機器。
【請求項10】
表示装置用の照明装置であって、
二次元配列された複数の発光部と、
前記複数の発光部を個別に駆動する駆動部と
を備えた照明装置。
【請求項11】
前記駆動部は、
第1の方向へ延在する複数の第1の配線と、
前記第1の方向と異なる第2の方向へ延在する複数の第2の配線と、
前記複数の発光部の各々に対応して設けられた複数の駆動素子と
を有する
請求項10記載の照明装置。
【請求項12】
前記駆動部は、前記複数の第1の配線および第2の配線に対し、入力信号に応じて選択的に所定の電圧を供給する電圧供給部を有する
請求項11記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−54331(P2013−54331A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221275(P2011−221275)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】