説明

表示装置およびその製造方法

【課題】表示装置における基板の割れまたはカケを低減させること。
【解決手段】表示装置が、少なくとも一方が光透過性を有し、所定の距離をおいて互いに
対向するように固定された第1の基板および第2の基板と、前記第1の基板および第2の
基板の間に位置する画素領域と、を備えている。そして、前記第2の基板の端面位置は、
前記第1の基板の端面位置よりも突出してる。さらに、前記第2の基板の前記第1の基板
の端面位置に対応する部位から、前記第2の基板の端面位置まで、前記第2の基板は平面
視でテーパ状である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置は、互いに対向するように固定された2つの基板体と、2つの基板体の間に位
置した複数の画素領域と、を有している。ただし、2つの基板体のうちの一方の基板体の
端面位置は、他方の基板体の端面位置よりも突出していて、このことによって、一方の基
板体の一部分は他方の基板体から露出している。そして、一方の基板体の当該一部分上に
は、複数の画素領域を駆動するためのテープ基板またはICが設けられる。なお、表示装
置の例として液晶表示装置がある(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2008−46446号公報(図11)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表示装置のうち、2つの基板体が互いに対向している部分の剛性は比較的に高い。この
ため、2つの基板体が互いに対向している部分では、どちらの基板体も割れにくい。しか
しながら、他方の基板体から露出した一方の基板体の部分の剛性は比較的に低い。このた
め、一方の基板体の露出した上記部分は、衝撃などを受けると割れやすい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するように以下の適用例または形態として
実現される。
【0006】
[適用例1]表示装置が、少なくとも一方が光透過性を有し、互いに対向するように固
定された第1の基板体および第2の基板体と、前記第1の基板体および第2の基板体の間
に位置する複数の画素領域と、を備えている。そして、前記第2の基板体の端面位置は、
前記第1の基板体の端面位置よりも突出していて、前記第1の基板体の端面位置に対応す
る前記第2の基板体の部位から、前記第2の基板体の端面位置までに亘って、前記第2の
基板体は平面視でテーパ状である。
【0007】
[適用例2]少なくとも一方が光透過性を有し、互いに対向するように固定された第1
の基板体および第2の基板体と、前記第1の基板体および第2の基板体の間に位置する複
数の画素領域と、を備え、前記第2の基板体の端面位置は、前記第1の基板体の端面位置
よりも突出した表示装置の製造方法が、前記第1の基板体の端面位置に対応する前記第2
の基板体の部位から、前記第2の基板体の端面位置までに亘って、前記第2の基板体を平
面視でテーパ状にする工程を含む。
【0008】
上記2つの適用例のそれぞれによれば、第2の基板体の第1の基板体の端面位置に対応
する部位から、前記第2の基板体の端面位置に亘って、第2の基板体は平面視でテーパ状
である。このため、第2の基板体の端面位置が第1の基板体の端面位置よりも突出するこ
とで第1の基板体から露出した第2の基板体の部分の面積が比較的に小さくなり、この結
果、当該部分にて、割れまたはカケが発生する頻度が低下する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本実施形態では、表示装置の一例として液晶表示装置1を取り上げる。
【0010】
図1は、本実施形態の液晶表示装置1の断面を示す模式図である。図1に示すように、
液晶表示装置1は、基板体10と、基板体20と、基板体10および基板体20の間に位
置する複数の画素領域30と、を備えている。本実施形態では、基板体10と基板体20
との双方が光透過性を有しているが、他の実施形態では一方が光透過性を有すればよい。
なお、本実施形態の液晶表示装置1は、上述の構成要素に加えてさらに、偏光板およびカ
ラーフィルタなどの光学要素を備えているが、本発明の理解に影響しないのでその説明は
省略されている。
【0011】
基板体10と基板体20とは、所定の距離をおいて互いに対向するように固定されてい
る。具体的には、基板体10と基板体20とは、ギャップスペーサを含有したシール材4
0を介して互いに貼り付けられている。複数の画素領域30は、基板体10(または基板
体20)によって決まる平面に平行な仮想的な面内でマトリクス状に並んでいる。そして
、複数の画素領域30によって、基板体10上または基板体20上に、平面視でほぼ矩形
の表示領域30A(図2)が規定される。
【0012】
図2では、矩形の表示領域30Aの互いにほぼ垂直な2つの辺の方向を、それぞれX軸
方向およびY軸方向と表記している。そして、X軸方向とY軸方向の双方に垂直な方向を
Z軸方向と表記している。
【0013】
図2に示すように、基板体20の端面位置E2は、基板体10の端面位置E1よりも突
出している。そして、基板体10の端面位置E1に対応する基板体20の部位から、基板
体20の端面位置E2までに亘って、基板体20は平面視でテーパ状である。例えば、基
板体20の法線方向(ほぼZ軸方向)に沿って基板体20を観察した場合、基板体20の
端面位置E2へ向って基板体20の幅が徐々に小さくなっている。基板体20がこのよう
な形状を有することから、基板体10から露出した基板体20の部分の面積が比較的に小
さくなり、この結果、当該小部分にて、割れまたはカケが発生する頻度が低下する。
【0014】
便宜上、基板体20の上記部分を「テーパ部20A」と表記する。本実施形態では、図
3(a)および(b)に示すように、テーパ部20Aでのいずれの内角αも、90°より
大きく、かつ270°より小さい。このことから、本実施形態では、上記小部分(テーパ
部20A)にて、割れまたはカケがさらに発生しにくい。なお、図3(b)は、180°
より大きく、かつ270°より小さい内角を有するテーパ部20の例を示している。また
、テーパ部20Aの縁は、図3(a)、(b)の直線に代えて、図3(c)に示すような
円弧などの曲線でもよい。
【0015】
テーパ部20Aには、複数の画素領域30を駆動するためのテープ基板またはIC(ど
ちらも不図示)が実装される。図4に示すように、ガラス基板のテーパ部20A上にIC
100が位置している場合には、図4に示すように、端面位置E2の長さLE2が、IC
100の長さLICよりも短いことが好ましい。例えば、テーパ部20Aの端部に荷重が
加わった場合、てこの原理によって、ガラス基板とIC100との間の接続の剥離が助長
される可能性がある。しかしながら、長さLE2が長さLICよりも短ければ、同じ荷重
がテーパ部20Aの端部に加わっても、ガラス基板とIC100との間の接続の剥離は軽
減できる。なお、基板体10が1枚ガラスからなるガラス基板である場合に、このガラス
基板と当該ガラス基板上に実装されたIC100とを含んだ構造を「COG(チップ・オ
ン・グラス)構造」と呼ぶ。
【0016】
再び図1を参照しながら、液晶表示装置1における基板体10、基板体20、および複
数の画素領域30をより詳細に説明する。
【0017】
本実施形態の基板体10は、光透過性を有した平板状のガラス基板101からなる。ガ
ラス基板101上には、対向電極102が位置している。そして、対向電極102は、第
1配向層(不図示)に覆われている。
【0018】
対向電極102は、ITO(酸化インジウム錫)など、光透過性を有する電極材料から
構成されている。ここで、対向電極102は、後述の複数の画素電極203のすべてに対
向している。また、対向電極102は、上述のICに電気的に連結されている。第1配向
層は、ポリイミド膜からなり、所定方向にラビング処理されている。
【0019】
本実施形態の基板体20は、平板状の光透過性を有したガラス基板201と、ガラス基
板201上に位置する配線層202と、を有している。配線層202上には、複数の画素
電極203が位置している。これら複数の画素電極203は、第2配向層(不図示)に覆
われている。
【0020】
配線層202は、ガラス基板201上に位置する保護膜と、保護膜上に位置する複数の
走査信号線と、複数の走査信号線を覆うゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に位置した複数
のデータ信号線と、それぞれが複数の走査信号線の一つと複数のデータ信号線の一つとに
電気的に連結された複数のスイッチング素子(いずれも不図示)と、を含み、複数のスイ
ッチング素子を介して複数の画素電極203に所望の電位または信号をそれぞれ与えるよ
うに構成されている。なお、本実施形態の複数のスイッチング素子のそれぞれはTFTで
ある。また、複数の走査信号線のそれぞれと複数のデータ信号線のそれぞれとは、上述の
ICにも電気的に連結されている。
【0021】
複数の画素電極203のそれぞれは、ITOなど、光透過性を有する電極材料から構成
されている。第2配向層は、第1配向層のラビング処理とは異なる方向にラビング処理さ
れている。第1配向層のラビング方向と第2配向層のラビング方向との間の関係は、液晶
表示装置1の仕様に応じて決められる。
【0022】
第1配向層と、第2配向層と、の間に液晶層50が位置している。液晶層50はこれら
第1配向層と第2配向層とに接している。
【0023】
本実施形態では、画素電極203と、対向電極102と、画素電極203および対向電
極102の間に位置した液晶層50と、を含んだ部分が、上述の「画素領域30」に対応
する。
【0024】
なお、他の実施形態では、表示装置が、液晶表示装置1に代えて、有機エレクトロルミ
ネッセンス表示装置、電気泳動型表示装置、SED(Surface−conducti
on Electron−emitter Display)、FED(Field E
mission Display)、およびプラズマ表示装置などのいずれか一つであっ
てもよい。
【0025】
例えば、表示装置が有機エレクトロルミネッセンス表示装置の場合には、本実施形態の
画素領域30は、陽極と、陰極と、陽極および陰極の間に位置した発光層と、を含んだ部
分である。要するに画素領域30とは、表示装置において画像または映像を表示するため
の単位部分に対応する。
【0026】
上記の液晶表示装置1は、基板体10の端面位置E1に対応する基板体20の部位から
基板体20の端面位置E2に亘って基板体20を平面視でテーパ状にする工程を含んだ製
造方法によって製造され得る。例えばこの工程として、ダイシング法、レーザスクライブ
法、またはレーザインナースクライブ法で、基板体20の元であるマザー基板を切断すれ
ばよい。
【0027】
なお、本実施形態の基板体20は、ガラス基板201を有しているが、ガラス基板20
1に代えて、シリコン基板を有してもよいし、他の脆性基板を有してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態の液晶表示装置の断面を示す模式図。
【図2】本実施形態の液晶表示装置の斜視図。
【図3】(a)から(c)は本実施形態の平面視による基板を示す模式図である。
【図4】本実施形態の平面視による基板を示す模式図。
【符号の説明】
【0029】
E1,E2…端面位置、1…液晶表示装置、10,20…基板体、20A…テーパ部、
30…画素領域、40…シール材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が光透過性を有し、互いに対向するように固定された第1の基板体およ
び第2の基板体と、
前記第1の基板体および第2の基板体の間に位置する複数の画素領域と、
を備え、
前記第2の基板体の端面位置は、前記第1の基板体の端面位置よりも突出していて、
前記第1の基板体の端面位置に対応する前記第2の基板体の部位から、前記第2の基板
体の端面位置までに亘って、前記第2の基板体は平面視でテーパ状であることを特徴とす
る表示装置。
【請求項2】
少なくとも一方が光透過性を有し、互いに対向するように固定された第1の基板体およ
び第2の基板体と、
前記第1の基板体および第2の基板体の間に位置する複数の画素領域と、
を備え、前記第2の基板体の端面位置は、前記第1の基板体の端面位置よりも突出した表
示装置の製造方法であって、
前記第1の基板体の端面位置に対応する前記第2の基板体の部位から、前記第2の基板
体の端面位置までに亘って、前記第2の基板体を平面視でテーパ状にする工程を含むこと
を特徴とする表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−85543(P2010−85543A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252584(P2008−252584)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】